JP2009132061A - ガスバリア性蒸着フィルム、並びにそれを用いた輸液バッグ及び輸液バッグ用外装袋 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 重縮合触媒としてチタン系触媒を使用して製造したポリエステルフィルムからなる基材フィルムの一方の面に、酸化物蒸着膜、バリアコート及びヒートシール性樹脂層を積層したガスバリア性蒸着フィルム、並びにそれを用いた輸液バッグ及び輸液バッグ用外装袋。
【選択図】 なし
Description
また、このガスバリア性蒸着フィルムを製袋することにより、アンチモンを含有せず、且つ優れたガスバリア性を示す輸液バッグ、及び輸液バッグ用外装袋が得られた。
また、本発明において基材フィルムとして使用されるポリエステルフィルムは、(i)色座標b値−0.5〜5、並びに、(ii)実際の工程において蒸着中に基材フィルムにかかる荷重に相当する荷重0.05〜0.15N/mmを負荷しながら、昇温速度5℃/minで25〜200℃まで昇温するときの、縦方向の寸法変化率−5.0〜+1.0%、及び(iii)横方向の寸法変化率−2.0〜+2.0%、の条件を満たすものである。これら全ての条件を満たすポリエステルフィルムは、包装用途及び光学用途に好適な色調を有し、低分子量成分を溶出しにくいため、酸化物蒸着膜の膜質との相性がよく、該酸化物を極めて密に蒸着させることができ、また、蒸着膜の膜質の劣化に起因するガスバリア性の劣化を最小限に抑えることができる。したがって、本発明によれば、酸素ガス、水蒸気等に対する高いガスバリア性を安定して維持することができ、同時に、良好な色調、防湿性、耐衝撃性等を備えた蒸着フィルムが得られる。
<1>本発明のガスバリア性蒸着フィルムの層構成
まず、本発明のガスバリア性蒸着フィルムの層構成について説明する。図1は、本発明に係るガスバリア性蒸着フィルムについて、その層構成の一例を示す概略的断面図である。
本発明に係るガスバリア性蒸着フィルムAは、図1に示すように、基材フィルム1の一方の面に、酸化物蒸着膜2、バリアコート3及びヒートシール性樹脂層4を順に積層した構成を基本構造とするものである。
また、本発明において、基材フィルムと酸化物蒸着膜との間に、アンカーコート層を設けてもよい。また、バリアコートとヒートシール性樹脂層との間に、中間基材層を設けてもよい。さらに、基材フィルム側の表面に、プラスチックフィルム、例えばアンチモン系触媒を使用せずに製造されたポリエステルフィルムを積層することもできる。
本発明において、酸化物蒸着膜の層は、単層であっても、2層以上からなる多層であってもよい。
本発明において、酸化物蒸着膜を支持する基材フィルムとして、ポリエステルフィルムが用いられる。該ポリエステルフィルムは、有害な重金属であるアンチモン系触媒を使用して製造したものであってはならず、安価で安全衛生等に問題のないチタン系触媒を使用して製造することが好ましい。
(1)色座標b値
チタン系触媒を使用して製造されるポリエステルの中でも、本発明においては特に、色調として、JIS Z8730の参考1に記載されるLab表色系におけるハンターの色差式の色座標b値が−0.5〜5、より好ましくは0〜4であるものを使用する。チタン系触媒を使用して製造されるポリエステルは、一般的には、特有の黄色みを有し、フィルムを通して色彩が変化するため、食品包装用や光学用途に適しないものが多いが、当該範囲の色座標b値を有するものは、本発明に従ってアンカーコート、酸化物蒸着膜及びバリアコートを積層したときに、前記用途にも好適な色調を示す。
色座標b値が−0.5より小さいものは、アンカーコート、酸化物蒸着膜及びバリアコートを積層したときに、青みが強くなりすぎるため、また5より大きいものは、黄色みが強くなりすぎるため、好ましくない。
上記の範囲の色座標b値の調整は、黄色みの抑えられたポリエステルが得られるよう開発された種々のチタン系触媒、例えば、周期表第4A族のチタン族元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素の化合物と、マグネシウム化合物及びリン化合物より選択される少なくとも1種の化合物との混合物であるチタン系触媒を使用することにより行うことができる。
また、本発明において、基材フィルムは、アンカーコート、酸化物蒸着膜及びバリアコートを支持する基材であることから、熱的寸法変化に優れ、アンカーコート、酸化物蒸着膜及びバリアコートの形成、加工等の条件に耐え、かつ、該蒸着膜の特性を損なうことなく、良好に支持し得るものでなければならない。
このような観点から、上記色座標b値及び触媒に関する条件と合わせて、本発明においては、荷重0.05〜0.15 N/mmを負荷しながら、昇温速度5℃/minで25〜200℃まで昇温するときに、縦方向の寸法変化率が−5.0〜+1.0%、好ましくは-5.0〜-2.0%であり、そして横方向の寸法変化率が−2.0〜+2.0%、好ましくは-1.0〜+1.0%であるポリエステルフィルムを使用する。
縦方向及び横方向の寸法変化率が上記の範囲を外れる場合、昇温に伴うポリエステルフィルムの寸法変化によって、酸化物蒸着膜にマイクロクラックが入るため、好ましくない。
