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JP2009538363A - カーボン・ナノ構造を導入した高分子材料とその作製方法 - Google Patents

カーボン・ナノ構造を導入した高分子材料とその作製方法 Download PDF

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JP2009538363A JP2008554475A JP2008554475A JP2009538363A JP 2009538363 A JP2009538363 A JP 2009538363A JP 2008554475 A JP2008554475 A JP 2008554475A JP 2008554475 A JP2008554475 A JP 2008554475A JP 2009538363 A JP2009538363 A JP 2009538363A
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Abstract

本発明は、カーボン・ナノスフィアを高分子材料中へ導入した新規な複合材料に関するものである。高分子材料は、グラファイト材料に親和性のあるどのような高分子または重合可能な材料であってもよい。カーボン・ナノスフィアは、中空のグラファイト状ナノ粒子である。カーボン・ナノスフィアは、鋳型ナノ粒子を使用したカーボン前駆体から製造することができる。カーボン・ナノスフィアのユニークなサイズ、形状、および電気的性質は、これらのナノ材料を導入した複合材料に有利な性質を与える。

Description

本発明は、一般に、カーボン・ナノ材料を導入した高分子材料に関するものである。特に、本発明は、カーボン・ナノスフィアを導入した高分子材料に関するものである。
カーボン材料は、様々な分野で高性能および機能材料として使用されてきた。グラファイトは、導電性や不活性であることなどの重要な性質を有するよく知られたカーボン材料である。過去10年間、研究者達はグラファイト構造をナノメータースケールで作製することを学んできた。もっとも広範囲に研究され、理解されているグラファイトナノ構造はカーボン・ナノチューブである。最近、研究者達はカーボン「ナノオニオン」、「ナノホーン」、「ナノビーズ」、「ナノファイバ」などのような他のカーボン・ナノ構造を作製する方法を開発してきた。
これらの材料のうちのいくつかのものは、高分子材料中にナノ構造を導入することにより複合材料を作製するために使用されてきた。これらの試みのほとんどのものは、高分子中に単壁および多重壁ナノチューブを導入しようとしたものである。カーボン・ナノチューブを高分子中のフィラー材料として使用することは、複合材料の強度を増加させ複合材料に導電性を付与することによる利点を有するであろう。
米国特許第6,689,835号明細書 2006年10月5日に出願の「鋳型ナノ粒子から製造されるカーボン・ナノリング(Carbon Nanorings Manufacured From Templating Nanoparticles)」という名称の米国特許出願第11/539,120号明細書 2006年10月5日に受理された「触媒鋳型ナノ粒子から製造されるカーボン・ナノ構造(Carbon Nanostructures Manufacured From Catalytic Templating Nanoparticles)」という名称の米国特許出願第11/539,042号明細書 ハン(Han)らによる「中空グラファイト状ナノ粒子の簡単な固相合成およびそれらの直接メタノール燃料電池の電極への応用(Simple Solid−Phase Synthesis of Hollow Graqphitic Nanoparticles and their Application to Direct Methanol Fuel Cell Electrodes)」、アドヴァンス マテリアル(Adv. Mater). 2003年, 15. 22号 11月17日
しかしながら、カーボン・ナノチューブを高分子材料中に導入することは非常に困難であることがわかっている。カーボン・ナノチューブの繊維状の形状はサイズが小さなこととあいまって、高分子中に均一に分散させることを困難にしている。導電性が要求されるような応用では、電気抵抗の有意な低減を付与するために必要なカーボン・ナノチューブの量は、ほとんどの応用分野において価格的につりあわない。
本発明は、高分子材料中にカーボン・ナノ材料を導入した新規な複合材料に関するものである。このカーボン・ナノ材料は、前記高分子複合材料に新規な性質を与えるカーボン・ナノ構造を含む。発明の1つの実施形態では、高分子材料中に導入されるカーボン・ナノ構造はカーボン・ナノスフィアである。典型的には、カーボン・ナノスフィアは一般に丸い中空のナノ粒子を区切るグラファイトの多重壁を有する。
様々なサイズのナノスフィアを作製することができる。1つの実施形態では、直径は約2nmから約500nmの範囲、より好ましくは約5nmから約250nmの範囲、最も好ましくは約10nmから約150nmの範囲である。ナノスフィアの内径は、ナノスフィアの外径および壁の厚みに依存する。内径(すなわち、中空部分の直径)は、典型的には約0.5nmから約300nmの間、より好ましくは約2nmから約200nmの間、最も好ましくは約5nmから約100nmの間である。
場合によっては、カーボン・ナノ材料は、高分子材料中にさらに分散しやすいナノ材料を作製するために、および/またはその表面から官能基(例えば酸性基)を除去するために処理を行うことが可能である。1つの実施形態では、カルボン酸および他の酸化官能基が中性化するための塩基によって除去される。もう一方の実施形態では、ナノ材料の分散性が酸化剤によって精製された後に、その材料の熱処理によって改善される。
前記複合材料を作製するために使用される前記高分子材料は、グラファイト材料となじみのよいどのような高分子または重合可能な材料でもよい。高分子の例としては、ポリアミン、ポリアクリル酸エステル、ポリブタジエン、ポリブチレン、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エチレンビニルアルコール、フッ素系高分子、アイオノマー、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、縮合系高分子、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリールエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリケトン、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフタールアミド、ポリフタールイミド、ポリスルホン、ポリアリールスルホン、アリル樹脂、メラミン樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、液晶高分子、ポリオレフィン、シリコーン、ポリウレタン、エポキシ、セルロース系高分子、それらの組み合わせ、それらの誘導体、または上記のいずれかの共重合体を含む。
前記カーボン・ナノスフィアは、複合材料の約0.1重量%から約70重量%の範囲、より好ましくは約0.5重量%から約50重量%の範囲、最も好ましくは約1.0重量%から約30重量%の範囲で前記高分子材料と混合される。カーボン・ナノスフィアは単独で、または他のグラファイト材料と組み合わせて添加することができ、前記複合材料に導電性能を付与する。電気伝導性を与えるには、複合材料中に約3重量%以上の、より好ましくは約10重量%以上の、そして最も好ましくは約15重量%以上のカーボン・ナノスフィアを添加することが望ましい。
本発明の複合材料を作る方法としては、いずれかの既知の方法を使用することができる。例えば、前記高分子材料のペレットや粉と必要な量のカーボン・ナノスフィアとを乾式ブレンドまたは湿式ブレンドし、ついで加熱下ロールニーダで混合してもよいし、または押出機に供給してロープとして押し出しペレットに切断してもよい。もう一方では、カーボン・ナノスフィアは溶液としてまたは樹脂ディスパーションとして、液体媒体中でブレンドすることができる。熱硬化重合性材料が使用される場合には、その特定の樹脂に適切ないずれかの既知の方法を使用して、モノマーまたはオリゴマーと混合することができる。
