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JP2010201565A - エンドミル - Google Patents

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元基 松本
Yoshimitsu Oita
義光 大分
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Abstract

【課題】エンドミル本体を縦送りして切削を行う場合に、底刃によって切削される加工面の精度や品位の向上を図ることができるとともに、エンドミル本体先端の回転中心から離れた位置までに形成される底刃の損傷を防いでエンドミル寿命の延長を図ることが可能なエンドミルを提供する。
【解決手段】軸線O回りに回転されるエンドミル本体1の先端に、外周側から内周側に向かう複数の底刃9が周方向に間隔をあけて形成されており、これら底刃9のうち少なくとも1つの底刃9Aは、エンドミル本体1先端において内周側に向けて軸線Oの近傍にまで延びている一方、他の底刃9Bは、内周側に向けて軸線Oとは間隔をあけた位置までに延びているとともに、内周側に向かうに従い底刃9Aよりも大きな傾斜角でエンドミル本体1の後端側に傾斜している。
【選択図】図2

Description

本発明は、エンドミル本体をその軸線回りに回転させつつ、該軸線に直交する方向に送り出して切削を行うほかに、この軸線方向の先端側にも送り出して、被削材に傾斜した溝や凹孔等を形成することが可能なエンドミルに関するものである。
このように、エンドミル本体をその軸線方向の先端側にも送り出して、すなわち縦送りすることが可能なエンドミルとしては、例えば特許文献1に、複数の底刃のうち、少なくとも一の底刃は、エンドミル本体先端の回転中心の近傍から外周側に延びるとともに0°または負の径方向すくい角が付されるように形成され、かつ他の底刃は回転中心から離間した位置から外周側に延びるとともに、上記少なくとも一の底刃よりも正角側に大きな径方向すくい角が付されるように形成されたものが開示されている。
このようなエンドミルでは、エンドミル本体を縦送りした際に大きな押し込み力が作用する、工具回転中心の近傍部分に対向する被削材部位を切削する上記少なくとも一の底刃に、0°または負の径方向すくい角を付すことによって高い切刃強度を与え、このような被削材部位の切削で作用する過大な切削荷重に抗して切刃に欠損等が生じるのを防ぐことができる。
実開平6−66910号公報
ところで、この特許文献1に記載のエンドミルでは、縦送りの際にエンドミル本体先端の上記回転中心近傍に対向する被削材部位は、上述のようにこの回転中心近傍まで延びる上記少なくとも一の底刃で切削される一方で、エンドミル本体先端の外周側に対向する被削材部位は、この少なくとも一の底刃と他の底刃とのエンドミル本体先端に形成されたすべての底刃で切削されることになる。
ところが、こうしてエンドミル本体先端の回転中心近傍に対向する被削材部位と外周側に対向する被削材部位とで切削に関与する底刃が異なると、縦送りの送り量によってはこれらの被削材部位の境界部に段差が生じて加工面の精度や品位を損なうおそれがある。また、その一方で、上記他の底刃の回転中心から離間した内周端は、この他の底刃のうちでは最も回転中心に近いため、縦送りの際の上記押し込み力も高くなり、欠損等が生じ易いという問題もある。
本発明は、このような背景の下になされたもので、上述のようにエンドミル本体を縦送りして切削を行う場合に、底刃によって切削される加工面の精度や品位の向上を図ることができるとともに、エンドミル本体先端の回転中心から離れた位置までに形成される底刃の損傷を防いでエンドミル寿命の延長を図ることが可能なエンドミルを提供することを目的としている。
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は、軸線回りに回転されるエンドミル本体の先端に、外周側から内周側に向かう複数の底刃が周方向に間隔をあけて形成されており、上記底刃のうち少なくとも1つの底刃は、上記エンドミル本体の先端において内周側に向けて上記軸線の近傍にまで延びている一方、他の底刃は、内周側に向けて上記軸線とは間隔をあけた位置までに延びているとともに、内周側に向かうに従い上記少なくとも1つの底刃よりも大きな傾斜角で上記エンドミル本体の後端側に傾斜していることを特徴とする。
