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JP2009123379A - 負極基材 - Google Patents

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JP2009123379A JP2007293300A JP2007293300A JP2009123379A JP 2009123379 A JP2009123379 A JP 2009123379A JP 2007293300 A JP2007293300 A JP 2007293300A JP 2007293300 A JP2007293300 A JP 2007293300A JP 2009123379 A JP2009123379 A JP 2009123379A
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Abstract

【課題】高い出力電圧と高いエネルギー密度を有し、且つ充放電サイクル特性に優れた電池の実現を可能とする負極基材、この負極基材を用いた二次電池、この負極基材の形成に用いられる樹脂組成物、及びこの負極基材の製造方法を提供する。
【解決手段】熱インプリント法により成形されたパターン化有機膜12を備えた支持体11に金属膜13を形成してなることを特徴とする負極基材10によれば、高い出力電圧と高いエネルギー密度を有し、且つ充放電サイクル特性に優れた電池を提供できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、負極基材、この負極基材を用いた二次電池、この負極基材の形成に用いられる樹脂組成物、及びこの負極基材の製造方法に関し、特に、充放電サイクル特性に優れた電池を提供できる負極基材、この負極基材を用いた二次電池、この負極基材の形成に用いられる樹脂組成物、及びこの負極基材の製造方法に関する。
従来、高い出力電圧と、高いエネルギー密度を兼ね備えた電池の研究開発が盛んに進められている。特に、内部抵抗が低く、充放電による電池容量の低下が少ない、充放電サイクル特性に優れた二次電池が求められている。例えば、薄膜状の非晶質シリコン又は微結晶シリコンを負極材料(負極活物質)として用いたリチウム二次電池が知られている(特許文献1参照)。具体的には、集電体上にシリコン薄膜からなる負極材料層を形成した負極を用いたリチウム二次電池が開示されており、シリコン薄膜の形成には、CVD法(化学気相成長法、化学蒸着法ともいう)やスパッタリング法等の薄膜形成手法が用いられている。
ここで、シリコン等の材料は、リチウムの吸蔵/放出に伴って、膨張/収縮を繰り返すと考えられている。集電体上にシリコン薄膜を形成した負極では、集電体と負極材料層との密着性が高いため、負極材料の膨張/収縮に伴う集電体の膨張/収縮が頻繁に行われることになる。このため、充放電に伴って負極材料層及び集電体に皺等の不可逆的な変形が発生するおそれがある。特に、集電体に銅箔等の延性に富んだ金属箔を用いた場合、変形の程度が大きくなる傾向にある。負極が変形すると、電極としての体積が増加して電気化学反応が不均一になる等の理由から、電池のエネルギー密度が低下するおそれがある。また、充放電に伴う膨張/収縮を繰り返す間に、負極材料が微粉化して集電体から脱離したり、場合によっては薄膜状のまま脱離したりするおそれもあり、電池の充放電サイクル特性が悪化する要因となる。
負極の変形を抑制する方法としては、引張り強さや引張り弾性率等の機械的強度が高い材料を集電体として用いる方法が挙げられる。しかしながら、このような材料からなる集電体上に、薄膜状の負極材料からなる負極材料層を形成した場合、負極材料層と集電体との密着性が不十分となり、十分な充放電サイクル特性が得られないおそれがある。このため、特許文献1には、負極材料と合金化する材料からなる中間層を集電体と負極材料層との間に配置し、中間層よりも機械的強度が高い集電体を用いることによって、充放電時における負極材料の脱離を抑制するとともに、皺等の発生を抑制する技術が開示されている。具体的には、中間層として銅層を用い、集電体としてニッケル箔が用いられている。
上記特許文献1以外にも、負極材料層としてシリコンに銅を固溶させた薄膜を用い、リチウムの吸蔵量を抑制することによって、リチウムを吸蔵した場合の負極材料の膨張を抑制する技術が開示されている(特許文献2参照)。また、負極材料層として、リチウムと合金化する金属と、リチウムと合金化しない金属とからなる合金薄膜を用い、リチウムの吸蔵量を抑制することによって、リチウムを吸蔵した場合の負極材料の膨張を抑制する技術が開示されている(特許文献3参照)。具体的には、リチウムと合金化して固溶体又は金属間化合物等を形成する金属として、Sn、Ge、Al、In、Mg、及びSi等が用いられ、リチウムと合金化しない金属として、Cu、Fe、Ni、Co、Mo、W、Ta、及びMn等が用いられている。
