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JP2009169150A - 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 Download PDF

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JP2009169150A
JP2009169150A JP2008007791A JP2008007791A JP2009169150A JP 2009169150 A JP2009169150 A JP 2009169150A JP 2008007791 A JP2008007791 A JP 2008007791A JP 2008007791 A JP2008007791 A JP 2008007791A JP 2009169150 A JP2009169150 A JP 2009169150A
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toner
image
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electrostatic charge
resin
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Withdrawn
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JP2008007791A
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English (en)
Inventor
Katsuyuki Kitajima
克之 北島
Sakon Takahashi
左近 高橋
Daisuke Ishizuka
大輔 石塚
Michio Take
道男 武
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Publication date
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Abstract

【課題】低長期にわたって、かぶりが低減される静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】結着樹脂及び着色剤を含むトナー粒子と、シリカを除く無機粒子を有し、前記無機粒子が酸化セレニウム、アルミナ、チタニア、チタン酸ストロンチウムから選択される少なくとも一種である。前記トナー粒子に対する無機粒子の遊離率が20%以上であり、前記無機粒子が4級アンモニウム塩で表面処理されてなる、ことを特徴とするアモルファスシリコン感光体用の静電荷現像用トナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
電子写真法においては、一般的には、光導電性物質を利用した感光体(像保持体)表面に、種々の手段により電気的に潜像を形成し、形成された潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像し現像像を形成した後、この現像像を、必要に応じて中間転写体を介して、紙等の被転写体表面に転写し、加熱、加圧、加熱加圧等により定着する、という複数の工程を経て、画像が形成される。また、感光体表面に残ったトナーは、必要に応じて種々の方法によりクリーニングされ、再び現像に利用される。
ところで、4級アンモニウム塩を感光体に塗布又はオーバーコート層に添加することで、接触帯電法による表面電位を現像バイアスに近づけるか、それより高くして、かぶりを防止することが提案されている(例えば特許文献1参照)。
また、トナーの流動性、耐ケーシング性、帯電性及び環境安定性に優れ、画像欠陥の発生のない優れた画質を得る目的で、トナーの外添剤として、4級アンモニウム塩で処理したシリカを用いることが提案されている(例えば特許文献2乃至4参照)
アモルファスシリコン感光体の表面酸化層を研磨、除去すると共に、通常のシリカ系外添剤のみを外添したものと同様に帯電量の制御が容易にとなる、各種画像不良を抑制する目的で、トナーにシリカ系外添剤と共に研磨剤を用いることが提案されている(例えば特許文献5参照)
特に、アモルファスシリコン感光体は有機感光体に比べ表面が硬く磨耗が少ないため維持性が優れるといった特長があるが、アモルファスシリコン感光体を用いることで、通常のカブリに加え、帯電能力や帯電保持能が低いことが起因となるアモルファスシリコン感光体特有のカブリが生じるといった問題があった。
フィルミングの発生を抑制する目的で、トナーに遊離率の高い導電性粉末を用いることが提案されている(例えば特許文献6参照)
特開平7−244422号公報 特開平5−6032号公報 特開平5−100471号公報 特開平5−100491号公報 特開平8−190221号公報 特開2007−4088公報
本発明の課題は、長期にわたって、かぶりが低減される静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
少なくとも、結着樹脂及び着色剤を含むトナー粒子と、少なくともシリカ以外の無機粒子と、を有し、
前記無機粒子の前記トナー粒子に対する遊離率が20%以上であり、
前記無機粒子が4級アンモニウム塩で表面処理されてなる、
ことを特徴とする静電荷現像用トナー。
請求項2に係る発明は、
前記無機粒子が、酸化セリウム、アルミナ、チタニア、及びチタン酸ストロンチウムから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷現像用トナー。
請求項3に係る発明は、
請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナーを含むことを特徴とする静電荷像現像剤。
請求項4に係る発明は、
請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナーが収められたことを特徴とするトナーカートリッジ。
請求項5に係る発明は、
現像剤保持体を少なくとも備え、請求項3に記載の静電荷像現像剤を収容することを特徴とするプロセスカートリッジ。
請求項6に係る発明は、
像保持体と、
該像保持体上に形成された静電荷像を現像剤によりトナー像として現像する現像手段と、
像保持体上に形成されたトナー像を被転写体上に転写する転写手段と、
被転写体上に転写されたトナー像を定着する定着手段と、
を有し、
前記現像剤が請求項3に記載の静電荷像現像剤であることを特徴とする画像形成装置。
請求項7に係る発明は、
前記像保持体が、アモルファスシリコン感光体であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
請求項1に係る発明によれば、長期にわたって、かぶりが低減される。
請求項2に係る発明によれば、より効果的に、長期にわたって、かぶりが低減される
請求項3に係る発明によれば、長期にわたって、かぶりが低減される。
請求項4に係る発明によれば、長期にわたって、かぶりが低減される。
請求項5に係る発明によれば、長期にわたって、かぶりが低減される。
請求項6に係る発明によれば、長期にわたって、かぶりが低減される。
請求項7に係る発明によれば、表面が削られ難いアモルファスシリコン感光体であっても、長期にわたって、トナー帯電によるカブリのみならず、アモルファスシリコン感光体特有のかぶりも低減される。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<静電荷像現像用トナー>
実施形態に係る静電荷像現像用トナー(以下、「トナー」という場合がある)は、少なくとも、結着樹脂及び着色剤を含むトナー粒子と、少なくともシリカ以外の無機粒子と、を有し、無機粒子の前記トナー粒子に対する遊離率が20%以上であり、無機粒子が4級アンモニウム塩で表面処理されてなる、ことを特徴とする。
実施形態に係るトナーは、上記構成とすることで、トナー粒子に対する遊離率が所定以上で、4級アンモニウム塩で表面処理された無機粒子によって、安定して、像保持体(感光体)表面へ4の級アンモニウム塩の塗布が行われるため、長期にわたって、かぶりが防止される。特に、像保持体として、表面が削られ難いアモルファスシリコン感光体であっても、トナー帯電によるカブリのみならず、アモルファスシリコン感光体特有のかぶりも低減される。
ここで、従来、1)像保持体(感光体)表面に4級アンモニウム塩を塗布又は表面層に含有させる、2)シリカへの外添剤に4級アンモニウム塩を表面処理する、3)フィルミング防止の為遊離率の高い導電性粒子をトナーに添加する、という技術が提案されている。
しかしながら、4級アンモニウム塩を感光体に塗布する方法は、初期的には効果があるが、経時でのかぶりの抑制が低減する。また、オーバーコートに含有させると4級アンモニウム塩の表面露出が小さく、かぶりの抑制が小さい。
外添剤としての4級アンモニウム塩を表面処理したシリカは、もともとトナー特性を改善するために用いられるものであり、シリカはトナー粒子に付着し回収され、像保持体(感光体)との摩擦による負帯電性が強いことから、感光体への付着性が小さく、4級アンモニウム塩の塗布効果を示さない。
遊離率の高い導電性粒子は研磨剤として使用され、従来から用いられている手法であり汚染物質の除去には有効であるが、かぶりの抑制ができない。
これに対し、本実施形態では、次の知見を見出したことに基づき、かぶり低減効果が向上することを見出した。1)画像/非画像にかかわらず常に一定量の4級アンモニウム塩を像保持体(感光体)に塗布するためには、トナーへの外添剤に処理することが有効である点、2)この外添剤のトナーに対する遊離率が高い方が均一に安定して塗布できる点、3)安定した被覆にはシリカ以外の無機粒子が効果的である点。
つまり、外添剤の遊離率が高いということは、画像によらず像保持体(感光体)に均一に付着し易く、クリーニング部材に蓄積し易く、トナー特性としても、トナー現像への影響が小さく、粉体特性への影響も小さい。特に、シリカを除く無機粒子を外添剤として用いると、トナー粒子に付着し難いためトナー粒子と共に回収されず、像保持体(感光体)との摩擦による正帯電性乃至弱い負帯電性を示すことから、像保持体(感光体)への付着性が大きくなり、4級アンモニウム塩の塗布効果が向上する。
