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JP2010073618A - 負極および二次電池 - Google Patents

負極および二次電池 Download PDF

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JP2010073618A JP2008242327A JP2008242327A JP2010073618A JP 2010073618 A JP2010073618 A JP 2010073618A JP 2008242327 A JP2008242327 A JP 2008242327A JP 2008242327 A JP2008242327 A JP 2008242327A JP 2010073618 A JP2010073618 A JP 2010073618A
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JP2008242327A
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Takahiro Shirai
崇弘 白井
Yosuke Ushio
洋介 牛尾
Izaya Okae
功弥 岡江
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Sony Corp
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Sony Corp
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Abstract

【課題】優れた電池容量およびサイクル特性を得ると共に電極の破損を抑制することが可能な二次電池を提供する。
【解決手段】負極22は、負極集電体22A上に、プレス処理された負極活物質層22Bを有している。負極集電体22Aの抗張力は、200N/mm2 以上400N/mm2 以下であると共に、そのプレス前伸び率は、プレス前伸び率(%)≧14−0.02×抗張力(N/mm2 )で表される範囲である。負極活物質層22Bは、第1の黒鉛粒子(レーザ回折式粒度分布計による中位径=18μm以上35μm以下,破壊強度=40MPa以上70MPa以下)と、第2の黒鉛粒子(レーザ回折式粒度分布計による中位径=8μm以上15μm以下,破壊強度=20MPa以上90MPa以下)とを、2/3以上3/2以下の質量比(第1の黒鉛粒子の質量/第2の黒鉛粒子の質量)で含んでいる。
【選択図】図4

Description

本発明は、黒鉛粒子が含まれた負極活物質層を有する負極およびそれを備えた二次電池に関する。
近年、ビデオカメラ、携帯電話あるいはノートパソコンなどのポータブル電子機器が広く普及しており、その小型化、軽量化および長寿命化が強く求められている。これに伴い、ポータブル電子機器の電源として、小型かつ軽量で高エネルギー密度を有する二次電池の開発が進められている。
中でも、充放電反応にリチウムイオンの吸蔵および放出を利用するリチウムイオン二次電池は、鉛電池やニッケルカドミウム電池よりも大きなエネルギー密度が得られるため、大いに期待されている。
リチウムイオン二次電池は、セパレータを介して積層された正極および負極と共に、電解質を備えている。この負極は、負極集電体上に負極活物質層を有しており、その負極活物質層は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出することが可能な材料(負極活物質)として、炭素材料を含んでいる(例えば、特許文献1参照。)。
特開平02−284354号公報
負極活物質として用いる炭素材料としては、高い結晶性を有する黒鉛(グラファイト)の粒子が主流である(例えば、特許文献2参照。)。その理由としては、(1)電子伝導性が高いため、大電流での放電性能に優れており、(2)放電時の電位変化が少ないため、定電力放電等の用途に適しており、(3)真密度が大きく、高い嵩密度を得やすいため、高容量化に有利である、といった利点が挙げられる。この他、より高容量を実現するためにケイ素やスズなどを構成元素として含む材料を負極活物質として用いた場合には、充放電時における膨張および収縮が激しいため、体積変化が極めて大きくなるが、炭素材料を用いた場合には、膨張および収縮が激しくないため、体積変化が小さくて済むという利点もある。
特開2000−090930号公報
近年、負極活物質として炭素材料を用いたリチウム二次電池を高エネルギー密度化するために、黒鉛の高性能化が検討されている。具体的には、天然黒鉛粒子を用いる場合には、既に黒鉛の理論容量(372mAh/g)に極めて近い可逆容量が得られているため、粒子形状を調整するなどして、電池内部の限られた容積中に黒鉛粒子を高密度で充填することにより、電池容量を向上させることが検討されている。また、人造黒鉛粒子を用いる場合には、一般的に、黒鉛化度が不十分であるため、天然黒鉛粒子よりも可逆容量が劣ることが懸念されている。このため、可逆容量を改善するために、原料の純度を向上させたり、黒鉛化条件を適正化したり、黒鉛化を促進する触媒種を添加するなど、各種の検討が試みられている。
ところで、負極活物質として炭素材料を用いた負極は、一般的に、黒鉛粒子、結着剤および増粘剤などが水や有機溶媒に溶解されたペースト状のスラリーを準備し、それを銅箔などからなる負極集電体に塗布して負極活物質層を形成したのち、その負極活物質層を圧縮成型(プレス)することにより作製されている。このプレス処理は、負極活物質層の厚さや体積密度などを所望の値となるように設定するために必要な処理である。なお、プレス処理では、負極活物質層を単にプレスするだけでなく、併せて成型する場合もある。
この場合において、さらなる高エネルギー密度化を目指すためには、負極活物質層の体積密度を1.80g/cm3 以上まで高くすることが望ましい。ところが、負極活物質層の体積密度を高くすると、プレス処理の際、負極活物質層中の黒鉛粒子が破砕あるいは脱落するおそれがある。この問題を改善するためには、黒鉛の真密度がおよそ2.22g/cm3 以上2.24g/cm3 以下であることを考慮すると、負極活物質層の体積密度を1.80g/cm3 未満に抑えざるを得ない。
そこで、炭素材料としてより高い破壊強度(硬度)を有するメソフェーズ黒鉛小球体を用いることにより、プレス処理時における黒鉛粒子の破砕や脱落を抑制する技術が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。この場合には、メソフェーズ黒鉛小球体と黒鉛とを混合させる技術も提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
特開平07−272725号公報 特開平08−180864号公報
この他、負極活物質として炭素材料を用いることに関しては、いくつかの技術が知られている。具体的には、所定の非球状の(嵩比重が高く扁平度が低い)形状を有する黒鉛粉末を用いることにより、サイクル寿命を延長させる技術が提案されている(例えば、特許文献5参照。)。また、ラマン分光分析法や表面増大ラマン分光分析法を用いて黒鉛の適正な物性を規定することにより、サイクル特性を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献6参照。)。
国際公開第95/28011号パンフレット 特開2000−251893号公報
また、負極活物質として炭素材料を用いることに関連して、負極集電体の物性や構成に関するいくつかの技術も知られている。具体的には、負極集電体として用いる金属箔の厚さ、破断強度、破断伸び率あるいはヤング率などを適正に規定することにより、亀裂や破断などの発生を防止する技術が提案されている(例えば、特許文献7〜9参照。)。
特開2002−280000号公報 特開平11−288722号公報 特開平09−129241号公報
しかしながら、硬度が高いメソフェーズ黒鉛小球体を用いた場合には、プレス処理の際に、黒鉛粒子の破砕や脱落が抑制される一方で、負極集電体に与える負荷が増大してしまう。詳細には、メソフェーズ黒鉛小球体を高密度で充填しようとすると、高いプレス圧が必要になるため、そのプレス圧によっては、負極集電体が破損する可能性がある。これにより、負極活物質層の体積密度を高くしたいにもかかわらず、実質的には体積密度を高くできない状況にある。
この場合には、単純に強度が高い負極集電体を用いただけでは、その伸びが十分でないと、プレス処理時や充放電時の応力に追随できないため、依然として負極集電体が破損する可能性がある。
一方、硬度が低い黒鉛粒子、例えば放電容量は大きいが黒鉛化度は高い黒鉛粒子を用いた場合には、その黒鉛粒子を高密度で充填することができるため、さらなる高エネルギー密度化に有利である。しかしながら、硬度が低い黒鉛粒子を高密度で充填すると、プレス処理の際に、負極活物質層中(特に表面近傍)で空隙の数やサイズが減少し、液状の電解質である電解液が十分に浸透しないため、高負荷時の充放電特性や低温下の充電特性が低下するなどの問題が懸念される。
これらのことから、高強度および低伸び率という物性を有する負極集電体を用いた場合には、プレス処理時の応力には耐え得るが、充放電時の応力には耐えられない傾向にある。一方、低強度および高伸び率という物性を有する負極集電体を用いた場合には、充放電時の応力には耐え得るが、プレス処理時の応力には耐えられない傾向にある。よって、負極活物質としてメソフェーズ黒鉛小球体などの硬度が高い炭素材料を用いた場合において、優れた電池容量およびサイクル特性を得ようとすると、いずれの物性を有する集電体を用いても、依然として負極集電体が破損し得る。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、優れた電池容量およびサイクル特性を得ると共に電極の破損を抑制することが可能な負極および二次電池を提供することにある。
