以下の実施の形態について、図面を用いて以下に説明する。但し、開示される以下の説明に限定されず、開示される発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細をさまざまに変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、開示される発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。以下に説明する発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いる。
また、以下の実施の形態では、ゲート電極05がゲート配線の一部である形態を示す。このため、ゲート電極05をゲート配線05と示す場合がある。また、同様に、配線63をソース配線63またはソース電極63と示す場合がある。
(実施の形態1)
ここでは、微結晶半導体層をチャネル形成領域に有する薄膜トランジスタと比較してオフ電流が低く、非晶質半導体層をチャネル形成領域に有する薄膜トランジスタと比較して、高速動作が可能であり、オン電流が高い、薄膜トランジスタの構造について、図1を用いて説明する。
図1(A)に示す薄膜トランジスタは、基板01上にゲート電極05が形成され、ゲート電極05上にゲート絶縁層09a、09bが形成され、ゲート絶縁層09a、09b上に、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51が形成され、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51上にバッファ層53が形成される。このバッファ層53は、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51と略重畳して設けられる。また、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51及びバッファ層53の側面を覆う一対の非晶質半導体層55、57が形成され、一対の非晶質半導体層55、57上に、ソース領域とドレイン領域を形成する一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61が形成され、一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61上に配線63、65が形成される。また、一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層の一端部は、バッファ層53に重なっている。
ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51は、キャリアとして電子を供給する元素であるドナーが添加されている。ドナーとなる不純物元素は、代表的には周期表第15族元素であるリン、砒素、アンチモン等がある。ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51としては、アモルファスシリコン層、アモルファスシリコンゲルマニウム層、アモルファスゲルマニウム層、微結晶シリコン層、微結晶シリコンゲルマニウム層、微結晶ゲルマニウム層、多結晶シリコン層、多結晶シリコンゲルマニウム層、多結晶ゲルマニウム層等で形成される。
ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51に添加されるドナーとなる不純物元素の濃度を、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectroscopy)で測定した場合に1×1016cm−3以上5×1018cm−3以下とすることにより、ゲート絶縁層09bとドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51との界面における抵抗を低減することが可能であり、また、高速動作が可能であり、オン電流の高い薄膜トランジスタを作製することができる。
ここでの微結晶半導体層とは、非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造の半導体を含む層である。この半導体は、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質なものであり、粒径が2nm以上200nm以下、或いは10nm以上80nm以下、或いは20nm以上50nm以下の柱状または針状結晶が基板表面に対して法線方向に成長している。また、電気伝導度が概略10−7S/cmから10−4S/cmであるものが、価電子制御により101S/cm程度にまで高められる半導体を指す。また、複数の微結晶半導体の間に非単結晶半導体が存在している。微結晶半導体の代表例である微結晶シリコンは、そのラマンスペクトルのピークが単結晶シリコンを示す520cm−1よりも低波数側に、シフトしている。即ち、単結晶シリコンを示す520cm−1とアモルファスシリコンを示す480cm−1の間に微結晶シリコンのラマンスペクトルのピークがある。また、未結合手(ダングリングボンド)を終端するため水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませてもよい。さらに、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンなどの希ガス元素を含ませてもよく、これにより格子歪みをさらに助長させることで、微結晶の構造の安定性が増し良好な微結晶半導体が得られる。このような微結晶半導体に関する記述は、例えば、米国特許4,409,134号で開示されている。尤も、本発明において、微結晶半導体の概念は前記した結晶粒径、電気伝導度の値のみに固定されるものではなく、同等の物性値を有するものであれば他の半導体材料に置換することもできる。
ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51の厚さは5nm以上50nm以下、好ましくは5nm以上30nm以下で形成する。
また、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51の酸素濃度、及び窒素濃度は、ドナーとなる不純物元素の濃度の10倍未満、代表的には3×1019atoms/cm3未満、更に好ましくは3×1018atoms/cm3未満、炭素の濃度を3×1018atoms/cm3以下とすることが好ましい。酸素、窒素、及び炭素が、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51に混入する濃度を低減することで、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51が微結晶半導体層の場合、微結晶半導体層の欠陥の生成を抑制する事ができる。さらには、酸素、及び窒素が微結晶半導体層中に入っていると、結晶化しにくい。このため、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51が微結晶半導体層の場合、微結晶半導体層中の酸素濃度、窒素濃度が比較的低く、且つドナーとなる不純物元素を添加することで、微結晶半導体層の結晶性を高めることができる。
また、本実施の形態のドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51にはドナーとなる不純物元素が添加されるため、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51に、アクセプターとなる不純物元素を、成膜と同時に、或いは成膜後に添加することで、しきい値電圧を制御することが可能となる。アクセプターとなる不純物元素としては、代表的には硼素であり、B2H6、BF3などの不純物気体を1ppm〜1000ppm、好ましくは1〜100ppmの割合で水素化シリコンに混入させると良い。そしてボロンの濃度は、ドナーとなる不純物元素の10分の1程度、例えば1×1014〜6×1016atoms/cm3とすると良い。
バッファ層53は、非晶質半導体層を用いて形成する。または、フッ素、塩素等のハロゲンが添加される非晶質半導体層を用いる。バッファ層53の厚さを500nm〜3000nmとする。非晶質半導体層としては、アモルファスシリコン層、またはゲルマニウムを含むアモルファスシリコン層等がある。
バッファ層53の側面を30〜60°に傾斜させることで、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51が微結晶半導体層の場合、当該微結晶半導体層を結晶成長核として、微結晶半導体層に接する非晶質半導体層55、56の界面の結晶性を高めることができるため、薄膜トランジスタの高速動作が可能であり、オン電流を高めることができる。
非晶質半導体層55、57としては、アモルファスシリコン層、またはゲルマニウムを含むアモルファスシリコン層等がある。また、非晶質半導体層55、57にフッ素、塩素等が含まれていても良い。また、非晶質半導体層55、57の厚さを50nm以上500nm未満とする。
非晶質半導体層55、57は、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51及びバッファ層53の側面を覆う。また、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51の周辺部において、ゲート絶縁層52bと非晶質半導体層55、57が接する。これら構造により、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51と、一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61とが隔離され、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51と、一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61との間で生じるリーク電流を低減することができる。また、非晶質半導体層55、57の端部は、バッファ層53と重なっていることが好ましい。非晶質半導体層55、57の端部がバッファ層53と重なることにより、一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61と、バッファ層53とが直接接しないため、更には、一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61と、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51とが直接接しないため、リーク電流を低減することができる。
ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51が微結晶半導体層の場合、バッファ層53として、非晶質半導体層、更には水素、窒素、またはハロゲンを含む非晶質半導体層を形成することで、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51が添加される結晶粒の表面の自然酸化を防止することが可能である。特に、微結晶半導体層において、非晶質半導体と微結晶粒が接する領域では、局部応力により亀裂が入りやすい。この亀裂が酸素に触れると結晶粒は酸化され、結晶粒の表面に酸化シリコンが形成される。しかしながら、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51の表面にバッファ層53を形成することで、微結晶粒の酸化を防ぐことができる。このため、キャリアが捕獲される欠陥、またはキャリアの進行を妨げる領域を低減することができ、薄膜トランジスタの高速動作が可能であり、オン電流を高めることができる。
基板01は、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、若しくはアルミノシリケートガラスなど、フュージョン法やフロート法で作製される無アルカリガラス基板、セラミック基板の他、本作製工程の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板等を用いることができる。また、ステンレス合金などの金属基板の表面に絶縁層を設けた基板を適用しても良い。基板01がマザーガラスの場合、基板の大きさは、第1世代(320mm×400mm)、第2世代(400mm×500mm)、第3世代(550mm×650mm)、第4世代(680mm×880mm、または730mm×920mm)、第5世代(1000mm×1200mmまたは1100mm×1250mm)、第6世代1500mm×1800mm)、第7世代(1900mm×2200mm)、第8世代(2160mm×2460mm)、第9世代(2400mm×2800mm、2450mm×3050mm)、第10世代(2950mm×3400mm)等を用いることができる。
ゲート電極05は、金属材料で形成される。金属材料としてはアルミニウム、クロム、チタン、タンタル、モリブデン、銅などが適用される。ゲート電極05の好適例は、アルミニウムまたはアルミニウムとバリア金属の積層構造体によって形成される。バリア金属としては、チタン、モリブデン、クロムなどの高融点金属が適用される。バリア金属はアルミニウムのヒロック防止、酸化防止のために設けることが好ましい。
ゲート電極05は厚さ50nm以上300nm以下で形成する。ゲート電極05の厚さを50nm以上100nm以下とすることで、後に形成される半導体層や配線の段切れ防止が可能である。また、ゲート電極05の厚さを150nm以上300nm以下とすることで、ゲート電極05の抵抗を低減することが可能であり、基板の大面積化が可能である。
なお、ゲート電極05上には半導体層や配線を形成するので、段切れ防止のため端部がテーパー状になるように加工することが望ましい。また、図示しないがこの工程でゲート電極に接続する配線や容量配線も同時に形成することができる。
ゲート絶縁層09a、09bはそれぞれ、厚さ50〜150nmの酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸化窒化シリコン層、または窒化酸化シリコン層で形成することができる。ここでは、ゲート絶縁層09aとして窒化シリコン層または窒化酸化シリコン層を形成し、ゲート絶縁層09bとして酸化シリコン層または酸化窒化シリコン層を形成して積層する形態を示す。なお、ゲート絶縁層を2層とせず、ゲート絶縁層を、酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸化窒化シリコン層、または窒化酸化シリコン層の単層で形成することができる。
ゲート絶縁層09aを窒化シリコン層、または窒化酸化シリコン層を用いて形成することで、基板01とゲート絶縁層09aの密着力が高まり、基板01としてガラス基板を用いた場合、基板01からの不純物が、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51、バッファ層53、及び非晶質半導体層55、57に拡散するのを防止することが可能であり、さらにゲート電極05の酸化防止が可能である。即ち、膜剥れを防止することができると共に、後に形成される薄膜トランジスタの電気特性を向上させることができる。また、ゲート絶縁層09a、09bはそれぞれ厚さ50nm以上であると、ゲート電極05の凹凸による被覆率の低減を緩和することが可能であるため好ましい。
なお、本実施の形態により薄膜トランジスタのチャネル長を短くすることが可能であるため、薄膜トランジスタにおいて短チャネル効果が生じないように、ゲート絶縁層の膜厚を薄くすることが好ましい。
ここでは、酸化窒化シリコン層とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものであって、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)及び水素前方散乱法(HFS:Hydrogen Forward Scattering)を用いて測定した場合に、組成範囲として酸素が50〜70原子%、窒素が0.5〜15原子%、Siが25〜35原子%、水素が0.1〜10原子%の範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化シリコン層とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものであって、RBS及びHFSを用いて測定した場合に、組成範囲として酸素が5〜30原子%、窒素が20〜55原子%、Siが25〜35原子%、水素が10〜30原子%の範囲で含まれるものをいう。但し、酸化窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンを構成する原子の合計を100原子%としたとき、窒素、酸素、シリコン及び水素の含有比率が上記の範囲内に含まれるものとする。
一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61は、nチャネル型の薄膜トランジスタを形成する場合には、代表的な不純物元素としてリンを添加すれば良く、水素化シリコンにPH3などの不純物気体を加えれば良い。また、pチャネル型の薄膜トランジスタを形成する場合には、代表的な不純物元素としてボロンを添加すれば良く、水素化シリコンにB2H6などの不純物気体を加えれば良い。リンまたはボロンの濃度を1×1019〜1×1021cm−3とすることで、配線63、65とオーミックコンタクトすることが可能であり、ソース領域及びドレイン領域として機能する。一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61は、微結晶半導体層、または非晶質半導体層で形成することができる。一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61は10nm以上100nm以下、好ましくは30nm以上50nm以下の厚さで形成する。一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61の膜厚を、薄くすることでスループットを向上させることができる。
配線63、65は、アルミニウム、銅、若しくは銅、シリコン、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの、マイグレーション防止元素、耐熱性向上元素若しくはヒロック防止元素が添加されたアルミニウム合金の単層または積層で形成することが好ましい。また、一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61と接する側の層を、チタン、タンタル、モリブデン、タングステン、またはこれらの元素の窒化物で形成し、その上にアルミニウムまたはアルミニウム合金を形成した積層構造としても良い。更には、アルミニウムまたはアルミニウム合金の上面及び下面を、チタン、タンタル、モリブデン、タングステン、またはこれらの元素の窒化物で挟んだ積層構造としてもよい。ここでは、配線63、65としては、チタン層、アルミニウム層、及びチタン層の積層構造を用いることができる。
また、図1(A)に示す薄膜トランジスタは、非晶質半導体層55、57が、配線63、65と接せず、一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61を介してバッファ層53上に配線63、65が形成される構造を示したが、図1(B)に示すように、非晶質半導体層55、57の側面が配線63、65と接する構造とすることができる。
本実施の形態の薄膜トランジスタは、オン電流を高めるため、ソース領域及びドレイン領域間に挿入される非晶質半導体層のチャネル長方向の長さは、該非晶質半導体層の膜厚で設定される。これは、フォトリソグラフィー技術を使って、フォトマスクをサブミクロンレベルの精度でアライメントすることを必要とせずに、自己整合的にナノメートルサイズの微細な構造を薄膜トランジスタに作り込むことを可能としている。
すなわち、少なくとも一つの非晶質半導体層が実質的にチャネル形成領域となる薄膜トランジスタのチャネル長は、非晶質半導体層の膜厚で決まり、上記の如くナノメートルレベルの長さとなる。本実施の形態の薄膜トランジスタは、製造プロセスを、数ミクロンレベルのデザインルールに基づいて実施しながら、ディープサブミクロンの薄膜トランジスタを同時に作り込むことで、オフ電流を低減しつつ、十分なオン電流を流し、さらに薄膜トランジスタの高速動作を可能とすることができる。
