[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP2009047970A - 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤、静電荷像現像用現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置および画像形成方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤、静電荷像現像用現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置および画像形成方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009047970A
JP2009047970A JP2007214532A JP2007214532A JP2009047970A JP 2009047970 A JP2009047970 A JP 2009047970A JP 2007214532 A JP2007214532 A JP 2007214532A JP 2007214532 A JP2007214532 A JP 2007214532A JP 2009047970 A JP2009047970 A JP 2009047970A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toner
image
latent image
developer
electrostatic latent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007214532A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009047970A5 (ja
Inventor
Masaru Takahashi
賢 高橋
Masanobu Ninomiya
正伸 二宮
Hiroshi Nakazawa
博 中沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP2007214532A priority Critical patent/JP2009047970A/ja
Publication of JP2009047970A publication Critical patent/JP2009047970A/ja
Publication of JP2009047970A5 publication Critical patent/JP2009047970A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Abstract

【課題】長時間に渡って画像を形成した後に温湿度が変化しても帯電量の変動を抑制する静電荷像現像用トナーを提供すること。
【解決手段】結着樹脂と、Al元素とを含むトナー母粒子を有し、且つ、下式(1)を満たすことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
・式(1) 1.05≦(Al)/(Al)≦2.00
〔式(1)中、(Al)は、前記トナー母粒子の蛍光X線分析により測定した場合において、前記トナー母粒子中に含まれる全元素に起因する検出強度に対する前記Al元素に起因する検出強度の割合(%)を意味し、(Al)は、前記トナー母粒子をTHF(テトラヒドロフランに)溶解させた後に、更に、酸性水溶液を混合した液を、目開き1.0μmのフィルターにより濾過することにより得られた固形分中に含まれる全元素に起因する検出強度に対するAl元素強度の割合を意味する。〕
【選択図】なし