このように構成されたエンドミルでは、エンドミル本体先端における軸線近傍すなわち回転中心まで延びる少なくとも1つの底刃に対して、この軸線とは間隔をあけた位置まで延びる他の底刃が、内周側に向かうに従い大きな傾斜角でエンドミル本体後端側に傾斜しているので、エンドミル本体を縦送りしたときには、主に軸線近傍まで延びる上記少なくとも1つの底刃だけが切削に関与することになる。このため、被削材の切削部位によって他の底刃が関与することがなくなって、該底刃による加工面に段差が生じたりするのを防ぐことができる。
また、こうして他の底刃が切削に関与することがないため、縦送りの際にこの他の底刃に押し込み力が作用することもなく、欠損等の損傷が生じるのも防ぐことができる。特にこの他の底刃は、上記少なくとも1つの底刃よりも大きな傾斜角で内周側に向かうに従い後端側に傾斜しているので、この少なくとも1つの底刃に対する後退量は内周側に向けて漸次大きくなってその内周端で最大となるため、この他の底刃の内周端での損傷を確実に防止することが可能となる。
さらに、この他の底刃を、上記エンドミル本体の先端の内周側で、外周側よりもさらに大きな傾斜角で内周側に向かうに従い上記エンドミル本体の後端側に傾斜させることにより、縦送りの際にこの他の底刃の内周端が切削に関与するのを一層確実に防止することができる。しかも、こうして他の底刃の内周側を外周側よりも大きく傾斜させることにより、上記少なくとも1つの底刃の軸線近傍まで延びた部分の周辺に空間を形成してチップポケットを確保することができるので、かかる部分により生成された切屑が詰まりを生じて切削抵抗の増大や加工面精度等の劣化を招いたりするのも防ぐことができる。
なお、上記少なくとも1つの底刃と他の底刃との傾斜角の差は、これが小さすぎると、縦送りの送り量によっては他の底刃の特に内周側が切削に関与してしまって上述のような作用効果が得られなくなるおそれがあり、逆に大きすぎると、例えばスクエアエンドミルの場合などには他の底刃の外周端で外周刃との交差角が小さくなって欠損を生じ易くなるおそれがある。このため、これら少なくとも1つの底刃と他の底刃とのエンドミル本体先端外周側における上記傾斜角の差は2〜5°の範囲内とされるのが望ましい。
以上説明したように、本発明によれば、エンドミル本体を縦送りして切削を行う場合に、底刃のうちエンドミル本体先端の軸線近傍まで延びる少なくとも1つの底刃だけを主に切削に関与するようにして、該底刃による加工面の精度や品位の向上を図るとともに、他の底刃の特に内周端における欠損等を防いで、寿命の長いエンドミルを提供することが可能となる。
本発明の第1の実施形態を示す側面図である。 図1に示す実施形態を軸線O方向先端側から見た拡大正面図である。 図2におけるAA断面(第1の底刃9Aに沿った断面)図である。 図2におけるBB断面(第2の底刃9Bに沿った断面)図である。 本発明の第2の実施形態を軸線方向先端側から見た拡大正面図である。 図5におけるBB断面(第2の底刃9Bに沿った断面)図である。
図1ないし図4に示す本発明の第1の実施形態において、エンドミル本体1は、超硬合金等の硬質材料によって形成されて軸線Oを中心とした概略円柱状をなし、その後端側部分(図1において右側部分)は円柱状のままのシャンク部2とされるとともに先端側部分(図1において左側部分)は切刃部3とされ、シャンク部2が工作機械の主軸に保持されて軸線O回りにエンドミル回転方向Tに回転されつつ被削材に対して送り出されることにより、上記切刃部3によって被削材に切削加工を施してゆく。
切刃部3の外周には、その先端から後端側に向けて軸線O回りにエンドミル回転方向T後方側に捩れる複数(本実施形態では4条)の切屑排出溝4が形成されており、これらの切屑排出溝4のエンドミル回転方向T側を向く壁面は、軸線Oに直交する断面においてエンドミル回転方向Tの後方側に凹む凹曲線状をなしていて、その外周側辺稜部には、それぞれ外周刃5が形成されている。従って、上記壁面はこの外周刃5のすくい面すなわち外周刃すくい面6とされ、本実施形態では4条の外周刃5が、その外周刃すくい面6が形成された切屑排出溝4の捩れに合わせて螺旋状に捩れるように形成されている。
一方、エンドミル本体1の先端部には、上記切屑排出溝4から内周側に延びるギャッシュ7が形成されており、このギャッシュ7のエンドミル回転方向Tを向く壁面は、断面凹曲線状をなす上記外周刃すくい面6の先端側部分を平面状に切り欠くように形成されている。そして、この壁面の先端側辺稜部すなわち該壁面とエンドミル本体1先端の先端逃げ面8との交差稜線部に、上記外周刃5の先端からそれぞれエンドミル本体1の内周側に延びる底刃9が形成されている。
