JP2010168528A - 共役ジエン重合体変性物及びその製造方法、その共役ジエン重合体変性物が含まれたゴム補強剤配合ゴム組成物及びその製造方法、並びにそのゴム補強剤配合ゴム組成物が含まれたタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】シリカ−ゴム相互作用が改善され、タイヤ用途としての高シス構造のもつ高性能とポリブタジエン主鎖への変性の度合いのバランスが保たれた共役ジエン重合体変性物及びその製造方法、その共役ジエン重合体変性物が含まれたゴム補強剤配合ゴム組成物及びその製造方法、並びにそのゴム補強剤配合ゴム組成物が含まれたタイヤを提供する。
【解決手段】1,4−シス構造が80〜95mol%、及び1,2−ビニル構造が4〜19mol%であるポリブタジエン(B)のビニル基がヒドロシリル化されたことを特徴とする共役ジエン重合体変性物である。
【選択図】なし
【解決手段】1,4−シス構造が80〜95mol%、及び1,2−ビニル構造が4〜19mol%であるポリブタジエン(B)のビニル基がヒドロシリル化されたことを特徴とする共役ジエン重合体変性物である。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリブタジエンをヒドロシリル化させた共役ジエン重合体変性物及びその製造方法、その共役ジエン重合体変性物が含まれたゴム補強剤配合ゴム組成物及びその製造方法、並びにそのゴム補強剤配合ゴム組成物が含まれたタイヤに関する。
シリカは、ここ10年間、環境に優しい材料として、タイヤに適用されて以来、非常に重要なタイヤ用無機充填材になってきている。それは、カーボンブラックと比較して、引裂強度、耐摩耗性、耐老化性などの機械特性、更には濡れ特性と低転がり抵抗とに関わるタイヤ性能として最も重要なバランスに関し、より優れているからである。
しかしながら、シリカ粒子の極性表面にはシラノール基があるため、水素結合による相互作用が生じ易い。そのため、シリカはゴムマトリクス、特にポリブタジエンなどの炭化水素構造との適合性あるいは親和性が悪くなる傾向を示す。これにより、シリカ−ゴム化合物中において、シリカ粒子が凝集し易くなり、分散性も悪くなるなどの原因となる。
結果として、シリカ凝集体の分裂、すなわちPayne Effect(非特許文献1)が起こると、シリカ凝集体の内部では強いシリカ−シリカ相互作用が常に観測され、シリカ−ゴム化合物中で大きなヒステリシスロス、すなわち熱による著しいエネルギー損失や発熱の増加、さらに、転がり抵抗の増加の原因となる。
ゴム化合物のヒステリシス特性とは、一般にゴム化合物を変形させる時のエネルギーとゴム化合物が初期状態に戻る時に放出されるエネルギーの差であるといわれている。したがって、タイヤ使用時の低転がり抵抗、低発熱性、さらには低燃費性などを達成するため、低ヒステリシスロスあるいは熱に対して低エネルギーロスであることが望ましい。
極性シリカ表面と非極性ゴムマトリックス間の親和性や相互作用を改良するための結合剤としては、二元機能を持ったシランカップリング剤を使用することが、タイヤ用シリカ−ゴム化合物を作るための方法となっている。また、シランカップリング剤と結合した表面極性の低い表面処理シリカは、タイヤ用シリカ化合物製造の工業規模においても、有効な方法である。
にもかかわらず、非常に高価なシランカップリング剤を使用することは、経済的に不利である。また、シランカップリング剤はゴム化合物の加硫工程において架橋反応を阻害することが知られており、それにより架橋密度が低くなり、結果的に機械特性が悪くなる。
そこで、シリカ−ゴム化合物のゴムの化学変性は、シリカ−ゴム相互作用を改善するための代替技術であり、高価なシランカップリング剤に起因するコストを低減してくれる方法である。しかし、ゴムの化学変性技術は、タイヤとして良好な性能を維持するのに、高シス1,4−構造を持つことが通常望まれている。それ故、ポリブタジエンの様なゴムの適用には限界があった。
高シスポリブタジエンのようなゴムを化学変性したものの多くは、希土類触媒を使って1,3-ブタジエンをリビング重合した後、各種の効果的なアルコキシシランカップリング剤を使用して、分子末端を機能化する方法が報告されている。分子末端を変性したアルコキシシラン化合物は、エポキシ基、イソシアネート基、ウレタン基、アミノ基、カルボキシル基などを有する。リビング分子末端にこれら官能基を集めるには、Bi化合物、Zr化合物、Sn化合物またはAl化合物などの反応促進剤が必要とされている(特許文献1〜6)。
二元機能アルコキシシランカップリング剤を用いて分子末端変性した低シスポリブタジエンを生産するのに、有機リチウム開始剤の存在下、1,3−ポリブタジエンのリビングアニオン重合を使用することは、選択的可能性のひとつであり、必ずしも低シス構造がタイヤ用として要求されるのではない(特許文献7,8)。
しかしながら、ゴムの分子末端変性の技術は、シリカ−シリカ相互作用、シリカの凝集、シリカ凝集によるヒステリシスロス(Payne効果)や結果的に発熱を低減させるめために未だ満足のいくものとはなっていない。末端のみに官能基付加では効果が不十分であり、よりシリカと親和性を高めるために、高分子鎖内部に官能基を持つポリマーと物性であることが望ましい(非特許文献2)。
分子末端変性の代わりに、様々なシラン化合物の商業生産のために、シリコーン工業で広く使われている白金(Pt)あるいはロジウム(Rh)触媒の存在下、不飽和モノマーをヒドロシリル化した公知の方法(特許文献9,非特許文献3)を利用して、ポリブタジエン主鎖をグラフト化するコンセプトと類似の別戦略が、ポリブタジエンのゴムマトリックスに官能基を導入するための関心のひとつとなった。
今まで、シリコーンコーティングの用途において、高ビニル含量の低シスポリブタジエンの分子主鎖に官能基を導入する際、ヒドロシリル化技術を使用した例はほとんどない。
米国特許(特許文献10〜12)では、機械強度を改善したコーティング用途のためにシリコーンを調製する取り組みが、白金またはロジウム触媒の存在下、高ビニル含量(ビニル含量90%以上)のポリブタジエンをヒドロシリル化することで成功していることが述べられている。
米国特許(特許文献10〜12)では、機械強度を改善したコーティング用途のためにシリコーンを調製する取り組みが、白金またはロジウム触媒の存在下、高ビニル含量(ビニル含量90%以上)のポリブタジエンをヒドロシリル化することで成功していることが述べられている。
Payne AR., J. Apply. Polym. Sci. 1962, 6, 57
Hsu,B.;Halasa,A.;Bates,k.;Zhou,J.;Hua,K.;Ogata,N.;Nippon Gomu Kyokaishi,79,117(2006)
Larry N.Lewis,Platinum Metals Rev.,1997,41,66
しかしながら不運にも、低ビニル含量(1〜2mol%)の高シスポリブタジエンを変性する方法は、未だ成功していない。そこで、本発明は、シリカ−ゴム相互作用が改善され、タイヤ用途としての高シス構造のもつ高性能とポリブタジエン主鎖への変性の度合いのバランスが保たれた共役ジエン重合体変性物及びその製造方法、その共役ジエン重合体変性物が含まれたゴム補強剤配合ゴム組成物及びその製造方法、並びにそのゴム補強剤配合ゴム組成物が含まれたタイヤを提供することを目的とする。
以上の目的を達成するため、本発明は、1,4−シス構造が80mol%以上、及び1,2−ビニル構造が20mol%以下であるポリブタジエンがヒドロシリル化されたことを特徴とする共役ジエン重合体変性物である。また、本発明は、(A)加硫可能なジエン系ゴムと、前記(B)共役ジエン重合体変性物と、(C)ゴム補強剤とを備えたことを特徴とするゴム補強剤配合ゴム組成物である。
以上のように、本発明によれば、シリカ−ゴム相互作用が改善され、タイヤ用途としての高シス構造のもつ高性能とポリブタジエン主鎖への変性の度合いのバランスが保たれた共役ジエン重合体変性物及びその製造方法、その共役ジエン重合体変性物が含まれたゴム補強剤配合ゴム組成物及びその製造方法、並びにそのゴム補強剤配合ゴム組成物が含まれたタイヤを提供することができる。
ポリブタジエン
本発明に係る共役ジエン重合体変性物に用いられるポリブタジエンにおいて、そのヒドロシリル化は、ポリブタジエンのビニル基がヒドロシリル化されていることが好ましい。本発明の着想は、ヒドロシリル化がポリブタジエンのビニル側鎖に反応しやすいという制限があるため、約10%しかないビニル基含量を持った高シスポリブタジエン(1,4-シス構造80〜95mol%、1,2-ビニル構造4〜19mol%)のビニル側鎖を変性するために、ヒドロシリル化技術を適用したことにある。本発明に係る共役ジエン重合体変性物によれば、高シスポリブタジエン(1,4−シス構造80〜95mol%、1,2−ビニル構造4〜19mol%)にヒドロシリル化技術を適用することで、ビニル側鎖を変性することによって、シリカ-ゴム相互作用を改善し、分子末端変性と比較して、タイヤ用途としての高シス構造のもつ高性能とポリブタジエン主鎖への変性の度合いのバランスを保つことができる。
本発明に係る共役ジエン重合体変性物に用いられるポリブタジエンにおいて、そのヒドロシリル化は、ポリブタジエンのビニル基がヒドロシリル化されていることが好ましい。本発明の着想は、ヒドロシリル化がポリブタジエンのビニル側鎖に反応しやすいという制限があるため、約10%しかないビニル基含量を持った高シスポリブタジエン(1,4-シス構造80〜95mol%、1,2-ビニル構造4〜19mol%)のビニル側鎖を変性するために、ヒドロシリル化技術を適用したことにある。本発明に係る共役ジエン重合体変性物によれば、高シスポリブタジエン(1,4−シス構造80〜95mol%、1,2−ビニル構造4〜19mol%)にヒドロシリル化技術を適用することで、ビニル側鎖を変性することによって、シリカ-ゴム相互作用を改善し、分子末端変性と比較して、タイヤ用途としての高シス構造のもつ高性能とポリブタジエン主鎖への変性の度合いのバランスを保つことができる。
本発明に係る共役ジエン重合体変性物に用いられるポリブタジエンにおいて、ポリマー主鎖中の1,4−シス構造は、80mol%以上、好ましくは80〜95%、さらに好ましくは87〜92%であり、1,2−ビニル構造は、20mol%以下、好ましくは4〜19%、さらに好ましくは8〜13%であり、1,4-トランス構造は、1%以下である。ミクロ構造の範囲が、上記範囲に無いと効率的に反応を進めるため、上記範囲の1,2−ビニル構造が含まれることが望ましい。また、1,4−シス構造が上記範囲以下では著しく耐摩耗性や機械特性が劣るため好ましくない。
前記ポリブタジエンのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は20〜50であり、好ましくは30〜40であり、特に好ましくは33〜35である。ムーニー粘度が上記範囲より低すぎると機械特性の低下の問題が生じ、逆に高すぎると混練時でのフィラー分散性が悪くなり、十分な性能が発揮できないことと、また、加工性に問題が生ずるため好ましくない。
また、前記ポリブタジエンの数平均分子量(Mn)は、120,000〜180,000 g/molであり、特に140,000〜160,000g/molが好ましい。また、分子量分布(Mw/Mn)は2.0〜3.7が好ましく、2.2〜3.0がより好ましく、2.3〜2.7が特に好ましい。
このポリブタジエンは、遷移金属化合物のメタロセン型錯体、非配位性アニオンとカチオンとのイオン性化合物、及び有機金属化合物からなる触媒を用いた重合により製造されることが好ましい。
この重合方法は、特に制限はなく、塊状重合、溶液重合などを適用できる。重合装置としては、一般にオートクレーブが用いられるが、特に制限はない。溶液重合での溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族系炭化水素、n−ヘキサン、ブタン、ヘプタン、ペンタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、1−ブテン、シス−2− ブテン、トランス−2− ブテン等のオレフィン系炭化水素、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、ケロシン等の炭化水素系溶媒や、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等が挙げられる。また、1,3−ブタジエンそのものを重合溶媒としてもよい。溶媒として好ましくは、非芳香族炭化水素であり、特にシクロヘキサンが好ましい。
前記ポリブタジエンを重合するのに用いられる触媒成分としては、チタン、ジルコニウムなどの周期律表第4族遷移金属のメタロセン型錯体(例えば、CpTiCl3など)、バナジウム、ニオブ、タンタルなどの周期律表第5族遷移金属のメタロセン型錯体、クロムなどの第6族遷移金属メタロセン型錯体、コバルト、ニッケルなどの第8族遷移金属のメタロセン型錯体が挙げられる。中でも、周期律表第5族遷移金属のメタロセン型錯体が好適に用いられる。
上記の周期律表第5族遷移金属化合物のメタロセン型錯体としては、(1)RM・La、(2)Rn MX2−n・La、(3)Rn MX3−n・La、(4)RMX3・La、(5)RM(O)X2・La、及び(6)Rn MX3−n(NR')などの一般式で表される化合物が挙げられる(式中、nは1又は2、aは0,1又は2である)。中でも、RM・La、RMX3・La、RM(O)X2・Laなどが好ましく挙げられる。式中、Mは、周期律表第5族遷移金属化合物が好ましい。具体的にはバナジウム(V)、ニオブ(Nb)、またはタンタル(Ta)であり、好ましい金属はバナジウムである。Rは、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基、フルオレニル基又は置換フルオレニル基を示す。
置換シクロペンタジエニル基、置換インデニル基又は置換フルオレニル基における置換基としては、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ヘキシルなどの直鎖状脂肪族炭化水素基または分岐状脂肪族炭化水素基、フェニル、トリル、ナフチル、ベンジルなど芳香族炭化水素基、トリメチルシリルなどのケイ素原子を含有する炭化水素基などが挙げられる。さらに、シクロペンタジエニル環がXの一部と互いにジメチルシリル、ジメチルメチレン、メチルフェニルメチレン、ジフェニルメチレン、エチレン、置換エチレンなどの架橋基で結合されたものも含まれる。
置換シクロペンタジエニル基の具体例としては、メチルシクロペンタジエニル基、1,2−ジメチルシクロペンタジエニル基、1,3−ジメチルシクロペンタジエニル基、1,3−ジ(t−ブチル)シクロペンタジエニル基、1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル基、1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基、1−エチル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル基、1−ベンジル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル基、1−フェニル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル基、1−トリメチルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル基、1−トリフルオロメチル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル基などが挙げられる。
置換インデニル基の具体例としては、1,2,3−トリメチルインデニル基、ヘプタメチルインデニル基、1,2,4,5,6,7−ヘキサメチルインデニル基などが挙げられる。置換フルオレニル基の具体例としては、メチルフルオレニル基などが挙げられる。以上の中でも、Rとしてシクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基、インデニル基、1,2,3−トリメチルインデニル基などが好ましい。
式中、Xは、水素、ハロゲン、炭素数1から20の炭化水素基、アルコキシ基、又はアミノ基を示す。Xはすべて同じであっても、互いに異なっていてもよい。ハロゲンの具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
炭素数1から20の炭化水素基の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ヘキシルなどの直鎖状脂肪族炭化水素基または分岐状脂肪族炭化水素基、フェニル、トリル、ナフチル、ベンジルなどの芳香族炭化水素基などが挙げられる。さらにトリメチルシリルなどのケイ素原子を含有する炭化水素基も含まれる。中でも、メチル、ベンジル、トリメチルシリルメチルなどが好ましい。
アルコキシ基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、プロポキシ、ブトキシなどが挙げられる。さらに、アミルオキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、チオメトキシなどを用いてもよい。アミノ基の具体例としては、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジイソプロピルアミノなどが挙げられる。以上の中でも、Xとしては、水素、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メチル、エチル、ブチル、メトキシ、エトキシ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノなどが好ましい。
式中、Lは、ルイス塩基であり、金属に配位できるルイス塩基性の一般的な無機、有機化合物である。その内、活性水素を有しない化合物が特に好ましい。具体例としては、エ−テル、エステル、ケトン、アミン、ホスフィン、シリルオキシ化合物、オレフィン、ジエン、芳香族化合物、アルキンなどが挙げられる。
NR'はイミド基であり、R'は炭素数1から25の炭化水素置換基である。R'の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、オクチル、ネオペンチルなどの直鎖状脂肪族炭化水素基または分岐状脂肪族炭化水素基、フェニル、トリル、ナフチル、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニル−2−プロピル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニルなどの芳香族炭化水素基などが挙げられる。さらにトリメチルシリルなどのケイ素原子を含有する炭化水素基も含まれる。
