JP2009170497A - 熱処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】フラッシュランプからの閃光照射時の基板の割れを防止することができる熱処理装置を提供する。
【解決手段】フラッシュランプから閃光を照射してフラッシュ加熱を行うときに半導体ウェハーWを保持する保持部7は、窒化アルミニウムのプレート71の上面周縁部に石英製のガイド72を設けて構成される。ガイド72によって囲まれるプレート71の保持面75には8cm2当たりに1個の噴出口74が全面にわたって均等に配設されている。複数の噴出口74は、気体通路77を介してガス供給源99と連通接続されている。保持部7によって半導体ウェハーWを保持して閃光照射を行うときには、ガス供給源99から供給された気体が各噴出口74から鉛直方向上方に向けて噴出しており、半導体ウェハーWが保持面75から浮上している。
【選択図】図5
【解決手段】フラッシュランプから閃光を照射してフラッシュ加熱を行うときに半導体ウェハーWを保持する保持部7は、窒化アルミニウムのプレート71の上面周縁部に石英製のガイド72を設けて構成される。ガイド72によって囲まれるプレート71の保持面75には8cm2当たりに1個の噴出口74が全面にわたって均等に配設されている。複数の噴出口74は、気体通路77を介してガス供給源99と連通接続されている。保持部7によって半導体ウェハーWを保持して閃光照射を行うときには、ガス供給源99から供給された気体が各噴出口74から鉛直方向上方に向けて噴出しており、半導体ウェハーWが保持面75から浮上している。
【選択図】図5
Description
本発明は、半導体ウェハーや液晶表示装置用ガラス基板等(以下、単に「基板」と称する)に対して閃光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置に関する。
従来より、イオン注入後の半導体ウェハーのイオン活性化工程においては、ハロゲンランプを使用したランプアニール装置が一般的に使用されていた。このようなランプアニール装置においては、半導体ウェハーを、例えば、1000℃ないし1100℃程度の温度に加熱(アニール)することにより、半導体ウェハーのイオン活性化を実行している。そして、このような熱処理装置においては、ハロゲンランプより照射される光のエネルギーを利用することにより、毎秒数百度程度の速度で基板を昇温する構成となっている。
一方、近年、半導体デバイスの高集積化が進展し、ゲート長が短くなるにつれて接合深さも浅くすることが望まれている。しかしながら、毎秒数百度程度の速度で半導体ウェハーを昇温する上記ランプアニール装置を使用して半導体ウェハーのイオン活性化を実行した場合においても、半導体ウェハーに打ち込まれたボロンやリン等のイオンが熱によって深く拡散するという現象が生ずることが判明した。このような現象が発生した場合においては、接合深さが要求よりも深くなり過ぎ、良好なデバイス形成に支障が生じることが懸念される。
このため、キセノンフラッシュランプ(以下、単に「フラッシュランプ」とするときにはキセノンフラッシュランプを意味する)を使用して半導体ウェハーの表面に閃光を照射することにより、イオンが注入された半導体ウェハーの表面のみを極めて短時間(数ミリセカンド以下)に昇温させる技術が提案されている。キセノンフラッシュランプの放射分光分布は紫外域から近赤外域であり、従来のハロゲンランプよりも波長が短く、シリコンの半導体ウェハーの基礎吸収帯とほぼ一致している。よって、キセノンフラッシュランプから半導体ウェハーに閃光を照射したときには、透過光が少なく半導体ウェハーを急速に昇温することが可能である。また、数ミリセカンド以下の極めて短時間の閃光照射であれば、半導体ウェハーの表面近傍のみを選択的に昇温できることも判明している。このため、フラッシュランプによる極短時間の昇温であれば、イオンを深く拡散させることなく、イオン活性化のみを実行することができるのである。
フラッシュランプを使用した熱処理装置においては、極めて高いエネルギーを有するフラッシュ光を瞬間的に半導体ウェハーに照射するため、一瞬で半導体ウェハーの表面温度が急速に上昇する。このウェハー表面近傍での急速な昇温と、その後の急速な降温とにより、半導体ウェハーに極めて大きな熱応力が作用し、半導体ウェハーの急激な変形が生じる。このような半導体ウェハーの急激な変形はその後の工程における不具合の原因となり、さらに大きな熱応力が作用すると半導体ウェハーが割れることもあった。このようなフラッシュランプを使用した熱処理特有の割れを解決するために、例えば特許文献1,2には半導体ウェハーを保持するサセプタのウェハポケットの周縁部にテーパを形成する技術が開示されている。また、特許文献3には、サセプタの上面と半導体ウェハーの下面との間に空気層を挟み込んで半導体ウェハーを浮遊させた状態でフラッシュランプからの閃光照射を行うことにより割れを防止する技術が開示されている。
特許文献1〜3に開示されているような技術を用いることによって、フラッシュランプを使用した場合における半導体ウェハーの割れをある程度は防止できるようになったものの、半導体ウェハーの種類や熱処理条件(予備加熱温度、照射エネルギー)によっては依然として相当な頻度で割れが生じていた。