JP2009114325A - 封止用エポキシ樹脂成形材料及び半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)(c−1)特定構造を有するテトラキスフェノール系化合物と、(c−2)イミダゾール系化合物及び/又はアミン系化合物からなるエポキシ樹脂硬化促進剤との包接体、(D)無機充填剤、及び(E)特定の構造を有する加水分解性シリル基含有ケチミン化合物を含む封止用エポキシ樹脂成形材料、及びこの封止用エポキシ樹脂成形材料により封止されてなる半導体装置である。
【選択図】なし
Description
また、CSPやBGAを作製する際の樹脂封止工程も従来の1チップ1キャビティの封止方法に変わって、複数のチップを1キャビティで封止する、いわゆる一括モールド型の封止方法が開発され、生産効率の向上、低コスト化が図られている。
一方、封止材には、半導体装置をプリント基板へ表面実装する際の懸案事項である耐リフロー性や、実装後の信頼性として要求される温度サイクル性等を高いレベルでクリアすることが求められ、樹脂粘度の低減とこれによる充填剤の高充填化によって封止材に低吸湿化と低膨張化を付与し対応を図ってきた。そのような課題に対して低剪断領域での樹脂流動性を鑑みた組成提案がなされている(例えば、特許文献2参照)。
また、近年では、電子部品封止装置の生産において、その生産効率の向上からエポキシ樹脂封止材の硬化時間短縮が求められている。これと同時に、作業性の要求から常温において長時間放置しておいても、熱硬化時における樹脂の硬化性の劣化が少ないものが求められている。このような課題に対して、特定のリン化合物を用いた提案(例えば、特許文献3参照)、特定包接型触媒を用いた提案(例えば、特許文献4参照)がなされているが、前記の高流動性を鑑みた、要求されている信頼性に関して、また保存安定性の観点からも、充分に満足し得るものではない。
併せて、電子部品封止装置の生産において、その生産性効率の向上から求められているエポキシ樹脂封止材の硬化時間短縮、これと同時に、作業性の要求から常温において長時間放置しても、熱硬化時における樹脂の硬化性の劣化が少ないものが求められている。
本発明は、このような状況下になされたもので、常温保存性が極めて良好で、かつ樹脂の流動性に優れる半導体装置に用いられる封止用エポキシ樹脂成形材料、及びこれにより封止されたワイヤー流れ、ボイド等の成形不良の発生が少ない半導体装置を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
〔1〕(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)(c−1)一般式(1)
〔2〕(c−1)成分のテトラキスフェノール系化合物が、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン及び1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンの中から選ばれる少なくとも1種であり、(c−2)成分のエポキシ樹脂硬化促進剤が、2−エチル−4−メチルイミダゾール及び/又は2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールである上記〔1〕に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料、
〔3〕(A)エポキシ樹脂が、一般式(3)
〔4〕(B)フェノール樹脂が、一般式(4)
〔5〕(D)無機質充填剤のレーザー回折粒度分布測定装置で測定した粒度分布の頻度値が、3μm未満:15〜30質量%、3〜10μm:25〜35質量%、10μmを超える:40〜50質量%であり、1μm以上の粒子を対象とした質量換算平均粒径(D1)と数換算平均粒径(D2)の比が、5.0≦D1/D2≦9.0の間にあり、かつ無機充填剤の含有量が成形材料全体に対して50〜95質量%である上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料、及び
〔6〕上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料により封止されたことを特徴とする半導体装置、
を提供するものである。
[封止用エポキシ樹脂成形材料]
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料(以下、単に成形材料と称することがある。)は、下記の(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)(c−1)テトラキスフェノール系化合物と(c−2)エポキシ樹脂硬化促進剤との包接体、(D)無機充填剤及び(E)加水分解性シリル基含有ケチミン化合物を必須成分として含む成形材料である。
