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JP2010252406A - モータ駆動装置およびこれを用いた冷蔵庫 - Google Patents

モータ駆動装置およびこれを用いた冷蔵庫 Download PDF

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JP2010252406A
JP2010252406A JP2009095827A JP2009095827A JP2010252406A JP 2010252406 A JP2010252406 A JP 2010252406A JP 2009095827 A JP2009095827 A JP 2009095827A JP 2009095827 A JP2009095827 A JP 2009095827A JP 2010252406 A JP2010252406 A JP 2010252406A
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Hidenao Tanaka
秀尚 田中
Kenichi Kakita
健一 柿田
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Panasonic Corp
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Panasonic Corp
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Abstract

【課題】ブラシレスDCモータの低速での高効率駆動を実現するとともに、高負荷時の高速駆動が可能な信頼性の高いモータ駆動装置を提供する。
【解決手段】低速ではブラシレスDCモータの位置信号を位置検出部5で取得しての第1波形発生部7でのセンサレス駆動で高効率化を図り、高速では第2波形発生部9からの波形で周波数固定の同期駆動を行いつつ、定期的に位置検出部5でブラシレスDCモータ4の誘起電圧ゼロクロス検出から得た回転子位置情報から、転流タイミングを決定して駆動するので、同期駆動による高負荷高速駆動時も安定した駆動性能が得られる。
【選択図】図1

Description

本発明は、永久磁石を有する回転子と三相巻線を有する固定子からなるブラシレスDCモータを、三相巻線に電力を供給するインバータにより駆動するための装置に関するものであり、特に冷蔵庫やエアコンなどの圧縮機を駆動するのに最適なブラシレスDCモータの駆動装置およびこれを用いた冷蔵庫に関するものである。
従来この種のモータ駆動装置およびこれを用いた冷蔵庫は駆動負荷の状態によって、波形発生方法を切り替えることで、負荷に応じた最適な駆動を実現している(例えば特許文献1参照)。
図7は特許文献1に記載された従来のモータ駆動装置を示すものである。図7に示すように従来のモータ駆動装置は、交流電源1を入力として整流平滑回路2により交流電圧を直流電圧に変換し、インバータ3に入力する。ブラシレスDCモータ4は、永久磁石を有する回転子4aと3相巻線を有した固定子4bとからなり、インバータ3により作られた3相交流電流が固定子4bの3相巻線に流れることにより、回転子4aを回転させる。
逆起電圧検出回路105は、ブラシレスDCモータ4の永久磁石を有する回転子4aが回転することにより発生する逆起電圧から、回転子4aの回転相対位置を検出する。
転流回路106は、逆起電圧検出回路105の出力信号によりロジカルな信号変換を行い、インバータ3のスイッチ素子3a,3b,3c,3d,3e,3fを駆動する信号を作り出す。
同期駆動回路107は、インバータ3から強制的に所定周波数の出力を出し、ブラシレスDCモータ4を駆動するものであり、転流回路106で生成されるロジカルな信号と同等形状の信号を強制的に所定周波数で発生させるものである。
負荷状態判定回路108は、圧縮機4が運転されている負荷状態を判定するものである。
切替回路109は、負荷状態判定回路108の出力により、圧縮機4のブラシレスDCモータを転流回路106で駆動するか、同期駆動回路107で駆動するかを切り替える。