特に、特許文献3に開示されている技術では、半導体ウェハーが完全に浮遊せずに一部がサセプタに接触した状態にて閃光照射を行うと、その接触部分からの反力を受けることによって強い応力が作用する結果となっていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、フラッシュランプからの閃光照射時の基板の割れを防止することができる熱処理装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、基板に対して閃光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置において、基板に閃光を照射するフラッシュランプと、前記フラッシュランプの下方に設けられ、前記フラッシュランプから出射された閃光を透過するチャンバー窓を上部に備えるチャンバーと、上面に複数の噴出口を形設し、前記チャンバー内にて基板を水平姿勢にて保持する保持手段と、前記複数の噴出口に気体を供給する気体供給手段と、を備え、前記複数の噴出口は、前記保持手段の上面のうち基板を保持する保持面の50cm2当たりに少なくとも1個以上の噴出口を設けて形成されることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る熱処理装置において、前記複数の噴出口のそれぞれは、φ0.3mm以上φ1.5mm以下の穴径を有する円筒状穴を含み、前記気体供給手段は2リットル毎分以上15リットル毎分以下の流量にて前記複数の噴出口に気体を供給することを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る熱処理装置において、前記保持手段は、基板を予備加熱するヒータを内蔵するとともに、前記複数の噴出口と前記気体供給手段とを連通する気体通路および前記複数の噴出口を形設した窒化アルミニウム製部材を有することを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項3の発明に係る熱処理装置において、前記保持手段は、前記窒化アルミニウム製部材の上面に付設されて前記保持面を環囲する石英製のガイド部材を備えることを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項4の発明に係る熱処理装置において、前記保持面に対する前記ガイド部材の内周面の勾配は45°以上90°未満であることを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る熱処理装置において、前記保持手段は、基板を予備加熱するヒータを内蔵した金属製のプレートと、前記プレート上に設置され、前記複数の噴出口が穿設された前記保持面を有する石英製のサセプタと、を備え、前記プレートの上面には前記複数の噴出口に連通して前記気体供給手段から供給された気体が通過する溝が刻設されることを特徴とする。
また、請求項7の発明は、請求項6の発明に係る熱処理装置において、前記サセプタは、前記保持面を環囲する石英製のガイド部材を備え、前記保持面に対する前記ガイド部材の内周面の勾配は45°以上90°未満であることを特徴とする。
本発明によれば、保持手段の上面のうち基板を保持する保持面の50cm2当たりに少なくとも1個以上の噴出口を設けて複数の噴出口を形成し、それら複数の噴出口に気体を供給するため、基板の全体を確実に保持面から浮上させた状態で閃光を照射することができ、フラッシュランプからの閃光照射時の基板の割れを防止することができる。
特に、請求項3の発明によれば、保持手段を熱伝導性の良好な窒化アルミニウムにて形成しているため、複数の噴出口から気体を噴出しても基板を均一に予備加熱することができる。
特に、請求項4の発明によれば、保持面を環囲する石英製のガイド部材を備えるため、浮上している基板がガイド部材に接触したとしても、基板の汚染を防止することができる。
特に、請求項5の発明によれば、保持面に対するガイド部材の内周面の勾配を45°以上90°未満としているため、閃光照射時に基板が急激に変形してガイド部材に接触したとしても、ガイド部材から基板が受ける応力を緩和することができ、基板の割れをより確実に防止することができる。
特に、請求項6の発明によれば、保持手段に噴出口が穿設された保持面を有する石英製のサセプタを備えるため、基板の汚染を確実に防止することができる。
特に、請求項7の発明によれば、保持面に対するガイド部材の内周面の勾配は45°以上90°未満としているため、閃光照射時に基板が急激に変形してガイド部材に接触したとしても、ガイド部材から基板が受ける応力を緩和することができ、基板の割れをより確実に防止することができる。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<1.第1実施形態>
まず、本発明に係る熱処理装置の全体構成について概説する。図1は、本発明に係る熱処理装置1の構成を示す側断面図である。熱処理装置1は基板として略円形の半導体ウェハーWに閃光(フラッシュ光)を照射してその半導体ウェハーWを加熱するフラッシュランプアニール装置である。
まず、本発明に係る熱処理装置の全体構成について概説する。図1は、本発明に係る熱処理装置1の構成を示す側断面図である。熱処理装置1は基板として略円形の半導体ウェハーWに閃光(フラッシュ光)を照射してその半導体ウェハーWを加熱するフラッシュランプアニール装置である。
熱処理装置1は、半導体ウェハーWを収容する略円筒形状のチャンバー6と、複数のフラッシュランプFLを内蔵するランプハウス5と、を備える。また、熱処理装置1は、チャンバー6およびランプハウス5に設けられた各動作機構を制御して半導体ウェハーWの熱処理を実行させる制御部3を備える。
チャンバー6は、ランプハウス5の下方に設けられており、略円筒状の内壁を有するチャンバー側部63、および、チャンバー側部63の下部を覆うチャンバー底部62によって構成される。また、チャンバー側部63およびチャンバー底部62によって囲まれる空間が熱処理空間65として規定される。熱処理空間65の上方は上部開口60とされており、上部開口60にはチャンバー窓61が装着されて閉塞されている。
チャンバー6の天井部を構成するチャンバー窓61は、石英により形成された円板形状部材であり、ランプハウス5から出射された光を熱処理空間65に透過する石英窓として機能する。チャンバー6の本体を構成するチャンバー底部62およびチャンバー側部63は、例えば、ステンレススチール等の強度と耐熱性に優れた金属材料にて形成されており、チャンバー側部63の内側面の上部のリング631は、光照射による劣化に対してステンレススチールより優れた耐久性を有するアルミニウム(Al)合金等で形成されている。
チャンバー底部62には、保持部7を貫通して半導体ウェハーWをその下面(ランプハウス5からの光が照射される側とは反対側の面)から支持するための複数(本実施の形態では3本)の支持ピン70が立設されている。支持ピン70は、例えば石英により形成されており、チャンバー6の外部から固定されているため、容易に取り替えることができる。
