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JP2012051230A - 転写印刷用積層体 - Google Patents

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JP2012051230A JP2010195355A JP2010195355A JP2012051230A JP 2012051230 A JP2012051230 A JP 2012051230A JP 2010195355 A JP2010195355 A JP 2010195355A JP 2010195355 A JP2010195355 A JP 2010195355A JP 2012051230 A JP2012051230 A JP 2012051230A
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Abstract

【課題】 ベースフィルムと保護層との剥離性に優れ、更に、光沢性や鮮映性、写像性といった転写特性に優れた転写印刷用積層体を提供することを目的とするものである。
【解決手段】 ベースフィルム[I]、硬化性樹脂層[II]、印刷層[III]が積層された転写印刷用積層体であり、ベースフィルム[I]がエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(a)からなる延伸フィルム(A)である転写印刷用積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車等の車両の内装材又は外装材、幅木、回縁等の造作部材、窓枠、扉枠等の建具、壁、床、天井等の建築物の内装材、テレビ受像機、携帯電話部品、空調機等の家電製品の筐体、容器などの用途の加飾成形品に用いられる転写印刷用積層体に関するものであり、更に詳しくは、被転写体に対する光沢性が良く、鮮映性、写像性に優れた転写印刷用積層体に関するものである。
従来より、家電製品、化粧品容器、雑貨品などの成形品表面に意匠を印刷する方法として、転写法がある。転写法とは、基体シート上に剥離層(成形品表面の保護層となる)、意匠印刷層、接着層などからなる転写層を形成した転写材を用い、加熱加圧して転写材を成形品表面に接着させた後、基体シートを剥離して、成形品表面に転写層のみを転移させる方法である。
そして、かかる転写材における基体シート(ベースフィルム)としては、通常一般的に、ポリエチレンテレフタレートフィルムが用いられる(例えば、特許文献1及び2参照。)。
また、基材シート(ベースフィルム)として、溶解溶出或いは膨潤剥離する特性を有した樹脂からなるフィルムとして、ポリビニルアルコールフィルムやポリビニルブチラールフィルム、エチレンビニルアルコール共重合体フィルムなども挙げられている(例えば、特許文献3参照。)。
特開2005−96156号公報 特開2002−293094号公報 特開2001−270293号公報
しかしながら、上記特許文献1及び2における基体シートとして用いられているポリエチレンテレフタレートフィルムでは、剥離層(保護層)との離型性が悪く、通常ポリエチレンテレフタレートフィルムに離型処理を行うか、別途離型層を設ける必要があり、更なる改善が望まれている。
また、上記の特許文献3に開示の基材シート、例えば、通常のポリビニルアルコールフィルムやエチレンビニルアルコール共重合体フィルム、即ち、延伸されていないポリビニルアルコールフィルムやエチレンビニルアルコール共重合体フィルムを用いて転写印刷を行った場合、光沢性や鮮映性、写像性といった転写特性の点でまだまだ不充分であった。
そこで、本発明ではこのような背景下において、ベースフィルムと剥離層(保護層:硬化性樹脂層が硬化された層)との剥離性に優れ、更に、光沢性や鮮映性、写像性といった転写特性に優れた転写印刷用積層体を提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、基体シート(ベースフィルム)として、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物の延伸フィルムを用いることにより、硬化性樹脂の塗工性が改善され、均一塗布膜が形成でき、更に、転写後の保護層(硬化性樹脂層が硬化された層)との剥離性に優れ、加えて光沢性や鮮映性、写像性といった転写特性に優れることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、ベースフィルム[I]、硬化性樹脂層[II]、印刷層[III]が積層された転写印刷用積層体であり、ベースフィルム[I]がエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(a)からなる延伸フィルム(A)であることを特徴とする転写印刷用積層体に関するものである。
なお、硬化性樹脂層[II]は、本発明の転写印刷用積層体が被転写体に接着され、印刷層[III]が被転写体に転写され、ベースフィルム[I]が剥離された後、その表面を保護するための保護層となるものであり、通常、熱硬化性樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂が使用されている。
本発明の転写印刷用積層体は、ベースフィルムと保護層(硬化性樹脂層が硬化された層)との剥離性に優れ、更に、光沢性や鮮映性、写像性といった転写特性に優れた効果を有するものであり、自動車等の車両の内装材又は外装材、幅木、回縁等の造作部材、窓枠、扉枠等の建具、壁、床、天井等の建築物の内装材、テレビ受像機、携帯電話部品、空調機等の家電製品の筐体、容器などの用途の加飾成形品を製造するのに非常に有用である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の転写印刷用積層体は、ベースフィルム[I]、硬化性樹脂層[II]、印刷層[III]が積層されたものである。
本発明で用いられるベースフィルム[I]は、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(以下、EVOHと略記することがある。)(a)からなる延伸フィルム(A)である。
まず、本発明で用いられるEVOH(a)について説明する。
本発明で用いられるEVOH(a)は、公知の樹脂であり、非水溶性の熱可塑性樹脂である。EVOH(a)は、通常、ビニルエステル系モノマー(例えば、脂肪酸ビニルエステル)とエチレンを共重合してエチレン−ビニルエステル系共重合体を得、これをケン化して得られるものである。すなわち、エチレン構造単位とビニルアルコール構造単位を主とし、ケン化によって生じた若干量のビニルエステル構造単位を含むものである。上記共重合に際しては、溶液重合法など、公知の重合法が採用されうる。
