請求項1に記載の発明は、断熱区画された貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、前記貯蔵室に備えられた扉と、前記扉に備えられた容器とを有し、前記貯蔵室は食品を冷凍温度帯で保存する冷凍室であって、前記冷凍室には隣接して複数の扉が備えられるとともに前記複数の扉に対応する容器が備えられ、前記容器のうち少なくとも一つの容器に蓄冷材を備えたことにより、扉を開放し、居室内空気が容器内に流入した場合でも蓄冷材が持つ比較的大きな熱容量によって容器内の昇温を最小限に抑えることができ、収納食品の保存品質を確保することができる。また、蓄冷材により収納食品を直接的に冷却することにより収納食品の凍結速度を短縮することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記容器を前記冷凍室内に上下方向に複数配置し、前記容器のうち上段容器に前記蓄冷材を取り付けたことにより、上段容器内の昇温を抑制すると同時に、前記蓄冷材に近接する下段容器内の昇温も同時に抑制することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記貯蔵室内に冷気を送出する複数の冷気吐出口を設けたものであり、前記冷気吐出口から送出された冷気により前記蓄冷材を上下両面から効率良く冷却することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、前記冷気吐出口は前記蓄冷材の上方と下方にそれぞれ設けるものであり、より効率的に前記蓄冷材を冷却することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、従来例または先に説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の要部側面断面図である。
図1において、断熱箱体1で構成された冷蔵庫本体2の貯蔵室の一部である冷凍室3は、上方の上部断熱仕切体4と下方の下部断熱仕切体5によって温度帯の異なる冷蔵室6と野菜室7とから区画されている。また、冷凍室3の前面開口部には開口部の左右端をつなぐ仕切体8が設けられている。
冷凍室3の背面に設けられた冷気生成室9には、冷気を生成する蒸発器10と、冷気を冷蔵室6、冷凍室3、野菜室7にそれぞれ供給、循環させる送風機11が配置され、蒸発器10の下部空間には除霜時に通電される除霜用ヒータ12が配置されている。また、冷凍室3の背面には冷気分配室19が設けられており、冷気分配室19に連続して冷気吐出口21及び冷気吐出口22が設けられている。
冷凍室3の前面開口部には、扉23と扉24が設けられており、冷凍室3からの冷気の流出が無いように冷凍室3を閉塞している。扉23と扉24はいずれも引き出し式の扉であり、食品を出し入れする場合は冷蔵庫手前側、すなわち図1で示すところの左側方向に引き出して使用される。また、扉23及び扉24の後方にはそれぞれ枠体25、26が設けられている。この枠体25、26上にはそれぞれ上段容器27と下段容器28が載置されている。
上段容器27の底面には蓄冷材29が載置されている。この蓄冷材29は、一般的に冷凍される食品の凍結温度より低めで最大氷結晶生成帯の温度よりも低く、かつ、冷凍室3の温度よりも高い温度である−15℃に融解温度を設定されている。また、蓄冷材29の充填量としては、蓄冷材29上に食品が投入、配置された場合でも完全に融解することのない量に設定されている。
また、冷凍室3の背面下部には冷気を吸い込み、蒸発器10まで導くための冷気吸入口30が設けられている。
また、蓄冷材29上には食品31が使用者の手によって載置、保存される。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、電源投入後、図示しない冷凍サイクルの運転が開始され、蒸発器10に冷媒が流通して冷気が生成される。生成された冷気は送風機11によって冷気分配室19に送られ、冷気吐出口21と冷気吐出口22から分配されて冷凍室3内に吐出される。
