JP2009220706A - 異電源並列接続点通過電流算出方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、AT交流き電方式による交流電気鉄道の電源A及びB間の切替セクションで、両トロリ線と絶縁された中間セクションに対し、電源Aのトロリ・中間セクション間の第1切替開閉器と、電源Bのトロリ・中間セクション間の第2切替開閉器とを並列投入した際、第1及び第2切替開閉器を流れる並列接続点通過電流を検出する。これは、第1及び第2切替開閉器近傍で、レールを中性点としたき電線・トロリ線間に設けられた単巻変圧器の外線側に設けた交流電流センサで測定する測定部と、これにより得られた電源A及び電源B側の各電流値を算術演算することで、並列接続点通過電流値を得る並列接続点通過電流算出部とにより行うことができる。
【選択図】図1
Description
図5は、電気鉄道におけるき電区分所の切替セクションについて説明するための図である。また、図5(B)、(C)、(D)は、切替セクションにおける開閉器動作について説明するための図である。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的は、電気鉄道における切替セクションにおいて、2つの切替開閉器の並列投入により異なる2つの電源を並列接続する際に、新たにCTを設けることなく、すでに設けられている既設のCTにより、切替開閉器に流れる並列接続点通過電流の電流値を検出する異電源並列接続点通過電流算出装置及び方法を提供することにある。
本実施形態の異電源並列接続点通過電流算出装置200は、検出部201、並列接続点通過電流算出部202及び異常電流検出部203を有している。
上記異電源並列接続点通過電流算出装置200の各部の動作を明確とするため、並列接続点通過電流を測定する対象のAT交流き電方式を用いた交流電気鉄道のき電回路の説明を行う。また、以下の実施形態の説明において、下り線における異電源接続時における並列接続点通過電流の推定を例にとり、後述する算術式を用いて行うが、この算術式は上り線における異電源接続においても同様に用いることができ、上り線及び下り線の双方における異電源接続に対応できる。
変電所Aにおいて、電源の一端(正極側)にはトロリ線101が接続され、このトロリ線101が上り線のトロリ線101Uと下り線のトロリ線101Dとに分岐されている。
また、変電所Aにおいて、電源の他端(負極側)にはき電線102が接続され、このき電線102が上り線のき電線102Uと下り線のき電線102Dとに分岐されている。
また、変電所Bにおいて、電源の他端(負極側)にはき電線104が接続され、このき電線104が上りのき電線104Uと下り線のき電線104Dとに分岐されている。
下り線において、トロリ線101Dとトロリ線100Dとの間には、変電所Aと変電所Bとの間にあるき電区分所における切替セクションとして、切替開閉器111及び113が中間セクションを挟んで直列に接続されて介挿されている。
同様に、上り線において、トロリ線101Uとトロリ線100Uとの間には、変電所Aと変電所Bとの間にあるき電区分所における切替セクションとして、切替開閉器112及び114が中間セクションを挟んで直列に接続されて介挿されている。
単巻変圧器12は、巻線12T及び12Fから構成され、例えば、一端(巻線12T側)が上り線のトロリ線101Uに接続され、他端(巻線12F側)が上り線のき電線102Uに接続され、すなわちトロリ線101U及びき電線102U間に介挿され、中点(巻線12T及び12Fの接続点)が上り線のレール120Uに接続され、レール120Uに流れる電流をき電線102Uへ吸い上げ、これによりトロリ線101U側へレール120Uから電流が誘起される。
単巻変圧器14は、巻線14T及び14Fから構成され、例えば、一端(巻線14T側)が上り線のトロリ線100Uに接続され、他端(巻線14F側)が上り線のき電線104Uに接続され、すなわちトロリ線100U及びき電線104U間に介挿され、中点(巻線14T及び14Fの接続点)が上り線のレール120Uに接続され、レール120Uに流れる電流をき電線104Uへ吸い上げ、これによりトロリ線100U側へレール120Uから電流が誘起される。
