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JP2006134724A - フィールドエミッタアレイ及びその製造方法 - Google Patents

フィールドエミッタアレイ及びその製造方法 Download PDF

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JP2006134724A JP2004322776A JP2004322776A JP2006134724A JP 2006134724 A JP2006134724 A JP 2006134724A JP 2004322776 A JP2004322776 A JP 2004322776A JP 2004322776 A JP2004322776 A JP 2004322776A JP 2006134724 A JP2006134724 A JP 2006134724A
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Abstract

【課題】極微細加工を要する微細構造を持たない簡単な構造であり、かつ簡便な製造工程により形成することの可能な、フィールドエミッタアレイおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】電界を印加することによって材料表面より電子を放出する、複数の電界放射型の電子放出素子をアレイ状に配置したフィールドエミッタアレイであって、前記電子放出素子は、基体と、この基体上に形成されたダイヤモンド膜とを備え、このダイヤモンド膜表面には、カーボンナノ材料膜と、電子供与基不存在面又は電子吸引基終端面とが分離されて形成されていることを特徴とするフォールドエミッタアレイ。
【選択図】 図1

Description

本発明は、強電界によって電子を放出する電界放射型の電子放出素子のエミッタにナノカーボン材料を用い、このようなナノカーボン材料を用いたエミッタをアレイ状に配置したフィールドエミッタアレイ及びその製造方法に関する。
従来より、電子ディスプレイデバイスとして陰極線管が広く用いられているが、陰極線管は、電子銃のカソードから熱電子を放出させるものであるため、エネルギー消費量が大きく、また、構造的に大きな容積を必要とするなどの問題があった。
このため、熱電子ではなく冷電子を利用できるようにして、全体としてエネルギー消費量を低減させ、しかも、デバイス自体を小形化した平面型のディスプレイが求められ、更に、近年では、そのような平面型ディスプレイに高速応答性と高解像度とを実現することも強く求められている。
このような冷電子を利用する平面型ディスプレイの構造としては、高真空の平板セル中に、微小な電子放出素子をアレイ状に配したものが有望視されている。そして、そのために使用する電子放出素子として、電界放射現象を利用した電界放射型の電子放出素子が注目されている。この電界放射型の電子放出素子は、物質に印加する電界の強度を上げると、その強度に応じて物質表面のエネルギー障壁の幅が次第に狭まり、電界強度が10V/cm以上の強電界となると、物質中の電子がトンネル効果によりそのエネルギー障壁を突破できるようになり、そのため、物質から電子が放出されるという現象を利用している。
この場合、電場がポアッソンの方程式に従うために、電子を放出する部材(エミッタ)に電界が集中する部分を形成すると、比較的低い引き出し電圧で効率的に冷電子の放出を行うことができる。
このような電界放射型の電子放出素子の一般的なものとしては、図3に示すように、先端が尖った円錐形の電子放出素子を例示することができる(例えば、非特許文献1参照)。この素子においては、絶縁性基板31上に導電層32、絶縁層33及びゲート電極34が順次積層されており、その絶縁層33及びゲート電極34には開口部Aが形成され、それによって導電層32が露出している。そして、開口部A内の導電層32上には、少なくともゲート電極34に接触しないように、点状突起を有する円錐形状のエミッタ35が形成されている。このような円錐形エミッタとしては、スピント型エミッタが広く知られている。
スピント型エミッタを備えた電子放出素子の製造例を、図4を参照して説明する。