また、バッファ層53の膜厚が厚いため、チャネルエッチ型の薄膜トランジスタの場合、ソース領域及びドレイン領域、並びに配線のエッチングの際に、非晶質半導体層をオーバーエッチングしても、膜厚の厚いバッファ層53が形成されているため、チャネル形成領域を分断することがなく、歩留まりを向上させることができる。また、バッファ層53の膜厚が厚いため、ソース領域及びドレイン領域からドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51へ流れるリーク電流を低減することが可能である。このため、オフ電流を低減することができる。
さらには、ゲート電極05と、ソース領域及びドレイン領域として機能する一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61の間には、ゲート絶縁層のほかに非晶質半導体層55、57が形成され、ゲート電極05と、一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61の間隔が広がる。このため、ゲート電極05と、一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61の間に生じる寄生容量を低減することができる。特に、ドレイン側の電圧降下を低減する薄膜トランジスタとすることができる。このため、当該構造を用いた表示装置は、画素の応答速度を向上させることができる。特に、液晶表示装置の画素に形成される薄膜トランジスタの場合、ドレイン電圧の電圧降下を低減できるため、液晶材料の応答速度を上昇させることが可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51及びバッファ層53の他の形状について、図2を用いて示す。
図2(A)に示す薄膜トランジスタは、断面構造において、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51a及びバッファ層53aの側壁がほぼ垂直、または側面の傾斜角度が80〜100°、好ましくは85〜95°である薄膜トランジスタである。ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51a及びバッファ層53aの側壁をほぼ垂直とすることで、薄膜トランジスタが占める面積を縮小することができる。このため、当該薄膜トランジスタを画素に用いた透過型表示装置の開口率を高めることができる。
図2(B)は、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51bの内側にバッファ層53bが形成されている薄膜トランジスタである。即ち、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51bのより面積の小さいバッファ層53bが形成され、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51bの一部がバッファ層53bより露出している薄膜トランジスタである。このような構造とすることで、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51bが微結晶半導体層の場合、当該微結晶半導体層を結晶成長核として、微結晶半導体層に接する非晶質半導体層55、56の結晶性を高めることができるため、薄膜トランジスタの高速動作が可能であり、オン電流を高めることができる。
なお、本実施の形態は他の実施の形態と組み合わせ可能である。
(実施の形態3)
本実施の形態では、バッファ層の他の形態を図3を用いて示す。本実施の形態では、バッファ層52を絶縁層で形成することを特徴とする。
図3(A)に示す薄膜トランジスタは、基板01上にゲート電極05が形成され、ゲート電極05上にゲート絶縁層09a、09bが形成され、ゲート絶縁層09a、09b上に、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51が形成され、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51上にバッファ層52が形成される。このバッファ層52は、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51と略重畳して設けられる。また、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51及びバッファ層52の側面を覆う一対の非晶質半導体層55、57が形成され、一対の非晶質半導体層55、57上に一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61が形成され、一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61上に配線63、65が形成される。また、一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61の一端部は、バッファ層53に重なっている。
本実施の形態では、バッファ層52を絶縁層で形成する。代表的には、バッファ層52を窒化シリコン層、酸化シリコン層、窒化酸化シリコン層、酸化窒化シリコン層、その他の無機絶縁層を用いて形成する。または、ポリイミド、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、その他の有機絶縁層を用いて形成する。また、バッファ層52の厚さを500〜3000nmとする。厚さが厚く、且つ絶縁層でバッファ層52を形成することにより、一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61から非晶質半導体層55、57に流れるリーク電流をバッファ層52でせき止めることが可能であるため、リーク電流を低減することができる。また、オフ電流を低減することができる。
また、図3(B)に示すように、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51上に半導体層で形成されるバッファ層53が形成され、バッファ層53上に絶縁層で形成されるバッファ層54が形成される。バッファ層54としては、窒化シリコン層、酸化シリコン層、窒化酸化シリコン層、酸化窒化シリコン層、その他の無機絶縁層を用いて形成する。または、ポリイミド、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、その他の有機絶縁層を用いて形成する。
図3(B)においては、半導体層で形成されるバッファ層53が、絶縁層で形成されるバッファ層54の厚さより厚いが、バッファ層53よりバッファ層54の厚さを厚くしてもよい。なお、バッファ層53及びバッファ層54の合計の膜厚を500nm〜3000nmとする。ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51上に半導体層で形成されるバッファ層53が形成されることで、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51の酸化を低減することができ、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51の抵抗率の低減を抑制することができる。また、半導体層で形成されるバッファ層53上に絶縁層で形成されるバッファ層54を設けることで、一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61から非晶質半導体層55、57に流れるリーク電流をバッファ層54でせき止めることが可能であるため、リーク電流を低減することができる。また、オフ電流を低減することができる。
なお、本実施の形態は他の実施の形態と組み合わせ可能である。
(実施の形態4)
本実施の形態では、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51の別の形態を示す。
図4に示す薄膜トランジスタは、基板01上にゲート電極05が形成され、ゲート電極05上にゲート絶縁層09a、09bが形成され、ゲート絶縁層09b上に、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体結晶粒56が形成され、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体結晶粒56及びゲート絶縁層09a、09b上にバッファ層53が形成される。このバッファ層53は、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体結晶粒56と略重畳して設けられる。また、バッファ層53の側面を覆う一対の非晶質半導体層55、57が形成され、一対の非晶質半導体層55、57上に一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61が形成され、一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61上に配線63、65が形成される。また、一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層の一端部は、バッファ層53に重なっている。
ドナーとなる不純物元素を添加した半導体結晶粒56は、シリコン、またはゲルマニウムより多くのシリコンを含むシリコンゲルマニウム(SixGe1−x、0.5<x<1)等で形成することができる。ドナーとなる不純物元素を添加した半導体結晶粒56の大きさを、1〜30nmとし、密度を1×1013/cm2未満、好ましくは1×1010/cm2未満とすると、分離されたドナーとなる不純物元素を添加した結晶粒を形成することが可能であり、後に形成するバッファ層53とゲート絶縁層09bとの密着性を高めることができる。このため、薄膜トランジスタの歩留まりを高めることができる。