本発明の負極は、負極集電体上にプレス処理された負極活物質層を有し、(1)負極集電体の抗張力は200N/mm2 以上400N/mm2 以下であり、(2)負極活物質層のプレス処理前における負極集電体の伸び率はプレス処理前の伸び率(%)≧14−0.02×抗張力(N/mm2 )で表される範囲であり、(2)負極活物質層は、レーザ回折式粒度分布計による中位径(D50)が18μm以上35μm以下であると共に破壊強度が40MPa以上70MPa以下である第1の黒鉛粒子と、レーザ回折式粒度分布計による中位径(D50)が8μm以上15μm以下であると共に破壊強度が20MPa以上90MPa以下である第2の黒鉛粒子とを含み、(4)第2の黒鉛粒子の質量に対する第1の黒鉛粒子の質量の比(第1の黒鉛粒子の質量/第2の黒鉛粒子の質量)は2/3以上3/2以下であるようにしたものである。
また、本発明の二次電池は、正極および負極と共に電解質を備え、その負極が上記した構成を有するものである。
本発明の負極あるいは二次電池では、負極活物質層の負極活物質が、相対的に大きな中位径を有する第1の黒鉛粒子と、相対的に小さな中位径を有する第2の黒鉛粒子とを含んでおり、第1および第2の黒鉛粒子の質量比が所定の範囲になると共に各黒鉛粒子の破壊強度が所定の範囲になるように適正化されている。この場合には、負極活物質層をプレスする際に、低いプレス圧であっても第1および第2の黒鉛粒子が高密度に充填されるため、双方の黒鉛粒子が接触しやすくなると共に、負極活物質層の体積密度が十分に高くなる。また、第1および第2の黒鉛粒子が高密度に充填されても、負極活物質層中に電極反応物質の移動用の空隙が確保されるため、その負極活物質層の体積密度が高くなっても、電極反応時において電極反応物質が移動しやすくなると共に、電解質などが負極活物質層に浸透しやすくなる。さらに、負極活物質層の体積密度を高くするために、プレス圧が低くて済むため、負極活物質層をプレスする際に、負極集電体に過度な応力がかかりにくくなる。しかも、負極集電体の抗張力および負極活物質層のプレス処理前における負極集電体の伸び率が所定の範囲になるように適正化されているため、負極活物質層をプレスしても、負極集電体が破損しにくい。
本発明の負極によれば、負極活物質層の負極活物質が第1および第2の黒鉛粒子を含み、それらの中位径、破壊強度および質量比が適正化されていると共に、負極集電体の抗張力および負極活物質層のプレス処理前における伸び率が適正化されている。このため、負極活物質層をプレスする際に、負極活物質層の体積密度が高くなり、負極活物質層中に電極反応物質層の移動用の空隙が確保されると共に、負極集電体が破損しにくくなる。したがって、本発明の負極を用いた二次電池によれば、高い電池容量を維持しつつ、サイクル特性が向上すると共に負極集電体が破損しにくくなるため、優れた電池容量およびサイクル特性を得ると共に負極の破損を抑制することができる。
特に、負極活物質層のプレス処理後における負極集電体の伸び率が4%以上であれば、電極反応を過度に進行させても負極集電体が破損しにくくなるため、負極の破損をより抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る負極の断面構成を表している。この負極は、例えば二次電池などの電気化学デバイスに用いられるものであり、一対の面を有する負極集電体1上に、プレス処理された負極活物質層2を有している。
負極集電体1は、良好な電気化学的安定性、電気伝導性および機械的強度を有する金属材料により構成されていることが好ましい。このような金属材料としては、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)あるいはステンレスなどが挙げられ、中でも、銅が好ましい。高い電気伝導性が得られるからである。なお、負極集電体1の形状としては、例えば、箔状、網状あるいはラス状などが挙げられる。
負極集電体1の表面は、粗面化されていることが好ましい。いわゆるアンカー効果により、負極集電体1と負極活物質層2との間の密着性が向上するからである。この場合には、少なくとも負極活物質層2と対向する領域において、負極集電体1の表面が粗面化されていればよい。粗面化の方法としては、例えば、電解処理により微粒子を形成する方法などが挙げられる。この電解処理とは、電解槽中において電解法により負極集電体1の表面に微粒子を形成して凹凸を設ける方法である。電解法を使用して作製された銅箔は、一般的に「電解銅箔」と呼ばれている。なお、負極集電体1の表面粗さ(例えば十点平均粗さRzなど)は、任意に設定可能である。
負極集電体1の抗張力は、200N/mm2 以上400N/mm2 以下である。負極活物質層2のプレス処理前における負極集電体1の伸び率(以下、「プレス前伸び率」という)との関係において、抗張力が小さすぎず、かつ、大きすぎないように適正化されるため、負極の作製時および使用時(電極反応時)において負極集電体1が破損しにくくなるからである。
詳細には、抗張力が200N/mm2 よりも小さいと、負極集電体1の強度が低すぎるため、負極活物質層2をプレスする際に、負極集電体1に対する負極活物質(黒鉛粒子)の食い込みが激しくなる。この場合には、黒鉛粒子の食い込みの程度によっては、負極集電体1の強度が低下しすぎて、負極活物質層2のプレス時の応力を緩和できなくなるため、その負極集電体1が破損しやすくなる。また、負極活物質層2のプレス処理後における負極集電体1の伸び率(以下、「プレス後伸び率」という)が小さくなりすぎて、負極集電体1が電極反応時の応力も緩和できなくなるため、その負極集電体1が電極反応時においても破損しやすくなる。
一方、抗張力が400N/mm2 よりも大きいと、負極集電体1の強度が高すぎるため、負極集電体1に対する負極活物質(黒鉛粒子)の食い込みが抑えられ、負極集電体1のプレス後伸び率は小さくなりすぎないが、プレス前伸び率が根本的に小さくなる。この場合には、負極集電体1がもはや負極活物質層2のプレス時の応力を緩和できないため、負極集電体1が負極活物質層2のプレス時において破損しやすくなると共に、当然ながら電極反応時においても破損しやすくなる。
負極集電体1のプレス前伸び率は、上記した抗張力に対して一定の関係を満たすように設定されており、具体的には、プレス前伸び率(%)≧14−0.02×抗張力(N/mm2 )で表される範囲である。抗張力(強度)に対して、負極集電体1が負極活物質層2のプレス時および電極反応時の応力に耐えきれるように、プレス前伸び率が適正化されるため、負極の作製時および使用時において負極集電体1が破損しにくくなるからである。
詳細には、プレス前伸び率が上記した範囲外であると、プレス前伸び率が根本的に小さくなるため、負極集電体1がもはや負極活物質層2のプレス時の応力を緩和できなくなる。これにより、負極集電体1が負極活物質層2のプレス時において破損しやすくなると共に、当然ながら電極反応時においても破損しやすくなる。
さらに、負極集電体1のプレス後伸び率は、4%以上であることが好ましい。負極集電体1が電極反応時の応力に耐えきれるように、プレス後伸び率が適正化されるため、負極の使用時において負極集電体1が破損しにくくなるからである。
詳細には、プレス後伸び率が4%未満であると、そのプレス後伸び率が小さすぎるため、負極集電体1が電極反応時の応力を十分に緩和できなくなる可能性があり、その場合には、破損する可能性がある。
なお、抗張力、プレス前伸び率およびプレス後伸び率は、常温(23℃)において測定される値である。特に、抗張力、プレス前伸び率およびプレス後伸び率を測定する場合には、JIS Z 2241に準拠するものとし、その際、試験片は、JIS K 7162 5A号試験片とする。
負極活物質層2は、上記したように、負極集電体1上に形成されたのち、体積密度が所望の値となるようにプレス処理されたものである。なお、負極活物質層2は、負極集電体1の片面だけに形成されていてもよいし、両面に形成されていてもよい。
この負極活物質層2は、負極活物質として、リチウムイオンなどの電極反応物質を吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種あるいは2種以上を含んでおり、必要に応じて、負極導電剤や負極結着剤などの他の材料を含んでいてもよい。
リチウムイオンを吸蔵および放出することが可能な負極材料は、粒径および物性が異なる2種類の黒鉛粒子(第1および第2の黒鉛粒子)を含んでいる。相対的に大きな粒径を有する第1の黒鉛粒子では、レーザ回折式粒度分布計による中位径(D50)は18μm以上35μm以下であると共に、破壊強度は40MPa以上70MPa以下である。一方、相対的に小さな粒径を有する第2の黒鉛粒子では、レーザ回折式粒度分布計による中位径(D50)は8μm以上15μm以下であると共に、破壊強度は20MPa以上90MPa以下である。
第2の黒鉛粒子の質量に対する第1の黒鉛粒子の質量の比(第1の黒鉛粒子の質量/第2の黒鉛粒子の質量:以下、単に「質量比」という)は、2/3以上3/2以下である。言い換えれば、第1および第2の黒鉛粒子の混合比(第1の黒鉛粒子:第2の黒鉛粒子)は、質量比で40:60から60:40までの範囲である。
第1および第2の黒鉛粒子が上記した粒径および物性を有すると共に、それらが上記した質量比で混合されているのは、以下の理由による。まず、負極活物質層2をプレスする際に、低いプレス圧であっても第1および第2の黒鉛粒子が高密度に充填されるため、双方の黒鉛粒子が接触しやすくなる共に、負極活物質層2の体積密度が十分に高くなる。これにより、負極活物質層2の電子伝導性が向上すると共に、エネルギー密度が高くなる。特に、負極が二次電池に用いられた場合には、電池容量が大きくなる。また、第1および第2の黒鉛粒子が高密度に充填されても、負極活物質層2中に電極反応物質の移動用の空隙が確保されるため、その負極活物質層2の体積密度が高くなっても、電極反応時において電極反応物質が移動しやすくなると共に、電解質を備えた二次電池などの電気化学デバイスに用いられた場合には、その電解質などが負極活物質層2に浸透しやすくなる。さらに、負極活物質層2の体積密度を高くするために、プレス圧が低くて済むため、負極活物質層2をプレスする際に、負極集電体1に過度な応力がかかりにくくなる。これにより、負極の作製時において、負極集電体1が破損しにくくなる。
