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JP2008164273A - 冷蔵庫 - Google Patents

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JP2008164273A
JP2008164273A JP2007148181A JP2007148181A JP2008164273A JP 2008164273 A JP2008164273 A JP 2008164273A JP 2007148181 A JP2007148181 A JP 2007148181A JP 2007148181 A JP2007148181 A JP 2007148181A JP 2008164273 A JP2008164273 A JP 2008164273A
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Yushi Arai
祐志 新井
Kuninari Araki
邦成 荒木
Atsuko Funayama
敦子 船山
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Abstract

【課題】食品を過冷却状態で安定に保存可能な過冷却室を備えた冷蔵庫を提供する。
【解決手段】冷蔵庫に、食品Aを過冷却状態にして保存する過冷却室4と、過冷却室内に配置された食品貯蔵用の過冷却容器12と、過冷却室内の温度を検出する温度センサ4aと、過冷却室内に冷気を供給する圧縮機21、蒸発器18及びダンパー装置19,25等からなる冷気供給手段と、過冷却室内を加熱するヒータ26と、冷気供給手段及びヒータの駆動を制御し、過冷却容器内に収納された食品を過冷却状態にする制御装置40とを備える。制御装置40は、過冷却室内の温度が0℃以上に設定された所定温度を超えた場合、当該所定温度と過冷却室の設定温度との間に1乃至複数の中間設定温度を設定し、過冷却室内の温度を所定温度から設定温度に至るまで多段階に過冷却制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、食品を過冷却状態で保存する過冷却室を備えた冷蔵庫に係り、特に、過冷却室内の温度制御手段に関する。
家庭用の冷蔵庫は、使い勝手が良好であることから、例えば冷凍室、製氷室、冷蔵室、野菜室など、設定温度帯が異なる複数の室に区画されているものが一般的である。近年においては、これらの各室に加えて、室内温度が0℃〜−18℃の間に設定される弱冷凍室を備えたもの(特許文献1参照)や、使用者が温度設定ツマミを操作することにより、室内温度を冷蔵温度帯から冷凍温度帯まで適宜設定可能な仕様切替室を備えたもの(特許文献2参照)も提案されている。
冷凍室は、食品を−18℃以下で冷凍保存する室であり、食品の長期保存に適するが、その反面、冷凍食品は、解凍に長時間を要し、かつ適切な解凍を施さないと風味が損なわれるという扱いにくさもある。
そこで、本願出願人は、食品を過冷却状態で保存する過冷却室を冷蔵庫に備えるべく、鋭意研究に取り組んでいる。過冷却状態とは、液状を保ったまま0℃を下回る現象であり、食品をこの状態で安定に保存できれば、冷凍食品と同様の保存性を維持したまま解凍を不要とし、食品の利用を格段に便利にすることができる。純水では、−40℃まで過冷却状態を維持できる旨の報告もある(非特許文献1。)。
特開平10−197130号公報 特開平10−176880号公報 第14回日本伝熱シンポジウム講演論文集
過冷却状態は、準安定状態にあると言われており、外部からの衝撃が加わると過冷却状態が解除され、氷点下においてはより安定な状態である固体へと移行して、食品は凝固してしまう。
したがって、過冷却状態を安定に保つためには、過冷却室内の設定温度、冷却速度及び過冷却室内への食品の収納状態等を厳密に規制する必要がある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、食品を過冷却状態で安定に保存可能な過冷却室を備えた冷蔵庫を提供することにある。
