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JP2012091695A - 車両用走行制御装置 - Google Patents

車両用走行制御装置 Download PDF

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JP2012091695A JP2010241186A JP2010241186A JP2012091695A JP 2012091695 A JP2012091695 A JP 2012091695A JP 2010241186 A JP2010241186 A JP 2010241186A JP 2010241186 A JP2010241186 A JP 2010241186A JP 2012091695 A JP2012091695 A JP 2012091695A
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Hiroshi Arita
寛志 有田
Yuya Kogure
祐也 小暮
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Nissan Motor Co Ltd
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  • Hybrid Electric Vehicles (AREA)
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  • Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)

Abstract

【課題】自動走行中のエンジン始動停止制御において、運転者に与える違和感を抑制すること。
【解決手段】駆動輪に駆動力を伝達する駆動源としてのエンジン及びモータと、設定した走行状態に自動調整するための目標駆動力を算出する自動走行手段と、前記目標駆動力を得るための要求トルク値と、当該要求トルク値について設定した第1しきい値とを比較するトルク値比較手段と、自車両の加速度が設定した範囲内にあり、かつ、前記要求トルク値が前記第1閾値を下回っている時間を計時する計時手段と、前記計時手段が計時した時間が設定した時間以上である場合に、前記エンジンの停止を許可するエンジン停止許可手段と、を備える。
【選択図】 図15

Description

本発明は、エンジン及びモータを駆動源とし、走行の状態に応じてエンジン及びモータの少なくとも一方を使用して走行するハイブリッド車両の車両用走行制御の技術に関する。
ハイブリッド車両の走行制御装置としては、例えば特許文献1に記載の速度維持制御装置がある。この特許文献1の速度維持制御装置では、目標車速に幅を持たせ、目標車速の上限値まではエンジンによって加速する。その後、エンジンを停止して目標車速の下限値まではコースト回生を行う。これにより、低燃費化を図るものである。
特開2005−160252号公報
しかしながら、特許文献1記載の技術においては、目標車速の上限値あるいは下限値と車速とを比較してエンジンの始動および停止を判定している。そのため、走行制御装置の制御が自動走行(クルーズ走行)に移行した後、例えば連続的な起伏がある走行路等においては、エンジンの停止および始動を短時間に繰り返すこととなる。そのため、運転者に違和感を与える可能性がある。
本発明の課題は、自動走行中のエンジン始動停止制御において、運転者に与える違和感を抑制することである。
上記課題を解決するために、本発明は、トルク値比較手段が、目標駆動力を得るための要求トルク値と、当該要求トルク値について設定した第1しきい値とを比較し、計時手段が、自車両の加速度が設定した範囲内にあり、かつ、要求トルク値が第1閾値を下回っている時間を計時する。そして、エンジン停止許可手段が、計時手段が計時した時間が設定した時間以上である場合に、エンジンの停止を許可する。
本発明によれば、自車両の加速度が設定した範囲内にあり、かつ、要求トルク値が第1閾値を下回っている時間が設定した時間以上となると、エンジンの停止を許可する。
そのため、自車両の加速度および要求トルク値の状態を加味して、エンジンの停止判定を適切に行うことができる。
したがって、自動走行中のエンジン始動停止制御において、運転者に与える違和感を抑制することが可能となる。
本発明の車両用走行制御装置を適用したハイブリッド車両の概要構成図である。 本実施形態に係るパワートレーンの制御システム(車両用走行制御装置)を説明する構成図である。 本実施形態に係る統合コントローラにおける基本的な信号の流れを示す図である。 本実施形態に係る統合コントローラの機能ブロックを示す図である。 本実施形態の動作に係るエンジン始動制御部、エンジン停止制御部の構成を説明するための機能ブロック図である。 目標駆動トルク演算部の機能ブロックである。 車両状態モードの遷移関係を示す図である。 車両状態モード決定部の機能ブロックである。 エンジン停止判定値演算部の動作を説明するためのフローチャートである。 停止判定値の概念を示す説明図である。 エンジン始動要求仮判定部の動作を説明するためのフローチャートである。 始動停止判定値と停止判定値に設けられたヒステリシスを示した図である。 定常走行判定カウンタ演算部の動作を説明するためのフローチャートである。 エンジン停止許可判定部の動作を説明するためのフローチャートである。 図11〜図13に示したフローチャートの動作による車両の挙動を説明するためのタイムチャートである。 クルーズエンジン始動停止演算部の動作を説明するためのフローチャートである。 エンジン始動停止要求演算部の動作を説明するためのフローチャートである。 本発明の一実施形態によって得られる効果1を説明するための図である。 本発明の一実施形態によって得られる効果1を説明するための他の図である。 本発明の一実施形態によって得られる効果2を説明するための図である。 本発明の一実施形態によって得られる効果2を説明するための他の図である。
次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の車両用走行制御装置を適用したハイブリッド車両の概要構成図である。図1に示すハイブリッド車両は後輪駆動の例であるが、前輪駆動であっても本発明は適用可能である。
(駆動系の構成)
まず駆動系(パワートレーン)の構成について説明する。