Description

本発明は、複写機等の電子写真方式を利用した画像の形成に用いられる静電荷像現像用トナー、並びに、これを用いた静電荷像現像用現像剤、静電荷像現像用現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置および画像形成方法に関する。
電子写真法を利用して画像の形成を行う複写機などの画像形成装置では、長時間使用しても、温湿度環境の変化によらず安定した画質の画像が得られることが重要である。このような効果を達成する上での影響する重要な要素としては、トナーや現像剤の帯電状態が挙げられる。
例えば、トナーの帯電状態の制御することによって、画像をかぶりなく現像し、しかも長期連続使用においても安定した現像特性を確保するために、接触帯電量が+30μC/g以上である水酸化アルミニウムを含有する現像剤が提案されている(特許文献1参照)。この技術では、水酸化アルミニウムはトナー粒子に外添処理される。
なお、定着性やトナーブリスター等の改善を目的として、トナー粒子中に、アルミニウム元素を含む成分を内添する技術も知られている(特許文献2参照)。このトナーは、例えば、ポリエステル樹脂粒子を、ポリアルミニウム化合物を含む水系媒体中でポリエステル樹脂粒子を凝集させる工程を経て作製される。
特開平9−274332号公報 特開2004−287421号公報
しかし、本発明者らが鋭意検討したところ、帯電特性等の制御を目的としてAl元素を含む材料を内添または外添したトナーでは、長時間画像を形成した後に、温湿度環境が変動すると帯電量も大きく変化するため、再び画像を形成した際にかぶり等の画像欠陥が発生しやすい傾向にあることを確認した。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、長時間に渡って画像を形成した後に温湿度が変化しても帯電量の変動を抑制する静電荷像現像用トナー、並びに、これを用いた静電荷像現像用現像剤、静電荷像現像用現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置および画像形成方法を提供することを課題とする。
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、
請求項1に係わる発明は、
結着樹脂と、Al元素とを含むトナー母粒子を有し、且つ、下式(1)を満たすことを特徴とする静電荷像現像用トナーである。
・式(1) 1.05≦(Al)/(Al)≦2.00
〔式(1)中、(Al)は、前記トナー母粒子の蛍光X線分析により測定した場合において、前記トナー母粒子中に含まれる全元素に起因する検出強度に対する前記Al元素に起因する検出強度の割合(%)を意味し、(Al)は、前記トナー母粒子をTHF(テトラヒドロフランに)溶解させた後に、更に、酸性水溶液を混合した液を、目開き1.0μmのフィルターにより濾過することにより得られた固形分中に含まれる全元素に起因する検出強度に対するAl元素強度の割合を意味する。〕
請求項2に係わる発明は、
前記結着樹脂が、ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナーである。
請求項3に係わる発明は、
前記結着樹脂としてポリエステル樹脂を含む前記トナー母粒子をテトラヒドロフランに溶解させた後、更にイオン交換水を混合して得られた混合液を、目開き1.0μmのフィルターで濾過して得られた濾過液に含まれる固形分が、前記トナー母粒子中に1.0質量%以上10質量%以下の範囲で含有されることを特徴とする請求項2に記載の静電荷像現像用トナーである。
請求項4に係わる発明は、
前記ポリエステル樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項3に記載の静電荷像現像用トナーである。
請求項5に係わる発明は、
請求項1〜4のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像用現像剤である。
請求項6に係わる発明は、
静電潜像保持体と、前記静電潜像保持体表面に形成された静電潜像を現像剤により現像して前記静電潜像保持体表面にトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像を前記静電潜像保持体表面から記録媒体に転写する転写手段と、を備えた画像形成装置に対して脱着可能であり、
前記トナー像形成手段に供給するための現像剤を収納し、
前記現像剤が請求項5に記載の静電荷像現像用現像剤であることを特徴とする静電荷像現像用現像剤カートリッジである。
請求項7に係わる発明は、
画像形成装置に対して脱着可能であり、静電潜像保持体と、現像剤を収納すると共に前記静電潜像保持体表面に形成された静電潜像に前記現像剤を供給してトナー像を形成するトナー像形成手段と、を備え、
前記現像剤が請求項5に記載の静電荷像現像用現像剤であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
請求項8に係わる発明は、
静電潜像保持体と、前記静電潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記潜像保持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、請求項5に記載の静電荷像現像用現像剤を収納すると共に前記静電潜像保持体表面に形成された静電潜像に前記静電荷像現像用現像剤を供給してトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像を前記静電潜像保持体表面から記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段とを有することを特徴とする画像形成装置である。
請求項9に係わる発明は、
静電潜像保持体表面を帯電する帯電工程と、帯電された前記潜像保持体表面に潜像を形成する潜像形成工程と、請求項5に記載の静電荷像現像用現像剤により前記潜像保持体表面に形成された前記潜像を現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を前記静電潜像保持体表面から記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着工程とを有することを特徴とする画像形成方法である。
以上に説明したように請求項1に記載の発明によれば、長時間に渡って画像を形成した後に温湿度が変化しても帯電量の変動を抑制する静電荷像現像用トナーを提供することができる。
請求項2に記載の発明によれば、結着樹脂として親水性が高い樹脂を用いても、長時間に渡って画像を形成した後に温湿度が変化しても帯電量の変動を抑制する静電荷像現像用トナーを提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、高温高湿下で長時間画像を形成してもかぶりの発生を抑制する静電荷像現像用トナーを提供することができる。
請求項4に記載の発明によれば、結着樹脂としてかぶりのより発生しやすい傾向にある樹脂を用いても高温高湿下で長時間画像を形成してもかぶりの発生を抑制する静電荷像現像用トナーを提供することができる。
請求項5に記載の発明によれば、長時間に渡って画像を形成した後に温湿度が変化しても帯電量の変動を抑制する静電荷像現像用現像剤を提供することができる。
請求項6に記載の発明によれば、長期に渡って画像を形成した後に、温湿度環境が変化し、その後に再び画像を形成してもかぶりの発生を抑制する静電荷像現像用現像剤カートリッジを提供することができる。
請求項7に記載の発明によれば、長期に渡って画像を形成した後に、温湿度環境が変化し、その後に再び画像を形成してもかぶりの発生を抑制するプロセスカートリッジを提供することができる。
請求項8に記載の発明によれば、長期に渡って画像を形成した後に、温湿度環境が変化し、その後に再び画像を形成してもかぶりの発生を抑制する画像形成装置を提供することができる。
請求項9に記載の発明によれば、長期に渡って画像を形成した後に、温湿度環境が変化し、その後に再び画像を形成してもかぶりの発生を抑制する画像形成方法を提供することができる。
<静電荷像現像用トナー>
本発明の静電荷像現像用トナー(以下、「トナー」と略す場合がある)は、結着樹脂と、Al元素とを含むトナー母粒子(但し、「トナー母粒子」とは、外添剤を用いる場合において、外添剤を除く成分(すなわち、トナー粒子そのもの)を意味する。)を有し、且つ、下式(1)を満たすことを特徴とする。
・式(1) 1.05≦(Al)/(Al)≦2.00
式(1)中、(Al)は、前記トナー母粒子の蛍光X線分析により測定した場合において、前記トナー母粒子中に含まれる全元素に起因する検出強度に対する前記Al元素に起因する検出強度の割合(%)を意味し、(Al)は、<前処理A>前記トナー母粒子をTHF(テトラヒドロフランに)溶解させた後に、<前処理B>更に、酸性水溶液を混合した液を、目開き1.0μmのフィルターにより濾過することにより得られた全元素に起因する検出強度に対する固形分中に含まれるAl元素強度の割合を意味する。
なお、前処理Aにおいてトナー母粒子に対して用いるTHFの量は、トナー母粒子が完全に溶解できる量であれば特に限定されないが、一般的な目安としては、トナー母粒子100質量部に対してTHFを300質量部添加する。
また、前処理Bにおいて、トナー母粒子をTHFに溶解させたTHF溶液に対して用いる酸性水溶液の量は、トナー母粒子中に含まれる水溶性のAl元素が完全に溶解できるように適宜選択されるが、一般的な目安としては、THF溶液100質量部に対して酸性水溶液600質量部を添加する。また、この際の攪拌は、常温(25℃)で30分間実施する。
また、蛍光X線分析は、蛍光X線分析装置(島津製作所社製、XRF−1500)を用いて、管電圧40kV、管電流90mA、測定時間1時間で測定した。なお、測定サンプルは、試料6gを加圧成型器で加重10t、加圧時間1分間で加圧成型したものを用いた。
ここで、本発明において、トナー母粒子中に含まれるAl元素のうち蛍光X線分析の測定対象となるAl元素は、イオン性のものを意味し、アルミナなどを構成するAl元素のようにイオン結合性以外のものは除かれる。
このようなイオン性のAl元素は、通常は水に溶解する性質を有するが、トナー母粒子中で、イオン架橋を形成した状態で存在する場合には、水に対して溶解しなくなる。
よって、(Al)は、トナー母粒子中においてイオン架橋を形成しているアルミニウム元素の割合を意味し、トナー母粒子中においてイオン架橋を形成しているアルミニウム元素、および、イオン架橋を形成せずに水に溶解可能な状態で存在しているアルミニウム元素に起因する値を意味する。
これに対して、(Al)は、トナー母粒子中においてイオン架橋を形成しているアルミニウム元素に起因する値を意味する。これは、(Al)の測定対象が、トナー母粒子をTHF(テトラヒドロフランに)溶解させた後に、更に、酸性水溶液を混合した液を、目開き1.0μmのフィルターにより濾過することにより得られた固形分であるためである。すなわち、当該固形分中には、イオン架橋に用いられたアルミニウムイオンは水相に溶解せずに固形分中に残留するのに際して、イオン架橋の形成に関与していない水溶性のアルミニウムイオンは水相中に溶解しているため、濾過した際に固形分中に残留しないためである。
以上のことから、(Al)/(Al)は、言い換えれば、トナー母粒子中のイオン架橋の形成に寄与する非水溶性のAl元素と、トナー母粒子中のイオン架橋の形成に寄与しない水溶性のAl元素との総量を、トナー母粒子中のイオン架橋の形成に寄与する非水溶性のAl元素の総量で割った値といえる。
それゆえ、(Al)/(Al)の増加は、トナー母粒子中の水溶性のAl元素の相対的な増加を意味し、(Al)/(Al)の減少は、トナー母粒子中の水溶性のAl元素の相対的な減少を意味する。
一方、本発明者らが検討したこところ、親水性の高い水酸化アルミニウムをトナー母粒子表面に外添した場合、長時間に渡り画像を形成した後において、温湿度環境の変化によりトナーの帯電量が大きく変化してかぶりの発生を招く傾向にあることから、トナー母粒子表面に存在する水分子の存在が、トナーの帯電特性に影響を及ぼすものと考えた。
よって、温湿度環境の変化によらず、トナー母粒子の表面に存在する水分の含水量を一定に保つことができれば、トナーの帯電量の温湿度環境に対する依存性を低減できると考えられる。
また、トナー母粒子中に存在する水溶性のAl元素は、トナー母粒子表面に存在する水分と親和して、トナー母粒子の内部へと閉じ込める作用を有していると考えられる。そして、トナー母粒子中に適量の水溶性のAl元素が存在する場合、雰囲気中の湿度が相対的に高くなってきても、トナー母粒子表面に存在する過剰な水分をトナー母粒子内部へと閉じ込めてしまう。
このため、長時間に渡って画像を形成することによりトナーに長期に渡ってストレスが加わった後に温湿度が変化しても、温湿度変化に関係なく、トナーの帯電量の変動を抑制できるものと考えられる。
本発明者らは、上述した知見に基づいて、(Al)/(Al)が、式(1)に示されるように1.05以上2.00以下の範囲内であれば、温湿度変化に関係なく、トナーの帯電量を一定値に安定して維持できることを見出した。なお、(Al)/(Al)は、1.05以上1.70以下の範囲内が好ましく、1.10以上1.50以下の範囲内が更に好ましい。
(Al)/(Al)が、1.05未満の場合には、トナー母粒子中の水溶性のAl元素の割合が少なくなりすぎるために、トナー母粒子表面に過剰な水分が存在しても、この過剰な水分をトナー母粒子内部へと閉じ込める作用が低下する。このため、長時間に渡って画像を形成した後に、温湿度が変化するとこれに応じてトナーの帯電量も大きく変化してしまう。そして結果的に、長期に渡って画像を形成した後に、温湿度環境が変化し、その後に再び画像を形成するとかぶり等の画像欠陥が発生する。
これに対して、(Al)/(Al)が、2.00を超える場合には、トナー母粒子中の水溶性のAl元素の割合が大きくなりすぎるために、トナー母粒子全体の含水率が増加しすぎてしまう。このため、長時間に渡って画像を形成した後に、温湿度が変化するとこれに応じてトナーの帯電量も大きく変化してしまう。そして結果的に、長期に渡って画像を形成した後に、温湿度環境が変化し、その後に再び画像を形成するとかぶり等の画像欠陥が発生する。
なお、既述したように、トナー母粒子表面に存在する水分子の存在が、トナーの帯電特性に影響を及ぼすが、この影響は、結着樹脂として親水性の高いポリエステル樹脂を用いる場合により顕著となる。
このため、本発明は、結着樹脂としてポリエステル樹脂を含むトナーにおいて、より効果が発揮できる。
また、結着樹脂としてポリエステル樹脂が用いられる場合、トナー母粒子表面に、ポリエステル樹脂に起因すると考えられる加水分解物が大なり小なり残存する場合があり、特に、全結着樹脂に占めるポリエステル樹脂の含有量が30質量%以上である場合に顕著となる。
このような加水分解物は、特に、ポリエステル樹脂を水系溶媒に分散させた溶液を原料として用いてトナーを作製する湿式製法(例えば、乳化重合凝集法など)において生じやすいものと考えられる。例えば、ポリエステル樹脂を水系溶媒中にて乳化分散処理する際などに、ポリエステル樹脂が加水分解することにより生成するものと考えられる。
また、上記加水分解物は、高温高湿下にて長時間画像を形成した場合、特に、トナー母粒子表面に外添剤が添加されている場合においてトナー母粒子に長時間加わった機械的ストレスによって外添剤がトナー母粒子表面に埋没した場合において、トナー母粒子同士を接着する接着剤として作用しやすくなる。この場合、トナー母粒子同士が凝集塊を形成して、かぶりを発生させてしまう。
それゆえ、結着樹脂としてポリエステル樹脂が用いられる場合には、本発明のトナーを構成するトナー母粒子をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させた後、更にイオン交換水を混合して得られた混合液を、目開き1.0μmのフィルターで濾過して得られた濾過液に含まれる固形分が、トナー母粒子中に10質量%以下の範囲で含有されるものであることが好ましい。
なお、トナー母粒子に対するTHFの使用量は、トナー母粒子を完全に溶解できる量であれば特に限定されないが、一般的な目安としては、トナー母粒子100質量部に対してTHF300質量部を使用する。また、トナー母粒子を溶解させたTHF溶液に対するイオン交換水の混合量は特に限定されないが、一般的な目安としては、THF溶液100質量部に対してイオン交換水600質量部を使用する。また、この時の混合は、常温(25℃)で30分間実施する。
また、固形分は、混合液を濾過して固液分離して得られた固形分ではなく、固液分離して得られた濾過液中に溶解している固形分を意味する。濾過液中の固形分は、濾過液中の溶媒成分を、温度100℃程度で加熱して完全に蒸発させることにより得る。
このような処理を経て得られた固形分は、主に上述した接着剤として機能する加水分解物に起因するものであると推定される。
上述した固形分のトナー母粒子中における含有量が10質量%を超える場合には、高温高湿下で長時間画像を形成した場合にかぶりが生じる場合がある。なお、固形分のトナー母粒子中における含有量は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。また、含有量の下限値は特に限定されるものではないが、製造性などの実用上の観点からは、0.1質量%以上であることが好ましい。
例えば、本発明のトナーが、水系溶媒中にて乳化分散処理されたポリエステル樹脂粒子やその他のトナー原料成分を含む粒子を凝集させるプロセスを少なくとも経て作製される場合において、上記含有量が0.1質量%以下の場合、トナーの粒度分布が小径側に広がり易くなる傾向にある。この場合、粒度分布の小径側のトナーに起因して高温高湿下にて長時間画像を形成した場合にかぶりが発生してしまう場合がある。
なお、加水分解物およびこれに起因するかぶりは、ポリエステル樹脂が結晶性ポリエステル樹脂である場合により発生しやすい傾向にある。
このため、結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂が用いられる場合(特に、結着樹脂中に占める結晶性ポリエステル樹脂の含有量が3.0質量%以上の場合)において、上述した固形分のトナー母粒子中における含有量が10質量%とすることがより一層好ましい。
また、加水分解物は、既述したようにポリエステル樹脂を水系溶媒中にて乳化分散処理する際などに、ポリエステル樹脂が加水分解することにより発生すると考えられるが、このような加水分解は、ポリエステル樹脂分子鎖の末端部において起こりやすいものと推定される。
よって、加水分解物の発生を抑制して、上述した固形分のトナー母粒子中における含有量を10質量%以下となるように制御するためには、ポリエステル樹脂分子鎖の末端部の構造が加水分解し難いものとすることが好適である。
このような末端構造としては、主鎖の末端基が、ビスフェノールAプロピレン付加物やドデセニルコハク酸である場合などが挙げられる。
−トナーの構成材料、諸特性、製造方法等−
