JP2010031183A - エネルギー線硬化型チップ保護用フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】高硬度であって、且つ、チップに対する密着性に優れた、信頼性の高いエネルギー線硬化型チップ保護用フィルムを提供すること。
【解決手段】本発明のエネルギー線硬化型チップ保護用フィルムは、(A)バインダーポリマー成分、(B)カチオン重合型の硬化性成分、(C)カチオン系光重合開始剤、(D)ラジカル重合型の硬化性成分、及び(E)ラジカル系光重合開始剤を含有してなるエネルギー線硬化型保護膜形成層を有する。
【選択図】図1
【解決手段】本発明のエネルギー線硬化型チップ保護用フィルムは、(A)バインダーポリマー成分、(B)カチオン重合型の硬化性成分、(C)カチオン系光重合開始剤、(D)ラジカル重合型の硬化性成分、及び(E)ラジカル系光重合開始剤を含有してなるエネルギー線硬化型保護膜形成層を有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、エネルギー線硬化型チップ保護用フィルムに関し、特に、フェースダウン(face down)方式で実装される半導体チップの裏面を保護するためのエネルギー線硬化型チップ保護用フィルムに関する。
近年、集積回路等の半導体素子の実装技術として、ダイシング前のウエハ状態のままでパッケージングを行い、最終段階で、チップ単位に切断されるWL−CSP(Wafer Level Chip Size Package)の実用化が進んでいる。WL−CSPにおいては、ベアチップとほぼ同サイズで配線長が短いことから、小型・薄型・高速という特徴を有しており、例えば携帯電話向けのCSPとして採用されている。
このようなWL−CSPでは、半導体パッケージ基板(再配線、あるいはInterposerともいう)としてバンプ付きテープ基板が用いられ、このテープ基板に形成されたバンプと、半導体ウエハの回路形成面に形成されたバンプとが直接接続される。このとき、半導体ウエハは、その回路形成面がテープ基板に向いた、いわゆるフェースダウン方式でテープ基板に実装される。
半導体ウエハが実装されたテープ基板は、ダイシングソーによりチップ単位で切断(ダイシング)され、これにより、半導体チップと同サイズのCSPを得ることができる。
半導体ウエハが実装されたテープ基板は、ダイシングソーによりチップ単位で切断(ダイシング)され、これにより、半導体チップと同サイズのCSPを得ることができる。
上記のようなCSPは、チップの裏面が樹脂封止されておらず、外部に露出した状態となる。そこで、チップの裏面を保護・補強するために、種々のチップ保護用フィルムが提案されている。チップ保護用フィルムは、ダイシング前のウエハ裏面に貼り付けることにより、ダイシングの際のチッピングを抑制する機能を併せ持つ。
例えば、特許文献1には、剥離シートと、剥離シートの剥離面上に形成された熱硬化性成分またはエネルギー線硬化性成分と、バインダーポリマーとからなる保護膜形成層とを有するチップ用保護膜形成用シートが開示されている。特許文献1では、このチップ用保護膜形成用シートの保護膜形成層を半導体ウエハ裏面に貼り付け、保護膜形成層から剥離シートを剥離した後、加熱またはエネルギー線照射により保護膜形成層を硬化し、ウエハ全面に保護膜を形成する。これにより、ウエハ単独の場合と比べて強度が向上するので、取扱い時のウエハの破損が低減される。
また、特許文献2には、特許文献1と同様、熱硬化性成分及び/又はエネルギー線硬化性成分からなる硬化性保護膜を有するチップ用保護膜形成用シートが開示されており、さらに、保護膜の強度、硬度の向上や、保護膜に品番等のレーザーマーキングを行う際のマーク認識性向上、及び外観向上等を目的として、保護膜形成層にフィラーや、顔料及び染料等を添加することが開示されている。
特開2004−260190号公報
特開2004−214288号公報
上記特許文献1及び2に記載されているように、保護膜を硬化させる方法としては、熱硬化性成分を含む保護膜形成層を加熱して硬化させる方法と、エネルギー線硬化性成分を含む保護膜形成層をエネルギー線照射により硬化させる方法とがある。
一般に、熱硬化は、100〜200℃で1〜3時間程度の加熱処理が必要とされる。このような熱硬化の場合、保護膜形成層が流動しながらゆっくりと硬化することから、チップに対する密着性に優れ、しかも、高硬度の保護膜を得ることができる。しかしながら、熱硬化は処理時間が長く、作業性及び生産性が悪いという問題がある。
これに対し、エネルギー線硬化では、例えば紫外線によって10〜300秒程度で瞬時に硬化させることが可能であり、熱硬化に比べて処理時間が格段に短く、作業性及び生産性に優れる。また、熱によるダメージを受けない点、及び、硬化設備がコンパクトである点においても有利である。しかしながら、レーザーマーク視認性向上及び外観向上等を目的として、保護膜形成層にフィラーや、顔料及び染料等を添加する場合には、エネルギー線が透過し難いため、熱硬化の場合と比較してフィルム全体を十分に硬化させることが困難である。さらに、エネルギー線硬化では、保護膜形成層が瞬間的に硬化することから、硬化後の保護膜はチップに対する密着性が低く、剥がれやすいという問題もある。