また、厚さ方向への変形量が5μm〜20μmである変形部が、1cmあたり10個以上形成され、且つ、変形部による開口率が4%以下である集電体を用いることによって、充放電に伴う電極の変形を抑制する技術が開示されている(特許文献4参照)。さらには、リチウムを可逆的に吸蔵/放出できる薄膜状の負極材料層の表面及び内部の少なくとも一方に、リチウム非吸蔵性材料を配置させる技術が開示されている(特許文献5参照)。
特開2002−083594号公報 特開2002−289177号公報 特開2002−373647号公報 特開2003−017069号公報 特開2005−196971号公報
しかしながら、上述の各種負極材料いずれをもってしても、十分な出力電圧、エネルギー密度、及び充放電サイクル特性を有する電池は得られていないのが現状である。従って、本発明の目的は、上述した従来技術とは異なる構成により、高い出力電圧と高いエネルギー密度を有し、且つ充放電サイクル特性に優れた電池の実現を可能とする負極基材、この負極基材を用いた二次電池、この負極基材の形成に用いられる樹脂組成物、及びこの負極基材の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、熱インプリント法により成形されたパターン化有機膜上に金属膜が形成された負極基材によれば、高い出力電圧と高いエネルギー密度を有し、且つ充放電サイクル特性に優れた電池を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、熱インプリント法により成形されたパターン化有機膜を備えた支持体に金属膜を形成してなることを特徴とする負極基材、この負極基材を用いた二次電池、この負極基材の形成に用いられる樹脂組成物、さらにはこの負極基材の製造方法を提供する。
本発明によれば、高い出力電圧と高いエネルギー密度を有し、且つ充放電サイクル特性に優れた電池の実現を可能とする負極基材、この負極基材を用いた二次電池、この負極基材の形成に用いられる樹脂組成物、さらにはこの負極基材の製造方法を提供できる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
<負極基材>
本発明に係る負極基材10の模式図を図1に示す。図1に示される通り、本発明に係る負極基材10は、支持体11と、パターン化有機膜12と、金属膜13とから構成される。より詳しくは、熱インプリント法により成形されたパターン化有機膜12を備えた支持体10に対して、金属膜13を形成してなることを特徴とする。
<支持体>
本発明に係る負極基材10に用いられる支持体11は、その表面上にパターン化有機膜12を形成できるものであればよく、特に限定されない。例えば、電子部品用の基板等の従来公知のものが用いられる。具体的には、シリコンウエハ、有機系又は無機系の反射防止膜が設けられたシリコンウエハ、磁性膜が形成されたシリコンウエハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。なお、これらの支持体は、銅、ニッケル、ステンレス、モリブデン、タングステン、チタン、及びタンタルから選ばれる少なくとも1種の元素を含む材料、金属箔、不織布、三次元構造を有する金属集電体等の集電体を兼ねてもよいし、これらの集電体上に形成されてもよい。
<有機膜>
本発明に係る負極基材10におけるパターン化有機膜12は、後述する樹脂組成物を熱インプリント法により成形することにより形成されるものである。
[樹脂組成物]
本発明に係る負極基材10におけるパターン化有機膜12の形成に用いられる樹脂組成物としては、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、アクリル樹脂、及びメタクリル樹脂の中から選ばれる少なくとも1種であれば特に限定されない。
