JP2007266351A - 熱処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】容易にトリガ電極を配置することが可能な熱処理装置を提供する。
【解決手段】互いに平行に配列された複数のフラッシュランプ69の全体を覆うようにリフレクタ52が配置されている。リフレクタ52は、フラッシュランプ69から出射されたフラッシュ光を反射する。フラッシュランプ69の放電に必要なトリガ電極68は、複数のフラッシュランプ69に1対1で近接対向するように絶縁部材67を挟み込んでリフレクタ52に固設されている。このため、装置のメンテナンス時やランプ交換時等に逐一トリガワイヤをフラッシュランプ69の近傍に張る必要はなく、リフレクタ52を所定の設置位置に固定するだけで容易にトリガ電極68をフラッシュランプ69の近傍に配置することができる。
【選択図】図5
【解決手段】互いに平行に配列された複数のフラッシュランプ69の全体を覆うようにリフレクタ52が配置されている。リフレクタ52は、フラッシュランプ69から出射されたフラッシュ光を反射する。フラッシュランプ69の放電に必要なトリガ電極68は、複数のフラッシュランプ69に1対1で近接対向するように絶縁部材67を挟み込んでリフレクタ52に固設されている。このため、装置のメンテナンス時やランプ交換時等に逐一トリガワイヤをフラッシュランプ69の近傍に張る必要はなく、リフレクタ52を所定の設置位置に固定するだけで容易にトリガ電極68をフラッシュランプ69の近傍に配置することができる。
【選択図】図5
Description
この発明は、半導体ウェハーや液晶表示装置用ガラス基板等(以下、単に「基板」と称する)に対してフラッシュ光を照射することにより基板を加熱する熱処理装置に関する。
従来より、イオン注入後の半導体ウェハーのイオン活性化工程においては、ハロゲンランプを使用したランプアニール装置が一般的に使用されていた。このようなランプアニール装置においては、半導体ウェハーを、例えば、1000℃ないし1100℃程度の温度に加熱(アニール)することにより、半導体ウェハーのイオン活性化を実行している。そして、このような熱処理装置においては、ハロゲンランプより照射される光のエネルギーを利用することにより、毎秒数百度程度の速度で基板を昇温する構成となっている。
一方、近年、半導体デバイスの高集積化が進展し、ゲート長が短くなるにつれて接合深さも浅くすることが望まれている。しかしながら、毎秒数百度程度の速度で半導体ウェハーを昇温する上記ランプアニール装置を使用して半導体ウェハーのイオン活性化を実行した場合においても、半導体ウェハーに打ち込まれたボロンやリン等のイオンが熱によって深く拡散するという現象が生ずることが判明した。このような現象が発生した場合においては、接合深さが要求よりも深くなり過ぎ、良好なデバイス形成に支障が生じることが懸念される。
このため、複数のキセノンフラッシュランプを使用して半導体ウェハーの表面にフラッシュ光を照射することにより、イオンが注入された半導体ウェハーの表面のみを極めて短時間(数ミリセカンド以下)に昇温させる技術が提案されている(例えば、特許文献1,2)。キセノンフラッシュランプの放射分光分布は紫外域から近赤外域であり、従来のハロゲンランプよりも波長が短く、シリコンの半導体ウェハーの基礎吸収帯とほぼ一致している。よって、キセノンフラッシュランプから半導体ウェハーにフラッシュ光を照射したときには、透過光が少なく半導体ウェハーを急速に昇温することが可能である。また、数ミリセカンド以下の極めて短時間のフラッシュ光照射であれば、半導体ウェハーの表面近傍のみを選択的に昇温できることも判明している。このため、キセノンフラッシュランプによる極短時間の昇温であれば、イオンを深く拡散させることなく、イオン活性化のみを実行することができるのである。
キセノンフラッシュランプは、キセノンガスを封入したガラス管の両端部に陽極と陰極とを配置したものである。キセノンガス自体は絶縁体であるため、これら両端の電極に単に電圧を印加しただけではガラス管内に放電は生じない。このため、ガラス管の外部近傍にトリガワイヤを配置し、両端電極に所定の電圧を印加した状態でトリガワイヤに高電圧を印加してキセノンガスの絶縁性を破壊することによって放電を生じさせている。このようなトリガワイヤはガラス管の近傍に配置しなければならないため、特許文献1,2に開示されているような複数のキセノンフラッシュランプを有する装置においては、複数のキセノンフラッシュランプのそれぞれの近傍に1本のトリガワイヤを配置していた。
しかしながら、ガラス管の直近にトリガワイヤを設置する作業は繁雑なものである。特に、多数のキセノンフラッシュランプを有する装置においては、メンテナンス時やランプ交換時等にそれら全てのランプについてトリガワイヤを配置しなければならず、非常に大きな作業負担を強いられるという問題があった。
また、複数のキセノンフラッシュランプのそれぞれにトリガワイヤを配置すると、トリガワイヤの設置数に応じたトリガ回路が必要となる。トリガ回路の数が増えるとそれに比例して回路障害の頻度も増加する。また、多数のトリガ回路の電圧印加タイミングが少しでもずれると、複数のキセノンフラッシュランプの発光タイミングもずれることとなり、半導体ウェハーの熱処理にも支障を来す懸念があった。
