JP2007040281A - レシプロ式圧縮機の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】低処理能力のプロセッサを用いて簡単な制御を行うことにより、冷蔵庫として消費電力量の少ないレシプロ式圧縮機の制御装置を提供する。
【解決手段】同期モータの1回転中を圧縮機上死点より前の時刻から区間Aを、上死点より後ろの時刻より区間Bを分割し、区間Aにおけるモータ電流を少なく流すように、また区間Bにおけるモータ電流を多く流すようにPWM制御のデューティ幅を変化させることにより、レシプロ式圧縮機の体積効率を向上させ、消費電力を低減させる。
【選択図】図1
【解決手段】同期モータの1回転中を圧縮機上死点より前の時刻から区間Aを、上死点より後ろの時刻より区間Bを分割し、区間Aにおけるモータ電流を少なく流すように、また区間Bにおけるモータ電流を多く流すようにPWM制御のデューティ幅を変化させることにより、レシプロ式圧縮機の体積効率を向上させ、消費電力を低減させる。
【選択図】図1
Description
本発明は主に冷凍冷蔵庫に用いられるインバータ駆動のレシプロ式圧縮機に関するものである。
ブラシレスモータは効率が高く、近年、冷凍システムに用いられる圧縮機などにも多く使用されるようになってきた。このため、冷凍冷蔵庫において、庫内の温度が安定している時には回転数を低下させ、圧縮機を含む冷凍システム全体の効率を高め、省エネルギーを実現させている。
冷凍冷蔵庫によく使用されるレシプロ式圧縮機は、シリンダ内でピストンが往復動し、1回転のうち半回転が冷媒の吸入工程であり、あとの半回転が圧縮・吐出工程である。吐出工程の最後の上死点では、高圧力の冷媒が若干残り、吸入工程に移る。そのため、吸入工程の初期においては、残留ガスの膨張圧力も加わり、負荷トルクはほとんど不要である反面、圧縮・吐出工程では大きな負荷トルクが必要である。
一方、ブラシレスモータのモータトルクは1回転中ほぼ一定のトルクを出しており、そのため負荷トルクとモータトルクの関係から1回転中に若干の回転数(すなわち角速度)の変動が起きている。すなわち、圧縮工程では回転数が低下し、吸入工程では回転数が増加しているのである。この回転数変動は振動発生の原因となる。圧縮機の回転系(ロータ、シャフト、ピストンなど)の慣性モーメントは低回転になるほどエネルギーが小さくなるため、振動は回転数が小さくなるほど大きくなる。
次に冷媒吐出量の観点から考える。圧縮工程ではシリンダからの吐出穴が抵抗となるため、シリンダ外の圧力よりシリンダ内の圧力は高い状況となる。このため、上死点付近でピストンを維持する時間が長いほど、シリンダから排出される冷媒量は多くなり、すなわち残る冷媒量は小さくなるため、いわゆる体積効率が向上することになる。
逆に圧縮工程で上死点までの通過時間が短いと体積効率が低下することになる。
上記振動現象に対しては、従来から、低速回転において、負荷トルクに一致するようなモータトルクを発生させて、1回転中の回転数変動を抑えることにより圧縮機の振動を抑制するという取り組みがなされている(例えば、特許文献1参照)。
以下従来の圧縮機の制御装置について図面を参照しながら説明する。
図4は、従来の一般的なレシプロ式圧縮機の縦断面図である。密閉容器1内に3相巻線を持つ固定子21と永久磁石をもつ回転子22とからなるブラシレスモータ2と軸受体4上に配置されたシリンダ5、ピストン6等と回転子22に勘合され、回転運動を偏心部31によりピストン6の往復運動に変換するための回転軸3等からなる圧縮機構部を有する。一般的に、レシプロ式圧縮機においては、内部防振構造が用いられており、すなわち、ブラシレスモータ2および圧縮機構部より構成される構造体を支持する支持バネ8や、圧縮機構部より吐出されるガスを導くためのループパイプ9等で負荷に応じて発生するトルク変動による構造体の振動を減衰させ、振動あるいは騒音をコントロールする手法がとられている。
レシプロ式圧縮機においては、支持バネ8やループパイプ9等で構造体の振動を減衰させるような構造を取り入れていることと合わせ、回転子22や回転軸3に適度な慣性モーメントを持たせることにより、密閉容器1の外部に振動が伝わらないように工夫されている。
しかしながら、このレシプロ式圧縮機を、インバータ制御を用いて回転数を変化させる制御を行った場合、特に回転数が低い部分で、慣性モーメントによる振動抑制が限界を迎え、慣性モーメント以外の振動抑制措置が必要となる。
これらの現象に対して、従来から、低速回転において負荷トルクに一致するようなモータトルクを発生させて、1回転中の回転数変動を抑えることにより圧縮機の振動を抑制するという取り組みがなされている(例えば特許文献1参照)。
