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JP7315464B2 - 非含浸セル型炭素ナノ構造体を含む複合材 - Google Patents

非含浸セル型炭素ナノ構造体を含む複合材 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2017年3月15日に出願された米国特許仮出願第62/471,711号の優先権を主張するものであり、この仮出願は引用によりその全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。また、本出願は、2017年1月19日に出願された米国特許仮出願第62/448,129号(現在はPCT/US18/14549)、および米国特許仮出願第62/294,751号(現在はPCT/US17/17537)に関するものであり、これらの仮出願もまた、どちらも引用によりその全体があらゆる目的のために組み込まれる。
ナノ構造化炭素をより大きな不均一系の構造体中に配したナノコンポジットが提案されている。特に、いろいろな種類のsp-混成炭素ナノ粒子が、構造物、電池およびディスプレイ技術に使用される複合材の構造特性および電子特性を改善できるその可能性のため、広く研究されている。「ゼロ次元」炭素ナノ構造体、例えばバックミンスターフラーレンおよびカーボン量子ドットは、ここ数十年間、研究活動が盛んな対象となっている。いわゆる「1次元」炭素ナノ構造体、例えば、カーボンナノチューブおよびカーボンナノファイバーは、より最近になって研究されてきており、「2次元」炭素ナノ構造体、例えばグラフェンナノプレートレットもそうである。このような低次元(すなわち、0D、1Dまたは2D)炭素の研究により、その桁外れの強度重量比および電子特性が明らかになり、該炭素を他の材料中に配することにより、望ましい特性を有する複合材が創製されるであろうことが示唆される。しかしながら、低次元幾何構造を有する粒子では、多くの場合、3次元幾何構造を有する粒子と比べて課題が提示される。例えば、低次元幾何構造を有する粒子は凝集または絡合する傾向にあり、マトリックス全体に一様に分散させることが困難であり得る。
他方において、多孔質構造を有する炭素では、低次元粒子の好都合な属性が、低次元粒子の幾何構造に付随する課題を伴うことなく組み込まれる可能性を有する。2D書記素から構築された3D物体の推定モデリングは特に、際立った圧縮強度重量比を示す。仮想例の1つは、球面として2Dグラフェンによって形成された中空3D球体である。現実世界における例としては、自己組織化グラフェンエアロゲルが挙げられる。しかしながら、3Dグラフェンのアセンブリは合成することが困難であり、制御可能な空孔形態構造を有しない場合があり得る。また、かかるアセンブリは、その多孔性および電気伝導率のため、電気化学的用途に特によく適したものであり得る。
本明細書において記載するのは、テンプレート式キャビティ形態構造を有する非含浸セル型炭素が組み込まれた新規な分類の複合材料である。一部の実施形態は、ポリマー系、金属系またはセラミック系または熱分解炭素系のバインダーのうちの1種類以上を含むバインダーとナノ構造化炭素とを含む複合材を含む。該ナノ構造化炭素は、テンプレートによって形成された構造部を有する1つ以上のセル壁および1つ以上のキャビティを備えたものであり得る。各キャビティは、該1つ以上のセル壁で実質的に囲まれており、液体または固体が実質的に含浸されていないものであり得る。該1つ以上の壁の大部分は100nm以下の厚さを有するものであり得る。該キャビティの大部分は10nm以上の直径および10:1より実質的に小さいアスペクト比を有するものであり得る。該セル型構造体の大部分は1mm以下の直径を有するものであり得る。該複合材はテンプレート指向型(directed)化学気相成長によって形成され得る。
一部の実施形態では、ポリマー系の該バインダーが熱可塑性物質であり得る。該熱可塑性物質は、以下:ポリ(メチルメタクリレート)、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリアミド、ポリ乳酸、ポリベンゾイミダゾール、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリオキシメチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエチレン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレン(polphenylene)スルフィド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、またはそのコポリマーのうちの少なくとも1種類を含むものであり得る。ポリマー系の該バインダーは熱硬化性ポリマーを含むものであってもよい。該熱硬化性ポリマーは、以下:ポリエステル、ポリウレタン、ポリウレア、フェノール-ホルムアルデヒド、尿素ホルムアルデヒド、エポキシ、ベンゾオキサジン、ポリイミド、ビスマレイミド、ポリシアヌレート、ポリシロキサン、ビニルエステル、またはそのブレンドのうちの少なくとも1種類を含むものであり得る。
一部の実施形態では、該ナノ構造化炭素が重量基準で複合材の1%、10%、50%以下を構成し得る。該ナノ構造化炭素は該バインダーに非共有結合され得る。該ナノ構造化炭素は電気伝導性であり得る。
一部の実施形態では、該複合材が粉末であり得る。該複合材は該バインダーの密度より実質的に小さい密度を有するものであり得る。該複合材は0.80g/cm以下の密度を有するものであり得る。該複合材は0.50g/cm以下の密度を有するものであり得る。
一部の実施形態では、該複合材が該バインダーの10%歪み時の圧縮強度より140%超大きい10%歪み時の圧縮強度を有するものであり得る。該複合材は該バインダーの10%歪み時の圧縮強度より600%超大きい10%歪み時の圧縮強度を有するものであり得る。該複合材は該バインダーの最大引張強度より140%超大きい最大引張強度を有するものであり得る。該複合材は該バインダーの圧縮弾性率より640%超大きい圧縮弾性率を有するものであり得る。該複合材は10%該バインダーの歪み時の比強度より400%超大きい10%歪み時の比強度を有するものであり得る。該複合材はバインダーの10%歪み時の比強度より790%超大きい10%歪み時の比強度を有するものであり得る。該複合材は該バインダーの比最大圧縮強度より400%超大きい比最大圧縮強度を有するものであり得る。該複合材は該バインダーの比最大圧縮強度より790%超大きい比最大圧縮強度を有するものであり得る。該複合材は該バインダーの比弾性率より470%超大きい比弾性率を有するものであり得る。該複合材は該バインダーの比弾性率より810%超大きい比弾性率を有するものであり得る。