前記樹脂組成物としては、例えば、ビスフェノールA型多官能エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンエポキシ樹脂などのエポキシ樹脂、フェノール類(フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、キシレノール、トリメチルフェノールなど)と、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド前駆体、プロピオンアルデヒド、2−ヒドロキシベンズアルデヒド、3−ヒドロキシベンズアルデヒド、4−ヒドロキシベンズアルデヒドなど)および/またはケトン類(メチルエチルケトン、アセトンなど)とを、酸性触媒存在下に縮合させて得られるノボラック樹脂、ヒドロキシスチレンの単独重合体、ヒドロキシスチレンと他のスチレン系単量体との共重合体、ヒドロキシスチレンとアクリル酸またはメタクリル酸あるいはその誘導体との共重合体などのヒドロキシスチレン樹脂、アクリル酸、メタクリル酸、あるいはその誘導体、またはこれらの共重合体などのアクリル系樹脂などが挙げられる。
樹脂成分の質量平均分子量は、支持体11上に有機膜を形成できる範囲内で適宜調整可能であるが、特に、ゲルパーミエーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算質量平均分子量(Mw)は、樹脂の種類にもよるが、パターン形成の点から好ましくは2,000〜100,000、より好ましくは3,000〜30,000である。
また、樹脂組成物は、有機溶剤を含有していることが好ましい。このような有機溶剤は、前述の樹脂を溶解し得る有機溶剤であれば特に限定されないが、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、あるいはこれらのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテル等の多価アルコール類およびその誘導体;ジオキサンのような環式エーテル類;および酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のエステル類、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
上記有機溶剤の中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2−ヘプタノン、乳酸メチル、乳酸エチル、及びγ−ブチロラクトンの中から選ばれる少なくとも1種の有機溶剤を用いることが好ましい。これらの溶剤を用いる場合、全有機溶剤中、50質量%以上とすることが望ましい。
[パターン化有機膜]
パターン化有機膜12は、前記樹脂組成物を、支持体11上にスピンナーを用いて塗布して有機膜を形成したのち、該有機膜に対して所定条件の下でモールド材を押圧し、該モールド材を離間する熱インプリント法を用いることにより、パターン化有機膜とされる。
なお、上記のようにして得られたパターン化有機膜12のアスペクト比は、0.1以上であることが好ましい。パターン化有機膜12のアスペクト比を0.1以上とすることにより、負極基材10の表面積を増大でき、後述するメッキ処理により形成される金属膜量を増大させることができる結果、さらなる高出力化、高エネルギー密度化が達成される。
前記モールド材としては、熱インプリント法に一般的に用いられるモールド材であれば特に限定されず、具体的には、石英、ケイ素、二酸化ケイ素、各種金属材料等からなるモールド材が使用可能である。また、あらかじめフッ素系又はシリコン系などの離型材を用いて、モールド材の表面を離型処理してもよい。
また、該モールド材を押圧する所定条件としては、熱インプリント法に一般的に用いられる条件であれば特に限定されるものではないが、通常は、基板を20〜250℃の範囲に加熱し、モールドを1〜1000Nの加圧条件下で所定時間押圧し、押圧状態を保持しつつ基板を冷却し、有機膜を硬化させた後、モールド材を有機膜から離間することにより行われる。また、モールド材の凸部に相当する有機膜の残膜部分については、パターン化有機膜形成後、酸素プラズマエッチング処理等により除去してもよい。パターン化有機膜12を形成した後、該パターン化有機膜を加熱処理してパターンを硬化させても良い。また、前記加熱処理の前に光照射(UVキュア)して表面を硬化させても良い。
[金属膜]
本発明に係る負極基材10における金属膜13は、メッキ処理により形成されるものが好ましいが、特に限定されるものではない。メッキ処理は従来公知のものが用いられ、上述のパターン化有機膜12上に金属膜13を形成できるものであれば特に限定されない。また、金属膜13は、多段階メッキ処理により複数の層から構成されていてもよい。このような金属膜を形成する工程、即ちメッキ処理工程は、好ましくは、洗浄工程、触媒化処理工程に続いて、無電解ニッケルメッキ、又は無電解銅メッキ工程を行い、さらに無電解錫メッキ工程、又は電解錫メッキ工程を含む。