そこで、本発明の目的は、高硬度であって、且つ、チップに対する密着性に優れた、信頼性の高いエネルギー線硬化型チップ保護用フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討した結果、硬化メカニズムの異なるカチオン重合型の硬化性成分とラジカル重合型の硬化性成分とを併用することで、高硬度でありながら、チップに対する密着性に優れたエネルギー線硬化型チップ保護用フィルムを得られること見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の態様は、(A)バインダーポリマー成分、(B)カチオン重合型の硬化性成分、(C)カチオン系光重合開始剤、(D)ラジカル重合型の硬化性成分、及び(E)ラジカル系光重合開始剤を含有してなるエネルギー線硬化型保護膜形成層を有することを特徴とするエネルギー線硬化型チップ保護用フィルムである。
本発明の第2の態様は、前記第1の態様に係るエネルギー線硬化型チップ保護用フィルムにおいて、前記ラジカル系光重合開始剤(E)が、350nm以上の長波長領域の光を吸収する光重合開始剤であることを特徴とする。
本発明の第3の態様は、前記第1又は第2の態様に係るエネルギー線硬化型チップ保護用フィルムにおいて、前記ラジカル系光重合開始剤(E)が、アシルホスフィンオキシドであることを特徴とする。
本発明の第4の態様は、前記第3の態様に係るエネルギー線硬化型チップ保護用フィルムにおいて、前記ラジカル系光重合開始剤(E)が、下記構造式(1)で表される2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドであることを特徴とする。
構造式(1)
構造式(1)
本発明の第5の態様は、前記第1から第4の態様のいずれかに係るエネルギー線硬化型チップ保護用フィルムにおいて、前記カチオン重合型の硬化性成分(B)が、エポキシ樹脂であることを特徴とする。
本発明の第6の態様は、前記第1から第5の態様のいずれかに係るエネルギー線硬化型チップ保護用フィルムにおいて、前記ラジカル重合型の硬化性成分(D)が、エポキシアクリレートであることを特徴とする。
本発明の第7の態様は、前記第1から第6の態様のいずれかに係るエネルギー線硬化型チップ保護用フィルムにおいて、前記カチオン重合型の硬化性成分(B)と前記ラジカル重合型の硬化性成分(D)との配合比が、質量比で30:70〜70:30であることを特徴とする。
本発明の第8の態様は、前記第1から第7の態様のいずれかに係るエネルギー線硬化型チップ保護用フィルムにおいて、前記エネルギー線硬化型保護膜形成層の片面又は両面に、さらに剥離シートを有することを特徴とする。
本発明の第9の態様は、前記第1から第8のいずれかの態様に係るエネルギー線硬化型チップ保護用フィルムに、ダイシングテープが貼り合わされたダイシングテープ一体型チップ保護用フィルムである。
本発明によれば、硬化メカニズムの異なるカチオン重合型の硬化性成分とラジカル重合型の硬化性成分とを併用することにより、高硬度であって、且つ、チップに対する密着性に優れたチップ保護用フィルムを実現することができる。
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2は、剥離シート上に保護膜形成層を有する本発明のエネルギー線硬化型チップ保護用フィルムの二つの例を示したものである。図1は、保護膜形成層2の両面に剥離シート1を仮着させた構成であり、図2は、保護膜形成層2の片面に剥離シート1を仮着させた構成である。
以下に、剥離シートと保護膜形成層の構成について説明する。また、このチップ保護用フィルムの製造方法と使用方法についても、説明する。
図1及び図2は、剥離シート上に保護膜形成層を有する本発明のエネルギー線硬化型チップ保護用フィルムの二つの例を示したものである。図1は、保護膜形成層2の両面に剥離シート1を仮着させた構成であり、図2は、保護膜形成層2の片面に剥離シート1を仮着させた構成である。
以下に、剥離シートと保護膜形成層の構成について説明する。また、このチップ保護用フィルムの製造方法と使用方法についても、説明する。
<剥離シート>
剥離シート1は、チップ保護用フィルムの取り扱い性を良くする目的で、また保護膜形成層2を保護する目的で用いられる。
剥離シートとしては、たとえば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ピニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等が用いられる。またこれらの架橋フィルムも用いられる。さらにこれらの積層フィルムであってもよい。
剥離シート1は、チップ保護用フィルムの取り扱い性を良くする目的で、また保護膜形成層2を保護する目的で用いられる。
剥離シートとしては、たとえば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ピニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等が用いられる。またこれらの架橋フィルムも用いられる。さらにこれらの積層フィルムであってもよい。