周期律表第5族遷移金属化合物のメタロセン型錯体としては、中でも、Mがバナジウムであるバナジウム化合物が好ましい。例えば、RV・La、RVX・La、R2V・La、RVX2・La、R2VX・La、RVX3・La、RV(O)X2・Laなどが好ましく挙げられる。特に、RV・La、RVX3・Laが好ましい。
RM・La、すなわち、シクロアルカジエニル基の配位子を有する酸化数+1の周期律表第5族遷移金属化合物としては、シクロペンタジエニル(ベンゼン)バナジウム、シクロペンタジエニル(トルエン)バナジウム、シクロペンタジエニル(キシレン)バナジウム、シクロペンタジエニル(トリメチルベンゼン)バナジウム、シクロペンタジエニル(ヘキサメチルベンゼン)バナジウム、シクロペンタジエニル(ナフタレン)バナジウム、シクロペンタジエニル(アントラセン)バナジウム、シクロペンタジエニル(フェロセン)バナジウム、メチルシクロペンタジエニル(ベンゼン)バナジウム、1,3−ジメチルシクロペンタジエニル(ベンゼン)バナジウム、1−ブチル−3−メチルシクロペタジエニル(ベンゼン)バナジウム、テトラメチルシクロペンタジエニル(ベンゼン)バナジウム、ペンタメチルシクロペンタジエニル(ベンゼン)バナジウム、トリメチルシリルシクロペンタジエニル(ベンゼン)バナジウム、1,2−ビス(トリメチルシリル)シクロペンタジエニル(ベンゼン)バナジウム、1,3−ビス(トリメチルシリル)シクロペンタジエニル(ベンゼン)バナジウム、インデニル(ベンゼン)バナジウム、2−メチルインデニル(ベンゼン)バナジウム、2−トリメチルシリルインデニル(ベンゼン)バナジウム、フルオレニル(ベンゼン)バナジウム、シクロペンタジエニル(エチレン)(トリメチルホスフィン)バナジウム、シクロペンタジエニル(ブタジエン)(トリメチルホスフィン)バナジウム、シクロペンタジエニル(1,4−ジフェニルブタジエン)(トリメチルホスフィン)バナジウム、シクロペンタジエニル(1,1,4,4−テトラフェニルブタジエン)(トリメチルホスフィン)バナジウム、シクロペンタジエニル(2,3−ジメチルブタジエン)(トリメチルホスフィン)バナジウム、シクロペンタジエニル(2、4−ヘキサジエン)(トリメチルホスフィン)バナジウム、シクロペンタジエニルテトラカルボニルバナジウム、インデニルテトラカルボニルバナジウムなどを挙げることができる。
Rn MX2−n・Laで表わされる化合物のうち、n=1、すなわち、シクロアルカジエニル基を配位子として一個有する場合には、他のシグマ結合性配位子として、水素原子、塩素、臭素、沃素などのハロゲン原子、メチル基、フェニル基、ベンジル基、ネオペンチル基、トリメチルシリル基、ビストリメチルシリルメチル基などの炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基などの炭化水素オキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジオクチルアミノ基などの炭化水素アミノ基を有することができる。
さらに、他の配位子としては、アミン、アミド、ホスフィン、エ−テル、ケトン、エステル、オレフィン、ジエン、芳香族炭化水素、アルキンなどの中性のルイス塩基を有することもできる。活性水素のないルイス塩基が好ましい。
Rn MX2−n・Laで表わされる化合物のうち、n=2、すなわち、シクロアルカジエニル基を配位子として二個有する場合には、各々のシクロアルカジエニル環が互いにMe2Si基、ジメチルメチレン基、メチルフェニルメチレン基、ジフェニルメチレン基、エチレン基、置換エチレン基等の架橋基で結合されたものも含まれる。
本発明のRnMX2−n・Laで表わされる化合物のうち、n=1、すなわち、シクロアルカジエニル基を配位子として一個有する酸化数+2の周期律表第5族遷移金属化合物の具体例としては、クロロシクロペンタジエニル(テトラヒドロフラン)バナジウム、クロロシクロペンタジエニル(トリメチルホスフィン)バナジウム、クロロシクロペンタジエニルビス(トリメチルホスフィン)バナジウム、クロロシクロペンタジエニル(1,2−ビスジメチルホスフィノエタン)バナジウム、クロロシクロペンタジエニル(1,2−ビスジフェニルホスフィノエタン)バナジウム、クロロシクロペンタジエニル(トリフェニルホスフィン)バナジウム、クロロシクロペンタジエニル(テトラヒドロチオフェン)バナジウム、ブロモシクロペンタジエニル(テトラヒドロフラン)バナジウム、ヨ−ドシクロペンタジエニル(テトラヒドロフラン)バナジウム、クロロ(メチルシクロペンタジエニル)(テトラヒドロフラン)バナジウム、クロロ(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)(テトラヒドロフラン)バナジウム、クロロ(1−ブチル−3−メチルシクロペタジエニル)(テトラヒドロフラン)バナジウム、クロロ(テトラメチルシクロペンタジエニル)(テトラヒドロフラン)バナジウム、クロロ(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(テトラヒドロフラン)バナジウム、クロロ(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(テトラヒドロフラン)バナジウム、クロロ(1,2−ビス(トリメチルシリル)シクロペンタジエニル)(テトラヒドロフラン)バナジウム、クロロ(1,3−ビス(トリメチルシリル)シクロペンタジエニル)(テトラヒドロフラン)バナジウム、クロロインデニル(テトラヒドロフラン)バナジウム、クロロ(2−メチルインデニル)(テトラヒドロフラン)バナジウム、クロロ(2−トリメチルシリルインデニル)(テトラヒドロフラン)バナジウム、クロロフルオレニル(テトラヒドロフラン)バナジウム、ジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(t−ブチルアミノ) バナジウム、ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(t−ブチルアミノ)バナジウムなどが挙げられる。
本発明のRn MX2−n・Laで表わされる化合物のうち、n=2、すなわちシクロアルカジエニル基を配位子として二個有する酸化数+2の周期律表第5族遷移金属化合物の具体例としては、ビスシクロペンタジエニルバナジウム、ビス(メチルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(1−メチル−3−ブチルシクロペタジエニル)バナジウム、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(エチルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(i−プロピルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(iso−ブチルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(sec−ブチルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(t−ブチルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(1−メトキシエチルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(1−ジメチルアミノエチルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(1−ジエチルアミノエチルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(1−ジメチルホスフィノエチルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(1,2−ビス(トリメチルシリル)シクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(1,3−ビス(トリメチルシリル)シクロペンタジエニル)バナジウム、インデニルシクロペンタジエニルバナジウム、(2−メチルインデニル)シクロペンタジエニルバナジウム、(2−トリメチルシリルインデニル)シクロペンタジエニルバナジウム、ビスインデニルバナジウム、ビスフルオレニルバナジウム、インデニルフルオレニルバナジウム、シクロペンタジエニルフルオレニルバナジウム、ジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(t−ブチルアミノ)バナジウム、ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(t−ブチルアミノ)バナジウム、ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)バナジウム、ジメチルシリルビス(インデニル)バナジウム、ジメチルシリルビス(フルオレニル)バナジウムなどが挙げられる。
Rn MX3−n・Laで表される具体的な化合物のうち、n=1の化合物としては、シクロペンタジエニルバナジウムジクロライド、メチルシクロペンタジエニルバナジウムジクロライド、(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)バナジウムジクロライド、(1−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)バナジウムジクロライド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)バナジウムジクロライド、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)バナジウムジクロライド、(1,3−ビス(トリメチルシリル)シクロペンタジエニル)バナジウムジクロライド、インデニルバナジウムジクロライド、(2−メチルインデニル)バナジウムジクロライド、(2−トリメチルシリルインデニル)バナジウムジクロライド、フルオレニルバナジウムジクロライドなどのジクロライド体、あるいはこれらの化合物の塩素原子をメチル基で置換したジメチル体などが挙げられる。
RとXが炭化水素基、シリル基によって結合されたものも含まれる。例えば、(t−ブチルアミド)ジメチル(η5−シクロペンタジエニル)シランバナジウムクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランバナジウムクロライドなどのアミドクロライド体、あるいはこれらの化合物の塩素原子をメチル基で置換したメチル体などが挙げられる。
シクロペンタジエニルバナジウムジメトキサイド、シクロペンタジエニルバナジウムジ−iso−プロポキサイド、シクロペンタジエニルバナジウムジ−t−ブトキサイド、シクロペンタジエニルバナジウムジフェノキサイド、シクロペンタジエニルバナジウムメトキシクロライド、シクロペンタジエニルバナジウム−iso−プロポキシクロライド、シクロペンタジエニルバナジウム−t−ブトキシクロライド、シクロペンタジエニルバナジウムフェノキシクロライドなどのアルコキシド体、あるいはこれらの化合物の塩素原子をメチル基で置換したメチル体などが挙げられる。
(シクロペンタジエニル)ビス(ジエチルアミド)バナジウム、(シクロペンタジエニル)ビス(ジ−iso−プロピルアミド)バナジウム、(シクロペンタジエニル)ビス(ジ−n−オクチルアミド)バナジウムなどのビスアミド体が挙げられる。
シクロペンタジエニルバナジウムジクロライド・ビストリエチルホスフィン錯体、シクロペンタジエニルバナジウムジクロライド・ビストリメチルホスフィン錯体、(シクロペンタジエニル)ビス(ジイソ−プロピルアミド)バナジウムトリメチルホスフィン錯体、モノメチルシクロペンタジエニルバナジウムジクロライド・ビストリエチルフォスフィン錯体などのホスフィン錯体が挙げられる。
Rn MX3−n・Laで表される具体的な化合物のうち、n=2の化合物としては、ジシクロペンタジエニルバナジウムクロライド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)バナジウムクロライド、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)バナジウムクロライド、ビス(1−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)バナジウムクロライド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)バナジウムクロライド、ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)バナジウムクロライド、ビス(1,3−ビス(トリメチルシリル)シクロペンタジエニル)バナジウムクロライド、ジインデニルバナジウムクロライド、ビス(2−メチルインデニル)バナジウムクロライド、ビス(2−トリメチルシリルインデニル)バナジウムクロライド、ジフルオレニルバナジウムクロライドなどのクロライド体、あるいはこれらの化合物の塩素原子をメチル基で置換したメチル体などが挙げられる。
ジシクロペンタジエニルバナジウムメトキサイド、ジシクロペンタジエニルバナジウム−iso−プロポキサイド、ジシクロペンタジエニルバナジウム−t−ブトキサイド、ジシクロペンタジエニルバナジウムフェノキサイド、ジシクロペンタジエニル(ジエチルアミド)バナジウム、ジシクロペンタジエニル(ジ−iso−プロピルアミド)バナジウム、ジシクロペンタジエニル(ジ−n−オクチルアミド)バナジウムが挙げられる。
Rが炭化水素基、シリル基によって結合されたものも含まれる。例えば、ジメチルビス(η5−シクロペンタジエニル)シランバナジウムクロライド、ジメチルビス(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランバナジウムクロライドなどのクロライド体、あるいはこれらの化合物の塩素原子をメチル基で置換したメチル体などが挙げられる。
RMX3で示される具体的な化合物としては、以下の(i)〜(xvi)のものが挙げられる。
(i)シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライドが挙げられる。モノ置換シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、例えば、メチルシクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、エチルシクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、プロピルシクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、イソプロピルシクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、t−ブチルシクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、(1,1−ジメチルプロピル)シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、(ベンジル)シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、(2−フェニル−2−プロピル)シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、(3−ペンチル)シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、(3−メチル−3−ペンチル)シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、(3−フェニル−3−ペンチル)シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライドなどが挙げられる。
(ii)1,2−ジ置換シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、例えば、(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−エチル−2−メチルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−メチル−2−プロピルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−ブチル−2−メチルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−メチル−2−ビス(トリメチルシリル)メチルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、1,2−ビス(トリメチルシリル)シクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−メチル−2−フェニルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−メチル−2−トリルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−メチル−2−(2,6−ジメチルフェニル)シクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、などが挙げられる。
(iia)1,3−ジ置換シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、例えば、(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−エチル−3−メチルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−メチル−3−プ
ロピルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−メチル−3−ビス(トリメチルシリル)メチルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、1,3−ビス(トリメチルシリル)シクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−メチル−3−フェニルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−メチル−3−トリルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−メチル−3−(2,6−ジメチルフェニル)シクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、などが挙げられる。
ロピルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−メチル−3−ビス(トリメチルシリル)メチルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、1,3−ビス(トリメチルシリル)シクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−メチル−3−フェニルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−メチル−3−トリルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−メチル−3−(2,6−ジメチルフェニル)シクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、などが挙げられる。
(iii)1,2,3−トリ置換シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、例えば、(1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライドなどが挙げられる。
(iv)1,2,4−トリ置換シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、例えば、(1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライドなどが挙げられる。
(v)テトラ置換シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、例えば、(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1,2,3,4−テトラフェニルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライドなどが挙げられる。
(vi)ペンタ置換シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、例えば、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1,2,3,4−テトラメチル−5−フェニルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−メチル−2,3,4,5−テトラフェニルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライドなどが挙げられる。
(vii)インデニルバナジウムトリクロライドが挙げられる。
(viii)置換インデニルバナジウムトリクロライド、例えば、(2−メチルインデニル)バナジウムトリクロライド、(2−トリメチルシリルインデニル)バナジウムトリクロライドなどが挙げられる。
(ix)(i)〜(viii)の化合物の塩素原子をアルコキシ基で置換したモノアルコキシド、ジアルコキシド、トリアルコキシドなどが挙げられる。例えば、シクロペンタジエニルバナジウムトリ−t−ブトキサイド、シクロペンタジエニルバナジウム−iso−プロポキサイド、シクロペンタジエニルバナジウムジメトキシクロライド、トリメチルシリルシクロペンタジエニルバナジウムジ−iso−プロポキシクロライド、シクロペンタジエニルバナジウムジ−t−ブトキシクロライド、シクロペンタジエニルバナジウムジフェノキシクロライド、シクロペンタジエニルバナジウム−iso−プロポキシジクロライド、シクロペンタジエニルバナジウム−t−ブトキシジクロライド、シクロペンタジエニルバナジウムフェノキシジクロライド、トリメチルシリルシクロペンタジエニルバナジウムトリ−t−ブトキサイド、トリメチルシクロペンタジエニルバナジウムトリ−iso−プロポキサイド、トリメチルシリルシクロペンタジエニルバナジウムジメトキシクロライド、トリメチルシリルシクロペンタジエニルバナジウムジ−iso−プロポキシクロライド、トリメチルシリルシクロペンタジエニルバナジウムジ−t−ブトキシクロライド、トリメチルシリルシクロペンタジエニルバナジウムジフェノキシクロライド、トリメチルシリルシクロペンタジエニルバナジウム−iso−プロポキシジクロライド、トリメチルシリルシクロペンタジエニルバナジウム−t−ブトキシジクロライド、トリメチルシリルシクロペンタジエニルバナジウムフェノキシジクロライドなどが挙げられる。
(x)(i)〜(ix)の塩素原子をメチル基で置換したメチル体が挙げられる。
(xi)Rが炭化水素基、シリル基によって結合されたものが挙げられる。例えば、(t−ブチルアミド)ジメチル(η5−シクロペンタジエニル)シランバナジウムジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル(トリメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランバナジウムジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランバナジウムジクロライドなどが挙げられる。
(xii)(xi)の塩素原子をメチル基で置換したメチル体が挙げられる。
(xiii)(xi)の塩素原子をアルコキシ基で置換したモノアルコキシ体、ジアルコキシ体が挙げられる。
(xiv)(xiii)のモノクロル体をメチル基で置換した化合物が挙げられる。
(xv)(i)〜(viii)の塩素原子をアミド基で置換したアミド体が挙げられる。例えば、シクロペンタジエニルトリス(ジエチルアミド)バナジウム、シリルシクロペンタジエニルトリス(iso−プロピルアミド)バナジウム、シクロペンタジエニルトリス(n−オクチルアミド)バナジウム、シクロペンタジエニルビス(ジエチルアミド)バナジウムクロライド、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ビス(iso−プロピルアミド)バナジウムクロライド、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ビス(n−オクチルアミド)バナジウムクロライド、シクロペンタジエニル(ジエチルアミド)バナジウムジクロライド、シクロペンタジエニル(iso−プロピルアミド)バナジウムジクロライド、シクロペンタジエニル(n−オクチルアミド)バナジウムジクロライド、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)トリス(ジエチルアミド)バナジウム、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)トリス(iso−プロピルアミド)バナジウム、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)トリス(n−オクチルアミド)バナジウム、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ビス(ジエチルアミド)バナジウムクロライド、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ビス(iso−プロピルアミド)バナジウムクロライド、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ビス(n−オクチルアミド)バナジウムクロライド、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(ジエチルアミド)バナジウムジクロライド、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(iso−プロピルアミド)バナジウムジクロライド、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(n−オクチルアミド)バナジウムジクロライドなどが挙げられる。
(xvi)(xv)の塩素原子を、メチル基で置換したメチル体が挙げられる。
RM(O)X2で表される具体的な化合物としては、シクロペンタジエニルオキソバナジウムジクロライド、メチルシクロペンタジエニルオキソバナジウムジクロライド、ベンジルシクロペンタジエニルオキソバナジウムジクロライド、(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)オキソバナジウムジクロライド、(1−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)オキソバナジウムジクロライド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)オキソバナジウムジクロライド、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)オキソバナジウムジクロライド、(1,3−ビス(トリメチルシリル)シクロペンタジエニル)オキソバナジウムジクロライド、インデニルオキソバナジウムジクロライド、(2−メチルインデニル)オキソバナジウムジクロライド、(2−トリメチルシリルインデニル)オキソバナジウムジクロライド、フルオレニルオキソバナジウムジクロライドなどが挙げられる。上記の各化合物の塩素原子をメチル基で置換したメチル体も挙げられる。
RとXが炭化水素基、シリル基によって結合されたものも含まれる。例えば、(t−ブチルアミド)ジメチル(η5−シクロペンタジエニル)シランオキソバナジウムクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランオキソバナジウムクロライドなどのアミドクロライド体、あるいはこれらの化合物の塩素原子をメチル基で置換したメチル体などが挙げられる。
シクロペンタジエニルオキソバナジウムジメトキサイド、シクロペンタジエニルオキソバナジウムジ−iso−プロポキサイド、シクロペンタジエニルオキソバナジウムジ−t−ブトキサイド、シクロペンタジエニルオキソバナジウムジフェノキサイド、シクロペンタジエニルオキソバナジウムメトキシクロライド、シクロペンタジエニルオキソバナジウム−iso−プロポキシクロライド、シクロペンタジエニルオキソバナジウム−t−ブトキシクロライド、シクロペンタジエニルオキソバナジウムフェノキシクロライドなどが挙げられる。上記の各化合物の塩素原子をメチル基で置換したメチル体も挙げられる。
(シクロペンタジエニル)ビス(ジエチルアミド)オキソバナジウム、(シクロペンタジエニル)ビス(ジ−iso−プロピルアミド)オキソバナジウム、(シクロペンタジエニル)ビス(ジ−n−オクチルアミド)オキソバナジウムなどが挙げられる。
Rn MX3−n(NR')で表される具体的な化合物としては、シクロペンタジエニル(メチルイミド)バナジウムジクロライド、シクロペンタジエニル(フェニルイミド)バナジウムジクロライド、シクロペンタジエニル(2,6−ジメチルフェニルイミド)バナジウムジクロライド、シクロペンタジエニル(2,6−ジiso−−プロピルフェニルイミド)バナジウムジクロライド、(メチルシクロペンタジエニル)(フェニルイミド)バナジウムジクロライド、(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)(フェニルイミド)バナジウムジクロライド、(1−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)(フェニルイミド)バナジウムジクロライド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(フェニルイミド)バナジウムジクロライド、インデニル(フェニルイミド)バナジウムジクロライド、2−メチルインデニル(フェニルイミド)バナジウムジクロライド、フルオレニル(フェニルイミド)バナジウムジクロライドなどが挙げられる。
RとXが炭化水素基、シリル基によって結合されたものも含まれる。例えば、(t−ブチルアミド)ジメチル(η5−シクロペンタジエニル)シラン(フェニルイミド)バナジウムクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シラン(フェニルイミド)バナジウムクロライドなどのアミドクロライド体、あるいはこれらの化合物の塩素原子をメチル基で置換したメチル体などが挙げられる。
Rが炭化水素基、シリル基によって結合されたものも含まれる。例えば、ジメチルビス(η5−シクロペンタジエニル)シラン(フェニルイミド)バナジウムクロライド、ジメチルビス(η5−シクロペンタジエニル)シラン(トリルイミド)バナジウムクロライド、ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シラン(フェニルイミド)バナジウムクロライド、ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シラン(トリルイミド)バナジウムクロライドなどのイミドクロライド体、あるいはこれらの化合物の塩素原子をメチル基で置換したメチル体などが挙げられる。
シクロペンタジエニルバナジウム(フェニルイミド)ジメトキサイド、シクロペンタジエニルバナジウム(フェニルイミド)ジiso−プロポキサイド、シクロペンタジエニルバナジウム(フェニルイミド)(イソ−プロポキシ)クロライド、(シクロペンタジエニル)ビス(ジエチルアミド)バナジウム(フェニルイミド)、(シクロペンタジエニル)ビス(ジiso−プロピルアミド)バナジウム(フェニルイミド)などが挙げられる。
上記触媒成分であるイオン性化合物を構成する非配位性アニオンとしては、例えば、テトラ(フェニル)ボレ−ト、テトラ(フルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレ−ト、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレ−ト、テトラ(トリイル)ボレ−ト、テトラ(キシリル)ボレ−ト、トリフェニル(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、トリス(ペンタフルオロフェニル)(フェニル)ボレ−ト、トリデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレ−ト、テトラフルオロボレ−ト、ヘキサフルオロホスフェ−トなどが挙げられる。
一方、その触媒成分であるイオン性化合物を構成するカチオンとしては、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどを挙げることができる。
カルボニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリス(置換フェニル)カルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンを挙げることができる。トリス(置換フェニル)カルボニウムカチオンの具体例としては、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリス(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンを挙げることができる。
アンモニウムカチオンの具体例としては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン、ジ(イソ−プロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンを挙げることができる。
ホスホニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリ−ルホスホニウムカチオンを挙げることができる。
該イオン性化合物は、上記で例示した非配位性アニオン及びカチオンの中から、それぞれ任意に選択して組み合わせたものを好ましく用いることができる。
中でも、イオン性化合物としては、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、トリフェニルカルボニウムテトラキス(フルオロフェニル)ボレ−ト、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、1,1'−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−トなどが好ましい。
イオン性化合物を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記触媒の構成成分である有機金属化合物は、周期律表第1〜3族元素の有機金属化合物であることが好ましく、周期律表第1〜3族元素の有機金属化合物としては、有機アルミニウム化合物、有機リチウム化合物、有機マグネシウム化合物、有機亜鉛化合物、有機ホウ素化合物などが挙げられる。
具体的な化合物としては、メチルリチウム、ブチルリチウム、フェニルリチウム、ベンジルリチウム、ネオペンチルリチウム、トリメチルシリルメチルリチウム、ビストリメチルシリルメチルリチウム、ジブチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム、三フッ化ホウ素、トリフェニルホウ素などを挙げられる。
さらに、エチルマグネシウムクロライド、ブチルマグネシウムクロライド、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、セスキエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライドのような有機金属ハロゲン化合物、ジエチルアルミニウムハイドライド、セスキエチルアルミニウムハイドライドのような水素化有機金属化合物も含まれる。
上記触媒成分である有機金属化合物としては、有機アルミニウム化合物が好ましい。有機アルミニウム化合物の具体的な化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、セスキエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライドなどの有機アルミニウムハロゲン化合物、ジエチルアルミニウムハイドライド、セスキエチルアルミニウムハイドライドのような水素化有機アルミニウム化合物などが挙げられる。
