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JP2009233967A - 補正値取得方法、及び、液体噴射装置 - Google Patents

補正値取得方法、及び、液体噴射装置 Download PDF

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JP2009233967A JP2008081748A JP2008081748A JP2009233967A JP 2009233967 A JP2009233967 A JP 2009233967A JP 2008081748 A JP2008081748 A JP 2008081748A JP 2008081748 A JP2008081748 A JP 2008081748A JP 2009233967 A JP2009233967 A JP 2009233967A
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広和 笠原
透 ▲高▼橋
Toru Takahashi
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Abstract

【課題】正確な濃度補正値を取得することである。
【解決手段】濃度補正値により濃度が補正されたテストパターンを、該濃度補正値を変えて複数媒体に形成するステップと、複数の前記テストパターンを読み取って、複数の該テストパターンの画像データを取得するステップと、複数の前記画像データの各々に対して視覚周波数特性フィルタによるフィルタ処理を行うステップと、前記フィルタ処理が行われた各々の前記画像データに基づいて前記濃度補正値を選択するステップと、を有する補正値選択方法。
【選択図】図17

Description

本発明は、画像の濃度を補正するための濃度補正値についての補正値取得方法、及び、前記濃度補正値を記憶した液体噴射装置に関する。
インクジェットプリンタのように、ノズルを有し該ノズルから媒体(例えば紙や布など)に液体を噴射して該媒体に画像を形成するための液体噴射装置は既に知られている。このような液体噴射装置では、ノズルの加工精度のバラツキ等により、媒体に形成される画像に濃度むらが生じてしまう。
上記濃度むらを抑制するために、画像の濃度を補正する技術が既に提案されている(例えば、特許文献1参照)。当該技術は、補正用パターンを媒体に形成し、該補正用パターンを読み取って該補正用パターンの補正用パターン濃度データを取得し、取得した該補正用パターン濃度データに基づいて濃度補正値を求め、求めた該濃度補正値により画像の濃度を補正するものである。
特開2005−205691号公報
ところで、媒体自体が模様、汚れ等の濃度変化を有し、当該媒体に補正用パターンが形成される場合がある。かかる媒体に形成された補正用パターンを読み取って取得した補正用パターン濃度データは、媒体の生地部の影響(つまり、媒体が有する濃度変化による影響)が及んでおり、本来の補正用パターン濃度データとは異なるものになってしまう。そして、生地部の影響が及んだ補正用パターン濃度データに基づいて濃度補正値を求めてしまうと、本来、液体噴射装置の濃度むら特性を反映した値として求められるはずの濃度補正値が、媒体の濃度変化まで反映した値になってしまう。すなわち、生地部の影響が及んだ補正用パターン濃度データをそのまま用いて濃度補正値を求めると、正確な濃度補正値を得ることができない虞がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、正確な濃度補正値を取得することである。
上記の課題を解決するために、主たる発明は、(A)媒体に補正用パターンを形成するステップと、(B)前記媒体の生地部及び前記補正用パターンをそれぞれ読み取って、前記生地部の生地部濃度データ、及び、前記補正用パターンの補正用パターン濃度データをそれぞれ取得するステップと、(C)前記生地部濃度データに基づいて求めた帯域制限フィルタ、によるフィルタ処理を前記補正用パターン濃度データに対して行うステップと、(D)画像の濃度を補正するための濃度補正値、を前記フィルタ処理が行われた前記補正用パターン濃度データに基づいて求めるステップと、(E)を有することを特徴とする補正値取得方法である。本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本明細書及び添付図面の記載により少なくとも次のことが明らかにされる。
先ず、(A)媒体に補正用パターンを形成するステップと、(B)前記媒体の生地部及び前記補正用パターンをそれぞれ読み取って、前記生地部の生地部濃度データ、及び、前記補正用パターンの補正用パターン濃度データをそれぞれ取得するステップと、(C)前記生地部濃度データに基づいて求めた帯域制限フィルタ、によるフィルタ処理を前記補正用パターン濃度データに対して行うステップと、(D)画像の濃度を補正するための濃度補正値、を前記フィルタ処理が行われた前記補正用パターン濃度データに基づいて求めるステップと、(E)を有する補正値取得方法。
上記の補正値取得方法では、濃度補正値を求めるにあたり、補正用パターン濃度データに対する媒体の生地部の影響を除去する。すなわち、上記の補正値取得方法では、媒体が有する濃度変化による影響を考慮して濃度補正値を求めることになる。この結果、濃度補正値は、液体噴射装置の濃度むら特性を反映した値として正確に求められることになる。
また、上記の補正値取得方法において、前記フィルタ処理を前記補正用パターン濃度データに対して行うステップでは、離散フーリエ変換処理が行われた前記生地部濃度データ、から空間周波数毎のパワースペクトルを求め、該パワースペクトルが所定値よりも高くなった前記空間周波数を特定し、特定した該空間周波数の前記補正用パターン濃度データにおける対応成分を除去するための前記帯域制限フィルタ、を求めることとしてもよい。これにより、補正用パターン濃度データから除去すべき成分、を適切に求めることが可能になる。この結果、正確な濃度補正値を適切に求めることが可能になる。
また、上記の補正値取得方法において、前記フィルタ処理を前記補正用パターン濃度データに対して行うステップでは、特定した前記空間周波数から、前記帯域制限フィルタとしての周波数応答関数を求め、前記フィルタ処理として、離散フーリエ変換処理が行われた前記補正用パターン濃度と前記周波数応答関数との積を求めて、当該積に対して逆フーリエ変換処理を行うこととしてもよい。かかる方法であれば、フィルタ処理の演算量が比較的に少なくなる結果、正確な濃度補正値を簡易に求めることが可能になる。
また、上記の補正値取得方法において、前記フィルタ処理を前記補正用パターン濃度データに対して行うステップでは、特定した前記空間周波数毎にガウス関数を求めて、該空間周波数毎の該ガウス関数により構成される前記周波数応答関数、を求めることとしてもよい。かかる方法であれば、一度のフィルタ処理により、特定した空間周波数全ての対応成分を除去することが可能になる。
さらに、(A)液体を噴射するためのノズルと、(B)前記ノズルから液体を噴射して媒体に補正用パターンを形成するためのコントローラと、(C)前記補正用パターンが読み取られることにより取得された補正用パターン濃度データであって、前記媒体の生地部が読み取られることにより取得された生地部濃度データ、に基づいて求めた帯域制限フィルタによるフィルタ処理が行われた補正用パターン濃度データ、に基づいて求められた、画像の濃度を補正するための濃度補正値、を記憶するためのメモリと、(D)を有する液体噴射装置も実現可能である。かかる液体噴射装置であれば、メモリに正確な濃度補正値が記憶されているため、該液体噴射装置を用いて形成される画像、において濃度むらを適切に抑制することが可能になる。
===印刷システムについて===
本実施形態の液体噴射装置としてのインクジェットプリンタ(以下、プリンタ1)を含む印刷システム100について、図1を参照しながら、その概要を説明する。図1は、プリンタ1を含む印刷システム100の構成を示すブロック図である。
本実施形態の印刷システム100は、図1に示すように、プリンタ1と、コンピュータ110とを有するシステムである。プリンタ1は、液体としてのインクを媒体に噴射して該媒体に画像を印刷する印刷装置であり、本実施形態ではカラーインクジェットプリンタである。プリンタ1は、紙、布、フィルムシート等の複数種の媒体(以下、印刷媒体)に画像を印刷することが可能である。
