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JP2009021017A - 蓄電池 - Google Patents

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JP2009021017A JP2007180604A JP2007180604A JP2009021017A JP 2009021017 A JP2009021017 A JP 2009021017A JP 2007180604 A JP2007180604 A JP 2007180604A JP 2007180604 A JP2007180604 A JP 2007180604A JP 2009021017 A JP2009021017 A JP 2009021017A
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Abstract

【課題】排気筒から排気通路に流出した電解液の各セル室内への還流速度を促進せしめた蓄電池を提供する。
【解決手段】少なくとも1つのガスフィルターを介し排気せしめるガス排出口を具備し、更に、各セル室内の電解液が外部へ漏れ出ることを防止するエアロック機構を具備した蓄電池において、各排気筒3の外周に複数個の電解液環流孔31を穿設し、更に該排気筒と該還流孔を囲繞し且つ該蓋板から下垂突出する筒体を設けると共に、該排気筒の該蓋板の裏面より下方の下部筒体を透孔や切欠きのない周側壁20bに形成したことを特徴とする蓄電池。
【選択図】図5

Description

本発明は、蓄電池に関する。
蓋本体上面に電槽の各セル室に対応する個所に凹部を形成してこの凹部内に排気筒を備え、その上面を上蓋で覆って成る二重蓋構造から成り、該二重蓋間に、各排気筒に連通する排気通路を介し、セル室から排出されるガスを導出し、上蓋に設けたガスフィルターを介しガス排出口を外部に排出するようにした漏液防止装置を備えた蓄電池は一般に広く知られている。此種蓄電池において、該蓄電池が横転した場合、各セル室内の電解液が外部に漏れ出ないようにエアロック機構を具備した蓄電池が開発され、特許文献1に記載されている。
即ち、該特許文献1に記載の蓄電池は、電槽に施される蓋本体に、電槽のセル室に対応してガス排気筒が蓋本体を貫通して形成され、その排気筒の外周にこれを囲む隔壁に上蓋の裏面に設けた囲繞隔壁を当接されて成るエアロック機構を具備しており、これにより、横転時、各セル室から上蓋裏面に流出した電解液が該囲繞隔壁内から外部に漏れ出ないようにし、その転倒状態から該蓄電池を正立状態に戻した時は、該囲繞隔壁内の電解液は該排気筒外周の開口部を介し各セル室内へ還流するように構成されている。
特開昭57-14361号公報
しかし乍ら、上記特許文献1は、その図4及び図5に明らかなように、該排気筒には、セル室内の電解液面がその該排気筒の下端に到達しても、排気ガスの逃げ場を確保するために、その下部周側壁下端に切欠きを形成されているのが一般である。また、その切欠きに代え、排気筒の下部周側壁に透孔を設ける場合も知られている。然るに、該特許文献1の蓄電池は、該排気筒に設けた切欠きにより、その横倒状態から正立状態にしたとき、該上蓋の裏面に溜まっていた電解液の全量が、セル室内へ戻る速度が遅くなるので、正立した時の還流速度を早くすることが望まれる。
本発明は、かゝる課題を解消し、上記の要望を満足した蓄電池を提供する。
本発明の蓄電池は、請求項1に記載の通り、内部を仕切壁により区画された複数のセル室を有する電槽の上面に、蓋板を貫通して形成したその夫々のセル室に連通する夫々の排気筒と相隣る排気筒間を隔離し且つ囲繞する囲繞隔壁により夫々独立した排気通路を形成した蓋本体を気密に施し、該蓋本体の上面に、該蓋本体の夫々の独立した排気通路に対応して夫々独立した排気通路を裏面に設けた上蓋を気密に施して成る二重蓋構造から成ると共に、少なくとも1つのガスフィルターを介し排気せしめるガス排出口を具備し、更に、各セル室内の電解液が外部へ漏れ出ることを防止するエアロック機構を具備した蓄電池において、各排気筒の外周に複数個の電解液環流孔を穿設し、更に該排気筒と該還流孔を囲繞し且つ該蓋板から下垂突出する筒体を設けると共に、該排気筒の該蓋板の裏面より下方の下部筒体を透孔や切欠きのない周側壁に形成したことを特徴とする。