なお、黒鉛粒子の破壊強度St(Sx)(MPa)は、黒鉛粒子に負荷(荷重)を与え、試験力と圧縮変位との関係を測定することにより求められる。具体的には、まず、例えばレーザ回折式粒度分布計を用いて、測定試料である黒鉛粒子の中位径D50(mm)を測定する。続いて、光学顕微鏡を用いて黒鉛粒子を観察し、最も長い部分の長さが中位径D50±10%に収まる黒鉛粒子を選別して抽出する。続いて、例えば微小圧縮試験機を用いて黒鉛粒子に荷重を与え、破壊発生時の試験力P(N)を測定する。最後に、中位径D50および試験力Pの値に基づいて、St(Sx)=2.8P/(π×D50×D50)という関係式から破壊強度St(Sx)を求める。
第1の黒鉛粒子としては、例えば、黒鉛組織(黒鉛結晶)がランダムに配向した等方性の人造黒鉛粒子が挙げられ、その人造黒鉛粒子としては、例えば、メソフェーズ小球体の球晶黒鉛化物が挙げられる。この場合には、X線回折法により算出されるC軸方向の格子面間隔d002 が0.3360nm以下、タップ密度が1g/cm3 以上、BET法による比表面積が0.5m2 /g以下であることが好ましい。負極活物質層2の体積密度が高くなりやすいからである。これにより、負極が二次電池に用いられた場合には、良好なサイクル特性が得られやすくなる。なお、格子面間隔d002 は、例えば、X線としてCuKα線、標準物質として高純度シリコンを用いたX線回折法により測定される(「大谷杉郎,炭素繊維,p.733−742(1986),近代編集」)。
第2の黒鉛粒子としては、例えば、人造黒鉛粒子あるいは天然黒鉛粒子が挙げられ、その人造黒鉛粒子としては、例えば、メソフェーズ小球体の球晶黒鉛化物の粉砕品などが挙げられる。この場合には、X線回折法により算出されるC軸方向の格子面間隔d002 が0.3365nm以下、タップ密度が1g/cm3 以上であることが好ましい。負極活物質層2の体積密度が高くなりやすいからである。これにより、負極が二次電池に用いられた場合には、良好なサイクル特性が得られやすくなる。
負極活物質層2の体積密度は、特に限定されないが、中でも、1.80g/cm3 以上であることが好ましい。負極活物質層2の厚さおよび組成が一定である場合において、負極活物質層2の体積密度が高くなると、負極活物質の充填量が多くなるため、エネルギー密度が高くなるからである。これにより、負極が二次電池に用いられた場合には、体積密度が1.80g/cm3 未満である場合と比較して、電池容量およびサイクル特性が向上する。ただし、負極活物質層2の体積密度が高すぎると、電解質などの浸透性が低下する可能性があるため、その体積密度は、2.00g/cm3 以下であることが好ましい。
なお、負極活物質層2の体積密度が高くなると、一般的には、負極活物質層2中における空隙の数およびサイズが減少するため、上記したように、電解質などの浸透性が低下する傾向にある。しかしながら、負極活物質層2が負極活物質として上記した第1および第2の黒鉛粒子を含んでいると、電極反応物質の移動経路が確保されるため、サイクル特性の低下が抑制される。この場合には、空隙の数およびサイズが減少したとしても、それらが適度に減少するため、第1および第2の黒鉛粒子が接触しやすくなる。これにより、負極活物質層2の電子伝導性が向上するため、二次電池では良好な負荷特性も得られる。
なお、負極活物質層2は、負極活物質として、上記した第1および第2の黒鉛粒子の他に、他の負極材料を含んでいてもよい。
負極導電剤は、例えば、黒鉛、カーボンブラックあるいはケッチェンブラックなどの炭素材料(上記した第1および第2の黒鉛粒子に該当するものを除く)である。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。なお、負極導電剤は、例えば、導電性を有する材料であれば、金属材料あるいは導電性高分子材料などであってもよい。
負極結着剤は、例えば、スチレンブタジエン系ゴム,フッ素系ゴムあるいはエチレンプロピレンジエンゴムなどの合成ゴムや、ポリフッ化ビニリデンなどの高分子材料である。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。中でも、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系の高分子材料が好ましい。優れた結着性が安定して得られるからである。
図2は、図1に示した負極の具体的な平面構成の一例を表している。上記したように、負極活物質層2は、負極集電体1の両面に設けられているが、その負極活物質層2は、負極集電体1に対して部分的に設けられている。なお、図2に示した領域R1,R2は、負極集電体1の伸び率を測定する際にサンプル(測定試料)として切り出される範囲を表している。
ここでは、例えば、負極集電体1が短冊状の平板構造を有している場合において、その負極集電体1の長手方向における中央部に負極活物質層2が設けられており、それ以外の領域(両端部)には負極活物質層2が設けられていない。すなわち、負極集電体1は、負極活物質層2により被覆されている被覆領域1Xと、負極活物質層2により被覆されていない非被覆領域1Yとを有している。
被覆領域1Xに形成された負極活物質層2は、上記したように、体積密度が所望の値となるようにプレスされるため、そのプレス時の応力は、実質的に被覆領域1Xだけに及び、非被覆領域1Yにはほとんど及ばない。このため、負極の完成後、すなわち負極活物質層2がプレスされた後の状態では、非被覆領域1Yにおける負極集電体1の伸び率がプレス前の状態のままで維持されおり、被覆領域1Xにおける負極集電体1の伸び率がプレス前の状態から変化しているはずである。
よって、負極では、負極集電体1中に、プレス前の状態のままの伸び率と、プレス前の状態から変化した伸び率とが存在しているため、プレス前伸び率およびプレス後伸び率の双方を事後的に(負極の完成後においても)測定することができる。もちろん、負極集電体1のプレス後伸び率を測定する場合には、溶剤などを用いて負極活物質層2を溶解除去すればよい。
具体的には、プレス前伸び率を測定する場合には、非被覆領域1Yにおける負極集電体1のうち、その一部の範囲(領域R1)をサンプルとして切り出すことにより、そのサンプルについて伸び率を測定すればよい。一方、プレス後伸び率を測定する場合には、被覆領域1Xおよび非被覆領域1Yにおける負極集電体1のうち、双方の領域を連続的に(隣り合うように)含む範囲(領域R2)をサンプルとして切り出すことにより、そのサンプルについて伸び率を測定すればよい。この場合には、被覆領域1Xと非被覆領域1Yとの境目がほぼ中心に位置するようにサンプルを切り出すことにより、その中心近傍部分の伸び率を測定することが好ましい。なお、抗張力を測定する場合には、プレス前伸び率を測定する場合と同様に、領域R1を切り出したサンプルについて測定すればよい。
なお、図2では、被覆領域1Xを負極集電体1の長手方向における中央部に設けると共に、非被覆領域1Yを上記した長手方向における両端部に設けるようにしたが、必ずしもこれに限られず、被覆領域1Xおよび非被覆領域1Yの設置場所や設置範囲などは、任意に設定可能である。
この負極は、例えば、以下の手順により製造される。
最初に、上記した所定の中位径および破壊強度を有する第1および第2の黒鉛粒子を準備したのち、それらを上記した所定の質量比で混合する。続いて、負極活物質として第1および第2の黒鉛粒子の混合物と、必要に応じて負極結着剤などとを混合して負極合剤を調製したのち、それ分散用の溶剤に分散させることにより、ペースト状の負極合剤スラリーとする。続いて、上記した抗張力およびプレス前伸び率を有する負極集電体1を準備し、ドクタブレードあるいはバーコータなどを用いて負極集電体1の両面に負極合剤スラリーを塗布したのち、溶剤を揮発させて乾燥することにより、負極活物質層2を形成する。最後に、ロールプレス機などを用いて、体積密度が所望の値となるように負極活物質層2をプレスする。この場合には、プレス処理を複数回繰り返してもよい。これにより、負極が完成する。
この負極によれば、負極集電体1の抗張力が200N/mm2 以上400N/mm2 以下であると共に、その負極集電体1のプレス前伸び率がプレス前伸び率≧14−0.02×抗張力で表される範囲であるので、上記したように、負極の作製時および使用時において負極集電体1が破損しにくくなる。また、負極活物質層2が第1の黒鉛粒子(レーザ回折式粒度分布計による中位径=18μm以上35μm以下,破壊強度=40MPa以上70MPa以下)および第2の黒鉛粒子(レーザ回折式粒度分布計による中位径=8μm以上15μm以下,破壊強度=20MPa以上90MPa以下)を2/3以上3/2以下の質量比(第1の黒鉛粒子の質量/第2の黒鉛粒子の質量)で含んでいるので、上記したように、負極活物質層2の体積密度が高くなり、負極活物質層2中に電極反応物質層の移動用の空隙が確保されると共に、負極集電体1が破損しにくくなる。したがって、負極活物質層2の体積密度を十分に高くし、電極反応時において電極反応物質を円滑に出し入れすると共に、負極集電体1が破損することを抑制することができる。
特に、負極集電体1のプレス後伸び率が4%以上であれば、電極反応を過度に進行させた場合、例えば、二次電池を過充電させても、負極集電体1が破損することを抑制することができる。この場合には、負極活物質層2の体積密度が1.80g/cm3 以上2.00g/cm3 以下まで高くしても、負極集電体1が破損することを抑制することができる。
また、第1の黒鉛粒子がメソフェーズ小球体の球晶黒鉛化物(X線回折法により算出されるC軸方向の格子面間隔d002 =0.3360nm以下)であり、あるいは第2の黒鉛粒子が人造黒鉛粒子あるいは天然黒鉛粒子(X線回折法により算出されるC軸方向の格子面間隔d002 =0.3365nm以下)であれば、より高い効果を得ることができる。
次に、上記した負極の使用例について説明する。ここで、電気化学デバイスの一例として二次電池を例に挙げると、上記した負極は、以下のようにして二次電池に用いられる。
(第1の二次電池)
図3は第1の二次電池の断面構造を表し、図4は図3に示した巻回電極体20の一部を拡大して表している。第1の二次電池は、例えば、負極の容量が電極反応物質であるリチウムイオンの吸蔵および放出に基づいて表されるリチウムイオン二次電池である。