特に、保護膜形成層の硬化後に剥離シートの剥離を行う場合には、耐熱性に優れたポリメチルペンテンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルムが好適に用いることができる。
剥離シートの表面張力は、40mN/m以下であることが好ましく、35mN/m以下であることがより好ましい。このような表面張力の低い剥離シートは、材質を適宜に選択して得ることが可能であり、またシートの表面にシリコーン樹脂等を塗布して離型処理を施すことで得ることもできる。
剥離シートの膜厚は、通常は5〜300μm、好ましくは10〜200μm、特に好ましくは20〜150μm程度である。
<保護膜形成層>
エネルギー線硬化型保護膜形成層2は、紫外線、電子線等のエネルギー線の照射によって硬化し、チップの裏面に保護膜を形成する。このエネルギー線硬化型保護膜形成層2は、(A)バインダーポリマー成分、(B)カチオン重合型の硬化性成分、(C)カチオン系光重合開始剤、(D)ラジカル重合型の硬化性成分、及び(E)ラジカル系光重合開始剤を必須成分として含有している。さらに、必要に応じて、(F)染料及び/又は顔料、(G)フィラー、及び(H)その他成分を含有していてもよい。これらの成分について、以下に説明する。
エネルギー線硬化型保護膜形成層2は、紫外線、電子線等のエネルギー線の照射によって硬化し、チップの裏面に保護膜を形成する。このエネルギー線硬化型保護膜形成層2は、(A)バインダーポリマー成分、(B)カチオン重合型の硬化性成分、(C)カチオン系光重合開始剤、(D)ラジカル重合型の硬化性成分、及び(E)ラジカル系光重合開始剤を必須成分として含有している。さらに、必要に応じて、(F)染料及び/又は顔料、(G)フィラー、及び(H)その他成分を含有していてもよい。これらの成分について、以下に説明する。
(A)バインダーポリマー成分
本発明では、フィルムとしての可とう性や操作性を向上させるために、ポリマー成分を使用する。ポリマー成分としては、例えば、アクリル系共重合体、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系ポリマー等を用いることができ、特に、重合性二重結合を有するアクリル系共重合体が好ましい。このアクリル系共重合体の重量平均分子量は、5万以上、特に20万〜100万の範囲にあるのが好ましい。分子量が低すぎるとシート形成が不十分となり、高すぎると他の成分との相溶性が悪くなり、結果としてフィルム形成が妨げられる。
本発明では、フィルムとしての可とう性や操作性を向上させるために、ポリマー成分を使用する。ポリマー成分としては、例えば、アクリル系共重合体、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系ポリマー等を用いることができ、特に、重合性二重結合を有するアクリル系共重合体が好ましい。このアクリル系共重合体の重量平均分子量は、5万以上、特に20万〜100万の範囲にあるのが好ましい。分子量が低すぎるとシート形成が不十分となり、高すぎると他の成分との相溶性が悪くなり、結果としてフィルム形成が妨げられる。
(B)カチオン重合型の硬化性成分
カチオン重合型の硬化性成分は、エネルギー線照射によりカチオン重合し、硬化する化合物である。このような化合物としては、エポキシ樹脂を好適に用いることができ、特にカチオン重合性の高い脂環式エポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂は、エネルギー線照射により酸を発生するカチオン系光重合開始剤と組み合わせて用いることにより、エポキシ基が効率よく開環重合する。一般に、カチオン重合型の硬化性成分は、ラジカル重合型の硬化性成分よりも反応速度が遅いため反応の進行が不十分になりやすく、硬度が得られ難い反面、シリコンチップ等の被塗膜物への密着性に優れる。したがって、カチオン重合型の硬化性成分を用いることで、従来、熱硬化と比較してチップに対する密着性に劣るエネルギー線硬化において、優れた密着性を発現させることができる。
カチオン重合型の硬化性成分は、エネルギー線照射によりカチオン重合し、硬化する化合物である。このような化合物としては、エポキシ樹脂を好適に用いることができ、特にカチオン重合性の高い脂環式エポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂は、エネルギー線照射により酸を発生するカチオン系光重合開始剤と組み合わせて用いることにより、エポキシ基が効率よく開環重合する。一般に、カチオン重合型の硬化性成分は、ラジカル重合型の硬化性成分よりも反応速度が遅いため反応の進行が不十分になりやすく、硬度が得られ難い反面、シリコンチップ等の被塗膜物への密着性に優れる。したがって、カチオン重合型の硬化性成分を用いることで、従来、熱硬化と比較してチップに対する密着性に劣るエネルギー線硬化において、優れた密着性を発現させることができる。
(C)カチオン系光重合開始剤
