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JP2009518396A - エリスロマイシン化合物の3’−ジメチルアミノ基を脱メチルする方法 - Google Patents

エリスロマイシン化合物の3’−ジメチルアミノ基を脱メチルする方法 Download PDF

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JP2009518396A JP2008544342A JP2008544342A JP2009518396A JP 2009518396 A JP2009518396 A JP 2009518396A JP 2008544342 A JP2008544342 A JP 2008544342A JP 2008544342 A JP2008544342 A JP 2008544342A JP 2009518396 A JP2009518396 A JP 2009518396A
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リウ ヤオクアン
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ファイザー・インク
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Abstract

エリスロマイシン化合物の3’−ジメチルアミノ基を脱メチルするための方法である。

Description

本発明は、エリスロマイシン化合物の3’−ジメチルアミノ基を脱メチルするための方法に関する。
胃腸(「GI」)の運動性は、摂取された物質の秩序立った運動を腸によって制御して、栄養素、電解質、および液体の十分な吸収を確実にする。GI内容物の食道、胃、小腸、および結腸への適切な通過は、それらの前進運動を調節し、かつ逆流を防ぐ、腔内圧およびいくつかの括約筋の局所制御によって決まる。正常なGI運動性パターンは、疾患および手術を含めた種々の状況によって損なわれていることがある。
GI運動性障害には、胃不全麻痺および胃食道逆流症(「GERD」)がある。その症状に胃の不調、胸焼け、悪心、および嘔吐が含まれる胃不全麻痺は、胃の内容物が空になることを遅らせる。GERDは、胃および十二指腸の内容物が食道に逆流する様々な臨床症状を意味する。最もよく見られる症状は、胸焼けおよび不全失語症であり、食道のびらんからの失血も起こることが知られている。GI運動性の低下が関与しているGI障害の他の例には、摂食障害、胆嚢うっ滞、術後麻痺性イレウス、強皮症、腸偽妨害、過敏性腸症候群、胃炎、嘔吐、および慢性便秘(結腸活動力欠如)がある。
モチリンは、腸粘膜中の内分泌細胞によって分泌される22−アミノ酸ペプチドホルモンである。それが胃腸管中のモチリン受容体と結合することは、GI運動性を刺激する。モチリンアゴニスト(「運動促進剤」)として作用する治療薬の投与が、GI障害の治療として提案されている。
エリスロマイシンは、放線菌(Actinomycetes)Saccharopolyspora erythraeaの発酵によって作製されたマクロライド抗生物質のファミリーである。よく使用される抗生物質であるエリスロマイシンAは、ファミリーの最も豊富で重要なメンバーである。
Figure 2009518396
(1)エリスロマイシンA R=OH R=Me
(2)エリスロマイシンB R=H R=Me
(3)エリスロマイシンC R=OH R=H
(4)エリスロマイシンD R=H R=H
エリスロマイシンAの副作用には、悪心、嘔吐、および腹部不快感がある。これらの作用は、エリスロマイシンA(1)のモチリンアゴニスト活性に由来し、かつその初期の酸触媒分解生成物(5)により多く由来する。(二次的な分解生成物、スピロケタール(6)は不活性である。)
Figure 2009518396
エリスロマイシンAのモチリンアゴニスト活性および分解生成物5の発見によって刺激されて、研究者らは、運動促進活性を有するマクロライドが求められているように、新しいモチライドを発見しようと努めてきた。研究の多くは、自然に生成したエリスロマイシンの発酵後の化学的形質転換または発酵プロセスの変更(遺伝子操作を含む)による新しいエリスロマイシン類似体の生成に重点を置いた。
