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JP2010257564A - 垂直磁気記録媒体 - Google Patents

垂直磁気記録媒体 Download PDF

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JP2010257564A JP2010029401A JP2010029401A JP2010257564A JP 2010257564 A JP2010257564 A JP 2010257564A JP 2010029401 A JP2010029401 A JP 2010029401A JP 2010029401 A JP2010029401 A JP 2010029401A JP 2010257564 A JP2010257564 A JP 2010257564A
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Abstract

【課題】 補助記録層の膜厚を保ち、OW特性を良好な状態に保持しつつ、トラック幅を狭小化してSNRを向上させるという、トラック幅とSNRとの両立を図り、高記録密度化の達成が可能な垂直磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明にかかる垂直磁気記録媒体100の構成は、基体上に少なくとも、柱状に連続して成長したCoCrPtからなる磁性粒子の間に非磁性の粒界部を形成したグラニュラ構造を有し信号を記録する磁気記録層122と、補助記録層126とを、この順に備える垂直磁気記録媒体において、補助記録層は、基体主表面の面内方向に磁気的にほぼ連続した磁性層である非グラニュラ補助記録層126bと、非グラニュラ補助記録層の下に設けられ、非グラニュラ補助記録層に比較して保磁力が高く、グラニュラ構造を有するグラニュラ補助記録層126aと、を含むことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、垂直磁気記録方式のHDD(ハードディスクドライブ)などに搭載される垂直磁気記録媒体に関するものである。
近年の情報処理の大容量化に伴い、各種の情報記録技術が開発されている。特に磁気記録技術を用いたHDDの面記録密度は年率100%程度の割合で増加し続けている。最近では、HDD等に用いられる2.5インチ径の磁気記録媒体にして、1枚あたり200GByteを超える情報記録容量が求められるようになってきていて、このような要請にこたえるためには1平方インチあたり400GBitを超える情報記録密度を実現することが求められる。
HDD等に用いられる磁気記録媒体において高記録密度を達成するために、近年、垂直磁気記録方式が提案されている。垂直磁気記録方式に用いられる垂直磁気記録媒体は、磁気記録層の磁化容易軸が基板面に対して垂直方向に配向するよう調整されている。垂直磁気記録方式は従来の面内記録方式に比べて、超常磁性現象により記録信号の熱的安定性が損なわれ、記録信号が消失してしまう、いわゆる熱揺らぎ現象を抑制することができるので、高記録密度化に対して好適である。
垂直磁気記録方式に用いる磁気記録媒体としては、高い熱安定性と良好な記録特性を示すことから、CoCrPt−SiO垂直磁気記録媒体(非特許文献1参照)が提案されている。これは磁気記録層において、Coのhcp構造(六方最密結晶格子)の結晶が柱状に連続して成長した磁性粒子の間に、SiOが偏析した非磁性の粒界部を形成したグラニュラ構造を構成し、磁性粒子の微細化と保磁力Hcの向上をあわせて図るものである。非磁性の粒界(磁性粒子間の非磁性部分)には酸化物を用いることが知られていて、例えばSiO、Cr、TiO、TiO、Taのいずれか1つを用いることが提案されている(特許文献1)。
ところで、高記録密度化のために重要な要素としては、上記の保磁力Hcや逆磁区核形成磁界Hnなどの静磁気特性の向上と、オーバーライト特性(OW特性)やSNR(Signal Noise Ratio)、トラック幅の狭小化などの電磁変換特性の向上がある。
なかでもOW特性を向上させるために、磁気記録層の上方または下方に補助記録層を設ける技術が存在する。補助記録層は基体主表面の面内方向に磁気的にほぼ連続した磁性層であり、磁気記録層に対して磁気的相互作用を及ぼして、逆磁区核形成磁界Hnを向上させることにより、OW特性を向上させている。
特開2006−024346号公報
T. Oikawa et. al.、 IEEE Trans. Magn、 vol.38、 1976-1978(2002)
しかし補助記録層を設けると、OW特性の向上と引き換えに、いわゆる「書きにじみ」が生じ、トラック幅が増大する。また書きにじみは隣接する記録ビットやトラックに対して影響を及ぼし、隣接するトラックの信号品質を劣化させる。すなわち、補助記録層は、保磁力Hcを下げてSNRを向上させ、線記録密度の向上による面記録密度の向上を本来目的としているが、このように、補助記録層の存在による隣接トラックへの影響がトラック密度を低下させ、面記録密度の低下の原因となってしまう。
一方、補助記録層の膜厚を薄くして、書きにじみを回避しようとすると、こんどは記録自体が困難になり(OW特性悪化)、ノイズの増加を引き起こす。