したがって、本実施形態では、長期にわたって、かぶりが防止される、と考えられる。
ここで、アモルファスシリコン感光体特有のカブリについて説明する。
画像形成を行う露光光源の波長や除電光の波長は、感光体の光疲労、画像解像度を考えると短波長であることが好ましい。しかし近年は光源に小型、低コストのLEDやLDが多く採用されその波長は600nm以上800nm以下と長波長となっている。このことにより感光体への浸透距離が長いため、光電効果によるキャリアの生成位置が深くなり、感光層中にトラップされたキャリアを放出させるための除電プロセスに使用する除電光も露光光源と同程度の波長を利用する必要がある。しかし、除電光により生成された光キャリアも深い位置に生成されるため、次回の帯電プロセスまでに十分に除去されず、帯電〜現像プロセス時に感光体内部を移動し、感光体の暗減衰を低下させる原因となる。特に高速印刷を行う場合には除電プロセスと帯電プロセスの時間が短くなるため、この現象が顕著となる。またこの現象は、生成キャリアの感光層中の振舞により生じるため、帯電保持能が小さいアモルファスシリコン感光体を用いた場合において特に顕著に現れる。この暗減衰の低下(表面電荷量の低下)は、カブリ等の印刷不良を招く問題となっている。
また、接触帯電方式を用い、感光ドラムにアモルファスシリコン感光体が用いられた場合、帯電ローラと感光ドラムのニップ幅の影響が大きくわずかなニップ幅の差でも表面電位に大きく影響する。これはアモルファスシリコン感光体は有機感光体と比較して帯電能力が低いことを意味しており、表面電位にムラが生じてしまうため、カブリ等の不具合が発生してしまう。
このように、アモルファスシリコン感光体を用いることで有機感光体では見られなかったような特有のカブリが生じてしまう。
トナーの帯電によるカブリだけでなく、上述したようなアモルファスシリコン感光体を用いることで生じる、特有のカブリも低減される、と考えれれる。
以下、トナーの具体的構成について詳細に説明する。
(トナー粒子)
トナー粒子は、結着樹脂、着色剤、及び必要に応じてその他添加剤を含んで構成される。トナー粒子の構造は特に限定されず、単層構造とすることもできるが、例えば、結着樹脂と着色剤や離型剤などとを含むコア層と、結着樹脂を含みコア層を被覆するシェル層とを有するいわゆるコアシェル構造とすることもできる。
−結着樹脂−
結着樹脂としては、ビニル系樹脂を代表とする非結晶性樹脂はもとより、非結晶性のポリエステル樹脂、結晶性のポリエステル樹脂など様々なものを用いることができる。
ビニル系結着樹脂としての例としては、スチレン、パラクロルスチレンなどのスチレン類ビニルナフタレン、塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n―ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n―オクチル、アクリル酸2―クロルエチル、アクリル酸フェニル、α―クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのメチレン脂肪族カルボン酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリルロニトリル、アクリルアミド、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類、例えばN―ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物などの含N極性基を有する単量体やメタクリル酸、アクリル酸、桂皮酸、カルボキシエチルアクリレートなどのビニルカルボン酸類などビニル系モノマーの単独重合体及び共重合体及び/又は各種ポリエステル類など、さらには各種ワックス類もあわせて使用可能である。
ビニル系単量体の場合は、イオン性界面活性剤などを用いて乳化重合を実施して樹脂粒子分散液を作製することができ、その他の樹脂の場合は油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するものであれば、樹脂をそれらの溶剤に溶かし、イオン性の界面活性剤や高分子電解質とともにホモジナイザーなどの分散機により水中に粒子状に分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂粒子分散液を得ることができる。
結晶性樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂が好ましく、また適度な融点をもつ脂肪族系の結晶性ポリエステル樹脂がより好ましい。以下、結晶性ポリエステル樹脂を例に説明する。
結晶性脂肪族系ポリエステルには、ポリカプロラクトンのように開環重合的に進行するポリエステルもあるが、酸(ジカルボン酸)成分とアルコール(ジオール)成分とから合成されるものも多い、本実施形態において、「酸由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前には酸成分であった構成部位を指し、「アルコール由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前にはアルコール成分であった構成部位を指す。
ポリエステル樹脂が結晶性でない場合、即ち非結晶性である場合には、良好な低温定着性を確保しつつ、耐トナーブロッキング性、画像保存性を保つことが困難となる場合がある。
なお、本実施形態において、「結晶性ポリエステル樹脂」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、観察される吸熱ピークの半値幅が6℃以下のものを意味し、これ以外のポリエステル樹脂は、非結晶性ポリエステル樹脂を意味する。
また、本実施形態において、「ポリエステル樹脂」とは、純粋なポリエステル構造を有する樹脂のみならず、ポリエステル主鎖に対して他成分を共重合したポリマーの場合、他成分が50質量%以下の共重合体も意味する。
・酸由来構成成分
前記酸由来構成成分は、脂肪族ジカルボン酸が望ましく特に直鎖型のカルボン酸が望ましい。
例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸、など、或いはその低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられるが、この限りではない。
前記酸由来構成成分としては、前述の脂肪族ジカルボン酸由来構成成分のほか、2重結合を持つジカルボン酸由来構成成分、スルホン酸基を持つジカルボン酸由来構成成分等の構成成分が含まれているのが好ましい。
尚、前記2重結合を持つジカルボン酸由来構成成分には、2重結合を持つジカルボン酸に由来する構成成分のほか、2重結合を持つジカルボン酸の低級アルキルエステル又は酸無水物等に由来する構成成分も含まれる。また、前記スルホン酸基を持つジカルボン酸由来構成成分には、スルホン酸基を持つジカルボン酸に由来する構成成分のほか、スルホン酸基を持つジカルボン酸の低級アルキルエステル又は酸無水物等に由来する構成成分も含まれる。
前記2重結合を持つジカルボン酸は、その2重結合を利用して樹脂全体を架橋させ得る点で、定着時のホットオフセットを防ぐために好適に用いることができる。このジカルボン酸としては、例えば、フマル酸、マレイン酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でも、コストの点で、フマル酸、マレイン酸等が好ましい。
前記スルホン酸基を持つジカルボン酸は、顔料等の色材の分散を良好にできる点で有効である。
また樹脂全体を水に乳化或いは懸濁して、トナー母粒子を粒子に作製する際に、スルホン酸基があれば、後述するように、界面活性剤を使用しないで乳化或いは懸濁が可能である。このスルホン基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でも、コストの点で、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩等が好ましい。
これらの、脂肪族ジカルボン酸由来構成成分以外の酸由来構成成分(2重結合を持つジカルボン酸由来構成成分及び/又はスルホン酸基を持つジカルボン酸由来構成成分)の、酸由来構成成分における含有量としては、1構成モル%以上20構成モル%以下が好ましく、2構成モル%以上10構成モル%以下がより好ましい。
前記含有量が、1構成モル%未満の場合には、顔料分散が良くなかったり、乳化粒子径が大きくなり、凝集によるトナー径の調整が困難となることがある。一方、20構成モル%を超えると、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下して、画像の保存性が悪くなったり、乳化粒子径が小さ過ぎて水に溶解し、ラテックスが生じないことがある。
尚、本実施形態において「構成モル%」とは、ポリエステル樹脂における各構成成分(酸由来構成成分、アルコール由来構成成分)を1単位(モル)したときの百分率を指す。
−アルコール由来構成成分−
アルコール構成成分としては脂肪族ジカルボン酸が望ましく、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9―ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ドデカンジオール、1,12−ウンデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、などが挙げられるが、この限りではない。
前記アルコール由来構成成分が脂肪族ジオール由来構成成分の場合には、脂肪族ジオール由来構成成分の含有量が80構成モル%以上であって、必要に応じてその他の成分を含む。さらに前記アルコール由来構成成分が脂肪族ジオール由来構成成分の場合、前記脂肪族ジオール由来構成成分の含有量は90構成モル%以上であるのが好ましい。
前記脂肪族ジオール由来構成成分の含有量が、80構成モル%未満では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下するため、耐トナーブロッキング性、画像保存性及び、低温定着性が悪化してしまう。