本発明の成形材料において、(A)成分として用いるエポキシ樹脂としては、1分子当たり、2個以上のエポキシ基を有し、半導体封止用成形材料に一般に用いられるものであればよく、特に制限はない。例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、並びにビスフェノールA、ビフェノールF又はビフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格を有する多官能のエポキシ樹脂、トリ又はテトラ(ヒドロキシフェニル)アルカンのエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂などを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組合わせて用いてもよいが、中でも得られる成形材料の流動性、耐リフロー性の観点から、一般式(3)
上記一般式(3)で表わされるビフェニル型エポキシ樹脂は、得られる成形材料の流動性や耐リフロー性の観点から、(A)成分のエポキシ樹脂中に、30質量%以上含有することが好まく、50質量%以上含有することがより好ましく、70質量%以上含有することがさらに好ましい。
また、当該(A)成分のエポキシ樹脂における全塩素含有量は1,500ppm以下であることが好ましく、1,000ppm以下であることがより好ましい。さらに、120℃で50質量%エポキシ樹脂濃度における20時間での抽出水塩素が5ppm以下であることが好ましい。全塩素含有量が1,500ppmを超えたり、抽出水塩素が5ppmを超えたりすると、半導体の耐湿信頼性が低下するおそれがある。
本発明の成形材料において、(B)成分として用いるフェノール樹脂としては、1分子当たり2個以上のフェノール性水酸基を有し、前記(A)成分のエポキシ樹脂を硬化させるものであって、半導体封止用材料に一般に用いられるものであればよく、特に制限はないが、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、ナフタレン型フェノール樹脂、シクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェノールアルカン型のフェノール樹脂などを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組合わせて用いてもよい。
これらの中で、流動性、難燃性の観点から、一般式(4)
上記一般式(4)において、R18のうちの置換若しくは非置換の一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基などの炭素数1〜10のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、トリル基、キシル基などの炭素数6〜10のアリール基、ベンジル基、フェネチル基などの炭素数7〜10のアラルキル基などが挙げられる。
上記一般式(4)で表わされるアラルキル型フェノール樹脂としては、流動性の観点から、R18が水素原子で、mの平均値が0〜8のものが好ましく、具体的には、p−キシリレン型フェノール・アラルキル樹脂、m−キシリレン型フェノール・アラルキル樹脂などが挙げられる。
このアラルキル型フェノール樹脂を使用する場合、(B)成分のフェノール樹脂全量中の当該アラルキル型フェノール樹脂の含有量は、流動性、難燃性の観点から、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
本発明の成形材料における前記(A)成分のエポキシ樹脂と(B)成分のフェノール樹脂の含有割合は、上記エポキシ樹脂中のエポキシ基1モルに対し、上記フェノール樹脂中のフェノール性水酸基が、好ましくは0.5〜1.6モル、より好ましくは0.6〜1.4モルになるように選定される。上記フェノール性水酸基の量が0.5モル以上であれば、形成する硬化物のガラス転移温度が良好であり、一方1.6モル以下であれば、反応性が良好で充分な架橋密度を有し、強度の高い硬化物を形成することができる。
本発明の成形材料における(C)成分の包接体(以下、包接化合物と称することがある。)は、下記の(c−1)成分であるテトラキスフェノール系化合物と、(c−2)成分であるエポキシ樹脂硬化促進剤との包接体であって、硬化促進剤として用いられる。
〈(c−1)テトラキスフェノール系化合物〉
本発明においては、(c−1)成分のテトラキスフェノール系化合物として、一般式(1)
上記一般式(1)において、R1〜R8は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又は置換されてもよいフェニル基を示す。ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基が挙げられる。炭素数1〜5のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、各種プロポキシ基、各種ブトキシ基、各種ペントキシ基を挙げることができる。置換されていてもよいフェニル基としては、フェニル基、あるいはハロゲン原子や低級アルキル基などの置換基を有するフェニル基を挙げることができる。nは0〜3の整数を示す。
