JP2009274021A - 中空糸膜モジュールの洗浄方法および中空糸膜ろ過装置 - Google Patents
中空糸膜モジュールの洗浄方法および中空糸膜ろ過装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2009274021A JP2009274021A JP2008128326A JP2008128326A JP2009274021A JP 2009274021 A JP2009274021 A JP 2009274021A JP 2008128326 A JP2008128326 A JP 2008128326A JP 2008128326 A JP2008128326 A JP 2008128326A JP 2009274021 A JP2009274021 A JP 2009274021A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- hollow fiber
- fiber membrane
- raw water
- filtration
- membrane module
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
Abstract
【課題】 長期間安定的に連続したろ過運転が可能な膜モジュールの洗浄方法を提供する。
【解決手段】
中空糸膜の外側から原水を供給し内側からろ過水を取り出す外圧型中空糸膜モジュールにおいて、原水側に還元性酸性液を供給してバブリング洗浄を実施し、その際還元性酸性液の濃度が70〜12000mg/Lであることを特徴とする中空糸膜モジュールの洗浄方法を用いる。
【選択図】 図2
Description
中空糸膜モジュールの洗浄方法および中空糸膜ろ過装置に関する。
近年、分離膜に関する技術開発が進み、水のろ過をはじめ様々な用途に広く用いられている。分離膜の素材としては有機高分子、セラミック、燒結金属などが提案され、分離膜の形状としては中空糸膜、管状膜、平膜、モノリスなどが提案され、また分離膜の孔径としてはイオン類を分離できる逆浸透膜(RO)、タンパク質、ウイルスなどの高分子成分を分離できる限外ろ過膜(UF)、細菌類などの微粒子を分離できる精密ろ過膜(MF)などが提案され、これらを組み合わせて多種多様の分離膜が提案され、実用化されているものも多い。特に中空糸膜は、単位容積あたりの膜面積を大きく確保でき、さらに種々の素材、孔径およびモジュール形状のものから選択できることから適用範囲が広く、広範な用途で使用されている。
しかし、分離膜によるろ過の過程では、目詰まりとよばれる膜表面の汚染や微細孔の詰まりが生じ、経時的に透過流束の低下が生じる。例えば主に微粒子成分の除去を目的とする限外ろ過膜(UF)や精密ろ過膜(MF)では、SSと呼ばれる原液中の懸濁物質等が膜表面に付着し、または微多孔に侵入し、経時的に透過流束の低下が生じる。そこで、安定して長期的にろ過運転を継続するためには、ろ過条件の設定と同時に有効な分離膜の洗浄方法の開発が不可欠とされている。
河川水、湖沼水、井戸水などからなる工業用水を浄化し、プロセス用水とするには、砂ろ過や膜ろ過により夾雑物を除去した後、必要により活性炭処理、逆浸透(RO)膜ろ過、イオン交換などで必要な水質まで精製する。一般的に、工業用水には多量の微生物が含まれるため、夾雑物除去手法として精密ろ過(MF)膜や限外ろ過(UF)膜などの膜ろ過手法を併用することが多いが、膜の目詰まりが生じ易いため、特に効果的な物理洗浄手法の開発が求められている。ROを長期間に亘って安定な状態で運転維持するために、原水中の濁質を浄化する装置としては、凝集処理と沈殿、浮上、砂ろ過などの設備を組み合わせる方式が広く用いられているが、これらの方式では硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム系凝集剤や、塩化第二鉄、ポリ硫酸鉄などの鉄系凝集剤を用いた凝集操作が必要であり、原水の水質変動に対応した凝集剤の添加量の調整やpH条件の調整など煩雑な操作が必要であった。更に、原水中の有機物濃度が高まると、凝集剤を多量に添加する必要があるが、過剰に添加されると凝集しきれない微量の溶解状態の凝集剤が処理水中に残存し、この凝集剤がROで濃縮される過程で再凝集し、ROの膜表面に固着して薬品洗浄期間を短縮化するという問題もあった。
