JP2007204490A - エリスロマイシン誘導体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明はエリスロマイシン誘導体の製造方法およびこの製造方法により得られるエリスロマイシン誘導体のフマル酸塩結晶に関する。
一般式(II)
(式中、R1は低級アルキル基を示し、R2は低級アルキル基を示す)で表される化合物は、特開平6−56873号公報などに記載されており、消化管運動促進作用を有することが知られている。
これらの化合物の製造方法は、特開平6−56873号公報、バイオオーガニック アンド メディシナル ケミストリー レターズ(Bioorg. & Med. Chem. Lett.)4巻、11号、1347ページ、1994年などに記載されている。
しかしながら、これらに記載されている製造方法は、工程数が多いこと、精製にカラムクロマトグラフィーを多用すること、大量に製造する際に使用しにくい試薬(たとえばヨウ素など)を使用することなど、工業的な製造方法としては実用化しにくいものであった。また、本発明の方法で製造されるような医薬品あるいは医薬品原料を供給する際には、その化合物は安定性、均一性、規格などの点においてすぐれた品質を要求される。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、一般式(II)
(式中、R1は低級アルキル基を示し、R2は低級アルキル基を示す)で表される化合物のフマル酸塩の効率的な製造方法、精製方法を見いだし、さらに、この方法により精製されたフマル酸塩結晶が従来得られていた結晶より医薬品あるいは医薬品原料としてすぐれた品質を有していることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明はエリスロマイシンA(式(I))
から、一般式(II)
(式中、R1は低級アルキル基を示し、R2は低級アルキル基を示す)で表される化合物のフマル酸塩を製造する方法において、エリスロマイシンAの2’位の水酸基をアセチル化、4”位の水酸基をホルミル化した後ヘミケタール化反応を行い、式(III)
で表される化合物を得、この化合物の11位の水酸基を酸化し、式(IV)
で表される化合物を得、この化合物の12位の水酸基をアルキル化し、さらに2’位のアセチル基および4”位のホルミル基を除去し、一般式(V)
(式中、R2は低級アルキル基を示す)で表される化合物を得、この化合物に塩基性条件下、ベンジルオキシカルボニルクロリドを反応させた後、導入されたベンジルオキシカルボニル基を除去し、次いで3’位の窒素原子をアルキル化した後、フマル酸塩とすることを特徴とする、一般式(II)
(式中、R1は低級アルキル基を示し、R2は低級アルキル基を示す)で表される化合物のフマル酸塩を製造する方法を提供する。
また、本発明はエリスロマイシンA(式(I))
また、本発明はエリスロマイシンA(式(I))
から、一般式(II)
(式中、R1は低級アルキル基を示し、R2は低級アルキル基を示す)で表される化合物のフマル酸塩を製造する方法において、エリスロマイシンAの2’位の水酸基をアセチル化、4”位の水酸基をホルミル化した後ヘミケタール化反応を行い、式(III)
で表される化合物を得、この化合物の11位の水酸基を酸化し、式(IV)
で表される化合物を得、この化合物の12位の水酸基をアルキル化し、さらに2’位のアセチル基および4”位のホルミル基を除去し、一般式(V)
(式中、R2は低級アルキル基を示す)で表される化合物を得、この化合物に塩基性条件下、ベンジルオキシカルボニルクロリドを反応させた後、導入されたベンジルオキシカルボニル基を除去し、次いで3’位の窒素原子をアルキル化した後、フマル酸塩へと変換し、次いでこの粗結晶をアルコール系溶媒で再結晶した後、含水酢酸エチルで再結晶することを特徴とする、一般式(II)
(式中、R1は低級アルキル基を示し、R2は低級アルキル基を示す)で表される化合物のフマル酸塩を製造する方法に関する。
これらの反応において、エリスロマイシンAの2’位の水酸基のアセチル化、4”位の水酸基のホルミル化およびヘミケタール化反応はワンポットで行うことが好ましい。本発明において、ワンポットで行うとは、各段階の反応生成物を単離精製することなく1工程で反応を行うことを意味する。
これらの反応において、エリスロマイシンAの2’位の水酸基のアセチル化、4”位の水酸基のホルミル化およびヘミケタール化反応はワンポットで行うことが好ましい。本発明において、ワンポットで行うとは、各段階の反応生成物を単離精製することなく1工程で反応を行うことを意味する。
また、12位の水酸基のアルキル化反応、および2’位のアセチル基と4”位のホルミル基の除去反応はワンポットで行うことが好ましい。
さらに、エリスロマイシンAの2’位の水酸基のアセチル化、4”位の水酸基のホルミル化およびヘミケタール化反応をワンポットで行い、かつ、12位の水酸基のアルキル化反応、および2’位のアセチル基と4”位のホルミル基の除去反応をワンポットで行うことが特に好ましい。
さらに、エリスロマイシンAの2’位の水酸基のアセチル化、4”位の水酸基のホルミル化およびヘミケタール化反応をワンポットで行い、かつ、12位の水酸基のアルキル化反応、および2’位のアセチル基と4”位のホルミル基の除去反応をワンポットで行うことが特に好ましい。
また、本発明はエリスロマイシンA
から、式(III)
で表される化合物を製造する方法において、エリスロマイシンAの2’位の水酸基のアセチル化、4”位の水酸基のホルミル化およびヘミケタール化反応をワンポットで行うことを特徴とする式(III)
で表される化合物の製造方法を提供する。
また、本発明は一般式(V)
また、本発明は一般式(V)
(式中、R2は低級アルキル基を示す)で表される化合物に、塩基性条件下、ベンジルオキシカルボニルクロリドを反応させ、一般式(VI)
(式中、R2は低級アルキル基を示し、Zはベンジルオキシカルボニル基を示す)で表される化合物を製造する方法を提供する。
また、本発明は一般式(II)
また、本発明は一般式(II)
(式中、R1は低級アルキル基を示し、R2は低級アルキル基を示す)で表される化合物のフマル酸塩の粗結晶をアルコール系溶媒で再結晶した後、含水酢酸エチルで再結晶することを特徴とする、一般式(II)