交流電流センサCT11Fは、上記巻線11Fの外線側に配設されており、巻線11Fに流れる電流、すなわちレール120Dからき電線102Dに流れる吸い上げ電流を測定する。
交流電流センサCT12Tは、上記巻線12Tの外線側に配設されており、巻線12Tに流れる電流、すなわちレール120Uからトロリ線101Uに流れる吸い上げ電流を測定する。
交流電流センサCT12Fは、上記巻線12Fの外線側に配設されており、巻線12Fに流れる電流、すなわちレール120Uからき電線102Uに流れる吸い上げ電流を測定する。
交流電流センサCT13Fは、上記巻線13Fの外線側に配設されており、巻線13Fに流れる電流、すなわちレール120Dからき電線104Dに流れる吸い上げ電流を測定する。
交流電流センサCT14Tは、上記巻線14Tの外線側に配設されており、巻線14Tに流れる電流、すなわちレール120Uからトロリ線100Uに流れる吸い上げ電流を測定する。
交流電流センサCT14Fは、上記巻線14Fの外線側に配設されており、巻線14Fに流れる電流、すなわちレール120Uからき電線104Uに流れる吸い上げ電流を測定する。
上述の各巻線の外線側に配設とは、単巻変圧器の巻線と、き電線及びトロリ線とを接続する配線(外線)において単巻変圧器の近傍に配設されていることを示している。
並列接続点通過電流算出部202は、上述したように、周期的あるいは制御指示が入力されると、外部より電車が中間セクションに存在する情報が入力されているか否かにより、後述する対応する各式を選択し、検出部201から入力される各交流電流センサの電流値を用いて、切替開閉器111及び113と、切替開閉器112及び114とのいずれか一方、あるいは双方を介して流れる、すなわち異電源間に流れる並列接続点通過電流の算出を行う。ここで、並列接続点通過電流算出部202は、切替セクションに負荷が存在しない場合、後述する(1)式〜(5)式のいずれかを選択し、一方、切替セクションに負荷が存在する場合、(6)式〜(9)式のいずれかを選択して、並列接続点通過電流の算出を行う。
上記タイは、各巻線において、配置された交流電流センサCTと、単巻変圧器の巻線との間に設けられている。
回路実験結果から、図3に示すように、下り線において、トロリ線及びレール間に負荷が有り、タイが存在しない場合には、異電源並列時には通過電流の1つであるISWL1−1=ISWSS1により各巻線11T及び11Fに流れる電流がほぼ同一である。同様のケースにおいて通過電流の1つであるISWL3−1=ISWSS2により、各巻線13T及び13Fに流れる電流の電流値がほぼ同一である。また、下り線の場合に加えて上り線での異電源並列時も考慮すると、ISWL1−1は各巻線11T及び11Fに流れる電流の電流値と、巻線12T及び12Fに流れる電流の電流値とを合成すると得られる。同様に、ISWL3−1=ISWSS2についても13T、13F、14T、14Fに流れる電流を合成する事で上下線どちらにおいて異電源並列を行った場合でもISWL3−1=ISWSS2は得られる。
また、巻線13Tに流れる電流は、巻線13F、14T、14Fに流れる各電流値を合成したものとほぼ等しい。ここで、巻線13F、14T、14Fに流れる電流の電流値はほぼ等しい。すなわち、巻線13F、14T、14Fに流れる電流の電流値は巻線13Tに流れる電流の電流値のほぼ1/3である。
このため、切替開閉器に対して一方の電源A側の単巻変圧器11の巻線11F及び単巻変圧器12の巻線12Fの組合せ((6)式)、あるいは切替開閉器に対して一方の電源B側の単巻変圧器13の巻線13F及び巻線14Fの組合せ((7)式)などが生成されている。図4ではISWL1−2=ISWSS1、ISWL3−2=ISWSS2である。