図5は、従来の圧縮機の負荷トルクとモータトルクとの関係図を示す。
図5において、モータトルクの制御法としては、モータに位置検出素子を設置し、瞬時トルクを検出し、モータ出力にフィードバックする方法が最も効果が得られるが、冷凍冷蔵庫のように、周囲の環境温度にある程度リンクしてガス圧縮の圧力条件が決まるような場合では、周囲温度や庫内温度と回転数に応じてモータの出力トルクのパターンをあらかじめ設定しておき条件の変化に応じて最適パターンを選定するという方法も考えられる。負荷トルクの変動パターンと絶対値が等しいまたはほぼ等しく正負符号が逆のトルクをモータに与えることにより負荷トルクとモータ出力トルクの差分が0となる、または大幅に低減されることにより圧縮機より外部に伝達される振動が大幅に低減されるというものであった。
特開2003−4352号公報
しかしながら、上記従来のような構成では、振動を完全に停止させるために、負荷トルクとモータトルクを完全に一致させるように制御した場合、その入力電力も大きくなるという課題を有していた。また、圧縮工程での回転数の低下が少なくなることにより、シリンダ内に残るガスが増加し、体積効率も低下し、伴い冷凍システム効率が低下する。
特に、冷蔵庫の冷却システムに搭載する場合、冷蔵庫は扉を閉めた状態で運転する場合がほとんどなので、その運転のほとんどは低回転数での運転となる。そのため、低回転数において振動の抑制のためこの制御を行うことになるのではあるが、前述したとおり、入力電力が増加し、かつ体積効率が低下して消費電力が高くなるという課題を有することとなる。
また、負荷トルクの変動に合わせて、モータトルクすなわちモータ電流を変動させるものであったため、負荷トルクに一致するようにモータ電流を検出した上でその電流を制御する必要があった。そのために電流センサその周辺回路が必要になるなど制御装置が大型化するとともに、制御するプロセッサも処理能力の高い高速処理が可能なプロセッサ(例えば、DSPや32ビットRISCマイコンなど)が必要であったため、価格が高くなるという課題を有していた。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、処理能力の低いプロセッサを用いて簡単な制御を行うことにより、冷蔵庫として消費電力量の少ないレシプロ式圧縮機の制御装置を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明のレシプロ式圧縮機の制御装置は、同期モータの1回転中の圧縮要素上死点より前の時刻から区間Aを分割し、区間Aにおける入力を制御しモータ回転数を所定のモータ回転数よりも小さくする制御手段からなるものである。
これによって、シリンダから排出される冷媒量は多くなり、すなわち残る冷媒量は小さくなるため、いわゆる体積効率が向上することになる。
本発明のレシプロ式圧縮機の制御装置は、レシプロ式圧縮機の1回転を区間に分割し、一回転中の回転数を変化させて、各々の区間でモータ電流を制御することにより、新たなセンサを必要とせず、低処理能力のプロセッサで実現できるので、非常に小型・低コストで実現できる簡単なシステムで、消費電力量を低減できる。
請求項1に記載の発明は、往復動による圧縮要素を有するレシプロ式圧縮機と、圧縮要素を駆動する永久磁石を回転子に有した同期モータと、同期モータに交流電流を流すとともに回転数を可変速して圧縮機の冷凍能力を可変とするためのインバータと、同期モータ1回転中であり圧縮機の上死点より前の時刻から区間Aを分割し、区間Aにおける入力を制御しモータ回転数を所定のモータ回転数よりも小さくする制御手段とを有することにより、シリンダから排出される冷媒量は多くなり、すなわち残る冷媒量は小さくなるため、いわゆる体積効率が向上する。各々の区間でモータ電流を制御することにより、非常に簡単なシステムで消費電力量が低減するとともに、電流センサなどを使用せず安易な方法で実現可能であるので、装置が大型化することなく、その処理のために高速なプロセッサを使用する必要もなく、コストも安く実現できる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、圧縮機の上死点より後の時刻より区間Bを分割し、区間Bにおける入力を制御しモータ回転数を所定のモータ回転数よりも大きくする制御手段により、上死点より前の時刻の区間Aで所定のモータ回転数より小さくすることで、遅くなった回転数を補い、モータ1回転全体の平均回転数を所定の回転数に戻すことができる。