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JP2009173914A - 水系防汚塗料組成物、その製造方法、その塗膜、その塗膜で被覆された基材および防汚方法 - Google Patents

水系防汚塗料組成物、その製造方法、その塗膜、その塗膜で被覆された基材および防汚方法 Download PDF

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JP2009173914A
JP2009173914A JP2008330748A JP2008330748A JP2009173914A JP 2009173914 A JP2009173914 A JP 2009173914A JP 2008330748 A JP2008330748 A JP 2008330748A JP 2008330748 A JP2008330748 A JP 2008330748A JP 2009173914 A JP2009173914 A JP 2009173914A
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Abstract

【課題】環境への負荷が少なく、防汚性に優れた塗膜を形成でき、貯蔵安定性に優れた防汚塗料組成物の提供と、該防汚塗料組成物の安全かつ効率的な製法の提供。
【解決手段】少なくとも、(A)樹脂酸金属塩の水性エマルションと、(B)合成樹脂エマルションと、(C)防汚剤と、を配合してなることを特徴とする水系防汚塗料組成物、それからなる塗膜および該塗膜付き船体または水中構造物。
【選択図】なし

Description

本発明は、水系防汚塗料組成物、その製造方法、その塗膜、その塗膜で被覆された基材および防汚方法に関し、さらに詳しくは環境や人体への安全性に優れ、さらに優れた防汚性を有する塗膜を形成可能であり、貯蔵安定性に優れ、樹脂酸金属塩、とくにロジン金属塩の水性エマルションを含有する水系防汚塗料組成物、その製造方法、その塗膜、その塗膜で被覆された基材および防汚方法に関する。
従来、防汚塗料のバインダーとしては油性系樹脂、ロジン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ゴム系樹脂等が多く用いられてきたが、これらはいずれも溶剤希釈型であった。
例えば、特開平8−60041号公報(特許文献1)には、(A)ガラス転移温度が、−50〜0℃で、また水不溶性かつ疎水性のアクリル樹脂20〜80重量%と(B)ロジンの金属塩(例:ロジンのZn、Cu塩)80〜20重量%とを含む混合物を結合剤とす
る防汚塗料組成物が開示され、該塗料組成物はキシレン等の溶剤希釈型の塗料として用いられ、得られる塗膜は、研磨性、長期防汚性が良好とされている。
また特許3188948号(特開平8−12728号公報、特許文献2)には、
Figure 2009173914
(式中、R1 は水素原子又はメチル基を、R2 は炭素数2〜10のアルキレン基、フェニレン基又はベンジレン基を、Xは炭素数1〜12のアルコキシ基又はフェノキシ基を示す)で表されるエ−テル結合を有する(メタ)アクリル単位30〜99.9重量%、(b)一般式
(2)
Figure 2009173914
(式中、R3 は水素原子又はメチル基を、R4 は炭素数2〜10のアルキレン基を示す)で表されるヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル単位0.1〜30重量%及び(c)エチレン性不飽和単量体単位0〜50重量%より形成される共重合体からなる防汚塗料用樹脂が開示され(請求項1)、
また、この防汚塗料用樹脂20〜95重量%と微水溶性樹脂5〜80重量%とを併用する態様も開示され(請求項2)、微水溶性樹脂として、ロジン、ロジン金属塩(実施例7〜9:ロジンZn塩、ロジンCu塩)、変性ロジン、ビニルエーテル共重合体およびポリ
N−ビニルピロリドンが挙げられている。
しかし該塗料は、キシレン等が12〜16重量%程度配合された有機溶剤型としてのみ用いられている。
そのため近年、環境保全、塗装作業環境の改善の面から水性化が望まれていた。
これまでに、水性化された防汚塗料として、例えば、特開昭51−14936号公報(特許文献3)には、各種樹脂系のエマルジョンと松脂エマルジョンを含有する船底防汚塗料が提案され、防汚有効成分として、亜酸化銅、トリフェニル錫系化合物、ジチオカーバメイト系化合物が挙げられている。
しかしながら、該防汚塗料では、得られた防汚塗膜の長期に亘る持続的な溶解性の点において不良であり、得られた塗膜中から長期に亘って継続して防汚剤が放出されず長期防汚効果が十分でなかった。
また、特開平11−172159号公報(特許文献4)には、酸価10〜300mgKOH/gを有する基体樹脂中のカルボキシル基と2価金属との当量比が0.1〜5となるよう形成された金属カルボキシレート構造を分子内及び/又は分子間に有する樹脂(a)から選ばれる少なくとも1種を、乳化剤(b)を用いて水分散してなる水性樹脂エマルジョン(A)を防汚性を有するバインダーとして含有してなる水性防汚樹脂組成物が開示されている。
そして、該公報(特許文献4)では、樹脂の乳化の際のロジンの使用、防汚剤としての酸化亜鉛が記載され、また、その実施例3では、亜鉛アクリル樹脂とロジンの混合物をエマルジョン化している。
また、特開2003−277680号公報(特許文献5)には(a)トリオルガノシリル基含有不飽和単量体、及び(b)該単量体(a)と共重合可能なその他の重合成不飽和単量体とをアルコール系溶剤を5重量%以上含有する有機溶剤中で共重合させて得られる数平均分子量が1,000〜50,000の樹脂(A)を、乳化剤(c)を用いて水分散
してなる水性樹脂エマルジョン(A)を防汚性を有するバインダーとして含有してなる水性防汚樹脂組成物が開示されている。
そして、該公報(特許文献5)では、樹脂の乳化の際のロジンの使用、防汚剤としての酸化亜鉛が記載されている。
しかしながら、これらの特許文献4−5に記載の水性防汚樹脂組成物では、貯蔵安定性の点で不良であり、また、得られる塗膜は、耐水性において不十分という問題点があった。
そこで本発明者らは上記問題点を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、樹脂酸金属塩と合成樹脂とを混合した後に、乳化(エマルション)させるのではなく、特定の調製法、すなわち、予め調製されたエマルション状態の樹脂酸金属塩(A)と、エマルジョンおよび水溶化状態の合成樹脂(B)とを配合するとともに、防汚剤(C)などを、これらエマルジョン(A)と(B)との配合時に同時に配合するか、エマルジョン(A)と(B)との配合(混合)後に、あるいはエマルジョン(A)および/またはエマルジョン(B)に予め配合すれば、得られる水系防汚塗料組成物は貯蔵安定性に優れ、しかもこの防汚塗料組成物からなる防汚塗膜は、耐水性に優れ、没水後の膨れや剥がれ等の塗膜の不具合が生じないこと、防汚性に著しく優れること、などを見出して本発明を完成するに至った。
特開平8−60041号公報 特許3188948号(特開平8−12728号公報) 特開昭51−14936号公報 特開平11−172159号公報 特開2003−277680号公報