他のナノ材料、特に繊維状の形状であるナノチューブと比較すると、ナノスフィアはそのより球状に近い形のために高分子中または重合可能な材料中にはるかに容易に分散する。このためナノスフィアを、繊維状材料というよりはむしろ粒子状のフィラーのようにより容易に分散させることができる。典型的には、繊維状材料は粒子に比較し分散することが難しく、良好な分散性を保証するためにははるかに大きなせん断力が必要とされる。対照的に、ナノスフィアは低いせん断力を使用して高分子材料および重合可能な材料とブレンドすることができる。ナノスフィアのブレンドに低いせん断力を使用することは、グラファイト材料およびそれが分散される高分子材料を劣化させる可能性を低くする。
高分子材料中のナノスフィアの分散を改善するために、グラファイトカーボンへの適用に向いているいずれかの既知の方法および/または材料を使用することができる。さらに、希望する形に成形する方法としては、押出し成形、ブロー成形、射出成形、またはプレス成形のようないずれかの既知の方法を使用することができる。
本発明の複合材料は、その中に導入されるカーボン・ナノスフィアのユニークな形状、化学、および他の側面から由来する有益な性質を有することが期待される。特に、カーボン・ナノスフィアは多くの高分子の電気抵抗を、同程度の量のカーボン・ナノチューブやカーボンブラックの場合よりもかなり低減させることが可能であることが見出された。例えば、要求される低い電気抵抗値を高分子材料中の約16重量%のカーボンブラックまたは7重量%のカーボン・ナノチューブが達成するのに対し、同じ要求される低い電気抵抗値を達成するのに必要なカーボン・ナノスフィアの量は驚くべきことにたった約3重量%でよい。
本発明のこれらのおよび他の利点と側面は、以下の記述および上記に添付された請求項によってさらに完全に明らかにされるであろう。
本発明の上記のおよび他の利点と側面をさらに明らかにするために、本発明のより詳細な記述が、添付図中で説明される発明の特別な実施形態を参照して、示されるであろう。これらの図は発明の典型的な実施形態を表しているだけであるので、その範囲を限定すると考えるべきではない。発明は、付随する図面を使用することによって付加的な特異性および詳細について記述および説明される。
I.複合材料を製造するために使用される成分
発明の高分子複合材料は、高分子材料とカーボン・ナノ材料の混合物を含む。カーボン・ナノ材料は、複合材料に低い電気抵抗のような新規な特性を与えるカーボン・ナノスフィアを含む。場合によっては、前記高分子複合材料はフィラーまたは他のカーボン・ナノ材料のような他の添加剤を含むことも可能である。本発明のために、ナノスフィアという語は規則的または不規則的な外形を有するグラファイト状の中空粒子または球を含む。
A.高分子材料
本発明の新規複合材料においては、グラファイト材料と適合する、または適合するようにされるどのような高分子材料を使用してもよい。この高分子材料は、合成、天然、または修正された天然の高分子または樹脂であってもよい。適切な高分子材料としては、熱硬化性および熱可塑性高分子、および/または重合可能な材料が含まれる。
本発明の複合材料において利用できる適切な高分子材料としては、次のような高分子(および/または次のような高分子の一つかそれ以上を形成するように選ばれる重合可能な材料):ポリアミン、ポリアクリル酸エステル、ポリブタジエン、ポリブチレン、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エチレンビニルアルコール、フッ素系高分子、アイオノマー、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、縮合系高分子、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリールエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリケトン、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフタールアミド、ポリフタールイミド、ポリスルホン、ポリアリールスルホン、アリル樹脂、メラミン樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、液晶高分子、ポリオレフィン、シリコーン、ポリウレタン、エポキシ、セルロース系高分子、それらの組み合わせ、それらの誘導体、または上記のいずれかの共重合体が含まれる。
高分子材料は、加熱後カーボン・ナノスフィアと混合される熱可塑性高分子であってもよい。一方で、熱硬化性高分子を使用することもできる。典型的には、熱硬化性高分子は一つまたはそれ以上の重合性モノマーまたはオリゴマーとして供給され、その後カーボン・ナノスフィアと混合し、重合させることによって複合材料を形成する。
当業者は、上記の高分子を形成するために使用することができるモノマーおよび/またはオリゴマーに精通している。例えば、ポリウレタンはイソシアナート基とヒドロキシル基との反応から誘導され;ポリ尿素はイソシアナートとアミンとの反応から誘導され;シリコーンはシランおよび/またはシロキサンの加水分解から誘導することができる、等々。本発明はまた上記の1つのまたはそれ以上の高分子のブロックを有する共重合体を含む。追加の高分子および重合可能な材料は、特許文献1に開示されている。
適切な熱可塑性の重合可能な材料の例としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、アクリロニトリル−エチレン/プロピレン−スチレン、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸メチル−スチレン、アクリロニトリル−アクリル酸n−ブチル−スチレン、ゴム改質ポリスチレン(耐衝撃性ポリスチレン)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、酢酸セルロース、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリケトン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、フッ素樹脂、シリコーン、ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリアミドエラストマー、それらの組み合わせ、およびそれらの誘導体などが含まれる。
適切な熱硬化性樹脂の例としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒドラテックス、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、アニリン樹脂、フラン樹脂、ケイ素樹脂、ポリウレタン樹脂、それらの組み合わせ、およびそれらの誘導体などが含まれる。
B.カーボン・ナノ材料
カーボン・ナノ材料は、複合材料に望ましい性質を与えるために複合材料中に含まれる。複合材料の新規な性質は、少なくとも部分的にはカーボン・ナノ材料の全体を形成するまたは一部を形成するカーボン・ナノ構造によるものである。カーボン・ナノ材料中のカーボン・ナノ構造は、ユニークな形状、サイズ、および/または電気的性質のような有益な性質を有している。1つの実施形態では、カーボン・ナノ構造はカーボン・ナノスフィアである。
前記カーボン・ナノ材料はカーボン・ナノスフィア以外の材料を含むことが可能である。例えば、カーボン・ナノ材料はグラファイト(すなわちグラファイトシート)、アモルファス・カーボン、および/または鉄ナノ粒子を含むことが可能である。カーボン・ナノスフィアの割合は、複合材料の性質に影響を及ぼす可能性がある。1つの実施形態では、カーボン・ナノ材料中のカーボン・ナノスフィアの重量パーセントは約2重量%から約100重量%の範囲の重量である。一方の実施形態では、カーボン・ナノスフィアの割合は少なくとも約10重量%で、より好ましくは少なくとも約15%である。