必要に応じて含まれるその他の成分としては、2重結合を持つジオール由来構成成分、スルホン酸基を持つジオール由来構成成分等の構成成分である。
前記2重結合を持つジオールとしては、2−ブテン−1,4−ジオール、3−ブテン−1,6−ジオール、4−ブテン−1,8−ジオール等が挙げられる。
前記スルホン酸基を持つジオールとしては、1,4−ジヒドロキシ−2−スルホン酸ベンゼンナトリウム塩、1,3−ジヒドロキシメチル−5−スルホン酸ベンゼンナトリウム塩、2−スルホ−1,4−ブタンジオールナトリウム塩等が挙げられる。
これらの、直鎖型の脂肪族ジオール由来構成成分以外のアルコール由来構成成分を加える場合、すなわち2重結合を持つジオール由来構成成分及び/又はスルホン酸基を持つジオール由来構成成分を加える場合、全アルコール由来構成成分における2重結合を持つジオール由来構成成分及び/又はスルホン酸基を持つジオール由来構成成分の含有量は、1構成モル%以上20構成モル%以下が好ましく、2構成モル%以上10構成モル%以下がより好ましい。
前記脂肪族ジオール由来構成成分以外のアルコール由来構成成分の含有量が、全アルコール由来構成成分に対して1構成モル%未満の場合には、顔料分散が良くなかったり、乳化粒子径が大きくなったり、凝集によるトナー径の調整が困難となることがある。
一方、20構成モル%を超えると、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下して、画像の保存性が悪くなったり、乳化粒子径が小さ過ぎて水に溶解し、ラテックスが生じないことがある。
トナーの結着樹脂の融点は50℃以上120℃以下であることが好ましく、60℃以上110℃以下であることがより好ましい。融点が50℃より低いとトナーの保存性や、定着後のトナー画像の保存性が問題となる場合がある。また、120℃より高いと、従来のトナーに比べて十分な低温定着が得られない場合がある。
尚、本実施形態において、前記結晶性樹脂の融点の測定には、示差走査熱量計(マックサイエンス社製:DSC3110、熱分析システム001)(以下、「DSC」と略記する。)を用い、室温(例えば25℃、以下同様)から150℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行った時のJIS K−7121に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。尚、結晶性の樹脂には、複数の融解ピークを示す場合があるが、本実施形態においては、最大のピークをもって融点とみなす。
前記ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造することができ、例えば、直接重縮合、エステル交換法等を、モノマーの種類によって使い分けて製造する。前記酸成分とアルコール成分とを反応させる際のモル比(酸成分/アルコール成分)としては、反応条件等によっても異なるため、一概には言えないが、通常1/1程度である。
前記ポリエステル樹脂の製造は、重合温度180℃以上230℃以下の間で行うことができ、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合時に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる。
モノマーが、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪いモノマーが存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪いモノマーとそのモノマーと重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と供に重縮合させるとよい。
前記ポリエステル樹脂の製造時に使用可能な触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物、亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物、亜リン酸化合物、リン酸化合物、及び、アミン化合物等が挙げられ、具体的には、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガン、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、三酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン、トリブチルアンチモン、ギ酸スズ、シュウ酸スズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ナフテン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニール、酢酸ジルコニール、ステアリン酸ジルコニール、オクチル酸ジルコニール、酸化ゲルマニウム、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等の化合物が挙げられる。
なお、後述する乳化重合凝集法を利用してトナーを作製する場合、結着樹脂は、これを水系媒体に乳化分散させて得られた樹脂粒子を含む樹脂粒子分散液として利用される。
樹脂粒子の平均粒径としては、通常1μm以下であり、0.01μm以上1μm以下であるのが好ましい。平均粒径が1μmを越えると、最終的に得られるトナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招き易くなる場合がある。
一方、平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。なお、前記平均粒径は、例えばコールターマルチマイザーを用いて測定することができる。
樹脂粒子分散液における分散媒としては、例えば水系媒体や有機溶剤などが挙げられる。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本実施形態においては、前記水系媒体に界面活性剤を添加混合しておくのが好ましい。界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤などが挙げられる。
これらの中でもアニオン界面活性剤、カチオン系界面活性剤が好ましい。前記非イオン系界面活性剤は、前記アニオン界面活性剤又はカチオン系界面活性剤と併用されるのが好ましい。前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、アニオン界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどが挙げられる。また、前記カチオン界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。これらの中でもアニオン界面活性剤、カチオン系界面活性剤等のイオン性界面活性剤が好ましい。
有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、トルエンが挙げられ、前記結着樹脂に応じて選択して用いる。
樹脂粒子が、前記ビニル基を有するエステル類、前記ビニルニトリル類、前記ビニルエーテル類、前記ビニルケトン類等のビニル系単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)である場合には、前記ビニル系単量体をイオン性界面活性剤中で乳化重合やシード重合等することにより、ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)製の樹脂粒子をイオン性界面活性剤に分散させてなる分散液が調製される。
樹脂粒子が、前記ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体以外の樹脂である場合には、該樹脂が、水への溶解度が比較的低い油性溶剤に溶解するのであれば、該樹脂を該油性溶剤に溶解させ、この溶液を、ホモジナイザー等の分散機を用いてイオン性界面活性剤や高分子電解質と共に水中に粒子分散し、その後、加熱又は減圧して該油性溶剤を蒸散させることにより、ビニル系樹脂以外の樹脂製の樹脂粒子をイオン性界面活性剤に分散させてなる分散液が調製される。
一方、樹脂粒子が、結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステル樹脂である場合、中和によりアニオン型となり得る官能基を含有した、自己水分散性をもっており、親水性となり得る官能基の一部又は全部が塩基で中和された、水性媒体の作用下で安定した水分散体を形成できる。結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステル樹脂において中和により親水性基と成り得る官能基はカルボキシル基やスルフォン基等の酸性基である為、中和剤としては例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、アンモニア等の無機塩基や、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミンなどの有機塩基が挙げられる。
また、結着樹脂として、それ自体水に分散しない、すなわち自己水分散性を有しないポリエステル樹脂を用いる場合には、後述する離型剤と同様、樹脂溶液及び又はそれと混合する水性媒体に、イオン性界面活性剤、高分子酸、高分子塩基等の高分子電解質と共に分散し、融点以上に加熱し、強い剪断力を印加可能なホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて処理すると、容易に1μm以下の粒子にされ得る。このイオン性界面活性剤や高分子電解質を用いる場合には、その水性媒体中における濃度は、0.5質量%以上5質量%以下程度になるようにするのが適当である。
このようにして得られた樹脂粒子分散液中の樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−700)で測定できる。
−着色剤−
着色剤としては、公知の着色剤を用いることができるが、例えば、次の着色剤を使用することができる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、マグネタイト等を挙げることができる。
黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、クロムイエロー、ハンザイエロー、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーメネントイエローNCG等を挙げることができる。
橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK等を挙げることができる。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、ローダミンB レーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、エオキシンレッド、アリザリンレーキ、ピグメントレッド146,147、184、185、155、238、269などのナフトールレッド等を挙げることができる。
青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレートなどを挙げることができる。
紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等を挙げることができる。
緑色顔料としては、酸化クロム、クロムグリーン、ピグメントグリーン、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等を挙げることができる。
白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等をあげることができる。
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等を挙げることができる。
また、染料としては、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料、例えば、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等があげられる。
また、これらの着色剤は単独もしくは混合して使用される。なお、後述する乳化重合凝集法を利用してトナーを作製する場合、これらの着色剤は、着色剤粒子を分散させた着色剤分散液として利用される。例えば、回転せん断型ホモジナイザーやボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等を用いて着色剤粒子の分散液を調製することができる。また、これらの着色剤は極性を有する界面活性剤を用いて、ホモジナイザーによって水系に分散することもできる。
着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性の観点から選択される。
そして、着色剤は、トナー構成固体分総重量に対して4質量%以上15質量%以下の範囲で添加することができる。黒色着色剤として磁性体を用いる場合は、他の着色剤とは異なり、12質量%以上240質量%以下添加することができる。
前記の着色剤の配合量は、定着時の発色性を確保するための必要量である。また、トナー中の着色剤粒子の中心径(メジアン径)は100nm以上330nm以下にすることにより、OHP透明性及び発色性を確保することができる。なお、着色剤粒子の中心径は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−700)で測定することができる。
−離型剤−
本実施形態のトナーには必要に応じて公知の離型剤を用いることができるが、具体例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を示すシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類や、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物系・石油系ワックス、及びそれらの変性物などを挙げることができる。
これらのワックス類は、室温付近では、トルエンなど溶剤にはほとんど溶解しないか、溶解しても極めて微量である。
これらの離型剤類は、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱するとともに、強い剪断付与能力を有するホモジナイザーや圧力吐出型分散機(ゴーリンホモジナイザー、ゴーリン社製)で粒子状に分散させ、体積平均粒径1μm以下の離型剤粒子を含む離型剤分散液を作製することができる。
これらの離型剤は、トナー構成固体分総重量に対して5質量%以上25質量%以下の範囲で添加することが、オイルレス定着システムにおける定着画像の剥離性を確保する上で望ましい。
なお、得られた離形剤粒子分散液の粒子径は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−700)で測定した。また、離型剤を使用するときには、樹脂粒子、着色剤粒子及び離型剤粒子を凝集した後に、さらに樹脂粒子分散液を追加して凝集粒子表面に樹脂粒子を付着することが帯電性、耐久性を確保する観点から望ましい。
−その他(添加剤)−
トナー粒子には、必要に応じて公知の内添剤や外添剤を利用することができる。
例えば、磁性トナーとして用いる場合は、磁性粉を含有させても良い。具体的には、磁場中で磁化される物質を用いるが、鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性の粉末、もしくはフェライト、マグネタイト等の化合物が使用される。
水相中でトナーを得るときには、磁性体の水相移行性に注意を払う必要があり、好ましくは予め磁性体の表面を改質し、例えば疎水化処理等を施しておくことが好ましい。
また内添剤としてフェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、又はこれら金属を含む化合物などの磁性体を使用したり、帯電制御剤として4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料やトリフェニルメタン系顔料など通常使用される種々の帯電制御剤を使用することができる。但し、乳化重合凝集法を利用してトナーを作製する場合、凝集や合一時の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染減少の点から水に溶解しにくい材料が好適である。
さらにクリーニング特性改善のために公知の潤滑剤等を添加することも可能である。樹脂微粒子やジンクステアレート等の脂肪酸金属塩を併用するのが好ましい。
−トナー粒子特性−
トナー粒子の体積平均粒径は、3μm以上9μm以下の範囲であることが好ましく、3μm以上8μm以下の範囲であることがより好ましい。トナー粒子の体積平均粒径が9μmを超えると、粗大粒子の比率が高くなり、定着工程を経て得られる画像の細線や微小ドットの再現性、及び階調性が低下する。一方、トナー粒子の体積平均粒径が3μm未満となると、トナーの粉体流動性、現像性、あるいは転写性が悪化し、像保持体表面に残留するトナーのクリーニング性が低下する等、粉体特性低下に伴う他の工程における種々の不具合が生じる。
また、トナー粒子の粒子径分布指標としては、体積平均粒度分布指標GSDvが1.30以下であることが好ましく、数平均粒度分布指標GSDpとの比GSDv/GSDpが0.95以上であることがより好ましい。体積分布指標GSDvが1.30を超えると解像性が低下し、体積平均粒度分布指標GSDvと数平均粒度分布指標GSDpとの比が0.95未満の場合、帯電性の低下を発生させることがあると同時に飛び散り、カブリ等の画像欠陥の原因ともなり得る。
なお、前記体積平均粒径、粒度分布指標の値は、次のようにして測定し算出した。まず、測定器としてコールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)を用いて測定されたトナーの粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、個々のトナー粒子の体積、数について小径側から累積分布を描き、累積16%となる粒径を、体積平均粒子径D16v、数平均粒子径D16pと定義し、累積50%となる粒径を、体積平均粒子径D50v(この値を体積平均粒径とする)、D50pと定義する。同様に、累積84%となる粒径を、体積平均粒子径D84v、D84pと定義する。これらを用いて、体積平均粒度分布指標GSDvは、(D84v/D16v)1/2として定義され、数平均粒度分布指標GSDpは、(D84p/D16p)1/2として定義される。
さらに、トナー粒子の形状係数SF1は110以上140以下の範囲にあることが好ましい。
ここで上記形状係数SF1は、下記式により求められる。
SF1=(ML2/A)×(π/4)×100
上記式中、MLはトナー粒子の絶対最大長、Aはトナー粒子の投影面積を各々示す。
前記SF1は、主に顕微鏡画像又は走査電子顕微鏡(SEM)画像を画像解析装置を用いて解析することによって数値化され、例えば、以下のようにして算出することができる。すなわち、スライドガラス表面に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個のトナー粒子の最大長と投影面積を求め、上記式によって計算し、その平均値を求めることにより得られる。
(無機粒子)
無機粒子は、トナー粒子に対する遊離率が20%以上であり、且つ4級アンモニウム塩で表面処理されてなる。
無機粒子は、トナー粒子に対する遊離率が20%以上であるが、好ましくは、30%以上、より好ましくは40%以上である。この遊離率は高いほど、かぶり低減効果が向上するが、その上限は、無機粒子による装置内汚染(現像機内汚染)の点から60%以下である。
ここで、遊離率は、パーティクルアナライザDP−1000を用いて測定された値である。パーティクルアナライザは粒子を1個ずつ高温の非熱平衡型プラズマへ導入し、この励起に伴う粒子の発光スペクトルから、元素、粒子数、粒子の粒径を知ることができるものである。具体的には、無機粒子の元素の発光回数と、結着樹脂の構成元素である炭素と同時に発光した無機粒子の発光回数とをパーティクルアナライザで測定する。測定時にはヘリウムガスを用い、炭素の発光電圧をXとし、無機粒子の元素の発光電圧をYとした場合に3000粒の粒子中の遊離した無機粒子の数から遊離率を求める。
