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JP2012106560A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

電動パワーステアリング装置 Download PDF

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JP2012106560A
JP2012106560A JP2010255909A JP2010255909A JP2012106560A JP 2012106560 A JP2012106560 A JP 2012106560A JP 2010255909 A JP2010255909 A JP 2010255909A JP 2010255909 A JP2010255909 A JP 2010255909A JP 2012106560 A JP2012106560 A JP 2012106560A
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Masahiko Shiina
晶彦 椎名
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Abstract

【課題】電動モータから伝達されるトルクを安定させることができる電動パワーステアリング装置を提供すること。
【解決手段】電動パワーステアリング装置は、ウォームホイール21内に挿入されており、ウォームホイール21を介して伝達された電動モータの出力を転舵輪に向けて伝達するステアリングシャフト3と、正転方向および逆転方向のトルクがウォームホイール21から入力される正入力のときに当該トルクをステアリングシャフト3に伝達し、ステアリングシャフト3からトルクが入力される逆入力のときにウォームホイール21へのトルクの伝達を遮断する逆入力遮断クラッチ18と、ウォームホイール21とステアリングシャフト3を相対回転可能に連結する軸受18とを備える。
【選択図】図2

Description

この発明は、電動パワーステアリング装置に関する。
車両用操舵装置として、電動モータによって操舵を補助する電動パワーステアリング装置が知られている。例えば特許文献1記載の電動パワーステアリング装置は、電動モータと、減速機構と、逆入力遮断クラッチと、出力軸とを備えている。電動モータのトルクは、減速機構および逆入力遮断クラッチを介して出力軸に伝達される。逆入力遮断クラッチは、電動モータ側から入力された正転方向および逆転方向のトルクを出力側に伝達し、出力軸側からのトルクの伝達を遮断する。
特許文献1記載の減速機構は、ウォーム軸と、ウォームホイールとを含む。また、特許文献1記載の逆入力遮断クラッチは、入力外輪と、出力内輪と、複数のローラとを含む。入力外輪の内周面には、径方向外方に凹む複数のカム面が形成されており、入力外輪の内周面と出力内輪の外周面との間の隙間の大きさは、カム面が設けられた位置で変化している。ローラは、カム面と出力内輪の外周面との間に配置されている。
また、ウォーム軸は、電動モータの駆動軸に形成されており、ウォームホイールは、入力外輪の外周面に形成されている。電動モータのトルクは、ウォーム軸およびウォームホイールを介して入力外輪に伝達され、複数のローラを介して入力外輪から出力内輪に伝達される。そして、出力内輪に伝達されたトルクは、アシスト力として出力軸に伝達される。電動モータのトルクが、減速機構および逆入力遮断クラッチを介して出力軸に伝達されているとき、ローラは、入力外輪の内周面に設けられたカム面と出力内輪の外周面とに接触している。
特開2003−56603号公報
特許文献1記載の電動パワーステアリング装置において、電動モータのトルクが、逆入力遮断クラッチを介して出力軸に伝達されているときには、ローラが、入力外輪の内周面に設けられたカム面と出力内輪の外周面とに接触している。このとき、入力外輪は、ローラとカム面との接触、およびローラと出力内輪の外周面との接触によって、出力内輪に対して径方向に位置決めされている。したがって、例えばカム面の加工精度が低いと、電動モータのトルクが逆入力遮断クラッチを介して出力軸に伝達されるときに、入力外輪の中心軸線と出力内輪の中心軸線とが大きくずれてしまう。
特許文献1記載の電動パワーステアリング装置では、ウォームホイールが入力外輪の外周面に形成されている。したがって、入力外輪の中心軸線と出力内輪の中心軸線とが大きくずれていると、ウォームホイールは、ウォームホイールの中心軸線から大きくずれた回転軸線(出力内輪の中心軸線)まわりに回転する。そのため、ウォーム軸およびウォームホイールの噛み合いにむらが生じ、電動モータから出力軸に伝達されるトルクにむらが生じるおそれがある。例えばカム面を高い精度で加工すれば、入力外輪の中心軸線と出力内輪の中心軸線とのずれ量を低減することができる。しかし、カム面は、円筒面である入力外輪の内周面に設けられた斜面であるため、カム面を高い精度で加工することは容易ではない。
この発明は、かかる背景のもとになされたものであり、電動モータから伝達されるトルクを安定させることができる電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するための本発明は、操舵補助用の電動モータ(16)と、前記電動モータによって回転駆動される駆動ギヤ(20、220)と、前記駆動ギヤの回転に伴って回転する筒状の従動ギヤ(21、221)と、前記従動ギヤ内に挿入されており、前記従動ギヤを介して伝達された前記電動モータの出力を転舵輪(11)に向けて伝達する伝達部材(3b、233)と、前記従動ギヤおよび伝達部材に連結されており、正転方向および逆転方向のトルクが前記従動ギヤから入力される正入力のときに当該トルクを前記伝達部材に伝達し、前記伝達部材からトルクが入力される逆入力のときに前記従動ギヤへのトルクの伝達を遮断する逆入力遮断クラッチ(18、318、418、518)と、前記従動ギヤと前記伝達部材との間で前記伝達部材を取り囲んでおり、前記従動ギヤと前記伝達部材とを相対回転可能に連結する軸受(19、419)と、を備える電動パワーステアリング装置(1、201)である(請求項1)。
