JP2007273249A - リチウムイオン二次電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来に比しコスト安に安全で且つ高エネルギー密度のリチウムイオン二次電池を得ることができる極めて実用性に秀れたリチウムイオン二次電池の製造方法を提供する。
【解決手段】正極1と負極2とが無機固体電解質3を介して設けられるリチウムイオン二次電池の製造方法であって、ナノインプリント法を用いて前記正極1若しくは前記負極2いずれか一方の電極の表面を三次元形状化し、続いて、この表面が三次元形状化された電極上に無機固体電解質3を設け、続いて、この無機固体電解質3上に他方の電極を設けるもの。
【選択図】図2
【解決手段】正極1と負極2とが無機固体電解質3を介して設けられるリチウムイオン二次電池の製造方法であって、ナノインプリント法を用いて前記正極1若しくは前記負極2いずれか一方の電極の表面を三次元形状化し、続いて、この表面が三次元形状化された電極上に無機固体電解質3を設け、続いて、この無機固体電解質3上に他方の電極を設けるもの。
【選択図】図2
Description
本発明は、リチウムイオン二次電池の製造方法に関するものである。
現在、携帯電話やノートパソコンで実用化されているリチウムイオン二次電池の電解質としては、非水系電解液溶媒や、それを高分子ポリマーに保持させたゲル電解質が用いられている。この非水系電解液溶媒は、プロピレンカーボネート(PC),エチレンカーボネート(EC),ジエチルカーボネート(DEC),エチルメチルカーボネート(EMC),ジメチルカーボネート(DMC)等、有機溶媒にリチウム塩を溶解したものである。
ところが、これら非水系電解液溶媒は可燃性を有しており、爆発引火する可能性がある。そこで、この問題を解決するために電解質として無機固体電解質を用いることが検討されている。
一方、稼働時間を長くするためにエネルギー密度の向上も要望されており、その具体的手段として、例えばFardad Chamram etc,“Proc.208th ECS Meeting 3D Micro-and Nanoscale Battery Architectures”,1226(2005)(非特許文献1)に開示されているような電極の3次元化が提案されている。
即ち、従来の電極は平面であったため、エネルギー密度を高くするためには電極の面積を大きくするか、複数個の電池を組み合わせるしか方法がなく、そのため、電池が大型化することは避けられず、小型携帯機器等への搭載には適さなかったが、電極を三次元化することで、電極の表面積を飛躍的に増加させることが可能となり、高いエネルギー密度を有する電池の製造が可能となった。
Fardad Chamram etc,"Proc.208th ECS Meeting 3D Micro-and Nanoscale Battery Architectures",1226(2005)
ところが、三次元電極は電極の表面積を大きくする点では非常に有効な手段ではあるが、その製造方法として、リソグラフィー,MEMS(Micro Electro-Mechanical Systems),マイクロシニング技術等の半導体製造技術を用いているため、コストが高いという課題があった。更に、上記製造方法では電極の三次元形状をミクロンオーダーとすることが限界であり、必然的に表面積を大きくすることにも限界があった。
本発明は、上述のような現状に鑑み、ナノインプリント技術を用いることでナノオーダーサイズの三次元形状の形成が可能となり、また、製造が上記従来の方法に比しコスト安に行え、しかも、無機個体電解質を用いるため安全で且つ電池の内部抵抗を低下させることができる極めて実用性に秀れたリチウムイオン二次電池の製造方法を提供するものである。
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
正極1と負極2とが無機固体電解質3を介して設けられるリチウムイオン二次電池の製造方法であって、ナノインプリント法を用いて前記正極1若しくは前記負極2いずれか一方の電極の表面を三次元形状化し、続いて、この表面が三次元形状化された電極上に無機固体電解質3を設け、続いて、この無機固体電解質3上に他方の電極を設けることを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法に係るものである。
また、請求項1記載のリチウムイオン二次電池の製造方法において、前記表面が三次元形状化された電極上に薄膜状の前記無機固体電解質3を積層することを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法に係るものである。