一部の実施形態は、ポリマー系、金属系またはセラミック系または熱分解炭素系のバインダーのうちの1種類以上を含むバインダーとナノ構造化炭素とを含む膜または被覆材を含む。該ナノ構造化炭素は、テンプレートによって形成された構造部を有する1つ以上の壁および1つ以上のキャビティを備えたものであり得る。各キャビティは、該1つ以上の壁で実質的に囲まれており、液体または固体が実質的に含浸されていないものであり得る。該1つ以上のセル壁の大部分は100nm以下の厚さを有するものであり得る。該キャビティの大部分は10nm以上の直径および10:1より実質的に小さいアスペクト比を有するものであり得る。該セル型構造体の大部分は1mm以下の直径を有するものであり得る。
なおさらなる実施形態は、ポリマー系、金属系またはセラミック系または熱分解炭素系のバインダーのうちの1種類以上を含むバインダーと、構造体を有するナノ構造化炭素とを含む成型鋳造物を含む。該ナノ構造化炭素は、テンプレートによって形成された構造部を有する1つ以上の壁および1つ以上のキャビティを備えたものであり得る。各キャビティは、該1つ以上の壁で実質的に囲まれており、液体または固体が実質的に含浸されていないものであり得る。該1つ以上のセル壁の大部分は100nm以下の厚さを有するものであり得る。該キャビティの大部分は10nm以上の直径および10:1より実質的に小さいアスペクト比を有するものであり得る。該セル型構造体の大部分は1mm以下の直径を有するものであり得る。
関連するPCT/US18/145には、テンプレート式炭素の形態構造を利用して2D炭素の形体間に制御可能な間隔を定めるという2D形体と3D形体の両方を有する3Dナノ複合材網目が記載されている。このような形体としては、テンプレート指向型合成によって形成される炭素材料のセルとキャビティが挙げられる。本明細書において、「セル」は、内部キャビティを含むテンプレート式炭素構造体を示すために用いている。セルは、炭素粉末(例えば、S1~S3)内または複合(例えば、C1およびC2)材料中の包埋構造物としてのいずれかで存在し得る。セルは一般的に、これを形成するために使用されるテンプレートの形態学的特性を継承する。したがって、これが組み込まれたナノコンポジットを本明細書では「セル型炭素」ナノコンポジットと称する。セルにより、制御可能な間隔を有する3D構造体がもたらされる。PCT/US18/145では、セルに、複合材の特性を改変させる液体材料または固体材料が「含浸」または充満されている。固体材料または液体材料でのセルの含浸は意図的であり得る。また、これは偶発的に起こるものであってもよい。例えば、セルは、セル壁内の空孔または裂け目への液体の浸潤によって含浸状態になる場合があり得る。
「非含浸」セル型複合材、または固体材料または液体材料ではなくガスが充満されているかまたは空隙がたくさんあるセルを有する複合材は、さらにより好都合な強度重量比がもたらされる可能性を有する。具体的には、非含浸セル型複合材では、セル型炭素フレームワークの構造剛性がもたされ得ると同時に、そのガス充満または空隙がたくさんのセル構造によって重量および密度が小さくなる。
本明細書に記載の複合材料は、ある範囲の炭素重量分率(例えば、1%未満~50%超過)を有するものであり得る。セルはマトリックス全体に分散されていてもよい。あるいはまた、マトリックス全体に高密度に充填されていてもよい。該複合材は、粉末、顆粒状粉末、ペレットまたは液状分散体の形態であり得る。該複合材は成型、被覆または印刷され得る。
一態様は、向上した物理的、機械的、電気的および熱的特性を有し、いくつかの製造方法を用いて部材が製作され得る新しい分類の複合材料を提供することである。
密度の低下に加えて、非含浸セル型炭素は、含浸セル型炭素と比べて、特にナノ複合材用途で利点もたらし得る。例えば、非含浸セル型炭素は含浸セル構成で構成されたナノコンポジットよりも曲げおよび運動エネルギーの吸収に対してより大きな自由度を有し得る。また、非含浸炭素は、低電子散乱プロフィールおよび低電気抵抗を示し得、電気的ナノ複合材用途に対して利点をもたらし得る。また、高多孔性非含浸セル型炭素は、断熱が望ましい用途において熱伝導率が小さくなるように工学設計され得る。当業者には、以下の詳細説明からさらなる利点および用途は、容易に明らかとなろう。
本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成する添付の図面は実施例を図示したものであり、上記に示した一般説明および以下に示す詳細説明と一緒に本開示の系および方法の特長の説明に役立つ。
図1Aは、ネスケホナイトテンプレート前駆体の走査型電子顕微鏡法(SEM)顕微鏡写真である。 図1Bはネスケホナイト粉末の焼成により得られたMgOテンプレートのSEM顕微鏡写真である。 図1Cはネスケホナイト由来MgOテンプレートで成長させたセル型炭素構造体のSEM顕微鏡写真である。 図2Aは、S1炭素粉末のセル型炭素粒子を示すSEM顕微鏡写真である。 図2Bは、該粒子のアスペクト比の計算を可能にするための、図1Dに示したS1粒子100の拡大である。 図2Cは、S1炭素粉末のセル型炭素粒子を示す高倍率のSEM顕微鏡写真である。 図2Dは、セル壁120aを示す図2Bの一部の高倍率拡大図である。 図3AはS2炭素粉末のセル型炭素粒子のSEM顕微鏡写真である。 図3Bは、セル型炭素粒子の少量相内に閉じ込められた未抽出のMgOテンプレート材料を示す図3Aの一部の高倍率拡大図である。このような含浸セルは透明性が低く見える。 図4は、セル壁内の横空孔がほぼ透明なカーボンシートで覆われた1つの炭素セルのSEM顕微鏡写真である。 図5はS3炭素粉末のセル型炭素粒子のSEM顕微鏡写真である。 図6は緻密化前のC1複合材粉末のSEM顕微鏡写真である。 図7は、圧縮成型C1サンプル試験片のクライオイオンビームミリング断面のSEM顕微鏡写真である。大きくて不揃いなミクロンスケールの空孔が複合材全体に分布している。 図8は圧縮成型C1サンプル試験片のクライオイオンビームミリング断面のSEM顕微鏡写真である。S1セルキャビティに対応するセル内または内包的多孔性、ならびにより大きなセル間空隙が観察され得る。 図9Aは圧縮成型C1サンプル試験片のクライオイオンビームミリング断面のSEM顕微鏡写真である。疑似網目セルのクラスターが観察され得る。 図9Bは図9Aのセルのうちの1つの拡大画像である。 図10は、重量基準で10%のセル型炭素と90%のCPOで構成された圧縮成型複合材のクライオイオンビームミリング断面のSEM顕微鏡写真である。この画像は含浸セルと非含浸セルの外観の対比を示す。 図11は、250,000psiの一軸圧縮に供された後のセル型炭素のSEM顕微鏡写真である。線形バックリングパターンが明白である。 図12は、結晶格子を有する崩壊した回転楕円体セル型炭素のSEM顕微鏡写真である。 図13は、CPOで被覆された回転楕円体セルで構成された複合材被覆材のSEM顕微鏡写真である。 図14は、乾燥C3被覆材から削り取られた複合材粒子のSEM顕微鏡写真である。
本明細書における実施例および説明は本質的に例証的であり制限的でないとみなされたい。セル型炭素粉末前駆体材料および複合材を調製する具体的な例示的方法を本明細書に記載しているが、本開示はかかる調製方法に限定されないことを理解されたい。セル型炭素は、本明細書に開示のいずれかの方法、ならびにPCT/US18/14549およびPCT/US17/17537(これらはどちらも引用により組み込まれる)に記載の方法のいずれかに従って調製され得ることを理解されたい。