本実施形態のパワートレーンは、図1に示すように、エンジン1から左右後輪(駆動輪)までのトルク伝達経路の途中に、モータ2及び自動変速機AT(=トランスミッションT/M)を介装する。エンジン1とモータ3との間に、第1クラッチ4を介装する。また、モータ3と駆動輪(後輪)との間のトルク伝達経路に第2クラッチ5を介装する。この例では、第2クラッチ5は、自動変速機AT(=トランスミッションT/M)の一部を構成する。自動変速機ATは、プロペラシャフト、ディファレンシャルDF、及びドライブシャフトを介して駆動輪7(後輪)に接続する。
上記エンジン1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンである。エンジン1は、後述するエンジンコントローラ22からの制御指令に基づき、スロットルバルブのバルブ開度等が制御可能となっている。なお、エンジン1の出力軸に、フライホイールが設けられていても良い。
上記モータ2は、例えばロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルを巻き付けた同期型モータである。モータ2は、後述するモータコントローラ23からの制御指令に基づき、後述のインバータ8で作り出した三相交流を印加することで制御出来る。このモータ2は、後述のバッテリ9からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできる(この状態を「力行」と呼ぶ)。また、モータ2は、ロータが外力により回転している場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能してバッテリ9を充電することもできる(この動作状態を「回生」と呼ぶ)。このモータ2のロータは、図外のダンパーを介して自動変速機ATの入力軸に連結する。
上記第1クラッチ4は、上記エンジン1とモータ2との間に介装された油圧式単板クラッチである。上記第1クラッチ4は、後述するATコントローラ24からの制御指令に基づいて、入力した目標クラッチ伝達トルクとなるように、第1クラッチ油圧ユニットが作り出した制御油圧により、締結状態若しくは開放状態となる。なお、締結・開放には、滑り締結と滑り開放を含む。
上記第2クラッチ5は、油圧式多板クラッチである。上記第2クラッチ5は、後述するATコントローラ24からの制御指令に基づき、目標クラッチ伝達トルクとなるように、第2クラッチ油圧ユニットで作り出した制御油圧により、締結状態若しくは開放状態となる。なお、締結・開放には、滑り締結と滑り開放を含む。
上記自動変速機ATは、例えば、前進7速後退1速や前進6速後退1速等の有段階の変速比を、車速や後述の統合コントローラ21から入力した変速用アクセル開度等に応じて自動的に切り換える変速機である。ここで、上記第2クラッチ5は、専用クラッチとして新たに追加したものではなく、自動変速機ATの各変速段にて締結される複数の摩擦締結要素のうち、いくつかの摩擦締結要素を流用して構成する。
ここで、本実施形態では、第2クラッチ5を自動変速機AT(=トランスミッションT/M)の一部として構成する場合を例示しているが、これに限定されない。第2クラッチ5は、モータ2と自動変速機ATとの間、若しくは自動変速機ATとディファレンシャル・ギヤDFとの間に配置する構成であっても良い。
また、各輪には、それぞれブレーキユニット(不図示)を備える。各ブレーキユニットは、例えばディスクブレーキやドラムブレーキからなる。各ブレーキユニットは、油圧ブレーキ装置であっても、電動ブレーキ装置であっても良い。各ブレーキユニットは、ブレーキコントローラ25からの指令に応じて、対応する車輪に制動力を付与する。なお、ブレーキユニットは、全ての車輪に設ける必要はない。
また、図1中、符号14は電動サブオイルポンプを示し、符号15は機械式オイルポンプを示す。これらのオイルポンプ14,15は、各クラッチのための油圧を発生する。また、符号10は、エンジン1の回転数を検出するエンジン回転センサを、符号11は、モータ2の回転を検出するレゾルバ等のモータ回転センサを示す。また、符号12は、変速機の入力軸の回転を検出するAT入力回転センサを、符号13は、変速機の出力軸の回転を検出するAT出力回転センサを示す。また、符号27は、車輪の回転を検出する車輪速センサを示す。車輪速センサ27は、不図示の従動輪(前輪)にも設けてもよい。
図2は、図1に示したパワートレーンの制御システム(車両用走行制御装置)を説明する構成図である。
符号33は運転者によって操作されるアクセルペダル33である。このアクセルペダル33のアクセル開度APOは、アクセルセンサ20によって検出され、アクセルセンサ20は、検出したアクセル開度APO情報を統合コントローラ21に出力する。
また、符号34はペダルアクチュエータ34である。ペダルアクチュエータ34は、車間制御コントローラ31からの指令に応じたペダル反力をアクセルペダル33に付与するアクチュエータである。
また符号32は、先行車検出手段を構成するレーダーユニット32である。レーダーユニット32は、車両前方の先行車両を検出し、検出した先行車両情報を車間制御コントローラ31に出力する。
また符号27は車輪速センサである。車輪速センサ27は、検出した車輪速情報をブレーキコントローラ25に出力する。また、車輪速情報から求まる車速情報は、ブレーキコントローラ25から統合コントローラ21及び車間制御コントローラ31に出力される。
また符号35は、運転者に走行状態を提示するためのメータである。メータ35は、オートクルーズの情報などを表示する。
また符号29はブレーキスイッチである。ブレーキスイッチ29は、ブレーキペダル(不図示)の操作を検出する。
符号28は、ステアリングスイッチである。ステアリングスイッチ28は、自動走行制御であるオートクルーズ走行の起動や走行条件(目標車速等)の変更指示を運転者が行うための操作子である。ここで、本実施形態のクルーズ走行は、定速走行制御(定速クルーズ)及び車間制御(車間クルーズ)の両方を含む。
符号30は、ブレーキペダルに設けられたクルーズキャンセルスイッチである。クルーズキャンセルスイッチ30は、自動走行制御であるオートクルーズ走行の終了を指示するための操作子である。なお、上記ステアリングスイッチ28にもオートクルーズの終了するスイッチが存在する。このスイッチも含めクルーズキャンセルスイッチ30と呼ぶ。
符号18はバッテリ9の電圧を検出する電圧センサである。符号19はバッテリ9の電流を検出する電流センサである。