これにより、圧縮機の冷凍能力の低下を防止できる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、レシプロ式圧縮機の気筒数を1(単気筒)としたので、モータ1回転中において吸入工程と圧縮工程がそれぞれ一回ずつしかなく、容易に区分できるため制御が容易になる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、区間Aおよび区間Bを区切り入力はインバータのPWM制御のデューティ幅を変える制御方法としたので、電流センサなどを使用せずに安易な方法で実現可能であるので、装置が大型化することもなく、その処理のために高速なプロセッサを使用する必要もなく、コストも安く実現できる。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明において、前記レシプロ式圧縮機は冷蔵庫の冷凍システムに用いるものであり、消費電力量低減の効果が大きくなる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるレシプロ式圧縮機の制御装置のブロック図である。
図1は本発明の実施の形態1におけるレシプロ式圧縮機の制御装置のブロック図である。
図1において、商用電源100から駆動に必要な電力が供給されている。例えば、日本の場合は交流電源であり、100V50Hzまたは60Hzの電源である。
整流回路101は、商用電源100を直流に変換する。ここでは整流回路101は全波整流回路で示している。全波整流回路はブリッジ接続された4個のダイオードと平滑コンデンサから一般的には構成される。この回路により、商用電源100の交流100Vから直流の140Vの電圧を得る。
インバータ102は、整流回路101の直流電圧を3相交流に再度変換する。インバータ102は一般的には3相ブリッジ接続された6個のスイッチング素子(図示ではIGBTで示す)とスイッチング素子に並列に逆方向接続された6個のダイオードからなる。この6個のスイッチング素子を制御することにより、任意電圧、任意周波数の3相交流電流を得ることができる。
同期モータ103は、インバータ102の3相交流出力により駆動される。3相巻線がほどこされた固定子(図示せず)と、永久磁石をもつ回転子(図示せず)からなる。例えば、固定子は9スロットのティースに絶縁紙を介して直接巻線を巻き3相6極巻線をスター結線したものであり、ロータは6枚の永久磁石を表面側にN極・S極と交互に配置された埋め込み磁石型ロータを持つ。
インバータ102からの出力は、任意電圧・任意周波数に設定でき、さらに同期モータ103は6極であるため、インバータ102の出力周波数の3分の1の周波数(回転数)で同期モータ103は駆動される。例えばインバータ102の出力周波数が60Hzの場合は同期モータ103の回転数は20r/sで駆動することができる。
圧縮要素104は、同期モータ103で駆動され、圧縮仕事を行う。ここでは圧縮要素104はレシプロ式で1回転中に負荷トルクが変動する圧縮要素である。単気筒レシプロ式の圧縮要素の場合は、ピストンの往復運動にて圧縮を行っており、1回転中に半分は吸入工程、半分は圧縮工程と完全に工程が分かれており、この二つの工程において、必要な負荷トルクが圧縮工程側に集中するために、その負荷トルクは大きく変動するものである。
圧縮機105は、同期モータ103と圧縮要素104を密閉容器に収納している。冷媒ガスはどんなものでも良く、代替冷媒(R−134aなど)や自然冷媒(R−600a、CO2など)などどのような冷媒ガスを使用しても良いことはいうまでもない。
圧縮機105には圧縮した冷媒を吐出する吐出パイプ(図示せず)と、冷媒を吸入する吸入パイプ(図示せず)とを有する。吐出パイプには、凝縮器106、減圧器107、蒸発器108などを直列に接続し最後に吸入パイプから圧縮機105に冷媒ガスは還ってくる。このような冷凍空調システムを組むことにより、凝縮器106側では放熱作用が、蒸発器108側では吸熱作用が起こることにより、加熱または冷却ができることとなる。また、凝縮器106または蒸発器108にファンモータ(図示せず)を取り付け、風を送ることにより、熱交換の効率を高めることにより、これらの熱を有効に利用して効率よく加熱または冷却をすることができる。
駆動装置109はインバータ102を駆動する。その出力はドライブ手段110を介して、インバータ102の6個のスイッチング素子を駆動する。