チャンバー側部63は、半導体ウェハーWの搬入および搬出を行うための搬送開口部66を有し、搬送開口部66は、軸662を中心に回動するゲートバルブ185により開閉可能とされる。チャンバー側部63における搬送開口部66とは反対側の部位には熱処理空間65に処理ガス(例えば、窒素(N2)ガスやヘリウム(He)ガス、アルゴン(Ar)ガス等の不活性ガス、あるいは、酸素(02)ガス等)を導入する導入路81が形成され、その一端は弁82を介して図示省略の給気機構に接続され、他端はチャンバー側部63の内部に形成されるガス導入バッファ83に接続される。また、搬送開口部66には熱処理空間65内の気体を排出する排出路86が形成され、弁87を介して図示省略の排気機構に接続される。
図2は、チャンバー6をガス導入バッファ83の位置にて水平面で切断した断面図である。図2に示すように、ガス導入バッファ83は、図1に示す搬送開口部66の反対側においてチャンバー側部63の内周の約1/3に亘って形成されており、導入路81を介してガス導入バッファ83に導かれた処理ガスは、複数のガス供給孔84から熱処理空間65内へと供給される。
また、熱処理装置1は、チャンバー6の内部において半導体ウェハーWを水平姿勢にて保持しつつ光照射前にその保持する半導体ウェハーWの予備加熱を行う略円板状の保持部7と、保持部7をチャンバー6の底面であるチャンバー底部62に対して昇降させる保持部昇降機構4と、を備える。図1に示す保持部昇降機構4は、略円筒状のシャフト41、移動板42、ガイド部材43(本実施の形態ではシャフト41の周りに3本配置される)、固定板44、ボールネジ45、ナット46およびモータ40を有する。チャンバー6の下部であるチャンバー底部62には保持部7よりも小さい直径を有する略円形の下部開口64が形成されており、ステンレススチール製のシャフト41は、下部開口64を挿通して、保持部7の下面に接続されて保持部7を支持する。
移動板42にはボールネジ45と螺合するナット46が固定されている。また、移動板42は、チャンバー底部62に固定されて下方へと伸びるガイド部材43により摺動自在に案内されて上下方向に移動可能とされる。また、移動板42は、シャフト41を介して保持部7に連結される。
モータ40は、ガイド部材43の下端部に取り付けられる固定板44に設置され、タイミングベルト401を介してボールネジ45に接続される。保持部昇降機構4により保持部7が昇降する際には、駆動部であるモータ40が制御部3の制御によりボールネジ45を回転し、ナット46が固定された移動板42がガイド部材43に沿って鉛直方向に移動する。この結果、移動板42に固定されたシャフト41が鉛直方向に沿って移動し、シャフト41に接続された保持部7が図1に示す半導体ウェハーWの受渡位置と図3に示す半導体ウェハーWの処理位置との間で滑らかに昇降する。
移動板42の上面には略半円筒状(円筒を長手方向に沿って半分に切断した形状)のメカストッパ451がボールネジ45に沿うように立設されており、仮に何らかの異常により移動板42が所定の上昇限界を超えて上昇しようとしても、メカストッパ451の上端がボールネジ45の端部に設けられた端板452に突き当たることによって移動板42の異常上昇が防止される。これにより、保持部7がチャンバー窓61の下方の所定位置以上に上昇することはなく、保持部7とチャンバー窓61との衝突が防止される。
また、保持部昇降機構4は、チャンバー6の内部のメンテナンスを行う際に保持部7を手動にて昇降させる手動昇降部49を有する。手動昇降部49はハンドル491および回転軸492を有し、ハンドル491を介して回転軸492を回転することより、タイミングベルト495を介して回転軸492に接続されるボールネジ45を回転して保持部7の昇降を行うことができる。
チャンバー底部62の下側には、シャフト41の周囲を囲み下方へと伸びる伸縮自在のベローズ47が設けられ、その上端はチャンバー底部62の下面に接続される。一方、ベローズ47の下端はベローズ下端板471に取り付けられている。べローズ下端板471は、鍔状部材411によってシャフト41にネジ止めされて取り付けられている。保持部昇降機構4により保持部7がチャンバー底部62に対して上昇する際にはベローズ47が収縮され、下降する際にはべローズ47が伸張される。そして、保持部7が昇降する際にも、ベローズ47が伸縮することによって熱処理空間65内の気密状態が維持される。
図4は、保持部7の斜視図である。また、図5は、保持部7の断面図である。第1実施形態の保持部7は、窒化アルミニウム(AlN)にて形成された円板状のプレート71の上面に石英製の円環状のガイド72を付設して構成される。円板状のプレート71の径は半導体ウェハーWの径(例えばφ300mm)よりも大きい。円板状のプレート71の上面周縁部に円環状のガイド72が付設されている。円板状のプレート71の上面のうちガイド72によって環囲される領域、すなわち外部に露出している面が半導体ウェハーWを保持する保持面75となる。保持面75は円形の水平面であり、その径は半導体ウェハーWの径よりも若干大きい。
プレート71の内部にはヒータ73が内蔵される。ヒータ73としては、例えばニクロム線や抵抗金属箔などの抵抗発熱体を用いることができる。ヒータ73は、保持面75の全面の下方に均等に配置される。
また、保持部7の上面のうち半導体ウェハーWを保持する保持面75には多数の噴出口74が形成される。図6は、噴出口74の配置例を示す図である。同図に示すように、保持面75には複数の噴出口74が二次元正方格子状に配置されている。本実施形態においては、対角に配置された噴出口74間の距離Lが40mmとされている。すなわち、最近接の噴出口74間の距離(正方格子の格子定数)は約28mmである。よって、保持部7の保持面75には8cm2当たりに1個の噴出口74が全面にわたって均等に配設されていることとなる。