上記ビニルエステル系モノマーとしては、経済的な点から通常は酢酸ビニルが用いられる。他にも、例えばギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の脂肪族ビニルエステル、安息香酸ビニル等の芳香族ビニルエステル等が挙げられ、通常炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜10、特に好ましくは炭素数4〜7の脂肪族ビニルエステルである。これらは通常単独で用いるが、必要に応じて複数種を同時に用いてもよい。
また、EVOH(a)のエチレン含有量は、エチレンとビニルエステル系モノマーの重合時に決定されるものであり、ケン化の前後で変化するものではない。ISO14663に基づいて測定したエチレン構造単位の含有率が、通常20〜60モル%、好ましくは20〜55モル%、特に好ましくは25〜50モル%である。エチレン含有量が低すぎると耐衝撃性や加工性が低下したり延伸が困難となる傾向があり、高すぎると耐溶剤性が低くなる傾向がある。
さらに、EVOH(a)のケン化度は、滴定法(JIS K6726)(ただし、EVOHは水/メタノール溶媒に均一に溶解した溶液にて)で測定した値で、通常90〜100モル%、好ましくは95〜100モル%、特に好ましくは98〜100%である。ケン化度が低すぎると耐溶剤性が低下する傾向がある。
EVOH(a)のメルトフローレート(以下、MFRと称することがある)は、210℃、荷重2160gで測定した値で、通常0.1〜100g/10分、好ましくは1〜50g/10分、特に好ましくは2〜40g/10分である。かかる値が高すぎたり低すぎたりすると押出加工性が低下する傾向がある。
なお、本発明では、エチレンと脂肪酸ビニルエステル以外に、EVOH(a)に要求される特性を阻害しない範囲で共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合していてもよく、かかる単量体としては、以下のものが挙げられる。例えば、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類や、2−プロペン−1−オール、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、3,4−ジヒドロキシ−1−ブテン、5−ヘキセン−1,2−ジオール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類、そのエステル化物である、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、特に、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン等があげられる。また、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩、ならびに、炭素数1〜18のモノまたはジアルキルエステル類があげられる。また、アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、ならびに、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のアクリルアミド類や、メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩ならびにその4級塩等のメタクリルアミド類があげられる。また、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類、アクリルニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類や、炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル類、トリメトキシビニルシラン等のビニルシラン類、ならびに、酢酸アリル、塩化アリル、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルエチレンカーボネート、グリセリンモノアリルエーテル等があげられる。また、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化、オキシアルキレン化等、後変性されていても差し支えない。特に、ヒドロキシ基含有α−オレフィン類を共重合したEVOHは、延伸加工や真空・圧空成形などの二次成形性が良好になる点で好ましく、中でも1,2−ジオールを側鎖に有するEVOHが好ましい。
本発明で用いられるEVOH(a)には、本発明の効果を阻害しない範囲において、一般にEVOHに配合する配合剤、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、光安定剤、界面活性剤、抗菌剤、乾燥剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、架橋剤、硬化剤、発泡剤、結晶核剤、防曇剤、生分解用添加剤、シランカップリング剤、酸素吸収剤などが含有されていてもよい。
上記熱安定剤として、溶融成形時の熱安定性等の各種物性を向上させる目的で、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリル酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等の有機酸類またはこれらのアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム、マグネシウム等)などの塩;または、硫酸、亜硫酸、炭酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸類、またはこれらのこれらのアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム、マグネシウム等)、亜鉛塩などの塩等の添加剤を配合してもよい。これらのうち、特に、酢酸、ホウ酸およびその塩を含むホウ素化合物、酢酸塩、リン酸塩を配合することが好ましい。
酢酸を配合する場合、その配合量は、EVOH(a)100重量部に対して通常0.001〜1重量部、好ましくは0.005〜0.2重量部、特に好ましくは0.010〜0.1重量部である。酢酸の配合量が少なすぎると、酢酸の含有効果が十分に得られない傾向があり、逆に多すぎると均一なフィルムを得ることが難しくなる傾向がある。
また、ホウ素化合物を配合する場合、その配合量は、EVOH(a)100重量部に対してホウ素換算(灰化後、ICP発光分析法にて分析)で、通常0.001〜1重量部であり、好ましくは0.002〜0.2重量部であり、特に好ましくは0.005〜0.1重量部である。ホウ素化合物の配合量が少なすぎると、ホウ素化合物の配合効果が十分に得られないことがあり、逆に多すぎると均一なフィルムを得るのが困難となる傾向がある。