この二次電池は、主に、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、セパレータ23を介して正極21と負極22とが積層および巻回された巻回電極体20と、一対の絶縁板12,13とが収納されたものである。この円柱状の電池缶11を用いた電池構造は、円筒型と呼ばれている。
電池缶11は、例えば、ニッケル鍍金された鉄(Fe)により構成されており、その一端部および他端部はそれぞれ閉鎖および開放されている。一対の絶縁板12,13は、巻回電極体20を上下から挟み、その巻回周面に対して垂直に延在するように配置されている。
電池缶11の開放端部には、電池蓋14と、その内側に設けられた安全弁機構15および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)16とが、ガスケット17を介してかしめられることにより取り付けられている。これにより、電池缶11の内部は、密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の金属材料により構成されている。安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されている。この安全弁機構15では、内部短絡、あるいは外部からの加熱などに起因して電池内圧が一定以上となった場合に、ディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回電極体20との電気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子16は、温度の上昇に応じて抵抗値が増大することにより、電流を制限し、大電流による異常な発熱を防止するものである。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により構成されており、その表面には、例えば、アスファルトが塗布されている。
巻回電極体20の中心には、例えば、センターピン24が挿入されている。この巻回電極体20では、アルミニウム(Al)などの金属材料により構成された正極リード25が正極21に接続されていると共に、ニッケルなどの金属材料により構成された負極リード26が負極22に接続されている。正極リード25は、安全弁機構15に溶接などされて電池蓋14と電気的に接続されており、負極リード26は、電池缶11に溶接などされて電気的に接続されている。
正極21は、例えば、一対の面を有する正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bが設けられたものである。なお、正極活物質層21Bは、正極集電体21Aの片面だけに設けられてもよいし、両面に設けられていてもよい。
正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム、ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料により構成されている。なお、正極集電体21Aの形状としては、例えば、箔状、網状あるいはラス状などが挙げられる。
正極活物質層21Bは、正極活物質として、リチウムイオンを吸蔵および放出することが可能な正極材料のいずれか1種あるいは2種以上を含んでおり、必要に応じて、正極導電剤や正極結着剤などの他の材料を含んでいてもよい。なお、正極導電剤および正極結着剤に関する種類は、例えば、それぞれ負極導電剤および負極結着剤と同様である。
リチウムイオンを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、リチウム酸化物、リチウム硫化物、リチウムを含む層間化合物あるいはリン酸化合物などのリチウム含有化合物が挙げられる。高いエネルギー密度が得られるからである。中でも、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物や、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物などが好ましい。特に、遷移金属元素としてコバルト(Co)、ニッケル、マンガン(Mn)および鉄からなる群のうちの少なくとも1種を含むものは、より好ましい。より高い電圧が得られるからである。その化学式は、例えば、Lix M1O2 あるいはLiy M2PO4 で表される。式中、M1およびM2は、1種類以上の遷移金属元素を表す。xおよびyの値は、充放電状態によって異なり、通常、0.05≦x≦1.10、0.05≦y≦1.10である。
リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物としては、例えば、リチウムコバルト複合酸化物(Lix CoO2 )、リチウムニッケル複合酸化物(Lix NiO2 )、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(Lix Ni1-z Coz 2 (z<1))、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(Lix Ni(1-v-w) Cov Mnw 2 (v+w<1))、あるいはスピネル型構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(LiMn2 4 )などが挙げられる。中でも、コバルトを含む複合酸化物が好ましい。高い容量が得られると共に、優れたサイクル特性も得られるからである。また、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物としては、例えば、リチウム鉄リン酸化合物(LiFePO4 )あるいはリチウム鉄マンガンリン酸化合物(LiFe1-u Mnu PO4 (u<1))などが挙げられる。
この他、リチウムイオンを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、酸化チタン、酸化バナジウムあるいは二酸化マンガンなどの酸化物や、二硫化チタンあるいは硫化モリブデンなどの二硫化物や、セレン化ニオブなどのカルコゲン化物や、硫黄、ポリアニリンあるいはポリチオフェンなどの導電性高分子も挙げられる。
なお、正極活物質層21Bは、上記した以外の他の正極材料を含んでいてもよい。この場合には、正極材料が任意の組み合わせで2種以上混合されていてもよい。
負極22は、上記した負極と同様の構成を有しており、例えば、一対の面を有する負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが設けられたものである。負極集電体22Aおよび負極活物質層22Bの構成は、それぞれ上記した負極集電体1および負極活物質層2の構成と同様である。この負極22では、例えば、意図しないリチウムイオンの析出を防止するために、リチウムイオンを吸蔵および放出することが可能な負極材料における充電可能な容量は、正極21の放電容量よりも大きくなっていることが好ましい。
セパレータ23は、正極21と負極22とを隔離し、両極の接触に起因する電流の短絡を防止しながらリチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ23は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどの合成樹脂からなる多孔質膜や、セラミックからなる多孔質膜などにより構成されており、それらの2種以上の多孔質膜が積層されたものであってもよい。
このセパレータ23には、液状の電解質である電解液が含浸されている。この電解液は、溶媒と、それに溶解された電解質塩とを含んでいる。
溶媒としては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、燐酸トリメチル、あるいはジメチルスルホキシドなどが挙げられる。優れた電池容量、サイクル特性および保存特性などが得られるからである。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。中でも、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルおよび炭酸エチルメチルからなる群のうちの少なくとも1種が好ましい。この場合には、炭酸エチレンあるいは炭酸プロピレンなどの高粘度(高誘電率)溶媒(例えば比誘電率ε≧30)と炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルあるいは炭酸ジエチルなどの低粘度溶媒(例えば粘度≦1mPa・s)との組み合わせがより好ましい。電解質塩の解離性およびイオンの移動度が向上するからである。
この他、溶媒としては、例えば、炭酸フルオロメチルメチルあるいは炭酸ビス(フルオロメチル)などのハロゲンを構成元素として有する鎖状炭酸エステルや、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンあるいは4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンなどのハロゲンを構成元素として有する環状炭酸エステルや、炭酸ビニレン、炭酸ビニルエチレンあるいは炭酸メチレンエチレンなどの不飽和炭素結合を有する環状炭酸エステルや、プロペンスルトンなどのスルトン(環状スルホン酸エステル)や、スルホ安息香酸無水物などの酸無水物などが挙げられる。サイクル特性あるいは膨れ特性などが向上するからである。
電解質塩としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 )、過塩素酸リチウム(LiClO4 )、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsO6 )、テトラフェニルホウ酸リチウム(LiB(C6 5 4 )、メタンスルホン酸リチウム(LiCH3 SO3 )、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3 SO3 )、テトラクロロアルミン酸リチウム(LiAlCl4 )、六フッ化ケイ酸二リチウム(Li2 SiF6 )、塩化リチウム(LiCl)、あるいは臭化リチウム(LiBr)などが挙げられる。優れた電池容量、サイクル特性および保存特性などが得られるからである。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。中でも、六フッ化リン酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、過塩素酸リチウムおよび六フッ化ヒ酸リチウムからなる群のうちの少なくとも1種が好ましく、六フッ化リン酸リチウムがより好ましい。内部抵抗が低下するため、より高い効果が得られるからである。
