次に、本発明を実施するための形態を図面と共に説明する。
本発明のトナーは、母体粒子を有し、母体粒子は、結着樹脂及び離型剤を含むコアと、シェルからなるコアシェル構造を有する。
コアの軟化指数Ctは、60〜85℃であり、63〜77℃が好ましい。Ctが60℃未満であると、耐熱保存性が低下し、85℃を超えると、低温定着性が低下する。
なお、Ctは、フローテスターCFT−500D(島津製作所社製)を用いて、荷重を25kgとしたときのトナーの流出開始温度である。即ち、Ctは、荷重が大きいため、シェルの構造が破壊されているトナーの流出開始温度であると考えられる。
シェルの熱的硬さStは、0.7〜1.8であり、1.0〜1.8が好ましい。Stが0.7未満であると、耐熱保存性及び現像安定性が低下し、1.8を超えると、低温定着性が低下し、定着面圧を増大しても、巻き付きが発生する。
なお、Stは、フローテスターCFT−500D(島津製作所社製)を用いて、荷重が2kgから25kgのときのトナーの流出開始温度を測定し、横軸に荷重、縦軸に流出開始温度をプロットした際の傾きと−1の積である。
Stが小さい場合、荷重を小さくしても、流出開始温度が高くならない。即ち、荷重が小さくても、シェルの構造が破壊されるため、トナーが軟化しやすい。一方、Stが大きい場合、荷重を小さくすると、トナーの流出開始温度が高くなる。即ち、荷重が小さいと、シェルの構造が破壊されにくいため、トナーが軟化しにくい。
フローテスターCFT−500D(島津製作所社製)は、図1(a)に示すように、シリンダーCに入れた錠剤化したトナーTを予熱した後、プランジャーPにより一定の荷重を印加しながら、加熱体Hを昇温させることにより、溶融したトナーT'をダイDから流出させて、図1(b)に示すように、加熱体Hの温度に対するプランジャーPの降下量を測定する。フローテスターCFT−500D(島津製作所社製)は、一般に、一定の荷重で流出開始温度TfbやT1/2温度を測定する際に用いられるが、本発明においては、荷重を変化させたときの流出開始温度Tfbを測定することにより、Stを評価できることを見出した。Stは、トナーの流出開始温度Tfbの圧力依存性を示す。
シェルの厚さは、0.01〜2μmであり、0.4〜1.5μmが好ましい。シェルの厚さが0.01μm未満であると、耐熱保存性及び現像安定性が低下し、2μmを超えると、低温定着性が低下し、定着面圧を増大しても、巻き付きが発生する。
なお、シェルの厚さは、TEM(透過型電子顕微鏡)、FE−SEM(走査型電子顕微鏡)、SPM(走査型プローブ顕微鏡)等を用いて測定することができ、無作為に測定した10個のトナーのシェルの厚さの平均値である。
本発明において、シェルは、樹脂粒子を含むことが好ましい。これにより、均一なコアシェル構造、コアとシェルで軟化温度が異なるコアシェル構造を安定的に形成することができる。
樹脂粒子のガラス転移点は、40〜100℃であることが好ましい。ガラス転移点が40℃未満であると、トナーの耐熱保存性が低下することがあり、100℃を超えると、低温定着性が低下することがある。
また、樹脂粒子の重量平均分子量は、3×103〜3×105であることがより好ましい。重量平均分子量が3×103未満であると、トナーの耐熱保存性が低下することがあり、2×105を超えると、低温定着性が低下することがある。
トナー中の樹脂粒子の含有量は、0.5〜5.0質量%であることが好ましい。樹脂粒子の含有量が0.5質量%未満であると、耐熱保存性及び現像安定性が低下し、5.0質量%を超えると、低温定着性が低下し、定着面圧を増大しても、巻き付きが発生する。
なお、トナー中の樹脂粒子の含有量は、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析計を用いて、樹脂粒子に起因し、樹脂粒子以外のトナーを構成する材料に起因しない物質を分析し、そのピーク面積から算出することができる。
樹脂粒子を構成する樹脂としては、特に限定されず、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれであってもよく、ビニル系樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、微細球状樹脂粒子の水性分散液を形成しやすいことから、ビニル系樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリエステルが好ましい。
ビニル系樹脂としては、特に限定されないが、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられるが、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体が特に好ましい。
本発明において、結着樹脂は、ポリエステル及び/又はウレア変性ポリエステルを含むことが好ましい。このとき、ポリエステルとウレア変性ポリエステルを併用することにより、低温定着性及びフルカラー画像の光沢性、光沢均一性を向上させることができる。また、結着樹脂は、ウレタン変性ポリエステル等のウレア変性ポリエステル以外の変性ポリエステルを含んでいてもよい。
ポリエステルは、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルスズオキサイド等の触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要に応じて、減圧しながら生成する水を溜去して、重縮合することにより得られる。
ポリオール(1)としては、ジオール(1−1)及び3価以上のポリオール(1−2)が挙げられるが、ジオール(1−1)又はジオール(1−1)と3価以上のポリオール(1−2)の併用が好ましい。
ジオール(1−1)としては、特に限定されないが、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のアルキレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のアルキレンエーテルグリコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂環式ジオール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類;脂環式ジオール又はビスフェノール類のエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、炭素数が2〜12のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物と炭素数が2〜12のアルキレングリコールの併用が特に好ましい。
3価以上のポリオール(1−2)としては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の3〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール;トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等の3価以上のフェノール類;3価以上のフェノール類のエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
ポリカルボン酸(2)としては、ジカルボン酸(2−1)及び3価以上のポリカルボン酸(2−2)が挙げられるが、ジカルボン酸(2−1)又はジカルボン酸(2−1)と3価以上のポリカルボン酸(2−2)の併用が好ましい。
ジカルボン酸(2−1)としては、特に限定されないが、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等のアルキレンジカルボン酸;マレイン酸、フマル酸等のアルケニレンジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、炭素数が4〜20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数が8〜20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。
3価以上のポリカルボン酸(2−2)としては、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数が9〜20の芳香族ポリカルボン酸等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
なお、ポリカルボン酸(2)の代わりに、ポリカルボン酸(2)の無水物又はメチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等の低級アルキルエステルを用いてもよい。