以下の開示において、複合材および例示的なセル型炭素粉末の製造方法の実施形態を記載する。セル型炭素粉末は、100mmの外径(“OD”)を有するステンレス鋼フランジ、ガス供給口および1つのガス排出口を備えたMTI回転式チューブ炉内でのテンプレート指向型化学気相成長(“CVD”)によって合成され得る。プロセスガスはすべて、Praxair,Inc.製のものであり得る。
本明細書ではCVDを例示的な成長法として提示しているが、CVDは、本記載の様式でテンプレート式炭素を作製することができる多くの方法の一例にすぎないことを理解されたい。使用され得る他の例示的方法としては、例えば、テンプレートを有機またはポリマー前駆体殻で被覆した後、前駆体殻を熱分解するか、または酸化グラファイト状ナノプレートレットを固体-または液体状態のテンプレートに付着させることが挙げられる。各場合において、テンプレートの使用により、その周囲に合成されるセル型炭素に対して決定的な構造が賦与される。
上記のように、本明細書に記載のようなセル型炭素構造体のCVD成長はテンプレート指向型であり得る。テンプレートを使用して種々の実施形態の炭素粉末を形成することにより、粒子およびセルの構造が異なるセル型炭素が創製され得る。例示的なテンプレートとしてはMgO粉末が挙げられ、これは以下にさらに詳細に説明する。しかしながら、本開示は、かかるテンプレートの使用にも本明細書に記載のその他の具体的なテンプレートにも限定されないことを理解されたい。他の例示的なテンプレートとしては、限定されないが、MgO以外の酸化物(例えば、シリケートなどの混合型酸化物)、炭酸塩、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、ポリマー、エマルジョン中の液滴、および気泡が挙げられる。セル型炭素を成長させるための例示的な方法の一例、ならびにさらなるテンプレート材料はPCT/US17/17537にさらに詳細に記載されている。
セル型炭素の形態構造における他の違いは、特定のプロセスパラメータ、例えばテンプレートの予備CVD加熱を変えることにより得られ得る。かかるパラメータのバリエーションは、明示的に記載されていようがそうでなかろうが本開示の範囲内であることを理解されたい。
第1の実施形態において、炭素粉末サンプルは、「ネスケホナイト」(N-MgCO)ロッドの形態の水和型炭酸マグネシウム(MgCO)をテンプレート前駆体として用いて合成され得る。第1の実施形態による粉末を作出するために使用されるCVD手順の前に、ネスケホナイトが分解点まで「焼成」または加熱され得、COとHOが発生し、MgOテンプレートが得られ得る。プロピレン/アルゴン混合物がCVD供給ガスとして使用され得る。
図1A~1Bは、この実施形態の種々の段階におけるテンプレートの構造を示す。図1Aは、ネスケホナイトテンプレート前駆体T1の構造を示す。図1Aから、ネスケホナイト粒子t100がロッド形状であり、実質的に10:1より大きい高い「アスペクト比」(例えば、幅に対する長さ)を有することが容易に観察され得る。一部の場合では、ネスケホナイト粒子のアスペクト比が50:1より大きい。図1Bは、ネスケホナイトを焼成させることにより得られたMgOテンプレートT2を示す。特に、図1Bは、MgOの立方晶癖を有する離散型の形体を示す、得られたMgOの微細構造T2_FSを示す。図1Bには示されていないが、MgOテンプレートは、図1Aに示したネスケホナイト前駆体のロッド様の高アスペクト比の粒子構造を保持している。この微細構造およびロッド様粒子構造がセル型炭素構造体に賦与され、これは以下にさらに詳細に説明する。
第1の実施形態によれば、S1を作製するための手順は以下のとおりであり得る。N-MgCOは、重炭酸マグネシウム(Mg(HMgCO)溶液への室温空気のスパージングによって調製され得る。N-MgCOが溶液から濾過され、エバポレーションによって乾燥され得る。乾燥したN-MgCOはボールミリングに供され、その後300℃で一晩乾燥させた後、炭素作製用の基材として使用され得る。600gのN-MgCOが炉の加熱ゾーン内部の石英管(OD 100mm)内に装填され得る。この管は、直線的漸増的昇温、成長および冷却の段階中、2.5rpmの速度で回転され得る。反応器は室温から750℃の設定温度まで30分間かけて直線的漸増的に昇温され、その温度で30分間、500sccmのAr流下で、MgOテンプレートを作製するために維持され得る。次に、Ar流を変えずに保持したまま、165sccmのC流が開始され得る。これは30分間継続され得る。次いで、C流は中止され得、反応器は継続Ar流下で室温まで放冷され得る。
温度の直線的漸増的昇温および保持中に、MgCOは炭素成長用のMgOテンプレート/基材に変換され得る。炭素成長後、MgOテンプレートは塩酸(HCl)での酸エッチングによって抽出され得、水性塩化マグネシウム(MgCl)のブライン中に炭素を含むスラリーが得られ得る。次いでこの炭素はブラインから濾過され、脱イオン水で3回すすぎ洗浄され、水性ペーストとして収集され得る。次いで溶媒交換法を使用して水がアセトンで置き換えられ得、これによりアセトン/炭素ペーストが得られ得る。次いでこのペーストがエバポレーションによって乾燥され、第1の実施形態による乾燥炭素粉末(S1)が形成され得る。
第1の実施形態による多孔質粉末のセルまたはキャビティを二次CVDプロセスによって薄い炭素シートで密封してもよく、この場合、セル壁は自己触媒作用によってさらに成長する。この手順および関与する機構に関するさらなる詳細はPCT/US17/17537に論考されている。約4.8gの乾燥炭素粉末が炉の加熱ゾーン内部の石英管(例えば、60mmの外径(OD)を有する管)内に装填され得る。次いでこの石英管は、温度の直線的漸増的昇温(後述)ならびに成長および冷却の段階中、10rpmの速度で回転され得る。CVD反応器は室温から750℃の設定温度まで30分間かけて直線的漸増的に昇温され得る。次いで、牧師温度が500sccmのAr流下にて、750℃で30分間維持され得る。次に、Ar流を500sccmで一定に保持したまま、85sccmのC流が開始され得る。これは2分間継続され得る。次いで、C流は中止され得、反応器は継続Ar流下で室温まで放冷され得る。本明細書における「S1」は、この二次CVDプロセス後に得られた、第1の実施形態による炭素粉末を示す。
第2の実施形態では、炭素粉末を形成するためにCVDの際に使用するテンプレートがAkrochem,Inc.製のElastomag 170“EL-170”MgOで作製されたMgO粒子であり得る。プロピレン/アルゴン混合物がCVD時の供給ガスとして使用され得る。