さらに、トリガワイヤはガラス管の直近に配置されているため、フラッシュ光照射時に大きな熱的影響を受ける。このため、トリガワイヤの材質としてはタングステン(W)のような高融点金属が使用されているが、フラッシュ光照射時に酸化されて断線するおそれがあった。トリガワイヤを貴金属にて形成すれば、高温酸化を防止することができるが、コストが著しく上昇するという問題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、容易にトリガ電極を配置することが可能な熱処理装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、フラッシュ光照射に対する耐久性に優れた熱処理装置を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、複数のトリガ電極に完全に同一のタイミングにて電圧を印加することが可能な熱処理装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、基板に対してフラッシュ光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置において、放電管内に設けられた両端電極間に生じる放電によってフラッシュ光を出射する複数のフラッシュランプと、基板を保持する保持手段と、前記複数のフラッシュランプを挟んで前記保持手段と対向するように、かつ前記複数のフラッシュランプを覆うように配置され、前記複数のフラッシュランプから出射されたフラッシュ光を前記保持手段の側に反射する反射板と、前記複数のフラッシュランプに1対1で近接対向するように前記反射板に固設され、前記複数のフラッシュランプが放電を開始するための複数のトリガ電極と、を備える。
また、請求項2の発明は、請求項1記載の熱処理装置において、前記反射板を導電性材料によって構成し、前記複数のトリガ電極を前記反射板に通電可能に固設し、前記反射板に通電可能に設けられ、前記複数のフラッシュランプが放電を開始する電圧を前記反射板を介して前記複数のトリガ電極に印加する単一のトリガ回路をさらに備える。
また、請求項3の発明は、請求項1記載の熱処理装置において、前記複数のトリガ電極を絶縁部材を挟み込んで前記反射板に固設し、前記複数のトリガ電極が並列的に接続され、前記複数のフラッシュランプが放電を開始する電圧を前記複数のトリガ電極に印加する単一のトリガ回路をさらに備える。
請求項1の発明によれば、複数のフラッシュランプを覆う反射板に複数のトリガ電極を固設しているため、反射板を装置の所定位置に取り付けるだけで容易にトリガ電極を配置することが可能となる。また、反射板にトリガ電極を固設すれば、トリガ電極の容量を大きくすることができるため、フラッシュ光照射時にトリガ電極が受けた熱が急速に伝導して拡散され、トリガ電極のフラッシュ光照射に対する耐久性を優れたものとすることができる。
また、請求項2の発明によれば、単一のトリガ回路が反射板を介して複数のトリガ電極に放電を開始するための電圧を印加するため、複数のトリガ電極に完全に同一のタイミングにて電圧を印加することが可能となる。
また、請求項3の発明によれば、複数のトリガ電極が並列的に接続された単一のトリガ回路が放電を開始するための電圧を複数のトリガ電極に印加するため、複数のトリガ電極に完全に同一のタイミングにて電圧を印加することが可能となる。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<1.第1実施形態>
まず、本発明に係る熱処理装置の全体構成について概説する。図1は、本発明に係る熱処理装置1の構成を示す側断面図である。熱処理装置1は基板として略円形の半導体ウェハーWに閃光(フラッシュ光)を照射してその半導体ウェハーWを加熱するフラッシュランプアニール装置である。
まず、本発明に係る熱処理装置の全体構成について概説する。図1は、本発明に係る熱処理装置1の構成を示す側断面図である。熱処理装置1は基板として略円形の半導体ウェハーWに閃光(フラッシュ光)を照射してその半導体ウェハーWを加熱するフラッシュランプアニール装置である。
熱処理装置1は、半導体ウェハーWを収容する略円筒形状のチャンバー6を備える。チャンバー6は、略円筒状の内壁を有するチャンバー側部63、および、チャンバー側部63の下部を覆うチャンバー底部62によって構成される。また、チャンバー側部63およびチャンバー底部62によって囲まれる空間が熱処理空間65として規定される。熱処理空間65の上方は上部開口60とされている。
また、熱処理装置1は、上部開口60に装着されて上部開口60を閉塞する閉塞部材である透光板61、チャンバー6の内部において半導体ウェハーWを保持しつつ予備加熱を行う略円板状の保持部7、保持部7をチャンバー6の底面であるチャンバー底部62に対して昇降させる保持部昇降機構4、保持部7に保持される半導体ウェハーWに透光板61を介して光を照射することにより半導体ウェハーWを加熱する光照射部5、および、これらの構成を制御して熱処理を行う制御部3を備える。
チャンバー6は、光照射部5の下方に設けられている。チャンバー6の上部に設けられた透光板61は、例えば、石英等により形成された円板形状部材であり、光照射部5から出射された光を透過して熱処理空間65に導くチャンバー窓として機能する。チャンバー6の本体を構成するチャンバー底部62およびチャンバー側部63は、例えば、ステンレススチール等の強度と耐熱性に優れた金属材料にて形成されており、チャンバー側部63の内側面の上部のリング631は、光照射による劣化に対してステンレススチールより優れた耐久性を有するアルミニウム(Al)合金等で形成されている。