上述したように、(1)式〜(9)式の算術式は、実測及び模擬回路実験において、上り線及び下り線のいずれの並列接続点に流れる電流にも一致する電流値となる、各単巻変圧器に対応する交流電流センサCTの測定電流の合成の組み合わせを示している。
異常電流検出部203は、上記並列接続点通過電流算出部202の算出する並列接続点通過電流が予め設定した閾値電流を超えた場合、異常な電流が流れているとして事故などの判定結果として出力する。
以下、各状態に対応した並列接続点通過電流ISWO、ISWSS1、ISWSS2の算出について説明する。
図1のき電回路において、SS(またはSP)において、下り線のトロリ線101Dとトロリ線100Dとの間に設けられた切替開閉器111及び113双方がオン状態(投入状態)となり、変電所A及び変電所Bそれぞれの異電源が接続状態となった際、トロリ線101Dあるいは100Dと、レール120D間に電車が存在しない(すなわち、中間セクションに電車が存在しない)無負荷である場合、検出部201は交流電流センサCT11F及びCT12Fそれぞれの測定した電流値ICT11FO及びICT12FOを検出し、検出された電流値ICT11FO及びICT12FOを、並列接続点通過電流算出部202へ出力する。
ここで、電流値ICT11FOは、無負荷において、異電源並列接続された際に交流電流センサCT11Fに流れる電流である。
また、電流値ICT12FOは、無負荷において、異電源並列接続された際に交流電流センサCT12Fに流れる電流である。
図2のき電回路において、SS(またはSP)において、下り線のトロリ線101Dとトロリ線100Dとの間に設けられた切替開閉器111及び113双方がオン状態となり、変電所A及び変電所Bそれぞれの異電源が接続状態となった際、トロリ線101Dあるいは100Dと、レール120D間に電車が存在しない(すなわち、中間セクションに電車が存在しない)無負荷である場合、検出部201は交流電流センサCT11F、CT12F、CT11T、CT12Tそれぞれの測定した電流値ICT11FO、ICT11TO、ICT12FO及びICT12TOを検出し、検出された電流値ICT11FO、ICT11TO、ICT12FO及びICT12TOを、並列接続点通過電流算出部202へ出力する。
ここで、電流値ICT11TOは、無負荷において、異電源並列接続された際に交流電流センサCT11Tに流れる電流である。
また、電流値ICT12TOは、無負荷において、異電源並列接続された際に交流電流センサCT12Tに流れる電流である。
後述する(1)、(2)、(3)、(4)及び(5)式は、SPにおける異電源並列接続が上り線及び下り線のいずれにおいて為されたとしても、上下線のトロリ線及び上下線のき電線のタイの有無に関係なく用いることができる。
ここで、検出部201は交流電流センサCT11F及びCT12Fそれぞれの測定した電流値ICT11FO及びICT12FOを検出し、検出された電流値ICT11FO及びICT12FOを、並列接続点通過電流算出部202へ出力する。
ここで、電流値ICT13FOは、無負荷において、異電源並列接続された際に交流電流センサCT13Fに流れる電流である。
また、電流値ICT14FOは、無負荷において、異電源並列接続された際に交流電流センサCT14Fに流れる電流である。
並列接続点通過電流算出部202は、入力された電流値ICT13FO及びICT14FOにより、下記(2)式により、並列接続点通過電流ISWO1を算出する。
並列接続点通過電流算出部202は、入力された電流値ICT11FO、ICT12FO、ICT13FO及びICT14FOにより、下記(3)式により、並列接続点通過電流ISWO1を算出する。
(2)式における−/+は、電流の極性を示しており、変電所Aから変電所Bに対して流れる並列接続点通過電流ISWO1を正(+)とした時に、「−」とし、係数「2」が乗じられているのはセンサ2つから算出されているため、(3)式と電流値を合わせるためである。