本発明のトナーは、トナー母粒子に、結着樹脂とAl元素とを少なくとも含むものであれば特に限定されないが、通常は、この他に着色剤が含まれる。また、オイルレス定着に用いる場合は離型剤が用いられる。さらに必要に応じて、トナー用材料として用いられるその他の公知の材料をトナー母粒子に内添あるいは外添できる。
また、本発明のトナーの構造は特に限定されず、単層構造とすることもできるが、結着樹脂と着色剤や離型剤などとを含むコア層と、結着樹脂を含みコア層を被覆するシェル層とを有するいわゆるコアシェル構造とすることもできる。
以下に本発明のトナーの構成材料、諸特性、製造方法等の詳細についてより詳細に説明する。
−結着樹脂−
本発明に用いられる結着樹脂としては、ビニル系樹脂を代表とする非結晶性樹脂はもとより、非結晶性のポリエステル樹脂、結晶性のポリエステル樹脂など様々なものを用いることができる。
ビニル系結着樹脂としての例としては、スチレン、パラクロルスチレンなどのスチレン類ビニルナフタレン、塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n―ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n―オクチル、アクリル酸2―クロルエチル、アクリル酸フェニル、α―クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのメチレン脂肪族カルボン酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリルロニトリル、アクリルアミド、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類、例えばN―ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物などの含N極性基を有する単量体やメタクリル酸、アクリル酸、桂皮酸、カルボキシエチルアクリレートなどのビニルカルボン酸類などビニル系モノマーの単独重合体及び共重合体及び/または各種ポリエステル類など、さらには各種ワックス類もあわせて使用可能である。
ビニル系単量体の場合は、イオン性界面活性剤などを用いて乳化重合を実施して樹脂粒子分散液を作製することができ、その他の樹脂の場合は油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するものであれば、樹脂をそれらの溶剤に解かし、イオン性の界面活性剤や高分子電解質とともにホモジナイザーなどの分散機により水中に粒子状に分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂粒子分散液を得ることができる。
結晶性樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂が好ましく、また適度な融点をもつ脂肪族系の結晶性ポリエステル樹脂がより好ましい。以下、結晶性ポリエステル樹脂を例に説明する。
結晶性脂肪族系ポリエステルには、ポリカプロラクトンのように開環重合的に進行するポリエステルもあるが、酸(ジカルボン酸)成分とアルコール(ジオール)成分とから合成されるものも多い、本発明において、「酸由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前には酸成分であった構成部位を指し、「アルコール由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前にはアルコール成分であった構成部位を指す。
前記ポリエステル樹脂が結晶性でない場合、即ち非結晶性である場合には、良好な低温定着性を確保しつつ、耐トナーブロッキング性、画像保存性を保つことが困難となる場合がある。
なお、本発明において、「結晶性ポリエステル樹脂」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、観察される吸熱ピークの半値幅が6℃以下のものを意味し、これ以外のポリエステル樹脂は、非結晶性ポリエステル樹脂を意味する。
また、本発明において、「ポリエステル樹脂」とは、純粋なポリエステル構造を有する樹脂のみならず、ポリエステル主鎖に対して他成分を共重合したポリマーの場合、他成分が50質量%以下の共重合体も意味する。
−酸由来構成成分−
前記酸由来構成成分は、脂肪族ジカルボン酸が望ましく特に直鎖型のカルボン酸が望ましい。
例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸、など、或いはその低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられるが、この限りではない。
前記酸由来構成成分としては、前述の脂肪族ジカルボン酸由来構成成分のほか、2重結合を持つジカルボン酸由来構成成分、スルホン酸基を持つジカルボン酸由来構成成分等の構成成分が含まれているのが好ましい。
尚、前記2重結合を持つジカルボン酸由来構成成分には、2重結合を持つジカルボン酸に由来する構成成分のほか、2重結合を持つジカルボン酸の低級アルキルエステル又は酸無水物等に由来する構成成分も含まれる。また、前記スルホン酸基を持つジカルボン酸由来構成成分には、スルホン酸基を持つジカルボン酸に由来する構成成分のほか、スルホン酸基を持つジカルボン酸の低級アルキルエステル又は酸無水物等に由来する構成成分も含まれる。
前記2重結合を持つジカルボン酸は、その2重結合を利用して樹脂全体を架橋させ得る点で、定着時のホットオフセットを防ぐために好適に用いることができる。このようなジカルボン酸としては、例えば、フマル酸、マレイン酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でも、コストの点で、フマル酸、マレイン酸等が好ましい。
前記スルホン酸基を持つジカルボン酸は、顔料等の色材の分散を良好にできる点で有効である。
また樹脂全体を水に乳化或いは懸濁して、トナー母粒子を粒子に作製する際に、スルホン酸基があれば、後述するように、界面活性剤を使用しないで乳化或いは懸濁が可能である。このようなスルホン基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でも、コストの点で、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩等が好ましい。
これらの、脂肪族ジカルボン酸由来構成成分以外の酸由来構成成分(2重結合を持つジカルボン酸由来構成成分及び/又はスルホン酸基を持つジカルボン酸由来構成成分)の、酸由来構成成分における含有量としては、1構成モル%以上20構成モル%以下が好ましく、2構成モル%以上10構成モル%以下がより好ましい。
前記含有量が、1構成モル%未満の場合には、顔料分散が良くなかったり、乳化粒子径が大きくなり、凝集によるトナー径の調整が困難となることがある。一方、20構成モル%を超えると、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下して、画像の保存性が悪くなったり、乳化粒子径が小さ過ぎて水に溶解し、ラテックスが生じないことがある。
尚、本発明において「構成モル%」とは、ポリエステル樹脂における各構成成分(酸由来構成成分、アルコール由来構成成分)を1単位(モル)したときの百分率を指す。
−アルコール由来構成成分−
アルコール構成成分としては脂肪族ジカルボン酸が望ましく、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9―ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ドデカンジオール、1,12−ウンデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、などが挙げられるが、この限りではない。
前記アルコール由来構成成分が脂肪族ジオール由来構成成分の場合には、脂肪族ジオール由来構成成分の含有量が80構成モル%以上であって、必要に応じてその他の成分を含む。さらに前記アルコール由来構成成分が脂肪族ジオール由来構成成分の場合、前記脂肪族ジオール由来構成成分の含有量は90構成モル%以上であるのが好ましい。
前記脂肪族ジオール由来構成成分の含有量が、80構成モル%未満では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下するため、耐トナーブロッキング性、画像保存性及び、低温定着性が悪化してしまう。
必要に応じて含まれるその他の成分としては、2重結合を持つジオール由来構成成分、スルホン酸基を持つジオール由来構成成分等の構成成分である。
前記2重結合を持つジオールとしては、2−ブテン−1,4−ジオール、3−ブテン−1,6−ジオール、4−ブテン−1,8−ジオール等が挙げられる。
前記スルホン酸基を持つジオールとしては、1,4−ジヒドロキシ−2−スルホン酸ベンゼンナトリウム塩、1,3−ジヒドロキシメチル−5−スルホン酸ベンゼンナトリウム塩、2−スルホ−1,4−ブタンジオールナトリウム塩等が挙げられる。
これらの、直鎖型の脂肪族ジオール由来構成成分以外のアルコール由来構成成分を加える場合、すなわち2重結合を持つジオール由来構成成分及び/又はスルホン酸基を持つジオール由来構成成分を加える場合、全アルコール由来構成成分における2重結合を持つジオール由来構成成分及び/又はスルホン酸基を持つジオール由来構成成分の含有量は、1〜20構成モル%が好ましく、2〜10構成モル%がより好ましい。
前記脂肪族ジオール由来構成成分以外のアルコール由来構成成分の含有量が、全アルコール由来構成成分に対して1構成モル%未満の場合には、顔料分散が良くなかったり、乳化粒子径が大きくなったり、凝集によるトナー径の調整が困難となることがある。
一方、20構成モル%を超えると、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下して、画像の保存性が悪くなったり、乳化粒子径が小さ過ぎて水に溶解し、ラテックスが生じないことがある。
トナーの結着樹脂の融点は50〜120℃であることが好ましく、60〜110℃であることがより好ましい。融点が50℃より低いとトナーの保存性や、定着後のトナー画像の保存性が問題となる場合がある。また、120℃より高いと、従来のトナーに比べて十分な低温定着が得られない場合がある。
尚、本発明において、前記結晶性樹脂の融点の測定には、示差走査熱量計(マックサイエンス社製:DSC3110、熱分析システム001)(以下、「DSC」と略記する。)を用い、室温から150℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行った時のJIS K−7121に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。尚、結晶性の樹脂には、複数の融解ピークを示す場合があるが、本発明においては、最大のピークをもって融点とみなす。
前記ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造することができ、例えば、直接重縮合、エステル交換法等を、モノマーの種類によって使い分けて製造する。前記酸成分とアルコール成分とを反応させる際のモル比(酸成分/アルコール成分)としては、反応条件等によっても異なるため、一概には言えないが、通常1/1程度である。
前記ポリエステル樹脂の製造は、重合温度180〜230℃の間で行うことができ、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合時に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる。
モノマーが、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪いモノマーが存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪いモノマーとそのモノマーと重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と供に重縮合させるとよい。
前記ポリエステル樹脂の製造時に使用可能な触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物、亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物、亜リン酸化合物、リン酸化合物、及び、アミン化合物等が挙げられ、具体的には、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガン、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、三酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン、トリブチルアンチモン、ギ酸スズ、シュウ酸スズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ナフテン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニール、酢酸ジルコニール、ステアリン酸ジルコニール、オクチル酸ジルコニール、酸化ゲルマニウム、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等の化合物が挙げられる。
なお、後述する乳化重合凝集法を利用してトナーを作製する場合、結着樹脂は、これを水系媒体に乳化分散させて得られた樹脂粒子を含む樹脂粒子分散液として利用される。
樹脂粒子の平均粒径としては、通常1μm以下であり、0.01〜1μmであるのが好ましい。平均粒径が1μmを越えると、最終的に得られるトナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招き易くなる場合がある。
一方、平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。なお、前記平均粒径は、例えばコールターマルチマイザーを用いて測定することができる。
樹脂粒子分散液における分散媒としては、例えば水系媒体や有機溶剤などが挙げられる。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明においては、前記水系媒体に界面活性剤を添加混合しておくのが好ましい。界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤などが挙げられる。
これらの中でもアニオン界面活性剤、カチオン系界面活性剤が好ましい。前記非イオン系界面活性剤は、前記アニオン界面活性剤又はカチオン系界面活性剤と併用されるのが好ましい。前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、アニオン界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどが挙げられる。また、前記カチオン界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。これらの中でもアニオン界面活性剤、カチオン系界面活性剤等のイオン性界面活性剤が好ましい。
有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、トルエンが挙げられ、前記結着樹脂に応じて適宜選択して用いる。
樹脂粒子が、前記ビニル基を有するエステル類、前記ビニルニトリル類、前記ビニルエーテル類、前記ビニルケトン類等のビニル系単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)である場合には、前記ビニル系単量体をイオン性界面活性剤中で乳化重合やシード重合等することにより、ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)製の樹脂粒子をイオン性界面活性剤に分散させてなる分散液が調製される。
樹脂粒子が、前記ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体以外の樹脂である場合には、該樹脂が、水への溶解度が比較的低い油性溶剤に溶解するのであれば、該樹脂を該油性溶剤に溶解させ、この溶液を、ホモジナイザー等の分散機を用いてイオン性界面活性剤や高分子電解質と共に水中に粒子分散し、その後、加熱又は減圧して該油性溶剤を蒸散させることにより、ビニル系樹脂以外の樹脂製の樹脂粒子をイオン性界面活性剤に分散させてなる分散液が調製される。
一方、樹脂粒子が、結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステル樹脂である場合、中和によりアニオン型となり得る官能基を含有した、自己水分散性をもっており、親水性となり得る官能基の一部又は全部が塩基で中和された、水性媒体の作用下で安定した水分散体を形成できる。結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステル樹脂において中和により親水性基と成り得る官能基はカルボキシル基やスルフォン基等の酸性基である為、中和剤としては例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、アンモニア等の無機塩基や、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミンなどの有機塩基が挙げられる。
また、結着樹脂として、それ自体水に分散しない、すなわち自己水分散性を有しないポリエステル樹脂を用いる場合には、後述する離型剤と同様、樹脂溶液及び又はそれと混合する水性媒体に、イオン性界面活性剤、高分子酸、高分子塩基等の高分子電解質と共に分散し、融点以上に加熱し、強い剪断力を印加可能なホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて処理すると、容易に1μm以下の粒子にされ得る。このイオン性界面活性剤や高分子電解質を用いる場合には、その水性媒体中における濃度は、0.5〜5質量%程度になるようにするのが適当である。
このようにして得られた樹脂粒子分散液中の樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−700)で測定できる。
−着色剤−
本発明に用いられる着色剤としては、公知の着色剤を用いることができるが、例えば、次のような着色剤を使用することができる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、マグネタイト等を挙げることができる。
黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、クロムイエロー、ハンザイエロー、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーメネントイエローNCG等を挙げることができる。
橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK等を挙げることができる。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、ローダミンB レーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、エオキシンレッド、アリザリンレーキ、ピグメントレッド146,147、184、185、155、238、269などのナフトールレッド等を挙げることができる。
青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレートなどを挙げることができる。
紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等を挙げることができる。
緑色顔料としては、酸化クロム、クロムグリーン、ピグメントグリーン、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等を挙げることができる。
白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等をあげることができる。
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等を挙げることができる。
また、染料としては、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料、例えば、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等があげられる。
また、これらの着色剤は単独もしくは混合して使用される。なお、後述する乳化重合凝集法を利用してトナーを作製する場合、これらの着色剤は、着色剤粒子を分散させた着色剤分散液として利用される。例えば、回転せん断型ホモジナイザーやボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等を用いて着色剤粒子の分散液を調製することができる。また、これらの着色剤は極性を有する界面活性剤を用いて、ホモジナイザーによって水系に分散することもできる。
本発明に用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性の観点から選択される。
そして、着色剤は、トナー構成固体分総重量に対して4〜15質量%の範囲で添加することができる。黒色着色剤として磁性体を用いる場合は、他の着色剤とは異なり、12〜240質量%添加することができる。
前記の着色剤の配合量は、定着時の発色性を確保するための必要量である。また、トナー中の着色剤粒子の中心径(メジアン径)は100〜330nmにすることにより、OHP透明性及び発色性を確保することができる。なお、着色剤粒子の中心径は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−700)で測定することができる。
−離型剤−
本発明のトナーには必要に応じて公知の離型剤を用いることができるが、具体例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を示すシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類や、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物系・石油系ワックス、及びそれらの変性物などを挙げることができる。
これらのワックス類は、室温付近では、トルエンなど溶剤にはほとんど溶解しないか、溶解しても極めて微量である。
これらの離型剤類は、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱するとともに、強い剪断付与能力を有するホモジナイザーや圧力吐出型分散機(ゴーリンホモジナイザー、ゴーリン社製)で粒子状に分散させ、体積平均粒径1μm以下の離型剤粒子を含む離型剤分散液を作製することができる。
これらの離型剤は、トナー構成固体分総重量に対して5〜25質量%の範囲で添加することが、オイルレス定着システムにおける定着画像の剥離性を確保する上で望ましい。
なお、得られた離形剤粒子分散液の粒子径は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−700)で測定した。また、離型剤を使用するときには、樹脂粒子、着色剤粒子及び離型剤粒子を凝集した後に、さらに樹脂粒子分散液を追加して凝集粒子表面に樹脂粒子を付着することが帯電性、耐久性を確保する観点から望ましい。
−その他(添加剤)−
本発明のトナーには、必要に応じて公知の内添剤や外添剤を利用することができる。
例えば、磁性トナーとして用いる場合は、磁性粉を含有させても良い。具体的には、磁場中で磁化される物質を用いるが、鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性の粉末、もしくはフェライト、マグネタイト等の化合物が使用される。
水相中でトナーを得るときには、磁性体の水相移行性に注意を払う必要があり、好ましくは予め磁性体の表面を改質し、例えば疎水化処理等を施しておくことが好ましい。
また内添剤としてフェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、又はこれら金属を含む化合物などの磁性体を使用したり、帯電制御剤として4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料やトリフェニルメタン系顔料など通常使用される種々の帯電制御剤を使用することが出来る。但し、乳化重合凝集法を利用してトナーを作製する場合、凝集や合一時の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染減少の点から水に溶解しにくい材料が好適である。
また、本発明に用いられるトナーは、流動性付与やクリーニング性向上の目的で通常のトナーと同様に種々の外添剤を添加することができる。例えば、トナー粒子に、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウムなどの無機粒子やビニル系樹脂、ポリエステル、シリコーンなどの樹脂粒子を乾燥状態でせん断をかけながらトナー粒子表面に添加して使用することができる。
また水中にてトナー表面に付着せしめる場合、無機粒子の例としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなど通常トナー表面の外添剤として使うすべてのものをイオン性界面活性剤や高分子酸、高分子塩基で分散することにより使用することができる。
−トナー粒径−
本発明のトナーの体積平均粒径は特に限定されるものではないが、4μm以上8μm以下の範囲内であることが好ましい。4μm未満の場合にはクリーニングが困難となる場合があり、8μmを超えると高精細な画像が得られなくなる場合がある。
なお、トナー等の体積平均粒径(累積体積平均粒径D50)は、コールターマルチマイザーII(ベックマン−コールター社製)等の測定器を用い、電解液はISOTON‐II(ベックマンーコールター社製)を使用して測定することができる。
測定に際しては、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に測定試料を0.5〜50mg加える。これを電解液100〜150ml中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記コールターマルチマイザーII型により、アパーチャー径として100μmアパーチャーを用いて2〜60μmの範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
このようにして測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積50%となる粒径を累積体積平均粒径D50vとして求める
−トナーの製造方法−
本発明のトナーの製造方法は、イオン結合性のAl元素がトナー母粒子中に存在できるのであれば特に限定されるものではないが、公知の湿式製法が好ましく、特に、1種以上の原料粒子を含む原料分散液中に、1種類以上の凝集剤を添加した後、前記1種類以上の原料粒子を凝集させて凝集粒子を形成する凝集粒子形成工程と、前記凝集粒子を加熱することにより融合する融合工程とを含む製造方法(いわゆる乳化重合凝集法)であることがより好ましい。
ここで、原料粒子としては、少なくとも(結着樹脂を構成する)樹脂粒子が用いられ、必要に応じて、着色剤粒子や離型剤粒子などが用いられる。また、トナーの結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合には、樹脂粒子としてポリエステル樹脂を含むものが用いられる。よって、2種類以上の原料粒子を用いる場合、各種類の原料粒子を含む分散液を混合して原料分散液を調整する。
さらに、いわゆるコアシェル構造のトナーを作製する場合には、例えば、凝集粒子形成工程を経た後の原料分散液に、樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液と、1種類以上の凝集剤とを添加して、凝集粒子表面に樹脂粒子を付着させて被覆層を形成する被覆層形成工程を実施した後に融合工程を実施することもできる。
ここで、トナーの製造において原料粒子の凝集を伴う工程が1回のみの場合(すなわち、凝集粒子形成工程のみを実施する場合)には、凝集粒子形成工程で用いられる凝集剤として、Al元素を含む凝集剤が用いられる。
また、トナーの製造において原料粒子の凝集を伴う工程が2回以上の場合(例えば、凝集粒子形成工程と、被覆層形成工程とを実施する場合)には、少なくともいずれかの工程において用いられる凝集剤として、Al元素を含む凝集剤が用いられる。
また、凝集粒子形成工程や被覆層形成工程に用いられる樹脂粒子としては、ポリエステル樹脂を含む樹脂粒子であることが好ましい。これにより、ポリエステル樹脂を含むトナーを作製することができる。
更に、凝集粒子形成工程や被覆層形成工程に用いられる樹脂粒子がポリエステル樹脂を含む樹脂粒子である場合、凝集粒子形成工程で用いられる原料分散液や、被覆層形成工程に用いられる樹脂粒子分散液の電導度は、これら分散液の固形分濃度が30質量%に調整された場合において、100μS/cm以上1000μS/cm以下の範囲となるように透析処理されていることが好ましく、150μS/cm以上800μS/cm以下の範囲となるように透析処理されていることがより好ましい。
なお、透析処理は、分散液を透析膜(例えば、三光純薬(株)製、UC 1−7−8−50など)に入れて電導度が上記範囲内となるまでイオン交換水中に保持することにより実施できる。ここで、電導度の測定には、25℃においてEutech社製CyberScan con400を用いた。
分散液の電導度が1000μS/cmを超える場合、トナー母粒子をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させた後、更にイオン交換水を混合して得られた混合液を、目開き1.0μmのフィルターで濾過して得られた濾過液に含まれる固形分を、トナー母粒子中に10質量%以下の範囲に制御することが困難となる場合がある。
また、分散液の電導度が100μS/cm未満の場合、トナー母粒子をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させた後、更にイオン交換水を混合して得られた混合液を、目開き1.0μmのフィルターで濾過して得られた濾過液に含まれる固形分を、トナー母粒子中に0.1質量%以上の範囲に制御することが困難となる場合がある。また、分散液の電導度が低すぎると、分散液中に分散する原料粒子の分散安定性が保てず、結果としてトナーの粒度分布が小径側に広がり易くなる傾向にある。この場合、粒度分布の小径側のトナーに起因して高温高湿下にて長時間画像を形成した場合にかぶりが発生してしまう場合がある。
次に、凝集粒子形成工程等の各工程についてより詳細に説明する。
−凝集粒子形成工程−
凝集粒子形成工程においては、樹脂粒子分散液の他に、通常は着色剤分散液を加え、必要に応じて添加されるその他の分散液(例えば、離型剤を分散させた離型剤分散液等)を少なくとも混合して得られた原料分散液に対して、凝集剤を更に添加して加熱し、これらの粒子を凝集させた凝集粒子を形成する。なお、樹脂粒子が結晶性ポリエステル等の結晶性樹脂である場合には、結晶性樹脂の融点付近の温度で、且つ、融点以下の温度にて加熱し、これらの粒子を凝集させた凝集粒子を形成する。
凝集粒子の形成は、回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温で凝集剤を添加し、原料分散液のpHを酸性にすることによってなされる。
前記凝集粒子形成工程に用いられる凝集剤は、原料分散液に添加される分散剤として用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、すなわち無機金属塩の他、2価以上の金属錯体を好適に用いることができる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に好ましい。
前記無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、および、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。その中でも特に、アルミニウム塩およびその重合体が好適である。よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適している。
なお、トナーの作製に際して、凝集剤を用いる工程が凝集粒子形成工程のみである場合には、この工程において凝集剤としてAl元素を含む凝集剤を用いる。また、凝集剤を用いる工程が凝集粒子形成工程および被覆層形成工程である場合は、双方の工程またはいずれか一方の工程において凝集剤としてAl元素を含む凝集剤を用いればよい。
ここで、Al元素を含む凝集剤としては、ポリ塩化アルミニウム等の上記に列挙したものが利用できる。
なお、凝集粒子形成工程や被覆層形成工程における凝集反応を融合工程の実施前に停止させるために、従来の乳化重合凝集法においては、凝集剤を添加した後に、水酸化ナトリウムなどのアルカリ性溶液を用いて原料分散液のpHを酸性側からアルカリ性側(pH=6.5〜8.5程度の範囲)に調整する。そして、その後、融合工程等の後工程が実施される。
しかし、この場合、通常は、(Al) /(Al)の値が2.00を超えてしまう傾向にある。
これに対して、本発明においては、(Al) /(Al)の値を式(1)を満たすように制御するために、上記の凝集停止処理を実施する際に、原料分散液のpHを9以上10以下の範囲に調整することが好ましい。さらに、この後、必要であれば、pHが調整された原料分散液を濾過瓶、ブフナーロートおよび濾紙(ADVANTEC社:FILTER PAPER 131)を用いた減圧濾過法により濾過処理することが好ましい。
原料分散液のpHが9未満の場合、凝集粒子(あるいは被覆層が形成された凝集粒子)内部に存在する水溶性のAl元素が凝集粒子の外部へと十分に溶け出すことができないために、(Al) /(Al)の値を、2.00以下に制御することが困難となる場合がある。
これに対して、原料分散液のpHが10を超える場合、凝集粒子(あるいは被覆層が形成された凝集粒子)内部に存在する水溶性のAl元素が凝集粒子の外部へ必要以上に溶け出すために、(Al) /(Al)の値を、1.05以上に制御することが困難となる場合がある。
また、濾過処理を行うことによって、凝集粒子外部へ溶け出した水溶性のAl元素を分離し、再び内部へ戻ることを防ぐことができ、(Al) /(Al)の値を、制御することが容易になる。
また、(Al) /(Al)の値を式(1)を満たすように制御するために、上述したような凝集停止処理時の原料分散液のpHを制御する方法(第1の(Al) /(Al)の値制御方法)以外に、凝集剤としてAl元素を含む凝集剤(以下、「Al含有凝集剤」と称す場合がある)の他に、Al元素を含まない凝集剤(以下、「Al非含有凝集剤」と称す場合がある)を併用する方法(第2の(Al) /(Al)の値制御方法)も挙げられる。
凝集剤として、Al含有凝集剤のみを用いる場合、凝集反応には、Al含有凝集剤のみが寄与するため、第1の(Al) /(Al)の値制御方法を利用しても(Al) /(Al)の値を式(1)を満たすように制御すること;特にトナー母粒子中に含まれる水溶性のAl元素の量を抑制して(Al) /(Al)を2.00以下に制御することが困難な場合もありえる。
しかし、Al含有凝集剤の他にAl非含有凝集剤を併用した場合、主に凝集剤として作用するのがAl含有凝集剤であり、Al非含有凝集剤は凝集反応に寄与するものの、凝集剤としては作用がAl含有凝集剤よりは低いため、主に二次凝集に作用する。そのためAl含有凝集剤とAl非含有凝集剤との組み合わせや配合比を調整することにより、Al含有凝集剤に主に凝集粒子の促進を担わせ、Al非含有凝集剤に粒度分布調整作用を担わせることができるため、よりイオン架橋のAl含有凝集剤が増加するためトナー母粒子中に水溶性のAl元素の含有量を抑制して(Al) /(Al)を2.00以下に制御することが容易となる。
なお、Al含有凝集剤とAl非含有凝集剤との好適な組み合わせとしては、例えば、ポリ塩化アルミニウムと、塩化マグネシウムとの組み合わせ、硫酸アルミニウムと、塩化マグネシウムとの組み合わせなどが挙げられる。また、Al含有凝集剤とAl非含有凝集剤との好適な配合比としては、質量比で1.0:0.2〜1.0:0.9の範囲内が好ましく、1.0:0.4〜1.0:0.7の範囲内がより好ましい。
−被覆層形成工程−
凝集粒子形成工程を経た後には、必要であれば被覆層形成工程を実施してもよい。被覆層形成工程では、上記した凝集粒子形成工程を経て形成された凝集粒子の表面に、被覆層形成用の樹脂粒子を付着させることにより被覆層を形成する。これにより、いわゆるコア/シェル構造を有するトナーを得ることができる。
被覆層の形成は、凝集粒子形成工程において凝集粒子(コア粒子)を形成した原料分散液中に、通常、非晶質樹脂粒子を含む樹脂粒子分散液を追添加することにより行うことができる。
なお、結着樹脂の乳化重合、顔料の分散、樹脂粒子の分散、離型剤の分散、粒子の凝集、凝集粒子の安定化などに界面活性剤を用いることができる。具体的には硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤、またポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤を併用することも効果的であり、分散手段としては、回転せん断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的なものを使用できる。
−融合工程−
凝集粒子形成工程、あるいは、凝集粒子形成工程および被覆層形成工程を経た後に実施される融合工程は、これらの工程を経て形成された凝集粒子を含む懸濁液のpHを6.5以上10以下の範囲にすることにより、凝集の進行を停止させる。なお、第2の(Al) /(Al)の値制御方法を利用する場合、懸濁液のpHは前述した範囲で選択できるが、第2の(Al) /(Al)の値制御方法を利用する場合、懸濁液のpHは9以上10以下の範囲内に調整される。