また、請求項1,2いずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法において、前記表面が三次元形状化される電極を構成する活物質としてシリコンが採用されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法に係るものである。
また、請求項3記載のリチウムイオン二次電池の製造方法において、前記シリコンとしてアモルファスシリコン若しくはポリシリコンが採用されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法に係るものである。
また、請求項1〜4いずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法において、前記三次元形状は、微細な柱状体を多数並設して成る形状であることを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法に係るものである。
また、請求項5記載のリチウムイオン二次電池の製造方法において、前記微細な柱状体の高さ:直径(または幅)比は2:1以上に設定されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法に係るものである。
また、請求項1〜6いずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法において、前記表面が三次元形状化された電極上に三次元形状が消失しないように前記無機固体電解質3を設け、続いて、この無機固体電解質3上に三次元形状が消失しないように他方の電極を設け、続いて、この残存する三次元形状を充填剤6で埋めることを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法に係るものである。
本発明は上述のようにしたから、ナノオーダーサイズの微細な三次元形状を形成でき、安価に大表面積を有する電極を形成することができ、更に、電池の内部抵抗を低下させることができ、よって、従来に比しコスト安に安全で且つ高エネルギー密度のリチウムイオン二次電池を得ることができる極めて実用性に秀れたリチウムイオン二次電池の製造方法となる。
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
安価に微細加工が可能なナノインプリント法を用いることで、ナノオーダーサイズの微細な三次元形状を形成でき、安価に大表面積を有する電極(正極1及び負極2)を形成可能となる。また、無機固体電解質3を用いるため、爆発引火の可能性がないのは勿論、薄膜化が可能となり、電池の内部抵抗を低下させることが可能となる。従って、本発明は、安全で且つエネルギー密度が高いリチウムイオン二次電池を安価に得ることができる極めて実用性に秀れたものとなる。
以下、本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
本実施例は、正極1と負極2とが無機固体電解質3を介して設けられるリチウムイオン二次電池の製造方法であって、ナノインプリント法を用いて前記負極2の表面を三次元形状化し、続いて、この表面が三次元形状化した負極2上に薄膜状の無機固体電解質3を積層し、続いて、この無機固体電解質3上に薄膜状の正極1を積層した後、この正極1の表面に残存する三次元形状を充填剤6により埋めるものである。
リチウムイオン二次電池は、図1に図示したように、正極活物質1aと正極集電体1bとから成る正極1と、負極活物質2aと負極集電体2bとから成る負極2との間に電解質(無機固体電解質3)が挟持配設された構成である。この負極活物質1aと正極活物質2aとの間を電解質(無機固体電解質3)を介してリチウムイオンが移動することで正極集電体1b及び負極集電体2bを介して電流が充放電される。
ナノインプリント法とは、所定の(ナノオーダーサイズの)凹凸パターン(三次元形状)を形成したモールド(型)を、基板上の固体若しくは液体樹脂等へ押し付けて前記凹凸パターンを転写する方法である。
ナノインプリント法を用いて形成する3次元形状としては、例えば、円柱形状,多角形柱状,ストライプ(線)形状等を面方向に多数並設した形状がある。本実施例においては、特に表面積,機械的強度,形成のし易さに秀れた円柱形状を面方向に多数並設した形状が採用されている。円柱形状のアスペクト比(高さと直径の比)は、2:1以上、好ましくは5:1以上に設定すると良く、機械的強度や形成上の問題がない限り、アスペクト比は大きい方が好ましい。