一般的に永久磁石を回転子にもつ同期モータ103を駆動する時には、その回転子の回転位置を検出しながら、インバータ102の6個のスイッチング素子を最適な位置で転流していくことにより、同期モータ103を最適に動かすようにする。一般的にこの方法を用いたモータはブラシレスDCモータやブラシレスモータなどの呼称で呼ばれることもある。
更にこの制御装置109の中身について詳しく説明する。
位置検出手段111は同期モータ103の回転子の回転位置を検出する。一般的には同期モータ103の固定子巻線に発生する逆起電圧を検出する方法が良く知られているが、最近はモータ電流や直流部の電流から回転位置を推定する方法など、同期モータ103からのイベント情報が良く使われている。もちろんホール素子などの磁気センサを用いて直接位置を検知する方法もあるが、圧縮機にはこのようなセンサを取り付けるのは困難であるため、前者の方法(位置センサレス方式)がよく取られている。
このような位置センサレス方式において起動時には位置検出が不可能なため、起動する前に、位置決めと呼ばれる同期モータ103の所定相(例えばU−W間など)に強制的に通電して回転子を所定位置まで回転させる方法や、所定周波数・所定電圧の交流波形を強制的に印加して回転子を駆動させる強制駆動方式などの制御回路も必要であるが、ここでは省略している。
転流手段112は、位置検出手段111の出力によりインバータ102の6個のスイッチング素子の通電するタイミングを決定する。一般的には逆起電圧と位相が一致するようにタイミングを決定するが、磁石埋め込み型モータ(一般的にはIPMモータとも呼ばれる)などの場合は、リラクタンストルクなども考慮し、若干、モータ電流の位相を逆起電圧の位相より進めて運転する場合もある。モータの種類(特にリラクタンス成分の利用量)によりこの位相進みは変化するが、一般的には0度から10度程度の進角を持たせるのが普通である。
回転位置判定手段113は、位置検出手段111の出力は同期モータ103の回転子の回転位置を検出するものであり、なおかつ、同期モータ103はインバータ102からの出力と全く同期して運転するものであるから、この信号を分析することにより、同期モータ103の回転子の機械的な回転位置が判定できる。
第1PWM発生手段114では、同期モータ103の回転数を一定にするために、PWM(パルス幅変調)制御のデューティ(所定周期、キャリア周期と呼ばれる、中のON幅の割合をさす)を調整したものを出力する。
第2PWM発生手段115では、第1PWM発生手段114で決定したデューティより予め定められた所定量のデューティを減じたデューティ(例えば、10%)を発生させる。第3PWM発生手段118では、第1PWM発生手段114で決定したデューティより予め定められた所定のデューティを増加したデューティ(例えば、10%)を発生させる。ここでは増減するデューティは固定値とするが、回転数や負荷条件によって変えても良い。
選択手段116では、回転数が高い時は、常に第1PWM発生手段114のPWM信号を選択する。回転数が低い時には、回転位置判定手段113の回転位置信号を受け、予め定められた区間Aと区間Bとの判定を行い、区間Aの場合は第2PWM発生手段115のPWM信号を選択する。また、区間Bの場合は第3PWM発生手段118のPWMを選択し、それ以外の区間の場合は第1PWM発生手段114のPWM信号を選択する。
転流手段112の転流出力と選択手段116のPWM信号は合成手段117で合成され、ドライブ手段117に出力され、インバータ102を制御することとなる。
以上のように構成されたレシプロ式圧縮機の制御装置について、その動作を図1および図2を用いて更に詳しく説明する。図2は本発明の実施の形態1におけるレシプロ式圧縮機の制御装置の制御の流れ図である。
STEP1で回転数の検出を行う。本発明で使用しているモータは同期モータであるのでインバータ102が出している電気的周波数と同期モータ103の回転動作とは一致しているため、位置検出手段111の信号を用いて、回転数を検出することができる。ここでは回転数としたが、回転数と同義とみなせるもの、例えば、回転周期や角速度などであってもよい。
次にSTEP2で回転数が所定値以下であるかどうか判定する。ここでいう所定値は低回転数に設定されており、通常の適用においては圧縮機が安定して運転している回転数であり省エネ効果の大きい回転数(例えば、20r/sなど)に設定されている。
この所定回転数より大きな回転数は、冷凍システムが高負荷条件等の冷却過渡期の運転状況であり総運転時間は短く、本発明による制御を実施しても省エネ効果は少ないため、通常の運転を行えばよいので、STEP3で第1PWM発生手段114の出力を選択手段116で選択し、第1PWMにて運転を行う。もちろん高回転域でも適用すれば、省エネ効果はすこしは見込むことができる。