更に、本発明は、上記の蓄電池において、請求項2に記載の通り、該排気筒は、そのガス排出側の上端の開口面は傾斜面に形成すると共に、そのガス流入側の下端の開口面を傾斜面に形成したことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、該排気筒の下部は下端まで切欠きのない周側壁に形成したので、その外周の液還流孔から流下する電解液と置換する電槽内の空気は該排気筒内を上昇するガスの流速は促進され、これに伴い、電解液の還流速度は促進されるので、上記従来の蓄電池に比し、正立時の液還流速度は早くなる。
請求項2に係る発明によれば、該排気筒のガス排出側の上端開口面を傾斜面に形成し、そのガス流入側の下端開口面を傾斜開口面に形成したので、エアロック効果が向上する。また、ガス流側の下端開口面を傾斜開口面とすることにより、該下端に液膜の形成が防止されるので、正立時の排気や倒立から正立状態に戻したときの液還流が支障なく円滑に行うことができる。
本発明の実施の形態の1例を添付図面につき説明する。
図1は、合成樹脂成形体から成る方形箱形の蓋本体の上面図を示す。参照符号1で示す該蓋本体の蓋板1aの上面の一部を、該蓋本体1が施される電槽の内部を仕切壁により区画形成されセル室の数に相当する数の、図示の例では、6個のセル室に跨る面域を底面とする長方形の凹面1a1に成形し、その凹面の空間内に、次のような排気構造を構成する。即ち、その長方形の凹面1a1空間内に、その四周内側壁面に沿い、且つその凹面空間1a1の底面、即ち、該蓋板1aの上面から所望の高さの方形の四周囲枠2を突設する。その高さは、その上端が図示の例では、該凹部空間1a1の左右に形成した後述する筒状のガス排出口を嵌装するための凹溝1b,1bの底面と同じ或いはそれより高い高さとした。更に、該蓋板1aの上面に、該四周囲枠2で囲繞される凹部空間内に、該電槽の内部を区画形成された6個のセル室40b,40b,…に対応する位置で、該蓋板1aに、各セル室に連通する排気孔3a及び注液口4を穿設し、その夫々の外周に、該蓋板1aを貫通する排気筒3と該蓋板1aの底面から突出する注液筒4aの一組ずつを配設する。各排気筒3は、該四周囲枠2の高さよりも高い適当な高さに突設せしめ、各注液筒4aは、該四周囲枠2の高さと同じ高さに突設せしめた。
更に、該四周囲枠2内には、下記するように6つの夫々独立した排気通路を形成した。即ち、該四周囲枠2内に、各相隣る排気筒3,3間を隔離すると共に各排気筒3を囲繞する隔壁5a,5a,…を該四周囲枠2と同じ高さに突設し、6個の排気筒3,3,…の夫々が互いに連通することなく独立した6個の排気通路6a,6a,…を区画形成した。更に、各独立した排気通路6a内に、各独立した注液筒4aの側面から該排気筒3の側方を横切り、該四周囲枠2の一方の長辺側枠2aの近傍まで延び、且つ該四周囲枠2aと同じ高さの隔壁7aを突設し、これにより、各該排気通路6aを該排気筒3側に、これを囲繞する小室に形成された内側通路6a1と該隔壁7aと該長辺側枠2aの内側面との間に存せしめた間隙8aを介して該内側通路6a1と連通する外側の通路6a2とに区分した。更に、その小室に形成された内側通路6a1内に、該長辺側枠2aの内側面から該排気筒3と該隔壁7aとの間に延び且つ該四周囲枠2と同じ高さの隔壁9aを突設し、これにより、電槽内の各セル室から該排気筒3を介し内側通路6a1に進入したガスが、直接、該間隙8aから該外側通路6a2へ排出されることが妨げられ、該隔壁9aと該隔壁7aとの間に形成された通路6a3を通過した後、該間隙8aから該外側通路6a2に排出せしめるように、その通過距離を延長して、電解液ミストの捕集効果を高めるようにした。尚また、該隔壁7aの外側面から側面に該外側通路6a2内へ突設して、該隔壁7aと同じ高さの防沫壁10aを突設した。該防沫壁10aは、外側通路6a2内に突出するようにその複数枚を配設してもよい。