(式中、R1は低級アルキル基を示し、R2は低級アルキル基を示す)で表される
化合物のフマル酸塩の精製方法に関する。
また、本発明は、式(VII)
化合物のフマル酸塩の精製方法に関する。
また、本発明は、式(VII)
で表される化合物とフマル酸のモル比が2:1であり、含水酢酸エチルで再結晶することにより得ることができる、式(VII)で表される化合物のフマル酸塩結晶に関する。
本発明の製造方法は、(1)最終生成物の精製品を得るのに必要な各反応段階での精製を再結晶のみで行うことが可能であること、(2)エリスロマイシンAの2’位の水酸基のアセチル化、4”位の水酸基のホルミル化およびヘミケタール化反応をワンポットで行え、また、12位の水酸基のアルキル化反応、および2’位のアセチル基と4”位のホルミル基の除去反応をワンポットで行うことができるなど、従来の製造方法にくらべ、工程数の減少が可能であること、など工業的製造方法としてすぐれたものといえる。
さらに、本発明により得られた式(VII)で表される化合物のフマル酸塩結晶は、従来得られていた結晶に比べ、安定性の点ですぐれているなど医薬品あるいは医薬品原料としてすぐれた品質を有している。
本発明において、低級アルキル基とは、たとえば、炭素数1から6の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を示し、具体的にはたとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等があげられ、好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基があげられる。R1の特に好ましい例としては、イソプロピル基があげられ、R2の特に好ましい例としてはメチル基があげられる。
本発明の製造方法の一例を以下に図示する(反応経路1)。
(式中、R2は低級アルキル基を示し、Zはベンジルオキシカルボニル基を示す。)
(式中、R1は低級アルキル基を示し、R2は低級アルキル基を示し、Zはベンジルオキシカルボニル基を示す。)
すなわち、エリスロマイシンA(式(I)で表される化合物)の2’位の水酸基を塩基の存在下、アセチル化した後、4”位の水酸基をホルミル化しさらにヘミケタール化反応を行い、式(III)で表される化合物を得る。ここでアセチル化、ホルミル化、ヘミケタール化の3段階の反応はワンポットで行うことが好ましい。
すなわち、エリスロマイシンA(式(I)で表される化合物)の2’位の水酸基を塩基の存在下、アセチル化した後、4”位の水酸基をホルミル化しさらにヘミケタール化反応を行い、式(III)で表される化合物を得る。ここでアセチル化、ホルミル化、ヘミケタール化の3段階の反応はワンポットで行うことが好ましい。
1段階目のアセチル化反応において、用いられる塩基の例としては、たとえば無機塩基やアミンなどの有機塩基があげられ、好ましくはピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミンなどの有機塩基があげられ、さらに好ましくはピリジンがあげられる。用いられる溶媒は、アセチル化、ホルミル化、ヘミケタール化の3段階の反応において不活性なものが好ましく、たとえば酢酸エチル、アセトン、ジクロロメタン、クロロホルムなどがあげられ、さらに好ましくは酢酸エチル、アセトンがあげられ、最も好ましいものとして酢酸エチルがあげられる。アセチル化剤としては、たとえば無水酢酸、塩化アセチル、酢酸ナトリウムなどがあげられ、好ましくは無水酢酸、塩化アセチルがあげられ、最も好ましいものとして無水酢酸があげられる。反応温度は0℃から50℃程度が好ましく、さらに室温程度が好ましい。反応時間は、30分から3時間程度であり、好ましくは1時間から2時間である。
2段階目のホルミル化反応で用いられるホルミル化剤の好ましい例としては、たとえばギ酸−無水酢酸、ギ酸ナトリウム−塩化アセチルなどがあげられ、さらに好ましくは、ギ酸−無水酢酸などがあげられる。用いられる塩基の例としては、たとえば無機塩基やアミンなどの有機塩基があげられ、好ましくはピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミンなどがあげられ、さらに好ましくはピリジンがあげられる。ただし、アセチル化反応から連続して反応を行う場合には、先に用いた塩基を利用することにより、さらに塩基を加えることなく反応を行うこともできる。反応温度は−40℃から5℃程度が好ましく、さらに−20℃から0℃が好ましい。反応時間は、1時間から1日程度であり、好ましくは5時間から12時間程度である。
3段階目のヘミケタール化反応は、酸性条件下行われる。酸性条件下とは反応系内に酸が存在することを意味する。ここで用いる酸としては、たとえば有機酸などがあげられ、好ましくは酢酸、ギ酸などのカルボン酸があげられ、好ましくは酢酸などがあげられる。1段階目からの反応をワンポットで行う場合は、先の段階の反応で酢酸やギ酸が系内に存在しているので、あらためて酸を加えることをしなくても反応は進行する。反応温度は室温程度から60℃程度が好ましく、さらに40℃から50℃が好ましい。反応時間は、1時間から1日程度であり、好ましくは2時間から12時間程度である。
得られた式(III)で表される化合物を酸化反応に付し、11位の水酸基を酸化する。酸化剤としてはたとえばジメチルスルホキシド、Dess−Martin Periodinane試薬などの有機酸化剤や四酸化ルテニウムなどの金属酸化物などがあげられ、好ましくはジメチルスルホキシド−ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジメチルスルホキシド−無水トリフルオロ酢酸などがあげられ、特に好ましいものとして、ジメチルスルホキシド−無水トリフルオロ酢酸があげられる。用いられる溶媒は、反応に不活性なものであればかまわないが、酸化剤としてジメチルスルホキシド−無水トリフルオロ酢酸を用いる場合には、クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン系溶媒が好ましく、さらに、ジクロロメタンなどが好ましい。反応温度は−60℃から0℃程度が好ましく、さらに−20℃から−10℃程度が好ましい。反応時間は、30分から5時間程度であり、好ましくは1時間から2時間である。