また、酢酸塩、リン酸塩(リン酸水素塩を含む)の配合量としては、EVOH(a)100重量部に対して金属換算(灰化後、ICP発光分析法にて分析)で、通常0.0005〜0.1重量部、好ましくは0.001〜0.05重量部、特に好ましくは0.002〜0.03重量部である。かかる配合量が少なすぎるとその含有効果が十分に得られないことがあり、逆に多すぎると均一なフィルムを得るのが困難となる傾向がある。尚、EVOHに2種以上の塩を配合する場合は、その総量が上記の配合量の範囲にあることが好ましい。
本発明では、二種類以上のEVOHを配合して使用しても良い。この場合、エチレン組成やケン化度は配合比見合いの平均値で代表される。さらに本発明の効果を阻害しない範囲でEVOH(a)以外の樹脂をブレンドすることもできる。
次に、上記で得られるEVOH(a)からなる延伸フィルム(A)について説明する。
EVOH(a)からなる延伸フィルム(A)は、(1)EVOH(a)の未延伸フィルムの成形、(2)未延伸フィルムの延伸の工程で作製される。
まず、EVOH(a)の未延伸フィルムの成形について説明する。
EVOH(a)の未延伸フィルムは、原料であるEVOHペレットを押出機によりダイから溶融押出して冷却ロールあるいは水や空気で冷やすことで得られる。キャスト式の押出機を用いる場合はTダイを使用し、チューブラー式の押出機を用いる場合はチューブラーダイを用いる。押出機としては、一般的なスクリュー式押出成形機が使用される。スクリュー式押出機の種類としては、単軸押出機、二軸押出機(同方向、異方向回転)等の何れであってもよい。溶融温度は、EVOH(a)の融点より10〜80℃、好ましくは20〜60℃高い温度設定で選ばれる。低すぎると溶融不良により押出負荷が高くなったり、延伸不良が生じたりする傾向にある。高すぎると熱劣化による架橋ゲルや焼け、コゲの発生により品質の良い未延伸フィルムが得られにくい傾向にある。
原反となる未延伸フィルムは、厚みが均一であることが重要である。従って、厚みを均一に成形するために役立つ技術を併用することが好ましい。押出機の出口にギアポンプなどのミキサーを設置することは溶融樹脂の吐出を安定化させるためには有効である。また、架橋ゲルや焼け、コゲが発生した場合にはそれらを除去することが必要となる。このためにスクリーンパックを始めとする各種のフィルターを使用することも有効である。
延伸工程では、未延伸フィルムの再加熱が必要であるため、未延伸フィルムの結晶化度をできる限り低く抑えることが有効である。このためキャスト式製膜では冷却ロールの温度は低く設定し、溶融樹脂フィルムを急冷するのが好ましい。低すぎるとロール表面が結露してしまい、製膜状態が変化する可能性もあるので、結露しない程度に低く設定することが重要である。一般的には30〜90℃で設定することが好ましい。また冷却ロールと溶融樹脂フィルムの接触は均一であることが重要である。このため冷却ロールに均一な接触を促すための付帯設備を使用することが一般的に行われる。例えば、エアナイフやエアチャンバー、真空チャンバー、静電ピニング、タッチロールなどが適用される。
チューブラー方式での製膜では、下向きの水冷または空冷が適用できるが、一般的には水冷方式が用いられる。水温は低い方が好ましく、通常5〜40℃、特には10〜30℃が好ましい。
未延伸フィルムの厚みは、目的とする延伸フィルムの厚みによって決まるが、一般的には20〜600μm、特には40〜600μmが好ましい。薄すぎると破断のために延伸倍率を上げられない傾向にあり、厚すぎると延伸負荷が高く実用的ではない傾向にある。
次に、EVOH(a)の未延伸フィルムの延伸について説明する。
延伸方法は周知の方法が適用できるが、一般的な方法として、例えば、(1)チャック固定式延伸、(2)ロール式延伸、(3)テンター式延伸、(4)チューブラー式延伸などが挙げられる。(1)はバッチ式の延伸フィルムの作成に好適であり、(2)は一軸の延伸に好適である。また装置が大掛りとなるが、(3)は工業的な規模で延伸フィルムを作成するには有効である。(2)と(3)を組み合わせることで逐次二軸延伸を行うこともできる。(4)は水冷されたチューブ状フィルムに空気を入れて上下をピンチロールではさみこむことで延伸させる。延伸後の厚み精度が得られにくいので汎用ではないが、いわゆる「ダブルバブル法」と呼ばれ、工業的に使用される二軸延伸方法の一つである。延伸方法は一軸延伸、逐次二軸延伸、同時二軸延伸のどれを採用しても構わない。
未延伸フィルムは延伸前に予熱されるが、加熱に用いる熱源や方法は特に制限されない。予め加温した温風を吹き付ける方法、温調した空間を通す方法、赤外線や温水などの汎用のヒーターを用いる方法、温調したロールを通して加温する方法など、一般的な加熱方法が適用できる。
(1)チャック固定式延伸方法では、市販のバッチ式延伸機を使用することができる。未延伸フィルムをチャックに固定した後、所定の方法で予熱を行い、一軸延伸または二軸延伸を行う。
(2)ロール式延伸方法では、未延伸フィルムを異なる速度で駆動された複数のロールを通り、その周速差で縦方向に伸ばすことにより一軸延伸フィルムを得る。予熱は事前に行っても良く、また延伸ロールを加温することで予熱を兼ねることもできる。
(3)テンター式延伸は、滑走式のベルトかチェーンに取り付けられたクランプでフィルムの耳端を挟み、クランプが幅を変えながら延伸していく方式である。テンターフレームと呼ばれる機械により延伸されるフィルム幅が決定される。横方向と縦方向に延伸することができる。
(4)チューブラー式延伸方法では、未延伸フィルムがチューブ状に作成され、ニップロールで挟まれた後に予熱ユニットを通過する。チューブ内には必要量の空気が吹き込まれ、さらにニップロールで挟まれる。予熱ゾーンを通過する際に空気圧で膨張されることで連続的に延伸フィルムを作製することができる。
かくして延伸フィルムが得られるが、本発明で使用される延伸フィルム(A)は、フィルムの表面均一性の点で、総延伸倍率が1.5〜16倍であることが好ましく、特には2〜12倍、更には3〜10倍であることが好ましい。または、延伸倍率が縦方向に1.5〜10倍、特には2〜8倍、更には3〜5倍、横方向に1.5〜10倍、特には2〜8倍、更には3〜5倍に延伸されたものがフィルムの表面均一性の点で好ましく適用される。二軸延伸の場合、縦横共には1.5〜4倍、特には2〜3.5倍に延伸されることがフィルムの表面均一性の点で好ましい。延伸倍率が低すぎる場合は、延伸ムラが残りやすく、延伸倍率が高すぎる場合は、フィルムが破断し易くなる傾向がある。
延伸温度は、未延伸フィルムの厚みにもよるが、60〜160℃程度である。延伸温度が低すぎると延伸負荷が大きくなる傾向があり、高すぎると張力不足で延伸できなくなる傾向がある。また、寸法安定性を出すために必要に応じて熱固定を施しても良い。熱固定温度は、延伸フィルム(A)の状態を見ながら決定されるが、一般的には110〜160℃、好ましくは120〜150℃の範囲で、5〜60秒間、好ましくは10〜30秒間行うのが良い。