まず、図4(a)に示すように、予め導電層42が形成された絶縁性基板41上に、絶縁層43及びゲート電極44をスパッタ法又は真空蒸着法等により順次成膜する。続いて、フォトリソグラフィー法と反応性イオンエッチング法(RIE)とを利用して絶縁層43及びゲート電極44の一部を、導電層42が露出するまで、円形の孔(ゲート孔)が開口するようにエッチングする。
次に、図4(b)に示すように、斜方蒸着により剥離層45をゲート電極44上面と側面にのみ形成する。剥離層45の材料としては、Al、MgO等が多く使用されている。
続いて、図4(c)に示すように、全面に、即ち導電層42及び剥離層45上に、その垂直な方向から通常の異方性蒸着により、エミッタ46用の金属材料を蒸着する。このとき、蒸着の進行につれて、ゲート孔の開口径が狭まると同時に導電層42上に円錐形のエミッタ46が自己整合的に形成される。蒸着は、最終的にゲート孔が閉じるまで行なう。エミッタの材料としては、Mo、Ni等を使用している。
最後に、図4(d)に示すように、剥離層材45をエッチングにより剥離し、必要に応じてゲート電極44をパターニングする。これによりスピント型エミッタを備えた電子放出素子が得られる。
一方、半導体集積回路製造技術を応用して製造されるシリコンエミッタもまた広く知られている。このようなシリコンエミッタを備えた電子放出素子の製造例を、図5(a)〜(e)を参照して説明する。
まず、図5(a)に示すように、単結晶シリコン基板51を熱酸化して表面に酸化シリコン層を形成し、この酸化シリコン層をフォトリソグラフィー法を利用して円形にパターニングすることにより、円形のエッチングマスク用酸化シリコン層52を形成する。この酸化シリコン層52は、後述するように、リフトオフ材としても機能する。なお、酸化シリコン層52の径はほぼゲート径に相当する。
次に、図5(b)に示すように、酸化シリコン層52をエッチングマスクとして用いて、サイドエッチレートの高い条件の反応性イオンエッチング法(RIE)によりシリコン基板51をエッチングし、エミッタ53を形成する。
続いて、図5(c)に示すように、熱酸化によりシリコン基板51及びエミッタ53の表面にエミッタ先端先鋭化用酸化シリコン層54を形成する。この酸化シリコン層54の形成時に発生する応力により、酸化シリコン層54の内側のエミッタ53の先端が容易に尖鋭化される。
そして、図5(d)に示すように、異方性蒸着法により絶縁層55、ゲート電極56を積層する。
最後に、図5(e)に示すように、リフトオフ材としても機能するエッチングマスク用酸化シリコン層52をエッチングによりリフトオフし、更に、エミッタ53の表面の酸化シリコン層54をエッチング除去する。そして、必要に応じてゲート電極56をパターニングする。これにより、シリコンエミッタを備えた電子放出素子が得られる。
しかしながら、上述したスピント型エミッタならびにシリコンエミッタにおいては、いずれもエミッタ材料である金属、シリコン又はそれらの化合物は、正の電子親和力(PEA;Positive Electron Affinity)を有するため、電子放出能が低く、エミッタ部への電界集中を行うことが不可欠であった。そのため、それらのエミッタ材料表面から電子を放出させるためには、電子放出部の曲率半径をできるだけ小さくする必要があり、上記に示したように、エミッタに微細加工を施し、放出部の先端形状をコーン型として、その先端の曲率半径を数ナノメーター以下とすることが不可欠であった。
更に、ディスプレイ用等の電子源として応用するためには、上記のような微細加工を施して得られるエミッタを多数作製し、アレイ状に配置する必要がある。しかしながら、超精密加工が必要であるため、構造的欠陥が生じやすく、大面積に均一に作製することは容易ではなく、歩留まりが低下する上に、欠陥検査等も不可欠となり、製造コストが高くなるという問題があった。
C. A. Spindt : J. Appl. Phys., 39, 3504 (1968) K. Betsui: Tech. Dig. IVMC. , (1991) p26