本発明によれば、正転方向および逆転方向への電動モータのトルクが、駆動ギヤおよび従動ギヤを介して逆入力遮断クラッチに伝達された場合(正入力の場合)には、逆入力遮断クラッチに伝達されたトルクが、伝達部材に伝達される。これにより、操舵が補助される。一方、伝達部材から逆入力遮断クラッチにトルクが伝達された場合(逆入力の場合)には、逆入力遮断クラッチから従動ギヤへのトルクの伝達が遮断される。
例えば車両が悪路を直進走行しているときには、転舵輪の振動が伝達部材に伝達され、伝達部材が回転方向に往復振動する場合がある。しかし、逆入力遮断クラッチが、伝達部材から従動ギヤへのトルクの伝達を遮断するので、伝達部材の往復振動は、従動ギヤに伝達されない。そのため、従動ギヤの歯面と、従動ギヤに噛み合うギヤ(駆動ギヤや、駆動ギヤと従動ギヤとの間に介在する中間ギヤ)の歯面との衝突により起こる騒音(ラトル音)の発生を防止することができる。
また、従動ギヤと伝達部材とを相対回転可能に連結する軸受が設けられているので、従動ギヤと伝達部材とを容易に同軸的に連結することができる。これにより、従動ギヤの中心軸線と従動ギヤの回転軸線とのずれ量を低減することができる。したがって、電動モータから伝達部材に伝達されるトルクを安定させることができる。さらに、軸受は、逆入力遮断クラッチよりも構造がシンプルであるので、例えば従動ギヤと伝達部材とを逆入力遮断クラッチだけで連結した場合よりも容易に従動ギヤと伝達部材との同軸度を高めることができる。
また、前記逆入力遮断クラッチは、前記伝達部材を取り囲み、前記従動ギヤに同行回転可能に連結された筒状の入力部材(22、322)と、前記入力部材内で前記伝達部材を取り囲み、前記入力部材に対して回転可能であり、前記伝達部材に同行回転可能に連結された出力部材(23)と、前記入力部材と前記出力部材との間に配置されており、前記正入力のときに前記入力部材および出力部材に噛み込み、前記逆入力のときに前記出力部材に対して相対移動するトルク伝達部材(24、324)と、を含んでいてもよい(請求項2)。この場合、前記入力部材は、前記正入力のときに前記トルク伝達部材を前記入力部材および出力部材に噛み込ませるカム部(26、326)を含み、前記出力部材は、前記逆入力のときに前記入力部材およびトルク伝達部材に対して回転する外周面(23a)を含んでいてもよい(請求項3)。
また、前記軸受は、前記入力部材と一体であり、前記伝達部材を取り囲み、前記従動ギヤに同行回転可能に連結された外輪(419a)と、前記出力部材と一体であり、前記外輪内で前記伝達部材を取り囲み、前記伝達部材に同行回転可能に連結された内輪(419b)と、前記内輪と前記外輪との間に配置されており、前記内輪および外輪の相対回転に伴って転動する複数の転動体(19c)と、を含んでいてもよい(請求項4)。この場合、軸受の外輪と逆入力遮断クラッチの入力部材とが一つの部材であり、軸受の内輪と逆入力遮断クラッチの出力部材とが一つの部材であるから、組み立て作業を簡素化することができる。
また、前記入力部材と前記出力部材との間にグリースが充填されていてもよい(請求項5)。グリースは、高い粘性を有しているので、この場合、入力部材と出力部材との間に配置されたトルク伝達部材の振動が、グリースによって抑制され、トルク伝達部材と他の部材との衝突により起こる騒音の発生が抑制される。
なお、前記において、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
本発明の第1実施形態に係る電動パワーステアリング装置の概略構成を示す模式図である。 本発明の第1実施形態に係る逆入力遮断クラッチおよびこれに関連する構成の部分断面図である。 本発明の第1実施形態に係る逆入力遮断クラッチの横断面図である。 本発明の第1実施形態に係る逆入力遮断クラッチの縦断面図である。 図3の一部を拡大した図である。 正入力のときの逆入力遮断クラッチの動作を説明するための図解的な断面図である。 逆入力のときの逆入力遮断クラッチの動作を説明するための図解的な断面図である。 本発明の第2実施形態に係る電動パワーステアリング装置の概略構成を示す模式図である。 本発明の第3実施形態に係る逆入力遮断クラッチの横断面図である。 本発明の第3実施形態に係る逆入力遮断クラッチの縦断面図である。 図9の一部を拡大した図である。 正入力のときの逆入力遮断クラッチの動作を説明するための図解的な断面図である。 逆入力のときの逆入力遮断クラッチの動作を説明するための図解的な断面図である。 本発明の第4実施形態に係る逆入力遮断クラッチおよびこれに関連する構成の部分断面図である。 本発明の第5実施形態に係る逆入力遮断クラッチの一部の縦断面図である。
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る電動パワーステアリング装置1の概略構成を示す模式図である。図2は、本発明の第1実施形態に係る逆入力遮断クラッチ18およびこれに関連する構成の部分断面図である。
図1および図2を参照して、電動パワーステアリング装置1は、例えば、コラムアシスト式の電動パワーステアリング装置である。電動パワーステアリング装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2が連結されるステアリングシャフト3と、第1自在継手4を介してステアリングシャフト3に連結された中間軸5と、第2自在継手6を介して中間軸5に連結されたピニオン軸7と、ピニオン軸7の端部近傍に設けられたピニオン7aに噛み合うラック8aを有して車両の左右方向に延びる転舵軸としてのラック軸8とを備えている。ピニオン軸7およびラック軸8は、舵取り機構としてのラックアンドピニオン機構A1を構成している。