また、この所定値は冷凍空調システムの構成や圧縮機の種類などによって決められるもので、運転時間の長い低速回転数をもとに設定する。もちろん周囲環境状態(温度など)や運転状態によって変化する所定値を決めても良い。
また、所定回転数以下の場合は、STEP4に進み、安定運転かどうか判定する。安定運転の判定は冷凍空調システム制御装置(図示せず)における各部の温度条件などや経過時間などから判定してもよい。安定でないと判断された時、すなわち過渡期においては運転が安定していることが重要なので、STEP3に進み、第1PWMで運転する。
STEP4で安定運転と判定した場合は、STEP5に進む。STEP5では、回転位置判定手段113で判定するもので、回転位置が区間Aかどうかを判定する。回転位置判定手段113では予め機械的な回転角が判るようになっており、圧縮要素104のピストン(図示せず)の上死点を基準としてその前、機械角で120度の部分を区間Aとしている。STEP5で回転位置が区間Aであると判定されれば、STEP6に進む。STEP6で第2PWM発生手段115の出力を選択手段116で選択し、第2PWMにて運転を行う。
STEP5で回転位置が区間Aでないと判定されれば、STEP7に進み、回転位置が区間Bであるかどうかを判定する。回転位置判定手段113では予め機械的な回転角が分かるようになっており、圧縮要素104のピストン(図示せず)の上死点を基準としてその後ろ、機械角で120度の部分を区間Bとしている。STEP5で回転位置が区間Bであると判定されれば、STEP8に進む。STEP8で第3PWM発生手段118の出力を選択手段116で選択し、第3PWMにて運転を行う。
STEP7で回転位置が区間Bでないと判定されれば、STEP3に進み、第1PWMで運転する。
以上のように動作させることにより、低回転数運転で安定運転している時、区間Aにおいては第2PWMで、区間Bにおいては第3PWMで、その他の区間では第1PWMにて動作する。第2PWMのデューティは第1PWMのデューティに比べて小さくなるように設定しているので、区間Aにおける電流が区間Bにおける電流よりも小さくなる。そのため、区間Aで小さなトルクが発生することとなる。区間Aは圧縮要素の上死点の手前に設定しているので、圧縮している時にトルクが小さくなることになり、回転数が低下し、圧縮されたシリンダ内の冷媒が吐出される時間が長くなり、シリンダ内に残る冷媒量が少なくなることにより、いわゆる体積効率が向上することになる。
次に図3を用いて更に実際の動作について説明する。図3は本発明の実施の形態1におけるレシプロ式圧縮機の制御装置の制御のタイミング図である。
図3において、横軸は同期モータ103の1回転中の動きを示している。横軸に記載した破線は位置検出手段111により検出された機械的な回転状態を示しており、ひとつの区切りが18分の1回転を示す。また本実施例においては同期モータ103を6極としているため、電気角1周期あたりの機械的な回転状態(3分の1回転および3分の2回転)についてはさらに一点鎖線を用いて示している。また、原点部分(0回転)は圧縮要素104のピストンの上死点部分を示す。
トルクについては、負荷トルクとモータトルクを示しており、負荷トルクは圧縮機105が単気筒のレシプロ式圧縮機であるので、機械的な回転状態の2分の1回転以降において圧縮・吐出工程に入るので負荷トルクは図示するように急激に増加する。反して、次の機械的な回転状態の初期角度では、シリンダ内に残った冷媒の再膨張により負荷トルクは減少する。
一方、モータトルクは1回転あたりほぼ一定のトルクを発生する。厳密に言えば負荷トルクの変化に応じて特に低回転数で慣性モーメントの小さいときは、特許文献1に示されたようにモータトルクも自動的に変化するが、ここでは説明の簡素化のため一定トルクとした。
角速度は1回転中で変動しており、「モータトルク>負荷トルク」の時に角速度は加速しており、逆に「モータトルク<負荷トルク」の時に角速度は減速している。
位置信号X、Y、Zは機械的な回転状態の18分の1回転毎(すなわち、20度毎)にその状態が変化している。通常の制御においてはこの位置信号X、Y、Zに従って、あらかじめ定められた論理式により駆動信号U(上アームおよび下アーム)、V(上アームおよび下アーム)、W(上アームおよび下アーム)を発生させる。
上死点の手前120度(1/3回転)を区間Aとし、上死点以降の120度(1/3回転)を区間Bとしている。PWM信号として、区間Aにおいては第2PWMを選択し、区間Bにおいては第3PWMを選択し、その他の区間では第1PWMを選択している。