冷凍室内3に吐出された冷気により冷凍室3が所定の温度まで冷却され、同時に蓄冷材29も冷却される。この時、冷凍室3は食品をある一定の期間冷凍保存できる温度、例えば−20℃に温調されているが、蓄熱材29は−15℃に融解温度を設定されたものを用いるため、冷凍室3が十分に冷却され一定時間経過した後では蓄冷材29は完全に凍結している状態となる。
冷却室3内を冷却した冷気は冷気吸入口30から冷気生成室9に入り、蒸発器10によって再び冷却されることとなる。
使用者が食品31を収納しようとする場合には、扉23を冷蔵庫手前方向、図1における左側方向に引き出す動作を行う。この時、枠体25は扉23に固定されているため、扉23の引き出し動作に伴って、枠体25と枠体25に載置されている上段容器27と、上段容器27の底面に載置されている蓄冷材29が同時に引き出される。使用者は食品31を蓄冷材29上に置き扉23を閉める動作を行う。扉23の開放と、冷凍室3の庫内温度より高温の食品31の投入により冷凍室3が昇温すると庫内温度検知手段(図示せず)により庫内昇温を検知し、制御手段(図示せず)により冷凍サイクルの運転を調整し、冷凍室3を再び所定温度まで冷却する動作を行う。
冷気吐出口21は上段容器27の上方に配置されており、冷気吐出口21からは上段容器27の上面開口部に向けて冷気が吐出される。蓄冷材29の上に収納された食品31は、冷気吐出口21から吐出される冷気によって冷却されると同時に、蓄冷材29自身からも直接的に熱を奪われることになる。この場合、蓄冷材29が無く上段容器27のみの場合に比べてより速く食品31を凍結させることができる。
また、食品31が既に上段容器27内に収納、凍結保存されており、高温の食品を追加で上段容器27内に投入する場合を考えると、蓄冷材29の直接冷却作用により蓄冷材29が無い場合に比して、既に凍結保存されている食品31に対する熱的影響を抑え、昇温を抑制することが可能となる。
冷気吐出口22は上段容器27の下方であり、かつ、上段容器27と下段容器28の間に位置し、主に下段容器28内に収納された食品を冷却する動作を行う。同時に、上段容器27の下部へも冷気が流通し、上段容器27の底面に載置された蓄冷材29を冷却する動作も行う。
また一方では、電源投入直後のように蓄冷材29が十分に冷え切らず未凍結状態の場合や、高温の食品を連続して収納した時に、蓄冷材29の一部が融解した場合や、あるいは融解するまでには至らないが、扉23の引き出し時に居室内空気に暴露された蓄冷材29が、冷凍室3の設定温度よりも高い温度に昇温した場合などには、冷気吐出口21からの冷気が蓄冷材29を上面から冷却し、冷気吐出口22からの冷気が蓄冷材29を下面から冷却する。尚、蓄冷材29が居室内空気に暴露された場合の昇温は、従来例が示す金属のプレートを備えた冷蔵庫に比べて蓄冷材29の熱容量が大きいため、昇温の度合いは従来の冷蔵庫よりも低く抑えることができることを付記しておく。
また尚、本実施の形態の冷蔵庫は上段容器27の底部に蓄冷材29を載置した構成にて説明したが、上段容器27の一部に穴を設け、冷気吐出口22からの冷気が直接蓄冷材29に接触するように構成するとより蓄冷材29を素早く冷却することができる。この時、上段容器27に設ける穴は、上段容器27の底面の一部にあっても良いし、上段容器27の後側面で冷気吐出口22の近傍にあっても良い。
尚、冷気吐出口22の上下方向位置は上段容器27の底面に冷気が流れる位置であれば良く、必ずしも上段容器27の下方に位置する必要はない。同様の理由で冷気吐出口22と下段容器28の上下方向位置は上段容器27の底面に冷気が流れる位置であれば良く、必ずしも下段容器28の上方に位置する必要はない。
また、使用者が食品を収納しようとして扉24を開放する場合には、扉23の場合と同様に扉24を冷蔵庫手前方向、図1における左側方向に引き出す動作を行う。この時、枠体26は扉24に固定されているため、扉24の引き出し動作に伴って、枠体26と枠体26に載置されている下段容器28が同時に引き出される。使用者は食品を下段容器28に収納したあと扉24を閉める動作を行う。扉24の開放と、冷凍室3の庫内温度より高温の食品投入により冷凍室3が昇温すると庫内温度検知手段(図示せず)により庫内昇温を検知し、制御手段(図示せず)により冷凍サイクルの運転を調整し、冷凍室3を再び所定温度まで冷却する動作を行う。
