JP2009250669A - アンテナ内蔵式電子時計 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アンテナ内蔵式電子時計は、外装ケース内に配置されて外部無線情報を受信するアンテナ21を備える。アンテナ21は、コア211と、コア211に巻き回されたコイル212とを有し、コア211は、コイル212の内部に設けられる直線部211Cと、その両側に延設される端部211Aとから構成される。端部211Aにおけるアモルファス箔2110,2111の積層数を、直線部211Cにおけるアモルファス箔2110の積層数よりも多くすることにより、裏蓋側からコイル212に入る磁束を集磁しやすくなってコア211の集磁効果が高まる。従って、限られたスペースを有効に利用するとともに、電波の受信感度を向上させることができる。
【選択図】図5
Description
このような問題は、電波修正時計に限らず、無線通信用のアンテナを内蔵した各種のアンテナ内蔵式電子時計に共通する問題であった。
ここで、延設部の厚さ方向(時計の厚さ寸法と同じ方向)の寸法(厚さ寸法)が、コイル部の厚さ寸法よりも大きい部分とは、延設部の全部であってもよく、延設部の一部分であってもよい。また、両側の延設部に対して厚みの大きい部分を設定してもよく、片側の延設部にのみ厚みの大きい部分を設定してもよい。
なお、プラスチック製ケースに金属製カバーが取り付けられている場合のように、外装ケースの少なくとも一部に導電性部材が使用されている場合であれば、上述のように、電波の受信感度の向上、およびアンテナ内蔵式電子時計の小型化を図ることができる。
また、外装ケースは、非電導性部材で形成された文字板を有していてもよく、この場合にはコアのコイル部の厚さ寸法に対して、延設部の厚さ寸法が少なくとも文字板側に大きくなるように設定されることが好ましい。このようにすれば、文字板側から入る電波を受信しやすくなり、例えば、導電性部材の裏蓋が配置された場合であっても、文字板側からの集磁効果が高くなることで電波の受信感度を向上させることができる。
なお、外装ケースは、胴部と裏蓋とが一体化されたワンピース型のものでもよい。
また、延設部の少なくとも一部分における薄膜磁性体の積層数が、コイル部における薄膜磁性体の積層数よりも多い部分を形成することにより、時計の厚さ方向の磁束を延設部が集磁しやすくなり、電波の受信感度を向上させることができる。
さらに、時計の厚さ方向に沿って薄膜磁性体を積層させるだけでよいので、比較的容易に、延設部の薄膜磁性体の積層数を部分的に多くすることが可能となり、延設部の厚さ寸法を容易に変更できる。
また、収納部にコアが収納されていることで、落下等による衝撃からコアが保護され、コアの耐久性を向上させることができる。特に、熱処理したアモルファス箔を積層してコアを構成する場合には、熱処理したアモルファス箔がもろく割れやすくなっているので、コアを収納部に収納することによる保護の効果が大きい。
さらに、収納部の断面形状が略コ字状に形成されている場合、コアを収納する収納部の深さ寸法を、収納されたコアの一部が時計の厚み方向に飛び出さないように十分深く設定することが可能で、コアを保護する効果を高めることができる。また、収納部の断面形状が略L字状に形成されている場合、コアの積層方向に沿った少なくとも一方の側面が覆われるので、少なくともコアの積層端部を保護して、薄膜磁性体の剥離等を防ぐ効果が得られる。
また、コイルがコア保持部材の周りに巻かれているから、コイルを構成する導線がコアのエッジで傷ついて切れるのを防止できる。
なお、コア保持部材としては、コアの各薄膜磁性体と平行な底面を覆うように設けられる板状部材であってもよい。また、コアの底面と、コアの積層方向に沿った一方の側面とを覆う略L字状の部材であってもよい。あるいは、コアの底面と、コアの積層方向に沿った両方の側面とを覆う略コ字状の部材であってもよい。さらには、コアの底面、両側面および上面の4面を覆う形状の部材であってもよい。
これに対して、本発明によれば、地板のコア溝部に延設部のコアの一部が収納されるので、時計全体の厚さ寸法が大きくなることなく、アンテナの厚さ方向の配置スペースを確保できる。また、地板は時刻表示手段等を支持しているが、コア溝部以外の部分については従来の地板の形状をそのまま採用できるので、設計変更が少なくて済む。さらに、地板のコア溝部に延設部のコアの一部が収納されることで、衝撃からコアが保護される。なお、地板は非導電性部材で構成されていることが好ましい。