一方で、またはカーボン・ナノ構造の重量パーセントに加えて、新規なカーボン・ナノ材料は、表面官能基の欠如により特性づけることができる。1つの実施形態では、カーボン・ナノ材料の官能性は水洗液の酸性度によって決定される。1つの実施形態では、カーボン・ナノ材料は、カーボン・ナノ材料に対する水洗液の重量比が1:1の場合に、水洗液のpHが約5.0から約8.0の範囲、より好ましくは約6.0から約7.5の範囲、最も好ましくは約6.5から約7.25の範囲の値を与えるような酸官能性を有する。上記の範囲のpHを有するカーボン・ナノ材料は、酸性フィラー材料に敏感な高分子樹脂(例えばポリスチレンブタジエンゴム)と有利に混合できる。しかしながら、発明は上記の範囲外のpHを有するカーボン・ナノ材料を含み、もし要求があれば、これらのカーボン・ナノ材料は酸性フィラー材料に敏感な高分子とともに使用することができる。
1.カーボン・ナノスフィア
カーボン・ナノスフィアは、規則的または不規則的な形状を有する中空のナノ粒子である。1つの実施形態では、カーボン・ナノスフィアは一般に回転楕円体の形状である。
以下に記されているように、発明の1つの実施形態では、カーボン・ナノ構造は鋳型ナノ粒子とカーボン前駆体から製造される。このプロセスの間、カーボン・ナノ構造は鋳型ナノ粒子のまわりに生成する。この実施形態では、ナノ構造のサイズと形状は大体において鋳型ナノ粒子のサイズと形によって決定される。カーボン・ナノ構造は鋳型ナノ粒子のまわりに生成するので、カーボン・ナノ構造の穴または内径は典型的には鋳型ナノ粒子の外径に対応する。カーボン・ナノ構造の内径は0.5nmから約90nmの間でよい。
図1Aと1Bは、その詳細が下記の実施例1に記されている触媒鋳型ナノ粒子を使用して作製されたナノスフィアの例のSEM画像である。図2と3は、図1Aと1Bに示されたナノ材料のTEM画像である。SEM画像を考慮して解釈したTEM画像は1つの実施形態ではナノスフィアは一般に回転楕円体の形を有する可能性がある。
図1Aにおいて、SEM画像は少なくともいくつかの実施形態においては、カーボン・ナノ材料はカーボン・ナノスフィアの回転楕円体状または「ぶどう」状のクラスタを含む。図1Bは、部分的に壊れて内部が開いて、それにより複数のカーボン・ナノスフィアがあらわとなったカーボン・ナノスフィアのクラスタのクローズアップである。図2のTEM画像は、さらにクラスタが複数のより小さなナノスフィアから構成されていることを示す。図2のナノスフィアのクラスタは、ナノ構造が中空で一般に回転楕円体であることを明らかにしている。
図3は、鉄の鋳型ナノ粒子がその中心に残っているようにみえる、カーボン・ナノスフィアのさらに詳細な画像である。図3のカーボン・ナノスフィアは、カーボン・ナノ構造の生成が触媒鋳型ナノ粒子のまわりに起こることを示している。
TEM画像で観察される多くのカーボン・ナノスフィアにおいて、ナノスフィアの外径は約10nmから約60nmの間にあり、中空の中心径は約10nmから約40nmである。しかしながら本発明はより大きな直径、およびより小さな直径を有するナノ構造を含む。典型的には、カーボン・ナノスフィアは構造的な一貫性を保つために約100nmより小さな外径を有する。
ナノスフィア壁の厚みは、壁の内径から壁の外径へ測定される。ナノ構造の厚みは下に記述されているようにカーボン前駆体の重合および炭化の程度を制限することによって製造中に変化させることが可能である。典型的には、カーボン・ナノスフィア壁の厚みは約1nmから20nmの間である。しかしながら、もし必要であればより厚い壁およびより薄い壁を作ることができる。厚い壁を作る利点はより大きな構造的一貫性である。より薄い壁を作る利点はより大きな表面積および多孔性である。
カーボン・ナノ構造の壁はまた多重グラファイト層から形成することができる。ある典型的な実施形態では、カーボン・ナノスフィアは約2から約100グラファイト層の間の、より好ましくは約5から約50グラファイト層の間の、最も好ましくは約5から約20グラファイト層の間の壁を有する。カーボン・ナノ構造のグラファイト様の特性は多重壁カーボン・ナノチューブの利点(例えば優れた伝導性)と類似した有利な特性をカーボン・ナノ構造に与えると信じられている。カーボン・ナノスフィアがカーボン・ナノチューブと置き換えられ、カーボン・ナノチューブを使用することが可能な多くの応用において使用することができるが、しばしば予想通り優れた結果および/または低いコストで使用することができる。
SEM画像とTEM画像は一般に球形のナノ構造を示すが、本発明は回転楕円体以外の形状を有するナノ構造にもおよぶ。加えて、ナノ構造は原形が回転楕円体の形状を有するナノスフィアの断片であってもよい。典型的には、カーボン・ナノ構造の形は少なくとも部分的には鋳型ナノ粒子の形によって決定されるであろう。したがって、非球形の鋳型ナノ粒子の形成は、回転楕円体ではない大きさを有するカーボン・ナノ構造に導く可能性がある。
良好な電子移動に加えて、本発明のカーボン・ナノ構造は高い多孔性と大きな表面積を有する可能性がある。吸着および脱着等温線は、カーボン・ナノ構造がメソ多孔質材料を形成することを示唆する。カーボン・ナノ構造のBET比表面積は、約80から約400m2/gの間、好ましくは約120m2/gより大きく、典型的には約200m2/gであって、カーボン・ナノチューブに対して観察されている典型的な値100m2/gよりかなり大きい。発明の方法が構造性のないグラファイトと組み合わせたカーボン・ナノ構造の場合においてさえ、このグラファイト混合物(すなわちカーボン・ナノ材料)は典型的にはカーボン・ナノチューブより大きな表面積を有する。
2.カーボン・ナノ材料を製造するための方法
本発明のカーボン・ナノ構造は、次のステップのすべてまたはその一部を使用して製造することができる:(i)カーボン前駆体と複数の鋳型ナノ粒子を含む前駆体混合物を形成するステップ、(ii)触媒鋳型ナノ粒子のまわりでカーボン前駆体を自発的に重合させるか重合を起こさせるステップ、(iii)前駆体混合物を炭化して、複数のナノ構造(例えばカーボン・ナノスフィア)、アモルファス・カーボン、および触媒金属を含む中間体カーボン材料を形成するステップ、(iv)少なくともアモルファス・カーボンの一部および場合によっては触媒金属の一部を除去することによって中間体カーボン材料を精製するステップ、および(v)場合によっては、精製された中間体材料の熱処理および/または精製された中間体材料の塩基による処理により、精製された中間体材料の表面に残っているさまざまな官能基の少なくとも一部を除去するステップ。
(i)前駆体混合物の形成
前駆体混合物はカーボン前駆体を選択し、このカーボン前駆体中に複数の触媒鋳型ナノ粒子を分散させることによって形成される。
本発明のカーボン前駆体としては、それが鋳型粒子を分散でき熱処理によって鋳型粒子のまわりで炭化するかぎり、どのような型のカーボン材料を使用してもよい。適切な重合可能なカーボン前駆体の例としては、レゾルシノール−ホルムアルデヒドゲル、レゾルシノール、フェノール樹脂、メラミン−ホルムアルデヒドゲル、ポリフルフリルアルコール、ポリアクリロニトリル、ショ糖、石油ピッチなどが含まれる。他の重合可能なベンゼン類、キノン類、および類似の化合物もまたカーボン前駆体として使用することができ、これは当業者にはよく知られていることである。ある典型的な実施形態では、カーボン前駆体は水熱反応で重合できる有機化合物である。この型の適切な有機化合物には、クエン酸、アクリル酸、安息香酸、アクリル酸エステル、ブタジエン、スチレン、けい皮酸などが含まれる。
カーボン前駆体中に分散される触媒鋳型ナノ粒子は、いくつかの異なった方法で供給される。鋳型ナノ粒子はカーボン前駆体中に(すなわちその場で)形成してもよいし、または別の反応混合物中で形成されその後カーボン前駆体と混合してもよい。ある場合には、粒子形成が部分的に別の反応で起こり、その後鋳型粒子がカーボン前駆体中で混合および/または加熱される(例えば、前駆体の重合ステップが開始される)に従い、粒子形成が完結する。鋳型ナノ粒子は、また粒子形成の一つまたはそれ以上の側面を制御する分散剤を使用して形成してもよいし、または鋳型ナノ粒子は金属塩から作製してもよい。