これらのことから補助記録層は適切な膜厚に成膜する必要がある。しかし、補助記録層の挙動は膜厚に対して非常に敏感であり、わずかでも理想値からずれると、書きにじみが増大したり、OW特性が悪化したりしてしまう。すなわち、補助記録層において書きにじみとOW特性はトレードオフの関係にあり、かつ安定して所望のバランスを得ることは難しい。
本発明は、このような課題に鑑み、補助記録層の膜厚を保ち、OW特性を良好な状態に保持しつつ、トラック幅を狭小化してSNRを向上させるという、トラック幅とSNRとの両立を図ることで、高記録密度化の達成が可能な垂直磁気記録媒体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために発明者は鋭意検討し、補助記録層を2層構造とし、磁気記録層に近い側の1層をグラニュラ構造を有する層とし、これを、遠い側の1層に対するピン層(磁化方向固定層)として作用させることを着想し、本発明を完成するに到った。
すなわち、上記課題を解決するために本発明にかかる垂直磁気記録媒体の代表的な構成は、基体上に少なくとも、柱状に連続して成長したCoCrPtからなる磁性粒子の間に非磁性の粒界部を形成したグラニュラ構造を有し信号を記録する磁気記録層と、補助記録層とを、この順に備える垂直磁気記録媒体において、前記補助記録層は、基体主表面の面内方向に磁気的にほぼ連続した磁性層である非グラニュラ補助記録層と、前記非グラニュラ補助記録層の下に設けられ、前記非グラニュラ補助記録層に比較して保磁力が高く、グラニュラ構造を有するグラニュラ補助記録層を含むことを特徴とする。
換言すれば、本発明にかかる垂直磁気記録媒体の代表的な構成は、基体上に少なくとも、柱状に連続して成長したCoCrPtを含む合金からなる磁性粒子の間に非磁性の粒界部を形成したグラニュラ構造を有する磁気記録層と、CoPtを含む補助記録層とを、この順に備える垂直磁気記録媒体において、前記補助記録層は、基体主表面の面内方向に磁気的にほぼ連続した磁性層である非グラニュラ補助記録層と、非グラニュラ補助記録層に接して直下に設けられ、前記磁気記録層と同様の材料及び構造を有するグラニュラ補助記録層を含むことを特徴とする。
上記の構成によれば、保磁力の高いグラニュラ補助記録層が、非グラニュラ補助記録層のピン層として作用する。したがって、通常、補助記録層を厚くすれば書きにじみが増えるところ、厚い補助記録層を設けてもトラック幅を狭小化(書きにじみ減少)することができ、SNRが向上する。このように、トラック幅とSNRとの両立が図れる。
上記のグラニュラ補助記録層は、磁気記録層に比較してCrのat%が小さくCoPtのat%が大きいとよい。換言すれば、上記のグラニュラ補助記録層の磁性粒は、前記磁気記録層の磁性粒に比較してCrのat%が同等以下でPtのat%が同等以上であるとよい。かかる組成によれば、磁気記録層よりグラニュラ補助記録層の磁気異方性Kuのほうが高くなり、非グラニュラ補助記録層のピン層として理想的に作用すると考えられる。
上記の磁気記録層のCr濃度(A)とグラニュラ補助記録層のCr濃度(B)の差(A−B)が1at%以上であり、4at%以下であるとよい。換言すれば、上記の磁気記録層の磁性粒のCr濃度(A)とグラニュラ補助記録層の磁性粒のCr濃度(B)の差(A−B)が1at%以上であり、4at%以下であるとよい。すなわち金属層において、Cr濃度の差(A−B)が1at%以上であり、4at%以下であるとよい。
上記のグラニュラ補助記録層は、非グラニュラ補助記録層に比較して膜厚が薄いとよい。非グラニュラ補助記録層の厚みを薄くすると、OW特性が低下して書き込みづらくなってしまう。そこで非グラニュラ補助記録層の厚みを厚くしてOW特性を確保しながら、薄いグラニュラ補助記録層を非グラニュラ補助記録層のピン層として作用させて、書きにじみしないようにするためである。例えば、上記のグラニュラ補助記録層の膜厚は0.5nm〜5.0nm、非グラニュラ補助記録層の膜厚は4.0〜8.0nmとしてよい。
上記の磁気記録層と補助記録層との間に非磁性の分断層を設けて、磁気記録層と補助記録層との間の強磁性結合の強さを調節できるようにすることが好ましい。これにより、磁気記録層とグラニュラ補助記録層との間を磁気的に分断して磁気的相互作用(強磁性交換結合)の強さを調整することができる。したがって磁気記録層よりも優先的にグラニュラ補助記録層と非グラニュラ補助記録層が1つの群として優先的に磁化反転しやすくなり、より明確に補助記録層としての役割を果たさせることができる。
上記の磁気記録層を複数の層で形成することが好ましい。これにより、磁性粒子が成膜されるにつれて肥大化することを抑制し、下層から上層までの粒径を均一にすることができる。なお、積層する膜は同一の材料を用いてもよいし、異なる材料を用いてもよい。
本発明によれば、補助記録層の膜厚を保ち、OW特性を良好な状態に保持しつつ、トラック幅を狭小化してSNRを向上させるという、トラック幅とSNRとの両立を図ることで、高記録密度化の達成が可能な垂直磁気記録媒体を提供することができる。
本実施形態にかかる垂直磁気記録媒体の構成を説明する図である。 図1の主記録層から補助記録層までの層構造を説明する図である。 グラニュラ補助記録層、非グラニュラ補助記録層の膜厚を様々に変化させた実施例と、非グラニュラ補助記録層しか有しない比較例との、トラック幅およびSNRを比較する図である