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、海生生物の付着を長期に亘って確実に防止でき防汚性に優れ、しかも環境や人体への悪影響が極めて少ない塗膜を船舶等の表面に形成しうるような、実質上有機溶剤を含まず、貯蔵安定性に優れた水系防汚塗料組成物、その塗膜、その塗膜で被覆された基材を提供することを目的としている。
また本発明は、上記のような水系防汚塗料組成物を、安全かつ効率的に製造し得るような水系防汚塗料組成物の製造方法を提供することを目的としている。
本発明に係る水系防汚塗料組成物は、
少なくとも、
(A)樹脂酸金属塩の水性エマルションと、
(B)合成樹脂エマルションと、
(C)防汚剤と、
を配合してなることを特徴としている。
本発明においては、樹脂酸金属塩の水性エマルション(A)中の樹脂酸金属塩が、ロジンの金属塩、ナフテン酸の金属塩、バーサチック酸の金属塩、およびトリフェニルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸の金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが海水溶解性の点で好ましく、さらには、
この樹脂酸金属塩が、ロジン、ナフテン酸、バーサチック酸、およびトリフェニルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸のうちの何れかの物質の亜鉛塩、銅塩、アルミニウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩およびバリウム塩からなる群から選ばれた少なくとも1種の金属塩であることが好ましく、特に、
この樹脂酸金属塩が、バーサチック酸、ウッドロジン、トール油ロジンおよびガムロジンのうちの何れかの物質の亜鉛塩、銅塩、アルミニウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩およびバリウム塩からなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂酸金属塩であることが望ましい。
本発明におけるロジンとはウッドロジン、トール油ロジンおよびガムロジンのほかに水添ロジン、不均化ロジン等のロジン誘導体を含む。
また、この樹脂酸金属塩の水性エマルション(A)の中には金属塩でない樹脂酸を含有しても良い。
本発明においては、樹脂酸金属塩の水性エマルション(A)中の固形分が10〜80重量%であることがエマルションの安定性の点で望ましい。
本発明においては、上記合成樹脂エマルション(B)が、(メタ)アクリル酸の重合体、または、(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他のモノマーとを共重合させてなる(メタ)アクリル酸系共重合体;
ビニル化合物の重合体、または、ビニル化合物と、これと共重合可能な他のモノマーとを共重合させてなるビニル系共重合体;
スチレンの重合体、または、スチレンと、これと共重合可能な他のモノマーとを共重合させてなるスチレン系共重合体;
のうちから選択される何れ1種または2種以上の樹脂を含有した水性エマルションである
ことが(A)との混合性の点で望ましい。
本発明では、上記合成樹脂エマルション(B)中の合成樹脂が、上記の(メタ)アクリル酸の重合体または(メタ)アクリル酸系共重合体であって、かつ、これら重合体または共重合体が、(メタ)アクリル酸、その金属塩、そのアルキルエステルまたはそのシリルエステルの重合体または共重合体樹脂であることが長期の防汚性維持の点で望ましい。
本発明では、合成樹脂エマルション(B)中の固形分が20〜80重量%であることが塗料調整上の作業性の点で望ましい。
本発明では、樹脂酸金属塩の水性エマルション(A)中の固形分100重量部に対して、合成樹脂エマルション(B)を固形分として10〜1000重量部の割合で含有することが塗膜物性の点で望ましい。
本発明に係る水系防汚塗料組成物においては、防汚剤(C)が、亜酸化銅、金属銅粉、チオシアン化第1銅(ロダン銅)、硫化亜鉛、銅ピリチオン、ジンクピリチオン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピル−S−トリアジン、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート、アミン・有機ボラン錯体、特にそのうちのトリフェニルホウ素(ボラン)のアルキルアミン錯体(アルキル基炭素数C1〜20。トリフェニルホウ素と錯体を形成するアルキルアミンは、第一、第二、第三アミンの何れでもよい。)、ピリジン−トリフェニルボラン錯体、4−イソプロピルピリジン−ジフェニルメチルボラン錯体、クロロメチル−n−オクチルジスルフィッド、N,N’−ジメチル−N’−フェニル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、N,N’−ジメチル−N’−トリル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、テトラアルキルチウラムジスルフィッド、ジンクジメチルジチオカーバメイト、ジンクエチレンビスジチオカーバメイト、2,3−ジクロロ−N−(2’,6’−ジエチルフェニル)マレイミドおよび2,3−ジクロロ−N−(2’−エチル−6’−メチルフェニル)マレイミドからなる群から選ばれた少なくとも1種であることが得られる塗膜の防汚性が良好な点で望ましい。
本発明においては、前記防汚剤(C)が、上記の亜酸化銅と、銅ピリチオンまたはジンクピリチオンとを含有することが得られる塗膜の防汚性(単に防汚性ともいう。)の点で望ましい。
本発明においては、前記防汚剤(C)が、上記のジンクピリチオンと、ピリジン−トリフェニルボラン錯体または4−イソプロピルピリジン−ジフェニルメチルボラン錯体とを含有することが得られる塗膜の防汚性(単に防汚性ともいう。)と変色しにくい塗膜が得
られる点で望ましい。
本発明においては、前記防汚剤(C)が、銅、銅化合物(例:亜酸化銅など)を低減すれば色相の自由度が増すなどの点で好ましいが、亜酸化銅等の銅系化合物は塗膜の防汚性の点で好ましいという面もある。
本発明に係る水系防汚塗料組成物の製造方法は、
少なくとも、それぞれ上述したような成分である、
(A)樹脂酸金属塩の水性エマルションと、
(B)合成樹脂エマルションと、
(C)防汚剤と、
を一度にまたは任意の順序で配合することを特徴としている。
また、この水系防汚塗料組成物の製造方法では、必要により、さらに、顔料、分散剤、粘度調整剤(粘性調整剤)、消泡剤、防腐・防黴剤、造膜助剤などのうちの何れか1種または2種以上を一度にあるいは任意の時期にそれぞれ添加してもよい。
本発明に係る塗膜は、上記のいずれかに記載の水系防汚塗料組成物から形成されていることを特徴としている。
本発明に係る船体または水中構造物の防汚方法では、上記のいずれかに記載の水系防汚塗料組成物を船体または水中構造物に塗布して船体または水中構造物上に防汚塗膜を形成することを特徴としている。
本発明に係る防汚塗膜付き船体または水中構造物は、上記のいずれかに記載の水系防汚塗料組成物からなる塗膜にて船体または水中構造物の表面が被覆されていることを特徴としている。
本発明によれば、耐水性が良好であり、没水した場合に防汚塗膜に膨れや剥がれ等の不具合がなく、海生生物の付着を長期に亘って確実に防止でき、しかも環境や人体への悪影響が極めて少ない塗膜を船舶等の表面に形成しうるような、実質上有機溶剤を含まず、貯蔵安定性に優れた水系防汚塗料組成物、その塗膜、その塗膜で被覆され、これら物性を具備した船舶、水中構造物等の各種塗膜付き基材が提供される。