図面で、11は該蓋本体1が施される電槽の仕切壁に対応して該蓋本体1の裏面から下垂突出させた仕切壁、12は正極端子、13は負極端子、14は比重液面表示栓を示す。
図2は、上記の蓋本体1の該四周囲枠2の上面に当接して施されるに適した大きさ、形状を有する合成樹脂成形による上蓋20の裏面図、図3は、該上蓋20の上面図を示す。該上蓋20は、実施例では、裏側に凹面空間を形成した箱形とした。
該上蓋20は、蓋板20aとその四周縁から所望高さ下向きに延びる四周側壁20bとから成り、その四周側壁20bの下端は、該上蓋20を該蓋本体1の該四周囲枠2に施されるとき、該四周囲枠2とその外側の該凹面1a1の四周内面との間の空隙に挿入される外側壁20b1と、該四周囲枠2の上端に当接する内側の四周側壁20b2とから成る嵌合係止用段差を有する下端に形成されている。かくして、該上蓋20は、該蓋本体1の該四周囲枠2の上端部に当接係合し、熱融着、接着により互いに結着されるようにした。該蓋板20aには、該蓋本体1上に載せたときに、該蓋本体1の夫々の注液筒4a,4a,…に対応する位置に6個の注液口が穿設されており、更に、該上蓋の裏面の凹状空間内に、蓋本体1の裏面に設けた6つの夫々独立した排気通路6a,6a,…に対応する夫々独立した排気通路を下記のように形成した。
即ち、更に詳細には、その蓋板20aの裏面には、該蓋本体1の該四周囲枠2内に配設した6つの注液口4,4,…と注液筒4a,4a,…に対応する位置に、6つの注液口4,4,…とその外周縁に6つの注液筒4b,4b,…を該四周側壁20b1と同じ高さに突出せしめて配設し、更に、該蓋本体1の該四周囲枠2内で該蓋板1aの上面から突出せしめた囲繞隔壁5a,5a,…に対応する位置に囲繞隔壁5b,5b,…を該四周側壁20b2と同じ高さに突出せしめて配設し、これにより、該蓋本体1に形成された夫々独立した排気通路6a,6a,…に対応する夫々独立した排気通路6b,6b,…が形成されるようにした。更に、該蓋本体1に配設した該隔壁7aに対応する位置に隔壁7b、該隔壁9aに対応する位置に隔壁9b及び該隔壁7aの側面に付設した防沫壁10aに対応する位置に防沫壁10bを夫々その蓋板20aの裏面から該四周側壁20b2と同じ高さに突出して配設し、これにより、蓋本体1に形成された間隙8a、小室に形成された内側通路6a1及び外側通路6a2に対応する位置に、間隙8b、小室に形成された内側通路6b1及び外側通路6b2を夫々形成せしめた。
尚、図示の例では、蓋本体1に形成した上記6本の排気通路6a,6a,…及び該上蓋20に形成した上記6本の排気通路6b,6b…は、図1及び図2に明らかなように、その夫々の左半部と右半部が左右対象となるように中央の囲繞隔壁5a,5aにより分割構成され、該蓋本体1の上面に該上蓋20を重合結着したとき、図面で、該蓋本体1の左側の3つの夫々独立した排気通路6a,6a,6aと該上蓋20の左側の3つの夫々独立した排気通路6b,6b,6bとは、上下方向で連通して排気通路6,6,6が形成されると共に、これら排気通路6,6,6は、上蓋20側の左側方の該四周側壁20bの左側のコーナー部内に設けた防爆用のガスフィルター21に連通するようにする一方、図面で、該蓋本体1の右側の3つの夫々独立した排気通路6a,6a,6aと該上蓋20の右側の3つの夫々独立した排気通路6b,6b,6bとは、上下方向で連通して排気通路6,6,6が形成されると共に、これら排気通路6,6,6は、上蓋20側の右側方の該四周側壁20bの右側のコーナー部内に設けた防爆用のガスフィルター21に連通するようにした。
更に詳細には、図2に示すように、上蓋20側の3つの夫々独立した排気通路6b,6b,6bは、該四周側壁20bの左側のコーナー部内まで延び、右側の3つの夫々独立した排気通路6b,6b,6bは、該四周側壁20bの右側のコーナー部内まで延び、左右の夫々のコーナー部内には、左右の夫々の3つの排気通路6b,6b,6b及び6b,6b,6bを区画する隔壁5b,5b,5b及び5b,5b,5bの上端と同じレベル位置、或いはそれより低い位置、即ち、該上蓋20の該蓋板20aに近くなる側の位置に、これらの隔壁の外側端面に圧入又は接着するなどの任意の手段で防爆用のガスフィルター21が装着されたガスフィルター装着筒22,22を夫々固設し、その夫々のフィルター装着筒22,22の側方に位置してこれら装着筒22,22内と連通するガス排出口23,23を設ける。