各噴出口74は、鉛直方向に沿って穿設された円筒状穴であり、その穴径はφ0.3mm以上φ1.5mm以下である。また、プレート71の内部には気体通路77が形設されている。保持部7に設けられた全ての噴出口74は気体通路77に連通接続されている。気体通路77は保持部7の下面中央部近傍に開口しており、その開口部分には気体供給管92が接続されている。気体供給管92の一端は気体通路77に接続されるとともに、他端は流量調整弁97および弁98を介してガス供給源99に接続されている。すなわち、複数の噴出口74の全ては気体通路77を介して相互に連通されるとともに、気体通路77および気体供給管92を介してガス供給源99とも連通接続されている。弁98を開放することによってガス供給源99から気体供給管92および気体通路77を介して複数の噴出口74に所定の気体が供給され、その流量は流量調整弁97によって規定される。なお、気体供給管92はシャフト41の内側を通ってガス供給源99に接続されている。また、本実施形態では、ガス供給源99から複数の噴出口74に窒素ガスが供給される。
プレート71は、ヒータ73を内蔵するとともに、複数の噴出口74および気体通路77を形設して窒化アルミニウムの焼結によって一体形成される。そして、窒化アルミニウムの焼結体であるプレート71の上面周縁部に石英製のガイド72を設けて保持部7は構成される。
石英製のガイド72の内周面72aは上方に向けて拡がるテーパ面とされている。ガイド72がプレート71に装着された状態においては、内周面72aの下端はプレート71の保持面75に当接し、内周面72aの保持面75に対する勾配αは45°以上90°未満(本実施形態では60°)とされている。
上述した構成以外にも保持部7には、支持ピン70が挿通される貫通孔79が同一円周上に沿って120°毎に3箇所穿設されている。貫通孔79は鉛直方向に沿ってプレート71の表裏を貫いて設けられている。また、保持部7には、保持面75近傍の温度を測定する温度センサやヒータ73に電力を供給する電力ケーブルが設けられている(いずれも図示省略)。なお、温度センサの信号線やヒータ73の電力ゲーブルはシャフト41の内側を通って保持部7に接続される。
次に、図1に戻って、ランプハウス5は、筐体51の内側に、複数本(本実施形態では30本)のキセノンフラッシュランプFLからなる光源と、その光源の上方を覆うように設けられたリフレクタ52と、を備えて構成される。また、ランプハウス5の筐体51の底部にはランプ光放射窓53が装着されている。ランプハウス5の床部を構成するランプ光放射窓53は、石英により形成された板状部材である。ランプハウス5がチャンバー6の上方に設置されることにより、ランプ光放射窓53がチャンバー窓61と相対向することとなる。ランプハウス5は、チャンバー6内にて保持部7に保持される半導体ウェハーWにランプ光放射窓53およびチャンバー窓61を介してフラッシュランプFLから光を照射することにより半導体ウェハーWを加熱する。
複数のフラッシュランプFLは、それぞれが長尺の円筒形状を有する棒状ランプであり、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように平面状に配列されている。よって、フラッシュランプFLの配列によって形成される平面も水平面である。
キセノンフラッシュランプFLは、その内部にキセノンガスが封入されその両端部にコンデンサーに接続された陽極および陰極が配設された棒状のガラス管(放電管)と、該ガラス管の外周面上に付設されたトリガー電極とを備える。キセノンガスは電気的には絶縁体であることから、コンデンサーに電荷が蓄積されていたとしても通常の状態ではガラス管内に電気は流れない。しかしながら、トリガー電極に高電圧を印加して絶縁を破壊した場合には、コンデンサーに蓄えられた電気がガラス管内に瞬時に流れ、そのときのジュール熱でキセノンガスが加熱されて光が放出される。このようなキセノンフラッシュランプFLにおいては、予めコンデンサーに蓄えられていた静電エネルギーが0.1ミリセカンドないし10ミリセカンドという極めて短い光パルスに変換されることから、連続点灯の光源に比べて極めて強い光を照射し得るという特徴を有する。
また、リフレクタ52は、複数のフラッシュランプFLの上方にそれら全体を覆うように設けられている。リフレクタ52の基本的な機能は、複数のフラッシュランプFLから出射されたフラッシュ光を保持部7の側に反射するというものである。リフレクタ52はアルミニウム合金板にて形成されており、その表面(フラッシュランプFLに臨む側の面)はブラスト処理により粗面化加工が施されて梨地模様を呈する。このような粗面化加工を施しているのは、リフレクタ52の表面が完全な鏡面であると、複数のフラッシュランプFLからの反射光の強度に規則パターンが生じて半導体ウェハーWの表面温度分布の均一性が低下するためである。
また、制御部3は、熱処理装置1に設けられた上記の種々の動作機構を制御する。制御部3のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部3は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクを備えている。保持部7に窒素ガスを供給するための流量調整弁97および弁98の動作も制御部3によって制御されている。
上記の構成以外にも熱処理装置1は、半導体ウェハーWの熱処理時にフラッシュランプFLおよびヒータ73から発生する熱エネルギーによるチャンバー6およびランプハウス5の過剰な温度上昇を防止するため、様々な冷却用の構造を備えている。例えば、チャンバー6のチャンバー側部63およびチャンバー底部62には水冷管(図示省略)が設けられている。また、ランプハウス5は、内部に気体流を形成して排熱するための気体供給管55および排気管56が設けられて空冷構造とされている(図1参照)。また、チャンバー窓61とランプ光放射窓53との間隙にも空気が供給され、ランプハウス5およびチャンバー窓61を冷却する。
次に、熱処理装置1における半導体ウェハーWの処理手順について簡単に説明する。ここで処理対象となる半導体ウェハーWはイオン注入法により不純物(イオン)が添加された半導体基板であり、添加された不純物の活性化が熱処理装置1によるフラッシュ加熱処理により実行される。以下に示す半導体ウェハーWの処理手順は、制御部3が熱処理装置1の各動作機構を制御することによって実行される。