また、本発明の上記水系防汚塗料組成物によれば、水線部等に塗設した場合でも前述したような良好な美観を維持可能な塗膜が形成できる。
また本発明によれば、上記のような水系防汚塗料組成物を、安全かつ効率的に製造し得るような水系防汚塗料組成物の製造方法が提供される。
以下、本発明に係る水系防汚塗料組成物、その製造方法、その塗膜、その塗膜で被覆された基材および防汚方法などについて具体的に説明する。
[水系防汚塗料組成物]
本発明に係る水系防汚塗料組成物は、少なくとも、
(A)樹脂酸金属塩の水性エマルション(成分(A)ともいう。)と、
(B)合成樹脂エマルション(成分(B))と、
(C)防汚剤(成分(C))と、
を配合してなることを特徴としている。
このような水系防汚塗料組成物の調製時における、樹脂酸金属塩の水性エマルション(A)と、合成樹脂エマルション(B)と、防汚剤(C)との配合比は、成分(A)中の樹脂酸金属塩(A’)量{成分(A)を105℃の恒温器中で3時間乾燥後の加熱残分。固形分ともいう。以下同様。}100重量部に対して、
成分(B)中の樹脂酸金属塩(B’)量{成分(B)を105℃の恒温器中で3時間乾燥後の加熱残分(固形分ともいう。以下同様。)}に換算して、通常、10〜1000重量部、好ましくは、10〜300重量部の量で配合することが塗料の貯蔵安定性の点で望ましく、また、
防汚剤(C)は、通常、10〜1500重量部、好ましくは、100〜900重量部の量で配合することが得られる防汚塗膜の長期防汚性、塗膜物性の点で望ましい。
この水系防汚塗料組成物中における、ロジン系樹脂酸の金属塩やバーサチック酸の金属
塩に代表される樹脂酸金属塩(A’)の含有量{成分(A)を105℃の恒温器中で3時間乾燥後の加熱残分。固形分ともいう。JIS K 5601−1−2加熱残分に準拠。以下同様。}は、通常、1〜30重量%、好ましくは、1〜20重量%であり、
合成樹脂(B’)の含有量{成分(B)につき同上の条件での加熱残分}は、通常、3〜30重量%、好ましくは、5〜25重量%であり、
乳化分散剤(a1)、(b1)の含有量{乳化分散剤(a1)、(b1)につき、同上の条件での加熱残分}は、合計で、通常、0.1〜15重量%、好ましくは、0.5〜10重量%であり、
防汚剤(C)の含有量{同上の加熱残分}は、通常、5〜60重量%、好ましくは、5〜45重量%である。
また、この水系防汚塗料組成物中における水の含有量は、通常、5〜50重量%、好ましくは、10〜35重量%程度である。
以下、各成分(A)、(B)、(C)等について説明する。
<(A)樹脂酸金属塩の水性エマルション(成分(A))>
本発明においては、樹脂酸金属塩の水性エマルション(A)中の樹脂酸金属塩が、ロジンの金属塩、ナフテン酸の金属塩、バーサチック酸の金属塩、およびトリフェニルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸の金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが海水溶解性の点で好ましく、さらには、
この樹脂酸金属塩が、ロジン、ナフテン酸、バーサチック酸、およびトリフェニルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸のうちの何れかの物質の亜鉛塩、銅塩、アルミニウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩およびバリウム塩からなる群から選ばれた少なくとも1種の金属塩であることが好ましく、特に、
この樹脂酸金属塩が、バーサチック酸、ウッドロジン、トール油ロジンおよびガムロジンのうちの何れかの物質の亜鉛塩、銅塩、アルミニウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩およびバリウム塩からなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂酸金属塩であることが得られる防汚塗膜の海水溶解性の点で望ましい。
本発明においては、樹脂酸金属塩の水性エマルション(A)中の固形分(測定法:JIS K 5601−1−2加熱残分。105℃の恒温器中で3時間乾燥。以下同様。)が10〜80重量%、好ましくは、35〜55重量%であることが塗料調整上の作業性の点で望ましい。
この樹脂酸金属塩の水性エマルション(A)は、従来より公知の方法にて調製でき、市販品を適宜濃度調整等して用いてもよい。例えば、特開2000−309771号公報等に記載の樹脂酸金属塩の水性エマルション及びそれらの製法を利用できる。
また、成分(A)の粘度(E型粘度計、25℃で測定)は、通常、10〜900 mPa・
s/25℃、好ましくは、100〜500 mPa・s/25℃である。またその平均粒
子径(大塚電子(株)製「FPAR−1000」にて、25℃で測定。)は、通常100〜600nm程度である。
<(B)合成樹脂エマルション(成分(B))>
本発明においては、上記合成樹脂エマルション(B)は、該エマルション(B)中に、合成樹脂として、(メタ)アクリル酸の重合体、または、(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他のモノマーとを共重合させてなる(メタ)アクリル酸系共重合体[以下、これらをまとめて(メタ)アクリル酸系(共)重合体(b1)等ともいう。];
ビニル化合物の重合体、または、ビニル化合物と、これと共重合可能な他のモノマーとを共重合させてなるビニル系共重合体[以下、これらをまとめてビニル系(共)重合体(b2)等ともいう。];
スチレンの重合体、または、スチレンと、これと共重合可能な他のモノマーとを共重合
させてなるスチレン系共重合体[以下、これらをまとめてスチレン系(共)重合体(b3)等ともいう。];
のうちから選択される何れか1種または2種以上の樹脂を含有した水性エマルションであることが塗膜の物性の点で望ましい。
各(共)重合体(b1)〜(b3)では、各(共)重合体の合成時にそれぞれ主成分の(メタ)アクリル酸、ビニル化合物、またはスチレンを、原料モノマーとして配合モノマー中最大量で用いる。また、生成した各(共)重合体(b1)〜(b3)中では、それぞれ主成分単位の(メタ)アクリル酸単位、ビニル化合物単位、またはスチレン単位が、用いられたモノマー量に対応して(最大量で)存在している。
なお、ここで「主成分」は共重合時に用いられる各種共重合用モノマー中で当該モノマー量が最も多いことを意味し、必ずしも50重量%以上等であることを意味しない。これと同様に、「主成分単位」は、共重合体中に含まれる各種成分単位中で当該成分単位量が最も多いことを意味し、必ずしも50重量%以上等であることを意味しない。
(メタ)アクリル酸系(共)重合体(b1)
(メタ)アクリル酸系(共)重合体(b1)は、特開平11−61002号公報(中国塗料(株))の[0026]〜[0028]、に記載のものなど、従来より公知の(メタ)アクリル酸の(単独)重合体または(メタ)アクリル酸系共重合体であって、かつ、これら重合体または共重合体が、(メタ)アクリル酸、その金属塩、そのアルキルエステルまたはそのシリルエステルの(単独)重合体または共重合体樹脂であることが望ましい。