冷蔵庫の運転中、蒸発器10に付着した霜を定期的に取り除く霜取りのタイミングである場合には、除霜用ヒータ12の発熱による冷凍室3内の収納食品への熱影響を最小限に抑えるために、送風機11の運転を霜取り期間中は停止し、冷凍室3内への高温空気の流入を防止する制御を行う。
この霜取りタイミングと、前述した扉24の開放が重なった場合には、霜取り制御により通常運転よりも冷凍室3が昇温していることに加え、扉開放による居室内空気の流入によりさらに下段容器28内が昇温することが考えられる。このような場合でも、下段容器28の上方に蓄冷材29が位置しているので、蓄冷材29の比較的大きな熱容量により、積極的な冷気の循環が無くても下段収納容器28内の昇温を押さえることができる。この作用、効果は霜取りタイミング中に扉23を開放した場合でも同様である。
以上のように、本実施の形態においては、断熱区画された貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、前記貯蔵室内へ食品を出し入れするための扉と、食品を収納するための複数の容器と、前記容器のうち少なくとも1つの容器に取り付けられた蓄冷材とを備えたことにより、扉を開放し居室内空気が容器内に流入した場合でも、蓄冷材が持つ比較的大きな熱容量によって容器内の昇温を最小限に抑えることができ、収納食品の保存品質を確保することができる。また、蓄冷材により収納食品を直接的に冷却することにより収納食品の凍結速度を短縮することができる。
また、本実施の形態では、前記容器を前記貯蔵室内に上下に複数配置し、前記容器のうち上段容器に前記蓄冷材を取り付けたことにより、前記上段容器内の昇温を抑制すると同時に、前記蓄冷材に近接する下段容器内の昇温も同時に抑制することができる。
また、本実施の形態では、前記貯蔵室内に冷気を送出する複数の冷気吐出口を設けたものであり、前記冷気吐出口から送出された冷気により前記蓄冷材を上下両面から効率良く冷却することができる。
また、本実施の形態では、前記冷気吐出口を前記蓄冷材が取り付けられた前記容器の上方と下方にそれぞれ設けたものであり、より効率的に前記蓄冷材を冷却することができる。
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2における冷蔵庫の要部側面断面図である。
図2において、冷凍室3の前面開口部に設けられた扉24は引き出し式の扉であり、食品を出し入れする場合は冷蔵庫手前側、すなわち図2で示すところの左側方向に引き出して使用される。また、扉24の後方には枠体26が設けられており、下段容器28が載置されている。さらに、下段容器28の上には中段容器32が載置されている。この中段容器32は扉24の引き出し動作に伴い、下段容器28と連動して引き出される。またさらに、中段容器32は下段容器28上を冷蔵庫前後方向、図2で示すところの左右方向にある一定の範囲で摺動させることが可能になっている。
また、冷凍室3の背面には、冷気吐出口21、22に加えて冷気吐出口33が設けられている。冷気吐出口21は上段容器27の上方、冷気吐出口22は上段容器27の下方で、かつ、中段容器32の上方、冷気吐出口33は中段容器32の下方で、かつ、下段容器28の後側面上端よりも上方に位置するようにそれぞれ配置されている。
上段容器27の底面には蓄冷材29が載置されている。
その他の構成については、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
冷気吐出口21は上段容器27の上方に配置されており、冷気吐出口21からは上段容器27の上面開口部に向けて冷気が吐出される。
蓄冷材29の上に収納された食品31は、冷気吐出口21から吐出される冷気によって冷却されると同時に、蓄冷材29自身からも直接的に熱を奪われることになる。この場合、蓄冷材29が無く上段容器27のみの場合に比べてより速く食品31を凍結させることができる。
