JP2012140498A - 深絞り成型同時転写用二軸延伸ポリエテルフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】 電気製品や自動車部品などの曲面のある、やや形状が複雑な樹脂成型品の表面を光沢ムラの少ないマット調に装飾するために用いられる、深絞り成型性に優れた成型同時転写用二軸延伸ポリエテルフィルムを提供する。
【解決手段】 イソフタル酸単位を含む共重合ポリエステルからなるフィルムであり、100℃での引張試験における破断時伸び率のフィルム縦横の平均値が250%以上であり、フィルム表面の平均粗さ(Ra)が0.10〜0.50μmの範囲であることを特徴とする深絞り成型同時転写用二軸延伸ポリエテルフィルム。
【選択図】 なし
【解決手段】 イソフタル酸単位を含む共重合ポリエステルからなるフィルムであり、100℃での引張試験における破断時伸び率のフィルム縦横の平均値が250%以上であり、フィルム表面の平均粗さ(Ra)が0.10〜0.50μmの範囲であることを特徴とする深絞り成型同時転写用二軸延伸ポリエテルフィルム。
【選択図】 なし
Description
本発明は、電気製品や自動車部品などの曲面のある、やや形状が複雑な樹脂成型品の表面をマット調に装飾するために用いられる成型同時加飾シートの基材フィルムとして好適な深絞り成型同時転写用二軸延伸ポリエステルフィルムに関する。
電化製品等の曲面を有するプラスチック成型品の加飾方法の一つとして、成型と同時に転写印刷を施す、いわゆるインモールド成型法が広く利用されている。インモールド成型法とは、あらかじめ離型層、インキ層、接着層等からなる印刷層を基材フィルムの上に積層させた転写シートを作成し、プラスチックの射出成型時の熱と圧力を利用して転写印刷する方法である。
基材フィルムの離型層と接する面は、マット調の外観を成型品に転写させるため、表面に微細な凹凸を有することが通常行われる。基材フィルムの表面に微細な凹凸を付ける方法は、エンボス加工や微細粒子を含有した塗布液をコートする方法があるが、基材フィルムの製造工程が増える問題がある。
また、ポリエステルフィルム製造時に粒子を比較的大量に添加して表面を粗面化したフィルムが特許文献1に開示されているが、成型品の光沢度が十分に低いとはいえない。
一方、フィルム表面粗さを大きくするためにフィルム中の粒子濃度を上げると、フィルムが成型同時転写加工時に破れる問題が発生する。
また、特許文献2によれば共押出積層構成の表層に粒子を添加した深絞り用に好適なポリエステルフィルムが提案されているが、成型品の平坦部と曲面部で光沢性が変わる問題がある。また表層と中間層の粒子濃度の差が大きい場合には転写後にフィルムを除去する工程でフィルムの表層と中間層の界面で剥離するという問題がある。
本発明は、上記実状に鑑みなされたものであり、その解決課題は、電気製品や自動車部品などの曲面のあるやや形状が複雑な樹脂成型品の表面を光沢ムラの少ないマット調に装飾するために用いる深絞り成型性に優れた成型同時転写用二軸延伸ポリエテルフィルムを提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有するフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、イソフタル酸単位を含む共重合ポリエステルからなるフィルムであり、100℃での引張試験における破断時伸び率のフィルム縦横の平均値が250%以上であり、フィルム表面の平均粗さ(Ra)が0.10〜0.50μmの範囲であることを特徴とする深絞り成型同時転写用二軸延伸ポリエテルフィルムに存する。
本発明によれば、電気製品や自動車部品などの曲面のあるやや形状が複雑な樹脂成型品の表面を光沢ムラの少ないマット調に装飾するために用いる深絞り成型性に優れた成型同時転写用二軸延伸ポリエテルフィルムを提供することができ、本発明の工業的価値は高い。
本発明に用いるポリエステルは、イソフタル酸単位を通常5〜25モル%濃度、好ましくは7〜22モル%濃度、さらに好ましくは10〜20モル%含む共重合ポリエステルからなる。イソフタル酸単位を5〜25モル%濃度含む共重合ポリエステルとは、テレフタル酸またはナフタレン−2,6−ジカルボン酸等のような芳香族ジカルボン酸とイソフタル酸5〜25モル%濃度混合物とエチレングリコール、ジエチレングリコールまたはテトラメチレングリコールを縮重合してできたポリエステルである。イソフタル酸単位が5モル%濃度以下では、フィルムの伸び率が小さくなる傾向がある。一方、25モル%濃度を超えると、フィルムの成型同時転写加工時のフィルム収縮が大きくなり成型加工困難となることがある。または収縮率を小さくするために熱処理温度を上げるとフィルムが製膜時に破れるおそれもある。