また、遊離率を上記範囲に制御する方法としては、例えば、ブレンド条件を弱くする、他の外添剤を処理した後に本規定の無機粒子を外添する多段階ブレンド法を採用する、粒径の大きい無機粒子を用いるといった手法が挙げられる。
無機粒子は、例えば、無機微粉末の具体例は例えば、酸化セリウム、希土類元素酸化物を含有する酸化セリウム、アルミニウム、ニッケル、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化モリブデン、酸化鉄、酸化タングステン、、タングステンカーバイド、硫化カドニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カリウム、又はこれらの複合酸化物などのうち、一次粒子の凝集体を有する無機粒子が好適に挙げられる。これら無機粒子は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
これらの中でも、酸化セリウム、アルミナ、チタニア、及びチタン酸ストロンチウムから選択されることが好適である。これら無機粒子は、研磨剤として機能され、像保持体表面の研磨効果のある研磨剤として用いることで、像保持体(感光体)表面汚染物質が除去され、フレッシュな状態で像保持体上へ4級アンモニウム塩が塗布される。
無機粒子へ表面処理する4級アンモニウム塩としては、特に制限はなく、例えば、第4級アンモニウム塩としては、特に限定されないが、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアリールアンモニウム塩、ジアルキルジアリールアンモニウム塩、アルキルトリアリールアンモニウム塩、テトラアリールアンモニウム塩、環状アンモニウム塩、二環状アンモニウム塩など、公知の材料が挙げられる。4級アンモニウム塩としては、特に以下に示される構造のものが好適に挙げられる。
4級アンモニウム塩の無機粒子表面への処理量は、例えば、無機粒子100質量部に対し1重量部以上30重量部以下が好ましく、より好ましくは3重量部以上20重量部以下、さらに好ましくは5重量部以上10重量部以下である。
4級アンモニウム塩の無機粒子表面への処理方法は、例えば、4級アンモニウム塩を適当な溶剤に溶解し、無機粒子に添加して表面被覆した後、溶剤を乾燥させる方法があり、用いる装置としニーダーコーター、スプレードライヤー、サーマルプロセッサー、流動床等が挙げられる。必要に応じて粉砕、分級を行ってもよい。また、ノビルタ等により乾式に処理することも可能である。
4級アンモニウム塩が表面処理された無機粒子の粒径は、体積平均粒径で10nm以上5000nm以下であることが好ましく、より好ましくは50nm以上3000nm以下であり、さらに好ましくは100nm以上2000nm以下である。
ここで、体積平均粒径D50は、電子顕微鏡(日本電子製)による画像観察で粒子の粒径(最大径)を測定し、算出される値をいう。すなわち、サンプリング数;100個、粒径;0.001μm以上1μm以下の範囲の条件で標準偏差を得て、外添剤の体積平均粒径が算出される。
4級アンモニウム塩が表面処理された無機粒子の添加量(外添量)は、トナー粒子質量部100部に対して、0.05質量部以上3.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.2質量部以上1.0質量部以下である。添加量(外添量)が上記範囲とすると、かぶり抑制効果が効果的に発現される。
なお、4級アンモニウム塩が表面処理された無機粒子と共に、周知の外添剤を併用してもよい。周知の外添剤としては、粉体特性改善、帯電特性改善の為に併用する。周知の外添剤としては、シリカ、チタニア、アルミナ等が好ましい。また、周知の外添剤は、疎水化処理が施されていることがよい。
(トナーの製造方法)−
実施形態に係るトナーは、混錬粉粉砕法や、湿式法のいずれで作製してもよく、特に限定されない。例えば、混錬粉砕法では、まず、トナー構成物を混合した後、ニーダー、押し出し機などを用いて上記材料を溶融混練する。この後溶融混錬物を粗粉砕した後、ジェットミル等で微粉砕し、風力分級機により、目的とする粒径のトナー粒子を得る。さらに、外添剤(4級アンモニウム塩処理無機粒子)を外添し、最終的なトナーを完成させる。
また、湿式製法としては、特に、1種以上の原料粒子を含む原料分散液中に、1種類以上の凝集剤を添加した後、前記1種類以上の原料粒子を凝集させて凝集粒子を形成する凝集粒子形成工程と、前記凝集粒子を加熱することにより融合する融合工程とを含む製造方法(いわゆる乳化重合凝集法)が好適に採用される。
ここで、湿式製法における、原料粒子としては、少なくとも(結着樹脂を構成する)樹脂粒子が用いられ、必要に応じて、着色剤粒子や離型剤粒子などが用いられる。また、トナーの結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合には、樹脂粒子としてポリエステル樹脂を含むものが用いられる。よって、2種類以上の原料粒子を用いる場合、各種類の原料粒子を含む分散液を混合して原料分散液を調整する。
さらに、いわゆるコアシェル構造のトナーを作製する場合には、例えば、凝集粒子形成工程を経た後の原料分散液に、樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液と、1種類以上の凝集剤とを添加して、凝集粒子表面に樹脂粒子を付着させて被覆層を形成する被覆層形成工程を実施した後に融合工程を実施することもできる。
ここで、トナーの製造において原料粒子の凝集を伴う工程が1回のみの場合(すなわち、凝集粒子形成工程のみを実施する場合)には、凝集粒子形成工程で用いられる凝集剤として、Al元素を含む凝集剤が用いられる。
また、トナーの製造において原料粒子の凝集を伴う工程が2回以上の場合(例えば、凝集粒子形成工程と、被覆層形成工程とを実施する場合)には、少なくともいずれかの工程において用いられる凝集剤として、Al元素を含む凝集剤が用いられる。
また、凝集粒子形成工程や被覆層形成工程に用いられる樹脂粒子としては、ポリエステル樹脂を含む樹脂粒子であることが好ましい。これにより、ポリエステル樹脂を含むトナーを作製することができる。
更に、凝集粒子形成工程や被覆層形成工程に用いられる樹脂粒子がポリエステル樹脂を含む樹脂粒子である場合、凝集粒子形成工程で用いられる原料分散液や、被覆層形成工程に用いられる樹脂粒子分散液の電導度は、これら分散液の固形分濃度が30質量%に調整された場合において、100μS/cm以上1000μS/cm以下の範囲となるように透析処理されていることが好ましく、150μS/cm以上800μS/cm以下の範囲となるように透析処理されていることがより好ましい。
なお、透析処理は、分散液を透析膜(例えば、三光純薬(株)製、UC 1−7−8−50など)に入れて電導度が上記範囲内となるまでイオン交換水中に保持することにより実施できる。ここで、電導度の測定には、25℃においてEutech社製CyberScan con400を用いた。
分散液の電導度が1000μS/cmを超える場合、トナー母粒子をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させた後、更にイオン交換水を混合して得られた混合液を、目開き1.0μmのフィルターで濾過して得られた濾過液に含まれる固形分を、トナー母粒子中に10質量%以下の範囲に制御することが困難となる場合がある。
また、分散液の電導度が100μS/cm未満の場合、トナー母粒子をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させた後、更にイオン交換水を混合して得られた混合液を、目開き1.0μmのフィルターで濾過して得られた濾過液に含まれる固形分を、トナー母粒子中に0.1質量%以上の範囲に制御することが困難となる場合がある。また、分散液の電導度が低すぎると、分散液中に分散する原料粒子の分散安定性が保てず、結果としてトナーの粒度分布が小径側に広がり易くなる傾向にある。この場合、粒度分布の小径側のトナーに起因して高温高湿下にて長時間画像を形成した場合にかぶりが発生してしまう場合がある。
次に、凝集粒子形成工程等の各工程についてより詳細に説明する。
−凝集粒子形成工程−
凝集粒子形成工程においては、樹脂粒子分散液の他に、通常は着色剤分散液を加え、必要に応じて添加されるその他の分散液(例えば、離型剤を分散させた離型剤分散液等)を少なくとも混合して得られた原料分散液に対して、凝集剤を更に添加して加熱し、これらの粒子を凝集させた凝集粒子を形成する。なお、樹脂粒子が結晶性ポリエステル等の結晶性樹脂である場合には、結晶性樹脂の融点付近の温度で、且つ、融点以下の温度にて加熱し、これらの粒子を凝集させた凝集粒子を形成する。
凝集粒子の形成は、回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温で凝集剤を添加し、原料分散液のpHを酸性にすることによってなされる。
前記凝集粒子形成工程に用いられる凝集剤は、原料分散液に添加される分散剤として用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、すなわち無機金属塩の他、2価以上の金属錯体を好適に用いることができる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に好ましい。
前記無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。その中でも特に、アルミニウム塩及びその重合体が好適である。よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適している。
なお、トナーの作製に際して、凝集剤を用いる工程が凝集粒子形成工程のみである場合には、この工程において凝集剤としてAl元素を含む凝集剤を用いる。また、凝集剤を用いる工程が凝集粒子形成工程及び被覆層形成工程である場合は、双方の工程又はいずれか一方の工程において凝集剤としてAl元素を含む凝集剤を用いればよい。
ここで、Al元素を含む凝集剤としては、ポリ塩化アルミニウム等の上記に列挙したものが利用できる。