ドナーとなる不純物元素を添加した半導体結晶粒56の形成方法としては、ドナーとなる不純物元素を添加した微結晶半導体層をスパッタリング法またはプラズマCVD法により成膜した後に、ドナーとなる不純物元素を添加した微結晶半導体層に水素プラズマを曝して、ドナーとなる不純物元素を添加した微結晶半導体層の非晶質半導体成分をエッチングすることで、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体結晶粒56を形成することができる。または、結晶粒が連続せず分散した状態の厚さで、ドナーとなる不純物元素を添加した微結晶半導体層または結晶性半導体層をスパッタリング法またはプラズマCVD法により成膜することで、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体結晶粒56を形成することができる。
また、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体結晶粒56の代わりに、ゲート絶縁層09b上にドナーとなる不純物元素を添加した半導体層を形成した後、フォトリソグラフィ工程により形成したレジストマスクを用いてドナーとなる不純物元素を添加した半導体層をエッチングして、分離されたドナーとなる不純物元素を添加した半導体層を形成してもよい。
なお、本実施の形態は他の実施の形態と組み合わせ可能である。
(実施の形態5)
本実施の形態では、薄膜トランジスタの構造の別の形態を示す。
図5に示す薄膜トランジスタは、基板01上にゲート電極05が形成され、ゲート電極05上にゲート絶縁層09a、09bが形成され、ゲート絶縁層09a、09b上に、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51、51f、51gが形成され、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51、51f、51g上にバッファ層53、53f、53gが形成される。このバッファ層53、53f、53gは、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51と略重畳して設けられる。また、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51、51f、51g及びバッファ層53、53f、53gの側面を覆う一対の非晶質半導体層55、57が形成され、一対の非晶質半導体層55、57上に一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61が形成され、一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61上に配線63、65が形成される。また、一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61の一端部は、バッファ層53に重なっている。また、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51及びバッファ層53、53f、53gの積層体、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51f及びバッファ層53fの積層体、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51g及びバッファ層53gの積層体が、それぞれ分離している。
図6に示す薄膜トランジスタは、基板01上にゲート電極05が形成され、ゲート電極05上にゲート絶縁層09a、09bが形成され、ゲート絶縁層09a、09b上に、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51eが環状に形成され、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51e上にバッファ層53eが環状に形成される。このバッファ層53は、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51eと略重畳して設けられる。また、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層51e及びバッファ層53eの側面を覆う一対の非晶質半導体層55、57が形成される。一対の非晶質半導体層55、57上に、一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61が形成され、一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61上に配線63、65が形成される。また、一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61の一端部は、バッファ層53eに重なっている。図6に示す薄膜トランジスタは、ソース領域及びドレイン領域が対向するチャネル形成領域が円形であることが特徴である。
なお、一対の非晶質半導体層55、57、及び一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61の一方59は環状であり、一対の非晶質半導体層55、57、及び一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61の他方61は円形である。即ち、ソース領域またはドレイン領域の一方が、ソース領域またはドレイン領域の他方を、一定間隔をあけて囲う構造となっている。このため、配線63をソース配線とし、配線65をドレイン配線とした場合、チャネル形成領域が曲線状であると、しきい値電圧の変動を低減することが可能であり、薄膜トランジスタの特性の信頼性を高めることができる。また、ソース配線及びドレイン配線が直線型である典型的な薄膜トランジスタと比較して、ソース領域及びドレイン領域が曲線状であるとそれらの対向面積が大きくなるため、同じチャネル幅の薄膜トランジスタを設計する場合、薄膜トランジスタの面積を小さくすることができる。
なお、本実施の形態は他の実施の形態と組み合わせ可能である。
(実施の形態6)
本実施の形態では、図1(A)に示すような、高速動作が可能であり、オン電流が高く、且つオフ電流の低い薄膜トランジスタの作製工程について示す。
非晶質半導体層または微結晶半導体層を有する薄膜トランジスタは、p型よりもn型の方が、電界効果移動度が高いので駆動回路に用いるのにより適している。同一の基板上に形成する薄膜トランジスタを全て同じ導電型にそろえておくことが、工程数を抑えるためにも望ましい。ここでは、nチャネル型の薄膜トランジスタを用いて説明する。
図1(A)に示す薄膜トランジスタの作製工程について、図7乃至図10を用いて示す。なお、図7及び図8において左側は図10のA−Bの断面図であり、薄膜トランジスタが形成される領域の断面を示し、右側は図10のC−Dの断面図であり、画素においてゲート配線及びソース配線が交差する領域の断面を示す。
図7(A)に示すように、基板01上に導電層03を形成する。導電層03としては、実施の形態1に示すゲート電極05に列挙した材料を用いて形成することができる。導電層03は、スパッタリング法、CVD法、めっき法、印刷法、液滴吐出法等を用いて形成する。
次に、第1のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィー工程を用いて形成したレジストマスクを用いて導電層03を所望の形状にエッチングして、図7(B)に示すように、ゲート配線05を形成する。この後、レジストマスクを除去する。
次に、ゲート配線05及び基板01上にゲート絶縁層09を形成する。ゲート絶縁層09としては、実施の形態1に示すゲート絶縁層09a、09bに列挙した材料を用いて形成することができる。ゲート絶縁層09は、CVD法やスパッタリング法等を用いて形成する。
次に、ゲート絶縁層09上にドナーとなる不純物元素を添加した半導体層11、及びバッファ層13を積層して形成する。ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層11の成膜方法を以下に示す。
プラズマCVD装置の反応室内において、シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体と、水素とを混合し、グロー放電プラズマにより、微結晶半導体層を形成する。シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体の流量に対して、水素の流量を10〜2000倍、好ましくは50〜200倍に希釈して微結晶半導体層を形成する。基板の加熱温度は100℃〜300℃、好ましくは120℃〜220℃で行う。また、上記原料ガスと共に、リン、砒素、アンチモン等を含む気体を混合することで、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層11形成することができる。ここでは、シランと、水素及び/または希ガスと共にフォスフィンを混合して、グロー放電プラズマにより、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層11としてリンを含む微結晶シリコン層を形成することができる。
ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層11の形成工程においてグロー放電プラズマの生成は、3MHzから30MHz程度までのHF(high frequency)帯、代表的には13.56MHz、27.12MHzの高周波電力、または30MHzより大きく300MHz程度までのVHF帯の高周波電力、代表的には60MHzを印加することで行われる。
また、シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体の代表例としては、SiH4、Si2H6、GeH4、Ge2H6等がある。
なお、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層11を形成する代わりに、ゲート絶縁層09としてドナーとなる不純物元素を添加した絶縁層を形成し、その上にドナーとなる不純物元素を含まない半導体層を形成してもよい。例えば、ドナーとなる不純物元素(リン、砒素、またはアンチモン)を含む酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸化窒化シリコン層、または窒化酸化シリコン層等をゲート絶縁層として形成することができる。また、ゲート絶縁層09を積層構造とする場合、微結晶半導体層に接する層または基板01に接する層にドナーとなる不純物元素を添加してもよい。