次に、ハイブリッド車両の制御系の構成について説明する。
上記ハイブリッド車両の制御系は、図2に示すように、エンジンコントローラ22と、モータコントローラ23と、インバータ8と、バッテリコントローラ26と、ATコントローラ24と、ブレーキコントローラ25と、統合コントローラ21と、を有する。また、本実施形態のハイブリッド車両の制御系は、車間制御コントローラ31を有する。
なお、エンジンコントローラ22と、モータコントローラ23と、ATコントローラ24と、ATコントローラ24と、ブレーキコントローラ25と、車間制御コントローラ31と、統合コントローラ21とは、互いに情報交換が可能なCAN通信線(不図示)を介して接続する。
上記エンジンコントローラ22は、エンジン回転数センサ10からのエンジン回転数情報を入力する。そして、上記エンジンコントローラ22は、統合コントローラ21からの目標エンジントルク等に応じ、エンジン動作点(Ne、Te)を制御する指令を、例えば、図外のスロットルバルブアクチュエータへ出力する。なお、エンジン回転数Neの情報は、CAN通信線を介して統合コントローラ21から取得する。
上記モータコントローラ23は、モータ2のロータ回転位置を検出するモータ回転センサ11からの情報を入力する。そして、上記モータコントローラ23は、統合コントローラ21からの目標モータトルクや回転数指令等に応じ、モータ2のモータ動作点(Nm、Tm)を制御する指令をインバータ8へ出力する。
バッテリコントローラ26は、バッテリ9の充電状態をあらわすバッテリSOCを監視している。バッテリコントローラ26は、バッテリSOC情報を、モータ2の制御情報等として、CAN通信線を介して統合コントローラ21へ供給する。
上記ATコントローラ24は、車輪情報と第1及び第2クラッチ油圧センサからのセンサ情報を入力する。そして、上記ATコントローラ24は、統合コントローラ21からのアクセル開度APO状態、第1及び第2クラッチ制御指令(目標第1クラッチトルク、目標第2クラッチトルク)に応じ、変速制御における第2クラッチ制御に優先し、第2クラッチ5の締結・開放を制御する指令をAT油圧コントロールバルブ内の第2クラッチ油圧ユニットに出力すると共に、第1クラッチ4の締結・開放を制御する指令を第1クラッチ油圧ユニット(不図示)に出力する。
上記ブレーキコントローラ25は、4輪の各車輪速を検出する車輪速センサ27とブレーキストロークセンサからのセンサ情報を入力する。上記ブレーキコントローラ25は、予め設定した制御サイクルで、ブレーキペダルのストローク量や車間制御コントローラ31などからの制動要求量、車速に基づき目標減速度を演算する。そして、ブレーキコントローラ25は、回生協調ブレーキ制御として、目標減速度を回転制動力としての協調回生ブレーキ要求トルク及び機械制動力(油圧制動力)としての目標油圧制動力に制動力配分を行う。そして、協調回生ブレーキ要求トルクを統合コントローラ21のモータコントローラ23に出力する。目標油圧制動力を、油圧制動力装置に出力する。例えば、上記ブレーキコントローラ25は、ブレーキ踏み込み制動時のブレーキストロークBS等から求められる要求制動力に対し、回生制動力だけでは不足する場合、回生協調ブレーキ制御を行う。そして、その不足分を機械制動力(液圧制動力やモータ2制動力)で補うように、統合コントローラ21からの回生協調制御指令に基づいて回生協調ブレーキ制御を行う。
また、車間制御コントローラ31は、運転者が設定したステアリングスイッチ28の情報、クルーズ制御作動許可状態、その他の必要情報を、統合コントローラ21から入力する。そして、車間制御コントローラ31は、統合コントローラ21からの情報に基づき、先行車に対する車間制御を実施すると判定すると、自車速、レーダーユニット32の検出に基づく先行車両の情報(車間距離や相対速度など)等に基づき、先行車に対して目標車間距離や目標車間時間とするための目標加速度及び目標減速度を演算する。そして、車間制御コントローラ31は、求めた目標加速度を車間クルーズ要求トルク(ACC要求トルク)として統合コントローラ21に出力する。また、車間制御コントローラ31は、求めた目標減速度を制動要求トルクとしてブレーキコントローラ25に出力する。
また、車間制御コントローラ31は、DCA制御(Distance Control Assist)部31Aを有する。DCA制御部31Aは、統合コントローラ21から受信するアクセル開度APO情報と、車輪速センサ27の検出に基づく車速情報、レーダーユニット32からの情報に基づきペダル反力指令を演算する。そして、DCA制御部31Aは、先行車との車間を保つ為の運転者への支援情報として、演算した反力指令をペダルアクチュエータ34に出力する。ペダルアクチュエータ34は、入力したアクセルペダル33に反力を付与する。
上記統合コントローラ21は、車両全体の消費エネルギーを管理し、最高効率で車両を走らせるための機能を担うものである。
上記統合コントローラ21は、エンジン回転数Neを検出するエンジン回転数センサ10、モータ回転数Nmを検出するモータ回転センサ11、変速機入力回転数を検出するAT入力回転センサ12、変速機出力回転数を検出するAT出力回転センサ13からの情報を入力する。また、統合コントローラ21は、アクセルセンサ20からアクセル開度APO情報、バッテリコントローラ26からバッテリ9の蓄電状態SOCの情報を入力する。また、上記統合コントローラ21は、CAN通信線を介して取得した情報を出力する。
また、上記統合コントローラ21は、上記エンジンコントローラ22への制御指令によりエンジン1の動作制御を実行する。上記統合コントローラ21は、上記モータコントローラ23への制御指令によりモータ2の動作制御を実行する。上記統合コントローラ21は、上記ATコントローラ24への制御指令により第1クラッチ4の締結・開放制御を実行する。上記統合コントローラ21は、上記ATコントローラ24への制御指令により第2クラッチ5の締結・開放制御を実行する。
ここで、本実施形態のハイブリッド車両における基本動作モードについて説明する。
車両停止中において、バッテリSOCの低下時であれば、エンジン1を始動して発電を行い、バッテリ9を充電する。そして、バッテリSOCが通常範囲になれば、第1クラッチ4は締結で第2クラッチ5は開放のままでエンジン1を停止する。
エンジン1による発進時には、アクセル開度APOとバッテリSOC状態によって、モータ2を連れ回し、力行/発電に切り替える。
