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JP2009074154A - 成膜装置 - Google Patents

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JP2009074154A
JP2009074154A JP2007246690A JP2007246690A JP2009074154A JP 2009074154 A JP2009074154 A JP 2009074154A JP 2007246690 A JP2007246690 A JP 2007246690A JP 2007246690 A JP2007246690 A JP 2007246690A JP 2009074154 A JP2009074154 A JP 2009074154A
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Abstract

【課題】長尺な基板に膜を形成する場合、クリーニングために大気開放することなく、高い稼働率で、連続的に膜を形成することができる成膜装置を提供する。
【解決手段】本発明の成膜装置は、基板を搬送する第1の搬送手段と、チャンバ内に設けられ、基板の搬送方向の直交方向に回転軸を有し、かつ直交方向での基板の長さよりも長く、基板が表面の所定の領域に巻き掛けられる回転可能なドラムと、ドラム上の基板を搬送する第2の搬送手段と、ドラム上の基板の表面に気相成膜法により膜を形成する成膜部と、チャンバ内を所定の真空度にする真空排気部と、ドラムで基板がない領域に隙間を設けて配置された電極と、この電極に高周波電圧を印加する第1の高周波電源部と、隙間にクリーニングガスを供給するクリーニングガス供給部と、成膜部による成膜時に隙間にクリーニングガスを供給させ、電極に高周波電圧を印加させる制御部とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、気相成膜法により真空中で長尺の基板の表面に膜を形成する成膜装置に関し、特に、長尺な基板に膜を形成する場合、クリーニングために大気開放することなく、高い稼働率で、連続的に膜を形成することができる成膜装置に関する。
真空雰囲気のチャンバ内で、プラズマCVDによって、長尺な基板(ウェブ状の基板)に連続的に成膜を行う成膜装置として、例えば、接地(アース)したドラムと、このドラムに対面して配置された高周波電源に接続された電極とを用いる装置が知られている。
この成膜装置では、ドラムの所定領域に基板を巻き掛けてドラムを回転することにより、基板を所定の成膜位置に位置して長手方向に搬送しつつ、ドラムと電極との間に高周波電圧を印加して電界を形成し、かつ、ドラムと電極との間に、成膜のための原料ガス、さらにはアルゴンガスなどを導入して、基板の表面にプラズマCVDによる成膜を行う。
しかしながら、この成膜装置では、ドラム両端の基板が巻き掛かっていない部分も、基板と全く同様に、プラズマおよび原料ガスと接触するため、成膜時に形成される反応生成物が、ドラムの両端にも付着してしまうことが避けられない。このドラムの両端に付着した反応生成物は、長尺な基板に連続的に成膜を行うにしたがって堆積し、いずれは剥がれ落ちてパーティクルとなってしまい、形成される膜の品質を低下させ、ひいては、製品の品質を低下させる原因となる。
このため、成膜装置を所定の時間稼動させた後に、このドラムに付着した反応生成物を取り除いている。ドラムに付着した反応生成物を取り除く場合、成膜装置を一度停止させて、大気開放し、再度所定の真空度にする必要があり、時間がかかる。そこで、ドラムに付着した反応生成物を、効率よく取り除くことができる製造装置が提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1の薄膜半導体の製造装置は、フィルム基板の表面に薄膜半導体を形成するための反応室と、この反応室へ薄膜に応じた原料ガスを供給するガス供給手段と、反応室の圧力を制御しながらガスを排気する排気手段と、反応室内にフィルム基板の一側に対向して配設された高周波電極と、他側に配設された接地電極と、フィルム基板加熱用のヒータと、接地電極と高周波電極との間を巻だしロールから巻取りロールまでフィルム基板を搬送するための搬送手段とを備えている。この特許文献1の薄膜半導体の製造装置では、ヒータを円筒状の加熱ロールとなし、接地電極を、加熱ロールと所定の間隙をもって同心円筒状に配設し、かつ巻だしロールと巻取りロールとの間に配設してフィルム基板を搬送するための円筒状のサセプターロールとなし、さらに高周波電極を、サセプターロールと対向して切欠き同心円筒状に配設されている。
特許文献1においては、反応生成物は、サセプターロールに付着することとなるが、このサセプターロールは、搬送ロールを兼ね回転可能であるため、反応生成物を比較的広い空間であって清掃し易い場所で除去することが可能となり、反応生成物の除去・清掃作業が容易となる。
また、特許文献1の薄膜半導体の製造装置においては、サセプターロールを、加熱ロールに着脱可能な構成が記載されており、これにより、反応生成物の除去・清掃作業をさらに容易なものとしている。
特開2002−76394号公報