従来、分離膜の洗浄方法として、種々の方法が検討されてきたが、これらは物理的洗浄と、化学的洗浄(薬品洗浄ともいう)とに大別できる。物理的洗浄としては、原水側に気泡を噴出させるバブリング法、超音波法、電気泳動法(例えば、非特許文献1参照)、スポンジボール、高圧水流などにより強制的に付着物質をかき取る方法、水、膜ろ過水などの液体をろ過水側から原水側へ通過させる液体逆洗法(例えば、特許文献1参照)、加圧気体をろ過水側から原水側へ通過させる気体逆洗法(例えば、特許文献2、3参照)、酸化剤を添加した原水側に間欠的に重亜硫酸ナトリウムを添加してろ過する液体逆洗法(例えば、特許文献4、5参照)や、中空糸膜の原水側に液体を満たした状態で、中空糸膜の原水側から気体が放出される圧力よりも小さい圧力の気体を中空糸膜の膜ろ過水側から導入し、20秒以内で中空糸膜モジュールの膜ろ過水側の液体を完全に排出する加圧工程を行い、当該加圧工程中または加圧工程後に、中空糸膜の原水側をバブリング洗浄する液体逆洗法(例えば、特許文献6参照)も提案されている。また、化学的洗浄としては、酸、アルカリ水溶液、洗浄剤などの薬液により、付着物を溶解除去する方法が知られている。これらは分離膜の素材、形状、孔径などの特性や目詰まり物質の特性に応じ、適宜選択して単独または組み合わせて実施される(例えば、非特許文献2参照)。
従来、中空糸膜で生物処理水のろ過を行う場合、目詰まりを回避するために生物処理水にオゾンを溶解させてからろ過する方法や、次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤を含む液体による液体逆洗を行うことが提案されてきた。ただし生物処理水にオゾンを溶解させてから膜ろ過する方法では、オゾン発生装置が非常に高価かつ大電力を必要とする上、現在実用化されているほとんどの膜モジュールがオゾンにより分解作用を受けて劣化するため、あらかじめ活性炭などによりオゾンを除去してからろ過する必要がある。一方、フッ素系高分子からなる膜のようにオゾンに対して耐性を有する膜モジュールも提案されているが、非常に高価であったり、孔径やモジュールの形状および大きさが限られていたりするため、一般的とはいえない。また次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤を含む液体による液体逆洗では、必ずしも満足できる洗浄効果が得られない上に、膜ろ過水側配管や膜モジュールの膜ろ過水側が酸化剤を含む液体により汚染されるため、膜ろ過水を再利用する場合に酸化剤の除去や還元処理が必要となる場合もあり、好ましくない。特許文献4および特許文献5に記載された技術は上記した課題を解決するために、いずれもろ過工程中に原水に酸化剤を添加し、膜の洗浄工程において還元剤を含む液体で薬液洗浄することによりろ過工程で添加した酸化剤を無害化又は除去するという操作を行っている。なお、特許文献5は、文言上、還元剤含有液による薬液洗浄後にろ過工程を行うことになってはいるものの、ろ過工程の前に洗浄工程を設けることは一般常識に反し、該文献の実施例でも裏付けられている通り、原水に酸化剤を添加してろ過工程を行い、洗浄工程において主に還元剤を該酸化剤の無害化のために使用することを旨とする発明であると思われる。特に、鉄イオンやマンガンイオンなどが含まれる原水では、次亜塩素酸ナトリウムのような酸化剤を過剰に添加した場合、酸化作用で金属イオンが金属酸化物として析出していまい、膜表面に固着して膜の目詰まりを促進させてしまう。従って、特許文献4および特許文献5に記載のように、膜の洗浄に還元剤を用いても、ろ過する原水中の酸化剤の無害化に使用されてしまい、金属酸化物の析出を完全に抑えることはできなかったため、より効果的な洗浄方法が求められていた。