ここで、回路基板がコアの延設部の少なくとも一部と重なるように設けられているが、回路基板がコイルと互いに重なる場合に比べて、時計の厚さ寸法の増加が小さくて済み、さらに、延設部と重なる回路基板上を素子の実装等に利用することができ、外装ケース内のスペースの有効利用を図ることができる。
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図6を参照して説明する。
図1は、本実施形態におけるアンテナ内蔵式電子時計である時計1を裏蓋33(図2)側から見た平面図であり、図2は、図1の断面図である。図1において、上方向が時計1の12時方向、下方向が6時方向、左方向が3時方向、右方向が9時方向となっている。
時計1は、一般的な電波修正時計と同様の構成を備えるものであり、時刻情報を含む電波(外部無線情報)を受信して処理する受信手段2と、ムーブメント4と、ムーブメント4を収容する外装ケース3とを備えて構成されている。
外装ケース3は、略リング状に形成されたケーシング(胴部)31と、ケーシング31の表面側の開口部に装着されたカバーガラス32と、ケーシング31の裏面側の開口部に着脱可能に取り付けられた裏蓋33とを備えている。ケーシング31は、ステンレス鋼、真鍮、チタン等の金属材で構成されている。
また、ムーブメント4の表面側には、文字板35が取り付けられており、文字板35の略中央には、ステッピングモータで駆動される輪列に取り付けられた秒針351、分針352、時針353が配置されている。また、文字板35の裏面には図示しないリング状の日車が設けられ、文字板35に形成された窓から日車の外周に印字された日付が表示されるようになっている。
裏蓋33の一部は、非導電性部材である円形状のガラス板331が使用されている。ガラス板331は、裏蓋33の本体である金属製の外周リング内に嵌め込まれている。
次に、時刻情報を受信する構造について説明する。
時刻情報の受信手段2は、図3に示すように、電波を受信するアンテナ21と、受信電波に同調させる同調回路22と、時針電波から得られる時刻情報を処理する受信回路23と、処理された時刻情報を記憶する時刻データ記憶回路24とを備えて構成されている。
コア211は、図5に示すように、コイル212の内部に設けられる平面矩形状の直線部(コイル部)211Cと、この直線部211Cの長手方向両端側に略円弧状に湾曲して延設される端部(延設部)211Aとが一体的に形成された構成である。
ここで、各端部211Aは、図4の平面図におけるコイル212の軸方向と交差する中心線C1および図5の断面図における中心線C2の、それぞれに対して互いに略線対称に形成されている。
コア211は、薄膜磁性体としてのアモルファス箔を時計の厚さ方向(図5中の上下方向)に沿って複数枚積層してなる積層コアとなっている。このコア211は、平面形状が扁平した略U字状に形成されたアモルファス箔2110と、アモルファス箔2110より平面積が小さく、平面形状が略円弧状に形成されたアモルファス箔2111との2種類のアモルファス箔からなる。
略U字状のアモルファス箔2110は、コア211の直線部211Cおよび両端部211Aに対応した形状となっており、略円弧状のアモルファス箔2111は、コア211の一方の端部211Aにのみ対応した形状となっている(図5参照)。
アンテナ枠213は、図4,図5に示すように、アモルファス箔2110の平面形状よりも一回り大きい平坦な略U字状に形成されている。そして、アンテナ枠213は、コイル212の中心軸に直交する断面形状が略コ字状に形成された収納部216,217を有している。
この収納部216,217は、直線部211Cが収納される収納部216と、収納部216よりも深底で各端部211Aが収納される収納部217とから構成される。つまり、収納部216よりも収納部217の方が裏蓋33側により多くのアモルファス箔を収納できるようになっている。なお、アンテナ枠213は、合成樹脂の射出成形品などの非導電性部材で構成されている。また、アンテナ枠213において両端部211Aに対応する部分の厚みは、コイル212よりも裏蓋側に突出しないように設定されている。すなわち、アンテナ21の厚みとしては、コイル212部分の厚みが最大となっている。