本発明のガスバリア性蒸着フィルムにおいて、酸化物蒸着膜を支持する基材層を構成するポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなるフィルムが最適であり、また、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)等の樹脂からなるフィルムを使用することができる。
ポリエステルフィルムの厚さとしては、製造時の安定性等を考慮して、約6〜100μm、好ましくは10〜40μmが望ましい。
本発明において、ポリエステルフィルムは、例えば、上記のポリエステル系樹脂の1種又はそれ以上を、個々に又は混合して使用し、適切なチタン系触媒を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法、多層共押し出し法等の製膜化法を用いて製造することができる。また、ポリエステルフィルムは、未延伸、縦方向若しくは横方向のいずれかの一軸方向、又は二軸方向に延伸した延伸フィルムであってもよい。その延伸方法としては、例えば、フラット法、インフレーション法等の公知の方法で行うことができ、その延伸倍率としては、2倍〜10倍のものを使用することができる。
なお、ポリエステルフィルムには、用途に応じて、例えば帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、充填剤等の所望の添加剤を、その色調に影響しない範囲内で任意に添加することができる。
本発明において、基材フィルムと酸化物蒸着膜との間に、アンカーコート層を設けることができる。これにより、基材フィルムと酸化物蒸着膜との密着強度を高め、熱水殺菌処理後のデラミネーションの発生を防くことができる。
このような目的で、本発明において使用することができるアンカーコート剤としては、耐熱温度が135℃以上である任意の樹脂、例えばビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等からなるアンカーコート剤が挙げられるが、特に、構造中に2以上のヒドロキシル基を有するポリアクリル系又はポリメタクリル系樹脂と、硬化剤としてのイソシアネート化合物とからなるアンカーコート剤を、好ましく使用することができる。
また、これに添加剤としてシランカップリング剤を併用してもよく、また、硝化綿を、耐熱性を高めるために併用してもよい。
本発明において、酸化物蒸着膜としては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の酸化物からなる蒸着膜を挙げることができる。
好ましいものとしては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属の酸化物からなる蒸着膜を挙げることができる。
上記において、x=0の場合は、完全な金属であり、透明ではないので使用することができない。また、xの範囲の上限は、完全に酸化したときの値である。
望ましくは、ケイ素(Si)は1.0〜2.0、アルミニウム(Al)は0.5〜1.5の範囲の値のものを使用することができる。
また、酸化物蒸着膜として、使用する金属、又は金属の酸化物は、1種又は2種以上の混合物で使用し、異種の材質で混合した酸化物蒸着膜を構成することもできる。
本発明において、所望のガスバリア性を得るために、上記酸化物蒸着膜を、化学気相成長法又は物理気相成長法により、又はこれらを併用して形成することができる。
(1)化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)
化学気相成長法には、例えば、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等が含まれる。
本発明においては、具体的には、基材フィルムの表面に、有機ケイ素化合物等の蒸着用モノマーガスを原料とし、キャリヤーガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用し、更に、酸素供給ガスとして、酸素ガス等を使用し、低温プラズマ発生装置等を利用する低温プラズマ化学気相成長法を用いて、酸化物からなる蒸着膜を形成することができる。
物理気相成長法には、例えば、真空蒸着法、スバッタリング法、イオンプレーティング法、イオンクラスタービーム法等が含まれる。本発明において、物理気相成長法により酸化物蒸着膜を形成する場合、基材フィルムと酸化物蒸着膜との密着強度を高めるために、これらの間にアンカーコート層を設けることが好ましい。
本発明における酸化物の蒸着方法について、その一例を挙げてさらに具体的に説明する。図3は、本発明における酸化物の蒸着方法の一例を示す巻き取り式真空蒸着装置の概略的構成図である。
(1)バリアコート
本発明の透明ガスバリア性フィルムにおいては、上記酸化物蒸着膜上に、さらにバリアコートを設ける。これにより、さらにガスバリア性を向上することができる。このようなバリアコートとしては、一般式:R1 nM(OR2)mで表される少なくとも1種以上のアルコキシド、ポリビニルアルコール及び/又はエチレン・ビニルアルコールを含有する組成物をゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物によるものを好適に使用することができる。
