JP2009106993A - 金属線入り成形はんだ、およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも2本の、所定の硬度Hを有するはんだより融点の高い、ニッケル、銅またはステンレス鋼の線材が、テープ状または板状はんだの表面の線材長手方向に沿った両側端部より各所定の距離ΔT(0.1≦ΔT≦3.5mm)をもって併設位置されており、該併設位置された線材は、上記テープ状または板状はんだの表面において線材長手方向に延在露出する所定の巾Bをもって圧入されていることを特徴とする金属線入り成形はんだおよびその製造方法。
【選択図】図1
Description
このことは例えば発熱の大きなパワートランジスタなどの半導体チップやモジュールなどの電子部品と放熱板などの接合においては、電流のオン・オフによって大きな温度差が生じるので特に重要である。放熱の面からは熱伝導性の劣るはんだはできる限り薄い方が良い。
これらの方法の一つとして、ソルダペースト中にはんだよりも融点の高い粒子を分散させるものがあり、融点の高い金属粒子は、電子部品と放熱板の間隙を適度に保つためのスペーサの役目を果たす。この溶融しない金属粒子があると電子部品の自重や負荷があっても電子部品は粒子径以上には沈み込まず、はんだ厚さは保たれることになる。また、金属粒子径を選べば適度なはんだ厚さに設定できることになる。
しかし、ソルダペーストは、フラックスとはんだ粒を混合させたものであることから、はんだ付け後にフラックス残漬が残ることは避けらず、フラックス残漬が長期において腐食を生じさせる懸念がある。
しかしながら、成形はんだでは溶湯状態において比重の異なる金属粒子を分散させることが必要になり、容易ではない。すなわち、高融点粒子の比重が大きければ沈降し、小さければ浮きあがる。この対策として攪拌しながら鋳込む方法が考案されている(例えば、特許文献4参照)。しかし、この考案をもってしても均一に分散させることは確実ではない。すなわち、溶湯中の攪拌はできても鋳込んだビレット中では攪拌できないため高融点金属粒子のある程度の密度偏析は避けられないものである。このビレットが押出しと圧延工程によって引き伸ばされた板となる際には高融点金属粒子密度の差が拡大されてしまい、粒子密度が低い箇所ではスペーサが不足する可能性があり問題となる。
そこで最低密度を確保するために、溶湯へ投入する高融点金属粒子の量を増やすことが考えられるが、逆に密度が高すぎる箇所ができてしまい接合に寄与していない部分が増えて、はんだ付け欠陥を生じる恐れがある。
また、高融点金属粒子は、スペーサの役目であることから粒子径の揃ったものを必要とする。このような微小で寸法精度の高い高融点金属粒子は高価格であり、多量に投入することははんだの価格上昇となってしまう嫌いもある。
以上の述べたように、成形はんだにおいては、はんだ厚さを適度に保ち、かつ電子部品を傾斜させずに取り付けるための安価で確実な手段が強く求められている。
本発明は、上記に鑑み、これらの課題を解決するための金属線入り成形はんだおよびその製造方法を提供することをその目的としている。
この内、比較的に精度が高く、製造が容易で、安価である第1および3の方法が好ましい。
1)少なくとも2本の、はんだより融点の高い線材が、テープ状または板状はんだの表面の線材長手方向に沿った両側端部より各所定の距離ΔTをもって併設位置されており、該併設位置された線材が、上記テープ状または板状はんだの表面において線材長手方向に所定の巾Bをもって露出するように圧入されているものであり、
2)上述の1)において、前記所定の距離ΔTを、0.1≦ΔT≦5.0mmであり、前記所定の巾Bが圧入後線材の最大径の3分の1以上としたものであり、
3)上述の1)または2)において、前記線材をニッケル、銅またはステンレス鋼の金属線としたものである。
4)少なくとも2本の、はんだより融点の高い線材を、該線材の圧入前の直径d0 と圧延前のテープ状はんだの厚さt0 との比K(K=d0/t0 )を0.25≦K≦0.85として、該テープ状はんだの長手方向表面の両側端部よりの距離ΔTが0.1≦ΔT≦5.0mmをもって緊張して併設位置させる工程と、該併設位置された線材と上記テープ状はんだとを、該線材が該テープ状はんだの表面の長手方向に所定の巾Bが延在露出するように、同時に圧延する工程を有するものであり、