本発明に好適なメッキ処理について、以下に具体的に説明する。
[洗浄工程]
先ず、パターン化有機膜12を備えた支持体11を、リン酸系溶液中に浸漬させて洗浄を行う。リン酸系溶液としては、リン酸ナトリウムなどが用いられる。浸漬時間は、30〜180秒とすることが好ましく、45〜90秒とすることがより好ましい。
[触媒化工程]
上記洗浄工程を経た支持体11を、所定濃度の塩化錫(SnCl)水溶液中に所定時間浸漬させる。塩化錫の濃度は、0.01g/dm〜0.10g/dmが好ましく、0.03g/dm〜0.07g/dmがより好ましい。また、浸漬時間は15〜180秒とすることが好ましく、30〜60秒とすることがより好ましい。
次いで、塩化錫(SnCl)水溶液中に所定時間浸漬させた支持体11を、所定濃度の塩化パラジウム(PdCl)水溶液中に所定時間浸漬させる。塩化パラジウムの濃度は、0.01g/dm〜0.3g/dmが好ましく、0.03g/dm〜0.07g/dmがより好ましい。また、浸漬時間は15〜180秒とすることが好ましく、30〜60秒とすることがより好ましい。
[無電解ニッケルメッキ工程]
上記触媒化工程を経た支持体11を、ニッケルメッキ浴中に浸漬させてニッケルメッキを行う。ニッケルメッキ浴としては、従来公知のものが用いられる。例えば、硫酸ニッケルを0.05M〜0.20M、次亜リン酸ナトリウムを0.10M〜0.30M、鉛イオンを0.05ppm〜0.30ppm、錯化剤を0.05M〜0.30M含有するニッケルメッキ浴が一例として挙げられる。錯化剤としては、カルボン酸類の錯化剤が好ましく用いられる。ニッケルメッキ浴の温度は、50℃〜70℃が好ましく、pHは4.0〜5.5が好ましい。pHの調整には水酸化ナトリウム、硫酸が用いられる。
なお、上記無電解ニッケルメッキの代わりに、無電解銅メッキを行ってもよい。銅メッキ浴としては、従来公知のものが用いられる。
[無電解銅メッキ工程]
上記触媒化工程を経た支持体11を、銅メッキ浴中に浸漬させて銅メッキを行う。銅メッキ浴としては、従来公知のものが用いられる。例えば、硫酸銅を0.02M〜0.10M、ホルマリンを0.10M〜0.40M、2,2’−ビピリジルを1.0ppm〜20.0ppm、界面活性剤(ポリエチレングリコールなど)を50.0ppm〜500ppm、錯化剤を0.20M〜0.40M含有する銅メッキ浴が一例として挙げられる。錯化剤としては、エチレン−アミン系の錯化剤が好ましく用いられる。銅メッキ浴の温度は、50℃〜70℃が好ましく、pHは11.5〜12.5が好ましい。また、空気通気による攪拌を行うのが好ましい。pHの調整には水酸化カリウム、硫酸が用いられる。
[無電解錫メッキ工程]
上記無電解ニッケルメッキ、又は無電解銅メッキ工程を経た支持体11を、錫メッキ浴中に浸漬させて錫メッキを行うことにより、パターン化有機膜12上に金属膜13が形成される。錫メッキ浴としては、従来公知のものが用いられる。例えば、塩化錫を0.02M〜0.20M、三塩化チタンなどの還元剤を0.02M〜0.08M、クエン酸3ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム(EDTA−2Na)、ニトリロ三酢酸(NTA)などの錯化剤を0.10M〜0.50M含有する錫メッキ浴が一例として挙げられる。錫メッキ浴の温度は、45℃〜70℃が好ましく、pHは6.5〜8.5が好ましい。pHの調整には炭酸ナトリウム又はアンモニアと塩酸が用いられる。なお、錫メッキ処理は、窒素雰囲気下で行われるのが好ましい。
[電解錫メッキ工程]
なお、上記無電解錫メッキの代わりに、電解錫メッキを行ってもよい。このような錫メッキ工程としては、上記無電解ニッケルメッキ、又は無電解銅メッキ工程を経た支持体11を、錫メッキ浴中に浸漬、通電させて電解錫メッキを行うことにより、パターン化有機膜12上に金属膜13が形成される。電解錫メッキ浴としては、従来公知のものが用いられる。例えば、レイボルド株式会社の市販メッキ液、スタータークルモ錫メッキ浴が一例として挙げられる。錫メッキ浴の温度は、10℃〜28℃が好ましく、pHは1.0〜1.5とすることが好ましい。また、適用電流密度は0.5A/dm〜6.0A/dmが好ましい。
[二次電池]