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(実施形態)
[垂直磁気記録媒体]
図1は、本実施形態にかかる垂直磁気記録媒体100の構成を説明する図である。図1に示す垂直磁気記録媒体100は、ディスク基体110、付着層(密着層)112、第1軟磁性層114a、スペーサ層114b、第2軟磁性層114c、前下地層116(非磁性層)、第1下地層118a、第2下地層118b、非磁性グラニュラ層120、下記録層122a、介在層122b、第1主記録層122c、第2主記録層122d、分断層124、グラニュラ補助記録層126a、非グラニュラ補助記録層126b、媒体保護層128、潤滑層130で構成されている。なお第1軟磁性層114a、スペーサ層114b、第2軟磁性層114cはあわせて軟磁性層114を構成する。第1下地層118aと第2下地層118bはあわせて下地層118を構成する。下記録層122aと介在層122b、第1主記録層122c、第2主記録層122dはあわせて磁気記録層122を構成する。グラニュラ補助記録層126a、非グラニュラ補助記録層126bはあわせて補助記録層126を形成する。
ディスク基体110は、アモルファスのアルミノシリケートガラスをダイレクトプレスで円板状に成型したガラスディスクを用いることができる。なおガラスディスクの種類、サイズ、厚さ等は特に制限されない。ガラスディスクの材質としては、例えば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ソーダアルミノケイ酸ガラス、アルミノボロシリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラス、チェーンシリケートガラス、又は、結晶化ガラス等のガラスセラミックなどが挙げられる。このガラスディスクに研削、研磨、化学強化を順次施し、化学強化ガラスディスクからなる平滑な非磁性のディスク基体110を得ることができる。
ディスク基体110上に、DCマグネトロンスパッタリング法にて付着層112から補助記録層126まで順次成膜を行い、媒体保護層128はCVD法により成膜することができる。この後、潤滑層130をディップコート法により形成することができる。なお、生産性が高いという点で、インライン型成膜方法を用いることも好ましい。以下、各層の構成について説明する。
付着層112はディスク基体110に接して形成され、この上に成膜される軟磁性層114とディスク基体110との剥離強度を高める機能と、軟磁性層114上に成膜される各層の結晶グレインを微細化及び均一化させる機能を備えている。付着層112は、ディスク基体110がアモルファスガラスからなる場合、そのアモルファスガラス表面に対応させる為にアモルファス(非晶質)の合金膜とすることが好ましい。
付着層112としては、例えばCrTi系非晶質層、CoW系非晶質層、CrW系非晶質層、CrTa系非晶質層、CrNb系非晶質層から選択することができる。付着層112は単一材料からなる単層でも良いが、複数層を積層して形成してもよい。例えばCrTi層の上にCoW層またはCrW層を形成してもよい。またこれらの付着層112は、二酸化炭素、一酸化炭素、窒素、又は酸素を含む材料によってスパッタを行うか、もしくは表面層をこれらのガスで暴露したものであることが好ましい。
軟磁性層114は、垂直磁気記録方式において記録層に垂直方向に磁束を通過させるために、記録時に一時的に磁路を形成する層である。軟磁性層114は第1軟磁性層114aと第2軟磁性層114cの間に非磁性のスペーサ層114bを介在させることによって、AFC(AntiFerro magnetic exchange Coupling)を備えるように構成することができる。これにより軟磁性層114の磁化方向を高い精度で磁路(磁気回路)に沿って整列させることができ、磁化方向の垂直成分が極めて少なくなるため、軟磁性層114から生じるノイズを低減することができる。第1軟磁性層114a、第2軟磁性層114cの組成としては、CoTaZrなどのコバルト系合金、CoCrFeB、CoFeTaZrなどのCo−Fe系合金、[Ni−Fe/Sn]n多層構造のようなNi−Fe系合金などを用いることができる。
前下地層(配向制御層)116は、非磁性層すなわち非磁性の合金層であり、軟磁性層114を防護する作用と、下地層118の結晶粒の配向の整列を促進する作用を備える。前下地層116の材質としては、具体的には、Ni、Cu、Pt、Pd、Zr、Ta、Hf、Nbから選択することができる。さらにこれらの金属を主成分とし、Ti、V、Ta、Cr、Mo、Wのいずれか1つ以上の添加元素を含む合金としてもよい。例えば、NiW、NiCr、NiTa合金、CuW合金、CuCr合金を好適に選択することができる。また、複数層として形成してもよい。
これにより、軟磁性層114上に成膜される複数の層における各境界面の粗さが改善され、これらの層の結晶配向性を向上することが可能となる。したがって、SNRの向上および高記録密度化の達成を図ることができる。