ナノインプリント法には、主に熱ナノインプリント法と光ナノインプリント法とがある。前者は例えば「Stephen.Y.Chou,et.al.,Applied Physics Letters,Vol.67(21),20 November 1995 pp3114-3116」や「USP5,772,905」に開示されるように固体の熱可塑性樹脂を用いる方法である。後者は例えば「M.Colburn,et.al.,Proc.of SPIE 3676,378(1999)」に開示されるように液体の光硬化性樹脂を用いる方法である。
熱ナノインプリント法は、基板上に熱可塑性樹脂を塗布し、樹脂のガラス転移点温度以上に加熱して樹脂を軟化させてから、モールドを樹脂に押し付け、そのままの状態で温度を下げて樹脂を硬化させた後、モールドを剥離することで、基板上にモールドの三次元形状と凹凸形状が反転したパターンを形成するものである。モールド材料としては、Si,SiO2/Si,SiC,Ni等を用いることができ、熱可塑性樹脂としては、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)等を用いることができる。
また、負極活物質2aとなる上記基板の材料としては、金属リチウムや、リチウムと合金化して成るLiAl系,LiAg系,LiPb系,LiSi系合金がある。また、黒鉛や、樹脂を焼成炭素化した難黒鉛化炭素,コークスを熱処理した易黒鉛化炭素,フラーレン等の一般炭素材料を用いることができる。
これらの中で特にSiは半導体材料において各種加工方法に適用でき、微細加工を行う基板として非常に秀れているため、ナノインプリント法には好ましい。更に、Siは、理論的な充放電容量が黒鉛の約370mAh/gに対して約3000mAh/gと大きいことからも負極活物質の材料として好ましい。
一方、理論的容量の大きい材料は、充放電に伴う膨張収縮率が極めて大きいため、活物質が微粉化して集電特性が悪化するので、十分な充放電サイクル特性が得られないという問題が生じることがある。この現象は活物質が結晶構造の場合により起こり易いため、Siとしては、結晶Siより、a−Si(アモルファスシリコン)やp−Si(ポリシリコン)を用いる方が好ましい。本実施例においては、a−Siが採用されている。
本実施例においては、上記熱ナノインプリント法を用い、具体的には以下のようにして三次元形状を形成する。
負極活物質2aとしてのa−Si基板の表面にPMMA4を塗布し(図2(a))、続いて、a−Si基板をPMMA4のガラス転移点温度(105℃)以上に加熱して前記PMMA4を軟化させ、続いて、上記三次元形状(負極表面の三次元形状と反転した形状)が形成されたSiモールド5を前記PMMA4に押し付け(図2(b))、加圧した状態を保ったまま冷却して前記PMMA4を硬化させて前記Siモールド5の前記三次元形状を転写し(図2(c))、続いて、硬化した前記PMMA4からSiモールド5を剥離し(図2(d))、a−Si基板上の凹部に残ったPMMA4の残膜を除去し(図2(e))、a−Si基板表面を露出させた後、a−Si基板上の凸部に残ったPMMA4をマスクとしてa−Si基板表面をドライエッチングし、続いて、a−Si基板上のPMMA4残膜を全て除去することで(図2(f))、負極2の表面(a−Si基板の電解質側の面)を三次元形状化する(凹凸を形成する)。
尚、光ナノインプリント法は、基板上に光硬化性樹脂を塗布し、該光硬化性樹脂にモールドを押し付けた状態で常温でUV光を照射して光硬化性樹脂を硬化させた後、該光硬化性樹脂からモールドを剥離することで、パターンを形成するものである。モールド材料としては、紫外線を透過できる石英を用いることができ、光硬化性樹脂としてはアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等を用いることができる。光ナノインプリント法は熱ナノインプリントと比べて紫外光を照射するだけで樹脂の硬化が可能であるのでスループットが高い。更に石英モールドを用いているため、モールドを通して基板との位置合わせができる。
続いて、この負極活物質2aの裏面(上述のようにして三次元形状化された前記表面の反対面)に、負極集電体2bとしてのCu薄膜を設ける(図3(a))。この負極集電体2bとしてのCu薄膜と前記負極活物質2aとしてのa−Siとにより負極2が構成される。尚、本実施例においてCu薄膜は、負極活物質2a表面を三次元形状化した後に設けているが、いずれの時点で設けても良い。
続いて、負極2表面(負極活物質2a表面)に、無機固体電解質3を設ける。無機固体電解質材料としては、LiPON等のリン酸リチウム系、Li2S−P2S5,thio−LISICON等の硫化リチウム系、LiNbO3とLiTaO3等の複合酸化物系を用いることができる。本実施例においては、Li3PO4(リン酸リチウム)が採用されており、具体的には、薄膜状のLi3PO4を前記負極2表面に積層する(図3(b))。従って、この薄膜状のLi3PO4を積層した状態では、依然表面には三次元形状が存在する。