また、熱処理空間65の気密性を維持するために、透光板61とチャンバー側部63とはOリングによってシールされている。すなわち、透光板61の下面周縁部とチャンバー側部63との間にOリングを挟み込むとともに、クランプリング90を透光板61の上面周縁部に当接させ、そのクランプリング90をチャンバー側部63にネジ止めすることによって、透光板61をOリングに押し付けている。
チャンバー底部62には、保持部7を貫通して半導体ウェハーWをその下面(光照射部5からの光が照射される側とは反対側の面)から支持するための複数(本実施の形態では3本)の支持ピン70が立設されている。支持ピン70は、例えば石英により形成されており、チャンバー6の外部から固定されているため、容易に取り替えることができる。
チャンバー側部63は、半導体ウェハーWの搬入および搬出を行うための搬送開口部66を有し、搬送開口部66は、軸662を中心に回動するゲートバルブ185により開閉可能とされる。チャンバー側部63における搬送開口部66とは反対側の部位には熱処理空間65に処理ガス(例えば、窒素(N2)ガスやヘリウム(He)ガス、アルゴン(Ar)ガス等の不活性ガス、あるいは、酸素(02)ガス等)を導入する導入路81が形成され、その一端は弁82を介して図示省略の給気機構に接続され、他端はチャンバー側部63の内部に形成されるガス導入バッファ83に接続される。また、搬送開口部66には熱処理空間65内の気体を排出する排出路86が形成され、弁87を介して図示省略の排気機構に接続される。
図2は、チャンバー6をガス導入バッファ83の位置にて水平面で切断した断面図である。図2に示すように、ガス導入バッファ83は、図1に示す搬送開口部66の反対側においてチャンバー側部63の内周の約1/3に亘って形成されており、導入路81を介してガス導入バッファ83に導かれた処理ガスは、複数のガス供給孔84から熱処理空間65内へと供給される。
図1に示す保持部昇降機構4は、略円筒状のシャフト41、移動板42、ガイド部材43(本実施の形態ではシャフト41の周りに3本配置される)、固定板44、ボールネジ45、ナット46およびモータ40を有する。チャンバー6の下部であるチャンバー底部62には保持部7よりも小さい直径を有する略円形の下部開口64が形成されており、ステンレススチール製のシャフト41は、下部開口64を挿通して、保持部7(厳密には保持部7のホットプレート71)の下面に接続されて保持部7を支持する。
移動板42にはボールネジ45と螺合するナット46が固定されている。また、移動板42は、チャンバー底部62に固定されて下方へと伸びるガイド部材43により摺動自在に案内されて上下方向に移動可能とされる。また、移動板42は、シャフト41を介して保持部7に連結される。
モータ40は、ガイド部材43の下端部に取り付けられる固定板44に設置され、タイミングベルト401を介してボールネジ45に接続される。保持部昇降機構4により保持部7が昇降する際には、駆動部であるモータ40が制御部3の制御によりボールネジ45を回転し、ナット46が固定された移動板42がガイド部材43に沿って鉛直方向に移動する。この結果、移動板42に固定されたシャフト41が鉛直方向に沿って移動し、シャフト41に接続された保持部7が図1に示す半導体ウェハーWの受渡位置と図4に示す半導体ウェハーWの熱処理位置との間で滑らかに昇降する。
移動板42の上面には略半円筒状(円筒を長手方向に沿って半分に切断した形状)のメカストッパ451がボールネジ45に沿うように立設されており、仮に何らかの異常により移動板42が所定の上昇限界を超えて上昇しようとしても、メカストッパ451の上端がボールネジ45の端部に設けられた端板452に突き当たることによって移動板42の異常上昇が防止される。これにより、保持部7が透光板61の下方の所定位置以上に上昇することはなく、保持部7と透光板61との衝突が防止される。
また、保持部昇降機構4は、チャンバー6の内部のメンテナンスを行う際に保持部7を手動にて昇降させる手動昇降部49を有する。手動昇降部49はハンドル491および回転軸492を有し、ハンドル491を介して回転軸492を回転することより、タイミングベルト495を介して回転軸492に接続されるボールネジ45を回転して保持部7の昇降を行うことができる。
チャンバー底部62の下側には、シャフト41の周囲を囲み下方へと伸びる伸縮自在のベローズ47が設けられ、その上端はチャンバー底部62の下面に接続される。一方、ベローズ47の下端はベローズ下端板471に取り付けられている。べローズ下端板471は、鍔状部材411によってシャフト41にネジ止めされて取り付けられている。保持部昇降機構4により保持部7がチャンバー底部62に対して上昇する際にはベローズ47が収縮され、下降する際にはべローズ47が伸張される。そして、保持部7が昇降する際にも、ベローズ47が伸縮することによって熱処理空間65内の気密状態が維持される。