本発明の目的は、新規な外圧型中空糸膜モジュールの物理洗浄方法およびそのために用いることのできる中空糸膜ろ過装置を提供することにある。
上記の課題を解決する本発明の中空糸膜モジュールの洗浄方法は、中空糸膜の外側から原水を供給し内側からろ過水を取り出す外圧型中空糸膜モジュールにおいて、原水側に還元性酸性液を供給してバブリング洗浄を実施し、その際還元性酸性液の濃度が70〜12000mg/Lであることを特徴とする。
また、本発明は、中空糸膜の外側から原水を供給し内側からろ過水を取り出す外圧型中空糸膜モジュールにおいて、原水に酸化剤を1mg/L未満添加して中空糸膜でろ過を行うろ過工程と、原水側に還元性酸性液を供給してバブリング洗浄を実施し、その際還元性酸性液の濃度が70〜12000mg/Lである洗浄工程を有することを特徴とする中空糸膜モジュールの運転方法に関する。
また、本発明は、中空糸膜の外側から原水を供給し内側からろ過水を取り出す外圧型中空糸膜モジュールと、原水側に還元性酸性液を供給する手段と、原水側に気体を噴出させる手段とを備え、原水側に還元性酸性液を供給してバブリング洗浄を行うよう制御する手段を備えた膜ろ過装置に関する。
本発明の中空糸膜モジュールの洗浄方法および運転方法によって、長期間安定的に連続したろ過運転が可能となる。本発明の中空糸膜ろ過装置は、上記本発明の中空糸膜モジュールの洗浄方法に用いることが有効である。
本発明で使用される中空糸膜の素材としては特に限定されず、形状、孔径などの要求特性に応じて適宜選択することができる。例えば有機高分子系素材としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、エチレンービニルアルコール共重合体系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、酢酸セルロース系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ポリパーフルオロエチレン系樹脂、ポリメタクリル酸エステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などが挙げられ、他成分を共重合したもの、他の素材をブレンドしたもの、親水化処理などの処理を施したものでもよい。
また、中空糸膜の製造方法は特に限定されることはなく、素材の特性および所望する分離膜の形状や性能に応じて、公知の方法から適宜選択した方法を採用することができる。
本発明で使用される中空糸膜の孔径は特に限定されないが、0.001〜5μmの範囲内であることが、高い透水性を有し、ろ過効率が低下するおそれが小さいことから好ましい。なお、ここでいう孔径とは、コロイダルシリカ、エマルジョン、ラテックスなどの粒子径が既知の各種基準物質を中空糸膜でろ過した際に、その90%が排除される基準物質の粒子径を言う。孔径は均一であることが好ましい。限外ろ過膜であれば、上記のような基準物質の粒子径に基づいて、孔径を求めることは不可能であるが、分子量が既知の蛋白質を用いて同様の測定を行ったときに、分画分子量が3000以上であるものが好ましい。
本発明において、該中空糸膜はモジュール化されてろ過に使用される。モジュールの形態は、ろ過方法、ろ過条件、洗浄方法などに応じて適宜選択することができ、1本または複数本の膜エレメントを装着して中空糸膜モジュールを構成しても良い。例えば、数十本から数十万本の中空糸膜を束ねてモジュール内でU字型にしたもの、中空糸繊維束の一端を適当なシール材により一括封止したもの、中空糸繊維束の一端を適当なシール材により1本ずつ固定されていない状態(フリー状態)で封止したもの、中空糸繊維束の両端を開口したものなどが挙げられる。また、形状も特に限定されることはなく、例えば円筒状であってもスクリーン状であってもよい。特に中空糸繊維束の一端を適当なシール材により1本ずつ固定されていない状態(フリー状態)で封止したもの(片端フリー構造)の中空糸膜モジュールは、バブリング洗浄による膜付着物質の剥離および排出を効果的に行うことができるため好ましい。
