JP2012051230A - 転写印刷用積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ベースフィルム[I]、硬化性樹脂層[II]、印刷層[III]が積層された転写印刷用積層体であり、ベースフィルム[I]がエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(a)からなる延伸フィルム(A)である転写印刷用積層体。
【選択図】なし
Description
また、基材シート(ベースフィルム)として、溶解溶出或いは膨潤剥離する特性を有した樹脂からなるフィルムとして、ポリビニルアルコールフィルムやポリビニルブチラールフィルム、エチレンビニルアルコール共重合体フィルムなども挙げられている(例えば、特許文献3参照。)。
本発明の転写印刷用積層体は、ベースフィルム[I]、硬化性樹脂層[II]、印刷層[III]が積層されたものである。
本発明で用いられるベースフィルム[I]は、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(以下、EVOHと略記することがある。)(a)からなる延伸フィルム(A)である。
まず、本発明で用いられるEVOH(a)について説明する。
EVOH(a)からなる延伸フィルム(A)は、(1)EVOH(a)の未延伸フィルムの成形、(2)未延伸フィルムの延伸の工程で作製される。
EVOH(a)の未延伸フィルムは、原料であるEVOHペレットを押出機によりダイから溶融押出して冷却ロールあるいは水や空気で冷やすことで得られる。キャスト式の押出機を用いる場合はTダイを使用し、チューブラー式の押出機を用いる場合はチューブラーダイを用いる。押出機としては、一般的なスクリュー式押出成形機が使用される。スクリュー式押出機の種類としては、単軸押出機、二軸押出機(同方向、異方向回転)等の何れであってもよい。溶融温度は、EVOH(a)の融点より10〜80℃、好ましくは20〜60℃高い温度設定で選ばれる。低すぎると溶融不良により押出負荷が高くなったり、延伸不良が生じたりする傾向にある。高すぎると熱劣化による架橋ゲルや焼け、コゲの発生により品質の良い未延伸フィルムが得られにくい傾向にある。
延伸方法は周知の方法が適用できるが、一般的な方法として、例えば、(1)チャック固定式延伸、(2)ロール式延伸、(3)テンター式延伸、(4)チューブラー式延伸などが挙げられる。(1)はバッチ式の延伸フィルムの作成に好適であり、(2)は一軸の延伸に好適である。また装置が大掛りとなるが、(3)は工業的な規模で延伸フィルムを作成するには有効である。(2)と(3)を組み合わせることで逐次二軸延伸を行うこともできる。(4)は水冷されたチューブ状フィルムに空気を入れて上下をピンチロールではさみこむことで延伸させる。延伸後の厚み精度が得られにくいので汎用ではないが、いわゆる「ダブルバブル法」と呼ばれ、工業的に使用される二軸延伸方法の一つである。延伸方法は一軸延伸、逐次二軸延伸、同時二軸延伸のどれを採用しても構わない。
(2)ロール式延伸方法では、未延伸フィルムを異なる速度で駆動された複数のロールを通り、その周速差で縦方向に伸ばすことにより一軸延伸フィルムを得る。予熱は事前に行っても良く、また延伸ロールを加温することで予熱を兼ねることもできる。
(3)テンター式延伸は、滑走式のベルトかチェーンに取り付けられたクランプでフィルムの耳端を挟み、クランプが幅を変えながら延伸していく方式である。テンターフレームと呼ばれる機械により延伸されるフィルム幅が決定される。横方向と縦方向に延伸することができる。
(4)チューブラー式延伸方法では、未延伸フィルムがチューブ状に作成され、ニップロールで挟まれた後に予熱ユニットを通過する。チューブ内には必要量の空気が吹き込まれ、さらにニップロールで挟まれる。予熱ゾーンを通過する際に空気圧で膨張されることで連続的に延伸フィルムを作製することができる。