また、触媒成分である有機金属化合物として、アルモキサンを用いることができる。アルモキサンとしては、有機アルミニウム化合物と縮合剤とを接触させることによって得られるものであって、一般式(−Al(R‘)O−)nで示される鎖状アルミノキサン、あるいは環状アルミノキサンが挙げられる。(R‘は炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部ハロゲン原子及び/又はアルコキシ基で置換されたものも含む。nは重合度であり、5以上、好ましくは10以上である)。R‘として、はメチル、エチル、プロピル、イソブチル基が挙げられるが、メチル基及びエチル基が好ましい。アルミノキサンの原料として用いられる有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム及びその混合物などが挙げられる。
トリメチルアルミニウムとトリブチルアルミニウムの混合物を原料として用いたアルモキサンを好適に用いることができる。
また、縮合剤としては、典型的なものとして水が挙げられるが、この他に該トリアルキルアルミニウムが縮合反応する任意のもの、例えば無機物などの吸着水やジオ−ルなどが挙げられる。上記の有機金属化合物は、二種類以上併用することができる。
触媒成分の添加順序は、特に、制限はないが、例えば次の順序で行うことができる。重合すべき共役ジエン化合物モノマー又はモノマーと溶媒の混合物に触媒成分である有機金属化合物を添加した後、触媒成分である遷移金属化合物のメタロセン型錯体及び触媒成分であるイオン性化合物を任意の順序で添加する。
ここで、重合すべき共役ジエン化合物モノマーは、全量であっても一部であってもよい。モノマーの一部の場合は、上記の接触混合物を残部のモノマーあるいは残部のモノマー溶液と混合することができる。共役ジエン化合物モノマーとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエンなどがある。
本発明に係る共役ジエン重合体変性物は、珪素含有化合物(C)によってヒドロシリル化されていることが好ましく、ヒドロシリル化反応に用いる珪素含有化合物としては、(式1)に示す化学式のものが好ましい。
式1において、R’は、(a)アルコキシ基であり、炭素数が1〜6の数のものが好ましく、特にエトキシ基が良い。また(b)アルキル基であり、炭素数が1〜6の数のものが好ましく、特にメチル基が良い、さらにまた(c)ジアルキルアミノ基であり、特にジメチル基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジ−iso−プロピルアミノ基、特に好ましくはジエチルアミノ基である。また(d)アミノアルキル基であり、炭素数が1〜6の数のものが好ましく、炭素数が1〜3の数のものがより好ましく、最も好ましくはアミノプロピル基である。また(e)アミノアルコキシ基であり、炭素数が1〜6の数のものが好ましく、炭素数が1〜3の数のものがより好ましく、最も好ましくはアミノエトキシ基である。また(f)ハロゲン類であり、最も好ましくは塩素である。また(g)クロロアルコキシ基であり、炭素数が1〜6の数のものが好ましく、炭素数が1〜3の数のものがより好ましく、最も好ましくはクロロエトキシ基である。また(h)クロロアルキル基であり、炭素数が1〜6の数のものが好ましく、炭素数が1〜3の数のものがより好ましく、最も好ましくはクロロエチル基である。また(i)芳香族環であり、最も好ましくはフェニル基やクロロフェニル基である。また(j)シアノアルキル基であり、炭素数が1〜6の数のものが好ましく、炭素数が1〜3の数のものがより好ましく、最も好ましくはシアノプロピル基である。また(k)メルカプトアルキル基であり、炭素数が1〜6の数のものが好ましく、炭素数が1〜3の数のものがより好ましく、最も好ましくはメルカプトプロピル基である。また(l)ヒドロキシアルキル基であり、炭素数が1〜6の数のものが好ましく、炭素数が1〜3の数のものがより好ましく、最も好ましくはヒドロキシプロピル基である。また(m)グリシドキシアルキル基であり、炭素数が1〜6の数のものが好ましく、炭素数が1〜3の数のものがより好ましく、最も好ましくはグリシドキシプロピル基である。また(n)窒素含有環状脂肪族であり、炭素数が3〜5の数のものが好ましく、特に好ましくはピペリジル基である。また(o)ピペリジノアルキル基であり、炭素数が1〜6の数のものが好ましく、炭素数が1〜3の数のものがより好ましく、最も好ましくはピペリジノエチル基である。また(p)ピペリジノアルコキシ基であり、炭素数が1〜6の数のものが好ましく、炭素数が1〜3の数のものがより好ましく、最も好ましくはピペリジノエトキシ基である。(q)ピペラジノアルキル基であり、炭素数が1〜6の数のものが好ましく、炭素数が1〜3の数のものがより好ましく、最も好ましくはピペラジノプロピル基である。
また、R”は(a)アルコキシ基であり、炭素数が1〜6の数のものが好ましく、特にエトキシ基が良い、また(b)アルキル基であり、炭素数が1〜6の数のものが好ましく、特にメチル基が良い、さらにまた(c)アルキルシロキサン(R3SiO)である。ここに、Rはアルキル基であり、特にメチル基が好ましい。また(d)ジアルキルアミノ基であり、特にジメチル基、ジ-n-プロピルアミノ基、ジ−iso−プロピルアミノ基、特に好ましくはジエチルアミノ基である。また(e)アミノアルキル基であり、炭素数が1〜6の数のものが好ましく、特に炭素数が1〜3の数のものがより好ましく、特にアミノプロピルが好ましい。また(f)アミノアルコキシ基であり、炭素数が1〜6の数のものが好ましく、特に炭素数が1〜3の数のものがより好ましく、特にアミノエトキシが好ましい。また(g)ハロゲンであり、最も好ましくは塩素である。また(h)芳香族環であり、最も好ましくはフェニル基と塩化フェニル基である。また(i)窒素含有環状脂肪族であり、炭素数が3〜5の数のものがより好ましく、最も好ましくはピペリジル基である。
炭素数が6より大きくなると、アルキル基が大きすぎて反応活性が低くなり、またシリカに対する親和性を低くする疎水性機能が高くなりすぎてしまうため好ましくない。
具体的な化合物としては、トリエトキシシラン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン(1,1,1,3,5,5,5−heptamethyltrisiloxane)、1,1,1,3,3,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン(1,1,1,3,3,5,5−heptamethyltrisiloxane)、ジエチルアミノジメチルシランなどが特に良い、ヒドロシリル化剤である。通常、これらヒドロシリル化剤は単独で使われるが、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
本発明に係る共役ジエン重合体変性物において、ポリブタジエンをヒドロシリル化する際に用いられる触媒としては、米国特許3419593号公報および米国特許3715334号公報に記載されているものを参考にすることが出来る。以下に(I)〜(IV)のステップで行われる変性方法を示す。
(I)25〜35wt%のモノマー濃度で、温度40〜70℃、好ましくは45〜55℃にてシクロヘキサン中の1,3-ポリブタジエンを重合する。重合で用いられる触媒系は、
(a)化学式(C5R5)VOX2で表されるハーフバナドセン(V)触媒である。ここに、R=H、X=Clである。
(b)化学式AlR3で表されるアルミニム化合物。ここに、R=アルキル基
(c)有機ホウ酸化合物 Ph3CB(C6F5)4
(II)シスポリブタジエンのヒドロシリル化反応は、化学式SiH(R’)(R”)2で表されるシラン化合物と共にイソプロパノール中のSpeier触媒(H2PtCl6)の存在下、40〜80℃、より好ましくは50〜60℃において、未反応1,3−ポリブタジエンモノマーを放出した後、シクロヘキサンに溶けやすい(I)から得られる。ここに、R’は好ましくは、エトキシ、メチル、ジエチルアミノであり、R”は好ましくは、エトキシ、メチル、ヘキサメチルトリシロキサンである。
(III)ゴム100gあたり約1,000ppmの酸化防止剤をエタノール溶液に加え、反応を止める。
(IV)100℃、1時間、真空にてシクロヘキサン中のヒドロシリル化シスポリブタジエン溶液を乾燥する。
(I)25〜35wt%のモノマー濃度で、温度40〜70℃、好ましくは45〜55℃にてシクロヘキサン中の1,3-ポリブタジエンを重合する。重合で用いられる触媒系は、
(a)化学式(C5R5)VOX2で表されるハーフバナドセン(V)触媒である。ここに、R=H、X=Clである。
(b)化学式AlR3で表されるアルミニム化合物。ここに、R=アルキル基
(c)有機ホウ酸化合物 Ph3CB(C6F5)4
(II)シスポリブタジエンのヒドロシリル化反応は、化学式SiH(R’)(R”)2で表されるシラン化合物と共にイソプロパノール中のSpeier触媒(H2PtCl6)の存在下、40〜80℃、より好ましくは50〜60℃において、未反応1,3−ポリブタジエンモノマーを放出した後、シクロヘキサンに溶けやすい(I)から得られる。ここに、R’は好ましくは、エトキシ、メチル、ジエチルアミノであり、R”は好ましくは、エトキシ、メチル、ヘキサメチルトリシロキサンである。
(III)ゴム100gあたり約1,000ppmの酸化防止剤をエタノール溶液に加え、反応を止める。
(IV)100℃、1時間、真空にてシクロヘキサン中のヒドロシリル化シスポリブタジエン溶液を乾燥する。
ヒドロシリル化反応溶媒としては炭化水素化合物であることが良く、例えばペンタン、ヘキサン、へプタン、オクタン、シクロヘキサンあるいは芳香族炭化水素がより好ましい。さらに好ましくはベンゼン、トルエン、キシレン、もっとも好ましくはトルエンである。
使用される白金触媒としては、(a)Speier触媒として知られているトルエン中のH2PtCl6、(b)Karstedt触媒として知られているトルエン/キシレン中のPt-ジビニルテトラメトキシシランあるいは(c)Lamoreoux触媒(n-オクタノール中のH2PtCl6)である。
反応に使われた白金触媒の量はポリマー主鎖中のビニル基に対する白金のモル比によって変えられる。モル比(白金/ビニル基)は、0.1〜1mmol/mol、0.13〜0.5 mmol/molがより好ましく、0.15〜0.30mmol/molが特に好ましく、最も更に好ましくは、0.15〜0.25mmol/molである。
これらのビニル含量に対する白金触媒とシランのモル比は、縮合やシリル側鎖間の相互作用により架橋度が高すぎることなどを避けつつ、十分高いビニル転化率あるいはヒドロシリル化を与えることが出来る最適条件範囲である。
モル比(白金/ビニル基)が上記範囲より低すぎると添加率が悪くなり、十分な効果が得られない。高すぎると添加率が上がり、ポリマー同士の相互作用が強くなる。したがって、加工性が劣り、ポリマーブレンドの際、不均一になる恐れがある。
ヒドロシリル化反応は、窒素雰囲気下で行われるが、他の不活性ガス、たとえばヘリウム、アルゴンなどを用いても良い。
高温でのヒドロシリル化反応は常に、かなりの割合のシラン架橋を引き起こすため、40〜80℃、より好ましい温度は45〜70℃、特に好ましい温度は50〜60℃の範囲である。反応時間もまた、架橋度を制御するのに2〜5時間が好ましい。
共役ジエン重合体変性物の製造方法の第1の態様
本発明に係る共役ジエン重合体変性物の製造法の第1の態様は、重合後に精製された前記ポリブタジエンを芳香族炭化水素溶媒に溶解する工程と、その後、前記珪素含有化合物を用いてヒドロシリル化する工程とを備えている。第1の態様において、ポリブタジエンは、上記方法によって重合されたものが用いられる。
本発明に係る共役ジエン重合体変性物の製造法の第1の態様は、重合後に精製された前記ポリブタジエンを芳香族炭化水素溶媒に溶解する工程と、その後、前記珪素含有化合物を用いてヒドロシリル化する工程とを備えている。第1の態様において、ポリブタジエンは、上記方法によって重合されたものが用いられる。
第1の態様に用いられる芳香族炭化水素としては、ベンゼンやトルエン、キシレンが好ましく、トルエンがさらに好ましい。また、製造方法1のヒドロシリル化反応は、白金触媒の存在下で行われることが好ましく、使用される白金触媒としては、(a)Speier触媒として知られているトルエン中のH2PtCl6あるいは(b)Karstedt触媒として知られているトルエン/キシレン中のPt-ジビニルテトラメトキシシランなどがある。反応に使われた白金触媒の量はポリマー主鎖中のビニル基に対する白金のモル比によって変えられる。モル比(白金/ビニル基)は、0.1〜1mmol/mol、0.13〜0.5 mmol/molがより好ましく、0.15〜0.30mmol/molが特に好ましく、最も更に好ましくは、0.15〜0.25mmol/molである。モル比(白金/ビニル基)が上記範囲より低すぎると添加率が悪くなり、十分な効果が得られない。高すぎると添加率が上がり、ポリマー同士の相互作用が強くなる。したがって、加工性が劣ったり、ポリマーブレンドの際、不均一になる恐れがある。
第1の態様に用いられる式1で表れる珪素含有化合物において、R’は、エトキシ、メトキシ、ジエチルアミノが好ましい。R”は、エトキシ、メトキシ、ヘキサメチルシロキサンが好ましい。この珪素含有化合物の量は、ポリマー主鎖中のビニル基に対するシランのモル比によって変えられ、モル比(SiH/ビニル基)は、0.10〜5mmol/molが好ましく、0.13〜2mol/molがより好ましく、0.15〜0.5mmol/molが特に好ましい。この範囲におけるシラン化合物の量は、シランの架橋度を制御しやすくする。特にR’とR”がエトキシの場合、反応中エトキシ基の縮合を通じてシロキサン架橋が得やすくなる。一方、その他のシロキサン化合物はこの縮合により明らかに架橋しないが、シリル基側鎖中でわずかに(ファンデルワールス力あるいは水素結合により)相互作用を示すに過ぎない。
第1の態様において、ヒドロシリル化反応は、窒素雰囲気下で行われるが、他の不活性ガス、たとえばヘリウム、アルゴンなどを用いても良い。
第1の態様において、高温でのヒドロシリル化反応は常に、かなりの割合のシラン架橋を引き起こすため、4〜80℃、好ましい温度は50〜60℃の範囲である。反応時間もまた、架橋度を制御するのに2〜5時間が好ましい。
第1の態様は、ヒドロシリル化された後、その生成物から未反応シラン化合物を抽出しながら、ヒドロシリル化生成物を分離は、大容量のアセトン/エタノール/メチルエチルケトンの混合物を添加して、溶液の沈殿物を生じさせることによって行うことができる。その後、室温にて真空の下、ヒドロシリル化生成物を乾燥することによって、本発明に係る共役ジエン重合体変性物を得ることができる。
ヒドロシリル化の反応度は、シスポリブタジエン主鎖中の1,2-ビニル含量の転化率をモニターすることにより、FT−IRスペクトルによって確認される。以下の(式2)で表される。
シラン含量(重量%)は、変性シスポリブタジエンの全重量に基づいて、1,2−ビニル転化率から直接計算される。
共役ジエン重合体変性物の製造方法の第2の態様
また、共役ジエン重合体変性物の製造方法の第2の態様は、前記触媒を用いて非芳香族炭化水素溶媒中にて1,3−ブタジエンを重合する工程と、その後、重合されたポリブタジエンを精製せずに珪素含有化合物を用いてヒドロシリル化する工程とを備えている。
また、共役ジエン重合体変性物の製造方法の第2の態様は、前記触媒を用いて非芳香族炭化水素溶媒中にて1,3−ブタジエンを重合する工程と、その後、重合されたポリブタジエンを精製せずに珪素含有化合物を用いてヒドロシリル化する工程とを備えている。
第2の態様において、モノマー濃度は、10〜50wt%が好ましく、20〜40wt%がより好ましく、25〜35wt%が特に好ましい。濃度が上記範囲より低いと重合活性が低すぎるため、分子量が上がらず不都合である。また、濃度が上記範囲より高すぎると重合活性が高すぎるため、温度コントロールが難しく、生成したゴムは変性によって高い架橋性を示す傾向があり好ましくない。
第2の態様において、使用する重合触媒の触媒成分である遷移金属化合物のメタロセン型錯体は、周期律表第3〜6族遷移金属のメタロセン型錯体であれば、特に限定しないが、中でも周期律表第5族遷移金属のメタロセン型錯体がよく、その中でも特に金属バナジウムを用いたハーフバナドセン(V)触媒が良い。ハーフバナドセン(V)触媒としては、化学式(C5R5)MtOX2が良い。さらに、Rは水素あるいはメチル基、およびXはハロゲン元素であるが、特に塩素が好ましい。Mtは金属を示す。
また、第2の態様において、触媒成分である非配位性アニオンとしては、有機ホウ素を使用することができる。また、そのカウンターカチオンとしては、カルボニウム、アンモニウム、あるいはフォスフォニウムカチオンが使用される。特にカウンターカチオンとしては、トリアリルカルボニウムカチオンやN,N−ジアルキルアニリニウムカチオンも用いることができる。
非配位性アニオンとカウンターカチオンを含んだ化合物としては、トリフェニルカルボニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウム テトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレートおよびN,N-ジメチルアニリニウム テトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレートがあげられ、トリフェニルカルボニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが好ましい。
また、第2の態様において、触媒成分である有機金属化合物としては、式AlR3で表されるアルキルアルミニウム化合物が好ましい。ここでRはアルキル基、より好ましくはエチル基である。
第2の態様において、ポリブタジエンの重合温度は、40〜70℃が好ましく、45〜55℃であることがさらに好ましい。また、その重合溶媒としては、シクロヘキサンを用いることが好ましい。
第2の態様において、ヒドロシリル化反応は、溶媒として、n−ヘキサン、n−ペンタン、更にはシクロペンタンやシクロヘキサンのような環状非芳香族炭化水素が好ましく、特にシクロヘキサンが最も好ましく、その溶媒中に式(1)で表される珪素含有化合物と共にイソプロパノール中のSpeier触媒(H2PtCl6)を存在させ、未反応1,3−ポリブタジエンモノマーを放出した後、40〜80℃、より好ましくは50〜60℃で反応させることが好ましい。ここに、式(1)で示す化合物において、R’は、エトキシ、メチル、ジエチルアミノであることが好ましく、R”は、エトキシ、メチル、ヘキサメチルトリシロキサンであることが好ましい。