この(共)重合体(b1)の数平均分子量は、例えば、5,000〜100,000(10万)程度である。
ビニル系(共)重合体(b2)
ビニル系(共)重合体(b2)としては、従来より公知のものを広く使用でき、例えば、特開平11−61002号公報(中国塗料(株))の[0020]〜[0024]に記載のビニル系共重合体樹脂、例えば、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニル・ビニルi-ブチルエーテル共重合樹脂、塩化ビニル・プロピオン酸ビニル共重合樹脂など、従来より公知のビニル化合物(例:塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレンなど)の(単独)重合体、または、ビニル化合物と、これと共重合可能な他のモノマーとを共重合させてなるビニル系共重合体が挙げられる。
このビニル系(共)重合体(b2)の数平均分子量は、例えば、10,000(1万)〜40,000(4万)程度である。
スチレン系(共)重合体(b3)
スチレン系(共)重合体(b3)としては、例えば、特開平11−61002号公報(中国塗料(株))の[0025]に記載のスチレン・ブタジエン共重合体樹脂など、スチレンの(単独)重合体、または、スチレンと、これと共重合可能な他のモノマーとを共重合させてなるスチレン系共重合体が挙げられる。
重合体(b3)としては、数平均分子量が10,000(1万)〜100,000(10万)程度のものが用いられる。
これら(共)重合体(b1)〜(b3)が含まれた樹脂エマルションは従来より公知の方法により製造してもよく、また市販品をそのまま用いてもよい。
これら(共)重合体(b1)〜(b3)が含まれた合成樹脂エマルションの市販品としては、例えば、「ニューコート TS−100」(アクリル樹脂エマルション、固形分:
50.0重量%、新中村化学工業(株)製)、「MX−3363」(アクリルシリコン樹脂エマルション、固形分:45.5重量%)、三菱レイヨン(株)製)、「WSR−390」(アクリル樹脂エマルション、固形分:50.0%)、中国塗料(株)製)などが挙げられる。
本発明では、上記合成樹脂エマルション(B)中の合成樹脂が、上記の(メタ)アクリル酸の重合体または(メタ)アクリル酸系共重合体であって、かつ、これら重合体または共重合体が、(メタ)アクリル酸、その金属塩、そのアルキルエステルまたはそのシリルエステルの重合体または共重合体樹脂であることが得られる塗膜の防汚効果の点で望ましい。
また、本発明では、合成樹脂エマルション(B)中の固形分(測定法:JIS K 56
01−1−2加熱残分、105℃の恒温器中で3時間乾燥)が30〜70重量%、好ましくは、40〜60重量%であることが樹脂エマルションの安定性の点で望ましい。
本発明では、樹脂酸金属塩の水性エマルション(A)中の固形分(測定法:JIS K
5601−1−2加熱残分。105℃の恒温器中で3時間乾燥。)100重量部に対して
、合成樹脂エマルション(B)を固形分として10〜1000重量部、好ましくは、10〜300重量部の割合で含有することが塗料の貯蔵安定性の点で望ましい。
<(C)防汚剤(成分(C))>
防汚剤(C)としては、特に限定されないが、有機系、無機系のいずれの防汚剤であってもよく、
無機系防汚剤としては、亜酸化銅、金属銅粉、チオシアン化第1銅(ロダン銅)等の銅または銅化合物(ピリチオン系化合物を除く。);
硫化亜鉛;などが用いられる。
有機系防汚剤としては、銅ピリチオン、ジンクピリチオン等の金属ピリチオン類(ピリチオン化合物);
テトラメチルチウラムジサルフィド等のテトラアルキルチウラムジサルフィド;
ジンクジメチルジチオカーバメート、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート(商品名「TOC−3204F」、ローム アンド ハース社製)、ジンクエチレンビスジチオカーバメイト(商品名「ジネブ」、ローム アンド ハース社製)等のカーバメート系防汚剤;
ピリジン‐トリフェニルボラン、4‐イソプロピルピリジン‐ジフェニルメチルボラン、トリフェニルホウ素のアルキルアミン錯体等の後述するアミン・有機ボラン錯体類;
2,4,6‐トリフェニルマレイミド、2,3−ジクロロ−N−(2’,6’−ジエチルフェニル)マレイミドおよび2,3−ジクロロ−N−(2’−エチル−6’−メチルフェニル)マレイミド等のマレイミド類;
2,4,5,6‐テトラクロロイソフタロニトリル、N,N‐ジメチルジクロロフェニル尿素、4,5‐ジクロロ‐2‐n‐オクチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オン、
2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピル−S−トリアジン、クロロメチル−n−オクチルジスルフィッド、N,N’−ジメチル−N’−フェニル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、N,N’−ジメチル−N’−トリル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、などの有機防汚剤を用いることができる。
(アミン・有機ボラン錯体)
ここで上記アミン・有機ボラン錯体について詳述すると、上記アミン・有機ボラン錯体は、アミンと有機ボラン化合物との錯体であって、好ましくは、トリフェニルボランのアルキルアミン錯体(アルキル基炭素数C1〜20。トリフェニルボランと錯体を形成するアルキルアミンは、第一、第二、第三アミンの何れでもよい。)等が挙げられる。
このようなアミン・有機ボラン錯体としては、例えば、本願出願人が先に提案した特開2005−307193号公報の[0062]〜[0073]に記載のホウ素アミン錯体(B)、特開2001−329228号公報の[0044]に記載のトリフェニルボロン・アミン錯体(b)などを使用できる。
特開2005−307193号公報のホウ素アミン錯体(B)は、下記一般式(II)で表される。
(B)一般式(II)
Figure 2009173914
(式(II)中、R11およびR12は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい、C1〜C8程度の低級アルキル基およびC1〜C8程度の低級アルコキシ基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を示し、R13はアルキル基(炭素数C1〜C18程度)を示し、R14はアミンを示す。)。
これらのうち、ジフェニルアルキルボロンピリジン錯体(アルキル基の炭素数C1〜8程度)、特にジフェニルメチルボロン・4−イソプロピルピリジン錯体(4−イソプロピルピリジン−ジフェニルメチルボラン錯体)が塗膜の防汚性の面で好ましい。
上記アミン・有機ボラン錯体を形成するアミンとしては、例えば、特開2001−329228号公報の[0044]に記載のアミン類である脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン、ヘテロ環式アミン等の第一アミン、第二アミン、第三アミンなどのいずれでもよい。
具体的には、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−オクタデシルアミン、アニリン、トルイジン等の第一アミン;