下地層118はhcp構造であって、磁気記録層122のCoのhcp構造の結晶をグラニュラ構造として成長させる作用を有している。したがって、下地層118の結晶配向性が高いほど、すなわち下地層118の結晶の(0001)面がディスク基体110の主表面と平行になっているほど、磁気記録層122の配向性を向上させることができる。なお、さらに分離性を付与するために、成膜時のAr圧力が低圧の下層と高圧の上層に分けて形成するとよい。下地層118の材質としてはRuが代表的であるが、その他に、Re、Pt、RuCr、RuCoから選択することができる。Ruはhcp構造をとり、また結晶の原子間隔がCoと近いため、Coを主成分とする磁気記録層122を良好に配向させることができる。また、酸化物を添加してもよい。
下地層118をRuとした場合において、スパッタ時のガス圧を変更することによりRuからなる2層構造とすることができる。具体的には、下層側の第1下地層118aを形成する際にはArのガス圧を所定圧力、すなわち低圧にし、上層側の第2下地層118bを形成する際には、下層側の第1下地層118aを形成するときよりもArのガス圧を高くする、すなわち高圧にする。これにより、第1下地層118aによる磁気記録層122の結晶配向性の向上、および第2下地層118bによる磁気記録層122の磁性粒子の粒径の微細化が可能となる。
また、ガス圧を高くするとスパッタリングされるプラズマイオンの平均自由行程が短くなるため、成膜速度が遅くなり、皮膜が粗になるため、Ruの結晶粒子の分離微細化を促進することができ、Coの結晶粒子の微細化も可能となる。
さらに、下地層118のRuに酸素を微少量含有させてもよい。これによりさらにRuの結晶粒子の分離微細化を促進することができ、磁気記録層122のさらなる孤立化と微細化を図ることができる。したがって、本実施形態では、2層で構成される下地層118のうち、磁気記録層の直下に成膜される第2下地層に酸素を含ませる。すなわち第2下地層をRuOにより構成する。これにより、上記の利点を最も効果的に得ることができる。なお酸素はリアクティブスパッタによって含有させてもよいが、スパッタリング成膜する際に酸素を含有するターゲットを用いることが好ましい。
非磁性グラニュラ層120はグラニュラ構造を有する非磁性の層である。下地層118のhcp結晶構造の上に非磁性グラニュラ層120を形成し、この上に下記録層122a(すなわち磁気記録層122全体)のグラニュラ層を成長させることにより、磁性のグラニュラ層を初期成長の段階(立ち上がり)から分離させる作用を有している。これにより、磁気記録層122の磁性粒子の孤立化を促進することができる。非磁性グラニュラ層120の組成は、Co系合金からなる非磁性の結晶粒子の間に、非磁性物質を偏析させて粒界を形成することにより、グラニュラ構造とすることができる。
本実施形態においては、かかる非磁性グラニュラ層120にCoCr−SiOを用いる。これにより、Co系合金(非磁性の結晶粒子)の間にSiO(非磁性物質)が偏析して粒界を形成し、非磁性グラニュラ層120がグラニュラ構造となる。なお、CoCr−SiOは一例であり、これに限定するものではない。他には、CoCrRu−SiOを好適に用いることができ、さらにRuに代えてRh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、Ag(銀)、Os(オスミウム)、Ir(イリジウム)、Au(金)も利用することができる。また非磁性物質とは、磁性粒子(磁性グレイン)間の交換相互作用が抑制、または、遮断されるように、磁性粒子の周囲に粒界部を形成しうる物質であって、コバルト(Co)と固溶しない非磁性物質であればよい。例えば酸化珪素(SiOx)、クロム(Cr)、酸化クロム(Cr)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコン(ZrO)、酸化タンタル(Ta)を例示できる。
なお本実施形態では、下地層188(第2下地層188b)の上に非磁性グラニュラ層120を設けているが、これに限定されるものではなく、非磁性グラニュラ層120を設けずに垂直磁気記録媒体100を構成することも可能である。
磁気記録層122は、Co系合金、Fe系合金、Ni系合金から選択される硬磁性体の磁性粒子の周囲に非磁性物質を偏析させて粒界を形成した柱状のグラニュラ構造を有している(グラニュラ磁気記録層)。この磁性粒子は、非磁性グラニュラ層120を設けることにより、そのグラニュラ構造から継続してエピタキシャル成長することができる。磁気記録層122は、本実施形態では下記録層122a、介在層122b、第1主記録層122c、第2主記録層122dから構成されている。これにより、下記録層122aの結晶粒子(磁性粒子)から継続して第1主記録層122c、第2主記録層122dの小さな結晶粒子が成長し、主記録層の微細化を図ることができ、SNRの向上が可能となる。
本実施形態では、下記録層122aにCoCrPt−Cr−SiOを用いる。CoCrPt−Cr−SiOは、CoCrPtからなる磁性粒子(グレイン)の周囲に、非磁性物質であるCr、SiO(酸化物)が偏析して粒界を形成し、磁性粒子が柱状に成長したグラニュラ構造を形成する。この磁性粒子は、非磁性グラニュラ層120のグラニュラ構造から継続してエピタキシャル成長した。