収納部216,217の内側に、アモルファス箔2110,2111が積層して配置されることで、アンテナ枠213は、アモルファス箔2110,2111の裏蓋33側の面と、コア211の長手方向に沿ったアモルファス箔2110,2111の両側の積層側面と、コア211の両端部におけるアモルファス箔2110,2111の積層端面とをそれぞれ覆っている。なお、コア211を収納する収納部216,217の深さは、収納されたコア211の一部が収納部216,217から地板側(図5中の上側)に飛び出さないように十分深く設定されている。
このようにコア211がアンテナ枠213に収容されることにより、コア211を振動、衝撃等の外乱から保護できるとともに、コイル212の巻線作業が容易になり、コイル212の巻きくずれを防ぐこともできる。
なお、コア211の強度によっては、アンテナ枠213を不要にできる場合もある。
また、アモルファス材は保磁力が0.32A/m程度と小さく、フェライトに比べて磁気特性が良いため、より小型・薄型のアンテナ21を実現できる。そして、アンテナ特性は、アンテナの体積に影響されるため、アンテナを薄くする分、アンテナ特性を維持するには、平面積を大きくするか、アンテナ長(コアおよびコイルの長さ)を長くする必要がある。従って、本実施形態では、コア211の幅寸法は例えば0.5〜3.0mm程度であり、長さは15〜30mm程度とされている。
なお、アモルファス箔の厚さが0.05mmより厚くなると、アモルファス箔の厚さ中央部を迅速に冷却することが困難であるため、金属はアモルファス化されることなく結晶化されてしまう。すなわち、アモルファス材を製造するには、金属が結晶化される以前に、迅速に冷却する必要があり、そのためには金属の厚さを小さくする必要がある。また、アモルファス箔の厚さが0.01mmより小さくなると、組立作業時など、アモルファス箔の強度が低下して変形しやすい。
また、コイル212の巻き方としては、特に限定されず、乱巻きなどでもよいが、特に整列巻きが好ましい。整列巻きを採用すれば、コイル線材間の無駄な空間が無くなり、同じインダクタンス値を得るためのコイル体積を小さくできる。なお、コイル212は、アモルファス箔2110,2111が収納された状態のアンテナ枠213の外周に巻き回されている。
上述した図3に示すコンデンサ22A,22B、受信回路23、および記憶回路24は、図1に示すように、それぞれ同調用素子481、受信IC482、およびRAMとして裏蓋33側の回路基板40に実装されている。このほか、回路基板40には、CPU491や基準振動子492等が実装されている。
図2において、外装ケース3内に収容されたムーブメント4には、図示しない輪列、地板37、文字板35、回路基板40、電池、指針および日車を駆動するモータなどとともに、上述のアンテナ21が組み込まれている。
ところで、本実施形態のアンテナ21は、コア211の端部211Aの裏蓋33側にアモルファス箔が多く積層され、端部211Aの厚さ寸法が直線部211Cの厚さ寸法よりも大きい点において特徴的な形状である。以下、このアンテナ21の外装ケース3内の配置に関して説明する。
また、基準振動子492は6時方向に配置され、CPU491等と比べてアンテナ21から離して配置されている。そして、モータ421,431の駆動コイル422,432はそれぞれ3時方向、4時方向と、やはりアンテナ21から離して配置されている。
なお、アンテナ21とムーブメント4との間には、緩衝材として、プラスチック製円板からなる図示しないスペーサが設けられている。
さらに、外装ケース3の内周面31Aとアンテナ21との間には、プラスチック製のリング状の中枠39が設けられている。
なお、ねじ止めに代えて、コア211の各端部211Aの先端部が熱可塑性樹脂(ホットメルト)、紫外線硬化型エポキシ等を用いて地板37の周縁にそれぞれ接着されてもよい。アンテナ21の固定には、緩衝材として弾性のあるシーリング材を使用してもよい。
また、回路基板40には、図示しない地板に設けられた駆動コイル412,422,432に対応するそれぞれの位置に矩形状の切欠402が形成されていて、これらの切欠402からは、各駆動コイル412,422,432がそれぞれ露出している。
そして、このアナログ受信信号を受信回路23で増幅、復調、デコード等の処理をしてデジタルの時刻データとし、この時刻データは、記憶回路24に記憶される。