ポリエステルのピーク分子量は、通常、1×103〜3×104であり、1.5×103〜1×104が好ましく、2×103〜8×103がさらに好ましい。ピーク分子量が1×103未満であると、耐熱保存性が低下することがあり、3×104を超えると、低温定着性が低下することがある。
本発明において、ピーク分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定されたポリスチレン換算の分子量である。
ポリエステルの水酸基価は、通常、5KOHmg/g以上であり、10〜120KOHmg/gが好ましく、20〜80KOHmg/gがさらに好ましい。水酸基価が5KOHmg/g未満であると、耐熱保存性及び低温定着性を両立することが困難になることがある。
本発明において、水酸基価は、JIS K 1557−1に記載の測定方法に準拠して測定することができる。
ポリエステルの酸価は、通常、0.5〜40KOHmg/gであり、5〜35KOHmg/gが好ましい。酸価が0.5KOHmg/g未満であると、負帯電性とすることが困難になることがあり、40KOHmg/gを超えると、高温高湿度下及び低温低湿度下において、環境の影響を受けやすく、画像が劣化することがある。
本発明において、酸価は、JIS K0070−1992に記載の測定方法に準拠して測定することができる。
本発明において、ウレア変性ポリエステルは、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)とアミノ基を有する化合物(B)を付加することにより得られる。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)は、活性水素基を有するポリエステルとポリイソシアネート(3)を、40〜140℃で付加させることにより得られる。活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基等が挙げられるが、中でも、アルコール性水酸基が好ましい。
活性水素基として、アルコール性水酸基を有するポリエステルは、前述のポリオール(1)とポリカルボン酸(2)を重縮合することにより得られる。このとき、カルボキシル基に対するアルコール性水酸基の当量比は、通常、1〜2であり、1〜1.5が好ましく、1.02〜1.3がさらに好ましい。
ポリイソシアネート(3)としては、特に限定されないが、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート等の脂肪族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート;トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート;イソシアヌレート類等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
なお、ポリイソシアネート(3)の代わりに、ポリイソシアネート(3)をフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタム等でブロックしたものを用いてもよい。
活性水素基を有するポリエステルとポリイソシアネート(3)を付加させる際のアルコール性水酸基に対するイソシアネート基の当量比は、通常、1〜5であり、1.2〜4が好ましく、1.5〜2.5がさらに好ましい。この当量比が1未満であると、ウレア変性ポリエステル中のウレア結合の含有量が小さくなって、トナーの耐ホットオフセット性が不十分となることがあり、5を超えると、トナーの低温定着性が不十分となることがある。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のポリイソシアネート(3)由来の構成成分の含有量は、通常、0.5〜40質量%であり、1〜30質量%が好ましく、2〜20質量%がさらに好ましい。この含有量が0.5質量%未満であると、トナーの耐ホットオフセット性が不十分となることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が不十分となることがある。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)の1分子当たりのイソシアネート基の含有量の平均値は、通常、1個以上であり、1.5〜3個が好ましく、1.8〜2.5個がさらに好ましい。この含有量の平均値が1個未満であると、ウレア変性ポリエステルの分子量が小さくなって、耐ホットオフセット性が不十分となることがある。
アミノ基を有する化合物(B)としては、特に限定されないが、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)等が挙げられるが、ジアミン(B1)又はジアミン(B1)と3価以上のポリアミン(B2)の併用が好ましい。
ジアミン(B1)としては、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4'ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ジアミン;4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等の脂環式ジアミン;エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
なお、アミノ基を有する化合物(B)の代わりに、アミノ基を有する化合物(B)のアミノ基をブロックしたものを用いてもよい。アミノ基を有する化合物(B)のアミノ基をブロックしたものとしては、特に限定されないが、アミノ基を有する化合物(B)と、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトンから得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物等が挙げられる。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)とアミノ基を有する化合物(B)を付加させる際には、必要に応じて、ジブチルスズラウレート、ジオクチルスズラウレート等の触媒を用いてもよい。このとき、反応時間は、通常、10分〜40時間であり、2〜24時間が好ましい。また、反応温度は、通常、0〜150℃であり、40〜98℃が好ましい。
なお、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)とアミノ基を有する化合物(B)を付加させる際のアミノ基に対するイソシアネート基の当量比は、通常、0.5〜2であり、2/3〜1.5が好ましく、5/6〜1.2がさらに好ましい。この当量比が0.5未満である場合及び2を超える場合は、ウレア変性ポリエステルの分子量が小さくなって、耐ホットオフセット性が不十分となることがある。
また、必要に応じて、停止剤を用いて、ウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。停止剤としては、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン等のモノアミン及びモノアミンのアミノ基をブロックしたものを用いることができる。(ケチミン化合物)などが挙げられる。モノアミンのアミノ基をブロックしたものとしては、特に限定されないが、モノアミンと、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトンから得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物等が挙げられる。
ウレア変性ポリエステルと、ポリエステルは、少なくとも一部が相溶することが好ましい。即ち、ウレア変性ポリエステルにおけるポリエステル成分と、ポリエステルの組成が類似していることが好ましい。これにより、トナーの低温定着性及び耐ホットオフセット性を向上させることができる。
ポリエステルに対するウレア変性ポリエステルの質量比は、通常、5/95〜75/25であり、10/90〜25/75が好ましく、12/88〜25/75がさらに好ましく、12/88〜22/78が特に好ましい。この質量比が5/95未満であると、耐ホットオフセット性が不十分となることがあり、75/25を超えると、低温定着性が不十分となることがある。
離型剤としては、特に限定されないが、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス;パラフィンワックス、サゾールワックス等の長鎖炭化水素;カルボニル基を有するワックス等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、カルボニル基を有するワックスが好ましい。