ジn−ブチルアミン、ジn−ヘキシルアミン、ジn−オクチルアミン、ジn−デシルアミン、ジn−ドデシルアミン、ジn−トリデシルアミン、ジn−テトラデシルアミン、ジn−ヘキサデシルアミン、ジn−オクタデシルアミン、ジフェニルアミン等の第二アミン;
トリn−プロピルアミン、トリn−ヘキシルアミン、トリn−オクチルアミン、トリn−デシルアミン、トリn−ドデシルアミン、トリn−トリデシルアミン、トリn−テトラデシルアミン、トリn−ヘキサデシルアミン、トリn−オクタデシルアミン、トリフェニルアミン等の第三アミン;
ピリジン、2−ピコリン、3−ピコリン、4−ピコリン、2−クロロピリジン、3−クロロピリジン、4−クロロピリジンなどのピリジンまたはその核置換体等のピリジン類などを例示することができる。
これらのトリフェニルボロン・アミン錯体のうちでは、トリフェニルボロンと第一アミンまたはピリジン類との錯体が防汚性能に優れているので好ましく、特にトリフェニルボロンと炭素数5以下の第一アミン類、ピリジン類との錯体が長期防汚性、塗膜乾燥性が良好である点で望ましい。
前記防汚剤(C)としては、広範囲な生物に対する防汚性の観点からは、無機系の防汚剤が好ましく、例えば、銅または、銅化合物(ピリチオン系化合物を除く)、中でも、亜酸化銅、チオシアン酸銅からなる群から選ばれる少なくとも1種の銅化合物が好ましい。また有機系の銅ピリチオンも同様の用途(広範囲な生物に対する防汚性)で好ましい。
本発明に係る水系防汚塗料組成物においては、防汚剤(C)が無機系防汚剤のうちの亜酸化銅であることが貝類への防汚性の点で望ましい。
また、本発明に係る水系防汚塗料組成物においては、防汚剤(C)が有機防汚剤であることが防汚効果の向上の点で望ましい。
さらに、本発明に係る水系防汚塗料組成物においては、防汚剤(C)が有機系(有機防汚剤)のうちでも、銅ピリチオン、ジンクピリチオン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピル−S−トリアジン、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート、アミン・有機ボラン錯体、特にそのうちのトリフェニルホウ素のアルキルアミン錯体(アルキル基炭素数C1〜20。トリフェニルホウ素と錯体を形成するアルキルアミンは、第一、第二、第三アミンの何れでもよい。)、クロロメチル−n−オクチルジスルフィッド、N,N’−ジメチル−N’−フェニル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、N,N’−ジメチル−N’−トリル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、テトラアルキルチウラムジスルフィッド、ジンクジメチルジチオカーバメイト、ジンクエチレンビスジチオカーバメイト、2,3−ジクロロ−N−(2’,6’−ジエチルフェニル)マレイミドおよび2,3−ジクロロ−N−(2’−エチル−6’−メチルフェニル)マレイミドからなる群から選ばれた少なくとも1種であると、防汚効果の向上の点で好適である。
また本発明では、亜酸化銅による防汚性を更に補強する観点からは、前述した銅化合物と、上記の有機防汚剤とを含有することが望ましい。
このように、上記の銅化合物と、有機防汚剤とを含有する場合、
有機防汚剤としては、ピリチオン化合物、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、さらには、
有機防汚剤としては、銅ピリチオン、ジンクピリチオン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、さらには、
特に塗料の貯蔵安定性を考慮した好適態様では、上記の銅化合物と、有機防汚剤とを含有する場合、亜酸化銅と、銅ピリチオンまたはジンクピリチオンとを含有することが望ましい。
特に長期の塗料貯蔵安定性を考慮した好適態様では、上記の銅化合物と、有機防汚剤とを含有する場合、亜酸化銅と、銅ピリチオンまたはジンクピリチオンと、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンとを含有することが望ましい。
また、本発明では、銅化合物を含まない重金属フリーの防汚剤の観点からは、水系防汚
塗料組成物には、実質的に亜酸化銅を含有しないことが望ましい。
このような観点では、防汚剤(C)としては、有機系の防汚剤が好ましく用いられ、具体的には、ジンクピリチオン、ピリジン−トリフェニルボラン錯体、4−イソプロピルビリジン−ジフェニルメチルボラン錯体および4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンクロロメチル−n−オクチルジスルフィッド、N,N’−ジメチル−N’−フェニル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、N,N’−ジメチル−N’−トリル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機防汚剤が好ましい。
本発明の水系防汚塗料組成物においては、上記使用態様にもあるように、この防汚剤(C)として「1種の防汚剤」(:この「1種類の防汚剤」は、有機系でも無機系でもよい。)を使用しても良いが、特定の組み合わせで複数種を使用することが防汚効果の向上の点で好ましい。この特定の組み合わせとしては、好ましくは以下の組み合わせが挙げられる。
(i)ジンクピリチオンと、ピリジン−トリフェニルボラン錯体または4−イソプロピ
ルピリジン−ジフェニルメチルボラン錯体との組み合わせ;
(ii)ジンクピリチオンと、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの組み合わせ;
(iii)銅化合物(c10)と、銅ピリチオン、ジンクピリチオン、ピリジン−トリフ
ェニルボラン錯体、4−イソプロピルビリジン−ジフェニルメチルボラン錯体および4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機防汚剤(c30)との組み合わせ;
(iv)亜酸化銅と、銅ピリチオンまたはジンクピリチオンとの組み合わせ;
(v)亜酸化銅と、銅ピリチオンまたはジンクピリチオンと、4,5−ジクロロ−2−
n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの組み合わせ;
など。
[水系防汚塗料組成物の製造方法]
本発明に係る水系防汚塗料組成物を製造するには、少なくとも、それぞれ上述したような成分である、
(A)樹脂酸金属塩の水性エマルション(成分(A)ともいう。)と、
(B)合成樹脂エマルション(成分(B))と、
(C)防汚剤(成分(C))と、
を一度に、または任意の順序で配合すればよい。
本発明ではこのように、樹脂酸金属塩と合成樹脂と防汚剤とが含まれた防汚塗料組成物の調製に際して、予め調製された樹脂酸金属塩の水性エマルション(A)と、合予め調製され成樹脂エマルション(B))とを防汚剤などとともに混合(配合)しているので、得られる水系防汚塗料組成物は貯蔵安定性に優れ、しかもこの防汚塗料組成物からなる防汚塗膜は、耐水性に優れ、没水後の膨れや剥がれ等の塗膜の不具合が生じなく、防汚性に著しく優れる。