コンピュータ110は、インターフェース111を介してプリンタ1と通信可能に接続されており、プリンタ1に画像を印刷させるために、その画像に応じた印刷データをプリンタ1に出力する。このコンピュータ110には、該コンピュータ110にインストールされた各種プログラムを実行するためのCPU112と、当該各種プログラムを格納するメモリ113と、が備えられている。コンピュータ110にインストールされたプログラムとして、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換するためのプリンタドライバが前記メモリ113に格納されている。
<<プリンタ1の構成>>
次に、図1乃至図3を参照しながら、プリンタ1の構成について説明する。図2A及び図2Bは、プリンタ1の基本構成を示す図であり、図2Aはプリンタ1の全体構成の概略を示し、図2Bは、プリンタ1の全体構成の断面図を示す。図2Aには矢印にてヘッド23の移動方向(走査方向)と印刷媒体の搬送方向が、図2Bには矢印にて該搬送方向が、それぞれ示されている。図3は、ノズルの配列を示す図であり、同図には矢印にて前記走査方向と前記搬送方向とが示されている。
プリンタ1は、図1に示すように、記録ユニット20、搬送ユニット30、検出器群40、及びコントローラ50を有する。プリンタ1がコンピュータ110から印刷データを受信すると、コントローラ50が印刷データに基づいて各ユニット(記録ユニット20、搬送ユニット30)を制御して印刷媒体に画像を印刷する。プリンタ1内の状況は検出器群40によって監視されており、検出器群40は検出結果に応じた信号をコントローラ50に向けて出力する。
記録ユニット20は、印刷媒体にインクを噴射して該印刷媒体に走査方向に沿うドット列(以下、ラスタラインとも言う)を形成するものであり、図2A及び図2Bに示すように、キャリッジ21、キャリッジ移動機構22、及び、ヘッド23を有する。キャリッジ21は、ガイド軸24に支持された状態でキャリッジ移動機構22により該ガイド軸24に沿って移動する。つまり、ガイド軸24の軸方向がキャリッジ21の移動方向となる。
ヘッド23は、その下面にインクを噴射するためのノズルを複数備えている。そして、図3に示すように、CMYKのインク色毎に搬送方向に沿って一定のノズルピッチでn個のノズル(本実施形態では、n=180)が並ぶことにより、ノズル列Nc、Nm、Ny、Nkが形成されている。各ノズルには、不図示のインクチャンバ及びピエゾ素子が設けられており、ピエゾ素子の駆動によりインクチャンバが伸縮・膨張されて、ノズルから滴状のインクが噴射される。また、ヘッド23は、キャリッジ21に搭載されているので該キャリッジ21の移動に伴って走査方向に移動する。そして、ヘッド23の移動中にノズルからインクが断続的に噴射されることにより、走査方向に沿うラスタラインが形成される。なお、ノズル列を構成する各ノズルは、該各ノズルに割り当てられたラスタラインを形成するためにインクを噴射する。
搬送ユニット30は、走査方向と交差する搬送方向に印刷媒体を搬送するためのものであり、図2A及び図2Bに示すように、給紙ローラ31と、搬送モータ32と、搬送ローラ33と、プラテン34と、排紙ローラ35と、を有する。挿入口に挿入された印刷媒体は、給紙ローラ31によりプリンタ1内に供給されると、搬送モータ32の回転によって回転する搬送ローラ33により、搬送方向において印刷可能な領域、まで搬送される。その後、印刷媒体はプラテン34に支持されながら搬送方向に搬送され続け、最終的に排紙ローラ35によりプリンタ1外に排出される。
コントローラ50は、CPU52によりユニット制御回路54を介してプリンタ1の各ユニットを制御する。また、プリンタ1は、記憶素子を備えたメモリ53を有し、当該メモリ53には、画像の濃度を補正するための濃度補正値Mが記憶される。
<<印刷処理について>>
次に、上記構成のプリンタ1が実行する印刷処理について、図4と図5A及び図5Bとを参照しながら説明する。図4は、印刷処理のフローチャートである。図5A及び図5Bは、インターレース方式の印刷についての説明図である。
印刷処理は、図4に示すように、コントローラ50がコンピュータ110からインターフェース51を介して印刷命令を含む印刷データを受信するところから始まる(S001)。そして、コントローラ50は、受信した印刷データ中の各種コマンドの内容を解析し、プリンタ1の各ユニットを制御する。次に、コントローラ50は、印刷媒体を給紙ローラ31によりプリンタ1内に供給してから、搬送ローラ33により印刷媒体を印刷開始位置(頭出し位置)に位置決めする給紙処理を行う(S002)。
次に、コントローラ50は、キャリッジ21の移動に伴って走査方向に移動するヘッド23のノズルからインクを断続的に噴射させて、印刷媒体に前記走査方向に沿うラスタラインを形成させるドット列形成処理を行う(S003)。次に、コントローラ50は、搬送ユニット30により、搬送方向において印刷媒体をヘッド23に対して相対的に移動させる搬送処理を行う(S004)。搬送処理により、先程のドット列形成処理にて形成されたラスタラインの位置とは異なる位置に、次のドット列形成処理のラスタラインを形成することが可能になる。
コントローラ50がドット列形成処理と搬送処理とを繰り返すことにより、ラスタラインが搬送方向において複数形成される。なお、本実施形態では、複数回のドット列形成処理(以下、パス)により補完的にラスタラインを形成するインターレース方式が採用されている。この印刷方式では、図5A及び図5Bに示すように、ある回のパス(例えば、パスn)後に所定量だけ印刷媒体を搬送方向に搬送してから前記ある回の次のパス(例えば、パスn+1)を実施する際には、当該ある回のパスにてラスタラインが形成された列領域に搬送方向下流側で隣接する列領域、にラスタラインが形成されるようになる。ここで、列領域とは、印刷媒体の走査方向に並ぶ複数の単位領域によって構成される領域であり、印刷媒体の搬送方向に複数並んでいる。また、単位領域とは、印刷媒体上に仮想的に定められた矩形状の領域を指す。なお、単位領域については、印刷解像度に応じて大きさや形が定められる。
一方、インターレース方式のみでは、印刷媒体の先端部及び後端部にラスタラインを搬送方向に連続して並ぶように形成することができないため、インターレース方式による通常印刷の前後に、先端印刷及び後端印刷が行われる。先端印刷は、印刷媒体の先端部にラスタラインを形成するための処理であり、後端印刷は、印刷媒体の後端部にラスタラインを形成するための処理である。
そして、コントローラ50は、印刷媒体に印刷するための印刷データがなくなるまでドット列形成処理と搬送処理とを繰り返し、当該印刷データがなくなった時点で排紙の判断をする(S005)。その後、コントローラ50は、排紙ローラ35により印刷媒体をプリンタ1外に排出する排紙処理を行う(S006)。画像が印刷された印刷媒体がプリンタ1外に排出された後、コントローラ50は、印刷を続行するか否かの判断を行う(S007)。コントローラ50は、次の印刷媒体に印刷を行うのであれば、前述の給紙処理に戻って印刷を続行する。他方、次の印刷媒体に印刷を行わないのであれば、印刷処理を終了する。
<<プリンタドライバによる処理の概要>>
上記の印刷処理は、前述したように、プリンタ1に接続されたコンピュータ110から印刷データが送信されることにより開始する。当該印刷データは、プリンタドライバによる処理により生成される。以下、プリンタドライバによる処理について、図6を参照しながら説明する。図6は、プリンタドライバによる処理の説明図である。
印刷データは、図6に示すように、プリンタドライバによって解像度変換処理(S011)、色変換処理(S012)、ハーフトーン処理(S013)、及び、ラスタライズ処理(S014)が実行されることにより生成される。
先ず、解像度変換処理では、アプリケーションプログラムの実行により得られたRGB画像データの解像度が、指定された画質に対応する印刷解像度に変換される。次に、色変換処理では、解像度が変換されたRGB画像データがCMYK画像データに変換される。ここで、CMYK画像データとは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、及び、ブラック(K)の色別の画像データを意味する。そして、CMYK画像データを構成する複数の画素データは、それぞれ256段階の階調値で表される。この階調値は、RGB画像データに基づいて定められ、指令階調値(入力階調値)となる。
