JP4138284B2 - 排気型電解液漏れ抵抗二輪自動車用バッテリ - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排気型電解液漏れ抵抗二輪自動車（オートバイ）用バッテリに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
液状電解液を有する現在の排気型二輪自動車用バッテリは、通常、単一の排気チューブを備え、この排気チューブは、酸霧と排気ガスとを安全に逃す可撓性ポリマー排気管に嵌め込まれている。しかし、実際の使用状態では、このバッテリは信頼性が全くなく、その理由は、可撓性排気管がバッテリからはずれることが多いことにある。従って、実際の使用状態でバッテリハウジング内の排気ガスと共に酸霧が漏れることによって問題を生ずる可能性がある程度存在する。
【０００３】
上記の観点から、液状電解液を収容しないで本質的に電解液漏れ防止型である二輪自動車用密封型弁制御鉛電池（ＶＲＬＡバッテリ）を使用する傾向が産業界にある。しかし、密封型バッテリは、重要なことであるが、より高価であり、比較的複雑な製造工程を包含する。その上、ＶＲＬＡバッテリは、密封型バッテリに適した改良された充電システムを備えた近代二輪車にのみ搭載することができる。
【０００４】
しかし、広範囲の排気型バッテリでは、あらゆる方向に電解液の漏れ抵抗（電解液が漏れ難くい性質）（以下「電解液の漏れ抵抗」を単に「液漏れ抵抗」又は「漏れ抵抗」と称することがある）を有する必要性があり、また可撓性排気管の必要性をなくすことが必要である。注目すべきことは、実際の使用状態では、二輪車用バッテリは、あらゆる方向で高度の傾きを受ける。従って、安全の観点から電解液の漏れ抵抗特性を有することが高度に望まれる。
【０００５】
今まで、液充満型二輪自動車用バッテリに液漏れ抵抗特性を付与する主な試みが産業界ではなされていない。二輪自動車用バッテリは、通常、２つの部分、即ち、主カバーとこの主カバーに熱シールされた排気室カバーとから成っている。しかし、バッテリが直立位置でないと、電解液が漏れる虞がある。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、バッテリが直立位置になくても、電解液の洩れに抵抗する保護手段を備えた排気型洩れ抵抗二輪自動車用バッテリを提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本発明の基本的な課題解決手段は、複数のセルが設けられているハウジングと、排気室と充填孔と液口栓とを有し複数のセルを跨ぐようにハウジングの上端に流体密を保って取り付けられたバッテリカバーとを備え、このバッテリカバーには流体密を保って取り付けられた排気室カバーを有する排気型電解液漏れ抵抗二輪自動車用バッテリにおいて、このバッテリカバーは、セルの上方空間と連通するようにバッテリカバーの長手方向に延びる排気通路を備え、この排気通路は、上向きに傾斜した出口端部を有し、排気通路のこの傾斜出口端部に排気キャップ組立体が取り付けられ、排気通路は、出口端部の反対側の端部で閉じられており、且つこの出口端部から反対側の端部に向けて下降する傾斜を有し、排気通路の内側に各セルに対応して相互に連通する邪魔板から形成された排気室が設けられ、これらの排気室は、排気通路の出口端部に相応する排気室から反対側の端部に相応する排気室に電解液が流れるように相互に連通し、反対端側の排気室が排気通路に連通する出口孔を有し、反対端側の排気室の邪魔板の先縁がこの出口孔から離れて配置されていることを特徴とする排気型電解液漏れ抵抗二輪自動車用バッテリを提供することにある。
【０００８】
排気キャップ組立体は、排気通路の出口端部から迷路を経てガスフイルタに接触するように形成されていると一層好ましい。
【０００９】
迷路は、排気キャップに設けられており、この迷路は、排気通路の傾斜出口端部に連通する排気孔と、この排気孔から排気キャップの外周に延びる第１の垂直孔と、排気キャップの外周に設けられ一端が第１の垂直孔に接続され他端が第２の垂直孔に接続された螺旋通路とを有するものとすることができ、この第２の垂直孔は、ガスフイルタに連通するように排気キャップの中心まで延びている。
【００１０】