カルボニル基を有するワックスとしては、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート等のポリアルカン酸エステル;トリメリット酸トリステアリル、マレイン酸ジステアリル等のポリアルカノールエステル;エチレンジアミンジベヘニルアミド等のポリアルカン酸アミド;トリメリット酸トリステアリルアミド等のポリアルキルアミド;ジステアリルケトン等のジアルキルケトン等が挙げられるが、中でも、ポリアルカン酸エステルが好ましい。
離型剤の融点は、通常、40〜160℃であり、50〜120℃が好ましく、60〜90℃がさらに好ましい。融点が40℃未満であると、トナーの耐熱保存性が不十分になることがあり、160℃を超えると、低温で定着させる際に、コールドオフセットが発生することがある。
また、離型剤の融点より20℃高い温度における溶融粘度は、5〜1000cpsであることが好ましく、10〜100cpsがさらに好ましい。溶融粘度が5cps未満であると、母体粒子中における離型剤の分散性が不十分となることがあり、1000cpsを超えると、トナーの耐ホットオフセット性及び低温定着性が不十分となることがある。
トナー中の離型剤の含有量は、通常、0〜40質量%であり、3〜30質量%が好ましい。
本発明において、コアは、着色剤、帯電制御剤等をさらに含んでもよい。
着色剤(染料又は顔料)としては、特に限定されないが、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロロオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロムバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
トナー中の着色剤の含有量は、通常、1〜15質量%であり、3〜10質量%が好ましい。
なお、顔料は、樹脂と複合化させて、マスターバッチとして用いてもよい。このような樹脂としては、特に限定されないが、前述のポリエステル及びウレア変性ポリエステル;ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
マスターバッチは、顔料と樹脂に高せん断力を印加して混合混練することにより得られる。このとき、顔料と樹脂の相互作用を向上させるために、有機溶媒を用いることができる。
また、マスターバッチは、顔料の水性ペーストを、樹脂と有機溶媒と共に混合混練して、顔料を樹脂側に移行させた後、水分と有機溶剤を除去することにより得られる(フラッシング法)。このとき、顔料のウエットケーキをそのまま用いることができるため、顔料を作製する際に乾燥する必要がない。
なお、混合混練する際には、3本ロールミル等の高せん断分散装置を用いることができる。
帯電制御剤としては、特に限定されないが、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、リンの単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系界面活性剤、サリチル酸金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料等が挙げられ、二種以上併用してもよい。これら以外の帯電制御剤としては、スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩基等の官能基を有する高分子化合物が挙げられる。
帯電制御剤の市販品としては、ニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製);4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)等が挙げられる。
トナー中の帯電制御剤の含有量は、結着樹脂に対して、0〜10質量%であることが好ましく、0.2〜5質量%がさらに好ましい。この含有量が10質量%を超えると、トナーの帯電性が大きすぎ、現像ローラとの静電的引力が増大し、トナーの流動性が低下したり、画像濃度が低下したりすることがある。
本発明において、母体粒子は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)及び離型剤を含むトナー材料を有機溶媒中に溶解又は分散させた液を水系媒体中に乳化又は分散させた後、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)とアミノ基を有する化合物(B)を付加させることにより形成することができる。このとき、トナー材料は、ポリエステル、着色剤、帯電制御剤等をさらに含んでもよい。
水系媒体としては、特に限定されないが、水、水と混和可能な溶媒と水の混合溶媒等が挙げられる。水と混和可能な溶媒としては、特に限定されないが、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、メチルセルソルブ等のセルソルブ類、アセトン、メチルエチルケトン等の低級ケトン類等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
本発明において、水系媒体は、樹脂粒子を含むことが好ましい。これにより、ウレア変性ポリエステル及び離型剤を含むコアと、樹脂粒子を含むシェルからなるコアシェル構造を有する母体粒子が得られる。
トナー材料を有機溶媒中に溶解又は分散させた液を水系媒体中に乳化又は分散させる際には、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機等の分散機を用いることができるが、高速せん断式分散機が好ましい。高速せん断式分散機を使用する場合、回転数は、通常、1×103〜3×104rpmであり、5×103〜2×104rpmが好ましい。分散時間は、バッチ方式の場合、通常、0.1〜5分である。また、分散時の温度は、通常、0〜150℃(加圧下)であり、40〜98℃が好ましい。このとき、分散時の温度が高温である方が、トナー材料を有機溶媒中に溶解又は分散させた液を水系媒体中に乳化又は分散させた液の粘度が低下して、分散が容易となる。
なお、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)及び離型剤以外のトナー材料は、トナー材料を有機溶媒中に溶解又は分散させた液を水系媒体中に乳化又は分散させる際に添加して、混合してもよい。また、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)、アミノ基を有する化合物(B)及び離型剤以外のトナー材料は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)とアミノ基を有する化合物(B)を付加させた後に添加してもよい。例えば、着色剤を含まないトナー材料を用いて、公知の染着方法で着色剤を添加してもよい。
トナー材料に対する水系媒体の質量比は、通常、0.5〜20であり、1〜10が好ましい。この質量比が0.5未満であると、トナー材料の分散状態が悪くなって、所定の粒径の母体粒子が得られないことがあり、20を超えると、経済的でない。
また、水系媒体は、分散剤を含んでいてもよい。これにより、トナー材料を有機溶媒中に溶解又は分散させた液を水系媒体中に乳化又は分散させた液の分散安定性を向上させると共に、トナーの粒度分布を狭くすることができる。分散剤としては、界面活性剤、無機分散剤等を用いることができる。
界面活性剤としては、特に限定されないが、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミン塩型、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等の四級アンモニウム塩型等のカチオン性界面活性剤;脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等の非イオン界面活性剤;アラニン、ドデシルビス(アミノエチル)グリシン、ビス(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン等の両性界面活性剤が挙げられる。中でも、添加量を非常に少量とすることができるため、フルオロアルキル基を有する界面活性剤が好ましい。
フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数が2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。
フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤の市販品としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−l29(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F−150(ネオス社製)等が挙げられる。
フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級又は3級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。
フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤の市販品としては、サーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキン工業社製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)等が挙げられる。
無機分散剤としては、特に限定されないが、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等が挙げられる。
なお、分散剤を使用する場合は、分散剤が表面に残存した状態で母体粒子を用いることもできるが、トナーの帯電性を考慮すると、洗浄して分散剤を除去することが好ましい。例えば、分散剤として、リン酸カルシウム等の酸、アルカリに可溶な化合物を用いる場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウムを溶解させた後、水洗することにより、母体粒子からリン酸カルシウムを除去することができる。また、酵素を用いて分解することにより、母体粒子からリン酸カルシウムを除去することができる。
水系媒体は、高分子系保護コロイドを含んでいてもよい。高分子系保護コロイドとしては、特に限定されないが、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等の酸類;アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等の水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体;ビニルアルコール;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等のビニルアルコールとのエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルアルコールとカルボン酸のエステル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、これらのメチロール化物;アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等の酸クロライド類;ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等の窒素原子又はその複素環を有するもの等の単独重合体又は共重合体が挙げられる。また、これら以外の高分子系保護コロイドとしては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等のポリオキシエチレン系;メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類等が挙げられる。
本発明において、トナー材料を有機溶媒中に溶解又は分散させた液を水系媒体中に乳化又は分散させた後、有機溶媒を除去する。有機溶媒を除去する方法としては、特に限定されないが、ロータリーエバポレータ等を用いて有機溶媒を揮発させる方法が挙げられる。
有機溶媒を除去した後、遠心分離により粗大粒子を除去し、洗浄タンクで洗浄し、温風乾燥機を用いて乾燥する操作を繰り返すことにより、母体粒子が得られる。
有機溶媒を除去する他の方法としては、スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルン等を用いて、トナー材料を有機溶媒中に溶解又は分散させた液を水系媒体中に乳化又は分散させた液を乾燥雰囲気中に噴霧して、有機溶媒及び水系媒体を揮発させる方法が挙げられる。乾燥雰囲気としては、特に限定されないが、有機溶媒及び水系媒体の沸点以上の温度に加熱された空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等が挙げられる。
次に、得られた母体粒子を熟成させることが好ましい。これにより、母体粒子の内部の中空状態を制御することができる。このとき、熟成温度は、通常、30〜55℃であり、40〜50℃が好ましい。また、熟成時間は、通常、5〜36時間であり、10〜24時間が好ましい。
なお、母体粒子の粒度分布が広い場合は、サイクロン、デカンター、遠心分離等を用いて、分級することにより粒度分布を狭くすることができる。
本発明のトナーは、母体粒子であってもよいが、ヘンシェルミキサー等を用いて、トナーの流動性、現像性、帯電性を補助するための流動化剤と母体粒子を混合したものであることが好ましい。このとき、本発明のトナーは、必要に応じて、超音波篩い等で粗大粒子を除去することにより得られる。
流動化剤としては、特に限定されないが、無機粒子、疎水化処理された無機粒子等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
流動化剤は、一次粒子の平均粒径が1〜100nmの疎水化処理された無機粒子を含むことが好ましく、一次粒子の平均粒径が5〜70nmの疎水化処理された無機粒子を含むことがさらに好ましく、一次粒子の平均粒径が20nm以下の疎水化処理された無機粒子及び一次粒子の平均粒径が30nm以上の疎水化処理された無機粒子を含むことが特に好ましい。
また、流動化剤は、BET法による比表面積が20〜500m2/gであることが好ましい。
無機粒子は、一次粒子の平均粒径が3〜70nmであることが好ましい。一次粒子の平均粒径が3nm未満であると、無機粒子が母体粒子中に埋没することがあり、70nmを超えると、トナーで現像する際に感光体の表面を不均一に傷つけることがある。
無機粒子としては、特に限定されないが、シリカ、アルミナ、チタニア、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、シリカ及びチタニアが好ましい。
シリカ粒子の市販品としては、HDK H 2000、HDK H 2000/4、HDK H 2050EP、HVK21、HDK H 1303(以上、ヘキスト社製)、R972、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812(以上、日本アエロジル社製)等が挙げられる。
チタニア粒子の市販品としては、P−25(日本アエロジル社製)、STT−30、STT−65C−S(以上、チタン工業社製)、TAF−140(富士チタン工業社製)、MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−150A(以上、テイカ社製)等が挙げられる。
無機粒子を疎水化処理することにより、高湿度下においても、トナーの流動特性や帯電特性の低下を抑制することができる。疎水化処理剤としては、特に限定されないが、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイルが挙げられる。
シリコーンオイルとしては、特に限定されないが、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロロフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、(メタ)アクリル変性シリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル等が挙げられる。
疎水化処理されたチタニア粒子としては、T−805(日本アエロジル社製)、STT−30A、STT−65S−S(以上、チタン工業社製)、TAF−500T、TAF−1500T(以上、富士チタン工業社製)、MT−100S、MT−100T(以上、テイカ社製)、IT−S(石原産業社製)等が挙げられる。
トナー中の流動化剤の含有量は、通常、0.1〜5質量%であり、0.3〜3質量%が好ましい。
