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JP2010092885A - カソード基板及びその作製方法 - Google Patents

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美尚 中野
Masaaki Hirakawa
正明 平川
Osamu Miura
治 三浦
Hirohiko Murakami
村上  裕彦
Kensuke Okasaka
謙介 岡坂
Tomoaki Kojima
智明 小島
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Abstract

【課題】ゲート電極を有する従来のアノード基板では、エミッタから放出される電子が拡散し、電荷注入効率が悪い。また、各カソード基板相互の間での電荷注入効率がばらつき易い。
【解決手段】処理基板11上に順次積層したカソード電極層12、絶縁層14及びゲート電極層15を備え、この絶縁層に形成したホール14aの底部にエミッタEを設けると共に、前記ゲート電極層にゲート孔開口部16を形成する。この場合、ゲート孔開口部を、絶縁層のホールの開口面積より小さい面積を有する複数個の開口16aから構成し、各開口を、エミッタに対向して絶縁層のホール直上に密集させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば電子放出源を有する表示装置用のカソード基板及びその作製方法に関し、特に、グラファイト・ナノファイバやカーボン・ナノチューブなどのカーボン系エミッタ材料を利用した電界電子放出型表示装置(FED:Field Emission Display)用のカソード基板及びその作製方法に関する。
近年、電子放出電圧が低くて化学的安全性を有するグラファイト・ナノファイバやカーボン・ナノチューブなどのカーボン系エミッタ材料を電子放出源に利用したFEDが開発されている。このFEDでは、電子を放出させるのに必要な駆動電圧を低く抑制するために、カソード電極、ゲート電極およびアノード電極から構成される三極電界放出素子を用いるのが主流である。
この場合、カソード電極層、絶縁層及びゲート電極層を処理基板上に順次積層し、ゲート電極層に1個のゲート孔開口部を形成し、このゲート孔開口部を通じて絶縁層に、ゲート孔開口部より大きな開口面積を有するホールを形成した後、ホール底部に触媒層を設け、この触媒層の上にカーボン系エミッタ材料を成長せしめてエミッタを構成し、カソード基板を得ることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−236879号公報(発明の詳細な説明参照)。
しかしながら、上記のものでは、エミッタに対向して絶縁層直上に1個のゲート孔開口部を設けただけなので、駆動電圧を印加してエミッタにより電子を放出させると、電子は、エミッタからゲート電極に向かって引き出されて加速されるため、ゲート孔開口部を通過した放出電子が拡散するという問題がある。この場合、放出電子が拡散すると、三極電界放出素子を構成すべく対向して配置されるアノード基板(電極)への電荷注入効率が悪い。
また、エミッタの中心部とその端部とでは、ゲート電極までの距離が異なるため、エミッターの形状や寸法等の微小な相違によって、各カソード基板相互の間で、アノード基板への電荷注入効率にばらつきが生じ易い。
そこで、上記点に鑑み、本発明の課題は、エミッタから放出される電子が拡散することを防止して電荷注入効率がよく、その上、各カソード基板相互の間での電荷注入効率がばらつき難いカソード基板及びその作製方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のカソード基板は、処理基板上に順次積層したカソード電極層、絶縁層及びゲート電極層を備え、この絶縁層に形成したホールの底部にエミッタを設けると共に、前記ゲート電極層にゲート孔開口部を形成したカソード基板において、前記ゲート孔開口部を、前記絶縁層のホールの開口面積より小さい面積を有する複数個の開口から構成し、各開口を、エミッタに対向して絶縁層のホール直上に密集、好ましくは均一に密集させ、前記各開口の開口面積及び個数の少なくとも一方を増減させて、三極電界放出素子を構成すべく対向して配置されるアノード基板への電荷注入効率を変化させるようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、ゲート孔開口部を構成する各開口を、エミッタに対向して絶縁層のホール直上に密集させているため、駆動電圧を印加してエミッタにより電子を放出させると、電子が直上に向かって引き出されて加速されるので、ゲート電極層のゲート孔開口部を通過した放出電子は拡散せず、また、エミッターの形状や寸法等の微小な相違の影響は受けに難くなる。その上、従来のものと比較して、電子を放出させるのに必要な駆動電圧を低く抑制できる。