かくして得られる延伸フィルム(A)の厚みは、塗料の塗工性や転写時の被着体との追従性の点から5〜120μmであることが好ましく、特には5〜110μm、更には10〜80μmが好ましい。かかる厚みが薄すぎると塗料の塗工斑や、転写時に破断し易くなる傾向があり、厚すぎると転写時に皺などが入り易く、転写物の表面が不均一になる傾向がある。
また、上記延伸フィルム(A)の破断伸度としては、23℃、50%RH調湿条件下において、150%以上であることが好ましく、さらには180%以上が好ましい。破断伸度が低過ぎると、印刷時に断紙が発生したり、転写時の付き廻り性が低下する傾向がある。なお、破断伸度の上限としては通常、400%である。ここで、延伸フィルムの破断伸度は、JIS K 7127(1999年)に準拠して測定される。
このようにして製膜し得られる延伸フィルム(A)は、転写印刷用のベースフィルム[I]として非常に有用であり、かかる用途を考慮した場合、その厚みは特に5〜120μmの範囲内に設定することが好ましく、より好ましくは10〜100μmである。
そして、製膜し得られた延伸フィルム(A)は、例えば、従来公知の防湿包装の処理を行い、10〜25℃の雰囲気下、宙づり状態にて保存することが好ましい。
次に、本発明の転写印刷用積層体の硬化性樹脂層[II]について説明する。
かかる硬化性樹脂層[II]は、ベースフィルム[I]を剥離した際に、被転写体の最外面となる層であり、ベースフィルム[I]を剥離するまでの間に、かかる硬化樹脂層は硬化され、被転写体の表面を保護するための保護層となる。材質としては、例えば、ポリアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ゴム樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂等が用いられる他に、紫外線硬化性樹脂組成物や電子線硬化性樹脂組成物などの活性エネルギー線硬化性樹脂組成物や熱硬化性樹脂組成物も好ましく用いられる。本発明においては、成形品の耐薬品性、耐磨耗性の点で活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。
かかる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、例えば、アクリル系樹脂及びウレタン(メタ)アクリレート系化合物を含有してなるものであることが好ましい。
かかるアクリル系樹脂としては、例えば、アクリル酸エステル系モノマーの単独重合体又は共重合体や、その他のエチレン性不飽和モノマーを共重合成分とするアクリル系共重合体などが挙げられる。
アクリル酸エステル系モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられ、中でもアルキル基の炭素数が1〜12のアクリル酸アルキルエステルが好ましく、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが特に好ましく用いられる。
その他のエチレン性不飽和モノマー(a2)としては、例えば、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の水酸基含不飽和モノマー、
グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有不飽和モノマー、
2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基含有不飽和モノマー、
アクリルアミド、メタクリルアミド、N−(n−ブトキシアルキル)アクリルアミド、N−(n−ブトキシアルキル)メタクリルアミド等のアミド基含有不飽和モノマー、
アクリルアミド−3−メチルブチルメチルアミン、ジメチルアミノアルキルアクリルアミド、ジメチルアミノアルキルメタクリルアミド等のアミノ基含有不飽和モノマー、
エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸あるいはその塩等のスルホン酸基含有不飽和モノマー、
スチレン、酢酸ビニル、アクリルニトリル、アクリルアミド等が挙げられる。
かかるアクリル酸エステル系モノマー及びその他のエチレン性不飽和モノマーの含有割合(共重合比)は特に限定されないが、例えば、アクリル酸エステル系モノマーを20〜100重量%、その他のエチレン性不飽和モノマーを0〜80重量%とすることが好ましく、特にはアクリル酸エステル系モノマーを40〜100重量%、その他のエチレン性不飽和モノマーを0〜60重量%、更にはアクリル酸エステル系モノマーを80〜100 重量%、その他のエチレン性不飽和モノマーを0〜20重量%とすることが好ましい。アクリル酸エステル系モノマーの含有割合が少なすぎると硬化塗膜が耐水性・耐湿熱性等の耐久性が低下する傾向がある。
上記のアクリル系樹脂は、前記重合成分を有機溶剤中でラジカル共重合させる如き、当業者周知の方法によって容易に製造される。
かくして本発明で用いるアクリル系樹脂が得られるわけであるが、かかるアクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)が20〜130℃であることが好ましく、特に好ましくは30〜120℃、更に好ましくは40〜110℃である。ガラス転移点(Tg)が低すぎると活性エネルギー線硬化性樹脂組成物等の硬化性樹脂層が粘着性を帯びて後加工を施す際に不具合(工程中でも巻き付き・印刷不良等)を生じる原因となる傾向があり、高すぎると活性エネルギー線硬化性樹脂組成物等の硬化性樹脂層を硬化させ保護層としたときに脆くなる傾向がある。
また、アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)が、10,000〜500,000であることが好ましく、更には20,000〜100,000、特には30,000〜80,000であることが好ましい。
かかるアクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)が小さすぎると硬化前の硬化性樹脂層)が柔軟化および粘着性を帯びてしまうために、この層の上に後加工を施す際に不具合(工程中での巻き付き・印刷不良等)を生じる原因となる傾向があり、大きすぎると硬化性樹脂層の塗工時の膜厚均一性が得難くなると共に乾燥後の塗膜の硬度が必要以上に高くなり後加工を施す際に不具合(塗膜の亀裂が生じる・層間剥離等)を生じる原因となる傾向がある。
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物は、分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート系化合物であり、水酸基を含有する(メタ)アクリル系化合物と多価イソシアネート化合物を、更に、必要に応じてポリオールを反応させて製造できる。