次に、ハーフトーン処理では、画像データを構成する画素データが示す多段階の階調値が、プリンタ1で表現可能な少段階のドット階調値に変換される。すなわち、画素データが示す256段階の階調値が、4段階のドット階調値に変換される。具体的には、ドット階調値[00]に対応するドットなし、ドット階調値[01]に対応する小ドットの形成、ドット階調値[10]に対応する中ドットの形成、及び、ドット階調値[11]に対応する大ドットの形成の4段階に変換される。その後、各ドットのサイズについてドット生成率が決められた上で、ディザ法・γ補正・誤差拡散法等を利用して、プリンタ1がドットを分散して形成するように画素データが作成される。
次に、ラスタライズ処理では、ハーフトーン処理で得られた画像データに関し、各ドットのデータ(ドット階調値のデータ)が、プリンタ1に転送すべきデータ順に変更される。そして、ラスタライズ処理されたデータは、印刷データの一部として送信される。
===濃度むらの抑制===
次に、上記プリンタ1を用いて印刷する画像に生じる濃度むらと、当該濃度むらを抑制する方法について説明する。
<<濃度むらについて>>
先ず、濃度むらについて図7A及び図7Bを参照しながら説明する。図7Aは、理想的にラスタラインが形成されたときの様子を示す図である。図7Bは、濃度むらが発生した際の様子を示す図である。なお、以下、説明を簡略化するため、単色印刷された画像に濃度むらが生じた場合を例に挙げて説明する。
ノズルから噴射された所定量のインク(インク滴)が理想的な着弾位置に着弾し、ドットが単位領域に正確に形成されると、図7Aに示すように、ラスタラインは列領域に正確に形成されるようになる。しかしながら、実際には、ノズルの加工精度のバラツキ等のために、インク滴が理想的な着弾位置からずれた位置に着弾し、図7Bに示す例では、2番目の列領域に形成されたラスタラインが3番目の列領域側に寄って形成されている。この結果、2番目の列領域に形成されたラスタラインの濃度が比較的淡くなり、3番目の列領域に形成されたラスタラインの濃度が比較的濃くなる。また、同図に示す例では、5番目の列領域に向けて噴射されたインクの量が少なく、5番目の列領域に形成されたラスタラインを構成するドットが小さくなっている。この結果、5番目の列領域に形成されたラスタラインの濃度は比較的淡くなる。以上の現象を巨視的に見ると、走査方向に沿う縞状の濃度ムラ(所謂、バンディング)が視認される。こうした濃度ムラは印刷画像の画質を低下させる原因となる。
<<濃度ムラの抑制方法について>>
上記の濃度むらを抑制するための方策としては、画像の濃度を補正するための濃度補正値Mを取得し、当該濃度補正値Mに基づいて、前記画像の画像データを構成する各画素データの階調値(指令階調値)を補正することが考えられる。つまり、濃度補正値Mは、指令階調値を補正するための補正値である。
そして、上記の濃度むらを効果的に抑制するためには、ラスタライン毎に画素データの階調値を補正すればよい。つまり、濃く(淡く)視認され易い列領域に対しては、ラスタラインが淡く(濃く)形成されるように、該ラスタラインの指令階調値(具体的には、前記列領域を構成する単位領域、に対応する画素データの階調値)を補正すればよいことになる。
以上の理由により、濃度補正値Mはラスタライン毎に取得されることになる。そして、ラスタライン毎の濃度補正値Mを記憶したプリンタ1であれば、該プリンタ1の購入者(ユーザ)の下で印刷処理(本印刷)が行われる際に、前記濃度補正値Mに基づいてラスタライン毎に指令階調値を補正する処理(以下、階調値補正処理)が、ハーフトーン処理の実行に際してプリンタドライバにより行われる。この階調値補正処理により補正された階調値で各ラスタラインが形成されると、当該ラスタラインの濃度が補正される結果、図7Cに示すように、印刷画像における濃度むらの発生が抑制されることになる。図7Cは、濃度むらが抑制された様子を示す図である。
===濃度補正値Mの取得処理について===
以下、ラスタライン毎の濃度補正値Mを取得する処理(補正値取得処理)について説明する。補正値取得処理は、例えば、プリンタ1の製造工場の検査ラインにおいて構築される補正値取得システム200、によって行われる。
<<補正値取得システム>>
先ず、補正値取得システム200の概略構成について、図8を参照しながら説明する。図8は、補正値取得システム200の構成を示すブロック図である。
補正値取得システム200は、プリンタ1の濃度むら特性に応じた濃度補正値Mを取得するためのシステムであり、補正値取得処理の対象であるプリンタ1と、コンピュータ110と、スキャナ120とを有する。プリンタ1の構成等については、既述のため説明を省略する。
コンピュータ110は、インターフェース111を介してプリンタ1及びスキャナ120と通信可能に接続している。このコンピュータ110のメモリ113には、補正値取得プログラムが格納されている。補正値取得プログラムは、コンピュータ110が濃度補正値Mを取得するためのプログラムであり、該コンピュータ110のCPU112により実行される。また、コンピュータ110のメモリ113には、補正値取得プログラムのほか、補正用パターンCPをプリンタ1に印刷させるためのプリンタドライバと、スキャナ120を制御するためのスキャナドライバとが格納されている。
スキャナ120は、原稿台ガラス122(例えば、図11A参照)に置かれた原稿に光を照射して、その反射光を読取キャリッジ121に備えられた受光素子121a(例えば、図11A参照)により検出して、前記原稿の画像を読み取る。これにより、当該画像の読取画像データが取得される。この読取画像データを構成する読取画素データの階調は読取濃度(読取階調値)に相当する。また、スキャナ120は、インターフェース123、CPU124、及びメモリ125からなるスキャナコントローラ126を有し、インターフェース123を介してコンピュータ110のスキャナドライバに向けて読取画像データを送信する。なお、本実施形態のスキャナ120は、プリンタ1の印刷解像度よりも高い読取解像度にて画像を読み取る。
<<従来の補正値取得処理の手順>>
次に、従来の補正値取得処理の手順について図9を参照しながら説明する。図9は、従来の補正値取得処理の流れを示す図である。なお、補正値取得処理は、各インク色について同様の手順により実施されるので、以下では、一のインク色についての補正値取得処理を例に挙げて説明する。
先ず、図9に示すように、コンピュータ110が印刷データをプリンタ1に送信し、プリンタ1のコントローラ50が該印刷データに基づいて、既述の印刷処理と同様の手順により、所定の印刷媒体に補正用パターンCPを形成する(S021)。このような意味で、プリンタ1のコントローラ50は、ヘッド23のノズルからインクを噴射して補正用パターンCPを印刷媒体に形成するためのものであると言える。
以下、図10を参照しながら、補正用パターンCPについて説明する。図10は、補正用パターンCPの説明図であり、図中、ヘッド23の移動方向(走査方向)と搬送方向とを矢印にて示す。補正用パターンCPは、ヘッド23の移動方向に沿ったラスタラインが搬送方向において複数並べられることにより構成される。なお、本実施形態では、搬送方向における印刷解像度が720dpiであるので、補正用パターンCPを構成する複数のラスタラインは、搬送方向において1/720インチの間隔にて並ぶことになる。
また、本実施形態の補正用パターンCPは、図10に示すように、帯状のサブパターンCSPを5つ備えている。サブパターンCSPは、補正用パターンCPと同様、搬送方向において並んだ複数のラスタラインによって構成され、当該複数のラスタラインは搬送方向において1/720インチの間隔にて並ぶ。また、サブパターンCSPは、それぞれ一定の階調値の画像データから生成され、図10中、左のサブパターンCSPから順に指令階調値76(指令濃度値30%)、102(40%)、128(50%)、153(60%)及び179(70%)となり、順に濃い濃度のパターンになっている。なお、これらの5種類の指令階調値を、それぞれ、記号Sa(=76)、Sb(=102)、Sc(=128)、Sd(=153)、Se(=179)と表記する。また、以下では、例えば、指令階調値Saにて形成されたサブパターンCSPをCSP(30)と表記する。