また、食品31が既に上段容器27内に収納、凍結保存されており、高温の食品を追加で上段容器27内に投入する場合を考えると、蓄冷材29の直接冷却作用により蓄冷材29が無い場合に比して、既に凍結保存されている食品31に対する熱的影響を抑え、昇温を抑制することが可能となる。
冷気吐出口22は上段容器27の下方であり、かつ、上段容器27と中段容器32の間に位置し、主に中段容器32内に収納された食品を冷却する動作を行う。同時に、上段容器27の下部へも冷気が流通し、上段容器27の底面に載置された蓄冷材29を冷却する動作も行う。
また一方では、電源投入直後のように蓄冷材29が十分に冷え切らず未凍結状態の場合や、高温の食品を連続して収納したときに蓄冷材29の一部が融解した場合や、あるいは融解するまでには至らないが、扉23の引き出し時に居室内空気に暴露された蓄冷材29が、冷凍室3の設定温度よりも高い温度に昇温した場合などには、冷気吐出口21からの冷気が蓄冷材29を上面から冷却し、冷気吐出口22からの冷気が蓄冷材29を下面から冷却する。尚、蓄冷材29が居室内空気に暴露された場合の昇温は、従来例が示す金属のプレートを備えた冷蔵庫に比べて蓄冷材29の熱容量が大きいため、昇温の度合いは従来の冷蔵庫よりも低く抑えることができることを付記しておく。
また尚、本実施の形態の冷蔵庫は上段容器27の底部に蓄冷材29を載置した構成にて説明したが、上段容器27の一部に穴を設け、冷気吐出口22からの冷気が直接蓄冷材29に接触するように構成するとより蓄冷材29を素早く冷却することができる。この時、上段容器27に設ける穴は、上段容器27の底面の一部にあっても良いし、上段容器27の後側面で冷気吐出口22の近傍にあっても良い。
尚、冷気吐出口22の上下方向位置は上段容器27の底面に冷気が流れる位置であれば良く、必ずしも上段容器27の下方に位置する必要はない。同様の理由で冷気吐出口22と中段容器32の上下方向位置は上段容器27の底面に冷気が流れる位置であれば良く、必ずしも中段容器32の上方に位置する必要はない。
また、冷気吐出口33は中段容器32の下方であり、かつ、中段容器32と下段容器28の間に位置し、主に下段容器28内に収納された食品を冷却する動作を行う。
使用者が食品を収納しようとして扉24を開放する場合には、扉24を冷蔵庫手前方向、図2における左側方向に引き出す動作を行う。この時、枠体26は扉24に固定されているため、扉24の引き出し動作に伴って、枠体26と、枠体26に載置されている下段容器28と、下段容器28に載置されている中段容器32が同時に引き出される。使用者は食品を下段容器28や中段容器32に収納したあと扉24を閉める動作を行う。扉24の開放と、冷凍室3の庫内温度より高温の食品投入により冷凍室3が昇温すると庫内温度検知手段(図示せず)により庫内昇温を検知し、制御手段(図示せず)により冷凍サイクルの運転を調整し、冷凍室3を再び所定温度まで冷却する動作を行う。
冷蔵庫の運転中、蒸発器10に付着した霜を定期的に取り除く霜取りのタイミングである場合には、除霜用ヒータ12の発熱による冷凍室3内の収納食品への熱影響を最小限に抑えるために、送風機11の運転を霜取り期間中は停止し、冷凍室3内への高温空気の流入を防止する制御を行う。
この霜取りタイミングと、前述した扉24の開放が重なった場合には、霜取り制御により通常運転よりも冷凍室3が昇温していることに加え、扉開放による居室内空気の流入によりさらに下段容器28内や中段容器32内が昇温することが考えられる。特に、扉24の開放時には、中段容器32に上面開口部の大部分を閉塞された状態にある下段容器28よりも、居室内空気に暴露されやすい中段容器32の方がより昇温することとなる。このような場合でも、中段容器32の上方に蓄冷材29が位置しているので、蓄冷材29の比較的大きな熱容量により、積極的な冷気の循環がなくても中段容器32内の昇温を抑えることができる。この作用、効果は霜取りタイミング中に扉23を開放した場合でも同様である。
尚、本実施の形態では、蓄冷材29の下方はそのほとんどの面積を中段容器32が占める構成としたが、上記昇温防止の効果を発揮させるには中段容器32は図2で示しているものより小さくても良い。小さくする場合は、冷蔵庫前後、左右のいずれの方向に短縮しても良く、下段収納容器28と蓄冷材29の間に障害物を少なく構成すると、中段容器32内のみならず下段容器28内の昇温も抑制することが可能になる。