尚、無機固体電解質材料は、通常10μm程度の微粒子であり、正極活物質若しくは負極活物質に加圧着することによって使用することもできるが、薄膜化して使用した方が電池の内部抵抗を低下させることができるため好ましい。
続いて、無機固体電解質3上に、正極活物質1aを設ける。正極活物質材料としては、LiCoO2等のリチウム・コバルト系複合酸化物,LiNiO2等のリチウム・ニッケル系複合酸化物,LiMn2O4等のリチウム・マンガン系複合酸化物,V2O5等のリチウム・バナジウム系複合酸化物,LiFeO2等のリチウム・鉄系複合酸化物を用いることができる。本実施例においては、LiCoO2が採用されており、具体的には薄膜状のLiCoO2を前記無機固体電解質3上に積層する。従って、この薄膜状のLiCoO2を積層した状態では、依然表面には三次元形状が存在する。
続いて、この正極活物質1aの表面(無機固体電解質3との接触面の反対面)に、正極集電体1bとしてのAl薄膜を設ける。従って、この薄膜状のAlを積層した状態では、依然表面には三次元形状が存在する。この正極集電体1bとしてのAl薄膜と前記正極活物質1aとしてのLiCoO2とにより無機固体電解質3上に正極1が構成される(図3(c))。
また、薄膜状の正極活物質若しくは負極活物質や無機固体電解質を形成するためには、スパッタリング法,CVD法,蒸着法,ゾル−ゲル法等を用いることができる。特にスパッタリング法とCVD法が成膜のし易さから好ましい。
続いて、正極1表面に残存する三次元形状を埋めるための充填剤6を設けて、電池表面を平坦化する(図3(d))。表面が三次元形状化した電極は、平板(二次元形状)の電極と比べて機械的強度が弱いが、三次元形状の隙間(凹凸パターンの凹部)に充填剤6を充填して該隙間を埋めることで平板と同程度まで機械的強度が補強される。
充填剤6としては、柱状構造が内部応力による破壊を受けないことと、電荷が蓄積されないこととを基準として、低誘電率樹脂を充填したり、酸化膜や窒化膜等を成膜したり堆積したりして形成することができる。本実施例においては、酸化膜が採用されている。
本実施例は上述のようにしたから、安価に微細加工が可能なナノインプリント法を用いることで、ナノオーダーサイズの微細な三次元形状を形成でき、安価に大表面積を有する電極(正極1及び負極2)を形成可能となる。また、無機固体電解質3を用いるため、爆発引火の可能性がないのは勿論、薄膜化が可能となり、電池の内部抵抗を低下させることが可能となる。
従って、本実施例は、安全で且つエネルギー密度が高いリチウムイオン二次電池を安価に得ることができる極めて実用性に秀れたものとなる。
本実施例の効果を裏付ける実験例について説明する。
[実施例1]
・電極形成工程
Siモールドの表面に、直径100nmの円柱体が500nmピッチで碁盤の目状に並設されたパターンを電子ビームで描画し、ドライエッチングを用いて加工することで凸型を作製した。
・電極形成工程
Siモールドの表面に、直径100nmの円柱体が500nmピッチで碁盤の目状に並設されたパターンを電子ビームで描画し、ドライエッチングを用いて加工することで凸型を作製した。
負極活物質としてa−Si基板を採用し、このa−Si基板の表面にPMMAを塗布した。続いて、a−Si基板をPMMAのガラス転移点温度(105℃)以上の140℃に加熱してPMMAを軟化させた。続いて、事前に準備したSiモールドを約10MPaの圧力でPMMAに押し付け、加圧した状態を保ったまま冷却してPMMAを硬化させ、Siモールドの前記パターンを転写した。続いて、硬化したPMMAからSiモールドを剥離し、Si基板上の凹部に残ったPMMAの残膜を酸素の反応性イオンエッチング(RIE)で除去し、a−Si基板表面を露出させた。その後、a−Si基板上の凸部に残ったPMMAをマスクとしてa−Si基板表面をドライエッチングし、続いて、a−Si基板上のPMMA残膜を全て除去して直径約100nm,高さ約500nmの円柱体が約500nmピッチで碁盤の目状に並んだ三次元表面形状を有する負極活物質を得た。この負極活物質に負極集電体としてのCu薄膜を成膜し負極とした。尚、このCu薄膜の成膜は電極形成工程の前後に行っても良いし、後記充填工程の前後に行っても良い。
・成膜工程
上記表面が三次元形状化された負極上に無機固体電解質及び正極活物質を成膜した。この際、無機固体電解質にはLi3PO4を、正極活物質にはLiCoO2を用いた。また、正極活物質上に、Alを正極集電体として成膜した。
上記表面が三次元形状化された負極上に無機固体電解質及び正極活物質を成膜した。この際、無機固体電解質にはLi3PO4を、正極活物質にはLiCoO2を用いた。また、正極活物質上に、Alを正極集電体として成膜した。