まず、保持部7が図3に示す処理位置から図1に示す受渡位置に下降する。「処理位置」とは、フラッシュランプFLから半導体ウェハーWに閃光照射が行われるときの保持部7の位置であり、図3に示す保持部7のチャンバー6内における位置である。また、「受渡位置」とは、チャンバー6に半導体ウェハーWの搬出入が行われるときの保持部7の位置であり、図1に示す保持部7のチャンバー6内における位置である。熱処理装置1における保持部7の基準位置は処理位置であり、処理前にあっては保持部7は処理位置に位置しており、これが処理開始に際して受渡位置に下降するのである。図1に示すように、保持部7が受渡位置にまで下降するとチャンバー底部62に近接し、支持ピン70の先端が保持部7を貫通して保持部7の上方に突出する。
次に、保持部7が受渡位置に下降したときに、弁82および弁87が開かれてチャンバー6の熱処理空間65内に常温の窒素ガスが導入される。続いて、ゲートバルブ185が開いて搬送開口部66が開放され、装置外部の搬送ロボットにより搬送開口部66を介してイオン注入後の半導体ウェハーWがチャンバー6内に搬入され、複数の支持ピン70上に載置される。
半導体ウェハーWの搬入時におけるチャンバー6への窒素ガスのパージ量は約40リットル/分とされ、供給された窒素ガスはチャンバー6内においてガス導入バッファ83から図2中に示す矢印AR4の方向へと流れ、図1に示す排出路86および弁87を介してユーティリティ排気により排気される。また、チャンバー6に供給された窒素ガスの一部は、べローズ47の内側に設けられる排出口(図示省略)からも排出される。なお、以下で説明する各ステップにおいて、チャンバー6には常に窒素ガスが供給および排気され続けており、窒素ガスの供給量は半導体ウェハーWの処理工程に合わせて様々に変更される。
半導体ウェハーWがチャンバー6内に搬入されると、ゲートバルブ185により搬送開口部66が閉鎖される。そして、保持部昇降機構4により保持部7が受渡位置からチャンバー窓61に近接した処理位置にまで上昇する。保持部7が受渡位置から上昇する過程において、半導体ウェハーWは支持ピン70から保持部7の保持面75へと受け渡される。このときに支持ピン70上に載置されている半導体ウェハーWが多少位置ずれしていたとしても、半導体ウェハーWの端部がガイド72によって案内されることにより、保持面75に半導体ウェハーWは保持されることとなる。
保持部7が受渡位置から上昇を開始する時点においては、ガス供給源99から複数の噴出口74に窒素ガスが供給され、各噴出口74から鉛直方向上方に向けて気体が噴出している。ガス供給源99から複数の噴出口74への気体供給流量は流量調整弁97によって2リットル毎分以上15リットル毎分以下(本実施形態では10リットル毎分)とされている。上述のように、保持部7の保持面75には8cm2当たりに1個の噴出口74が全面にわたって均等に配設されている。よって、保持面75の全面から均等に気体が噴き出す。その結果、支持ピン70から保持面75に半導体ウェハーWが渡されたときには、半導体ウェハーWが噴出する気流で押し上げられ、当該半導体ウェハーWは保持面75から若干浮上した状態の水平姿勢にて保持されることとなる。
図7は、複数の噴出口74への気体供給流量と半導体ウェハーWの浮上量との相関を示す図である。本実施形態のように、複数の噴出口74に10リットル毎分の流量にて気体を供給すると、半導体ウェハーWは保持面75から0.3mm〜0.4mm浮上する。なお、半導体ウェハーWが気体噴出によって浮上すると水平方向にスライド移動する可能性があるが、ガイド72によって半導体ウェハーWの水平方向移動は規制されており、半導体ウェハーWが保持部7から飛び出すおそれはない。
また、保持部7のプレート71はヒータ73によって所定の温度まで加熱されている。保持面75に半導体ウェハーWが渡されることによって、半導体ウェハーWは保持面75から熱を受けてその温度が次第に上昇する。
保持部7が処理位置まで上昇したときには、半導体ウェハーWは保持面75によって若干浮上されて保持されるとともに、ヒータ73の熱を保持面75から受けて予備加熱される。この処理位置にて所定時間の予備加熱が行われ、半導体ウェハーWの温度が予め設定された予備加熱温度T1まで上昇する。予備加熱温度T1は、半導体ウェハーWに添加された不純物が熱により拡散する恐れのない、200℃ないし800℃程度、好ましくは350℃ないし550℃程度とされる。また、保持部7とチャンバー窓61との間の距離は、保持部昇降機構4のモータ40の回転量を制御することにより任意に調整することが可能とされている。
所定の予備加熱時間が経過した後、保持部7が処理位置に位置したまま制御部3の制御によりランプハウス5のフラッシュランプFLから半導体ウェハーWへ向けてフラッシュ光が照射される。このとき、フラッシュランプFLから放射されるフラッシュ光の一部は直接にチャンバー6内の保持部7へと向かい、他の一部は一旦リフレクタ52により反射されてからチャンバー6内へと向かい、これらのフラッシュ光の照射により半導体ウェハーWのフラッシュ加熱が行われる。フラッシュ加熱は、フラッシュランプFLからの閃光照射により行われるため、半導体ウェハーWの表面温度を短時間で上昇することができる。
すなわち、ランプハウス5のフラッシュランプFLから照射されるフラッシュ光は、予め蓄えられていた静電エネルギーが極めて短い光パルスに変換された、照射時間が0.1ミリ秒ないし10ミリ秒程度の極めて短く強い閃光である。そして、フラッシュランプFLからの閃光照射によりフラッシュ加熱される半導体ウェハーWの表面温度は、瞬間的に1000℃ないし1100℃程度の処理温度T2まで上昇し、半導体ウェハーWに添加された不純物が活性化された後、表面温度が急速に下降する。このように、熱処理装置1では、半導体ウェハーWの表面温度を極めて短時間で昇降することができるため、半導体ウェハーWに添加された不純物の熱による拡散(この拡散現象を、半導体ウェハーW中の不純物のプロファイルがなまる、ともいう)を抑制しつつ不純物の活性化を行うことができる。なお、添加不純物の活性化に必要な時間はその熱拡散に必要な時間に比較して極めて短いため、0.1ミリセカンドないし10ミリセカンド程度の拡散が生じない短時間であっても活性化は完了する。