ラック軸8は、車体に固定されるハウジング9内で図示しない複数の軸受によって直線往復動自在に支持されている。ラック軸8の両端部はハウジング9の両側へ突出し、各端部にはそれぞれタイロッド10が結合されている。各タイロッド10は、対応するナックルアーム(図示せず)を介して対応する転舵輪11に連結される。操舵部材2が操作されてステアリングシャフト3が回転すると、ステアリングシャフト3の回転が、ピニオン7aおよびラック8aによって、車両の左右方向に沿うラック軸8の直線運動に変換される。これにより、転舵輪11が転舵される。
また、ステアリングシャフト3は、操舵部材2に連なるアッパーシャフト3aと、ピニオン軸7に連なる伝達部材としてのロアシャフト3bとに分割されており、アッパーシャフト3aおよびロアシャフト3bは、トーションバー12を介して同一軸線上で相対回転可能に連結されている。電動パワーステアリング装置1は、トーションバー12を介するアッパーシャフト3aおよびロアシャフト3b間の相対回転変位量により操舵トルクを検出するトルクセンサ13を含む。トルクセンサ13のトルク検出結果は、ECU14(Electronic Control Unit :電子制御ユニット)に与えられる。ECU14は、トルク検出結果や図示しない車速センサから与えられる車速検出結果等に基づいて、駆動回路15を介して電動モータ16を駆動制御する。
電動パワーステアリング装置1は、伝達機構としての減速機17と、円筒状の逆入力遮断クラッチ18と、軸受19と、を備えている。減速機17は、電動モータ16により回転駆動される駆動ギヤとしてのウォーム軸20と、このウォーム軸20に噛み合う従動ギヤとしての筒状のウォームホイール21とを含む。図示はしないが、ウォームホイール21は、環状の芯金と、芯金の周囲を取り囲む合成樹脂部材とを備えている。ウォーム軸20の歯部は、金属によって形成されており、ウォームホイール21の歯部は、合成樹脂によって形成されている。ウォームホイール21の歯部は、この実施形態のように合成樹脂によって形成されていてもよいし、少なくとも一部が、金属によって形成されていてもよい。
図2に示すように、ステアリングシャフト3のロアシャフト3bは、ウォームホイール21内、逆入力遮断クラッチ18内、および軸受19内に挿入されている。逆入力遮断クラッチ18および軸受19は、ウォームホイール21内に嵌合されており、ロアシャフト3bとウォームホイール21との間に介在している。逆入力遮断クラッチ18および軸受19は、ロアシャフト3bの軸方向(逆入力遮断クラッチ18の軸方向X1と平行な方向)に位置をずらして配置されている。ロアシャフト3bとウォームホイール21とは、逆入力遮断クラッチ18によって連結されている。さらに、ロアシャフト3bとウォームホイール21とは、軸受19によって同軸的に連結されている。この実施形態では、軸受19は、ラジアル転がり玉軸受である。軸受19は、ラジアル転がり玉軸受以外の玉軸受や、ころ軸受であってもよい。軸受19は、外輪19aと、外輪19aによって同軸的に取り囲まれた内輪19bと、外輪19aと内輪19bとの間に配置された複数の転動体19cとを含む。
逆入力遮断クラッチ18は、正転方向および逆転方向のトルクが入力側から入力される正入力のときに当該トルクを出力側に伝達し、出力側からトルクが入力される逆入力のときに空回りして入力側へのトルクの伝達を遮断するフリータイプの逆入力遮断クラッチである。ウォームホイール21から逆入力遮断クラッチ18にトルクが入力されたときには(正入力のときには)、逆入力遮断クラッチ18に入力されたトルクが、ロアシャフト3bに伝達される。その一方で、ロアシャフト3bから逆入力遮断クラッチ18にトルクが入力されたときには(逆入力のときには)、逆入力遮断クラッチ18の一部(後述の出力部材23)とロアシャフト3bとが空回りする。したがって、逆入力のときには、ロアシャフト3bからウォームホイール21へのトルクの伝達が遮断される。
正転方向および逆転方向への電動モータ16の回転は、ウォーム軸20からウォームホイール21に伝達され、逆入力遮断クラッチ18を介してウォームホイール21からロアシャフト3bに伝達される。電動モータ16の回転は、ウォーム軸20からウォームホイール21によって減速されると共に、電動モータ16の出力は、ウォーム軸20およびウォームホイール21によって増幅される。そして、ロアシャフト3bに伝達された電動モータ16の回転は、ピニオン7aおよびラック8aによって、ラック軸8の直線運動に変換される。これにより、操舵が補助される。
図3は、本発明の第1実施形態に係る逆入力遮断クラッチ18の横断面図である。図4は、本発明の第1実施形態に係る逆入力遮断クラッチ18の縦断面図である。図5は、図3の一部を拡大した図である。
図3〜図5を参照して、逆入力遮断クラッチ18は、円筒状の入力部材22と、入力部材22内に配置されており、入力部材22と共通の中心軸線L1を有する出力部材23と、入力部材22と出力部材23との間に配置された複数のトルク伝達部材24と、複数のトルク伝達部材24を保持する円筒状の保持部材25とを備えている。
入力部材22は、ウォームホイール21内に嵌合されている(図2参照)。入力部材22は、ウォームホイール21に同行回転可能に連結されている。入力部材22とウォームホイール21とは、この実施形態のように別の部材であってもよいし、ウォームホイール21の少なくとも一部と入力部材22とが、一つの部材(一体の部材)であってもよい。入力部材22は、入力部材22の内周面に設けられた凹状の複数のカム部26を有している。各カム部26は、径方向Y1外方に凹んでいる。複数のカム部26は、それぞれ逆入力遮断クラッチ18の軸方向X1に延びており、逆入力遮断クラッチ18の周方向Z1に等間隔を隔てて配置されている。各カム部26は、径方向Y1外方に凸の円弧状に形成された内面26aを含む。内面26aは、周方向Zに関する内面26aの中心C1(図5参照)を通り径方向Yに延びる直線に関して対称である。トルク伝達部材24の一部は、カム部26内に収容されている。各カム部26の内面26aは、トルク伝達部材24に沿う形状に形成されている。