本発明の他の課題解決手段は、複数のセルが設けられるハウジングと、排気室と充填孔と液口栓とを有する複数のセルを跨ぐようにハウジングの上端に熱シールされたバッテリカバーと、このバッテリカバーに取り付けられセルに接続された端子とを備え、バッテリカバーには熱シールされた排気室カバーを有する排気型電解液漏れ抵抗二輪自動車用バッテリにおいて、バッテリカバーは、セルに接近してこのセルの上方空間と連通する排気通路を備え、この排気通路は、上向きに傾斜した出口端部を有し、排気通路の傾斜出口端部に排気キャップ組立体が取り付けられ、排気通路は、出口端部の反対側の端部で閉じられており、且つこの出口端部から反対側の端部に向けて下降する傾斜を有し、排気通路の内側に各セルに対応して相互に連通する邪魔板から形成された排気室が設けられ、これらの排気室は、排気通路の出口端部に相応する排気室から反対側の端部に相応する排気室に電解液が流れるように相互に連通し、反対端側の排気室が排気通路に連通する出口孔を有し、反対端側の排気室の邪魔板の先縁がこの出口孔から離れて配置されていることを特徴とする排気型電解液漏れ抵抗二輪自動車用バッテリを提供することにある。
【００１１】
本発明の好ましい形態では、排気キャップ組立体は、排気通路の傾斜出口端部に取り付けられた排気キャップと排気ガスが逃れることができるように排気キャップに取り付けられたガスフイルタとから成っているのが好ましい。
【００１２】
排気キャップは、排気通路の傾斜出口端部に連通する排気孔と、この排気孔から排気キャップの外周に延びる第１の垂直孔と、排気キャップの外周に設けられ一端が第１の垂直孔に接続され他端が第２の垂直孔に接続された螺旋通路とを有し、第２の垂直孔は、ガスフイルタに連通するように排気キャップの中心まで延びているのが好ましい。
【００１３】
上記の排気キャップのガスフイルタは、撥水性微孔ガスフイルタであるのが好ましく、またこの微孔ガスフイルタの粒子は、７０ミクロンの寸法を有するのが好ましい。
【００１４】
ガスフイルタは、排気キャップに圧力嵌めされ、排気ガスを逃す孔を有するフイルタカバーによって閉じられているものとすることができる。
【００１５】
本発明によるバッテリにおいて、バッテリカバーは、いずれかの側に９０゜傾いたとしても、電解液の高さは、排気通路の傾斜出口端部より低い位置にあってこれらのいずれの位置でもバッテリに電解液漏れ抵抗を付与する。また、この装置は、バッテリが逆向きになったとしても、電解液の漏れを相当長時間、たとえば２時間以上防止する電解液ロック（以下単に「液ロック」と称することがある。）を有する。
【００１６】
【発明の実施の形態】
図１及び図２から解るように、本発明による排気型電解液漏れ抵抗二輪自動車用バッテリ１０は、ハウジング１２とこのハウジング１２に熱シールされたバッテリカバー１４とを備えている。バッテリカバー１４は、カバー本体１４Ａに熱シールされた排気室カバー１４Ｂを有する（図５、図７及び図８参照）。セルＣ１乃至Ｃ６は、ハウジング１２の内側に設けられ、各セルは、図１０に示すように、バッテリカバー１４の上部まで延びる液口栓１６を有する。バッテリカバー１４の外部に延びている端子Ｔ１及びＴ２（図９参照）は、セルＣ１乃至Ｃ６に接続されている。なお、図１１において、符号Ｗ１乃至Ｗ５は、各セルを隔離する隔壁、また符号Ｍ１及びＭ２は、各セル内の極板群を支持する鞍をそれぞれ示す。
【００１７】
図５及び図６から解るように、バッテリカバー１４は、セルＣ１乃至Ｃ６の上部空間に連通する側部排気通路（バッテリの長手方向に延びる排気通路）１８を備えている。この排気通路１８は、図１２に示すように、バッテリカバー１４の壁によって一端１８ａがシールされている。排気通路１８は、その他端１８ｂから端部１８ａに向けて下向きに傾斜するように傾いており、これは、逆に言うと、外側に向けて上向きに傾斜していることになる。このような構成によって、酸がセルから側部排気通路１８を経て後に述べる排気キャップ組立体２４に流れるときに、排気通路１８の傾斜出口端部１８ｂから端部１８ａに向けて排気通路１８に沿って形成された傾斜によって酸は逆流する。
【００１８】
図１２から解るように、排気通路１８は、セルＣ１乃至Ｃ６に隣接している。排気通路４の内側には排気室ＣＨ１乃至ＣＨ６が設けられている。これらの排気室ＣＨ１乃至ＣＨ６は、各セルＣ１乃至Ｃ６の上方空間と連通している。これらの排気室は、相互に対応する邪魔板２０、２０Ｂによって形成されており、これらの邪魔板２０、２０Ｂは、排気室ＣＨ１乃至ＣＨ６が相互に連通するように設けられている。邪魔板２０は、バッテリカバー１４に設けられており、邪魔板２０Ｂは、排気室カバー１４Ｂに設けられており、これらの邪魔板２０、２０Ｂは、排気室カバー１４Ｂをバッテリカバー１４に熱シールすると、接合されて排気室ＣＨ１乃至ＣＨ６を形成する。
【００１９】