なお、凝集粒子形成工程や被覆層形成工程における凝集反応を融合工程の実施前に停止させるために、従来の乳化重合凝集法においては、凝集剤を添加した後に、水酸化ナトリウムなどのアルカリ性溶液を用いて原料分散液のpHを酸性側からアルカリ性側(pH=6.5以上8.5以下程度の範囲)に調整する。そして、その後、融合工程等の後工程が実施される。
−被覆層形成工程−
凝集粒子形成工程を経た後には、必要であれば被覆層形成工程を実施してもよい。被覆層形成工程では、上記した凝集粒子形成工程を経て形成された凝集粒子の表面に、被覆層形成用の樹脂粒子を付着させることにより被覆層を形成する。これにより、いわゆるコア/シェル構造を有するトナーを得ることができる。
被覆層の形成は、凝集粒子形成工程において凝集粒子(コア粒子)を形成した原料分散液中に、通常、非晶質樹脂粒子を含む樹脂粒子分散液を追添加することにより行うことができる。
なお、結着樹脂の乳化重合、顔料の分散、樹脂粒子の分散、離型剤の分散、粒子の凝集、凝集粒子の安定化などに界面活性剤を用いることができる。具体的には硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤、またポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤を併用することも効果的であり、分散手段としては、回転せん断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的なものを使用できる。
−融合工程−
凝集粒子形成工程、あるいは、凝集粒子形成工程及び被覆層形成工程を経た後に実施される融合工程は、これらの工程を経て形成された凝集粒子を含む懸濁液のpHを6.5以上10以下の範囲にすることにより、凝集の進行を停止させる。なお、第2の(Al) /(Al)の値制御方法を利用する場合、懸濁液のpHは前述した範囲で選択できるが、第2の(Al) /(Al)の値制御方法を利用する場合、懸濁液のpHは9以上10以下の範囲内に調整される。
そして、凝集の進行を停止させた後、加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。なお、結着樹脂として結晶性樹脂を用いている場合には、結着樹脂の融点以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。
−洗浄、乾燥工程等−
凝集粒子の融合工程を終了した後、任意の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て所望のトナー粒子を得るが、洗浄工程は帯電性を考慮すると、イオン交換水で置換洗浄することが望ましい。また、固液分離工程には特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好適である。さらに、乾燥工程も特に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられる。
そして、乾燥後のトナー粒子には、既述した種々の外添剤(4級アンモニウム塩処理無機粒子)を外添することで、最終的なトナーを完成させる。
<静電荷像現像剤>
次に、本実施形態の静電荷像現像剤について説明する。
本実施形態の静電荷像現像剤は、上記本実施形態のトナーを含有する以外は特に制限はなく、目的に応じた成分組成をとることができる。本実施形態の現像剤は、前記トナーを、単独で用いると一成分系の現像剤となり、また、トナーとキャリアとを組み合わせて用いると二成分系の現像剤となる。
キャリアの具体例としては、以下の樹脂被覆キャリアが挙げられる。該キャリアの芯材としては、通常の鉄粉、フェライト、マグネタイト造型物などが挙げられ、その体積平均粒径は、30μm以上200μm以下程度の範囲である。
キャリア芯材は、その体積抵抗率が1×107.5Ωcm以上1×109.5Ωcm以下であることが好ましい。この体積抵抗率が1×107.5Ω・cm未満であると、繰り返し複写によって現像剤中のトナー濃度が減少した際に、キャリアへ電荷が注入し、キャリア自体が現像されてしまう場合がある。一方、体積抵抗率が1×109.5Ω・cmより大きくなると、際立ったエッジ効果や擬似輪郭等の画質に悪影響を及ぼす場合がある。芯材は、上記条件を満足すれば、特に制限はないが、例えば、鉄、鋼、ニッケル、コバルト等の磁性金属、これらとマンガン、クロム、希土類等との合金、及びフェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられる。これらの中でも芯材表面性、芯材抵抗の観点から好ましくはフェライト、特にマンガン、リチウム、ストロンチウム、マグネシウム等との合金が好ましい。
被覆樹脂としては、少なくともフッ素系樹脂が含まれることが望ましく、目的に応じて選択することができるが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等のそれ自体の公知の樹脂が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、樹脂被覆層(被覆膜)には樹脂粒子及び/又は導電性粒子が少なくとも分散されてなることが好ましい。被覆膜に樹脂粒子が分散されている場合、その厚み方向及びキャリア表面の接線方向に、均一に分散しているため、キャリアを長期間使用して被覆膜が摩耗したとしても、常に未使用時と同様な表面形成を保持でき、トナーに対し、良好な帯電付与能力を長期間にわたって、維持することができる。また、被覆膜に導電性粒子が分散されている場合、その厚み方向及びキャリア表面の接線方向に、導電性粒子が均一に分散しているため該キャリアを長期間使用して該被覆膜が摩耗したとしても、常に未使用時と同様な表面形成を保持でき、キャリア劣化を長期間防止することができる。なお、被覆膜に樹脂粒子と導電性粒子とが分散されている場合、上述の効果を同時に奏することができる。
前記樹脂粒子としては、例えば、熱可塑性樹脂粒子、熱硬化性樹脂粒子等が挙げられる。これらの中でも、比較的硬度を上げることが容易な観点から熱硬化性樹脂が好ましく、トナーに負帯電性を付与する観点からは、N原子を含有する含窒素樹脂による樹脂粒子が好ましい。なお、これらの樹脂粒子は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。樹脂粒子の平均粒径としては、0.1μm以上2μm以下程度が好ましく、より好ましくは0.2μm以上1μm以下である。前記樹脂粒子の平均粒径が0.1μm未満であると、被覆膜における樹脂粒子の分散性が非常に悪く、一方、2μmを越えると被覆膜から樹脂粒子の脱落が生じ易く、本来の効果を発揮しなくなることがある。導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属粒子、カーボンブラック粒子、酸化チタン、酸化亜鉛等の半導電性酸化物粒子、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム粉末等の表面を酸化スズ、カーボンブラック、金属等で覆った粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、製造安定性、コスト、導電性等の良好な点で、カーボンブラック粒子が好ましい。前記カーボンブラックの種類としては、特に制限はないが、DBP吸油量が50ml/100g以上250ml/100g以下程度であるカーボンブラックが製造安定性に優れて好ましい。
前記芯材表面に樹脂被覆層を形成する方法としては、被覆樹脂を含む被覆膜形成用液に浸漬する浸漬法、被覆膜形成用液をキャリア芯材の表面に噴霧するスプレー法、キャリア芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆膜形成用液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
上記方法により形成される樹脂被膜量は、キャリア芯材に対して0.5質量%以上10質量%以下の量を被覆して用いられる。また、トナーと上記キャリアとの混合比(質量比)としては、トナー:キャリア=1:100から30:100の範囲であることが好ましく、3:100から20:100の範囲がより好ましい。
<画像形成装置>
次に、本実施形態の静電荷像現像用トナーを用いた本実施形態の画像形成装置について説明する。
本実施形態の画像形成装置は、像保持体と、該像保持体上に形成された静電荷像を現像剤によりトナー像として現像する現像手段と、像保持体上に形成されたトナー像を被転写体上に転写する転写手段と、被転写体上に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有し、前記現像剤として本実施形態の静電荷像現像剤を用いるものである。
なお、この画像形成装置において、例えば前記現像手段を含む部分が、画像形成装置本体に対して脱着可能なカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよく、該プロセスカートリッジとしては、現像剤保持体を少なくとも備え、本実施形態の静電荷像現像剤を収容する本実施形態のプロセスカートリッジが好適に用いられる。
以下、本実施形態の画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図1は、4連タンデム方式のフルカラー画像形成装置を示す概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに所定距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置本体に対して脱着可能なプロセスカートリッジであってもよい。
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図面における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、図における左から右方向に互いに離間して配置された駆動ローラ22及び中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24に巻回されて設けられ、第1ユニット10Yから第4ユニット10Kに向う方向に走行されるようになっている。尚、支持ローラ24は、図示しないバネ等により駆動ローラ22から離れる方向に付勢されており、両者に巻回された中間転写ベルト20に所定の張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ローラ22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収容されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが供給可能である。