上記水酸基を含有する(メタ) アクリル系化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられ、中でも3個以上のアクリロイル基を有する水酸基含有(メタ)アクリル系化合物が好ましく用いられる。また、これらは1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。
上記多価イソシアネート化合物としては、例えば、芳香族系、脂肪族系、脂環式系等のポリイソシアネートが挙げられ、中でもトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネート、変性ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、フェニレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等のポリイソシアネート或いはこれらポリイソシアネートの3量体化合物又は多量体化合物、ビュレット型ポリイソシアネート、水分散型ポリイソシアネート(例えば、日本ポリウレタン工業(株)製の「アクアネート100」、「アクアネート110」、「アクアネート200」、「アクアネート210」等)、又は、これらポリイソシアネートとポリオールの反応生成物等が挙げられる。
かかるポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、ポリカプロラクトン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ポリトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、グリセリン、ポリグリセリン、ポリテトラメチレングリコール等の多価アルコール;ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドのブロック又はランダム共重合の少なくとも1種の構造を有するポリエーテルポリオール;該多価アルコール又はポリエーテルポリオールと無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、無水イタコン酸、イタコン酸、アジピン酸、イソフタル酸等の多塩基酸との縮合物であるポリエステルポリオール;カプロラクトン変性ポリテトラメチレンポリオール等のカプロラクトン変性ポリオール;ポリオレフィン系ポリオール;水添ポリブタジエンポリオール等のポリブタジエン系ポリオール等が挙げられる。
更には、かかるポリオールとして、例えば、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、酒石酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ジヒドロキシメチル酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、ホモゲンチジン酸等のカルボキシル基含有ポリオールや、1,4−ブタンジオールスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸基又はスルホン酸塩基含有ポリオール等も挙げられる。
ポリイソシアネートとポリオールの反応生成物を用いる場合は、例えば、上記ポリオールと上記ポリイソシアネートを反応させて得られる末端イソシアネート基含有ポリイソシアネートとして用いればよい。かかるポリイソシアネートとポリオールの反応においては、反応を促進する目的でジブチルスズジラウレートのような金属触媒や、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7のようなアミン系触媒等を用いることも好ましい。
上記ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の製造方法としては、例えば、水酸基含有(メタ)アクリル系化合物と多価イソシアネート化合物を不活性ガス雰囲気で混合し、通常、30〜80℃、2〜10時間反応させる方法が挙げられる。この反応では、オクテン酸スズ、ジラウリン酸ジ−n−ブチルスズ、オクチル酸鉛、オクチル酸カリウム、酢酸カリウム、スタナスオクトエート、トリエチレンジアミン等のウレタン化触媒を用いるのが好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の重量平均分子量は、好ましくは300〜4000、更に好ましくは1000〜3500、特に好ましくは1200〜3000である。かかる重要平均分子量が小さすぎると硬化性樹脂層を硬化した後に凝集力不足となる傾向があり、大きすぎると粘度が高くなりすぎ、製造が困難となる傾向がある。
なお、上記の重量平均分子量とは、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフィー(昭和電工社製、「Shodex GPC system−11型」)に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×10、分離範囲:100〜2×10、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定される。
かくして、アクリル系樹脂とウレタン(メタ)アクリレート系化合物を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が得られるが、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が紫外線硬化性樹脂組成物の場合には、更に光重合開始剤を含有することが好ましい。電子線硬化性樹脂組成物の場合には光重合開始剤は不要である。
かかる光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等のチオキサントン類;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフォンオキサイド類;などが挙げられる。なお、これらの光重合開始剤は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
また、これらの助剤として、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等を併用することも可能である。
これらの中でも、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイルイソプロピルエーテル、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル
プロパン−1−オンを用いることが好ましい。