なお、樹脂酸金属塩と合成樹脂を混合した後に乳化すること(「後乳化」ともいう。)も考えられるが、もし、このように後乳化により合成樹脂等のエマルション化を行うと、得られる塗膜の耐水性が不良となり防汚塗膜として没水した場合、膨れや剥がれ等の塗膜の不具合を引き起こすことが本発明者らにより見出されている(比較例3参照)。
上記本発明に係る水系防汚塗料組成物を製造する際には、これら成分(A)、(B)、(C)は、前記配合比で用いることが望ましい。これら成分の添加順序は、特に限定されず、該
組成物の調製に際しては、必要により加熱、攪拌等してもよい。
また、この水系防汚塗料組成物の製造方法では、必要により、さらに、顔料、分散剤、粘度調整剤、消泡剤、防腐・防黴剤、造膜助剤などを1種または2種以上、一度にあるいは任意の時期にそれぞれ添加してもよい。
例えば、成分(C)は、成分(A)と(B)との配合(混合)に先立ち、成分(A)、(B)の何れか一方に、あるいは両方に予め添加混合してもよく、また、成分(A)と(B)との混合時に(C)を添加混合してもよく、また、成分(A)と(B)との混合後に成分(C)を添加混合してもよい。
この水系防汚塗料組成物の製造の際には、攪拌装置(例:分散機「DISPERMAT F1」VMA−GETMANN社製)などを用いることができる。
また、上記成分(A)、(B)としては特開2000−309771号公報等に記載の従来より公知のものをそのまま用いてもよく、また、これら成分(A)、(B)を製造するには、これら公報等に記載されているような、従来より公知の方法を適宜利用することができ、好適には下記の方法が採用される。
<ロジン金属塩(亜鉛塩)等に代表される樹脂酸金属塩の製造>
成分(A)を製造するには、例えば、反応容器内に樹脂酸(例:ロジン、ナフテン酸、バーサチック酸等)あるいはその誘導体(例:エステル)と有機溶媒(例:キシレン)を入れ
、ロジン等の樹脂酸あるいはその誘導体を有機溶媒に溶解させる。
次いで、得られた樹脂酸溶液(ロジン溶液等)に金属塩形成用の金属化合物(例:亜鉛華)を加え、加熱攪拌し、樹脂酸(ロジン等)の金属塩(例:ロジン亜鉛塩、バーサチッ
ク酸亜鉛塩)を得る。
上記樹脂酸(ロジン等)の有機溶媒への溶解処理と、樹脂酸(ロジン等)と亜鉛華等の金属化合物との反応は、何れも、窒素気流下で、例えば、50〜90℃程度の温度で加熱攪拌して行うことが望ましい。
なお、この反応に際して副成した水を除去する為、溶媒の沸点以上の温度に反応液を保持し、溶媒のキシレン(沸点136〜144℃)等と共沸脱水することが望ましい。
<ロジン金属塩(例:ロジン亜鉛塩)等に代表される樹脂酸金属塩のエマルジョンの製造>
次いで、ロジン亜鉛塩(R)等の樹脂酸金属塩が含まれた上記反応液に、乳化分散剤(例:ポリオキシエチレンラウリルエーテル)をロジン亜鉛塩(R)等の樹脂酸金属塩(例:ロジン金属塩)100g当たり、10〜30gの量で、ディスパー攪拌しながら入れて溶解させ、樹脂酸金属塩(例:ロジン金属塩)を均一に乳化分散させる。なお、ロジン金属塩等の樹脂酸金属塩、乳化分散剤は、何れも、作業効率の点で加熱して用いてもよく、乳化分散剤は、加熱溶融状態で用いることが望ましい。
次いで脱イオン水を、総量として、樹脂酸金属塩(例:ロジン金属塩)100g当たり、90〜130mlの量で添加混合して転相乳化された樹脂酸金属塩エマルション(例:ロジン亜鉛エマルション)(R1)などを得る。
得られたロジン金属塩エマルション等の樹脂酸金属塩エマルション(R1)は、そのまま上記樹脂酸金属塩の水性エマルション(A)として使用でき、また、必要により適宜希釈等して用いてもよい。
得られたロジン金属塩エマルション等の樹脂酸金属塩エマルション(R1)の加熱残分
(前記と同様、105℃の恒温器中3時間乾燥後の加熱残分。)は、樹脂酸金属塩エマルションの種類や製法により異なり、一概に決定されないが、例えば、上記製法で得られたロジン金属塩エマルションでは、10〜80重量%、好ましくは、35〜55重量%であり、粘度(測定法は同上。)は通常、10〜900 mPa・s/25℃、好ましくは、1
00〜500 mPa・s/25℃、特に好ましくは、100〜400mPa・s/25
℃であり、含まれる樹脂の平均粒子径(測定法は同上。)は通常100〜600nm程度、好ましくは、200〜500nm程度である。
<(B)合成樹脂エマルション(成分(B))及びその製造>
合成樹脂エマルション(B)としては、上記公報等に記載の方法を適宜利用して製造してもよく、また市販品を利用してもよい。
市販品としては、例えば、「ニューコート TS−100」(アクリル樹脂エマルション、固形分:50.0重量%、新中村化学工業(株))、「MX−3363」(アクリルシリコン樹脂エマルション、固形分:45.5重量%)、三菱レイヨン(株)製)、「WSR−390」(アクリル樹脂エマルション、固形分:50.0重量%)、中国塗料(株)製)などが挙げられる。
[本発明の塗膜および該塗膜で被覆された基材]
本発明に係る塗膜は、上記のいずれかに記載の水系防汚塗料組成物から形成されていることを特徴としている。
上記のような防汚塗料組成物を水中構造物(例:火力・原子力発電所の給排水口)、湾岸道路、海底トンネル、港湾設備、運河・水路等のような各種海洋土木工事の汚泥拡散防止膜、船舶、漁業資材(例:ロープ、漁網、浮き子、ブイ)などの各種成形体の表面に常法に従って1回〜複数回塗布すれば防汚性に優れ、防汚剤成分が長期間に亘って徐放可能であり、厚塗りしても適度の可撓性を有し耐クラック性に優れた防汚塗膜被覆船舶または水中構造物などが得られる。
すなわちこのような本発明に係る水系防汚塗料組成物(防汚塗料組成物)を各種成形体の表面に塗布硬化してなる防汚塗膜は、アオサ、フジツボ、アオノリ、セルプラ、カキ、フサコケムシ等の水棲生物の付着を長期間継続的に防止できるなど防汚性に優れている。
特に、該防汚塗料組成物は、船舶等の素材が、FRP、鋼鉄、木、アルミニウム合金などに良好に付着し、特にその素材がFRPであるようなものの没水部表面に塗布すれば、予めプライマー処理しなくとも強固に付着し、長期継続的に防汚剤が溶出し上記水棲生物の付着が防止でき、船舶の運航速度低下の防止、燃費の増大防止を図ることができる。また、該防汚塗料組成物は、既存の防汚塗膜表面に上塗しても、防汚塗膜相互の付着性(耐剥離性)に優れ層間剥離しにくい。
また例えば、該防汚塗料組成物を海中構造物表面に塗布すれば、海中生物の付着防止を図ることができ、該構造物の機能を長期間維持でき、漁網に塗布すれば、漁網の網目の閉塞を防止できる。
なお、この本発明に係る防汚塗料組成物は、直接漁網に塗布してもよく、また予め防錆剤、プライマーなどの下地材が塗布された船舶または水中構造物等の表面に塗布してもよい。さらには、既に従来の防汚塗料による塗装が行われ、あるいは本発明発明の防汚塗料組成物による塗装が行われている船舶(特にFRP船)、水中構造物等の表面に、補修用として本発明の防汚塗料組成物を上塗りしてもよい。このようにして船舶、水中構造物等の表面に形成された防汚塗膜の厚さは特に限定されないが、例えば、30〜150μm/回程度である。
[発明の効果]
このような本発明に係る水系防汚塗料組成物(防汚塗料組成物)は貯蔵安定性に優れ長期保存可能である。しかもこの防汚塗料組成物よりなる塗膜は、防汚性にも優れており、該防汚塗料組成物を船舶外板没水部等に塗布硬化して得られる防汚塗膜は、防汚性に優れており、塗膜からの防汚剤の溶出速度(溶出量)をコントロールでき、長期間に亘る安定した防汚性能の確保が可能である。従って、防汚塗装のインターバルを開けることができる。