出力部材23は、例えば円筒状である。ロアシャフト3bは、出力部材23内に嵌合されている(図2参照)。出力部材23は、ロアシャフト3bに同行回転可能に連結されている。出力部材23とロアシャフト3bとは、この実施形態のように別の部材であってもよいし、ロアシャフト3bの少なくとも一部と出力部材23とが、一つの部材であってもよい。入力部材22は、径方向Y1に間隔を空けて出力部材23を同軸的に取り囲んでいる。複数のトルク伝達部材24は、入力部材22と出力部材23との間に設けられた環状の収容空間S1に収容されている。複数のトルク伝達部材24は、周方向Z1に等間隔を隔てて配置されており、軸方向X1に延びている。各トルク伝達部材24は、この収容空間S1で保持部材25に保持されている。
トルク伝達部材24は、例えば、円柱状である。トルク伝達部材24の外径は、周方向Zに関する内面26aの中心C1から出力部材23の外周面23aまでの径方向Y1への距離よりも小さく、周方向Zに関する内面26aの端部から出力部材23までの径方向Y1への距離よりも大きい。各トルク伝達部材24は、保持部材25に設けられたポケット27に保持されている。各ポケット27は、保持部材25を径方向Y1に貫通している。複数のポケット27は、周方向Z1に等間隔を隔てて配置されており、軸方向X1に延びている。各ポケット27は、周方向Z1に間隔を隔てて対向する一対の対向面28を有している。各対向面28は、トルク伝達部材24の外周面に沿う円弧状である。保持部材25は、トルク伝達部材24がポケット27に入れられた状態でトルク伝達部材24の中心軸線まわりにスムーズに回転できるように各トルク伝達部材24を保持している。すなわち、各トルク伝達部材24と対応するポケット27の対向面28との間には、隙間が形成されている。
図6は、正入力のときの逆入力遮断クラッチ18の動作を説明するための図解的な断面図である。
図6を参照して、正転方向および逆転方向のトルクがウォームホイール21から入力部材22に入力されたときには(正入力のときには)、入力部材22が僅かに回転して(図6では、入力部材22が時計回りに僅かに回転して)、トルク伝達部材24が、カム部26の内面26aと出力部材23の外周面23aとの間の隙間に挟まる。これにより、トルク伝達部材24が、入力部材22および出力部材23に噛み込んで、入力部材22および出力部材23が複数のトルク伝達部材24を介して同行回転可能に連結される。したがって、ウォームホイール21から入力部材22に入力されたトルクが、複数のトルク伝達部材24を介して出力部材23に伝達され、出力部材23およびロアシャフト3bが同行回転する。これにより、逆入力遮断クラッチ18を介してウォームホイール21からロアシャフト3bにトルクが伝達される。
図7は、逆入力のときの逆入力遮断クラッチ18の動作を説明するための図解的な断面図である。
図7を参照して、正転方向および逆転方向のトルクがロアシャフト3bから出力部材23に入力されたときには(逆入力のときには)、各トルク伝達部材24の外周面と出力部材23の外周面23aとが摺動しながら、出力部材23が空回りする(図7では、出力部材23が時計回りに空回りする)。また、このとき、出力部材23と各トルク伝達部材24との摺動によって発生する摩擦力によって、各トルク伝達部材24が、トルク伝達部材24の中心軸線まわりに回転する。そのため、正入力のときのように各トルク伝達部材24が入力部材2220および出力部材232に噛み込まず、入力部材22および出力部材23が相対回転する。したがって、逆入力のときには、出力部材23およびロアシャフト3bが空回りし、ロアシャフト3bからウォームホイール21にトルクが伝達されない。
以上のように第1実施形態では、正転方向および逆転方向への電動モータ16のトルクが、ウォーム軸20およびウォームホイール21を介して逆入力遮断クラッチ18に伝達された場合(正入力の場合)には、逆入力遮断クラッチ18に伝達されたトルクが、ロアシャフト3bに伝達される。これにより、操舵が補助される。一方、ロアシャフト3bから逆入力遮断クラッチ18にトルクが伝達された場合(逆入力の場合)には、逆入力遮断クラッチ18からウォームホイール21へのトルクの伝達が遮断される。
例えば車両が悪路を直進走行しているときには、転舵輪11の振動がロアシャフト3bに伝達され、ロアシャフト3bが回転方向に往復振動する場合がある。しかし、逆入力遮断クラッチ18が、ロアシャフト3bからウォームホイール21へのトルクの伝達を遮断するので、ロアシャフト3bの往復振動は、ウォームホイール21に伝達されない。そのため、ウォームホイール21の歯面と、ウォーム軸20の歯面との衝突により起こる騒音(ラトル音)の発生を防止することができる。
また、ウォームホイール21とロアシャフト3bとを相対回転可能に連結する軸受19が設けられているので、ウォームホイール21とロアシャフト3bとを容易に同軸的に連結することができる。これにより、ウォームホイール21の中心軸線とウォームホイール21の回転軸線とのずれ量を低減することができる。したがって、電動モータ16からロアシャフト3bに伝達されるトルクを安定させることができる。さらに、軸受19は、逆入力遮断クラッチ18よりも構造がシンプルであるので、例えばウォームホイール21とロアシャフト3bとを逆入力遮断クラッチ18だけで連結した場合よりも容易にウォームホイール21とロアシャフト3bとの同軸度を高めることができる。
このように、第1実施形態では、ロアシャフト3bの回転が、ウォームホイール21に伝達されないので、ウォーム軸20とウォームホイール21との噛み合い部におけるバックラッシ(backlash)が大きくても、例えば車両が悪路を直進走行しているときにラトル音が発生することを防止できる。また、バックラッシが大きくてもよいので、減速機17の製造工程において、バックラッシが小さいウォーム軸20およびウォームホイール21の組み合わせを選ばなくてもよい。さらに、バックラッシが大きくてもよいので、合成樹脂によって形成されたウォームホイール21の歯部が温度変化によって膨張したり、湿気を吸って膨潤したりしたときに、バックラッシが無くなることを防止できる。これにより、バックラッシが無くなって、操舵部材2に大きな抵抗が加わることを防止できる。さらに、ハンドル(操舵部材2)の戻り特性が向上する。具体的には、例えば、セルフアライニングトルク等でハンドルが中立位置に戻ろうとするときに(逆入力の状態)、電動モータ16を回転させる負荷がしないため、ハンドルがスムーズに中立位置に戻る。