保持部7は、半導体ウェハーWを予備加熱(いわゆるアシスト加熱)するホットプレート(加熱プレート)71、および、ホットプレート71の上面(保持部7が半導体ウェハーWを保持する側の面)に設置されるサセプタ72を有する。保持部7の下面には、既述のように保持部7を昇降するシャフト41が接続される。サセプタ72は石英(あるいは、窒化アルミニウム(AIN)等であってもよい)により形成され、その上面には半導体ウェハーWの位置ずれを防止するピン75が設けられる。サセプタ72は、その下面をホットプレート71の上面に面接触させてホットプレート71上に設置される。これにより、サセプタ72は、ホットプレート71からの熱エネルギーを拡散してサセプタ72上面に載置された半導体ウェハーWに伝達するとともに、メンテナンス時にはホットプレート71から取り外して洗浄可能とされる。
ホットプレート71は、ステンレススチール製の上部プレート73および下部プレート74にて構成される。上部プレート73と下部プレート74との間には、ホットプレート71を加熱するニクロム線等の抵抗加熱線が配設され、導電性のニッケル(Ni)ロウが充填されて封止されている。また、上部プレート73および下部プレート74の端部はロウ付けにより接着されている。
図3は、ホットプレート71を示す平面図である。図3に示すように、ホットプレート71は、保持される半導体ウェハーWと対向する領域の中央部に同心円状に配置される円板状のゾーン711および円環状のゾーン712、並びに、ゾーン712の周囲の略円環状の領域を周方向に4等分割した4つのゾーン713〜716を備え、各ゾーン間には若干の間隙が形成されている。また、ホットプレート71には、支持ピン70が挿通される3つの貫通孔77が、ゾーン711とゾーン712との隙間の周上に120°毎に設けられる。
6つのゾーン711〜716のそれぞれには、相互に独立した抵抗加熱線が周回するように配設されてヒータが形成されており、各ゾーンに内蔵されたヒータにより各ゾーンが個別に加熱される。保持部7に保持された半導体ウェハーWは、6つのゾーン711〜716に内蔵されたヒータにより加熱される。また、ゾーン711〜716のそれぞれには、熱電対を用いて各ゾーンの温度を計測するセンサ710が設けられている。各センサ710は略円筒状のシャフト41の内部を通り制御都3に接続される。
ホットプレート71が加熱される際には、センサ710により計測される6つのゾーン711〜716のそれぞれの温度が予め設定された所定の温度になるように、各ゾーンに配設された抵抗加熱線への電力供給量が制御部3により制御される。制御部3による各ゾーンの温度制御はPID(Proportional,Integral,Derivative)制御により行われる。ホットプレート71では、半導体ウェハーWの熱処理(複数の半導体ウェハーWを連続的に処理する場合は、全ての半導体ウェハーWの熱処理)が終了するまでゾーン711〜716のそれぞれの温度が継続的に計測され、各ゾーンに配設された抵抗加熱線への電力供給量が個別に制御されて、すなわち、各ゾーンに内蔵されたヒータの温度が個別に制御されて各ゾーンの温度が設定温度に維持される。なお、各ゾーンの設定温度は、基準となる温度から個別に設定されたオフセット値だけ変更することが可能とされる。
6つのゾーン711〜716にそれぞれ配設される抵抗加熱線は、シャフト41の内部を通る電力線を介して電力供給源(図示省略)に接続されている。電力供給源から各ゾーンに至る経路途中において、電力供給源からの電力線は、マグネシア(マグネシウム酸化物)等の絶縁体を充填したステンレスチューブの内部に互いに電気的に絶縁状態となるように配置される。なお、シャフト41の内部は大気開放されている。
図1に示す光照射部5は、複数(本実施の形態においては30本)のキセノンフラッシュランプ(以下、単に「フラッシュランプ」という)69およびリフレクタ52を有する光源である。複数のフラッシュランプ69は、それぞれが長尺の円筒形状を有する棒状ランプであり、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って互いに平行となるように平面状に配列されている。各キセノンフラッシュランプ69は、少量のキセノンガスが封入された透明なガラス管(放電管)内部の両端部に、コンデンサーに接続された陽極および陰極を配設して構成されている。
リフレクタ52は、複数のフラッシュランプ69を挟んで保持部7と対向するように、かつ複数のフラッシュランプ69の上方にそれら全体を覆うように配置された反射板である。リフレクタ52の基本的な機能は、複数のフラッシュランプ69から出射されたフラッシュ光を保持部7の側に反射するというものである。リフレクタ52はアルミニウム合金板にて形成されており、その表面(フラッシュランプ69に臨む側の面)はブラスト処理により粗面化加工が施されて梨地模様を呈する。このような粗面化加工を施しているのは、リフレクタ52の表面が完全な鏡面であると、複数のフラッシュランプ69からの反射光の強度に規則パターンが生じて半導体ウェハーWの表面温度分布均一性が低下するためである。また、光拡散板53(ディフューザ)は、表面に光拡散加工を施した石英ガラスにより形成され、透光板61との間に所定の間隙を設けて光照射部5の下面側に設置される。熱処理装置1には、メンテナンス時に光照射部5をチャンバー6に対して相対的に上昇させて水平方向にスライド移動させる照射部移動機構55がさらに設けられる。
ところで、キセノンフラッシュランプ69の放電管内部に封入されているキセノンガスは電気的には絶縁体であるため、通常の状態では両端の電極に電圧を印加しても放電管内に電流は流れない。このため、両端の電極に電圧を印加した状態において、放電管の外部から放電を開始させるきっかけを与えてやる必要があり、このきっかけを与えるのがトリガ電極である。