次に、検査者は補正用パターンCPが形成された印刷媒体をスキャナ120にセットする。そして、コンピュータ110が、スキャナ120に補正用パターンCPを読み取らせ、補正用パターン濃度データを取得する(S022)。
補正用パターンCPの読取処理について、図11Aを参照しながら具体的に説明する。図11Aは、スキャナ120の読取処理についての説明図であり、図中、読取キャリッジ121の移動方向を矢印にて示す。補正用パターンCPが形成された印刷媒体が原稿台ガラス122上に置かれた状態で、読取キャリッジ121が移動方向に移動しながら前記印刷媒体に光を照射し、その反射光を該読取キャリッジ121に備えられた受光素子121aにより検出する。なお、受光素子121aは、読取キャリッジ121において前記移動方向と交差する方向に複数並んだ状態で備えられている。そして、前記補正用パターンCPが読取キャリッジ121に読み取られる結果、補正用パターンCPの読取画像データが取得される。ここで、補正用パターンCPの読取画像データを構成する各読取画素データは、補正用パターン濃度データに相当する。すなわち、補正用パターン濃度データは、スキャナ120により補正用パターンCPが読み取られることにより取得される。
次に、コンピュータ110は、5つのサブパターンCSPの各々について、ラスタライン毎の補正用パターン濃度データを算出する(S023)。以下、図12を参照しながら、一のサブパターンCSP(例えば、CSP(30))についてラスタライン毎の補正用パターン濃度データを算出する手順について説明する。図12は、一のサブパターンCSP(30)の読取画像データを示した図である。図12には、補正用パターンCPが形成された際の搬送方向に相当するX軸方向、及び、走査方向に相当するY軸方向が矢印にて示されている。
コンピュータ110は、一のサブパターンCSPについてラスタライン毎の補正用パターン濃度データを算出するにあたり、補正用パターンCPの読取画像データに対して、スキャナ120の読取解像度からプリンタ1の印刷解像度に変換する解像度変換処理を行う。その後、コンピュータ110は、公知の画像処理法により、解像度変換処理が行われた読取画像データの中から、一のサブパターンCSPの読取画像データを抽出する。
そして、コンピュータ110は、抽出された一のサブパターンCSPの読取画像データに対して、ラスタライン毎に読取画素データ(すなわち、補正用パターン濃度データ)を平均する平均処理を行う。具体的に説明すると、例えば、搬送方向において最も下流側に位置するラスタラインについては、図12に示すように、一のサブパターンCSPの読取画像データ中、X軸方向において一番上に位置する画素列を構成する読取画素データ(図12中、破線にて示した領域にある読取画素データ)を平均する。
以上のような平均処理をラスタライン毎に行うことにより、一のサブパターンCSPについてラスタライン毎の補正用パターン濃度データを算出する。つまり、ラスタライン毎の補正用パターン濃度データを算出するということは、一のサブパターンCSPの読取画像データを、X軸方向及びY軸方向に読取画素データが並ぶ二次元の画像データから、ラスタライン毎に平均した読取画素データがX軸方向に並ぶ一次元の画像データに変換することと同義である。
そして、ラスタライン毎の補正用パターン濃度データの算出は、5つのサブパターンCPSの各々について行われる。ラスタライン毎の補正用パターン濃度データの算出結果について説明すると、例えば、図13に示すように、各サブパターンCSPがそれぞれ指令階調値で一様に形成されたにも関わらず、ラスタライン間で濃淡差が生じている。このラスタライン間の濃淡差が、印刷画像の濃度むらの原因である。なお、図13は、各サブパターンCSPについて、ラスタライン毎の補正用パターン濃度データの算出結果をまとめたものである。図13中、縦軸は、ラスタラインの補正用パターン濃度データ(以下において、算出濃度とも呼ぶ)を示し、横軸はX軸方向におけるラスタラインの位置を示している。
次に、コンピュータ110は、各サブパターンCSPのラスタライン毎の補正用パターン濃度データに基づいてラスタライン毎に濃度補正値Mを求める(S024)。以下、具体的に説明するために、指令階調値Sc(指令濃度値50%)のサブパターンCSP(50)のラスタラインの算出濃度がラスタライン間で一定になるように指令階調値Scを補正するための濃度補正値M、を算出する手順を例に挙げて説明する。
指令階調値Scを補正するための濃度補正値Mを求めるために、例えば、指令階調値ScのサブパターンCSP(50)における全ラスタラインの算出濃度の平均値Dct(図13参照)を、指令階調値Scの目標濃度として定める。図13に示すように、この目標濃度Dctよりも算出濃度が淡いラスタラインiでは、指令階調値Scを濃くする方へ補正すれば良い。一方、目標濃度Dctよりも算出濃度が濃いラスタラインjでは、指令階調値Scを淡くする方へ補正すれば良い。
具体的に説明すると、ラスタラインiの指令階調値Scに対する濃度補正値Mは、指令階調値ScのサブパターンCSP(50)におけるラスタラインiの算出濃度Dcと、指令階調値Scよりも高い指令階調値の中で最も指令階調値Scに近い指令階調値SdのサブパターンCSP(60)におけるラスタラインiの算出濃度Ddと、に基づいて算出される。
より具体的には、指令階調値ScのサブパターンCSP(50)では、ラスタラインiの算出濃度Dcが目標濃度Dctよりも小さくなっている。仮に、ラスタラインiの算出濃度Dcが目標濃度Dctと等しくなるように該ラスタラインiを形成したいのであれば、該ラスタラインiの指令階調値Scを、図14Aに示すように、ラスタラインiにおける指令階調値及び算出濃度の対応関係(Sc,Dc)、(Sd,Dd)から直線近似を用いて、次式により算出される目標指令階調値Sctまで補正すればよい。
Sct=Sc+(Sd−Sc)×{(Dct−Dc)/(Dd−Dc)}
そして、指令階調値Scと目標指令階調値Sctから、次式により、ラスタラインiの指令階調値Scに対する濃度補正値Mが求められる。
M=ΔS/Sc=(Sct−Sc)/Sc
なお、図14Aは、ラスタラインiの指令階調値Scに対する濃度補正値Mを求める手順についての説明図である。
一方、ラスタラインjの指令階調値Scに対する濃度補正値Mは、指令階調値ScのサブパターンCSP(50)におけるラスタラインjの算出濃度Dcと、及び、指令階調値Scよりも低い指令階調値の中で最も指令階調値Scに近い指令階調値SbのサブパターンCSP(40)におけるラスタラインjの算出濃度Db、に基づいて算出される。具体的には、指令階調値ScのサブパターンCSP(50)では、ラスタラインjの算出濃度Dcが目標濃度Dctよりも大きくなっている。仮に、ラスタラインjの算出濃度Dcが目標濃度Dctと等しくなるように該ラスタラインjを形成したいのであれば、該ラスタラインjの指令階調値Scを、図14Bに示すように、ラスタラインjにおける指令階調値及び算出濃度の対応関係(Sb,Db)、(Sc,Dc)から直線近似を用いて、次式により算出される目標指令階調値Sctまで補正すればよい。
Sct=Sc+(Sc−Sb)×{(Dct−Dc)/(Dc−Db)}
そして、上記の式により、ラスタラインjの指令階調値Scに対する濃度補正値Mが求められる。なお、図14Bは、ラスタラインjの指令階調値Scに対する濃度補正値Mを求める手順についての説明図である。
以上のようにして、コンピュータ110は、ラスタライン毎に、指令階調値Scに対する補正値Mを算出する。同様に、指令階調値Sa、Sb、Sd、Seの各々に対する濃度補正値Mについてもラスタライン毎に求める。このようにして求めた、各サブパターンCSPの指令階調値に対するラスタライン毎の濃度補正値Mは、プリンタ1の濃度むら特性を反映した値となっている。
その後、コンピュータ110は、濃度補正値Mのデータをプリンタ1に送信し、プリンタ1のメモリ53に記憶させる(S025)。この結果、プリンタ1のメモリ53には、図15に図示された、ラスタライン毎に5つの指令階調値Sa、Sb、Sc、Sd、Seの各々に対する濃度補正値Mをまとめた補正値テーブル、が作成される。図15は、メモリ53に記録された補正値テーブルを示す図である。プリンタ1のメモリ53に濃度補正値Mが記憶された後、補正値取得処理は終了する。その後、プリンタ1とコンピュータ110との接続が外され、プリンタ1に対する他の検査が終わった後に、プリンタ1が工場から出荷される。