本発明の中空糸膜モジュールの運転方法は、中空糸膜の外側から原水を供給し内側からろ過水を取り出す外圧型中空糸膜モジュールにおいて、原水に酸化剤を1mg/L未満添加して中空糸膜でろ過を行うろ過工程と、原水側に還元性酸性液を供給してバブリング洗浄を実施し、その際還元性酸性液の濃度が70〜12000mg/Lである洗浄工程を有することを特徴とする。
本発明で使用される中空糸膜モジュールよるろ過の方式としては、外圧全ろ過、外圧循環ろ過の中から所望の処理条件、処理性能に応じて適宜選択することができる。膜寿命の点ではろ過膜表面の洗浄を同時に行うことのできる循環方式が好ましく、設備の単純さ、設置コスト、運転コストの点では全ろ過方式が好ましい。また膜モジュールを原水槽などの槽に浸漬し、吸引または水頭差によりろ過を行うことも可能である。本発明で使用される中空糸膜モジュールによるろ過工程においては、原水に酸化剤を1mg/L未満添加することが好ましい。酸化剤の量は1mg/L未満であればよく、酸化剤を全く添加しないことが好適である。このようなろ過工程を有することにより、酸化剤による金属イオン成分の析出が抑えられ、本発明の効果である長期間安定的に連続したろ過運転が好適に行われる。
本発明の中空糸膜モジュールの洗浄方法においては、原水側に還元性酸性液を供給してバブリング洗浄を実施し、その際原水側に供給する還元性酸性液濃度を、70〜12000mg/Lとすることが特徴である。
本発明においては、中空糸膜の原水側に液体を満たした状態で、中空糸膜の膜ろ過水側から中空糸膜のバブルポイント未満の圧力で気体を導入し、20秒以内で中空糸膜モジュールの膜ろ過水側の液体を完全に排出する加圧工程を行い、当該加圧工程中または加圧工程後に中空糸膜の原水側を気泡で洗浄する洗浄方法を用いることにより本発明の効果がより顕著となる。加圧工程に用いる気体としては空気、窒素などが挙げられる。該加圧工程時および後述する気泡による膜表面洗浄時には、中空糸膜の原水側が液体で満たされていることが必要である。加圧工程に使用する気体の圧力は、中空糸膜のバブルポイント、中空糸膜の破裂圧力および中空糸膜モジュールの耐久圧力の内、最も低い値を超えない範囲内で選択されるが、中空糸膜のバブルポイントおよび破裂圧力が何れも0.5MPaよりも大きい場合は、加圧気体の圧力が0.1〜0.5MPaの範囲内にあることが好ましく、0.15〜0.3MPaの範囲内にあることがより好ましい。加圧気体の圧力が0.1MPa未満の場合は、本発明の効果が充分に発現しない恐れがある。中空糸膜のバブルポイント、中空糸膜の破裂圧力および中空糸膜モジュールの耐久圧力の内、少なくとも1つが0.5MPaよりも小さい場合には、加圧気体の圧力の上限はそれに対応して小さくなる。
気体による加圧工程を実施する時間は、中空糸膜モジュールの膜ろ過水側の液体を完全に排出することが可能な時間以上であることが必要であるが、加圧気体の単位時間あたりの導入量と中空糸膜モジュールの膜ろ過水側の体積とにより加圧工程に要する時間が異なる。外圧ろ過方式の場合には、中空糸膜の内部体積も考慮して加圧時間を設定する必要があるが、20秒以内に実施することが好適である。
気体による加圧工程の際には、加圧気体の注入部と中空糸膜モジュールとを接続する配管の中および中空糸膜モジュールの中に満たされた膜ろ過水により、逆洗浄が行われる。例えば、該配管中の中間部に透過液タンクなどの滞留部を設けることにより、逆洗浄時の液量を増やすこともできる。
本発明においては、上記した気体による加圧工程中または加圧工程後に、中空糸膜の原水側を気泡で洗浄するが、この気泡洗浄に用いる気体として、空気、窒素などが挙げられる。気泡の供給量は特に限定されないが、膜洗浄効果が高く、膜破損の恐れが小さいことから、気泡の供給量が中空糸膜の面積1m2あたり5〜500NL/hrの範囲内にあることが好ましく、10〜300NL/hrの範囲内にあることがより好ましい。上述した「片端フリー」タイプのモジュールを使用した場合、気泡による膜表面洗浄効果が極めて高くなる。
本発明においては、原水側に還元性酸性液を供給してバブリング洗浄を実施し、その際原水側に供給する還元性酸性液濃度を、70〜12000mg/Lとする。以下本発明の実施の態様について、図面を用いて詳しく説明する。