これに対し、本実施形態では、前述のように、コア211の端部211Aの厚さ寸法が直線部211Cの厚さ寸法よりも大きく、コア211が端部211Aにおいて裏蓋33側に拡張されているので、電波の受信感度が向上される。すなわち、裏蓋33側からコイル212に入る磁束を集磁しやすくなってコア211の集磁効果が高まるため、電波の受信感度が向上される。
図7(B)は、コアがアモルファス箔2110を複数枚積層したのみで形成されている比較用のアンテナを側面からみた概略図である。これに対し、図7(A)は、コアが2種類のアモルファス箔2110,2111を用いて構成され、コアの両端部211Aの厚さ寸法が、コイル212の内部のコアの厚さ寸法よりも大きく形成された本実施形態のアンテナを側面からみた概略図である。そして、コアの両側の矢印は、アンテナでの電波受信に伴って発生する磁束線を示す。すなわち、コアの両端部211Aをコアの中央部よりも厚くすると、より多くの磁束線がコイル212を通過して電波の受信感度が向上される。特に、コアの両端部211Aを厚くすることで、時計の厚さ方向(例えば、文字板側や裏蓋側)からの磁束線をアンテナが集磁しやすくなる。
(1)端部211Aにおけるアモルファス箔2110,2111の積層数を、直線部211Cにおけるアモルファス箔2110の積層数よりも多くすることにより、電波の受信感度を向上させることができる。すなわち、裏蓋33側からコイル212に入る磁束を集磁しやすくなってコア211の集磁効果が高まる。従って、限られたスペースを有効に利用するとともに、電波の受信感度を向上させることができる。
また、コア211がアンテナ枠213により保持された状態でコイル212が巻き回されているため、コイル212を構成する導線がコア211のエッジで傷ついて切れるのを防止できる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、以降の各実施形態の説明では、既に説明した実施形態と同様の構成については、同一符号を付して、説明を省略もしくは簡略化する。
第1実施形態では、裏蓋および文字板が非導電性部材で構成されていたが、本実施形態では、文字板35は同様に非導電性部材で構成されているが、裏蓋33Aは金属製である。これに伴って、コア221の端部221Aにおいて、略円弧状のアモルファス箔2211は、第1実施形態の反対側である文字板35側に積層されている。
アンテナ21Aは、アモルファス箔2210,2211が積層されたコア221にコイル212を巻いて構成されている。
また、アンテナ枠213Aの収納部216Aは、コア221の直線部221Cおよび両端部221Aが同じ深さとなるように形成されている。この収納部216Aには扁平した略U字状のアモルファス箔2210が積層され、アモルファス箔2210にさらに略円弧状のアモルファス箔2211が積層されている。すなわちアモルファス箔2210よりも文字板35側に複数のアモルファス箔2211が積層され、両端部221Aのコア221の厚さ寸法が直線部221Cのコア221の厚さ寸法よりも大きくなっている。また、両端部221Aのコア221が収納される収納部216Aについては、前記第1実施形態の収納部217(図5)と比べて、裏蓋側にアモルファス箔2111が積層されていない分だけ浅くなっている。
(11)非電導性部材で形成された文字板35を有し、コア221の直線部221Cの厚さ寸法に対して、端部211Aの厚さ寸法が文字板35側に大きくなるように設定されているので、文字板35側から入る電波を受信しやすくなる。従って、裏蓋33Aが金属製であっても、文字板35側からの集磁効果が高くなることで電波の受信感度を向上させることができる。
次に、本発明の第3実施形態について図面に基づいて説明する。
図9は、本実施形態のアンテナ21Bを側方からみた断面図である。図10は、コア241を構成するアモルファス箔2410,2411を示す図であり、(A)は文字板側のアモルファス箔2410を示す平面図であり、(B)は裏蓋側のアモルファス箔2411を示す平面図である。
第1実施形態のアンテナ21は、図5にてコア211の両端部211Aに、略円弧状のアモルファス箔2111が追加して積層されたものであるが、本実施形態では、図9および図10に示すように、コア241の一方の端部241Aにのみアモルファス箔2411を積層した後、さらにアモルファス箔2410が積層されたものである。アンテナ枠213Bには、直線部241Cおよび他方の端部241Bに対応する位置に収納部216Bが形成され、一方の端部241Aに対応する位置に収納部216Bよりも深底の収納部217が形成されている。そして、一方の端部241Aの厚さ寸法が、直線部241Cの厚さ寸法よりも大きく設定されている。