重合触媒としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等のアンチモン化合物やゲルマニウム化合物やチタン化合物があげられる。チタン化合物では、例えばテトラアルキルチタネート、テトラアリールチタネート、シュウ酸チタニル塩類、シュウ酸チタニル、チタンを含むキレート化合物、チタンのテトラカルボキシレート等であり、具体的にはテトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラフェニルチタネートまたはこれらの部分加水分解物、シュウ酸チタニルアンモニウム、シュウ酸チタニルカリウム、チタントリアセチルアセトネート等が挙げられる。
また、本発明のポリエステル系フィルムは無機粒子、有機塩粒子や架橋高分子粒子を添加することが好ましい。
用いる無機粒子としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、フッ化リチウム等が挙げられる。
用いる有機塩粒子としては、蓚酸カルシウムやカルシウム、バリウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム等のテレフタル酸塩等が挙げられる。
架橋高分子粒子としては、ジビニルベンゼン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸またはメタクリル酸のビニル系モノマーの単独または共重合体が挙げられる。その他ポリテトラフルオロエチレン、ベンゾグアナミン樹脂、熱硬化エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂などの有機粒子を用いてもよい。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、本発明において用いる粒子の平均粒径は、通常3〜8μmが好ましい。平均粒径が3μm未満の場合には、表面への突起形成能が不十分な場合があり本発明の目的には合致せず、一方、8μmを超える場合には、フィルムを延伸する際に破断等が多発し、安定的に製品を採取することができない。
さらに、ポリエステル中の粒子含有量は、通常0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜3重量%の範囲である。粒子含有量が0.1重量%未満の場合には、フィルム上の突起数が十分でなくいため、低光沢のある成型品の外観のきめが粗くなる傾向があり、一方、5重量%を超えて添加する場合には、フィルムを延伸する際に破断等が起きやすくなる傾向があり、安定的に製品を採取することができない場合がある。また深絞り成型をする際に破れが発生してしまうおそれがある。
本発明のポリエステルフィルムの平均粗さRaは0.10〜0.50μmの範囲であることが必要である。Raが0.10μm未満では、成型品の低光沢感が不十分であり、低光沢感に優れたフィルムを得るという本発明の目的を達成することができない。また、Raを0.50μmより大きくするためには、粗大粒子を大量に配合する必要があり、フィルムを延伸する際に破断等が多発し、安定的に製品を採取することができない。
ポリエステル中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応を進めてもよい。また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には、上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料、顔料等を添加することができる。また用途によっては、紫外線吸収剤特にベンゾオキサジノン系紫外線吸収剤等を含有させてもよい。
本発明のポリエステルフィルムは表面オリゴマーを抑止する方法として、オリゴマー含有量の少ないポリエステル原料を用いることができる。このような原料は、通常の溶融重縮合反応で得たポリエステルのチップを減圧下あるいは不活性ガスの流通下で180℃から240℃にて 1時間から20時間程度保つという固相重合によって得ることができる。この原料のみまたはこの原料と通常の原料を混合して単層のポリエステルフィルムを製膜してもよく、また2層以上の多層構成とし、転写層と反対側の表面層にのみこの原料を用いてもよい。多層構成の場合、内層と外層の成分が大きく異なる場合は、成型時に両層の界面で剥離が発生してしまうことがあるため、注意が必要である。
本発明の転写箔用ポリエステルフィルムの総厚みは、本発明の転写箔用ポリエステルフィルムが使用される用途に応じ適宜選択されるため特に限定されないが、機械的強度、ハンドリング性および生産性などの点から、好ましくは12〜100μmである。
本発明において、耐熱性、成型加工性、寸法安定性の観点から、示差走査熱量計で測定される融解ピーク温度Tmが190〜230℃であることが好ましく、好ましくは200〜220℃である。Tmが190℃未満である場合は、耐熱性、寸法安定性に劣るため、印刷工程でシワが発生したり、成型加工後のフィルム表面が膨れ上がったりするため、絵柄模様の意匠性が損ねられる等の問題が発生することがある。一方、Tmが230℃を超える場合は、成型性、生産性が悪くなる傾向があり、深絞り用途では使用できないことがある。