そして、凝集の進行を停止させた後、加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。なお、結着樹脂として結晶性樹脂を用いている場合には、結着樹脂の融点以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。
−洗浄、乾燥工程等−
凝集粒子の融合工程を終了した後、任意の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て所望のトナー粒子を得るが、洗浄工程は帯電性を考慮すると、イオン交換水で十分に置換洗浄することが望ましい。また、固液分離工程には特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好適である。さらに、乾燥工程も特に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられる。また、乾燥後のトナー粒子には、既述したような種々の外添剤を必要に応じて添加することができる。
なお、洗浄工程において(Al) /(Al)の値を制御することも考えられる。しかし、融合工程を終えた状態の粒子中と水溶性のAl元素が移動して粒子表面に移動することは、融合工程実施前の状態の粒子と比べると困難であると考えられる。但し、洗浄工程は、(Al) /(Al)の値を制御する上で補助的には利用してもよい。
また、ポリエステル樹脂に起因する加水分解物はトナー母粒子と親和性が高く強固に付着しているために、洗浄工程の段階である程度は除去できても抜本的に除去するのは困難である。このため、既述したように、基本的には、ポリエステル樹脂の末端部の分子構造や、ポリエステル樹脂の乳化工程などで加水分解物の発生を抑制することが好ましい。
<静電荷像現像用現像剤>
本発明の静電荷像現像用現像剤(以下、「現像剤」と称す)は、本発明のトナーを含むものであれば特に限定されず一成分現像剤あるいは二成分現像剤のいずれであってもよい。二成分現像剤として用いる場合にはトナーと、キャリアとを混合して使用することができる。
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアを用いることができる。例えば酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これら芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等を挙げることができる。またマトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
キャリアに使用される被覆樹脂・マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂またはその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
導電材料としては、金、銀、銅といった金属やカーボンブラック、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ、カーボンブラック等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
またキャリアの芯材としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、キャリアを磁気ブラシ法に用いるためには、磁性材料であることが好ましい。
キャリアの芯材の体積平均粒径としては、一般的には10〜500μmであり、好ましくは30〜100μmである。
またキャリアの芯材の表面に樹脂被覆するには、前記被覆樹脂、および必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して適宜選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、キャリアの芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアの芯材表面に噴霧するスプレー法、キャリアの芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法が挙げられる。
前記二成分現像剤における本発明のトナーと上記キャリアとの混合比(重量比)としては、トナー:キャリア=1:100〜30:100程度の範囲であり、3:100〜20:100程度の範囲がより好ましい。
<画像形成方法>
本発明の現像剤は、公知の電子写真方式の画像形成方法に利用できる。
なお、画像形成方法は、具体的には、静電潜像保持体表面を帯電する帯電工程と、帯電された前記潜像保持体表面に潜像を形成する潜像形成工程と、本発明の現像剤により前記潜像保持体表面に形成された前記潜像を現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を前記静電潜像保持体表面から記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着工程とを有することが好ましい。
加えて、上述した工程以外にも必要に応じて静電潜像保持体表面をクリーニングするクリーニング工程等の公知の工程が含まれていてもよい。また、転写工程は、静電潜像保持体から中間転写体を介して記録媒体へとトナー像を転写するいわゆる中間転写方式であってもよい。
本発明の画像形成方法を利用すれば、長期に渡って画像を形成した後に、温湿度環境が変化し、その後に再び画像を形成してもかぶりの発生を抑制することができる。
<静電荷像現像用現像剤用カートリッジ、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ>
また、本発明の現像剤は、公知の静電荷像現像用現像剤用カートリッジ、画像形成装置、及びプロセスカートリッジに利用できる。これにより、長期に渡って画像を形成した後に、温湿度環境が変化し、その後に再び画像を形成してもかぶりの発生を抑制することができる。
なお、本発明の静電荷像現像用現像剤カートリッジ(以下、「カートリッジ」と略す場合がある)は、静電潜像保持体と、前記静電潜像保持体表面に形成された静電潜像を現像剤により現像して前記静電潜像保持体表面にトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像を前記静電潜像保持体表面から記録媒体に転写する転写手段と、を備えた画像形成装置に対して脱着可能であり、前記トナー像形成手段に供給するための現像剤を収納するものである。なお、現像剤としては本発明の現像剤が用いられる。
ここで本発明のカートリッジは、本発明の現像剤を収納するカートリッジであっても良いし、キャリアを単独で収納するカートリッジと本発明のトナーを単独で収納するカートリッジとを別体としたものであってもよい。
また、本発明の現像剤は公知の電子写真方式の画像形成装置であれば特に制限なく利用できる。
このような画像形成装置としては、具体的には、静電潜像保持体と、前記静電潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記潜像保持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、請求項5に記載の静電荷像現像用現像剤を収納すると共に前記静電潜像保持体表面に形成された静電潜像に前記静電荷像現像用現像剤を供給してトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像を前記静電潜像保持体表面から記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、を少なくとも備えたものであることが好ましい。
なお、本発明の画像形成装置は、その他必要に応じてクリーニングブレード等を用いたクリーニング手段や、除電手段等を含んでいていても良い。
本発明のプロセスカートリッジは、画像形成装置に対して脱着可能であり、静電潜像保持体と、現像剤を収納すると共に前記静電潜像保持体表面に形成された静電潜像に前記現像剤を供給してトナー像を形成するトナー像形成手段と、を備えたものである。なお、必要に応じて、クリーニング手段、帯電手段、除電手段等から選択される少なくとも一種を備えることが更に好ましい。
以下、本発明のカートリッジ、画像形成装置、及びプロセスカートリッジの具体例について、図面を用いて具体的に説明する。
図1は、本発明の画像形成装置の好適な一実施形態(第一実施形態)の基本構成を概略的に示す断面図である。図1に示す画像形成装置は、本発明のカートリッジを備えた構成となっている。
図1に示す画像形成装置10は、静電潜像保持体12、帯電手段14、静電潜像形成手段16、トナー像形成手段18、転写手段20、クリーニング手段22、除電手段24、定着手段26、カートリッジ28を備える。
なお、トナー像形成手段18中に収納される現像剤およびカートリッジ28中に収納される補給用現像剤は、本発明の現像剤である。
また図1は便宜上、本発明の現像剤を収納したトナー像形成手段18およびカートリッジ28を一つずつ備えた構成のみを図示しているが、例えばカラー画像形成装置の場合などは、画像形成装置に応じた数のトナー像形成手段18およびカートリッジ28を備えた構成をとることも可能である。
図1示す画像形成装置は、カートリッジ28の着脱が可能な構成を有する画像形成装置であり、カートリッジ28は、現像剤供給管30を通してトナー像形成手段18に接続されている。よって画像形成を行う際は、カートリッジ28の中に収納されている本発明の現像剤が、現像剤供給菅30を通してトナー像形成手段18に供給されることにより、長期間にわたり、本発明の現像剤を用いた画像を形成することができる。また、カートリッジ28の中に収納されている現像剤が少なくなった場合には、このカートリッジ28を交換することができる。
静電潜像保持体12の周囲には、静電潜像保持体12の回転方向(矢印A方向)に沿って順に、静電潜像保持体12表面を帯電させる帯電手段14、画像情報に応じて静電潜像保持体12表面に静電潜像を形成させる静電潜像形成手段16、形成された静電潜像に本発明の現像剤を供給するトナー像形成手段18、静電潜像保持体12表面に接触し静電潜像保持体12の矢印A方向への回転に伴い矢印B方向に従動回転することができるドラム状の転写手段20、静電潜像保持体12表面に接触するクリーニング手段22、静電潜像保持体12表面を除電する除電手段24が配置されている。
静電潜像保持体12と転写手段20との間隙は、矢印C方向と反対側から不図示の搬送手段により矢印C方向に搬送される記録媒体50が挿通可能である。静電潜像保持体12の矢印C方向側には加熱源(不図示)を内蔵した定着手段26が配置され、定着手段26には圧接部32が設けられている。また、静電潜像保持体12と転写手段20との間隙を通過した記録媒体50は、この圧接部32を矢印C方向へと挿通可能である。
静電潜像保持体12としては、例えば感光体または誘電記録体等が使用できる。
感光体としては例えば、単層構造の感光体または多層構造の感光体等を用いることができる。また感光体の材質としては、セレンやアモルファスシリコン等の無機感光体や、有機感光体等が考えられる。
帯電手段14としては、例えば、導電性または半導電性のローラー、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触帯電装置、コロナ放電を利用したコロトロン帯電やスコロトロン帯電などの非接触型の帯電装置等、公知の手段を使用することができる。
静電潜像形成手段16としては、例えば、露光手段の他に、トナー像を記録媒体表面の所望の位置に形成しうる信号を形成できる、従来公知のいずれの手段を使うこともできる。
露光手段としては、例えば、半導体レーザー及び走査装置の組み合わせ、光学系からなるレーザー走査書き込み装置、あるいは、LEDヘッドなど、従来公知の露光手段を使用することができる。均一で、解像度の高い露光像を作るという好ましい態様を実現させるためには、レーザー走査書き込み装置またはLEDヘッドを使うことが好ましい。
転写手段20としては、具体的には例えば、電圧を印加した導電性または半導電性のローラー、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を用いて、静電潜像保持体12と記録媒体50との間に電界を作り、帯電したトナーの粒子からなるトナー像を転写する手段や、コロナ放電を利用したコロトロン帯電器やスコロトロン帯電器などで記録媒体50の裏面をコロナ帯電して、帯電したトナーの粒子からなるトナー像を転写する手段など、従来公知の手段を使用することができる。
また転写手段20として、二次転写手段を用いることもできる。すなわち、図示しないが二次転写手段は、トナー像を一旦中間転写体に転写した後、中間転写体から記録媒体50にトナー像を二次転写する手段である。
ここで、クリーニング手段22としてはクリーニングブレードが用いられる。また、除電手段24としては例えば、タングステンランプ、LEDなどが挙げられる。
定着手段26としては、例えば加熱ロールと加圧ロールとからなる加熱加圧によりトナー像を定着する熱定着器や、フラッシュランプ等による光照射によりトナー像を加熱して定着する光定着器などが利用できる。
加熱ロールまたは加圧ロール等のロール表面を形成する材料は、トナーを付着させない目的で、例えばトナーに対して離型性の優れた材料、シリコンゴムやフッ素系樹脂などであることが好ましい。
記録媒体50としては、特に制限はなく、普通紙や光沢紙等をはじめとする従来公知のものが利用できる。また記録媒体は、基材と基材上に形成された受像層を有するものを利用することもできる。
次に、画像形成装置10を用いた画像形成について説明する。まず、静電潜像保持体12の矢印A方向への回転に伴い、帯電手段14により静電潜像保持体12表面を帯電し、帯電された静電潜像保持体12表面に静電潜像形成手段16により画像情報に応じた静電潜像を形成し、この静電潜像が形成された静電潜像保持体12表面に、静電潜像の色情報に応じてトナー像形成手段18から本発明の現像剤Pを供給することによりトナー像を形成する。
次に、静電潜像保持体12表面に形成されたトナー像は、静電潜像保持体12の矢印A方向への回転に伴い、静電潜像保持体12と転写手段20との接触部に移動する。この際、接触部を、記録媒体50が、不図示の用紙搬送ロールにより矢印C方向に挿通され、静電潜像保持体12と転写手段20との間に印加された電圧により、静電潜像保持体12表面に形成されたトナー像が接触部にて記録媒体50表面に転写される。
トナー像を転写手段20に転写した後の静電潜像保持体12の表面は、クリーニング手段22のクリーニングブレードによって残留しているトナーが除去され、除電手段24により除電される。
このようにしてトナー像がその表面に転写された記録媒体50は、定着手段26の圧接部32に搬送され、圧接部32を通過する際に、内蔵された加熱源(不図示)によってその圧接部32の表面が加熱された定着手段26によって加熱される。この際、トナー像が記録媒体50表面に定着されることにより画像が形成される。
図2は、本発明の画像形成装置の他の好適な一実施形態(第二実施形態)の基本構成を概略的に示す断面図である。図2に示す画像形成装置は、本発明のプロセスカートリッジを備えた構成となっている。
図2に示す画像形成装置200は、画像形成装置本体(図示せず)に脱着可能に配設されるプロセスカートリッジ210と、静電潜像形成手段216と、転写手段220と、定着手段226とを備えている。
プロセスカートリッジ210は、静電潜像形成のための開口部211Aが設けられた筐体211内に静電潜像保持体212と共に、その周囲に帯電手段214、トナー像形成手段218、及びクリーニングブレードを有するクリーニング手段222を取り付けレール(図示せず)により組み合わせて一体化したものである。
一方、静電潜像形成手段216は、プロセスカートリッジ210の筐体211の開口部211Aから静電潜像保持体212に静電潜像形成可能な位置に配置されている。また、転写手段220は静電潜像保持体212に対向する位置に配置されている。
静電潜像保持体212、帯電手段214、静電潜像形成手段216、トナー像形成手段218、転写手段220、クリーニング手段222、定着手段226、及び記録媒体250における個々の詳細については、上記図1の画像形成装置10における静電潜像保持体12、帯電手段14、静電潜像形成手段16、トナー像形成手段18、転写手段20、クリーニング手段22、定着手段26、及び記録媒体50と同様である。
また図2の画像形成装置200を用いた画像形成についても、上記図1の画像形成装置10を用いた画像形成と同様である
以下に本発明を実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。なお、以下の説明において、「部」は「質量部」を意味する。
<結着樹脂の作製>
−非結晶性ポリエステル樹脂(1)の作製−
加熱乾燥した二口フラスコに、テレフタル酸ジメチルを150部と、ドデセニルコハク酸を44部と、1,3−ブタンジオール90部と、触媒としてジブチル錫オキサイド0.3部と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスにより不活性雰囲気とし、機械攪拌にて180rpmで5時間攪拌を行った。その後、減圧下にて230℃まで徐々に昇温を行い2時間攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させ、非結晶性ポリエステル樹脂(1)240部を合成した。
−非結晶性ポリエステル樹脂(2)の作製−
加熱乾燥した二口フラスコに、テレフタル酸ジメチルを194部と、1,3−ブタンジオール90部と、触媒としてジブチル錫オキサイド0.3部と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスにより不活性雰囲気とし、機械攪拌にて180rpmで5時間攪拌を行った。その後、減圧下にて230℃まで徐々に昇温を行い2時間攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させ、非結晶性ポリエステル樹脂(2)240部を合成した。
<各種分散液の調整>
−非結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の調整−
・非結晶性ポリエステル樹脂(1):160部
・酢酸エチル:233部
・水酸化ナトリウム水溶液(0.3N):0.1部
以上の成分を500mlのセパラブルフラスコに入れ、70℃で加熱し、スリーワンモーター(新東科学(株))により撹拌して樹脂混合液を調製した。この樹脂混合液をさらに撹拌しながら、徐々にイオン交換水373部を加え、転相乳化させ、脱溶剤した。電動度を測定しながら透析処理を行うことにより非結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を得た。
非結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)中の樹脂粒子の体積平均粒径は200nmであり、固形分量は30質量%であり、電導度は500μS/cmであった。