尚、前記エミッタをカーボン系エミッタ材料から構成し、このカーボン系エミッタ材料は、触媒層上に成長させたものとすればよい。
また、本発明は、請求項1記載のカソード基板を作製する方法であって、処理基板上に、カソード電極層、絶縁層及びゲート電極層を順次積層し、このゲート電極層上に、ゲート孔開口部を形成するためのレジストパターンを設けた後、エッチングにより複数個の開口からなるゲート孔開口部を形成し、このゲート孔開口部を通して深さ方向及び幅方向に同時に絶縁層をエッチングして1つのホールを形成してこのホール直上にゲート孔開口部の各開口を密集させ、ホールの底部にエミッタを設けてなることを特徴とする。
この場合、前記エミッタを、カーボン系エミッタ材料から構成し、このカーボン系エミッタ材料を成長させる際に触媒として作用する触媒層を、絶縁層の下側に予め形成しておけばよい。
他方で、前記エミッタを、カーボン系エミッタ材料から構成し、このカーボン系エミッタ材料を成長させる際に触媒として作用する触媒層を、絶縁層のエッチング後に、リフトオフ法によって形成し、CVD法によりホール底部にカーボン系エミッタを成長する、あるいはプリント法によりカーボン系エミッタを塗布することもできる。
以上説明したように、本発明のカソード基板は、エミッタから放出される電子が拡散することを防止して電荷注入効率がよく、その上、各カソード基板相互の間での電荷注入効率がばらつき難いという効果を奏する。
本発明のFED用カソード基板を概略的に説明する斜視図。 (a)乃至(e)は、本発明のFED用カソード基板の作製手順を説明する図。 従来技術にかかるFED用カソード基板を説明する図。 本発明の方法で作製したFED用カソード基板のSEM写真。 本発明の方法で作製したFED用カソード基板のSEM写真。 実施例1の基板を使用してアノード蛍光体基板へ映したときの一画素の拡大写真。 比較例1の基板を使用してアノード蛍光体基板へ映したときの一画素の拡大写真。 (a)乃至(f)は、本発明のFED用カソード基板の他の作製手順を説明する図。
図1を参照して説明すれば、1は、FEDに用いられる本発明のカソード基板を示す。カソード基板1は処理基板であるガラス基板11を有し、このガラス基板11上には、所定膜厚で、例えばクロムからなるカソード電極層(母線)12が形成されている。カソード電極層12は、例えばガラス基板11を所定温度(例えば200℃)に加熱しつつDCスパッタリングにより形成される。
カソード電極層12上には、例えばFe、Co又はこれらの金属の少なくとも1種類を含む合金から構成された触媒層13が所定膜厚(1〜50nmの範囲)で形成され、ライン状に加工されている。触媒層13は、例えばDCスパッタリングにより形成される。この触媒層13上には、後述の絶縁層にホールを形成した後、公知の方法でグラファイト・ナノファイバやカーボン・ナノチューブなどのカーボン系エミッタ材料Cを成長せしめ、エミッタEを構成する。
触媒層13上には、例えばSiOから構成される絶縁層14が所定膜厚(例えば3μm)で形成されている。絶縁層14は、成膜後の絶縁層14の応力による破損を防止する目的で、例えばガラス基板11を所定温度(例えば300℃)に加熱しながらRFスパッタリングにより形成される。この絶縁層14を形成する場合、RFスパッタリング時にガラス基板11に付着するダストによるピンホールを防止するため、複数回に分けて成膜してもよい。この絶縁層14は、上記RFスパッタリング以外の方法、例えばEB蒸着法やガス中蒸着法で形成することもできる。
また、絶縁層14には、カーボン系エミッタ材料Cを成長させるための触媒層13が露出するようにホール14aが形成されている。SiOから構成される絶縁層14では、例えばエッチャントとしてフッ酸を使用し、絶縁層14をエッチングして断面が所定形状(例えば円形)のホール14aが形成されている。
この場合、後述するゲート電極層にゲート孔開口部の各開口を設けた後、各開口を通じて深さ方向及び幅方向に同時に絶縁層14をエッチングし、ゲート電極層の下側でホールがつながって一つになるようにホール14aがエッチングされ、各開口がエミッタEに対向して絶縁層14のホール14a直上に密集させるようにしている。その際、オーバーエッチング時間を制御すれば横方向のエッチングを進行させることができる。尚、絶縁層14のホール14aの形や大きさは、ゲート孔開口部の各開口の数や配置に依存して設計され得る。