図8は、本発明の第2実施形態に係る電動パワーステアリング装置201の概略構成を示す模式図である。この図8において、前述の図1〜図7に示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
この第2実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、第1実施形態に係る電動パワーステアリング装置1が、コラムアシスト式の電動パワーステアリング装置であるのに対し、第2実施形態に係る電動パワーステアリング装置201が、ラックアシスト式の電動パワーステアリング装置であることである。
図8を参照して、電動パワーステアリング装置201は、ステアリングホイール等の操舵部材2が連結されるステアリングシャフト3と、第1自在継手4を介してステアリングシャフト3に連結された中間軸5と、第2自在継手6を介して中間軸5に連結されたピニオン軸207と、ピニオン軸207の端部近傍に設けられたピニオン7aに噛み合うラック8aを有して車両の左右方向に延びる転舵軸としてのラック軸208とを備えている。ピニオン軸207およびラック軸208は、舵取り機構としてのラックアンドピニオン機構A201を構成している。
ラック軸208は、車体に固定されるハウジング9内で図示しない複数の軸受によって直線往復動自在に支持されている。ラック軸208の両端部はハウジング9の両側へ突出し、各端部にはそれぞれタイロッド10が結合されている。各タイロッド10は、対応するナックルアーム(図示せず)を介して対応する転舵輪11に連結される。操舵部材2が操作されてステアリングシャフト3が回転すると、ステアリングシャフト3の回転が、ピニオン7aおよびラック8aによって、車両の左右方向に沿うラック軸208の直線運動に変換される。これにより、転舵輪11が転舵される。
また、ピニオン軸207は、アッパーシャフト207aとロアシャフト207bとに分割されており、アッパーシャフト207aおよびロアシャフト207bは、トーションバー12を介して同一軸線上で相対回転可能に連結されている。電動パワーステアリング装置201は、トーションバー12を介するアッパーシャフト207aおよびロアシャフト207b間の相対回転変位量により操舵トルクを検出するトルクセンサ13を含む。トルクセンサ13のトルク検出結果は、ECU14に与えられる。
電動パワーステアリング装置201は、操舵補助用の電動モータ16と、電動モータ16の回転を伝達する伝達機構としての平行軸歯車機構229と、平行軸歯車機構229から伝達された回転を直線運動に変換する運動変換機構としてのボールねじ機構230と、を備えている。電動モータ16は、電動モータ16の回転軸線(回転軸の回転軸線)がラック軸208と平行になるようにハウジング9に保持されている。ECU14は、トルク検出結果や図示しない車速センサから与えられる車速検出結果等に基づいて、駆動回路15を介して電動モータ16を駆動制御する。
平行軸歯車機構229は、駆動ギヤ220と、駆動ギヤ220に噛み合う中間ギヤ231と、中間ギヤ231に噛み合う筒状の従動ギヤ221とを備えている。各ギヤ220、221、231は、それぞれの回転軸線がラック軸208と平行になるように配置されている。各ギヤ220、221、231は、ハウジング9によって回転可能に保持されている。駆動ギヤ220は、動力伝達継手232を介して電動モータ16に同行回転可能に連結されている。駆動ギヤ220は、電動モータ16によって回転駆動される。電動モータ16の回転は、駆動ギヤ220および中間ギヤ231を介して従動ギヤ221に伝達される。
ボールねじ機構230は、伝達部材としてのボールナット233と、ボールナット233内に挿入されたボールねじ234と、ボールナット233とボールねじ234との間に介在する複数のボール235とを備えている。ボールねじ234は、ラック軸208の一部であり、ラック軸208の軸方向(この実施形態では、逆入力遮断クラッチ18の軸方向X1と平行な方向)に延びている。ボールナット233は、従動ギヤ221内、逆入力遮断クラッチ18内、および軸受19内に挿入されている。逆入力遮断クラッチ18および軸受19は、従動ギヤ221内に嵌合されており、従動ギヤ221とボールナット233との間に介在している。逆入力遮断クラッチ18および軸受19は、軸方向X1に位置をずらして配置されている。ボールナット233と従動ギヤ221とは、逆入力遮断クラッチ18によって連結されている。さらに、ボールナット233と従動ギヤ221とは、軸受19によって同軸的に連結されている。
正転方向および逆転方向のトルクが従動ギヤ221から逆入力遮断クラッチ18に入力されたときには(正入力のときには)、逆入力遮断クラッチ18に入力されたトルクが、ボールナット233に伝達される。したがって、電動モータ16の回転が従動ギヤ221に伝達されると、従動ギヤ221の回転が、逆入力遮断クラッチ18を介してボールナット233に伝達される。ボールナット233の回転は、ボールナット233、ボールねじ234、および複数のボール235によってボールねじ234の直線運動に変換され、これによって、ラック軸208が軸方向X1に移動する。一方、ボールナット233から逆入力遮断クラッチ18にトルクが入力されたときには(逆入力のときには)、逆入力遮断クラッチ18の一部(出力部材23)とボールナット233とが空回りする。したがって、ボールナット233から従動ギヤ221へのトルクの伝達が遮断される。
操舵部材2が操作されると、アッパーシャフト207aおよびロアシャフト207bが相対回転し、操舵トルクがトルクセンサ13によって検出される。ECU14は、トルク検出結果や、図示しない車速センサから入力される車速等に基づいて電動モータ16を制御する。これにより、操舵トルクや車速等に基づく大きさのトルクが電動モータ16から出力される。そして、電動モータ16の回転が、平行軸歯車機構229およびボールねじ機構230を介して、ラック軸208に伝達される。これにより、ラック軸208が軸方向X1に移動して、操舵が補助される。