本発明において、流動化剤と母体粒子を混合する際に、感光体や一次転写媒体に残存する転写後のトナーを除去するためのクリーニング性向上剤を添加してもよい。クリーニング性向上剤としては、特に限定されないが、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等の脂肪酸金属塩;ポリスチレン、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、シリコーン樹脂、ベンゾグアナミン、ナイロン等の重縮合系、熱硬化性樹脂等の樹脂粒子等が挙げられる。樹脂粒子は、ソープフリー乳化重合、懸濁重合、分散重合等により製造することができ、比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01〜1μmであることが好ましい。
本発明のトナーの平均円形度は、0.93〜0.99であることが好ましい。平均円形度が0.93未満であると、トナーの形状が球形から離れすぎるため、転写性が低下して高画質画像が得られないことがある。また、平均円形度が0.99を超えると、感光体や転写ベルトでクリーニング不良が発生し、画像上に汚れが発生することがある。
なお、トナーの平均円形度は、式
(トナーの投影像の面積と同一の面積の円の周囲長)/(トナーの投影像の周囲長)
で定義される円形度の平均値である。
また、平均円形度は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シスメックス社製)を用いて測定し、解析ソフトFPIA−2100 Data Processing Program for FPIA version00−10を用いて解析することにより算出することができる。
本発明のトナーは、形状係数SF−1が100〜150であることが好ましい。SF−1が150を超えると、トナーの形状が異形化し、転写の際のトナーの移動がスムースでなくなることに加え、トナーの挙動にバラツキを生じるため、高い転写効率が得られなくなる。さらに、トナーの帯電が不安定となることに加え、トナーがもろくなることがある。その結果、現像剤中で、トナーが微紛化し、現像剤の耐久性が低下する要因となる。
また、本発明のトナーは、形状係数SF−2が100〜140であることが好ましい。SF−2が140を超えると、転写性が不十分となることがある。
なお、SF−1及びSF−2は、式
SF−1=(L2/A)×(π/4)×100
SF−2=(P2/A)×(1/4π)×100
(式中、Lは、トナーの絶対最大長であり、Aは、トナーの投影面積であり、Pは、トナーの最大周長である。)
で定義される。真球は、SF−1及びSF−2がいずれも100であり、100より値が大きくなるにつれて球形から不定形になる。また、SF−1は、全体の形状(楕円、球等)を表す形状係数であり、SF−2は、表面の凹凸程度を示す形状係数である。
また、SF−1及びSF−2は、電界放出形操作電子顕微鏡S−4200(日立製作所社製)を用いて撮影された写真から無作為に300個のトナーをサンプリングし、その画像情報を、インターフェースを介して、画像解析装置Luzex AP(ニレコ社製)に導入して解析することにより算出することができる。
本発明のトナーは、重量平均粒径が2〜7μmであることが好ましく、2〜5μmがさらに好ましい。重量平均粒径が2μm未満であると、一成分現像剤として用いる場合に、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の部材へのトナーの融着が発生することがある。また、二成分現像剤として用いる場合に、現像装置における長期の攪拌により、キャリアの表面にトナーが融着してキャリアの帯電能力を低下させることがある。一方、重量平均粒径が7μmを超えると、高解像で高画質の画像を形成することが困難になると共に、二成分現像剤として用いる場合に、現像剤中のトナーの収支が行われた場合に、トナーの粒径の変動が大きくなることがある。
また、本発明のトナーは、個数平均粒径に対する重量平均粒径の比が1.00〜1.25であることが好ましく、1.00〜1.15がさらに好ましい。この比が1.25を超えると、現像時にトナーの挙動にバラツキが発生し、微小ドットの再現性が低下し、高品位な画像が得られないことがある。
なお、トナーの重量平均粒径及び数平均粒径は、コールターマルチサイザーII(コールター社製)を用いて測定することができる。
本発明のトナーのガラス転移点は、通常、40〜70℃であり、45〜55℃が好ましい。ガラス転移点が40℃未満であると、トナーの耐熱保存性が低下することがあり、70℃を超えると、低温定着性が低下することがある。
本発明のトナーの周波数が20Hzであるときの貯蔵弾性率が1×104dyne/cm2となる温度TG'は、通常、100℃以上であり、110〜200℃が好ましい。TG'が100℃未満であると、耐ホットオフセット性が低下することがある。
本発明のトナーの周波数が20Hzであるときの粘度が1×103ポイズとなる温度Tηは、通常、180℃以下であり、90〜160℃が好ましい。Tηが180℃を超えると、低温定着性が低下することがある。
TG'−Tηは、通常、0〜100℃であり、10〜90℃が好ましく、20〜80℃がさらに好ましい。TG'−Tηが0℃未満であると、低温定着性と耐ホットオフセット性を両立させることが困難になることがあり、100℃を超えると、耐熱保存性が低下することがある。
本発明の現像剤は、本発明のトナーとキャリアを含むが、キャリアに対するトナーの質量比が1〜10%であることが好ましい。
キャリアとしては、特に限定されないが、粒径が20〜200μmの鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉等が挙げられる。
また、キャリアは、表面が樹脂で被覆されていてもよい。このような樹脂としては、特に限定されないが、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等のアミノ系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル等のアクリル樹脂;ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニル系樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体等のポリスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリカーボネート;ポリエチレン;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフッ素樹脂;シリコーン樹脂等が挙げられる。
また、このような樹脂は、導電粉等を含んでいてもよい。導電粉としては、特に限定されないが、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛等が挙げられる。
導電粉は、平均粒径が1μm以下であることが好ましい。平均粒径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
なお、本発明のトナーは、キャリアを用いずに、磁性トナー又は非磁性トナーとして、用いることができる。
本発明の画像形成方法は、静電潜像担持体に静電潜像を形成する工程と、本発明の現像剤を用いて静電潜像を現像してトナー像を形成する工程と、トナー像を記録媒体に転写する工程と、記録媒体に転写されたトナー像を定着させる工程を有する。
本発明において、トナー像が転写された記録媒体を10〜150N/cm2の面圧で加圧することによりトナー像を定着させることが好ましい。記録媒体を加圧する面圧が10N/cm2未満であると、低温で定着する際に、トナー像の定着強度が不十分となることがあり、150N/cm2を超えると、記録媒体がカールしたり、画質が低下したりすることがある。
なお、記録媒体を加圧する面圧は、圧力分布測定装置PINCH(ニッタ社製)を用いて測定することができる。
また、システム速度が500〜2.5×103mm/秒であることが好ましい。システム速度が500mm/秒未満であると、高速で画像を形成できなくなることに加え、定着ニップ時間(ニップ幅/システム速度)が長くなるため、ホットオフセットが発生することがある。一方、システム速度が2.5×103mm/秒を超えると、定着ニップ時間が短くなるため、定着性が不十分となることがある。
なお、システム速度v[mm/秒]は、A4紙を縦方向に通紙して、100枚連続で画像を形成するのに要する時間t[秒]を測定し、式
v=100×297/t
から求められる。なお、通紙方向のA4紙の長さは297mmである。
図2に、本発明で用いられる画像形成装置の一例を示す。画像形成装置100は、タンデム型カラー画像形成装置であり、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備える。