上述した第1乃至第4ユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1ユニット10Yについて代表して説明する。尚、第1ユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2乃至第4ユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
第1ユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を所定の電位に帯電させる帯電ローラ2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yよって露光して静電荷像を形成する露光装置3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段)4Y、現像したトナー像を中間転写ベルト20上に転写する1次転写ローラ5Y(1次転写手段)、及び1次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを、クリーニングブレードにて除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段)6Yが順に配設されている。
尚、1次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ローラに印加する転写バイアスを可変する。
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。まず、動作に先立って、帯電ローラ2Yによって感光体1Yの表面が−600V以上−800V以下程度の電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(20℃における体積抵抗率:1×10−6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂程度の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
このようにして感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って所定の現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによって可視像(現像像)化される。
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロー着色剤と結晶性樹脂及び非結晶性樹脂とを含む体積平均粒径が7μmのイエロートナーが収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー像が形成された感光体1Yは、引続き所定速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー像が所定の1次転写位置へ搬送される。
感光体1Y上のイエロートナー像が1次転写へ搬送されると、1次転写ローラ5Yに所定の1次転写バイアスが印加され、感光体1Yから1次転写ローラ5Yに向う静電気力がトナー像に作用され、感光体1Y上のトナー像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1ユニット10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μA程度に制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーはクリーニング装置6Yで除去されて回収される。
また、第2ユニット10M以降の1次転写ローラ5M、5C、5Kに印加される1次転写バイアスも、第1ユニットに準じて制御されている。
こうして、第1ユニット10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4ユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が重ねられて多重転写される。
第1乃至第4ユニットを通して4色のトナー像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された2次転写ローラ(2次転写手段)26とから構成された2次転写部へと至る。一方、記録紙(被転写体)Pが供給機構を介して2次転写ローラ26と中間転写ベルト20とが圧接されている隙間に所定のタイミングで給紙され、所定の2次転写バイアスが支持ローラ24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性の(−)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー像が記録紙P上に転写される。尚、この際の2次転写バイアスは2次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
この後、記録紙Pは定着装置(定着手段)28へと送り込まれトナー像が加熱され、色重ねしたトナー像が溶融されて、記録紙P上へ定着される。カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
なお、上記例示した画像形成装置は、中間転写ベルト20を介してトナー像を記録紙Pに転写する構成となっているが、この構成に限定されるものではなく、感光体から直接トナー像が記録紙に転写される構造であってもよい。
<プロセスカートリッジ>
図2は、本実施形態の静電荷像現像剤を収容するプロセスカートリッジの好適な一例を示す概略構成図である。プロセスカートリッジ200は、感光体107とともに、帯電ローラ108、現像装置111、クリーニングブレードを備えた感光体クリーニング装置(クリーニング手段)113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を取り付けレール116を用いて組み合わせ、そして一体化したものである。
そして、このプロセスカートリッジ200は、転写装置112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。なお、300は記録紙である。
図2で示すプロセスカートリッジでは、帯電装置108、現像装置111、クリーニング装置(クリーニング手段)113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を備えているが、これら装置は選択的に組み合わせることが可能である。本実施形態のプロセスカートリッジでは、感光体107のほかには、帯電装置108、現像装置111、クリーニング装置(クリーニング手段)113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117から構成される群から選択される少なくとも1種を備える。
次に、本実施形態のトナーカートリッジについて説明する。本実施形態のトナーカートリッジは、画像形成装置に着脱可能に装着され、少なくとも、前記画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するためのトナーを収めるトナーカートリッジにおいて、前記トナーが既述した本実施形態のトナーであることを特徴とする。なお、本実施形態のトナーカートリッジには少なくともトナーが収容されればよく、画像形成装置の機構によっては、例えば現像剤が収められてもよい。
従って、トナーカートリッジの着脱が可能な構成を有する画像形成装置においては、本実施形態のトナーを収めたトナーカートリッジを利用することにより、特に容器が小型化されたトナーカートリッジにおいても保存性を保つことができ、高画質を維持しつつ低温定着化を図ることが可能となる。
なお、図1に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kの着脱が可能な構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y、4M、4C、4Kは、各々の現像装置(色)に対応したトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収納されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジを交換することができる。
以下、本実施形態を実施例により具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお以下の説明において、特に断りがない限り、「部」「%」は全て「質量部」「質量%」を意味する。
[実施例1]
・ポリエステル樹脂(テレフタル酸/ビスフェノールA・エチレンオキシド付加物/シクロヘキサンジメタノールから得られた線状ポリエステル:ガラス転移温度60℃、数平均分子量3,600、重量平均分子量28,000、酸価15):84部
・カーボンブラック(三菱化学社製:商品名#25):8部
・ポリエチレンワックス(三井化学社製:商品名400P、重量平均分子量4000):3部
・正帯電制御剤(ニグロシン染料:オリエント化学社製:商品名ボントロンN−04):2部
上記組成をヘンシェルミキサーにより粉体混合し、これを設定温度105℃のエクストルーダーにより熱混練し、冷却後、粗粉砕、微粉砕、分級し、体積平均粒径D50が8.8μmのトナー粒子を得た。
このトナー粒子100部と、疎水性シリカ粒子(シリカ100部に対してヘキサメチルジシラザン4部とアミノシランカップリング剤8部とを表面処理したもの:日本アエロジル社製:商品名RA200H)1.0部と、4級アンモニウム塩で表面処理した酸化セリウム0.5部と、をヘンシェルミキサー(条件:表1参照)により混合しトナーを得た。