新しいモチライドの開発における重要な事柄は、それらが抗生物質耐性株の発生を促進する腸内細菌に対して選択的な圧力を与えないように、抗生物質活性がほとんどまたは全くないべきである。エリスロマイシンのデソサミン部分中の3’−ジメチルアミノ基は、抗菌活性に関して重要である。SakakibaraおよびOmura、「Chemical Modification and Structure−Activity Relationship of Macrolides」、Omura編、Macrolide Antibiotics:Chemistry、Biology、and Practice、85〜89頁(Academic Press 1984、米国フロリダ州Orlando)を参照のこと。さらに、より大きいエチルまたはイソプロピル基によるメチル基の置換は、動促進活性を有するが、抗菌活性がほとんどまたは全くない化合物をもたらすこと−すなわち、2種類の活性の分離が示されている。Tsuzukiら、Chem.Pharm.Bull.1989、37(10)、2687〜2700。ジメチルアミノ基の第四級化は、類似の結果をもたらす。Sunazukaら、Chem.Pharm.Bull.、1989、37(10)、2701〜2709。これらの観察は、モチライドにおいてくり返し発生するモチーフとしての修飾された3’−ジメチルアミノ基をもたらした。例えば:Omuraら、Omuraら、US5,008,249(1991);Omuraら、US5,175,150(1992);Haradaら、US5,470,961(1995);Freibergら、US5,523,401(1996);Freibergら、US5,523,418(1996);Freibergら、US5,538,961(1996);Freibergら、US5,554,605(1996);Larteyら、US5,578,579(1996);Larteyら、US5,654,411(1997);Larteyら、US5,712,253(1998);Larteyら、US5,834,438(1998);Kogaら、US5,658,888(1997);Miuraら、US5,959,088(1998);Premchandranら、US5,922,849(1999);Keyesら、US6,084,079(2000);Ashleyら、US6,562,795B2(2003);Ashleyら、US2002/0094962A1(2002);Carrerasら、US6,875,576B2(2005);Itoら、JP 60−218321(1985)(Chemical Abstracts抄録番号104:82047に対応);Santiら、US6,946,482B2(2005);Carrerasら、US2005/0119195A1(2005);Carrerasら、US2005/0119195A1(2005);Liuら、US2005/0256064A1;2006年5月2日出願のLiuら、USSer.No.11/416,519;Giddaら、US4,920,102(1990);Omuraら、US4,948,782(1990);Hoeltjeら、US5,418,224(1995);Hoeltjeら、US5,912,235(1999);Omuraら、US6,077,943(2000);Atakaら、US6,100,239(2000);Jasserandら、US6,165,985(2000);Shimizuら、WO02/18403(2002);Yoshidaら、WO03/022289A1(2003);Omuraら、J.Antibiotics 1985、38、1631〜2;Faghihら、Biorg.&Med.Chem.Lett.、1998、8、805〜810;Faghihら、J.Med.Chem.、1998、41、3402〜3408;Faghihら、Drugs of the Future、1998、23(8)、861〜872;およびLarteyら、J.Med.Chem.、1995、38、1793〜1798を参照のこと。
3’−ジメチルアミノ基の修飾は、2段階プロセスによって達成される。まず、メチル基の一方を除去し(脱メチルステップ)、次いで得られたモノメチルアミノ基をアルキル化剤RXでアルキル化し(アルキル化ステップ)、エチルまたはイソプロピルなどの非メチルアルキル基になる。
Figure 2009518396
脱メチルステップを行うための従来の方法は、オキシ塩基、例えば水酸化アルカリ、アルカリメトキシド、ならびにカルボン酸のアルカリ塩、例えば酢酸、プロピオン酸、および安息香酸ナトリウムの存在下でヨウ素を用いてジメチルアミノ化合物を処理することである。Freiberg、US3,725,385(1973)およびPremchandranら、US5,922,849(1999)を参照のこと。しかしながら、従来技術の方法には、以下に述べた通り、いくつかの制限がある。