最後の室ＣＨ６のみがこれらの室ＣＨ１乃至ＣＨ６から排気通路１８に電解液を放出する出口孔２２を有する。この出口孔２２は、後に述べる排気キャップ組立体２４を備えた排気通路１８の傾斜出口端部１８ｂから離れたところにある。各排気室ＣＨ１乃至ＣＨ６を形成する邪魔板２０、２０Ｂは、図８及び図１２に示すように、排気室に電解液が入り込むことがあっても、この電解液は、隣り合う排気室を蛇行しながら出口孔２２に向けて移行するように、略Ｌ字状の板を交互に逆向きにして設けられている。また、排気室ＣＨ６の邪魔板２０は、その開放先縁が出口孔２２からバッテリの短い側部に沿った方向に離れる位置となるように配置されている。
【００２０】
これらの排気室ＣＨ１乃至ＣＨ６を設けると、セルから排気通路１８の端部１８ｂへの流れが邪魔板２０によって蛇行するため、遅らせられる。更に、排気通路１８の底面１８ｃに下向きの傾斜を有し、このようにすると、排気通路１８の傾斜出口端部１８ｂが端部１８ａよりも高い位置になるので好ましい。図５及び図７を参照すると、排気通路１８の底面１８ｃの傾斜は、端部１８ａ側の底面１８ｃが端部１８ｂ側の底面１８ｃよりも低い位置にあることから理解できる。
【００２１】
排気キャップ組立体２４は、図１２、図１３及び図１４（Ａ）乃至図１４（Ｃ）に示されている。この排気キャップ組立体２４は、排気キャップ２６とフイルタ２８と、フイルタカバー４０とから成っており、この排気キャップ組立体２４は、図１２及び図１３に示すように、排気通路１８の端部１８ｂに嵌め込まれている。図１４から解るように、排気キャップ２６は、図１３に示すように、排気通路１８の端部１８ｂに連通する排気孔３２を有する。
【００２２】
図１４に示すように、第１の垂直孔３４が排気孔３２から排気キャップ２６の外周まで延びている。排気キャップ２６の外周には第１の垂直孔３４に連通する螺旋通路３６が設けられている。排気キャップ２６の排気孔３２から離れた端部には、排気キャップ２６の外周から中心まで延びる第２の垂直孔３８が設けられている。この垂直孔３８は、螺旋通路３６の下流端に連通している。これらの第１及び第２の垂直孔３４、３８及び螺旋通路３６は、排気キャップ２６の迷路を形成している。
【００２３】
フイルタ２８は、排気キャップ２６に押し込まれて第２の垂直孔３８に連通するようにフイルタキャップ４０によって閉じられている。フイルタキャップ４０は、排気ガスを逃す孔４２を有する。これによって、フイルタ２８は、排気通路１８に流入する余剰の電解液に接触することから防止される。
【００２４】
ガスフイルタ２８は、撥水性の微孔ガスフイルタであるのが好ましい。このフイルタの粒子は、７０ミクロンの寸法を有する。
【００２５】
ガスがどこかのセルから排出されると、このガスは、排気通路１８の個々の排気室内に入り込み、排気室ＣＨ６の出口孔２２から逃げる（図１２参照）。次いで、ガスは、排気通路１８を経て排気キャップ組立体２４に移動し、排気孔３２に入る。その後、ガスは、第１の垂直孔３４を通過し、螺旋通路３６に沿って移動し、第２の垂直孔３８を経て排気キャップ２６に入る。次いで、ガスは、フイルタ２８によって濾過され、フイルタカバー４０の孔４２を経て大気に排出される。
【００２６】
バッテリ１０が一方の短い側部に乗るように９０゜傾いた状態が図１５に示されている。この位置では、各排気室ＣＨ６乃至ＣＨ１内の電解液は、次第に下方の排気室へ流下する。しかし、電解液は、排気通路１８の端部１８ｂ内の排気キャップ組立体２４に接触することができない。それは、液が流れる唯１つの通路は、この位置では一杯になることができない最上位の排気室ＣＨ６の出口孔２２を通っているからである。従って、排気キャップ組立体２４に向けて酸が漏れることが排除される。
【００２７】
バッテリ１０が一方の長い側部に乗るように９０゜傾いた状態が図１６に示されている。この場合、電解液は、出口孔２２に連通する排気室ＣＨ６内の邪魔板２０の開放先縁（上縁）を越えることができないので、電解液は、出口孔２２を経て排気通路１８に入り込むことができないため、排気キャップ組立体２４に到達することができない。
【００２８】
バッテリ１０が逆さまになると、排気通路の端部にある排気キャップ組立体２４によって液ロックが形成されるので、相当長い時間、例えば、２時間以上にわたって電解液の漏れが生ずることがない。
【００２９】
【発明の効果】
本発明によれば、上記のように、バッテリがいずれかの側に９０゜傾いたとしても、電解液の高さは、排気通路の傾斜出口端部より低い位置にあってこれらのいずれの位置でもバッテリに電解液の漏れ抵抗を付与し、またバッテリが逆向きになったとしても、電解液の漏れを相当長時間防止する液ロックを有し、従って二輪自動車（オートバイ）用排気型バッテリの電解液漏れ抵抗を著しく向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明による二輪自動車用バッテリの正面図である。