モータ走行(EVモード)は、エンジン始動に必要なモータトルクとバッテリ出力を確保し、不足する場合はエンジン走行に移行する。また、予め設定したマップ等に基づき予め設定した所定車速以上となると、モータ走行(EVモード)からエンジン走行(HEVモード)に移行する。またエンジン走行時において、アクセル踏み込み時のレスポンス向上のために、エンジントルク遅れ分をモータ2によりアシストする。すなわち、エンジン走行中は、エンジン1の動力だけ、若しくはエンジン1及びモータ2の動力の両方で走行するモードが存在する。
ブレーキON減速時には、運転者のブレーキ操作に応じた減速力を回生協調ブレーキ制御にて得る。
エンジン走行やモータ走行中における変速時には、加減速中の変速に伴う回転数合わせのために、モータ2を回生/力行させ、トルクコンバータ無しでのスムーズな変速を行う。
図3は、本実施形態の統合コントローラ21の制御における基本的な指令値の基本的な流れを示す概要構成図を例示するものである。また、図4は本実施形態の統合コントローラ21の制御を機能的に説明する機能ブロック図である。
次に、統合コントローラ21にて実行する制駆動制御処理における、本発明に関わる部分について説明する。
統合コントローラ21は、図4に示すように、要求発電トルク演算部21A、要求エンジントルク演算部21B、モータ出力可能トルク演算部21C、目標駆動トルク演算部21D、車両状態モード決定部21E、エンジン始動制御部21F、エンジン停止制御部21G、目標エンジントルク算出部21H、目標モータトルク算出部21J、目標クラッチトルク算出部21Kを備える。
要求発電トルク演算部21Aは、車速情報やバッテリコントローラ26からのSOCなどのバッテリ情報などに基づき、モータ2で発電すべき要求発電トルクを演算する。
要求エンジントルク演算部21Bは、車速などの走行状態や要求発電トルク演算部21Aが演算した要求発電トルク等に基づき、エンジン1で発生すべき要求エンジントルクを演算する。
モータ出力可能トルク演算部21Cは、バッテリコントローラ26からのSOCなどのバッテリ情報や、車速などに基づき、モータ2が出力可能なモータ出力可能トルクを演算する。
目標駆動トルク演算部21Dは、目標とする目標駆動トルクを演算する。目標駆動トルク演算部21Dは、ドライバ要求トルク演算部、自動制御要求トルク演算部を備える。ドライバ要求トルク演算部は、運転者の操作するアクセルペダル33の操作量(アクセル開度APO)に基づき、運転者が要求していると推定するドライバ要求トルクを演算する。また、自動制御要求トルク演算部は、自動走行制御スイッチであるステアリングスイッチの操作によって作動し、クルーズキャンセルスイッチ30の操作による終了まで、運転者が予め設定した走行条件(設定車速)の走行状態に自動調整するための自動制御要求トルクを演算する。そして、目標駆動トルク演算部21Dは、ドライバ要求トルク演算部が演算したドライバ要求トルクと自動制御要求トルク演算部が演算した自動制御要求トルクとに基づき、目標駆動トルクを演算する。
図5は、本実施形態の動作に係るエンジン始動制御部21F、エンジン停止制御部21Gの構成を説明するための機能ブロック図である。図5に示したように、エンジン始動制御部21Fは、エンジン始動要求仮判定部21Faを備えている。また、エンジン停止制御部21Gは、定常走行判定カウンタ演算部21Ga、エンジン停止許可判定部21Gb、クルーズエンジン始動停止演算部21Gc、エンジン始動停止要求演算部21Gd、エンジン停止判定値演算部21Geを備えている。
エンジン始動要求仮判定部21Faは、クルーズ要求トルクと始動判定値及び停止判定値とを比較してトルク要求エンジン始動要求仮フラグをON、またはOFFする構成である。定常走行判定カウンタ演算部21Gaは、トルク要求エンジン始動要求仮フラグと加速度とによって定常走行判定カウンタを加算又は減算、あるいは初期化する構成である。エンジン停止許可判定部21Gbは、定常走行判定の結果を考慮して、トルク要求エンジン始動要求仮フラグのトルク要求による始動要求を確定する構成である。クルーズエンジン始動停止演算部21Gcは、確定されたトルク要求による始動要求に基づいて、クルーズ始動要求を生成する構成である。エンジン始動停止要求演算部21Gdは、複数の始動要求からエンジンを始動するか否か判定する構成である。エンジン停止判定値演算部21Geは、車速に応じてエンジン1の停止判定値(要求トルクに対する停止判定閾値)を算出する構成である。以上の構成によって行われる処理の具体的な内容は後述する。
本実施形態の目標駆動トルク演算部21Dは、図6に示すように、ドライバ要求トルク演算部21Da、自動制御要求トルク演算部21Db、第1目標駆動トルク演算部21Dc、車速リミッタトルク演算部21Dd、最終目標駆動トルク演算部21Deを備える。
ドライバ要求トルク演算部21Daは、少なくともアクセルペダル33のアクセル開度APO情報及び車速に基づき、ドライバ要求トルクを演算する。ドライバ要求トルク演算部21Daは、図3に示す例では、アクセル開度APO及び変速機入力回転数を入力し、ベーストルクマップを参照して基本ドライバ要求トルクを演算する。また、車速に基づき、クリープ・コースト駆動力テーブルを参照して第1の補正トルクを演算する。また、アクセル開度APO情報、変速機入力回転数、SOC等に基づく電力制限情報に基づき、MGアシストトルクMAPを参照して、第2の補正トルクを算出する。そして、ドライバ要求トルク演算部21Daは、演算した基本ドライバ要求トルク、第1の補正トルク、第2の補正トルクに基づき、最終的なドライバ要求トルクを求める。
自動制御要求トルク演算部21Dbは、ステアリングスイッチ28及びACC許可信号を車間制御コントローラ31に出力すると共に、該車間制御コントローラ31から車間クルーズ要求トルク(ACC要求トルク)を入力する。また、自動制御要求トルク演算部21Dbは、ステアリングリングSWによって設定された設定車速及び現在の車速に基づき、設定車速にフィードバック制御するためのクルーズ要求トルクを演算する。そして、自動制御要求トルクは、ACC作動(車間制御の作動)の有無に応じて、車間クルーズ要求トルク(ACC要求トルク)若しくはクルーズ要求トルクの一方を自動制御要求トルクとして選択する。ここでは、ACC作動時には、クルーズ要求トルクよりも車間クルーズ要求トルクを優先して選択するように処理する。