図3においては、U相電流も示す。区間Aにおいては、第2PWMで動作させるので、デューティが小さく電流が小さくなる。また、区間Bにおいては、第3PWMで動作させるので、デューティが大きく電流が大きくなる。
以上のように、本実施の形態1によるレシプロ式圧縮機の制御装置は、往復動による圧縮要素104を有するレシプロ式圧縮機105と、圧縮要素104を駆動する永久磁石を回転子に有した同期モータ103と、同期モータに交流電流を流すとともに回転数を可変速して圧縮機の冷凍能力を可変とするためのインバータと、同期モータ1回転中であり圧縮機の上死点より前の時刻から区間Aを分割し、区間Aにおける入力を制御しモータ回転数を所定のモータ回転数よりも小さくする制御手段とを有することにより、シリンダから排出される冷媒量は多くなり、すなわち残る冷媒量は小さくなるため、いわゆる体積効率が向上する。各々の区間でモータ電流を制御することにより、非常に簡単なシステムで消費電力量が低減とともに、電流センサなどを使用せず安易な方法で実現可能であるので、装置が大型化することなく、その処理のために高速なプロセッサを使用する必要もなく、コストも安く実現できる。
また、圧縮機の上死点より後の時刻より区間Bを分割し、区間Bにおける入力を制御しモータ回転数を所定のモータ回転数よりも大きくする制御手段により、上死点より前の時刻の区間Aで所定のモータ回転数より小さくすることで、遅くなった回転数を補い、モータ1回転全体の平均回転数を所定の回転数に戻すことができる。これにより、圧縮機の冷凍能力の低下を防止できる。
また、レシプロ式圧縮機の気筒数を1(単気筒)としたので、モータ1回転中において吸入工程と圧縮工程がそれぞれ一回ずつしかなく、容易に区分できるため制御が容易になる。
また、区間Aおよび区間Bを区切り入力はインバータのPWM制御のデューティ幅を変える制御方法としたので、電流センサなどを使用せずに安易な方法で実現可能であるので、装置が大型化することもなく、その処理のために高速なプロセッサを使用する必要もなく、コストも安く実現できる。
また、本技術を特に冷蔵庫の冷却システムに用いるものとしたことにより、レシプロ式圧縮機で特に低回転数で駆動することの多い冷蔵庫の冷却システムにおいては、消費電力量を特に小さくすることが可能となる。
以上のように、本発明に関わるレシプロ式圧縮機の制御装置は、新たなセンサを必要とせず、低処理能力のプロセッサで実現できるので、非常に小型・低コストで実現できる簡単なシステムで、消費電力を低減できる。多少の制御は複雑になるものの、多気筒レシプロ圧縮機にも適用可能で、圧縮工程中に回転数を落とすことで、体積効率が向上する圧縮装置にも有効となる。また冷凍目的の圧縮機以外にもエアーコンプレッサなどの用途にも適用できる。
102 インバータ
103 同期モータ
104 圧縮要素
105 圧縮機
109 制御装置
103 同期モータ
104 圧縮要素
105 圧縮機
109 制御装置
Claims (5)
- 往復動による圧縮要素を有するレシプロ式圧縮機と、前記圧縮要素を駆動する永久磁石を回転子に有した同期モータと、前記同期モータに交流電流を流すとともに回転数を可変速して前記圧縮機の冷凍能力を可変とするためのインバータと、前記同期モータ1回転中であり前記圧縮機の上死点より前の時刻より区間Aを分割し、前記区間Aにおける入力を制御しモータ回転数を所定のモータ回転数よりも小さくする制御手段からなるレシプロ式圧縮機の制御装置。
- 前記同期モータ1回転中であり前記圧縮機の上死点より後の時刻より区間Bを分割し、前記区間Bにおける入力を制御しモータ回転数を所定のモータ回転数よりも大きくする制御手段からなる請求項1に記載のレシプロ式圧縮機の制御装置。
- レシプロ式圧縮機は単気筒である請求項1または2に記載のレシプロ式圧縮機の制御装置。
- 前記区間Aおよび前記区間Bの入力は前記インバータのPWM制御のデューティ幅を変える請求項1から3のいずれか一項に記載のレシプロ式圧縮機の制御装置。
- 前記レシプロ式圧縮機は冷蔵庫の冷凍システムに用いるものであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のレシプロ式圧縮機の制御装置。
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2005
- 2005-08-05 JP JP2005228225A patent/JP2007040281A/ja active Pending
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