本発明は、前記課題を解決するため、第1に、食品を過冷却状態にして保存する過冷却室と、当該過冷却室内に配置された食品貯蔵用の過冷却容器と、前記過冷却室内の温度を検出する温度センサと、前記過冷却室内に冷気を供給する冷気供給手段と、前記過冷却室内を加熱するヒータと、前記冷気供給手段及び前記ヒータの駆動を制御し、前記過冷却容器内に収納された食品を過冷却状態にする制御装置とを備え、前記制御装置は、前記過冷却室内の温度が0℃以上に設定された所定温度を超えた場合、当該所定温度と前記過冷却室の設定温度との間に1乃至複数の中間設定温度を設定し、前記過冷却室内の温度を前記所定温度から前記設定温度に至るまで多段階に過冷却制御するという構成にした。
実験によると、過冷却室の設定温度を基準として過冷却室内に収納された食品を0℃以上から過冷却室の設定温度まで冷却すると、冷却の途中で過冷却状態が解除されやすく、食品を過冷却状態にすることができない。これに対して、過冷却室の設定温度を高温側から低温側に多段階に設定して過冷却室の冷却を行うと、スムーズに冷蔵状態から過冷却状態に移行する。その理由は、現状では必ずしも明確ではないが、冷却速度が遅くなって準安定状態が維持しやすくなるためと推定される。
本発明は、第2に、前記第1の構成の冷蔵庫において、前記各中間設定温度間の温度差及び前記設定温度とこれに最も近い中間設定温度との間の温度差を0.5℃〜5℃とするという構成にした。
これにより、過冷却室内をスムーズに過冷却状態に移行できる。
本発明は、第3に、前記第1の構成の冷蔵庫において、前記所定温度から前記設定温度に至るまでの前記過冷却室の冷却速度を2℃〜0.5℃/時間とするという構成にした。
これにより、過冷却室内をスムーズに過冷却状態に移行できる。
本発明は、第4に、前記第1の構成の冷蔵庫において、前記制御装置は、前記過冷却室内の温度が前記設定温度に達した後、前記過冷却室内の温度変動が±0.5℃の範囲になるように前記過冷却室内の温度を過冷却制御するという構成にした。
これにより、過冷却室内の過冷却状態を安定に維持できる。
本発明は、第5に、前記第1〜第4の構成の冷蔵庫において、前記過冷却容器の内面底部に複数の凸部及び凹部を設けるという構成にした。
過冷却室内には過冷却容器が配置され、食品はこの過冷却容器内に収納されるので、過冷却室内に供給される冷気は過冷却容器の外面に沿って流れ、過冷却容器内に収納された食品には直接冷気が当たらない。かかる間接冷却方式をとることによって、過冷却容器内の食品の緩やかかつ安定な冷却が可能となり、過冷却容器内の食品の過冷却状態が維持される。過冷却容器の内面底部に複数の凹凸を設けると、食品が凸部の先端でのみ支えられるので、過冷却容器の底部の温度変化の影響をより受けにくくなり、より一層過冷却容器内の食品の過冷却状態を維持しやすくなる。
本発明は、第6に、前記第5の構成の冷蔵庫において、前記過冷却容器の内面底部の投影面積に占める1つ当たりの前記凸部先端の表面積の割合が40%以下であるという構成にした。
食品を過冷却状態で安定に保存するためには、過冷却容器の内面底部に凹凸が形成されており、過冷却容器内に収納された食品が2点以上で支持されていれば効果があり、凹凸の大きさ(過冷却容器の内面底部の投影面積に占める1つ当たりの凸部先端の表面積の割合)については、特定の値に臨界的な意義を有しない。実験によると、1つの凸部先端の表面積が占める割合を40%とした場合、即ち、過冷却容器の内面底部に2つの大きな凸部を設けた場合でも、食品を過冷却状態で安定に保存できた。
本発明は、第7に、前記第5又は第6の構成の冷蔵庫において、前記過冷却容器の内面底部の投影面積に占める前記凸部先端の表面積の総和の割合が80%以下であるという構成にした。
実験によると、凸部先端の表面積の総和が占める割合を80%とした場合にも、食品を過冷却状態で安定に保存できた。
本発明によると、過冷却室内の温度が0℃以上に設定された所定温度を超えた場合、制御装置は当該所定温度と過冷却室の設定温度との間に1乃至複数の中間設定温度を設定し、過冷却室内の温度を所定温度から設定温度に至るまで多段階に過冷却制御するので、過冷却室内の食品をスムーズに冷蔵状態から過冷却状態に移行させることができる。よって、冷却の過程で過冷却状態が解除されるといった不都合を生じにくく、過冷却室を備えた冷蔵庫の実用性を高めることができる。