第1目標駆動トルク演算部21Dcは、ドライバ要求トルク演算部21Daが演算したドライバ要求トルクと、自動制御要求トルク演算部21Dbが演算した自動制御要求トルクのセレクトハイを実施して、大きい方を第1目標駆動トルクとして選択して出力する。
車速リミッタトルク演算部21Ddは、ステアリングスイッチ28によって設定される設定車速及び現在の車速に基づき、上限の車速以下とするための車速リミッタトルクを演算する。
最終目標駆動トルク演算部21Deは、第1目標駆動トルク演算部21Dcが出力する第1目標駆動トルクと、車速リミッタトルク演算部21Ddが演算した車速リミッタトルクとのセレクトローを実施する。すなわち、第1目標駆動トルクを車速リミッタトルクで制限して、目標駆動トルクを求める。
車両状態モード決定部21Eは、アクセル開度APO、車速情報(又は変速機出力回転数)、モータ出力可能トルク、要求エンジントルク、及び目標駆動トルクに基づき、車両状態モード領域マップ(EV−HEV遷移マップ)などを参照して、目標とする目標車両状態モード(EVモード、HEVモード)を決定する。たとえば、車両制駆動制御のための目標駆動トルクに、エンジン1の始動に必要なクランキングトルクを加えたトルクが、モータ2が出力可能なトルクを下回ると、HEVモードからEVモードに運転モードが遷移する。また、バッテリ充電等の要求などによって要求エンジントルクがある場合には、目標とする目標車両状態モードをHEVモードとする。そして、現在の車両状態モードがEVモードであり、目標車両状態モードがHEVモードである場合には、エンジン始動シーケンスの処理を行う。また、現在の車両状態モードがHEVモードであり、目標車両状態モードがEVモードである場合には、エンジン停止シーケンスの処理を行う。
ここで、車両状態モードとしては、図7に示すように、HEVモード、EVモード、遷移時のモードである、エンジン停止シーケンス及びエンジン始動シーケンスのモードを備える。HEVモードは、少なくともエンジン1を駆動源として走行する車両状態モードである。エンジン停止シーケンスのモードは、HEVモードからEVモードに移行する際の遷移時の車両状態モードである。エンジン始動シーケンスのモードは、EVモードからHEVモードに移行する際の遷移時の車両状態モードである。そして、現在の車両状態モードと目標車両状態モードとが同じ場合には、前回の状態モードを保持する。例えば、現在の車両状態モードがEVモードで目標車両状態モードもEVモードの場合には、車両状態モードをEVモードとする。現在の車両状態モードがHEVモードで目標車両状態モードもHEVモードの場合には、車両状態モードをHEVモードとする。一方、現在の車両状態モードがEVモードで、目標車両状態モードがHEVモードの場合、若しくは現在の車両状態モードがHEVモードで、目標車両状態モードがEVモードの場合、遷移モードとして、エンジン1の停止若しくは始動の処理が完了するまでは、エンジン停止シーケンスのモード若しくはエンジン始動シーケンスのモードとなる。
本実施形態における車両状態モード決定部21Eは、図8に示すように、エンジン始動判定処理部21Ea及びエンジン停止判定処理部21Ebを備える。
次に、本実施形態の車両用走行制御装置の動作を説明する。なお、以下に説明する動作は、図4に示したエンジン始動制御部21F、エンジン停止制御部21Gが実行する。
図9は、図5に示したエンジン停止判定値演算部21Geが実行する本実施形態の車両用走行制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。エンジン停止判定値演算部21Geは、予め保持しているマップ(図10(b)参照)を参照して車速に対するエンジン停止判定のためのマージントルクを取得し、エンジン1の停止判定値を算出する(ステップS701)。このとき、エンジン停止判定値演算部21Geは、(停止判定値)=(始動判定値)−(エンジン停止判定のためのマージントルク)として、停止判定値を算出する。そして、エンジン停止判定値演算部21Geは、算出した停止判定値を記憶する(ステップS702)。
図10は、停止判定値の概念を示す説明図であり、図10(a)は車速と走行抵抗との関係を示す図、図10(b)は車速と停止判定マージントルクとの関係を定義したマップを示す図、図10(c)は車速と停止判定値との関係を示す図である。
図10に示すように、走行抵抗は車速によって変化するため、それに応じたエンジン停止判定のためのマージントルクが設定してある。一定値である始動判定値から停止判定のためのマージントルクを減じることにより、停止判定値を得る。即ち、停止判定値は、車速に応じて決定するものである。
図11は、図5に示したエンジン始動要求仮判定部21Faが実行する本実施形態の車両用走行制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。エンジン始動要求仮判定部21Faは、車両状態モード決定部21Eを介して目標駆動トルク演算部21Dからクルーズ要求トルクを入力する(ステップS801)。そして、クルーズ要求トルクを始動判定値と比較し、クルーズ要求トルクが始動判定値以上であれば(ステップS801:Yes)、トルク要求エンジン始動要求仮フラグを「ON」する(ステップS802)。なお、トルク要求エンジン始動要求仮フラグはエンジンの始動要求の有無を示すための仮のフラグであって、確定的な要求を示すものではない。エンジン始動要求の確定は、さらに後段の処理において他の要求を加味して行う。
ステップS801において、クルーズ要求トルクが始動判定値より小さいと判断すると(ステップS801:No)、エンジン停止制御部21Gは、クルーズ要求トルクが停止判定値より小さいか否か判断する(ステップS803)。クルーズ要求トルクが停止判定値より小さい場合(ステップS803:Yes)、エンジン停止制御部21Gはトルク要求エンジン始動要求仮フラグをOFFする(ステップS804)。また、ステップS803においてクルーズ要求トルクが停止判定値以上であると判断すると、エンジン始動要求仮判定部21Faは、トルク要求エンジン始動要求仮フラグを直前の状態(ONまたはOFF)とする(ステップS805)。
ステップS802、S804,S805の後、エンジン停止制御部21Gは、設定したトルク要求エンジン始動要求仮フラグを記憶する(ステップS806)。
以上の動作において、図12(a)、(b)に示すように、始動判定値と停止判定値にはヒステリシスが設けてある。