複写装置本体150の中央部に設けられている中間転写ベルト50は、3個のローラ14、15及び16に張架されている無端ベルトであり、図中、矢印方向に移動することができる。ローラ15の近傍には、トナー像が記録紙に転写された中間転写ベルト50上に残留したトナーを除去するためのクリーニングブレードを有するクリーニング装置90が配置されている。ローラ14及び15により張架された中間転写ベルト50に対向すると共に、搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの画像形成ユニット120Y、120C、120M及び120Kが並置されている。また、画像形成ユニット120の近傍には、露光装置30が配置されている。さらに、中間転写ベルト50の画像形成ユニット120が配置されている側とは反対側には、転写ベルト24が配置されている。なお、転写ベルト24は、一対のローラ22及び23に張架されている無端ベルトであり、転写ベルト24上を搬送される記録紙と中間転写ベルト50は、ローラ16と22の間で接触することができる。また、転写ベルト24の近傍には、一対のローラに張架されている無端ベルトである定着ベルト26と、定着ベルト26に押圧されて配置された加圧ローラ27とを備える定着装置25が配置されている。なお、転写ベルト24及び定着装置25の近傍に、記録紙の両面に画像を形成する場合に、記録紙を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
次に、画像形成装置100を用いて、フルカラー画像を形成する方法について説明する。まず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に、カラー原稿をセットするか、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に、カラー原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした場合は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした場合は、直ちに、スキャナ300が駆動し、光源を備える第1走行体33及びミラーを備える第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33から照射された光の原稿面からの反射光を第2走行体34で反射した後、結像レンズ35を介して、読み取りセンサ36で受光することにより、原稿が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報が得られる。
各色の画像情報は、各色の画像形成ユニット120に伝達され、各色のトナー像が形成される。各色の画像形成ユニット120は、図3に示すように、それぞれ、感光体ドラム10と、感光体ドラム10を一様に帯電させる帯電ローラ20と、静電潜像を各色の現像剤で現像して各色のトナー像を形成する現像装置40と、トナー像を中間転写ベルト50上に転写させるための転写ローラ80と、クリーニングブレードを有するクリーニング装置60と、除電ランプ70とを備える。
各色の画像形成ユニット120で形成された各色のトナー像は、ローラ14、15及び16に張架されて移動する中間転写体50上に順次転写(一次転写)され、重ね合わされて複合トナー像が形成される。
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の一つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の一つから記録紙を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラ51を回転して手差しトレイ54上の記録紙を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、記録紙の紙粉を除去するためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。次に、中間転写ベルト50上に形成された複合トナー像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させることにより、中間転写ベルト50と転写ベルト24との間に記録紙を送出させ、複合トナー像を記録紙上に転写(二次転写)する。なお、複合トナー像を転写した中間転写ベルト50上に残留したトナーは、クリーニング装置90により除去される。
複合トナー像が転写された記録紙は、転写ベルト24により搬送された後、定着装置25により複合トナー像が定着される。次に、記録紙は、切換爪55により搬送経路が切り換えられ、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出される。あるいは、記録紙は、切換爪55により搬送経路が切り換えられ、シート反転装置28により反転され、裏面にも同様にして画像が形成された後、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出される。
なお、画像形成装置100は、各色の画像形成ユニット120で形成された各色のトナー像が中間転写体50上に順次転写(一次転写)され、重ね合わされた後、記録紙上に転写(二次転写)する間接転写方式であるが、各色の画像形成ユニット120で形成された各色のトナー像が記録紙上に順次転写され、重ね合わされる直接転写方式であってもよい。
また、転写ベルト24の代わりに、転写ローラを用いてもよい。
以下、実施例により、本発明をさらに説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。以下、部は、質量部を示す。
[プレポリマーの合成]
冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部及びジブチルスズオキサイド2部を入れ、常圧下、230℃で7時間反応させた後、10〜15mmHgの減圧下で5時間反応させ、中間体ポリエステル1を得た。中間体ポリエステル1は、数平均分子量が2200、重量平均分子量が9700、ガラス転移点が54℃、酸価が0.5KOHmg/g、水酸基価が52KOHmg/gであった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、410部の中間体ポリエステル1、イソホロンジイソシアネート89部及び酢酸エチル500部を入れ、100℃で5時間反応させ、プレポリマー1を得た。プレポリマー1は、遊離イソシアネートの含有量が1.53質量%であった。
[ケチミンの合成]
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170部及びメチルエチルケトン75部を仕込み、50℃で4時間半反応させ、ケチミン1を得た。ケチミン1は、アミン価が417KOHmg/gであった。
[実施例1]
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、イオン交換水683部、メタクリル酸のエチレンオキサイド付加物の硫酸エステルのナトリウム塩エレミノールRS−30(三洋化成工業社製)11部、ポリ乳酸10部、スチレン60部、メタクリル酸100部、アクリル酸ブチル70部及び過硫酸アンモニウム1部を仕込み、3.8×103rpmで30分間撹拌した。次に、75℃まで昇温して4時間反応させた後、1質量%過硫酸アンモニウム水溶液30部を加え、75℃で6時間熟成し、樹脂粒子分散液1を得た。レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所社製)を用いて、樹脂粒子分散液1の体積平均粒径を測定したところ、280nmであった。また、樹脂粒子分散液1の樹脂を単離したところ、ガラス転移点が59℃であり、重量平均分子量が6×104であった。
イオン交換水990部、83部の樹脂粒子分散液1、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3質量%水溶液エレミノールMON−7(三洋化成工業社製)37部及び酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の水系媒体1を得た。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加物329部、テレフタル酸208部、アジピン酸80部及びジブチルスズオキサイド2部を入れ、常圧下、230℃で7時間反応させた後、10〜15mmHgの減圧下で5時聞反応させた。次に、無水トリメリット酸35部を加え、常圧下、180℃で2時間反応させ、ポリエステル1を得た。ポリエステル1は、数平均分子量が2.0×103、重量平均分子量が3.8×103、ガラス転移点が40℃、酸価が25KOHmg/gであった。