上記負極基材10は、二次電池用負極基材、特にリチウム二次電池用負極基材として好適に用いられる。リチウム二次電池は、電解液として有機溶媒及びリチウム塩を用い、負極と正極との間で行われるリチウムイオン(Li)の移動による電荷の授受により、充放電がなされる二次電池であり、出力電圧が高く、エネルギー密度が高いという利点を有する。従来のリチウム二次電池では、通常、負極として炭素、正極として遷移金属酸化物リチウム化合物が用いられていたが、近年ではさらなる高出力、高エネルギー密度を求めて負極材料の検討が進められている。負極材料は、薄膜を形成することができ、且つリチウムを可逆的に吸蔵/放出できるものであることが必要であるところ、上記負極基材10はこれらの要求を満たすため、好適に用いられる。ここで、「吸蔵」とは、リチウムを可逆的に内包したり、リチウムと可逆的に合金、固溶体等を形成したり、リチウムと可逆的に化学結合したりすることである。
上記負極基材10を、リチウム二次電池の負極材料として利用する際には、負極基材10を集電体上に積層して負極を形成することが必要である。ただし、上記支持体11が導電性を有するものであればその必要はなく、支持体11が集電体となり得る。集電体は、導電性を有するものであればよく、その材料や構造等は特に限定されない。従来一般的なリチウム二次電池に用いられる集電体が用いられる。好ましくは、上記負極基材10との密着性が良好なものである。また、リチウムと合金化しない材料であることが好ましい。具体的には、銅、ニッケル、ステンレス、モリブデン、タングステン、チタン、及びタンタルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む材料が挙げられる。また、金属箔、不織布、三次元構造を有する金属集電体等の構造が好ましい。特に、金属箔を用いることが好ましく、具体的には、銅箔等を用いることが好ましい。集電体の厚さは特に限定されない。
一般に、集電体上に薄膜状の負極材料層を積層して形成された負極では、粒子状の負極材料を結着剤等とともに集電体上に積層した負極に比べ、内部抵抗を低減できる。即ち、上記負極基材10を集電体上に積層して形成された負極によれば、発電特性が高いリチウム二次電池が得られる。しかしながら、集電体上に薄膜状の負極材料層を積層した負極では、負極材料層と集電体との密着性が大きいため、充放電に伴う負極材料層の膨張/収縮によって、負極材料層や集電体に皺等の変形が発生するおそれがある。特に、銅箔等の延性に富んだ金属箔を集電体に用いた場合、変形の程度がより大きくなる傾向にある。このため、薄膜状の負極材料層を集電体上に単に積層するだけでは、電池としてのエネルギー密度が低下したり、充放電サイクル特性が悪化するおそれがある。
これに対して、本発明に係る上記負極基材10は、パターン化有機膜12上に金属膜13が積層された構造を有するため、リチウムの吸蔵/放出に伴って金属膜13が膨張/収縮することにより生ずる応力は、パターン化有機膜12の緩衝作用により緩和される。このため、充放電時に生ずる応力の増大を抑制することができる結果、負極基材や集電体における皺等の変形の発生を抑制できる。ひいては、負極基材10の亀裂や集電体からの剥離を抑制できる。即ち、上記負極基材10を集電体上に積層して形成された負極によれば、高い出力電圧と高いエネルギー密度を有し、且つ充放電サイクル特性に優れたリチウム二次電池が得られる。
なお、負極以外の構成については特に限定されず、従来公知のリチウム二次電池と同様の構成でよい。具体的には、リチウムを可逆的に吸蔵/放出できる正極、リチウム伝導性を有する電解質から主に構成される。電解質は、必要によりセパレータによって保持され、セパレータに保持された状態で負極及び正極と接触し、リチウムの交換が行われる。
正極は、リチウムを可逆的に吸蔵/放出できる限り特に限定されず、リチウム二次電池に一般的に用いられる正極が用いられる。具体的には、集電体上に正極材料層を積層した正極を用いればよい。例えば、正極材料と導電剤、結着剤とを分散溶媒中に分散させてスラリー状とし、集電体上に塗布した後に乾燥させることにより形成される。集電体、正極材料層の厚さは特に限定されず、電池設計容量等に応じて任意に設定される。
正極材料も特に限定されず、リチウムと遷移元素とを含む酸化物等の従来公知のものが用いられる。具体的には、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn、LiCo0.5Ni0.5等が用いられる。導電剤は、電気伝導性を有する材料であれば特に限定されず、例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛粉末等が用いられる。結着剤は、正極を形成した後に正極材料層の形状を保持できるものであれば特に限定されず、ゴム系結着剤や、フッ素樹脂等の樹脂系結着剤が用いられる。
セパレータは、リチウム伝導性を有する電解質を保持することができ、負極と正極との間の電気的な絶縁を保つことができるものであればよく、その材料や構造等は特に限定されない。例えば、多孔質ポリプロピレン薄膜、多孔質ポリエチレン薄膜等の多孔質性樹脂薄膜や、ポリオレフィン等を含む樹脂製不織布等が用いられる。