1つの実施形態では、鋳型ナノ粒子は、カーボン前駆体中で金属塩から形成される。この実施形態では、鋳型ナノ粒子はカーボン前駆体と混合させることが可能な一つまたはそれ以上の触媒金属塩を選択することにより形成される。金属塩はカーボン前駆体と混合され、その後自発的にまたは人為的にその場でナノ粒子を形成させる。
もう一方の実施形態では、鋳型粒子は粒子形成を制御するために分散剤を使用して(その場でまたはほかの場所で)形成される。この実施形態では、一つまたはそれ以上の型の触媒原子および一つまたはそれ以上の型の分散剤が選択される。分散剤は、所望の安定性、サイズ、および/または一様性を有するナノ触媒粒子の形成を促進するために選択される。この発明の範囲にある分散剤は、さまざまな有機小分子、高分子、およびオリゴマーを含む。分散剤は、適当な溶媒またはキャリア中に溶解または分散された触媒原子と、イオン結合、共有結合、ファンデルワールス相互作用/結合、孤立電子対結合、または水素結合を含むさまざまな機構によって相互作用し結合することができる。
触媒原子(例えば、基底状態の金属または金属塩の型)および分散剤(例えば、カルボン酸またはその塩の型)と互いに反応または結合し錯体触媒を形成する。錯体触媒は一般に、まず触媒原子と分散剤とを適当な溶媒に溶解し、その後触媒原子が分散剤分子と結合させるようにして形成される。さまざまな成分をいろいろな順序または組み合わせで結合させまたは混合させることが可能である。さらに、成分のサブセットを他の成分との混合の前に前混合してもよいし、すべての成分を同時に組み合わせてもよい。
本発明の1つの実施形態では、鋳型ナノ粒子のための成分は、その成分を約1時間から約14日の期間混合することにより自発的にまたは人為的にナノ粒子が形成される。混合は典型的には0℃から200℃の温度範囲で行われる。1つの実施形態では温度は100℃を越えない。粒子形成はまた試薬を使用して誘起させることができる。例えば、いくつかの場合には粒子または中間体粒子の形成は錯体触媒の溶液をとおして水素をバブルさせることによって引き起こすことができる。
本発明の鋳型ナノ粒子は、カーボン前駆体の重合および/または炭化を触媒することが可能である。カーボン前駆体中の触媒鋳型ナノ粒子の濃度は、典型的には形成されるカーボン・ナノ構造の数を最大化するように選択される。触媒鋳型粒子の量は使用されるカーボン前駆体の型に依存して変化する。1つの実施形態の例では、触媒原子に対するカーボン前駆体のモル比は約0.1:1から約100:1、より好ましくは約1:1から約30:1である。適切な触媒材料の例としては鉄、コバルト、ニッケルなどが含まれる。
(ii)前駆体混合物の重合
前駆体混合物は、複数の中間体カーボン・ナノ構造が鋳型ナノ粒子のまわりに形成されるように、典型的には十分な時間硬化させる。鋳型ナノ粒子は触媒活性を有するので、鋳型ナノ粒子は鋳型粒子表面近くのカーボン前駆体の重合を優先的に加速および/または開始することができる。
中間体ナノ構造を形成するのに必要な時間は、温度、触媒材料の型と濃度、溶液のpH、使用されるカーボン前駆体の型に依存する。重合の間、中間体カーボン・ナノ構造は個々の有機構造体でもよいし、あるいは炭化および/またはアモルファス・カーボンの除去に際し壊れて離れてしまうナノ構造の会合体であってもよい。
pHを調整するために添加されるアンモニアもまた重合速度を増加させることにより、および前駆体分子間に生ずる架橋の量を増加させることにより、重合に影響を及ぼす可能性がある。
水熱反応で重合可能なカーボン前駆体については、重合は典型的には高温で生ずる。好ましい実施形態では、カーボン前駆体は約0℃から約200℃の温度、より好ましくは約25℃から約120℃の間の温度に加熱される。
レゾルシノール−ホルムアルデヒドゲル(例えば、鉄粒子を含みpH1−14の溶液)の重合のための適切な条件の例は、溶液温度が0℃から90℃の間で硬化時間は1時間以下から約72時間である。当業者は、同じまたは異なったパラメータのもとで他のカーボン前駆体を硬化させるために必要な条件を容易に決定することができる。
1つの実施形態では、重合反応は完結するまで継続しない。全溶液が重合する前に硬化過程を停止することは、炭化した材料の単一の塊よりはむしろ個々のナノ構造を生ずるような複数の中間体ナノ構造の形成を促す可能性がある。しかしながら、本発明はカーボン前駆体が互いにつながったあるいは部分的につながった複数の中間体カーボン・ナノ構造を形成する実施形態を含む。この実施形態では、個々のナノ構造は炭化に際し、および/またはアモルファス・カーボンの除去に際し形成される。
鋳型ナノ粒子の分散体から中間体カーボン・ナノ構造を形成することは、ユニークな形状やサイズを有する複数の中間体カーボン・ナノ構造の形成を促す。最終的には、ナノ構造の性質は少なくとも部分的には中間体カーボン・ナノ構造の形やサイズに依存する。中間体カーボン・ナノ構造のユニークな形やサイズのために、最終的なナノ構造は、とりわけ高い比表面積や高い多孔性のような有利な特性を有することが可能となる。
(iii)前駆体混合物の炭化
前駆体混合物は加熱により炭化され、複数のカーボン・ナノ構造、アモルファス・カーボン、および触媒金属を含む中間体カーボン材料を形成する。前駆体混合物は、混合物を約500℃から約2500℃の間の温度で加熱することによって炭化することができる。加熱過程の間、酸素や窒素のような原子は蒸散または他の機構で中間体ナノ構造(または鋳型ナノ粒子のまわりのカーボン)から除去され、炭素原子は再配置または合体してカーボンベースの構造を形成する。
炭化ステップは典型的にはグラファイトベースのナノ構造を作成する。グラファイトベースのナノ構造はsp2混成の炭素原子の構造性シート状に配置された炭素原子を有する。グラファイト層は電気伝導性および構造強度および/または剛性のようなユニークで有用な性質を提供する可能性がある。
(iv)中間体カーボン材料の精製
中間体カーボン材料は、グラファイト構造を有さないアモルファス・カーボンの少なくとも一部分を除去することにより精製される。この精製ステップは中間体カーボン材料中のカーボン・ナノ材料の重量パーセントを増加させる。
アモルファス・カーボンは、典型的にはカーボンの酸化により除去される。アモルファス・カーボンを除去するために使用される酸化剤は、グラファイト構造を有さないアモルファス・カーボンにおいて見出される結合の酸化に対し選択的にはたらくが、グラファイト状カーボン・ナノ構造のπ結合に対してはより反応性に乏しい。アモルファス・カーボンは、1つまたはそれ以上の連続する精製ステップにおいて酸化剤または酸化剤混合物を作用させることにより除去される。アモルファス・カーボンを除去するための試薬としては、酸化作用を有する酸、酸化剤、およびこれらの混合物が含まれる。アモルファス・カーボンの除去に適する混合物の例としては硫酸、KMNO4、H22,5Mまたはさらに高濃度のHNO3,および王水が含まれる。
場合によっては、事実上触媒金属の全てまたはその一部が除去される可能性がある。触媒金属が除去されるかどうか、およびどの程度の純度まで触媒金属が除去されるかは、カーボン・ナノ材料が必要とされる用途に依存する。発明のいくつかの実施形態では、鉄のような金属の存在はある種の電気的性質および/または磁気的性質を付与するために有利である可能性がある。その一方で、触媒金属が最終的な用途に対し逆の効果を及ぼすことを防ぐために触媒金属を除去することが望ましい場合もある。触媒鋳型粒子の除去はまた多孔性を改善し、および/または密度を低減させる。
典型的には、鋳型ナノ粒子は、硝酸、フッ化水素、または水酸化ナトリウムのような酸または塩基を使用して除去される。鋳型ナノ粒子またはアモルファス・カーボンを除去する方法は、複合材料中の鋳型ナノ粒子または触媒原子の型に依存する。触媒原子または粒子(例えば鉄粒子または原子)は、典型的には複合材料のナノ構造を5.0M硝酸溶液中で約3−6時間還流することにより除去される。
