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JP2011098916A - 歯磨剤組成物 - Google Patents

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JP2011098916A JP2009255168A JP2009255168A JP2011098916A JP 2011098916 A JP2011098916 A JP 2011098916A JP 2009255168 A JP2009255168 A JP 2009255168A JP 2009255168 A JP2009255168 A JP 2009255168A JP 2011098916 A JP2011098916 A JP 2011098916A
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Abstract

【課題】口腔バイオフィルム殺菌力に優れ、かつ歯磨き時の使用感(泡立ちのよさ、嫌味のなさ、及び刺激のなさ)にも優れる歯磨剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)イソプロピルメチルフェノールと、(B)3−オクタノール、3−オクチルアセテート、3−オクタノン、フェンコンから選ばれる少なくとも1種の香料成分と、(C)アシルタウリン塩とを含有してなる歯磨剤組成物。更に、上記歯磨剤組成物に(D)アニスアルデヒドを配合する。
【選択図】なし

Description

本発明は、口腔内に存在するバイオフィルム殺菌力に優れ、使用感(泡立ちのよさ、嫌味のなさ、及び刺激のなさ)に優れた歯磨剤組成物に関する。
う蝕、歯周病に代表される口腔疾患の原因は、口腔内に生息する細菌である。う蝕はストレプトコッカス ミュータンス(Streptococcus mutans)に代表される口腔連鎖球菌により、歯周病はポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)等の嫌気性グラム陰性桿菌を主体とした細菌により発症する感染症である。従って、これら口腔疾患の予防、改善に有効な手段として、これら口腔内の病原性細菌を殺菌又は静菌することが有用であると考えられている。
一方、これら病原性細菌は、口腔内でバイオフィルムを形成して生息しており、バイオフィルム内の細菌は、バイオフィルムを形成していない浮遊性細菌と比べて、薬剤への感受性が著しく低下しており、浮遊性細菌に有効であった薬剤もバイオフィルム内の細菌には必ずしも有効でないと考えられるようになってきた。
このようなバイオフィルム内の細菌に対し、口腔内の病原性細菌数を低下させるには、難水溶性殺菌剤やカチオン性殺菌剤、アニオン性殺菌剤を用いることが有効であり、特にバイオフィルム内の細菌に対しては、浸透殺菌効果の高いイソプロピルメチルフェノールが好適に使用されている(特許文献1,2)。
しかしながら、イソプロピルメチルフェノールを含有する組成物は、特有な嫌味を有するために使用感を著しく損なうという欠点が生じ、この点の改善が求められていた。
このような課題に対し、例えば特定のアシルサルコシン塩をフェノキシエタノールに対し特定の配合割合で組み合わせて配合することで抗菌成分の異味を低減させる技術(特許文献3)、l−メントール及び塩化ナトリウムをイソプロピルメチルフェノールに対して特定の質量比で配合することにより異臭・異味を低減する技術(特許文献4)が提案されている。しかし、アシルサルコシン塩を多く配合した場合にはアシルサルコシン塩由来と考えられる口腔粘膜刺激性が生じたり、塩化ナトリウムを配合した場合には塩味により香味のタイプが限定される場合があるなどの新たな課題が生じ、満足な使用感とは言い難かった。
また、サッカリンなどの甘味剤により嫌味をマスキングして低減する方法もあるが、この場合は、甘味剤の味が強調され過ぎたりして必ずしも嫌味を抑えることができるとは言えなかった。このため、イソプロピルメチルフェノール由来のバイオフィルム殺菌効果に優れる上、イソプロピルメチルフェノール由来の嫌味を満足に低減できる新たな技術が求められていた。
ところで、歯周病に罹患すると、歯ぐきに強い炎症反応が起こっていることが多く、歯ぐきが物理的及び化学的刺激に敏感になっている場合があり、歯磨き時に痛みや出血といった自覚症状を感じることも多い。このため、イソプロピルメチルフェノールの殺菌力効果を口腔内で有効に発揮させるにはある程度時間をかけた歯磨きが必要であるが、この場合、炎症反応を進行させずに歯周病の予防効果を上げることが望ましく、よって、刺激がないか、あるいは極めて少ない歯磨剤組成物が求められていた。
また、歯磨剤組成物には洗浄実感も求められており、満足な洗浄実感を得るテクスチャーの1つに歯磨き時の泡立ちのよさがある。しかしながら、歯磨き時の泡立ちを良好にするためには、一般的にラウリル硫酸ナトリウムの配合量を多くする場合が多いが、その場合、口腔内での刺激性が強くなる懸念があり、改善の余地があった。