しかしながら、特許文献1の製造装置においても、ドラムに付着した反応生成物を、取り除くためには、製造装置を一度停止させて、大気開放し、チャンバを開ける必要がある。そして、ドラムに付着した反応生成物を取り除いた後に、コンタミの発生を防止するためにチャンバ内のガスを取り除き、再度チャンバ内を真空にし、原料ガスを供給し、成膜する必要がある。このとき、チャンバ内を真空するために時間がかかる。このように、特許文献1の製造装置においても、メンテナンスに時間を要し、製造装置の稼働率の低下を招くという問題点がある。
本発明の目的は、前記従来技術に基づく問題点を解消し、長尺な基板に膜を形成する場合、クリーニングために大気開放することなく、高い稼働率で、連続的に膜を形成することができる成膜装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、所定の搬送経路で、長尺の基板を搬送する第1の搬送手段と、チャンバと、前記チャンバ内に設けられ、前記基板の搬送方向と直交する方向に回転軸を有し、かつ前記基板の搬送方向と直交する方向における前記基板の長さよりも長く、前記第1の搬送手段により搬送された基板が、表面の所定の領域に巻き掛けられる回転可能なドラムと、所定の搬送経路で、前記ドラムに巻き掛けられた基板を搬送する第2の搬送手段と、前記チャンバ内に設けられ、前記ドラムに巻き掛けられた前記基板の表面に、気相成膜法により膜を形成する成膜部と、前記チャンバ内を所定の真空度にする真空排気部と、前記チャンバ内に設けられ、前記ドラムの表面において前記基板が巻き掛けられていない領域に対向して所定の隙間を設けて配置された電極と、前記電極に高周波電圧を印加する第1の高周波電源部と、前記電極と前記ドラムの表面との隙間に、クリーニングガスを供給するクリーニングガス供給部と、前記成膜部による膜形成時に、前記クリーニングガス供給部により前記電極と前記ドラムの表面との隙間に前記クリーニングガスを供給させるとともに、前記第1の高周波電源部により前記電極に高周波電圧を印加させる制御部とを有することを特徴とする成膜装置を提供するものである。
本発明の成膜装置において、前記成膜部は、前記ドラムにおいて前記基板が巻き掛けられる所定の領域に対向して、所定の隙間を設けて配置された成膜電極と、前記成膜電極に高周波電圧を印加する第2の高周波電源部と、膜を形成するための原料ガスを前記隙間に供給する原料ガス供給部とを有することが好ましい。
また、本発明においては、前記ドラムの表面において前記基板が巻き掛けられていない領域は、前記基板の搬送方向と直交する方向における前記ドラムの端部であり、前記電極は、少なくとも前記ドラムの端部に設けられていることが好ましい。
さらに、本発明においては、前記チャンバ内で、前記電極と前記成膜部とを区画する区画部を有することが好ましい。
さらにまた、本発明においては、前記ドラムの表面と基準位置との距離を測定する測定部を有し、前記制御部は、前記測定部で得られた前記距離に基づいて、前記第1の高周波電源部により前記電極に高周波電圧を印加させることが好ましい。
また、本発明においては、前記ドラムは、接地されていることが好ましい。
また、本発明においては、前記ドラムに高周波電圧を印加する第3の高周波電源部を有することが好ましい。
また、本発明においては、前記ドラムの温度を調節する温度調節部を有することが好ましい。
本発明の成膜装置によれば、ドラムに巻き掛けられた基板の表面に気相成膜法により膜を形成する成膜部と、ドラムの表面において基板が巻き掛けられていない領域に対向して所定の隙間を設けて配置された電極とがチャンバ内に設けられ、電極に高周波電圧を印加する第1の高周波電源部と、電極とドラムの表面との隙間にクリーニングガスを供給するクリーニングガス供給部と、成膜部による膜形成時に、第1の高周波電源部により電極に高周波電圧を印加させる制御部とを有するものであり、成膜時に、クリーニングガス供給部により電極とドラムの表面との隙間にクリーニングガスを供給させるとともに、第1の高周波電源部により高周波電圧が電極に印加される。これにより、ドラムの表面において基板が巻き掛けられていない領域においては、電極の周囲に電磁波が放射されて、クリーニングガスのプラズマが生成される。このため、基板に膜を形成する際に、ドラムの表面において基板が巻き掛けられていない領域に反応生成物が堆積物として形成されても、その堆積物(反応生成物)は、クリーニングガスのプラズマにより取り除かれる。
このように、基板に形成される膜以外の成膜に寄与しないものの堆積を抑制することができるため、パーティクルの発生を抑制することができる。これにより、ドラムの表面に堆積した反応生成物(堆積物)を取り除くために、成膜装置を一旦停止させて、チャンバを大気開放する必要がなく、長尺の基板の表面に膜を形成する際に、連続して稼働させることができ、メンテナンスによる装置の稼働率の低下を抑制することができる。
また、本発明の成膜装置によれば、上述のように、基板に膜を形成している際に、ドラムの表面において基板が巻き掛けられていない領域に、反応生成物が堆積しても、その反応生成物が取り除かれるため、パーティクルの発生を抑制することができ、形成される膜の膜質の低下を抑制することもでき、ひいては、品質の良い製品を製造することができる。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の成膜装置を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る成膜装置を示す模式図であり、図2は、図1に示す成膜装置の成膜室の模式的側面図である。なお、図2は、図1に比して、構成を簡略化して図示しており、後述するドラム26、成膜電極42、第2の高周波電源44、仕切部48、電極50、第1の高周波電源52、およびカバー54を示し、それ以外の構成については、図示を省略している。