図13は、図5に示した定常走行判定カウンタ演算部21Gaが実行する本実施形態の車両用走行制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。定常走行判定カウンタ演算部21Gaは、エンジン始動要求仮判定部21Faによって決定したトルク要求エンジン始動要求仮フラグ及び加速度の絶対値を基に、以下の3つの条件(条件Aとする)の全てが成立するか否か判断する(ステップS811)。
(a) クルーズ制御中
(b) トルク要求エンジン始動要求仮フラグOFF
(c) 車両状態モード:エンジン運転(HEV)
ここで、クルーズ制御中とは、自動走行制御が起動していることを指す。トルク要求エンジン始動要求仮フラグOFFとは、図11に示したフローチャートのステップS805においてトルク要求エンジン始動要求仮フラグがOFFとなっていることを示す。エンジン運転(HEV)とは、車両がエンジンを使って走行している状態であることを指す。車両がエンジン運転(HEV)で走行中であるか否かは、図3に示した「システム状態等」に含まれる情報としてエンジン停止制御部21Gに入力される。
ステップS811において、条件Aが全て成立すると判断すると(ステップS811:Yes)、定常走行判定カウンタ演算部21Gaは、加速度の絶対値を判定値1と比較する(ステップS812)。なお、加速度は、車両の速度を微分して求めたもので、加速度の情報も図3に示した「システム状態等」に含む情報としてエンジン停止制御部21Gに入力する。加速度の絶対値は判定値1以下であった場合(ステップS812:Yes)、定常走行判定カウンタ演算部21Gaは、車両が大きく加減速することなくエンジンを使うことが可能な状態で走行(以下、定常走行とも記す)しているとみなし、定常走行判定カウンタを加算する(ステップS813)。
ステップS812において、加速度の絶対値が判定値1より大きいと判断すると(ステップS812:No)、定常走行判定カウンタ演算部21Gaは、定常走行判定カウンタを減算する(ステップS814)。加速度の絶対値が判定値1より大きい場合、車両が以下の状態にあると推測できる。
(a) 運転者が車両を加速または減速する操作を行う意思がある。このような場合に、コースト操作も該当する。
(b) 車両の加速度が過渡的に変化する途中で加速度が一時的に判定値1以内になった。
(c) 走行路の勾配の変化等によって加速度の変化が生じた。
上記した(c)の場合、上り勾配でも車速度を一定に維持できる場合には加速度は判定値1以内になって定常走行カウントを加算する場合もある。上り勾配が大きい場合、トルク要求エンジン始動要求仮フラグがONになるため、エンジンの停止は起こらない。勾配が大きくて車速度が一定に維持できない場合、負の加速度が働いて、この絶対値が判定値1より大きくなることがある。
また、下り勾配にあっても、車速度を一定に維持できる場合には加速度は判定値1以内になって定常走行カウントを加算する場合もある。下り勾配が大きくてコーストトルクが不足し、加速度が判定値1より大きくなった場合、すなわちエンジンフリクションでコーストトルクを補う必要がある。このため、本実施形態では、定常走行判定カウンタを減算することによってエンジンを停止し難くする。
ステップS811において、条件Aが全て成立してはいないと判断すると(ステップS811:No)、定常走行判定カウンタ演算部21Gaは、定常走行判定カウンタをゼロに設定する(ステップS815)。
ステップS813〜S815の後、定常走行判定カウンタ演算部21Gaは、定常走行判定カウンタの値を記憶する(ステップS816)。
図14は、図5に示したエンジン停止許可判定部21Gbが実行する本実施形態の車両用走行制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。エンジン停止許可判定部21Gbは、図11に示したフローチャートによって得たトルク要求エンジン始動要求仮フラグと、図13に示したフローチャートによって得た定常走行判定カウンタのカウント値を入力する。そして、トルク要求エンジン始動要求仮フラグがONであるか否か判断する(ステップS822)。ステップS822において、トルク要求エンジン始動要求仮フラグがONであると判断すると(ステップS822:Yes)、トルク要求エンジン始動要求フラグをONにする(ステップS823)。
一方、ステップS822において、トルク要求エンジン始動要求仮フラグがONでないと判断すると(ステップS822:No)、エンジン停止許可判定部21Gbは、定常走行判定カウンタのカウント値が停止判定値以上であるか否か判断し(ステップS824)、停止判定値以上であれば(ステップS824:Yes)、トルク要求エンジン始動要求フラグをOFFする。また、ステップS824の判断で、定常走行判定カウンタのカウント値が停止判定値以上でないと判断すると(ステップS824:No)、エンジン停止許可判定部21Gbはトルク要求エンジン始動要求フラグを前回の状態に維持する(ステップS826)。
ステップS823、S825,S826の後、エンジン停止許可判定部21Gbは、トルク要求エンジン始動要求フラグを記憶する(ステップS827)。
図15(a)〜(e)は、図11〜図13のフローチャートの動作による車両の挙動を説明するためのタイムチャートである。図15(a)は、車両の要求トルクを示し、(b)は要求トルクと始動判定値、停止判定値との関係によって決定するトルク要求エンジン始動要求仮フラグのON、OFFタイミングを示す。また、12(c)は、車両速度を微分して得られる加速度であり、(d)は停止許可カウンタのカウント値、(e)は定常走行の判定に基づくエンジン停止許可判定のタイミングを示している。
図15によれば、要求トルクが停止判定値を下回ったとき(図15(a))、図5に示したエンジン始動要求仮判定部21Faが、トルク要求エンジン始動要求仮フラグをOFFする(図15(b))。このとき、車両の加速度が判定値1以内にある時間が停止許可判定時間継続すると(図15(c))、図5に示したエンジン停止許可判定部21Gbは、車両が定常走行しているとしてエンジン停止を許可する(図15(e))。なお、本実施形態では、定常走行判定カウンタ演算部21Gaが、停止許可判定時間を停止許可カウンタによって計測しており、停止許可カウンタの値が所定のしきい値に達したことによって定常走行が所定の時間継続したと判断する。