イオン交換水1200部、DBP吸油量が42ml/100mg、pHが9.5のカーボンブラックのPrintex35(デクサ社製)540部及び1200部のポリエステル1を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて混合し、2本ロールを用いて110℃で1時間混練した後、圧延冷却し、パルペライザーで粉砕し、マスターバッチ1を得た。
撹拌棒及び温度計をセットした容器に、378部のポリエステル1、ガラス転移点が71℃のパラフィンワックス100部及び酢酸エチル947部を仕込み、撹拌しながら、80℃まで昇温して5時間保持した後、1時間で30℃まで冷却した。次に、500部のマスターバッチ1及び酢酸エチル500部を加えて、1時間混合した。得られた混合液1324部を容器に移し、ビーズミルのウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、送液速度を1kg/時、ディスクの周速度を6m/秒とし、粒径が0.5mmのジルコニアビーズを80体積%充填し、3パスの条件で分散させた。次に、ポリエステル1の65質量%酢酸エチル溶液1324部を加え、上記の条件のビーズミルで2パスし、分散液1を得た。分散液1を130℃で30分間乾燥させたところ、固形分濃度が50質量%であった。
749部の分散液1、115部のプレポリマー1及び2.9部のケチミン1を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化社製)を用いて、5×103rpmで2分間混合した後、1200部の水系媒体1を加え、TKホモミキサーを用いて、1.3×104rpmで25分間混合し、乳化スラリー1を得た。
撹拌機及び温度計をセットした容器に、乳化スラリー1を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、40℃で24時間熟成し、分散スラリー1を得た。
100部の分散スラリー1を減圧濾過した後、濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーを用いて、1.2×104rpmで10分間混合した後、濾過した。得られた濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサーを用いて、1.2×104rpmで30分間混合した後、減圧濾過した。得られた濾過ケーキに10質量%塩酸100部を加え、TKホモミキサーを用いて、1.2×104rpmで10分間混合した後、濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーを用いて、1.2×104rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行い、濾過ケーキを得た。
得られた濾過ケーキを、循風乾燥機を用いて、45℃で48時間乾燥した後、目開きが75μmのメッシュで篩い、母体粒子を得た。
得られた母体粒子100部及び粒径が13nmの疎水化処理されたシリカ1部を、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナーを得た。
[実施例2]
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、イオン交換水683部、メタクリル酸のエチレンオキサイド付加物の硫酸エステルのナトリウム塩エレミノールRS−30(三洋化成工業社製)11部、ポリ乳酸10部、スチレン60部、メタクリル酸100部、アクリル酸ブチル70部及び過硫酸アンモニウム1部を仕込み、3.8×103rpmで20分間撹拌した。次に、75℃まで昇温して3時間反応させた後、1質量%過硫酸アンモニウム水溶液30部を加え、65℃で12時間熟成し、樹脂粒子分散液2を得た。レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所社製)を用いて、樹脂粒子分散液2の体積平均粒径を測定したところ、390nmであった。また、樹脂粒子分散液2の樹脂を単離したところ、ガラス転移点が60℃であり、重量平均分子量が7×104であった。
樹脂粒子分散液1の代わりに、樹脂粒子分散液2を用いた以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
[実施例3]
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、イオン交換水683部、メタクリル酸のエチレンオキサイド付加物の硫酸エステルのナトリウム塩エレミノールRS−30(三洋化成工業社製)11部、ポリ乳酸10部、スチレン60部、メタクリル酸100部、アクリル酸ブチル70部及び過硫酸アンモニウム1部を仕込み、2.0×103rpmで20分間撹拌した。次に、75℃まで昇温して3時間反応させた後、1質量%過硫酸アンモニウム水溶液30部を加え、65℃で12時間熟成し、樹脂粒子分散液3を得た。レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所社製)を用いて、樹脂粒子分散液3の体積平均粒径を測定したところ、640nmであった。また、樹脂粒子分散液3の樹脂を単離したところ、ガラス転移点が59℃であり、重量平均分子量が1.2×105であった。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加物264部、テレフタル酸208部、アジピン酸80部及びジブチルスズオキサイド2部を入れ、常圧下、230℃で9時間反応させた後、10〜15mmHgの減圧下で5時聞反応させた。次に、無水トリメリット酸35部を加え、常圧下、180℃で2時間反応させ、ポリエステル2を得た。ポリエステル2は、数平均分子量が1.8×103、重量平均分子量が3.5×103、ガラス転移点が38℃、酸価が25KOHmg/gであった。
樹脂粒子分散液1及びポリエステル1の代わりに、樹脂粒子分散液3及びポリエステル2を用いた以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
[実施例4]
ポリエステル1の代わりに、ポリエステル2を用いた以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
[比較例1]
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、イオン交換水683部、メタクリル酸のエチレンオキサイド付加物の硫酸エステルのナトリウム塩エレミノールRS−30(三洋化成工業社製)11部、ポリ乳酸10部、スチレン60部、メタクリル酸100部、アクリル酸ブチル70部及び過硫酸アンモニウム1部を仕込み、3.8×103rpmで30分間撹拌した。次に、75℃まで昇温して4時間反応させた後、1質量%過硫酸アンモニウム水溶液30部を加え、75℃で6時間熟成し、樹脂粒子分散液4を得た。レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所社製)を用いて、樹脂粒子分散液4の体積平均粒径を測定したところ、105nmであった。また、樹脂粒子分散液4の樹脂を単離したところ、ガラス転移点が58℃であり、重量平均分子量が1.4×105であった。
樹脂粒子分散液1の代わりに、樹脂粒子分散液4を用いた以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。トナーは、コアシェル構造を有さなかった。
[比較例2]
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、イオン交換水683部、メタクリル酸のエチレンオキサイド付加物の硫酸エステルのナトリウム塩エレミノールRS−30(三洋化成工業社製)11部、ポリ乳酸10部、スチレン60部、メタクリル酸100部、アクリル酸ブチル70部及び過硫酸アンモニウム1部を仕込み、1.5×103rpmで20分間撹拌した。次に、75℃まで昇温して3時間反応させた後、1質量%過硫酸アンモニウム水溶液30部を加え、65℃で12時間熟成し、樹脂粒子分散液5を得た。レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所社製)を用いて、樹脂粒子分散液5の体積平均粒径を測定したところ、720nmであった。また、樹脂粒子分散液5の樹脂を単離したところ、ガラス転移点が57℃であり、重量平均分子量が1.2×105であった。
樹脂粒子分散液1の代わりに、樹脂粒子分散液5を用いた以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