また、これらのテトラキスフェノール系化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合わせて用いてもよい。
本発明において、前記(c−1)成分のテトラキスフェノール系化合物と包接体を形成するエポキシ樹脂硬化促進剤は、エポキシ基と反応してエポキシ樹脂を硬化させる化合物の硬化速度を促進させる化合物であって、イミダゾール系化合物及び/又はアミン系化合物が用いられる。
これらのイミダゾール系化合物のなかで、本発明においては、硬化促進効果の観点から、特に、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールが好ましい。
これらアミン系化合物のなかで、本発明においては、硬化促進効果の観点から、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミンが特に好ましい。
本発明においては、この(c−2)成分のエポキシ樹脂硬化促進剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合わせて用いてもよい。
本発明における包接化合物は、ホスト分子の作る結晶格子空孔内にゲスト分子が入り込むことにより生成する。したがって、どの化合物がゲストとして取り込まれやすいか否かは、ゲスト分子の大きさ、立体、極性、溶解度などに支配される。生成した包接化合物は、結晶性の固体である。
本発明の成形材料においては、(C)成分の包接体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合わせて用いてもよい。また、その含有量は、硬化促進効果及び経済性のバランスなどの観点から、前記(A)成分と(B)成分との合計量100質量部に対して、エポキシ樹脂硬化促進剤として、通常、0.5〜5.0質量部程度、好ましくは1.0〜3.0質量部、より好ましくは1.5〜2.5質量部の範囲で選定される。
本発明の成形材料における(D)成分の無機充填剤としては、ボールミルなどで粉砕した溶融シリカや火炎溶融することで得られる球状シリカ、ゾルゲル法などで製造される球状シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ボロンナイトライド、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、マグネシア、マグネシウムシリケートなどが挙げられる。半導体素子が発熱の大きい素子の場合、熱伝導率ができるだけ大きく、かつ熱膨張係数の小さなアルミナ、ボロンナイトライド、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等を使用することが望ましい。また、これらを溶融シリカ等とブレンドして使用してもよい。
なお、無機充填剤の形状は特に限定されるものはなく、フレーク状、樹枝状、球状等の無機充填剤を単独または混合して用いることができる。中でも、球状のものが、低粘度化、高充填化には最も望ましいものである。
粒度分布の頻度値は、3μm未満:15〜30質量%、3〜10μm:25〜35質量%、10μmを超える:40〜50質量%であり、かつ1μm以上の粒子を対象とした質量換算平均粒径(D1)と数換算平均粒径(D2)の比が、5.0≦D1/D2≦9.0の間にあることが肝要である。粒度分布がこの範囲を逸脱すると、粒子充填構造のバランスが崩れ、得られる成形材料は、所望の粘度特性や、流動特性を達成できなくなるおそれが生じる。
本発明の成形材料においては、この無機充填剤の配合量は、成形材料全量に基づき、50〜95質量%であることが好ましく、75〜95質量%であることがより好ましく、85〜92質量%であることがさらに好ましい。当該無機充填剤の含有量が50質量%以上であれば、膨張係数を充分に下げることができ、かつ吸水率も低下し、半田リフローの際の温度でパッケージにクラックが入りにくくなる。一方、95質量%以下であれば、適度の溶融粘度を有し、成形が良好となる。
本発明の成形材料において、(E)成分の加水分解性シリル基含有ケチミン化合物としては、一般式(2)
上記一般式(2)において、R9〜R12は、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基を挙げることができ、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基である。R13は炭素数1〜10のアルキレン基を示し、このアルキレン基は直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ブチレン基、ペンチレン基などを挙げることができる。aは0〜2の整数を示す。好ましいアルキレン基はエチレン基、トリメチレン基である。
この(E)成分の加水分解性シリル基含有ケチミン化合物は、成形時における高温条件下で容易に加水分解して1級アミンを生成する。加水分解に必要な水はシリカ表面に吸着している水で十分であるが、あらかじめ純水と混合しても良い。また、単独で用いても他のシランカップリンク剤と併用しても良い。