本発明は、上記問題点を考慮してなされ、極微細加工を要する微細構造を持たない簡単な構造であり、かつ簡便な製造工程により形成することの可能な、フィールドエミッタアレイおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、ダイヤモンド膜表面の化学吸着種(水素及び酸素)と溶液法による触媒の担持特性を検討した結果、水素終端表面では触媒は担持しないこと、一方、酸素終端表面では触媒が担持することを見いだした。このような現象にかんがみ、表面を水素終端面と酸素終端面に分離して形成したダイヤモンド膜を有する基板を準備し、上記担持特性を利用することによって、ダイヤモンド表面の酸素終端面にのみ選択的に触媒を担持することが可能である。この場合、カーボンナノチューブ等は触媒上にのみ選択的に成長する性質を有するため、このような触媒の担持面にカーボンナノチューブ等のカーボンナノ材料をCVD法により選択的に成長させることにより、リソグラフィー等を用いることなく、簡便に、同一基板上にエミッタアレイを作製することが可能となる。
本発明はこのような原理に基づくものである。
即ち、本発明の第1の態様は、電界を印加することによって材料表面より電子を放出する、複数の電界放射型の電子放出素子をアレイ状に配置したフィールドエミッタアレイであって、前記電子放出素子は、基体と、この基体上に形成されたダイヤモンド膜とを備え、このダイヤモンド膜表面には、カーボンナノ材料膜と、電子供与基不存在面又は電子吸引基終端面とが分離されて形成されていることを特徴とするフォールドエミッタアレイを提供する。
以上のように構成される本発明の第1の態様に係るフィールドエミッタアレイでは、ダイヤモンド膜の表面にカーボンナノ材料膜と電子供与基不存在面又は電子吸引基終端面が相互に分離して形成されるという非常に単純な構造で、従来の構造のように、ゲート電極を必要とせず、また、エミッタを先鋭化することなく、平面状のカーボンナノ材料膜から低い引出し電圧で電子を放出させることが出来る。そのため、高性能のフィールドエミッタアレイを低コストで得ることが出来る。その結果、フラットパネルディスプレイに適用した場合に、高速、高精細度の画像を低消費電力で得ることが可能となる。
本発明の第1の態様に係るフィールドエミッタアレイにおいて、ダイヤモンド膜の表面のカーボンナノ材料膜と電子供与基不存在面又は電子吸引基終端面が、ライン状に交互に配置され、ストライプ状のパターンを形成することが出来る。
また、カーボンナノ材料膜を、カーボンナノチューブ、カーボンナノフィラメント、カーボンナノコイル、カーボンナノホーン、及びカーボンナノキャップからなる群から選ばれた1種とすることが出来る。
本発明の第2の態様は、表面に所定のパターンの水素終端面と酸素終端面とが分離形成されているダイヤモンド膜を表面に有する基体を準備する工程、前記ダイヤモンド膜の酸素終端面に触媒を担持する工程、前記ダイヤモンド膜の水素終端面を処理して酸素終端面に変換する工程、及び前記ダイヤモンド膜の触媒担持部にカーボンナノ材料膜を形成する工程を具備するフィールドエミッタアレイの製造方法を提供する。
以上のように構成される本発明の第2の態様に係るフィールドエミッタアレイの製造方法では、ダイヤモンド膜の表面に選択的に触媒を担持させ、そこにカーボンナノ材料膜を選択的に形成する簡単な工程で、ミクロンオーダーあるいはナノオーダーの微細なパターンのカーボンナノ材料膜、即ち電子放出部を極めて簡単に形成することが出来る。そのため、高性能のフィールドエミッタアレイを低コストで製造することが出来、その結果、高速、高精細度の画像を低消費電力で得ることが可能なフラットパネルディスプレイを製造することが出来る。
本発明の第2の態様に係るフィールドエミッタアレイの製造方法において、水素終端面を、水素、炭化水素、水酸基、メトキシ基、アルコール類、及び水蒸気からなる群から選ばれた少なくとも1種のガス雰囲気中でプラズマ処理することにより得ることが出来る。また、酸素終端面を、酸素系ガスを含むガス雰囲気でプラズマ処理するか、酸素系ガスを含むガス雰囲気で加熱するか、又は酸化性溶液に浸漬することにより得ることが出来る。
また、所定パターンは、ストライプパターンとすることが出来る。
本発明によると、ダイヤモンド表面の化学吸着種による触媒の担持特性およびカーボンナノ材料の選択的成長の特性を利用することにより、ダイヤモンド表面にカーボンナノ材料膜を選択的に形成することが出来、このカーボンナノ材料膜を電子放射源として用いることにより、リソグラフィー等を用いず単純な構造でかつ配線が不要であり、さらに簡便な工程でフィールドエミッタアレイを得ることが出来る。
即ち、カーボンナノ材料膜は高い電子放出能と導電性を示し、一方、電子供与基不存在面又は電子吸引基終端面は低い電子放出能と絶縁性を示すという物性を利用し、これによって、電子放出能の異なる表面を得ることが可能となり、さらには配置を制御することにより、用途に応じたエミッタアレイを構成することが出来る。