その他の作用、動作に関しては実施の形態1の場合と同様であるので説明を省略する。
以上のように、本実施の形態においては、断熱区画された貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、前記貯蔵室内へ食品を出し入れするための扉と、食品を収納するための複数の容器と、前記容器のうち少なくとも1つの容器に取り付けられた蓄冷材とを備えたことにより、扉を開放し居室内空気が容器内に流入した場合でも、蓄冷材が持つ比較的大きな熱容量によって容器内の昇温を最小限に抑えることができ、収納食品の保存品質を確保することができる。また、蓄冷材により収納食品を直接的に冷却することにより収納食品の凍結速度を短縮することができる。
また、本実施の形態では、前記容器を前記貯蔵室内に上下に複数配置し、前記容器のうち上段容器に前記蓄冷材を取り付けたことにより、前記上段容器内の昇温を抑制すると同時に、前記蓄冷材に近接する中段容器及びその下方の下段容器の昇温も同時に抑制することができる。
また、本実施の形態では、前記貯蔵室内に冷気を送出する複数の冷気吐出口を設けたものであり、前記冷気吐出口から送出された冷気により前記蓄冷材を上下両面から効率良く冷却することができる。
また、本実施の形態では、前記冷気吐出口を前記蓄冷材が取り付けられた前記容器の上方と下方にそれぞれ設けたものであり、より効率的に前記蓄冷材を冷却することができる。
(実施の形態3)
図3は、本発明の実施の形態3における冷蔵庫の要部側面断面図である。
図3において、冷凍室3の前面開口部に設けられた扉24は引き出し式の扉であり、食品を出し入れする場合は冷蔵庫手前側、すなわち図3で示すところの左側方向に引き出して使用される。また、扉24の後方には枠体26が設けられており、下段容器28が載置されている。さらに、下段容器28の上には中段容器32が載置されている。この中段容器32は扉24の引き出し動作に伴い、下段容器28と連動して引き出される。またさらに、中段容器32は下段容器28上を冷蔵庫前後方向、図3で示すところの左右方向にある一定の範囲で摺動させることが可能になっている。
また、冷凍室3の背面には、冷気吐出口21、22に加えて冷気吐出口33が設けられている。冷気吐出口21は上段容器27の上方、冷気吐出口22は上段容器27の下方で、かつ、中段容器32の上方、冷気吐出口33は中段容器32の下方で、かつ、下段容器28の後側面上端よりも上方に位置するようにそれぞれ配置されている。
中段容器32の底面には蓄冷材29が載置されている。
その他の構成については、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
冷気吐出口21は上段容器27の上方に配置されており、冷気吐出口21からは上段容器27の上面開口部に向けて冷気が吐出され、上段容器27内を冷却する。
冷気吐出口22は上段容器27の下方であり、かつ、上段容器27と中段容器32の間に位置し、中段容器32の上面開口部に向けて冷気が吐出される。
蓄冷材29の上に収納された食品31は、冷気吐出口22から吐出される冷気によって冷却されると同時に、蓄冷材自身からも直接的に熱を奪われることになる。この場合、蓄冷材29が無く中段容器32のみの場合に比べてより速く食品31を凍結させることができる。
また、食品31が既に中段容器32に収納、凍結保存されており、高温の食品を追加で中段容器32内に投入する場合を考えると、蓄冷材29の直接冷却作用により蓄冷材29が無い場合に比して、既に凍結保存されている食品31に対する熱的影響を抑え、昇温を抑制することが可能となる。
また一方では、電源投入直後のように蓄冷材29が十分に冷え切らず未凍結状態の場合や、高温の食品を連続して収納したときに蓄冷材29の一部が融解した場合や、あるいは融解するまでには至らないが、扉24の引き出し時に居室内空気に暴露された蓄冷材29が、冷凍室3の設定温度よりも高い温度に昇温した場合などには、冷気吐出口22からの冷気が蓄冷材29を上面から冷却し、冷気吐出口33からの冷気が蓄冷材29を下面から冷却する。尚、蓄冷材29が居室内空気に暴露された場合の昇温は、従来例が示す金属のプレートを備えた冷蔵庫に比べて蓄冷材29の熱容量が大きいため、昇温の度合いは従来の冷蔵庫よりも低く抑えることができることを付記しておく。