図5は、第1実施形態のリフレクタ52およびフラッシュランプ69の部分断面図である。フラッシュランプ69の放電管691は円筒形状の透明なガラス管であり、その内部の中空空間692にキセノンガスが封入されている。フラッシュランプ69の直径、つまり放電管691の外径は約15mmである。また、フラッシュランプ69の上端からリフレクタ52までの距離は約3mm程度に設定されている。
トリガ電極68は、複数のフラッシュランプ69に1対1で近接対向するようにリフレクタ52に固設されている。第1実施形態では、光照射部5に30本のフラッシュランプ69が設けられているため、トリガ電極68も30本設けられている。各トリガ電極68は、耐フラッシュ特性に優れたアルミニウム(またはニッケルでも良い)にて形成された長尺の四角柱形状を有しており、フラッシュランプ69の直上にランプ長手方向に沿って近接して配置されている。トリガ電極68の断面形状は、縦約1mm、横約2mmの長方形である。
ここで、第1実施形態においては、リフレクタ52に固設された絶縁部材67を介してトリガ電極68が取り付けられている。すなわち、絶縁部材67を挟み込んで各トリガ電極68がリフレクタ52に固設されているのである。絶縁部材67の数は当然にトリガ電極68の数と同じ(本実施形態では30本)になる。各絶縁部材67は、絶縁性を有するセラミック(例えば、シリカ(SiO2))或いはテフロン(登録商標)を用いて形成され、長尺の四角柱形状を有している。トリガ電極68が絶縁部材67を挟み込んでリフレクタ52に取り付けられているため、トリガ電極68とリフレクタ52とは電気的に絶縁されている。
図6は、トリガ電極68に電圧を印加するトリガ回路を示す図である。複数のフラッシュランプ69のそれぞれの両端電極693a,693bはコンデンサー(図示省略)に接続されている。そして、各フラッシュランプ69の直上にはリフレクタ52に固設されたトリガ電極68が配設されている。第1実施形態では30本のフラッシュランプ69に対応して30本のトリガ電極68が設けられているのであるが、それら30本のトリガ電極68が並列的に単一のトリガ回路20に接続されている。トリガ回路20は、トリガ用電源23、トリガスイッチ21および昇圧コイル22を備えている。トリガスイッチ21をON状態にすると、昇圧コイル22を介して30本のトリガ電極68の全てに同一のタイミングで高電圧が印加される。第1実施形態において、トリガスイッチ21をON状態にしたときにトリガ電極68に印加される電圧は約20000Vである。
各フラッシュランプ69の両端電極693a,693bに接続されたコンデンサーに電荷を蓄電すると、その蓄積された電荷量に従って両端電極693a,693b間に電圧が印加される。第1実施形態において、両端電極693a,693b間に印加される電圧は約4000Vである。既述したように、フラッシュランプ69の放電管691内に封入されているキセノンガスは絶縁体であるため、単に両端電極693a,693bに電圧を印加しただけでは放電管内に放電は生じない。
しかしながら、フラッシュランプ69の両端電極693a,693b間に高電圧が印加された状態において、トリガスイッチ21をON状態にしてトリガ電極68に約2万Vの高電圧を印加して放電管691内の絶縁を破壊した場合には、コンデンサーに蓄えられた電荷が放電管691内に瞬時に流れ(放電)、そのときのジュール熱でキセノンガスが加熱されてフラッシュ光が放射される。このときには、予め蓄えられていた静電エネルギーが0.1ミリセカンドないし10ミリセカンドという極めて短い光パルスに変換されることから、フラッシュランプ69は連続点灯の光源に比べて極めて強い閃光を照射し得るという特徴を有する。
図1に示す制御部3のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部3は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用アプリケーションやデータなどを記憶しておく磁気ディスク等を備えている。制御部3は、モータ40、弁82,87、トリガ回路20および上記コンデンサーへの蓄電のための回路を制御する。
なお、第1実施形態の熱処理装置1は、半導体ウェハーWの熱処理時にフラッシュランプ69およびホットプレート71から発生する熱エネルギーによるチャンバー6および光照射部5の過剰な温度上昇を防止するため、様々な冷却用の構造(図示省略)を備えている。例えば、チャンバー6のチャンバー側部63およびチャンバー底部62には水冷管が設けられており、光照射部5は内部に気体を供給する供給管とサイレンサ付きの排気管が設けられて空冷構造とされている。また、透光板61と光照射部5(の光拡散板53)との間隙には圧縮空気が供給され、光照射部5および透光板61を冷却するとともに、間隙に存在する有機物等を排除して熱処理時における光拡散板53および透光板61への付着を抑制する。
次に、熱処理装置1における半導体ウェハーWの処理手順について簡単に説明する。ここで処理対象となる半導体ウェハーWはイオン注入法により不純物が添加された半導体基板であり、添加された不純物の活性化が熱処理装置1による熱処理により行われる。
まず、保持部7が図1に示すようにチャンバー底部62に近接した位置に配置される。以下、図1における保持部7のチャンバー6内における位置を「受渡位置」という。保持部7が受渡位置にあるとき、支持ピン70の先端は、保持部7を貫通して保持部7の上方に突出する。