ポリビニルアルコール及びエチレン・ビニルアルコールコポリマーの組み合わせを採用する場合のそれぞれの含有重量比は10:0.05〜10:6であることが好ましい。
本発明におけるバリアコートの形成方法について以下に説明する。
まず、上記のアルコキシシラン等のアルコキシド、シランカップリング剤、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体、ゾルゲル法の触媒、水、有機溶媒、及び、必要に応じて、金属アルコキシド等を混合してガスバリア性組成物を調製する。ガスバリア性組成物中では次第に重縮合反応が進行する。
最後に、上記組成物を塗布したフィルムを通常の環境下、50℃〜300℃、高温・高湿下、又はレトルト・ボイル処理後におけるバリア性低下の観点から、好ましくは70℃〜200℃の温度で、0.005分間〜60分間、加熱・乾操することにより縮合が行われ、バリアコートを形成することができる。
また必要ならば、バリアコート形成用組成物を塗布する際に、予め、酸化物蒸着膜の上に、プライマー剤等を塗布することもできる。
本発明において、ヒートシール性樹脂層を構成するヒートシール性樹脂としては、熱によって溶融して相互に融着し得る、ヒートシール性を有する樹脂を使用することができ、具体的にはポリオレフィン系樹脂、例えば低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)等を使用することができる。本発明においては、上記のような樹脂のフィルムないしシート、あるいは上記のような樹脂を主成分とする樹脂組成物によるコーティング膜等によって、ヒートシール性樹脂層を構成することができる。その厚さとしては1〜200μm、好ましくは5〜100μmが望ましい。
上記のとおり本発明においては、バリアコートとヒートシール性樹脂層との間に、中間基材層を設けてもよく、このような中間基材層を設けることにより、強度や耐突き刺し性等が向上する。
中間基材層として使用する樹脂のフィルムとしては、機械的、物理的、化学的等において優れた強度を有し、耐突き刺し性等に優れ、その他、耐熱性、防湿性、耐ピンホール性、透明性等に優れた樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル又はメタクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、その他の強靱な樹脂フィルムないしシートを使用することができる。
次に本発明のガスバリア性蒸着フィルムの製造方法について説明する。この製造方法における積層工程は、通常の積層材をラミネートする方法、例えば、ウエットラミネーション法、ドライラミネーション法、無溶剤型ドライラミネーション法、押出ラミネーション法、Tダイ押出成形法、共押出ラミネーション法、インフレーション法、共押出インフレーション法等によって行うことができる。その場合、必要に応じて、例えば、コロナ処理、オゾン処理、フレーム処理等の前処理を貼り合わせるフィルムに施すことができる。また例えば、ポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系、その他のラミネート用接着剤等の公知の接着剤を使用することができる。
(1)ボイル処理用又はレトルト処理用の包装材料
本発明のガスバリア性蒸着フィルムにおける、基材フィルムとしてのポリエステルフィルムは、有害なアンチモンの混入を防ぐために、重縮合触媒として、アンチモン系触媒ではなく、チタン系触媒を用いて製造される。
一般的には、チタン系触媒を用いて製造されたポリエステルは、熱安定性に劣り、加熱により変形し易いという欠点を有する。したがって、このようなポリエステルからなる基材フィルム上にガスバリア層を積層したガスバリア性フィルムは、加熱による基材フィルムの変形に伴ってガスバリア層が破断するため、ボイル処理又はレトルト処理用の包装材料としては、不適であると考えられていた。
なお、本発明において、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、積層するフィルム等の表面に、例えば、コロナ処理、オゾン処理、フレーム処理等の前処理を任意に施すことができる。
次に、本発明の包装材料を製袋して得られる輸液バッグ及び輸液バッグ用外装袋について説明する。
近年、輸液用の包装袋として、輸液バッグ(内袋)と輸液バッグ用外装袋(外袋)とからなる二重袋が一般的に用いられている。本発明のガスバリア性蒸着フィルムからなる包装材料は、アンチモン非含有であるため、輸液と直接接触する内袋である輸液バッグとして使用することができ、また、ガスバリア性及びレトルト処理にも耐え得る耐熱性を兼ね備えているため、外袋である輸液バッグ用外装袋としても好ましく使用することができる。
(a)基材フィルム/酸化物蒸着膜/バリアコート層/DL/ONy(15μm)/CPP(60μm)
(b)基材フィルム/酸化物蒸着膜/バリアコート層/DL/PET(12μm)/CPP(80μm)
(c)PET(12μm)/DL/基材フィルム/酸化物蒸着膜/バリアコート層/DL/CPP(80μm)
(d)基材フィルム/酸化物蒸着膜/バリアコート層/DL/CPP(80μm)
(e)基材フィルム/酸化物蒸着膜/バリアコート層/DL/ONy(15μm)/CPP(60μm)
(f)基材フィルム/酸化物蒸着膜/バリアコート層/DL/CPP(80μm)