得られた式(IV)で表される化合物に、塩基性条件下、アルキル化剤を作用させ、12位の水酸基をアルキル化する。次いで、2’位と4”位の保護基の除去を行う。ここでアルキル化、保護基の除去反応はワンポットで行うことが好ましい。
1段階目のアルキル化反応において、用いるアルキル化剤の例としては、たとえば、ハロゲン化アルキル、アルキルトシレート、アルキルイミデートなどがあげられ、好ましくはアルキルトシレート、ハロゲン化アルキルなどがあげられる。ここで、アルキル部分としては特にメチル基が好ましい。メチル化剤の具体的な例としてはヨウ化メチル、メチルトシレートなどがあげられるが、好ましくはメチルトシレートがあげられる。用いる塩基としては、たとえば金属水素化物、水酸化金属、金属アルコキシドなどがあげられ、好ましくは、金属水素化物などがあげられ、特に好ましくは水素化ナトリウムである。用いられる溶媒は、反応に不活性なものであればかまわないが、非プロトン性極性溶媒などが好ましく、さらにジメチルイミダゾリジノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、アセトニトリルなどが好ましく、特にジメチルイミダゾリジノン、ジメチルホルムアミドが好ましい。反応温度は0℃から60℃程度が好ましく、さらに0℃から30℃が好ましい。反応時間は、1時間から12時間程度であり、好ましくは2時間から8時間である。
2段階目の保護基の除去反応は、通常のアセチル基、ホルミル基の除去反応の方法で行われ、塩基性条件下での除去が好ましい。用いられる塩基としては、たとえば、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどの無機塩基があげられ、さらに炭酸水素ナトリウムが好ましい。用いられる溶媒は、反応に不活性なものであればかまわないが、アルコール系溶媒などが好ましく、さらに、メタノール、エタノールなどが好ましい。反応温度は40℃から80℃程度が好ましく、さらに50℃から60℃が好ましい。反応時間は、1時間から12時間程度であり、好ましくは3時間から8時間である。
この、アルキル化、脱保護反応をワンポットで行う場合には、1段階目のアルキル化反応の際、塩基を過剰に、たとえば2当量以上、好ましくは2当量程度用いることにより、この塩基性を利用することで、2段階目の反応の際にさらに塩基を加える必要はない。この場合、1段階目の反応溶媒に2段階目の反応溶媒を加えるなど、各段階で必要に応じ溶媒を交換することもできる。
得られた一般式(V)で表される化合物に塩基性条件下、過剰量のベンジルオキシカルボニルクロリドを作用させ、一般式(VI)で表される化合物へと変換した後、常法により、導入されたベンジルオキシカルボニル基を除去し、一般式(VIII)で表される化合物へと変換し、さらに塩基性条件下アルキル化剤を作用させ、一般式(II)で表される化合物へと変換し、この一般式(II)で表される化合物を常法によりフマル酸塩へと変換する。これらのベンジルオキシカルボニル化、脱ベンジルオキシカルボニル化、アルキル化、フマル酸塩への変換の一連の反応は、それぞれの段階の生成物を精製することなく、一般式(II)で表される化合物のフマル酸塩まで得ることができる。
第1段階で用いられるベンジルオキシカルボニル化剤としては、たとえばベンジルオキシカルボニルクロリドが好ましい。用いられる塩基としては、たとえば炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどの無機塩基があげられ、好ましくは炭酸水素ナトリウムなどがあげられる。用いられる溶媒は、反応に不活性なものであればかまわないが、芳香族炭化水素系溶媒などが好ましく、さらに、トルエンなどが好ましい。反応温度は30℃から80℃程度が好ましく、さらに45℃から70℃が好ましく、特に60℃程度が好ましい。反応時間は、2時間から12時間程度であり、好ましくは4時間から8時間である。ここでベンジルオキシカルボニル化剤は一般式(V)で表される化合物に対し過剰量必要であり、好ましくは9当量から15当量であり、さらに好ましくは10当量から12当量である。
第2段階のベンジルオキシカルボニル基の除去反応は、通常の脱保護法により行われる。脱保護法としてはたとえば、接触水素化などがあげられ、好ましくはパラジウム−炭素触媒を用いる接触水素化などである。水素源としては水素の他ギ酸アンモニウムなども用いることができる。水素源として水素を用いる場合には、接触水素化は加圧下で行ってもよく、加圧下の場合の圧力としては、好ましくは2気圧から5気圧程度であり、さらに好ましくは3気圧から4気圧である。用いられる溶媒は、反応に不活性なものであればかまわないが、アルコール系溶媒などが好ましく、さらに、メタノール、エタノールなどが好ましい。反応温度は0℃から50℃程度であり、好ましくは10℃から30℃程度、さらに好ましくは室温付近である。反応時間は、30分から3時間程度であり、好ましくは1時間から2時間である。水素源としてギ酸アンモニウムを用いる場合には、用いられる溶媒は、反応に不活性なものであればかまわないが、アルコール系溶媒などが好ましく、さらに、メタノール、エタノールなどが好ましい。反応温度は50℃から100℃程度が好ましく、さらに60℃から90℃が好ましい。反応時間は、30分から3時間程度であり、好ましくは1時間から2時間である。
第3段階のアルキル化反応において用いるアルキル化剤の例としては、たとえば、ハロゲン化アルキル、アルキルトシレートなどがあげられ、好ましくはハロゲン化アルキルなどがあげられる。ここで、アルキル部分としては特にイソプロピル基が好ましい。イソプロピル化剤の好ましい例としてはヨウ化イソプロピル、などがあげられる。用いる塩基としては、たとえばアミンなどの有機塩基のほかに無機塩基などがあげられ、好ましい例としては、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、モルホリン、ピペリジン、ピロリジン、ピリジンなどがあげられ、特に好ましくはトリエチルアミンである。用いられる溶媒は、反応に不活性なものであればかまわないが、非プロトン性極性溶媒、アルコール系溶媒などが好ましく、さらに好ましくはジメチルイミダゾリジノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノールなどがあげられ、さらにジメチルイミダゾリジノン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリルなどが好ましい。反応温度は50℃から100℃程度が好ましく、さらに60℃から80℃が好ましい。反応時間は、3時間から10日程度であり、好ましくは5時間から10時間である。