ドライブ回路110は、切替回路109からの出力信号により、インバータ3のスイッチ素子3a,3b,3c,3d,3e,3fを駆動する。
以上の構成において、次に動作の説明を行う。
負荷状態判定回路108で検出された負荷が、通常負荷の場合、転流回路106による駆動を行う。このとき逆起電圧検出回路105でブラシレスDCモータ4の回転子4aの相対位置を検出する。次に転流回路106で回転子4aの相対位置からインバータ3を駆動する転流パターンを作り出す。この転流パターンは切替回路109を通して、ドライブ回路110に供給され、インバータ3のスイッチ素子3a,3b,3c,3d,3e,3fを駆動する。本動作により、ブラシレスDCモータ4はその回転位置に合致した駆動を行うこととなる。
次に、負荷が増加してきたときの動作について説明する。
ブラシレスDCモータ4の負荷が増加し、ブラシレスDCモータ4の特性により回転数が低下してくる。この状態を負荷状態判定回路108で高負荷状態であることを判定し、切替回路109の出力を同期駆動回路107からの信号に切り替える。
以上のように駆動することで高負荷時の回転数低下を抑制し、高負荷時においても所定の回転数による駆動を可能とするものである。
特開平9−88837号公報
しかしながら上記従来の構成では、高負荷時においてブラシレスDCモータ回転子の相対位置を検出せずに駆動するため、急激な負荷変動が発生し場合や、負荷が非常に大きい場合などインバータの転流に対し負荷が追従しきれない状態では、回転数の変動等不安定な状態に陥る可能性があった。
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、ブラシレスDCモータの負荷や駆動速度等、様々な駆動状態で安定した駆動性能を確保できる様にし、従来のモータ駆動装置およびこれを用いた冷蔵庫の信頼性をより向上することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明のモータ駆動装置およびこれを用いた冷蔵庫は、ブラシレスDCモータを所定の回転数以上の高速で駆動するときは、前記ブラシレスDCモータへの印加電圧デューティを一定として前記ブラシレスDCモータを駆動し、前記ブラシレスDCモータの回転により発生する誘起電圧を検出するための印加電圧パターンを所定のタイミングで出力するようにしている。
これにより、第2波形発生部での駆動において、前記ブラシレスDCモータの回転子相対位置を定期的に検出出来る様になり、検出した位置信号を基にした転流が可能となる。
本発明のモータ駆動装置およびこれを用いた冷蔵庫は、高負荷高速駆動時においてブラシレスDCモータの回転子相対位置を確実に検出することで負荷変動や入力電圧の変動といった外乱要因に対する駆動安定性を向上することで装置の信頼性を向上することができる。
請求項1に記載の発明は、永久磁石を有する回転子と三相巻線を有する固定子からなるブラシレスDCモータと、前記三相巻線に電力を供給するインバータと、前記インバータを駆動するドライブ部と、前記ブラシレスDCモータの前記固定子の三相巻線に発生する誘起電圧を基に前記回転子の相対的な回転位置を検出し位置信号を出力する位置検出部と、前記位置検出部からの出力信号を基にデューティ制御を行いながら矩形波または正弦波、或いは、それらに準じる波形を出力する第1波形発生部と、前記ブラシレスDCモータへ矩形波または正弦波、或いはそれらに準じる波形を出力する第2波形発生部と、前記ブラシレスDCモータが所定回転数以下の低速で回転している時は前記第1波形発生部の出力で前記ドライブ部を介して前記インバータを駆動させ前記ブラシレスDCモータが所定回転数を超える高速で回転している時は前記第2波形発生部の出力で前記ドライブ部を介して前記インバータを駆動させる切替判定部とを有し、第2波形発生部による駆動の際、所定のタイミングで前記ブラシレスDCモータの誘起電圧を検出するためのパターンを出力することで、第2波形発生部での駆動においてもブラシレスDCモータ回転子の相対位置を検出できるようになり負荷変動や電圧変動等の外乱要因の変動により回転が変動した