本発明は、エリスロマイシン化合物の3’−ジメチルアミノ基を脱メチルするための改良した方法を提供する。
一態様では、本発明は、化合物IIを
Figure 2009518396
化合物Iから
Figure 2009518396
調製する方法を提供するものであって、約5〜約6の範囲でpKを有するアミンの存在下で化合物Iをヨウ素で処理することを含み、
式中、
は、
Figure 2009518396
であり、
は、Hであり、またはRとRは一緒になって、=Oを形成し、
は、Hまたはヒドロキシル保護基であり、
は、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、またはヒドロキシル保護基であり、
とRの一方は、Hであり、他方は、OHであり、またはRとRは一緒になって、=Oもしくは=NOR11を形成し、
は、Hまたはヒドロキシル保護基であり、かつ
は、H、OH、または保護されたヒドロキシルであり、
は、Hまたはヒドロキシル保護基であり、
10は、H、OH、または保護されたヒドロキシルであり、かつ
11は、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、またはC〜Cアルキニルである。
「脂肪族」は、指定の数の炭素原子(例えば、「C脂肪族」、「C〜C脂肪族」、または「CからC脂肪族」のように、後者の2つの表現は、1〜5個の炭素原子を有する脂肪族部分と同義である)、または炭素原子の数が指定されていない場合、1〜4個の炭素原子(不飽和脂肪族部分の場合2〜4個の炭素)を有する、直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和、非芳香族炭化水素部分を表す。
「アルキル」は、飽和脂肪族部分を表し、炭素原子の数を示すための同一規則が適用できる。例示として、C〜Cアルキル部分には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、t−ブチル、1−ブチル、2−ブチルなどがあるが、それだけには限定されない。
「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する脂肪族部分を表し、炭素原子の数を示すための同一規則が適用できる。例示として、C〜Cアルケニル部分には、エテニル(ビニル)、2−プロペニル(アリルまたはプロパ−2−エニル)、cis−1−プロペニル、trans−1−プロペニル、E−(またはZ−)2−ブテニル、3−ブテニル、1,3−ブタジエニル(ブト−1,3−ジエニル)などがあるが、それだけには限定されない。
「アルキニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有する脂肪族部分を表し、炭素原子の数を示すための同一規則が適用できる。例示として、C〜Cアルキニル基には、エチニル(アセチレニル)、プロパルギル(プロパ−2−イニル)、1−プロピニル、ブタ−2−イニル、などがある。
「保護されたヒドロキシル」または「ヒドロキシル保護基」にあるような保護基は、化合物上のヒドロキシル基に選択的に結合させて、ヒドロキシル基を、その化合物が曝露されているいくつかの化学反応条件に対して不活性にさせ、かかる曝露後、選択的に除去できる基である。ヒドロキシル保護基の多くの例が知られている。例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、GreeneおよびWuts、Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、17〜245頁(John Wiley&Sons、New York、1999)を参照のこと。式Iの化合物に使用するための例示的な適当なヒドロキシル保護基には、t−ブチルジメチルシリル(「TBDMS」または「TBS」)、トリエチルシリル(「TES」)およびトリフェニルシリル(「TPS」)がある。
特定の立体異性体が具体的に指示されていない限り(例えば、構造式中の関連した立体中心における太字もしくは破線の結合によって、構造式中にEもしくはZ配置を有しているように二重結合を示すことによって、または立体化学指定命名法を用いることによって)、全ての立体異性体は、純粋な化合物ならびにその混合物として本発明の範囲内に含まれている。特に指示がない限り、個々の鏡像異性体、ジアステレオ異性体、幾何異性体、ならびにその組合せおよび混合物は、本発明によって全て包含されている。