鋳型ナノ粒子および/またはアモルファス・カーボンを除去するためには、除去過程がカーボン・ナノ構造を完全に破壊しない限りどのような除去過程を使用してもよい。いくつかの場合には、精製過程で中間体ナノ構造から少なくとも部分的にはある炭素質材料を除去することが有利となることさえある。
精製過程の間、酸化剤および酸は炭素質材料の表面上に、それらのみに限定されているわけではないが、カルボン酸エステル、カルボニル、および/またはエーテル基のようなヒドロニウム基および酸化基を導入する傾向がある。カーボン・ナノ構造、カーボン・ナノ構造と混合したグラファイト、および/または残存しているグラファイト構造を有さないアモルファス・カーボンの表面上に官能基が存在する可能性があると信じられている。
(v)中間体カーボン材料の表面からの官能基の除去
場合によっては、中間体カーボン材料の表面にある官能基は、熱処理ステップおよび/または中和するための塩基を使用して除去することができる。表面官能基の除去および/または表面官能基の中和は、典型的には官能基の除去または中和が高分子材料中へのカーボン・ナノ材料の分散を改善し、および/または複合材料の性質を改善する場合に行われる。
中間体カーボン材料の表面上の官能基は、熱処理ステップを使用して除去することができる。熱処理ステップは、除去する必要がある特定の官能基に依存して選択した温度で有利に実行される。一般に、熱処理温度が高いほど除去できる官能基の種類は多くなる。精製に続く熱処理ステップは、約100℃より高い温度、より好ましくは約200℃より高い温度、最も好ましくは約500℃より高い温度で行うことができる。
場合によっては、精製に続く熱処理をアモルファス・カーボンの炭化を行うのに十分な温度で行うことができる。驚くべきことに、精製後に中間体カーボン材料を炭化温度に加熱すると、残存するどのようなアモルファス・カーボンでもそのかなりの部分を都合よくグラファイトに変換できる。精製ステップにおいてアモルファス・カーボンのかなりの割合を除去し、その精製された材料を炭化することによって、残存するカーボンをより容易にグラファイトに変換することができることが見出された。
この第二の炭化ステップで形成されたグラファイトを、カーボン・ナノ構造や二次カーボン・ナノ構造(例えばナノスフィアのぶどう状の凝集体)に添加することができ、またはカーボン・ナノ構造と混合された遊離グラファイトとすることができる。残存するアモルファス・カーボンをグラファイトに変換することはカーボン・ナノ構造のグラファイト純度をかなり増加させる。高純度カーボン・ナノ材料は、単一炭化ステップで同一な水準の純度を達成する試みと比較して、この発明の2ステップ炭化法を使用することでより効率的に作成することができる。
もう一方の実施形態において、または付加的な熱処理ステップに加えて、それに限定されるものではないがヒドロニウムイオンのようないくつかの官能基が、中間体カーボン材料から中和するための塩基を使用して除去される。この実施形態では、中間体カーボン材料は一つまたはそれ以上の中和するための塩基を含む溶液と混合される。適切な塩基としては、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムを含む水酸化物、アンモニア、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、NaHCO3,KHCO3,Na2CO3、K2CO3など、およびそれらの組み合わせが含まれる。塩基とヒドロニウム基との反応は、水洗によって除去できる副生成物を生成する可能性がある。
1つの実施形態では、中間体カーボン材料を洗浄液中に浸すことによって官能基が除去される。追加の塩基を洗浄液中にpHが所望の、より中性側のpHに到達するまで添加することができる。1つの実施形態では、洗浄液は約5.0から約8.0のpH範囲に、またはそのかわりに約6.0から約7.5のpH範囲になるまで中和される。
カーボン・ナノ材料から官能基を除去する過程は、カーボン・ナノ構造、アモルファス・カーボン(グラファイト状または非グラファイト状)、または精製された中間体カーボン材料のいずれかの他の成分における官能基の除去に使用することができる。1つの実施形態では、官能基はカーボン・ナノ材料の部分を形成するカーボン・ナノ構造または他のグラファイト材料から除去される。高温熱処理ステップは、もしナノ材料から官能基を除去するのに加えて、鉄のようなある種の不純物を除去することが望まれるならば、高温熱処理ステップもまた有利となりうる。
ナノスフィアは他の適切な技術を使用しても製造される。本発明において適切に利用できるナノ材料製造法は、非特許文献1とともに、いずれも本出願人による出願継続中の特許文献2および特許文献3に開示されており、そのすべての内容をそのまま本願に引用して援用する。
C.添加剤
複合材料に所望の性質を付与し、および/またはカーボン・ナノスフィアを高分子中に分散するために、フィラーまたは分散剤のような添加剤を高分子材料に添加することができる。本発明ではどのようなフィラー材料を使用してもよい。適切なフィラーとしては、カーボンブラック、シリカ、けいそう土、粉砕石英、タルク、粘土、マイカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ガラス粉、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸亜鉛、酸化チタン、アルミナ、ガラス繊維、他のカーボン繊維、および有機繊維が含まれる。他の適切な添加剤としては、軟化剤、可塑剤、成形助剤、潤滑剤、劣化防止剤、およびUV吸収剤が含まれる。
II.カーボン・ナノスフィアを導入した複合材料の作製法
本発明の複合材料は、ある量のカーボン・ナノスフィアを高分子材料、および場合によってはフィラーおよび分散剤のような一つまたはそれ以上の添加物と混合することによって形成される。カーボン・ナノスフィアは複合材料の約0.1重量%から約70重量%の範囲で、より好ましくは約0.5重量%から約50重量%の範囲で、最も好ましくは約1.0重量%から約30重量%の範囲で高分子材料と混合することができる。
カーボン・ナノスフィアは、実質的に純粋な形で高分子材料に添加することができる。その一方で、カーボン・ナノスフィアは、カーボン・ナノ材料の一成分として高分子材料に添加することもできる。1つの実施形態では、カーボン・ナノスフィアは少なくともカーボン・ナノ材料の約2重量%、より好ましくは少なくとも約10重量%、最も好ましくは少なくとも約15重量%である。
本発明の高分子材料と混合する場合、カーボン・ナノスフィアはナノスフィアの回転楕円体の形によるユニークな利点を与える。繊維状であるカーボン・ナノチューブとは対照的に、カーボン・ナノスフィアはより粒子状に近い形状を有している。発明のいくつかの実施形態において、粒子状の形は繊維含有複合材料よりはむしろ粒子状フィラーによく似た特性を複合材料に付与する。
カーボン・ナノスフィアは高分子材料に所望の性質を与える量だけ添加することができる。例えば、カーボン・ナノスフィアは高分子材料に電気伝導性を与え、そして/または表面抵抗を低減する量だけ添加することができる。驚くべきことに、表面電気抵抗の所望の低減を実現するために必要なカーボン・ナノスフィアの量は、その抵抗の同じ低減を達成するために必要なカーボン・ナノチューブまたはカーボンブラックの量よりもかなり少ない。カーボン・ナノチューブに比較し改善されたパーコレーションを可能とするより均一な粒子の網目により、上記カーボン・ナノ材料が上記改善を示すと信じられている。低い表面抵抗は、特に研磨表面において顕著である。1つの実施形態では、この発明の高分子複合材料は、カーボン・ナノスフィアの約0.5重量%から約7重量%、より好ましくは約1重量%から約5重量%の範囲の充填で、約1×104から約1×106(Ω/sq)の範囲の表面抵抗を示す。
電気伝導性に加えて、カーボン・ナノスフィアは高分子材料中に難燃剤として導入することができる。
本発明の複合材料を作製する方法としては、いずれかの既知の方法を使用することができる。発明の1つの実施形態では、複合材料は高分子材料を溶融してその後高分子とカーボン・ナノ材料とを混合することによって製造される。その一方で、カーボン・ナノスフィアが存在する状態で高分子材料を作成する(すなわち重合する)こともできる。