場合でも適切なタイミングでブラシレスDCモータへの印加電圧パターンを切り替えることができ、モータの駆動安定性を向上することができる。
請求項2に記載の発明は請求項1に記載の発明に、誘起電圧を検出するタイミングにおいてブラシレスDCモータに印加する電圧パターンは、誘起電圧検出タイミングでない通常時の波形の一部あるいは全部を間欠した波形としたことで、誘起電圧検出タイミングにおいて誘起電圧がブラシレスDCモータの印加電圧に覆われることを回避でき、誘起電圧を確実に検出することでブラシレスモータ回転子の相対位置を正確に検出できる様になる。
請求項3に記載の発明は請求項1および請求項2に記載の発明に、ブラシレスDCモータの誘起電圧を検出するタイミングにおいて第2波形発生部で生成するブラシレスDCモータへの印加電圧波形は、少なくとも1相の通電角を150度以下とすることで、誘起電圧のゼロクロスポイント検出可能な範囲を広げることができ、速度や負荷状態が変動している場合でも位置検出が確実に出来るためモータ駆動装置の信頼性が向上できる。
請求項4に記載の発明は請求項1から請求項3の発明に、ブラシレスDCモータの回転子相対位置検出後の転流は位置情報に基づき、次回のタイミングを決定することで転流タイミングを安定化することができ、第2波形発生部での駆動安定性が向上できる。
請求項5に記載の発明は請求項1から請求項4に記載の発明に、第2波形発生部での駆動において位置検出タイミングと次回転流との位相関係を保持することで負荷に応じた電流進角で駆動するようになり、安定した高負荷高速駆動が可能となり装置の使用負荷範囲および速度範囲を拡張できると共に安定した駆動により装置の信頼性を向上することが出来る。
請求項6に記載の発明は請求項1から請求項5に記載のモータ駆動装置は圧縮機を駆動するものであり、圧縮機はその構成上イナーシャが比較的大きい負荷であるため、誘起電圧を検出するためにモータ印加電圧の一部あるいは全部を間欠したパターンを入力する本発明のモータ駆動装置でも駆動速度変動に対する影響は殆どない上に、第2波形発生部での駆動においても位置検出による駆動をおこなうので、さらなる駆動性能の安定化と信頼性の向上を図ることができる。
請求項7に記載の発明は請求項6の圧縮機をレシプロ構成としている。レシプロ圧縮機はその構成上圧縮機内部でブラシレスモータはバネ等で懸架されていることからモータによる振動や騒音が外部に漏れにくい構成となっている。本発明のモータ駆動装置ではモータ印加電圧の一部あるいは全部を間欠することでモータ駆動速度に若干の速度変動が発生した場合でも、速度変動による振動を圧縮機内部で吸収できるため従来同等の振動および騒音とすることができる。
請求項8に記載の発明は、請求項6または請求項7に記載のモータ駆動装置を冷蔵庫の圧縮機に用いたものである。これにより一日の大半を占める冷蔵庫の庫内が安定した冷却状態にある比較的負荷が小さい駆動状態では高効率駆動による消費電力の削減が可能であると共に、家事時間等で扉開閉が頻繁に行われた場合や、高温の食品が庫内に投入されたことで庫内温度が上昇した場合、あるいは夏季の外気温度が高いなど、比較的負荷が大きく、高速での駆動時が必要な場合の駆動安定性と信頼性を向上することが出来る。
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、従来例または先に説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なおこの実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるモータ駆動装置およびこれを用いた冷蔵庫のブロック図である。
図1において交流電源1を平滑回路2により直流電圧に整流平滑し、インバータ3に入力し、インバータ3は直流を交流電力に変換し、ブラシレスDCモータ(以下モータ)4に3相電力を供給して駆動する。
位置検出部5はモータが回転することにより発生する誘起電圧のゼロクロスポイントを検出することで、モータ4の回転子の相対位置を検出する位置検出部であり、モータの固定子巻線の中点電位あるいはインバータ入力電圧の1/2とインバータ3の出力端子電圧との電位を比較し、大小関係が反転するタイミングを誘起電圧のゼロクロスポイントと検出する方法等が一般的に知られている。