化合物は、本明細書において使用している構造式中に示されているものに相当する互変異性形態(例えば、ケトおよびエノール形態)、共鳴形態、および双性イオン形態を有していてよく、かつその構造式にはかかる互変異性、共鳴、または双性イオン形態が包含されることが当業者には理解されよう。
化合物および方法
デソサミンジメチルアミノ基を脱メチルするための従来技術の方法には、いくつかの欠点がある。脱メチル反応は、pH範囲が約8〜9で最適に進むが、反応が進むにつれて、ヨウ化水素が生成し、反応混合物のpHを下げる傾向がある。しかし、それ以上の塩基性の反応条件を使用してヨウ化水素の生成を補うと、ヨウ素の不均化が生じる。従来技術の一教示によれば、反応pHは、酢酸ナトリウムを用いて、かつヨウ素と一緒に水酸化ナトリウム溶液を段階的に加えることによって制御する。本発明によれば、pH制御は、pKの範囲が約5〜約6のアミンを用いてより効率的に達成される。このような方法で、反応はより早く、かつヨウ素が化学量論量より僅かに多い量しか必要でなかったことを発見した。
我々の発明の方法によって取り組んだ別の潜在的な問題は、脱メチル反応がホルムアルデヒドを生成し(Stenmarkら、J.Org.Chem.、2000、65、3875〜3876)、反応がしばしば不完全な平衡状態になることである。その結果、反応は完了まで進まず、収率を下げ、かつ生成物の精製を複雑にする未反応出発原料の残留物が残る。Premchandranら、US5,922,849(1999)は、反応を2段階で実施することによって、または不活性ガスを注入してホルムアルデヒドを除去することによってこの課題に取り組んだ。我々の発明の方法では、アミンがホルムアルデヒドと反応でき、それによって反応が完了に向かって促進される。
本発明で使用するのに適したアミンは、周囲温度近く(25℃)でpKの範囲が約5〜約6のアミンである。または、逆に言えば、これは、
pK=14−pK
の関係に照らして、アミンの共役酸(プロトン化形態)は、pKの範囲が約8〜約9であることを表す。
好ましい一実施形態では、アミンは、第一級アミンであり、その具体例は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(pK 5.9、TRIS、THAMまたはトロメタミンとしても知られている)である。別の好ましい実施形態では、アミンは、第二級アミンであり、その具体例は、モルホリン(pK 5.6)である。
本発明の方法で使用できる好ましい化合物Iには、エリスロマイシンA(1)、エリスロマイシンB(2)、クラリスロマイシン(7、6−O−メチルエリスロマイシンA)、および9−ジヒドロエリスロマイシンA(8、特に9−S立体異性体)がある。
Figure 2009518396
適当な反応溶媒は、メタノール、水性メタノール、ジオキサン、水性ジオキサン、THF、水性THFなど、またはその混合物である。溶媒は、メタノールまたは水性メタノールであることが好ましい。アミンの量は、エリスロマイシン誘導体の当量当たり2〜10当量まで変わり得る。最良の結果は、約5当量のアミンで得られる。ヨウ素(1.2〜2当量、好ましくは約1.5当量)を最初に一度に加える。反応は、一般に40℃〜70℃、好ましくは50℃〜60℃の温度で実施する。反応は、規模に応じて、一般に1〜5時間で完了する。
本発明の方法は、N−デメチルエリスロマイシン化合物を作製するのに使用でき、この化合物は、上で述べたように、さらに誘導体化して3’−ジメチルアミノ基が修飾されたモチライドを作製でき、かかるモチライドは、運動促進剤として有用である。
本発明の実施は、限定としてではなく例示として提供している以下の実施例を参照することによりさらに理解することができる。
一般的な手順
融点は、温度計が補正されていない、Mel−Temp装置1001型で測定した。エリスロマイシンAは、NatroChem Internationalから購入した。テトラヒドロフラン(THF)は、ナトリウム−ベンゾフェノンに対して蒸留した。全ての他の試薬は、Aldrich−Sigmaから購入し、精製せずに使用した。H NMR(400MHz)および13C NMR(100MHz)スペクトルは、Bruker DRX 400分光計を用いてCDCl溶液中で記録した。化学シフトは、Hおよび13Cスペクトルに関して、それぞれδ7.26および77.0ppmを参照した。薄層クロマトグラフィープレートは、シリカゲルの任意の酸性度を中和するためにアンモニアで前処理したシリカゲル 60 F プレートを用いて行った。シリカゲル 60上でフラッシュクロマトグラフィーを行った。両タイプのクロマトグラフ媒体は、EMD製であった。