また、本発明に係る水系防汚塗料組成物は、防汚塗膜(AF)に対する付着性にも優れているので、例えば、長期間運航され傷んだ船舶の防汚塗膜表面にこの防汚塗料組成物を上塗・補修塗装すれば、既存の防汚塗膜との密着性(付着性)に優れた防汚塗膜を既存の防汚塗膜表面に形成できる。
[実施例]
以下、本発明について、実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこのような実施例により何等限定されるものではない。
以下の実施例、比較例において[部]、「%」は、特にその意に反しない限り、「重量部」、「重量%」の意味である。
[合成例1]
<ロジン亜鉛塩の調製>
攪拌機、コンデンサー、温度計、滴下装置、窒素導入管、加熱、冷却ジャケットを備えた500ml反応容器にキシレン120部、WWロジン161部を仕込み窒素気流下で常温から昇温して50℃の温度まで加熱攪拌を行いWWロジンを溶解させた後、亜鉛華24部を投入し窒素気流下にて50℃から昇温して85℃まで加熱攪拌し、温度85℃で9時間攪拌を行った。溶液が透明になったのを確認した後、生成した水を除去する為、溶媒のキシレンと共沸脱水した。次いで、液温150℃に保持し、この温度でもはや水が留出せず液が透明になったのを確認後、反応を終了し透明なロジン亜鉛塩(R)含有物を得た。
得られたロジン亜鉛塩(R)含有物の加熱残分(105℃の恒温器中3時間乾燥後の加熱残分)は、62.1%であり、粘度(E型粘度計、25℃で測定)は49mPa・s/25℃であった。
<ロジン亜鉛エマルションの調製>
500mlポリ容器に30℃に加熱保温したロジン亜鉛塩(R)含有物を225g仕
込み、加熱溶融した乳化剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)27gを、ディスパーにて攪拌しながら投入し溶解させ均一に混ぜた。
次いで、ディスパーにて攪拌しながら滴下ロートより脱イオン水45gを30分で滴下し、均一に混合した。更にディスパー攪拌しながら滴下ロートより脱イオン水90gを1時間かけて滴下し、均一に混ぜて転相乳化されたロジン亜鉛エマルション(R1)を得た。
得られたロジン亜鉛エマルション(R1)の加熱残分(105℃の恒温器中3時間乾燥後の加熱残分)は、44.2%であり、粘度は340mPa・s/25℃であり、平均粒子径(大塚電子(株)製「FPAR−1000」にて、25℃で測定。)は327nmであった。
[合成例2]
<バーサチック酸亜鉛塩の調製>
攪拌機、コンデンサー、温度計、滴下装置、窒素導入管、加熱、冷却ジャケットを備えた500ml反応容器にキシレン20部、バーサチック酸144部を仕込み窒素気流下で常温から昇温して50℃の温度まで加熱攪拌を行い、亜鉛華45部を投入し窒素気流下に
て50℃から昇温して85℃まで加熱攪拌し、温度85℃で9時間攪拌を行った。溶液が透明になったのを確認した後、生成した水を除去する為、溶媒のキシレンと共沸脱水した。次いで、液温150℃に保持し、この温度でもはや水が留出せず液が透明になったのを確認後、反応を終了し透明なバーサチック酸亜鉛塩(V)含有物を得た。
得られたバーサチック酸亜鉛塩(V)含有物の加熱残分(105℃の恒温器中3時間乾燥後の加熱残分)は、86.2%であり、粘度(E型粘度計、25℃で測定)は2776mPa・s/25℃であった。
<バーサチック酸亜鉛エマルションの調製>
500mlポリ容器に30℃に加熱保温したバーサチック酸亜鉛塩(V)含有物を1
44g仕込み、加熱溶融した乳化剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)12gを、ディスパーにて攪拌しながら投入し溶解させ均一に混ぜた。
次いで、ディスパーにて攪拌しながら滴下ロートより脱イオン水44gを30分で滴下し、均一に混合した。更にディスパー攪拌しながら滴下ロートより脱イオン水100gを1時間かけて滴下し、均一に混ぜて転相乳化されたバーサチック酸亜鉛エマルション(V1)を得た。
得られたバーサチック酸亜鉛エマルション(V1)の加熱残分(105℃の恒温器中3時間乾燥後の加熱残分)は、45.5%であり、粘度は12mPa・s/25℃であり、平均粒子径(大塚電子(株)製「FPAR−1000」にて、25℃で測定。)は793nmであった。
[水系防汚塗料組成物の製造]
上記[合成例1]で得た樹脂エマルジョン(R1)を使用し、表1に示す水系防汚塗料組成物(防汚塗料)を、後述する方法にて作成した。
次いで、予め防錆塗料(商品名:「バンノー500R」、中国塗料(株)製)が乾燥膜厚(100μm(厚)で塗布硬化されている鋼板(寸法:300mm×100mm×2.3mm(厚))に、上記の水系防汚塗料組成物を、乾燥塗膜が100μmになるように塗装し常温で乾燥させた。
得られた試験板について海面下約2mに、12ヶ月間浸漬保持し海中生物の付着状況を調査した。
その結果、海中浸漬1ヵ月後〜12ヵ月後では、評価「0」(海中生物の付着なし。)
となった。
その結果を併せて表3を示す。
評価基準は以下の通り。
<評価基準>
<海中生物の付着面積評価基準(静置防汚性評価基準)>
0点・・・・・海中生物の付着なし。
1点・・・・・海中生物の付着面積が10%未満。
2点・・・・・海中生物の付着面積が10%以上25%未満。
3点・・・・・海中生物の付着面積が25%以上50%未満。
4点・・・・・海中生物の付着面積が50%以上70%未満。
5点・・・・・海中生物の付着面積が100%。
<水系防汚塗料組成物の調製>
なお、下記表1の実施例1に示す水系防汚塗料組成物は、常法に従って以下のようにして調製した。
すなわち、
成分(A)として、合成例1のワニス(R1)[粘度:340mPa・s/25℃、固形分(加熱残分)44.2%、]14重量部、
成分(B)として「ニューコート TS−100」{アクリル樹脂エマルションション、固形分:50.0重量%、粘度:3000mPa・s以下、製造会社:新中村化学(株)製}12重量部、
防汚剤成分(C)として、亜酸化銅(古河機械金属(株)製)35重量部、
顔料として、ベンガラ(着色顔料)4重量部、
酸化亜鉛(体質顔料)5重量部、および
酸化チタン(着色顔料)10重量部、
「Disperbyk−190」(分散剤、ビックケミー社製)1重量部、
「アデカノールUH−752」(粘性調整剤、(株)アデカ、(旧)旭電化工業(株)製)1重量部、
「BYK−012」(消泡剤、ビックケミー社製)0.3重量部、
「ベントンHD」(粘度調整剤、ヘクトライトクレイ、エレメンティス社製)1重量部、
プロピレングリコール(造膜助剤)1重量部、
ブチルセロソルブ(造膜助剤)0.5重量部、
グリセリン(造膜助剤)1重量部、
蒸留水14.2重量部、
を、高速分散機を用いて混練分散させて水系防汚塗料組成物を得た。
また、上記水系防汚塗料組成物の貯蔵安定性を下記条件下に調べた。
貯蔵安定性は、23℃で2週間(14日間)保持した場合も「良好(色別れ、相分離等なく再分散性が良好なもの。)」となった。
また、同温度(23℃)で1ヶ月、3ヶ月 保管した場合にも「良好」となった。
結果を表3に示す。
<貯蔵安定性試験>
塗料製造後、23℃および40℃の恒温機で14日、1ヶ月、3ヶ月保管した後、塗料の分散状態を目視にて評価する。
また、貯蔵安定性の評価基準は以下の通り。
<評価基準>
良好・・・・色別れ、相分離等なく再分散性が良好なもの。
不良・・・・色別れあるいは相分離している、または再分散性不良のもの。