本実施の形態ではインバータ入力電圧の1/2と端子電圧との比較を行い、その大小関係が反転するタイミングが誘起電圧のゼロクロスポイントとなることからモータの相対的な回転位置として検出する。
回転数検出部6は位置検出部5からの位置検出信号を受けてモータの駆動速度を検出するものであり、例えばモータのゼロクロス信号間隔あるいはモータ1回転分のゼロクロス信号間隔の合計(たとえばモータの極対数が2極の場合位置検出間隔12回分の合計)などから検出する。
第1波形発生部7は、位置検出部5の位置検知信号をもとにインバータ3のスイッチ素子を駆動する信号を作り出す。この駆動信号は矩形波通電を基本として行っており、通電角が120度以上150度以下の矩形波を作り出している。また、ここでは通電角が150度を超える矩形波であっても、また矩形波以外でもそれに準じる波形として立ち上がり/立ち下がりに若干の傾斜を持たせた台形波でも、或いは正弦波であってもよい。さらに第1波形発生部では回転数を一定に保つためにPWMデューティ制御も行っている。これによりモータの回転位置に従って、最適なデューティで運転することが出来るためもっとも効率的な運転を可能としている。
周波数設定部8は出力デューティを一定として出力周波数のみを変化させるものである。第2波形発生部9は、周波数設定部8の出力信号をもとにインバータ3のスイッチ素子を駆動する信号を作り出す。この駆動する信号は通常通電角が130度以上180度未満の矩形波を作り出しているが、通電角が130度未満の矩形波であっても、矩形波以外でも正弦波や歪波などのそれに準じる波形であってもよい。またここでは最大デューティで運転しており、90〜100%の一定としている。
さらに第2波形発生部において出力する波形は、常に一定の通電幅を有する波形を出力するのではなく、本来出力すべき波形の一部あるいは全部を定期的に間欠させており、本実施の形態では基本の通電角は150度とし、150度通電でのU相上がオフ状態からオン状態になるタイミングから電気角30度U相上のスイッチング素子のオンを遅らせ(即ち電気角30度強制オフとする)U相上スイッチは120度通電としている。
切替判定部10は、回転数検出部6で検出された回転数により低速/高速を判断し、インバータ3を動作させる波形を第1波形発生部7で生成するか、第2波形発生部9で生成するかを選択して波形発生部を切り替えるものである。具体的には回転数が低速の場合、第1波形発生部7からの信号を選択し通常のセンサレス駆動を行い、回転数が高速の場合、第2波形発生部9からの信号を選択してインバータ3を動作させる。ここで回転数が低
速か高速かの判定は回転数検出部6からの実際の回転数としたが、設定回転数やデューティ幅等で判断してもよい。デューティは最大デューティ( 一般的には100%)で位置検知による駆動可能な回転数が最大となる為、この条件で信号を切り替えることも可能である。
ドライブ部11は、切替判定部10からの出力信号により、インバータ3のスイッチ素子を駆動する。この駆動によりインバータ3から最適な交流出力をモータ4に印加することができるので回転子を回転させることができる。
位置信号判定手段12は第2波形発生部9による駆動時において位置検出部5から入力される信号が信憑性あるものか否かを判断し、モータの位置情報が含まれる信号のみを取り出すもので、モータの位置情報を含む信号を位置検出信号として第2波形発生部に入力する。
圧縮要素13は、モータ4の回転子の軸に接続され、冷媒ガスを吸入し、圧縮して吐出する。このモータ4と圧縮要素13とを同一の密閉容器に収納し、圧縮機14を構成する。圧縮機14で圧縮された吐出ガスは、凝縮器15、減圧器16、蒸発器17を通って圧縮機14の吸い込みに戻るような冷凍空調システムを構成し、凝縮器15では放熱、蒸発器17では吸熱を行うので、冷却や加熱を行うことができる。尚、必要に応じて凝縮器15や蒸発器17に送風機などを使い、熱交換をさらに促進することもある。また本実施の形態では、冷凍システムは冷蔵庫30の庫内18を蒸発器17により冷却する構成としている。