本発明において、硬化性樹脂層[II]の厚みは、耐磨耗性、耐薬品性の点で1〜150μmであることが好ましく、特には2〜120μm、更には2〜100μmであることが好ましい。かかる厚みが薄すぎると耐磨耗性や耐薬品性が低下することとなる傾向があり、厚すぎると転写後の膜切れが悪くなり、バリ等の原因となる傾向がある。
硬化性樹脂層[II]の形成に際しては、上記の原料樹脂又は原料樹脂組成物をグラビアコート法、ロールコート法、バーコート法、コンマコート法、リップコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法により積層すればよい。
上記の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いた場合には、ベースフィルム[I]上に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる層(硬化性樹脂層[II])を積層した後から、被転写体に印刷層[III]が転写され、ベースフィルム[I]が剥離されるまでの間の、任意の段階に活性エネルギー線を照射し硬化させ、保護層(ハードコート層)とすればよい。例えば、(1)ベースフィルム[I]上に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層を積層した後、活性エネルギー線を照射し硬化させたり、(2)ベースフィルム[I]上に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層を積層した後、後述の印刷層[III]を形成し、その後ベースフィルム[I]側より活性エネルギー線を照射して硬化させたり、(3)更に後述の接着剤層[IV]まで積層した後にベースフィルム[I]側より活性エネルギー線を照射して硬化させたり、(4)本発明の転写印刷用積層体を被転写体に接着させた後にベースフィルム[I]側より活性エネルギー線を照射して硬化させたりする方法などが挙げられる。
なお、活性エネルギー線を照射して硬化性樹脂層を硬化させるに際して、活性エネルギー線としては、例えば、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できるが、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線照射による硬化が有利である。
紫外線照射により硬化させる方法としては、150〜450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ等を用いて、0.01〜10J/cm2程度照射すればよい。紫外線照射後は、必要に応じて加熱を行って硬化の完全を図ることもできる。
本発明において、印刷層[III]は意匠を形成する層となるものであり、印刷層の材質としては、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキド樹脂などの樹脂をバインダーとし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを用いるとよい。
印刷層の形成方法としては、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの通常の印刷法などを用いることができる。特に、多色刷りや階調表現を行うには、オフセット印刷法やグラビア印刷法が好適である。
本発明の転写印刷用積層体は、上記の、ベースフィルム[I]、硬化性樹脂層[II]、印刷層[III]が積層されたものであるが、好ましくは印刷層[III]の上層に、接着層[IV]が積層される。
接着層[IV]は、被転写体面に上記の積層体を接着させるものである。印刷層と成形品との接着力が弱い場合に形成するとよい。接着層[IV]の材質としては、被転写体の素材に適した感熱性あるいは感圧性の樹脂を適宜使用すればよく、例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂等が挙げられる。
接着層[IV]の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、バーコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法が挙げられる。また、上記材質よりなる接着性をもつシートをラミネート法などにより貼り合わせて接着層[IV]とすることも可能である。また、接着層[IV]が、印刷層[III]を兼ねていてもよい。
接着層[IV]]の厚みは、被着体への追従性の点で0.5〜50μmであることが好ましく、特には1〜40μm、更には2〜30μmであることが好ましい。かかる厚みが薄すぎると 転写時の被着体への追従性が低下する傾向があり、厚すぎるとコスト高となる傾向があり不経済である。
本発明の転写印刷用積層体を用い、転写法を利用して被転写体面に装飾を行う方法について説明する。
まず、被転写体面に、転写印刷用積層体の接着層[IV]側を密着させる。次に、シリコンラバーなどの耐熱ゴム状弾性体を備えたロール転写機、アップダウン転写機などの転写機を用い、温度80〜270℃程度、圧力490〜1960Pa程度の条件に設定した耐熱ゴム状弾性体を介して転写印刷用積層体のベースフィルム[I]側から熱と圧力とを加える。こうすることにより、接着層[IV]が被転写体表面に接着する。
冷却後に、活性エネルギー線照射等により硬化性樹脂層[II]を硬化させ保護層とした後、最後に、ベースフィルム[I]を剥がすと、ベースフィルム[I]と保護層(硬化された硬化性樹脂層[II])との境界面で剥離が起こり、転写が完了する。
次に、本発明の転写印刷用積層体を用い、射出成形による成形同時転写法を利用して被転写体である樹脂成形品の面に装飾を行う方法について説明する。
まず、可動型と固定型とからなる成形用金型内に転写印刷用積層体を送り込む。その際、枚葉の転写印刷用積層体を1枚づつ送り込んでもよいし、長尺の積層体の必要部分を間欠的に送り込んでもよい。長尺の転写印刷用積層体を使用する場合、位置決め機構を有する送り装置を使用して、転写印刷用積層体の印刷層[III]と成形用金型との見当が一致するようにするとよい。また、転写印刷用積層体を間欠的に送り込む際に、転写印刷用積層体の位置をセンサーで検出した後に転写印刷用積層体を可動型と固定型とで固定するようにすれば、常に同じ位置で転写印刷用積層体を固定することができ、印刷層[III]の位置ずれが生じないので便利である。