第2の実施形態による例示的粉末(S2)を作製するための手順は以下のとおりであり得る。受け取ったままのEL-170は900℃で15時間焼成された後、使用され得る。500gサンプルのEL-170が炉の加熱ゾーン内部の石英管内に装填され得る。この管は直線的漸増的昇温、成長および冷却の段階中、10rpmの速度で回転され得る。反応器は室温から750℃の設定温度まで30分間かけて直線的漸増的に昇温され、500sccmのAr流下にて、750℃で30分間維持され得る。次に、Ar流を変えずに保持したまま、1050sccmのC流が開始され得る。これは30分間継続され得る。次いで、C流は中止され得、反応器は継続Ar流下で室温まで放冷され得る。
次いでMgOはHClでの酸エッチングによって抽出され得、水性MgClブライン中に炭素を含むスラリーが得られ得る。次いでこの炭素はブラインから濾過され、脱イオン水で3回すすぎ洗浄され、水性ペーストとして収集され得る。次いで溶媒交換法を使用して水がアセトンで置き換えられ、アセトン/炭素ペーストが得られ得る。次いでこのペーストがエバポレーションによって乾燥され、乾燥炭素粉末が形成され得る。
多孔質のS2粉末のセルまたはキャビティを二次CVDプロセスによって薄い炭素シートで密封してもよく、この場合、セル壁は自己触媒作用によってさらに成長する。この手順および関与する機構はPCT/US17/17537に論考されている。例えば、約4.8gの乾燥炭素粉末が炉の加熱ゾーン内部の石英管内に装填され得る。この管は、直線的漸増的昇温、成長および冷却の段階中、10rpmの速度で回転され得る。反応器は室温から750℃の設定温度まで30分間かけて直線的漸増的に昇温され、500sccmのAr流下にて、その温度で30分間維持され得る。次に、Ar流を変えずに保持したまま、85sccmのC流が開始され得る。これは3分間継続され得る。次いで、C流は中止され得、反応器は継続Ar流下で室温まで放冷され得る。「S2」は本明細書において、この二次CVDプロセス後に得られた、第2の実施形態による例示的炭素粉末を示す。
第3の実施形態では、炭素粉末を形成するためにCVDの際に使用するテンプレートが、第2の実施形態で使用したものと同じテンプレート供給原料のEL-170で作製されたMgO粒子であり得る。プロピレン/アルゴン混合物がCVD時の供給ガスとして使用され得る。
第3の実施形態による粉末を作製するための手順は以下のとおりであり得る。500グラムサンプルのEl-170が炉の加熱ゾーン内部の石英管内に装填され得る。反応器は室温から1050℃の設定温度まで30分間かけて直線的漸増的に昇温され、500sccmのAr流下にて、その温度で30分間維持され得る。次いで反応器は30分間で750Cまで冷却され、750Cで30分間、平衡化され得る。750℃で、Ar流を変えずに保持したまま、250sccmのC流が開始され得る。これは60分間継続され得る。次いで、C流は中止され得、反応器は継続Ar流下で室温まで放冷され得る。
次いでMgOはHClでの酸エッチングによって抽出され得、水性MgClブライン中に炭素を含むスラリーが得られ得る。次いでこの炭素はブラインから濾過され、脱イオン水で3回すすぎ洗浄され、水性ペーストとして収集され得る。次いで溶媒交換法を使用して水がアセトンで置き換えられ、アセトン/炭素ペーストが得られ得る。次いでこのペーストはエバポレーションにより得る。得られたこの第3の実施形態による例示的炭素粉末を本明細書では「S3」と称する。
S1、S2およびS3の粉末の構造の比較
第1、第2および第3の実施形態の手順に従って調製された粉末に対して、そのナノ構造およびミクロ構造を理解するためにSEM顕微鏡写真の解析を行なった。
図2Aは、第1の実施形態に従って製作した粉末サンプル(S1)を示す。図2Aにおいて、いくつかの個々の粒子、例えば粒子100は、図1Aに示したネスケホナイトテンプレート粒子t100の個々の粒子と同様のロッド様構造を有するように見える。しかしながら、S1を生成させるためのボールミリング法の使用により、比較的高いアスペクト比(すなわち、10:1より大きい)のネスケホナイトテンプレート前駆体粒子の切断がもたらされるようである。図2Aを一見すると、S1の平均的な粒子は10:1より小さいアスペクト比を有することが明らかである。
図2Bは図2Aの粒子100の拡大である。図2Bは、例示的な粒子100のアスペクト比(a/b)が3:1に近く、ネスケホナイト由来MgOテンプレートの微構造の継承が反映されていることを示す。しかしながら、図2Cおよび図2Dでは、微細構造(図1Bに示すようなネスケホナイト由来MgOのT2_FS)によって形成されたキャビティのアスペクト比が例示的な粒子100の3:1の比より小さいことが観察され得る。図2Cに示されるように、粒子は、個々のセル120の多セル型クラスターを構成している。個々のセル120は直径が100nmより小さい。SEMにおいて、セル120は、SEM画像では一部透明に見える。セル120がテンプレートまたは液体フィラーの一部を含んでいるならば不透明に見えるであろう。したがって、図2Cのセル120が透明に見えることは、セルを形成したMgOテンプレートが除去されているとともにセルに他の固体または液体が含浸されていないことを示す。
セル120に充満するガスは典型的には、テンプレートが抽出されるときに存在する雰囲気ガスである。しかしながら、ガスは任意の適当なガスであり得ることを理解されたい。例えば、化学反応を遅延させるためにセル120に不活性ガスを充満させることが望ましい場合があり得る。セル120に雰囲気圧のガスを充満させることが望ましい場合もあり得る。しかしながら、セル120に任意の適当な圧力のガスを充満させることが可能である。例えば、セル120に、セル120を含む炭素または複合材が配される環境内の雰囲気圧と比べて高い圧力のガスを充満させることが望ましい場合があり得る。そうすることにより、セル120の内部壁に対して陽圧が賦与され得、セル120の剛性および/または形状記憶が潜在的に改善され得る。
図2Dは、セル壁120aを示す図2Cの表示部分の拡大である。図2Dにおいてわかるように、高コントラスト画像のおかげで、SEMにおいてセル壁120aが比較的明白に現れている。図2C/2Dは、セル壁120aの厚さがわずか数ナノメートルであることを示す。
図3Aは、第2の実施形態に従って調製された粉末(S2)の粒子200を示す。図3Aと図2Aとの比較により、S2のセル220はS1のセル120より離散的であり、相互連結性が低いことが示される。また、図3Aは、この粉末のセル220の直径が200nmより大きいことも示す(例えば、およそ400nmである例示的なセルの直径220aを参照のこと)。
図3Bは、テンプレートの不完成または不完全な酸抽出の結果、残留MgOテンプレート材料が含浸された少量相のセル型炭素粒子を示す図3Aの表示部分の拡大である。この含浸セル型炭素粒子は、テンプレートの存在のため非含浸セルと比べて不透明に見える。
図4は、セル壁内の横空孔230が、ほぼ透明なカーボンシート240で覆われたS2粉末の1つのセル220aを示す。カーボンシート240は、上記の二次CVDプロセス工程中に成長する。シート240は、横空孔230に被さる「パッチ」を形成しており、これは、セル220aが液状のポリマーまたは樹脂と接触した場合にセル220aの浸透性を低下させ得る。このように、二次CVDプロセスにより、MgO(または他の)テンプレートの抽出によって作出されたセル壁内の穴が封止される可能性を有する。