例えば、高分子材料のペレットまたは粉、および所望の量のカーボン・ナノスフィアを乾式ブレンドまたは湿式ブレンドし、その後加熱しながらロールニーダで混合することができる。その一方で、複合材料をロープとして押出し次いでペレットに切断するために、混合した複合材料を押出し成形機に供給することもできる。
一方で、カーボン・ナノスフィアは溶液または樹脂ディスパーションとして液体の媒体中でブレンドすることもできる。また、複合材料を湿式マスターバッチ法で混合することもできる。熱硬化性樹脂を使用する場合には、カーボン・ナノスフィアは個別の重合可能な材料に適切ないずれかの既知の方法でモノマーまたはオリゴマーと混合することができる。
高分子材料中のナノスフィアの分散性を改善するために、グラファイト状カーボンとともに使用する場合に適切ないずれかの既知の方法および材料を使用することができる。さらに、所望の形状に成形する方法としては、押出し成形、ブロー成形、射出成形、またはプレス成形のようないずれかの既知の方法を使用することができる。
本発明の複合材料は、電気伝導性および/または黒色性を有する発泡樹脂を得るために発泡剤を添加することによって発泡製品にすることができる。前述のさまざまな高分子材料のどのようなものでも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのような熱可塑性樹脂と同様な発泡製品を作成する事ができるが、熱可塑性高分子材料が好適である。発泡剤としては、ブタンのような気体と同じくさまざまな樹脂発泡剤、有機溶媒を使用することができる。
本発明の範囲に含まれる電気伝導性発泡体を製造する方法としては、どのような既知の方法を使用してもよい。例えば、熱可塑性樹脂が使用される場合、樹脂は溶融され押出し成形機により所望の量のカーボン・ナノスフィアと混合される。それから、ブタンのような気体が高分子材料中に注入される。代替法として気体の代わりに化学発泡剤を使用することもできる。
本発明の範囲に含まれる配合物は、他の基板表面に電気伝導性および/または黒色性を付与するための塗料としても有用である。適切な基板としては、さまざまな樹脂、エラストマー、ゴム、木材、無機材料などが含まれる。加えてこれらの材料はさらに成形あるいは発泡させることができる。
本発明の範囲に含まれるこのような配合物の被覆膜の望ましい厚みは0.1ミクロンより大きい。
III.実施例
以下の実施例が本発明の1つの実施形態に基づきカーボン・ナノ構造を含むカーボン・ナノ材料を作製するための処方を提供する。
実施例1
実施例1は、カーボン・ナノスフィアを含むカーボン・ナノ材料の調製法を記述する。
(a)鉄溶液(0.1M)の調製
0.1M鉄溶液は、84gの鉄粉末、289gのクエン酸、および15Lの水を使用して調製される。鉄を含む混合物は、混合を再開する前にボトルの蒸気空間を空気でパージするための1日あたり1回か2回の短い中断を挟んで、閉じたボトルの中攪拌テーブル上で3日間混合される。
(b)前駆体混合物の調製
916.6gのレゾルシノールと1350gのホルムアルデヒド(37%水溶液)を丸底フラスコに入れる。レゾルシノールが完全に溶解するまで溶液を攪拌する。ステップ(a)で調製された15Lの鉄溶液をかき混ぜながらゆっくりと加え、それから1025mlの水酸化アンモニウム(28−30%水溶液)を激しく攪拌しながら滴下すると、得られた懸濁液のpHは10.26となる。このスラリを80−90℃(水浴)で10時間硬化させる。ついで固体のカーボン前駆体混合物をろ過により集めオーブン中で一晩乾燥させる。
(c)炭化
重合した前駆体混合物をふたつきるつぼ中にいれ加熱炉中に移す。炭化過程は、十分な窒素気流のもと次のような温度プログラムを使用して行われる:室温→20℃/minの速度で1160℃→1160℃で5時間保持→室温。炭化ステップは、カーボン・ナノ構造、アモルファス・カーボン、および鉄を含む中間体カーボン材料を与える。
(d)アモルファス・カーボンと鉄を除去するための精製
炭化したカーボン生成物(すなわち中間体カーボン材料)の精製は次のように行われる:5MのHNO3中で約12時間炭化生成物を還流→脱イオン(DI)−H20で洗浄→モル比1:0.01:0.003のKMnO4+H2SO4+H2O混合液による処理(約90℃で約12時間保持)→DI−H20で洗浄→4MのHClで処理(約90℃で約12時間保持)→DI−H20で洗浄→生成物を収集しオーブン中約100℃で2日間乾燥。
(e)表面官能基の低減のための熱処理
精製過程の後、カーボン生成物は表面官能基を最小にし、グラファイト含量を増加させるため熱処理を受ける。この処理のために使用される温度プログラムは、次のとおりである:室温から4℃/minで加熱→100℃→100℃で2時間保持→15℃/minで250℃→250℃で2時間保持→15℃/minで1000℃→1000℃で2時間保持→室温。この熱処理過程により主としてカーボン・ナノスフィアから構成されるカーボン・ナノ材料が得られる。
次に実施例1で製造されたカーボン・ナノ材料は、SEMおよびTEMで解析された。カーボン・ナノ構造のSEM画像が図1Aおよび1Bに示され、複数のカーボン・ナノスフィアが凝集してぶどう状の形を有するクラスタを形成することが明らかにされた。図2および3のTEM画像はこのぶどう状のクラスタが複数の小さな、中空のグラファイト状のナノ構造またはカーボン・ナノスフィアから構成されていることを示す。
X線回折を使用して実施例1のカーボン・ナノ構造のグラファイト含有量を調べた。図4は、実施例1のカーボン・ナノ材料のX線回折パターンを示すグラフである。約26°にある幅広いピークは、グラファイト状ナノ構造の短距離秩序によるものである。これは、非常に狭いピークを有する傾向がある典型的なグラファイトシートの回折パターンと対照的である。アモルファス・カーボンは20°に回折ピークを有する傾向があるので、約26°にある幅広いピークはまたこの材料がグラファイト状であることを示唆する。
熱処理過程(e)の際のさまざまな温度におけるカーボン・ナノ材料のグラファイト含有量を決定するためにラマン分光を使用した。試料Aは、熱処理温度1000℃でカーボン・ナノ材料から採取され、試料Bは、600℃への熱処理の際に採取されたもので、試料Cは、熱処理を行っていない試料である(すなわち、試料Cはステップ(d)の精製された中間体カーボン材料である)。ラマン分光の結果を図5に示す。図5のグラフは、1つは1354cm-1、他は1581cm-1にある二つの重要なピークを有する。このグラフに示されるように、熱処理された試料AおよびBは1354cm-1により大きなピークを示す。これらのピークは、アモルファス・カーボンがグラファイト状で、それ故燃え尽きてはいない(すなわち重量減少が少ない)ことを示唆する。対照的に、試料Cに対する1354cm-1のピークは、かなりの重量減少を示し、グラファイト状ではないアモルファス・カーボンであることを示唆する。したがって、官能基の除去に加えて熱処理ステップは、どのような残存カーボンについてもグラファイト含有量を増加させるのに有効である。驚くべきことに、この変換は比較的低い温度、例えば500℃から1400℃の間で起こりうる。
本発明に従い付加的な熱処理ステップを使用して製造されたカーボン・ナノ材料のより高いグラファイト含有量は,優れた伝導性と純度を有するカーボン・ナノ材料をもたらす。グラファイト濃度の改善に加えて、熱処理は鉄のような他の不純物を大幅に低減させる。
実施例2
実施例2は、ステップ(e)で熱処理ステップが中和のための塩基処理で置き換えられることを除いて、実施例1と同じ方法で製造されるカーボン・ナノ材料について記述する。
実施例1のステップ(d)で得られた精製されたカーボン材料の一部を十分な量のDI−H2Oと混合し、ついで5MのNaOHを滴下して溶液のpHを約7.0に保った。得られたカーボン・ナノ材料をろ別して収集し、Na+イオンを取り除くため十分な量のDI−H2Oで洗浄した。最終生成物を集めオーブン中約100℃で2日間乾燥した。
実施例3:比較例
比較の目的で、実施例1のステップ(d)で得られた精製されたカーボン材料の一部を集め、実施例1のステップ(e)に記述されている熱処理ステップも、実施例2の中和のための塩基処理も省略した。