電解質は、リチウム伝導性を有するものであればよく、特に限定されない。例えば、リチウムを含む電解質を非水溶媒に溶解させた非水電解質溶液が用いられる。リチウムを含む電解質としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO等のリチウム塩が用いられる。非水溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状炭酸エステル、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状炭酸エステル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、エトキシメトキシエタン等の鎖状エーテル、γ−ブチロラクトン等の環状エステル、酢酸メチル等の鎖状エステル、又はこれら非水溶媒の混合溶媒が用いられる。非水電解質溶液の濃度は特に限定されない。電解質として、ポリマー電解質や固体電解質等を用いてもよい。
本発明に係る上記負極基材10を負極として利用したリチウム二次電池は、コイン形、円筒形、角形、あるいは平板形の電池等の様々な形状とすることができる。また、その容量も特に限定されず、精密機器等に用いる小型の電池からハイブリッド自動車等に用いる大型の電池にまで適用できる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
多官能ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂である「エピコート157S70(商品名:ジャパンエポキシレジン社製)」100質量部、ジフェニル〔4−(フェニルチオ)フェニル〕スルホニウムヘキサフルオロフォスフェートとチオジ−p−フェニレンビス(ジフェニルスルホニウム)ビス(ヘキサフルオロホスフェート)の混合物である「UVI−6992(商品名:ダウケミカル社製)」5質量部、1,5−ジヒドロキシナフタレン5質量部、及びγ−ブチロラクトン43質量部を混合してネガ型ホトレジスト組成物を調整した。
このネガ型ホトレジスト組成物をシリコンウエハ上にスピンコーターで塗布後、ホットプレートにより60℃で5分及び90℃で5分プリベークして、30μmの膜厚を有する有機膜を得た。この有機膜を90℃にてNM401 Imprinter(明昌機工社製)を用いてSiモールド材を有機膜上に200Nの押圧条件で1分間で押圧した。その後、基板を23℃まで冷却させ、続いて該モールド材を有機膜から離間することにより、直径10μm(ピッチ20μm)のピラー形状のパターン化有機膜を形成した。
このパターン化有機膜が形成されたシリコンウエハを、リン酸ナトリウム溶液中に60秒間浸漬して洗浄処理を行った。続いて、上記洗浄工程を経たシリコンウエハを、0.05g/dmの塩化錫(SnCl)水溶液中に60秒間浸漬させ、さらに、0.05g/dmの塩化パラジウム(PdCl)水溶液中に60秒間浸漬させることにより、触媒化工程を行った。
次いで、上記触媒化工程を経たシリコンウエハを、硫酸ニッケル0.20M、次亜リン酸ナトリウム0.30M、鉛イオン0.30ppm、カルボン酸類の錯化剤0.30Mからなるニッケルメッキ浴中に浸漬させてニッケルメッキ処理を行った。なお、このときのニッケルメッキ浴の温度は70℃とし、pHは5.5に調整した。
さらに、上記無電解ニッケルメッキ工程を経たシリコンウエハを、塩化錫を0.20M、三塩化チタン等の還元剤を0.08M、クエン酸3ナトリウム0.50Mからなる錫メッキ浴中に浸漬させて錫メッキ処理を行った。なお、このときの錫メッキ浴の温度は70℃とし、pHは8.5に調整した。
〔実施例2〕
実施例1で使用したネガ型ホトレジスト組成物を、以下のポジ型ホトレジスト組成物とした以外は、実施例1と全く同様の操作にて負極基材を形成した。
[2−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−2,3−ジヒドロチオフェン−3−イリデン](o−トリル)アセトニトリル(IRGACURE PAG103(商品名):チバスペシャリティケミカルズ社製)1質量部、下記構造式(z1)で表される酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する樹脂40質量部、m−クレゾールとp−クレゾールとをホルムアルデヒドと酸触媒の存在下で付加縮合して得たノボラック樹脂60質量部、及び1,5−ジヒドロキシナフタレン1質量部を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに均一に溶解させ、孔径1μmのメンブレンフィルターを通して濾過し、固形分質量濃度40質量%のポジ型ホトレジスト組成物を得た。