(3)式における+/−は、電流の極性を示しており、変電所Aから変電所Bに対して流れる並列接続点通過電流ISWO1を正(+)とした時に、ICT11FO、ICT12FOは+、ICT13FO、ICT14FOは−として、電流の流れる方向と極性を合わせて算術演算している。これにより極性は加味される。
(1)〜(3)式を用いる場合、並列接続点通過電流算出部202は、各交流電流センサCT11F及びCT12F、CT13F及びCT14Fが出力する各電流値の極性を加味して算術演算する、並列接続点通過電流ISWO1を算出している。
ここでISWO1=ISWO2=ISWOである。
ここで、電流値ICT13TOは、無負荷において、異電源並列接続された際に交流電流センサCT13Tに流れる電流である。
また、電流値ICT14TOは、無負荷において、異電源並列接続された際に交流電流センサCT14Tに流れる電流である。
そして、並列接続点通過電流算出部202は、入力された電流値ICT13FO、ICT14FO、ICT13TO及びICT14TOにより、下記(5)式により、並列接続点通過電流ISWO2を算出する。ここで、(4)式及び(5)式を組み合わせた算術式により表すことができる式を用いることができる。つまり、それぞれいずれの交流電流センサCTを用いるかにより、算術式を変更して用いても良い。
(5)式における−/+は、算出される電流の極性を示しており、変電所Aから変電所Bに対して流れる並列接続点通過電流ISWO2を正(+)とした時に、「−」としている。
図2において、電流I102は、交流電流センサCTを介さずに、直接に切替開閉器111及び113を流れる電流である。
また、図2における電流I202は、交流電流センサCT12T及びトロリ線タイ101Tを介して直接に切替開閉器111及び113を流れる電流である。
図2における電流IJ202は「単巻変圧器12の巻線12T」→「トロリ線タイ101T」→「トロリ線101D」→「切替開閉器111」→「切替開閉器113」→「トロリ線100D」→「トロリ線タイ100T」→「単巻変圧器14の巻線14T」→「レール120U」の経路を流れる循環電流である。
ここで、無負荷時における並列接続点通過電流を、各交流電流センサCTにて測定した電流値から(1)式〜(5)式のいずれかから算出した結果と、実際に測定した結果とを比較して、ほぼ等しいことが観測されている。
図1及び図2における無負荷時の下り線における異電源並列接続時においては上下線のタイ無し及びタイ有りの場合、切替セクション(切替開閉器111及び113)に、並列接続点通過電流が流れている。
したがって、切替セクションを流れる各電流の経路にある交流電流センサの測定した電流値を、(1)式から(5)式のように算術することにより、切替セクションを流れる並列接続点通過電流として算出することができる。
図3は、図1と同様な構成であるが、切替開閉器111及び113間の中間セクションと、レール120Dとの間に電車200が存在する(すなわち、中間セクションに電車が存在する)場合を示している。
また、図4は図3と同様の構成であり、切替開閉器111及び113間のトロリ線と、レール120Dとの間に電車200が存在する場合を示しているが、き電線102D及び102U間にき電線タイ102T、き電線104D及び104U間にき電タイ104T、トロリ線101D及び101U間にトロリ線タイ101T、トロリ線100D及び100U間にトロリ線タイ100Tが設けられている。
切替開閉器111及び113間のトロリ線と、レール120Dとの間に負荷がある場合において、切替開閉器111に流れる並列接続点通過電流ISWSS1と、切替開閉器113に流れる並列接続点通過電流ISWSS2との算出を説明する。
後述する(6)、(7)、(8)及び(9)式は、SPにおける異電源並列接続が上り線及び下り線のいずれにおいて為されたとしても、上下線のトロリ線及び上下線のき電線のタイの有無に関係なく用いることができる。
また同様に、検出部201は交流電流センサCT13F及びCT14Fそれぞれの測定した電流値ICT13F及びICT14Fを検出し、検出された電流値ICT13F及びICT14Fを、並列接続点通過電流算出部202へ出力する。