【図２】図１の二輪自動車用バッテリの平面図である。
【図３】図１の二輪自動車用バッテリの背面図である。
【図４】図１の二輪自動車用バッテリの側面図である。
【図５】図１のＡ−Ａ線に沿って切断した断面図である。
【図６】図５のＸで囲まれた円内の部分の拡大詳細図である。
【図７】図５と同じであるが、排気室カバーが主カバーに熱シールされる前の状態の断面図である。
【図８】排気室カバーが主カバーに熱シールされる前の排気室カバーの下側の邪魔板を示し、同図（Ａ）は、その裏面図、同図（Ｂ）は、その正面図である。
【図９】図２のＢ−Ｂ線に沿って切断した断面図である。
【図１０】図２のＣ−Ｃ線に沿って切断した断面図である。
【図１１】図１のＤ−Ｄ繊維沿って切断した断面図である。
【図１２】図１のＥ−Ｅ線に沿って切断した断面図である。
【図１３】図２のＹで囲まれた円内の部分の拡大詳細断面図である。
【図１４】本発明に用いられる排気キャップ組立体を示し、同図（Ａ）は、その一部を切り欠いた斜視図、同図（Ｂ）はその正面図、同図（Ｃ）は、同図（Ｂ）のＦ−Ｆ線断面図である。
【図１５】図１のバッテリがその一方の短い側面の上に乗るように傾いた状態を示す平断面図である。
【図１６】図１のバッテリがその一方の長い側面の上に乗るように傾いた状態を示す平断面図である。
【符号の説明】
１０ バッテリ
１２ ハウジング
１４ バッテリカバー
１４Ａ カバー本体
１４Ｂ 排気室カバー
Ｃ１乃至Ｃ６ セル
１６ 液口栓
１８ 側部排気通路
１８ａ 排気通路の一端
１８ｂ 排気通路の傾斜端部（他端）
１８ｃ 排気通路の底面
ＣＨ１乃至ＣＨ６ 排気通路の内側の排気室
２０ 邪魔板
２０Ｂ 排気室カバー側の邪魔板
２２ 出口孔
２４ 排気キャップ組立体
２６ 排気キャップ
２８ フイルタ
３０ フイルタカバー
３２ 排気孔
３４ 第１の垂直孔
３６ 螺旋通路
３８ 第２の垂直孔
４０ フィルタキャップ
４２ 孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、排気型電解液漏れ抵抗二輪自動車（オートバイ）用バッテリに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
液状電解液を有する現在の排気型二輪自動車用バッテリは、通常、単一の排気チューブを備え、この排気チューブは、酸霧と排気ガスとを安全に逃す可撓性ポリマー排気管に嵌め込まれている。しかし、実際の使用状態では、このバッテリは信頼性が全くなく、その理由は、可撓性排気管がバッテリからはずれることが多いことにある。従って、実際の使用状態でバッテリハウジング内の排気ガスと共に酸霧が漏れることによって問題を生ずる可能性がある程度存在する。
【０００３】
上記の観点から、液状電解液を収容しないで本質的に電解液漏れ防止型である二輪自動車用密封型弁制御鉛電池（ＶＲＬＡバッテリ）を使用する傾向が産業界にある。しかし、密封型バッテリは、重要なことであるが、より高価であり、比較的複雑な製造工程を包含する。その上、ＶＲＬＡバッテリは、密封型バッテリに適した改良された充電システムを備えた近代二輪車にのみ搭載することができる。
【０００４】
しかし、広範囲の排気型バッテリでは、あらゆる方向に電解液の漏れ抵抗（電解液が漏れ難くい性質）（以下「電解液の漏れ抵抗」を単に「液漏れ抵抗」又は「漏れ抵抗」と称することがある）を有する必要性があり、また可撓性排気管の必要性をなくすことが必要である。注目すべきことは、実際の使用状態では、二輪車用バッテリは、あらゆる方向で高度の傾きを受ける。従って、安全の観点から電解液の漏れ抵抗特性を有することが高度に望まれる。
【０００５】
今まで、液充満型二輪自動車用バッテリに液漏れ抵抗特性を付与する主な試みが産業界ではなされていない。二輪自動車用バッテリは、通常、２つの部分、即ち、主カバーとこの主カバーに熱シールされた排気室カバーとから成っている。しかし、バッテリが直立位置でないと、電解液が漏れる虞がある。