ゲート絶縁層09としてドナーとなる不純物元素を添加した絶縁層の形成方法としては、絶縁層の原料気体と共に、ドナーとなる不純物元素を含む気体を用いて絶縁層を形成すればよい。例えば、シラン、アンモニア、及びフォスフィンを用いたプラズマCVD法によりリンを含む窒化シリコン層を形成することができる。また、シラン、一酸化二窒素、及びアンモニア、並びにフォスフィンを用いたプラズマCVD法により、リンを含む酸化窒化シリコン層を形成することができる。
また、ゲート絶縁層09を形成する前に、成膜装置の反応室内にドナーとなる不純物元素を含む気体を流し、基板01表面及び反応室内壁にドナーとなる不純物元素を吸着させてもよい。この後、ゲート絶縁層09を形成することで、ドナーとなる不純物元素を取り込みながら絶縁層が堆積するため、ドナーとなる不純物元素を添加したゲート絶縁層09を形成することができる。
また、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層11を形成する前に、成膜装置の反応室内にドナーとなる不純物元素を含む気体を流し、ゲート絶縁層09及び反応室内壁にドナーとなる不純物元素を吸着させてもよい。この後、半導体層11を堆積することで、ドナーとなる不純物元素を取り込みながら微結晶半導体層が堆積するため、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層11を形成することができる。
なお、ゲート絶縁層09が酸化シリコン層、または酸化窒化シリコン層の場合、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層11を形成する前に、ゲート絶縁層09の表面をプラズマ処理してもよい。代表的には、水素プラズマ、アンモニアプラズマ、H2Oプラズマ、ヘリウムプラズマ、アルゴンプラズマ、ネオンプラズマ等のプラズマをゲート絶縁層09表面に曝す。この結果、ゲート絶縁層表面の欠陥を低減することができる。代表的には、ゲート絶縁層09表面のダングリングボンドを終端化することができる。この後、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層または非晶質半導体層を形成すると、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層または非晶質半導体の界面における欠陥を低減することが可能である。この結果、欠陥によるキャリアの捕獲を低減することが可能であり、オン電流を高めることが可能である。
次に、バッファ層13を形成する。バッファ層13として半導体層を形成する場合、シリコン、またはゲルマニウムを含む堆積性気体を用いたプラズマCVD法により非晶質半導体層を形成することができる。または、シリコン、またはゲルマニウムを含む堆積性気体に、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈して非晶質半導体層を形成することができる。または、シランガスの流量の0倍以上10倍以下、更に好ましくは1倍以上5倍以下の流量の水素を用いて、水素を含む非晶質半導体層を形成することができる。また、上記水素化半導体層に、フッ素、または塩素等のハロゲンを添加してもよい。
また、非晶質半導体層は、ターゲットにシリコン、ゲルマニウム等の半導体ターゲットを用いて水素、または希ガスでスパッタリングして非晶質半導体層を形成することができる。
バッファ層13として絶縁層を形成する場合、ゲート絶縁層09と同様に形成することができる。または、ポリイミド、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、その他の有機絶縁層の原料を塗布した後、焼成して絶縁層を形成することができる。
また、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層11を形成した後、プラズマCVD法によりバッファ層13を300℃〜400℃の温度にて成膜することが好ましい。この成膜処理により水素がドナーとなる不純物元素を添加した半導体層11に供給され、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層11を水素化したのと同等の効果が得られる。すなわち、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層11上にバッファ層13を堆積することにより、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層11に水素を拡散させて、ダングリングボンドの終端をすることができる。
ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層11が微結晶半導体層で形成される場合、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層11の表面に、バッファ層13として非晶質半導体層、更には水素、窒素、またはハロゲンを含む非晶質半導体層を形成することで、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層11に含まれる結晶粒の表面の自然酸化を防止することが可能である。特に、非晶質半導体と微結晶粒が接する領域では、局部応力により亀裂が入りやすい。この亀裂が酸素に触れると結晶粒は酸化され、結晶粒の表面にシリコンが形成される。しかしながら、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層11の表面に非晶質半導体層を形成することで、微結晶粒の酸化を防ぐことができる。また、薄膜トランジスタへの印加電圧の高い(例えば15V程度)表示装置、代表的には液晶表示装置において、バッファ層の膜厚を厚く形成すると、ドレイン耐圧が高くなり、薄膜トランジスタに高い電圧が印加されても、薄膜トランジスタが劣化することを回避することができる。
次に、バッファ層13上にレジストを塗布した後、第2のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィー工程を用いて形成したレジストマスクを用いて、バッファ層13及びドナーとなる不純物元素を添加した半導体層11を所望の形状にエッチングして、図7(C)に示すように、薄膜トランジスタを形成する領域において、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層15、及びバッファ層19を形成する。また、ゲート配線及びソース配線が交差する領域において、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層17、及びバッファ層21を形成する。この後、レジストマスクを除去する。
次に、図7(D)に示すように、非晶質半導体層23、及び一導電型を付与する不純物元素を添加した不純物半導体層25を形成する。
非晶質半導体層23としては、バッファ層13として半導体層を用いて形成する場合と同様に形成することができる。
なお、非晶質半導体層23を形成する際、プラズマCVD装置の成膜室内壁に窒化酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸化シリコン層、酸化窒化シリコン層をプリコートした後に、シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体の流量に対して、水素の流量を10〜2000倍、好ましくは50〜200倍に希釈して半導体層を成膜すると、膜中に成膜室内壁の酸素、窒素等を取り込みながら膜が堆積するため、結晶化せず、緻密な非晶質半導体層を形成することができる。なお、当該半導体層に微結晶が含まれる場合もある。また、ゲート絶縁層09が窒化シリコン層の場合は、当該成膜方法により非晶質半導体層を形成することで、膜剥れが生じず、歩留まりを高めることができる。
ここでは、nチャネル型の薄膜トランジスタを形成するため、一導電型を付与する不純物元素を添加した不純物半導体層25としては、シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体と、フォスフィンとを用いたプラズマCVD法により形成する。また、pチャネル型の薄膜トランジスタを形成する場合は、シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性気体と、ジボランとを用いたプラズマCVD法により形成する。
ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層11、バッファ層13、非晶質半導体層23、及び一導電型を付与する不純物元素を添加した不純物半導体層25の形成工程においてグロー放電プラズマの生成は、3MHzから30MHz程度までのHF帯、代表的には13.56MHz、27.12MHzの高周波電力、または30MHzより大きく300MHz程度までのVHF帯の高周波電力、代表的には60MHzを印加することで行われる。
導電層27としては、実施の形態1に示す配線63、65に列挙した材料を用いて形成することができる。導電層27は、CVD法やスパッタリング法、印刷法、液滴吐出法等を用いて形成する。
次に、導電層27上にレジストを塗布する。レジストは、ポジ型レジストまたはネガ型レジストを用いることができる。ここでは、ポジ型レジストを用いて示す。
次に、第3のフォトマスクとして多階調マスクを用いて、レジストに光を照射した後現像して、レジストマスク29を形成する。
ここで、多階調マスクを用いた露光について、図9を用いて説明する。
多階調マスクとは、露光部分、中間露光部分、及び未露光部分に3つの露光レベルを行うことが可能なマスクであり、一度の露光及び現像工程により、複数(代表的には二種類)の厚さの領域を有するレジストマスクを形成することが可能である。このため、多階調マスクを用いることで、フォトマスクの枚数を削減することが可能である。