よって、イソプロピルメチルフェノールを配合した歯磨剤組成物においては、口腔内に存在するバイオフィルム殺菌力に優れ、かつ使用感(泡立ちのよさ、嫌味のなさ、及び刺激のなさ)に優れたものが求められるが、従来技術では、これら特性を兼ね備えることは難しかった。
なお、特許文献5には、香料成分(メントン、カルボン、エチルブチレートから選ばれる1種又は2種以上)、殺菌剤、界面活性剤を含有した、う蝕予防用塗布剤組成物が提案されており、実施例23にはイソプロピルメチルフェノールを含有する組成が記載されている、しかし、この組成ではイソプロピルメチルフェノール由来の嫌味を低減させる効果、歯磨き時の刺激のなさは十分でない。
特開2005−179266号公報 特開2006−182662号公報 特開2007−161613号公報 特開2008−143825号公報 特開2005−187333号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、口腔内のバイオフィルム殺菌力に優れ、かつ歯磨き時の使用感(泡立ちのよさ、嫌味のなさ、及び刺激のなさ)に優れた歯磨剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、(A)イソプロピルメチルフェノールと、(B)3−オクタノール、3−オクチルアセテート、3−オクタノン、フェンコンから選ばれる少なくとも1種の香料成分と、(C)アシルタウリン塩とを配合することにより、意外にも優れた口腔バイオフィルム殺菌力及び使用感(泡立ちのよさ、嫌味のなさ、及び刺激のなさ)を兼ね備えた歯磨剤組成物が得られることを知見し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明者らが検討したところ、歯磨剤組成物にイソプロピルメチルフェノールを配合すれば口腔バイオフィルム殺菌力が得られるが、この場合、歯磨き時の使用感、特に歯磨き時に嫌味や刺激を感じ、使用感が満足できるものではなく、優れた口腔バイオフィルム殺菌力と良好な使用感とを兼ね備えることは困難であった。本発明によれば、イソプロピルメチルフェノールを含有する歯磨剤組成物に、3−オクタノール、3−オクチルアセテート、3−オクタノン、フェンコンから選ばれる少なくとも1種の香料成分と、アシルタウリン塩とを配合することによって、これら課題を解決でき、優れた口腔バイオフィルム殺菌力を有し、かつ歯磨き時の泡立ちが良好で、イソプロピルメチルフェノール由来の嫌味がほとんどなく、口腔内での刺激性もほとんどない、使用感に優れた歯磨剤組成物を得ることができる。
なお、上記(B)成分の香料成分は、いずれも特徴的な香気を有しており、チーズなどの調合フレーバーに微量用いられることはあるが、それ自体不快な香気であるため、歯磨剤組成物の香料としての使用は限定的であった。本発明者らは、このような上記(B)成分の特定香料をイソプロピルメチルフェノールと併用して歯磨剤組成物に配合すると、意外にもイソプロピルメチルフェノール由来の嫌味を十分に抑制できることを見出した。
更に、本発明では、上記(A)〜(C)を配合した歯磨剤組成物に、(D)アニスアルデヒドを配合することにより、嫌味のマスキング効果をより高めることができる。
従って、本発明は、下記の歯磨剤組成物を提供する。
請求項1:
(A)イソプロピルメチルフェノールと、(B)3−オクタノール、3−オクチルアセテート、3−オクタノン、フェンコンから選ばれる少なくとも1種の香料成分と、(C)アシルタウリン塩とを含有してなることを特徴とする歯磨剤組成物。
請求項2:
(A)成分を0.01〜0.2質量%、(B)成分を0.0001〜0.1質量%、(C)成分を0.1〜5質量%含有することを特徴とする請求項1記載の歯磨剤組成物。
請求項3:
更に、(D)アニスアルデヒドを含有することを特徴とする請求項1又は2記載の歯磨剤組成物。
請求項4:
(D)成分を0.0001〜0.1質量%含有する請求項3記載の歯磨剤組成物。
本発明のイソプロピルメチルフェノールを含有する歯磨剤組成物は、口腔バイオフィルム殺菌力に優れ、かつ歯磨き時の使用感(泡立ちのよさ、嫌味のなさ、及び刺激のなさ)にも優れるもので、歯周病等の口腔疾患の予防又は改善に有効である。
以下、本発明につき更に詳細に説明する。本発明の歯磨剤組成物は、練歯磨、液状歯磨、潤製歯磨等の歯磨剤、特に練歯磨として好適に調製され、(A)イソプロピルメチルフェノール、(B)3−オクタノール、3−オクチルアセテート、3−オクタノン、フェンコンから選ばれる少なくとも1種の香料成分、(C)アシルタウリン塩を必須成分として含有する。
本発明で用いる(A)イソプロピルメチルフェノールは、4−イソプロピル−3−メチルフェノールであり、大阪化成(株)製のものなどの市販品を使用できる。
(A)イソプロピルメチルフェノールの配合量は、組成物全体の0.01〜0.2%(質量%、以下同様)、特に0.02〜0.1%が好適である。0.01%未満では十分な殺菌効果が発揮されないことがあり、0.2%を超えるとイソプロピルメチルフェノール由来の嫌味が生じて味が悪くなる場合がある。