この二次電池では、充電すると、例えば、正極21からリチウムイオンが放出され、電解液を介して負極活物質層22に吸蔵される。一方、放電すると、例えば、負極22からリチウムイオンが放出され、電解液を介して正極活物質層21に吸蔵される。
図5は、図4に示した正極21および負極22の具体的な平面構成の一例を表している。
正極21では、例えば、正極活物質層21Bが正極集電体1の全面に設けられている。これに対して、負極22では、例えば、図2に示した負極(被覆領域1X,非被覆領域1Y)と同様に、負極活物質層22Bが負極集電体22Aの一部に設けられており、その負極集電体22Aは被覆領域22Xおよび非被覆領域22Yを有している。正極21と負極22との間では、正極活物質層21Bと負極活物質層22Bとが対向している領域において、充放電が行われる。
この場合においても、非被覆領域22Yでは、負極活物質層22Bのプレス時における応力の影響をほとんど受けず、充放電の影響もほとんど受けないため、プレス前伸び率が維持されている。よって、負極を二次電池に組み込んだ後でも、プレス前伸び率を事後的に(二次電池の完成後においても)に測定することができる。
この二次電池は、例えば、以下の手順により製造される。
まず、正極21を作製する。最初に、正極活物質と、正極結着剤と、正極導電剤とを混合して正極合剤としたのち、それを有機溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーとする。続いて、ドクタブレードあるいはバーコータなどを用いて正極集電体21Aの両面に正極合剤スラリーを均一に塗布したのち、溶剤を揮発させて乾燥することにより、正極活物質層21Bを形成する。最後に、ロールプレス機などを用いて、体積密度が所望の値となるように正極活物質層21Bをプレスする。この場合には、プレス処理を複数回繰り返してもよい。
次に、上記した負極の作製手順と同様の手順により、負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bを形成して負極22を作製する。
次に、巻回電極体20を作製する。最初に、正極21に正極リード25を溶接などして取り付けると共に、負極22に負極リード26を溶接などして取り付ける。続いて、セパレータ23を介して正極21と負極22とを積層させたのち、巻回させる。
最後に、巻回電極体20および電解液を用いて二次電池を組み立てる。最初に、巻回電極体20の巻回中心に、センターピン24を挿入する。続いて、一対の絶縁板12,13で巻回電極体20を挟みながら、電池缶11の内部に収納する。続いて、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接すると共に、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接する。続いて、電池缶11の内部に電解液を注入して、セパレータ23に含浸させる。最後に、電池缶11の開口端部に、ガスケット17を介して電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子16をかしめることにより固定する。これにより、図3〜図5に示した二次電池が完成する。
この第1の二次電池によれば、負極22が上記した負極と同様の構成を有しているので、負極22の作製時および充放電時において負極集電体22Aが破損しにくくなり、電池容量が高くなり、充放電時においてリチウムイオンが円滑に吸蔵および放出される。したがって、優れた電池容量およびサイクル特性を得ると共に負極22の破損を抑制することができる。この二次電池に関する他の効果は、上記した負極と同様である。
(第2の二次電池)
図6は第2の二次電池の分解斜視構成を表し、図7は図6に示したVII−VII線に沿った断面を拡大して表し、図8は図7に示した巻回電極体30の一部を拡大して表している。第2の二次電池は、上記した第1の二次電池と同様に、リチウムイオン二次電池である。
この二次電池は、主に、フィルム状の外装部材40の内部に、正極リード31および負極リード32が取り付けられた巻回電極体30が収納されたものである。このフィルム状の外装部材40を用いた電池構造は、ラミネートフィルム型と呼ばれている。
正極リード31および負極リード32は、例えば、外装部材40の内部から外部に向かって同一方向に導出されている。正極リード31は、例えば、アルミニウムなどの金属材料により構成されており、負極リード32は、例えば、銅、ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料により構成されている。これらの金属材料は、例えば、薄板状あるいは網目状になっている。
外装部材40は、例えば、ナイロンフィルム、アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムがこの順に貼り合わされたアルミラミネートフィルムにより構成されている。この外装部材40は、例えば、ポリエチレンフィルムが巻回電極体30と対向するように、2枚の矩形型のアルミラミネートフィルムの外縁部同士が融着あるいは接着剤により互いに接着された構造を有している。
外装部材40と正極リード31および負極リード32との間には、外気の侵入を防止するために密着フィルム41が挿入されている。この密着フィルム41は、正極リード31および負極リード32に対して密着性を有する材料により構成されている。このような材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂が挙げられる。
なお、外装部材40は、上記したアルミラミネートフィルムに代えて、他の積層構造を有するラミネートフィルムにより構成されていてもよいし、ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムにより構成されていてもよい。
巻回電極体30は、セパレータ35および電解質層36を介して正極33と負極34とが積層および巻回されたものであり、その最外周部は、保護テープ37により保護されている。
正極33は、例えば、一対の面を有する正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bが設けられたものである。負極34は、上記した負極と同様の構成を有しており、例えば、一対の面を有する負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bが設けられたものである。正極集電体33A、正極活物質層33B、負極集電体34A、負極活物質層34Bおよびセパレータ35の構成は、それぞれ上記した第1の二次電池における正極集電体21A、正極活物質層21B、負極集電体22A、負極活物質層22Bおよびセパレータ23の構成と同様である。
電解質層36は、電解液と、それを保持する高分子化合物とを含んでおり、いわゆるゲル状の電解質である。ゲル状の電解質は、高いイオン伝導率(例えば、室温で1mS/cm以上)が得られると共に漏液が防止されるので好ましい。
高分子化合物としては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンとポリヘキサフルオロピレンとの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレン、あるいはポリカーボネートなどが挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。中でも、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレンあるいはポリエチレンオキサイドが好ましい。電気化学的に安定だからである。
電解液の組成は、第1の二次電池における電解液の組成と同様である。ただし、ゲル状の電解質である電解質層36において、電解液の溶媒とは、液状の溶媒だけでなく、電解質塩を解離させることが可能なイオン伝導性を有するものまで含む広い概念である。したがって、イオン伝導性を有する高分子化合物を用いる場合には、その高分子化合物も溶媒に含まれる。
なお、電解液を高分子化合物に保持させたゲル状の電解質層36に代えて、電解液をそのまま用いてもよい。この場合には、電解液がセパレータ35に含浸される。
このゲル状の電解質層36を備えた二次電池は、例えば、以下の3種類の手順により製造される。
第1の製造方法では、最初に、例えば、上記した第1の二次電池における正極21および負極22の作製手順と同様の手順により、正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bを形成して正極33を作製すると共に、負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bを形成して負極34を作製する。続いて、電解液と、高分子化合物と、溶剤とを含む前駆溶液を調製して正極33および負極34に塗布したのち、溶剤を揮発させてゲル状の電解質層36を形成する。続いて、正極集電体33Aに正極リード31を取り付けると共に、負極集電体34Aに負極リード32を取り付ける。続いて、電解質層36が形成された正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層および巻回したのち、その最外周部に保護テープ37を接着させて巻回電極体30を作製する。最後に、例えば、2枚のフィルム状の外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込んだのち、その外装部材40の外縁部同士を熱融着などで接着させることにより、巻回電極体30を封入する。この際、正極リード31および負極リード32と外装部材40との間に、密着フィルム41を挿入する。これにより、図6〜図8に示した二次電池が完成する。