Figure 2009123379
上記実施例1〜2にて得られた負極基材を用い、以下の手法で非水電解液二次電池を作製した。この電池の1〜3サイクル後の放電容量を以下の方法で測定した。結果を以下の表1に示す。
実施例で得た負極基材を作用極とし、対極(正極)としてLiCoOを用い、両極を、セパレータを介して対向させた。非水電解液としてLiPF6/エチレンカーボネートとジメチルカーボネートの混合液(1:1容量比)を用いて常法により非水電解液二次電池を作製した。この非水電解液二次電池は、正極と負極との容量比は1:1であった。
1〜3サイクル後の各放電容量として単位容積当たりの放電容量(mAh/cm)を測定した。単位容積当たりの放電容量は、負極の体積を基準とした。但し、充電時の負極の膨張は考慮しなかった。
Figure 2009123379
上記負極基材に対して、実施例の錫メッキ処理を施した負極基材の表面積は、平面状にメッキ処理を施した場合の約190%であった。
本発明に係る負極基材によれば、高い出力電圧と高いエネルギー密度を有し、且つ充放電サイクル特性に優れた電池の実現が可能であり、例えば、携帯機器等に用いる小型の電池から、ハイブリッド自動車等に用いる大型の電池まで、容量を問わず、各種用途に用いることができる。
本発明に係る負極基材の模式図である。
符号の説明
10 負極基材
11 支持体
12 パターン化有機膜
13 金属膜

Claims (10)

  1. 熱インプリント法により成形されたパターン化有機膜を備えた支持体に金属膜を形成してなることを特徴とする負極基材。
  2. 前記パターン化有機膜が、アスペクト比0.1以上のパターン化有機膜であることを特徴とする請求項1に記載の負極基材。
  3. 前記パターン化有機膜が、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、アクリル樹脂、及びメタクリル樹脂の中から選ばれる少なくとも1種を熱インプリント法により成形したパターン化有機膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載の負極基材。
  4. 前記金属膜が、メッキ処理により形成された金属膜であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の負極基材。
  5. 前記メッキ処理が、無電解銅メッキ処理、無電解ニッケルメッキ処理、無電解錫メッキ処理、及び電解錫メッキ処理よりなる群から選ばれた少なくとも1種のメッキ処理であることを特徴とする請求項4に記載の負極基材。
  6. 前記メッキ処理が、無電解銅メッキ処理及び無電解ニッケルメッキ処理のうち少なくとも1種のメッキ処理と、無電解錫メッキ処理及び電解錫メッキ処理のうち少なくとも1種のメッキ処理とを含む多段階メッキ処理であることを特徴とする請求項4又は5に記載の負極基材。
  7. 前記負極基材が、二次電池用負極基材であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の負極基材。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の負極基材と、電解質と、この電解質を吸蔵及び放出できる正極基材とを含むことを特徴とする二次電池。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載のパターン化有機膜の形成に用いられる樹脂組成物であって、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、アクリル樹脂、及びメタクリル樹脂の中から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする樹脂組成物。
  10. 負極基材の製造方法であって、
    (i)支持体上に、請求項9に記載の樹脂組成物を塗布し、有機膜を形成する工程と、
    (ii)前記有機膜を加熱処理するとともに、モールドを押圧し、パターン化有機膜を形成する工程と、
    (iii)前記パターン化有機膜上にメッキ処理により金属膜を形成するメッキ処理工程と、
    を含むことを特徴とする負極基材の製造方法。
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