(15)コア241の一方の端部241Aについては、アモルファス箔2411によって厚さ寸法を直線部241Cの厚さ寸法よりも大きくすることで、受信感度を向上させることができ、コア241の他方の端部241Bについては、アンテナ用の回路基板40Aを配置することで、ケーシング内のスペースを有効に利用できる。これにより、アンテナ21Bの受信感度をケーシング内スペースの有効利用と相乗的に向上させることができる。
次に、本発明の第4実施形態について図面に基づいて説明する。
図11は、本実施形態のアンテナ21Cを側方からみた断面図である。図12は、コア251を構成するアモルファス箔2510,2511を示す図であり、(A)は文字板側のアモルファス箔2510を示す平面図であり、(B)は裏蓋側のアモルファス箔2511を示す平面図である。
前述の第3実施形態のアンテナ21B(図9)は、コア241の一方の端部241Aの全体が直線部241Cよりも厚くなるように形成されていたが、本実施形態のアンテナ21Cは、図11に示すように、コア251の一方の端部251Aの少なくとも一部分が直線部251Cよりも厚くなるように形成されている。
なお、第3実施形態と同様に、他方の端部251Bにおけるアンテナ枠213Cの裏蓋側(図11中の下側)の面には、フレキシブル基板によるアンテナ用の回路基板40Bが取り付けられ、この回路基板40Bには同調用素子44が複数個実装されている。
(16)外装ケース内に収納される各部材の配置上の制約を受けて、コア251の厚さ寸法を増やすスペースを十分に確保できない場合であっても、コア251の一方の端部251Aについて僅かであっても部分的にアモルファス箔2511の積層枚数を多くすることによって、受信感度を改善させることができる。
次に、本発明の第5実施形態について図13〜図17を参照して説明する。
本実施形態の時計は、第1実施形態の時計1とほぼ同様の構成であるが、本実施形態では、より具体的な構造が示された詳細な図面を参照して説明する。
この時計1Bも、時刻情報が重畳された外部信号としての標準電波を受信して表示時刻を修正する電波修正時計である。時計1Bはアンテナ51を備え、アンテナ51は地板50に支持固定されている。ここで、地板50は、平面形状略円形に形成されており、この地板50上に時計1Bの各構成部品が配置されている。
なお、図13は、時計1Bの時刻表示側とは反対側(裏蓋側)から見た図であり、この図において、上方向が時計1Bの3時方向、下方向が9時方向、右方向が12時方向、左方向が6時方向となっている。
秒針用輪列522は、秒モータ411のロータに噛合する秒中間車5221と、秒中間車5221に噛合する四番車5222とを備えている。四番車5222には、秒針が固定されている。秒モータ411のステッピングモータにモータパルスを流すと、電磁誘導によりロータが回転する。この回転運動は、秒中間車5221、および四番車5222の順に適切な減速比(増速比)で減速されながら伝達され、秒針が1パルス1秒の所定速度で回動する。
時分針用輪列527は、時分モータ421のロータに噛合する五番車5271と、五番車5271に噛合する三番車5272と、三番車に噛合する二番車5273と、二番車5273に噛合する日の裏車5274と、日の裏車5274に噛合する筒車5275とを備える。二番車5273および筒車5275は、四番車5222と同軸上に配置され、二番車5273には分針が、筒車5275には時針が固定されている。時分モータ421にモータパルスを流すと、電磁誘導によりロータが回転する。この回転運動は、五番車5271、三番車5272、二番車5273の順に適切な減速比(増速比)で減速されながら伝達され、分針が1時間で一周する速度で回動する。また、二番車5273の回転運動は、日の裏車5274、筒車5275の順に適切な減速比(増速比)で減速されながら伝達されて、時針が12時間で1周する速度で回動する。
日車と暦モータ431との間には、暦モータ431からの駆動力を日車に伝達する暦用輪列533が設けられている。暦用輪列533は、ロータに噛合する日回し第一中間車5331と、日回し第一中間車5331に噛合する日回し第二中間車5332と、日回し第二中間車5332に噛合する日回し車5333とを備える。日回し車5333は、地板50を貫通して文字板側に歯車を有し、この歯車が日車の内歯車に噛合される。なお、日車の平面方向の位置は、歯車と内歯車との噛合によって行われ、従来日車の位置決めに用いられるようなジャンパは設けられていない。