成形用金型を閉じた後、ゲートから溶融した成形樹脂を金型内に射出充満させ、被転写体を形成するのと同時にその面に転写印刷用積層体を接着させる。成形樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AN樹脂などの汎用樹脂を挙げることができる。また、ポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂などの汎用エンジニアリング樹脂やポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリアリル系耐熱樹脂などのスーパーエンジニアリング樹脂を使用することもできる。さらに、ガラス繊維や無機フィラーなどの補強材を添加した複合樹脂も使用できる。これらの樹脂成形品は、透明、半透明、不透明のいずれでもよい。また、成形品は着色されていても、着色されていなくてもよい。
被転写体である樹脂成形品を冷却した後、成形用金型を開いて樹脂成形品を取り出す。そして、活性エネルギー線照射等により硬化性樹脂層[II]を硬化させ保護層とした後、最後に、ベースフィルム[I]を剥がすと、ベースフィルム[I]と保護層(硬化された硬化性樹脂層[II])との境界面で剥離が起こり、転写が完了する。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
実施例1
〔ベースフィルム[I]の製造〕
圧縮比3.4のフルフライト型スクリューおよび450mm幅コートハンガーダイを使用した40mmφ単軸押出機(L/D=28)で、エチレン含有量32モル%、ケン化度99.6モル%、メルトフローレート値(MFR)3.2g/10分のEVOHを押出し、30℃に制御した冷却ロールを第一ロールに有する引取装置で、厚み100μmの単層フィルムを作製した。なお、スクリーンパックは120メッシュの金網を二枚重ねて用いた。得られた単層フィルムを92mm×92mmの正方形のサイズに切り出し、Bruekner社製延伸装置 KARO IVの固定治具にセットした。次に、第一オーブンにフィルムを移動させ、予熱時間20秒で、温度120℃まで昇温させ、同時二軸延伸にて縦方向及び横方向にそれぞれ3倍に延伸を行い、膜厚11μmの二軸延伸フィルムを得た。
〔硬化性樹脂の製造〕
下記の通り、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を調製した。
株式会社カネカ製、ポリメチルメタクリレート「MN」の固形分50部に対し、日本合成化学工業社製、ウレタンアクリレート「UV−3520」の固形分40部および大阪有機化学工業社製、光重合性モノマー「ビスコート#300」10部を、全固形分濃度50%となるように2−ブタノンにより希釈混合した溶液に、光重合開始剤として長瀬産業社製「イルガキュア819」を固形分100部に対し3部となるように混合した。
〔意匠印刷用インキの製造〕
黒色顔料10部、ニトロセルロース5部、アルキッド樹脂15部、トルエン30部、酢酸エチル30部、イソプロピルアルコール10部からなるグラビア印刷用インキを調製した。
〔熱圧着接着層用塗布液の製造〕
日本合成化学工業社製、ポリエスター「SP−185」(ポリエステル樹脂)をトルエンと2−ブタノンの4:1(重量比)の混合溶媒に対して20%となるように加熱環流条件下で撹拌溶解した。
<転写印刷用積層体の製造>
上記のベースフィルム[I]の上に、上記の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を厚さ160μmとなるようにバーコーターにて塗布し、これを80℃で15分間乾燥することで、ベースフィルム[I]上に厚さ80μmの硬化性樹脂層[II]を積層した積層体(α)を作製した。
積層体(α)の硬化性樹脂層[II]面上に、上記の印刷用インキを用いて、格子上の絵柄をグラビア印刷法により形成し、ベールフィルム[I]/硬化性樹脂層[II]/印刷層[III]からなる積層体(β)を得た。
更に、積層体(β)の印刷層[III]面上に、上記の熱圧着接着層用塗布液を厚さ100μmとなるようにバーコーターで塗布し、これを80℃で15分乾燥することで、厚さ20μmの熱圧着接着層[IV]を形成し、ベールフィルム[I]/硬化性樹脂層[II]/印刷層[III]/接着層[IV]からなる積層体(γ)を得た。
得られた積層体(γ)を用いて、以下の通り評価用サンプルを作製し、以下の評価を行った。
〔評価用サンプルの作製〕
得られた積層体(γ)と青板ガラス基板(厚さ2.8mm)とを130℃に暖めた乾燥機内で3分間予熱し、積層体(γ)の熱圧着接着剤を融解させ、この接着層[IV]面を青板ガラス基板にハンドローラーで押しつけて貼合サンプルを作製した。
得られた貼合サンプルに対し、ベースフィルム[I]越しに紫外線を1000mJ照射し、硬化性樹脂層[II]を硬化させて保護層(硬化された硬化性樹脂層:ハードコート層)とし、評価用サンプルとした。
〔評価用サンプルの評価〕
(1)ベースフィルムの保護層からの剥離性
評価用サンプルにおいて、ベースフィルムと保護層(硬化された硬化性樹脂層)を剥離することにより、ベースフィルム[I]の剥離性を観察し、下記の基準により評価した。
○:容易に剥離可能
×:剥離不能
(2)保護層の表面光沢性
評価用サンプルにおいて、ベースフィルム[I]を剥離した後、保護層(硬化された硬化性樹脂層)の面に蛍光灯を反射させ、目視観察により、蛍光灯の鮮鋭性を、下記の基準により評価した。
○:蛍光灯の輪郭がはっきり見える。
△:蛍光灯の輪郭がぼやけて見える。
×:蛍光灯の輪郭が確認できない。
(3)保護層の写像性
評価用サンプルにおいて、ベースフィルム[I]を剥離した後、保護層(硬化された硬化性樹脂層)の面に対して、スガ試験機の写像性測定装置ICM−1DPを用いて、以下の条件で測定を行い、下記の基準により評価した。
(測定条件)
測定方法 :反射
測定角度 :45°入射、45°受光
スリット :0.03mm
測定孔 :20mm
光学くし幅:2.0mm
写像性 :C=〔(M−m)/(M+m)〕×100(%)
C:光学くし幅(mm)の時の像鮮明度(%)
M:光学くし幅(mm)の時の最高光量
m:光学くし幅幅(mm)の時の最低光量
(評価基準)
S:ランク90%以上
A:ランク70〜90%未満
B:ランク30〜70%未満
C:ランク30%未満
実施例2
実施例1において、EVOHを、エチレン含有量38モル%、ケン化度99.6モル%のEVOHに変えた以外は同様に行って得られた二軸延伸フィルムを用いて、実施例1と同様の評価を行った。
実施例3
実施例1において、EVOHを、エチレン含有量44モル%、ケン化度99.6モル%、メルトフローレート値(MFR)3.5g/10分のEVOHに変えた以外は同様に行って得られた二軸延伸フィルムを用いて、実施例1と同様の評価を行った。
実施例4
実施例1において、EVOHを、エチレン含有量38モル%、ケン化度99.6モル%、側鎖1,2−ジオール結合の含有量1.5モル%、メルトフローレート値(MFR)4.0g/10分のEVOHに変えた以外は同様に行って得られた二軸延伸フィルムを用いて、実施例1と同様の評価を行った。
実施例5
実施例1において、ベースフィルム[I]を以下の二軸延伸フィルムに変更した以外は同様に行い、実施例1と同様の評価を行った。