これらのケチミン化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合わせて用いてもよい。
本発明の成形材料においては、当該加水分解性シリル基含有ケチミン化合物の含有量は、その硬化物の配線板などに対する接着性の向上、ボイドなどの成形不良の抑制及び経済性のバランスなどの観点から、該成形材料の全量に基づき、好ましくは0.005〜0.3質量%、より好ましくは0.01〜0.1質量%の範囲で選定される。
本発明の成形材料においては、前述した(A)〜(E)成分以外に、必要に応じ、カップリング剤を始め、各種添加成分を含有させることができる。
〈カップリング剤〉
カップリング剤は、本発明の成形材料の硬化物と、配線板などとの接着強度を向上させる等の目的で添加される。
上記カップリング剤の中でも、充填性の観点からは2級アミノ基を有するシランカップリング剤が好ましい。
本発明の成形材料には、他の任意成分として、本発明の効果を阻害しない範囲で、シリコーンゴムやシリコーンゲルなどの粉末、シリコーン変性エポキシ樹脂やフェノール樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体のような熱可塑性樹脂などを低応力化剤;臭素化エポキシ樹脂、酸化アンチモンなどの難燃剤や難燃助剤;n−ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエンジエポキシド、フェノール、クレゾール、t−ブチルフェノールなどの粘度降下用希釈剤;カーボンブラックなどの着色剤;ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーンオイルなどの濡れ向上剤や消泡剤;等を適宜含有させることができる。
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂成形材料の調製に特に制限はないが、例えば、以下に示す方法により、効率よく調製することができる。
前述した(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)包接体、(D)無機充填剤、(E)加水分解シリル基含有ケチミン化合物及び必要に応じて用いられる各種任意成分を高速混合機などを用い、均一に混合した後、二本ロールや連続混練装置などで十分混練すればよい。混練温度としては50〜110℃が望ましい。混練後、薄くシート化し、冷却、粉砕することで、所望の半導体封止用エポキシ樹脂成形材料を調製することができる。
さらには、前記(C)包接体を、あらかじめ前記(B)フェノール樹脂の一部あるいは全部と溶融し、混練した予備混練物を用いることにより、さらに優れた成形性、信頼性を付与できる半導体封止用エポキシ樹脂成形材料を調製することができる。この際の予備混練物には離型剤、着色剤、カップリング剤などを適宜添加配合することができる。
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂成形材料は、高化式フロー測定装置における、175℃、剪断応力1.23×105Paにおける最低溶融粘度(η1)が3.5〜9.0Pa・sであり、175℃、剪断応力2.45×103Paにおける最低溶融粘度(η2)が0.3〜0.7Pa・sであり、かつ前述溶融粘度η1、η2が下記式を満足し、かつ175℃における硬化時間が30〜60秒であることが好ましい。
1.0≦Log(η1/η2)≦1.3
Log(η1/η2)が上記範囲を逸脱すると、適正流動性が損なわれ、ワイヤー流れ、ボイド等の成形不良の発生や、リフロー時の不良が発生するおそれがあるため、好ましくない。
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂成形材料は、一般成形材料として使用することもできるが、薄型、多ピン、ロングワイヤー、狭パッドピッチ、又は有機基板もしくは有機フィルム等の実装基板上に半導体チップが配置された半導体装置の封止に適した半導体装置の封止剤として好適に用いられる。
次に、本発明の半導体装置について説明する。
本発明の半導体装置は、前述した本発明の半導体封止用エポキシ樹脂成形材料により封止されたことを特徴とする。
本発明の半導体装置は、前述した本発明の成形材料を用いて、半導体チップを封止することにより製造することができる。封止を行う半導体としては、特に制限はなく、例えば、集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオードなどを挙げることができる。封止の最も一般的な方法としては、トランスファー成形法があるが、射出成形、圧縮成形等による封止も可能である。封止後加熱して成形材料を硬化させる際の条件としては、165〜185℃程度の温度で、1〜5分程度加熱する条件を採用することが好ましい。
本発明の半導体装置は、ワイヤー流れやボイドなどの成形不良の発生が少なく、薄型化、チップの大面積化、多ピン化、狭パッドピッチ化などに対応することができる。