本発明のフィルムは、高温における成型性の観点から、100℃での引張試験における破断時伸び率のフィルム縦横の平均値が250%以上であることが必要である。伸び率が250%を下回る場合、金型の形状変化が大きい部分でフィルムが破れてしまう。なお、100℃における引張り試験を採用した根拠は、一般的な成型温度が100℃以上であることと、結晶化が進行せず安定して測定できる温度の双方を満たすことにある。
一般に本発明のように表面粗さの大きなサンプルでは破断時伸び率が低下することが知られている。破断時伸び率を250%以上と高くするためには、破断の起因物となる粒子の周辺にできるボイドを低減することが有効である。ボイドは粒子を含む樹脂を延伸することによってできることが知られているが、融点に近い温度で熱処理をすることにより低減することができる。熱処理温度が高い部分で弛緩をすることもボイドの低減には有効である。また、積層フィルムの各層の成分が大きく異なる場合、その界面がきっかけで破断しやすくなることもある。
本発明においては、フィルム表面に、必要に応じて離型層、帯電防止層、易接着層等の塗布層が設けられたり、化学処理や放電処理が施されたりしても構わない。塗布層を設ける場合は、インラインコーティングにより設けられるのが好ましい。インラインコーティングは、ポリステルフイルム製造の工程内で塗布を行う方法であり、具体的には、ポリエステルを溶融押出ししてから二軸延伸後熱固定して巻き上げるまでの任意の段階で塗布を行う方法である。通常は、溶融・急冷して得られる実質的に非晶状態の未延伸シート、その後に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルムの何れかに塗布する。これらの中では、一軸延伸フィルムに塗布した後に横方向に延伸する方法が優れている。かかる方法によれば、製膜と塗布乾燥を同時に行うことができるために製造コスト上のメリットがあり、塗布後に延伸を行うために薄膜塗布が容易であり、塗布後に施される熱処理が他の方法では達成されない高温であるために塗膜とポリエステルフィルムが強固に密着する。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(1)融解ピーク温度(Tm)
ティーエーイインスツルメント社製の示差走査熱良計「MDSC2920型」を使用し、ポリエステル樹脂約5mgを0℃から300℃まで20℃/分の速度で昇温させた際に得られる融解に伴う吸熱ピークの温度をTmとした。
ティーエーイインスツルメント社製の示差走査熱良計「MDSC2920型」を使用し、ポリエステル樹脂約5mgを0℃から300℃まで20℃/分の速度で昇温させた際に得られる融解に伴う吸熱ピークの温度をTmとした。
(2)100℃破断時伸び率
(株)島津製作所AG−Iを用いて、温度100℃に調節された槽内において、縦方向と横方向に採取したチャック間距離50mm、幅15mmの試料フィルムを200mm/分の速度で引張り、それぞれN=3回測定し平均値を試料の破断伸度とする。流れ方向が分かるサンプルについては流れ方向及びその直交方向の値の平均値を採用し、流れ方向が不明なサンプルについては任意の方向とその直交方向の平均値を採用することにする。
(株)島津製作所AG−Iを用いて、温度100℃に調節された槽内において、縦方向と横方向に採取したチャック間距離50mm、幅15mmの試料フィルムを200mm/分の速度で引張り、それぞれN=3回測定し平均値を試料の破断伸度とする。流れ方向が分かるサンプルについては流れ方向及びその直交方向の値の平均値を採用し、流れ方向が不明なサンプルについては任意の方向とその直交方向の平均値を採用することにする。
(3)表面粗さ(Ra)
中心線平均粗さRa(nm)をもって表面粗さとする。(株)小坂研究所社製表面粗さ測定機(SE−3F)を用いて次のようにして求めた。すなわち、フィルム断面曲線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦倍率の方向をy軸として粗さ曲線 y=f(x)で表したとき、次の式で与えられた値を〔nm〕で表す。中心線平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の中心線平均粗さの平均値で表した。なお、触針の先端半径は2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mmとした。
Ra=(1/L)∫0 L|f(x)|dx