介在層122bは非磁性の薄膜であって、下記録層122aと第1主記録層122cの間に介在させることにより、これらの間の磁気的な連続性を分断して調節することができる。このとき介在層122bの膜厚を所定の膜厚(0.2〜0.9nm)とすることにより、下記録層122aと第1主記録層122cとの間には反強磁性交換結合(AFC)が発生すると考えられる。これにより介在層122bの上下の層の間では磁化が引き合い、相互に磁化方向を固定するように作用するため、磁化軸の揺らぎが低減し、ノイズを低減することができる。
介在層122bは、Ru又はRu化合物で構成されるとよい。Ruは磁性粒子を構成するCoと原子間隔が近いため、磁気記録層122の間に介在させてもCoの結晶粒子のエピタキシャル成長を阻害しにくいからである。また介在層122bが極めて薄いことによっても、エピタキシャル成長を阻害しにくいものとなっている。
ここで下記録層122aは、介在層122bがなければ第1主記録層122cおよび第2主記録層122dと連続した磁石であったところ、介在層122bによって分断されるために個別の短い磁石となる。そして、さらに下記録層122aの膜厚を薄くすることにより、グラニュラ磁性粒子の縦横比が短くなることから(垂直磁気記録媒体においては、膜厚方向が磁化容易軸の縦方向にあたる)、磁石の内部に発生する反磁界が強くなる。このため下記録層122aは硬磁性であるにもかかわらず、外部に出す磁気モーメントが小さくなり、磁気ヘッドによって拾われにくくなる。すなわち、下記録層122aの膜厚を調節することによって、磁気ヘッドまで磁束が到達しにくく、かつ第1主記録層122cに対しては磁気的相互作用を有する程度に磁気モーメント(磁石の強さ)を設定することにより、高い保磁力を発揮しながらもノイズの少ない磁気記録層とすることができる。
本実施形態において第1主記録層122cはCoCrPt−SiO−TiOを用いる。これにより、第1主記録層122cにおいても、CoCrPtからなる磁性粒(グレイン)の周囲に非磁性物質であるSiO、TiO(複合酸化物)が偏析して粒界を形成し、磁性粒が柱状に成長したグラニュラ構造を形成した。
また本実施形態において第2主記録層122dは第1主記録層122cと連続しているが、組成および膜厚が異なっている。第2主記録層122dはCoCrPt−SiO−TiO−Coを用いる。これにより、第2主記録層122dにおいても、CoCrPtからなる磁性粒(グレイン)の周囲に非磁性物質であるSiO、TiO、Co(複合酸化物)が偏析して粒界を形成し、磁性粒が柱状に成長したグラニュラ構造を形成した。
上記のように、本実施形態では第2主記録層122dが第1主記録層122cよりも多くの酸化物を含む構成としている。これにより、第1主記録層122cから第2主記録層122dにかけて、結晶粒子の分離を段階的に促進することができる。
また上記のように、第2主記録層122dにCo酸化物を含有させている。SiOやTiOを酸化物として混入すると、酸素欠損が生じる事実があり、SiイオンやTiイオンが磁性粒子に混入して結晶配向性が乱れ、保持力Hcが低下してしまう。そこでCo酸化物を含有させることにより、この酸素欠損を補うための酸素担持体として機能させることができる。Co酸化物としてはCoを例示するが、CoOでもよい。
Co酸化物はSiOやTiOよりもギブスの自由化エネルギーΔGが大きく、Coイオンと酸素イオンが分離しやすい。したがってCo酸化物から優先的に酸素が分離し、SiOやTiOにおいて生じた酸素欠損を補って、SiやTiのイオンを酸化物として完成させ、粒界に析出させることができる。これにより、SiやTiなどの異物が磁性粒子に混入することを防止し、その混入によって磁性粒子の結晶性を乱すことを防止することができる。このとき余剰となったCoイオンは磁性粒子に混入すると考えられるが、そもそも磁性粒子がCo合金であるために、磁気特性を損なうことはない。したがって磁性粒子の結晶性および結晶配向性が向上し、保持力Hcを増大させることが可能となる。また、飽和磁化Msが向上することから、オーバーライト特性も向上するという利点を有している。
ただし、磁気記録層にCo酸化物を混入すると、SNRが低下するという問題がある。そこで、上記のようにCo酸化物を混入しない第1主記録層122cを設けることにより、第1主記録層122cで高いSNRを確保しつつ、第2主記録層122dで高い保持力Hcおよびオーバーライト特性を得ることが可能となる。なお第1主記録層122cの膜厚よりも第2主記録層122dの膜厚が厚いことが好ましく、好適な一例として第1主記録層122cを4nm、第2主記録層122dを6nmとすることができる。
なお、上記に示した下記録層122aおよび第1主記録層122c、第2主記録層122dに用いた物質は一例であり、これに限定するものではない。粒界を形成するための非磁性物質としては、例えば酸化珪素(SiO)、クロム(Cr)、酸化クロム(Cr)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコン(ZrO)、酸化タンタル(Ta)、酸化鉄(Fe)、酸化ボロン(B)等の酸化物を例示できる。また、BN等の窒化物、B等の炭化物も好適に用いることができる。
さらに本実施形態では、下記録層122aおよび第1主記録層122cにおいて2種類、第2主記録層122dにおいて3種類の非磁性物質(酸化物)を用いているが、これに限定するものではない。例えば、下記録層122aから第2主記録層122dのいずれかまたはすべてにおいて、1種類の非磁性物質を用いてもよいし、2種類以上の非磁性物質を複合して用いることも可能である。このとき含有する非磁性物質の種類には限定がないが、本実施形態の如く特にSiOおよびTiOを含むことが好ましい。したがって、本実施形態とは異なり、下記録層122aから第2主記録層122dが1層のみで構成される場合(介在層122bを設けない場合)、かかる磁気記録層はCoCrPt−SiO−TiOからなることが好ましい。