この図3及び図4のき電回路において、電流値ICT12Fは、トロリ線及びレール間に負荷が存在する状態において、異電源並列接続された際に交流電流センサCT12Fに流れる電流である。
この図3及び図4のき電回路において、電流値ICT13Fは、トロリ線及びレール間に負荷が存在する状態において、異電源並列接続された際に交流電流センサCT13Fに流れる電流である。
この図3及び図4のき電回路において、電流値ICT14Fは、トロリ線及びレール間に負荷が存在する状態において、異電源並列接続された際に交流電流センサCT14Fに流れる電流である。
この図3及び図4のき電回路において、並列接続点通過電流ISWSS1または並列接続点通過電流ISWSS2は、横流(すなわち、切替開閉器111及び113間を通過する電流)を含む。また、ISWSS1、ISWSS2はそれぞれの電源元の変電所から、並列接続点に向かう方向を正(+)とした。
この場合、検出部201は交流電流センサCT11F、CT12F、CT13F、CT14F、CT11T、CT12T、CT13T及びCT14Tそれぞれの測定した電流値ICT11F、ICT12F、ICT13F、ICT14F、ICT11T、ICT12T、ICT13T及びICT14Tを検出し、検出された電流値ICT11F、ICT12F、ICT13F、ICT14F、ICT11T、ICT12T、ICT13T及びICT14Tを、並列接続点通過電流算出部202へ出力する。
図3及び図4のき電回路において、電流値ICT12Tは、トロリ線及びレール間に負荷が存在する状態において、異電源並列接続された際に交流電流センサCT12Tに流れる電流である。
図3及び図4のき電回路において、電流値ICT13Tは、トロリ線及びレール間に負荷が存在する状態において、異電源並列接続された際に交流電流センサCT13Tに流れる電流である。
図3及び図4のき電回路において、電流値ICT14Tは、トロリ線及びレール間に負荷が存在する状態において、異電源並列接続された際に交流電流センサCT14Tに流れる電流である。
ここで、図3及び図4において、横流、すなわち並列接続点通過電流ISWOが流れていない、負荷のみによる電流分布を示しているが、横流を加味した(含ませた)場合においては、負荷のみによる電流分布に横流のみの場合の電流分布を重ね合わせる形となる。従って、この時のISWSS1、ISWSS2は横流を含んだ値として得られる。
電流ISWL3−1は、下り線におけるトロリ線及びレール間に負荷が存在する状態において、下り線にて異電源を並列接続し、上下線のトロリ線間、及び上下線のき電線間にそれぞれトロリ線タイ、き電線タイが存在しない場合に、変電所B側から異電源接続点に対し、横流がない場合に流れ込む電流である(経路として、「変電所B」→「トロリ線100D」→「切替開閉器113」→「電車200」→「レール120D」→「単巻変圧器13の巻線13F」→「き電線104D」→「変電所B」)。
図3における電流I3L1は、下り線におけるトロリ線及びレール間に負荷が存在する状態において、上下線のトロリ線間、及び上下線のき電線間にそれぞれトロリ線タイ、き電線タイが存在しない場合、交流電流センサCTを介さずに直接に切替開閉器113に流れる電流である(横流がない場合)。
図3における電流IJ1L1は、トロリ線及びレール間に負荷が存在する状態において下り線にて異電源を並列接続した時、上下線のトロリ線間、及び上下線のき電線間にそれぞれトロリ線タイ、き電線タイが存在せず、かつ横流がない場合、「トロリ線101D」→「切替開閉器111」→「電車200」→「レール120D」→「単巻変圧器11の巻線11T」→「トロリ線101D」の経路を流れる循環電流である。
図3における電流IJ3L1は、トロリ線及びレール間に負荷が存在する状態において下り線にて異電源を並列接続した時、上下線のトロリ線間、及び上下線のき電線間にそれぞれトロリ線タイ、き電線タイが存在せず、かつ横流がない場合、「トロリ線100D」→「切替開閉器113」→「電車200」→「レール120D」→「単巻変圧器13の巻線13T」→「トロリ線100D」の経路を流れる循環電流である。