ここで、電池収納部541は、時分針用輪列527よりも地板50の外周側(外側)に配置されている。
このようなアンテナ51は、図13に示すように、時計1Bの略9時方向に地板50の外縁に沿って配置され、全体として時計1Bの略6時から12時の領域にわたって配置される。
なお、アンテナ枠513は、液晶ポリマなどの合成樹脂等の非導電性材料で構成されている。
ここで、コイル巻部555における収納部560は、略コ字状の断面形状を有しているが、コイル巻部555の収納部560の断面形状としては、略L字状や板状であってもよい。
なお、コイル512(図13)の内側にはコイル巻部555が存在せず、アンテナ枠513は、一対の湾曲部556A,556Bからなる2部品で構成されていてもよい。すなわち、コア521の両端部については、湾曲部556A,556Bで覆われ保持されることで、アンテナ51の両端部の強度が確保されているが、コア521の中央部については、コイルが巻き回されることで、アンテナ51の中央部の強度を確保することができる。従って、必ずしもコア521の中央部をコイル巻部555で覆う必要がなく、アンテナ枠513がコイル巻部555を備えていなくてもよい。
一方、アンテナ51の時計1Bの厚さ方向における形状は、第4実施形態のアンテナと略同様である。すなわち、コア521の積層枚数が部分的に多くなっており、コア521が部分的に厚くなっている。そのため、アンテナ枠513には、コア521を収納する収納部560が形成されているが、アンテナ枠513の湾曲部556Bには、収納部560よりも深底の収納部561が部分的に形成されている。
コア521の一端側(回路基板40Cの配置された湾曲部556A側)の厚さ寸法は、コア521の中央部の厚さ寸法と略等しい。一方、コア521の他端側(回路基板40Cの配置されていない湾曲部556B側)の厚さ寸法は、コア521の中央部の厚さ寸法よりも部分的に大きい。すなわち、湾曲部556B側に設けられたコア521には、アモルファス金属薄板の積層枚数が部分的に多い箇所が形成されている。
コイル巻部および一方の湾曲部556Aに形成される収納部560の断面形状は、略コ字状に形成され、他方の湾曲部556Bに形成される収納部560の断面形状は、略L字状に形成されている。この湾曲部556Bの収納部560には、コア521の積層枚数が多い部分に対応して、部分的に、他より深く形成された断面コ字状の深底の収納部561が形成されている。
コア521は、これらの収納部560および深底の収納部561に収納され、外部からの衝撃等による破損が生じないように保護されている。
アンテナ51は、地板50の外縁に沿って配置される。以下に、アンテナ51を地板50へ固定するための構造を説明する。
地板50のアンテナ51のコイル巻部555とフランジ部558とが収められる部分には、コイル巻部555とフランジ部558との形状に合わせた略長方形の開口部(貫通孔)566が形成されている。この開口部566は、三角板状の底部567を二隅に残して大部分が貫通している。そして、地板50は、開口部566の外側にブロック569を備えている。このブロック569には、図13にも示すように、壁568下部両端に直方体状の孔からなる係止部570が形成されている。
アンテナ51のフランジ部558に設けられた係止爪559を、地板50に設けられた係止部570に差込み、これと同時に、アンテナ枠513の両端部の固定孔557を地板50に設けられた円筒状のピン571に嵌めこむ。その後、ピン571の内部にねじをしめ込んでアンテナ51全体を地板50に固定する。
時計1Bは、第1実施形態の時計1と略同様、時刻情報を含む電波を受信する通信手段としての受信手段2と、駆動制御回路4Aと、指針を駆動する駆動手段4Bと、時刻をカウントするカウンタ部4Cと、電力を供給する電力供給手段4Dと、リュウズなどの外部入力装置3Aとを備えて構成されている。
またさらに、40kHzおよび60kHzに加えて、ドイツ等における77.5kHzを受信する3周波数構成とする場合は、スイッチ22Cの切替えによるアンテナ回路の静電容量およびインダクタンス(アンテナインダクタンス)の双方のスイッチ切替えによってインピーダンスを変化させ、受信電波周波数の切替えが行われる構成とすればよい。