カチオン系光重合開始剤は、エネルギー線照射により反応活性種となる酸を生成し、重合プロセスを逐次的に進行させる。カチオン重合型の硬化性成分にカチオン系光重合開始剤を添加することにより、重合硬化時間ならびに光線照射量を少なくすることができる。
カチオン系光重合開始剤の使用量は、カチオン重合型の硬化性成分の合計100質量部に対して、1〜10質量部程度が好ましい。
カチオン系光重合開始剤は、エネルギー線照射により反応活性種となる酸を生成し、重合プロセスを逐次的に進行させる。カチオン重合型の硬化性成分にカチオン系光重合開始剤を添加することにより、重合硬化時間ならびに光線照射量を少なくすることができる。
カチオン系光重合開始剤の使用量は、カチオン重合型の硬化性成分の合計100質量部に対して、1〜10質量部程度が好ましい。
カチオン系光重合開始剤としては、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩等を好適に使用することができる。
(D)ラジカル重合型の硬化性成分
ラジカル重合型の硬化性成分は、エネルギー線の照射によりラジカル重合し、硬化する化合物である。一般に、ラジカル重合型の硬化性化合物は、反応速度が速く硬化収縮による応力が大きくなるため、上述のように、カチオン重合型の硬化性化合物よりもチップに対する密着性は劣るが、エネルギー線照射によりラジカルを生成するラジカル重合系光開始剤と組み合わせて用いることにより、効率良く重合硬化し、エネルギー線硬化により高硬度の保護膜を形成することができる。
ラジカル重合型の硬化性成分は、エネルギー線の照射によりラジカル重合し、硬化する化合物である。一般に、ラジカル重合型の硬化性化合物は、反応速度が速く硬化収縮による応力が大きくなるため、上述のように、カチオン重合型の硬化性化合物よりもチップに対する密着性は劣るが、エネルギー線照射によりラジカルを生成するラジカル重合系光開始剤と組み合わせて用いることにより、効率良く重合硬化し、エネルギー線硬化により高硬度の保護膜を形成することができる。
ラジカル重合型の硬化性成分としては、分子内に少なくとも1つの重合性二重結合を有し、重量平均分子量が100〜30,000の範囲、より好ましくは300〜10,000の範囲にあるものを用いることができ、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートあるいは1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、オリゴエステルアクリレート、ポリエステル型またはポリエーテル型のウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、紫外線硬化型樹脂が特に好ましい。具体的には、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートオリゴマー、及びオリゴエステルアクリレート等が好ましく、硬度、耐熱性、接着性等の面からエポキシアクリレートが特に好ましい。
上記カチオン重合型の硬化性成分(B)と、ラジカル重合型の硬化性成分(D)との配合比は、特に限定されないが、質量比で30:70〜70:30であることが望ましい。この質量比の偏りが大き過ぎると、即ち、カチオン重合型の硬化性成分(B)の質量比が大き過ぎると密着性が低下し、一方、ラジカル重合型の硬化性成分(D)の質量比が大き過ぎると硬度が低下してしまう。そこで、上記の割合で配合することにより、硬度及び密着性を兼ね備えた保護膜を得ることができる。
(E)ラジカル系光重合開始剤
ラジカル系光重合開始剤は、エネルギー線照射により反応活性種となるラジカルを生成し、ラジカル反応を開始させる。ラジカル重合型の硬化性成分にラジカル系光重合開始剤を添加することにより、重合硬化時間ならびに光線照射量を少なくすることができる。
ラジカル系光重合開始剤の使用量は、エネルギー線硬化性成分の合計100質量部に対して、0.5〜10質量部程度が好ましい。
ラジカル系光重合開始剤は、エネルギー線照射により反応活性種となるラジカルを生成し、ラジカル反応を開始させる。ラジカル重合型の硬化性成分にラジカル系光重合開始剤を添加することにより、重合硬化時間ならびに光線照射量を少なくすることができる。
ラジカル系光重合開始剤の使用量は、エネルギー線硬化性成分の合計100質量部に対して、0.5〜10質量部程度が好ましい。
ラジカル系光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサンソン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノン、アシルホスフィンオキシドなどが挙げられる。
これらの中でも、350nm以上の長波長域の光も吸収し、染料及び顔料を添加した系でも硬化可能なアシルホスフィンオキシドが特に好ましい。アシルホスフィンオキシドとしては、特に、下記構造式(1)で表される2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドを用いることが好ましい。
構造式(1)
構造式(1)