(B)成分は、イソプロピルメチルフェノール由来の嫌味をマスキングし、良好な香味とするのに有効な香料成分であり、3−オクタノール、3−オクチルアセテート、3−オクタノン、フェンコンから選ばれる1種又は2種以上の香料成分である。
上記香料成分の2種以上を組み合わせる場合は、3−オクタノールと3−オクチルアセテート及び/又はフェンコンとの組み合わせが好適である。
なお、オクタノールであっても、歯磨剤組成物の香料として一般的な1−オクタノールはイソプロピルメチルフェノール由来の嫌味をマスキングする効果がなく、本発明にかかわる香料成分としては相応しくない。
上記(B)成分は市販品を用いることができ、例えば3−オクタノールは塩野香料(株)の製品、3−オクチルアセテート、3−オクタノンはそれぞれ(株)井上香料製造所の製品、フェンコンは香栄興業(株)の製品などを用いることができる。
(B)成分の総配合量は特に限定されないが、組成物全量に対して0.0001〜0.1%、特に0.0005〜0.05%、とりわけ0.001〜0.02%が望ましい。配合量が0.0001%未満では、イソプロピルメチルフェノール由来の嫌味をマスキングできず、使用感に劣る場合があり、0.1%を超えると、香料成分自体の香味が強すぎて嫌味を生じる場合がある。
(C)成分のアシルメチルタウリン塩としては、アシル基の炭素数が8〜18、特に12〜16のものが好ましく、具体的にはカプリノイルメチルタウリン塩、ラウロイルメチルタウリン塩、ココイルメチルタウリン塩、ミリストイルメチルタウリン塩、パルミトイルメチルタウリン塩、ステアロイルメチルタウリン塩などが挙げられ、これらのうちラウロイルメチルタウリン塩、ココイルメチルタウリン塩が好ましく、特にラウロイルメチルタウリン塩が好ましい。アシルメチルタウリンの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩が好ましく、特にナトリウム塩が好ましい。
(C)アシルタウリン塩は、市販品を用いることができ、例えば日本エマルジョン(株)のN−ココイルメチルタウリンナトリウム水溶液(商品名:CMT−30、30%水溶液)、N−ラウロイルメチルタウリンナトリウム液(商品名:LMT−30、30%水溶液)、N−ミリストイルメチルタウリンナトリウム(商品名:MMT)などを用いることができる。
(C)アシルタウリン塩の配合量は特に限定されないが、組成物全体の0.1〜5%、特に0.5〜2%が好ましい。配合量が0.1%未満の場合、泡立ちに劣ることがあり、5%を超えると嫌味を生じる場合がある。
更に、本発明では、(D)アニスアルデヒドを配合することが好ましく、(B)成分の香料成分に加えてアニスアルデヒドを添加することで、イソプロピルメチルフェノール由来の嫌味に対するマスキング効果をより高めることができ、より良好な香味を得ることができる。
アニスアルデヒドとしては、大洋香料(株)の製品などの市販品を用いることができる。その配合量は、組成物全体に対して0.0001〜0.1%、特に0.001〜0.02%が望ましい。配合量が0.0001%未満では、嫌味のマスキング効果を十分に高めることができない場合があり、0.1%を超えると、(B)成分と同様にアニスアルデヒド自体の香味が強すぎて嫌味を生じる場合がある。
(D)アニスアルデヒドを配合する場合、イソプロピルメチルフェノール由来の嫌味のマスキング効果をより高める点から、(B)成分と(D)成分の合計配合量が0.0002〜0.15%、特に0.002〜0.03%であることが望ましい。合計配合量が0.0002%未満では、嫌味のマスキング効果を十分に高めることができない場合があり、0.15%を超えると、(B)及び(D)成分自体の香味が強すぎて嫌味を生じる場合がある。
なお、(B)成分と(D)成分との組み合わせとしては、特に3−オクタノールとアニスアルデヒドとの組み合わせが好ましく、これによりイソプロピルメチルフェノール由来の嫌味に対して、とりわけ優れたマスキング効果が発揮される。
本発明の歯磨剤組成物には、上述した成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、通常歯磨剤組成物に使用されているその他の各種公知成分を必要に応じて配合することができる。配合できる任意成分としては、粘結剤、界面活性剤、研磨剤、湿潤剤、甘味剤、香料、pH調整剤、有効成分あるいは薬効成分、防腐剤等がある。
粘結剤としては、増粘性シリカ、ケイ酸アルミニウムなどの無機粘結剤、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、カラギーナン、メチルセルロース、ヒドロキエチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、トラガントガム、カラヤガム、アラビヤガム、ローカストビーンガム、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、架橋型ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、カーボポール、ビーガム等の有機粘結剤を配合してもよい。これら粘結剤の配合量は組成物全体の0.1〜3%がよい。