以下、本発明に係る冷蔵庫の一例を図1乃至図10を用いて説明する。図1は実施形態に係る冷蔵庫の扉を省略した正面図、図2は実施形態に係る冷蔵庫の側面図、図3は図1のA−A断面図、図4は図1のB−B断面図、図5は過冷却室扉を引き出した状態の実施形態に係る冷蔵庫の一部斜視図、図6は過冷却容器内における食品の収納状態を示す実施形態に係る冷蔵庫の要部断面図、図7は過冷却室を多段階で温度制御した場合と1段で温度制御した場合の食品温度の変化の相違を示すグラフ図、図8は過冷却室の内面底部に凹凸を設けた場合と設けなかった場合の食品温度の変化の相違を示すグラフ図、図9は過冷却運転の制御ブロック図、図10は過冷却運転の制御フロー図である。
まず、実施形態に係る冷蔵庫に形成される各室の構成について説明する。
図1に示すように、本例の冷蔵庫は、冷蔵庫本体1の最上段に冷蔵室2が区画されると共に、最下段に野菜室6が区画されている。これらの冷蔵室2及び野菜室6は、いずれも冷蔵温度帯の貯蔵室である。
冷蔵室2と野菜室6との間には、これらの両室と断熱的に仕切られた製氷室3、過冷却室4及び冷凍室5が配設されている。これらの各室は、いずれも0℃以下の冷凍温度帯の貯蔵室である。
最上段の冷蔵室2は、回転式の冷蔵室扉7によって開閉される。この冷蔵室扉7は、観音開き式の両開き扉としても良いし、扉体を1枚のみ備えた片開き扉としても良い。これに対して、製氷室3、冷凍室5、野菜室6は、引き出し式の製氷室扉8、冷凍室扉10、野菜室扉11によってそれぞれ開閉され、扉の引き出しとともに各貯蔵室内に配置された容器が引き出される構造となっている。
製氷室3内には貯氷容器13が備えられ、貯水容器13の上方には図示しない製氷皿が配設されている。冷蔵室2内に配置された図示しない給水タンクから製氷皿へと給水された水は、製氷室3内で凍結する。製氷皿3内で凍結した氷は、製氷皿が捻られることによって離氷し、下側に置かれた貯氷容器13内に落下する。製氷室扉8を引き出すことで貯氷容器13が引き出され、氷を取り出すことができる。
過冷却室4は、食品を過冷却状態にして保存する貯蔵室であり、内部に過冷却容器12とその上部開口を覆うカバー部材23とが備えられている。過冷却容器12は、引き出し式の過冷却扉9によって開閉される構造としても良いし、回転式の過冷却扉9によって開閉される構成としても良い。過冷却室4の底面には、過冷却室4を適宜昇温し、過冷却室4内の冷却速度を調整するためのヒータ26が備えられる。このヒータ26は、過冷却容器12の下方投影面に設けられており、本実施例では、過冷却容器12の底面とほぼ同程度の面積のヒータとしている。ヒータ各部のヒータ線密度は、過冷却室4内の温度分布を均一にするため、冷気の流れの上流側では密に、下流側では粗になるように適宜調整することが好ましい。
過冷却室4は、過冷却状態を維持するための温度帯が他の冷凍温度帯の室と異なるため、製氷室3及び冷凍室5との間、及び冷蔵室2との間を断熱壁で仕切り、独立した貯蔵室としている。過冷却室4の壁面には、過冷却室4内の温度を検出するための温度センサ4aが備えられる。なお、過冷却室4は、食品を過冷却状態でのみ保存する過冷却専用の室とすることもできるし、冷凍室や氷温室などと兼用の室とすることもできる。過冷却室4を兼用の室とする場合には、図2に示すように、例えば冷蔵室扉7の前面などの使用者が操作しやすい位置に、過冷却室4内の冷却モードを過冷却モード、冷凍モード又は氷温モードなどに切り換えるためのモード切換部41が設けられる。このモード切換部41は、庫内の所定の位置に設けることもできる。
過冷却容器12の内面底部には、図5及び図6に示すように、食品Aを点状又は線状の凸部先端で支えるための複数の凹凸27が形成される。過冷却容器12の内面底部の投影面積に占める1つ当たりの凸部先端31の表面積の割合が40%以下とすることができる。また、過冷却容器12の内面底部の全面積に占める凸部先端31の表面積の総和の割合は、80%以下とすることができる。食品を過冷却状態で安定に保存するためには、過冷却容器12の内面底部に凹凸が形成されていれば足り、凹凸の大きさについては、特定の値に臨界的な意義を有しないが、実験によると、1つの凸部先端31の表面積が占める割合を40%とした場合、及び、過冷却容器12の内面底部の投影面積に占める凸部先端31の表面積の総和の割合が80%以下である場合にも、食品を過冷却状態で安定に保存できた。これについては、実験例の欄でより詳細に説明する。