(実施例1)
本実施例は、本発明の方法で使用できる化合物Iである(9S)−ジヒドロエリスロマイシンA(9)の調製について説明する。
Figure 2009518396
メカニカルスターラーおよび内部熱電対プローブを備えた10リットル三つ口丸底フラスコに、メチルt−ブチルエーテル(2,400mL)およびエリスロマイシンA(400g、545mmol、1.0等量)を充填した。この懸濁液にMeOH(800mL)を加えた。透明になるまで(約5〜15分)溶液を撹拌した。内部温度2℃まで溶液を氷浴で冷却した。次いで固体NaBH(30.9g、816mmol、1.5等量)を一度に加えた。得られた懸濁液を0℃で1時間撹拌し、その期間中溶液は透明なままであった。0℃で1時間経った後、氷浴を取り外した。混合物を22℃まで温めておき、さらに3時間撹拌した。混合物は、徐々に不透明になった。TLC(CHCl中10%MeOH)によってモニターした通りに反応は完了した。アセトン(120mL;発熱反応:内部温度を30℃未満に維持する速度でアセトンを加えた)およびリン酸緩衝液(5%、pH6.0、120mL)を慎重に加えることによって、過剰NaBHを無効にした。反応液は、若干の白色沈殿物を含んだ透明な溶液に変化した。エリスロマイシン−ホウ素錯体の分解を助けるためにトリエタノールアミン(400mL)を加え、溶液を1時間撹拌した。飽和NaHCO溶液(3,200mL)を加えた後、混合物をEtOAc(3×2,000mL)で抽出した。合わせた抽出物を水で1回およびブラインで1回洗浄し(各2,000mL)、固体NaSO上で乾燥させた。溶媒を除去した後、粗製生成物を真空乾燥機(16時間、50℃)中で乾燥させた。白色固体が得られ(416g、融点182〜185℃)、それをさらに精製せずに次のステップに使用した。
化合物(9)の小試料をシリカゲルクロマトグラフィー(1:1 アセトン−ヘキサン、1%トリエチルアミン)によって精製した。m/z:737.0(MH);13C−NMR(CDCl):177.1、103.3、96.4、84.4、83.2、79.3、77.8、77.7、75.1、74.5、72.7、70.8、70.7、69.4、66.2、65.1、49.4、45.6、41.8、40.4(2x)、37.0、34.9、34.3、32.0、28.9、25.2、21.7、21.5、21.2、20.1、18.1、16.5、15.1、14.8、11.2、9.4ppm。
(実施例2)
本実施例は、N−デスメチル−(9S)−ジヒドロ−エリスロマイシンA(10)を生成するための(9S)−ジヒドロエリスロマイシンA(9)の脱メチルについて説明する。
Figure 2009518396
メカニカルスターラーおよび内部熱電対プローブを備えた6リットル三つ口丸底フラスコに、MeOH(2,000mL)、前実施例(150g、理論的に197mmol、1.0等量)からの化合物9およびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(119g、5等量)を充填した。混合物を内部温度55℃まで温め、その間全ての物質が溶解した。僅かな発熱反応によって内部温度が60℃より高く上がらないような速度でヨウ素(75g、1.5等量)を慎重に加えた。混合物を55℃で5時間撹拌した。TLC(CHCl中15%MeOH)が反応の完了を示した。反応混合物を室温まで冷却した。飽和チオ硫酸ナトリウムを使用して、ヨウ素色が全て消失するまで任意の過剰ヨウ素を無効にした。あまりに除去しすぎないように注意しながら約半分のMeOHを除去することによって混合物を濃縮した−これにより水溶液を続いて加えた場合に生成物の沈殿が起こり、この沈殿物はその後の抽出で溶解しにくい。濃縮液を水性NaHCO(1,500mL)で希釈し、CHCl(3×1,000mL)で抽出した。合わせた有機層を水(1,500mL)で1回洗浄してからNaSO上で乾燥させた。溶媒を除去し、真空乾燥機で乾燥させた(16時間、50℃)後に、粗製生成物10(113g、融点118〜123℃)が得られた。この物質は、さらに精製せずにその後の合成手順で使用するのに適していた。
シリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン中2%〜10%メタノール、1%トリエチルアミン)後に化合物(10)の純粋な試料が得られた。m/z:723.0(MH);13C−NMR(CDCl):176.4、104.2、97.6、88.4、82.6、80.0、78.3、77.4、74.6、73.7(2x)、72.7、71.6、69.3、66.5、60.0、49.3、47.7、41.7、37.9、36.5、35.0、34.0、33.0、32.1、24.5、21.9、21.4、20.8(2x)、17.9、16.8、16.0、15.4、11.1、10.0ppm。
(実施例3)
本実施例は、異なるアミンを用いた、化合物(10)の別の合成について説明する。
化合物9(5.00g、理論的に6.79mmol、1.0等量)およびモルホリン(2.96mL、5等量)のMeOH(70mL)溶液を内部温度55℃まで温めた。ヨウ素(2.59g、1.5等量)を慎重に一度に加えた。混合物を55℃で3時間撹拌した。TLC(CHCl中15%MeOH)が反応の完了を示した。反応は上記と同様に徐々に進んで、粗製生成物10(3.95g)を得た。
前述の本発明の詳細な説明には、本発明の特定の部分または態様と主にまたは排他的に関与している節が含まれている。これは明確さおよび簡便さのためであり、特定の特徴が、それが開示されている節のみではなく、それ以上に関連していてもよく、また本明細書における開示には、異なる節に見られる情報の全ての適切な組合せが含まれていることが理解されたい。同様に、本明細書における種々の図および説明が本発明の具体的な実施形態に関するものであっても、具体的な特徴が特定の図または実施形態に関連して開示されている場合、かかる特徴は、別の特徴と併せて、または一般に本発明で、別の図もしくは実施形態に関連して、適切な程度まで使用してもよいことが理解されたい。
さらに、本発明は、いくつかの好ましい実施形態の形で特に記載されているが、本発明は、かかる好ましい実施形態に限定されない。むしろ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義されている。

Claims (6)

  1. 化合物IIを
    Figure 2009518396
    化合物Iから
    Figure 2009518396
    調製する方法であって、約5〜約6の範囲でpKを有するアミンの存在下で化合物Iをヨウ素で処理することを含み、
    式中、
    は、
    Figure 2009518396
    であり、
    は、Hであり、またはRとRは一緒になって、=Oを形成し、
    は、Hまたはヒドロキシル保護基であり、
    は、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、またはヒドロキシル保護基であり、
    とRの一方は、Hであり、他方は、OHであり、またはRとRは一緒になって、=Oもしくは=NOR11を形成し、
    は、Hまたはヒドロキシル保護基であり、かつ
    は、H、OH、または保護されたヒドロキシルであり、
    は、Hまたはヒドロキシル保護基であり、
    10は、H、OH、または保護されたヒドロキシルであり、かつ
    11は、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、またはC〜Cアルキニルである、方法。
  2. 化合物Iが、エリスロマイシンA、エリスロマイシンB、クラリスロマイシン、または9−ジヒドロエリスロマイシンAである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記アミンが、第一級アミンである、請求項1に記載の方法。
  4. 前記アミンが、トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタンである、請求項1に記載の方法。
  5. 前記アミンが、第二級アミンである、請求項1に記載の方法。
  6. 前記アミンが、モルホリンである、請求項1に記載の方法。
JP2008544342A 2005-12-08 2006-11-01 エリスロマイシン化合物の3’−ジメチルアミノ基を脱メチルする方法 Pending JP2009518396A (ja)

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