界面活性剤としては、(C)アシルタウリン塩以外のアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤を配合でき、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて配合できる。
アニオン性界面活性剤としては、(C)アシルタウリン塩に加えて、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム、N−ミリストリルザルコシン酸ナトリウムや、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、N−パルミトイルグルタルミン酸ナトリウム等のN−アシルグルタメートなどが挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルアンモニウム、アルキルベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル、マルチトール脂肪酸エステル、ラクトール脂肪酸エステル等の糖アルコール脂肪酸エステル、アルキロールアマイド、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ラウリル酸モノ又はジエタノールアミド等の脂肪酸ジエタノールアミド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン脂肪酸エステル、プルロニック等が挙げられる。両性界面活性剤としては、例えばヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
なお、上記界面活性剤を配合する場合、その配合量は、(C)アシルメチルタウリン塩の配合量と合算した総配合量が組成物全体の0.1〜5%、特に0.3〜5%となる範囲が好ましい。
研磨剤としては、第2リン酸カルシウム・2水和塩及び無水和物、第1リン酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム等のリン酸カルシウム系化合物、沈降性シリカ、アルミノシリケート等のシリカ系研磨剤、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、第3リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ベントナイトなどの1種又は2種以上を配合することができる。
研磨剤の配合量は通常、組成物全体の0〜25%、特に2〜20%である。
湿潤剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、平均分子量200〜6,000のポリエチレングリコール、エチレングリコ−ル、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール、ソルビット、還元でんぷん糖化物等の糖アルコールの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて配合できる。配合量は、組成物全体の15〜45%が好適である。
甘味剤としては、サッカリンナトリウム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペルラルチン、グリチルリチン、ソーマチン、アスパラチルフェニルアラニンメチルエステル等がある。甘味剤の配合量は通常、組成物全体の0.01〜5%である。
なお、甘味剤の配合により嫌味をマスキングして低減する方法もあるが、甘味剤の配合では、甘味剤の味が強調され過ぎたりすることで必ずしも嫌味を抑えることができず、イソプロピルメチルフェノール含有の歯磨剤組成物において、イソプロピルメチルフェノール由来の嫌味を抑制する技術としては不十分である。
(B)成分、更には(D)成分に加えて、その他の香料として、例えば、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、バジル油、カルダモン油、コリアンダー油、ペパーミント油、スペアミント油、ハッカ油、オレンジ油、レモン油、マンダリン油、ライム油、グレープフルーツ油、柚子油、スウィーティー油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、セロリ油、ベイ油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、レモングラス油、ローズ油、ジャスミン油、パチュリ油、イリスコンクリート、ローズアブソリュート、オレンジフラワーアブソリュート、バニラアブソリュート、マンゴーアブソリュート、パチュリアブソリュート、ジンジャーオレオレジン、ペッパーオレオレジン、カプシカムオレオレジン、トウガラシ抽出物等の天然香料、及び、これら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料、リモネン、ピネン、ブタノール、イソアミルアルコール、n−ヘキセノール、cis−3−ヘキセノール、cis−6−ノネノール、リナロール、α−テルピネオール、メントール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、アネトール、チモール、メチルチャビコール、オイゲノール、カルボン、メントン、プレゴン、1,8−シネオール、ヨノン、キャロン、n−ヘキサナール、trans−2−ヘキセナール、シトラール、シンナムアルデヒド、ベンズアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、イソアミルアセテート、ヘキシルアセテート、エチル2−メチルブチレート、アリルヘキサノエート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、リナリルアセテート、メンチルアセテート、メンチルラクテート、カルビールアセテート、フェノキシエチルイソブチレート、メチルジャスモネート、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、メチルシンナメート、メチルアンスラニレート、フェニルエチルグリシデート、エチルラクテート、バニリン、マルトール、炭素数4〜12のガンマ及びデルタラクトン、アンブレットリド、ジメチルサルファイド、トリメチルピラジン、エチルβ−メチルチオプロピオネート、フラネオール、エチルシクロペンテノロン、シクロテン、2−メチルブチリックアシッド、プロピオニックアシッド、p−メトキシシンナミックアルデヒド、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、メントングリセリンアセタール、スピラントール、モノメンチルサクシネート、リナロールオキサイド、バニリルブチルエーテル、イソプレゴール等の単品香料、更に、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、メロンフレーバー、バナナフレーバー、ピーチフレーバー、ラズベリーフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー、マンゴーフレーバー、ウメフレーバー、オレンジフレーバー、レモンフレーバー、グレープフルーツフレーバー、ティーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー等の調合香料、及び、エチルアルコール、プロピレングリコール、トリアセチン、グリセリン脂肪酸エステル等の香料溶剤等、歯磨剤組成物に用いられる公知の香料素材を組み合わせて使用することができる。これらの香料素材の配合量は特に限定されないが、組成物中に0.000001〜1%使用するのが好ましい。また、上記香料素材を使用した賦香用香料としては、組成物中に0.1〜2.0%使用するのが好ましい。
pH調整剤としては、クエン酸、乳酸、リンゴ酸などの有機酸やその塩類、塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなどの無機化合物などが挙げられる。
薬効成分あるいは有効成分としては、イソプロピルメチルフェノールに加えて、デキストラナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、ムタナーゼ等の酵素、トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、アルミニウムクロルヒドロキシアラントイン、アズレン、グリチルリチン酸塩、グリチルレチン酸、塩化ナトリウム、ビタミン類等の抗炎症剤、銅クロロフィル、グルコン酸銅、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、トリクロサン、ヒノキチオール、塩化リゾチーム等の殺菌剤、ピロリン酸塩類、ポリリン酸塩類やゼオライト等の歯石予防剤、グリシン、プロリンなどのアミノ酸類などを配合できる。なお、薬効成分あるいは有効成分の配合量は本発明の効果を妨げない範囲で有効量とすることができる。
防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸又はその塩などが挙げられる。