また、フラッシュ加熱の前に保持部7により半導体ウェハーWを予備加熱しておくことにより、フラッシュランプFLからの閃光照射によって半導体ウェハーWの表面温度を処理温度T2まで速やかに上昇させることができる。
フラッシュ加熱が終了し、処理位置における約10秒間の待機の後、保持部7が保持部昇降機構4により再び図1に示す受渡位置まで下降し、半導体ウェハーWが保持部7から支持ピン70へと渡される。続いて、ゲートバルブ185により閉鎖されていた搬送開口部66が開放され、支持ピン70上に載置された半導体ウェハーWは装置外部の搬送ロボットにより搬出され、熱処理装置1における半導体ウェハーWのフラッシュ加熱処理が完了する。なお、保持部7が受渡位置まで下降した時点で複数の噴出口74への気体供給は停止される。
本実施形態においては、フラッシュランプFLから閃光照射を行うときに、半導体ウェハーWが保持面75から浮上した状態にて保持されている。既述したように、極めて高いエネルギーを有するフラッシュ光を瞬間的に照射すると、一瞬で半導体ウェハーWの表面温度が急速に昇温し、表面の急激な熱膨張によって半導体ウェハーWに変形が生じる。このときに、半導体ウェハーWの特定箇所が拘束されていると、その特定箇所に応力集中が生じ、ウェハー割れが発生することがある。
本実施形態のように、半導体ウェハーWが浮上した状態にて保持されていると、閃光照射時に半導体ウェハーWが急激に変形したとしても特定箇所に応力集中が生じることはなく、ウェハー全体に熱応力が分散することとなり、割れを防止することができる。特に、本実施形態では、保持面75の8cm2当たりに1個の噴出口74を全面にわたって均等に配設しており、保持面75の全面から均等に気体を噴出することができ、半導体ウェハーWの全体を安定して確実に保持面75から浮上させることができるため、半導体ウェハーWと保持部7との接触箇所は皆無であり、応力集中を確実に防止することができる。
また、半導体ウェハーWの全体を保持面75から浮上させて保持しているため、半導体ウェハーWとプレート71とが接触することによるパーティクルの発生を抑制することができる。
また、従来であれば、高温のプレートと常温の半導体ウェハーWとを急速に接触させることによる不具合(急激な温度変化による半導体ウェハーWの変形等)を防止するため、保持部7を受渡位置から徐々に上昇させて支持ピン70から半導体ウェハーWを受け取る必要があり、スループットを低下させる要因となっていた。本実施形態のようにすれば、半導体ウェハーWは気体層を介して保持面75から熱を受けるため、急激な温度変化を緩和することができる。さらには、複数の噴出口74からの気体噴出によって、半導体ウェハーWが自重により撓むことなく水平姿勢で保持されるため、半導体ウェハーWと保持面75との距離が均一になり、半導体ウェハーWの温度変化も均一になる。その結果、半導体ウェハーWに動的な変形が生じなくなるため、保持部7を受渡位置から処理位置まで高速に上昇させて支持ピン70から半導体ウェハーWを受け取ることができ、スループットを向上させることができる。
また、本実施形態においては、ガス供給源99から複数の噴出口74への気体供給流量を10リットル毎分としているため、半導体ウェハーWを確実に浮上させることができるとともに、半導体ウェハーWの温度低下を防止することができる。すなわち、保持部7は、半導体ウェハーWを浮上させた状態で水平姿勢に保持するとともに、予備加熱温度T1に予備加熱するものである。ガス供給源99から複数の噴出口74への気体供給流量が2リットル毎分未満であると、図7にも示すように、半導体ウェハーWの保持面75からの浮上量が0.1mm未満となり、半導体ウェハーWの一部が保持面75に接触するおそれがある。一方、気体供給流量が15リットル毎分より多いと、気体流によって半導体ウェハーWが強く冷却されることとなり、半導体ウェハーWを安定して予備加熱することが困難となる。このため、ガス供給源99から複数の噴出口74への気体供給流量は2リットル毎分以上15リットル毎分以下としている。
また、各噴出口74の穴径をφ0.3mm以上φ1.5mm以下としているのは、以下のような理由による。すなわち、穴径がφ1.5mmより大きいと、気体流の流速が遅くなって半導体ウェハーWを保持面75から確実に浮上させることが困難となる。一方、噴出口74の穴径がφ0.3mm未満の場合、穴の加工が難しく均一な穴径を得ることが困難となる。
また、第1実施形態においては、保持部7のプレート71を窒化アルミニウムにて形成し、そのプレート71の内部にヒータ73を内蔵するとともに、複数の噴出口74および気体通路77を形設している。窒化アルミニウムは石英に比較して良好な熱伝導性を有しており、複数の噴出口74から気体を噴出したとしても、半導体ウェハーWを均一に予備加熱することができる。もっとも、窒化アルミニウムからは半導体ウェハーWへの金属汚染(アルミニウムの汚染)も懸念されるが、本実施形態のように半導体ウェハーWをプレート71から浮上させて保持するのであれば、窒化アルミニウムと半導体ウェハーWとは非接触であるため、金属汚染を防止することができる。
また、プレート71の上面周縁部には石英製のガイド72を設け、その内周面72aの保持面75に対する勾配αを45°以上90°未満としている。噴出口74からの気体噴出によって浮上している半導体ウェハーWの端部はガイド72に接触することもあるが、ガイド72は石英製であるため半導体ウェハーWが汚染されるおそれは無い。また、ガイド72の内周面72aの勾配αを45°以上90°未満としているため、閃光照射時に半導体ウェハーWが急激に変形してガイド72に接触したとしても、ガイド72から半導体ウェハーWが受ける応力を緩和することができ、半導体ウェハーWの割れをより確実に防止することができる。
<2.第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態の熱処理装置の全体構成および半導体ウェハーWの処理手順は第1実施形態と同様である。第2実施形態の熱処理装置が第1実施形態と相違するのは保持部の構成である。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態の熱処理装置の全体構成および半導体ウェハーWの処理手順は第1実施形態と同様である。第2実施形態の熱処理装置が第1実施形態と相違するのは保持部の構成である。