分断層124は、磁気記録層122(第2主記録層122d)と補助記録層126との間に設けられた非磁性の層である。この分断層124を設けることで磁気記録層122と補助記録層126の間の強磁性交換結合の強さを調整することが可能となる。分断層124の膜厚は、0.1〜1.0nmの範囲内とするとよい。
また本実施形態において分断層124は、Ru、Ru化合物、Ruと酸素、またはRuと酸化物を含む薄膜によって構成することができる。これによっても、補助記録層126に起因するノイズを低減させることができる。分断層124を成膜する際に、分断層124に含有される酸素が磁気記録層122の酸化物の上に偏析し、磁性粒子の上にRuが偏析することにより、磁気記録層122のCoの結晶構造を補助記録層126のCoまで継承させられるためと考えられる。
分断層124のRuに含有させる酸化物としては様々なものが考えられるが、特にW、Ti、Ruの合金や酸化物を用いることにより、電磁変換特性(SNR)を向上させることができる。例えば分断層124は、RuCr、RuCo、RuO、RuWO、RuTiO、さらにはRuCrやRuCoなどに酸化物を含ませたものであってもよい。中でも、RuCr、RuCo、RuWOは高い効果を得ることができる。
RuWOについては、Ruに含有させた酸素がスパッタ中に解離され、解離された酸素が、酸素添加の効果も示すためと考えられる。つまり、WOを使うことにより、酸素添加の効果と酸化物添加の効果を併せ持つことができるので、好適である。また、本実施形態においては、分断層の上下の層に酸化物が含まれるため、積層した際の材料的な親和性が高いことも一因と推察される。酸化物の他の例としては、酸化珪素(SiO)、クロム(Cr)、酸化クロム(Cr)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコン(ZrO)、酸化タンタル(Ta)、酸化鉄(Fe)、酸化ボロン(B)等の酸化物を例示できる。また、BN等の窒化物、B等の炭化物も好適に用いることができる。なお、RuCrやRuCoについては、CrやCoが上下の層に含まれるために親和性が高くなり良好な特性を示すと考えられる。
本実施形態では、補助記録層126は、グラニュラ補助記録層126aと非グラニュラ補助記録層126bとの2層で構成されている。まず非グラニュラ補助記録層126bについて説明する。非グラニュラ補助記録層126bは基体主表面の面内方向に磁気的にほぼ連続した磁性層である。非グラニュラ補助記録層126bは磁気記録層122に対して磁気的相互作用を有するように、隣接または近接している必要がある。非グラニュラ補助記録層126bの材質としては、例えばCoCrPt、CoCrPtB、またはこれらに微少量の酸化物を含有させて構成することができる。非グラニュラ補助記録層126bは逆磁区核形成磁界Hnの調整、保磁力Hcの調整を行い、これにより耐熱揺らぎ特性、OW特性、およびSNRの改善を図ることを目的としている。この目的を達成するために、非グラニュラ補助記録層126bは垂直磁気異方性Kuおよび飽和磁化Msが高いことが望ましい。
なお、「磁気的に連続している」とは磁性が連続していることを意味している。「ほぼ連続している」とは、非グラニュラ補助記録層126b全体で観察すれば一つの磁石ではなく、結晶粒子の粒界などによって磁性が不連続となっていてもよいことを意味している。粒界は結晶の不連続のみではなく、Crが偏析していてもよく、さらに微少量の酸化物を含有させて偏析させても良い。ただし非グラニュラ補助記録層126bに酸化物を含有する粒界を形成した場合であっても、磁気記録層122の粒界よりも面積が小さい(酸化物の含有量が少ない)ことが好ましい。非グラニュラ補助記録層126bの機能と作用については必ずしも明確ではないが、磁気記録層122のグラニュラ磁性粒子と磁気的相互作用を有する(交換結合を行う)ことによってHnおよびHcを調整することができ、耐熱揺らぎ特性およびSNRを向上させていると考えられる。またグラニュラ磁性粒子と接続する結晶粒子(磁気的相互作用を有する結晶粒子)がグラニュラ磁性粒子の断面よりも広面積となるため磁気ヘッドから多くの磁束を受けて磁化反転しやすくなり、全体のOW特性を向上させるものと考えられる。
図2は、主記録層から補助記録層までの層構造を説明する図である。本実施形態では、非グラニュラ補助記録層126bの下に、非グラニュラ補助記録層126bに比較して保磁力が高く、グラニュラ構造を有するグラニュラ補助記録層126aが設けられている。図2において斜線部分はグラニュラ磁性粒子である。グラニュラ補助記録層126aは第2主記録層122dとの間を分断層124によって磁気的に分断されていて、第2主記録層122dとは別に磁化方向が反転しうる。そして非グラニュラ補助記録層126bに対して磁気的相互作用を及ぼし、補助記録層126の磁化方向を反転しにくくさせるように作用する。なお、分断層124は極めて薄く成膜されていることから(約0.7nm)、グラニュラ補助記録層126aは第2主記録層122dのグラニュラ構造を継承して結晶成長する。