第4段階のフマル酸塩への変換反応は通常の塩を形成する方法により行われる。用いられる溶媒は、アルコール系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、アセトンなどが好ましく、さらに、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどが好ましい。反応温度は−20℃から50℃程度が好ましく、さらに−15℃から室温程度が好ましい。反応時間は、1時間から6時間程度であり、好ましくは3時間から4時間である。
得られた一般式(II)で表される化合物で表される化合物のフマル酸塩は必要に応じ精製される。精製法としては再結晶が好ましい。再結晶溶媒としては、たとえば水を含有していてもよい、エステル系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒や、それらの混合溶媒等が用いられ、好ましくは、エタノール、メタノールとイソプロパノールの混合溶媒、酢酸エチルと水の混合溶媒などであり、さらに好ましくはメタノールとイソプロパノールの混合溶媒、酢酸エチルと水の混合溶媒などである。ここで、メタノールとイソプロパノールの比は、たとえば10:90から50:50程度、好ましくは20:80から30:70程度である。酢酸エチルと水の混合溶媒の比は、たとえば99.5:0.5から97:3、好ましくは99:1から98:2、さらに好ましくは98.5:1.5程度である。
酢酸エチルあるいは酢酸エチルと水の混合溶媒を用いて再結晶を行うと、特開平6−56873号公報に記載されているメタノールとイソプロパノールの混合溶媒で再結晶した場合(A形結晶)とは異なる結晶形(C形結晶およびD形結晶)の結晶が得られた。これらの結晶の粉末X線回折や熱分析(DSC)のデータを図に示す(図1、図2、図3、図4、図5、図6)。
ここで、メタノールとイソプロパノールの混合溶媒で再結晶した場合に得られる結晶(A形結晶)の式(VII)で表される化合物とフマル酸のモル比は、2:1であった。また、酢酸エチルあるいは酢酸エチルと水の混合溶媒を用いて再結晶した場合に得られた結晶には、式(VII)で表される化合物とフマル酸のモル比が、1:1のもの(C形結晶)と2:1のもの(D形結晶)があった。
これらの結晶のうち、特にメタノールとイソプロパノールの混合溶媒で再結晶するなどの方法により粗精製された式(VII)で表される化合物のフマル酸塩(たとえばA形結晶)を、酢酸エチルと水の混合溶媒で再結晶することにより得られる結晶(D形結晶)は、他の結晶形の結晶に比べ、安定性の点ですぐれているなど医薬品あるいは医薬品原料としてすぐれた品質を有していることが明かとなった。
このD形結晶を得るには、酢酸エチルと水の混合溶媒で再結晶する際に、まず、式(VII)で表される化合物のフマル酸塩の粗精製物を、室温程度で酢酸エチルに懸濁または溶解し、これに水を加え、−10℃から−20℃程度に冷却する方法が好ましい。
実施例
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこの実施例によりなんら制限されるものではない。なお、1H−NMRについては、特徴的なピークのみ示す。
実施例
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこの実施例によりなんら制限されるものではない。なお、1H−NMRについては、特徴的なピークのみ示す。
ヘミケタール体(式(III)で表される化合物)の合成
エリスロマイシンA(20.0g,0.027mol)を無水酢酸(3.34g,0.033mol),ピリジン(3.45g,0.044mol)と酢酸エチル(80ml)に溶解後、室温にて1時間撹拌した。その後氷冷(0℃)下、ギ酸(11.29g,0.245mol)、無水酢酸(12.52g,0.123mol)を滴下し、氷冷のまま3時間撹拌した。その後徐々に室温に戻し、一夜放置した。
エリスロマイシンA(20.0g,0.027mol)を無水酢酸(3.34g,0.033mol),ピリジン(3.45g,0.044mol)と酢酸エチル(80ml)に溶解後、室温にて1時間撹拌した。その後氷冷(0℃)下、ギ酸(11.29g,0.245mol)、無水酢酸(12.52g,0.123mol)を滴下し、氷冷のまま3時間撹拌した。その後徐々に室温に戻し、一夜放置した。
40〜50℃にて約2時間加温した。室温に戻し酢酸エチル(120ml)に溶解後氷水(60mlx2)にて洗浄した。酢酸エチル層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(120ml)、固型炭酸水素ナトリウム(8g)にて中和した。分液し、水洗し(40 mlx3)、飽和食塩水(40ml)で洗った後、無水硫酸ナトリウムにて一晩乾燥した。
濾過後減圧濃縮した。残渣をヘキサン(136ml)にて約30分間還流後冷却した。酢酸エチル(24ml)を加え撹拌下0℃まで冷却した。結晶を分離後、ヘキサン(20ml)にて洗浄した。標記化合物(15.8g,74%)の白色結晶を得た。
融点:200−208℃(酢酸エチル−ヘキサン).
1H−NMR(CDCl3):0.89(3H,t,13−CH2CH 3),2.05(3H,s,2’−OCOCH 3),2.27(6H,s,3’−N(CH 3)2),3.36(3H,s,3”−OCH 3),3.83(1H,s,11−CH(OH)),8.20(1H,s,4”−OCHO).
1H−NMR(CDCl3):0.89(3H,t,13−CH2CH 3),2.05(3H,s,2’−OCOCH 3),2.27(6H,s,3’−N(CH 3)2),3.36(3H,s,3”−OCH 3),3.83(1H,s,11−CH(OH)),8.20(1H,s,4”−OCHO).