多階調マスクの代表例としては、図9(A)に示すようなグレートーンマスク159a、図9(C)に示すようなハーフトーンマスク159bがある。
図9(A)に示すように、グレートーンマスク159aは、透光性を有する基板163及びその上に形成される遮光部164並びに回折格子165で構成される。遮光部164においては、光の透過率が0%である。一方、回折格子165はスリット、ドット、メッシュ等の光透過部の間隔を、露光に用いる光の解像度限界以下の間隔とすることにより、光の透過率を制御することができる。なお、回折格子165は、周期的なスリット、ドット、メッシュ、または非周期的なスリット、ドット、メッシュどちらも用いることができる。
透光性を有する基板163は、石英等の透光性を有する基板を用いることができる。遮光部164及び回折格子165は、クロムや酸化クロム等の光を吸収する遮光材料を用いて形成することができる。
グレートーンマスク159aに露光光を照射した場合、図9(B)に示すように、遮光部164においては、光透過率166は0%であり、遮光部164及び回折格子165が設けられていない領域では光透過率166は100%である。また、回折格子165においては、10〜70%の範囲で調整可能である。回折格子165における光の透過率の調整は、回折格子のスリット、ドット、またはメッシュの間隔及びピッチの調整により可能である。
図9(C)に示すように、ハーフトーンマスク159bは、透光性を有する基板163及びその上に形成される半透過部167並びに遮光部168で構成される。半透過部167は、MoSiN、MoSi、MoSiO、MoSiON、CrSiなどを用いることができる。遮光部168は、クロムや酸化クロム等の光を吸収する遮光材料を用いて形成することができる。
ハーフトーンマスク159bに露光光を照射した場合、図9(D)に示すように、遮光部168においては、光透過率169は0%であり、遮光部168及び半透過部167が設けられていない領域では光透過率169は100%である。また、半透過部167においては、10〜70%の範囲で調整可能である。半透過部167に於ける光の透過率の調整は、半透過部167の材料の調整により可能である。
多階調マスクを用いて露光した後、現像することで、図7(D)に示すように、膜厚の異なる領域を有するレジストマスク29を形成することができる。
次に、レジストマスク29により、非晶質半導体層23、一導電型を付与する不純物元素を添加した不純物半導体層25、及び導電層27をエッチングし分離する。この結果、図7(E)に示すような、非晶質半導体層33、35、一導電型を付与する不純物が添加された半導体層37、39、及び導電層41を形成することができる。
次に、レジストマスク29をアッシングする。この結果、レジストの面積が縮小し、厚さが薄くなる。このとき、膜厚の薄い領域のレジスト(ゲート配線05の一部と重畳する領域)は除去され、図7(E)に示すように、分離されたレジストマスク45を形成することができる。
次に、レジストマスク45を用いて、導電層41をエッチングし分離する。この結果、図8(A)に示すような、ソース配線63、ドレイン電極65を形成することができる。レジストマスク45を用いて導電層41をウエットエッチングすると、導電層41が等方的にエッチングされる。この結果、レジストマスク45より面積の小さいソース配線63、及びドレイン電極65を形成することができる。
ゲート配線05及び一導電型を付与する不純物元素を添加した不純物半導体層39の交差部においては、ゲート絶縁層09の他に、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層17、バッファ層21、及び非晶質半導体層35が形成され、ゲート配線05及び一導電型を付与する不純物元素を添加した不純物半導体層39の間隔が広がる。このため、ゲート配線05及び一導電型を付与する不純物元素を添加した不純物半導体層39が交差する領域での寄生容量を低減できる。
次に、レジストマスク45を用いて、一導電型を付与する不純物が添加された半導体層37をエッチングして、一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61を形成する。なお、当該エッチング工程において、非晶質半導体層33の一部もエッチングされ、一対の非晶質半導体層55、57になる。また、バッファ層の一部がエッチングされる。一部エッチングされたバッファ層をバッファ層53と示す。なお、バッファ層53には凹部が形成される。ソース領域及びドレイン領域の形成工程と、バッファ層53の凹部とを同一工程で形成することができる。
ここでは、ソース配線63、及びドレイン電極65の端部と、一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61の端部は一致せずずれており、ソース配線63、ドレイン電極65の端部の外側に、一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61の端部が形成される。この後、レジストマスク45を除去する。
次に、露出しているバッファ層53にH2Oプラズマを照射してもよい。代表的には、気化した水をプラズマで放電して生成したラジカルを、バッファ層53、一対の非晶質半導体層55、57、一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層59、61、及びソース配線63、ドレイン電極65の露出部に照射することで、薄膜トランジスタの高速動作が可能であり、オン電流を更に高めることができる。また、オフ電流を低減することができる。
以上の工程により、薄膜トランジスタを形成することができる。
次に、図8(B)に示すように、ソース配線63、ドレイン電極65、ゲート絶縁層09上に、保護絶縁層67を形成する。保護絶縁層67としては、窒化シリコン層、窒化酸化シリコン層、酸化シリコン層、または酸化窒化シリコン層を用いて形成することができる。なお、保護絶縁層67は、大気中に浮遊する有機物や金属物、水蒸気などの汚染不純物の侵入を防ぐためのものであり、緻密な膜が好ましい。
次に、保護絶縁層67上に平坦化層69を形成してもよい。平坦化層69としては、アクリル樹脂、ポリイミド、エポキシ樹脂、シロキサンポリマー等の有機絶縁層を用いて形成することができる。ここでは、感光性の有機樹脂を用いて平坦化層69を形成する。次に、平坦化層69を第4のフォトマスクを用いて感光した後、現像して、図8(C)に示すように、保護絶縁層67を露出する。次に、平坦化層69を用いて保護絶縁層67をエッチングして、ドレイン電極65の一部を露出するコンタクトホールを形成する。
次に、コンタクトホールに画素電極71を形成する。ここでは、平坦化層69上に導電層を形成した後、導電層上にレジストを塗布する。次に、第5のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィー工程により形成したレジストマスクを用いて導電層をエッチングして、画素電極71を形成する。
画素電極71は、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を用いることができる。
また、画素電極71として、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。導電性組成物を用いて形成した画素電極は、シート抵抗が10000Ω/□以下、波長550nmにおける透光率が70%以上であることが好ましい。また、導電性組成物に含まれる導電性高分子の抵抗率が0.1Ω・cm以下であることが好ましい。
導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子が用いることができる。例えば、ポリアニリンまたはその誘導体、ポリピロールまたはその誘導体、ポリチオフェンまたはその誘導体、若しくはこれらの2種以上の共重合体などがあげられる。
ここでは、画素電極71としては、スパッタリング法によりITO膜を成膜した後、ITO膜上にレジストを塗布する。次に、第6のフォトマスクを用いてレジストを露光及び現像し、レジストマスクを形成する。次に、レジストマスクを用いてITO膜をエッチングして画素電極71を形成する。この後、レジストマスクを除去する。なお、図8(C)は、図10のA−B、及びC−Dの断面図に相当する。図10に示す薄膜トランジスタは、ソース領域及びドレイン領域が対向するチャネル形成領域の上面形状がC字(U字)状であるが、この代わりにチャネル形成領域の上面形状が直線型の薄膜トランジスタを作製してもよい。
以上により、オフ電流が低く、オン電流が高く、高速動作が可能である薄膜トランジスタを作製することができる。また、当該薄膜トランジスタを画素電極のスイッチング素子として有する素子基板を作製することができる。なお、本実施の形態においては、通常の逆スタガ型の薄膜トランジスタの作製工程と比較して、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層及びバッファ層を所定の形状にエッチングするためのフォトマスクが1枚増えるが、一対の非晶質半導体層、一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層、及び配線を所定の形状にエッチングするためのフォトマスクに多階調マスクを用いているため、当該プロセスでフォトマスク数を1枚削減することが可能であるため、作製工程全体としてはマスク枚数が増加していない。
なお、本実施の形態は他の実施の形態と組み合わせ可能である。
(実施の形態7)
本実施の形態では、図1(B)に示すような、非晶質半導体層をチャネル形成領域に有する薄膜トランジスタと比較して高速動作が可能であり、オン電流が高く、且つ微結晶半導体層をチャネル形成領域に有する薄膜トランジスタと比較してオフ電流の低い薄膜トランジスタの作製工程について示す。
なお、図11の左側は図12のA−Bの断面図であり、薄膜トランジスタが形成される領域の断面を示し、右側は図12のC−Dの断面図であり、画素においてゲート配線及びソース配線が交差する領域の断面を示す。
実施の形態6に示す図7(A)の工程を経て、ゲート配線05を形成する。次に、ゲート配線05及び基板01上にゲート絶縁層09を形成する。