第2の製造方法では、最初に、正極33に正極リード31を取り付けると共に、負極34に負極リード32を取り付ける。続いて、セパレータ35を介して正極33と負極34とを積層して巻回させたのち、その最外周部に保護テープ37を接着させることにより、巻回電極体30の前駆体である巻回体を作製する。続いて、2枚のフィルム状の外装部材40の間に巻回体を挟み込んだのち、一辺の外周縁部を除いた残りの外周縁部を熱融着などで接着させることにより、袋状の外装部材40の内部に巻回体を収納する。続いて、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を調製して袋状の外装部材40の内部に注入したのち、その外装部材40の開口部を熱融着などで密封する。最後に、モノマーを熱重合させて高分子化合物とすることにより、ゲル状の電解質層36を形成する。これにより、二次電池が完成する。
第3の製造方法では、最初に、高分子化合物が両面に塗布されたセパレータ35を用いることを除き、上記した第2の製造方法と同様に、巻回体を形成して袋状の外装部材40の内部に収納する。このセパレータ35に塗布する高分子化合物としては、例えば、フッ化ビニリデンを成分とする重合体、すなわち単独重合体、共重合体あるいは多元共重合体などが挙げられる。具体的には、ポリフッ化ビニリデンや、フッ化ビニリデンおよびヘキサフルオロプロピレンを成分とする二元系共重合体や、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンおよびクロロトリフルオロエチレンを成分とする三元系共重合体などである。なお、高分子化合物は、上記したフッ化ビニリデンを成分とする重合体と共に、他の1種あるいは2種以上の高分子化合物を含んでいてもよい。続いて、電解液を調製して外装部材40の内部に注入したのち、その外装部材40の開口部を熱融着などで密封する。最後に、外装部材40に加重をかけながら加熱し、高分子化合物を介してセパレータ35を正極33および負極34に密着させる。これにより、電解液が高分子化合物に含浸し、その高分子化合物がゲル化して電解質層36が形成されるため、二次電池が完成する。
この第3の製造方法では、第1の製造方法と比較して、二次電池の膨れが抑制される。また、第3の製造方法では、第2の製造方法と比較して、高分子化合物の原料であるモノマーや溶媒などが電解質層36中にほとんど残らず、しかも高分子化合物の形成工程が良好に制御されるため、正極33、負極34およびセパレータ35と電解質層36との間において十分な密着性が得られる。
この第2の二次電池によれば、負極34が上記した負極と同様の構成を有しているので、上記した第1の二次電池と同様の作用により、優れた電池容量およびサイクル特性を得ると共に負極34の破損を抑制することができる。この二次電池に関する作用および他の効果は、上記した負極と同様である。
(第3の二次電池)
図9は、第3の二次電池の断面構成を表している。第3の二次電池は、上記した第1の二次電池と同様に、リチウムイオン二次電池である。
この二次電池は、正極51を外装缶54に貼り付けると共に負極52を外装カップ55に収容し、それらを電解液が含浸されたセパレータ53を介して積層したのち、ガスケット56を介してかしめたものである。これらの外装缶54および外装カップ55を用いた電池構造は、コイン型と呼ばれている。
正極51は、例えば、正極集電体51Aの一面に正極活物質層51Bが設けられたものである。負極52は、上記した負極と同様の構成を有しており、例えば、正極集電体52Aの一面に負極活物質層52Bが設けられたものである。正極集電体51A、正極活物質層51B、負極集電体52A、負極活物質層52Bおよびセパレータ53の構成、ならびに電解液の組成は、それぞれ上記した第1の二次電池における正極集電体21A、正極活物質層21B、負極集電体22A、負極活物質層22Bおよびセパレータ23の構成、ならびに電解液の組成と同様である。
この第3の二次電池によれば、負極52が上記した負極と同様の構成を有しているので、上記した第1の二次電池と同様の作用により、優れた電池容量およびサイクル特性を得ると共に負極52の破損を抑制することができる。この二次電池に関する作用および他の効果は、上記した負極と同様である。
本発明の実施例について、詳細に説明する。
(実験例1−1〜1−21)
まず、負極活物質として用いる第1および第2の黒鉛粒子を準備した。この場合には、第1の黒鉛粒子として、レーザ回折式粒度分布計による中位径D1が表1に示した一連の値であり、破壊強度T1が53.7MPaであり、X線回折法により算出されるC軸方向の格子面間隔d002 が0.3359nmであるメソフェーズ小球体の球晶黒鉛化物を用いた。また、第2の黒鉛粒子として、レーザ回折式粒度分布計による中位径D2が表1に示した一連の値であり、破壊強度T2が53.7MPaであり、X線回折法により算出されるC軸方向の格子面間隔d002 が0.3359nmのメソフェーズ小球体の球晶黒鉛化物の粉砕品を用いた。なお、中位径D1,D2を測定するためには、株式会社堀場製作所製のレーザ回折式粒度分布計を用いた。また、破壊強度を測定するためには、島津製作所製の微小圧縮試験機MCT−W500を用いた。
次に、第1および第2の黒鉛粒子を用いて、負極を作製した。最初に、負極活物質として第1および第2の黒鉛粒子の混合物100質量部と、負極結着剤としてポリフッ化ビニリデン4質量部とを混合したのち、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドンに分散させることにより、負極合剤スラリーとした。この場合には、第1および第2の黒鉛粒子の質量比(第1の黒鉛粒子の質量/第2の黒鉛粒子の質量)を1とした。続いて、電解銅箔からなる負極集電体を準備したのち、その両面に負極合剤スラリーを塗布して乾燥させることにより、負極活物質層を形成した。この場合には、厚さが12μmであり、表面粗さ(十点平均粗さRz)が3.68μmであり、抗張力が250N/mm2 であり、プレス前伸び率が12.3%である負極集電体を用いた。抗張力およびプレス前伸び率を測定する場合には、JIS Z 2241(常温(23℃),JIS K 7162 5A号試験片)に準拠し、特に、図2に示した領域R1において測定用のサンプルを作製した。最後に、ロールプレス機を用いて、体積密度が1.80g/cm3 となるように負極活物質層をプレスすることにより、負極が完成した。
次に、負極を用いて、図10に示したコイン型のテストセル(直径20mm,厚さ1.6mm)を作製した。最初に、負極をペレット状(直径16mm)に打ち抜いて試験極61(集電体61Aおよび活物質層61B)とし、それを外装缶62に収容した。続いて、外装カップ64に、対極63としてリチウム金属を貼り付けた。続いて、ポリエチレンの多孔質膜からなるセパレータ65を準備すると共に、溶媒として炭酸エチレン(EC)および炭酸ジエチル(DEC)と電解質塩として六フッ化リン酸リチウムとを混合して電解液を調製した。この場合には、溶媒の組成(EC:DEC)を体積比で1:1とし、溶媒に対する電解質塩の含有量を1mol/dm3 とした。最後に、活物質層61Bがセパレータ65を介して対極63と対向するように、試験極61が収容された外装缶62と対極63が貼り付けられた外装カップ64とを電解液が含浸されたセパレータ65を挟むように積層したのち、ガスケット66を介してかしめることにより、テストセルが完成した。
また、負極を用いて、以下の手順により、図3〜図5に示した円筒型の二次電池も作製した。
まず、正極21を作製した。最初に、レーザ回折式粒度分布計による中位径(D50)が15μmであるリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2 )と炭酸リチウム(Li2 CO3 )とを95:5の質量比で混合した。続いて、正極活物質として上記した混合物94質量部と、正極導電剤としてケッチェンブラック3質量部と、正極結着剤としてポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合して正極合剤としたのち、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドンに分散させることにより、ペースト状の正極合剤スラリーとした。続いて、厚さが20μmのアルミニウム箔からなる正極集電体21Aを準備し、その両面に正極合剤スラリーを塗布して乾燥させることにより、正極活物質層21Bを形成した。最後に、ロールプレス機を用いて正極活物質層21Bをプレスした。
続いて、上記した負極を負極22として用いて、二次電池を組み立てた。最初に、正極集電体21Aの一端にアルミニウム製の正極リード25を溶接すると共に、負極集電体22Aの一端にニッケル製の負極リード26を溶接した。続いて、微多孔性ポリプロピレン延伸フィルムからなるセパレータ23を準備したのち、負極22、セパレータ23、正極21およびセパレータ23をこの順に積層して巻回することにより、巻回電極体20を作製した。続いて、ニッケル鍍金された鉄製の電池缶11を準備したのち、巻回電極体20を一対の絶縁板12,13で挟みながら電池缶11に収容すると共に、正極リード25を安全弁機構15に溶接し、負極リード26を電池缶11に溶接した。続いて、上記したコインセルで用いた場合と同様の組成を有する電解液を準備したのち、それを電池缶11の内部に注入してガスケット17に含浸させた。最後に、電池缶11に電池蓋14を被せてかしめることにより、円筒型の二次電池が完成した。
これらの実験例1−1〜1−21の負極、テストセルおよび二次電池について、下記の物性および性能を調べた。
まず、負極の物性として、タップ密度(g/cm3 )、剥離強度(mN/mm)、浸透時間(秒)および表面粗さ(μm)をそれぞれ調べた。タップ密度については、JIS R1628に準拠し、振動回数を300回とした。剥離強度については、JIS Z0237に準拠した。浸透時間(秒)については、常温環境中(23℃)において1×10-3cm3 の電解液を負極の表面に滴下し、その液滴が負極活物質層の表面から消失するまでの時間を計測した。表面粗さについては、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドンを用いて負極活物質層を溶解除去したのち、レーザ顕微鏡を用いて十点平均高さ法により負極集電体の十点平均粗さRzを測定した。