(F)染料及び顔料
エネルギー線硬化型保護膜形成層2は、着色されていてもよい。保護膜形成層2の着色は、顔料、染料等を配合することで行われる。保護膜形成層2を着色することで、保護膜形成層2に品番等のレーザーマーキングを行う際のマークの認識性の向上、及び外観の向上を図ることができる。このような顔料としては、カーボンブラックや、各種の無機顔料が例示できる。またアゾ系、インダスレン系、インドフェノール系、フタロシアニン系、インジゴイド系、ニトロソ系、ザンセン系、オキシケトン系などの各種有機顔料があげられる。
エネルギー線硬化型保護膜形成層2は、着色されていてもよい。保護膜形成層2の着色は、顔料、染料等を配合することで行われる。保護膜形成層2を着色することで、保護膜形成層2に品番等のレーザーマーキングを行う際のマークの認識性の向上、及び外観の向上を図ることができる。このような顔料としては、カーボンブラックや、各種の無機顔料が例示できる。またアゾ系、インダスレン系、インドフェノール系、フタロシアニン系、インジゴイド系、ニトロソ系、ザンセン系、オキシケトン系などの各種有機顔料があげられる。
これらの添加量は、その種類により様々であるが、バインダーポリマー成分、カチオン重合型の硬化性成分、ラジカル重合型の硬化性成分、フィラーの合計100質量部に対して、0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜3質量部程度が適当である。また、硬化前の凝集力を調節するために、有機多価イソシアナート化合物、有機多価イミン化合物、有機金属キレート化合物等の架橋剤を添加することもできる。
(G)フィラー
フィラーとしては、結晶シリカ、合成シリカ等のシリカや、アルミナ、ガラスバルーン等の無機フィラーがあげられる。保護膜形成層2に無機フィラーを添加することにより、保護膜形成層2の硬度を向上させることができる。また、硬化後の保護膜の熱膨張係数をウエハの熱膨張係数に近づけることができ、これによって加工途中のウエハの反りを低減することができるようになる。フィラーとしては合成シリカが好ましく、特に半導体装置の誤作動の要因となるα線の線源を極力除去したタイプの合成シリカが最適である。フィラーの形状としては、球形、針状、無定型タイプのものいずれも使用可能であるが、特に最密充填の可能な球形のフィラーが好ましい。
フィラーとしては、結晶シリカ、合成シリカ等のシリカや、アルミナ、ガラスバルーン等の無機フィラーがあげられる。保護膜形成層2に無機フィラーを添加することにより、保護膜形成層2の硬度を向上させることができる。また、硬化後の保護膜の熱膨張係数をウエハの熱膨張係数に近づけることができ、これによって加工途中のウエハの反りを低減することができるようになる。フィラーとしては合成シリカが好ましく、特に半導体装置の誤作動の要因となるα線の線源を極力除去したタイプの合成シリカが最適である。フィラーの形状としては、球形、針状、無定型タイプのものいずれも使用可能であるが、特に最密充填の可能な球形のフィラーが好ましい。
また、保護膜形成層2に添加するフィラーとしては、上述した無機フィラーの他にも、下記のような機能性のフィラーが配合されていてもよい。たとえば、ダイボンド後の導電性の付与を目的として、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、ステンレス、カーボン、またはセラミック、あるいはニッケル、アルミニウム等を銀で被覆したもののような導電性フィラーを添加してもよく、また熱伝導性の付与を目的として、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、ステンレス、ケイ素、ゲルマニウム等の金属材料やそれらの合金等の熱伝導性物質を添加してもよい。
保護膜形成層2に配合されるフィラーの添加量は、フィラーの種類により様々であるが、バインダーポリマー成分、ラジカル重合型の硬化性成分、カチオン重合型硬化性成分、フィラーの合計100質量部に対して、30〜85質量部、好ましくは50〜75質量部程度が適当である。保護膜形成層2中のフィラーをこのような配合比で添加し、エネルギー線照射することによって、硬化後の鉛筆硬度を調整することができる。また、硬化後の保護膜の熱膨張係数をウエハの熱膨張係数に近づけることができる。
(H)その他の成分
保護膜形成層2には、上記成分のほかに、必要に応じて、架橋剤、カップリング剤、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、応力緩和剤としてブタジエン系ゴムやシリコーンゴム等を含有させることができる。
保護膜形成層2には、上記成分のほかに、必要に応じて、架橋剤、カップリング剤、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、応力緩和剤としてブタジエン系ゴムやシリコーンゴム等を含有させることができる。
架橋剤は、硬化前の凝集力を調節するためのものであり、有機多価イソシアナート化合物、有機多価イミン化合物、有機金属キレート化合物等が挙げられる。