図示の例では、筒状ガス排気口23,23とし、その内端をこれらフィルター装着筒22,22内と連通開口せしめた。夫々の筒状ガス排気口23,23は、例えば、断面が中空矩形状の筒とし、該四周側壁20bの左右の短い側の側壁に設けた孔を気液密に貫通して固設せしめたものであり、かくして、該上蓋20を該蓋本体1の上面に施したとき、該左右のフィルター装着筒22,22は、左右の夫々3つの排気通路の外端の上面開口が集合している該蓋本体1の該四周囲枠2の左右のコーナー部内の空間部2c,2cの上方の円形の仮想線で示す位置に来ると同時に、該左右のガス排出口23,23は、該蓋本体1の上面の左右の前記した嵌合凹溝1b,1bに位置するようにした。
而して、鉛蓄電池に組み立てるには、常法により、図3及び図4に示す電槽40の上面開口部を閉塞するべく、該蓋本体1の四周側壁1cの下端とその裏面各仕切壁11,11,…を対応する電槽40の四周側壁40aと該電槽40内を6個のセル室40bに仕切る各仕切壁40cに熱融着、接着などで固着し、その蓋本体1の上面に、該上蓋20を施し、該蓋本体1の該四周囲枠2の上面に該上蓋20の該四周囲枠2bを嵌着し、互いに熱融着、接着などで気液密に結着し、これにより、該上蓋20の該四周側壁20bと該蓋本体1の該四周囲枠2との合体により、夫々対向する囲繞隔壁5a,5a,…と5b,5b,…の合体した囲繞隔壁により、夫々の排気筒3,3,…を囲んだ夫々独立した該蓋本体1側の排気通路6a,6a,…と該上蓋20側の排気通路6b,6b,…が上下方向で連通した6本の夫々独立した排気通路6,6,…が得られ、更に、各排気通路6,6,…内において、隔壁7a,7bが合体した隔壁、隔壁9a,9aが合体した隔壁、該防沫壁10a,10bが合体した防沫壁が得られ、これにより、上下方向に連通する小室に形成された内側通路、外側通路及び間隙が夫々形成された鉛蓄電池が得られる。而して、該蓄電池の上蓋20の各注液口4,4より電解液を注入し、各セル室40b,40b,…内に夫々収容されている極板群(図示しない)を浸漬した遊離電解液を保有せしめ、夫々の注液口4に密封栓(図示しない)を施し、鉛蓄電池を構成する。
上記の鉛蓄電池の充電時又は過充電時に電槽の各セル室に発生したガスは、夫々対応する排気筒3,3,…を介し、その夫々の排気通路6,6,…に進入し、次いで、左側と右側の夫々3本ずつの独立した排気通路6,6,6からのガスは、その前方の空間部2c,2cに至り、次いで、その上方に配設した左右のガスフィルター21,21を介し左右のガス排出口23,23から外部に夫々一括排気される。
かくして、その夫々の独立した排気用通路6,6,…をガスが通過する間に、上記の種々の隔壁や防沫壁などに衝突するので、ガス中の電解液ミストは捕捉され、ガスのみが外部に排出されるので、排気中の液漏れが防止される。一方、捕集した電解液は、相互に交じり合うことがない。尚、夫々の独立した排気通路6,6,…内に捕捉された電解液を流下し、夫々の排気筒3,3,…を介して夫々セル室に還流させるには、該蓋本体1の蓋板1aの上面に相当する各独立した排気通路6,6,…の底面を、各該排気通路6の外端側から該排気孔3aに至るに従い下り坂の傾斜底面とすることが必要である。
更に、上記に例示した蓄電池において、蓄電池が倒立した場合でも、液漏れが防止されるように下記のようにエアロック機構を具備せしめた。
即ち、該蓋本体1の該蓋板1aに、該蓋板1aを貫通し、電槽40の各セル室40b内と該上蓋20の裏面の凹面空間内に連通する該排気筒3の外周にこれを囲むように複数個の電解液の液還流孔を、図示の例では4個の液還流孔31,31,…を穿設した。
更に、該蓋本体1の各排気通路6a内に、該排気筒3の上部筒体3Aの外周に、図1、図4に明示のように、環状空間S1を存して、該蓋板1aの上面から突出して環状隔壁33aを設けると共に、該環状隔壁33aの一部に、上方に開口する切欠口34を該環状空間S1とその外側の内側通路6a1と連通せしめるようにした。