<<階調値補正処理について>>
濃度補正値Mを記憶したプリンタ1を購入したユーザの下で該プリンタ1を用いて本印刷を行われる場合、ユーザが用意したコンピュータ110のプリンタドライバは、印刷データを作成する際に、濃度補正値Mをプリンタ1のメモリ53から読み出し、画像データの画素データの階調値(すなわち、指令階調値)を前記濃度補正値Mによりラスタライン毎に補正する階調値補正処理を行う。
具体的に説明すると、前記画像データのうちのラスタラインiの指令階調値S_inが、補正用パターンCPを形成した際の指令階調値(すなわち、サブパターンCSPの指令階調値)Sa、Sb、Sc、Sd、Seのいずれかと同じであれば、その指令階調値に対するラスタラインiの濃度補正値Mを用いて、前記指令階調値S_inをS_in×(1+M)に補正する。一方、ラスタラインiの指令階調値S_inが指令階調値Sa、Sb、Sc、Sd、Seのいずれとも異なる場合、指令階調値と濃度補正値Mとの対応関係(Sa,Ma)、(Sb,Mb)、(Sc,Mc)、(Sd,Md)、(Se,Me)を一次補間することにより求めた濃度補正値Mtにより、前記指令階調値S_inをS_in×(1+Mt))に補正する。ここで、濃度補正値Ma、Mb、Mc、Md、Meは、ラスタラインiについて指令階調値Sa、Sb、Sc、Sd、Seをそれぞれ補正するための濃度補正値Mである。
<<従来の補正値取得処理における課題>>
従来の補正値取得処理では、補正用パターン濃度データが、補正用パターンが形成された印刷媒体の生地部の影響を受ける場合がある。つまり、印刷媒体が濃度変化を有する場合があり、該印刷媒体に形成された補正用パターンCP、を読み取って取得された補正用パターン濃度データは、該印刷媒体の濃度変化の影響を受けてしまう。ここで、濃度変化とは、罫線や柄のような模様、汚れ、印刷媒体の繊維の配向に基づく色むら(所謂テクスチャ)等、印刷媒体に形成された濃度むらを総称するものである。また、生地部とは、印刷媒体において画像及び補正用パターンCPが形成されていない状態にある部分のことである。したがって、画像及び補正用パターンCPが形成される前の印刷媒体は、生地部のみから構成されることになる。このため、印刷媒体が濃度変化を有することは、該印刷媒体を構成する生地部が濃度変化を有することに等しい。
また、生地部の影響が補正用パターン濃度データに及ぶとは、印刷媒体が有する濃度変化によって、該補正用パターン濃度データが本来の濃度データ(仮に濃度変化を有しない印刷媒体に補正用パターンCPを形成した場合の濃度データ)とは異なってしまうことである。以下、濃度変化を有する印刷媒体として、図16に図示された紙(以下、紙S)を一例に挙げて、該紙Sに補正用パターンCPを形成する場合について説明する。図16は、濃度変化を有する紙Sを示した図である。なお、図16中、矢印にて、紙Sに補正用パターンCPを形成する際の走査方向及び搬送方向が示されている。
紙Sには、図16に示すように、走査方向に沿った筋模様が形成されている。この筋模様は、筋模様以外の部分よりも濃く、かつ、走査方向における紙Sの一端から他端に亘って形成されている。また、筋模様は、搬送方向において一定間隔(図16中、記号dにて示す)毎に複数並んでいる。つまり、紙Sは搬送方向において周期的な濃度変化を有する。
以上のような紙Sに補正用パターンCPを形成した場合、筋模様上に形成されたラスタラインの濃度(より詳しくは、筋模様上のラスタラインが形成された列領域の濃度)は、該ラスタラインの本来の濃度より濃く視認されてしまう。つまり、図7Dに示すように、ある列領域(図7D中、4番目と5番目の列領域)が搬送方向において筋模様と同じ位置に位置している場合、当該ある列領域に形成されたラスタラインの濃度は、該筋模様の影響を受けて、より濃く視認されてしまう。図7Dは、筋模様上に形成されたラスタラインを示す図である。
したがって、紙Sに形成された補正用パターンCPをスキャナ120によって読み取った場合、筋模様上に形成されたラスタラインについては、その補正用パターン濃度データ(算出濃度)が本来の補正用パターン濃度データと異なってしまう。かかる補正用パターン濃度データをそのまま用いて求めた濃度補正値M(より具体的には、筋模様上に形成されたラスタラインについての濃度補正値M)は、プリンタ1の濃度むら特性のみならず、補正用パターンCPが形成された紙S自体の濃度変化まで反映した値となってしまう。つまり、紙Sの生地部の影響が濃度補正値Mにまで波及する結果、本来の値とは異なる濃度補正値Mが求められてしまう。
このように、従来の補正値取得処理では、補正用パターンCPが形成された印刷媒体の生地部の影響を受ける可能性があるため、正確な濃度補正値Mを取得することができない虞がある。そして、不正確な濃度補正値Mにより指令階調値を補正してしまうと、過度に(あるいは、不十分に)濃度が補正されたラスタラインが形成される結果、画像の濃度むらを適切に抑制することができなくなってしまう。
そこで、本実施形態では、印刷媒体の生地部の影響を考慮して濃度補正値Mを求める補正値取得処理を行う。以下、本実施形態の補正値取得処理について説明する。なお、以下では、上述した紙Sに補正用パターンCPを形成する場合を例に挙げて説明する。
<<本実施形態の補正値取得処理>>
本実施形態の補正値取得処理の手順について図17を参照しながら説明する。図17は、本実施形態の補正値取得処理の流れを示す図である。
本実施形態の補正値取得処理は、図17に示すように、プリンタ1のコントローラ50が、コンピュータ110から送信される印刷データに基づいて補正用パターンCPを紙Sに形成するところから始まる(S031)。本実施形態の補正値取得処理では、従来の補正値取得処理と同様、5つのサブパターンCSP(30)、CSP(40)、CSP(50)、CSP(60)、CSP(70)を備える補正用パターンCPを形成する。この際、図18に示すように、紙Sの走査方向両端側のうちの少なくとも一方の端側に、サブパターンCSPの走査方向における幅以上の生地部が残るように(換言すると、余白が形成されるように)補正用パターンCPを形成する。なお、図18は、紙Sに形成された補正用パターンCPを示す図であり、図10に対応した図である。
次に、生地部が残るように補正用パターンCPが形成された紙Sが、その紙幅方向が読取キャリッジ121の移動方向と略直交するようにスキャナ120にセットされる。かかる状態の下で、コンピュータ110は、補正用パターンCPを、紙Sの走査方向一端部に残された生地部ともにスキャナ120に読み取らせる(S032)。
具体的に説明すると、図11Bに示すように、スキャナ120は、補正用パターンCP、及び、残された前記生地部のうちの該補正用パターンCPと隣接する隣接部NCPのそれぞれを読み取る。隣接部NCPはサブパターンCSPと同一サイズの領域である。また、本実施形態では、移動方向と交差する交差方向において、読取キャリッジ121の読取幅が、補正用パターンCPの幅(図11B中、記号t1)と隣接部の幅(図11B中、記号t2)との合計以上になっている。このため、スキャナ120は、補正用パターンCP及び隣接部NCPを同時に読み取ることが可能である。これにより、読取キャリッジ121の移動速度やサンプリングタイミング等の読取条件を、補正用パターンCPと隣接部NCPとの間で揃えることが可能になる。なお、図11Bは、補正用パターンCP及び隣接部NCPの読み取りについての説明図であり、図中、矢印にて読取キャリッジ121の移動方向、及び、該移動方向と交差する交差方向を示している。
以上により、補正用パターン濃度データ、及び、生地部(より具体的には、隣接部)の生地部濃度データのそれぞれを取得する。ここで、生地部の生地部濃度データとは、隣接部の読取画像データを構成する各読取画素データである。つまり、スキャナ120は、隣接部そのものを画像と認識して該隣接部を読み取ることにより、該隣接部の生地部濃度データを取得する。
なお、本実施形態においては、補正用パターンCP及び紙Sの生地部(具体的には、隣接部NCP)を同時に読み取ることとしたが、これに限定されるものではない。補正用パターンCP及び紙Sの生地部を別々に読み取ることとしてもよい。例えば、補正用パターンCPを形成する前の紙S(すなわち、生地部のみから構成される紙S)を読み取って生地部濃度データを取得した後に、補正用パターンCPを紙Sに形成し、該補正用パターンCPを読み取って補正用パターン濃度データを取得することとしてもよい。