冷凍室5内には冷凍室容器14〜16が備えられている。冷凍室扉10を引き出すと、これら容器14〜16の全部又は一部が冷凍室扉10とともに引き出され、食品の収納又は取り出しが可能となる。なお、本例の冷蔵庫においては、冷凍室5内に下段から最も深い冷凍室容器14、中くらいの深さの冷凍室容器15、及び最も浅い冷凍室容器16が3段に配置されており、多様な収納形態の実情に合わせて、食品収納の整理がしやすいものとしている。
図3及び図4に示すように、これら冷凍温度帯の貯蔵室3,4,5の後方には冷却器室17が配設されており、この冷却室17内には、冷気供給手段である蒸発器18と送風ファン20とダンパー装置19,25が備えられている。ダンパー装置19,25は、冷気の流路を開閉するバッフルと当該バッフルを開閉駆動するモータとから構成されており、モータの駆動を制御することでバッフルの開度を調整するようになっている。
野菜室6内にも複数の野菜室容器6a,6bが備えられており、野菜室扉11を引き出すと、野菜室容器6a,6bが引き出される構造となっている。この野菜室6の後方には、蒸発器18とともに冷凍サイクルを構成する圧縮機21が配設される。
冷蔵庫本体1の背面には、図2に示すように、温度センサ4aの出力信号を入力して、ダンパー装置19,25、送風ファン20、圧縮機21及びヒータ26の駆動信号を出力する制御装置40が備えられる。制御装置40には、0℃以上の所定温度と過冷却室4の設定温度とが予め記憶されている。そして、制御装置40は、例えば過冷却室扉9が開けられて過冷却容器12内に食品Aが収納された結果、過冷却室4内の温度が0℃以上の所定温度(例えば+1℃)を超えた場合、当該所定温度と過冷却室4の設定温度(例えば−3℃)との間に1乃至複数の中間設定温度を設定し、過冷却室4内の温度を所定温度から設定温度に至るまで多段階に過冷却制御する。各中間設定温度間の温度差及び設定温度とこれに最も近い中間設定温度との間の温度差は、0.5℃〜5℃とすることが望ましい。また、所定温度から設定温度に至るまでの過冷却室4の冷却速度は、2℃〜0.5℃/時間とすることが望ましい。さらに、設定温度に達した後の過冷却室4内の温度変動は、±0.5℃の範囲となるように制御することが望ましい。このように、過冷却室4内の温度を多段階に過冷却制御すると、過冷却室4内の温度変化が緩やかに行われるので、過冷却室4内に収納された食品Aをスムーズに過冷却状態に移行できる。
次に、図3及び図4を用いて冷凍温度帯の貯蔵室(製氷室3、過冷却室4、冷凍室5)を冷却する冷気の流れについて説明する。
蒸発器18によって冷却された冷気は、送風ファン20によって冷蔵室2、製氷室3、過冷却室4、冷凍室5、野菜室6の各貯蔵室へと送られる。送風ファン20によって送られる冷気の一部は、開閉可能なダンバー装置19を介して冷蔵室2及び野菜室6の冷蔵温度帯の貯蔵室へと送られ、他の一部が製氷室3及び冷凍室5の冷凍温度帯の貯蔵室へと送られる。ダンバー装置19の開閉は制御装置40によって制御され、冷蔵温度帯の貯蔵室への冷気の供給が必要な場合には開状態となる。過冷却室4への冷気の供給については後述する。蒸発器18から送風ファン20によって製氷室3へ送られる冷気は図示しない製氷皿内に貯められた水を冷却して製氷を行う。
製氷室3を通過した冷気は、下方の冷凍室5へと送られる。また、冷凍室5の背面に位置する仕切部材22には冷気吐出口が設けられ、送風ファン20からの冷気が冷気吐出口から冷凍室5内へと吐出される。冷凍室5へ送られ、冷凍室5内を冷却した冷気は、図示しない冷気戻り通路から冷却器室17へと戻される。なお、仕切部材22は冷凍室5と冷却器室17との間を仕切り、冷凍室5の背面を構成している。蒸発器18から送風ファン20によって冷蔵室2や野菜室6へと送られる冷気は、冷蔵室2及び野菜室6を冷却後、図示しない冷気戻り通路から冷却器室17へと戻される。このように、本実施例の冷蔵庫は冷気の循環構造を有しており、各貯蔵室を適切な温度に維持する。
次に、図3を用いて過冷却室4における冷気の流れについて説明する。過冷却室4の背面を構成する部材には、カバー部材23の設定位置よりも上側に冷気吐出口24が設けられており、蒸発器18からの冷気がこの冷気吐出口24を通って過冷却室4内に吐出される。また、冷気吐出口24よりも上流側には、過冷却室4への冷気の流れを制御するためのダンバー装置25が設けられており、このダンバー装置25を開閉することによって過冷却室4への冷気供給量が制御される。このダンバー装置25の開閉は制御装置40によって制御される。