一方、該上蓋20には、図2に示すように、その裏面の夫々独立した排気用通路6b,6b,…内に、該蓋本体1に配設した上記の夫々の環状隔壁33a,33a,…に対向する位置に、各該環状隔壁33aと同じ大きさ、形状の環状隔壁33b,33b,…を該上蓋20の裏面から突設した。
尚、該蓋本体1の四周囲枠2の長辺側枠2aから内側へ延びて配設した夫々の隔壁9a,9a,…は、その夫々の内端が対応する夫々の該環状隔壁33a,33a,…の外周側面に合体するものに形成する一方、該上蓋20の裏面にも同様に、その四周側壁20bの長辺側壁20b1から内側に延びて配設した夫々の隔壁9b,9b,…は、その夫々の内端が対応する夫々の該環状隔壁33b,33b,…の外周側面に合体するものに形成する。
かくして、各排気通路6aの各小室に形成された内側通路6a1は、該環状隔壁33aをめぐる迂回通路に形成される。而して、図1、図5に明示のように、夫々の環状隔壁33a,33a,…の該切欠口34,34,…を該長辺側壁2a,2a,…に向けて配設したときは、該排気筒3から排出されるガスは、その長辺側壁2a,2aに衝突後、夫々の環状隔壁33a,33a,…の周側壁に沿い迂回した後、夫々の外側通路6a2,6a2,…に進入するようになるので、ミストの捕集性能を更に向上せしめることができるようにした。
かくして、該蓋本体1の上面に該上蓋20を気密に施したとき、図6に示すように、該上蓋2の裏面から下垂する該環状隔壁33bの下端は、該蓋本体1の上面から上方に延びる該環状隔壁33aの上端に当接し、相互に融着、接着などにより結着するが、この当接状態において、該上蓋20の蓋板20aとその裏面から下垂する環状隔壁33bとで形成される断面コ字状のコップ状被覆部35で、該排気筒3の上方に空隙S2を存してコップ空間S3とその下方に環状空間S1を存した状態で、これら排気筒の上部を被覆するようにした。
また、該蓋本体1の蓋板1aから上面に突設した環状隔壁33aの高さ、従って、該環状隔壁33aに上端を開口して切り欠いた矩形状などの切欠口34の上面開口端34aの高さは、該排気筒3の該排気孔3aの上端の傾斜開口面3a11の下端と同じ高さ或いはそれより低い位置に設定することが好ましい。尚又、該排気筒3の下端の開口面3a21を傾斜面とすることが好ましい。このようにして、蓄電池にエアロック機構を具備せしめた。
上記のように構成の該蓄電池は、通常の正立状態においては、各セル室40b内に発生するミストを含んだガスは、該排気筒3及びその外周の液還流孔31,31,…から該排気筒3のコップ状被覆部35内の空間に排出され、更にその切欠口34を介し排気通路6a、即ち、内側通路6a1及び外側通路6a2に導かれ、ガスフィルター21を介し、該ガス排出口23から外部へ一括排気される。その間に、排気通路6aで捕捉された電解液は、該切欠口34を介し、該排気筒3外周の液還流孔31,31,…からセル室40b内に流下し戻る。この場合、前記の該排気筒3の中間部3Cの外周面を下向きの傾斜面に形成し、該切欠口34の下方の内側通路6a1とこれから直角に下垂する筒体32との角部を図5に示すような傾斜面34bに形成するときは、該液還流を円滑迅速に行うことができる。
上記のエアロック機構を備えた蓄電池が横倒しや逆さになったときは、図示しないが、各セル室40b内の電解液は、上下反転した該排気筒3及びその外周の液還流孔31,31,…による気液置換により、電解液は、当初は小室内の排気通路6a1内へ流出するも、直ちに、その流出した電解液はコップ空間S3内に溜まり、やがて、該排気筒3の排気孔3aの上端開口部3a11を閉塞する。すると、排気筒3及びその外周の液還流孔31,31,…を介しての気液置換が行われず、所謂エアロックを生じ、これにより、これ以上の電解液の流出がない液漏れ防止効果をもたらす。
尚、図示の蓄電池の実施例では、該排気筒3の該排気孔3aは、図示のように、該排気通路6aに開口する上部筒体3Aの孔の径をセル室40b側に開口する下部筒体3Bの孔径より著しく小径とすることにより、蓄電池の横倒しや倒立時におけるセル室からの電解液の漏出を困難にする効果をもたらす。