図5は、第3の実施形態に従って調製された粉末(S3)の粒子300を示す。第1および第2の実施形態に従って調製された粒子(それぞれ図2Aおよび3に示すS1およびS2)とは異なり、第3の実施形態に従って調製された粒子(S3)は概ね回転楕円体である。S2およびS3はEL170で成長させたため、この形態の違いはテンプレート供給原料によるものではない。そうではなく、形態構造の違いは、予備CVD加熱処理の温度の違いによるものである(S3では1050℃に対してS2では750℃)。S3の場合の高温により、より多くの焼結、およびより平滑な/大きな粒子がもたらされる。図5に示されるように、S3のほとんどのセル320は、1つ以上の隣接セル320と「ブリッジ」340すなわち連結炭素片によって連結されている。また、図5は、セル320の壁がパッチのない穴350を有することも示し(図4に示すパッチがある空孔とは対照的)、これは、穴がパッチされる二次CVDプロセスを適用しなかったためである。しかしながら、かかるプロセスを、とりわけ、セル320内の穴350を封止するために適用するのがよいであろうことは理解されよう。
炭素/ポリマー複合材の調製
第4の実施形態では、粉末S1およびS2のうちの1種類以上を例示的なポリマー「バインダー」Polyolefin 164-1(100%固形分)または“CPO”と合わせることにより炭素/ポリマー複合材が作出され得る。2種類の複合材粉末サンプルC1およびC2は、それぞれ第1および第2の実施形態に従って作製された粉末(例えば、S1およびS2)で作製されたものであり得る。他の粉末の組合せも本開示の範囲内であることを理解されたい。
本明細書で用いる場合、用語「バインダー」は一般的に、炭素粉末(例えば、S1~S3)を用いて複合材料を創製するために使用される添加剤を示す。「バインダー」は炭素粉末に化学的に結合し得るものである。あるいはまた、「バインダー」は炭素に化学的に結合するものでなくてもよい。バインダーは、例えば、得られる複合材に対して単に構造的支持をもたらすものであり得る。CPOを例示的なバインダーとして示しているが、複合材に求められる特性をもたらすのに適した任意のバインダーが使用され得ることを理解されたい。他の例示的なバインダーとしては他の適当なポリマー材料が挙げられる。また、バインダーとしては、金属材料、セラミックまたは他の炭素材料も挙げられ得る。セラミック系バインダーは、炭素を金属酸化物で官能性付与した後、焼結させることによって、またはポリシロキサンなどの無機ポリマー前駆体の熱分解によって生成され得る。バインダーとして使用され得る他の炭素材料の例としては、限定されないが、ポリマー系前駆体の熱分解によって生成する熱分解炭素材料が挙げられる。さらに他のバインダーとしては、熱可塑性物質、例えばポリ(メチルメタクリレート)、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリアミド、ポリ乳酸、ポリベンゾイミダゾール、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリオキシメチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエチレン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、またはそのコポリマーが挙げられ得る。また、バインダーとしては、熱硬化性ポリマー、例えばポリエステル、ポリウレタン、ポリウレア、フェノール-ホルムアルデヒド、尿素ホルムアルデヒド、エポキシ、ベンゾオキサジン、ポリイミド、ビスマレイミド、ポリシアヌレート、ポリシロキサン、ビニルエステル、またはそのブレンドも挙げられ得る。
CPOバインダーはEastman Chemical Companyから入手され得、17.5%~23%の塩素含有量を有するものであり得る。対照サンプル(C0)の一例は、CPOバインダーだけでセル型炭素なしで作製した。
この実施形態による複合材粉末(例えば、C1およびC2)を作製するため、CPOの2つのトルエン溶液が最初に作製され得る。各溶液は、2.4グラムのCPO粉末を40グラムのトルエンに溶解させることにより作製され得る。各溶液は30分間、磁気撹拌され得る。次いで、1.6グラムの炭素S1が、C1を作製するために使用される一方の溶液に添加され得、1.6グラムの炭素S2が、C2を作製するために使用される他方の溶液に添加され得る。各溶液は、炭素表面を濡らすために10分間、磁気撹拌され得る。続いて、各CPO/トルエン溶液は、Branson 8510DTHを用いた30分間の浴超音波処理に供され、炭素が全体に分散され得る。
次に、各溶液中のCPOが、分散された炭素粒子の表面上に被覆され得る。これを行なうため、各溶液は、CPOを溶液相から除去するための不安定化処理に供され得る。この不安定化は、120グラムのイソプロピルアルコール(IPA)を滴下様式で各溶液に添加することにより行なわれ得る。IPAは、溶液からのCPOの完全な除去を助長させるために撹拌下、約15g/分の速度で添加され得る。次いで、CPO被覆炭素粒子は各溶液から濾過され、IPAですすぎ洗浄され得る。得られた各CPO-炭素保持液は80℃で一晩乾燥され、次いで乳鉢と乳棒で磨砕され得、それぞれセル型炭素S1およびS2に相当する微細な複合材粉末C1およびC2の2種類のサンプルが得られ得る。
この実施形態による2種類の例示的な複合材粉末サンプルC1およびC2は上記の様式で作製した。また、CPOバインダーだけの対照粉末サンプルC0も作製した。
この実施形態による複合材は以下のとおりに圧縮成型され得る。サンプルは、ねじを締め付けることによって圧縮可能であるように設計された円筒形圧縮金型内に装填され得る。粉末が装填されたら、金型が、150℃に予熱された炉内に置かれ得る。次いで金型は炉内に20分間維持され得、CPOが軟化し得る。続いて、金型が炉から取り出され得、金型のねじをトルクレンチで締め付けることによりサンプルが圧縮され得る。次いで、圧縮済みの金型は150℃の炉内に戻されてさらに20分間置かれ得、その後、もう一度、取り出され、室温まで放冷され得る。次いで、サンプル試験片は室温で金型から取り外され得、圧縮試験のための一様な表面を得るためにサンプル試験片の平坦な表面が研磨され得る。
各サンプルC0、C1およびC2を上記の様式で作製し、次いで圧縮強度および圧縮弾性率について試験した。試験は、円筒形試験片を用いてISO 844の規格に従って行なった。試験機のクロスヘッド速度は1.0mm/分とした。
圧縮成型試験片の比較
サンプル試験片の寸法を、ミツトヨ製のデジタルキャリパーを用いて以下のとおりに評価した。4つの別々の直径測定値(D1~D4)および3つの別々の高さ測定値(H1~H3)を試験片重量とともに得た。
表1に結果をまとめる。表1に示されるように、試験片の直径および高さは、それぞれ12.0~13.0mmおよび14.0~18.0mmの範囲であった。