負極上への無機固体電解質,正極活物質及び正極集電体の成膜は以下のようにして行った。
負極を真空槽内に入れ、この三次元形状化された負極表面が蒸発源(ターゲット)であるLi3PO4無機固体電解質結晶側となるように配置し、排気する。圧力が1×10−4Pa以下になった時点でアルゴンガスを導入し、圧力が1×10−1Pa前後を維持するように制御する。蒸発源であるLi3PO4無機固体電解質結晶の焼結体は内部に水冷管を設けた銅製の板上に配置される。この銅板には13.6MHzの高周波電源を接続する。電源からの出力を上げていきながらターゲット表面をプレスパッタにより清浄化する間はシャッターでターゲット表面を遮蔽しておく。続いて、シャッターを開き、ターゲット表面から蒸発した無機固体電解質を三次元形状化した負極表面に堆積させる。膜厚が100nmに達したらシャッターを閉じて高周波電源への給電を停止する。
正極活物質に用いられるLiCoO2を成膜する場合も同様であるが、この場合、導入するガスはアルゴンと酸素との混合ガスとする。正極集電体のAlはアルゴンガスのみによりスパッタリングを行って成膜する。膜厚はいずれも50nmとした。
・充填工程
正極集電体であるAl膜の成膜が終了した後、ターゲット表面をシャッターで遮蔽してアルゴンガスを導入し、圧力を1×10−1〜1Paに設定する共に、前記Al膜から20〜100mm離れた空間にアンテナを配設し、該アンテナに2.4GHzのマイクロ波電源を接続し、電力を送って真空槽内のアルゴンを電離させプラズマ状態とした。続いて、導入されるアルゴンガスに酸素を混合していき、最終的にはモル比で1:1とした。続いて、別のガス系統から真空槽内にTEOS(テトラエトキシオルソシリケート)を導入し、プラズマのエネルギーによりTEOSを分解してAl面にシリカ薄膜を堆積させ、最終的には三次元構造の隙間を埋めた(三次元形状の凹部にシリカ薄膜を充填して表面を平坦化した)。
正極集電体であるAl膜の成膜が終了した後、ターゲット表面をシャッターで遮蔽してアルゴンガスを導入し、圧力を1×10−1〜1Paに設定する共に、前記Al膜から20〜100mm離れた空間にアンテナを配設し、該アンテナに2.4GHzのマイクロ波電源を接続し、電力を送って真空槽内のアルゴンを電離させプラズマ状態とした。続いて、導入されるアルゴンガスに酸素を混合していき、最終的にはモル比で1:1とした。続いて、別のガス系統から真空槽内にTEOS(テトラエトキシオルソシリケート)を導入し、プラズマのエネルギーによりTEOSを分解してAl面にシリカ薄膜を堆積させ、最終的には三次元構造の隙間を埋めた(三次元形状の凹部にシリカ薄膜を充填して表面を平坦化した)。
これにより、機械的強度の高い三次元構造を有する無機固体電解質を用いたリチウムイオン二次電池を得た。この構造では、10mm×10mm当たり、従来の二次元構造の電極と比べて表面積は約1.5倍であった。
[実施例2]
・電極形成工程
石英製モールドの表面に、直径100nmの円柱体が50nmピッチで碁盤の目状に並設されたパターンを電子ビームで描画し、ドライエッチングを用いて加工することで凸型を作製した。
・電極形成工程
石英製モールドの表面に、直径100nmの円柱体が50nmピッチで碁盤の目状に並設されたパターンを電子ビームで描画し、ドライエッチングを用いて加工することで凸型を作製した。
負極活物質としてa−Si基板を採用し、このa−Si基板の表面にアクリル系樹脂(レジスト)をスピンコートした。続いて、常温のままで事前に準備した上記石英製モールドを約0.08MPaの圧力でレジストに押し付け、石英製モールドを通じて紫外線(UV光)を照射した。レジストは約5秒で硬化し、石英製モールド剥離後のa−Si基板上に石英製モールドの前記パターンが転写された。続いて、a−Si基板上の凹部に残ったレジストの残膜を酸素の反応性イオンエッチングで除去し、基板表面を露出させた。その後、a−Si基板上の凸部に残ったレジストをマスクとしてa−Si基板表面をドライエッチングし、続いて、a−Si基板上のレジスト残膜を全て除去して直径約100nm,高さ約500nmの円柱体が約50nmピッチで碁盤の目状に並んだ三次元表面形状を有する負極活物質を得た。この負極活物質に負極集電体としてのCu薄膜を成膜し負極とした。尚、このCu薄膜の成膜は電極形成工程の前後に行っても良いし、後記充填工程の前後に行っても良い。
・成膜工程
上記表面が三次元形状化された負極上に、無機固体電解質及び正極活物質を成膜した。この際、無機固体電解質にはLi3PO4を、正極活物質にはLiMn2O4を用いた。また、正極活物質上に、Alを正極集電体として成膜した。