また、以上の事項は上り線においても同様に考えることができる。
電流ISWL3−2は、下り線におけるトロリ線及びレール間に負荷が存在する状態において、下り線にて異電源を並列接続状態とし、上下線のトロリ線間、及び下り線のき電線間にそれぞれトロリ線タイ、き電線タイが存在し、かつ横流がない場合に、変電所B側から異電源接続点に対し、流れ込む電流である(経路として、「変電所B」→「トロリ線100D」→「切替開閉器113」→「電車200」→「レール120D」→「単巻変圧器13の巻線13F」→「き電線104D」→「変電所B」と、「変電所B」→「トロリ線100D」→「切替開閉器113」→「電車200」→「レール120D」→「レール120U」→「単巻変圧器14の巻線14F」→「き電線104U」→「変電所B」との2系統)。
図4における電流I3L2は、下り線におけるトロリ線及びレール間に負荷が存在する状態において、下り線にて異電源を並列接続した時、上下線のトロリ線間、及び上下線のき電線間にそれぞれトロリ線タイ、き電線タイが存在する場合、交流電流センサCTを介さずに直接に切替開閉器113に流れる電流である(横流がない場合)。
図4における電流I2L2は、下り線におけるトロリ線及びレール間に負荷が存在する状態において、下り線にて異電源を並列接続した時、上下線のトロリ線間、及び上下線のき電線間にそれぞれトロリ線タイ、き電線タイが存在する場合、トロリ線タイを介して切替開閉器111に流れる電流である(横流がない場合)。
図4における電流I4L2は、下り線におけるトロリ線及びレール間に負荷が存在する状態において、下り線にて異電源を並列接続した時、上下線のトロリ線間、及び上下線のき電線間にそれぞれトロリ線タイ、き電線タイが存在する場合、トロリ線タイを介して切替開閉器113に流れる電流である(横流がない場合)。
図4における電流IJ2L2は、下り線におけるトロリ線及びレール間に負荷が存在する状態において、下り線にて異電源を並列接続した時、上下線のトロリ線間、及び上下線のき電線間にそれぞれトロリ線タイ、き電線タイが存在し、かつ横流がない場合、「トロリ線101D」→「切替開閉器111」→「電車200」→「レール120D」→「レール120U」→「単巻変圧器12の巻線12T」→「トロリ線タイ101T」→「トロリ線101D」の経路を流れる循環電流である。
図4における電流IJ4L2は、下り線におけるトロリ線及びレール間に負荷が存在する状態において、下り線にて異電源を並列接続した時、上下線のトロリ線間、及び上下線のき電線間にそれぞれトロリ線タイ、き電線タイが存在し、かつ横流がない場合、「トロリ線100D」→「切替開閉器113」→「電車200」→「レール120D」→「レール120U」→「単巻変圧器14の巻線14T」→「トロリ線タイ100T」→「トロリ線100D」の経路を流れる循環電流である。
また、以上の事項は上り線においても同様に考えることができる。
ここで、有負荷時における並列接続点通過電流を、各交流電流センサCTにて測定した電流値から(6)式〜(9)式のいずれかから算出した結果と、実際に測定した結果とを比較して、ほぼ等しいことが観測されている。
図3,図4におけるトロリ線及びレール間に負荷が存在する状態において、下り線にて異電源を並列接続した時、上下線のタイ無し及び上下タイ有の場合、切替セクション(切替開閉器111及び113)に、並列接続点通過電流が流れている。
したがって、上下線いずれの場合においても、異電源を並列接続した切替セクションを流れる各電流の経路にある既設の交流電流センサの測定した電流値を、(6)式から(9)式を用いて算術演算することにより、異電源を並列接続した切替セクションを流れる並列接続点通過電流として算出することができる。この算出された並列接続点通過電流は横流と負荷電流が加味されている(合成されている)。