中心線平均粗さRa(nm)をもって表面粗さとする。(株)小坂研究所社製表面粗さ測定機(SE−3F)を用いて次のようにして求めた。すなわち、フィルム断面曲線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦倍率の方向をy軸として粗さ曲線 y=f(x)で表したとき、次の式で与えられた値を〔nm〕で表す。中心線平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の中心線平均粗さの平均値で表した。なお、触針の先端半径は2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mmとした。
Ra=(1/L)∫0 L|f(x)|dx
(4)耐熱性
ポリエステルフィルムに離型層、印刷層および接着層を形成し、縦35cm、横25cm、最大深さ3.0cmの金型を用い、IRヒーターで予備加熱後、金型内部に真空または圧空成型法により予備成型を実施した。予備加熱によるフィルムの融解状況より、下記基準で耐熱性の評価を行った。
○:加工温度に耐久でき、予備成型に対応できる
△:予備成型に対応できるが、稀にフィルム軟化による膨張が発生する
×:フィルム融解による穴開きあるいはフィルム軟化による膨張が頻繁に発生
ポリエステルフィルムに離型層、印刷層および接着層を形成し、縦35cm、横25cm、最大深さ3.0cmの金型を用い、IRヒーターで予備加熱後、金型内部に真空または圧空成型法により予備成型を実施した。予備加熱によるフィルムの融解状況より、下記基準で耐熱性の評価を行った。
○:加工温度に耐久でき、予備成型に対応できる
△:予備成型に対応できるが、稀にフィルム軟化による膨張が発生する
×:フィルム融解による穴開きあるいはフィルム軟化による膨張が頻繁に発生
(5)成型性
上記(4)の方法にて予備成型を実施した際、成型によるフィルムの破断の頻度により、下記基準で成型性の評価を行った。
○:フィルム破断、クラック発生等がなく、均一な厚さで成型される
△:フィルム破断はしないが、局所的にフィルムが極めて薄い部分が存在する
×:フィルムが頻発に破断する
上記(4)の方法にて予備成型を実施した際、成型によるフィルムの破断の頻度により、下記基準で成型性の評価を行った。
○:フィルム破断、クラック発生等がなく、均一な厚さで成型される
△:フィルム破断はしないが、局所的にフィルムが極めて薄い部分が存在する
×:フィルムが頻発に破断する
(6)転写成型品の低光沢感
上記(4)にて得られたフィルムの底面部分において日本電色(株)社製 グロスメーター VG−107型を用いて、JIS Z−8741の方法に準じて光沢度を測定した。入射角,反射角60度における黒色標準板の反射率を基準に試料の反射率を求め光沢度とし、以下の基準にて判定した。
◎:0以上20未満
○:20以上50未満
△:50以上70未満
×:70以上
上記(4)にて得られたフィルムの底面部分において日本電色(株)社製 グロスメーター VG−107型を用いて、JIS Z−8741の方法に準じて光沢度を測定した。入射角,反射角60度における黒色標準板の反射率を基準に試料の反射率を求め光沢度とし、以下の基準にて判定した。
◎:0以上20未満
○:20以上50未満
△:50以上70未満
×:70以上
(7)界面剥離
上記(2)の手法で引張試験をした後の破断片において以下の基準で判定した。
○:フィルムの表層と内層の間で剥離が起こっていない。
×:フィルムの表層と内層の間で剥離が起こっている。
上記(2)の手法で引張試験をした後の破断片において以下の基準で判定した。
○:フィルムの表層と内層の間で剥離が起こっていない。
×:フィルムの表層と内層の間で剥離が起こっている。
次に実施例に使用するポリエステル原料について説明する。
<ポリエステル1>
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールを使用し、定法の溶融重合法にて極限粘度が0.66dl/gとする滑剤粒径を含有しないポリエステルチップを製造した。
<ポリエステル1>
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールを使用し、定法の溶融重合法にて極限粘度が0.66dl/gとする滑剤粒径を含有しないポリエステルチップを製造した。
<ポリエステル2>
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールを使用し、定法の溶融重合法にて極限粘度が0.66dl/gとし平均粒径4.5μmのメタクリル酸アルキル−スチレン共重合体による有機粒子を10部含有させたポリエステルチップを製造した。
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールを使用し、定法の溶融重合法にて極限粘度が0.66dl/gとし平均粒径4.5μmのメタクリル酸アルキル−スチレン共重合体による有機粒子を10部含有させたポリエステルチップを製造した。
<ポリエステル3>