なお、酸化セリウム(CeO)(三井金属社製:商品名E10)への4級アンモニウム塩で表面処理は次のように施した。4級アンモニウム塩(オリエント化学社製ボントロンP51)10部を用い、エチルアルコールで溶解し、酸化セリウムと攪拌混合した後、溶剤のエチルアルコールを除くため真空乾燥を50℃、2時間行うことで酸化セリウム表面に4級アンモニウム塩を施した。
[実施例2乃至8、比較例1乃至3]
表1に従って、4級アンモニウム塩で表面処理した無機粒子、外添条件を変更した以外は、実施例1と同様にしてトナーを作製した。
4級アンモニウム塩の表面処理量、表面処理法、及び外添量、外添処理法は実施例1と同様にした。
[評価]
次のようにキャリアを作製した。ニーダーにMn−Mgフェライト(体積平均粒径:50μm、パウダーテック社製、形状係数SF1:120)を1,000部投入し、パーフルオロオクチルメチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体(重合比率:20/80、Tg:72℃、重量平均分子量:72,000、綜研化学(株)製)150部をトルエン700部に溶かした溶液を加え、常温で20分混合した後、70℃に加熱して減圧乾燥した後、取り出し、コートキャリアを得た。さらに得たコートキャリアを75μm目開きのメッシュでふるい、粗粉を除去してキャリアを得た。キャリアの形状係数SF1は122であった。
上記キャリアと、前記得られた各トナーとをそれぞれ組み合わせで、質量比95:5の割合でVブレンダーにいれ20分間撹拌し、現像剤を調整した。そして、得られた現像剤を用い、富士ゼロックス社製DocuPrint1100CF改造機にて非画像部のガブリトナーについて評価した。
富士ゼロックス社製DocuPrint1100CF改造機は、表1に従って、アモルファスシリコン感光体、有機感光体のいずれかに入れ替えて評価を行った。結果を表1に示す。
−アモルファスシリコン感光体の作製−
厚さ4mm、直径84mmのAl製円筒状基体表面に、グロー放電により電荷注入層、光導電層、電荷捕獲層、表面層を形成した。電荷注入層、光導電層、電荷捕獲層はシランガス、水素ガス及びジボランガスにより製膜され、膜厚は各々約2μm、約15μm、約0.8μmであった。表面層はシランガス、水素ガス及びアンモニアガスにより製膜され、膜厚は約0.1μmであった。
−有機感光体の作製−
4質量部のポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水化学工業株式会社製)を溶解したn−ブチルアルコール170質量部に、有機ジルコニウム化合物(アセチルアセトンジルコニウムブチレート)30質量部及び有機シラン化合物(Y−アミノプロピルトリメトキシシラン)3質量部を添加、混合撹枠して、下引層形成用の塗布液を得た。
この塗布液を、ホーニング処理により粗面化された外径40mm、長さ350mmのアルミニウム支持体の上に浸漬塗布し、室温で5分間風乾を行った。その後、支持体を10分間で50℃に昇温し、50℃,85%RH(露点47℃)の恒温恒湿槽中に入れて20分間加湿硬化促進処理を行った。その後、熱風乾燥機に入れて170℃で10分間乾燥を行い、下引層を形成した。
電荷発生材料として塩化ガリウムフタロシアニンを15質量部と、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニオンカーバイト社製)10質量部と、n−ブチルアルコール300質量部とを混合して混合液を得た。なお、混合は、混合物をサンドミルにて4時間分散させることで行なった。この分散液を、上記下引層上に浸漬塗布し、乾燥して膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
次に、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジンを40質量部と、ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(分子量40,000)を60質量部とを、テトロヒドロフラン235質量部及びモノクロロベンゼン100質量部中に十分に溶解混合して塗布液を得た。この塗布液を、電荷発生層まで形成したアルミニウム支持体上に浸漬塗布し、120℃で40分乾燥することにより、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
保護層形成材料として、下記構造式で示される化合物を2.5部、ショウノールBRL−204(昭和高分子製)を3部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(AO−80:旭電化製)を0.1部、フッ素グラフトポリマー(ZX007C:富士化成製)を0.2部、及びフッ素カップリング剤(KBM−7803:信越化学製)を0.1部混合し、イソプロピルアルコール5部、メチルブチルケトン5部に溶解させ、保護層形成用塗布液を得た。この塗布液を電荷輸送層の上にリング型浸漬塗布法により塗布し、室温で30分風乾した後、150℃で1時間加熱処理して硬化させ、膜厚約6μmの保護層を形成した。
−カブリトナーの評価−
画像印字率5%のチャートを用いてA4で出力を行い、1000枚出力後における非画像部のトナー粒子数の確認を行った。マイクロスコープで2mm×2mm四方観察を行い、ランダムに5箇所選択する。5箇所のトナー粒子数を数え平均値を算出した。判定の基準を以下に示す。
○:トナー個数の平均値が20個以下
△:トナー個数の平均値が20以上70個未満
×:トナー個数の平均値が70個以上
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、かぶりトナー数が低減されていることがわかる。
実施例1〜3、5の結果より遊離率が大きいほどカブリが減少していることがわかる。また、実施例4では有機感光体を用いるとアモルファスシリコン感光体よりも磨耗されるため、カブリが多く生じてしまっているが、カブリを十分抑制できている。また、実施例6〜8では酸化セリウム以外の無機粒子を用いてもかぶりを抑制できているのがわかる。
比較例1ではシリカの負帯電性が強いため汚染によってかぶりが生じてしまっている。比較例2では4級アンモニウム塩が塗布されていないためカブリが生じてしまっている。比較例3では遊離率が低いために感光体に4級アンモニウム塩が十分に塗布されずカブリが生じてしまっていることがわかる。
[実施例9、比較例4]
実施例4のトナーと同様のトナーを用い、アモルファスシリコン感光体を装着したDocuPrint1100CF改造機により、実施例1と同様のかぶりトナーの評価を行った。但し、100000枚出力後の経時でのかぶりトナーの評価を行った。これを実施例6とした。
これに対して、比較例2と同様のトナー(4級アンモニウム塩処理無機粒子非使用トナー)を用い、4級アンモニウム塩(オリエント化学社製ボントロンP51)を塗布量0.1gで塗布したアモルファスシリコン感光体を装着したDocuPrint1100CF改造機により、実施例6と同様にしてかぶりトナーの評価を行った。これを比較例4とした。結果を表2に示す・
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、経時でもかぶりトナー数が低減されていることがわかる。
本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態のプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
符号の説明
1Y、1M、1C、1K、107 感光体(像保持体)
2Y、2M、2C、2K、108 帯電ローラ
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
3、110 露光装置
4Y、4M、4C、4K、111 現像装置(現像手段)
5Y、5M、5C、5K 1次転写ローラ
6Y、6M、6C、6K、113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段)
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K ユニット
20 中間転写ベルト
22 駆動ローラ
24 支持ローラ
26 2次転写ローラ(転写手段)
28、115 定着装置(定着手段)
30 中間転写体クリーニング装置
112 転写装置
116 取り付けレール
117 除電露光のための開口部
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ
P、300 記録紙(被転写体)

Claims (7)

  1. 結着樹脂及び着色剤を含むトナー粒子と、少なくともシリカ以外の無機粒子を有し、
    前記無機粒子の前記トナー粒子に対する遊離率が20%以上であり、
    前記無機粒子が4級アンモニウム塩で表面処理されてなる、
    ことを特徴とする静電荷現像用トナー。
  2. 前記無機粒子が、酸化セリウム、アルミナ、チタニア、及びチタン酸ストロンチウムから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷現像用トナー。
  3. 請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナーを含むことを特徴とする静電荷像現像剤。
  4. 請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナーが収められたことを特徴とするトナーカートリッジ。
  5. 現像剤保持体を少なくとも備え、請求項3に記載の静電荷像現像剤を収容することを特徴とするプロセスカートリッジ。
  6. 像保持体と、
    該像保持体上に形成された静電荷像を現像剤によりトナー像として現像する現像手段と、
    像保持体上に形成されたトナー像を被転写体上に転写する転写手段と、
    被転写体上に転写されたトナー像を定着する定着手段と、
    を有し、
    前記現像剤が請求項3に記載の静電荷像現像剤であることを特徴とする画像形成装置。
  7. 前記像保持体が、アモルファスシリコン感光体であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
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