従って、微構造の作製、制御、及びゲート電極並びに配線の形成が不要であるため、単純な構造であり、素子欠陥が生じず、かつ簡便な工程で作製できるため、低コストで、高性能のフィールドエミッタアレイを得ることができる。更に、フラットパネルディスプレイに応用した場合にも、導電性ならびに電子放出能に優れたカーボンナノ材料をエミッタ材料として用いるため、高速、高精細度の画像を、低消費電力で得ることが可能となる。
以下、発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るフィールドエミッタアレイを示す断面図である。図1に示すように、このフィールドエミッタアレイは、基体11上にダイヤモンド膜12が積層された構造を有する。そして、ダイヤモンド膜12上には、カーボンナノ材料膜13と、酸素終端面14が分離して形成されている。
本発明の一実施形態に係るフィールドエミッタアレイにおいて、基体11は、フィールドエミッタアレイの支持基板として用いられている。このような基板としては、ダイヤモンド基板、シリコン基板、金属基板、ガラス基板、セラミックス基板、石英基板などを使用することができる。
ダイヤモンド膜12は、単結晶、多結晶、ナノ結晶からなるダイヤモンドあるいはダイヤモンド状炭素から構成することができる。また、不純物をドープしたダイヤモンド膜を用いることもできる。
カーボンナノ材料としては、カーボンナノチューブ、カーボンナノフィラメントの他、カーボンナノコイル、カーボンナノホーン、カーボンナノキャップ等の類似構造を持つものでも有効である。
ダイヤモンド膜表面の酸素終端面14は、酸素を化学吸着した構造であり、電子放出能が低く、かつ導電性の低い物性を示す。
図1に示す本発明の一実施形態に係るフィールドエミッタアレイは、図2に示すような工程により製造することが出来る。以下、各工程に沿って説明する。
まず、図2(a)に示すように、基板21上にダイヤモンド膜22を成膜する。成膜方法としては、マイクロ波プラズマCVD法、熱CVD法等を用いることが出来る。
次に、ダイヤモンド膜22の表面を処理して、水素終端面とする。
ダイヤモンド膜表面の水素終端面は、電子供与基を化学吸着した構造であり、電子供与基としては、水素基、炭化水素基、水酸基を挙げることができ、これらの基を化学吸着することにより、電子放出能及び導電性付与性能が良好な水素終端面が得られる。
このような水素終端面は、ダイヤモンド膜表面を、水素、炭化水素、水酸基、メトキシ基、アルコール類、及び水蒸気等のガス雰囲気中でプラズマ処理することにより得ることが出来る。なお、炭化水素としては、メタン、エタン等が好ましい。また、アルコール類としては、メタノール、エタノールが好ましい。
なお、ダイヤモンド膜は、水素及び炭化水素を原料ガスとするプラズマCVDで得ることが出来るが、この場合、表面にはある程度水素終端面が形成されている。従って、この場合には、ダイヤモンド膜に特別な水素終端を行う必要がない場合もある。
続いて、水素終端面が形成されたダイヤモンド膜上にレジストパターンを形成した後、露出する水素終端面を処理して、酸素終端面を選択的に形成する。
このような酸素終端面は、ダイヤモンド膜表面を、酸素系ガスを含むガス雰囲気でプラズマ処理するか、酸素系ガス系ガスを含むガス雰囲気で加熱するか、又は酸化性溶液に浸漬することにより得ることが出来る。
酸素系ガスとしては、酸素、オゾン、窒素酸化物(NO、NO、NO)、過酸化水素(H)を挙げることが出来る。また、酸化性溶液としては、硝酸、過酸化水素水、次亜塩素酸、二クロム酸、過マンガン酸を挙げることが出来る。
その後、レジストパターンを除去することにより、図2(a)に示すような、ダイヤモンド膜22の表面に水素終端面2Aと酸素終端面2Bとが分離して形成された基板21が得られる。
その後、ダイヤモンド膜22上に水素終端面2Aと酸素終端面2Bが分離形成されたシリコン基板21を、触媒金属の化合物を含む溶液に浸漬した後、乾燥することにより、図2(b)に示すように、触媒23をダイヤモンド膜22上の酸素終端面2B上にのみ担持させることが出来る。触媒金属としては、Ni、Pd、Co、Feが挙げられ、その化合物を含む溶液としては、硝酸塩水溶液を挙げることが出来る。