図16は、図5に示したクルーズエンジン始動停止演算部21Gcが実行する本実施形態の車両用走行制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。クルーズエンジン始動停止演算部21Gcは、図14のフローチャートに示した動作によって得たトルク要求エンジン始動要求を入力する。そして、車両をクルーズ走行するように制御している状態(クルーズ制御中)であるか否かを判断する(ステップS831)。クルーズ制御中であると判断すると(ステップS831:Yes)、クルーズエンジン始動停止演算部21Gcは、続いてトルク要求エンジン始動要求フラグがONであるか否か判断する(ステップS832)。
クルーズ制御中であって、かつ、トルク要求エンジン始動要求フラグがONである場合(ステップS832:Yes)、クルーズエンジン始動停止演算部21Gcは、エンジン始動要求フラグをONする(ステップS833)。また、ステップS832において、トルク要求エンジン始動要求フラグがONでないと判断すると(ステップS832:No)、クルーズエンジン始動停止演算部21Gcは、他の条件によるエンジン始動要求フラグがONであるか否か判断する(ステップS834)。
ステップS834では、他の条件の種別や組み合わせ等を考慮してエンジン始動要求フラグをON(ステップS834:Yes、ステップS835)、またはOFFする(ステップS834:No、ステップS836)。本フローチャートにおいて、トルク要求によるエンジン始動の優先度は、他の条件によるエンジン始動要求より先に要求の有無を判定することから、高い優先度となっている。
なお、ステップS831で車両がクルーズ制御中でないと判断すると(ステップS831:No)、クルーズエンジン始動停止演算部21Gcはエンジン始動要求フラグをOFFする(ステップS837)。
ステップS833,S835〜S837の後、クルーズエンジン始動停止演算部21Gcは、エンジン始動要求フラグを記憶する(ステップS838)。
図17は、図5に示したエンジン始動停止要求演算部21Gdが実行する本実施形態の車両用走行制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。エンジン始動停止要求演算部21Gdは、図16のフローチャートに示した動作によって得たクルーズエンジン始動要求を入力する。そして、入力したエンジン始動要求が、以下の(a)〜(c)のいずれかに該当するか否か判断する(ステップS841)。
(a)アクセルによるエンジン始動要求
(b)システムによるエンジン始動要求
(c)クルーズによる始動要求
エンジン始動要求が上記(a)〜(c)のいずれかに該当する場合(ステップS841:Yes)、エンジン始動停止要求演算部21Gdは、エンジン始動要求フラグをONする(ステップS842)。エンジン始動要求フラグのONにより、車両にエンジン始動要求を指令する(ステップS843)。また、エンジン始動要求が上記(a)〜(c)のいずれにも該当しない場合(ステップS841:No)、エンジン始動停止要求演算部21Gdは、エンジン始動要求フラグをOFFする。以上の結果により、車両は状態遷移モード制御に移行する(ステップS845)。
(動作)
次に、本実施形態に係るハイブリッド車両の動作を説明する。
本発明に係る車両用走行制御装置は、ハイブリッド車両がクルーズ走行中に作動する。
クルーズ走行中において、クルーズ要求トルクが停止判定値を下回った場合、トルク要求エンジン始動要求仮フラグがOFFとなり、条件Aが成立していると、加速度の絶対値が判定値1以下であるか否かの判定を行う。
加速度の絶対値が判定値1以下であると、その継続時間をカウントし定常走行判定カウンタとして記憶する。
そして、トルク要求エンジン始動要求仮フラグがOFFで定常走行判定カウンタのカウント値が停止判定値以上であるときに、トルク要求エンジン始動要求フラグがOFFとなる。
そして、他の条件によってエンジン始動要求が発生していなければ、最終的なエンジン始動要求フラグをOFFとする。
これにより、クルーズ走行中に、要求トルクが停止判定値を下回り、加速度(絶対値)が判定値1以下の時間が設定時間(停止判定値)だけ継続したことに対応して、エンジン1を停止することとなる。
次に、以上説明した本実施形態の車両用走行制御装置によって得られる効果を説明する。
・効果1
図18、図19は、本実施形態によって得られる効果1を説明するための図であって、図18は本発明を適用しない場合の比較例、図19は本実施形態の効果を示している。図18(a)は車速を示し、図18(b)は走行路の勾配を示している。図18(c)は車両の速度を微分して得た加速度を示し、図18(d)は要求トルクを始動判定値と停止判定値と比較して示している。図18(e)は、エンジン始動要求が発生するタイミングを示している。
また、図19(a)は車速度を示し、図19(b)は走行路の勾配を示している。図19(c)は加速度、図19(d)は要求トルク、図19(e)はエンジン始動要求のタイミングを示している。さらに、図19(f)は、図5に示した定常走行判定カウンタ演算部21Gaのカウント値を示している。
本実施形態の車両用走行制御装置を適用しない場合、図18に示したように、走行路の勾配のわずかな変化によってエンジン始動停止を行っている。このような動作は、燃費を優先するためにアクセルがOFFとなると速やかにエンジンを停止させるために行うものである。しかし、このように頻繁にエンジン始動停止を行うと、コースト減速終了後のエンジン始動時に運転者にショックが加わって違和感を与えることになる。
一方、図19に示した本実施形態の制御によれば、要求トルクが停止判定値を下回った場合にも(図19(d))、要求トルクが停止判定値を下回った期間を、図5に示した定常走行判定カウンタ演算部21Gaでカウントすることによって計測する。そして、定常走行判定カウンタ演算部21Gaのカウント値が停止許可判定時間に相当する回数に達すると(図14(f))、エンジン始動を停止する。このため、本実施形態では、エンジン始動後に運転者にショックが加わる回数を減らすことができる。
・効果2
図20、図21は、本実施形態によって得られる効果2を説明するための図であって、図20は本実施形態において加速度を考慮しない場合の比較例、図19は加速度を考慮した場合の効果を示している。図20(a)はコーストSW(スイッチ)のON、OFFタイミングを示し、図20(b)は車速を示している。図20(c)は要求トルクを始動判定値と停止判定値と比較して示し、図20(d)は車両の速度を微分して得られる加速度を示し、図20(e)は、エンジン始動要求が発生するタイミングを示している。図20(f)は、図5に示した定常走行判定カウンタ演算部21Gaのカウント値を示している。