次に、弁82および弁87が開かれてチャンバー6の熱処理空間65内に常温の窒素ガスが導入される。続いて、搬送開口部66が開放され、装置外部の搬送ロボットにより搬送開口部66を介してイオン注入後の半導体ウェハーWがチャンバー6内に搬入され、複数の支持ピン70上に載置される。
半導体ウェハーWの搬入時におけるチャンバー6への窒素ガスのパージ量は約40リットル/分とされ、供給された窒素ガスはチャンバー6内においてガス導入バッファ83から図2中に示す矢印AR4の方向へと流れ、図1に示す排出路86および弁87を介してユーティリティ排気により排気される。また、チャンバー6に供給された窒素ガスの一部は、べローズ47の内側に設けられる排出口(図示省略)からも排出される。なお、以下で説明する各ステップにおいて、チャンバー6には常に窒素ガスが供給および排気され続けており、窒素ガスのパージ量は半導体ウェハーWの処理工程に合わせて様々に変更される。
半導体ウェハーWがチャンバー6内に搬入されると、ゲートバルブ185により搬送開口部66が閉鎖される。そして、図4に示す如く、保持部昇降機構4により保持部7が透光板61に近接した位置(以下、「処理位置」という)まで上昇される。このとき、半導体ウェハーWは支持ピン70から保持部7のサセプタ72へと渡され、サセプタ72の上面に載置・保持される。
ホットプレート71の6つのゾーン711〜716のそれぞれは、各ゾーンの内部(上部プレート73と下部プレート74との間)に個別に配設された抵抗加熱線により所定の温度まで加熱されている。保持部7が処理位置まで上昇して半導体ウェハーWが保持部7と接触することにより、その半導体ウェハーWは予備加熱されて温度が次第に上昇する。
この処理位置にて約60秒間の予備加熱が行われ、半導体ウェハーWの温度が予め設定された予備加熱温度T1まで上昇する。予備加熱温度T1は、半導体ウェハーWに添加された不純物が熱により拡散する恐れのない、200℃ないし600℃程度、好ましくは350℃ないし550℃程度とされる。また、保持部7と透光板61との間の距離は、保持部昇降機構4のモータ40の回転量を制御することにより任意に調整することが可能とされている。
約60秒間の予備加熱時間が経過した後、保持部7が処理位置に位置したまま制御部3の制御により光照射部5から半導体ウェハーWへ向けてフラッシュ光が照射される。このとき、光照射部5のフラッシュランプ69から放射されるフラッシュ光の一部は直接にチャンバー6内へと向かい、他の一部は一旦リフレクタ52により反射されてからチャンバー6内へと向かい、これらのフラッシュ光の照射により半導体ウェハーWのフラッシュ加熱が行われる。フラッシュ加熱は、フラッシュランプ69からの閃光照射により行われるため、半導体ウェハーWの表面温度を短時間で上昇することができる。
すなわち、光照射部5のフラッシュランプ69から照射されるフラッシュ光は、予め蓄えられていた静電エネルギーが極めて短い光パルスに変換された、照射時間が0.1ミリ秒ないし10ミリ秒程度の極めて短く強い閃光である。そして、フラッシュランプ69からの閃光照射によりフラッシュ加熱される半導体ウェハーWの表面温度は、瞬間的に1000℃ないし1100℃程度の処理温度T2まで上昇し、半導体ウェハーWに添加された不純物が活性化された後、表面温度が急速に下降する。このように、熱処理装置1では、半導体ウェハーWの表面温度を極めて短時間で昇降することができるため、半導体ウェハーWに添加された不純物の熱による拡散(この拡散現象を、半導体ウェハーW中の不純物のプロファイルがなまる、ともいう)を抑制しつつ不純物の活性化を行うことができる。なお、添加不純物の活性化に必要な時間はその熱拡散に必要な時間に比較して極めて短いため、0.1ミリセカンドないし10ミリセカンド程度の拡散が生じない短時間であっても活性化は完了する。
また、フラッシュ加熱の前に保持部7により半導体ウェハーWを予備加熱しておくことにより、フラッシュランプ69からの閃光照射によって半導体ウェハーWの表面温度を処理温度T2まで速やかに上昇させることができる。
フラッシュ加熱が終了し、処理位置における約10秒間の待機の後、保持部7が保持部昇降機構4により再び図1に示す受渡位置まで下降し、半導体ウェハーWが保持部7から支持ピン70へと渡される。続いて、ゲートバルブ185により閉鎖されていた搬送開口部66が開放され、支持ピン70上に載置された半導体ウェハーWは装置外部の搬送ロボットにより搬出され、熱処理装置1における半導体ウェハーWのフラッシュ加熱処理が完了する。
既述のように、熱処理装置1における半導体ウェハーWの熱処理時には窒素ガスがチャンバー6に継続的に供給されており、そのパージ量は、保持部7が処理位置に位置するときには約30リットル/分とされ、保持部7が処理位置以外の位置に位置するときには約40リットル/分とされる。
第1実施形態においては、30本のトリガ電極68の全てがリフレクタ52に固設されている。従って、装置のメンテナンス時やランプ交換時等に逐一トリガワイヤをフラッシュランプ69の近傍に張る必要はなく、リフレクタ52を所定の設置位置に固定するだけで容易にトリガ電極68をフラッシュランプ69の近傍に配置することができる。その結果、従来と比較してトリガ電極設置のための作業負担が大幅に軽減されることとなる。なお、装置の製作段階においては、リフレクタ52を所定の設置位置に固定したときに30本のフラッシュランプ69の直上近傍にトリガ電極68が位置するように、トリガ電極68をリフレクタ52に取り付けておく必要がある。