中和ステップの間に何らかの構造変化が起こっているかどうか決定するために、実施例2および3のカーボン・ナノ構造のTEM画像を得た。実施例3(すなわち中和前)のカーボン材料のTEMである図6と比較した場合、実施例2(すなわち中和後)のカーボン材料のTEMである図7は、カーボン・ナノ構造にいかなる有害な影響も与えていないことを示している。
実施例2の酸のないカーボン・ナノ材料の有利な性質は、酸のないナノ材料を高分子中に導入し、それを酸性官能基が存在することを除けば同じであるナノ材料を含む高分子と比較することによって説明することができる。このシナリオを試すために、実施例2および3のカーボン・ナノ材料を別々に高分子と混合した。図8は、酸性官能基を有するカーボン・ナノ材料を含む高分子を示す。この高分子は、その表面にかなりのブリスタリング(水ぶくれ)と不規則性を示す。対照的に、実施例2の中和したカーボン・ナノ材料を含む高分子は滑らかな表面を示す。
本発明は、その精神と本質的な特性から外れなければ、他の特有な形でも実施することができる。記述された実施形態は全ての面で解説的なものであって、制約的なものではないと考えるべきである。したがって、発明の範囲は上記の記述によるよりはむしろ付記された請求項によって指示される。請求項の意味と等価性の範囲に含まれるすべての変更は、請求項の範囲に包含されるべきである。
本発明の一実施形態に従い形成されたカーボン・ナノ材料の高分解能SEM画像であり、複数のナノスフィア・クラスタを含む図である。 カーボン・ナノ構造の個々のクラスタを示すさらに詳細な高分解能SEM画像であり、破壊された内部があらわとなった1つのクラスタから、複数のカーボン・ナノ構造がクラスタを構成している図である。 図1Aのカーボン・ナノ構造の高分解能TEM画像であり、複数のカーボン・ナノ構造が互いに凝集し、クラスタを形成するカーボン・ナノ構造の多重壁および中空特性を明らかにする図である。 高分解能TEM画像であり、触媒鋳型ナノ粒子をその中心に有するカーボン・ナノ構造のクローズアップを示す図である。 図1Aのカーボン・ナノ構造のX線回折強度を示す図である。 本発明に従い製造されたカーボン・ナノ材料のラマンスペクトルを示すグラフであり、異なった熱処理の結果、異なったカーボン・ナノ材料を生成することを示す図である。 本発明に従い製造されたが、官能基を除去するための処理を行っていない、精製された中間体カーボン材料の高分解能TEMである図である。 官能基を除去するために塩基で処理された図6のカーボン・ナノ材料の高分解能TEMを示す図である。 図6の精製された中間体カーボン材料をその中に含む高分子の画像を示す図である。 図7のカーボン・ナノ材料をその中に導入した高分子の画像を示す図である。

Claims (26)

  1. 複合材料であって、
    高分子または重合可能な材料を含む高分子材料と、
    複数のカーボン・ナノスフィアが複合材料の少なくとも約0.1重量%を含むことを特徴とする前記高分子材料中に分散された複数のカーボン・ナノスフィアと
    を含むことを特徴とする複合材料。
  2. 前記カーボン・ナノスフィアは、外径が約1ミクロン未満の中空で多重壁の粒子を含むことを特徴とする請求項1に記載の複合材料。
  3. 前記カーボン・ナノスフィアは、前記複合材料の少なくとも約0.5重量%を含むことを特徴とする請求項1に記載の複合材料。
  4. 前記カーボン・ナノスフィアは、前記複合材料の少なくとも約1重量%を含むことを特徴とする請求項1に記載の複合材料。
  5. 前記カーボン・ナノスフィアが、前記複合材料中のカーボン・ナノ材料の全重量の少なくとも約2重量%を含むことを特徴とする、カーボン・ナノスフィア以外のカーボン・ナノ材料、およびカーボン・ナノスフィアに付け加えたカーボン・ナノ材料をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の複合材料。
  6. 前記カーボン・ナノスフィアは、前記複合材料中のカーボン・ナノ材料の全重量の少なくとも約3重量%を含むことを特徴とする請求項5に記載の複合材料。
  7. 前記カーボン・ナノスフィアは、前記複合材料中のカーボン・ナノ材料の全重量の少なくとも約15重量%を含むことを特徴とする請求項5に記載の複合材料。
  8. 前記高分子材料は、ポリアミン、ポリアクリル酸エステル、ポリブタジエン、ポリブチレン、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エチレンビニルアルコール、フッ素系高分子、アイオノマー、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、縮合系高分子、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリールエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフタールアミド、ポリフタールイミド、ポリスルホン、ポリアリールスルホン、アリル樹脂、メラミン樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、液晶高分子、ポリオレフィン、ポリエステル、シリコーン、ポリウレタン、エポキシ、セルロース系高分子、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される高分子を含むことを特徴とする請求項1に記載の複合材料。
  9. 前記高分子材料は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、アクリロニトリル−エチレン/プロピレン−スチレン、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸メチル−スチレン、アクリロニトリル−アクリル酸n−ブチル−スチレン、ゴム改質ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、酢酸セルロース樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリケトン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、フッ素樹脂、シリコーン、ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリアミドエラストマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される熱可塑性高分子材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の複合材料。
  10. 前記高分子材料は、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒドラテックス、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、アニリン樹脂、フラン樹脂、ポリウレタン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される熱硬化性高分子材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の複合材料。
  11. 高分子または重合可能な材料およびそれと混合されるカーボン・ナノ材料とを含む複合材料であって、前記複合材料は、
    カーボン前駆体および触媒金属を含む複数の鋳型ナノ粒子を含む、前駆体混合物を形成するステップと、
    複数のカーボン・ナノ構造、アモルファス・カーボン、および場合によっては残存する触媒金属を含む中間体カーボン材料を形成するための前記前駆体混合物を炭化するステップと、
    カーボン・ナノ材料を得るために、アモルファス・カーボンの少なくとも一部および場合によっては残存触媒金属の一部を除去することによって、前記中間体カーボン材料を精製するステップと、