オキソ体(式(IV)で表される化合物)の合成
実施例1で得られた化合物(10.0g,0.013mol)、ジメチルスルホキシド(2.64g,0.032 mol)をジクロロメタン(50ml)に溶解した。氷−食塩にて系内を−20℃まで冷却し、無水トリフルオロ酢酸(3.36g,0.016mol)を−10℃以下にて滴下し、20分間撹拌した。更に−20℃にてトリエチルアミン(3.49g,0.034mol)を同様に−10℃以下にて滴下し、20分間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50ml)を添加し、20分間撹拌した。水洗(50mlx3)後、無水硫酸ナトリウムにて一晩乾燥した。
実施例1で得られた化合物(10.0g,0.013mol)、ジメチルスルホキシド(2.64g,0.032 mol)をジクロロメタン(50ml)に溶解した。氷−食塩にて系内を−20℃まで冷却し、無水トリフルオロ酢酸(3.36g,0.016mol)を−10℃以下にて滴下し、20分間撹拌した。更に−20℃にてトリエチルアミン(3.49g,0.034mol)を同様に−10℃以下にて滴下し、20分間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50ml)を添加し、20分間撹拌した。水洗(50mlx3)後、無水硫酸ナトリウムにて一晩乾燥した。
ジクロロメタンを減圧濃縮後、アメ状の残渣にヘキサン(100ml)を添加し、熱時撹拌溶解した。冷却後ジクロロメタン(2.5ml)を添加し、室温にて2.5時間撹拌後、結晶を濾取した。2.5%ジクロロメタン−ヘキサン(30ml)にて洗浄し、標記化合物(6.49g,65 %)の白色結晶を得た。
融点:186−188℃(ジクロロメタン−ヘキサン).
1H−NMR(CDCl3):0.90(3H,t,13−CH2CH 3),2.04(3H,s,2’−OCOCH 3),2.26(6H,s,3’−N(CH 3)2),3.33(3H,s,3”−OCH 3),4.53(1H,d,1’−H),4.84(1H,d,1”−H),4.97(1H,dd,13−H),8.21(1H,s,4”−OCHO).
13C−NMR(CDCl3): 208.4(11−CO).
1H−NMR(CDCl3):0.90(3H,t,13−CH2CH 3),2.04(3H,s,2’−OCOCH 3),2.26(6H,s,3’−N(CH 3)2),3.33(3H,s,3”−OCH 3),4.53(1H,d,1’−H),4.84(1H,d,1”−H),4.97(1H,dd,13−H),8.21(1H,s,4”−OCHO).
13C−NMR(CDCl3): 208.4(11−CO).
脱保護体(式(V)で表される化合物(R 2 :メチル))の合成
ジメチルホルムアミド(30ml)に60%水素化ナトリウム(1.02g,0.026mol)を添加し、氷冷(0℃)にてさらに実施例2で得られた化合物(10.0g,0.013mol)を添加し、30分間撹拌した。メチルトシレート(2.38g,0.013mol)を滴下後、0〜5℃にて1時間、15〜20℃にて1.5時間それぞれ撹拌した。メタノール(60ml)を添加し、60℃にて5時間加熱した。加熱後そのまま一晩放置した。
ジメチルホルムアミド(30ml)に60%水素化ナトリウム(1.02g,0.026mol)を添加し、氷冷(0℃)にてさらに実施例2で得られた化合物(10.0g,0.013mol)を添加し、30分間撹拌した。メチルトシレート(2.38g,0.013mol)を滴下後、0〜5℃にて1時間、15〜20℃にて1.5時間それぞれ撹拌した。メタノール(60ml)を添加し、60℃にて5時間加熱した。加熱後そのまま一晩放置した。
全体を減圧濃縮後、40℃の温水(150ml)に濃縮液を撹拌下滴下して、析出した結晶を分離した。得られた結晶を再度40℃温水(150ml)にて30分間撹拌し、分離した。50℃にて4時間乾燥後、粗脱保護体(7.9g,85%)を得た。
粗脱保護体をアセトン(12.6ml)に溶解後、10%アンモニア水(5.9ml)を添加し、晶析した。15〜25℃にて1時間、さらに−5〜−10℃にて1時間撹拌し、分離および洗浄を行った。50℃にて3時間乾燥し、標記化合物(5.5g,59%)の淡黄色結晶を得た。
融点:168−174℃(アンモニア水−アセトン).
1H−NMR(CDCl3):0.85(3H,t,13−CH2CH 3),1.68(3H,s,8−CH 3),2.28(6H,s,3’−N(CH 3)2),3.06(3H,s,12−OCH 3),3.34(3H,s,3”−OCH 3),4.37(1H,d,1’−H),4.97(1H,d,1”−H),5.63(1H,dd,13−H).
1H−NMR(CDCl3):0.85(3H,t,13−CH2CH 3),1.68(3H,s,8−CH 3),2.28(6H,s,3’−N(CH 3)2),3.06(3H,s,12−OCH 3),3.34(3H,s,3”−OCH 3),4.37(1H,d,1’−H),4.97(1H,d,1”−H),5.63(1H,dd,13−H).
ベンジルオキシカルボニル体(式(VI)で表される化合物(R 2 :メチル))の合成
トルエン(55ml)に実施例3で得られた化合物(5.5g,0.0076mol)と固型炭酸水素ナトリウム(9.5g,0.113mol)を添加した。次いで、撹拌下、70〜80℃にてベンジルオキシカルボニルクロリド(18.0g,0.106mol)を滴下しそのままの温度で4時間加熱した後、反応混合液を一夜室温放置した。
トルエン(55ml)に実施例3で得られた化合物(5.5g,0.0076mol)と固型炭酸水素ナトリウム(9.5g,0.113mol)を添加した。次いで、撹拌下、70〜80℃にてベンジルオキシカルボニルクロリド(18.0g,0.106mol)を滴下しそのままの温度で4時間加熱した後、反応混合液を一夜室温放置した。
この反応混合液にピリジン(4.02g,0.05mol)添加し、30分間撹拌した。次いで、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(38.5ml)を添加して10分間撹拌した後、酢酸エチル(38.5ml)を添加した。これを撹拌し、分液して、得られた有機層を水洗した。さらに、この有機層を飽和食塩水で(38.5ml)洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。
全体を減圧濃縮して残渣を得た。この残渣にアセトニトリル(27.5 ml)を加えて溶解し、ヘキサン(187mlx5)にて分液洗浄した。アセトニトリル層を減圧濃縮して残渣を得た。得られた残渣にメタノール(13.5 ml)を添加し、まず15〜25℃にて1時間撹拌し、さらに0℃以下にて1時間撹拌した。その後、析出した結晶を濾取した。この結晶を50℃にて3時間乾燥し、白色結晶の標記化合物(4.0g,54%)を得た。
融点:122−126℃(メタノール),
1H−NMR(CDCl3):0.96(3H,t,13−CH2CH 3),1.68(3H,s,8−CH 3),3.03−3.37(3H,d,3”−OCH 3),3.06(3H,s,12−OCH 3),5.03−5.21(4H,m,CH 2C6H5x2),5.63(1H,dd,13−H),7.28−7.34(10H,m,2’−OCOCH2C6 H 5,3’−NOCOCH2C6 H 5).