また、冷気吐出口33は中段容器32の下方であり、かつ、中段容器32と下段容器28の間に位置し、主に下段容器28内に収納された食品を冷却する動作を行う。同時に、中段容器32の下部へも冷気が流通し、中段容器32の底面に載置された蓄冷材29を冷却する動作も行う。
また尚、本実施の形態の冷蔵庫は中段容器32の底部に蓄冷材29を載置した構成にて説明したが、中段容器32の一部に穴を設け、冷気吐出口33からの冷気が直接蓄冷材29に接触するように構成するとより蓄冷材29を素早く冷却することができる。この時、中段容器32に設ける穴は、中段容器32の底面の一部にあっても良いし、中段容器32の後側面で冷気吐出口33の近傍にあっても良い。
尚、冷気吐出口33の上下方向位置は中段容器32の底面に冷気が流れる位置であれば良く、必ずしも上段容器27の下方に位置する必要はない。同様の理由で冷気吐出口33と下段容器28の上下方向位置は中段容器32の底面に冷気が流れる位置であれば良く、必ずしも中段容器32の上方に位置する必要はない。
使用者が食品を収納しようとして扉24を開放する場合には、扉24を冷蔵庫手前方向、図3における左側方向に引き出す動作を行う。この時、枠体26は扉24に固定されているため、扉24の引き出し動作に伴って、枠体26と、枠体26に載置されている下段容器28と、下段容器28に載置されている中段容器32が同時に引き出される。使用者は食品を下段容器28や中段容器32に収納したあと扉24を閉める動作を行う。扉24の開放と、冷凍室3の庫内温度より高温の食品投入により冷凍室3が昇温すると庫内温度検知手段(図示せず)により庫内昇温を検知し、制御手段(図示せず)により冷凍サイクルの運転を調整し、冷凍室3を再び所定温度まで冷却する動作を行う。
冷蔵庫の運転中、蒸発器10に付着した霜を定期的に取り除く霜取りのタイミングである場合には、除霜用ヒータ12の発熱による冷凍室3内の収納食品への熱影響を最小限に抑えるために、送風機11の運転を霜取り期間中は停止し、冷凍室3内への高温空気の流入を防止する制御を行う。
この霜取りタイミングと、前述した扉24の開放が重なった場合には、霜取り制御により通常運転よりも冷凍室3が昇温していることに加え、扉開放による居室内空気の流入によりさらに下段容器28内や中段容器32内が昇温することが考えられる。特に、扉24の開放時には、中段容器32の上面開口部の大部分を閉塞された状態にある下段容器28よりも、居室内空気に暴露されやすい中段容器32の方がより昇温することとなる。このような場合でも、中段容器32内に蓄冷材29が載置されているので、蓄冷材29の比較的大きな熱容量により、積極的な冷気の循環がなくても中段容器32内の昇温を押さえることができる。また、蓄冷材29は下段容器28の上方に位置することになるので、扉開放により下段容器28が昇温した場合、積極的な冷気の循環がなくても下段容器28内を冷却することができる。
その他の作用、動作に関しては実施の形態1の場合と同様であるので説明を省略する。
以上のように、本実施の形態においては、断熱区画された貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、前記貯蔵室内へ食品を出し入れするための扉と、食品を収納するための複数の容器と、前記容器のうち少なくとも1つの容器に取り付けられた蓄冷材とを備えたことにより、扉を開放し居室内空気が容器内に流入した場合でも、蓄冷材が持つ比較的大きな熱容量によって容器内の昇温を最小限に抑えることができ、収納食品の保存品質を確保することができる。また、蓄冷材により収納食品を直接的に冷却することにより収納食品の凍結速度を短縮することができる。
また、本実施の形態では、前記容器を前記貯蔵室内に上下に複数配置し、前記容器のうち中段容器に前記蓄冷材を取り付けたことにより、前記中段容器内の昇温を抑制すると同時に、前記蓄冷材に近接する下段容器の昇温も同時に抑制することができる。