次に、コンピュータ110は、既述の手順により、5つのサブパターンCPSの各々について、ラスタライン毎の補正用パターン濃度データを算出する(S033)。この時点におけるラスタライン毎の補正用パターン濃度データ(算出濃度)について説明すると、ラスタライン間で濃淡差が生じていることに加えて、あるラスタラインの算出濃度については、紙Sの生地部の影響(すなわち、紙Sが有する濃度変化の影響であり、具体的には紙Sに形成された筋模様の影響)を受けて、より濃くなっている。
より詳しく説明すると、各サブパターンCPSのラスタラインのうち、紙Sの筋模様上に形成されたラスタラインについては、図19に示すように、その算出濃度が当該筋模様分だけ高くなってしまう。図19は、紙Sの生地部の影響を受けたラスタライン毎の算出濃度を示す図であり、図13に対応した図である。なお、図19中、紙Sの生地部の影響が及んだラスタラインの算出濃度を太実線にて示す。また、当該ラスタラインの本来の算出濃度(すなわち、前記生地部の影響が及ばなかった場合の算出濃度)、及び、筋模様から外れた位置に形成されたラスタラインの算出濃度を細実線にて示す。
そこで、本実施形態の補正値取得処理では、各サブパターンCSPについてラスタライン毎に算出した算出濃度(すなわち、一次元化された補正用パターン濃度データ)、に対して帯域制限フィルタによるフィルタ処理を行う(S034)。このフィルタ処理は、前記補正用パターン濃度データに対する前記生地部の影響を除去するための除去処理である。このフィルタ処理を行うことにより、筋模様上に形成されたラスタラインの算出濃度は、本来の算出濃度、すなわち、該筋模様の影響を受けていない算出濃度(つまり、図19にて細実線にて示す算出濃度)に修正される。なお、帯域制限フィルタ及びフィルタ処理については、後述する。
フィルタ処理を行った後には、該フィルタ処理が行われた補正用パターン濃度データに基づいて、既述の手順によりラスタライン毎の濃度補正値Mを求める(S035)。フィルタ処理が行われた補正用パターン濃度データに基づいて求められた濃度補正値Mは、プリンタ1の濃度むら特性を反映した正確な値となる(すなわち、紙Sの生地部の影響が波及していない値となる)。求められた濃度補正値Mは、前述したように、プリンタ1のメモリ53に記憶され(S036)、当該濃度補正値Mの記憶が完了した時点で本実施形態の補正値取得処理が完了する。
<フィルタ処理について>
次に、紙Sの生地部の影響を受けた補正用パターン濃度データに対するフィルタ処理について図20を参照しながら説明する。図20は、フィルタ処理の流れを示す図である。
先ず、図20に示すように、フィルタ処理の前処理として、補正用パターン濃度データとともに取得された隣接部の生地部濃度データに対して、スキャナ120の読取解像度からプリンタ1の印刷解像度に変換する解像度変換処理を行った上で、二次元の画像データから一次元の画像データに変換する処理、を行う(S041)。
具体的に説明すると、スキャナ120により取得された読取画像データから、隣接部の読取画像データを抽出する。抽出された隣接部の読取画像データに対して、補正用パターン濃度データの場合と同様の手順により、X軸方向に並ぶ各読取画素列データに対して、該読取画素列データを構成する読取画素データ(すなわち、生地部濃度データ)を平均する平均処理を行う。これにより、隣接部について列領域毎の生地部濃度データが算出される。すなわち、隣接部の読取画像データが、X軸方向に一次元化された生地部濃度データになる。以下、一次元化された列領域毎の生地部濃度データを生地部濃度データG(x)とする。
次に、フィルタ処理に用いる帯域制限フィルタを設定する(S042)。本実施形態では、取得された生地部濃度データG(x)に基づいて帯域制限フィルタを求める。具体的に説明すると、先ず、実空間領域で表現された生地部濃度データG(x)を空間周波数領域で表現するために、該生地部濃度データG(x)に対してフーリエ変換処理を行う。本実施形態では、生地部濃度データG(x)が列領域毎の濃度データであり離散化されているので、離散フーリエ変換処理を行う。なお、離散フーリエ変換処理が行われた生地部濃度データG(x)を、フーリエ変換処理後の生地部濃度データg(f)と呼ぶ。また、変数fは、実空間領域で表現された(つまり、フーリエ変換処理前の)生地部濃度データG(x)のX軸方向に対応する空間周波数である。
次に、フーリエ変換処理後の生地部濃度データg(f)から空間周波数毎のパワースペクトルPを求める。このパワースペクトルPを算出する処理は、紙Sが有する濃度変化についての空間周波数(すなわち、紙S上の筋模様の形成周期に対応する空間周波数)、を特定するための周波数解析処理である。なお、パワースペクトルPは次式により求められる。
具体的に説明すると、空間周波数毎に求めたパワースペクトルPの算出結果として、図21に示すような結果を取得する。図21は、フーリエ変換処理後の生地部濃度データg(f)から求めた空間周波数毎のパワースペクトルPを示す図であり、縦軸はパワースペクトルPを示し、横軸は空間周波数fを示している。そして、パワースペクトルPの算出結果から、該パワースペクトルPが所定値よりも高くなった空間周波数を特定する。ここで、所定値とは、前記濃度変化についての空間周波数を特定するために予め設定した閾値である。そして、パワースペクトルPが当該閾値よりも高くなった空間周波数として特定された空間周波数(図21中、記号f*1、f*2にて示す)が、前記濃度変化についての空間周波数(つまり、筋模様の形成周期の逆数)に相当する。なお、数学的理由により、ある空間周波数を特定した場合には、当該ある空間周波数と絶対値が等しく互いに異符号の関係にある空間周波数も併せて特定されることになる(例えば、上記の空間周波数f*1、f*2については、絶対値が等しく、互いに異符号の関係にある)。
次に、パワースペクトルPによって特定した空間周波数に基づいて、ラスタライン毎の補正用パターン濃度データから紙Sの生地部の影響を除去するための帯域制限フィルタを求める。すなわち、当該帯域制限フィルタは、前記生地部の影響を受けた補正用パターン濃度データから、特定した空間周波数の該補正用パターン濃度データにおける対応成分を除去して、前記生地部の影響を除去するためのものである。ここで、対応成分とは、前記補正用パターン濃度データのうち、特定した空間周波数にて変化する成分(換言すると、その変化の周期が特定した空間周波数の逆数に相当する成分)のことである。
帯域制限フィルタを求める手順について説明すると、先ず、特定した空間周波数毎に次式に示すガウス関数hk(f)を求める。すなわち、上記の例では、空間周波数f*1、f*2の各々に対してガウス関数hk(f)を求めて、2種類のガウス関数h1(f)、h2(f)を得ることになる。
ここで、σの2乗値は分散を示し、特定した空間周波数f*kとの差の期待値を二乗した値である。さらに、次式に示すように、特定した空間周波数毎のガウス関数hk(f)同士を掛け合わせた関数H(f)を求める。
H(f)=h1(f)×h2(f)
以上のようにして求めた関数H(f)が本実施形態の帯域制限フィルタに相当する。すなわち、本実施形態の帯域制限フィルタは、そのフィルタ特性が空間周波数領域で表現された周波数応答関数H(f)である。この周波数応答関数H(f)は、所謂フィルタ関数であり、互いに掛け合わされた空間周波数毎のガウス関数h1(f)、h2(f)により構成される。
周波数応答関数H(f)は、図22に示すような形状(フィルタ形状)を有する。図22は、本実施形態の帯域制限フィルタの形状を示す図である。そして、周波数応答関数H(f)が適用された濃度データについては、特定した空間周波数f*1、f*2の該濃度データにおける対応成分が、該濃度データから除去されることになる。より詳しく説明すると、特定した空間周波数f*1、f*2の前記濃度データにおける対応成分については該濃度データから除去され、さらに、特定した空間周波数f*1、f*2近傍の空間周波数fの前記濃度データにおける対応成分については減衰される。そして、本実施形態では、各サブパターンCSPのラスタライン毎の補正用パターン濃度データ、に対して周波数応答関数H(f)を適用する(S043)。