その他にも、任意成分として、リン酸水素カルシウム、ゼオライト、ハイドロキシアパタイト、雲母チタンなどの無機化合物やその造粒物、結晶性セルロース等のセルロース系の有機粉末の造粒物、寒天、ゼラチン、デンプン、グルコマンナン等の天然高分子化合物、ポリ酢酸ビニル、アクリル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル等の合成高分子化合物及びそれらの共重合体、カルナバワックス、ロジン、ライスワックス、マイクロクリスタリンワックス、ミツロウ、パラフィンワックス等のワックス類、セタノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ウレタン、シリコン、天然ゴム等のラテックスゴムを架橋、重合、成形等により得られたもの、あるいは、これらの原料を混合して得られたものやラメフィルムを用いることができる。ラメフィルムとしては、有機樹脂の積層フィルム末、及び、有機樹脂積層フィルム中にアルミニウム等の蒸着層を導入した積層フィルム末等、具体的には、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末などを本発明の効果を妨げない範囲で配合することができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、以下の例において配合量はいずれも質量%である。また、ソルビットは70%水溶液、N−ラウロイルメチルタウリンナトリウムは30%水溶液を用い、下記に示す表中の配合量は、純分換算した量で示した。
歯磨剤組成物は、下記製造法にて調製した。
(製造法)
(1)精製水中に水溶性成分(粘結剤、プロピレングリコールを除く)を常温で混合溶解させたA相を調製した。
(2)プロピレングリコール中に粘結剤を常温で分散させたB相を調製した。
(3)撹拌中のA相の中にB相を添加混合し、C相を調製した。
(4)C相中に、香料、研磨剤等の水溶性成分以外の成分を1.5Lニーダー(石山工作所製)を用い、常温で混合し、減圧(4kPa)による脱泡を行い、歯磨剤組成物1.2kgを得た。
[実施例1〜20、比較例1〜5]
表3,4に示す組成の歯磨剤組成物(練歯磨)を上記方法にて調製し、使用感(歯磨き時の嫌味のなさ、刺激のなさ、泡立ちのよさ)を下記方法で評価した。結果を表3,4に示す。
<モデルバイオフィルム殺菌効果の評価法>
直径7mmのハイドロキシアパタイト(HA)板を0.45μmのフィルターで濾過した人無刺激唾液で4時間処理し、ヘミン及びメナジオンを添加したトリプチケースソイブロス中、ストレプトコッカス ミュータンス(Streptococcus mutans)、アクチノマイセス ナエスランディ(Actinomyces naeslundii)、ベイヨネラ パルビュラ(Veillonella parvula)、フゾバクテリウム ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)及びポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)の5菌種混合系で2週間連続培養することにより、HA板上にモデルバイオフィルムを形成させた。2週間培養後より1日1回、下記表3〜5に示した歯磨製剤に人口唾液(50mmol/L KCl+1mmol/L KH2PO4+1mmol/L CaCl2+0.1mmol/L MgCl2(pH7.0))を2倍質量添加し、分散させた後の遠心上清を試験薬剤液として、これにモデルバイオフィルムを3分間浸漬処理し、更に3日間培養した。培養終了時にモデルバイオフィルムを取り出し、分散後、寒天平板上で培養することによりモデルバイオフィルム中の各菌種の生菌数を求めた。生菌数は、培養条件により多少振れるが、試験薬剤の代わりに人口唾液を作用させた場合では、約8.5log cfu(colony forming units/HA板)であり、6.0log cfu/HA板未満の場合において、バイオフィルム殺菌力が高いと判断した。なお、評価基準を以下に示す。
(モデルバイオフィルム殺菌効果の評価基準)
◎:5.0log cfu/HA板未満
○:5.0log cfu/HA板以上〜6.0log cfu/HA板未満
△:6.0log cfu/HA板以上〜7.0log cfu/HA板未満
×:7.0log cfu/HA板以上
<使用感(嫌味のなさ)>
専門家パネラー10人を用いた官能試験を実施した。口径8mmのラミネートチューブに充填した試験歯磨剤組成物約1gを市販品歯ブラシに載せて、通常歯を磨く方法で3分間ブラッシングを行い、使用中に感じた嫌味のなさを、以下の評点に従って評価した。10名の評価結果の平均値を求め、以下の基準で◎及び○の評価が確保されるものを、嫌味のない歯磨剤組成物であると判断した。
(評点)
4点:嫌味が全くない
3点:嫌味がほとんどない
2点:嫌味がややある
1点:嫌味がある
(専門パネラー10人の評価結果を平均した値の判定基準)
◎ :3.7点以上〜4.0点以下
◎〜○:3.3点以上〜3.7点未満
○ :3.0点以上〜3.3点未満
△ :2.0点以上〜3.0点未満
× :2.0点未満
<使用感(刺激のなさ)>
専門パネラー10人を用いた官能試験により評価した。口径8mmのラミネートチューブに充填した試験歯磨剤組成物を歯ブラシ上に約1g載せ、通常歯を磨く方法で3分間ブラッシングし、歯磨き時の刺激のなさを下記基準で評価した。10人の結果の平均点から下記判定基準に従って判定した。