かかる硬化性樹脂層[II]は、ベースフィルム[I]を剥離した際に、被転写体の最外面となる層であり、ベースフィルム[I]を剥離するまでの間に、かかる硬化樹脂層は硬化され、被転写体の表面を保護するための保護層となる。材質としては、例えば、ポリアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ゴム樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂等が用いられる他に、紫外線硬化性樹脂組成物や電子線硬化性樹脂組成物などの活性エネルギー線硬化性樹脂組成物や熱硬化性樹脂組成物も好ましく用いられる。本発明においては、成形品の耐薬品性、耐磨耗性の点で活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の水酸基含不飽和モノマー、
グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有不飽和モノマー、
2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基含有不飽和モノマー、
アクリルアミド、メタクリルアミド、N−(n−ブトキシアルキル)アクリルアミド、N−(n−ブトキシアルキル)メタクリルアミド等のアミド基含有不飽和モノマー、
アクリルアミド−3−メチルブチルメチルアミン、ジメチルアミノアルキルアクリルアミド、ジメチルアミノアルキルメタクリルアミド等のアミノ基含有不飽和モノマー、
エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸あるいはその塩等のスルホン酸基含有不飽和モノマー、
スチレン、酢酸ビニル、アクリルニトリル、アクリルアミド等が挙げられる。
プロパン−1−オンを用いることが好ましい。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
〔ベースフィルム[I]の製造〕
圧縮比3.4のフルフライト型スクリューおよび450mm幅コートハンガーダイを使用した40mmφ単軸押出機(L/D=28)で、エチレン含有量32モル%、ケン化度99.6モル%、メルトフローレート値(MFR)3.2g/10分のEVOHを押出し、30℃に制御した冷却ロールを第一ロールに有する引取装置で、厚み100μmの単層フィルムを作製した。なお、スクリーンパックは120メッシュの金網を二枚重ねて用いた。得られた単層フィルムを92mm×92mmの正方形のサイズに切り出し、Bruekner社製延伸装置 KARO IVの固定治具にセットした。次に、第一オーブンにフィルムを移動させ、予熱時間20秒で、温度120℃まで昇温させ、同時二軸延伸にて縦方向及び横方向にそれぞれ3倍に延伸を行い、膜厚11μmの二軸延伸フィルムを得た。
下記の通り、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を調製した。
株式会社カネカ製、ポリメチルメタクリレート「MN」の固形分50部に対し、日本合成化学工業社製、ウレタンアクリレート「UV−3520」の固形分40部および大阪有機化学工業社製、光重合性モノマー「ビスコート#300」10部を、全固形分濃度50%となるように2−ブタノンにより希釈混合した溶液に、光重合開始剤として長瀬産業社製「イルガキュア819」を固形分100部に対し3部となるように混合した。
黒色顔料10部、ニトロセルロース5部、アルキッド樹脂15部、トルエン30部、酢酸エチル30部、イソプロピルアルコール10部からなるグラビア印刷用インキを調製した。
日本合成化学工業社製、ポリエスター「SP−185」(ポリエステル樹脂)をトルエンと2−ブタノンの4:1(重量比)の混合溶媒に対して20%となるように加熱環流条件下で撹拌溶解した。
上記のベースフィルム[I]の上に、上記の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を厚さ160μmとなるようにバーコーターにて塗布し、これを80℃で15分間乾燥することで、ベースフィルム[I]上に厚さ80μmの硬化性樹脂層[II]を積層した積層体(α)を作製した。
積層体(α)の硬化性樹脂層[II]面上に、上記の印刷用インキを用いて、格子上の絵柄をグラビア印刷法により形成し、ベールフィルム[I]/硬化性樹脂層[II]/印刷層[III]からなる積層体(β)を得た。
更に、積層体(β)の印刷層[III]面上に、上記の熱圧着接着層用塗布液を厚さ100μmとなるようにバーコーターで塗布し、これを80℃で15分乾燥することで、厚さ20μmの熱圧着接着層[IV]を形成し、ベールフィルム[I]/硬化性樹脂層[II]/印刷層[III]/接着層[IV]からなる積層体(γ)を得た。