〔ベースフィルム[I]の製造〕
圧縮比3.4のフルフライト型スクリューおよび450mm幅コートハンガーダイを使用した40mmφ単軸押出機(L/D=28)で、エチレン含有量38モル%、ケン化度99.6モル%、メルトフローレート値(MFR)3.2g/10分のEVOHを押出し、30℃に制御した冷却ロールを第一ロールに有する引取装置で、厚み60μmの単層フィルムを作製した。なお、スクリーンパックは120メッシュの金網を二枚重ねて用いた。得られた単層フィルムを92mm×92mmの正方形のサイズに切り出し、Bruekner社製延伸装置 KARO IVの固定治具にセットした。次に、第一オーブンにフィルムを移動させ、予熱時間20秒で、温度70℃まで昇温させ、同時二軸延伸にて縦方向及び横方向にそれぞれ2倍に延伸を行い、膜厚15μmの二軸延伸フィルムを得た。
実施例6
実施例1において、ベースフィルム[I]を以下の二軸延伸フィルムに変更した以外は同様に行い、実施例1と同様の評価を行った。
〔ベースフィルム[I]の製造〕
圧縮比3.4のフルフライト型スクリューおよび450mm幅コートハンガーダイを使用した40mmφ単軸押出機(L/D=28)で、エチレン含有量38モル%、ケン化度99.6モル%、メルトフローレート値(MFR)3.2g/10分のEVOHを押出し、30℃に制御した冷却ロールを第一ロールに有する引取装置で、厚み500μmの単層フィルムを作製した。なお、スクリーンパックは120メッシュの金網を二枚重ねて用いた。得られた単層フィルムを92mm×92mmの正方形のサイズに切り出し、Bruekner社製延伸装置 KARO IVの固定治具にセットした。次に、第一オーブンにフィルムを移動させ、予熱時間20秒で、温度120℃まで昇温させ、同時二軸延伸にて縦方向及び横方向にそれぞれ3倍に延伸を行い、膜厚55μmの二軸延伸フィルムを得た。
実施例7
実施例1において、ベースフィルム[I]を以下の二軸延伸フィルムに変更した以外は同様に行い、実施例1と同様の評価を行った。
〔ベースフィルム[I]の製造〕
実施例1において、延伸操作を逐次二軸にした以外は同様の操作を行い厚み11μmの二軸延伸フィルムを得た。
実施例8
実施例1において、ベースフィルム[I]を以下の一軸延伸フィルムに変更した以外は同様に行い、実施例1と同様の評価を行った。
〔ベースフィルム[I]の製造〕
圧縮比3.4のフルフライト型スクリューおよび450mm幅コートハンガーダイを使用した40mmφ単軸押出機(L/D=28)で、エチレン含有量32モル%、ケン化度99.6モル%、メルトフローレート値(MFR)3.2g/10分のEVOHを押出し、30℃に制御した冷却ロールを第一ロールに有する引取装置で、厚み60μmの単層フィルムを作製した。なお、スクリーンパックは120メッシュの金網を二枚重ねて用いた。得られた単層フィルムを92mm×92mmの正方形のサイズに切り出し、Bruekner社製延伸装置 KARO IVの固定治具にセットした。次に、第一オーブンにフィルムを移動させ、予熱時間20秒で、温度80℃まで昇温させ、一軸延伸にて縦方向に4倍に延伸を行い、膜厚15μmの一軸延伸フィルムを得た。
比較例1
実施例1において、ベースフィルム[I]を以下の未延伸フィルムに変更した以外は同様に行い、実施例1と同様の評価を行った。
〔ベースフィルムの製造〕
圧縮比3.4のフルフライト型スクリューおよび450mm幅コートハンガーダイを使用した40mmφ単軸押出機(L/D=28)で、エチレン含有量32モル%、ケン化度99.6モル%、メルトフローレート値(MFR)3.2g/10分のEVOHを押出し、30℃に制御した冷却ロールを第一ロールに有する引取装置で、厚み60μmの単層フィルムを作製した。かかる単層フィルムを延伸処理することなくベースフィルムとした。
比較例2
ベースフィルムとして、膜厚38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績株式会社製「コスモシャイン E5000」)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、評価用サンプルを得た。しかし、ベースフィルムと保護層とを剥がそうとしたところ剥離不能であった。
実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。
Figure 2012051230
上記実施例及び比較例の結果から、実施例については、EVOHの一軸延伸または二軸延伸フィルムをベースフィルムとして用いているため、剥離性、光沢性、写像性のいずれにも優れた効果を有していることがわかる。これに対して、比較例1においては、EVOHの未延伸フィルムを用いているため、光沢性、写像性に明らかに劣るものであり、また、従来のポリエチレンテレフタレートフィルムを離型処理などをせずに用いた比較例2では、ベースフィルムを剥離することができず、実用に供することもできないものであった。
本発明の転写印刷用積層体は、ベースフィルムと保護層(硬化された硬化性樹脂層)との剥離性に優れ、更に、光沢性や鮮映性、写像性といった転写特性に優れた効果を有するものであり、自動車等の車両の内装材又は外装材、幅木、回縁等の造作部材、窓枠、扉枠等の建具、壁、床、天井等の建築物の内装材、テレビ受像機、携帯電話部品、空調機等の家電製品の筐体、容器などの用途の加飾成形品を製造するのに非常に有用である。

Claims (5)

  1. ベースフィルム[I]、硬化性樹脂層[II]、印刷層[III]が積層された転写印刷用積層体であり、ベースフィルム[I]がエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(a)からなる延伸フィルム(A)であることを特徴とする転写印刷用積層体。
  2. エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(a)のエチレン含有量が20〜60モル%、ケン化度が90〜100モル%、210℃、荷重2160gにおけるメルトフローレート値が0.1〜100g/10分であることを特徴とする請求項1記載の転写印刷用積層体。
  3. 延伸フィルム(A)が、総延伸倍率1.5〜16倍の延伸フィルムであることを特徴とする請求項1または2記載の転写印刷用積層体
  4. 延伸フィルム(A)が、縦方向の延伸倍率1.5〜4倍、横方向の延伸倍率1.5〜4倍の二軸延伸フィルムであることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の転写印刷用積層体。
  5. 延伸フィルム(A)の厚みが5〜120μmであることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の転写印刷用積層体。
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