[比較例3]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加物529部、テレフタル酸208部、アジピン酸46部及びジブチルスズオキサイド2部を入れ、常圧下、230℃で10時間反応させた後、10〜15mmHgの減圧下で8時聞反応させた。次に、無水トリメリット酸70部を加え、常圧下、180℃で3時間反応させ、ポリエステル3を得た。ポリエステル3は、数平均分子量が2.8×103、重量平均分子量が7.3×103、ガラス転移点が47℃、酸価が25KOHmg/gであった。
ポリエステル1の代わりに、ポリエステル3を用いた以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
得られたトナーの物性を表1に示す。
(コアの軟化指数Ct及びシェルの熱的硬さSt)
フローテスターCFT−500D(島津製作所社製)を用いて評価した。具体的には、まず、トナー1gを直径1cmの円柱状に加圧成型し、錠剤化したトナーTを得た。次に、図1(a)に示すように、シリンダーCに入れた錠剤化したトナーTを200秒間予熱して、Ts(50℃)まで昇温した。さらに、プランジャーPにより一定の荷重(2〜25kg)を印加しながら、加熱体Hを3℃/分で流出終了温度Tendまで昇温させることにより、溶融したトナーT'をダイDから流出させて、図1(b)に示すように、加熱体Hの温度に対するプランジャーPの降下量を測定した。なお、直径が0.5mm、長さが1.0mmのダイを用いた。
(シェルの厚さ)
トナーをエポキシ系樹脂に包埋して硬化させた後、四酸化ルテニウムで5分間ガス暴露することでシェルとコアを識別染色した。次に、ナイフで断面出しして、ウルトラミクロトームULTRACUT UCT(Leica社製)を用いて、厚さが200nmのトナーの超薄切片を作製した。さらに、TEM(透過型電子顕微鏡)H7000(日立ハイテク社製)を用いて、加速電圧100kVでトナーの超薄切片を観察し、シェルの厚さを測定した。このとき、トナー10粒子のシェルの厚さを測定し、平均値を算出した。
(平均円形度)
フロー式粒子像分析装置FPIA−2100及び解析ソフトFPIA−2100 Data Processing Program for FPIA version00−10(シスメックス社製)を用いて、平均円形度を測定した。具体的には、まず、ガラス製の100mlビーカーに10質量%界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)ネオゲンSC−A(第一工業製薬社製)0.1〜0.5ml及びトナー0.1〜0.5gを添加し、ミクロスパーテルでかき混ぜた後、イオン交換水80mlを添加した。得られた分散液を、超音波分散器(本多電子社製)を用いて3分間分散させた際の濃度が5000〜15000個/μlとなる場合の平均円形度を測定した。
(形状係数SF−1及びSF−2)
FE−SEM(S−4200)(日立製作所社製)を用いて撮影されたトナーのSEM像を300個無作為にサンプリングし、その画像情報を、インターフェースを介して、画像解析装置Luzex AP(ニレコ社製)に導入して解析し、形状係数SF−1及びSF−2を算出した。
(数平均粒径Dn及び重量平均粒径D4)
コールターマルチサイザーII(コールター社製)を用いて、数平均粒径及び重量平均粒径を測定した。具体的には、まず、電解液ISOTON−II(コールター社製)100〜150ml中に、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)0.1〜5mlを加えた。次に、トナー2〜20mgを加え、超音波分散器を用いて約1〜3分間分散させた。得られた試料分散液の数平均粒径及び重量平均粒径を、100μmアパーチャーを用いて測定した。なお、チャンネルとしては、2.00〜2.52μm;2.52〜3.17μm;3.17〜4.00μm;4.00〜5.04μm;5.04〜6.35μm;6.35〜8.00μm;8.00〜10.08μm;10.08〜12.70μm;12.70〜16.00μm;16.00〜20.20μm;20.20〜25.40μm;25.40〜32.00μm;32.00〜40.30μmの13チャンネルを使用し、粒径が2.00〜40.30μmの粒子を測定対象とした。
[キャリアの作製]
トルエン450部、不揮発分50質量%のシリコーン樹脂SR2400(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)450部、アミノシランSH6020(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)10部及びカーボンブラック10部を、スターラーを用いて、10分間分散し、被覆層用塗布液を調製した。得られた被覆層用塗布液と重量平均粒径が35μmのMnフェライト5000部を、流動床内に回転式底板ディスクと攪拌羽根を設け、旋回流を形成させながら塗布する塗布装置に投入して、被覆層用塗布液をMnフェライトに塗布した。次に、電気炉を用いて、250℃で2時間焼成し、平均厚さが0.5μmの被覆層が形成されたキャリアを得た。
[現像剤の作製]
キャリア100部及びトナー7部を、容器が転動して攪拌される型式のターブラーミキサーを用いて、均一に混合して帯電させ、現像剤を得た。
[現像剤の評価]
imagio MP C7500の現像部と定着部を改造したものを用いて、現像剤を評価した。具体的には、システム速度が1700mm/秒になるように、現像ギャップを1.26mm、ドクタブレードギャップを1.6mm、反射型フォトセンサ機能をOFFとした状態で使用した。また、定着部の定着ユニットは、トナー像が転写された記録紙を定着ロールが加圧する面圧を39N/cm2、定着ニップ幅を10mmとした。なお、定着ロールとしては、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を表面に塗布、成形して、表面を調整したものを使用した。また、感光体、現像装置及び転写装置の実温度領域が30〜45℃になるように制御した。さらに、定着ロールの加熱温度を150℃に設定した。
現像剤の評価結果を表2に示す。
(低温定着性)
画像面積率が3%のチャートを2万枚連続出力した後、定着ロールの温度を5℃ずつ変化させて画像を形成することにより、低温定着性を評価した。具体的には、X−Rite 938を用いて測定される画像濃度が1.2となるように画像を形成した後、砂消しゴムを装着したクロックメーターを用いて10回擦り、擦った後の画像濃度が擦る前の画像濃度の70%以上となる温度を、定着下限温度とした。このとき、記録紙としては、フルカラーPPC用紙タイプ6200(リコー社製)を用いた。なお、従来のシステム(imagio MP C6000)と比較して、定着下限温度が20℃以上低いものを◎、10℃以上20℃以下低いものを○、0℃以上10℃未満低いものを△、高いものを×として、判定した。
(耐熱保存性)
タッピング装置を用いて、トナー10gを入れた20mlのガラス容器を100回タッピングした後、高温高湿環境(55℃、80%RH)又は低温低湿環境(10℃、15%RH)に48時間保存し、針入度試験器(日科エンジニアリング マニュアル記載条件)を用いて、針入度を測定した。なお、高温高湿環境及び低温低湿環境のうち、針入度が小さい方の値が20mm以上であるものを◎、15mm以上20mm未満であるものを○、10mm以上15mm未満であるものを△、10mm未満であるものを×として、判定した。
(現像安定性)
画像面積率が3%及び60%のチャートを1万枚連続出力し、ブローオフ法を用いて、トナーの帯電量の変化を測定することにより、現像安定性を評価した。具体的には、両端に金網を配置した円筒形のファラデーケージに現像剤を入れ、高圧空気により現像剤からトナーを脱離した後、エレクトロメーターを用いて、トナーに残留した電荷を測定した。このとき、トナーの質量は、ブローオフ前後のファラデーケージの質量差から求めた。画像面積率が3%及び60%のうち、トナーの帯電量の変化が大きい方の値が5μC/g未満であるものを○、5μC/g以上10μC/g未満であるものを△、10μC/g以上であるものを×として、判定した。
(巻き付き)
画像面積率が3%のチャートを2万枚連続出力した後、定着ロールの温度を5℃ずつ変化させ、画像を形成することにより、巻き付きを評価した。このとき、記録紙としては、フルカラーPPC用紙タイプ6200(リコー社製)を用いた。なお、従来のシステム(imagio MP C6000)と比較して、巻き付きが発生する温度が20℃以上高いものを◎、10℃以上20℃未満高いものを○、0℃以上10℃未満高いものを△、低いものを×として、判定した。