得られた積層体(γ)を用いて、以下の通り評価用サンプルを作製し、以下の評価を行った。
得られた積層体(γ)と青板ガラス基板(厚さ2.8mm)とを130℃に暖めた乾燥機内で3分間予熱し、積層体(γ)の熱圧着接着剤を融解させ、この接着層[IV]面を青板ガラス基板にハンドローラーで押しつけて貼合サンプルを作製した。
得られた貼合サンプルに対し、ベースフィルム[I]越しに紫外線を1000mJ照射し、硬化性樹脂層[II]を硬化させて保護層(硬化された硬化性樹脂層:ハードコート層)とし、評価用サンプルとした。
(1)ベースフィルムの保護層からの剥離性
評価用サンプルにおいて、ベースフィルムと保護層(硬化された硬化性樹脂層)を剥離することにより、ベースフィルム[I]の剥離性を観察し、下記の基準により評価した。
○:容易に剥離可能
×:剥離不能
評価用サンプルにおいて、ベースフィルム[I]を剥離した後、保護層(硬化された硬化性樹脂層)の面に蛍光灯を反射させ、目視観察により、蛍光灯の鮮鋭性を、下記の基準により評価した。
○:蛍光灯の輪郭がはっきり見える。
△:蛍光灯の輪郭がぼやけて見える。
×:蛍光灯の輪郭が確認できない。
評価用サンプルにおいて、ベースフィルム[I]を剥離した後、保護層(硬化された硬化性樹脂層)の面に対して、スガ試験機の写像性測定装置ICM−1DPを用いて、以下の条件で測定を行い、下記の基準により評価した。
測定方法 :反射
測定角度 :45°入射、45°受光
スリット :0.03mm
測定孔 :20mm
光学くし幅:2.0mm
写像性 :C=〔(M−m)/(M+m)〕×100(%)
C:光学くし幅(mm)の時の像鮮明度(%)
M:光学くし幅(mm)の時の最高光量
m:光学くし幅幅(mm)の時の最低光量
(評価基準)
S:ランク90%以上
A:ランク70〜90%未満
B:ランク30〜70%未満
C:ランク30%未満
実施例1において、EVOHを、エチレン含有量38モル%、ケン化度99.6モル%のEVOHに変えた以外は同様に行って得られた二軸延伸フィルムを用いて、実施例1と同様の評価を行った。
実施例1において、EVOHを、エチレン含有量44モル%、ケン化度99.6モル%、メルトフローレート値(MFR)3.5g/10分のEVOHに変えた以外は同様に行って得られた二軸延伸フィルムを用いて、実施例1と同様の評価を行った。
実施例1において、EVOHを、エチレン含有量38モル%、ケン化度99.6モル%、側鎖1,2−ジオール結合の含有量1.5モル%、メルトフローレート値(MFR)4.0g/10分のEVOHに変えた以外は同様に行って得られた二軸延伸フィルムを用いて、実施例1と同様の評価を行った。
実施例1において、ベースフィルム[I]を以下の二軸延伸フィルムに変更した以外は同様に行い、実施例1と同様の評価を行った。
〔ベースフィルム[I]の製造〕
圧縮比3.4のフルフライト型スクリューおよび450mm幅コートハンガーダイを使用した40mmφ単軸押出機(L/D=28)で、エチレン含有量38モル%、ケン化度99.6モル%、メルトフローレート値(MFR)3.2g/10分のEVOHを押出し、30℃に制御した冷却ロールを第一ロールに有する引取装置で、厚み60μmの単層フィルムを作製した。なお、スクリーンパックは120メッシュの金網を二枚重ねて用いた。得られた単層フィルムを92mm×92mmの正方形のサイズに切り出し、Bruekner社製延伸装置 KARO IVの固定治具にセットした。次に、第一オーブンにフィルムを移動させ、予熱時間20秒で、温度70℃まで昇温させ、同時二軸延伸にて縦方向及び横方向にそれぞれ2倍に延伸を行い、膜厚15μmの二軸延伸フィルムを得た。
実施例1において、ベースフィルム[I]を以下の二軸延伸フィルムに変更した以外は同様に行い、実施例1と同様の評価を行った。
〔ベースフィルム[I]の製造〕
圧縮比3.4のフルフライト型スクリューおよび450mm幅コートハンガーダイを使用した40mmφ単軸押出機(L/D=28)で、エチレン含有量38モル%、ケン化度99.6モル%、メルトフローレート値(MFR)3.2g/10分のEVOHを押出し、30℃に制御した冷却ロールを第一ロールに有する引取装置で、厚み500μmの単層フィルムを作製した。なお、スクリーンパックは120メッシュの金網を二枚重ねて用いた。得られた単層フィルムを92mm×92mmの正方形のサイズに切り出し、Bruekner社製延伸装置 KARO IVの固定治具にセットした。次に、第一オーブンにフィルムを移動させ、予熱時間20秒で、温度120℃まで昇温させ、同時二軸延伸にて縦方向及び横方向にそれぞれ3倍に延伸を行い、膜厚55μmの二軸延伸フィルムを得た。