    前記カーボン・ナノ材料を、液体状のまたは可塑化条件にある熱可塑性高分子または重合可能な材料と混合し、前記熱可塑性高分子または重合可能な材料が前記複合材料を生成するように固化させるかまたは固化に導くステップと
    を含む方法で製造されることを特徴とする複合材料。
  12. 前記カーボン・ナノ材料を製造する前記方法が、
    (i)前記精製された中間体カーボン材料を約100℃より高い温度に加熱するステップおよび/または、
    (ii)前記精製された中間体カーボン材料を塩基で処理するステップにより、
    前記精製された中間体カーボン材料の表面から官能基を除去するステップをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の複合材料。
  13. 前記カーボン・ナノ材料を製造する前記方法が、前記精製された中間体カーボン材料を約200℃より高い温度に加熱するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の複合材料。
  14. 前記カーボン・ナノ材料を製造する前記方法が、前記精製された中間体カーボン材料を約500℃より高い温度に加熱するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の複合材料。
  15. 前記カーボン・ナノ材料を製造する前記方法が、前記精製された中間体カーボン材料を約1000℃より高い温度に加熱するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の複合材料。
  16. 前記カーボン・ナノ材料を製造する前記方法が、前記精製された中間体カーボン材料を水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムで処理するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の複合材料。
  17. 前記複合材料は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、アクリロニトリル−エチレン/プロピレン−スチレン、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸メチル−スチレン、アクリロニトリル−アクリル酸n−ブチル−スチレン、ゴム改質ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、酢酸セルロース樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリケトン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、フッ素樹脂、シリコーン、ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリアミドエラストマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される高分子を含むことを特徴とする請求項11に記載の複合材料。
  18. 複合材料を作製する方法であって、
    液体状のまたは可塑化条件にある熱可塑性高分子または重合可能な材料を供給するステップと、
    3重量%以上のカーボン・ナノスフィアを含むグラファイト状物質を、約1重量%から50重量%の間で前記熱可塑性高分子または重合可能な材料中に混合するステップと、
    前記熱可塑性高分子または重合可能な材料が前記複合材料を生成するように固化させるかまたは固化に導くステップと
    を含むことを特徴とする複合材料を作製する方法。
  19. 前記複合材料が、熱可塑性高分子から形成される方法において、前記方法が前記グラファイト状物質との混合の前または混合に際し、前記の液体状または可塑化条件になるように前記熱可塑性高分子を前記熱可塑性高分子の融点またはガラス転移温度より高い温度に加熱するステップと、その後、前記熱可塑性高分子を冷却して前記複合材料を生成するステップとを含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
  20. 前記熱可塑性高分子は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、アクリロニトリル−エチレン/プロピレン−スチレン、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸メチル−スチレン、アクリロニトリル−アクリル酸n−ブチル−スチレン、ゴム改質ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、酢酸セルロース樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリケトン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、フッ素樹脂、シリコーン、ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリアミドエラストマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項19に記載の方法。
  21. 前記複合材料が、最初は液体状または可塑化条件にあり、引き続き重合して高分子材料を形成する重合可能な材料から形成されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
  22. 前記重合可能な材料は、ポリアクリル酸エステル、ポリブタジエン、ポリブチレン、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エチレンビニルアルコール、フッ素系高分子、アイオノマー、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、縮合系高分子、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリールエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフタールアミド、ポリフタールイミド、ポリスルホン、ポリアリールスルホン、アリル樹脂、メラミン樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、液晶高分子、ポリオレフィン、ポリエステル、シリコーン、ポリウレタン、エポキシ、セルロース系高分子、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される高分子材料を形成するのに適切なモノマーまたはオリゴマーを含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
  23. 前記カーボン・ナノスフィアが次のステップ、
    (i)複数の鋳型ナノ粒子の存在のもとでカーボン前駆体の重合により一つまたはそれ以上の中間体カーボン・ナノスフィアを形成するステップと、
    (ii)複数の複合体ナノ構造を形成するため前記中間体カーボン・ナノスフィアを炭化するステップと、
    (iii)場合によっては、前記カーボン・ナノスフィアを得るため前記複合体ナノ構造から前記鋳型ナノ粒子を除去するステップと
    に従って製造されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
  24. 前記鋳型ナノ粒子は、鉄、ニッケル、またはコバルトのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項23に記載の方法。
  25. 炭化が、約500℃から約2500℃の間の温度で行われることを特徴とする請求項23に記載の方法。
  26. 前記鋳型ナノ粒子が、前記複合体ナノ構造から酸、塩基、またはその双方によるエッチングによって除去されることを特徴とする請求項23に記載の方法。
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