また、テストセルの性能として、以下の手順により、放電容量(mAh/g)を調べた。最初に、0.1Cの定電流で、平衡電位がリチウムに対して5mVに達するまで定電流充電した。続いて、5mVの定電圧で、定電流充電を開始してからの総時間が20時間に達するまで定電圧充電した。最後に、0.1Cの定電流で、平衡電位がリチウムに対して1.5Vに達するまで放電することにより、放電容量を測定した。この「0.1C」とは、理論容量を10時間で放出しきる電流値である。このようにして測定された放電容量は、平衡電位を基準としているので、試験極61(活物質層61B)の材料固有の特性を反映したものとなっている。
さらに、二次電池の性能として、放電容量維持率を調べた。この場合には、1サイクル充放電させて1サイクル目の放電容量を測定し、引き続き99サイクル充放電させて100サイクル目の放電容量を測定したのち、放電容量維持率(%)=(100サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100を算出した。この際、1サイクルの充放電条件としては、0.5Cの定電流で電池電圧が4.2Vに達するまで充電し、引き続き4.2Vの定電圧で充電総時間が10時間になるまで充電したのち、0.5Cの定電流で電池電圧が3.0Vに達するまで放電した。この「0.5C」とは、理論容量を2時間で放出しきる電流値である。
これらのタップ密度、剥離強度、浸透時間、表面粗さ、放電容量および放電容量維持率の結果をまとめて表1に示した。
Figure 2010073618
表1に示したように、第1の黒鉛粒子の中位径D1が18μm以上35μm以下であると共に第2の黒鉛粒子の中位径D2が8μm以上15μm以下である実験例1−1〜1−9では、それらの条件を満たさない実験例1−10〜1−21と比較して、ほぼ同等の放電容量を維持しつつ、放電容量維持率が高くなった。
詳細には、実験例1−10,1−12,1−14では、剥離強度が十分でないため、二次電池の充放電を繰り返すと、負極活物質層22Bが負極集電体22Aから脱落した。これにより、実験例1−10,1−12では、100サイクルまで充放電を繰り返すことができなかったため、放電容量維持率を求めることができなかった。また、実験例1−14では、放電容量維持率を求めることができたものの、その放電容量維持率は十分でなかった。
実験例1−11,1−13,1−15,1−19では、タップ密度が低いため、体積密度を所望の値(1.80g/cm3 )とするために、プレス圧を大きくしなければならなかった。これにより、負極集電体22Aに対してプレス時に大きなダメージが及び、その一部が切断した。このため、放電容量維持率を求めることができなかった。
実験例1−16〜1−18では、第1の黒鉛粒子の中位径D1が大きすぎるため、負極集電体22Aに対してプレス時に大きなダメージが及び、その一部が切断してしまった。このため、放電容量維持率を求めることができなかった。
実験例1−20,1−21では、放電容量維持率は高くなったが、第1の黒鉛粒子の中位径D1が小さすぎるため、放電容量が十分でなかった。
これに対して、実験例1−1〜1−9では、負極集電体22Aに大きなダメージが及んだ実験例1−11,1−13,1−15,1−18,1−19と比較して、表面粗さが小さくなった。この場合には、実験例1−11等において負極集電体22Aが切断したことから、その負極集電体22Aの切断を防止するためには、表面粗さが7μm未満であればよいと予想される。
これらのことから、本発明の二次電池では、第1の黒鉛粒子の中位径D1が18μm以上35μm以下であると共に第2の黒鉛粒子の中位径D2が8μm以上15μm以下であることにより、高い電池容量が維持されつつ、サイクル特性が向上する。
(実験例2−1〜2−52)
第1および第2の黒鉛粒子の破壊強度T1,T2および質量比を表2〜表4に示したように変更したことを除き、実験例1−5と同様の手順を経ることにより、負極、テストセルおよび二次電池を作製した。この場合においても、浸透時間、表面粗さ、放電容量および容量維持率を測定し、その結果をまとめて表2〜表4に示した。
Figure 2010073618
Figure 2010073618
Figure 2010073618
表2〜表4に示したように、第1の黒鉛粒子の破壊強度T1が40MPa以上70MPa以下、第2の黒鉛粒子の破壊強度T2が20MPa以上90MPa以下であると共に、質量比が2/3以上3/2以下である実験例2−1〜2−23では、それらの条件を満たさない実験例2−24〜2−52と比較して、ほぼ同等の放電容量を維持しつつ、放電容量維持率が高くなった。この結果は、より小さなプレス圧で負極活物質層22Bの体積密度を1.80g/cm3 まで高くすることができたことを表している。
詳細には、実験例2−24〜2−30では、第1の黒鉛粒子の破壊強度T1が低すぎるため、プレス後の負極活物質層22B中で空隙が不足し、浸透時間が長くなった。このため、放電容量維持率は十分でなかった。
実験例2−31〜2−37では、第1の黒鉛粒子の破壊強度T1が高すぎるため、充放電時において負極集電体21Aの一部が切断してしまった。このため、放電容量維持率を求めることができなかった。
実験例2−38,2−40,2−42,2−44,2−46,2−48,2−50では、質量比が小さすぎるため、剥離強度が低下し、充放電時において負極活物質層22Bの一部あるいは全部が脱落してしまった。このため、放電容量維持率を求めることができた場合においても、その放電容量維持率は十分でなかった。
実験例2−39,2−41,2−43では、質量比が大きすぎるため、負極活物質層22Bに対してプレス時に大きなダメージが及び、その一部が切断してしまった。このため、放電容量維持率を求めることができなかった。
実験例2−45,2−47,2−49,2−51では、負極集電体22Aは切断しなかったが、質量比が大きすぎるため、プレス後の負極活物質層22B中で空隙が不足し、浸透時間が長くなった。このため、放電容量維持率は十分でなかった。
実験例2−52では、放電容量維持率は高くなったが、第2の黒鉛粒子の破壊強度T2が高すぎるため、放電容量が十分でなかった。この場合には、負極活物質層22Bの厚さを厚くすれば、放電容量を高くすることは可能であるが、その場合には、負極の電流密度が高くなるため、放電容量維持率が低下することとなる。
これに対して、実験例2−1〜2−23では、負極集電体22Aに大きなダメージが及んだ実験例2−31〜2−37,2−39,2−41〜43と比較して、表面粗さが小さくなった。これにより、負極集電体22Aの切断を防止するためには、表面粗さが7μm未満であればよいと予想される。
これらのことから、本発明の二次電池では、第1の黒鉛粒子の破壊強度T1が40MPa以上70MPa以下であると共に第2の黒鉛粒子の破壊強度T2が20MPa以上90MPa以下であることにより、高い電池容量が維持されつつ、サイクル特性が向上する。
(実験例3−1〜3−11)
負極集電体の抗張力およびプレス前伸び率を表5に示したように変更したことを除き、実験例2−3と同様の手順を経ることにより、負極および二次電池を作製した。
これらの実験例3−1〜3−11の負極および二次電池について、下記の物性および性能を調べた。
まず、負極の物性として、負極活物質層をプレスして負極を作製したのち、N−メチル−2−ピロリドンを用いて負極活物質層を溶解除去することにより、負極集電体のプレス後伸び率を測定した。このプレス後伸び率を測定する場合には、JIS Z 2241(常温(23℃),JIS K 7162 5A号試験片)に準拠し、特に、図2に示した領域R2において測定用のサンプルを作製した。
また、二次電池の性能として、過充電条件で20サイクル充放電したのち、二次電池を解体して負極22を取り出し、電極破損の有無を調べた。この電極破損の有無としては、負極集電体22Aに切断や亀裂などが生じていた場合を「有」とし、それらが生じていなかった場合を「無」とした。この際、1サイクルの充放電条件としては、0.5Cの定電流で電池電圧が4.3Vに達するまで充電し、引き続き4.3Vの定電圧で3時間半に渡って過充電したのち、0.5Cの定電流で電池電圧が3.0Vに達するまで放電した。
これらのプレス後伸び率および電極破損の有無の結果をまとめて表5に示した。
Figure 2010073618
表5に示したように、負極集電体の抗張力およびプレス前伸び率を変化させたところ、抗張力の値とプレス前伸び率の値との間の関係により、過充電サイクル後における電極破損の発生の有無が変化した。この場合には、抗張力が200N/mm2 以上400N/mm2 以下であると共に、その抗張力に対してプレス前伸び率が所定の関係にある実験例3−1〜3−6において、それらの条件を満たさない実験例3−7〜3−11とは異なり、電極破損が生じなかった。
ここで、実験例3−1〜3−6のうち、抗張力が最大(400N/mm2 )であると共にプレス前伸び率が小さめ(6.2%)である実験例3−4と、抗張力が最小(200N/mm2 )であると共にプレス前伸び率が小さめ(10.1%)である実験例3−6と、抗張力が上記した最大値と最小値との間の値(300N/mm2 )であると共にプレス前伸び率が小さめ(8.4%)である実験例3−5に着目して、それらのプレス前伸び率が抗張力に対してどのような関係にあるかを調べた。その結果、プレス前伸び率について、プレス前伸び率≧14−0.02×抗張力という関係が導き出された。この関係式から算出されるプレス前伸び率の値(最小値)は、抗張力との関係において、電極破損を生じさせないようにするために負極集電体が有していなければならないプレス前伸び率の理論値(下限値)である。表5では、プレス前伸び率について、実測値と共に、上記した下限値を示している。上記した関係式を導き出すために用いた実験例3−4〜3−6では、実測値が下限値にほぼ一致している。上記した関係式が正しいことは、実測値が下限値以上である実験例3−1〜3−6において電極破損が生じておらず、実測値が下限値を下回っている実験例3−7〜3−11において電極破損が生じていることから、明らかである。