第2の態様において、ヒドロシリル化反応後、ゴム100gあたり約1,000ppmの抗酸化剤をエタノール溶液に加え、反応を止め、その後、100℃、1時間、真空にてシクロヘキサン中のヒドロシリル化シスポリブタジエン溶液を乾燥する。
共役ジエン重合体変性物の製造方法の第3の態様
また、共役ジエン重合体変性物の製造方法の第3の態様は、前記ポリブタジエンが溶解された芳香族炭化水素溶媒に、シラン化合物で処理を施したシリカを混在させた状態で、珪素含有化合物を用いてヒドロシリル化する工程を備えている。
また、共役ジエン重合体変性物の製造方法の第3の態様は、前記ポリブタジエンが溶解された芳香族炭化水素溶媒に、シラン化合物で処理を施したシリカを混在させた状態で、珪素含有化合物を用いてヒドロシリル化する工程を備えている。
シラン化合物で処理を施したシリカは、例えばBET比表面積が210m2/g及び粒径が0.016μmの沈殿シリカ(日本シリカ製のNipsil VN3)上に式(1)で示す珪素含有化合物を上記芳香族炭化水素中で30〜35℃で30分間含浸させることによって得ることができる。
次に、50〜55℃で1時間加熱することによって、このシリカが存在する芳香族炭化水素にポリブタジエンを溶解する。このポリブタジエンは、オートクレーブを用いて非芳香族炭化水素中で事前に合成されており、ポリマー主鎖に80〜95mol%、より好ましくは87〜92mol%の1,4-シス構造、4〜19mol%、より好ましくは7〜15mol%、特に好ましくは8〜13mol%の1,2-ビニル構造および1mol%以下の1,4-トランス構造であって、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が20〜50であり、好ましくは30〜40であり、特に好ましくは33〜35であことが好ましい。
次に、上述した白金触媒を添加し、芳香族炭化水素中で該シラン被覆シリカと共に溶解したシスポリブタジエンを温度40〜80℃、好ましくは50〜60℃にて2時間加熱することによって、ヒドロシリル化反応を行う。
次に、シリカ含有ヒドロシリル化生成物を分離するのに、大容量のアセトン/エタノール/メチルエチルケトン混合物中で、生成物から未反応シリカ化合物を抽出しつつ、反応溶液の沈殿物を得る。その後、真空、室温下でシリカ含有ヒドロシリル化生成物を乾燥する。
第3の態様において、ヒドロシリル化反応の段階で使用された白金触媒の量は、ポリマー主鎖中のビニル基に対する白金のモル比(白金/ビニル基)として、0.1〜1.0mmol/molであり、0.13〜0.5 mmol/molがより好ましく、0.15〜0.30mmol/molが特に好ましく、最も更に好ましくは、0.15〜0.25mmol/molである。ポリマー主鎖中のビニル基に対する白金のモル比(白金/ビニル基)が上記範囲より低すぎると添加率が悪くなり、十分な効果が得られない。高すぎると添加率が上がり、ポリマー同士の相互作用が強くなる。したがって、加工性が劣ったり、ポリマーブレンドの際、不均一になる恐れがある。
第3の態様において、式(1)で示す珪素含有化合物の量は、ポリマー主鎖中のビニル基に対するシランのモル比(SiH/ビニル基)として、0.15〜5mmol/molが好ましく、より好ましくは0.20〜0.4mmol/molである。ポリマー主鎖中のビニル基に対するシランのモル比(SiH/ビニル基)が上記範囲より低すぎると添加率が悪くなり、十分な効果が得られない。高すぎるとシラン同士が反応し、添加効率が悪くなる。
ヒドロシリル化したシスポリブタジエンのシリカ含量は、熱重量分析法(TGA)によって確認される。TGAの測定条件は、毎分10℃の昇温速度で30℃から500℃にかけてサンプルを加熱し、500℃にて15分間保持する。以下の(式3)を用いてシリカ含量を計算する。
ゴム補強剤配合ゴム組成物
本発明に係るゴム補強剤配合ゴム組成物に用いられる(A)加硫可能なジエン系ゴムとしては、(a1)天然ゴムあるいはポリイソプレンゴムと(a2)1,4−シス構造が80〜99.5mol%、及び1,2−ビニル構造が0.5〜20mol%である(a1)以外のジエン系ゴムの組み合わせが望ましい。
本発明に係るゴム補強剤配合ゴム組成物に用いられる(A)加硫可能なジエン系ゴムとしては、(a1)天然ゴムあるいはポリイソプレンゴムと(a2)1,4−シス構造が80〜99.5mol%、及び1,2−ビニル構造が0.5〜20mol%である(a1)以外のジエン系ゴムの組み合わせが望ましい。
(A)の加硫可能なジエン系ゴムの配合量は、50〜99phr、より好ましくは60〜95phr、特に好ましくは70〜90phrである。
(a1)天然ゴムあるいはポリイソプレンゴムは、通常どちらか一方を単独で用いるが、組み合わせて使用しても良い。その中でも、天然ゴムを単独で使用することが望ましい。
(a1)天然ゴムあるいはポリイソプレンゴムの配合量としては、10〜90phr、より好ましくは15〜70phr、特に好ましくは20〜60phrである。
(a1)の配合量が、上述した範囲より小さいと引張強度や破断伸び等の機械特性が劣る問題が生じ、逆に大きいと本発明の効果例えばヒステリシスロスの改善効果が十分に得られない等の問題を生ずるため、好ましくない。
また、物性としては、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が40〜120、45〜100がより好ましく、特に好ましくは50〜90である。
(a1)のムーニー粘度が上述した範囲より小さいと分子間の絡み合いが弱く加硫した際の機械特性等のゴム特性が低下する傾向が生じ、逆に大きいと分子間の絡み合いが強く配合剤と共に混練した際、成形加工性能が劣り作業性に問題を生ずるため、好ましくない。
(a2)1,4−シス構造が80〜99.5mol%、及び1,2−ビニル構造が0.5〜20mol%である(a1)以外のジエン系ゴムとしては、1,4-ポリブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、MBR、VCR(1,4−ポリブタジエンのマトリクスに繊維状1,2−ポリブタジエンが分散したゴム)などがあげられ、さらにこれらを2つ以上組み合わせても良い。
また、(a2)1,4−シス構造が80〜99.5mol%、及び1,2−ビニル構造が0.5〜20mol%である(a1)以外のジエン系ゴムは、ジエチルアルミニウムクロライドのような有機アルミニウム化合物と組み合わせたコバルト(II)オクタエートコバルト触媒の存在下、1,3−ブタジエンの溶液重合によって製造した市販cis-1,4-ポリブタジエンを使用することが出来る。しかしながら、前述の市販品に制限されるものではない。
(a2)としては、ジエチルアルミニウムクロライドのような有機アルミニウム化合物と組み合わせたコバルト(II)オクタエートコバルト触媒の存在下、1,3−ブタジエンの溶液重合によって製造した市販cis-1,4-ポリブタジエンを単独で使用するか、あるいはMBRを単独で使用することが望ましい。
(a2)の物性としては、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が10〜70、より好ましくは20〜65、特に好ましくは30〜60である。
(a2)のムーニー粘度(ML1+4,100℃)が、上述した範囲より小さいと分子間の絡み合いが弱く加硫した際の機械特性等のゴム特性が低下する傾向が生じ、逆に大きいと分子間の絡み合いが強く配合剤と共に混練した際、成形加工性能が劣り作業性に問題を生ずるため、好ましくない。
(a2)の配合量としては、10〜90phr、20〜70が好ましく、特に好ましくは30〜50phrである。
(a2)の配合量が、上述した範囲より小さいと耐摩耗性、滑り抵抗、粘弾性が悪くなるなどの問題が生じる問題を生ずるため、好ましくない。
本発明に係るゴム補強剤配合ゴム組成物に用いられる(B)ヒドロシリル化された共役ジエン重合体変性物の量は、1〜50phr、より好ましくは5〜40phr、特に好ましくは10〜30phrである。(B)の配合量が、上述した範囲より小さいとゴム補強材とゴムの相互作用への効果低くなり、逆に上述した範囲より大きいとゴムマトリクスの物性低下を引き起こすなどの問題を生ずるため、好ましくない。
ゴム補強剤配合ゴム組成物に用いられるゴム成分全体としては、(a1)天然ゴムあるいはポリイソプレンゴムと(a2)1,4−シス構造が80〜99.5mol%、及び1,2−ビニル構造が0.5〜20mol%である(a1)以外のジエン系ゴムおよび(B)1,4−シス構造が80〜95mol%、及び1,2−ビニル構造が4〜19mol%であるポリブタジエンのビニル基がヒドロシリル化された共役ジエン重合体変性物の3成分系のゴムがより望ましい。
本発明に係るゴム補強剤配合ゴム組成物に用いられる(C)ゴム補強剤としては、無機系ゴム補強剤および有機系ゴム補強剤のいずれの補強材も適用することが出来る。無機系ゴム補強剤としては、沈降シリカ、金属酸化物、アルカリ金属塩およびカーボンブラックである。しかし、これらに限定されるものではない。有機系ゴム補強剤としては、例えば、繊維状の1,2−ポリブタジエンである。しかし、これに限定されるものではない。
ゴム補強剤としては、上述した各補強剤を単独で用いる以外に、2種類以上を組み合わせても良い。例えば、シリカとカーボンブラックを併用して用いても良い。
ゴム補強剤がシリカの場合、沈殿シリカ、特にケイ酸ナトリウムのような可溶ケイ酸の酸性化によって得られるものが好ましい。さらに、上述のようにこれらのシリカをカーボンブラックと組み合わせても良い。
その他、市販の沈殿シリカを用いることが出来、例えば、Z1165MP やZ165GRなどのようなローディア製シリカ(商標Hi−Sil)、東ソー社製のVN2(商標Nipsil)、エボニック社製シリカのVN2やVN3などがあげられる。さらに、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムなどが挙げられ、これらの中でも耐破壊特性の改良効果、ウェットグリップ性および低転がり抵抗性の両立効果が最も顕著である湿式シリカが好ましい。
最も好ましいゴム補強剤は、無機系ゴム補強剤であり、特にBET表面積が100〜300m2/gであり、粒径が0.01〜0.1μmの沈降シリカである。
ゴム補強剤の量としては、20〜80phr、より好ましくは25〜75phr、特に好ましくは30〜70phrである。
本発明のゴム補強剤配合ゴム組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、通常、ゴム工業界で用いられる各種薬品、例えば加硫剤、加硫促進剤、プロセス油、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸などを含有させることができる。また、本発明のゴム組成物は、ロールなどの開放式混練機、バンバリーミキサーなどの密閉式混練機などの混練り機を用いて混練りすることによって得られ、成形加工後に加硫を行ない、各種ゴム製品に適用可能である。
本発明に係るゴム補強剤配合用ゴム組成物に用いられる(D)加硫剤としては、特に限定はされないが主に硫黄であり、0.1〜10 phrの量が好ましく、1〜5がより好ましい。加硫剤の量が多すぎると、架橋が進みすぎるためにゴム加流物の弾性が無くなるなどが知られている。また、加硫物の量が少なすぎるとゴム弾性や摩擦抵抗が不十分となる。
また、本発明に係るゴム補強剤配合用ゴム組成物に用いられる加硫促進剤は、2−メルカプトベンゾチアゾール(M),ジベンジルゾチアジル ジスルフィド(DM), N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CZ),およびジフェニルグアニジン(DD)であるが、これらに限定されるものではない。また、これら加硫促進剤を組み合わせて使用しても良い。好ましい使用量としては0.1〜5phr、より好ましくは1〜3phrである。
本願発明では、上述した主要成分に加え、(E)シランカップリング剤や活性ポリスルフィドなどを配合して使用することが出来る。シランカップリング剤は、シリカ表面のシラノール基と結合を形成する際、活性シランを有している。活性ポリスルフィドは、2〜6イオウ原子を含んでおり、それらイオウ原子が該エラストマーと相互作用を形成する。シランカップリング剤あるいは活性ポリスルフィドの配合量は、1〜10phr、より好ましくは1〜5phrである。例えばシランカップリング剤の配合量が10phr以上と多すぎると、カップリング工程において架橋が数%しか進まないが、逆に10phr以下と少なすぎると、ゴムマトリクス中でのシリカの分散が、不十分となる。活性ポリスルフィドも同様の傾向を示す。
市販で利用できるシランカップリング剤は、例えば、以下のものが含まれるが、決してこれらに限定されるものではない。ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエトキシシラン、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイル テトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイル テトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイル テトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾール テトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾール テトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレート モノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレート モノスルフィドなどがある。本発明では、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドが、最も好ましい。
本発明に係るゴム補強剤配合用ゴム組成物のその他の配合成分として、プロセスオイル、酸化亜鉛、ステアリン酸、酸化防止剤、加硫促進剤、硫黄をゴム混合工程や加硫工程において用いることが出来る。
プロセスオイルとしては、パラフィンオイル、ナフテンオイル、アロマオイルなどであるが、これらに限定されるものではないが、アロマオイルが好ましい。アロマオイルは、ゴム組成物の引張強度や摩擦抵抗の性能を最大限に維持するために使用されている。好ましいプロセスオイルの量は、1〜50phrであり、より好ましくは5〜30phrである。
本発明に係るゴム補強剤ゴム組成物は、(A)加硫可能なゴム、(B)ヒドロシリル化された共役ジエン重合体変性物および(C)ゴム補強剤を組み合わせることで、シリカ−ゴム相互作用が改善され、その結果、低ヒステリシスロス(tanδ)や低燃費性に優れたゴム補強剤配合ゴム組成物とその製造方法を提供することができる。さらに、上述したゴム補強剤配合ゴム組成物を適用することで、環境に優しいタイヤ、特にトレッド部材として優れたタイヤを提供することができる。
本発明におけるゴム補強剤配合ゴム組成物は、タイヤ、例えば、低燃費タイヤやグリーンタイヤに用いることができ、タイヤトレッド、サイドウォール、サブトレッドおよびビードフィラー、特にタイヤトレッドなどの空気タイヤ部材に適用される。また、他の天然ゴムや合成ジエン系ゴムと組み合わせることで、他の産業に関しても、ゴム成分を含む使用に対し高い適用性がある。
また、本発明におけるゴム補強剤配合ゴム組成物は、タイヤの他にゴルフボール、工業用ベルト、履物部材(アウトソール)、ゴムクローラ、防振ゴム、免震ゴムなどに用いることができる。
本願発明で得られるゴム補強剤配合ゴム組成物は、前記(A)加硫可能なジエン系ゴム、前記(B)共役ジエン重合体変性物及び前記(C)ゴム補強剤を混合する工程と、その後、(D)加硫剤及び加硫促進剤の少なくとも一つを加えて加硫する工程とから製造される。
混合工程(第1ゴム組成物の製造方法)
混合工程において、加硫剤や加硫促進剤などを除く全てのゴム組成物がバンバリーミキサーのような密閉式混練機で90℃、5分以内にて混合される。その後直ちに、配合物がミキシングロールを使用して30〜60℃の温度範囲にて冷却後、シート状に成形される。故に、上記混合工程は、予備混合、又は加硫原料を除いた混合工程を意味する。
混合工程において、加硫剤や加硫促進剤などを除く全てのゴム組成物がバンバリーミキサーのような密閉式混練機で90℃、5分以内にて混合される。その後直ちに、配合物がミキシングロールを使用して30〜60℃の温度範囲にて冷却後、シート状に成形される。故に、上記混合工程は、予備混合、又は加硫原料を除いた混合工程を意味する。
シート状ゴム組成物のサンプルを用いて、ムーニー粘度が測定される。
シリカ配合ゴム組成物のムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、55〜175、より好ましくは65〜175、特に好ましくは110〜175である。
シリカ配合ゴム組成物のムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、55〜175、より好ましくは65〜175、特に好ましくは110〜175である。
シリカ配合ゴム組成物のムーニー粘度(ML1+4,100℃)が上記の範囲より大きい場合、成形加工性能が劣り作業性に問題を生じ、逆に範囲より小さい場合、シリカに十分な剪断応力が掛からずシリカ等の分散性に問題が生ずる。
シート状ゴム組成物のサンプルを用いて、Payne効果が確認される。
Payne効果は、アルファテクノロジー社製RPA−2000を用いてシリカ−ゴム相互作用やシリカの分散状態を確認することができる。
Payne効果は、アルファテクノロジー社製RPA−2000を用いてシリカ−ゴム相互作用やシリカの分散状態を確認することができる。
加硫予備工程(第2ゴム組成物の製造方法)
前述した混合工程から得られたシリカ-ゴム化合物のシートは、30〜60℃の温度範囲にてミキシングロールを使用して、加硫剤や加硫促進剤とともに混合したものである。加硫剤としては、前述したように硫黄が好ましい。
前述した混合工程から得られたシリカ-ゴム化合物のシートは、30〜60℃の温度範囲にてミキシングロールを使用して、加硫剤や加硫促進剤とともに混合したものである。加硫剤としては、前述したように硫黄が好ましい。
加硫予備工程によるゴム組成物は、シート状に引かれ、そのサンプルはムーニー粘度(ML1+4,100℃)、150℃におけるキュラストメーターでの最適加硫点、RPA−2000における150℃で加硫中のtanδの測定がなされる。