図2は、本実施の形態1の圧縮機の断面図を示している。図2において圧縮機の密封容器19内にはオイル20を貯溜すると共にR600aの冷媒21が封入され、固定子4bと回転子4aからなるモータ104およびこれによって駆動される圧縮要素13がスプリング等により弾性的に支持されており、モータの回転による振動が圧縮機外部に漏れにくい構成となっている。圧縮要素13は回転子4aが固定された主軸部22および偏芯軸部23から構成されたクランクシャフト24の主軸部22を軸支するとともに圧縮室25を有するシリンダ26と、圧縮室25内で往復運動するピストン27と、偏芯軸部23とピストン27を連結する連結手段28を備え、レシプロ型の圧縮機構を構成している。従って、本実施の形態において第2波形発生部での駆動の際、一定の期間波形の一部または全部を間欠してモータに入力した場合でも、イナーシャが大きいレシプロ型圧縮機の特徴と密封構造から、速度変動の発生が少なく速度変動による振動・騒音が発生しにくくさらに騒音が圧縮機外部に漏れにくい構成となっている。
以上の様に構成されたモータ駆動装置およびこれを用いた冷蔵庫について以降その動作および作用を説明する。
図3は本実施の形態1における低速時の駆動状態を示すタイミングチャートであり、ドライブ部11の信号とインバータ3の出力端子電圧状態を示している。なお本タイミングチャートは通電角150度の矩形波であり15度の進角で駆動している。
図3に示すようにこの状態においてはUVW各相の上下両方のスイッチがオフ状態のとき出力端子電圧に誘電電圧が現れる。たとえば同図に示すように、U相に関しては出力パターンが11および5のときU相の上下スイッチはオフとなり端子電圧に誘起電圧が現れている。位置検出部5はこの端子電圧から誘起電圧のゼロクロスポイントを位置信号として検出するために、端子電圧とインバータ入力電圧の1/2との大小関係が反転するポイント(即ち誘起電圧のゼロクロスポイント)をモニタする。そして検出したゼロクロスポイントを回転子の相対回転位置として基準に置き、この基準位置により次回の転流タイミ
ングを決定する。本実施の形態1においては150度通電進角15度としているため、次回の転流は位置検出からゼロ秒後(即ち同時)であるため位置検出と同時に転流(出力パターンを11から0あるいは、5から6に切換え)を行っている。尚、本図ではU相端子電圧とU相による位置検出タイミングを示しているが、電気角1周期当たり各相2回の位置検出が行われるため、結局電気角1周期中に6回の位置検出信号が発生し、この位置信号の検出の度に出力パターンを順次切り替えることで任意の周波数の交流電圧を印加してモータを駆動している。
また位置検出の信号を基にブラシレスDCモータの速度を検出するが、検出速度が目標速度より遅い場合、第1波形発生部はブラシレスDCモータへの印加電圧を上るようにし、目標速度より速い場合はブラシレスDCモータへの印加電圧を減少するようにPWMデューティ幅を制御することで目標速度での速度安定性を確保している。
ここでモータの負荷が大きく、PWMデューティが100%の状態でも駆動速度が目標速度に到達しない状態になった場合、これ以上電圧を印加することは出来ないため、さらなる高速で駆動することは不可能である。したがってこの時、切換え判定部10は第2波形発生部によりモータを駆動するように切換える。
第2波形発生部9での駆動は、最大デューティ(即ち100%)で通電角130度以上180度未満とした波形を、周波数設定部8により設定された周波数による同期駆動を行う。
図4は従来のモータ駆動装置における同期駆動での状態を示すタイミングチャートであり、ドライブ部11の信号およびU相端子電圧の状態を示している。同期運転時は固定子巻線に流す電流により発生する磁界に対し、回転子が遅れてついて行く状態、即ち誘起電圧に対し端子電圧位相が進む状態となることから、モータ電流位相も進み、いわゆる弱め磁束での駆動となる。このときの端子電圧および電流の進み位相角は、印加電圧に対する負荷および速度により適切な状態で平衡し安定することで高速・高負荷駆動が可能となる。