受信回路23は、図17に示されるように、アンテナ51によって受信された長波標準電波信号を増幅する増幅回路231と、増幅された長波標準電波信号から所望の周波数成分のみを抜き出すバンドパスフィルタ232と、長波標準電波信号を平滑化し復調する復調回路233と、増幅回路231のゲインコントロールを行ない長波標準電波信号の受信レベルが一定になるように制御するAGC(Automatic Gain Control)回路234と、復調された長波標準電波信号をデコードして出力するデコード回路235とを備えて構成されている。
受信回路23で受信され信号処理された時刻情報は、図16に示すように、時刻データ記憶回路24に出力されて記憶される。
受信回路23は、予め設定されたスケジュールや外部入力装置3Aによる強制受信操作等によって、駆動制御回路4Aから出力される受信制御信号に基づいて時刻情報の受信を開始する。
また、駆動制御回路4Aは、暦駆動回路43にも信号を出力して、ステッピングモータからなる暦モータ431により日車の駆動を制御する。
秒カウンタ回路4C1は、秒位置カウンタ4C11と、秒時刻カウンタ4C12と、一致検出回路4C13とを備えて構成されている。秒位置カウンタ4C11および秒時刻カウンタ4C12はともに60カウント、つまり1Hzの信号が入力された場合には60秒でループするカウンタである。秒位置カウンタ4C11は、駆動制御回路4Aから秒駆動回路41に供給される駆動パルス信号(秒駆動パルス信号PS1)をカウントしている。つまり、秒針を駆動させる駆動パルス信号をカウントすることによって、秒針が示している秒針の位置をカウントしている。
秒時刻カウンタ4C12は、通常は、駆動制御回路4Aから出力される1Hzの基準パルス信号(クロックパルス)をカウントする。また、受信手段2で時刻情報を受信した場合には、この時刻情報のうちの秒データに合わせてカウンタ値が修正される。
時分時刻カウンタ4C22は、通常は、駆動制御回路4Aから出力される1Hzのパルス(クロックパルス)をカウントする(正確には1Hzを60回計数したところで1カウントとする)。また、受信手段2で時刻情報を受信した場合には、この時刻情報のうちの時分データに合わせてカウンタ値が修正される。
駆動制御回路4Aは、各一致検出回路4C13,4C23から不一致信号が入力されると、一致信号が入力されるまで各駆動パルス信号PS1,PS2を出力し続ける。このため、通常運針時は、駆動制御回路4Aから1Hzの基準信号によって各時刻カウンタ4C12,4C22のカウンタ値が変化して位置カウンタ4C11,4C21と不一致となると、各駆動パルス信号PS1,PS2が出力されて各指針が動くとともに、各位置カウンタ4C11,4C21が各時刻カウンタ4C12,4C22と一致することになり、この動作を繰り返すことで、通常の運針制御が行われる。
また、受信した時刻情報で各時刻カウンタ4C12,4C22が修正されると、そのカウンタ値に各位置カウンタ4C11,4C21のカウンタ値が一致するまで、各駆動パルス信号PS1,PS2が出力され続け、指針が早送りされて正しい時刻に修正される。
(17)アンテナ枠513の一方の湾曲部556Bの深底の収納部561にアモルファス箔を積層配置することで、アモルファス箔の積層数を、コイル巻部555および他方の湾曲部556Aにおけるアモルファス箔の積層数よりも多くすることにより、裏蓋側からコイル512に入る磁束を集磁しやすくなってコア521の集磁効果が高まる。従って、ケーシング内の限られたスペースを有効に利用するとともに、電波の受信感度を向上させることができる。また、収納部560,561にコア521が収納されていることで、熱処理してもろく割れやすくなったアモルファス箔を落下等による衝撃から保護することができ、コア521の耐久性を向上させることができる。
また、AGC回路234(図17)により増幅回路231のゲインコントロールが行われるので、電界強度によらず、受信信号レベルを一定とすることが可能となる。
本発明は、前記各実施形態に限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施の形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、以上述べた実施の形態に対し、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができる。