加硫予備工程による第2ゴム組成物のムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、混合工程から得られた第一化合物のムーニー粘度より減少し、その値は、50〜120、より好ましくは60〜105、特に好ましくは70〜95である。
加硫予備工程による第2ゴム組成物のムーニー粘度(ML1+4,100℃)が上記範囲より大きいと、成形加工性能が劣り作業性に問題を生じ、逆に小さいとシリカの分散性不良、未加硫物の引張応力が得られず加工性の問題が生ずる。
シリカ配合ゴム組成物の加硫特性と加硫物の物性
加硫予備工程での第2ゴム組成物のシリカ配合ゴム組成物は、前述のキュラストメーター(登録商標)によって測定された最適加硫点に従い、150℃でプレス成形にて作られる。本発明のゴム加流物は、温度掃引、引張強度および発熱特性を通じ、粘弾性特性の測定に従う。さらにゴム加流物中の沈降シリカの分散性の観測は、電子透過型顕微鏡(TEM)を用いて行った。
加硫予備工程での第2ゴム組成物のシリカ配合ゴム組成物は、前述のキュラストメーター(登録商標)によって測定された最適加硫点に従い、150℃でプレス成形にて作られる。本発明のゴム加流物は、温度掃引、引張強度および発熱特性を通じ、粘弾性特性の測定に従う。さらにゴム加流物中の沈降シリカの分散性の観測は、電子透過型顕微鏡(TEM)を用いて行った。
加硫物の温度掃引による粘弾性特性を測定することで、タイヤにおけるゴム組成物の基本特性を推し量ることができる。
低温領域(−30℃〜0℃)では一般に、タイヤトレッド用に適用できる優れた粘弾性を持ったエラストマーやゴム材料は、氷点下(ただしガラス転移温度よりは高い)において、より低い弾性率を示す。例えば氷雪環境で使用される材料のゴム状態、良好な濡れ摩擦特性および氷点下(ただしガラス転移温度よりは高い)におけるより高い弾性損失(tanδ)を示す。
さらに、高温(50℃〜80℃)での低い弾性損失(tanδ)は、低ヒステリシスロス、低転がり抵抗、および低燃費性を示すものとして、タイヤトレッドとして使用される場合、優れた粘弾性を持つゴム材料として好まれる。
以下、本発明に係る共役ジエン重合体変性物の実施例について説明する。実施例の物性値は、以下のように測定した。
(ヒドロシリル化の転化率測定)
ミクロ構造とビニル基の転化率測定は標準KBrフィルムやCS2溶液法を用いて、島津製作所社製Shimadzu−8700のFT−IRスペクトルを測定することで行った。
ミクロ構造とビニル基の転化率測定は標準KBrフィルムやCS2溶液法を用いて、島津製作所社製Shimadzu−8700のFT−IRスペクトルを測定することで行った。
(分子量測定)
分子量と分子量分布は、東ソー社製HLC-8220 GPCを用い、カラムを2本直列にて使用し、標準ポリスチレンの検量線により算出した。使用したカラムはShodex GPC KF−805L columnであり、THF中でのカラム温度40℃を測定することで行った。
分子量と分子量分布は、東ソー社製HLC-8220 GPCを用い、カラムを2本直列にて使用し、標準ポリスチレンの検量線により算出した。使用したカラムはShodex GPC KF−805L columnであり、THF中でのカラム温度40℃を測定することで行った。
(熱重量分析)
熱重量分析(TGA)は、島津製作所社製Shimadzu TGA−50を用いて昇温速度毎分10℃にて30〜500℃まで上昇後、500℃で15分保持。(数1)を用いて算出した。
熱重量分析(TGA)は、島津製作所社製Shimadzu TGA−50を用いて昇温速度毎分10℃にて30〜500℃まで上昇後、500℃で15分保持。(数1)を用いて算出した。
(シリコーン含量測定)
シリコーン含量測定は、Variance製Vista−MPXのICPにより行われた。サンプル溶液は、硫酸、硝酸およびアルカリ溶液を使用した標準法によって調製された。
シリコーン含量測定は、Variance製Vista−MPXのICPにより行われた。サンプル溶液は、硫酸、硝酸およびアルカリ溶液を使用した標準法によって調製された。
(ムーニー粘度測定)
ムーニー粘度(ML1+4,100℃)測定は、JIS K−6300標準に準拠して行った。
ムーニー粘度(ML1+4,100℃)測定は、JIS K−6300標準に準拠して行った。
(Payne効果)
動的歪み掃引分析は、150℃、1Hzの周波数の条件にてAlpha Technologies社製のゴム加工性解析装置RPA−2000を使って行った。
動的歪み掃引分析は、150℃、1Hzの周波数の条件にてAlpha Technologies社製のゴム加工性解析装置RPA−2000を使って行った。
(1)ガラス反応器にてトルエン溶媒でヒドロシリル化反応したシスポリブタジエンの後変性の実施例を以下に示す。
実施例1
窒素雰囲気下にて攪拌翼、還流器、熱電対を伴った1リットルのガラス反応器がオイルバス中に設置され、モキュラーシーブで脱水処理した250mlのトルエンが注射器により加えられた。ついで、ポリマー主鎖中にシス含量が88〜90%、1,2−ビニル含量が10%をもつ構造であってムーニー粘度(ML1+4,100℃)が33〜34であるシスポリブタジエン10gが加えられた。
窒素雰囲気下にて攪拌翼、還流器、熱電対を伴った1リットルのガラス反応器がオイルバス中に設置され、モキュラーシーブで脱水処理した250mlのトルエンが注射器により加えられた。ついで、ポリマー主鎖中にシス含量が88〜90%、1,2−ビニル含量が10%をもつ構造であってムーニー粘度(ML1+4,100℃)が33〜34であるシスポリブタジエン10gが加えられた。
シスポリブタジエンを、50℃、1〜1.5時間にてトルエン溶液中で溶解する。その後、濃度0.024MのH2PtCl6−iPrOH(Speier触媒)0.39ml(触媒/ビニル=0.5mmol/mol)を注射器で加えた。ついで、3.4mlのトリエトキシシラン (EtO)3SiH (SiH/Vinyl=1mol/mol)を30分以内で滴下する。ヒドロシリル化反応は、80℃、5時間で行った。室温にて冷却された後、トルエン溶液を大量のエタノール、アセトン、メチルエチルケトンの混合溶液に1時間かけて、投入した。
沈殿したヒドロシリル化生成物をろ過し、30℃、8時間かけて真空乾燥した。FT−IRスペクトルから1,2−ビニルの転化率は72.5%であった。ゆえに、18.1wt%のシラン含量となる。結果を表1に示す。
実施例2
ヒドロシリル化反応を2時間で行ったこと以外は、実施例1と同様に行った。FT−IRスペクトルから1,2−ビニルの転化率は63.2%であった。ゆえに、16.1wt%のシラン含量となる。結果を表1に示し、このトリエトキシシラン変性シスポリブタジエンのFT−IRスペクトルを図2に示す。
ヒドロシリル化反応を2時間で行ったこと以外は、実施例1と同様に行った。FT−IRスペクトルから1,2−ビニルの転化率は63.2%であった。ゆえに、16.1wt%のシラン含量となる。結果を表1に示し、このトリエトキシシラン変性シスポリブタジエンのFT−IRスペクトルを図2に示す。
実施例3
触媒/ビニルを0.25mmol/molとし、ヒドロシリル化反応の温度を50℃とした以外は、実施例2と同様に行った。FT−IRスペクトルから1,2−ビニルの転化率は61.5%であった。ゆえに、15.7wt%のシラン含量となる。結果を表1に示す。
触媒/ビニルを0.25mmol/molとし、ヒドロシリル化反応の温度を50℃とした以外は、実施例2と同様に行った。FT−IRスペクトルから1,2−ビニルの転化率は61.5%であった。ゆえに、15.7wt%のシラン含量となる。結果を表1に示す。
実施例4
濃度0.025MのPt-ジビニルテトラメチルジシロキサン(Karstedt触媒)のトルエン/キシレン溶液をSpeier触媒の代わりに用いた以外は、実施例2と同様に行った。FT−IRスペクトルから1,2−ビニルの転化率は66.7%であった。ゆえに、16.9wt%のシラン含量となる。ヒドロシリル化シスポリブタジエンは、架橋ゴムとして得られた。結果を表1に示す。
濃度0.025MのPt-ジビニルテトラメチルジシロキサン(Karstedt触媒)のトルエン/キシレン溶液をSpeier触媒の代わりに用いた以外は、実施例2と同様に行った。FT−IRスペクトルから1,2−ビニルの転化率は66.7%であった。ゆえに、16.9wt%のシラン含量となる。ヒドロシリル化シスポリブタジエンは、架橋ゴムとして得られた。結果を表1に示す。
実施例5
触媒/ビニルを0.10mmol/molとし、ポリマー主鎖のビニル基とトリエトキシシランのモル比(SiH/Vinyl)を0.25mol/molとした以外は、実施例3と同様に行った。FT−IRスペクトルから1,2−ビニルの転化率は9.4%であった。ゆえに、2.8wt%のシラン含量となる。ヒドロシリル化シスポリブタジエンは非架橋ゴムとして得られた。結果を表1に示す。
触媒/ビニルを0.10mmol/molとし、ポリマー主鎖のビニル基とトリエトキシシランのモル比(SiH/Vinyl)を0.25mol/molとした以外は、実施例3と同様に行った。FT−IRスペクトルから1,2−ビニルの転化率は9.4%であった。ゆえに、2.8wt%のシラン含量となる。ヒドロシリル化シスポリブタジエンは非架橋ゴムとして得られた。結果を表1に示す。
実施例6
トリエトキシシランの代わりに1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサンを用い、ポリマー主鎖のビニル基と1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサンのモル比(SiH/Vinyl)が1mol/molとした以外は、実施例3と同様に行った。FT−IRスペクトルから1,2−ビニルの転化率は24.0%であった。ゆえに、9.0wt%のシラン含量となる。ヒドロシリル化シスポリブタジエンは非架橋ゴムとして得られた。結果を表1に示し、この1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン変性シス-ポリブタジエンのFT-IRスペクトルを図2に示す。
トリエトキシシランの代わりに1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサンを用い、ポリマー主鎖のビニル基と1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサンのモル比(SiH/Vinyl)が1mol/molとした以外は、実施例3と同様に行った。FT−IRスペクトルから1,2−ビニルの転化率は24.0%であった。ゆえに、9.0wt%のシラン含量となる。ヒドロシリル化シスポリブタジエンは非架橋ゴムとして得られた。結果を表1に示し、この1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン変性シス-ポリブタジエンのFT-IRスペクトルを図2に示す。
実施例7
Karstedt触媒の代わりに実施例1と同様のSpeier触媒を用いた以外は、実施例6と同様に行った。FT−IRスペクトルから1,2−ビニルの転化率は7.3%であった。ゆえに、2.9wt%のシラン含量となる。ヒドロシリル化シスポリブタジエンは非架橋ゴムとして得られた。結果を表1に示す。
Karstedt触媒の代わりに実施例1と同様のSpeier触媒を用いた以外は、実施例6と同様に行った。FT−IRスペクトルから1,2−ビニルの転化率は7.3%であった。ゆえに、2.9wt%のシラン含量となる。ヒドロシリル化シスポリブタジエンは非架橋ゴムとして得られた。結果を表1に示す。
実施例8
触媒/ビニルを0.15mmol/molとし、ポリマー主鎖のビニル基とトリエトキシシランのモル比(SiH/Vinyl)を3分の1mol/molとした以外は、実施例7と同様に行った。FT−IRスペクトルから1,2−ビニルの転化率は3.4%であった。ゆえに、1.4wt%のシラン含量となる。ヒドロシリル化シスポリブタジエンは非架橋ゴムとして得られた。結果を表1に示す。
触媒/ビニルを0.15mmol/molとし、ポリマー主鎖のビニル基とトリエトキシシランのモル比(SiH/Vinyl)を3分の1mol/molとした以外は、実施例7と同様に行った。FT−IRスペクトルから1,2−ビニルの転化率は3.4%であった。ゆえに、1.4wt%のシラン含量となる。ヒドロシリル化シスポリブタジエンは非架橋ゴムとして得られた。結果を表1に示す。
実施例9
触媒/ビニルを0.10mmol/molとし、ポリマー主鎖のビニル基とトリエトキシシランのモル比(SiH/Vinyl)を0.25mol/molとした以外は、実施例6と同様に行った。FT−IRスペクトルから1,2−ビニルの転化率は3.3%であった。ゆえに、1.3wt%のシラン含量となる。ヒドロシリル化シスポリブタジエンは非架橋ゴムとして得られた。結果を表1に示す。
触媒/ビニルを0.10mmol/molとし、ポリマー主鎖のビニル基とトリエトキシシランのモル比(SiH/Vinyl)を0.25mol/molとした以外は、実施例6と同様に行った。FT−IRスペクトルから1,2−ビニルの転化率は3.3%であった。ゆえに、1.3wt%のシラン含量となる。ヒドロシリル化シスポリブタジエンは非架橋ゴムとして得られた。結果を表1に示す。
(2)ステンレス製オートクレーブを用いたシクロヘキサン中でのシスポリブタジエンの直接ヒドロシリル化反応の実施例を以下に示す。
実施例10
攪拌翼と熱電対を装備した容量1.5リットルのステンレス製オートクレーブを窒素で脱気した後、常圧以上の窒素圧に保ちつつ、モレキュラーシーブで脱水処理したシクロヘキサン溶液に1,3-ブタジエン(1,3−ブタジエン=197.4 g)を溶解した溶液900mlを加えた。
攪拌翼と熱電対を装備した容量1.5リットルのステンレス製オートクレーブを窒素で脱気した後、常圧以上の窒素圧に保ちつつ、モレキュラーシーブで脱水処理したシクロヘキサン溶液に1,3-ブタジエン(1,3−ブタジエン=197.4 g)を溶解した溶液900mlを加えた。
1.2マイクロリットルの脱イオン水をマイクロシリンジで加え、室温で30分間、激しく攪拌した。その後、攪拌速度を500rpmに落とし、水素105mlを毎分50mlの流速でガスボンベから直接導入した。
濃度0.59Mのトリエチルアルミニウムのへプタン溶液1.48mmolを、ガスタイトシリンジを使って加え、その後3分間熟成した。
その後、濃度2.25mMのC5H5V(O)Cl2触媒のトルエン溶液0.011mmolをガスタイトシリンジを使って加えた。反応器を所望の温度である50℃まで加熱後、濃度3.25mMのトリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Ph3CB(C6F5)4助触媒)0.016mmolをガスタイトシリンジにより加えた。
重合は、50℃にて30分間行った。反応器は、その後30℃に冷却され、未反応1,3−ブタジエンは0.3kgf/cm2に減圧することで除去された。その後、ポリブタジエンのサンプルをFT−IRやGPCにて測定した。ヒドロシリル化する前のシスポリブタジエンの数平均分子量(Mn)は167,000 g/molであり、分子量分布(Mw/Mn)は3.2であった。
重合後の1,3−ブタジエンの転化率を50%であると仮定することにより、オートクレーブ中のシスポリブタジエンのシクロヘキサン溶液に対して、トリエトキシシラン8.5ml(46mmolあるいはSiH/Vinyl=0.25)と0.8ml(0.0183mmolあるいはPt/Vinyl=0.1mmol/mol)のH2PtCl6−iPrOH(Speier触媒)を夫々、注射器で加えた。
オートクレーブをヒドロシリル化反応の所望の温度である50℃に加熱した。反応1時間後、反応器を室温まで冷却し、反応器内の圧力を抜いた。その後、ゴム100gに対して約1,000ppmの濃度の酸化防止剤のエタノール溶液を加えた。ヒドロシリル化したシスポリブタジエンを100℃、1時間にて真空乾燥した。
原料ポリマーであるシスポリブタジエンのミクロ構造は、1,4−シス構造が88.0%、1,2−ビニル構造が11.1%、1,4−トランス構造が0.9%であることをFT−IRで確認した。1,2−ビニルの転化率は、17.3%であることがFT−IRでわかった。さらにシリコーン含量は、990ppmであることがICPから測定した。ヒドロシリル化したシスポリブタジエンは、部分的に架橋したものである。この部分的に架橋したゴムのムーニー粘度は、118.4であった。結果を表2に示す。
実施例11
活性サイトであるSi-Hが分子中間に位置する1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサンをトリエトキシシランの代わりに用いた以外は、実施例10と同様に行った。原料ポリマーであるシスポリブタジエンのミクロ構造は、1,4−シス構造が88.9%、1,2−ビニル構造が10.4%、1,4−トランス構造が0.7%であることをFT−IRで確認した。1,2−ビニルの転化率は、6.8%であることがFT−IRでわかった。さらにシリコーン含量は、1150ppmであることがICPから測定した。ヒドロシリル化したシスポリブタジエンは、部分的に架橋したものである。この部分的に架橋したゴムのムーニー粘度は、84.6であった。結果を表2に示す。
活性サイトであるSi-Hが分子中間に位置する1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサンをトリエトキシシランの代わりに用いた以外は、実施例10と同様に行った。原料ポリマーであるシスポリブタジエンのミクロ構造は、1,4−シス構造が88.9%、1,2−ビニル構造が10.4%、1,4−トランス構造が0.7%であることをFT−IRで確認した。1,2−ビニルの転化率は、6.8%であることがFT−IRでわかった。さらにシリコーン含量は、1150ppmであることがICPから測定した。ヒドロシリル化したシスポリブタジエンは、部分的に架橋したものである。この部分的に架橋したゴムのムーニー粘度は、84.6であった。結果を表2に示す。
実施例12
活性サイトであるSi-Hが分子中間に位置するものの代わりに活性サイトであるSi-Hが分子末端に位置するものを用いた以外は、実施例11と同様に行った。原料ポリマーであるシスポリブタジエンのミクロ構造は、1,4−シス構造が88.7%、1,2−ビニル構造が10.4%、1,4−トランス構造が0.9%であることをFT−IRで確認した。1,2−ビニルの転化率は、13.6%であることがFT−IRでわかった。さらにシリコーン含量は、3500ppmであることがICPから測定した。ヒドロシリル化したシスポリブタジエンは、部分的に架橋したものである。この部分的に架橋したゴムのムーニー粘度は、110.1であった。結果を表2に示し、このシリカ含有ヘプタメトキシシラン−変性シスポリブタジエンのFT-IRスペクトルを図3に示す。