Figure 0007315464000001
次いで、上記の寸法測定値を重量測定値と併せて用いることにより試験片の密度を求めた。表2に試験片の平均寸法、ならびにそれに伴う容積および密度を報告する。
Figure 0007315464000002
表2は、炭素含有複合材であるC1およびC2が、ポリマー対照であるC0より有意に緻密性が低いことを示す。固体の炭素はCPOより緻密である。したがって、このような結果は、おそらく、C1およびC2サンプルの高度な多孔性によって説明される。C2の密度は極端に低く、C0の密度の50%未満であり、Clの密度のわずか50%超にすぎなかったことに留意されたい。これは、C2の多孔性の度合が比較的高いことを示唆する。
炭素粒子に対するCPO被覆処置の結果を調べるため、C1複合材粉末およびC1成型試験片の構造を、SEMを用いて評価した。
図6は金型内での緻密化前のC1複合材粉末のSEM顕微鏡写真である。S1のセル120を含むS1粉末のいくつかの形体ならびにセル間空孔160が図6において視認される。図6は、SEM画像においてCPOは炭素(S1)と事実上区別がつかないことを示す。サンプル全体において明瞭なCPO相は観察され得なかった。これは、CPOポリマーによって炭素が一様に濡らされたことを示唆する。
図7は、圧縮金型内での緻密化後のC1の構造を示すSEM顕微鏡写真であり、その後の加熱によってCPOが炭素セルと一体に溶融して円筒形複合材試験片になっている。より具体的には、図7は、かかる試験片のクライオ-イオンミリング断面を示す。
図7に示されるように、図6に示された大きくて不揃いなセル間ミクロンスケールの空孔160が、緻密化後、成型C1複合材試験片全体に分布したままであり、不完全な緻密化を反映している。空孔160は、C1/S1の炭素セル120のサイズおよび形態構造とは無関係のようである形状を有する。むしろ、空孔160は、図7には個々のセル120が明白に示されていないが、セル間であるのに充分に大きく見える。このセル間多孔性は、C1で表される炭素ナノ構造体の限定的な充填効率、不充分な圧縮による不充分な緻密化、このような空間を満たす充分な量の自由流動CPOの欠如、および/または冷却したC1複合材試験片を金型から取り出すことにより生じるCPO/S1(炭素)界面における潜在的キャビテーションに起因し得る。
図8は、図7のC1ペレットのクライオ-イオンミリング断面の高倍率SEM顕微鏡写真である。図8に示す倍率レベルでは、図7に示されたセル間空孔160に加えてセル内または内包的多孔性の第2の様式の空孔180が観察され得る。50nm以下の直径を有するこの第2の様式の空孔180は断面全体に見られる。図8の精密な検査により、第2の様式の空孔180はS1構造のセルのキャビティに対応しているようであることが明らかである(例えば、図2Cおよび8のセル120を参照のこと)。
図9AはClの別の断面のSEM画像である。図9Aはセル120のクラスターを示す。クラスター内には、ガス充満炭素セル(あるいはまた、本明細書では「内包的空隙」と称する)120のようであるものとセル間空隙180が両方存在している。どちらの様式の多孔性も複合材の密度を低下させ、C1サンプルの密度がC0より低いという結果(表2)が説明される。
図9Bは、1つのセル120を示す図9Aの拡大部分の挿入図である。図9Bに示されるように、セル壁とCPO吸着層121aはおよそ30nm厚のようであり、これはセル壁121だけよりはるかに厚い。ナノ構造化炭素のセル壁121の平均厚さは数nmから100nmまでさまざまであり得る。
比較のため、図10は、C1またはC2のいずれかの複合材より高いCPO含有量を有する圧縮成型複合材のクライオ-イオンミリング断面のSEM画像である。図10に示された複合材は重量基準で90%のCPOおよび10%のセル型炭素である。成型中の圧縮力は、図10の複合材の多孔質のセル壁および高CPO含有量と併せて、セルおよびセル間空間へのポリマーの含浸を助長させる。実際、画像内では、非含浸セル420はごくわずかしか視認されない。図8~9の非含浸セル120と同様、図10の非含浸セル420は、比較的暗色の非含浸セルキャビティならびに該キャビティ周囲のセル壁の電荷効果のより明るい色によって同定され得る。非含浸セル420は、周囲の含浸セルと対照的に明確に見える。
導電率の試験
C0、ClおよびC2のシート電気抵抗を、Keithly 2400 SourceMeter 4端子プローブを用いて測定した。この測定によりC0は絶縁体であると確認された(読取り値なし)。C1は1.58Q/sqの平均シート抵抗および1.46Q/sqの最低シート抵抗を有していた。C2は2.51Q/sqの平均シート抵抗および2.46Q/sqの最低シート抵抗を有していた。報告した各シート抵抗は3つの別々の測定値の平均である。
このような結果は、典型的な絶縁性ポリマー材料、例えばC0と比べた場合、各サンプルのシート抵抗が比較的低いことを示す。これは、炭素が、ポリマーで被覆されているにもかかわらず複合材全体に導電性の網目を形成していることを示唆する。これにより、セル型炭素、例えばS1~S3で強化した複合材料は、軽量の導電性材料が必要とされる用途に望ましいものであり得ることが示唆される。かかる用途としては、ピエゾ抵抗式検知能を含む「スマート」複合材料が挙げられ得る。
機械試験
C1およびC2試験片の機械的特性を、圧縮サブプレス(subpress)冶具(Wyoming Test Fixtures製)および30001b(13345N)のロードセルを有する油圧万能試験システムで試験した。試験システムは1mm/分の一定のクロスヘッド速度で操作した。データをリアルタイムで、Windows PCに接続したNational Instruments USB-6341データ収集システムを用いて記録した。歪みデータは、Epsilon Technology Corporation製の撓み計(Model 3540)を用いて測定した。
表3は、C0、C1およびC2の測定された圧縮強度を示す。圧縮強度は10%歪みで、測定中、最大圧縮強度に達しないサンプルについて測定した。あるいは、表3に示された圧縮強度は最大圧縮強度である。また、表3にはサンプルC0~C2の圧縮弾性率も示す。
Figure 0007315464000003
多孔質複合材料C1およびC2の圧縮強度および弾性率はどちらも、炭素の添加が全くなしのCPOポリマーであるC0サンプルよりずっと高値である。この結果は、炭素材料をCPOに添加すると複合材が強化および補強されることを示す。
Figure 0007315464000004
C0、ClおよびC2の比強度および弾性率を示す表4に示されるように、複合材の機械的特性に対する炭素添加の効果はさらにいっそう劇的である。この表は、複合材C1のCPOにS1を添加すると比強度および比弾性率がほぼ800%改善されることを示す。