上記の構成によれば、保磁力の高いグラニュラ補助記録層126aが、非グラニュラ補助記録層126bのピン層として作用する。したがって、通常、補助記録層126を厚くすれば書きにじみが増えるところ、厚い補助記録層126を設けてもトラック幅を狭小化(書きにじみ減少)することができ、SNRが向上する。このように、トラック幅とSNRとの両立が図れる。
上記のグラニュラ補助記録層126aは、第1主記録層122cおよび第2主記録層122dに比較してCrのat%が小さくCoPtのat%が大きい。かかる組成によれば、第1主記録層122cおよび第2主記録層122dよりグラニュラ補助記録層126a保磁力のほうが高くなり、非グラニュラ補助記録層126bのピン層として理想的に作用するからである。
本実施形態では、磁気記録層122のCr濃度(A)とグラニュラ補助記録層126aのCr濃度(B)の差(A−B)が1at%以上であり、4at%以下である。第1主記録層122cおよび第2主記録層122dに比較してCrのat%を小さくしCoPtのat%を大きくして、保磁力を高めたものである。
本実施形態では、グラニュラ補助記録層126aは、非グラニュラ補助記録層126bに比較して膜厚が薄い。非グラニュラ補助記録層126bの厚みを薄くすると、記録自体が不能となってしまうので、その厚みは維持してOW特性を保持しながら、非グラニュラ補助記録層126bのピン層として作用するグラニュラ補助記録層126aによって、書きにじみもしないようにするためである。本実施形態では、グラニュラ補助記録層の膜厚は0.5nm〜5.0nm、非グラニュラ補助記録層の膜厚は4.0〜8.0nmとするとよい。
媒体保護層128は、真空を保ったままカーボンをCVD法により成膜して形成することができる。媒体保護層128は、磁気ヘッドの衝撃から垂直磁気記録媒体100を防護するための層である。一般にCVD法によって成膜されたカーボンはスパッタ法によって成膜したものと比べて膜硬度が向上するので、磁気ヘッドからの衝撃に対してより有効に垂直磁気記録媒体100を防護することができる。
潤滑層130は、PFPE(パーフロロポリエーテル)をディップコート法により成膜することができる。PFPEは長い鎖状の分子構造を有し、媒体保護層128表面のN原子と高い親和性をもって結合する。この潤滑層130の作用により、垂直磁気記録媒体100の表面に磁気ヘッドが接触しても、媒体保護層128の損傷や欠損を防止することができる。
以上の製造工程により、垂直磁気記録媒体100を得ることができた。次に、本実施形態の実施例を説明する。
(実施例)
ディスク基体110上に、真空引きを行った成膜装置を用いて、DCマグネトロンスパッタリング法にてAr雰囲気中で、付着層112から補助記録層126まで順次成膜を行った。なお、スパッタリング成膜時の圧力は、特に断りのない場合は0.6Paで成膜した。付着層112は、Cr−50Tiのターゲットを用いて10nm形成した。軟磁性層114は、第1軟磁性層114a、第2軟磁性層114cは92(Co−40Fe)−3Ta−5Zrのターゲットを用いてそれぞれ20nm成膜し、スペーサ層114bはRuのターゲットを用いて0.7nm成膜した。前下地層116はNi−5Wのターゲットを用いて5nm成膜した。第1下地層118aは0.6PaでRuのターゲットを用いて10nm成膜した。第2下地層118bは、Ruのターゲットを用いて5.0Paで10nm成膜した。非磁性グラニュラ層120は、88(Co−40Cr)−12SiOのターゲットを用いて4Paにて1nm成膜した。下記録層122aは、(Co−12Cr−16Pt)−2.5(Cr)−2.5(SiO)のターゲットを用いて4Paにて2.0nm形成した。介在層122bはRuのターゲットを用いて0.4nm形成した。第1主記録層122cは、90(Co−12Cr−16Pt)−5(SiO)−5(TiO)のターゲットを用いて4Paにて4nm形成した。第2主記録層122dは、90(Co−12Cr−16Pt)−4.5(SiO)−4.5(TiO)−1(Co)のターゲットを用いて4Paにて6nm形成した。分断層124はRu−10(WO)のターゲットを用いて0.5nm形成した。グラニュラ補助記録層126aは、90(Co−Cr−Pt)−5(SiO)−5(TiO)のターゲットを用いて4Paにて所定の膜厚を成膜した。Co−Cr−Ptの詳細組成及び膜厚は後述する値とした。非グラニュラ補助記録層126bはCo−18Cr−15Pt−5Bのターゲットを用いて6.4nm形成した。媒体保護層128はCVD法によりCを用いて成膜し、潤滑層130はディップコート法によりPFPEを用いて形成した。
図3は、グラニュラ補助記録層126aの膜厚を様々に変化させた実施例1〜16と、比較例1〜2との、トラック幅およびSNRを比較する図であり、図3(a)がデータ、図3(b)がそれをプロットしたグラフである。
本実施例および比較例では、主記録層の金属相(主相)のCo:Cr:Ptのat%は、いずれも72Co−12Cr−16Ptとした上で、グラニュラ補助記録層126aのCoCrPt金属相の組成と膜厚を変化させた。なお、主記録層とグラニュラ補助記録層の酸化物のモル数は同じである。