絶縁層14上には、例えばクロムからなるゲート電極層15が所定膜厚(例えば300nm)で形成されている。ゲート電極層15は、カソード電極層12の場合と同様に、例えば基板を加熱しながらDCスパッタリングにより形成される。このゲート電極層15には、ゲート孔開口部16が形成される。このゲート電極層15は、上記RFスパッタリング以外の方法、例えばEB蒸着法やガス中蒸着法で形成することもできる。
ここで、従来技術のように、エミッタEに対向して絶縁層14のホール14a直上に1個のゲート孔開口部を設けただけでは、駆動電圧を印加してエミッタにより電子を放出させると、電子は、エミッタEからゲート電極に向かって引き出されて加速されるため、ゲート孔開口部を通過した放出電子が拡散する。この場合、放出電子が拡散すると、三極電界放出素子を構成すべく対向して配置されるアノード基板(図示せず)への電荷注入効率が悪い。
そこで、本実施の形態では、ゲート孔開口部16を、絶縁層14のホール14aの開口面積より小さい面積を有する複数個の開口16aから構成し、各開口16aを、エミッタEに対向して絶縁層14のホール14a直上に密集、好ましくは均一に密集させるようにした。
各開口16aは、一辺の長さまたは直径が1〜3μmの略正方形または略円形に形成され、各開口16a相互の間の間隔は0.5〜2μmの範囲に設定され、2〜50個の範囲で形成される。この場合、絶縁層14のホール14aの開口面積に対して、各開口16aの面積の総和が50〜90%となるようにするのが好ましい。
各開口16aの面積の総和が50〜90%の範囲を外れ、面積が小さいと、アノード基板への電荷注入効率が悪くなり、他方で、面積が大きいと、電子拡散とエミッタの微小な違いの影響がでてしまう。また、ゲート電極が変形してしまう可能性がある。各開口16aは、例えばフォトリソグラフィ法で、所定のレジストパターンをゲート電極層15上に転写し、ウェットエッチングまたはドライエッチングにより形成される。
これにより、駆動電圧を印加してエミッタEにより電子を放出させると、電子が直上に向かって引き出されて加速されるので、ゲート電極層15のゲート孔開口部16の各開口16aを通過した放出電子は拡散せず、また、エミッターEの微小な相違の影響は受けに難くなる。この場合、各開口16aの開口面積及び開口の個数のいずれか一方を増減させることで、アノード基板への電荷注入効率を変化させることができる。
尚、本実施の形態では、FED用のカソード基板1について説明したが、これに限定されるものではなく、本発明のカソード基板1は、広く一般の電子放出源として利用できる。
図2(a)乃至(e)は、本発明のFED用のカソード基板1の作製方法における各プロセスを概略的に説明する図である。
図2(a)に示すように、ガラス基板11上に、100nmの膜厚でクロムからなるカソード電極層12を、ガラス基板を200℃に加熱しながらDCスパッタリングにより形成し、このカソード電極層12の上に、連続してFe合金からなるカーボン系エミッタ材料成長用の触媒層13を25nmの膜厚で形成した。
次いで、SiOからなる絶縁層14を、375℃の基板加熱を行いながらRFスパッタリングにより3μmの膜厚で形成した。次いで、クロムからなるゲート電極層15を、カソード電極層12の場合と同様に、ガラス基板11を200℃に加熱しながらDCスパッタリングにより300nmの膜厚で形成した。
次いで、図2(b)に示すように、フォトリソグラフィ法を用いて、ゲート電極層15上に、約1μmの厚さでレジストパターン17を形成し、図2(c)に示すように、エッチングによりゲート孔開口部16を形成した。この場合、レジスト材として、電子ビーム露光装置用のものを用い、硫酸セリウムアンモニウム溶液を使用したウェットエッチングにより19個の正方形の開口16aを格子状に形成した。また、各開口16aの一辺を約1μm、各開口相互間の間隔を約1μmで作製し、オーバーエッチングにより一辺約1.2μm、各開口相互間の間隔0.8μmとなった。
次いで、図2(d)に示すように、ゲート孔開口部16の各開口16aを利用して、エッチャントとしてフッ酸を使用し、各開口16aが絶縁層14のホール14a直上に密集するように絶縁層14をウェットエッチングし、1個の断面略円形ホール14aを形成した後、レジストパターン16を除去した。この場合、ホール14aの開口上部の直径は約16μmとした。次いで、図2(e)に示すように、ゲート孔開口部16の各開口16aを通して、触媒層13上に、公知の方法でカーボン・ナノチューブCを成長せしめてエミッタEを設け、カソード基板1を得た。
(比較例1)