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、バッテリが直立位置になくても、電解液の洩れに抵抗する保護手段を備えた排気型洩れ抵抗二輪自動車用バッテリを提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本発明の基本的な課題解決手段は、複数のセルが設けられているハウジングと、排気室と充填孔と液口栓とを有し複数のセルを跨ぐようにハウジングの上端に流体密を保って取り付けられたバッテリカバーとを備え、このバッテリカバーには流体密を保って取り付けられた排気室カバーを有する排気型電解液漏れ抵抗二輪自動車用バッテリにおいて、このバッテリカバーは、セルの上方空間と連通するようにバッテリカバーの長手方向に延びる排気通路を備え、この排気通路は、上向きに傾斜した出口端部を有し、排気通路のこの傾斜出口端部に排気キャップ組立体が取り付けられ、排気通路は、出口端部の反対側の端部で閉じられており、且つこの出口端部から反対側の端部に向けて下降する傾斜を有し、排気通路の内側に各セルに対応して相互に連通する邪魔板から形成された排気室が設けられ、これらの排気室は、排気通路の出口端部に相応する排気室から反対側の端部に相応する排気室に電解液が流れるように相互に連通し、反対端側の排気室が排気通路に連通する出口孔を有し、反対端側の排気室の邪魔板の先縁がこの出口孔から離れて配置されていることを特徴とする排気型電解液漏れ抵抗二輪自動車用バッテリを提供することにある。
【０００８】
排気キャップ組立体は、排気通路の出口端部から迷路を経てガスフイルタに接触するように形成されていると一層好ましい。
【０００９】
迷路は、排気キャップに設けられており、この迷路は、排気通路の傾斜出口端部に連通する排気孔と、この排気孔から排気キャップの外周に延びる第１の垂直孔と、排気キャップの外周に設けられ一端が第１の垂直孔に接続され他端が第２の垂直孔に接続された螺旋通路とを有するものとすることができ、この第２の垂直孔は、ガスフイルタに連通するように排気キャップの中心まで延びている。
【００１０】
本発明の他の課題解決手段は、複数のセルが設けられるハウジングと、排気室と充填孔と液口栓とを有する複数のセルを跨ぐようにハウジングの上端に熱シールされたバッテリカバーと、このバッテリカバーに取り付けられセルに接続された端子とを備え、バッテリカバーには熱シールされた排気室カバーを有する排気型電解液漏れ抵抗二輪自動車用バッテリにおいて、バッテリカバーは、セルに接近してこのセルの上方空間と連通する排気通路を備え、この排気通路は、上向きに傾斜した出口端部を有し、排気通路の傾斜出口端部に排気キャップ組立体が取り付けられ、排気通路は、出口端部の反対側の端部で閉じられており、且つこの出口端部から反対側の端部に向けて下降する傾斜を有し、排気通路の内側に各セルに対応して相互に連通する邪魔板から形成された排気室が設けられ、これらの排気室は、排気通路の出口端部に相応する排気室から反対側の端部に相応する排気室に電解液が流れるように相互に連通し、反対端側の排気室が排気通路に連通する出口孔を有し、反対端側の排気室の邪魔板の先縁がこの出口孔から離れて配置されていることを特徴とする排気型電解液漏れ抵抗二輪自動車用バッテリを提供することにある。
【００１１】
本発明の好ましい形態では、排気キャップ組立体は、排気通路の傾斜出口端部に取り付けられた排気キャップと排気ガスが逃れることができるように排気キャップに取り付けられたガスフイルタとから成っているのが好ましい。
【００１２】
排気キャップは、排気通路の傾斜出口端部に連通する排気孔と、この排気孔から排気キャップの外周に延びる第１の垂直孔と、排気キャップの外周に設けられ一端が第１の垂直孔に接続され他端が第２の垂直孔に接続された螺旋通路とを有し、第２の垂直孔は、ガスフイルタに連通するように排気キャップの中心まで延びているのが好ましい。
【００１３】
上記の排気キャップのガスフイルタは、撥水性微孔ガスフイルタであるのが好ましく、またこの微孔ガスフイルタの粒子は、７０ミクロンの寸法を有するのが好ましい。
【００１４】
ガスフイルタは、排気キャップに圧力嵌めされ、排気ガスを逃す孔を有するフイルタカバーによって閉じられているものとすることができる。
【００１５】
本発明によるバッテリにおいて、バッテリカバーは、いずれかの側に９０゜傾いたとしても、電解液の高さは、排気通路の傾斜出口端部より低い位置にあってこれらのいずれの位置でもバッテリに電解液漏れ抵抗を付与する。また、この装置は、バッテリが逆向きになったとしても、電解液の漏れを相当長時間、たとえば２時間以上防止する電解液ロック（以下単に「液ロック」と称することがある。）を有する。
【００１６】
【発明の実施の形態】