5)少なくとも2本の、はんだより融点の高い線材を、該線材の圧入前の直径d0 とプレス前の板状はんだの厚さt0 との比K(K=d0/t0 )を所定の比K値として、該板状はんだの表面に該表面の両側端部よりの距離ΔTが0.1≦ΔT≦5.0mmをもって緊張して平行に位置させる工程と、該平行に位置された線材と上記板状はんだとを、該線材が該板状はんだの表面に所定の巾Bが露出するように、同時にプレスする工程を有するものであり、
6)上述の5)において、前記所定の比K値を、0.85以下としたものであり、
7)上述の4)〜6)において、前記線材を、ニッケル、銅またはステンレス鋼の金属線としたものである。
図1は、はんだ厚さを均一にするために高融点金属線3を一対の辺に沿わせて配線させた方形の成形はんだ2による電子部品1とヒートシンク4のはんだ付けを示す平面図および断面図である。
電子部品1の一対の辺内側下部に沿い、かつ外縁に近く高融点金属線3が配線されている。このため四隅に金属粒子を配した場合と同様の効果を示し、電子部品1が高融点金属線3の線径以下に沈みこむことが無くはんだ厚さは均一になる。さらに成形はんだ2の製造工程の面から本発明の実施の形態を説明する。
成形はんだ2は、一般的に長尺の圧延テープを打ち抜きまたは切断することで製造される。
図2は従来の高融点金属粒子6を分散させたテープ状はんだ5を示したものであり、このテープはんだをAl の対線で切断し方形はんだとした場合には、四隅に高融点金属粒子6があり、望ましい配置となっている。しかし、A2の対線で切断した場合には、高融点金属粒子6は方形はんだ中央部に2個あるのみであり、はんだ接合時の電子部品の傾きを抑えることはできない。成形はんだはテープはんだから大量生産されるものであるから、望ましくない配置に切断することが確率的に生じてしまう。
どのような切断でも方形はんだの両縁部にはんだ厚さを適度に保ち、かつ電子部品を傾斜させないためのセパレータとなる高融点金属線3が配置されている。なお、高融点金属線3の線径は、高融点金属粒の球径と同様に選択すればよい。
さらに高融点金属粒子はスペーサの役目であることから粒子径の揃ったものでなくてはならないが、微小で寸法精度の高い高融点金属粒子は高価格である。一方、金属線はペレットはんだ両縁部に一本づつ配置するだけで良く、加えて球に比べて製造コストが安いという利点がある。
すなわち、電子基板面とヒートシンク面間を接合するはんだに設けスペーサに期待される精度はスペーサ厚さLの10%以下であり、この精度が圧延後の金属線に求められること、および製品としての金属線入り成形はんだにおける金属線の挿入状態が確実に求められ得ることが必要である。
また、如何なる諸元の金属線を、テープ状ハンダ中の如何なる位置に配設するかにより、前記の安定確実さが左右される。これらの適正な条件をはんだの接着容量を阻害しない範囲で特定するところに本発明の特徴がある。
まず、圧入された線材は、テープはんだと一体となって圧延される。すなわち、圧延によりテープ状はんだの厚さが50%になり、その断面積が50%になると線材の断面積も50%になる。ただし、線材の断面形状は当初の円径ではなく、露出上部が平坦となる疑似楕円形状になる。
図5は、圧延後の金属線入りテープ状はんだの断面を示す一例である。なお、擬似楕円の扁平度には、はんだの性状、線材の性状、加工度等が影響を与える。
図6は、ワイヤおよび圧下率Jを一定にした場合の線材の断面変形度合(線材断面径縦横比(b/a))(以下、断面変形度合という)に対する、はんだの引張強さの影響を示したものであるが、はんだの引張強さが大きいほど扁平化し易いことを示す。
図7は、はんだの強度および圧下率を一定にした場合の線材の断面変形度合に対する線材の引張強さの影響を示したものである。
線材の引張強さが大きいほど扁平化し難いことを示す。
図8は、はんだおよび線材をそれぞれ同一にした場合の、線材の断面変形度合に対する、圧下率Jの影響を示したものである。
圧下率が大きくなるにつれ扁平化が進むことを示す。さらに、圧延前線材の直径d0 および圧延前テープ状はんだの厚さt0 の比K(K=d0 /t0 )が、大きいほど圧下率の影響が著しいことも示している。なお、圧下率が大きくなりすぎると、線材がはんだテープを付き抜け切断してしまう現象が生じる。
図9は、比Kと、はんだ切断が生じない限界の圧下率JL の関係を示したものである。
図8でも示したように、比Kが大きいほど限界の圧下率JL は小さくなる。
以上述べたごとく、線材の変形挙動特性を考慮することにより、テープ状はんだに所定の厚さの線材をスペーサとして適正に圧入することができる。
比Kが0.25未満では、はんだが溶融した場合でもはんだ厚さは一定程度あり、線材がはんだ厚以下となりスペーサの役目を果たすに至らない。また、比Kが0.85を超える場合には、小さな圧下率の圧延でも線材がテープはんだを突き抜け切断させてしまう。すなわち、線材を圧入させ、線材とはんだテープを一体化させるためには20%以上の圧下率を必要とし、比Kが大きすぎると圧延の余地がなくなってしまうことがわかった。
このはんだの特性に対して金属線は、適正な範囲が存在し、実用的には銅、ニッケルまたは、鋼であればステンレス鋼が望ましい。
また、成形はんだの形状は、方形に限定されるものではなく、円盤形状やリング状などでも良く、配線も、コの字、ロの字または円弧状などでもよい。ただし、このような成形はんだを、テープ状はんだから打ち抜き加工または切断加工によって製造することはかなり困難である。したがってこの場合の製造は、成形はんだの上に配線した後、プレス機による押圧で両者を一体化させる方法となる。
本実施例1は、金属線のスペーサとしての効果を確認するために接合試験を行ったものである。
図10に示すように、線径100μmのニッケル線を圧入したテープ状はんだから切り出し、縦35mm、 横 70mm、厚さ0.2mm のペレットを作成した。このペレット内に圧入された擬似楕円形のニッケル線の短軸(縦径)は60μmである。
配線位置は、一対の辺に平行に縁から2mmである。なお、はんだ成分は Sn−0.7%Cu とした。このペレットを無電解ニッケルメッキした銅製ヒートシンクに載せ、さらにはんだペレットと縦・横寸法が同じ DBA (Direct Brazed Aluminum)基板を重ねた。
次に、図6に示すように、意図的にはんだ厚さが均等になるのを妨げるようにDBA基板の上に5gの錘を載せた後、減圧水素還元雰囲気のリフロー炉を通して接合させ、はんだ厚さを測定した。なお、効果を明確にするため、ニッケル線を内包しないペレットも評価した。
図11中の点線で囲った部分のはんだ厚さを測定した結果を図12に示す。
ニッケル線を内包しない比較例においては、錘を負荷したことではんだ厚さは10μm程度になっている。すなわち、部品が傾き、はんだ厚さが極めて薄い部分が出来てしまっており、割れ発生の原因となり得る。一方、本発明の実施例においては、ニッケル線とほぼ同じ62μmの膜厚が確保できており、部品の傾き、及びはんだ膜厚の極めて薄い部分の発生を抑制できている。以上の結果より、本発明の有効性が確認できた。
本発明における、テープ状はんだ上に配線した場合の金属線入り成形はんだの圧延前後の金属線の状況を調べた。厚さ0.40mm 、板幅82mm 、長さ2m のテープ状はんだにおいて、両縁から7mmの位置に直径 65μmのニッケル線を2本長手方向に直線状に平行配線し、両端部をビニールテープで固定した。なお、テープ状はんだの成分はSn−0.7%Cu とした。
この金属線を配設したテープ状はんだを圧延機により板厚 0.21mmに圧延したところ、金属線はテープ状はんだの長手方向に直線状となり、テープ状はんだの表層部に埋没した。
埋没した金属線の断面を測定したところほぼ楕円状であり、長軸径は177μmであり、短軸径は112μmであることから面積は0.0165 平方mmと計算され、圧延前の直径65μmの面積0.0033平方mmの約半分になった。
これは圧延によりテープ状はんだの板厚が0.40mmから0.21mmになることから長さは約2倍となり、必然的に断面積は約半分になることによるものである。