電車200が存在する場合、切替開閉器111及び113双方がオン状態となり、異電源間並列接続時のき電電流分布及び、(6)式及び(7)式から、すなわち(6)式及び(7)式各々から得られる、切替開閉器111、113それぞれを通過する電流を重ね合わせることにより、横流を含めた電車200に流れる負荷電流ILOADを、以下に示す(10)式により求めることができる。
並列接続点通過電流算出部202は、検出部201から入力された電流値ICT11F、ICT12F、ICT13F及びICT14Fにより、下記(10)式により、異電源並列接続時の負荷電流ILOADを算出する。
すなわち、トロリ線及びレール間に電車200(負荷)が存在する場合、切替開閉器111及び113双方がオン状態となり、異電源間並列接続時のき電電流分布から、(10)式と同様に、(8)式及び(9)式から、すなわち(8)式及び(9)式各々から得られる、切替開閉器111、113それぞれを通過する電流を重ね合わせることにより、横流を含めた電車200に流れる負荷電流ILOADを、以下に示す(11)式により求めることができる。また、上り線における切替開閉器112及び114の双方がオン状態の場合にも、同様に(11)式を用いることができる。すなわち、上り線及び下り線いずれの異電源並列接続の場合にも、(11)式により、横流を含めた電車200に流れる負荷電流ILOADを算出することができる。
100,100D,100U,101,101D,101U…トロリ線
102,102D,102U,104,104D,104U…き電線
111,112,113,114…切替開閉器
120D,120U…レール
200…異電源並列接続点通過電流算出装置部
201…検出部
202…並列接続点通過電流算出部
203…異常電流検出部
A,B…変電所
CT11F、CT11T,CT12F,CT12T…交流電流センサ
CT13F、CT13T,CT14F,CT14T…交流電流センサ
Claims (11)
- AT交流き電方式を用いた交流電気鉄道のA変電所(ASS)の電源Aのトロリ線と、前記A変電所(ASS)とは異なるB変電所(BSS)の電源Bのトロリ線との間のき電区分所(SP)に設けられる切替セクションにおいて、トロリ線と絶縁して設けられた中間セクションに対し、前記電源Aのトロリ線と前記中間セクションとを接続又は開放するための第1の切替開閉器と、前記電源Bのトロリ線と前記中間セクションとを接続又は開放するための第2の切替開閉器とを並列投入した場合に流れる並列接続点通過電流を検出する異電源並列接続点通過電流算出装置であって、
前記第1及び第2の切替開閉器それぞれの近傍において、レールを中性点としてき電線及びトロリ線間に設置されている単巻変圧器(AT)により、レールからき電線に吸い上げられる電流とこれによりトロリ線側に誘起される電流の電流値を、前記単巻変圧器の外線側に設けられた既設の交流電流センサにより測定する測定部と、
前記A変電所側の単巻変圧器と前記B変電所側の単巻変圧器とに流れる電流の測定値を、算術式により演算し、前記並列接続点通過電流を求める並列接続点通過電流算出部と
を有することを特徴とする異電源並列接続点通過電流算出装置。 - 前記算術式が、前記並列接続点に流れる電流に一致する電流値となる、各単巻変圧器に対応する交流電流センサの測定電流の合成の組み合わせを示す演算式であることを特徴とする請求項1記載の異電源並列接続点通過電流算出装置。
- 前記第1及び第2の切替開閉器の間に負荷としての電車が存在しない場合、
前記並列接続点通過電流算出部が、前記A変電所側の単巻変圧器と前記B変電所側の単巻変圧器とに流れる電流値の極性を加味して算術演算する、前記並列接続点通過電流を求めることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の異電源並列接続点通過電流算出装置。 - 前記A変電所及びB変電所間における上り線と下り線とが存在し、かつ該上り線及び下り線各々のき電線を接続するき電線タイ、上り線及び下り線各々のトロリ線を接続するトロリ線タイが存在する場合、