実施例1〜実施例3(グラフの「◆」)では、グラニュラ補助記録層126aのCo:Cr:Ptのat%比を73Co−11Cr−16Ptとし、それぞれ膜厚を1.4nm、2.6nm、3.6nmとした。また、実施例4〜実施例5(グラフの「■」)では、76Co−8Cr−16Ptとし、それぞれ膜厚を0.7nm、1.4nmとした。また、実施例6〜実施例7(グラフの「▲」)では、77Co−7Cr−16Ptとし、それぞれ膜厚を0.7nm、1.4nmとした。また、実施例8〜実施例9(グラフの「●」)では、72Co−12Cr−16Ptとし、それぞれ膜厚を1.4nm、2.5nmとした。
また実施例10〜12では、グラニュラ補助記録層126aのCo:Cr:Ptのat%比を73Co−11Cr−16Ptとし、膜厚を1.4nm一定とし、分断層124の組成を、実施例10ではRu、実施例11ではRu−50Cr、実施例12ではRu−50Coとした。実施例13〜16では、グラニュラ補助記録層126aのCo:Cr:Ptのat%比を73Co−11Cr−16Ptとし、73Co−11Cr−16Pt:SiO:TiOのmol比を、実施例13では91:4.5:4.5とし、実施例14では92:4.0:4.0とし、実施例15では93:3.5:3.5とし、実施例16では89:5.5:5.5とした。
また、比較例1〜比較例2(グラフの「○」)ではグラニュラ補助記録層126aを形成しなかった。グラニュラ補助記録層126aのように、酸化物を含有する層では、酸化物量の他に、主相であるCoCrPtの組成により保磁力Hcが変化する。特に反磁性であるCr含有量を上げると、Coの磁性がキャンセルされ、保磁力Hcが低下する。
また、図3(a)に示すように、実施例1〜実施例9のグラニュラ補助記録層126aは、非グラニュラ補助記録層126bに比較して膜厚を薄く形成している。
図3(a)および(b)に示すように、グラニュラ補助記録層の各材料において膜厚を薄くすると、トラック幅は広がり、SNRが高くなる傾向を示す。これはグラニュラ補助記録層の膜厚依存においては、トラック幅とSNRがトレードオフとなるため、高記録密度化が達成できないことを示唆している。一方、グラニュラ補助記録層の有り無しという観点では、比較例1〜比較例2に対して実施例1〜実施例9のほうがトレードオフを考慮しても特性が向上していることが分かり、トラック幅とSNRとの両立が図られていることが分かる。
また実施例1と実施例10〜12を比較すると、分断層124の組成をRu−10(WO)からRuまたは他のRu化合物に変更しても、実施例1とほぼ同等の良好な特性が得られることが理解できる。更に、実施例1と実施例13〜16を比較すると、グラニュラ補助記録層の酸化物のmol比を変化させても、実施例1と同様にトラック幅とSNRとの両立が図られた磁気記録媒体が得られることがわかる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、垂直磁気記録方式のHDDなどに搭載される垂直磁気記録媒体として利用することができる。
100 …垂直磁気記録媒体
110 …ディスク基体
112 …付着層
114 …軟磁性層
114a …第1軟磁性層
114b …スペーサ層
114c …第2軟磁性層
116 …前下地層
118 …下地層
118a …第1下地層
118b …第2下地層
120 …非磁性グラニュラ層
122 …磁気記録層
122a …下記録層
122b …介在層
122c …第1主記録層
122d …第2主記録層
124 …分断層
126 …補助記録層
126a …グラニュラ補助記録層
126b …非グラニュラ補助記録層
128 …媒体保護層
130 …潤滑層

Claims (6)

  1. 基体上に少なくとも、柱状に連続して成長したCoCrPtからなる磁性粒子の間に非磁性の粒界部を形成したグラニュラ構造を有し信号を記録する磁気記録層と、補助記録層とを、この順に備える垂直磁気記録媒体において、
    前記補助記録層は、
    基体主表面の面内方向に磁気的にほぼ連続した磁性層である非グラニュラ補助記録層と、
    前記非グラニュラ補助記録層の下に設けられ、該非グラニュラ補助記録層に比較して保磁力が高く、グラニュラ構造を有するグラニュラ補助記録層と、
    を含むことを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  2. 前記グラニュラ補助記録層は、前記磁気記録層に比較してCrのat%が小さくCoPtのat%が大きいことを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
  3. 前記磁気記録層のCr濃度(A)とグラニュラ補助記録層のCr濃度(B)の差(A−B)が1at%以上であり、4at%以下であることを特徴とする請求項2に記載の垂直磁気記録媒体。
  4. 前記グラニュラ補助記録層は、前記非グラニュラ補助記録層に比較して膜厚が薄いことを特徴とする請求項1または2に記載の垂直磁気記録媒体。
  5. 前記磁気記録層と前記補助記録層との間に非磁性の分断層を設けることを特徴とする請求項1記載の垂直磁気記録媒体。
  6. 前記磁気記録層を複数の層で形成することを特徴とする請求項1記載の垂直磁気記録媒体。
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