カップリング剤は、硬化被膜の耐熱性を損なわずに、接着性や密着性を向上させ、また耐水性(耐湿熱性)も向上させる。カップリング剤には、その汎用性とコスト面等から、シラン系(シランカップリング剤)が好ましい。
保護膜形成層2の厚さは、5〜200μmであることが好ましく、10〜50μmであることがより好ましい。薄すぎると、チップの保護、補強効果が得られ難く、また色むら等の問題が発生しやすくなる。また、厚すぎると、エネルギー線照射によってフィルム全体を硬化させることが難しくなる。
<製造方法>
次に、本発明のエネルギー線硬化型チップ保護用フィルムの製造方法の一例について説明する。
本発明のエネルギー線硬化型チップ保護用フィルムは、剥離シートの剥離面上に、上記のエネルギー線硬化型保護膜形成層2を構成する各成分を含む組成物をロールナイフコーター、グラビアコーター、ダイコーター、リバースコーターなどの一般に公知の方法に準じて直接または転写によって塗布、乾燥させて得ることができる。上記の組成物は、必要により、溶剤に溶解又は分散させて塗布してもよい。
次に、本発明のエネルギー線硬化型チップ保護用フィルムの製造方法の一例について説明する。
本発明のエネルギー線硬化型チップ保護用フィルムは、剥離シートの剥離面上に、上記のエネルギー線硬化型保護膜形成層2を構成する各成分を含む組成物をロールナイフコーター、グラビアコーター、ダイコーター、リバースコーターなどの一般に公知の方法に準じて直接または転写によって塗布、乾燥させて得ることができる。上記の組成物は、必要により、溶剤に溶解又は分散させて塗布してもよい。
<使用方法>
本発明のエネルギー線硬化型チップ保護用フィルムの使用用途としては、チップ保護用途であれば特に限定されないが、例えば、WL−CSP用のチップ裏面保護用途に用いることができる。
本発明のエネルギー線硬化型チップ保護用フィルムをWL−CSP用のチップ裏面保護に適用する場合のフィルムの使用方法について、図3及び図4を用いて説明する。まず、チップ保護用フィルムを40℃以上、0.05〜0.5MPaで加熱・加圧した状態で、エネルギー線硬化型保護膜形成層2をウエハWの裏面に貼り合わせ、フィルムをウエハサイズに切断する。次に、図3に示すように、ウエハWに貼り合わせたフィルムに、UVランプ5を用いて、剥離シート1側から100〜2000mJ/cm2 の紫外線を照射する。これにより、カチオン重合反応とラジカル重合反応とが同時に進行して保護膜形成層2が硬化する。このように、硬化メカニズムの異なるカチオン重合型の硬化性成分とラジカル重合型の硬化性成分とを併用することにより、ウエハW裏面に、高硬度であって、且つ、密着性に優れた保護膜を形成することができる。
本発明のエネルギー線硬化型チップ保護用フィルムの使用用途としては、チップ保護用途であれば特に限定されないが、例えば、WL−CSP用のチップ裏面保護用途に用いることができる。
本発明のエネルギー線硬化型チップ保護用フィルムをWL−CSP用のチップ裏面保護に適用する場合のフィルムの使用方法について、図3及び図4を用いて説明する。まず、チップ保護用フィルムを40℃以上、0.05〜0.5MPaで加熱・加圧した状態で、エネルギー線硬化型保護膜形成層2をウエハWの裏面に貼り合わせ、フィルムをウエハサイズに切断する。次に、図3に示すように、ウエハWに貼り合わせたフィルムに、UVランプ5を用いて、剥離シート1側から100〜2000mJ/cm2 の紫外線を照射する。これにより、カチオン重合反応とラジカル重合反応とが同時に進行して保護膜形成層2が硬化する。このように、硬化メカニズムの異なるカチオン重合型の硬化性成分とラジカル重合型の硬化性成分とを併用することにより、ウエハW裏面に、高硬度であって、且つ、密着性に優れた保護膜を形成することができる。
その後、剥離シート1を剥離し、図4に示すように、基材フィルム8及び基材フィルム8上に形成された粘着剤層7からなるダイシングテープ6を硬化した保護膜形成層2(保護膜)に貼り合わせ、ウエハWとともに保護膜をダイシングする。最後に、ダイシングテープ6に紫外線を照射して粘着性を低下させ、UVダイシングされたチップをコレット等のピックアップ手段によりピックアップすることで、本発明の保護用フィルムで保護されたチップを得ることができる。
<ダイシングテープ一体型チップ保護用フィルム>
次に、本発明のエネルギー線硬化型チップ保護用フィルムと、ダイシングテープとが一体化したダイシングテープ一体型チップ保護用フィルムについて説明する。
図5は、ダイシングテープ一体型チップ保護用フィルムの一例を示す断面図である。図示のように、ダイシングテープ一体型チップ保護用フィルムは、予めウエハのサイズにカットされた保護膜形成層2と、粘着剤層7と基材フィルム8からなるダイシングテープ6とを有している。保護膜形成層2は、ダイシングテープ6と同じサイズであってもよいが、予めウエハのサイズに合わせてカットされた保護膜形成層2を使用する方が、ダイシング工程で使用されるリングフレームへの糊残りの問題を生じ難くすることができる点で好ましい。
次に、本発明のエネルギー線硬化型チップ保護用フィルムと、ダイシングテープとが一体化したダイシングテープ一体型チップ保護用フィルムについて説明する。