図4においての通電角は150度としている。150度通電では、誘起電圧のゼロクロス検出と転流のタイミングが一致する(即ちゼロクロス検出直後に転流を行う)ときの進角が15度であるが、本図では誘起電圧のゼロクロスポイントより先に転流していることから同期駆動により15度以上の進角で駆動していることが判る。なお同図の端子電圧波形にてモータ誘起電圧は現れているが、誘起電圧ゼロクロスポイントより前に転流するため誘起電圧ゼロクロスポイントのタイミング付近ではインバータ入力電圧の電位に張り付いた状態(上側スイッチング素子がオンのとき)であり、誘起電圧ゼロクロス検出によるセンサレス駆動は不可能であることが判る。
このように従来の駆動方法では「誘起電圧のゼロクロスポイント」、即ち回転子位置を検出できないため、急激な負荷変動や入力電圧の変動が発生した場合や負荷状態および入力電圧状態が安定しない場合などでは、端子電圧位相、電流位相、誘起電圧位相等の位相関係が崩れ、位相関係の変動や速度変動、電流のウネリ発生など駆動状態が不安定になる可能性がある。従って負荷変動や入力電圧変動等の外乱による影響を少なくするために、本発明の実施の形態1では同期駆動中での回転子相対位置の検出を可能とし、定期的に回転子相対位置検出を行い、回転子位置情報を基にした転流を行うことで駆動の安定性を実現している。
図5は本実施の形態1における高速時の駆動状態を示すタイミングチャートであり、ドライブ部11の信号とインバータ3の出力端子電圧状態を示している。本実施の形態での
通電角は150度としており、電気角1周期当たり12の通電パターンがあり30度毎に順次切り替えることになる。図5において150度通電での同期駆動を行っているためV相およびW相の端子電圧状態を見ると誘起電圧のゼロクロスポイントより前に転流が行われていることから15度以上の進角状態となっており、誘起電圧ゼロクロスポイントは当該のスイッチ素子の通電によりインバータ入力電位あるいはGNDレベルに埋もれてしまい検出不可能となっている。しかし本実施の形態1においてはU相上側の通電区間において誘起電圧のゼロクロスポイントの発生が期待される一定期間中は当該のスイッチ素子を強制的にオフするようにしている(本実施の形態1では出力パターン0においてU相上側のスイッチ素子をオンさせるタイミングであるが、強制的にオフ状態を保持している)。これにより同図のU相端子電圧波形の様に、U相上側が転流する前(即ち出力パターン1に切り替わる前)に、誘起電圧ゼロクロスを確実に検出可能となる。したがって検出したゼロクロスポイントを位置信号として基準におきその基準点から次回の転流タイミングを決定することで、負荷変動や電圧変動等の外乱に影響されにくくなり駆動安定性を向上することができる。
ここで位置信号判定手段12の動作について説明する。本実施の形態1においてモータの相対位置はインバータ入力電圧の1/2とインバータ出力端子電圧との大小比較によりその大小関係が反転するタイミングを位置情報として検出するが、図5のV相およびW相端子電圧において、インバータ端子電圧とインバータ入力電圧の1/2との大小関係の反転するポイントは明らかに誘起電圧ゼロクロスポイントからズレていることがわかる(U相端子電圧においてインバータ端子電圧がインバータ入力電圧1/2より小さくなるポイントも同様)。従ってモータの回転子相対位置を確実に検出するためには、位置検出部の出力信号を回転子の位置情報を含む信号のみを取り出す必要がある。そこで本実施の形態1において位置信号判定手段12は、位置検出部5の出力信号を取捨選択しモータの位置情報を含む信号のみを取り出すようにしている。具体的には誘起電圧を取得するために強制的にスイッチング素子を停止させた期間(本実施の形態では出力パターン0のとき)に得た信号のみを位置信号として認識するようにしている。
以上の様に位置検出部5からの信号について、モータ回転子の正確な位置情報を含む信号だけを取り出すことで、第2波形発生部による駆動においても、確実な位置検出によりさらに外乱に影響されにくい安定した駆動性能を確保することを可能としている。尚、本実施の形態では位置検出を電気角1周期ごとに実施しているが、機械角1周期に1回等の頻度でも構わない。
次に第2波形発生部での駆動においての転流動作について説明する。