機械的特性の改善は、おそらく、複合材内における荷重の分布によるものである。例えば、強度の改善は、ポリマーからセル型炭素強化相への応力伝達の改善によりもたらされ得る。弾性率の改善により、C1複合材は圧縮荷重を内包的空隙およびセル間空隙の両方の周囲に有効に分布させることが示唆される。CPOなどの非硬質ポリマー内の空隙は、マトリックスの前で降伏し、有意な圧密化(例えば、有意な応力増大を伴わない圧縮歪みの増大)および相応する低圧縮弾性率をもたらす傾向にある。
C1およびC2複合材試験片はまた、圧縮試験の際、同等の複合材料と比べた場合に改善された形状保持も示した。具体的には、試験フレームによって加えた圧縮力を解放するとC1およびC2試験片は緩和され、表1に示す試験前の寸法の数パーセント以内の寸法に戻った。また、歪み試験でも同様の結果が示された。歪み試験では、C1サンプルを応力および歪みの量を漸増して複数回圧縮した。個々の各圧縮試験後にサンプル寸法を測定した。次いで、寸法測定値を用いて次の反復時の応力および歪みを計算した。
表5に報告する結果は以下のとおりであった。キャリパーによって行なった4回の直径および高さの測定の平均を各試験前に求めた。直径および高さの平均に基づいて、および0.687グラムの試験片質量(7回すべての試験を通して不変)に基づいて、試験片の緻密化を加えた力、得られた歪み、および圧縮応力とともに追跡した。
Figure 0007315464000005
表5に示された歪みの比較的低い値により、これらの複合材材料は、特に、加えた力が比較的小さい場合、一定量の「形状記憶」を有することが示唆される(すなわち、加えた力が1600N未満である場合、形状は10%以内に保持される)。これにより、複合材C1は、通常、示される弾性が非常にわずかな典型的な硬質フォーム、例えばシンタクチックフォームまたはCPO自体と区別される。
表6は、複合材C1が、比較高い歪み時であってもどのようにしてこの「形状記憶」を保持するかを示す。
Figure 0007315464000006
特に、表6は、試験片が、ほぼ40%の歪みに供された場合であっても、元の高さの95%をわずかに超えるまで回復したこと(5%未満の高さ変形)を示す。この桁外れの形状保持はおそらく、炭素セルが高応力下で変形し、次いで元の寸法に戻る能力によるものである。
本明細書に記載のセル型炭素は、その欠陥エンジニアリング(defect-engineer)炭素格子構造のため、変形後の形状回復において特に有効であり得る。PCT/US17/17537に記載のように、例えば本開示において使用したものはセル壁全体に格子欠陥の形成を引き起こす場合があり得る。理論的モデルにより、トポロジー的欠陥性格子は結晶性グラフェンより延性であろうことが予測されている。別の可能性は、セル壁を構成する格子間にsp-混成結合が形成され、格子が互いに剪断することが抑制されたかもしれないことである。層間剪断は、圧縮時に壁が応力緩和される際に起こっているであろう機構である。
図11は、セル型炭素サンプルS3に対するおよそ250,000psiの圧力での一軸圧縮試験の結果を示す。セル320の圧縮の効果は線形バックリング395にて確認され得る。線形バックル395は、セル320の圧縮変形時の応力集中による降伏を反映している。セル壁のバックリングにもかかわらず、セル320は、平坦化された後、概ね球形の形状を明らかに回復した。これは、弾性力による位置エネルギーを保存して解放するこのセルの能力を示し、さらにこれは、セル壁が層間剪断によって応力緩和されないことを示唆する。
結晶性セル型炭素は、対照的に、250,000psiでの圧縮後、不可逆的な破砕を示す。欠陥エンジニアリングセル型炭素粉末、例えば、250,000psiまでの粉末の圧縮によってペレットされなかったS1~S3とは異なり、結晶性セル型炭素粉末は、粉末の圧縮によって容易にペレットされ、緻密なペレット形成された。図12は250,000psiの一軸圧縮に供された後のsp-混成結晶性セル型炭素のSEM顕微鏡写真である。具体的には、この画像は、図11に示されたセル型炭素と同じ圧縮プロセスに供された、崩壊した回転楕円体セル型炭素を示す。図12の炭素は高温でのCVD成長法(1050℃)によって成長させ、一方、図11に示されたセル320は、低温でのCVD成長法(750℃)によって成長させた。図12の炭素は不可逆的に破砕され、おそらく、互いに剪断するセル壁を構成する格子として平坦化された。その結果、セルは、圧縮力を取り除いた後、その形状または多孔性を保持していなかった。また、このセルは、同じ一軸圧縮に供された図12のセル320より多くの皺および折り重なりを示す。この皺は、平坦なグラファイト状セル壁と湾曲したテンプレート表面間のトポロジー的ミスマッチに起因し得る。
被覆材としての複合材料
さらに他の実施形態では、上記の実施形態の複合材が被覆材として使用され得る。この実施形態の複合材被覆材を作出するため、炭素粉末がCPOとトルエン(重量基準で10:1 トルエン)の溶液中でスラリー化および分散され得る。S3粉末は複合材料の固形分が10%であり得る。次いで、この液状複合材は薄い被覆材として金属基材上に塗布され、室温で乾燥され得る。図13および14は、非含浸セル型炭素複合材の被覆材用途に対する好適性を示す実験結果を示す。この実験で使用した粉末はS3であり、これによって作出した被覆材を“C3”と称する。
図13は、複合材被覆材C3のSEM顕微鏡写真を示す。図13に示されるように、被覆材C3は、シンタクチック構成で密集しておりCPOバインダー360(主にクラスター内に隣接セル320間の結合層として視認される)で覆われた揃った回転楕円体セル320を含む。CPOバインダー360が存在していなかったら、各セル320は、例えば図5に示されたセル320のように、より識別可能で離隔していたであろう。
図14は、図13に示された乾燥C3被覆材から削り取られた複合材粒子の高倍率顕微鏡写真を示す。セル320の非含浸キャビティ構造体が断裂したセル321内に観察され得る。CPOバインダー360の表面のすぐ下に包埋された他の非含浸キャビティ構造体が認められ得る。おそらく、CPOが外在的セル表面と内包的セル表面の両方に堆積し、S3セル壁内に横空孔の存在がもたらされている。それでもなお、容量分析ではセルは実質的に含浸されていない。また、図14は、セル320のサイズスケールが1ミクロンの分数の直径であることを明白に示す。このキャビティのサイズスケールは、例えば溶融材料中に気泡を吹き込むことによってフォームを作出することによる従来の材料「発泡」法によって作出される空孔より何倍も小さい。例えば、100nm直径のセル型炭素球体は、10μm直径のガス気泡より100万倍小さい容積を有する。したがって、厚さが1ミルである被覆材は、ほんのわずかどころか非常に多くのセル型炭素球体を保持し得る。したがって、セル型炭素複合材の薄い被覆材、特にシンタクチック構成を有するものは好都合であり得る。
利用可能性
上記のセル型炭素複合材料は、本明細書に明示的に記載したもの以外にもいくつかの用途を有し得ることを理解されたい。さらなる例示的な用途の一例としては、圧力可変性の導電特性または熱伝導特性をもたらす軽量被覆材が挙げられる。このような用途としては、乗り物、例えば航空機または自動車の損傷もしくは疲労センサーおよび/または損傷もしくは疲労検知部材が挙げられ得る。他の用途としては、例えば、複合材が防護具、軍用品、または弾道衝撃に曝露される可能性がある他の物体に組み込まれる場合の弾道検知が挙げられ得る。また、例えば、動作または軌道を測定するためのアクチュエータまたは加速度計における成型複合材用途および/または被覆材複合材用途も挙げられ得る。