図8は、第2実施形態の熱処理装置の保持部7aの構成を示す図である。第2実施形態の保持部7aは、プレート171の上側にサセプタ176を設置して構成されている。プレート171は、金属製(例えば、ステンレススチール)の円板状部材である。プレート171の内部には図示省略のヒータが内蔵されている。このヒータは第1実施形態のヒータ73と同様のものである。また、プレート171の上面には、通気溝177が格子状に刻設されている。通気溝177は、第1実施形態の気体通路77と同様に、気体供給管92を介してガス供給源99と連通接続されており、気体供給管92には流量調整弁97および弁98が介挿されている(図5参照)。なお、通気溝177は、プレート171の周縁部には形成されていない。
一方、サセプタ176は、石英により形成された円板状部材である。サセプタ176の径はプレート171の径と等しく、半導体ウェハーWの径よりも大きい。サセプタ176の上面周縁部には円環状のガイド172が形設される。サセプタ176の上面のうちガイド172によって環囲される領域、すなわち外部に露出している面が半導体ウェハーWを保持する保持面175となる。保持面175は円形の水平面であり、その径は半導体ウェハーWの径よりも若干大きい。
また、サセプタ176の保持面175には複数の噴出口174が穿設されている。複数の噴出口174の配置および形状は第1実施形態の噴出口74と同様である。すなわち、サセプタ176の保持面175には8cm2当たりに1個の噴出口174が全面にわたって均等に配設されており、各噴出口174はサセプタ172の表裏を貫通して穿設された穴径φ0.3mm以上φ1.5mm以下の円筒状穴である。
サセプタ176の上面周縁部に形設された円環状のガイド172の内周面172aは上方に向けて拡がるテーパ面とされている。内周面172aの保持面175に対する勾配は45°以上90°未満とされている。
サセプタ176の中心がプレート171の中心と重なるように、サセプタ176をプレート171の上面に装着すると、保持部7aは概ね第1実施形態の保持部7(図5)と同様の構成を備えるものとなる。すなわち、各噴出口174の下端が通気溝177の交点に開口し、複数の噴出口174の全ては通気溝177を介して相互に連通されるとともに、通気溝177および気体供給管92を介してガス供給源99とも連通接続される。弁98を開放することによってガス供給源99から気体供給管92および通気溝177を介して複数の噴出口174に所定の気体が供給され、その流量は流量調整弁97によって規定される。
また、サセプタ176およびプレート171には、支持ピン70が挿通される貫通孔が穿設されている。さらに、保持部7aには、第1実施形態と同様に、プレート表面近傍の温度を測定する温度センサやヒータに電力を供給する電力ケーブルも設けられている。
第2実施形態の残余の構成は第1実施形態と同じであり、第1実施形態と同様にして半導体ウェハーWのフラッシュ加熱処理が実行される。第2実施形態においても、フラッシュランプFLから閃光照射を行うときに、半導体ウェハーWがサセプタ176の保持面175から浮上した状態にて保持されることとなり、半導体ウェハーWが急激に変形したとしても特定箇所に応力集中が生じることはなく、ウェハー割れを防止することができる。
また、第2実施形態においては、保持面175およびガイド172を石英製のサセプタ176の一部として構成している。石英は窒化アルミニウムよりも清浄度が高く、熱処理の過程にて半導体ウェハーWの一部がサセプタ176に接触したとしても、それに起因した半導体ウェハーWの汚染を確実に防止することができる。もっとも、石英は窒化アルミニウムよりも熱伝導性が低いため、複数の噴出口174への気体供給流量が多いと予備加熱時における半導体ウェハーWの昇温を阻害する可能性があり、またサセプタ176とプレート171との接合部からの気体漏れも懸念されるため、これらの観点からは第1実施形態のように窒化アルミニウムにて一体形成した方が好ましい。
<3.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。上記各実施形態においては、複数の噴出口74(174)を二次元正方格子状に配置し、対角に配置された噴出口74間の距離を40mmとすることによって、保持面75(175)の8cm2当たりに1個の噴出口74を均等に配設していたが、噴出口の配置はこれに限定されるものではない。複数の噴出口の配置は保持面に均等に配置する形態であれば良く、例えば複数の噴出口を二次元三角格子状に配置しても良い。また、保持面の50cm2当たりに1個の噴出口を均等に配置していれば、複数の噴出口からの気体噴出によって半導体ウェハーWの全体を安定して浮上させることが可能であり、半導体ウェハーWを保持する保持面の50cm2当たりに少なくとも1個以上の噴出口を設けておけば良い。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。上記各実施形態においては、複数の噴出口74(174)を二次元正方格子状に配置し、対角に配置された噴出口74間の距離を40mmとすることによって、保持面75(175)の8cm2当たりに1個の噴出口74を均等に配設していたが、噴出口の配置はこれに限定されるものではない。複数の噴出口の配置は保持面に均等に配置する形態であれば良く、例えば複数の噴出口を二次元三角格子状に配置しても良い。また、保持面の50cm2当たりに1個の噴出口を均等に配置していれば、複数の噴出口からの気体噴出によって半導体ウェハーWの全体を安定して浮上させることが可能であり、半導体ウェハーWを保持する保持面の50cm2当たりに少なくとも1個以上の噴出口を設けておけば良い。
また、ガス供給源99から複数の噴出口74に供給する気体は窒素ガスに限定されるものではなく、アルゴンや空気などの他の種類のガスであっても良い。もっとも、気体の消費コストおよび半導体ウェハーWとの反応性を考慮すると、安価で安定な窒素ガスを使用するのが好ましい。