以上のように第2実施形態では、正転方向および逆転方向への電動モータ16のトルクが、従動ギヤ221を介して逆入力遮断クラッチ18に伝達された場合(正入力の場合)には、逆入力遮断クラッチ18に伝達されたトルクが、ボールナット233に伝達される。これにより、操舵が補助される。一方、正転方向および逆転方向へのトルクがボールナット233から逆入力遮断クラッチ18に伝達された場合(逆入力の場合)には、逆入力遮断クラッチ18から従動ギヤ221へのトルクの伝達が遮断される。これにより、従動ギヤ221の歯面と、従動ギヤ221に噛み合うギヤ(中間ギヤ231)の歯面との衝突により起こる騒音(ラトル音)の発生を防止することができる。さらに、従動ギヤ221とボールナット233とを同軸的に連結する軸受19が設けられているので、従動ギヤ221の中心軸線と従動ギヤ221の回転軸線とのずれ量を低減することができる。これにより、電動モータ16からボールナット233に伝達されるトルクを安定させることができる。
次に、本発明の第3実施形態に係る逆入力遮断クラッチ318について説明する。この第3実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、第1実施形態に係る逆入力遮断クラッチ18に設けられたトルク伝達部材24が円柱状であるのに対し、第3実施形態に係る逆入力遮断クラッチ318に設けられたトルク伝達部材324が角柱状であることである。第1および第2実施形態に係る電動パワーステアリング装置1、201は、第1実施形態に係る逆入力遮断クラッチ18に代えて、第3実施形態に係る逆入力遮断クラッチ318を備えていてもよい。以下の説明では、第3実施形態に係る逆入力遮断クラッチ318が、第1実施形態に係る電動パワーステアリング装置1に備えられている場合について説明する。また、以下の図9〜図13において、前述の図1〜図8に示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
図9は、本発明の第3実施形態に係る逆入力遮断クラッチ318の横断面図である。図10は、本発明の第3実施形態に係る逆入力遮断クラッチ318の縦断面図である。図11は、図9の一部を拡大した図である。
図9〜図11を参照して、逆入力遮断クラッチ318は、円筒状の入力部材322と、入力部材322内に配置されており、入力部材322と共通の中心軸線L1を有する出力部材23と、入力部材322と出力部材23との間に配置された複数のトルク伝達部材324と、複数のトルク伝達部材324を保持する円筒状の保持部材325とを備えている。
入力部材322は、ウォームホイール20内に嵌合されている。入力部材322は、ウォームホイール20に同行回転可能に連結されている。入力部材322とウォームホイール20とは、この実施形態のように別の部材であってもよいし、ウォームホイール20の少なくとも一部と入力部材322とが、一つの部材であってもよい。入力部材322は、入力部材322の内周面に設けられた複数のカム部326を有している。各カム部326は、径方向Y1外方に凹んでいる。複数のカム部326は、それぞれ逆入力遮断クラッチ318の軸方向X1に延びており、逆入力遮断クラッチ318の周方向Z1に等間隔を隔てて配置されている。トルク伝達部材324の底部324d(図11参照)は、カム部326内に収容されている。各カム部326は、一対の傾斜面326aと、周方向Z1に関して一対の傾斜面326aの間に配置された平面326bとを含む。各カム部326の平面326bおよび一対の傾斜面326aは、トルク伝達部材324の底部324dに沿う形状に形成されている。平面326bは、径方向Y1に直交しており、一対の傾斜面326aは、周方向Zに関する平面326bの中心C301を通り径方向Yに延びる直線に関して対称である。
出力部材23は、例えば円筒状である。ロアシャフト3bは、出力部材23内に嵌合されている。出力部材23は、ロアシャフト3bに同行回転可能に連結されている。出力部材23とロアシャフト3bとは、この実施形態のように別の部材であってもよいし、ロアシャフト3bの少なくとも一部と出力部材23とが、一つの部材であってもよい。入力部材322は、径方向Y1に間隔を空けて出力部材23を同軸的に取り囲んでいる。複数のトルク伝達部材324は、入力部材322と出力部材23との間に設けられた環状の収容空間S1に収容されている。複数のトルク伝達部材324は、周方向Z1に等間隔を隔てて配置されており、軸方向X1に延びている。各トルク伝達部材324は、この収容空間S1で保持部材325に保持されている。
トルク伝達部材324は、例えば、多角形状の断面を有する角柱状である。この実施形態では、トルク伝達部材324は、3つの角が丸められた三角形状の断面を有する三角柱状である。したがって、トルク伝達部材324は、3つの角部324aと、平坦な3つの側面324bとを有している。トルク伝達部材324は、1つの角部324aが他の2つの角部324aよりも径方向Y1内方に位置するように配置されている。各トルク伝達部材324において、最も径方向Y1内方に位置する角部324aの先端が頂部324cであり、最も径方向Y1外方に位置する側面324bおよびこの側面324bの両側の2つの角部324aを含む部分が底部324dである。各トルク伝達部材324の底部324dは、対応するカム部326内に収容されており、各トルク伝達部材324の頂部324cは、出力部材23の外周面23aに係合している。
保持部材325は、複数のトルク伝達部材324をそれぞれ保持する複数のポケット327を有している。各ポケット327は、保持部材325を径方向Y1に貫通している。複数のポケット327は、周方向Z1に等間隔を隔てて配置されており、軸方向X1に延びている。各ポケット327は、周方向Z1に間隔を隔てて対向する一対の対向面328を有している。各対向面328は、例えば平坦であり、径方向Y1外方に向くように傾斜している。一対の対向面328は、等しい傾斜角度で互いに逆向きに傾斜している。各トルク伝達部材324は、対応するポケット327を挿通した状態で保持部材325に保持されている。各トルク伝達部材324の頂部324cは、保持部材325の内周面よりも径方向Y1内方に突出している。