図１及び図２から解るように、本発明による排気型電解液漏れ抵抗二輪自動車用バッテリ１０は、ハウジング１２とこのハウジング１２に熱シールされたバッテリカバー１４とを備えている。バッテリカバー１４は、カバー本体１４Ａに熱シールされた排気室カバー１４Ｂを有する（図５、図７及び図８参照）。セルＣ１乃至Ｃ６は、ハウジング１２の内側に設けられ、各セルは、図１０に示すように、バッテリカバー１４の上部まで延びる液口栓１６を有する。バッテリカバー１４の外部に延びている端子Ｔ１及びＴ２（図９参照）は、セルＣ１乃至Ｃ６に接続されている。なお、図１１において、符号Ｗ１乃至Ｗ５は、各セルを隔離する隔壁、また符号Ｍ１及びＭ２は、各セル内の極板群を支持する鞍をそれぞれ示す。
【００１７】
図５及び図６から解るように、バッテリカバー１４は、セルＣ１乃至Ｃ６の上部空間に連通する側部排気通路（バッテリの長手方向に延びる排気通路）１８を備えている。この排気通路１８は、図１２に示すように、バッテリカバー１４の壁によって一端１８ａがシールされている。排気通路１８は、その他端１８ｂから端部１８ａに向けて下向きに傾斜するように傾いており、これは、逆に言うと、外側に向けて上向きに傾斜していることになる。このような構成によって、酸がセルから側部排気通路１８を経て後に述べる排気キャップ組立体２４に流れるときに、排気通路１８の傾斜出口端部１８ｂから端部１８ａに向けて排気通路１８に沿って形成された傾斜によって酸は逆流する。
【００１８】
図１２から解るように、排気通路１８は、セルＣ１乃至Ｃ６に隣接している。排気通路４の内側には排気室ＣＨ１乃至ＣＨ６が設けられている。これらの排気室ＣＨ１乃至ＣＨ６は、各セルＣ１乃至Ｃ６の上方空間と連通している。これらの排気室は、相互に対応する邪魔板２０、２０Ｂによって形成されており、これらの邪魔板２０、２０Ｂは、排気室ＣＨ１乃至ＣＨ６が相互に連通するように設けられている。邪魔板２０は、バッテリカバー１４に設けられており、邪魔板２０Ｂは、排気室カバー１４Ｂに設けられており、これらの邪魔板２０、２０Ｂは、排気室カバー１４Ｂをバッテリカバー１４に熱シールすると、接合されて排気室ＣＨ１乃至ＣＨ６を形成する。
【００１９】
最後の室ＣＨ６のみがこれらの室ＣＨ１乃至ＣＨ６から排気通路１８に電解液を放出する出口孔２２を有する。この出口孔２２は、後に述べる排気キャップ組立体２４を備えた排気通路１８の傾斜出口端部１８ｂから離れたところにある。各排気室ＣＨ１乃至ＣＨ６を形成する邪魔板２０、２０Ｂは、図８及び図１２に示すように、排気室に電解液が入り込むことがあっても、この電解液は、隣り合う排気室を蛇行しながら出口孔２２に向けて移行するように、略Ｌ字状の板を交互に逆向きにして設けられている。また、排気室ＣＨ６の邪魔板２０は、その開放先縁が出口孔２２からバッテリの短い側部に沿った方向に離れる位置となるように配置されている。
【００２０】
これらの排気室ＣＨ１乃至ＣＨ６を設けると、セルから排気通路１８の端部１８ｂへの流れが邪魔板２０によって蛇行するため、遅らせられる。更に、排気通路１８の底面１８ｃに下向きの傾斜を有し、このようにすると、排気通路１８の傾斜出口端部１８ｂが端部１８ａよりも高い位置になるので好ましい。図５及び図７を参照すると、排気通路１８の底面１８ｃの傾斜は、端部１８ａ側の底面１８ｃが端部１８ｂ側の底面１８ｃよりも低い位置にあることから理解できる。
【００２１】
排気キャップ組立体２４は、図１２、図１３及び図１４（Ａ）乃至図１４（Ｃ）に示されている。この排気キャップ組立体２４は、排気キャップ２６とフイルタ２８と、フイルタカバー４０とから成っており、この排気キャップ組立体２４は、図１２及び図１３に示すように、排気通路１８の端部１８ｂに嵌め込まれている。図１４から解るように、排気キャップ２６は、図１３に示すように、排気通路１８の端部１８ｂに連通する排気孔３２を有する。
【００２２】
図１４に示すように、第１の垂直孔３４が排気孔３２から排気キャップ２６の外周まで延びている。排気キャップ２６の外周には第１の垂直孔３４に連通する螺旋通路３６が設けられている。排気キャップ２６の排気孔３２から離れた端部には、排気キャップ２６の外周から中心まで延びる第２の垂直孔３８が設けられている。この垂直孔３８は、螺旋通路３６の下流端に連通している。これらの第１及び第２の垂直孔３４、３８及び螺旋通路３６は、排気キャップ２６の迷路を形成している。
【００２３】
フイルタ２８は、排気キャップ２６に押し込まれて第２の垂直孔３８に連通するようにフイルタキャップ４０によって閉じられている。フイルタキャップ４０は、排気ガスを逃す孔４２を有する。これによって、フイルタ２８は、排気通路１８に流入する余剰の電解液に接触することから防止される。
【００２４】
ガスフイルタ２８は、撥水性の微孔ガスフイルタであるのが好ましい。このフイルタの粒子は、７０ミクロンの寸法を有する。