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールを使用し、定法の溶融重合法にて極限粘度が0.66dl/gとし平均粒径2.5μmの非晶質シリカを0.60部含有してポリエステルチップを製造した。
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールを使用し、定法の溶融重合法にて極限粘度が0.66dl/gとし平均粒径2.5μmの非晶質シリカを0.60部含有してポリエステルチップを製造した。
<ポリエステル4>
ジカルボン酸成分としてイソフタル酸およびテレフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールをそれぞれ使用し、常法の溶融重縮合法で重合した原料チップを製造した。この原料のジカルボン酸成分中のイソフタル酸含量は22モル%であった。
ジカルボン酸成分としてイソフタル酸およびテレフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールをそれぞれ使用し、常法の溶融重縮合法で重合した原料チップを製造した。この原料のジカルボン酸成分中のイソフタル酸含量は22モル%であった。
<ポリエステル5>
ポリエステル4を製造する過程において平均粒径4.5μmのメタクリル酸アルキル−スチレン共重合体による有機粒子を10部含有させたポリエステルチップを製造した。
ポリエステル4を製造する過程において平均粒径4.5μmのメタクリル酸アルキル−スチレン共重合体による有機粒子を10部含有させたポリエステルチップを製造した。
実施例1:
ポリエステル4とポリエステル2を84:16の重量比率で配合し、押出機にて溶融させて、単層ダイに供給しフィルム状に押出して、35℃の冷却ドラム上にキャストして急冷固化した未延伸フィルムを作製した。次いで80℃の加熱ロールで予熱した後、赤外線加熱ヒーターと加熱ロールを併用して95℃のロール間で縦方向に3.2倍延伸した後にフィルム端部をクリップで把持してテンター内に導き、110℃の温度で加熱しつつ横方向に4.2倍延伸し、195℃で10秒間の熱処理をおこなうと同時に幅方向に10%弛緩を施して厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性は下記表1に示すとおりであった。この結果より、若干熱膨れ現象が観察されるものの、成型性、低光沢感に優れ界面剥離も発生しない結果が得られた。
ポリエステル4とポリエステル2を84:16の重量比率で配合し、押出機にて溶融させて、単層ダイに供給しフィルム状に押出して、35℃の冷却ドラム上にキャストして急冷固化した未延伸フィルムを作製した。次いで80℃の加熱ロールで予熱した後、赤外線加熱ヒーターと加熱ロールを併用して95℃のロール間で縦方向に3.2倍延伸した後にフィルム端部をクリップで把持してテンター内に導き、110℃の温度で加熱しつつ横方向に4.2倍延伸し、195℃で10秒間の熱処理をおこなうと同時に幅方向に10%弛緩を施して厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性は下記表1に示すとおりであった。この結果より、若干熱膨れ現象が観察されるものの、成型性、低光沢感に優れ界面剥離も発生しない結果が得られた。
実施例2:
実施例1において、195℃で10秒間の熱処理をおこなった後に170℃で幅方向に10%弛緩を施した以外は実施例1と同様にして厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。実施例1と比較して若干成型性に劣るものの使用上問題がない結果が得られた。
実施例1において、195℃で10秒間の熱処理をおこなった後に170℃で幅方向に10%弛緩を施した以外は実施例1と同様にして厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。実施例1と比較して若干成型性に劣るものの使用上問題がない結果が得られた。
実施例3:
実施例1において、ポリエステル原料の比率をポリエステル4:ポリエステル2:ポリエステル5=60:20:20にした以外は実施例1と同様にして厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。
実施例1において、ポリエステル原料の比率をポリエステル4:ポリエステル2:ポリエステル5=60:20:20にした以外は実施例1と同様にして厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。
実施例4:
実施例2において、ポリエステル原料の比率をポリエステル4:ポリエステル2=95:5にした以外は実施例2と同様にして厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。