また、第1実施形態においては、窒化アルミニウムのプレート71の上面周縁部に石英製のガイド72を設けて保持部7を構成していたが、ガイドまでをも含めて窒化アルミニウムにて一体形成するようにしても良い。
また、上記実施形態においては、ランプハウス5に30本のフラッシュランプFLを備えるようにしていたが、これに限定されるものではなく、フラッシュランプFLの本数は任意の数とすることができる。また、フラッシュランプFLはキセノンフラッシュランプに限定されるものではなく、クリプトンフラッシュランプであっても良い。
また、上記実施形態においては、半導体ウェハーに光を照射してイオン活性化処理を行うようにしていたが、本発明にかかる熱処理装置による処理対象となる基板は半導体ウェハーに限定されるものではない。例えば、窒化シリコン膜や多結晶シリコン膜等の種々のシリコン膜が形成されたガラス基板に対して本発明にかかる熱処理装置による処理を行っても良い。一例として、CVD法によりガラス基板上に形成した多結晶シリコン膜にシリコンをイオン注入して非晶質化した非晶質シリコン膜を形成し、さらにその上に反射防止膜となる酸化シリコン膜を形成する。この状態で、本発明にかかる熱処理装置により非晶質のシリコン膜の全面に光照射を行い、非晶質のシリコン膜が多結晶化した多結晶シリコン膜を形成することもできる。
また、ガラス基板上に下地酸化シリコン膜、アモルファスシリコンを結晶化したポリシリコン膜を形成し、そのポリシリコン膜にリンやボロン等の不純物をドーピングした構造のTFT基板に対して本発明にかかる熱処理装置により光照射を行い、ドーピング工程で打ち込まれた不純物の活性化を行うこともできる。
1 熱処理装置
4 保持部昇降機構
5 ランプハウス
6 チャンバー
7,7a 保持部
61 チャンバー窓
65 熱処理空間
71,171 プレート
72,172 ガイド
72a,172a 内周面
73 ヒータ
74,174 噴出口
75,175 保持面
77 気体通路
97 流量調整弁
98 弁
99 ガス供給源
176 サセプタ
177 通気溝
FL フラッシュランプ
W 半導体ウェハー
4 保持部昇降機構
5 ランプハウス
6 チャンバー
7,7a 保持部
61 チャンバー窓
65 熱処理空間
71,171 プレート
72,172 ガイド
72a,172a 内周面
73 ヒータ
74,174 噴出口
75,175 保持面
77 気体通路
97 流量調整弁
98 弁
99 ガス供給源
176 サセプタ
177 通気溝
FL フラッシュランプ
W 半導体ウェハー
Claims (7)
- 基板に対して閃光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置であって、
基板に閃光を照射するフラッシュランプと、
前記フラッシュランプの下方に設けられ、前記フラッシュランプから出射された閃光を透過するチャンバー窓を上部に備えるチャンバーと、
上面に複数の噴出口を形設し、前記チャンバー内にて基板を水平姿勢にて保持する保持手段と、
前記複数の噴出口に気体を供給する気体供給手段と、
を備え、
前記複数の噴出口は、前記保持手段の上面のうち基板を保持する保持面の50cm2当たりに少なくとも1個以上の噴出口を設けて形成されることを特徴とする熱処理装置。 - 請求項1記載の熱処理装置において、
前記複数の噴出口のそれぞれは、φ0.3mm以上φ1.5mm以下の穴径を有する円筒状穴を含み、
前記気体供給手段は2リットル毎分以上15リットル毎分以下の流量にて前記複数の噴出口に気体を供給することを特徴とする熱処理装置。 - 請求項1または請求項2記載の熱処理装置において、
前記保持手段は、基板を予備加熱するヒータを内蔵するとともに、前記複数の噴出口と前記気体供給手段とを連通する気体通路および前記複数の噴出口を形設した窒化アルミニウム製部材を有することを特徴とする熱処理装置。 - 請求項3記載の熱処理装置において、
前記保持手段は、前記窒化アルミニウム製部材の上面に付設されて前記保持面を環囲する石英製のガイド部材を備えることを特徴とする熱処理装置。 - 請求項4記載の熱処理装置において、
前記保持面に対する前記ガイド部材の内周面の勾配は45°以上90°未満であることを特徴とする熱処理装置。 - 請求項1または請求項2記載の熱処理装置において、
前記保持手段は、
基板を予備加熱するヒータを内蔵した金属製のプレートと、
前記プレート上に設置され、前記複数の噴出口が穿設された前記保持面を有する石英製のサセプタと、
を備え、
前記プレートの上面には前記複数の噴出口に連通して前記気体供給手段から供給された気体が通過する溝が刻設されることを特徴とする熱処理装置。 - 請求項6記載の熱処理装置において、
前記サセプタは、前記保持面を環囲する石英製のガイド部材を備え、
前記保持面に対する前記ガイド部材の内周面の勾配は45°以上90°未満であることを特徴とする熱処理装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008004176A JP2009170497A (ja) | 2008-01-11 | 2008-01-11 | 熱処理装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2008004176A Pending JP2009170497A (ja) | 2008-01-11 | 2008-01-11 | 熱処理装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106373906A (zh) * | 2015-07-20 | 2017-02-01 | 盛美半导体设备(上海)有限公司 | 半导体反应腔 |
JP7580641B1 (ja) | 2023-12-12 | 2024-11-11 | ミコ セラミックス リミテッド | パージガス流路を備えるサセプター |
-
2008
- 2008-01-11 JP JP2008004176A patent/JP2009170497A/ja active Pending
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