(g)基材フィルム/酸化物蒸着膜/バリアコート層/DL/PET(12μm)/CPP(80μm)
ここで、各略語は、以下の意味を有する:
DL:接着剤層
ONy:延伸ナイロンフィルム
CPP:無延伸ポリプロピレンフィルム
PET:ポリエチレンテレフタレートフィルム
次に本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。
(1)荷重0.07N/mmを負荷しながら、昇温速度5℃/minで25〜200℃まで昇温したときの縦方向の寸法変化率が−3.0%であり、そして横方向の寸法変化率が0.1%以下であり、且つ、色座標b値が2.4である二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(膜厚12μm)を、チタン系触媒を用いて製造した。このフィルムに、アンカーコート剤を塗布乾燥し、0.3μmのアンカーコート層を形成した。上記アンカーコート剤は、硝化綿1重量部及びアクリルポリオール5重量部を、メチルエチルケトン(MEK)/酢酸エチル1:1の希釈溶剤中で混合撹拌して得られた主剤と、イソホロンジイソシアネート(IPDI)からなる硬化剤とからなり、ここで、主剤のOH基に対して、NCO基が等量となるように調製した。次いで、40℃で48時間エージングを行った後、下記に示す蒸着条件により、電子線(EB)加熱方式による真空蒸着法により、膜厚200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を積層した。このときの冷却ドラム温度は、−15℃であった。
(蒸着条件)
蒸着チャンバー内の真空度: 2×10-4 mbar
巻き取りチャンバー内の真空度: 2×10-2 mbar
電子ビーム電力: 25 kw
フィルムの搬送速度: 480 m/min
蒸着面: コロナ処理
調製した組成aのポリビニルアルコールと、イソプロピルアルコール及びイオン交換水からなる混合液に、予め調製した組成bのエチルシリケート、シランカップリング剤、塩酸、イソプロピルアルコール、イオン交換水からなる加水分解液を加えて撹拌し、無色透明のバリアーコート形成用組成物を得た。
荷重0.07N/mmを負荷しながら、昇温速度5℃/minで25〜200℃まで昇温したときの縦方向の寸法変化率が−3.5%であり、そして横方向の寸法変化率が0.1%以下であり、且つ、色座標b値が3.2である二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(膜厚12μm)を、チタン系触媒を用いて製造した。このフィルムに、実施例1と同様に、アンカーコート層及び蒸着膜を積層した。ただし、酸化アルミニウムの蒸着膜の代わりに、酸化ケイ素の蒸着膜(膜厚300Å)を積層し、以下の蒸着条件を用いた。このときの冷却ドラム温度は、−15℃であった。
(蒸着条件)
蒸着チャンバー内の真空度: 2×10-4 mbar
巻き取りチャンバー内の真空度: 2×10-2 mbar
電子ビーム電力: 40 kw
フィルムの搬送速度: 240 m/min
蒸着面: コロナ処理
以下、実施例1と同様にしてバリアコート層を形成し、積層フィルムを得た。
(1)荷重0.07N/mmを負荷しながら、昇温速度5℃/minで25〜200℃まで昇温したときの縦方向の寸法変化率が−2.5%であり、そして横方向の寸法変化率が0.1%以下であり、且つ、色座標b値が2.8である二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(膜厚12μm)を、チタン系触媒を用いて製造した。このフィルムに、実施例1と同様にアンカーコートを積層した。これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、次いで、下記に示す条件により、フィルムの、アンカーコートを積層した側の表面に、膜厚120Åの酸化ケイ素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着面: コロナ処理
導入ガス量: ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=
1.0:3.0:3.0(単位:slm)
真空チャンバー内の真空度:2〜6×10-6 mbar
蒸着チャンバー内の真空度:2〜5×10-3 mbar
冷却・電極ドラム供給電力:10 kw
ライン速度: 100 m/min
以下、プラズマ処理面に、実施例1と同様にしてバリアコート層を形成し、積層フィルムを得た。
二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと蒸着膜の間に、アンカーコート層を設けない点を除き、実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
荷重0.07N/mmを負荷しながら、昇温速度5℃/minで25〜200℃まで昇温したときの縦方向の寸法変化率が−6.0%であり、そして横方向の寸法変化率が0.1%以下であり、且つ、色座標b値が3.2である二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(膜厚12μm)を、チタン系触媒を用いて製造した。このフィルムに、実施例1と同様に、アンカーコート層、蒸着膜及びバリアコート層を積層した。