前述のとおり、過冷却室4内には過冷却容器12及びカバー部材23が配置されており、カバー部材23の設定位置よりも上側に冷気吐出口24及びダンバー装置25が配置されているので、過冷却室4内に流入した冷気は過冷却容器12の貯蔵空間22内に直接流入せず、カバー部材23の上方を通って前方に導かれ、過冷却容器12の側面及び前面に沿って下方へと流れる。そして、過冷却容器12の周囲を冷却しながら過冷却室4の背面を構成する部材に開口された冷気吐出口24を通って冷却器室17へと戻される。
このように、本例の冷蔵庫においては、過冷却容器12の貯蔵空間22内に直接冷気を流入させず、過冷却容器12及びカバー部材23の外面に沿って冷気を流通させるので、過冷却容器12内に収納された食品Aは、過冷却容器12及びカバー部材23を介して冷凍温度帯まで間接冷却される。これにより、食品全体が均一に冷却され、収納された食品を過冷却状態にして保存することができる。
以下、過冷却室4を過冷却運転する制御ブロックと制御装置40により実行される過冷却運転の制御フローを、図9及び図10により説明する。
制御ブロックは、図9に示すように、制御装置40と、当該制御センサ40に接続された温度センサ4a、モード切換部41、ダンパー装置25及びヒータ26とからなる。制御装置40は、温度センサ4aの検出温度とモード切換部41の操作状態を入力し、モード切換部41が「過冷却運転」に切り換えられている場合、温度センサ4aの検出温度と予め記憶された過冷却室4の設定温度又は中間設定温度と比較して、過冷却室4内に収納された食品がスムーズに過冷却状態に移行するようにダンパー装置25及びヒータ26への通電を制御する。
即ち、制御装置40は、過冷却室4の設定温度又は中間設定温度に比べて温度センサ4aの検出温度が低い場合には、ダンパー装置25の開度を小さくするか完全に閉じることで過冷却室4内への冷気の流入量を制限し、過冷却室4内の冷却速度を抑制する。また、過冷却室4の設定温度又は中間設定温度に比べて温度センサ4aの検出温度が過剰に低くなり過ぎた場合には、ヒータ25への通電を行い、過冷却室4内の昇温を行う。反対に、過冷却室4の設定温度又は中間設定温度に比べて温度センサ4aの検出温度が高い場合には、ダンパー装置25の開度を大きくして、過冷却室4内への冷気の流入量を増加し、過冷却室4内の冷却を促進する。なお、制御装置40には、前記の各装置4a,41,25,26に加えて、送風ファン20、圧縮機21及び図示しない霜取りヒータなどを接続し、これら各装置の稼働状態を監視しながらダンパー装置25の開度制御やヒータ26への通電制御を行うこともできる。
制御装置40は、図10に示す手順で、過冷却室4の過冷却運転を行う。即ち、冷蔵庫にモード切換部41が設けられている場合において、当該モード切換部41が「過冷却運転」に切り換えられると、制御フローがスタートし、ステップS101で、温度センサ4aの検出温度が+1℃(いわゆる氷温)よりも高いか否かを判定する。このステップS101の判定により、それまでの過冷却室4の運転状態が過冷却モードOFFの状態又は氷温モードであったか(温度センサ4aの検出温度が+1℃よりも高い場合)、冷凍モードであったか(温度センサ4aの検出温度が+1℃よりも低い場合)を知ることができる。ステップS101で、温度センサ4aの検出温度が氷温よりも高いと判定した場合には、ステップS102に移行し、制御装置40内に備えられたタイマーを起動して所定時間の経時を行う。次いで、所定時間の経過後、ステップS103に移行し、今回の検出温度が前回の検出温度よりも低下しているか否かを判定する。このステップS103の判定により、過冷却容器12に収納された食品が既に凍結しているか(今回の検出温度が前回の検出温度よりも低下している場合)、凍結していないか(今回の検出温度が前回の検出温度よりも低下していない場合)を知ることができる。