1H−NMR(CDCl3):0.96(3H,t,13−CH2CH 3),1.68(3H,s,8−CH 3),3.03−3.37(3H,d,3”−OCH 3),3.06(3H,s,12−OCH 3),5.03−5.21(4H,m,CH 2C6H5x2),5.63(1H,dd,13−H),7.28−7.34(10H,m,2’−OCOCH2C6 H 5,3’−NOCOCH2C6 H 5).
脱ベンジルオキシカルボニル体(式(VIII)で表される化合物(R 2 :メチル))の合成
メタノール(36.8ml)に実施例4で得られた化合物(4.0g,0.004mol)、10%パラジウム−炭素(0.4g)及びギ酸アンモニウム(1.03g)を添加し、1時間加熱還流した。パラジウム−炭素を濾去後にメタノールを減圧留去した。残渣を酢酸エチル(40ml)に溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(16ml)にて洗浄して、分液した。得られた有機層を水洗し(16mlx2)、さらに飽和食塩水で(16ml)洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。無水硫酸ナトリウムを濾去後この有機層を減圧濃縮し、粗脱ベンジルオキシカルボニル体(2.0g,69%)の白色結晶を得た。
メタノール(36.8ml)に実施例4で得られた化合物(4.0g,0.004mol)、10%パラジウム−炭素(0.4g)及びギ酸アンモニウム(1.03g)を添加し、1時間加熱還流した。パラジウム−炭素を濾去後にメタノールを減圧留去した。残渣を酢酸エチル(40ml)に溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(16ml)にて洗浄して、分液した。得られた有機層を水洗し(16mlx2)、さらに飽和食塩水で(16ml)洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。無水硫酸ナトリウムを濾去後この有機層を減圧濃縮し、粗脱ベンジルオキシカルボニル体(2.0g,69%)の白色結晶を得た。
融点:187−190℃(ヘキサンにて懸濁精製)
1H−NMR(CDCl3):0.95(3H,t,13−CH2CH 3),1.68(3H,s,8−CH 3),2.47(3H,s,3’−NHCH 3),3.06(3H,s,12−OCH 3),3.21(1H,dd,2”−H),3.33(3H,s,3”−OCH 3),4.37(1H,d,1’−H),4.96(1H,d,1”−H),5.61−5.65(1H,dd,13−H).
1H−NMR(CDCl3):0.95(3H,t,13−CH2CH 3),1.68(3H,s,8−CH 3),2.47(3H,s,3’−NHCH 3),3.06(3H,s,12−OCH 3),3.21(1H,dd,2”−H),3.33(3H,s,3”−OCH 3),4.37(1H,d,1’−H),4.96(1H,d,1”−H),5.61−5.65(1H,dd,13−H).
フマレート体(式(VII)で表される化合物のフマル酸塩)の合成
ジメチルイミダゾリジノン(35ml)に実施例5で得られた化合物(10g,0.014mol)、ヨウ化イソプロピル(23.8g,0.14mol)、トリエチルアミン(16.95g,0.17mol)を添加溶解し、70−75℃にて7−8時間加熱した後、一夜放置した。酢酸エチル(200ml)、2.5%アンモニア水(75ml)にて抽出洗浄した液を、水洗し(150mlx2)、さらに飽和食塩水(100ml)で洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。酢酸エチルを減圧濃縮後、残渣をフマル酸(0.84g,0.0073mol)とともにメタノール(25ml)に溶解し、撹拌下イソプロパノール(75ml)を徐々に滴下し、室温で1時間、0℃で1時間、−15℃で1時間それぞれ撹拌した。析出した結晶を減圧濾取し、白色結晶の標記化合物(7.9g,69%)を得た。
ジメチルイミダゾリジノン(35ml)に実施例5で得られた化合物(10g,0.014mol)、ヨウ化イソプロピル(23.8g,0.14mol)、トリエチルアミン(16.95g,0.17mol)を添加溶解し、70−75℃にて7−8時間加熱した後、一夜放置した。酢酸エチル(200ml)、2.5%アンモニア水(75ml)にて抽出洗浄した液を、水洗し(150mlx2)、さらに飽和食塩水(100ml)で洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。酢酸エチルを減圧濃縮後、残渣をフマル酸(0.84g,0.0073mol)とともにメタノール(25ml)に溶解し、撹拌下イソプロパノール(75ml)を徐々に滴下し、室温で1時間、0℃で1時間、−15℃で1時間それぞれ撹拌した。析出した結晶を減圧濾取し、白色結晶の標記化合物(7.9g,69%)を得た。
融点:194−197℃(メタノール−イソプロパノール),
1H−NMR(CDCl3+DMSO−d6):0.94(3H,t,13−CH2CH 3),1.73(3H,s,8−CH 3),3.05(3H,s,12−OCH 3),3.08(1H,dd,4”−H),3.35(3H,s,8”−OCH 3),4.43(1H,d,1’−H),4.96(1H,d,1”−H),5.60−5.63(1H,dd,13−H),6.78(1H,s,1/2(=CH−COOH)2).