実施例2において、ポリエステル原料の比率をポリエステル4:ポリエステル2=95:5にした以外は実施例2と同様にして厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。
比較例1:
実施例2において、ポリエステル原料の比率をポリエステル4:ポリエステル2:ポリエステル5=60:20:20にした以外は実施例2と同様にして厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムは成型性に劣り、深絞り成型用フィルムとしての実用に耐えないものであった。
実施例2において、ポリエステル原料の比率をポリエステル4:ポリエステル2:ポリエステル5=60:20:20にした以外は実施例2と同様にして厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムは成型性に劣り、深絞り成型用フィルムとしての実用に耐えないものであった。
比較例2:
実施例1において、ポリエステル原料の比率をポリエステル4:ポリエステル2:ポリエステル5=40:40:20にした以外は実施例1と同様にして厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムは成型性に劣り、深絞り成型用フィルムとしての実用に耐えないものであった。
実施例1において、ポリエステル原料の比率をポリエステル4:ポリエステル2:ポリエステル5=40:40:20にした以外は実施例1と同様にして厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムは成型性に劣り、深絞り成型用フィルムとしての実用に耐えないものであった。
比較例3:
実施例2において、ポリエステル原料の比率をポリエステル4:ポリエステル3=90:10にした以外は実施例2と同様にして厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムは低光沢感に劣るものであった。
実施例2において、ポリエステル原料の比率をポリエステル4:ポリエステル3=90:10にした以外は実施例2と同様にして厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムは低光沢感に劣るものであった。
比較例4:
ポリエステル4とポリエステル2を80:20の重合比率で配合し、押出機にて溶融させたものを多層ダイの表層(A層)、ポリエステル4とポリエステル1を80:20の重合比率で配合したものを多層ダイの内層(B)層とした多層ダイに供給し、フィルム状に押出して35℃の冷却ドラム上にキャストして急冷固化し未延伸フィルムを作製した。次いで80℃の加熱ロールで予熱した後、赤外線加熱ヒーターと加熱ロールを併用して85℃のロール間で縦方向に3.0倍延伸した後、フィルム端部をクリップで把持してテンター内に導き、100℃の温度で加熱しつつ横方向に3.5倍延伸し、195℃で10秒間の熱処理を施した後、170℃で幅方向に3%弛緩して厚み50μmの多層フィルムからなるポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みはA/B/A=5/40/5μmであった。得られたフィルムは成型性に劣り、また層間剥離も観察された。
ポリエステル4とポリエステル2を80:20の重合比率で配合し、押出機にて溶融させたものを多層ダイの表層(A層)、ポリエステル4とポリエステル1を80:20の重合比率で配合したものを多層ダイの内層(B)層とした多層ダイに供給し、フィルム状に押出して35℃の冷却ドラム上にキャストして急冷固化し未延伸フィルムを作製した。次いで80℃の加熱ロールで予熱した後、赤外線加熱ヒーターと加熱ロールを併用して85℃のロール間で縦方向に3.0倍延伸した後、フィルム端部をクリップで把持してテンター内に導き、100℃の温度で加熱しつつ横方向に3.5倍延伸し、195℃で10秒間の熱処理を施した後、170℃で幅方向に3%弛緩して厚み50μmの多層フィルムからなるポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みはA/B/A=5/40/5μmであった。得られたフィルムは成型性に劣り、また層間剥離も観察された。
本発明のフィルムは、例えば、電気製品や自動車部品などの曲面のある、やや形状が複雑な樹脂成型品の表面をマット調に装飾するために用いられる成型同時加飾シートの基材フィルムとして好適に利用することができる。
Claims (1)
- イソフタル酸単位を含む共重合ポリエステルからなるフィルムであり、100℃での引張試験における破断時伸び率のフィルム縦横の平均値が250%以上であり、フィルム表面の平均粗さ(Ra)が0.10〜0.50μmの範囲であることを特徴とする深絞り成型同時転写用二軸延伸ポリエテルフィルム。
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