次に、図7(B)の工程を経てゲート絶縁層09上に、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層11、及びバッファ層13を順に積層する。次に、バッファ層13上にレジストを塗布する。次に、フォトリソグラフィ工程により形成したレジストマスクを用いて、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層11、及びバッファ層13をエッチングして、図11(A)に示すように、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層15、17、及びバッファ層19、21を形成する。
次に、非晶質半導体層23及び一導電型を付与する不純物元素を添加した不純物半導体層25を形成する。
次に、フォトリソグラフィー工程を用いて形成したレジストマスクを用いて、一導電型を付与する不純物元素を添加した不純物半導体層25、及び非晶質半導体層23を所望の形状にエッチングして、図11(B)に示すように、薄膜トランジスタを形成する領域において、非晶質半導体層81、及び一導電型を付与する不純物元素を添加した不純物半導体層83を形成する。また、ゲート配線及びソース配線が交差する領域において、非晶質半導体層82、及び一導電型を付与する不純物元素を添加した不純物半導体層84を形成する。この後、レジストマスクを除去する。なお、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層15、17の側面が非晶質半導体層81、82に覆われる。
次に、図11(C)に示すように導電層27を形成する。
次に、フォトリソグラフィー工程を用いて形成したレジストマスクを用いて導電層27を所望の形状にエッチングして、図11(D)に示すように、ソース配線85及びドレイン電極87を形成する。
ゲート配線05及びソース配線85の交差部においては、ゲート絶縁層09の他に、ドナーとなる不純物元素を添加した半導体層17、バッファ層21、及び非晶質半導体層82が形成され、ゲート配線05及びソース配線85の間隔が広がる。このため、ゲート配線05及びソース配線85が交差する領域での寄生容量を低減できる。
次に、レジストマスクを用いて一導電型を付与する不純物元素を添加した不純物半導体層83をエッチングして、一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層91、93を形成する。また、当該エッチング工程において、非晶質半導体層81もエッチングされ、一対の非晶質半導体層95、97を形成する。また、バッファ層19の一部もエッチングする。一部エッチングされた、凹部が形成されたバッファ層をバッファ層99と示す。ソース領域及びドレイン領域の形成工程と、バッファ層99の凹部とを同一工程で形成することができる。この後、レジストマスクを除去する。
次に、露出しているバッファ層53にH2Oプラズマを照射してもよい。代表的には、気化した水をプラズマで放電して生成したラジカルを、バッファ層99、一対の非晶質半導体層95、97、一導電型を付与する不純物元素を添加した一対の不純物半導体層91、93、及びソース配線85、ドレイン電極87の露出部に照射することで、薄膜トランジスタの高速動作が可能であり、オン電流を更に高めることができる。また、オフ電流を低減することができる。
以上の工程により、高速動作が可能であり、オン電流が高く、オフ電流の低い薄膜トランジスタを形成する。
次に、図8(B)及び図8(C)に示す工程を経て、図11(E)に示すように、保護絶縁層67、平坦化層69、及びドレイン電極に接続する画素電極71を形成する。なお、図11(E)は、図12のA−B、及びC−Dの断面図に相当する。図12に示す薄膜トランジスタは、ソース領域及びドレイン領域が対向するチャネル形成領域の上面形状がC字(U字)状であるが、この代わりにチャネル形成領域の上面形状が直線型の薄膜トランジスタを作製してもよい。
以上により、オフ電流が低く、オン電流が高く、高速動作が可能である薄膜トランジスタを作製することができる。また、当該薄膜トランジスタを画素電極のスイッチング素子として有する素子基板を作製することができる。
なお、本実施の形態は他の実施の形態と組み合わせ可能である。
(実施の形態8)
本実施の形態では、図13に示す素子基板300の周辺部に設けられた走査線入力端子部と信号線入力端子部の構造について、図14を用いて以下に示す。図14は、基板01の周辺部に設けられた走査線入力端子部及び信号線入力端子部、並びに画素部の薄膜トランジスタの断面図を示す。
なお、画素部に設けられる画素において、画素電極の電位を制御する薄膜トランジスタが設けられるアクティブマトリクス型表示装置の場合、走査線はゲート電極に接続される。または、走査線の一部がゲート電極として機能する。このため、以下、走査線をゲート配線05とも示す。また、信号線は、薄膜トランジスタのソースに接続されることから、以下、信号線をソース配線63とも示す。しかしながら、信号線が薄膜トランジスタのドレインに接続される場合は、信号線をドレイン配線とすることができる。
図13に示す素子基板300には画素部301が設けられ画素部301と基板01周辺部の間に保護回路302、322、信号線323、走査線303が設けられる。また、図示しないが、保護回路302、322から画素部301へ信号線、走査線が形成される。信号線323、走査線303の端部には信号線入力端子部326、走査線入力端子部306が設けられる。信号線入力端子部326、走査線入力端子部306の端子にはそれぞれFPC324、304が接続され、FPC324、304には信号線駆動回路325、走査線駆動回路305が設けられる。また、画素部301には詳細は図示しないが、画素331がマトリクス状に配置されている。
図14(A)においては、走査線入力端子306aは、薄膜トランジスタ330のゲート配線05に接続される。また、信号線入力端子326aはソース配線63に接続される。
走査線入力端子306a、信号線入力端子326aは、それぞれ画素部の薄膜トランジスタ330の画素電極71と同じ層で形成される。また、走査線入力端子306a、326aは、ソース配線63上に形成される平坦化層69上に形成される。また、平坦化層69上において、走査線入力端子306a、信号線入力端子326aは、導電性粒子308、328を介してFPC304、324の配線309、329に接続される。
なお、ここでは、ゲート配線05と走査線入力端子306aが接続されるが、ゲート配線05と走査線入力端子306aの間に、ソース配線63と同じ層で形成される導電層を設けてもよい。
図14(B)においては、走査線入力端子306bは、薄膜トランジスタ330のゲート配線05に接続される。また、信号線入力端子326bは、薄膜トランジスタ330のソース配線63に接続される。
走査線入力端子306b、信号線入力端子326bは、それぞれ画素部の薄膜トランジスタ330の画素電極71と同じ層で形成される。また、走査線入力端子306b、信号線入力端子326bは、平坦化層69及び保護絶縁層67上に形成される。また、平坦化層69及び保護絶縁層67の開口部において、走査線入力端子306b、信号線入力端子326bは、異方性導電接着剤307、327の導電性粒子308、328を介してFPC304、324の配線309、329に接続される。
ソース配線63に接続する信号線入力端子326bは、基板01及びソース配線63の間に、ゲート絶縁層09の他に、非晶質半導体層35、一導電型を付与する不純物元素を添加した不純物半導体層39が形成され、厚みが増す。このため、信号線入力端子326bとFPC324の配線329の接続が容易となる。
なお、本実施の形態は他の実施の形態と組み合わせ可能である。
(実施の形態9)
次に、本発明の一形態である表示パネルの構成について、以下に示す。
図15(A)に、信号線駆動回路6013のみを別途形成し、基板6011上に形成された画素部6012と接続している表示パネルの形態を示す。画素部6012、保護回路6016、及び走査線駆動回路6014が形成された素子基板は、上記実施の形態に示す素子基板を用いて形成する。非晶質半導体層をチャネル形成領域に用いた薄膜トランジスタよりも高い電界効果移動度が得られる薄膜トランジスタで信号線駆動回路を形成することで、走査線駆動回路よりも高い駆動周波数が要求される信号線駆動回路の動作を安定させることができる。なお、信号線駆動回路6013は、単結晶半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタ、多結晶半導体をチャネル形成領域に用いた薄膜トランジスタ、またはSOIをチャネル形成領域に用いたトランジスタであっても良い。SOIを用いたトランジスタにおいては、ガラス基板上に設けられた単結晶半導体層をチャネル形成領域に用いたトランジスタを含む。画素部6012と、信号線駆動回路6013と、走査線駆動回路6014とに、それぞれ電源の電位、各種信号等が、FPC6015を介して供給される。信号線駆動回路6013及びFPC6015の間、または信号線駆動回路6013及び画素部6012の間に、上記実施の形態に示す薄膜トランジスタで形成された保護回路6016を設けてもよい。保護回路6016は、上記実施の形態で示す薄膜トランジスタで形成された保護回路の代わりに、薄膜トランジスタ、ダイオード、抵抗素子及び容量素子等から選択された1つまたは複数の素子によって構成される保護回路を設けてもよい。
なお、信号線駆動回路及び走査線駆動回路を、共に画素部と同じ基板上に形成しても良い。
また、駆動回路を別途形成する場合、必ずしも駆動回路が形成された基板を、画素部が形成された基板上に貼り合わせる必要はなく、例えばFPC上に貼り合わせるようにしても良い。図15(B)に、信号線駆動回路6023のみを別途形成し、基板6021上に形成された画素部6022、保護回路6026、及び走査線駆動回路6024が形成された素子基板とFPCが接続している表示装置パネルの形態を示す。画素部6022、保護回路6026、及び走査線駆動回路6024は、上記実施の形態に示す薄膜トランジスタを用いて形成する。信号線駆動回路6023は、FPC6025及び保護回路6026を介して、画素部6022と接続されている。画素部6022と、信号線駆動回路6023と、走査線駆動回路6024とに、それぞれ電源の電位、各種信号等が、FPC6025を介して供給される。FPC6025及び画素部6022の間に、上記実施の形態に示す薄膜トランジスタで形成された保護回路6026を設けてもよい。保護回路6026は、上記実施の形態で示す薄膜トランジスタで形成された保護回路の代わりに、薄膜トランジスタ、ダイオード、抵抗素子及び容量素子等から選択された1つまたは複数の素子によって構成される保護回路を設けてもよい。