前記並列接続点通過電流算出部が、前記上り線及び下り線それぞれのA変電所側の単巻変圧器と前記B変電所側の単巻変圧器とに流れる電流値の極性を加味して算術演算する、前記並列接続点通過電流を求めることを特徴とする請求項3記載の異電源並列接続点通過電流算出装置。 - 前記第1及び第2の切替開閉器の間に負荷としての電車が存在する場合、
前記並列接続点通過電流算出部が、前記A変電所側の単巻変圧器と前記B変電所側の単巻変圧器とに流れる電流値の極性を加味して算術演算する、前記並列接続点通過電流を求めることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の異電源並列接続点通過電流算出装置。 - 前記A変電所及びB変電所間における上り線と下り線とが存在し、かつ該上り線及び下り線各々のき電線を接続するき電線タイ、上り線及び下り線各々のトロリ線を接続するトロリ線タイが存在する場合、
前記並列接続点通過電流算出部が、前記上り線及び下り線それぞれのA変電所側の単巻変圧器と前記B変電所側の単巻変圧器とに流れる電流値の極性を加味して算術演算する、前記並列接続点通過電流を求めることを特徴とする請求項5記載の異電源並列接続点通過電流算出装置。 - 異常電流値を示す閾値電流があらかじめ設定されており、前記並列接続点通過電流が該閾値電流を超えたか否かを検出する異常電流検出部をさらに有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の異電源並列接続点通過電流算出装置。
- AT交流き電方式を用いた交流電気鉄道のA変電所(ASS)の電源Aのトロリ線と、前記A変電所(ASS)とは異なるB変電所(BSS)の電源Bのトロリ線との間のき電区分所(SP)に設けられる切替セクションにおいて、前記両トロリ線と絶縁して設けられた中間セクションに対し、前記電源Aのトロリ線と前記中間セクションとを接続又は開放するための第1の切替開閉器と、前記電源Bのトロリ線と前記中間セクションとを接続又は開放するための第2の切替開閉器とを並列投入した場合に流れる並列接続点通過電流を検出する異電源並列接続点通過電流算出方法であって、
測定部が前記第1及び第2の切替開閉器それぞれの近傍において、レールを中性点としてき電線及びトロリ線間に設置されている単巻変圧器(AT)により、レールからき電線に吸い上げられる電流とこれによりトロリ線側に誘起される電流の電流値を、前記単巻変圧器の外線側に設けられた既設の交流電流センサにより測定する測定過程と、
並列接続点通過電流算出部が、前記A変電所側の単巻変圧器と前記B変電所側の単巻変圧器とに流れる電流の測定値を算術演算し、前記並列接続点通過電流を求める並列接続点通過電流算出過程と
を有することを特徴とする異電源並列接続点通過電流算出方法。 - 前記算術式が、前記並列接続点に流れる電流に一致する電流値となる、各単巻変圧器に対応する交流電流センサの測定電流の合成の組み合わせを示す演算式であることを特徴とする請求項8記載の異電源並列接続点通過電流算出方法。
- 前記第1及び第2の切替開閉器の間に負荷としての電車が存在しない場合、
前記並列接続点通過電流算出部が、前記A変電所側の単巻変圧器と前記B変電所側の単巻変圧器とに流れる電流値の極性を加味して算術演算する、前記並列接続点通過電流を求めることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の異電源並列接続点通過電流算出方法。 - 前記第1及び第2の切替開閉器の間に負荷としての電車が存在する場合、
前記並列接続点通過電流算出部が、前記A変電所側の単巻変圧器と前記B変電所側の単巻変圧器とに流れる電流値の極性を加味して算術演算する、前記並列接続点通過電流を求めることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の異電源並列接続点通過電流算出方法。
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