非含浸セル型炭素におけるセルの形態構造の制御により、複合材の特性エンジニアリングおよび用途において、典型的なフォーム形成手段(例えば、ガラスビーズテンプレートの使用)よりもさらに多用途性となることが可能になる。例えば、充分な密度で密集している非含浸セルは、シンタクチック構成、例えば、互いに接触するのに充分高密度に充填された中空セル型粒子の配置を形成し得る。非含浸セル型炭素の可能なサイズおよび幾何構造は数多くあり、さまざまである。これは、回転楕円体から複雑な多セル型シートおよびファイバーまで多岐にわたる。ナノ構造化炭素壁を有する小直径粒子は、中空ガラスと比べて低い密度および卓越した機械的特性をもたらし得る。また、非含浸セル型炭素は、多機能性の恩恵を被る用途のための高度に電気伝導性のシンタクチック構成を創製するためにも使用され得る。かかる複合材は、電磁遮蔽、抵抗加熱およびピエゾ抵抗式検知に有用であり得る。また、非含浸セル型炭素ナノ構造体を、圧縮に対する抵抗性を改善するために内部加圧してもよい。
本開示の実施例の先の説明は、いかなる当業者も本発明の実施例を作製または使用することが可能であるように示したものである。これらの実施例の種々の変形例が当業者には容易に明らかであり、本明細書に規定した一般原理は、記載の説明の趣旨および範囲から逸脱することなくいくつかの実施例に適用され得る。したがって、本開示は、本明細書において図示した実施例に限定されることを意図するものではなく、以下の特許請求の範囲ならびに本明細書に開示した原理および新規な特長と整合する最も広い範囲を許容するものとする。

Claims (25)

  1. ポリマー、金属、セラミックおよび熱分解炭素のうちの少なくとも1種類を含むバインダー材料を連続相に含むマトリックスと;
    前記マトリックスに包埋した、直径が最大で1,000μmのナノ構造化炭素粒子と
    を含む複合材であって、
    記ナノ構造化炭素粒子は、相互連結したセルの多セル型の網目を含み、
    前記相互連結したの各々、下記:
    厚さが最大で100nmの非結晶性sp 混成炭素とテンプレート式形態構造とを含み、且つ、隣接するセルのセル壁とブリッジによって連結されている、セル壁と、
    液体または固体によって含浸されておらず、且つ、テンプレート式形態構造を有する、直径が最大で1,000nmの内部キャビティと
    を含む、複合材。
  2. 記相互連結したセルの各々が、下記:
    厚さ10nm未満のセル壁と、
    直径100nm未満の内部キャビティと
    含む、請求項1に記載の複合材。
  3. 前記相互連結したセルの各々の内部キャビティが、隣接するセルの内部キャビティに開放されていない前記セル壁で概ね囲まれている、請求項1に記載の複合材。
  4. 記バインダーが熱可塑性物質である、請求項1に記載の複合材。
  5. 前記熱可塑性物質が、以下:
    ポリ(メチルメタクリレート)、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリアミド、ポリ乳酸、ポリベンゾイミダゾール、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリオキシメチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエチレン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、またはそのコポリマー
    のうちの少なくとも1種類を含む、請求項4に記載の複合材。
  6. 記バインダーが熱硬化性ポリマーである、請求項1に記載の複合材。
  7. 前記熱硬化性ポリマーが、以下:
    ポリエステル、ポリウレタン、ポリウレア、フェノール-ホルムアルデヒド、尿素ホルムアルデヒド、エポキシ、ベンゾオキサジン、ポリイミド、ビスマレイミド、ポリシアヌレート、ポリシロキサン、ビニルエステル
    のうちの少なくとも1種類を含む、請求項6に記載の複合材。
  8. 前記ナノ構造化炭素粒子が重量基準で複合材の最大%を構成している、請求項1に記載の複合材。
  9. 前記ナノ構造化炭素粒子が重量基準で複合材の最大10%構成している、請求項1に記載の複合材。
  10. 前記ナノ構造化炭素粒子が重量基準で複合材の最大50%構成している、請求項1に記載の複合材。
  11. 前記ナノ構造化炭素粒子が前記バインダーに非共有結合している、請求項1に記載の複合材。
  12. 粉末である、請求項1に記載の複合材。
  13. 前記ナノ構造化炭素粒子が前記複合材中で電気伝導性の網目を構成する、請求項1に記載の複合材。
  14. 前記複合材が、前記バインダーの密度より小さい密度を有する、請求項1に記載の複合材。
  15. 0.80g/cm以下の密度を有する、請求項1に記載の複合材。
  16. 0.50g/cm以下の密度を有する、請求項1に記載の複合材。
  17. 前記複合材が、前記バインダーの10%歪み時の圧縮強度より140%超大きい、10%歪み時の圧縮強度を有し、
    前記バインダーがポリマーである、請求項1に記載の複合材。
  18. 前記複合材が、前記バインダーの10%歪み時の圧縮強度より600%超大きい、10%歪み時の圧縮強度を有し、
    前記バインダーがポリマーである、請求項1に記載の複合材。
  19. 前記複合材が、前記バインダーの圧縮弾性率より640%超大きい圧縮弾性率を有し、
    前記バインダーがポリマーである、請求項1に記載の複合材。
  20. 前記複合材が、前記バインダーの10%歪み時の比強度より400%超大きい、10%歪み時の比強度を有し、
    前記バインダーがポリマーである、請求項1に記載の複合材。
  21. 前記複合材が、前記バインダーの10%歪み時の比強度より790%超大きい、10%歪み時の比強度を有し、
    前記バインダーがポリマーである、請求項1に記載の複合材。
  22. 前記複合材が、前記バインダーの比最大圧縮強度より400%超大きい比最大圧縮強度を有し、
    前記バインダーがポリマーである、請求項1に記載の複合材。
  23. 前記複合材が、前記バインダーの比最大圧縮強度より790%超大きい比最大圧縮強度を有し、
    前記バインダーがポリマーである、請求項1に記載の複合材。
  24. 前記複合材が、前記バインダーの比弾性率より470%超大きい比弾性率を有し、
    前記バインダーがポリマーである、請求項1に記載の複合材。
  25. 前記複合材が、前記バインダーの比弾性率より810%超大きい比弾性率を有し、
    前記バインダーがポリマーである、請求項1に記載の複合材。
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