図5は、ダイシングテープ一体型チップ保護用フィルムの一例を示す断面図である。図示のように、ダイシングテープ一体型チップ保護用フィルムは、予めウエハのサイズにカットされた保護膜形成層2と、粘着剤層7と基材フィルム8からなるダイシングテープ6とを有している。保護膜形成層2は、ダイシングテープ6と同じサイズであってもよいが、予めウエハのサイズに合わせてカットされた保護膜形成層2を使用する方が、ダイシング工程で使用されるリングフレームへの糊残りの問題を生じ難くすることができる点で好ましい。
このように、チップ保護用フィルムとウエハのダイシング工程で使用されるダイシングテープとを一体化した構成によれば、保護フィルムの貼合工程とダイシングテープの貼合工程を一工程で行うことができることに加え、チップ保護用フィルムとダイシングテープのエネルギー線照射工程についても一工程で行うことができるので、工程を簡略化し、生産性を向上させることができる。
次に、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜4および比較例1〜3)
表1に示した各成分の配合により、硬化性保護膜形成層用の塗布液を調製した。
なお、表1における数値の単位はいずれも質量部である。また、表1における各成分の符号は下記のとおりである。
表1に示した各成分の配合により、硬化性保護膜形成層用の塗布液を調製した。
なお、表1における数値の単位はいずれも質量部である。また、表1における各成分の符号は下記のとおりである。
A:ポリマー成分(重量平均分子量80万、ガラス転移温度10℃のアクリル系共重合体)
B:カチオン重合型の硬化性成分(脂環式エポキシ樹脂)
C1:カチオン系光重合開始剤1(芳香族ジアゾニウム塩)
C2:カチオン系光重合開始剤2(芳香族ヨードニウム塩)
D:ラジカル重合型の硬化性成分(エポキシアクリレート系樹脂(ビスA系))
E1:ラジカル系光重合開始剤1(2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン 吸収波長252nm)
E2:ラジカル系光重合開始剤2(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(アシルホスフィンオキシド系))
F:染料及び顔料(黒色顔料(アゾ系)、カーボンブラック)
G:フィラー(球状合成シリカ 平均粒径1.2μm)
B:カチオン重合型の硬化性成分(脂環式エポキシ樹脂)
C1:カチオン系光重合開始剤1(芳香族ジアゾニウム塩)
C2:カチオン系光重合開始剤2(芳香族ヨードニウム塩)
D:ラジカル重合型の硬化性成分(エポキシアクリレート系樹脂(ビスA系))
E1:ラジカル系光重合開始剤1(2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン 吸収波長252nm)
E2:ラジカル系光重合開始剤2(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(アシルホスフィンオキシド系))
F:染料及び顔料(黒色顔料(アゾ系)、カーボンブラック)
G:フィラー(球状合成シリカ 平均粒径1.2μm)
次に、上記の各塗布液を、厚さが38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる剥離シートの上に、乾燥膜厚が25μmとなるように130℃/3分で塗布乾燥したのち、その上に上記と同じ別の剥離シートを貼り合わせ、剥離シート/エネルギー線硬化型保護膜形成層/剥離シートからなる3層構成のエネルギー線硬化型チップ保護用フィルムを作製した。
各エネルギー線硬化型チップ保護用フィルムについて、下記の方法により、エネルギー線硬化型保護膜形成層の鉛筆硬度を測定した。また、下記の方法により、実装信頼性、及びウエハに対する密着性を調べた。これらの結果を、表1に併せて示す。
<鉛筆硬度>
エネルギー線硬化型保護膜形成層をシリコンウエハに貼り合わせ、紫外線照射機を用いて紫外線を1,000mJ/cm2照射(照度40mW/cm2を25秒)した。その後、JIS規格:K5600−5−4に基づき室温(25℃)で硬化した保護膜形成層の鉛筆硬度を測定した。
エネルギー線硬化型保護膜形成層をシリコンウエハに貼り合わせ、紫外線照射機を用いて紫外線を1,000mJ/cm2照射(照度40mW/cm2を25秒)した。その後、JIS規格:K5600−5−4に基づき室温(25℃)で硬化した保護膜形成層の鉛筆硬度を測定した。
<実装信頼性>
エネルギー線硬化型保護膜形成層をシリコンウエハに貼り合わせ、紫外線照射機を用いて紫外線を1,000mJ/cm2照射(照度40mW/cm2を25秒)した。その後、保護膜形成層側にダイシングテープを貼り合わせ、10mm×10mmにダイシングした。分割された個々のシリコンチップを85℃/85%RHの恒温恒湿槽で168時間処理した後、IRリフロー炉で250℃/120秒加熱した。その後、得られたシリコンチップと保護膜との剥離の有無をSAT(超音波映像装置:日立建機ファインテック株式会社製)で観察した。20個のサンプルのうち、剥離が発生したものをカウントした。