[実施例2〜31,比較例1〜10]
実施例1において、防汚塗料組成物の配合組成を表1〜2に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして防汚塗料組成物を調製し、上記と同様の試験を行った。
結果をまとめて表3〜4に示す。
なお、これら実施例、比較例等で使用した主な配合成分等の物性、機能(役割)、メーカー等を表5にまとめて示す。
Figure 2009173914
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Claims (16)

  1. 少なくとも、
    (A)樹脂酸金属塩の水性エマルションと、
    (B)合成樹脂エマルションと、
    (C)防汚剤と、
    を配合してなることを特徴とする水系防汚塗料組成物。
  2. 樹脂酸金属塩の水性エマルション(A)中の樹脂酸金属塩が、ロジンの金属塩、ナフテン酸の金属塩、バーサチック酸の金属塩、およびトリフェニルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸の金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載の水系防汚塗料組成物。
  3. 樹脂酸金属塩の水性エマルション(A)中の樹脂酸金属塩が、ロジン、ナフテン酸、バーサチック酸、およびトリフェニルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸のうちの何れかの物質の亜鉛塩、銅塩、アルミニウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩およびバリウム塩からなる群から選ばれた少なくとも1種の金属塩であることを特徴とする請求項1または2に記載の水系防汚塗料組成物。
  4. 樹脂酸金属塩の水性エマルション(A)中の樹脂酸金属塩が、バーサチック酸、ウッドロジン、トール油ロジンおよびガムロジンのうちの何れかの物質の亜鉛塩、銅塩、アルミニウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩およびバリウム塩からなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂酸金属塩であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水系防汚塗料組成物。
  5. 樹脂酸金属塩の水性エマルション(A)中の固形分が10〜80重量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水系防汚塗料組成物。
  6. 合成樹脂エマルション(B)が、(メタ)アクリル酸の重合体、または、(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他のモノマーとを共重合させてなる(メタ)アクリル酸系共重合体;
    ビニル化合物の重合体、または、ビニル化合物と、これと共重合可能な他のモノマーとを共重合させてなるビニル系共重合体;
    スチレンの重合体、または、スチレンと、これと共重合可能な他のモノマーとを共重合させてなるスチレン系共重合体;
    のうちから選択される何れか1種または2種以上の樹脂を含有した水性エマルションであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の水系防汚塗料組成物。
  7. 合成樹脂エマルション(B)中の合成樹脂が、上記請求項6に記載の(メタ)アクリル酸の重合体または(メタ)アクリル酸系共重合体であって、かつ、これら重合体または共重合体が、(メタ)アクリル酸、その金属塩、そのアルキルエステルまたはそのシリルエステルの重合体または共重合体樹脂であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の水系防汚塗料組成物。
  8. 合成樹脂エマルション(B)中の固形分が20〜80重量%であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の水系防汚塗料組成物。
  9. 樹脂酸金属塩の水性エマルション(A)中の固形分100重量部に対して、合成樹脂エマルション(B)を固形分として10〜1000重量部の割合で含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の水系防汚塗料組成物。
  10. 防汚剤(C)が亜酸化銅、金属銅粉、チオシアン化第1銅(ロダン銅)、硫化亜鉛、銅ピリチオン、ジンクピリチオン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピル−S−トリアジン、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート、トリフェニルホウ素のアルキルアミン錯体、ピリジン−トリフェニルボラン錯体、4−イソプロピルピリジン−ジフェニルメチルボラン錯体、クロロメチル−n−オクチルジスルフィッド、N,N’−ジメチル−N’−フェニル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、N,N’−ジメチル−N’−トリル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、テトラアルキルチウラムジスルフィッド、ジンクジメチルジチオカーバメイト、ジンクエチレンビスジチオカーバメイト、2,3−ジクロロ−N−(2’,6’−ジエチルフェニル)マレイミドおよび2,3−ジクロロ−N−(2’−エチル−6’−メチルフェニル)マレイミドからなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の水系防汚塗料組成物。
  11. 前記防汚剤(C)として、亜酸化銅と、銅ピリチオンまたはジンクピリチオンとを含有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の水系防汚塗料組成物。
  12. 前記防汚剤(C)として、ジンクピリチオンと、ピリジン−トリフェニルボラン錯体または4−イソプロピルピリジン−ジフェニルメチルボラン錯体とを含有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の水系防汚塗料組成物。
  13. 少なくとも、
    (A)樹脂酸金属塩の水性エマルションと、
    (B)合成樹脂エマルションと、
    (C)防汚剤と、
    を一度にまたは任意の順序で配合することを特徴とする水系防汚塗料組成物の製造方法。
  14. 請求項1〜12のいずれかに記載の水系防汚塗料組成物から形成されている塗膜。
  15. 請求項1〜12のいずれかに記載の水系防汚塗料組成物を船体または水中構造物に塗布して船体または水中構造物上に防汚塗膜を形成することを特徴とする船体または水中構造物の防汚方法。
  16. 請求項1〜12のいずれかに記載の水系防汚塗料組成物からなる塗膜にて船体または水中構造物の表面が被覆されていることを特徴とする防汚塗膜付き船体または水中構造物。
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