【００２５】
ガスがどこかのセルから排出されると、このガスは、排気通路１８の個々の排気室内に入り込み、排気室ＣＨ６の出口孔２２から逃げる（図１２参照）。次いで、ガスは、排気通路１８を経て排気キャップ組立体２４に移動し、排気孔３２に入る。その後、ガスは、第１の垂直孔３４を通過し、螺旋通路３６に沿って移動し、第２の垂直孔３８を経て排気キャップ２６に入る。次いで、ガスは、フイルタ２８によって濾過され、フイルタカバー４０の孔４２を経て大気に排出される。
【００２６】
バッテリ１０が一方の短い側部に乗るように９０゜傾いた状態が図１５に示されている。この位置では、各排気室ＣＨ６乃至ＣＨ１内の電解液は、次第に下方の排気室へ流下する。しかし、電解液は、排気通路１８の端部１８ｂ内の排気キャップ組立体２４に接触することができない。それは、液が流れる唯１つの通路は、この位置では一杯になることができない最上位の排気室ＣＨ６の出口孔２２を通っているからである。従って、排気キャップ組立体２４に向けて酸が漏れることが排除される。
【００２７】
バッテリ１０が一方の長い側部に乗るように９０゜傾いた状態が図１６に示されている。この場合、電解液は、出口孔２２に連通する排気室ＣＨ６内の邪魔板２０の開放先縁（上縁）を越えることができないので、電解液は、出口孔２２を経て排気通路１８に入り込むことができないため、排気キャップ組立体２４に到達することができない。
【００２８】
バッテリ１０が逆さまになると、排気通路の端部にある排気キャップ組立体２４によって液ロックが形成されるので、相当長い時間、例えば、２時間以上にわたって電解液の漏れが生ずることがない。
【００２９】
【発明の効果】
本発明によれば、上記のように、バッテリがいずれかの側に９０゜傾いたとしても、電解液の高さは、排気通路の傾斜出口端部より低い位置にあってこれらのいずれの位置でもバッテリに電解液の漏れ抵抗を付与し、またバッテリが逆向きになったとしても、電解液の漏れを相当長時間防止する液ロックを有し、従って二輪自動車（オートバイ）用排気型バッテリの電解液漏れ抵抗を著しく向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明による二輪自動車用バッテリの正面図である。
【図２】図１の二輪自動車用バッテリの平面図である。
【図３】図１の二輪自動車用バッテリの背面図である。
【図４】図１の二輪自動車用バッテリの側面図である。
【図５】図１のＡ−Ａ線に沿って切断した断面図である。
【図６】図５のＸで囲まれた円内の部分の拡大詳細図である。
【図７】図５と同じであるが、排気室カバーが主カバーに熱シールされる前の状態の断面図である。
【図８】排気室カバーが主カバーに熱シールされる前の排気室カバーの下側の邪魔板を示し、同図（Ａ）は、その裏面図、同図（Ｂ）は、その正面図である。
【図９】図２のＢ−Ｂ線に沿って切断した断面図である。
【図１０】図２のＣ−Ｃ線に沿って切断した断面図である。
【図１１】図１のＤ−Ｄ繊維沿って切断した断面図である。
【図１２】図１のＥ−Ｅ線に沿って切断した断面図である。
【図１３】図２のＹで囲まれた円内の部分の拡大詳細断面図である。
【図１４】本発明に用いられる排気キャップ組立体を示し、同図（Ａ）は、その一部を切り欠いた斜視図、同図（Ｂ）はその正面図、同図（Ｃ）は、同図（Ｂ）のＦ−Ｆ線断面図である。
【図１５】図１のバッテリがその一方の短い側面の上に乗るように傾いた状態を示す平断面図である。
【図１６】図１のバッテリがその一方の長い側面の上に乗るように傾いた状態を示す平断面図である。
【符号の説明】
１０ バッテリ
１２ ハウジング
１４ バッテリカバー
１４Ａ カバー本体
１４Ｂ 排気室カバー
Ｃ１乃至Ｃ６ セル
１６ 液口栓
１８ 側部排気通路
１８ａ 排気通路の一端
１８ｂ 排気通路の傾斜端部（他端）
１８ｃ 排気通路の底面
ＣＨ１乃至ＣＨ６ 排気通路の内側の排気室
２０ 邪魔板
２０Ｂ 排気室カバー側の邪魔板
２２ 出口孔
２４ 排気キャップ組立体
２６ 排気キャップ
２８ フイルタ
３０ フイルタカバー
３２ 排気孔
３４ 第１の垂直孔
３６ 螺旋通路
３８ 第２の垂直孔
４０ フィルタキャップ
４２ 孔
Claims (9)