なお、無機充填剤の粒度分布及び平均粒径の測定、並びに成形材料の諸特性の評価は、以下に示す方法で行った。
(1)粒度分布及び平均粒径
レーザー回析粒度分布測定装置[堀場製作所社製「シーラスレーザータイプ920」]を用い、質量換算粒度分布および数換算粒度分布を測定した。また、それぞれの1μm以上の粒子を対象とした平均粒径を求め、その比、質量平均粒径(D1)/数平均粒径(D2)を算出した。
〈成形材料〉
(2)スパイラルフロー
成形温度175℃、成形圧力9.8MPaでトランスファー成形することでスパイラルフローを測定した。
(3)ゲルタイム
175℃に保持された熱板上で、一定量の成形材料を直径4〜5cmの円状に広げ、一定速度で練り合わせた際に、試料が増粘し、最終的に粘りのなくなった時間を測定した。
(4)最低溶融粘度
高化式フロー測定装置[(株)島津製作所製「CFT−500C」]を用い、98Nの加圧下、直径1mmのノズルを用い、温度175℃で、剪断応力1.23×105Paにおける最低溶融粘度(η1)および剪断応力2.45×103Paにおける最低溶融粘度(η2)を測定するとともに、その対数比Log(η1/η2)を算出した。
(5)保存安定性
25℃で168時間保管後の成形材料のスパイラルフローを測定し、その残存率を%で表わした。
(6)内部ボイド及び外部ボイド
25℃で168時間保管後の成形材料を用い、ボイド評価を実施した。
2連のQFPマトリックスフレーム(試料数、20)を用い、成形温度175℃、成形圧力6.9MPaでマルチプランジャー装置を使用し、トランスファー成形した。成形したパッケージの成形不具合を確認するため、超音波深傷装置を用い、内部ボイドの数を数えた。また、外部ボイドは目視観察することでボイドの数を数えた。ボイドの数は20サンプルの合計数である。また、ワイヤー変形は、上記で成形したQFPパッケージ軟X線装置を用いて調べ、変形の有無を確認し、変形率(%)として算出した。
アルミニウムのジグザグ配線を形成した6mm×6mmのシリコーンチップを42アロイのリードフレームに搭載し、成形材料を用いて、175℃、6.9MPaの条件でトランスファー成形して封止したのち、チップ表面のアルミニウム電極とリードフレーム間を直径30μmの金線でワイヤーボンディングした半導体装置(外形20mm×14mm、厚さ2mm)を作製し、さらに温度180℃で10時間の後硬化した。上記半導体装置を85℃、85%RHにて72時間、吸湿させた後、240℃の赤外線リフロー炉中で90秒間加熱する試験を行い、半導体パッケージのクラック数を調べた(試料数20)。
(8)耐湿信頼性
成形材料を用い、175℃、6.9MPaの条件でトランスファー成形し、その後、温度180℃で10時間の後硬化を行って表面実装型のQFP−1H(タブ6.7mm×6.7mm)パッケージを作製し、このパッケージに85℃、85%RH、72時間の吸湿処理、および、240℃、90秒間のべーパーリフロー処理を行った。さらに、このパッケージを65℃、95%RHの条件下で500時間吸湿させた後、アルミニウム電極に腐食が発生した素子の数を数え、不良の有無を調べた。(試料数20)
(9)高温放置特性
上記(8)の耐湿信頼性の評価試験の場合と同様にして作製した半導体パッケージを180℃の恒温槽内に1000時間置いた後、金ワイヤーとアルミニウム配線の接合部不良の発生の有無を調べ、その発生率を求めた(試料数20)。
(10)PIとの密着性
PI(ポリイミド)保護膜が塗布されたシリコンチップ上に、成形材料を一辺2mmの正方形状に成形し、175℃で4時間アフターキュアを行ったのち、260℃に加熱した熱板の上で剪断力を与え、破断した際の剪断力を密着力とした。
(1)OCN型エポキシ樹脂(o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)
住友化学工業株式会社製、商品名「ECSN−190」
(エポキシ当量195、軟化点65℃)
(2)ビフェニル型エポキシ樹脂
ジャパンエポキシレジン株式会社、商品名「YX−4000H」
(エポキシ当量196、融点106℃)
(3)臭素化エポキシ樹脂
東都化成株式会社、商品名「YDB−400」
(エポキシ当量375、軟化点80℃、臭素含有量48質量%)
(4)フェノールノボラック樹脂
明和化成株式会社、商品名「H−1」
(軟化点80℃、水酸基当量106)
(5)フェノールアラルキル樹脂
三井化学株式会社、商品名「XL−4L」
(軟化点62℃、水酸基当量175)
(6)包接体A
1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンと2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)との包接体
2E4MZ含有量 50質量%
(7)包接体B
1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンと2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(2P4MHZ)との包接体