図1は上記の洗浄方法を行うために使用することができる外圧型中空糸膜モジュールの一例の概略構成図である。該中空糸膜モジュールは中空糸膜1、ケーシング2および接着樹脂3からなり、ケーシング2の内部は接着樹脂3により原水側0と膜ろ過水側10に仕切られている。原水側0には原水入口4、原水溢出口5、濃縮液排出口6、バブリング用気体注入口7および還元性酸性液注入口8を備えており、膜ろ過水側10には膜ろ過水出口9を備えている。原水入口4から原水側0に供給された原水は、中空糸膜1の外表面でろ過されて膜ろ過水側10である中空糸膜内部に移動し、膜ろ過水出口9を通じて系外へ排出される。
本発明の洗浄方法の一例を、図2に従って説明する。図2は上記の洗浄方法を行うために使用することができる膜ろ過装置の一例の概略構成図である。原水は必要に応じて前処理装置11で前処理が行われた後、原水槽12に供給される。ここで前処理とは、ストレーナーなどによる夾雑物除去、硫酸ばん土およびポリ塩化アルミニウムなどの凝集剤による凝集処理、活性炭などによる吸着などが挙げられ、適宜単独または組み合わせて実施することが出来る。次に、ろ過工程について説明する。すなわち全てのバルブを閉じた状態から、原水入口バルブ15、原水溢出口バルブ18および膜ろ過水出口バルブ16を開き、原水ポンプ13を作動させて中空糸膜モジュール14に原水を導入し、原水溢出口バルブ18より原水が溢出した後原水溢出口バルブ18を閉じてろ過を開始する。膜ろ過水は膜ろ過水出口バルブ16を通じて系外へ排出される。ただし、ろ過時間の経過に伴い目詰まりが進行してろ過能力が低下するため、続いて本発明の洗浄方法により中空糸膜を洗浄する。すなわち、原水ポンプ13を停止した後、ろ過工程で開いている原水入口バルブ15および膜ろ過水出口バルブ16を閉じてろ過を停止し、次いで原水溢出口バルブ18を開いた後、逆洗エアー入口バルブ19を開いて中空糸膜モジュール14の膜ろ過水側に加圧空気を注入して逆洗操作を行う。所定時間経過後逆洗エアー入口バルブ19を閉じ、次いで還元性酸性液入口バルブ21を開き、還元性酸性液注入ポンプ22を作動させて還元性酸性液タンク23に貯留した還元性酸性液を中空糸膜モジュールの原水側に注入し、その後バブリングエアー入口バルブ20を開いて中空膜モジュールの原水側に空気を吹き込み、バブリング洗浄を行う。所定時間バブリング洗浄を行った後、バブリングエアー入口バルブ20を閉じてバブリング洗浄を停止し、濃縮液排出口バルブ17を開いて中空糸膜モジュールの原水側の濃縮液を系外へ排出する。上述した洗浄工程終了後、濃縮液排出口バルブ17を閉じ、ろ過工程へ戻る。
還元性酸性液としては、重亜硫酸ナトリウム水溶液、チオ硫酸ナトリウム水溶液、亜硫酸ナトリウム水溶液からなる群より選ばれる少なくとも一種が挙げられる。その中でも浄水用途で最も汎用的に用いられる重亜硫酸ナトリウムが好ましい。還元性酸性液のpHは、pHが2〜6の範囲である。
本発明において、還元性酸性液の注入量は、バブリング洗浄時の還元性酸性液濃度が70〜12000mg/Lとなるように制御する。例えば、鉄イオンやマンガンイオンなどを多く含有する液体をろ過した中空糸膜モジュールを本発明の洗浄方法により洗浄する場合、注入した還元性酸性液が金属を還元して無機物に溶解する反応として消費される。制御の方法としては、例えば定期的にバブリング洗浄後の原水側液体中の鉄イオン、マンガンイオンの濃度を測定して注入量を設定することができるが、化学量論的に計算される濃度に調製しておいても良い。なお、バブリング洗浄後の原水側液体中の還元性酸性液濃度が70mg/L未満の場合、洗浄効果が不十分となる恐れがある。一方、バブリング洗浄後の原水側液体中の還元性酸性液濃度が高過ぎる場合は、配管などの金属製品の腐食、更にはろ過運転時にろ過水への高濃度還元性酸性液の混入や、バブリング洗浄後濃縮排水のpH異常など悪影響が懸念されることから、12000mg/L以下とすることが好ましく、3000mg/L以下とすることが更に好ましい。