しかも、電極破損が生じなかった実験例3−1〜3−6では、電極破損が生じた実験例3−7〜3−11と比較して、プレス後伸び率が一律的に高くなった。この場合における実験例3−1〜3−6のプレス後伸び率は、4%以上であった。
これらのことから、本発明の二次電池では、負極集電体22Aの抗張力が200N/mm2 以上400N/mm2 以下であると共にプレス前伸び率がプレス前伸び率≧14−0.02×抗張力で表される範囲であることにより、負極の破損が抑制される。この場合には、プレス後伸び率が4%以上であればよい。
(実験例4−1〜4−4)
負極集電体22Aの厚さおよび負極活物質層22Bの体積密度を表6に示したように変更したことを除き、実験例2−3と同様の手順を経ることにより、二次電池を作製した。
これらの実験例4−1〜4−4の二次電池の性能として、電池容量を調べた。この場合には、テストセルについて放電容量を調べた場合と同様の条件で充放電させることにより、電池容量を測定した。
これらの電池容量および電極破損の有無の結果をまとめて表6に示した。
Figure 2010073618
表6に示したように、負極集電体22Aの厚さや負極活物質層22Bの体積密度を変更しても、電極破損は生じなかった。この場合には、負極活物質層22Bの体積密度が1.80g/cm3 以上であると、1.80g/cm3 未満である場合と比較して、電池容量がより高くなった。
これらのことから、本発明の二次電池では、負極集電体22Aの厚さおよび負極活物質層22Bの体積密度を変更しても、負極22の破損が抑制される。この場合には、体積密度が1.80g/cm3 以上、好ましくは1.80g/cm3 以上2.00g/cm3 以下であれば、サイクル特性がより向上する。
上記した表1〜表6の結果から、本発明の二次電池では、負極集電体の抗張力が200N/mm2 以上400N/mm2 以下であり、プレス前伸び率がプレス前伸び率≧14−0.02×抗張力で表される範囲であると共に、負極活物質層の負極活物質が第1の黒鉛粒子(レーザ回折式粒度分布計による中位径=18μm以上35μm以下,破壊強度=40MPa以上70MPa以下)および第2の黒鉛粒子(レーザ回折式粒度分布計による中位径=8μm以上15μm以下,破壊強度=20MPa以上90MPa以下)を2/3以上3/2以下の質量比(第1の黒鉛粒子の質量/第2の黒鉛粒子の質量)で含むことにより、優れた電池容量およびサイクル特性を得ると共に負極の破損を抑制することができることが確認された。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記した実施の形態および実施例において説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、本発明の負極の使用用途は、必ずしも二次電池に限らず、二次電池以外の他の電気化学デバイスであっても良い。他の用途としては、例えば、キャパシタなどが挙げられる。
また、上記した実施の形態および実施例では、二次電池の種類として、負極の容量がリチウムイオンの吸蔵および放出に基づいて表されるリチウムイオン二次電池について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。本発明の二次電池は、負極の容量がリチウムイオンの吸蔵および放出に伴う容量とリチウムの析出および溶解に伴う容量とを含み、かつ、それらの容量の和によって表される二次電池についても、同様に適用可能である。この二次電池では、負極活物質としてリチウムイオンを吸蔵および放出することが可能な材料が用いられ、リチウムイオンを吸蔵および放出することが可能な負極材料における充電可能な容量が正極の放電容量よりも小さくなるように設定される。
また、上記した実施の形態および実施例では、電池構造が円筒型、ラミネートフィルム型あるいはコイン型である場合、ならびに電池素子が巻回構造を有する場合を例に挙げて説明したが、本発明の二次電池は、角型あるいはボタン型などの他の電池構造を有する場合や、電池素子が積層構造などの他の構造を有する場合についても同様に適用可能である。
また、上記した実施の形態および実施例では、電極反応物質としてリチウムを用いる場合について説明したが、ナトリウム(Na)あるいはカリウム(K)などの他の1族元素や、マグネシウム(Mg)あるいはカルシウム(Ca)などの2族元素や、アルミニウムなどの他の軽金属を用いてもよい。本発明の効果は、電極反応物質の種類に依存せずに得られるはずであるため、その電極反応物質の種類を変更しても、同様の効果を得ることができる。
また、上記した実施の形態および実施例では、本発明の負極あるいは二次電池に関し、第1および第2の黒鉛粒子の中位径、破壊強度および質量比について、実施例の結果から導き出された適正範囲を説明しているが、その説明は、中位径等が上記した範囲外となる可能性を完全に否定するものではない。すなわち、上記した適正範囲は、あくまで本発明の効果を得る上で特に好ましい範囲であり、本発明の効果が得られるのであれば、中位径等が上記した範囲から多少外れてもよい。このことは、第1および第2の黒鉛粒子の格子面間隔d002 および負極活物質層の体積密度などについても、同様である。
本発明の一実施の形態に係る負極の構成を表す断面図である。 図1に示した負極の具体的な構成例を表す平面図である。 本発明の一実施の形態に係る負極を備えた第1の二次電池の構成を表す断面図である。 図3に示した第1の二次電池における巻回電極体の一部を拡大して表す断面図である。 図4に示した正極および負極の具体的な構成例を表す平面図である。 本発明の一実施の形態に係る負極を備えた第2の二次電池の構成を表す分解斜視図である。 図6に示した巻回電極体のVII−VII線に沿った構成を表す断面図である。 図7に示した巻回電極体の一部を拡大して表す断面図である。 本発明の一実施の形態に係る負極を備えた第3の二次電池の構成を表す断面図である。 本発明の実施例で用いたテストセルの構成を表す断面図である。
符号の説明
1,22A,34A,52A…負極集電体、1X,22X…被覆領域、1Y,22Y…非被覆領域、2,22B,34B,52B…負極活物質層、11…電池缶、12,13…絶縁板、14…電池蓋、15…安全弁機構、15A…ディスク板、16…熱感抵抗素子、17,56,66…ガスケット、20,30…巻回電極体、21,33,51…正極、21A,33A,51A…正極集電体、21B,33B,51B…正極活物質層、22,34,52…負極、23,35,53,65…セパレータ、24…センターピン、25,31…正極リード、26,32…負極リード、36…電解質層、37…保護テープ、40…外装部材、41…密着フィルム、54,62…外装缶、55,64…外装カップ、61…試験極、61A…集電体、61B…活物質層、63…対極。

Claims (8)

  1. 負極集電体上に、プレス処理された負極活物質層を有し、
    (1)前記負極集電体の抗張力は、200N/mm2 以上400N/mm2 以下であり、
    (2)前記負極活物質層のプレス処理前における前記負極集電体の伸び率は、プレス処理前の伸び率(%)≧14−0.02×抗張力(N/mm2 )で表される範囲であり、
    (3)前記負極活物質層は、レーザ回折式粒度分布計による中位径(D50)が18μm以上35μm以下であると共に破壊強度が40MPa以上70MPa以下である第1の黒鉛粒子と、レーザ回折式粒度分布計による中位径(D50)が8μm以上15μm以下であると共に破壊強度が20MPa以上90MPa以下である第2の黒鉛粒子とを含み、
    (4)前記第2の黒鉛粒子の質量に対する前記第1の黒鉛粒子の質量の比(第1の黒鉛粒子の質量/第2の黒鉛粒子の質量)は、2/3以上3/2以下である
    負極。
  2. 前記負極活物質層のプレス処理後における前記負極集電体の伸び率は、4%以上である請求項1記載の負極。
  3. 前記負極集電体は、前記負極活物質層により被覆されている被覆領域と、前記負極活物質層により被覆されていない非被覆領域を有し、前記負極活物質層のプレス処理前における前記負極集電体の伸び率は、前記非被覆領域において測定され、前記負極活物質層のプレス処理後における前記負極集電体の伸び率は、前記被覆領域および前記非被覆領域において測定される請求項2記載の負極。
  4. 前記第1の黒鉛粒子は、X線回折法により算出されるC軸方向の格子面間隔d002 が0.3360nm以下であるメソフェーズ小球体の球晶黒鉛化物である請求項1記載の負極。
  5. 前記第2の黒鉛粒子は、X線回折法により算出されるC軸方向の格子面間隔d002 が0.3365nm以下である人造黒鉛粒子あるいは天然黒鉛粒子である請求項1記載の負極。
  6. 前記負極活物質層の体積密度は、1.80g/cm3 以上2.00g/cm3 以下である請求項1記載の負極。
  7. 前記負極活物質層は、フッ素系の高分子材料を含む請求項1記載の負極。
  8. 正極および負極と共に電解質を備え、前記負極は負極集電体上にプレス処理された負極活物質層を有し、
    (1)前記負極集電体の抗張力は、200N/mm2 以上400N/mm2 以下であり、
    (2)前記負極活物質層のプレス処理前における前記負極集電体の伸び率は、プレス処理前の伸び率(%)≧14−0.02×抗張力(N/mm2 )で表される範囲であり、
    (3)前記負極活物質層は、レーザ回折式粒度分布計による中位径(D50)が18μm以上35μm以下であると共に破壊強度が40MPa以上70MPa以下である第1の黒鉛粒子と、レーザ回折式粒度分布計による中位径(D50)が8μm以上15μm以下であると共に破壊強度が20MPa以上90MPa以下である第2の黒鉛粒子とを含み、
    (4)前記第2の黒鉛粒子の質量に対する前記第1の黒鉛粒子の質量の比(第1の黒鉛粒子の質量/第2の黒鉛粒子の質量)は、2/3以上3/2以下である
    二次電池。
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