また、信号線駆動回路の一部または走査線駆動回路の一部のみを、上記実施の形態に示す薄膜トランジスタを用いて画素部と同じ基板上に形成し、残りを別途形成して画素部と電気的に接続するようにしても良い。図15(C)に、信号線駆動回路が有するアナログスイッチ6033aを、画素部6032、走査線駆動回路6034と同じ基板6031上に形成し、信号線駆動回路が有するシフトレジスタ6033bを別途異なる基板に形成して貼り合わせる表示装置パネルの形態を示す。画素部6032、保護回路6036、及び走査線駆動回路6034は、上記実施の形態に示す薄膜トランジスタを用いて形成する。信号線駆動回路が有するシフトレジスタ6033bは、FPC6035及び保護回路6036を介して画素部6032と接続されている。画素部6032と、信号線駆動回路と、走査線駆動回路6034とに、それぞれ電源の電位、各種信号等が、FPC6035を介して供給される。シフトレジスタ6033b及びアナログスイッチ6033aの間に、上記実施の形態に示す薄膜トランジスタで形成された保護回路6036を設けてもよい。保護回路6036は、上記実施の形態で示す薄膜トランジスタで形成された保護回路の代わりに、薄膜トランジスタ、ダイオード、抵抗素子及び容量素子等から選択された1つまたは複数の素子によって構成される保護回路を設けてもよい。
図15に示すように、本実施の形態の表示装置は、駆動回路の一部または全部を、画素部と同じ基板上に、上記実施の形態に示す薄膜トランジスタを用いて形成することができる。
なお、別途形成した基板の接続方法は、特に限定されるものではなく、公知のCOG方法、ワイヤボンディング方法、或いはTAB方法などを用いることができる。また接続する位置は、電気的な接続が可能であるならば、図15に示した位置に限定されない。また、コントローラ、CPU、メモリ等を別途形成し、接続するようにしても良い。
なお、ここで用いる信号線駆動回路は、シフトレジスタとアナログスイッチを有する。または、シフトレジスタとアナログスイッチに加え、バッファ、レベルシフタ、ソースフォロワ等、他の回路を有していても良い。また、シフトレジスタとアナログスイッチは必ずしも設ける必要はなく、例えばシフトレジスタの代わりにデコーダ回路のような信号線の選択ができる別の回路を用いても良いし、アナログスイッチの代わりにラッチ等を用いても良い。
なお、本実施の形態は他の実施の形態と組み合わせ可能である。
(実施の形態10)
本発明により得られる素子基板、及びそれを用いた表示装置等によって、アクティブマトリクス型表示装置パネルに用いることができる。即ち、それらを表示部に組み込んだ電子機器全てに上記実施の形態を実施できる。
その様な電子機器としては、ビデオカメラ及びデジタルカメラ等のカメラ、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)、カーナビゲーション、プロジェクタ、カーステレオ、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話または電子書籍等)などが挙げられる。それらの一例を図16に示す。
図16(A)はテレビジョン装置である。表示パネルを、図16(A)に示すように、筐体に組みこんで、テレビジョン装置を完成させることができる。表示パネルにより主画面2003が形成され、その他付属設備としてスピーカ部2009、操作スイッチなどが備えられている。このように、テレビジョン装置を完成させることができる。
図16(A)に示すように、筐体2001に表示素子を利用した表示用パネル2002が組みこまれ、受信機2005により一般のテレビ放送の受信をはじめ、モデム2004を介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、または受信者間同士)の情報通信をすることもできる。テレビジョン装置の操作は、筐体に組みこまれたスイッチまたは別体のリモコン操作機2006により行うことが可能であり、このリモコン操作機2006にも出力する情報を表示する表示部2007が設けられていても良い。
また、テレビジョン装置にも、主画面2003の他にサブ画面2008を第2の表示パネルで形成し、チャネルや音量などを表示する構成が付加されていても良い。この構成において、主画面2003を液晶表示パネルで形成し、サブ画面を発光表示パネルで形成しても良い。また、主画面2003を発光表示パネルで形成し、サブ画面を発光表示パネルで形成し、サブ画面は点滅可能とする構成としても良い。
図17はテレビ装置の主要な構成を示すブロック図を示している。表示パネル900には、画素部921が形成されている。信号線駆動回路922と走査線駆動回路923は、表示パネル900にCOG方式により実装されていても良い。
その他の外部回路の構成として、映像信号の入力側では、チューナ924で受信した信号のうち、映像信号を増幅する映像信号増幅回路925と、そこから出力される信号を赤、緑、青の各色に対応した色信号に変換する映像信号処理回路926と、その映像信号をドライバICの入力仕様に変換するためのコントロール回路927などを有している。コントロール回路927は、走査線側と信号線側にそれぞれ信号を出力する。デジタル駆動する場合には、信号線側に信号分割回路928を設け、入力デジタル信号をm個に分割して供給する構成としても良い。
チューナ924で受信した信号のうち、音声信号は、音声信号増幅回路929に送られ、その出力は音声信号処理回路930を経てスピーカ933に供給される。制御回路931は受信局(受信周波数)や音量の制御情報を入力部932から受け、チューナ924や音声信号処理回路930に信号を送出する。
勿論、テレビジョン装置に限定されず、パーソナルコンピュータのモニタをはじめ、鉄道の駅や空港などにおける情報表示盤や、街頭における広告表示盤など大面積の表示媒体としても様々な用途に適用することができる。
主画面2003、サブ画面2008において、上記実施の形態で説明した素子基板、及びそれを有する表示装置を適用することで、コントラスト等の画像品質を向上させたテレビ装置の量産性を高めることができる。
図16(B)は携帯電話機2301の一例を示している。この携帯電話機2301は、表示部2302、操作部2303などを含んで構成されている。表示部2302においては、上記実施の形態で説明した素子基板、及びそれを有する表示装置を適用することで、コントラスト等の画像品質を向上させた携帯電話の量産性を高めることができる。
また、図16(C)に示す携帯型のコンピュータは、本体2401、表示部2402等を含んでいる。表示部2402に、上記実施の形態に示す素子基板、及びそれを有する表示装置を適用することにより、コントラスト等の画像品質を向上させた携帯型のコンピュータの量産性を高めることができる。
図16(D)は卓上照明器具であり、照明部2501、傘2502、可変アーム2503、支柱2504、台2505、電源2506を含む。本発明の発光装置を照明部2501に用いることにより作製される。なお、照明器具には天井固定型の照明器具または壁掛け型の照明器具なども含まれる。上記実施の形態に示す素子基板、及びそれを有する表示装置を適用することにより、量産性を高めることができ、安価な卓上照明器具を提供することができる。
図18は、上記実施の形態を適用したスマートフォン携帯電話機の構成の一例であり、図18(A)が正面図、図18(B)が背面図、図18(C)が展開図である。スマートフォン携帯電話機は、筐体1111及び1112二つの筐体で構成されている。スマートフォン携帯電話機は、携帯電話と携帯情報端末の双方の機能を備えており、コンピュータを内蔵し、音声通話以外にも様々なデータ処理が可能である。
筐体1111においては、表示部1101、スピーカ1102、マイクロフォン1103、操作キー1104、ポインティングディバイス1105、表面カメラ用レンズ1106、外部接続端子ジャック1107、イヤホン端子1108等を備え、筐体1112においては、キーボード1201、外部メモリスロット1202、裏面カメラ1203、ライト1204等を備えている。また、アンテナは筐体1111内部に内蔵されている。
また、上記構成に加えて、非接触ICチップ、小型記録装置等を内蔵していてもよい。
重なり合った筐体1111と筐体1222(図18(A)は、スライドし図18(C)のように展開する。表示部1101には、上記実施の形態に示される表示装置を組み込むことが可能であり、使用形態に応じて表示の方向が適宜変化する。表示部1101及び表面カメラ用レンズ1106を同一の面に備えているため、テレビ電話が可能である。また、表示部1101をファインダーとし裏面カメラ1203及びライト1204で静止画及び動画の撮影が可能である。
スピーカ1102及びマイクロフォン1103は音声通話に限らず、テレビ電話、録音、再生等の用途が可能である。操作キー1104では、電話の発着信、電子メール等の簡単な情報入力、画面のスクロール、カーソル移動等が可能である。
また、書類の作成、携帯情報端末としての使用等、取り扱う情報が多い場合は、キーボード1201を用いると便利である。更に、重なり合った筐体1111と筐体1112(図18(A))は、スライドし図18(C)のように展開し、携帯情報端末として使用できる場合は、キーボード1201、ポインティングディバイス1105を用い円滑な操作が可能である。外部接続端子ジャック1107はACアダプタ及びUSBケーブル等の各種ケーブルと接続可能であり、充電及びパーソナルコンピュータ等とのデータ通信が可能である。また、外部メモリスロット1202に記録媒体を挿入しより大量のデータ保存及び移動に対応できる。
筐体1112の裏面(図18(B))には、裏面カメラ1203及びライト1204を備えており、表示部1101をファインダーとし静止画及び動画の撮影が可能である。
また、上記機能構成に加えて、赤外線通信機能、USBポート、テレビワンセグ受信機能、非接触ICチップ、イヤホンジャック等を備えたものであってもよい。
上記実施の形態に示す表示装置を適用することにより、量産性を高めることができる。