上記表面が三次元形状化された負極上に、無機固体電解質及び正極活物質を成膜した。この際、無機固体電解質にはLi3PO4を、正極活物質にはLiMn2O4を用いた。また、正極活物質上に、Alを正極集電体として成膜した。
負極上への無機固体電解質,正極活物質及び正極集電体の成膜は以下のようにして行った。
負極を真空槽内に入れ、この三次元形状化された負極表面が蒸発源(ターゲット)であるLi3PO4無機固体電解質結晶側となるように配置し、排気する。圧力が1×10−4Pa以下になった時点でアルゴンガスを導入し、圧力が1×10−3Pa前後を維持するように制御する。蒸発源であるLi3PO4無機固体電解質結晶はタングステンボート若しくはタングステン製の円筒内に配置され、ヒータにより加熱される。昇温中は蒸発源と負極表面との間をシャッターで遮蔽しておく。蒸発源が所定温度に達したらシャッターを開き、蒸発源から蒸発した無機固体電解質を負極表面に堆積させる。膜厚が5nmに達したらシャッターを閉じた後にヒーターへの給電を停止する。この間、負極は蒸発源に対して相対的に運動している状態を維持し、堆積速度の面内均一化を図る。
正極活物質に用いられるLiMn2O4を成膜する場合も同様であるが、この場合、圧力が1×10−4Pa以下になった時点で導入するガスはアルゴンのみとする。正極集電体のAlはガスを導入せず、高真空状態のまま成膜する。膜厚はいずれも5nmとした。
・充填工程
上記実施例1と同様に行った。
上記実施例1と同様に行った。
これにより、機械的強度の高い三次元構造を有する無機固体電解質を用いたリチウムイオン二次電池を得た。この構造では、10mm×10mm当たり、従来の二次元構造の電極と比べて表面積は約7倍であった。
以上から、ナノインプリント法を用いて負極表面を三次元形状化することにより、従来の二次元構造の電極に比し表面積を増大させることができ、それだけ高エネルギー密度のリチウムイオン二次電池を得られることが確認できた。
1 正極
2 負極
3 無機固体電解質
6 充填剤
2 負極
3 無機固体電解質
6 充填剤
Claims (7)
- 正極と負極とが無機固体電解質を介して設けられるリチウムイオン二次電池の製造方法であって、ナノインプリント法を用いて前記正極若しくは前記負極いずれか一方の電極の表面を三次元形状化し、続いて、この表面が三次元形状化された電極上に無機固体電解質を設け、続いて、この無機固体電解質上に他方の電極を設けることを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法。
- 請求項1記載のリチウムイオン二次電池の製造方法において、前記表面が三次元形状化された電極上に薄膜状の前記無機固体電解質を積層することを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法。
- 請求項1,2いずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法において、前記表面が三次元形状化される電極を構成する活物質としてシリコンが採用されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法。
- 請求項3記載のリチウムイオン二次電池の製造方法において、前記シリコンとしてアモルファスシリコン若しくはポリシリコンが採用されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法。
- 請求項1〜4いずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法において、前記三次元形状は、微細な柱状体を多数並設して成る形状であることを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法。
- 請求項5記載のリチウムイオン二次電池の製造方法において、前記微細な柱状体の高さ:直径(または幅)比は2:1以上に設定されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法。
- 請求項1〜6いずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法において、前記表面が三次元形状化された電極上に三次元形状が消失しないように前記無機固体電解質を設け、続いて、この無機固体電解質上に三次元形状が消失しないように他方の電極を設け、続いて、この残存する三次元形状を充填剤で埋めることを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法。
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