従って、本実施形態では、上記ギャッシュ6の壁面が底刃9のすくい面すなわち底刃すくい面10とされて、外周刃5と同じく複数(4条)の底刃9が、図2に示すように軸線O方向先端側から見てエンドミル本体1先端の外周端から内周側に向けて直線状に延びるように形成されることになる。なお、本実施形態のエンドミルは、外周刃5の軸線O回りの回転軌跡が該軸線Oを中心とする略円筒状とされるとともに、この外周刃5と底刃9とが同回転軌跡で角度をもって交差するスクエアエンドミルとされている。
ここで、これら複数の底刃9は図2に示すように、外周刃5と交差するその外周端からエンドミル本体1先端における軸線O近傍まで延びる2条の第1の底刃(図2において上下方向に延びる底刃。本発明における少なくとも1つの底刃)9Aと、外周端から内周側に向けてこれら第1の底刃9Aよりも上軸線Oとは間隔をあけた位置までに延びる2条の第2の底刃(図2において左右方向に延びる底刃。本発明における他の底刃)9Bとが、周方向に交互に配置されて構成されている。
ただし、上記第1の底刃9Aは、エンドミル本体1先端において軸線Oに交差させられてはおらず、その内周端はこの軸線Oとの間に僅かな間隔をあけて位置させられていて、これら第1の底刃9Aの内周端同士の間には、該第1の底刃9Aの先端逃げ面8同士が交差してなるチゼル部11が形成されていて、このチゼル部11が軸線Oと交差させられている。また、これら第1、第2の底刃9A、9Bは本実施形態では周方向に等間隔に形成されており、従ってエンドミル本体1は軸線Oを中心として180°回転対称に形成されている。
さらに、本実施形態では、このように第1、第2の底刃9A、9Bの内周端の位置を異なるものとするのに、第1の底刃9Aの底刃すくい面10が形成されたギャッシュ7を、第2の底刃9Bに連なる先端逃げ面8を越えて、軸線Oに対する径方向において第1の底刃9Aが延びる側とは反対側まで延設するようにしており、こうして延設された第1の底刃9Aのギャッシュ7と、そのエンドミル回転方向T側に隣接する第2の底刃9Bのギャッシュ7とは、エンドミル本体1先端の内周側で連通させられている。
そして、これらの底刃9には、それぞれその外周端から内周側に向かうに従いエンドミル本体1の後端側に向かうように軸線Oに垂直な平面に対して傾斜角(すかし角あるいは中低角)が与えられており、このうち図3に示す第1の底刃9Aに与えられる傾斜角αに対して、図4に示す第2の底刃9Bに与えられる傾斜角βが大きくされている。ここで、これらの傾斜角の差β−αは、2〜5°の範囲内とされるのが望ましく、本実施形態ではα=2°、β=5°でβ−α=3°とされている。
従って、このようなエンドミルによって、そのエンドミル本体1を軸線O方向先端側にも送り出して被削材に傾斜した溝や凹孔を形成する縦送りの際には、底刃9のうち切削に関与するのは主として小さい傾斜角αの第1の底刃9Aとなる。そして、この第1の底刃9Aは、外周刃5と交差するその外周端からエンドミル本体1先端の軸線O近傍まで延びていて、該底刃9による被削材の加工部位を一様に切削することができるので、上記構成のエンドミルによれば、この底刃9による加工面に段差などが形成されるのを避けることができ、縦送りの際の加工面精度や加工面品位の向上を図ることができる。
その一方で、第2の底刃9Bは、外周端から内周側に向かうに従い第1の底刃9Aよりも大きな傾斜角βでエンドミル本体1の後端側に傾斜するため、その内周端で第1の底刃9Aに対して最も大きく軸線O方向に後退することになる。従って、この第2の底刃9Bの内周端が切削に関与することは殆どなく、このため切削負荷や縦送りの際の押し込み力が作用することもないので、第2の底刃9Bの内周端に欠損等の損傷が生じたりするのを防止することができ、これによりエンドミル寿命の延長を図ることが可能となる。
なお、第1の実施形態では、この第2の底刃9Bも第1の底刃9Aと同様に一直線状に内周側に向かうに従いエンドミル本体1後端側に向かうように傾斜しているが、上述のような第2の底刃9Bの内周端における損傷をより確実に防止するには、図5及び図6に示す本発明の第2の実施形態のように、この第2の底刃9Bを、エンドミル本体1先端の内周側で、外周側よりもさらに大きな傾斜角γでエンドミル本体1後端側に傾斜するように折れ線状に形成するのが望ましい。なお、この第2の実施形態において、第1の実施形態と共通する部分には同一の符号を配してある。