1H−NMR(CDCl3+DMSO−d6):0.94(3H,t,13−CH2CH 3),1.73(3H,s,8−CH 3),3.05(3H,s,12−OCH 3),3.08(1H,dd,4”−H),3.35(3H,s,8”−OCH 3),4.43(1H,d,1’−H),4.96(1H,d,1”−H),5.60−5.63(1H,dd,13−H),6.78(1H,s,1/2(=CH−COOH)2).
フマレート体(式(VII)で表される化合物のフマル酸塩)の粗精製
実施例6で得られた化合物(10.0g,0,0123mol)をメタノール(25ml)に溶解し、この溶液にイソプロパノール(75ml)を徐々に滴下した。この反応混合液を室温で1時間、0℃で1時間、−15℃で1時間それぞれ撹拌して晶析し、減圧濾取した。白色結晶の標記化合物の粗精製物(9.25g,92.5%)を得た。
実施例6で得られた化合物(10.0g,0,0123mol)をメタノール(25ml)に溶解し、この溶液にイソプロパノール(75ml)を徐々に滴下した。この反応混合液を室温で1時間、0℃で1時間、−15℃で1時間それぞれ撹拌して晶析し、減圧濾取した。白色結晶の標記化合物の粗精製物(9.25g,92.5%)を得た。
融点:194−197℃(メタノール−イソプロパノール),
1H−NMR(CDCl3+DMSO−d6):0.94(3H,t,13−CH2CH 3),1.73(3H,s,8−CH 3),3.05(3H,s,12−OCH 3),3.08(1H,dd,4”−H),3.35(3H,s,8”−OCH 3),4.43(1H,d,1’−H),4.96(1H,d,1”−H),5.60−5.63(1H,dd,13−H),6.78(1H,s,1/2(=CH−COOH)2).
1H−NMR(CDCl3+DMSO−d6):0.94(3H,t,13−CH2CH 3),1.73(3H,s,8−CH 3),3.05(3H,s,12−OCH 3),3.08(1H,dd,4”−H),3.35(3H,s,8”−OCH 3),4.43(1H,d,1’−H),4.96(1H,d,1”−H),5.60−5.63(1H,dd,13−H),6.78(1H,s,1/2(=CH−COOH)2).
フマレート体(式(VII)で表される化合物のフマル酸塩)の精製
室温下、実施例7で得られた粗精製物(10g,0.0123mol)を酢酸エチル(100ml)に溶解し、水(1.5ml)を滴下後、室温で1時間、0℃で1時間、−10℃で4時間それぞれ撹拌後減圧濾取し、白色結晶の標記化合物の精製物結晶(9.04g,90.4%)を得た。
室温下、実施例7で得られた粗精製物(10g,0.0123mol)を酢酸エチル(100ml)に溶解し、水(1.5ml)を滴下後、室温で1時間、0℃で1時間、−10℃で4時間それぞれ撹拌後減圧濾取し、白色結晶の標記化合物の精製物結晶(9.04g,90.4%)を得た。
融点:199〜200℃(1.5%水−酢酸エチル)
1H−NMR(CDCl3+DMSO−d6):0.94(3H,t,13−CH2CH 3),1.73(3H,s,8−CH 3),3.05(3H,s,12−OCH 3),3.08(1H,dd,4”−H),3.35(3H,s,8”−OCH 3),4.43(1H,d,1’−H),4.96(1H,d,1”−H),5.60−5.63(1H,dd,13−H),6.78(1H,s,1/2(=CH−COOH)2).
1H−NMR(CDCl3+DMSO−d6):0.94(3H,t,13−CH2CH 3),1.73(3H,s,8−CH 3),3.05(3H,s,12−OCH 3),3.08(1H,dd,4”−H),3.35(3H,s,8”−OCH 3),4.43(1H,d,1’−H),4.96(1H,d,1”−H),5.60−5.63(1H,dd,13−H),6.78(1H,s,1/2(=CH−COOH)2).
フマレート体(式(VII)で表される化合物のフマル酸塩)の合成
トルエン(55ml)に実施例3で得られた化合物(9.5g,0.013mol)と固型炭酸水素ナトリウム(16.4g,0.195mol)を添加した。撹拌下、70℃前後にてベンジルオキシカルボニルクロリド(31.1g,0.183mol)を滴下後そのままの温度で4時間加熱し、次いで一夜室温放置した。
トルエン(55ml)に実施例3で得られた化合物(9.5g,0.013mol)と固型炭酸水素ナトリウム(16.4g,0.195mol)を添加した。撹拌下、70℃前後にてベンジルオキシカルボニルクロリド(31.1g,0.183mol)を滴下後そのままの温度で4時間加熱し、次いで一夜室温放置した。
この反応混合液にピリジン(6.94g,0.086mol)を添加し、30分間撹拌した。さらに、これに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(66.5ml)を添加し、10分間撹拌後、酢酸エチル(66.5ml)を添加した。得られた混合液を撹拌し、有機層を分液した。この有機層を水洗し、さらに飽和食塩水(66.5ml)で洗浄後無水硫酸ナトリウムで乾燥した。
全体を減圧濃縮し、その残渣をメタノール(128ml)に溶解した。これに10%パラジウム−炭素(1.28g)を添加し、水素雰囲気加圧下(3から4気圧)1時間室温で撹拌した。パラジウム−炭素を濾去後メタノールを減圧留去した。残渣を酢酸エチル(120ml)に溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50ml)にて洗浄し、分液した。得られた有機層を水洗し(50mlx2)、さらに飽和食塩水(50ml)で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。無水硫酸ナトリウム濾過後、酢酸エチルを減圧濃縮し、オイル状の脱ベンジルオキシカルボニル体(式(VIII)で表される化合物(R2:メチル))を得た。
これを精製する事なくヨウ化イソプロピル(20.0g,0.118mol)、トリエチルアミン(13.2g,0.131mol)とともに、ジメチルイミダゾリジノンに溶解し、70−75℃にて7−8時間加熱後、一夜放置した。次いで、これを酢酸エチル(100ml)、2.5%アンモニア水(50ml)にて抽出洗浄後、水洗し(50mlx2)、飽和食塩水で(50ml)洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。酢酸エチルを減圧濃縮後、フマル酸(0.76g,0.0066mol)とともにメタノール(25.0ml)に溶解し、撹拌下イソプロパノール(75.0ml)を徐々に滴下し晶析した。室温で1時間、0℃で1時間、−15℃で1時間それぞれ撹拌し、減圧濾取した。乾燥後白色結晶の標記化合物(6.5g,60.0%)を得た。
融点:194〜197℃(メタノール−イソプロパノール),
1H−NMR(CDCl3+DMSO−d6):0.94(3H,t,13−CH2CH 3),1.73(3H,s,8−CH 3),3.05(3H,s,12−OCH 3),3.08(1H,dd,4”−H),3.35(3H,s,8”−OCH 3),4.43(1H,d,1’−H),4.96(1H,d,1”−H),5.60−5.63(1H,dd,13−H),6.78(1H,s,1/2(=CH−COOH)2).