また、該排気筒3の小径の上部筒体3Aの上端開口面3a11と大径の下部筒体3Bの下端開口面3a21を夫々傾斜開口面に形成し、該上部筒体3Aと該下部筒体3Bの中間部3Cの外周面は、図5に明示のように、下向きの傾斜面に形成することにより、エアロック効果を向上する。また、特に該下部筒体3Bの下端を傾斜開口面3a21とすることにより、該下端面に液膜形成が防止できるので、蓄電池の正立状態における排気及び横倒しや倒立状態から成立状態に戻したときの液還流が支障なく円滑に行うことができる。
図面で32は、図4及び図6に示すように、前記の該排気筒3と液還流孔31,31,…を囲繞し、且つ該蓋本体1の蓋板1aからセル室40b内に下垂する筒体を示し、該筒体32により防沫効果をもたらす。尚、該下垂筒体32の一部には、下端に開口する切欠口32aを設けてもよい。
この状態から、該蓄電池を元の正立状態に戻すと、コップ空間S3内の電解液の自重により各セル室40b内へ該液還流孔31,31,…を介し流下し、セル室40b内に戻るが、本発明によれば、該排気筒3の下部筒体3Bは、その下部筒体3Bは、該液還流孔31の位置から下端まで従来のような切欠きや透孔がない無垢の周側壁となっているため、電解液の液還流孔31,31,…の下方において、電解液が下方へ還流する圧力に、該空気柱の高さHに相当する圧力がガス排気筒下端に加わり、空気を押し上げる圧力が強くなるので、空気と電解液との気液置換がより円滑迅速に行われ、セル室40b内への液還流速度が速くなり、従って、液還流時間が電解液の自重のみによる液還流時間に比し、著しく短縮する効果をもたらす。
次に、比較試験例を示す。
図示の実施形態に示す本発明の蓄電池と、比較のため、本発明の該蓄電池の該排気筒3の下部筒体3Bに、その長さ全長に亘り下端に開口する長矩形状の切欠部を形成して作製した従来型の蓄電池とを用意し、その両蓄電池を倒立させ、その倒立状態に30分放置した後、正立状態に戻し、その時点から該上蓋の凹部空間に溜まっている電解液がセル室に還流して空となるまでの時間を測ったところ、従来型の蓄電池では30秒かかったが、本発明の蓄電池では10秒と3分の1に短縮することができた。
上記から明らかなように、該排気筒3の下部筒体3Bを切欠きや透孔のない周側壁により、その内部に空気柱を生ぜしめ、これにより、蓄電池を正立状態に戻したときの液還流時間を短縮することができるようにしたものである。従って、該排気筒3の該下部筒体3Bの下端は、上記のように、液膜防止を考慮しなければ、水平開口面としてもよいことは言うまでもない。
本発明の蓄電池の実施の1例の蓋本体の平面図。 同蓋本体の上面に施される上蓋の裏面図。 電槽の上面に該蓋本体と該上蓋とを順次施して組み立てた蓄電池の該上蓋の一部を截除した上面図。 図3のIV-IV線裁断面図。 図3のV-V線拡大縦断面図。 図5の該上蓋を除去した上面図。
符号の説明
1 蓋本体
1a 蓋板
3 排気筒
3a 排気孔
20 上蓋
23 ガス排気口
33a 環状隔壁
33b 環状隔壁
34 切欠口
35 コップ状被覆部
S1 環状空間
S2 空隙
S3 コップ状空間
3b 排気筒の下部の周側壁
3a1 上端開口
3a2 下端開口

Claims (2)

  1. 内部を仕切壁により区画された複数のセル室を有する電槽の上面に、蓋板を貫通して形成したその夫々のセル室に連通する夫々の排気筒と相隣る排気筒間を隔離し且つ囲繞する囲繞隔壁により夫々独立した排気通路を形成した蓋本体を気密に施し、該蓋本体の上面に、該蓋本体の夫々の独立した排気通路に対応して夫々独立した排気通路を裏面に設けた上蓋を気密に施して成る二重蓋構造から成ると共に、少なくとも1つのガスフィルターを介し排気せしめるガス排出口を具備し、更に、各セル室内の電解液が外部へ漏れ出ることを防止するエアロック機構を具備した蓄電池において、各排気筒の外周に複数個の電解液環流孔を穿設し、更に該排気筒と該還流孔を囲繞し且つ該蓋板から下垂突出する筒体を設けると共に、該排気筒の該蓋板の裏面より下方の下部筒体を透孔や切欠きのない周側壁に形成したことを特徴とする蓄電池。
  2. 該排気筒は、そのガス排出側の上端の開口面は傾斜面に形成すると共に、そのガス流入側の下端の開口面を傾斜面に形成したことを特徴とする請求項1に記載の蓄電池。
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