これまでに述べてきた本発明の洗浄方法は、一般に数分から数時間ごとに行われる物理洗浄操作ごとに実施することができるが、数回もしくは数十回の物理洗浄毎に1回、すなわち間欠的に実施することも可能である。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。
河川水、湖沼水、井戸水からなる工業用水を原水とし、原水には酸化剤を添加することはなく、ポリスルホン系樹脂からなり、孔径0.1μmである中空糸膜よりなる片端フリー構造で膜面積7m2 の中空糸膜モジュールを使用して、外圧全ろ過方式、ろ過速度2.9m3/hrの条件で定流量ろ過を行った。中空糸膜の物理洗浄は、シーケンスコントロールにより30分に1回、中空糸膜モジュールの膜ろ過水側に圧力0.2MPaの空気を導入することにより10秒間加圧操作し、次いで中空膜モジュールの原水側に、濃縮液中の還元性酸性液濃度が1000mg/Lとなるよう制御した重亜硫酸ナトリウム水溶液を注入し、その後中空糸膜モジュールの原水側の下部より圧力0.1MPaの空気を1.7Nm3/hrの流量で1分間噴出させて行い、下部濃縮液排出バルブを開いて濃縮液を排出した。この一連の物理洗浄をオンラインで実施した。ろ過運転期間中、膜間差圧を定期的に測定し、膜間差圧が0.1MPaに達するまでのろ過時間を中空糸膜モジュールのろ過寿命とした。本実施例の場合、ろ過運転開始後100日経過しても安定に運転することができ、膜間差圧が0.1MPaに達することはなかった。従ってこのような場合、ろ過寿命は100日間以上とした。表1に結果を示すが、表1において、ろ過寿命は≧100(日)と記した。
実施例1において、重亜硫酸ナトリウム水溶液の濃度を100mg/Lで行う以外は同条件で、工業用水のろ過を行った。膜間差圧で評価したろ過寿命は100日間以上であった。
比較例1
実施例1において、重亜硫酸ナトリウム水溶液の濃度を50mg/Lで行う以外は同条件で、工業用水のろ過を行った。膜間差圧で評価したろ過寿命は10日間であった。
実施例1において、重亜硫酸ナトリウム水溶液の濃度を50mg/Lで行う以外は同条件で、工業用水のろ過を行った。膜間差圧で評価したろ過寿命は10日間であった。
比較例2
実施例1において、重亜硫酸ナトリウム水溶液の代わりに、濃縮液中の有効塩素濃度が1000mg/Lとなるよう制御した次亜塩素酸ナトリウム水溶液を注入してオンライン物理洗浄を行う以外は同条件で、工業用水のろ過を行った。膜間差圧で評価したろ過寿命は8日間であった。また、膜表面には金属酸化物が析出して固着していた。
実施例1において、重亜硫酸ナトリウム水溶液の代わりに、濃縮液中の有効塩素濃度が1000mg/Lとなるよう制御した次亜塩素酸ナトリウム水溶液を注入してオンライン物理洗浄を行う以外は同条件で、工業用水のろ過を行った。膜間差圧で評価したろ過寿命は8日間であった。また、膜表面には金属酸化物が析出して固着していた。
比較例3
実施例1において、オンライン物理洗浄未実施以外は同条件で、工業用水のろ過を行った。膜間差圧で評価したろ過寿命は6日間であった。
実施例1において、オンライン物理洗浄未実施以外は同条件で、工業用水のろ過を行った。膜間差圧で評価したろ過寿命は6日間であった。
参考例1
実施例1において、ろ過工程中は酸化剤として次亜塩素酸ナトリウムを2mg/L常時原水に添加したこと以外は同条件で、工業用水のろ過を行った。膜間差圧で評価したろ過寿命は21日間であった。また、膜表面には金属酸化物が析出して固着していた。
実施例1において、ろ過工程中は酸化剤として次亜塩素酸ナトリウムを2mg/L常時原水に添加したこと以外は同条件で、工業用水のろ過を行った。膜間差圧で評価したろ過寿命は21日間であった。また、膜表面には金属酸化物が析出して固着していた。
0:原水側
1:中空糸膜
2:ケーシング
3:接着樹脂
4:原水入口
5:原水溢出口
6:濃縮液排出口
7:バブリング用気体注入口
8:還元性酸性液注入口
9:膜ろ過水出口
10:膜ろ過水側
11:前処理装置
12:原水槽
13:原水ポンプ
14:中空糸膜モジュール
15:原水入口バルブ
16:膜ろ過水出口バルブ