- 複数のセルが設けられているハウジングと、排気室と充填孔と液口栓とを有し複数のセルを跨ぐようにハウジングの上端に流体密を保って取り付けられたバッテリカバーとを備え、前記バッテリカバーには流体密を保って取り付けられた排気室カバーを有する排気型電解液漏れ抵抗二輪自動車用バッテリにおいて、前記バッテリカバーは、前記セルの上方空間と連通するように前記バッテリカバーの長手方向に延びる排気通路を備え、前記排気通路は、外側に向けて上向きに傾斜した出口端部を有し、前記排気通路の前記出口端部に排気キャップ組立体が取り付けられ、前記排気通路は、前記出口端部の反対側の端部で閉じられており、且つ前記出口端部から前記反対側の端部に向けて下降する傾斜を有し、前記排気通路の内側に各セルに対応して相互に連通する邪魔板から形成された排気室が設けられ、前記排気室は、前記排気通路の出口端部に相応する前記排気室から反対側の端部に相応する排気室に電解液が流れるように相互に連通し、前記反対端側の排気室が前記排気通路に連通する出口孔を有し、前記反対端側の排気室の邪魔板の先縁が前記出口孔から離れて配置されていることを特徴とする排気型電解液漏れ抵抗二輪自動車用バッテリ。
- 請求項１に記載の排気型電解液漏れ抵抗二輪自動車用バッテリであって、前記排気キャップ組立体は、排気通路の出口端部から迷路を経てガスフイルタに接触するように形成されている排気型電解液漏れ抵抗二輪自動車用バッテリ。
- 請求項２に記載の排気型電解液漏れ抵抗二輪自動車用バッテリであって、前記排気キャップ組立体は、前記排気通路の前記傾斜出口端部に取り付けられた排気キャップから成り、前記フイルタは、排気ガスが逃れることができるように前記排気キャップに取り付けられており、前記迷路は、前記排気キャップに設けられており、前記迷路は、前記排気通路の前記傾斜出口端部に連通する排気孔と、前記排気孔から前記排気キャップの外周に延びる第１の垂直孔と、前記排気キャップの外周に設けられ一端が前記第１の垂直孔に接続され他端が第２の垂直に接続された螺旋通路とを有し、前記第２の垂直孔は、前記ガスフイルタに連通するように前記排気キャップの中心まで延びている排気型電解液漏れ抵抗二輪自動車用バッテリ。
- 複数のセルが設けられるハウジングと、排気室と充填孔と液口栓とを有する複数のセルを跨ぐようにハウジングの上端に熱シールされたバッテリカバーと、前記バッテリカバーに取り付けられ前記セルに接続された端子とを備え、前記バッテリカバーには熱シールされた排気室カバーを有する排気型電解液漏れ抵抗二輪自動車用バッテリにおいて、前記バッテリカバーは、前記セルに接近して前記セルの上方の空間と流れが連通する側部排気通路を備え、前記排気通路は、上向きに傾斜した出口端部を有し、前記排気通路の前記傾斜出口端部に排気キャップ組立体が取り付けられ、、前記排気通路は、前記出口端部の反対側の端部で閉じられており、且つ前記出口端部から前記反対側の端部に向けて下降する傾斜を有し、前記排気通路の内側に各セルに対応して相互に連通する邪魔板から形成された排気室が設けられ、前記排気室は、前記排気通路の出口端部に相応する前記排気室から反対側の端部に相応する排気室に電解液が流れるように相互に連通し、前記反対端側の排気室が前記排気通路に連通する出口孔を有し、前記反対端側の排気室の邪魔板の先縁が前記出口孔から離れて配置されていることを特徴とする排気型電解液漏れ抵抗二輪自動車用バッテリ。
- 請求項４に記載の排気型電解液漏れ抵抗二輪自動車用バッテリであって、前記排気キャップ組立体は、前記排気通路の前記傾斜出口端部に取り付けられた排気キャップと排気ガスが逃れることができるように前記排気キャップに取り付けられたガスフイルタとから成っている排気型電解液漏れ抵抗二輪自動車用バッテリ。
- 請求項５に記載の排気型電解液漏れ抵抗二輪自動車用バッテリであって、前記排気キャップは、前記排気通路の前記傾斜出口端部に連通する排気孔と、前記排気孔から前記排気キャップの外周に延びる第１の垂直孔と、前記排気キャップの外周に設けられ一端が前記第１の垂直孔に接続され他端が第２の垂直に接続された螺旋通路とを有し、前記第２の垂直孔は、前記ガスフイルタに連通するように前記排気キャップの中心まで延びている排気型電解液漏れ抵抗二輪自動車用バッテリ。
- 請求項６に記載の排気型電解液漏れ抵抗二輪自動車用バッテリであって、前記ガスフイルタは、撥水性微孔ガスフイルタである排気型電解液漏れ抵抗二輪自動車用バッテリ。
- 請求項７に記載の排気型電解液漏れ抵抗二輪自動車用バッテリであって、前記微孔ガスフイルタの粒子は、７０ミクロンの寸法を有する排気型電解液漏れ抵抗二輪自動車用バッテリ。
- 請求項７又は８に記載の排気型電解液漏れ抵抗二輪自動車用バッテリであって、前記ガスフイルタは、前記排気キャップに圧力嵌めされ、排気ガスを逃す孔を有するフイルタカバーによって閉じられている排気型電解液漏れ抵抗二輪自動車用バッテリ。
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