荷重0.07N/mmを負荷しながら、昇温速度5℃/minで25〜200℃まで昇温したときの縦方向の寸法変化率が−3.0%であり、そして横方向の寸法変化率が0.1%以下であり、且つ、色座標b値が5.5である二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(膜厚12μm)を、チタン系触媒を用いて製造した。このフィルムに、実施例3と同様に、アンカーコート層、蒸着膜及びバリアコート層を積層した。
上記の実施例1〜4及び比較例1〜2において製造した積層フィルムについて、以下の測定を行った。
(1)酸素透過度の測定
これは、温度23℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機(オクストラン:OX-TRAN2/21)にて測定した。
これは、温度40℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン社製の測定機(パーマトラン:PERMATRAN3/31)にて測定した。
これは、日本電色工業(株)製分光色色差計「SE−2000型」を使用し、JIS Z−8722の方法に準じて、透過法によるb値を測定した。
a:積層フィルム/DL/PET(15μm)/DL/CPP(80μm)
b:積層フィルム/DL/ONy(15μm)/DL/CPP(60μm)
Claims (15)
- 重縮合触媒としてチタン系触媒を使用して製造したポリエステルからなる基材フィルムの一方の面に、酸化物蒸着膜、バリアコート層、及びヒートシール性樹脂層を順に積層した、ガスバリア性蒸着フィルム。
- 基材フィルムと酸化物蒸着膜との間に、アンカーコート層を設けた、請求項1に記載のガスバリア性蒸着フィルム。
- アンカーコート層が、構造中に2以上のヒドロキシル基を有するポリアクリル系又はポリメタクリル系樹脂と、硬化剤としてのイソシアネート化合物とが反応硬化してなる層である、請求項2に記載のガスバリア性蒸着フィルム。
- バリアコート層とヒートシール性樹脂層との間に、中間基材層を設けた、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスバリア性蒸着フィルム。
- 中間基材層が、2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム、2軸延伸ポリアミド系樹脂フィルム、又は2軸延伸ポリオレフィン系樹脂フィルムからなる層である、請求項4に記載のガスバリア性蒸着フィルム。
- 基材フィルムの色座標b値が、−0.5〜5である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガスバリア性蒸着フィルム。
- 基材フィルムに荷重0.05〜0.15N/mmを負荷しながら、昇温速度5℃/minで25〜200℃まで昇温するときに、基材フィルムの縦方向及び横方向の寸法変化率が、それぞれ−5.0〜+1.0%及び−2.0〜+2.0%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガスバリア性蒸着フィルム。
- チタン系触媒が、周期表第4A族のチタン族元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素の化合物と、マグネシウム化合物及びリン化合物より選択される少なくとも1種の化合物との混合物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のガスバリア性蒸着フィルム。
- 酸化物蒸着膜が、化学気相成長法又は物理気相成長法により積層された、請求項1〜8のいずれか1項に記載のガスバリア性蒸着フィルム。
- 酸化物が、酸化ケイ素又は酸化アルミニウムである、請求項1〜9のいずれか1項に記載のガスバリア性蒸着フィルム。
- バリアコート層が、一般式R1 nM(OR2)m(式中、R1、R2は炭素数1〜8の有機基を表し、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、n+mはMの原子価を表す)で表される少なくとも1種のアルコキシド、ポリビニルアルコ−ル、及び/又はエチレン・ビニルアルコールを含んでなる組成物を、ゾルゲル法によって重縮合して得られるアルコキシドの加水分解物又はアルコキシドの加水分解縮合物からなる層である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のガスバリア性蒸着フィルム。
- ヒートシール性樹脂層が、ヒートシール性を有するポリオレフィン系樹脂層からなる、請求項1〜11のいずれか1項に記載のガスバリア性蒸着フィルム。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載のガスバリア性蒸着フィルムからなる、ボイル処理用又はレトルト処理用の包装材料。
- 請求項13に記載の包装材料を製袋して得られる、輸液バッグ。
- 請求項13に記載の包装材料を製袋して得られる、輸液バッグ用外装袋。
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