実施例1において、ベースフィルム[I]を以下の二軸延伸フィルムに変更した以外は同様に行い、実施例1と同様の評価を行った。
〔ベースフィルム[I]の製造〕
実施例1において、延伸操作を逐次二軸にした以外は同様の操作を行い厚み11μmの二軸延伸フィルムを得た。
実施例1において、ベースフィルム[I]を以下の一軸延伸フィルムに変更した以外は同様に行い、実施例1と同様の評価を行った。
〔ベースフィルム[I]の製造〕
圧縮比3.4のフルフライト型スクリューおよび450mm幅コートハンガーダイを使用した40mmφ単軸押出機(L/D=28)で、エチレン含有量32モル%、ケン化度99.6モル%、メルトフローレート値(MFR)3.2g/10分のEVOHを押出し、30℃に制御した冷却ロールを第一ロールに有する引取装置で、厚み60μmの単層フィルムを作製した。なお、スクリーンパックは120メッシュの金網を二枚重ねて用いた。得られた単層フィルムを92mm×92mmの正方形のサイズに切り出し、Bruekner社製延伸装置 KARO IVの固定治具にセットした。次に、第一オーブンにフィルムを移動させ、予熱時間20秒で、温度80℃まで昇温させ、一軸延伸にて縦方向に4倍に延伸を行い、膜厚15μmの一軸延伸フィルムを得た。
実施例1において、ベースフィルム[I]を以下の未延伸フィルムに変更した以外は同様に行い、実施例1と同様の評価を行った。
〔ベースフィルムの製造〕
圧縮比3.4のフルフライト型スクリューおよび450mm幅コートハンガーダイを使用した40mmφ単軸押出機(L/D=28)で、エチレン含有量32モル%、ケン化度99.6モル%、メルトフローレート値(MFR)3.2g/10分のEVOHを押出し、30℃に制御した冷却ロールを第一ロールに有する引取装置で、厚み60μmの単層フィルムを作製した。かかる単層フィルムを延伸処理することなくベースフィルムとした。
ベースフィルムとして、膜厚38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績株式会社製「コスモシャイン E5000」)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、評価用サンプルを得た。しかし、ベースフィルムと保護層とを剥がそうとしたところ剥離不能であった。
実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。
Claims (5)
- ベースフィルム[I]、硬化性樹脂層[II]、印刷層[III]が積層された転写印刷用積層体であり、ベースフィルム[I]がエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(a)からなる延伸フィルム(A)であることを特徴とする転写印刷用積層体。
- エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(a)のエチレン含有量が20〜60モル%、ケン化度が90〜100モル%、210℃、荷重2160gにおけるメルトフローレート値が0.1〜100g/10分であることを特徴とする請求項1記載の転写印刷用積層体。
- 延伸フィルム(A)が、総延伸倍率1.5〜16倍の延伸フィルムであることを特徴とする請求項1または2記載の転写印刷用積層体
- 延伸フィルム(A)が、縦方向の延伸倍率1.5〜4倍、横方向の延伸倍率1.5〜4倍の二軸延伸フィルムであることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の転写印刷用積層体。
- 延伸フィルム(A)の厚みが5〜120μmであることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の転写印刷用積層体。
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