活性サイトであるSi-Hが分子中間に位置するものの代わりに活性サイトであるSi-Hが分子末端に位置するものを用いた以外は、実施例11と同様に行った。原料ポリマーであるシスポリブタジエンのミクロ構造は、1,4−シス構造が88.7%、1,2−ビニル構造が10.4%、1,4−トランス構造が0.9%であることをFT−IRで確認した。1,2−ビニルの転化率は、13.6%であることがFT−IRでわかった。さらにシリコーン含量は、3500ppmであることがICPから測定した。ヒドロシリル化したシスポリブタジエンは、部分的に架橋したものである。この部分的に架橋したゴムのムーニー粘度は、110.1であった。結果を表2に示し、このシリカ含有ヘプタメトキシシラン−変性シスポリブタジエンのFT-IRスペクトルを図3に示す。
実施例13
トリエトキシシランの代わりにジエチルアミノジメチルシランを用いた以外は、実施例10と同様に行った。原料ポリマーであるシスポリブタジエンのミクロ構造は、1,4−シス構造が88.2%、1,2−ビニル構造が10.9%、1,4−トランス構造が0.9%であることをFT−IRで確認した。1,2−ビニルの転化率は、15.3%であることがFT−IRでわかった。さらにシリコーン含量は、425ppmであることがIPCから測定した。ヒドロシリル化したシスポリブタジエンは、青みがかった茶色い非架橋したものである。この非架橋したゴムのムーニー粘度は、39であった。結果を表3に示す。
トリエトキシシランの代わりにジエチルアミノジメチルシランを用いた以外は、実施例10と同様に行った。原料ポリマーであるシスポリブタジエンのミクロ構造は、1,4−シス構造が88.2%、1,2−ビニル構造が10.9%、1,4−トランス構造が0.9%であることをFT−IRで確認した。1,2−ビニルの転化率は、15.3%であることがFT−IRでわかった。さらにシリコーン含量は、425ppmであることがIPCから測定した。ヒドロシリル化したシスポリブタジエンは、青みがかった茶色い非架橋したものである。この非架橋したゴムのムーニー粘度は、39であった。結果を表3に示す。
(3)ガラス反応器にてトルエン溶媒でヒドロシリル化反応してIn−Situシリカ含有ヒドロシリル化シスポリブタジエンを合成するための後変性シスポリブタジエンの実施例を以下に示す。
実施例14
1リットルのガラス反応器を窒素雰囲気下、攪拌翼、還流器、熱電対を装備して、オイルバスに設置した。3gの沈殿シリカ(Nipsil VN3)を加え、さらにモレキュラーシーブで脱水処理したトルエン300mlを加えた。その後、トリエトキシシラン(6.17 mmolあるいはSiH/Vinyl=0.33)1.1mlをシリンジにて加えた。シリカへのシランの含浸は30℃、30分行った。その後、ポリマー主鎖中のシス含量88〜90%、1,2−ビニル含量が10%の構造であって、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が約37のシスポリブタジエン10gを加えた。
1リットルのガラス反応器を窒素雰囲気下、攪拌翼、還流器、熱電対を装備して、オイルバスに設置した。3gの沈殿シリカ(Nipsil VN3)を加え、さらにモレキュラーシーブで脱水処理したトルエン300mlを加えた。その後、トリエトキシシラン(6.17 mmolあるいはSiH/Vinyl=0.33)1.1mlをシリンジにて加えた。シリカへのシランの含浸は30℃、30分行った。その後、ポリマー主鎖中のシス含量88〜90%、1,2−ビニル含量が10%の構造であって、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が約37のシスポリブタジエン10gを加えた。
50℃にて1〜1.5時間、シリカートルエン懸濁液中にシスポリブタジエンを溶解した後、濃度0.025MにてPt-ジビニルテトラメチルジシロキサン(Karstedt触媒)のトルエン/キシレン溶液の0.1ml(Pt/Vinyl=0.15mmol/mol)をシリンジで加えた。ヒドロシリル化反応は50℃、2時間行った。その後、反応器を室温に冷却し、トルエン懸濁液を大容量のエタノール、アセトン、およびメチルエチルケトン混合溶液に沈降させる。ろ過後、シリカ含有ヒドロシリル化シスポリブタジエンを30℃、8時間にて真空乾燥する。
1,2-ビニル転化率は、16.2%であることがFT−IRスペクトルで確認した。また、シリカ含量は、24.2wt%であることをTGAで測定した。シリカ含有ヒドロシリル化シスポリブタジエンは、非架橋ゴムである。結果を表3に示す。
実施例15
トリエトキシシランの代わりに1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサンを用いた以外は、実施例14と同様に行った。1,2−ビニル転化率は、20.8%であることがFT−IRスペクトルで確認した。また、シリカ含量は、25.19wt%であることをTGAで測定した。シリカ含有ヒドロシリル化シスポリブタジエンは、非架橋ゴムである。結果を表3に示す。
トリエトキシシランの代わりに1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサンを用いた以外は、実施例14と同様に行った。1,2−ビニル転化率は、20.8%であることがFT−IRスペクトルで確認した。また、シリカ含量は、25.19wt%であることをTGAで測定した。シリカ含有ヒドロシリル化シスポリブタジエンは、非架橋ゴムである。結果を表3に示す。
実施例16
トリエトキシシランの代わりにジエチルアミノジメチルシランを用いた以外は、実施例14と同様に行った。1,2-ビニル転化率は、22.3%であることがFT−IRスペクトルで確認した。また、シリカ含量は、27.65wt%であることをTGAで測定した。シリカ含有ヒドロシリル化シスポリブタジエンは、非架橋ゴムである。結果を表3に示す。
トリエトキシシランの代わりにジエチルアミノジメチルシランを用いた以外は、実施例14と同様に行った。1,2-ビニル転化率は、22.3%であることがFT−IRスペクトルで確認した。また、シリカ含量は、27.65wt%であることをTGAで測定した。シリカ含有ヒドロシリル化シスポリブタジエンは、非架橋ゴムである。結果を表3に示す。
活性シラン化合物によりシス-ポリブタジエンのビニル側鎖をヒドロシリル化する目的は、ゴムマトリックスと補強材としてのシリカとの親和性、すなわち、シリカ−ゴム相互作用を改善することである。特に、低転がり抵抗や低発熱性、その結果により生ずる低燃費性である環境に優しいタイヤ、中でもタイヤトレッドへ適用されるものである。
また、タイヤ部材としては他にトレッド、サイドウォール、サブトレッドおよびビードチェーファー、リムストリップなどがある。
更に、ヒドロシリル化シスポリブタジエンは、タイヤそのもののエラストマー配合物の全部あるいは一部あるいはタイヤを作るためのゴム組成物あるいはその部材として使用することも可能である。また、タイヤのエラストマー配合物を形成するのに他のゴムと混合した配合物としても使用可能である。
他のゴムとしては、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンゴム、ポリブタジエンのような合成ゴムであって、異なるミクロ構造を持っており、さらにそれらの混合物でも良い。さらに、タイヤ用途に加えて、ホース、ベルト、靴底、窓シール材や他の工業エラストマー製品の産業でも使用できる。
本発明では、シリカーゴム相互作用の研究は、ゴム加工性解析装置(RPA)を用いて動的歪み掃引分析を実施することでなされた。分析は、150℃、周波数1Hzで実行された。これらの結果を図4及び5に示す。
すべてのヒドロシリル化シスポリブタジエンは、動的歪み掃引の間、せん断弾性率やtanδは夫々急激な増減を示さないので、Payne効果が低い値を示す。それは普通の現象であり、そのときシリカ凝集体はゴムマトリクス中で分裂する。
すべてのヒドロシリル化したシスポリブタジエンに対する最も重要なtanδの値は、変性していないシスポリブタジエンの値よりかなり低い。したがって、本願発明で作られたヒドロシリル化したシスポリブタジエンゴムは、シリカーゴム相互作用の改善を示し、結果的に低ヒステリシス損失となる。特に、ジエチルアミノジメチルシリルの機能は、最小のtanδを示すゆえ、最も好ましく、結果的に最も低いヒステリシス損失やPayne効果となる。
表3より全てのヒドロシリル化したシスポリブタジエンは、シリカ−ゴムマトリクス間の相互作用が改善していることを示しており、ゴムマトリクス中にシリカがしっかりと保持されている可能性を示す。
実施例17
磁力誘導回転式攪拌翼と熱電対を装備した1.5リットルのステンレス製オートクレーブを脱気して常圧にて窒素置換後、モレキュラーシーブで脱水した900mlの1,3-ブタジエンのシクロヘキサン溶液(1,3−butadiene =197.4 g)が加えられた。1.2μLの脱イオン水がマイクロシリンジで加えられ、室温で30分間、激しく攪拌した。その後、攪拌速度を500rpmに落とし、水素105mlを毎分50mlの流速でガスボンベから直接導入した。濃度0.59Mのトリエチルアルミニウムのへプタン溶液1.48mmolを、ガスタイトシリンジを使って加え、その後3分間熟成した。その後、濃度2.25mMのC5H5V(O)Cl2触媒のトルエン溶液0.011mmolをガスタイトシリンジを使って加えた。反応器を所望の温度である50℃まで加熱後、濃度3.25mMのPh3CB(C6F5)4助触媒0.016mmolをガスタイトシリンジから加えた。重合は、50℃にて30分間行った。反応器は、その後直ちに30℃に冷却され、未反応1,3―ブタジエンは0.3 kgf/cm2に減圧することで除去された。その後、ポリブタジエンのサンプルをFTIRやGPCにて測定した。ヒドロシリル化する前のシスポリブタジエンの数平均分子量(Mn)は167,000g/molであり、分子量分布(Mw/Mn)は3.2であった。重合後の1,3−ブタジエンの転化率を50%であると仮定することにより、オートクレーブ中のシスポリブタジエンのシクロヘキサン溶液に対して、トリエトキシシラン8.5ml(46mmol or SiH/Vinyl=0.25)と0.8ml(0.0,183 mmol or Pt/Vinyl = 0.1 mmol/mol)の H2PtCl6−iPrOH(Speier‘s 触媒)を夫々、注射器で加えた。オートクレーブをヒドロシリル化反応の所望の温度である50℃に加熱した。反応1時間後、直ちに反応器を室温まで冷却し、反応器内の圧力を抜いた。その後、ゴム100gに対して約1,000ppmの濃度の酸化防止剤を含むエタノール溶液を加えた。ヒドロシリル化したシスポリブタジエンを100℃、1時間にて真空乾燥した。1,2−ビニルの転化率は、17.3%であることがFT−IR分析でわかった。さらにシリコーン含量は、990ppmであることがICPから測定した。ヒドロシリル化したシスポリブタジエンは、部分的に架橋したものである。この部分的に架橋したゴムのムーニー粘度は、118.4であった。結果を表4に示す。
磁力誘導回転式攪拌翼と熱電対を装備した1.5リットルのステンレス製オートクレーブを脱気して常圧にて窒素置換後、モレキュラーシーブで脱水した900mlの1,3-ブタジエンのシクロヘキサン溶液(1,3−butadiene =197.4 g)が加えられた。1.2μLの脱イオン水がマイクロシリンジで加えられ、室温で30分間、激しく攪拌した。その後、攪拌速度を500rpmに落とし、水素105mlを毎分50mlの流速でガスボンベから直接導入した。濃度0.59Mのトリエチルアルミニウムのへプタン溶液1.48mmolを、ガスタイトシリンジを使って加え、その後3分間熟成した。その後、濃度2.25mMのC5H5V(O)Cl2触媒のトルエン溶液0.011mmolをガスタイトシリンジを使って加えた。反応器を所望の温度である50℃まで加熱後、濃度3.25mMのPh3CB(C6F5)4助触媒0.016mmolをガスタイトシリンジから加えた。重合は、50℃にて30分間行った。反応器は、その後直ちに30℃に冷却され、未反応1,3―ブタジエンは0.3 kgf/cm2に減圧することで除去された。その後、ポリブタジエンのサンプルをFTIRやGPCにて測定した。ヒドロシリル化する前のシスポリブタジエンの数平均分子量(Mn)は167,000g/molであり、分子量分布(Mw/Mn)は3.2であった。重合後の1,3−ブタジエンの転化率を50%であると仮定することにより、オートクレーブ中のシスポリブタジエンのシクロヘキサン溶液に対して、トリエトキシシラン8.5ml(46mmol or SiH/Vinyl=0.25)と0.8ml(0.0,183 mmol or Pt/Vinyl = 0.1 mmol/mol)の H2PtCl6−iPrOH(Speier‘s 触媒)を夫々、注射器で加えた。オートクレーブをヒドロシリル化反応の所望の温度である50℃に加熱した。反応1時間後、直ちに反応器を室温まで冷却し、反応器内の圧力を抜いた。その後、ゴム100gに対して約1,000ppmの濃度の酸化防止剤を含むエタノール溶液を加えた。ヒドロシリル化したシスポリブタジエンを100℃、1時間にて真空乾燥した。1,2−ビニルの転化率は、17.3%であることがFT−IR分析でわかった。さらにシリコーン含量は、990ppmであることがICPから測定した。ヒドロシリル化したシスポリブタジエンは、部分的に架橋したものである。この部分的に架橋したゴムのムーニー粘度は、118.4であった。結果を表4に示す。
実施例18
実施例17と比較して、トリエトキシシランの代わりに活性サイトであるSi-Hが分子中間に位置する1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサンが使われた。ベースポリマーのシスポリブタジエンのミクロ構造は、1,4−シス構造が88.9%、1,2−ビニル構造が10.4%、1,4−トランス構造が0.7%であることをFT−IRで確認した。1,2−ビニルの転化率は、6.8%であることがFT−IRでわかった。さらにシリコーン含量は、1150ppmであることがICPから測定した。ヒドロシリル化したシスポリブタジエンは、部分的に架橋したものである。この部分的に架橋したゴムのムーニー粘度は、84.6であった。結果を表4に示す。
実施例17と比較して、トリエトキシシランの代わりに活性サイトであるSi-Hが分子中間に位置する1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサンが使われた。ベースポリマーのシスポリブタジエンのミクロ構造は、1,4−シス構造が88.9%、1,2−ビニル構造が10.4%、1,4−トランス構造が0.7%であることをFT−IRで確認した。1,2−ビニルの転化率は、6.8%であることがFT−IRでわかった。さらにシリコーン含量は、1150ppmであることがICPから測定した。ヒドロシリル化したシスポリブタジエンは、部分的に架橋したものである。この部分的に架橋したゴムのムーニー粘度は、84.6であった。結果を表4に示す。
実施例19
実施例17と比較して、トリエトキシシランの代わりに活性サイトであるSi-Hが分子末端に位置する1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサンが使われた。ベースポリマーのシスポリブタジエンのミクロ構造は、1,4−シス構造が88.8%、1,2−ビニル構造が10.5%、1,4−トランス構造が0.7%であることをFT−IRで確認した。1,2−ビニルの転化率は、13.6%であることがFT−IRでわかった。さらにシリコーン含量は、3500ppmであることがICPから測定した。ヒドロシリル化したシスポリブタジエンは、部分的に架橋したものである。この部分的に架橋したゴムのムーニー粘度は、110.1であった。結果を表4に示す。
実施例17と比較して、トリエトキシシランの代わりに活性サイトであるSi-Hが分子末端に位置する1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサンが使われた。ベースポリマーのシスポリブタジエンのミクロ構造は、1,4−シス構造が88.8%、1,2−ビニル構造が10.5%、1,4−トランス構造が0.7%であることをFT−IRで確認した。1,2−ビニルの転化率は、13.6%であることがFT−IRでわかった。さらにシリコーン含量は、3500ppmであることがICPから測定した。ヒドロシリル化したシスポリブタジエンは、部分的に架橋したものである。この部分的に架橋したゴムのムーニー粘度は、110.1であった。結果を表4に示す。
実施例20
実施例17と比較して、トリエトキシシランの代わりにジエチルアミノジメチルシランを使用した場合である。ベースポリマーのシスポリブタジエンのミクロ構造は、1,4−シス構造が88.2%、1,2−ビニル構造が10.9%、1,4−トランス構造が0.9%であることをFT-IRで確認した。1,2−ビニルの転化率は、15.3%であることがFT−IRでわかった。さらにシリコーン含量は、425ppmであることがICPから測定した。ヒドロシリル化したシスポリブタジエンは、青みがかった茶色い架橋していないものである。この非架橋したゴムのムーニー粘度は、38.7であった。結果を表4に示す。
実施例17と比較して、トリエトキシシランの代わりにジエチルアミノジメチルシランを使用した場合である。ベースポリマーのシスポリブタジエンのミクロ構造は、1,4−シス構造が88.2%、1,2−ビニル構造が10.9%、1,4−トランス構造が0.9%であることをFT-IRで確認した。1,2−ビニルの転化率は、15.3%であることがFT−IRでわかった。さらにシリコーン含量は、425ppmであることがICPから測定した。ヒドロシリル化したシスポリブタジエンは、青みがかった茶色い架橋していないものである。この非架橋したゴムのムーニー粘度は、38.7であった。結果を表4に示す。
実施例21
実施例17と比較して、トリエトキシシランの代わりにジエチルアミノジメチルシランを使用した場合である。ベースポリマーのシスポリブタジエンのミクロ構造は、1,4−シス構造が88.3%、1,2−ビニル構造が10.8%、1,4−トランス構造が0.9%であることをFT-IRで確認した。1,2−ビニルの転化率は、15.5%であることがFT−IRでわかった。さらにシリコーン含量は、380ppmであることがICPから測定した。ヒドロシリル化したシスポリブタジエンは、部分的に架橋したものである。この部分的に架橋したゴムのムーニー粘度は、85.1であった。結果を表4に示す。