そして、アンテナの配置位置についても、前記各実施形態のようにケーシング内の9時方向に限られず、リュウズの巻真やボタンの軸等の位置を考慮して、外装ケース内の任意の位置にアンテナを配置できる。
また、アンテナとしては、コアの直線部がアンテナ枠ごと絶縁テープで巻かれて固定され、この絶縁テープの上から直線部およびアンテナ枠の周囲にコイルが巻き回されたものであってもよい。これにより、コイルとコアとを絶縁テープで確実に絶縁できるとともに、コアが断面矩形状に形成されていても、コアの角のエッジでコイルが切れるのを防止できる。
なお、コアとしては、少なくとも直線部の厚さ寸法よりも、端部の厚さ寸法の方が大きく設定されていればよく、各実施形態のようなアモルファス箔(薄板)の積層構造体に限られず、別構造のアモルファス材のコアでもよい。また、フェライト材のコアでもよい。
また、アンテナ枠の代わりに、コア保持部材としてプラスチック製の板形状のベース板を用いて、アモルファス箔の裏蓋側の面および積層端面とを覆うようにしてもよい。このようなベース板により積層されたアモルファス箔を補強する効果がある。
また、第2実施形態では、裏蓋に導電性部材が使用されていたが、裏蓋についても文字板と同様に非導電性部材で構成していてもよい。
なお、前記各実施形態では、外装ケースは胴部であるケーシング、カバーガラス、および裏蓋を備えて構成されていたが、これに限らず、胴部と裏蓋とが一体化されたワンピース型の外装ケースであってもよい。
従って、本発明の外装ケースに内蔵されるアンテナとしては、標準電波を受信する場合のような受信専用に用いるものでもよいし、非接触ICを用いたタグのように、情報を送受信するために用いてもよいし、さらには送信専用に用いてもよく、これらは本発明を適用する電子時計つまりはアンテナ内蔵式電子機器の種類に応じて適宜選択すればよい。
Claims (5)
- 外装ケースと、
前記外装ケース内に配置されて外部無線情報を受信するアンテナと、
前記アンテナで受信した外部無線情報を処理する受信手段と、
時刻表示手段と、を備えたアンテナ内蔵式電子時計であって、
前記アンテナは、コアと、前記コアに巻き回されたコイルとを有して構成され、
前記コアは、前記コイルの内部に設けられるコイル部と、前記コイル部の両側にそれぞれ延設される延設部とを含んで構成され、
前記コイル部および前記延設部は、当該時計の厚さ方向に沿って積層された薄膜磁性体で構成され、
前記延設部の少なくとも一部分における前記薄膜磁性体の積層数は、前記コイル部における前記薄膜磁性体の積層数よりも多く、当該時計の厚さ方向に沿った方向において、前記延設部の少なくとも前記一部分の厚さ寸法が、前記コイル部の厚さ寸法よりも大きい
ことを特徴とするアンテナ内蔵式電子時計。 - 請求項1に記載のアンテナ内蔵式電子時計において、
前記アンテナは、前記コアの少なくとも一方の前記延設部を収納可能な収納部が形成された非導電性部材からなるコア保持部材を有し、
前記コイルの中心軸に直交する断面における前記収納部の断面形状は、略コ字状または略L字状に形成されることを特徴とするアンテナ内蔵式電子時計。 - 請求項1または請求項2に記載のアンテナ内蔵式電子時計において、
前記外装ケースは、裏蓋を有するとともに、当該外装ケース内には、前記時刻表示手段を支持する地板が前記裏蓋に対向して配置され、
前記地板の前記裏蓋側の面には、前記アンテナが固定されるとともに、前記延設部の少なくとも一部分を収納可能なコア溝部が形成されている
ことを特徴とするアンテナ内蔵式電子時計。 - 請求項3に記載のアンテナ内蔵式電子時計において、
当該時計の厚さ方向において、前記コイルの少なくとも一部と重なる部分の前記地板には、当該時計の厚さ方向に貫通する貫通孔が設けられ、
前記薄膜磁性体が前記コイル部よりも多く積層されている前記延設部は、前記コイルの外周面よりも外側に突出していないことを特徴とするアンテナ内蔵式電子時計。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載のアンテナ内蔵式電子時計において、
前記受信手段が実装された回路基板を備え、
前記回路基板は、当該時計の厚さ方向において前記コイルと重ならず、かつ、当該時計の厚さ方向において前記コアの少なくとも一部と重なるように形成されている
ことを特徴とするアンテナ内蔵式電子時計。
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