ここで、この第2の実施形態では、第1の実施形態において第2の底刃9Bに連なる先端逃げ面8の内周側の部分を、内周側に向かうに従い外周側部分よりも大きな上記傾斜角γで傾斜平面状に切り欠くことにより、この先端逃げ面8と底刃すくい面10との交差稜線部である第2の底刃9Bを上述のような折れ線状としている。なお、エンドミル本体1の第1の底刃9Aに沿った断面は図3に示した第1の実施形態と同様であるので、図示は省略する。
従って、このような第2の実施形態のエンドミルでは、第2の底刃9Bの内周端を第1の実施形態よりもさらにエンドミル本体1の後端側に後退した位置に配置することができるので、この内周端に切削負荷や押し込み力が作用するのを確実に回避して損傷の発生をより効果的に防止することができる。
しかも、このように第2の底刃9Bの内周側がより大きな傾斜角γで後退することにより、そのエンドミル回転方向T後方側に隣接する第1の底刃9Aのエンドミル回転方向T側には、ギャッシュ7を拡げるようにしてより大きな空間が形成される。従って、こうして形成された空間により、縦送りの際に主として切削に関与する第1の底刃9Aのチップポケットを大きく確保することができるので、本第2の実施形態によれば、第1の底刃9Aにより生成される切屑をこのチップポケットに収容して円滑に排出することができ、このような切屑の詰まりによって切削抵抗が増大したり、加工面が傷付けられてその品位や精度が損なわれたりするのを防止することが可能となる。
なお、これら第1、第2の実施形態において、第1の底刃9Aの傾斜角αに対する第2の底刃9Bの外周側部分における傾斜角βの差は、上述のように2〜5°の範囲内とされるのが望ましい。これら傾斜角α、βの差α−βが小さすぎると、縦送りの際の送り量が大きい場合には第2の底刃9Bも切削に関与することになって上述の効果を確実に奏功することができなくなるおそれがあり、逆に傾斜角α、βの差α−βが大きすぎると、特にこれら第1、第2の実施形態のように本発明をスクエアエンドミルに適用した場合には、第2の底刃9Bの外周端において外周刃5との交差角が小さくなり、この外周端に欠損等を生じ易くなってしまう。
また、このようにスクエアエンドミルに適用する以外にも、本発明は、例えば底刃9の外周端において外周刃5との間に凸円弧状をなすコーナR刃が形成されたラジアスエンドミルに適用することも可能である。また、本実施形態では第1、第2の底刃9A、9Bが、図2に示すように周方向において交互に、かつ等間隔に位置するように配置されているが、例えば切屑排出溝4の溝幅を第1の底刃9Aと第2の底刃9Bとに連なるもの同士で異なるものとしたり、あるいは切屑排出溝4の捩れ角を異なるものとしたりして、エンドミル本体1先端の底刃9の間隔が、エンドミル回転方向Tの後方側に向けて第1の底刃9Aから第2の底刃9Bまでと、第2の底刃9Bから第1の底刃9Aまでとで、異なるようにしてもよい。
1 エンドミル本体
3 切刃部
4 切屑排出溝
5 外周刃
6 外周刃すくい面
7 ギャッシュ
8 先端逃げ面
9 底刃
9A 第1の底刃(少なくとも1つの底刃)
9B 第2の底刃(他の底刃)
10 底刃すくい面
O エンドミル本体1の軸線
T エンドミル回転方向
α 第1の底刃9Aの傾斜角
β 第2の底刃9Bの傾斜角
γ 第2の底刃9Bの内周側部分の傾斜角

Claims (3)

  1. 軸線回りに回転されるエンドミル本体の先端に、外周側から内周側に向かう複数の底刃が周方向に間隔をあけて形成されており、上記底刃のうち少なくとも1つの底刃は、上記エンドミル本体の先端において内周側に向けて上記軸線の近傍にまで延びている一方、他の底刃は、内周側に向けて上記軸線とは間隔をあけた位置までに延びているとともに、内周側に向かうに従い上記少なくとも1つの底刃よりも大きな傾斜角で上記エンドミル本体の後端側に傾斜していることを特徴とするエンドミル。
  2. 上記他の底刃は、上記エンドミル本体の先端の内周側で、外周側よりもさらに大きな角度で内周側に向かうに従い上記エンドミル本体の後端側に傾斜していることを特徴とする請求項1に記載のエンドミル。
  3. 上記エンドミル本体の先端の外周側における上記少なくとも1つの底刃と他の底刃との上記傾斜角の差が2〜5°の範囲内とされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエンドミル。
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