図6は本発明の実施の形態1における位置検出信号と転流タイミングを示す。第2波形発生部での駆動の基本は、ブラシレスDCモータ回転子の位置に関係なく、同期駆動として駆動速度に応じた一定の時間Tで転流を行う。ただし出力パターン1の転流については、位置検出信号を基準として(数1)に従いタイミングを決定する。
T=An+(T−Amax) (数1)
ここでT0はパターン0の出力時間であり、Anはパターン0転流から位置検出までの時間、Amaxは速度安定時でのAnの最大値である。数1に従い転流タイミングを決定することで、負荷および入力電圧等が非常に安定し、モータの速度変動が殆ど無い場合は、AnとAmaxはほぼ一致した値となり、パターン0の出力時間T0はTとほぼ同じとなり安定した転流を行う。
また負荷が増加してきた場合、転流タイミングに対し負荷状態に応じ回転子に遅れが生じ始める。このときAnはこれまでのAmaxより大きくなるため、AmaxはAnに更新され、数1に従うとパターン0の出力時間はTと等しく、転流周期Tで転流を続けるこ
とになる。このときインバータ端子電圧位相に対し誘起電圧位相は負荷状態に応じた遅れ位相状態となり転流タイミングが固定される。すなわち負荷増大に伴い、誘起電圧位相に対し端子電圧および電流の進角が増加した状態で位相関係が固定される結果、弱め磁束制御が大きく効いた状態となり駆動負荷範囲および速度範囲を拡張することが出来、高負荷高速駆動時の駆動安定性の向上で装置の信頼性を向上することができる。
尚、従来のモータ駆動装置では、同期駆動中は回転子相対位置によらず転流を行うため、負荷増加につれ、転流に対し速度が低下(転流に対し回転子が遅れた状態)し誘起電圧位相に対し電流が進む弱め磁束制御状態となり固定子が転流周期に同期するように加速を始め、回転子速度が転流周期に近づくにつれ、誘起電圧に対する電流の進み角が減少し、回転子速度が低下するといった速度不安定な現象が発生しやすくなる。しかし本発明の実施の形態1において数1に従うことで、負荷増大時は負荷に応じて進角が増加した状態で、位置検出後の転流タイミングを固定し位相関係を保持するので、負荷増大時は負荷に応じた電流進角での弱め磁束制御が行われ、高負荷時の高速駆動を可能とすると同時に、速度ムラ等の発生を抑制した安定駆動を実現することができる。
以上の様に、本実施の形態ではモータを高速で駆動するときと低速で駆動する場合とで波形発生部を切り替えるようにし、低速駆動においては位置検出部5から取得したモータの位置情報を基に、第1波形発生部7でのセンサレス駆動を行い、高速駆動時は第2波形発生部9によってPWMデューティを固定し周波数設定部8で周波数のみを変化させてモータ4を同期駆動で駆動し、さらに第2波形発生部9での駆動では誘起電圧を検出するために定期的に誘起電圧ゼロクロスポイント検出するための駆動信号パターンを出力するようにし、同期駆動での位置検出を可能とし、位置情報を基にした転流制御を可能としてモータ駆動装置の信頼性が向上できる。
また誘起電圧のゼロクロスポイントを検出する出力パターンとして、通常時の出力パターンから任意のスイッチング素子を強制的に停止させる区間を設けることで、スイッチ素子オンによって誘起電圧ゼロクロス信号が埋もれることを回避し確実に誘起電圧ゼロクロス信号を取得できることで確実な位置検出が可能となる。
さらに誘起電圧ゼロクロスポイントを検出する相の通電角を150度以下とすることで、誘起電圧ゼロクロスポイント発生の期待範囲を広く確保できることから、速度や負荷状態が変動している場合でも位置検出が確実に出来る様にしてモータ駆動装置の信頼性が向上できる。
また第2波形発生部9による同期駆動時においても、モータ4の相対位置を基にして転流を行うため、負荷変動や入力電圧変動といった外乱による不安定な駆動状態に陥ることを防止し、モータ駆動装置の信頼性を向上することができる。
また第2波形発生部による同期駆動状態において位置検出信号から次回の転流タイミングを固定することで、負荷増大時は負荷に応じた電流進角による弱め磁束制御を行い、高負荷高速駆動を安定した状態で実現することができる。
また本モータ駆動装置で圧縮機14を駆動することは、圧縮機14は非常にイナーシャが大きい負荷であるので、出力パターンの一部を間欠することによる速度変動が殆ど無く、非常に安定した高負荷高速駆動が可能となり、本モータ駆動装置に非常に有用な用途である。