保持部材325は、トルク伝達部材324が頂部324cを中心に回動できるように各トルク伝達部材324を保持している。すなわち、各トルク伝達部材324と対応するポケット327の対向面328との間には、隙間が形成されている。逆入力遮断クラッチ318にトルクが入力されていない状態では、各トルク伝達部材324は、傾き方向に関する中立位置で保持される。中立位置は、トルク伝達部材324の頂部324cおよび重心G1を通り断面を二等分する二等分線L2が径方向Y1に沿うときの各トルク伝達部材324の位置である(図9および図11に示す位置)。図11に示すように、トルク伝達部材324が中立位置に位置する状態では、周方向Z1に関してトルク伝達部材324の底部324dが対応する一対の傾斜面326aから離れている。
図12は、正入力のときの逆入力遮断クラッチ318の動作を説明するための図解的な断面図である。
図12を参照して、正転方向および逆転方向のトルクがウォームホイール20から入力部材322に入力されたときには(正入力のときには)、入力部材322が僅かに回転して(図12では、入力部材322が時計回りに僅かに回転して)、一対の傾斜面326aの一方が、トルク伝達部材324の底部324dに接触する。すなわち、図9では、左側の傾斜面326aが左側の角部324aに接触する。そのため、トルク伝達部材324は、傾斜面326aによって押されて、頂部324cを支点にして回動する。これにより、各トルク伝達部材324が傾き方向に傾いて、各トルク伝達部材324の頂部324cおよび角部324a(図12において左上に位置する角部324a)が、それぞれ、出力部材23および入力部材322に強く押し付けられる。したがって、頂部324cおよび角部324aが、それぞれ、出力部材23および入力部材322に噛み込んで、入力部材322および出力部材23が複数のトルク伝達部材324を介して同行回転可能に連結される。これにより、逆入力遮断クラッチ318を介してウォームホイール20からロアシャフト3bに回転が伝達される。
図13は、逆入力のときの逆入力遮断クラッチ318の動作を説明するための図解的な断面図である。
図13を参照して、正転方向および逆転方向のトルクがロアシャフト3bから出力部材23に入力されたときには(逆入力のときには)、各トルク伝達部材324の頂部324cと出力部材23の外周面23aとが摺動しながら、出力部材23が空回りする(図13では、出力部材23が時計回りに空回りする)。各トルク伝達部材324の頂部324cと出力部材23の外周面23aとの接触が線接触であるので、出力部材23と各トルク伝達部材324との摺動に伴って各トルク伝達部材324に加わる荷重は比較的小さい。すなわち、逆入力のときに各トルク伝達部材324を傾かせる荷重は比較的小さい。したがって、逆入力のときは、各トルク伝達部材324が中立位置に位置する状態が維持されたまま、出力部材23が回転する。そのため、各トルク伝達部材324が出力部材23および入力部材322に噛み込まず、入力部材322および出力部材23が相対回転する。したがって、ロアシャフト3bからウォームホイール20への回転の伝達が遮断される。
図14は、本発明の第4実施形態に係る逆入力遮断クラッチ418およびこれに関連する構成の部分断面図である。この図14において、前述の図1〜図13に示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
この第4実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、第1実施形態では、軸受19の外輪19aと逆入力遮断クラッチ18の入力部材22とが別の部材であり、軸受19の内輪19bと逆入力遮断クラッチ18の出力部材23とが別の部材であるのに対し、第4実施形態では、軸受419の外輪419aと逆入力遮断クラッチ418の入力部材22とが一体であり、軸受419の内輪419bと逆入力遮断クラッチ418の出力部材23とが一体であることである。
具体的には、図14に示すように、軸受419は、外輪419aと、外輪419aによって同軸的に取り囲まれた内輪419bと、外輪419aと内輪419bとの間に配置された複数の転動体19cとを含む。外輪419aは、外輪19aに相当する外輪部419dと、入力部材22に相当する入力部422とを含む。内輪419bは、内輪19bに相当する内輪部419eと、出力部材23に相当する出力部423とを含む。外輪部419dおよび内輪部419eは、それぞれ筒状であり、外輪部419dは、内輪部419eを同軸的に取り囲んでいる。複数の転動体19cは、外輪部419dと内輪部419eとの間に配置されている。ロアシャフト3bとウォームホイール21とは、軸受419によって同軸的に連結されている。図示はしないが、第2実施形態において、逆入力遮断クラッチ18および軸受19の代わりに、逆入力遮断クラッチ418および軸受419が備えられ、ボールナット233と従動ギヤ221とが、軸受419によって同軸的に連結されていてもよい。
以上のように第4実施形態では、軸受419の外輪419aが、外輪19aに相当する外輪部419dと、入力部材22に相当する入力部422とを含み、内輪419bが、内輪19bに相当する内輪部419eと、出力部材23に相当する出力部423とを含む。したがって、第1実施形態のように、逆入力遮断クラッチ18と軸受19とを別々に組み立てなくてもよい。そのため、組み立て作業を簡素化することができる。
図15は、本発明の第5実施形態に係る逆入力遮断クラッチ518の一部の縦断面図である。この図15において、前述の図1〜図14に示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
この第5実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、潤滑剤の一例であるグリースが、入力部材22の内周面と出力部材23の外周面23aとの間に充填されていることである。