実施例17と比較して、トリエトキシシランの代わりにジエチルアミノジメチルシランを使用した場合である。ベースポリマーのシスポリブタジエンのミクロ構造は、1,4−シス構造が88.3%、1,2−ビニル構造が10.8%、1,4−トランス構造が0.9%であることをFT-IRで確認した。1,2−ビニルの転化率は、15.5%であることがFT−IRでわかった。さらにシリコーン含量は、380ppmであることがICPから測定した。ヒドロシリル化したシスポリブタジエンは、部分的に架橋したものである。この部分的に架橋したゴムのムーニー粘度は、85.1であった。結果を表4に示す。
次に、本発明に係るゴム補強剤配合ゴム組成物の実施例について説明する。実施例の物性値は、以下のように測定した。
(ゴムのミクロ構造)
ミクロ構造と1,2−ビニル転化率の測定は、標準KBrフィルムとCS2溶液法を用いて、島津製作所製Shimadzu−87000のFT−IRスペクトルを測定することで行った。ヒドロシリル化の反応度は、シスポリブタジエン主鎖中の1,2-ビニル含量の転化率をモニターすることにより、FT−IRスペクトルによって確認される。上記(式2)で表される。
ミクロ構造と1,2−ビニル転化率の測定は、標準KBrフィルムとCS2溶液法を用いて、島津製作所製Shimadzu−87000のFT−IRスペクトルを測定することで行った。ヒドロシリル化の反応度は、シスポリブタジエン主鎖中の1,2-ビニル含量の転化率をモニターすることにより、FT−IRスペクトルによって確認される。上記(式2)で表される。
(ヒドロシリル化したシス-1,4-ポリブタジエン中の有機シリル基の存否確認)
シリコーン含量測定は、Variance製Vista−MPXのICPにより行われた。サンプル溶液は、硫酸、硝酸およびアルカリ溶液を使用した標準法によって調製した。
シリコーン含量測定は、Variance製Vista−MPXのICPにより行われた。サンプル溶液は、硫酸、硝酸およびアルカリ溶液を使用した標準法によって調製した。
(最適加硫点)
最適加硫点はJSR製キュラストメーターを用いて、JIS K−6300−2標準に準拠し、測定温度は150℃の条件にて行われた。
最適加硫点はJSR製キュラストメーターを用いて、JIS K−6300−2標準に準拠し、測定温度は150℃の条件にて行われた。
(粘弾性測定)
動的温度掃引分析は、EPLEXOR 100N (ドイツ国GABO社製)を用い、温度−125〜105℃の間で、一定周波数10Hz、1.0%の静的歪みおよび0.3%の動的歪みにて行われた
動的温度掃引分析は、EPLEXOR 100N (ドイツ国GABO社製)を用い、温度−125〜105℃の間で、一定周波数10Hz、1.0%の静的歪みおよび0.3%の動的歪みにて行われた
(発熱性)
発熱性と圧縮永久ひずみの測定は、JIS K−6,265規格および米国規格ASTM D−623 (ISO 4,666/3:1,982)に準拠し、Goodrich Flexometer (上島製作所社製)を用いて、温度100℃、重量55ポンド、0.175ストロークおよび振動数毎分1,800回の条件にて行われた。
発熱性と圧縮永久ひずみの測定は、JIS K−6,265規格および米国規格ASTM D−623 (ISO 4,666/3:1,982)に準拠し、Goodrich Flexometer (上島製作所社製)を用いて、温度100℃、重量55ポンド、0.175ストロークおよび振動数毎分1,800回の条件にて行われた。
(破壊特性(引張強度))
破壊測定における引張強度と引張伸びは、JIS K−6,251に準拠して、TENSILON RTG−1,310張力計(A&D社製)を用いて測定された。
破壊測定における引張強度と引張伸びは、JIS K−6,251に準拠して、TENSILON RTG−1,310張力計(A&D社製)を用いて測定された。
(シリカ分散の画像)
透過型電子顕微鏡(TEM)分析は、日立製作所社製H−7100FAを用い、10KVの電圧にて倍率20,000〜100,000倍の条件で行われた。加硫物のサンプルは、EM−Reichert社製 Ultracut−S超ミクロトームを用いて薄片化された。
透過型電子顕微鏡(TEM)分析は、日立製作所社製H−7100FAを用い、10KVの電圧にて倍率20,000〜100,000倍の条件で行われた。加硫物のサンプルは、EM−Reichert社製 Ultracut−S超ミクロトームを用いて薄片化された。
分子量と分子量分布測定、ムーニー粘度測定及びPayne効果は、共役ジエン重合体変性物と同様に測定した。
実施例A乃至C
開始温度が90℃、終了温度が150℃、混合時間が5分間以内で容量250mlの東洋精機製ラボプラストミル中で混錬することで、天然ゴムと市販グレードのシス−1,4−ポリブタジエン(UBEPOL BR150L) であるジエン系ゴム成分が、最初にヒドロシリル化したシス−1,4−ポリブタジエン(HSBR)と共にブレンドされた。次いで、沈降シリカ(Nipsil VN3)が、シランカップリング剤(Si69)や混合前成分であるシリカ、アロマオイル、酸化亜鉛、ステアリン酸および酸化防止剤(6C)と共に、加えられ、ブレンドされた。混合工程から得られた第一ゴム組成物は、6インチのミキシングロールを用い、温度30〜60℃にて延伸された。そのサンプルは、ムーニー粘度測定とAlpha Technologies 社製RPA-2000を用いて、Payne効果解析が行われた。加硫予備工程においては、早急に得られた第1ゴム組成物シートが、6インチのミキシングロールを用い、温度30〜60℃にて、硫黄と加硫促進剤(CZ and D)と共に加えられ、さらに延伸されてシート化された。得られた第2ゴム組成物のサンプルは、ムーニー粘度測定とAlpha Technologies 社製RPA−2,000を用いて、Payne効果解析とJSR社製キュラストメーターを用いて、最適加硫点が測定された。加硫予備工程から得られたシリカ配合ゴム組成物は、キュラストメーターにより観測される最適加硫点、特に5〜15分間の範囲で、温度150℃の成形プレスにて製造された。本発明における様々な形態のサンプルであるゴム加硫物は、温度掃引による粘弾性、引張強度、発熱特性、さらにゴム加流物中の沈降シリカの分散性を測定するための透過型電子顕微鏡(TEM)分析の測定に従った。結果を表5に示す。
開始温度が90℃、終了温度が150℃、混合時間が5分間以内で容量250mlの東洋精機製ラボプラストミル中で混錬することで、天然ゴムと市販グレードのシス−1,4−ポリブタジエン(UBEPOL BR150L) であるジエン系ゴム成分が、最初にヒドロシリル化したシス−1,4−ポリブタジエン(HSBR)と共にブレンドされた。次いで、沈降シリカ(Nipsil VN3)が、シランカップリング剤(Si69)や混合前成分であるシリカ、アロマオイル、酸化亜鉛、ステアリン酸および酸化防止剤(6C)と共に、加えられ、ブレンドされた。混合工程から得られた第一ゴム組成物は、6インチのミキシングロールを用い、温度30〜60℃にて延伸された。そのサンプルは、ムーニー粘度測定とAlpha Technologies 社製RPA-2000を用いて、Payne効果解析が行われた。加硫予備工程においては、早急に得られた第1ゴム組成物シートが、6インチのミキシングロールを用い、温度30〜60℃にて、硫黄と加硫促進剤(CZ and D)と共に加えられ、さらに延伸されてシート化された。得られた第2ゴム組成物のサンプルは、ムーニー粘度測定とAlpha Technologies 社製RPA−2,000を用いて、Payne効果解析とJSR社製キュラストメーターを用いて、最適加硫点が測定された。加硫予備工程から得られたシリカ配合ゴム組成物は、キュラストメーターにより観測される最適加硫点、特に5〜15分間の範囲で、温度150℃の成形プレスにて製造された。本発明における様々な形態のサンプルであるゴム加硫物は、温度掃引による粘弾性、引張強度、発熱特性、さらにゴム加流物中の沈降シリカの分散性を測定するための透過型電子顕微鏡(TEM)分析の測定に従った。結果を表5に示す。
実施例D
当該サンプルのシリカ配合ゴム組成物は、実施例A乃至Cで述べられたのと同じ方法で製造された。ただし、ベースポリマーであるシス-1,4-ポリブタジエンが、宇部興産社製の市販グレードのUBEPOL BR150Lの代わりにメタロセンBR(MBR)の特殊グレードを使用している場合を除く。結果は、表5に示す。
当該サンプルのシリカ配合ゴム組成物は、実施例A乃至Cで述べられたのと同じ方法で製造された。ただし、ベースポリマーであるシス-1,4-ポリブタジエンが、宇部興産社製の市販グレードのUBEPOL BR150Lの代わりにメタロセンBR(MBR)の特殊グレードを使用している場合を除く。結果は、表5に示す。
比較例1
当該比較例のシリカ配合ゴム組成物は、実施例A乃至Cで述べられたのと同じ方法で製造された。ただし、ヒドロシリル化されたシス−1,4−ポリブタジエン(HSBR)が組成物中には含まれていない。結果は、表5に示す。
当該比較例のシリカ配合ゴム組成物は、実施例A乃至Cで述べられたのと同じ方法で製造された。ただし、ヒドロシリル化されたシス−1,4−ポリブタジエン(HSBR)が組成物中には含まれていない。結果は、表5に示す。
比較例2
当該比較例のシリカ配合ゴム組成物は、実施例7で述べられたのと同じ方法で製造された。ただし、ヒドロシリル化されたシス−1,4−ポリブタジエン(HSBR)が組成物中には含まれていない。結果は、表5に示す。
当該比較例のシリカ配合ゴム組成物は、実施例7で述べられたのと同じ方法で製造された。ただし、ヒドロシリル化されたシス−1,4−ポリブタジエン(HSBR)が組成物中には含まれていない。結果は、表5に示す。
図6から、シリカ配合ゴム組成物の貯蔵せん断率の結果は、天然ゴム、宇部興産社製UBEPOL BR150Lおよび表1にて述べているヒドロシリル化したシス−1,4−ポリブタジエンに基づいている。ここに、NRは天然ゴムを示す。動的歪掃引分析法では、ヒドロシリル化したシス-1,4−ポリブタジエンを使用しない比較例と比較して、ヒドロシリル化したシス−1,4−ポリブタジエンを使用したゴム組成物の全てが、より低いPayne効果になっていることを示している。
せん断弾性率の低い領域での弾性率が、より低くなっていることから、シリカ−ゴム相互作用が改善されていることが分かる。ヒドロシリル化したシス−1,4−ポリブタジエンを使用しない比較例の実験では、2〜10%のせん断歪での弾性率が急激に減少している。これはシリカ凝集体の形成による分離が起こっていることを示す。ヒドロシリル化したシス−1,4−ポリブタジエンを使用したゴム全てに対しては、前述の現象がほとんど起こらないことが観測されている。
図7は、動的歪掃引による天然ゴム、宇部興産社製UBEPOL BR150Lおよび表1にて既に述べているヒドロシリル化したシス−1,4−ポリブタジエンのシリカ配合ゴム組成物の弾性率ロス、つまりヒステリシスロスあるいはtanδの結果を示している。ヒドロシリル化したゴム組成物のすべてが、動的歪掃引によるtanδが低くなっていることが分かる。特に、弾性率が2%から100%にかけて、シリカ−ゴム相互作用あるいはゴムマトリクス中でのシリカ分散性を改善していることが分かる。
シリカ-ゴム相互作用を改善した同様の結果が、天然ゴム、メタロセンBR(MBR)およびヒドロシリル化したシス−1,4−ポリブタジエンをベースとしたシリカ配合ゴム組成物にて観測される。
加硫段階における加硫率10、50、および90%(図8中のT’10、T‘50、T’90にそれぞれ記載)のシリカ配合ゴム組成物のtanδが、比較例と比較して低くなっており、本発明でのゴム化合物におけるシリカ−ゴム相互作用が改善していることを示している。
表6にシリカ配合加硫物の物性結果を示す。
天然ゴム、メタロセンBR(MBR)及びヒドロシリル化したシス−1,4−ポリブタジエン(HSBR)をベースとしたシリカ配合ゴム組成物に対しても同様の結果が観測される。周波数1.7Hz、2.8%歪におけるRPA−2,000を用いた温度150℃での加硫工程において、天然ゴム、宇部興産社製UBEPOL BR150Lおよびヒドロシリル化したシス−1,4−ポリブタジエンをベースとしている第2ゴム組成物のシリカ配合ゴム組成物のtanδを図8に示す。
比較例1と比較して、天然ゴム、UBEPOL BR150Lおよびヒドロシリル化したシス−1,4−ポリブタジエン(HSBR)、例えばトリエトキシシリル基、トリシロキサン基、ジエチルアミノジメチルシリル基などを持ったゴムの加硫物は、−30℃にて約3%から6.2%の高いtanδ値を示す。50℃では約3%から19%の低いtanδ値を示す。
同様の結果が、天然ゴム、MBR、HSBRの加硫物の場合で観測される。比較例2と比較して、ジエチルアミノジメチルシリル基を持ったサンプルは、−30℃にて約6%高いtanδ値、50℃では約11.4%の低いtanδ値を示す。
優れた粘弾性を示している比較例1の定周波数10Hzにおける温度掃引弾性率やtanδの実施例の結果は、図9と図10に示している。
表2から前述したシリカ配合加硫物は比較例実験と比較してより低発熱性を示していることがわかる。天然ゴム、UBEPOL BR150L,実施例18及び実施例21の加硫物(実施例B及びC)は、それぞれが13.7%、13.1%低発熱性が向上しており、天然ゴム、MBR,及び実施例21の加硫物(実施例D)は、25.4%とかなりの低発熱性の向上が見られる。
しかしながら、本発明(加硫物1)において天然ゴム、UBEPOL BR150L、トリエトキシシリル基を持ったHSBRは、圧縮永久ひずみの値が高く、毎分1800回の圧縮振動による発熱テスト後に、サンプルの寸法安定性が劣る影響がでることを示している。故に、歪んだサンプルの発熱特性の結果は、それほど信頼できるものではないことが分かる。
本発明における加硫物の破壊特性に関して、引張強度や破壊伸びの結果(JIS K6251規格)は、比較例実験と比較できる強さと弾性の水準を示している。全てのシリカ配合加硫物の300%伸びの引張弾性率の結果から、引張弾性率が改善していることがわかる。
透過型電子顕微鏡(TEM)は、シリカ配合ゴム加流物中における沈降シリカの分散性を測定するのに使用された。図11と図12において、ヒドロシリル化したシス−1,4−ポリブタジエン(HSBR)を使用しないゴム組成物中の沈降シリカ粒子の分散性、あるいは比較例実験1と2は、基材ゴムの第二成分がUBEPOL BR150L あるいはメタロセンゴム(MBR)であるに関わらず、天然ゴムの白色領域で凝集が起こっていることがわかる。
これは、極性を帯びないシス−1,4−ポリブタジエン(黒色領域)マトリクスと比較して、天然ゴム構造中の残留タンパク質と脂肪酸の極性機能によるものである。本願発明で使用された沈降シリカは、粒径が非常に小さく、かつ表面積が大きい故、凝集体を形成し易い。しかしながら、このタイプの沈降シリカ微粒子の補強能は、シリカ−シリカ相互作用が強くても維持される。
これに反して、図13と図14では、ヒドロシリル化したシス−1,4−ポリブタジエン(HSBR)を用いたシリカ配合加硫物中の沈降シリカが、シス−1,4−ポリブタジエンゴムマトリクス(黒色領域)中で分散し易い傾向を示す。特に、シリカの凝集が、比較例の実験で見られたような天然ゴムの白色領域中では観測されない。
こうした逆の現象は、ヒドロシリル化したシス−1,4−ポリブタジエン(HSBR)を含むシリカ配合ゴム加流物のシリカ−ゴム相互作用が改善されていることを示しており、その結果、低ヒステリシスロスや低発熱性となっていることを示すものである。
Claims (12)
- 1,4−シス構造が80mol%以上、及び1,2−ビニル構造が20mol%以下であるポリブタジエンがヒドロシリル化されたことを特徴とする共役ジエン重合体変性物。
- 1,4−シス構造が80〜95mol%、及び1,2−ビニル構造が4〜19mol%であることを特徴とする請求項1記載の共役ジエン重合体変性物。
- 前記ポリブタジエンのヒドロシリル化は、ポリブタジエンのビニル基がヒドロシリル化されていることを特徴とする請求項1又は2記載の共役ジエン重合体変性物。
- 前記ポリブタジエンは、遷移金属化合物のメタロセン型錯体、非配位性アニオンとカチオンとのイオン性化合物、及び有機金属化合物からなる触媒を用いた重合により製造されたことを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の共役ジエン重合体変性物。
- 重合後に精製された前記ポリブタジエンを芳香族炭化水素溶媒に溶解する工程と、
その後、珪素含有化合物を用いてヒドロシリル化する工程とを備えたことを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の共役ジエン重合体変性物の製造方法。 - 前記触媒を用いて非芳香族炭化水素溶媒中にて1,3−ブタジエンを重合する工程と、
その後、重合されたポリブタジエンを精製せずに珪素含有化合物を用いてヒドロシリル化する工程とを備えたことを特徴とする請求項4記載の共役ジエン重合体変性物の製造方法。 - 前記ポリブタジエンが溶解された芳香族炭化水素溶媒に、シラン化合物で処理を施したシリカを混在させた状態で、珪素含有化合物を用いてヒドロシリル化する工程を備えたことを特徴とする請求項1乃至6いずれか記載の共役ジエン重合体変性物の製造方法。
- (A)加硫可能なジエン系ゴムと、(B)請求項1乃至4いずれか記載の共役ジエン重合体変性物と、(C)ゴム補強剤とを備えたことを特徴とするゴム補強剤配合ゴム組成物。
- 前記(A)加硫可能なジエン系ゴムは、(a1)天然ゴムあるいはポリイソプレンゴムと(a2)1,4−シス構造が80〜99.5mol%、及び1,2−ビニル構造が0.5〜20mol%である(a1)以外のジエン系ゴムの混合物であることを特徴とする請求項8のゴム補強剤配合ゴム組成物。
- 前記(C)ゴム補強剤が、無機系ゴム補強剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のゴム補強剤配合ゴム組成物。
- 前記(A)加硫可能なジエン系ゴム、前記(B)共役ジエン重合体変性物及び前記(C)ゴム補強剤を混合する工程と、
その後、(D)加硫剤及び加硫促進剤の少なくとも一つを加えて加硫する工程とを備えたことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか記載のゴム補強剤配合ゴム組成物の製造方法。 - 請求項8乃至10いずれか記載のゴム補強剤配合ゴム組成物が含まれたことを特徴とするタイヤ。
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