ステップS103で、今回の検出温度が前回の検出温度よりも低下していないと判定した場合には、この状態から直ちに過冷却運転を行うことが可能であるので、ステップS104に移行して過冷却室4内の設定温度を+1℃に設定し、温度センサ4aの検出温度が+1℃に達するまで、過冷却室4内への冷気の供給とステップS105の温度判定とを繰り返す。ステップS105で、温度センサ4aの検出温度が+1℃に達したと判定した場合には、ステップS106に移行して過冷却室4内の設定温度を−1℃に設定し、温度センサ4aの検出温度が0℃に達するまで、過冷却室4内への冷気の供給とステップS107の温度判定とを繰り返す。ステップS107で、温度センサ4aの検出温度が0℃に達したと判定した場合には、ステップS108に移行して過冷却室4内の設定温度を再度−1℃に設定し、ステップS109で温度センサ4aの検出温度が0℃よりも高温であるか、0℃〜−1℃の範囲内にあるか、−1℃に達したかを判定し、−1℃に達していない場合には、−1℃に達するまで、過冷却室4内への冷気の供給とステップS109の温度判定とを繰り返す。ステップS109で、温度センサ4aの検出温度が−1℃に達したと判定した場合には、ステップS110に移行して過冷却室4内の設定温度を−3℃に設定し、温度センサ4aの検出温度が−1℃〜−3℃に維持されるように、過冷却室4内への冷気の供給とステップS109の温度判定とを繰り返す。これにより、過冷却室4内の食品を円滑に−1℃〜−3℃の過冷却状態に移行することができ、かつ、−1℃〜−3℃の過冷却状態のまま長時間食品を保存することができる。
ステップS101で、温度センサ4aの検出温度が+1℃よりも低いと判定した場合には、モード切換部41が過冷却運転に切り換えられるまでの過冷却室4の運転状態が冷凍モードであったということであるので、ステップS112に移行して、温度センサ4aの検出温度が+1℃よりも高くなるまでダンパー装置25の閉鎖又はヒータ26への通電若しくはその両方を行い、温度センサ4aの検出温度が+1℃を超えた後に、ステップS104に移行する(ステップS113)。また、ステップS109及びステップS111において、温度センサ4aの検出温度が0℃よりも高いと判定した場合は、過冷却運転の途中で何らかの理由により食品の過冷却状態が解除されたということであるので、ステップS112に移行して、温度センサ4aの検出温度が+1℃を超えるまで一旦過冷却室4を昇温し、しかる後にステップS104に戻る。
以下、本発明に係る冷蔵庫を用いた過冷却実験の一例を挙げ、図7及び図8を用いて本発明に係る冷蔵庫の効果を明らかにする。
図7(a)は所定温度を+1℃、設定温度を−3℃、中間設定温度を−1℃に設定して過冷却室4を3段階に温度制御した場合の食品温度の変化を示しており、図7(b)は制御装置40に所定温度及び中間設定温度を設定せず、過冷却室4を設定温度まで1段で温度制御した場合の食品温度の変化を示している。なお、食品Aとしては、生マグロのサクを用いた。この図から明らかなように、過冷却室4を1段で温度制御した場合には、食品温度が0℃に達した段階で過冷却状態が解除され食品Aが冷凍状態になるのに対して、過冷却室4を3段階に温度制御した場合には、約16時間経過後に食品Aが−3℃の過冷却状態に移行した。これは、過冷却室4を1段で温度制御した場合には、過冷却室4内の温度低下が急激に行われるため、食品温度が0℃に達した段階で食品Aが部分的に冷凍状態になりやすく、準安定状態である過冷却状態が解除されやすいのに対して、過冷却室4を多段階に温度制御すると、過冷却室4内の温度低下が緩やかになる結果、スムーズに過冷却状態に移行するためであると推定される。
この実験結果は、所定温度及び設定温度を変更した場合も同様であった。また、各中間設定温度間の温度差及び設定温度とこれに最も近い中間設定温度との間の温度差を0.5℃〜5℃の範囲で変更した場合、並びに過冷却室4の冷却速度を2℃〜0.5℃/時間の範囲で変更した場合にも、同様の実験結果が得られた。さらには、設定温度に達した後の過冷却室4内の温度変動を±0.5℃とすることにより、安定な過冷却状態を連続的に維持できた。