具体的には、図15に示すように、逆入力遮断クラッチ518は、入力部材22の内周面と出力部材23の外周面23aとの間をシールする2つのシール536を含む。シール538は、合成樹脂または合成ゴムによって形成された弾性体である。2つのシール538は、軸方向X1に間隔を空けて配置されている。シール538は、入力部材22の軸方向端部または出力部材23の軸方向端部に保持されている。入力部材22の内周面と出力部材23の外周面23aの間の空間は、2つのシール538によって密閉されている。したがって、入力部材22と出力部材23との間からのグリースの漏れは、2つのシール538によって防止される。図示はしないが、第3実施形態に係る逆入力遮断クラッチ318において、グリースが、入力部材322の内周面と出力部材23の外周面23aとの間に充填されていてもよい。
以上のように第5実施形態では、グリースが、入力部材22の内周面と出力部材23の外周面23aとの間に充填されている。グリースは、トルク伝達部材24と他の部材との間や、保持部材25と他の部材との間に介在している。グリースは、高い粘性を有している。そのため、トルク伝達部材24の振動は、グリースによって抑制され、トルク伝達部材24と他の部材との衝突により起こる騒音の発生が抑制される。同様に、保持部材25の振動は、グリースによって抑制され、保持部材25と他の部材との衝突により起こる騒音の発生が抑制される。さらに、入力部材22、出力部材23、トルク伝達部材24、および保持部材25の摩耗が、グリースによって抑制される。
この発明の実施の形態の説明は以上であるが、この発明は、上述の第1〜第5実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。例えば上述の第1実施形態では、トルク伝達部材24が、円柱状である場合について説明したが、トルク伝達部材24は、球状であってもよい。
また、上述の第1〜第5実施形態で、電動パワーステアリング装置が、コラムアシスト式、またはラックアシスト式の電動パワーステアリング装置である場合について説明したが、電動パワーステアリング装置の形式は、コラムアシスト式およびラックアシスト式に限らず、どのような形式であってもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1・・・電動パワーステアリング装置、3b・・・ロアシャフト(伝達部材)、11・・・転舵輪、16・・・電動モータ、18・・・逆入力遮断クラッチ、19・・・軸受、19c・・・転動体、20・・・ウォーム軸(駆動ギヤ)、21・・・ウォームホイール(従動ギヤ)、22・・・入力部材、23・・・出力部材、23a・・・外周面、24・・・トルク伝達部材、26・・・カム部、201・・・電動パワーステアリング装置、220・・・駆動ギヤ、221・・・従動ギヤ、233・・・ボールナット(伝達部材)、318・・・逆入力遮断クラッチ、322・・・入力部材、324・・・トルク伝達部材、326・・・カム部、418・・・逆入力遮断クラッチ、419・・・軸受、419a・・・外輪、419b・・・内輪、518・・・逆入力遮断クラッチ

Claims (5)

  1. 操舵補助用の電動モータと、
    前記電動モータによって回転駆動される駆動ギヤと、
    前記駆動ギヤの回転に伴って回転する筒状の従動ギヤと、
    前記従動ギヤ内に挿入されており、前記従動ギヤを介して伝達された前記電動モータの出力を転舵輪に向けて伝達する伝達部材と、
    前記従動ギヤおよび伝達部材に連結されており、正転方向および逆転方向のトルクが前記従動ギヤから入力される正入力のときに当該トルクを前記伝達部材に伝達し、前記伝達部材からトルクが入力される逆入力のときに前記従動ギヤへのトルクの伝達を遮断する逆入力遮断クラッチと、
    前記従動ギヤと前記伝達部材との間で前記伝達部材を取り囲んでおり、前記従動ギヤと前記伝達部材とを相対回転可能に連結する軸受と、を備える電動パワーステアリング装置。
  2. 請求項1記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記逆入力遮断クラッチは、
    前記伝達部材を取り囲み、前記従動ギヤに同行回転可能に連結された筒状の入力部材と、
    前記入力部材内で前記伝達部材を取り囲み、前記入力部材に対して回転可能であり、前記伝達部材に同行回転可能に連結された出力部材と、
    前記入力部材と前記出力部材との間に配置されており、前記正入力のときに前記入力部材および出力部材に噛み込み、前記逆入力のときに前記出力部材に対して相対移動するトルク伝達部材と、を含む、電動パワーステアリング装置。
  3. 請求項2記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記入力部材は、前記正入力のときに前記トルク伝達部材を前記入力部材および出力部材に噛み込ませるカム部を含み、
    前記出力部材は、前記逆入力のときに前記入力部材およびトルク伝達部材に対して回転する外周面を含む、電動パワーステアリング装置。
  4. 請求項2または3記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記軸受は、
    前記入力部材と一体であり、前記伝達部材を取り囲み、前記従動ギヤに同行回転可能に連結された外輪と、
    前記出力部材と一体であり、前記外輪内で前記伝達部材を取り囲み、前記伝達部材に同行回転可能に連結された内輪と、
    前記内輪と前記外輪との間に配置されており、前記内輪および外輪の相対回転に伴って転動する複数の転動体と、を含む、電動パワーステアリング装置。
  5. 請求項2〜4のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記入力部材と前記出力部材との間にグリースが充填されている、電動パワーステアリング装置。
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