なお、なお、金属線を圧入後のはんだ状テープの長手方向両縁部を切断することにより、テープ幅70mmの縁からそれぞれ1mmの位置に金属線スペーサが配置されることとなった。
本発明に比較した追加の実施例として、金属線を2枚のテープ状はんだに挟んだ場合の、金属線入り成形はんだにおける圧延前後の金属線の状況を調べた。
はんだ成分をSn−0.7%Cu とし、厚さ0.4mm 、板幅82mm、長さ2mのテープ状はんだ2本において、一本のテープ状はんだの両縁から7mmの位置に直径65μmのニッケル線を2本長手方向に直線状に併設配置し、両端部をビニールテープで固定した後、もう一本のテープ状はんだにより挟み込んだ。このニッケル線を挟んだ2本のテープ状はんだを圧延機により板厚0.2mmに圧延した。
圧延後のニッケル線の状態を観察したところ、テープ状はんだの肉厚の中央部に位置し、図13に示すように断続な直線となって長手方向に伸びていた。
テープ状はんだの一箇所を切断しニッケル断続線中央部の断面を観察したところ、形状はほぼ楕円状であり、長軸径は57μmであり、短軸径は43μmであった。
また、一部の長さに渡って断続線間の空隙間隔を測定したところ、最少間隔25μm、最大359μm、平均146μm 、標準偏差( σ )80μmであった。平均値から3σの離れた数値が386μmであることから、ニッケル線の無い部分の間隔は非常に小さなものであり、スペーサとして問題はないことも分かった。
2 はんだ
3 高溶融点金属線
4 ヒートシンク
5 テープはんだ
6 高溶融点金属粒子
7 DBA基板
8 錘
A−A 断面図切断線
A1 テープはんだ切断線
A2 テープはんだ切断線
B はんだ厚さ測定位置
Claims (7)
- 少なくとも2本のはんだより融点の高い線材が、テープ状または板状はんだの表面の線材長手方向に沿った両側端部より各所定の距離ΔTをもって併設位置されており、該併設位置された線材が、上記テープ状または板状はんだの表面において線材長手方向に所定の巾Bをもって露出するように圧入されていることを特徴とする金属線入り成形はんだ。
- 前記所定の距離ΔTが、0.1≦ΔT≦5.0mmであり、前記所定の巾Bが圧入後線材の最大径の3分の1以上であることを特徴とする請求項1に記載の金属線入り成形はんだ。
- 前記線材がニッケル、銅またはステンレス鋼の金属線であることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の金属線入り成形はんだ。
- 少なくとも2本の、はんだより融点の高い線材を、該線材の圧入前の直径d0 と圧延前のテープ状はんだの厚さt0 との比K(K=d0/t0 )を0.25≦K≦0.85として、該テープ状はんだの長手方向表面の両側端部よりの距離ΔTが0.1≦ΔT≦5.0mmをもって緊張して併設位置させる工程と、該併設位置された線材と上記テープ状はんだとを、該線材が該テープ状はんだの表面の長手方向に所定の巾Bが延在露出するように、同時に圧延する工程を有することを特徴とする金属線入り成形はんだの製造方法。
- 少なくとも2本の、はんだより融点の高い線材を、該線材の圧入前の直径d0 とプレス前の板状はんだの厚さt0 との比K(K=d0/t0 )を所定の比K値として、該板状はんだの表面に該表面の両側端部よりの距離ΔTが0.1≦ΔT≦5.0mmをもって緊張して平行に位置させる工程と、該平行に位置された線材と上記板状はんだとを、該線材が該板状はんだの表面に所定の巾Bが露出するように、同時にプレスする工程を有することを特徴とする金属線入り成形はんだの製造方法。
- 前記所定の比K値が、0.85以下であることを特徴とする請求項5に記載の金属線入り成形はんだの製造方法。
- 前記線材がニッケル、銅またはステンレス鋼の金属線であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の金属線入り成形はんだの製造方法。
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