比較例として、図3に示すように、上記実施例1と同じ条件でガラス基板11上に、カソード電極層12、触媒層、絶縁層14及びゲート電極層15を形成した。次いで、上記実施例1と同様にして、直径が10μmの1個のゲート孔開口部20を形成した後、絶縁層14をエッチングして開口上部の直径が約16μmのホール14aを形成した。次いで、触媒層上に、公知の方法でカーボン・ナノチューブを成長せしめてエミッタEを設け、カソード基板10を得た。
図4(a)及び(b)は、実施例1記載の上記手順で作製したカソード基板1の上面及び断面に対するSEM写真である。これによれば、絶縁層14上に、上記開口面積及び間隔でゲート孔開口部16を構成する各開口16aが形成されていることが判る(図4(a)参照)。また、各開口16aを通じてカーボン・ナノチューブを成長せしめることができたことが判る(図4(b)参照)。
この場合、比較例1のものでは、電子を放出させるのに必要な駆動電圧は約60Vであったが、実施例1のものは約20Vであり、駆動電力を低く抑制できた。図5(a)及び(b)はそれぞれ実施例1と比較例1の構造において、アノード蛍光体に映した一画素の拡大写真であり、図5(a)は実施例1であり、図5(b)は比較例1である。これによれば、電子の拡散についても、実施例1のものは比較例1のものと比べて約半分に抑制できたことが判る。
本実施例2では、上記実施例1と比較して、触媒層13を、絶縁層14へのホール14aのエッチング後に、RFスパッタ法によってホール14aの底部に形成した点で相違する。この場合、図6(a)乃至図6(f)を参照して説明すれば、上記実施例1と同様の方法で、カソード電極層(母線)12を設けたガラス基板11上に絶縁層14及びゲート電極層15を順次形成する(図6(a)参照)。
次いで、フォトリソグラフィ法で、所定のレジストパターン17をゲート電極層15上に転写し(図6(b)参照)、ドライエッチングによりゲート孔開口部16の各開口16aを形成する(図6(c)参照)。次いで、上記と同様に、絶縁層14をウェットエッチングして1個のホール14aを形成し(図6(d)参照)、ホール14aの底部にカーボン系エミッタ材料成長用の触媒層13をRFスパッタ法により成膜する(図6(e)参照)。次いで、レジストパターン16及びその上に付着した触媒層13を除去して、ホール14aの底部に残った触媒層13上にカーボン系材料を成長せしめてエミッタEを構成する。
この実施例2記載の手順でカソード基板1を作製しても、絶縁層14上に所定開口面積及び間隔で形成したゲート孔開口部16の各開口16aを通じて、触媒層を設けてカーボン・ナノチューブを成長せしめることができた。この場合、上記実施例1と同様に、電子を放出させるのに必要な駆動電圧を低く抑制でき、電子の拡散も抑制できた。
1 カソード基板
11 ガラス基板
12 カソード電極層
13 触媒層
14 絶縁層
14a ホール
15 ゲート電極層
16 ゲート孔開口部
16a 開口

Claims (4)

  1. 処理基板上に順次積層したカソード電極層、絶縁層及びゲート電極層を備え、この絶縁層に形成したホールの底部にエミッタを設けると共に、前記ゲート電極層にゲート孔開口部を形成したカソード基板において、
    前記ゲート孔開口部を、前記絶縁層のホールの開口面積より小さい面積を有する複数個の開口から構成し、各開口を、エミッタに対向して絶縁層のホール直上に密集させ、前記各開口の開口面積及び個数の少なくとも一方を増減させて、三極電界放出素子を構成すべく対向して配置されるアノード基板への電荷注入効率を変化させるようにしたことを特徴とするカソード基板。
  2. 請求項1記載のカソード基板を作製する方法であって、
    処理基板上に、カソード電極層、絶縁層及びゲート電極層を順次積層し、このゲート電極層上に、ゲート孔開口部を形成するためのレジストパターンを設けた後、エッチングにより複数個の開口からなるゲート孔開口部を形成し、このゲート孔開口部を通して深さ方向及び幅方向に同時に絶縁層をエッチングして1つのホールを形成してこのホール直上にゲート孔開口部の各開口を密集させ、ホールの底部にエミッタを設けてなることを特徴とするカソード基板を作製する方法。
  3. 前記エミッタを、カーボン系エミッタ材料から構成し、このカーボン系エミッタ材料を成長させる際に触媒として作用する触媒層を、絶縁層の下側に予め形成することを特徴とする請求項2記載のカソード基板を作製する方法。
  4. 前記エミッタを、カーボン系エミッタ材料から構成し、このカーボン系エミッタ材料を成長させる際に触媒として作用する触媒層を、絶縁層のエッチング後に、リフトオフ法によって形成し、CVD法によりホール底部にカーボン系エミッタを成長する、あるいはプリント法によりカーボン系エミッタを塗布することを特徴とする請求項2記載のFED用のカソード基板を作製する方法。
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