また、第1実施形態のように、トリガ電極68をリフレクタ52に固設するようにすれば、従来のトリガワイヤに比較してトリガ電極68の断面積をある程度大きくして容量を増大することが可能となる。アルミニウムやニッケルのように耐フラッシュ特性に優れた金属にて形成されたトリガ電極68の容量を大きくすることができれば、フラッシュ光照射時にトリガ電極68が受けた熱が急速に伝導して拡散されるため、トリガ電極68が熱溶融或いは高温酸化によって断線することが防止される。すなわち、フラッシュ光照射に対するトリガ電極68の耐久性を優れたものとすることができる。
さらに、第1実施形態においては、30本のトリガ電極68を並列的に単一のトリガ回路20に接続しているため、30本のトリガ電極68の全てに完全に同一のタイミングで電圧を印加することが可能となる。その結果、30本のフラッシュランプ69の発光タイミングも一致させることができる。また、単一のトリガ回路20であれば、昇圧コイル22を大きなコイルにする必要はあるものの、従来のように30本のトリガ電極68のそれぞれにトリガ回路を設けるのと比較してトリガ回路の故障頻度を低下させて信頼性を高めることが可能となる。
<2.第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態の熱処理装置の全体構成は概ね図1,4に示した第1実施形態の装置構成と同じであり、また第2実施形態の熱処理装置における半導体ウェハーWの処理手順についても第1実施形態と同一である。第2実施形態の熱処理装置が第1実施形態と相違するのは、トリガ電極の配置態様である。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態の熱処理装置の全体構成は概ね図1,4に示した第1実施形態の装置構成と同じであり、また第2実施形態の熱処理装置における半導体ウェハーWの処理手順についても第1実施形態と同一である。第2実施形態の熱処理装置が第1実施形態と相違するのは、トリガ電極の配置態様である。
図7は、第2実施形態のリフレクタ52およびフラッシュランプ69の部分断面図である。同図において、第1実施形態と同一の要素については同一の符号を付している。第2実施形態においても、30本のフラッシュランプ69が配設されており、それらとリフレクタ52との配置関係は第1実施形態と同じである。
また、第2実施形態においても、30本のフラッシュランプ69の直上に1対1で近接対向するようにリフレクタ52にトリガ電極68が固設されているのであるが、これら30本のトリガ電極68が直接リフレクタ52に通電可能に固設されている。すなわち、リフレクタ52は導電性材料であるアルミニウム合金で形成されている。また、トリガ電極68も導電性材料であるアルミニウム(またはニッケル)にて形成されている。従って、トリガ電極68を直接リフレクタ52に取り付けると、それらの間で通電可能となる。
さらに、第2実施形態においては、第1実施形態と同様の単一のトリガ回路20をリフレクタ52に通電可能に接続している。従って、30本のトリガ電極68はリフレクタ52を介してトリガ回路20に接続されていることとなる。第2実施形態においては、トリガ回路20のトリガスイッチ21をON状態にすると、リフレクタ52を介して30本のトリガ電極68の全てに同一のタイミングで高電圧が印加される。このことは、換言すれば、リフレクタ52自体をトリガ電極として機能させるということである。この場合、高電圧が印加されるリフレクタ52は絶縁物を介して光照射部5に取り付けられることは勿論である。
このようにしても、30本のトリガ電極68の全てがリフレクタ52に固設されているため、装置のメンテナンス時やランプ交換時等に逐一トリガワイヤをフラッシュランプ69の近傍に張る必要はなく、リフレクタ52を所定の設置位置に固定するだけで容易にトリガ電極68をフラッシュランプ69の近傍に配置することができる。その結果、第1実施形態と同様に、従来と比較してトリガ電極設置のための作業負担が大幅に軽減されることとなる。
また、第2実施形態においても、トリガ電極68の容量を大きくすることができるため、フラッシュ光照射時にトリガ電極68が受けた熱が急速に伝導して拡散され、トリガ電極68が熱溶融或いは高温酸化によって断線することが防止される。
さらに、30本のトリガ電極68をリフレクタ52を介して単一のトリガ回路20に接続しているため、30本のトリガ電極68の全てに完全に同一のタイミングで電圧を印加することが可能となる。その結果、30本のフラッシュランプ69の発光タイミングも一致させることができる。また、単一のトリガ回路20であれば、30本のトリガ電極68のそれぞれにトリガ回路を設けるのと比較してトリガ回路の故障頻度を低下させて信頼性を高めることが可能となる。
第2実施形態のように複数のトリガ電極68を通電可能に直接リフレクタ52に固設した方が第1実施形態よりも簡易な構成とすることができるものの、トリガ電極68の大きさによってはリフレクタ52の反射パターンに影響を与えるおそれがある。このような場合は、第1実施形態のように絶縁部材67(好ましくは透明な絶縁材)を介してトリガ電極68をリフレクタ52に取り付けた方が望ましい。