また、本実施の形態では、前記貯蔵室内に冷気を送出する複数の冷気吐出口を設けたものであり、前記吐出口から送出された冷気により前記蓄冷材を上下両面から効率良く冷却することができる。
また、本実施の形態では、前記冷気吐出口を前記蓄冷材が取り付けられた前記容器の上方と下方にそれぞれ設けたものであり、より効率的に前記蓄冷材を冷却することができる。
(実施の形態4)
図4は、本発明の実施の形態4における冷蔵庫の要部側面断面図である。
図4において、冷凍室3の前面開口部に設けられた扉24は引き出し式の扉であり、食品を出し入れする場合は冷蔵庫手前側、すなわち図4で示すところの左側方向に引き出して使用される。また、扉24の後方には枠体26が設けられており、下段容器28が載置されている。さらに、下段容器28の上には中断容器32が載置されている。この中段容器32は扉24の引き出し動作に伴い、下段容器28と連動して引き出される。またさらに、中段容器32は下段容器28上を冷蔵庫前後方向、図4で示すところの左右方向にある一定の範囲で摺動させることが可能になっている。この中段容器32の底面には蓄冷材34が載置されている。
また、冷凍室3の背面には、冷気吐出口21、22に加えて冷気吐出口33が設けられている。冷気吐出口21は上段容器27の上方、冷気吐出口22は上段容器27の下方で、かつ、中段容器32の上方、冷気吐出口33は中段容器32の下方で、かつ、下段容器28の後側面上端よりも上方に位置するようにそれぞれ配置されている。
また、上段容器27の底面には蓄冷材29が載置されている。
その他の構成については、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
冷気吐出口21は上部容器27の上方に配置されており、冷気吐出口21からは上段容器27の上面開口部に向けて冷気が吐出され、上段容器27内を冷却する。
冷気吐出口22は上段容器27の下方であり、かつ、上段容器27と中段容器32の間に位置し、中段容器32の上面開口部に向けて冷気が吐出される。吐出された冷気は主に中段容器32内を冷却することになるが、同時に上段容器27の下部へも冷気が流通し、上段容器27の底面に載置された蓄冷材29を冷却する動作も行う。
冷気吐出口33は中段容器32の下方であり、かつ、中段容器27と下段容器28の間に位置し、下段容器28の上面開口部に向けて冷気が吐出される。吐出された冷気は主に下段容器28内を冷却することになるが、同時に中段容器32の下部へも冷気が流通し、中段容器32の底面に載置された蓄冷材34を冷却する動作も行う。
蓄冷材29及び蓄冷材34の上にそれぞれ収納された食品31は、冷気吐出口21及び冷気吐出口22から吐出される冷気によって冷却されると同時に、蓄冷材29及び蓄冷材34自身からも直接的に熱を奪われることになる。この場合、蓄冷材29、34が無く、上段容器27及び中段容器32のみの場合に比べてより速く食品31を凍結させることができる。
また、食品31が既に上段容器27及び中段容器32内に収納、凍結保存されており、高温の食品を追加で上段容器27及び中段容器32内に投入する場合を考えると、蓄冷材29及び蓄冷材34の直接冷却作用により蓄冷材29及び蓄冷材34が無い場合に比して、既に凍結保存されている食品31に対する熱的影響を抑え、昇温を抑制することが可能となる。
また一方では、電源投入直後のように蓄冷材29、34が十分に冷え切らず未凍結状態の場合や、高温の食品を連続して収納した時に、蓄冷材29、34の一部が融解した場合や、あるいは融解するまでには至らないが、扉23、24の引き出し時に居室内空気に暴露された蓄冷材29、34が、冷凍室3の設定温度よりも高い温度に昇温した場合などには、冷気吐出口21からの冷気が蓄冷材29を上面から冷却し、冷気吐出口22からの冷気が蓄冷材29を下面から冷却する。また、同様に冷気吐出口22からの冷気は蓄冷材34を上面から冷却し、冷気吐出口33からの冷気は蓄冷材34を下面から冷却する。尚、蓄冷材29、34が居室内空気に暴露された場合の昇温は、従来例が示す金属のプレートを備えた冷蔵庫に比べて蓄冷材29、34の熱容量が大きいため、昇温の度合いは従来の冷蔵庫よりも低く抑えることができることを付記しておく。