次に、図2(c)に示すように、ダイヤモンド膜22の酸素終端面2B上に触媒23を担持した基板21に対し、処理を行い、水素終端面2Aを酸素終端面2Cに変換する。この場合の処理は、図2(a)に示す工程で用いた方法により行うことが出来る。
次いで、図2(d)に示すように、触媒23上にカーボンナノチューブ膜24を形成する。この場合、カーボンナノチューブ膜24は、触媒23上にのみ選択的に成長することが出来る。このカーボンナノチューブ膜24の選択成長は、マイクロ波プラズマCVD法や高周波(RF)プラズマCVD法により、或いは液相での堆積法により行うことが出来る。
以上のようにして、カーボンナノチューブ膜24を電子放射部とするフィールドエミッタアレイが完成する。
なお、以上の製造例では、ダイヤモンド膜22の酸素終端面2B上に触媒23を担持した後に、水素終端面2Aを酸素終端面2Cに変換したが、場合によっては、触媒23上にカーボンナノチューブ膜24を形成した後に水素終端面2Aを酸素終端面2Cに変換することも可能である。
以下に、本発明のフィールドエミッタを製造する実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
実施例1
まず、図2(a)に示すように、シリコン基板21上にマイクロ波プラズマCVD法により、ダイヤモンド膜22を成膜した。
マイクロ波プラズマCVDの条件は下記の通りである。
原料ガス:メタン(50sccm)、水素(450sccm)、
基板温度:820℃、
反応圧力:80Torr、
MWパワー:2.5kW、
膜厚:1μm。
ダイヤモンド膜22を成膜した後、同じマイクロ波プラズマCVD装置を用い、ダイヤモンド膜22の表面に対し、直ちに水素プラズマ処理を行った。その条件は、下記の通りである。
原料ガス:水素(500sccm)、
基板温度:820℃、
反応圧力:80Torr、
MWパワー:2.5kW、
時間:5分。
その結果、ダイヤモンド膜22の表面に、水素終端面が形成された。続いて、フォトレジスト(図示せず)を2μmの膜厚で塗布した後、フォトリソグラフィー法によりレジストパターンを形成した。ここで、ラインピッチ100μm、レジスト部の幅は50μmとした。
次いで、高周波プラズマを用いて、レジストパターンから露出する水素終端面に対し、酸素プラズマ処理を行った。プラズマ処理条件は下記の通りである。
原料ガス:酸素(100sccm)、
基板温度:室温、
反応圧力:0.1Torr、
高周波パワー:300W、
時間:3分。
微小領域XPS分析の結果より、酸素プラズマ処理を行ったダイヤモンド膜の表面には、酸素が吸着していることを確認した。
次に、専用剥離液を用い、レジストを剥離し、図2(a)に示すように、ダイヤモンド膜22上に水素終端面2Aと酸素終端面2Bが分離形成されたシリコン基板21が得られた。
次に、図2(b)に示すように、溶液法により触媒23をダイヤモンド膜22上の酸素終端面2B上にのみ担持させた。即ち、図2(a)に示す、ダイヤモンド膜22上に水素終端面2Aと酸素終端面2Bが分離形成されたシリコン基板21を、1MのNi(NO水溶液に浸漬した後、乾燥し、酸素終端面2B上にNi触媒23を担持させた。
その後、ダイヤモンド膜22の酸素終端面2B上に触媒23を担持した基板21に対し、高周波を用いて酸素プラズマ処理を行った。プラズマ処理条件は下記の通りである。
原料ガス:酸素(100sccm)、
基板温度:室温、
反応圧力:0.1Torr、
高周波パワー:300W、
時間:3分。
その結果、図2(c)に示すように、露出する水素終端面2Aは、酸素終端面2Cに変換された。
次に、図2(d)に示すように、マイクロ波プラズマCVD法によりカーボンナノチューブ膜24を触媒23上にのみ選択的に成長させた。
マイクロ波プラズマCVD法の条件は下記の通りである。
原料ガス:メタン(20sccm)、水素(80sccm)、
基板温度:600℃、
反応圧力:2.0Torr、
マイクロ波周波数:2.4GHz、
MWパワー:200W、
反応時間:30分。
(反応時間は、基板とプラズマが連続的に接触する時間を採用した。)
成長したカーボンナノチューブ膜24をTEM(透過型電子顕微鏡)により観察したところ、個々のカーボンナノチューブは、平均直径5〜20nm、平均長さ15〜20μmであった。
以上のようにして、カーボンナノチューブ膜24を電子放射部とするフィールドエミッタアレイを得た。