図8(a)は過冷却容器12の内面底部に凹凸27を設けた場合の食品温度の変化を示しており、図8(b)は過冷却容器12の内面底部に凹凸を設けず、該部を平坦面にした場合の食品温度の変化を示している。食品Aとしては、前記実験例と同様に、生マグロのサクを用いた。この図から明らかなように、過冷却容器12の内面底部を平坦面にした場合には、食品Aが過冷却室4の設定温度より低下した段階で、過冷却状態が解除され食品Aが冷凍状態になるのに対して、過冷却容器12の内面底部に凹凸27を設けた場合には、約15時間経過後に食品Aが−3℃の過冷却状態に移行した。これは、過冷却容器12の内面底部を平坦面にした場合には、食品Aが過冷却容器12の内面底部に密着するため、食品Aから冷気への熱伝導が良好で食品Aが急冷される結果、準安定状態である過冷却状態が解除されやすいのに対して、過冷却容器12の内面底部に凹凸27を設けた場合には、食品Aと過冷却容器12の内面底部との間に空気層が形成されるため、過冷却室4内の温度低下が緩やかになり、スムーズに過冷却状態に移行するためであると推定される。
凹凸27の形状及びサイズを変更して同様の実験を繰り返したところ、過冷却容器12の内面底部の投影面積に占める1つ当たりの凸部先端31の表面積の割合を40%以下とした場合、及び、過冷却容器12の内面底部の全面積に占める凸部先端31の表面積の総和の割合を80%以下とした場合には、前記実験結果と同様の結果が得られた。
実施形態に係る冷蔵庫の扉を省略した正面図である。 実施形態に係る冷蔵庫の側面図である。 図1のA−A断面図である。 図1のB−B断面図である。 過冷却室扉を引き出した状態の実施形態に係る冷蔵庫の一部斜視図である。 過冷却容器内における食品の収納状態を示す実施形態に係る冷蔵庫の要部断面図である。 過冷却室を多段階で温度制御した場合と1段で温度制御した場合の食品温度の変化の相違を示すグラフ図である。 過冷却室の内面底部に凹凸を設けた場合と設けなかった場合の食品温度の変化の相違を示すグラフ図である。 実施形態に係る冷蔵庫における過冷却運転の制御ブロック図である。 実施形態に係る冷蔵庫における過冷却運転の制御フロー図である。
符号の説明
1 冷蔵庫本体
4 過冷却室
4a 温度センサ
9 過冷却室扉
12 過冷却容器
17 冷却器室
18 蒸発器
19 ダンパー装置
20 送風ファン
21 圧縮機
27 凹凸
40 制御装置

Claims (7)

  1. 食品を過冷却状態にして保存する過冷却室と、当該過冷却室内に配置された食品貯蔵用の過冷却容器と、前記過冷却室内の温度を検出する温度センサと、前記過冷却室内に冷気を供給する冷気供給手段と、前記過冷却室内を加熱するヒータと、前記冷気供給手段及び前記ヒータの駆動を制御し、前記過冷却容器内に収納された食品を過冷却状態にする制御装置とを備え、前記制御装置は、前記過冷却室内の温度が0℃以上に設定された所定温度を超えた場合、当該所定温度と前記過冷却室の設定温度との間に1乃至複数の中間設定温度を設定し、前記過冷却室内の温度を前記所定温度から前記設定温度に至るまで多段階に過冷却制御することを特徴とする冷蔵庫。
  2. 前記各中間設定温度間の温度差及び前記設定温度とこれに最も近い中間設定温度との間の温度差を0.5℃〜5℃としたことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
  3. 前記所定温度から前記設定温度に至るまでの前記過冷却室の冷却速度を2℃〜0.5℃/時間としたことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
  4. 前記制御装置は、前記過冷却室内の温度が前記設定温度に達した後、前記過冷却室内の温度変動が±0.5℃の範囲になるように前記過冷却室内の温度を過冷却制御することを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
  5. 前記過冷却容器の内面底部に複数の凸部及び凹部を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
  6. 前記過冷却容器の内面底部の投影面積に占める1つ当たりの前記凸部先端の表面積の割合が40%以下であることを特徴とする請求項5に記載の冷蔵庫。
  7. 前記過冷却容器の内面底部の投影面積に占める前記凸部先端の表面積の総和の割合が80%以下であることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の冷蔵庫。
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