(評点)
5点:刺激を感じない
4点:ほとんど刺激を感じない
3点:弱い刺激を感じる
2点:刺激を感じる
1点:強い刺激を感じる
(専門パネラー10人の評価結果を平均した値の判定基準)
◎:平均点が4.5点以上5.0点以下
○:平均点が4.0点以上4.5点未満
△:平均点が3.0点以上4.0点未満
×:平均点が3.0点未満
<使用感(泡立ちのよさ)>
専門家パネラー10人を用いた官能試験を実施した。口径8mmのラミネートチューブに充填した試験歯磨剤組成物約1gを市販品歯ブラシに載せて通常歯を磨く方法で3分間ブラッシングを行い、使用中に感じた泡立ちのよさを、以下の評点に従って評価した。10名の評価結果の平均値を求め、以下の基準で◎及び○の評価が確保されるものを、泡立ちのよい歯磨剤組成物であると判断した。
(評点)
5点:泡立ちがかなりよい
4点:泡立ちがよい
3点:どちらとも言えない
2点:泡立ちが悪い
1点:泡立ちがかなり悪い
(専門パネラー10人の評価結果を平均した値の判定基準)
◎:4.5点以上〜5.0点以下
○:4.0点以上〜4.5点未満
△:3.0点以上〜4.0点未満
×:3.0点未満
下記例における使用原料及び香料組成は以下の通りである。
イソプロピルメチルフェノール;大阪化学(株)製
3−オクタノール;塩野香料(株)製
3−オクチルアセテート;(株)井上香料製造所製
3−オクタノン;(株)井上香料製造所製
フェンコン;香栄興業(株)製
アニスアルデヒド;大洋香料(株)製
1−オクタノール;高砂香料工業(株)製
N−ラウロイルメチルタウリンナトリウム液(30%水溶液);
日光ケミカルズ(株)製 LMT−30
ラウリル硫酸ナトリウム;東邦化学工業(株)製
香料として、表1,2に示す組成の香料組成物A〜Iを調製し、配合した。なお、表1,2に示す香料組成中に3−オクタノール、3−オクチルアセテート、3−オクタノン、フェンコン、アニスアルデヒドは含まれない。
Figure 2011098916
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表3,4の結果から、(A)イソプロピルメチルフェノールを含有しない場合は、バイオフィルム殺菌効果に劣り(比較例1)、(B)成分を含有しないと歯磨き時に嫌味を感じ、使用感に劣り、他の香料を添加しても嫌味が感じられた(比較例2,3)。(C)アシルメチルタウリン塩を含有しない場合は泡立ちに劣り(比較例4)、ラウリル硫酸ナトリウムを配合すると泡立ちは良好であるが、刺激が強くなり使用感が劣っていた(比較例5)。これらに対して、(A)〜(C)成分を含有する歯磨剤組成物(実施例)は、バイオフィルム殺菌効果に優れ、かつ使用感(泡立ちのよさ、嫌味のなさ、及び刺激のなさ)に優れ、本発明の目的を達成できることがわかった。また、表3の実施例1〜20において、香料組成物Aを香料組成物B〜Iのいずれかに置き換えても同様の結果が得られた。
[実施例21〜40]
表5に示す組成の練歯磨剤組成物を上記と同様の方法で調製し、使用感(歯磨き時の嫌味のなさ、刺激のなさ、泡立ちのよさ)を下記方法で評価した。結果を表5に示す。
下記例において、(A)〜(C)成分は上記実施例で使用した原料と同様のものを使用し、アニスアルデヒドは以下のものを用いた。
アニスアルデヒド;大洋香料(株)製
Figure 2011098916
Figure 2011098916
表5の結果から、(A)〜(C)成分に加え、(D)アニスアルデヒドを配合すると、イソプロピルメチルフェノール由来の嫌味のマスキング効果がより高まることがわかった。また、表5の実施例21〜40において、香料組成物Aを香料組成物B〜Iのいずれかに置き換えても同様の結果が得られた。
これらの結果から、(A)イソプロピルメチルフェノール、(B)3−オクタノール、3−オクチルアセテート、3−オクタノン、フェンコンから選ばれる少なくとも1種の香料成分、及び(C)アシルタウリン塩を含有することにより、口腔バイオフィルム殺菌力及び使用感(泡立ちのよさ、嫌味のなさ、及び刺激のなさ)に優れた歯磨剤組成物が実現できることがわかった。

Claims (4)

  1. (A)イソプロピルメチルフェノールと、(B)3−オクタノール、3−オクチルアセテート、3−オクタノン、フェンコンから選ばれる少なくとも1種の香料成分と、(C)アシルタウリン塩とを含有してなることを特徴とする歯磨剤組成物。
  2. (A)成分を0.01〜0.2質量%、(B)成分を0.0001〜0.1質量%、(C)成分を0.1〜5質量%含有することを特徴とする請求項1記載の歯磨剤組成物。
  3. 更に、(D)アニスアルデヒドを含有することを特徴とする請求項1又は2記載の歯磨剤組成物。
  4. (D)成分を0.0001〜0.1質量%含有する請求項3記載の歯磨剤組成物。
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