1H−NMR(CDCl3+DMSO−d6):0.94(3H,t,13−CH2CH 3),1.73(3H,s,8−CH 3),3.05(3H,s,12−OCH 3),3.08(1H,dd,4”−H),3.35(3H,s,8”−OCH 3),4.43(1H,d,1’−H),4.96(1H,d,1”−H),5.60−5.63(1H,dd,13−H),6.78(1H,s,1/2(=CH−COOH)2).
式(VII)で表される化合物のフマル酸塩結晶の安定性試験
式(VII)で表される化合物のフマル酸塩結晶の結晶形の違いによる安定性の差について試験を行った。結晶としては式(VII)で表される化合物のフマル酸塩をメタノール−イソプロパノールから再結晶して得られた結晶(A形結晶)と酢酸エチルまたは酢酸エチルと水の混合溶媒から再結晶して得られた結晶(C形結晶、D形結晶)を用いた。
式(VII)で表される化合物のフマル酸塩結晶の結晶形の違いによる安定性の差について試験を行った。結晶としては式(VII)で表される化合物のフマル酸塩をメタノール−イソプロパノールから再結晶して得られた結晶(A形結晶)と酢酸エチルまたは酢酸エチルと水の混合溶媒から再結晶して得られた結晶(C形結晶、D形結晶)を用いた。
各結晶を精秤し、80℃空気恒温槽内で苛酷試験を行った。サンプルを経時的に取り出し、全量を約1mg/mlの濃度となるように50%アセトニトリルで溶解し、この溶液2mlに、内部標準溶液2ml(パラ安息香酸シクロヘキシル100μgを50%アセトニトリル2mlに溶解したもの)を加えた後、総量を10mlとして以下の条件のHPLCに100μl注入し、用いた試料と内部標準のピーク面積比より残存率を求めた。
HPLC測定条件
使用機器:M600マルチソルベント送液システム(Waters社製)、490型多機能検出機(Waters社製)、M712全自動サンプルプロセッサ(Waters社製)、740型データモジュール(Waters社製)、温度コントロールモジュール(Waters社製)、カラムヒーターモジュール(Waters社製)
カラム:YMC A−212,C8((株)ワイエムシイ社製)
溶出液:50%アセトニトリル+PIC B−5試薬低波長用(Waters社製)
流量:1ml/分
検出波長:205nm
カラム温度:40℃
内部標準:パラ安息香酸シクロヘキシル
結果を図7に示す。A形結晶はこの条件下で70日で残存率が60%程度に低下するのに対し、C形結晶およびD形結晶は70日後で80%程度残存していた。
HPLC測定条件
使用機器:M600マルチソルベント送液システム(Waters社製)、490型多機能検出機(Waters社製)、M712全自動サンプルプロセッサ(Waters社製)、740型データモジュール(Waters社製)、温度コントロールモジュール(Waters社製)、カラムヒーターモジュール(Waters社製)
カラム:YMC A−212,C8((株)ワイエムシイ社製)
溶出液:50%アセトニトリル+PIC B−5試薬低波長用(Waters社製)
流量:1ml/分
検出波長:205nm
カラム温度:40℃
内部標準:パラ安息香酸シクロヘキシル
結果を図7に示す。A形結晶はこの条件下で70日で残存率が60%程度に低下するのに対し、C形結晶およびD形結晶は70日後で80%程度残存していた。
式(VII)で表される化合物のフマル酸塩結晶の加湿条件下での安定性試験
式(VII)で表される化合物のフマル酸塩結晶の結晶形の違いによる加湿条件下での安定性の差について試験を行った。飽和塩化ナトリウム水溶液で相対湿度75%に調整した80℃のデシケータ中で苛酷試験を行うこと以外は実施例10と同様の方法により試験を行った。
式(VII)で表される化合物のフマル酸塩結晶の結晶形の違いによる加湿条件下での安定性の差について試験を行った。飽和塩化ナトリウム水溶液で相対湿度75%に調整した80℃のデシケータ中で苛酷試験を行うこと以外は実施例10と同様の方法により試験を行った。
結果を図8に示す。グラフより明らかなようにA形結晶、D形結晶の加湿安定性はC形結晶に比べ、非常に高いことが明らかになった。
以上の結果より、D形結晶は、他の結晶形の結晶に比べ安定性においてすぐれているということができる。
以上の結果より、D形結晶は、他の結晶形の結晶に比べ安定性においてすぐれているということができる。
Claims (9)
- A形結晶から酢酸エチルを用いて該C形結晶を得ることを特徴とする、請求項211記載の方法。
- R1がイソプロピル基であり、R2がメチル基である、請求項211または312記載の方法。
- エリスロマイシンA(式(I))
- さらにフマル酸塩とする工程を含む請求項1記載の製造方法。
- 12位の水酸基のアルキル化反応、および2’位のアセチル基と4”位のホルミル基の除去反応をワンポットで行うことを特徴とする請求項5または6記載の製造方法。
- R1がイソプロピル基であり、R2がメチル基であることを特徴とする請求項5から7の何れか1項に記載の製造方法。
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- 2007-04-23 JP JP2007113410A patent/JP2007204490A/ja active Pending
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