このようにして作製したフィールドエミッタアレイに対し、1mmのギャップを隔ててアノード(図示せず)を設置し、カーボンナノチューブ膜24からの電子放出特性を確認したところ、20Vのアノード電圧印加で、カーボンナノチューブ部分からのみ電子放出が確認された。
実施例2
酸素終端面形成のための酸素プラズマ処理の代わりに、酸素ガス雰囲気中での300〜700℃の熱処理を行い、またマイクロ波プラズマCVD法の代わりに高周波(RF)プラズマCVDを用いてカーボンナノチューブ膜24の成膜を行ったことを除いて、実施例1と同様の手順で、カーボンナノチューブ膜24を電子放射部とするフィールドエミッタアレイを得た。
なお、高周波(RF)プラズマCVDの条件は、下記の通りである。
原料ガス:メタン(20sccm)、水素(80sccm)、
基板温度:600℃、
反応圧力:0.2Torr、
RF波周波数:13.45GHz、
RFパワー:300W、
反応時間:30分。
成長したカーボンナノチューブ膜24をTEMにより観察したところ、個々のカーボンナノチューブは、平均直径5〜20nm、平均長さ15〜20μmであった。
このようにして作製したフィールドエミッタアレイに対し、1mmのギャップを隔ててアノード(図示せず)を設置し、カーボンナノチューブ膜24からの電子放出特性を確認したところ、20Vのアノード電圧印加で、カーボンナノチューブ部分からのみ電子放出が確認された。
本発明のフィールドエミッタアレイは、光プリンタ、電子顕微鏡、電子ビーム露光装置などの電子発生源や電子銃として、あるいは照明ランプの超小型照明源として、更には、平面ディスプレイを構成するアレイ状のフィールドエミッタアレイの面電子源として、有用に適用することが出来る。
本発明の一実施形態に係るフィールドエミッタアレイを示す模式図である。 実施例1に示すフィールドエミッタアレイの製造工程を示す断面図である。 従来の電子放出素子を示す断面図である。 従来のスピント型エミッタを備えた電子放出素子の製造工程を示す断面図である。 従来のシリコンエミッタを備えた電子放出素子の製造工程を示す断面図である。
符号の説明
11,21,31,41,51…基体、12,22…ダイヤモンド膜、13,24…カーボンナノ材料膜、23・・・触媒。

Claims (6)

  1. 電界を印加することによって材料表面より電子を放出する、複数の電界放射型の電子放出素子をアレイ状に配置したフィールドエミッタアレイであって、前記電子放出素子は、基体と、この基体上に形成されたダイヤモンド膜とを備え、このダイヤモンド膜表面には、カーボンナノ材料膜と、電子供与基不存在面又は電子吸引基終端面とが分離されて形成されていることを特徴とするフォールドエミッタアレイ。
  2. 前記ダイヤモンド膜の表面の前記カーボンナノ材料膜と電子供与基不存在面又は電子吸引基終端面が、ライン状に交互に配置され、ストライプ状のパターンを形成していることを特徴とする請求項1に記載のフィールドエミッタアレイ。
  3. 前記カーボンナノ材料膜がカーボンナノチューブ、カーボンナノフィラメント、カーボンナノコイル、カーボンナノホーン、及びカーボンナノキャップからなる群から選ばれた1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィールドエミッタアレイ。
  4. 表面に所定のパターンの水素終端面と酸素終端面とが分離形成されているダイヤモンド膜を表面に有する基体を準備する工程、
    前記ダイヤモンド膜の酸素終端面に触媒を担持する工程、
    前記ダイヤモンド膜の水素終端面を処理して酸素終端面に変換する工程、及び
    前記ダイヤモンド膜の触媒担持部にカーボンナノ材料膜を形成する工程
    を具備するフィールドエミッタアレイの製造方法。
  5. 前記水素終端面は、水素、炭化水素、水酸基、メトキシ基、アルコール類、及び水蒸気からなる群から選ばれた少なくとも1種のガス雰囲気中でプラズマ処理することにより得られ、酸素終端面は、酸素系ガスを含むガス雰囲気でプラズマ処理するか、酸素系ガスを含むガス雰囲気で加熱するか、又は酸化性溶液に浸漬することにより得られる請求項4に記載のフィールドエミッタアレイの製造方法。
  6. 前記所定パターンがストライプパターンであることを特徴とする請求項4又は5に記載のフィールドエミッタアレイの製造方法。
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