また、尚、本実施の形態の冷蔵庫は上段容器27と中段容器32の底部にそれぞれ蓄冷材29、34を載置した構成にて説明したが、上段容器27あるいは中段容器32の一部に穴を儲け、冷気吐出口22あるいは冷気吐出口33からの冷気が直接蓄冷材29、34に接触するように構成するとより蓄冷材29、34を素早く冷却することができる。この時、上段容器27や中段容器32に設ける穴は、各々の底面の一部にあっても良いし、後側面で冷気吐出口22、33の近傍にあっても良い。
尚、冷気吐出口22、33の上下方向位置は上段容器27、中段容器32の底面に冷気が流れる位置であればよく、必ずしも上段容器27、中段容器32の下方に位置する必要はない。
また、使用者が食品を収納しようとして扉24を開放する場合には、扉23と同様に扉24を冷蔵庫手前方向、図4における左側方向に引き出す動作を行う。この時、枠体26は扉24に固定されているため、扉24の引き出し動作に伴って、枠体26と枠体26に載置されている下段容器28と下段容器28に載置されている中段容器32が同時に引き出される。使用者は食品を下段容器28や中段容器32に収納したあと扉24を閉める動作を行う。扉24の開放と、冷凍室3の庫内温度より高温の食品投入により冷凍室3が昇温すると庫内温度検知手段(図示せず)により庫内昇温を検知し、制御手段(図示せず)により冷凍サイクルの運転を調整し、冷凍室3を再び所定温度まで冷却する動作を行う。
冷蔵庫の運転中、蒸発器10に付着した霜を定期的に取り除く霜取りのタイミングである場合には除霜用ヒータ12の発熱による冷凍室3内の収納食品への熱影響を最小限に抑えるために、送風機11の運転を霜取り期間中は停止し、冷凍室3内への高温空気の流入を防止する制御を行う。
この霜取りタイミングと、前述した扉24の開放が重なった場合には、霜取り制御により通常運転よりも冷凍室3が昇温していることに加え、扉開放による居室内空気の流入によりさらに下段容器28内や中段容器32内が昇温することが考えられる。特に、扉24の開放時には、中段容器32の上面開口部の大部分を閉塞された状態にある下段容器28よりも、居室内空気に暴露されやすい中段容器32の方がより昇温することとなる。このような場合でも、中段容器32内に蓄冷材34が載置されているので、蓄冷材34の比較的大きな熱容量により、積極的な冷気の循環がなくても中段容器32内の昇温を押さえることができる。また、蓄冷材34は下段容器28の上方に位置することになるので、扉開放により下段容器28が昇温した場合、積極的な冷気の循環がなくても下段容器28内を冷却することができる。また、本実施の形態においては、蓄冷材34の上方に蓄冷材29が位置することになるので、蓄冷材34のみの場合に比してより効果的に昇温を抑制することができる。
その他の作用、動作に関しては実施の形態1の場合と同様であるので説明を省略する。
以上のように、本実施の形態においては、断熱区画された貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、前記貯蔵室内へ食品を出し入れするための扉と、食品を収納するための複数の容器と、前記容器のうち少なくとも1つの容器に取り付けられた蓄冷材とを備えたことにより、扉を開放し居室内空気が容器内に流入した場合でも、蓄冷材が持つ比較的大きな熱容量によって容器内の昇温を最小限に抑えることができ、収納食品の保存品質を確保することができる。また、蓄冷材により収納食品を直接的に冷却することにより収納食品の凍結速度を短縮することができる。
また、本実施の形態では、前記容器を前記貯蔵室内に上下に複数配置し、前記容器のうち上段容器と中段容器に前記蓄冷材をそれぞれ取り付けたことにより、前記上段容器及び中段容器内の昇温を抑制すると同時に、前記蓄冷材に近接する下段容器の昇温も同時に抑制することができる。
また、本実施の形態では、前記冷気吐出口を前記蓄冷材が取り付けられた前記容器の上方と下方にそれぞれ設けたものであり、より効率的に前記蓄冷材を冷却することができる。