エネルギー線硬化型保護膜形成層をシリコンウエハに貼り合わせ、紫外線照射機を用いて紫外線を1,000mJ/cm2照射(照度40mW/cm2を25秒)した。その後、保護膜形成層側にダイシングテープを貼り合わせ、10mm×10mmにダイシングした。分割された個々のシリコンチップを85℃/85%RHの恒温恒湿槽で168時間処理した後、IRリフロー炉で250℃/120秒加熱した。その後、得られたシリコンチップと保護膜との剥離の有無をSAT(超音波映像装置:日立建機ファインテック株式会社製)で観察した。20個のサンプルのうち、剥離が発生したものをカウントした。
<密着性試験>
エネルギー線硬化型保護膜形成層をシリコンウエハに貼り合わせ、紫外線照射機を用いて紫外線を1,000mJ/cm2照射(照度40mW/cm2を25秒)した。フィルム面に1mm×1mm四方の切り傷を入れた(ダイサーを使用してハーフカット)。碁盤目を入れた所にセロハンテープを強く密着させ、テープの端を45°の角度で急速に引き剥がし、碁盤目の状態を観察した。1mm×1mmのフィルムが70%以上剥がれたものを×、5〜70%を△、5%以下を○とした。
エネルギー線硬化型保護膜形成層をシリコンウエハに貼り合わせ、紫外線照射機を用いて紫外線を1,000mJ/cm2照射(照度40mW/cm2を25秒)した。フィルム面に1mm×1mm四方の切り傷を入れた(ダイサーを使用してハーフカット)。碁盤目を入れた所にセロハンテープを強く密着させ、テープの端を45°の角度で急速に引き剥がし、碁盤目の状態を観察した。1mm×1mmのフィルムが70%以上剥がれたものを×、5〜70%を△、5%以下を○とした。
本発明の実施例1〜4では、硬化メカニズムの異なるカチオン重合型の硬化性成分とラジカル重合型の硬化性成分とを併用していることから、鉛筆硬度H以上を達成するとともに、優れた実装信頼性及び密着性を示すことが確認された。
これに対し、比較例1及び2では、カチオン重合型の硬化性成分を含まないことから、実装信頼性及び密着性が不十分であった。また、比較例3では、ラジカル硬化型硬化性成分が配合されていないため、硬度が不十分であった。これは、カチオン重合型硬化性成分では、反応速度が遅く、また黒色系であるため内部へのエネルギー線の透過度合いが低くなり反応の進行が不十分になりやすく、硬度が得られにくくなったものと考えられる。また、ラジカル重合型硬化性成分では、反応速度が速いために硬化収縮による応力が大きくなり密着性が得られにくくなったと考えられる。
1 剥離シート
2 エネルギー線硬化型保護膜形成層
5 UVランプ
6 ダイシングテープ
7 粘着剤
8 基材
2 エネルギー線硬化型保護膜形成層
5 UVランプ
6 ダイシングテープ
7 粘着剤
8 基材
Claims (9)
- (A)バインダーポリマー成分、(B)カチオン重合型の硬化性成分、(C)カチオン系光重合開始剤、(D)ラジカル重合型の硬化性成分、及び(E)ラジカル系光重合開始剤を含有してなるエネルギー線硬化型保護膜形成層を有することを特徴とするエネルギー線硬化型チップ保護用フィルム。
- 前記ラジカル系光重合開始剤(E)が、350nm以上の長波長領域の光を吸収する光重合開始剤であることを特徴とする請求項1に記載のエネルギー線硬化型チップ保護用フィルム。
- 前記ラジカル系光重合開始剤(E)が、アシルホスフィンオキシドであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエネルギー線硬化型チップ保護用フィルム。
- 前記ラジカル系光重合開始剤(E)が、下記構造式(1)で表される2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドであることを特徴とする請求項3に記載のエネルギー線硬化型チップ保護用フィルム。
構造式(1)
- 前記カチオン重合型の硬化性成分(B)が、エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のエネルギー線硬化型チップ保護用フィルム。
- 前記ラジカル重合型の硬化性成分(D)が、エポキシアクリレートであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のエネルギー線硬化型チップ保護用フィルム。
- 前記カチオン重合型の硬化性成分(B)と前記ラジカル重合型の硬化性成分(D)との配合比が、質量比で30:70〜70:30であることを特徴とする請求項1から請求項6に記載のエネルギー線硬化型チップ保護用フィルム。
- 前記エネルギー線硬化型保護膜形成層の片面又は両面に、さらに剥離シートを有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のエネルギー線硬化型チップ保護用フィルム。
- 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のエネルギー線硬化型チップ保護用フィルムに、ダイシングテープが貼り合わされたダイシングテープ一体型チップ保護用フィルム。
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