17:濃縮液排出口バルブ
18:原水溢出口バルブ
19:逆洗エアー入口バルブ
20:バブリングエアー入口バルブ
21:還元性酸性液入口バルブ
22:還元性酸性液注入ポンプ
23:還元性酸性液タンク
24:エアーコンプレッサー
1:中空糸膜
2:ケーシング
3:接着樹脂
4:原水入口
5:原水溢出口
6:濃縮液排出口
7:バブリング用気体注入口
8:還元性酸性液注入口
9:膜ろ過水出口
10:膜ろ過水側
11:前処理装置
12:原水槽
13:原水ポンプ
14:中空糸膜モジュール
15:原水入口バルブ
16:膜ろ過水出口バルブ
17:濃縮液排出口バルブ
18:原水溢出口バルブ
19:逆洗エアー入口バルブ
20:バブリングエアー入口バルブ
21:還元性酸性液入口バルブ
22:還元性酸性液注入ポンプ
23:還元性酸性液タンク
24:エアーコンプレッサー
Claims (3)
- 中空糸膜の外側から原水を供給し内側からろ過水を取り出す外圧型中空糸膜モジュールにおいて、原水側に還元性酸性液を供給してバブリング洗浄を実施し、その際還元性酸性液の濃度が70〜12000mg/Lであることを特徴とする中空糸膜モジュールの洗浄方法。
- 中空糸膜の外側から原水を供給し内側からろ過水を取り出す外圧型中空糸膜モジュールにおいて、原水に酸化剤を1mg/L未満添加して中空糸膜でろ過を行うろ過工程と、原水側に還元性酸性液を供給してバブリング洗浄を実施し、その際還元性酸性液の濃度が70〜12000mg/Lである洗浄工程を有することを特徴とする中空糸膜モジュールの運転方法。
- 中空糸膜の外側から原水を供給し内側からろ過水を取り出す外圧型中空糸膜モジュールと、原水側に還元性酸性液を供給する手段と、原水側に気体を噴出させる手段とを備え、原水側に還元性酸性液を供給してバブリング洗浄を行うよう制御する手段を備えた膜ろ過装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008128326A JP2009274021A (ja) | 2008-05-15 | 2008-05-15 | 中空糸膜モジュールの洗浄方法および中空糸膜ろ過装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008128326A JP2009274021A (ja) | 2008-05-15 | 2008-05-15 | 中空糸膜モジュールの洗浄方法および中空糸膜ろ過装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009274021A true JP2009274021A (ja) | 2009-11-26 |
Family
ID=41439936
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008128326A Pending JP2009274021A (ja) | 2008-05-15 | 2008-05-15 | 中空糸膜モジュールの洗浄方法および中空糸膜ろ過装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009274021A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011122289A1 (ja) * | 2010-03-30 | 2011-10-06 | 東レ株式会社 | 分離膜モジュールの洗浄方法および造水方法 |
WO2013001914A1 (ja) * | 2011-06-29 | 2013-01-03 | 東レ株式会社 | 分離膜モジュールの洗浄方法 |
JP2020131143A (ja) * | 2019-02-21 | 2020-08-31 | オルガノ株式会社 | 浸漬膜ろ過装置および浸漬膜ろ過装置の運転方法 |
-
2008
- 2008-05-15 JP JP2008128326A patent/JP2009274021A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011122289A1 (ja) * | 2010-03-30 | 2011-10-06 | 東レ株式会社 | 分離膜モジュールの洗浄方法および造水方法 |