−非結晶性ポリエステル樹脂分散液(2)の調整−
・非結晶性ポリエステル樹脂(1):160部
・酢酸エチル:233部
・水酸化ナトリウム水溶液(0.3N):0.1部
以上の成分を500mlのセパラブルフラスコに入れ、70℃で加熱し、スリーワンモーター(新東科学(株))により撹拌して樹脂混合液を調製した。この樹脂混合液をさらに撹拌しながら、徐々にイオン交換水373部を加え、転相乳化させ、脱溶剤した。電動度を測定しながら透析処理を行うことにより非結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を得た。
非結晶性ポリエステル樹脂分散液(2)中の樹脂粒子の体積平均粒径は200nmであり、固形分量は30質量%であり、電導度は120μS/cmであった。
−非結晶性ポリエステル樹脂分散液(3)の調整−
・非結晶性ポリエステル樹脂(1):160部
・酢酸エチル:233部
・水酸化ナトリウム水溶液(0.3N):0.1部
以上の成分を500mlのセパラブルフラスコに入れ、70℃で加熱し、スリーワンモーター(新東科学(株))により撹拌して樹脂混合液を調製した。この樹脂混合液をさらに撹拌しながら、徐々にイオン交換水373部を加え、転相乳化させ、脱溶剤した。電動度を測定しながら透析処理を行うことにより非結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を得た。
非結晶性ポリエステル樹脂分散液(3)中の樹脂粒子の体積平均粒径は200nmであり、固形分量は30質量%であり、電導度は900μS/cmであった。
−非結晶性ポリエステル樹脂分散液(4)の調整−
・非結晶性ポリエステル樹脂(1):160部
・酢酸エチル:233部
・水酸化ナトリウム水溶液(0.3N):0.1部
以上の成分を500mlのセパラブルフラスコに入れ、70℃で加熱し、スリーワンモーター(新東科学(株))により撹拌して樹脂混合液を調製した。この樹脂混合液をさらに撹拌しながら、徐々にイオン交換水373部を加え、転相乳化させ、脱溶剤した。電動度を測定しながら透析処理を行うことにより非結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を得た。
非結晶性ポリエステル樹脂分散液(4)中の樹脂粒子の体積平均粒径は200nmであり、固形分量は30質量%であり、電導度は80μS/cmであった。
−非結晶性ポリエステル樹脂分散液(5)の調整−
・非結晶性ポリエステル樹脂(1):160部
・酢酸エチル:233部
・水酸化ナトリウム水溶液(0.3N):0.1部
以上の成分を500mlのセパラブルフラスコに入れ、70℃で加熱し、スリーワンモーター(新東科学(株))により撹拌して樹脂混合液を調製した。この樹脂混合液をさらに撹拌しながら、徐々にイオン交換水373部を加え、転相乳化させ、脱溶剤した。電動度を測定しながら透析処理を行うことにより非結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を得た。
非結晶性ポリエステル樹脂分散液(5)中の樹脂粒子の体積平均粒径は200nmであり、固形分量は30質量%であり、電導度は1100μS/cmであった。
−非結晶性ポリエステル樹脂分散液(6)の調整−
・非結晶性ポリエステル樹脂(2):160部
・酢酸エチル:233部
・水酸化ナトリウム水溶液(0.3N):0.1部
以上の成分を500mlのセパラブルフラスコに入れ、70℃で加熱し、スリーワンモーター(新東科学(株))により撹拌して樹脂混合液を調製した。この樹脂混合液をさらに撹拌しながら、徐々にイオン交換水373部を加え、転相乳化させ、脱溶剤した。電動度を測定しながら透析処理を行うことにより非結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を得た。
非結晶性ポリエステル樹脂分散液(6)中の樹脂粒子の体積平均粒径は200nmであり、固形分量は30質量%であり、電導度は500μS/cmであった。
−着色剤分散液の調製−
・カーボンブラック(キャボット社製 R330):25部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンRK):2部
・イオン交換水:125部
以上の成分を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて1時間分散して着色剤(シアン顔料)を分散させてなる着色剤分散液を調製した。着色剤分散液における着色剤(カーボンブラック)の体積平均粒径は0.12μm、着色剤粒子濃度は24質量%であった。
−離型剤粒子分散液の調製−
・パラフィンワックス(日本精鑞HNP0190:100部
・アニオン界面活性剤(日本油脂社製、ニューレックスR):2部
・イオン交換水:300部
以上の成分を95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザー(ゴーリン社)で分散処理し、体積平均粒径が200nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(離型剤濃度:20質量%)を調製した。
<トナーの製造>
<実施例1>
−トナー(1)の製造−
・非結晶性ポリエステル樹脂分散液(1):450部
・着色剤分散液:21.74部
・離型剤分散液:50部
・ノニオン性界面活性剤(IGEPAL CA897):1.40部
上記原料を2Lの円筒ステンレス容器に入れ、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラララックスT50)により4000rpmでせん断力を加えながら10分間分散して混合することにより、原料分散液を得た。
次いで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムを10質量%含有するpH2.0の硝酸水溶液1.75部と塩化マグネシウムを10質量%含有する水溶液1.00部とを予め混合攪拌した溶液を、ステンレス容器内に徐々に滴下しながら、ホモジナイザーの回転数を5000rpmにして15分間分散して混合した。
その後、凝集剤を添加した原料分散液を攪拌装置、温度計を備えた重合釜に移した後、重合釜をマントルヒーターにより42℃まで加熱した。
続いて、重合釜内の原料分散液の温度を42℃に維持した状態で凝集粒子の成長を促進させた。また、この際、0.3Nの硝酸や1Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いて原料分散液のpHを2.2〜3.5の範囲に制御した。上記pH範囲で2時間ほど保持し、凝集粒子を形成した。この際、マルチサイザーII(アパーチャー径:50μm、ベックマン−コールター社製)を用いて測定した凝集粒子の体積平均粒子径は5.4μmであった。
次に、重合釜内の原料分散液に対して、非結晶性ポリエステル樹脂分散液(1):100部を追添加し、凝集粒子の表面に非結晶性ポリエステル樹脂(1)の樹脂粒子を付着させて被覆層を形成した。続いて、重合釜内の原料分散液の温度を44℃にまで昇温し、光学顕微鏡及びマルチサイザーIIで粒子の大きさ及び形態を確認しながら凝集粒子を整えた。
その後、凝集の進行を停止させると共に、粒子内に存在する水溶性のAl元素量を制御するために、重合釜内の懸濁液を1Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.5に調整した後、さらに、濾紙により濾過した。
続いて濾過して得られた固形分を、前記ノニオン性界面活性剤(IGEPAL CA897)1.40部を添加したイオン交換水500部をpH8.0に調整した溶液中に再分散させた後、この溶液の温度を95℃まで昇温させて凝集粒子を融合させた。
光学顕微鏡で凝集粒子が融合したのを確認した後、溶液の温度を95℃で保持したままpHを6.0まで下げ、更に1時間後に加熱を止めて、1.0℃/分の降温速度で冷却した。その後、溶液を目開き20μmのメッシュで篩分して得られた固形分を水洗する処理を繰り返した後、真空乾燥機で乾燥してトナー母粒子(1)を得た。得られたトナー母粒子(1)の体積平均粒子径は6.2μmであった。
その後、得られたトナー母粒子100部に対して、気相法シリカ(日本アエロジル社製、R972)1部をヘンシェルミキサーで混合して外添し、トナー(1)を得た。
<実施例2>
実施例1のトナーの製造において、凝集の進行停止とAl元素量の制御のために、pHを9.5に調整する代わりに7.0に調整した以外は実施例1と同様にしてトナー母粒子(2)を得た。得られたトナー母粒子(2)の体積平均粒径は5.5μmであった。その後、得られたトナー母粒子100部に対して、気相法シリカ(日本アエロジル社製、R972)1部をヘンシェルミキサーで混合して外添し、トナー(2)を得た。
<実施例3>
実施例1のトナーの製造において、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムと塩化マグネシウムの2種類を用いる代わりに前記ポリ塩化アルミニウム水溶液のみを2.00部を用いた以外は実施例1と同様にしてトナー母粒子(3)を得た。得られたトナー母粒子(3)の体積平均粒径は5.5μmであった。その後、得られたトナー母粒子100部に対して、気相法シリカ(日本アエロジル社製、R972)1部をヘンシェルミキサーで混合して外添し、トナー(3)を得た。
<実施例4>
実施例1のトナーの製造において、非結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を用いる代わりに非結晶性ポリエステル樹脂分散液(2)を用いた以外は実施例1と同様にしてトナー母粒子(4)を得た。得られたトナー母粒子(4)の体積平均粒径は5.5μmであった。その後、得られたトナー母粒子100部に対して、気相法シリカ(日本アエロジル社製、R972)1部をヘンシェルミキサーで混合して外添し、トナー(4)を得た。
<実施例5>
実施例1のトナーの製造において、非結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を用いる代わりに非結晶性ポリエステル樹脂分散液(3)を用いた以外は実施例1と同様にしてトナー母粒子(5)を得た。得られたトナー母粒子(5)の体積平均粒径は5.5μmであった。その後、得られたトナー母粒子100部に対して、気相法シリカ(日本アエロジル社製、R972)1部をヘンシェルミキサーで混合して外添し、トナー(5)を得た。
<実施例6>
実施例1のトナーの製造において、非結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を用いる代わりに非結晶性ポリエステル樹脂分散液(4)を用いた以外は実施例1と同様にしてトナー母粒子(6)を得た。得られたトナー母粒子(6)の体積平均粒径は5.5μmであった。その後、得られたトナー母粒子100部に対して、気相法シリカ(日本アエロジル社製、R972)1部をヘンシェルミキサーで混合して外添し、トナー(6)を得た。
<実施例7>
実施例1のトナーの製造において、非結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を用いる代わりに非結晶性ポリエステル樹脂分散液(5)を用いた以外は実施例1と同様にしてトナー母粒子(7)を得た。得られたトナー母粒子(7)の体積平均粒径は5.5μmであった。その後、得られたトナー母粒子100部に対して、気相法シリカ(日本アエロジル社製、R972)1部をヘンシェルミキサーで混合して外添し、トナー(7)を得た。
<実施例8>
実施例1のトナーの製造において、凝集の進行停止とAl元素量の制御のために、pHを9.5に調整する代わりに10.5に調整した以外は実施例1と同様にしてトナー母粒子(8)を得た。得られたトナー母粒子(8)の体積平均粒径は5.5μmであった。その後、得られたトナー母粒子100部に対して、気相法シリカ(日本アエロジル社製、R972)1部をヘンシェルミキサーで混合して外添し、トナー(8)を得た。
<実施例9>
実施例1のトナーの製造において、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムと塩化マグネシウムの2種類を用いる代わりに前記ポリ塩化アルミニウム水溶液のみを2.00部を用い、さらに凝集の進行停止とAl元素量の制御のために、pHを9.5に調整する代わりに9.0に調整した以外は実施例1と同様にしてトナー母粒子(9)を得た。得られたトナー母粒子(9)の体積平均粒径は5.5μmであった。その後、得られたトナー母粒子100部に対して、気相法シリカ(日本アエロジル社製、R972)1部をヘンシェルミキサーで混合して外添し、トナー(9)を得た。
<比較例1>
実施例1のトナーの製造において、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムと塩化マグネシウムの2種類を用いる代わりに前記ポリ塩化アルミニウム水溶液のみを2.00部を用い、さらに凝集の進行停止とAl元素量の制御のために、pHを9.5に調整する代わりに11.0に調整した以外は実施例1と同様にしてトナー母粒子(10)を得た。得られたトナー母粒子(10)の体積平均粒径は5.5μmであった。その後、得られたトナー母粒子100部に対して、気相法シリカ(日本アエロジル社製、R972)1部をヘンシェルミキサーで混合して外添し、トナー(10)を得た。
<比較例2>
実施例1のトナーの製造において、凝集の進行停止とAl元素量の制御のために、pHを9.5に調整する代わりに7.0に調整した以外は実施例1と同様にしてトナー母粒子(11)を得た。得られたトナー母粒子(11)の体積平均粒径は5.5μmであった。その後、得られたトナー母粒子100部に対して、気相法シリカ(日本アエロジル社製、R972)1部をヘンシェルミキサーで混合して外添し、トナー(11)を得た。
<比較例3>
実施例1のトナーの製造において、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムと塩化マグネシウムの2種類を用いる代わりに前記塩化マグネシウム水溶液のみを2.00部を用いた以外は実施例1と同様にしてトナー母粒子(12)を得た。得られたトナー母粒子(12)の体積平均粒径は5.6μmであった。その後、得られたトナー母粒子100部に対して、気相法シリカ(日本アエロジル社製、R972)0.5部と水酸化アルミニウム0.5部をヘンシェルミキサーで混合して外添し、トナー(12)を得た。
<現像剤の作製>
フェライト粒子(パウダーテック社製、平均粒径:50μm)100部とメチルメタクリレート樹脂(三菱レイヨン社製、重量平均分子量:95000)2.5部とを、トルエン500部と共に加圧式ニーダーに入れ、室温(25℃)で15分間攪拌混合した後、減圧混合しながら70℃まで昇温し、トルエンを留去した後、冷却し、目開き105μmの篩を用いて分級することにより、フェライトキャリア(樹脂被覆キャリア)を作製した。
続いてこのフェライトキャリアと、上記トナー(1)〜(12)の各々とを混合して、トナー濃度が7質量%である二成分系の現像剤を作製した。
<評価>
得られた現像剤を画像形成装置(富士ゼロックス(株)社製、DocuCentre Color 400改造機)にセットした。
続いて、画像形成装置が設置された環境を低温低湿環境(温度12℃、湿度15%RH)とし、A4サイズの用紙(富士ゼロックス社製、C2紙)を用いて、白紙画像(画像密度0%)を10万枚連続して形成した(ステップ1)。
次に、画像形成装置が設置された環境を高温高湿環境(温度28℃、湿度85%RH)とし、上記のA4用紙を用いて、ベタ画像を1000枚連続して形成した(ステップ2)。
その後、画像形成装置が設置された環境を再び低温低湿環境(温度12℃、湿度15%RH)とし、ステップ1と同様に白紙画像を10万枚連続して形成した(ステップ3)。この時点での累積画像形成枚数は20.1万枚である。
最後に、画像形成装置が設置された環境を再び高温高湿環境(温度28℃、湿度85%RH)とし、ステップ2と同様にベタ画像を10万枚枚連続して形成した(ステップ4)。
なお、ステップ1〜4のいずれにおいても、プロセススピード200mm/sで実施した。そして、この時の帯電量変動、環境変動後のかぶりおよび高温高湿環境下のかぶりについて評価した。結果を、トナーの諸特性や作製条件と共に、表1に示す。なお、表中、ポリエステル樹脂の主末端基の構造の「DSA」はドデセニルコハク酸を示す。
Figure 2009047970
なお、表1中に示す帯電量変動、環境変動後のかぶり、高温高湿環境下のかぶりの評価方法および評価基準は以下の通りである。
−帯電量変動の評価−
帯電量は、ステップ1終了直後の低温低湿環境下の現像剤の帯電量(帯電量1)と、ステップ2開始直前の高温高湿環境下の現像剤の帯電量(帯電量2)と、ステップ3終了直後の低温低湿環境下の現像剤の帯電量(帯電量3)と、ステップ4開始直前の高温高湿環境下の現像剤の帯電量(帯電量4)と、をブローオフ帯電量測定機(TB‐200:東芝ケミカル製)により測定した。
続いて、帯電量1を基準(100%)としたときの帯電量2の変動量の絶対値を10万枚後の帯電量変動、帯電量3を基準(100%)としたときの帯電量4の変動量の絶対値を20.1万枚後の帯電量変動として求めた。評価基準は以下の通りである。
◎:帯電量変動が10%以下
○:帯電量変動が10%を超え20%以下
△:帯電量変動が20%を超え30%以下
×:帯電量変動が30%を超える。
−環境変動後のかぶり評価−
環境変動後のかぶりは、ステップ2、ステップ4各々における画像形成テスト開始から、何枚目の時点でがぶりが発生しなくなったのかを、目視により確認することによって実施した。評価基準は以下の通りである。なお、ステップ2におけるかぶり評価は、表1中の「10万枚後」の項目に、ステップ4におけるかぶり評価は、表1中の「20.1万枚後」の項目にそれぞれ示した。
◎:かぶりが2枚目以降で発生しなくなった。
○:かぶりが2枚目を超え、5枚目までの間で発生しなくなった。
△:かぶりが5枚目を超え、10枚目までの間で発生しなくなった。
×:かぶりが10枚目を超え20枚目までの間で発生しなくなった。
−高温高湿環境下でのかぶり評価−
高温高湿環境下でのかぶりは、ステップ4における画像形成テスト開始から、何枚目の時点でがぶりが発生し始めるのかを、目視により確認することによって実施した。評価基準は以下の通りである。
◎:かぶりが10万枚目終了まで発生しなかった。
○:かぶりが8枚目以降で発生し始めた。
△:かぶりが5枚目以降で発生し始めた。
×:かぶりが3枚目以降で発生し始めた。
本発明の画像形成装置の好適な一実施形態(第一実施形態)の基本構成を概略的に示す断面図である。 本発明の画像形成装置の他の好適な一実施形態(第二実施形態)の基本構成を概略的に示す断面図である。
符号の説明
10、200・・・画像形成装置
12、212・・・静電潜像保持体
14、214・・・帯電手段
16、216・・・静電潜像形成手段
18、218・・・トナー像形成手段
20、220・・・転写手段
26、226・・・定着手段
28・・・カートリッジ
210・・・プロセスカートリッジ