また圧縮機14がレシプロ構造のものであれば、その構造上振動や騒音が外部に漏れにくいことから、出力パターンの一部を間欠することで若干の速度変動が発生した場合でも
、圧縮機外部に騒音や振動の流出を抑制できるため非常に適した負荷である。
本発明のブラシレスDCモータの駆動装置は、低速においては高効率・低騒音な運転を実現するとともに、高速においては安定した高速性を確保でき、さらに負荷が大きい場合は負荷に応じた電流進角による弱め磁束制御で高負荷高速駆動も可能となるので、特に冷蔵庫やエアコンなどの圧縮機を駆動する用途や、速度範囲や負荷範囲が広い扇風機等のファンや掃除機に適している。
本発明の実施の形態1におけるモータ駆動装置のブロック図 本実施の形態1の圧縮機の断面図 本実施の形態1における低速時の駆動状態を示すタイミングチャート 従来のモータ駆動装置における同期駆動での状態を示すタイミングチャート 本実施の形態1における高速時の駆動状態を示すタイミングチャート 本発明の実施の形態1における位置検出信号と転流タイミングチャート 従来のモータ駆動装置のブロック図
3 インバータ
4 ブラシレスDCモータ
5 位置検出部
7 第1波形発生部
9 第2波形発生部
10 切替判定部
11 ドライブ部
14 圧縮機
30 冷蔵庫

Claims (8)

  1. 永久磁石を有する回転子と三相巻線を有する固定子からなるブラシレスDCモータと、前記三相巻線に電力を供給するインバータと、前記インバータを駆動するドライブ部と、前記ブラシレスDCモータの前記固定子の三相巻線に発生する誘起電圧を基に前記回転子の相対的な回転位置を検出し位置信号を出力する位置検出部と、前記位置検出部からの出力信号を基にデューティ制御を行いながら矩形波または正弦波、或いは、それらに準じる波形を出力する第1波形発生部と、前記ブラシレスDCモータへ矩形波または正弦波、或いはそれらに準じる波形を出力する第2波形発生部と、前記ブラシレスDCモータが所定回転数以下の低速で回転している時は前記第1波形発生部の出力で前記ドライブ部を介して前記インバータを駆動させ、前記ブラシレスDCモータが所定回転数を超える高速で回転している時は前記第2波形発生部の出力で前記ドライブ部を介して前記インバータを駆動させる切替判定部とを有し、第2波形発生部による駆動の際、所定のタイミングで前記ブラシレスDCモータの誘起電圧を検出するためのパターンを出力するモータ駆動装置。
  2. 前記第2波形発生部にて発生する前記ブラシレスDCモータの誘起電圧を検出するタイミングでの波形は、第2波形発生部での誘起電圧を検出しない通常時のタイミングにおける波形に対し、波形の一部あるいは全部を間欠した波形である請求項1に記載のモータ駆動装置。
  3. 前記ブラシレスDCモータの誘起電圧を検出するタイミングで出力する前記第2波形発生部の波形は、少なくとも1相の通電角は150度以下である請求項1または請求項2に記載のモータ駆動装置。
  4. 前記第2波形発生部による駆動において、前記ブラシレスDCモータの回転子相対位置検出後の転流は位置情報に基づき、次回のタイミングを決定する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のモータ駆動装置。
  5. 前記第2波形発生部による駆動において、位置信号取得タイミングと次回転流との位相関係を保持する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のモータ駆動装置。
  6. 前記ブラシレスモータは圧縮機を駆動する請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のモータ駆動装置。
  7. 前記圧縮機はレシプロ構成である請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のモータ駆動装置。
  8. 請求項6または請求項7に記載のモータ駆動装置を圧縮機に用いた冷蔵庫。
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