JP4968413B2 (ja) * | 2010-03-30 | 2012-07-04 | 東レ株式会社 | 分離膜モジュールの洗浄方法および造水方法 |
AU2011233096B2 (en) * | 2010-03-30 | 2014-01-16 | Toray Industries, Inc. | Method for cleaning separation membrane module, and method for fresh water generation |
WO2013001914A1 (ja) * | 2011-06-29 | 2013-01-03 | 東レ株式会社 | 分離膜モジュールの洗浄方法 |
CN103619451A (zh) * | 2011-06-29 | 2014-03-05 | 东丽株式会社 | 分离膜组件的清洗方法 |
JP2020131143A (ja) * | 2019-02-21 | 2020-08-31 | オルガノ株式会社 | 浸漬膜ろ過装置および浸漬膜ろ過装置の運転方法 |
JP7199247B2 (ja) | 2019-02-21 | 2023-01-05 | オルガノ株式会社 | 浸漬膜ろ過装置および浸漬膜ろ過装置の運転方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP2703066A1 (en) | Method for cleaning membrane module | |
JP5453711B2 (ja) | 外圧式中空糸膜モジュールの洗浄方法 | |
JP6432914B2 (ja) | 水処理方法および水処理装置 | |
JPH10286441A (ja) | 中空糸膜モジュールの洗浄方法およびその方法に用いる濾過装置 | |
WO2006080482A1 (ja) | 選択透過性膜モジュールの製造方法および選択透過性膜モジュール | |
JP2011125822A (ja) | 膜モジュールの洗浄方法および造水装置 | |
CN115121124A (zh) | 过滤膜的清洗方法及清洗装置、以及水处理系统 | |
WO2013111826A1 (ja) | 造水方法および造水装置 | |
WO2012077506A1 (ja) | 浸漬膜エレメントの薬品洗浄方法 | |
JP2016198742A (ja) | 溶液処理システム、溶液処理装置、及び溶液処理方法 | |
WO2012098969A1 (ja) | 膜モジュールの洗浄方法、造水方法および造水装置 | |
JP2007130523A (ja) | 水処理システムにおける膜洗浄方法 | |
JP2009006209A (ja) | 中空糸膜モジュールの洗浄方法 | |
JP2008246424A (ja) | 中空糸膜モジュールの洗浄方法および中空糸膜ろ過装置 | |
JP2009274021A (ja) | 中空糸膜モジュールの洗浄方法および中空糸膜ろ過装置 | |
KR20120122927A (ko) | 여과 시스템 및 여과방법 | |
JP2012086182A (ja) | 水処理方法および水処理装置 | |
JP4867180B2 (ja) | 浸漬型膜分離装置及びその薬品洗浄方法 | |
JP2006272135A (ja) | 膜分離方法および膜分離装置 | |
JP2011041907A (ja) | 水処理システム | |
JP2013034938A (ja) | 膜モジュールの洗浄方法 | |
WO2011108589A1 (ja) | 多孔質膜モジュールの洗浄方法および造水装置 | |
JP2016215089A (ja) | 中空糸膜モジュールの運転方法及び濾過装置 | |
JP2008302333A (ja) | 造水方法及びその装置 | |
JP2004130211A (ja) | 濾過ユニット及び濾過装置とその制御方法 |