2P4MHZ含有量 50質量%
2−エチル−4−メチルイミダゾール
四国化成工業株式会社製、商品名「キュアゾール2MA−OK」
(9)ケチミン化合物(加水分解性シリル基含有)
東レダウ株式会社製、商品名「Z−6860」
(10)エポキシシラン
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
信越化学工業株式会社、商品名「KBM403」
(11)カーボンブラック
三菱化学株式会社、商品名「MA−600」
(12)カルナバワックス
株式会社セラリカNODA、商品名「精製カルバナワックスNo.1」
(13)予備混練品
フェノールアラルキル樹脂「XL−225」5.7質量部をフラスコ中で加熱溶融した状態にて、前記包接体A0.2質量部、「MA−600」0.2重量部を添加し、攪拌機により30分以上混練を行い、冷却後粉砕して予備混練品を作成した。
粒度分布の異なる各種球状溶融シリカ粉末を適宜混合して、粒径が3μm未満の粒子、粒径が3μm以上10μm以下の粒子および粒径が10μmを超える粒子がそれぞれ第1表に示すような割合の無機充填剤調製品1〜3を調製した。
この無機充填剤1〜3について、粒径1μm以上の粒子を対象とした質量換算平均粒径(D1)、数換算平均粒径(D2)およびこれらの比(D1/D2)を求めたところ、第1表に示すような結果が得られた。
第2表及び第3表に示す配合割合の各成分を常温で混合(ドライブレンド)したのち、80〜110℃で加熱混練し、冷却後、粉砕して13種類の封止用エポキシ樹脂成形材料を製造した。
各成形材料について、その特性を評価した。結果を第2表及び第3表に示す。
実施例3は、エポキシ樹脂として、ビフェニル型を用いずにOCN型のみを用い、かつフェノール樹脂として、フェノール・アラルキル樹脂を用いずにフェノールノボラック樹脂を用いているため、エポキシ樹脂としてビフェニル型を、フェノール樹脂としてフェノール・アラルキル樹脂を用いた他の実施例のものに比べて、耐リフロー性が若干劣る。
包接体を用いずに、イミダゾール化合物そのものを用いた以外は、ほぼ同一組成である比較例1と実施例1、比較例3と実施例3とを比較した場合、比較例のものは、実施例のものに比べて保存安定性に劣る。
加水分解性シリル基含有ケチミン化合物を配合していない比較例2及び3は、該ケチミン化合物を配合したものに比べて、PIとの密着性に劣る。
Claims (6)
- (A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)(c−1)一般式(1)
で表されるテトラキスフェノール系化合物と、(c−2)イミダゾール系化合物及び/又はアミン系化合物からなるエポキシ樹脂硬化促進剤との包接体、(D)無機充填剤、及び(E)一般式(2)
で表される加水分解性シリル基含有ケチミン化合物を含むことを特徴とする封止用エポキシ樹脂成形材料。 - (c−1)成分のテトラキスフェノール系化合物が、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン及び1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンの中から選ばれる少なくとも1種であり、(c−2)成分のエポキシ樹脂硬化促進剤が、2−エチル−4−メチルイミダゾール及び/又は2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールである請求項1に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- (A)エポキシ樹脂が、一般式(3)
で表されるビフェニル型エポキシ樹脂、並びにビスフェノールA、ビフェノールF又はビフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格を有する多官能のエポキシ樹脂、トリ又はテトラ(ヒドロキシフェニル)アルカンのエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂の中から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。 - (D)無機質充填剤のレーザー回折粒度分布測定装置で測定した粒度分布の頻度値が、3μm未満:15〜30質量%、3〜10μm:25〜35質量%、10μmを超える:40〜50質量%であり、1μm以上の粒子を対象とした質量換算平均粒径(D1)と数換算平均粒径(D2)の比が、5.0≦D1/D2≦9.0の間にあり、かつ無機充填剤の含有量が成形材料全体に対して50〜95質量%である請求項1〜4のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料により封止されたことを特徴とする半導体装置。
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