<3.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、第1実施形態においては、30本のトリガ電極68を並列的に単一のトリガ回路20に接続していたが、30本のトリガ電極68のそれぞれにトリガ回路を設けるようにしても良い。このようにしても、複数のトリガ電極68をリフレクタ52に固設することによるトリガ配線作業簡略化の効果は得ることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、第1実施形態においては、30本のトリガ電極68を並列的に単一のトリガ回路20に接続していたが、30本のトリガ電極68のそれぞれにトリガ回路を設けるようにしても良い。このようにしても、複数のトリガ電極68をリフレクタ52に固設することによるトリガ配線作業簡略化の効果は得ることができる。
また、第1および第2実施形態において、30本のトリガ電極68を、例えば5本ずつの6組に区分けし、それぞれの組みに1つのトリガ回路を設けるようにしても良い。すなわち、第1の本数のトリガ電極をそれぞれが第1の本数よりも少ない第2の本数のトリガ電極で構成される複数のトリガ電極群に区分けし、各トリガ電極群に1つのトリガ回路を設けるようにしても良い。このようにしても、従来のように30本のトリガ電極68のそれぞれにトリガ回路を設けるのと比較すれば6つのトリガ回路を設けるだけで足りるため、トリガ回路の故障頻度を低下させて信頼性を高くすることができる。
また、上記各実施形態においては、光照射部5に30本のフラッシュランプ69を備えるようにしていたが、これに限定されるものではなく、フラッシュランプ69の本数は2本以上であれば任意の数とすることができる。また、フラッシュランプ69はキセノンフラッシュランプに限定されるものではなく、クリプトンフラッシュランプであっても良い。
また、上記各実施形態においては、アシスト加熱手段としてホットプレート71を使用していたが、半導体ウェハーWを保持する保持部7の下方に複数のランプ群(例えば複数のハロゲンランプ)を設け、それらからの光照射によってアシスト加熱を行うようにしても良い。
また、上記各実施形態においては、半導体ウェハーに光を照射してイオン活性化処理を行うようにしていたが、本発明にかかる熱処理装置による処理対象となる基板は半導体ウェハーに限定されるものではない。例えば、窒化シリコン膜や多結晶シリコン膜等の種々のシリコン膜が形成されたガラス基板に対して本発明にかかる熱処理装置による処理を行っても良い。一例として、CVD法によりガラス基板上に形成した多結晶シリコン膜にシリコンをイオン注入して非晶質化した非晶質シリコン膜を形成し、さらにその上に反射防止膜となる酸化シリコン膜を形成する。この状態で、本発明にかかる熱処理装置により非晶質のシリコン膜の全面に光照射を行い、非晶質のシリコン膜が多結晶化した多結晶シリコン膜を形成することもできる。
また、ガラス基板上に下地酸化シリコン膜、アモルファスシリコンを結晶化したポリシリコン膜を形成し、そのポリシリコン膜にリンやボロン等の不純物をドーピングした構造のTFT基板に対して本発明にかかる熱処理装置により光照射を行い、ドーピング工程で打ち込まれた不純物の活性化を行うこともできる。
1 熱処理装置
4 保持部昇降機構
5 光照射部
6 チャンバー
7 保持部
20 トリガ回路
52 リフレクタ
61 透光板
65 熱処理空間
67 絶縁部材
68 トリガ電極
69 フラッシュランプ
693a,693b 両端電極
W 半導体ウェハー
4 保持部昇降機構
5 光照射部
6 チャンバー
7 保持部
20 トリガ回路
52 リフレクタ
61 透光板
65 熱処理空間
67 絶縁部材
68 トリガ電極
69 フラッシュランプ
693a,693b 両端電極
W 半導体ウェハー
Claims (3)
- 基板に対してフラッシュ光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置であって、
放電管内に設けられた両端電極間に生じる放電によってフラッシュ光を出射する複数のフラッシュランプと、
基板を保持する保持手段と、
前記複数のフラッシュランプを挟んで前記保持手段と対向するように、かつ前記複数のフラッシュランプを覆うように配置され、前記複数のフラッシュランプから出射されたフラッシュ光を前記保持手段の側に反射する反射板と、
前記複数のフラッシュランプに1対1で近接対向するように前記反射板に固設され、前記複数のフラッシュランプが放電を開始するための複数のトリガ電極と、
を備えることを特徴とする熱処理装置。 - 請求項1記載の熱処理装置において、
前記反射板は、導電性材料によって構成され、
前記複数のトリガ電極は、前記反射板に通電可能に固設され、
前記反射板に通電可能に設けられ、前記複数のフラッシュランプが放電を開始する電圧を前記反射板を介して前記複数のトリガ電極に印加する単一のトリガ回路をさらに備えることを特徴とする熱処理装置。 - 請求項1記載の熱処理装置において、
前記複数のトリガ電極は、絶縁部材を挟み込んで前記反射板に固設され、
前記複数のトリガ電極が並列的に接続され、前記複数のフラッシュランプが放電を開始する電圧を前記複数のトリガ電極に印加する単一のトリガ回路をさらに備えることを特徴とする熱処理装置。
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