Claims (9)

  1. 結着樹脂と、Al元素とを含むトナー母粒子を有し、且つ、下式(1)を満たすことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
    ・式(1) 1.05≦(Al)/(Al)≦2.00
    〔式(1)中、(Al)は、前記トナー母粒子の蛍光X線分析により測定した場合において、前記トナー母粒子中に含まれる全元素に起因する検出強度に対する前記Al元素に起因する検出強度の割合(%)を意味し、(Al)は、前記トナー母粒子をTHF(テトラヒドロフランに)溶解させた後に、更に、酸性水溶液を混合した液を、目開き1.0μmのフィルターにより濾過することにより得られた固形分中に含まれる全元素に起因する検出強度に対するAl元素強度の割合を意味する。〕
  2. 前記結着樹脂が、ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記結着樹脂としてポリエステル樹脂を含む前記トナー母粒子をテトラヒドロフランに溶解させた後、更にイオン交換水を混合して得られた混合液を、目開き1.0μmのフィルターで濾過して得られた濾過液に含まれる固形分が、前記トナー母粒子中に1.0質量%以上10質量%以下の範囲で含有されることを特徴とする請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記ポリエステル樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項3に記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像用現像剤。
  6. 静電潜像保持体と、前記静電潜像保持体表面に形成された静電潜像を現像剤により現像して前記静電潜像保持体表面にトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像を前記静電潜像保持体表面から記録媒体に転写する転写手段と、を備えた画像形成装置に対して脱着可能であり、
    前記トナー像形成手段に供給するための現像剤を収納し、
    前記現像剤が請求項5に記載の静電荷像現像用現像剤であることを特徴とする静電荷像現像用現像剤カートリッジ。
  7. 画像形成装置に対して脱着可能であり、静電潜像保持体と、現像剤を収納すると共に前記静電潜像保持体表面に形成された静電潜像に前記現像剤を供給してトナー像を形成するトナー像形成手段と、を備え、
    前記現像剤が請求項5に記載の静電荷像現像用現像剤であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  8. 静電潜像保持体と、前記静電潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記潜像保持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、請求項5に記載の静電荷像現像用現像剤を収納すると共に前記静電潜像保持体表面に形成された静電潜像に前記静電荷像現像用現像剤を供給してトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像を前記静電潜像保持体表面から記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
  9. 静電潜像保持体表面を帯電する帯電工程と、帯電された前記潜像保持体表面に潜像を形成する潜像形成工程と、請求項5に記載の静電荷像現像用現像剤により前記潜像保持体表面に形成された前記潜像を現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を前記静電潜像保持体表面から記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着工程とを有することを特徴とする画像形成方法。
JP2007214532A 2007-08-21 2007-08-21 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤、静電荷像現像用現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置および画像形成方法 Pending JP2009047970A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007214532A JP2009047970A (ja) 2007-08-21 2007-08-21 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤、静電荷像現像用現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置および画像形成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007214532A JP2009047970A (ja) 2007-08-21 2007-08-21 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤、静電荷像現像用現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置および画像形成方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009047970A true JP2009047970A (ja) 2009-03-05
JP2009047970A5 JP2009047970A5 (ja) 2010-10-07