以下、周波数応答関数H(f)を適用する手順について、図23を参照しながら説明する。図23は、周波数応答関数H(f)の適用についての説明図である。なお、サブパターンCSPのラスタライン毎の補正用パターン濃度データに対する周波数応答関数H(f)の適用は、サブパターンCSP間で同様の手順により行われるため、以下では、一のサブパターンCSPのラスタライン毎の補正用パターン濃度データ(以下、単に補正用パターン濃度データD(x))に対する周波数応答関数H(f)の適用について説明する。
先ず、図23に示すように、帯域制限フィルタを適用する前に、補正用パターン濃度データD(x)に対してフーリエ変換処理を行い、実空間領域の補正用パターン濃度データD(x)を空間周波数領域の補正用パターン濃度データに変換する。本実施形態では、補正用パターン濃度データD(x)がラスタライン毎の濃度データであり離散化されているので、離散フーリエ変換処理を行うことになる。以下、離散フーリエ変換処理が行われた補正用パターン濃度データD(x)を、フーリエ変換処理後の補正用パターン濃度データd(f)とする。なお、変数fは、フーリエ変換処理前の補正用パターン濃度データD(x)のX軸方向に対応する空間周波数である。
次に、フーリエ変換処理後の補正用パターン濃度データd(f)に対して周波数応答関数H(f)によるフィルタ処理を行う。具体的には、当該フィルタ処理として、フーリエ変換処理後の補正用パターン濃度データd(f)と、周波数応答関数H(f)と、の積e(f)(=d(f)×H(f))を求める。そして、当該積e(f)に対して逆フーリエ変換処理(具体的には、離散逆フーリエ変換処理)を行う。上記一連の処理により、最終的に、フィルタ処理が行われた補正用パターン濃度データ(以下、フィルタ処理後の補正用パターン濃度データE(x))を取得する。そして、フィルタ処理後の補正用パターン濃度データE(x)は、補正前の補正用パターン濃度データD(x)から、特定した空間周波数f*1、f*2の該補正用パターン濃度データD(x)における対応成分、が除去された濃度データになる。
<<本実施形態の補正値取得処理の有効性について>>
以上のように、本実施形態の補正値取得処理は、濃度変化を有する印刷媒体に補正用パターンCPを形成し、該印刷媒体の生地部及び前記補正用パターンCPをそれぞれ読み取って、前記生地部の生地部濃度データ、及び、前記補正用パターンCPの補正用パターン濃度データをそれぞれ取得し、前記生地部濃度データに基づいて、前記補正用パターン濃度データに対する前記生地部の影響を除去するための除去処理、を該補正用パターン濃度データに対して行い、画像の濃度を補正するための濃度補正値M、を前記除去処理が行われた前記補正用パターン濃度データに基づいて求めるものである。特に、本実施形態では、前記除去処理として、帯域制限フィルタによるフィルタ処理を補正用パターン濃度データD(x)に対して行う。この結果、濃度変化を有する印刷媒体に形成された補正用パターンCPに基づいて濃度補正値Mを求める場合であっても、前記濃度変化を考慮して該濃度補正値Mを正確に求めることが可能になる。
具体的に説明すると、上記の例では、フィルタ処理前の補正用パターン濃度データD(x)を空間周波数領域で表現した場合、該補正用パターン濃度データD(x)(つまり、フーリエ変換後の補正用パターン濃度データd(f))には、紙Sの生地部(具体的には、紙Sに形成された周期的な筋模様)に由来する成分が含まれている。換言すると、フィルタ処理前の補正用パターン濃度データD(x)は、本来の補正用パターン濃度データ(すなわち、仮に濃度変化を有しない印刷媒体に補正用パターンCPが形成された場合の補正用パターン濃度データ)と、生地部濃度データと、を合成した濃度データになっている。
このように前記生地部に由来する成分を含んだままの補正用パターン濃度データD(x)、に基づいて濃度補正値Mを求めると、前記生地部の影響が該濃度補正値Mにまで波及する。この結果、前述したように、本来プリンタ1の濃度むら特性を反映した値として求められるはずの濃度補正値Mが、紙Sの濃度変化まで反映した不正確な値になってしまう。
これに対し、本実施形態では、紙Sが有する濃度変化についての空間周波数、を特定した上で、特定した空間周波数の前記補正用パターン濃度データD(x)における対応成分を帯域制限する。これにより、前記補正用パターン濃度データD(x)から前記生地部に由来する成分が除去される。すなわち、フィルタ処理後の補正用パターン濃度データE(x)は、紙Sの生地部の影響が除去されたデータとなる。つまり、フィルタ処理により、紙Sの筋模様上に形成されたために該筋模様分だけより濃くなったラスタラインの補正用パターン濃度データ(算出濃度)が、本来の補正用パターン濃度データとなるように修正される。換言すると、フィルタ処理は、本来の補正用パターン濃度データと生地部濃度データとを合成した補正用パターン濃度データ、から該生地部濃度データ分を差し引くための処理である。
そして、紙Sの生地部の影響が除去されたフィルタ処理後の補正用パターン濃度データE(x)、に基づいて濃度補正値Mを求めることにより、上記の課題を解消することが可能になる。すなわち、前記生地部の影響を排した本来の補正用パターン濃度データに基づいて濃度補正値Mを求めることが可能になる結果、該濃度補正値Mをプリンタ1の濃度むら特性を反映した値として正確に求めることが可能になる。
また、本実施形態では、前記濃度変化についての空間周波数、を特定するための周波数解析としてパワースペクトル解析を採用し、フーリエ変換処理後の生地部濃度データg(f)から空間周波数毎に求めたパワースペクトルPに基づいて前記空間周波数の特定を行うこととした。これにより、フィルタ処理前の補正用パターン濃度データD(x)から該フィルタ処理によって除去すべき周波数成分、を適切に求めることが可能になる。この結果、正確な濃度補正値Mを適切に求めることが可能になる。但し、空間周波数の特定に関しては、本実施形態に限定されるものではない。すなわち、パワースペクトル解析以外の周波数解析によって前記空間周波数を特定することとしてもよい。
また、本実施形態の帯域制限フィルタは、空間周波数領域で表現される周波数応答関数H(f)であり、フィルタ処理として、フーリエ変換処理後の補正用パターン濃度データd(f)と該周波数応答関数H(f)との積を求めて、当該積に対して逆フーリエ変換処理を行うこととした。すなわち、本実施形態のフィルタ処理は、空間周波数領域でのフィルタ処理である。かかる場合、フィルタ処理の演算量が比較的少なくなる。このため、補正用パターン濃度データD(x)に対する生地部の影響を除去することが容易になる結果、正確な濃度補正値Mを簡易に求めることが可能になる。但し、フィルタ処理については、本実施形態に限定されるものではなく、実空間領域でのフィルタ処理であってもよい。例えば、帯域制限フィルタとして、所謂FIRフィルタ(Finite Impulse Responceフィルタ)を求め、実空間領域で表現された補正用パターン濃度データD(x)に対して該FIRフィルタによる畳み込み積分演算を行うこととしてもよい。
また、本実施形態の周波数応答関数H(f)は、パワースペクトルPを求めて特定した空間周波数、の各々に対して求めたガウス関数hk(f)から構成されることとした。かかる周波数応答関数H(f)によるフィルタ処理であれば、一度のフィルタ処理により、特定した空間周波数全ての対応成分をフーリエ変換処理後の補正用パターン濃度データd(f)から除去することが可能になる。但し、これに限定されるものではなく、例えば、特定した空間周波数の各々に対して周波数応答関数を求めて、特定した該空間周波数毎にフィルタ処理を行うこととしてもよい。
===その他の実施形態===
上記実施形態では、主に、本発明に係る補正値取得方法について説明したが、上記の説明には、該補正値取得方法を実行するための補正値取得システム200、及び、該補正値取得方法により濃度補正値Mを記憶した液体噴射装置としてのプリンタ1の開示も含まれている。また、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
また、上記実施形態では、ノズルから液体を噴射するためにピエゾ素子を駆動することによりインク室を膨張・収縮させるピエゾ方式について説明したが、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ該気泡によって液体を噴射させるサーマル方式であってもよい。また、上記実施形態では、プリンタ1の印刷方式としてインターレース方式について説明したが、これに限定されず、例えば、1つのラスタラインを異なる複数のノズルで形成する印刷方式(オーバーラップ方式)であってもよい。