また、図21(a)はコーストSW(スイッチ)のON、OFFタイミングを示し、図21(b)は車速度を示している。図21(c)は要求トルクを始動判定値と停止判定値と比較して示し、図21(d)は車両の加速度を示し、図21(e)は、エンジン始動要求が発生するタイミングを示している。図21(f)は、図5に示した定常走行判定カウンタ演算部21Gaのカウント値を示し、図21(g)は定常走行の判定に基づくエンジン停止許可のタイミングを示している。
図20に示したように、車両の要求トルクを停止判定値と比較し、要求トルクが停止判定値を下回った期間が停止許可判定時間に達したことによってエンジン始動停止を判定すると、コーストSWの操作や一時的なコースト減速等によってエンジンの停止が起こる。そして、エンジン停止後のコースト減速終了時、車両に加速度が加わって(図20(d))、エンジンの再始動が生じる場合がある(図20(e))。なお、コーストSWを使わない通常制御の場合、アクセルをOFFしてコースト減速し、アクセルをONして定常走行を再開しても、アクセルに連動した加速であるから運転者に与える違和感は小さなものになる。
一方、図21に示したように、車両の要求トルク、要求トルクが停止判定値を下回った期間に加え、車両に加わった加速度を使ってエンジン始動停止を判定すると、車両の減速によって車両に判定値1(図11)以上の加速度が加わるため、定常走行判定カウンタ演算部21Gaがカウントを行わない。このため、要求トルクが停止判定値を下回った期間が設定した時間に達せずに、エンジン停止が許可されることがなく、エンジン停止後の始動時に運転者にショックが加わる回数を低減することができる。
以上のように、本実施形態に係るハイブリッド車両では、クルーズ走行時に、要求トルクが停止判定値を下回ったとしても、直ちにエンジンを停止することなく、要求トルクが停止判定値を下回った期間が設定時間に達した後に、エンジンを停止する。
そのため、連続的な起伏がある走行路等、要求トルクが短時間に変動する場合であっても、エンジンの停止および始動を繰り返す事態を防止できる。
したがって、自動走行中のエンジン始動停止制御において、運転者に与える違和感を抑制することができる。
また、本実施形態に係るハイブリッド車両では、要求トルクが停止判定値を下回り、かつ、加速度が設定範囲内に収まっている場合に、その期間が設定時間に達した後、エンジンを停止する。
したがって、要求トルクが小さい状態が一定時間継続する状況でも、コーストスイッチの操作や一時加速後のコースト減速時等、その後にエンジンの始動が不要と推定できる状況では、エンジンの再始動を抑制し、運転者に与える違和感をさらに抑制できる。
さらに、本実施形態に係るハイブリッド車両では、エンジンの停止判定値を車速に応じた値としている。
したがって、走行抵抗は車速に対応して変化するところ、車両の減速状態を考慮して、エンジンの停止判定をより適切に行うことができる。
なお、本実施形態において、エンジン1がエンジンに対応し、モータ2がモータに対応し、車両状態モード演算部21が自動走行手段に対応する。また、エンジン始動仮判定部21Faがトルク値比較手段に対応し、定常走行判定カウンタ演算部21Gaが計時手段に対応し、エンジン停止許可判定部21Gbがエンジン停止許可手段に対応する。
(第1実施形態の効果)
(1)自車両の加速度が設定した範囲内にあり、かつ、要求トルク値が第1閾値を下回っている時間が設定した時間以上となると、エンジンの停止を許可する。
そのため、自車両の加速度および要求トルク値の状態を加味して、エンジンの停止判定を適切に行うことができる。
したがって、自動走行中のエンジン始動停止制御において、運転者に与える違和感を抑制することが可能となる。
(2)第1しきい値は、車速に応じて設定した値とする。
したがって、走行抵抗は車速に対応して変化するところ、車両の減速状態を考慮して、エンジンの停止判定をより適切に行うことができる。
1 エンジン
2,3 モータ
4 第1クラッチ
5 第2クラッチ
8 インバータ
9 バッテリ
10 エンジン回転数センサ
11 モータ回転センサ
12 入力回転センサ
13 出力回転センサ
14,15 オイルポンプ
20 アクセルセンサ
21 統合コントローラ
21A 要求発電トルク演算部
21B 要求エンジントルク演算部
21C モータ出力可能トルク演算部
21D 目標駆動トルク演算部
21Da ドライバ要求トルク演算部
21Db 自動制御要求トルク演算部
21Dc 目標駆動トルク演算部
21Dd 車速リミッタトルク演算部
21De 最終目標駆動トルク演算部
21E 車両状態モード決定部
21Ea エンジン始動判定処理部
21Eb エンジン停止判定処理部
21F エンジン始動制御部
21Fa エンジン始動要求仮判定部
21G エンジン停止制御部
21Ga 定常走行判定カウンタ演算部
21Gb エンジン停止許可判定部
21Gc クルーズエンジン始動停止演算部
21Gd エンジン始動停止要求演算部
21H 目標エンジントルク算出部
21J 目標モータトルク算出部
21K 目標クラッチトルク算出部
22 エンジンコントローラ
23 モータコントローラ
24 コントローラ
25 ブレーキコントローラ
26 バッテリコントローラ
27 車輪速センサ
28 ステアリングスイッチ
29 ブレーキスイッチ
30 クルーズキャンセルスイッチ
31 車間制御コントローラ
31A DCA制御部
32 レーダーユニット
33 アクセルペダル
34 ペダルアクチュエータ
35 メータ

Claims (2)

  1. 駆動輪に駆動力を伝達する駆動源としてのエンジン及びモータと、
    設定した走行状態に自動調整するための目標駆動力を算出する自動走行手段と、
    前記目標駆動力を得るための要求トルク値と、当該要求トルク値について設定した第1しきい値とを比較するトルク値比較手段と、
    自車両の加速度が設定した範囲内にあり、かつ、前記要求トルク値が前記第1閾値を下回っている時間を計時する計時手段と、
    前記計時手段が計時した時間が設定した時間以上である場合に、前記エンジンの停止を許可するエンジン停止許可手段と、を備えることを特徴とする車両用走行制御装置。
  2. 前記第1しきい値は、車速に応じて設定した値であることを特徴とする請求項1に記載の車両用走行制御装置。
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