Family

ID=40500235

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007214532A Pending JP2009047970A (ja) 2007-08-21 2007-08-21 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤、静電荷像現像用現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置および画像形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009047970A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011197193A (ja) * 2010-03-18 2011-10-06 Kao Corp トナー用結着樹脂
JP2013519116A (ja) * 2010-02-05 2013-05-23 三星精密化学株式会社 トナーの製造方法
JP2014071331A (ja) * 2012-09-28 2014-04-21 Kao Corp 静電荷像現像用トナー

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004287269A (ja) * 2003-03-24 2004-10-14 Fuji Xerox Co Ltd 現像剤及び画像形成方法
JP2007114398A (ja) * 2005-10-19 2007-05-10 Fuji Xerox Co Ltd 電子写真用トナー

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004287269A (ja) * 2003-03-24 2004-10-14 Fuji Xerox Co Ltd 現像剤及び画像形成方法
JP2007114398A (ja) * 2005-10-19 2007-05-10 Fuji Xerox Co Ltd 電子写真用トナー

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013519116A (ja) * 2010-02-05 2013-05-23 三星精密化学株式会社 トナーの製造方法
JP2011197193A (ja) * 2010-03-18 2011-10-06 Kao Corp トナー用結着樹脂
JP2014071331A (ja) * 2012-09-28 2014-04-21 Kao Corp 静電荷像現像用トナー

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7951519B2 (en) Toner for development of electrostatic image, method for manufacturing the same, developer for development of electrostatic image, toner cartridge, process cartridge, and image forming apparatus
JP5211791B2 (ja) 静電荷現像用現像剤、静電荷像現像用現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
US11181841B2 (en) Toner for electrostatic image development, electrostatic image developer, and toner cartridge
JP2009217053A (ja) 静電荷現像用トナー、静電荷現像用現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジおよび画像形成装置
JP4984913B2 (ja) 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成方法及び画像形成装置
CN104076629B (zh) 静电荷图像显影用色调剂、静电荷图像显影剂和色调剂盒
JP2008224976A (ja) 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP2014164064A (ja) 静電荷像現像用トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、並びに、画像形成方法
JP6428352B2 (ja) 静電荷像現像用キャリア、静電荷像現像剤、現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び、画像形成方法
JP5470858B2 (ja) 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP6167949B2 (ja) 静電荷像現像用トナーの製造方法及び画像形成方法
US10712680B2 (en) White toner for electrostatic image development, electrostatic image developer, toner cartridge, process cartridge, image forming apparatus, and image forming method
JP5573536B2 (ja) 静電荷像現像剤、現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び、画像形成方法
JP5531697B2 (ja) 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び、画像形成方法
JP5413046B2 (ja) 静電荷像現像用トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ並びに画像形成装置
JP2010197732A (ja) 静電荷像現像用トナー、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP2009047970A (ja) 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤、静電荷像現像用現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置および画像形成方法
JP2010231068A (ja) 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP5983328B2 (ja) 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置
JP2005010596A (ja) 電子写真現像剤及びそれを用いた画像形成方法
JP5223556B2 (ja) 静電潜像現像用トナー、静電潜像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
JP2005274615A (ja) 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤及び画像形成方法
JP2009169150A (ja) 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP2012226194A (ja) 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置および画像形成方法
JP2011197029A (ja) 静電荷像現像用トナー、その製造方法及び静電荷像現像用現像剤

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100820

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100820

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120412

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120424

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120625

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20120731