また、上記実施形態のプリンタ1では、記録ユニット20が走査方向に移動する単一のヘッド23を有していることとした。すなわち、上記実施形態のプリンタ1は、ヘッド23を走査方向に移動させながらノズルからインクを噴射することにより、走査方向に沿ったラスタラインを形成するシリアルプリンタである。但し、これに限られるものではなく、紙幅分のドットを一度に形成することが可能なラインプリンタにも本発明を適用することが可能である。ラインプリンタとしては、例えば、紙幅方向に沿う方向に長い長尺体のヘッド23を有する記録ユニット20(図24参照)や、紙幅方向において並んだ複数のヘッド23を有する記録ユニット20(図25参照)がある。なお、図24は、プリンタ1の第一変形例として長尺体のヘッド23を有するラインプリンタ(ラインヘッドプリンタ)の説明図である。図25は、プリンタ1の第二変形例として複数のヘッド23を有するラインプリンタ(マルチヘッドプリンタ)の説明図である。両図には、矢印にて紙の紙幅方向と該紙の搬送方向とが示されている。
ラインプリンタでは、図24や図25に示すように、紙幅方向に並んだ複数のノズル(以下、ノズル列)がインク色毎に形成されている。そして、各ノズル列の下を搬送方向に停まることなく移動する印刷媒体、にインクが噴射されることによって、画像が該印刷媒体に形成される。つまり、ラインプリンタの場合、搬送方向に沿ったラスタラインが紙幅方向において複数並ぶように形成される。ラインプリンタにおけるラスタラインの形成方向はシリアルプリンタの場合と異なるものの、ラスタライン間の濃度差に起因して画像に縞状の濃度ムラ(ラインヘッドプリンタの場合、縦縞状の濃度ムラ)が発生する点では、ラインプリンタとシリアルプリンタとは共通している。このため、ラインプリンタにおいても、画像の濃度むらを抑制するためにラスタライン毎に濃度補正値Mを取得することになる。したがって、濃度変化を有する印刷媒体にラインプリンタを用いて形成した補正用パターンCP、に基づいてラスタライン毎に濃度補正値Mを求める場合、本発明を適用することが可能である。
また、上記の実施形態では、液体の一例であるインクを噴射するインクジェットプリンタについて説明したが、これに限られるものではない。インク以外の他の液体を噴射する液体噴射装置に具体化することも可能である。例えば、布地に模様をつけるための捺染装置、カラーフィルター製造装置や有機ELディスプレイ等のディスプレイ製造装置、チップへDNAを溶かした溶液を塗布してDNAチップを製造するDNAチップ製造装置、回路基板製造装置等であってもよい。そして、これらのうち、いずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することが可能である。
印刷システム100の構成を示すブロック図である。 図2A及び図2Bは、プリンタ1の基本構成を示す図である。 ノズルの配列を示す図である。 印刷処理のフローチャートである。 図5A及び図5Bは、インターレース方式の印刷についての説明図である。 プリンタドライバによる処理の説明図である。 図7Aは、理想的にラスタラインが形成されたときの様子を示す図である。図7Bは、濃度ムラが発生した際の様子を示す図である。図7Cは、濃度むらが抑制された様子を示す図である。図7Dは、筋模様上に形成されたラスタラインを示す図である。 補正値取得システム200の構成を示すブロック図である。 従来の補正値取得処理の流れを示す図である。 補正用パターンCPの説明図である。 図11Aは、スキャナ120の読取処理についての説明図である。図11Bは、補正用パターンCP及び隣接部NCPの読み取りについての説明図である。 サブパターンCSP(30)の読取画像データを示した図である。 各サブパターンCSPについて、ラスタライン毎の補正用パターン濃度データの算出結果をまとめたものである。 図14Aは、ラスタラインiの指令階調値Scに対する濃度補正値Mを求める手順についての説明図である。図14Bは、ラスタラインjの指令階調値Scに対する濃度補正値Mを求める手順についての説明図である。 補正値テーブルを示す図である。 濃度変化を有する紙Sを示した図である。 本実施形態の補正値取得処理の流れを示す図である。 紙Sに形成された補正用パターンCPを示す図である。 紙Sの生地部の影響を受けたラスタライン毎の算出濃度を示す図である。 フィルタ処理の流れを示す図である。 フーリエ変換処理後の生地部濃度データg(f)から求めた空間周波数毎のパワースペクトルPを示す図である。 本実施形態の帯域制限フィルタの形状を示す図である。 周波数応答関数H(f)の適用についての説明図である。 プリンタ1の第一変形例を示す図である。 プリンタ1の第二変形例を示す図である。
符号の説明
1 プリンタ、20 記録ユニット、21 キャリッジ、
22 キャリッジ移動機構、23 ヘッド、24 ガイド軸、
30 搬送ユニット、31 給紙ローラ、32 搬送モータ、
33 搬送ローラ、34 プラテン、35 排紙ローラ、
40 検出器群、50 コントローラ、51 インターフェース、
52 CPU、53 メモリ、100 印刷システム、
110 コンピュータ、111 インターフェース、112 CPU、
113 メモリ、120 スキャナ、121 読取キャリッジ、
122 原稿台ガラス、123 インターフェース、124 CPU、
125 メモリ、126 スキャナコントローラ、200 補正値取得システム

Claims (5)

  1. 媒体に補正用パターンを形成するステップと、
    前記媒体の生地部及び前記補正用パターンをそれぞれ読み取って、前記生地部の生地部濃度データ、及び、前記補正用パターンの補正用パターン濃度データをそれぞれ取得するステップと、
    前記生地部濃度データに基づいて求めた帯域制限フィルタ、によるフィルタ処理を前記補正用パターン濃度データに対して行うステップと、
    画像の濃度を補正するための濃度補正値、を前記フィルタ処理が行われた前記補正用パターン濃度データに基づいて求めるステップと、
    を有することを特徴とする補正値取得方法。
  2. 請求項1に記載の補正値取得方法において、
    前記フィルタ処理を前記補正用パターン濃度データに対して行うステップでは、
    離散フーリエ変換処理が行われた前記生地部濃度データ、から空間周波数毎のパワースペクトルを求め、該パワースペクトルが所定値よりも高くなった前記空間周波数を特定し、特定した該空間周波数の前記補正用パターン濃度データにおける対応成分を除去するための前記帯域制限フィルタ、を求めることを特徴とする補正値取得方法。
  3. 請求項2に記載の補正値取得方法において、
    前記フィルタ処理を前記補正用パターン濃度データに対して行うステップでは、
    特定した前記空間周波数から、前記帯域制限フィルタとしての周波数応答関数を求め、
    前記フィルタ処理として、離散フーリエ変換処理が行われた前記補正用パターン濃度と前記周波数応答関数との積を求めて、当該積に対して逆フーリエ変換処理を行うことを特徴とする補正値取得方法。
  4. 請求項3に記載の補正値取得方法において、
    前記フィルタ処理を前記補正用パターン濃度データに対して行うステップでは、
    特定した前記空間周波数毎にガウス関数を求めて、該空間周波数毎の該ガウス関数により構成される前記周波数応答関数、を求めることを特徴とする補正値取得方法。
  5. 液体を噴射するためのノズルと、
    前記ノズルから液体を噴射して媒体に補正用パターンを形成するためのコントローラと、
    前記補正用パターンが読み取られることにより取得された補正用パターン濃度データであって、前記媒体の生地部が読み取られることにより取得された生地部濃度データ、に基づいて求めた帯域制限フィルタによるフィルタ処理が行われた補正用パターン濃度データ、
    に基づいて求められた、画像の濃度を補正するための濃度補正値、
    を記憶するためのメモリと、
    を有することを特徴とする液体噴射装置。
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