図1に示す本発明の実施形態に係る成膜装置10は、磁気記録媒体の製造、光学膜の製造、またはガスバリアフィルムの製造等に利用されるものである。
成膜装置10は、長尺の基板Z(ウェブ状の基板Z)に連続で成膜を行う装置であって、基本的に、長尺な基板Zを供給する供給室12と、長尺な基板Zに膜を形成する成膜室(チャンバ)14と、膜が形成された長尺な基板Zを巻き取る巻取り室16と、真空排気部32と、制御部36とを有する。この制御部36により、成膜装置10における各要素の動作が制御される。
また、成膜装置10においては、供給室12と成膜室14とを区画する壁15a、および成膜室14と巻取り室16とを区画する壁15bには、基板Zが通過するスリット状の開口15cが形成されている。
成膜装置10においては、供給室12、成膜室14および巻取り室16には、真空排気部32が配管34を介して接続されている。この真空排気部32により、供給室12、成膜室14および巻取り室16の内部が所定の真空度にされる。
真空排気部32は、供給室12、成膜室14および巻取り室16を排気して所定の真空度に保つものであり、ドライポンプおよびターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有するものである。また、供給室12、成膜室14および巻取り室16には、それぞれ内部の圧力を測定する圧力センサ(図示せず)が設けられている。
なお、真空排気部32による供給室12、成膜室14および巻取り室16の到達真空度には、特に限定はなく、実施する成膜方法等に応じて、十分な真空度を保てればよい。この真空排気部32は、制御部36により制御される。
供給室12は、長尺な基板Zを供給する部位であり、基板ロール20、およびガイドローラ21が設けられている。
基板ロール20は、長尺な基板Zを連続的に送り出すものであり、例えば、反時計回りに基板Zが巻回されている。
基板ロール20は、例えば、駆動源としてモータ(図示せず)が接続されている。このモータによって基板ロール20が基板Zを巻き戻す方向rに回転されて、本実施形態では、時計回りに回転されて、基板Zが連続的に送り出される。
ガイドローラ21は、基板Zを所定の搬送経路で成膜室14に案内するものである。このガイドローラ21は、公知のガイドローラにより構成される。
本実施形態の成膜装置10においては、ガイドローラ21は、駆動ローラまたは従動ローラでもよい。また、ガイドローラ21は、基板Zの搬送時における張力を調整するテンションローラとして作用するローラであってもよい。
本発明の成膜装置において、基板Zは、特に限定されるものではなく、気相成膜法による膜の形成が可能な各種の基板が全て利用可能である。基板Zとしては、例えば、PETフィルム等の各種の樹脂フィルム、またはアルミニウムシートなどの各種の金属シート等を用いることができる。
巻取り室16は、後述するように、成膜室14で、表面Zfに膜が形成された基板Zを巻き取る部位であり、巻取りロール30、およびガイドローラ31が設けられている。
巻取りロール30は、成膜された基板Zをロール状に、例えば、時計回りに巻き取るものである。
この巻取りロール30は、例えば、駆動源としてモータ(図示せず)が接続されている。このモータにより巻取りロール30が回転されて、成膜済の基板Zが巻き取られる。
巻取りロール30においては、モータによって基板Zを巻き取る方向Rに回転されて、本実施形態では、時計回りに回転されて、成膜済の基板Zを連続的に、例えば、時計回りに巻き取る。
ガイドローラ31は、先のガイドローラ21と同様、成膜室14から搬送された基板Zを、所定の搬送経路で巻取りロール30に案内するものである。このガイドローラ31は、公知のガイドローラにより構成される。なお、供給室12のガイドローラ21と同様に、ガイドローラ31も、駆動ローラまたは従動ローラでもよい。また、ガイドローラ31は、テンションローラとして作用するローラであってもよい。
成膜室14は、真空チャンバとして機能するものであり、基板Zを搬送しつつ連続的に、基板Zの表面Zfに、気相成膜法のうち、例えば、プラズマCVDによって、膜を形成する部位である。
成膜室14は、例えば、ステンレスなど、各種の真空チャンバで利用されている材料を用いて構成されている。
成膜室14には、2つのガイドローラ24、28と、ドラム26と、成膜部40と、クリーニング用の電極50と、測定部56とが設けられている。
ガイドローラ24と、ガイドローラ28とが、所定の間隔を設けて対向して、平行に配置されており、また、ガイドローラ24、およびガイドローラ28は、基板Zの搬送方向Dに対して、その長手方向を直交させて配置されている。
ガイドローラ24は、供給室12に設けられたガイドローラ21から搬送された基板Zをドラム26に搬送するものである。このガイドローラ24は、例えば、基板Zの搬送方向Dと直交する方向A(以下、軸方向Aという)に回転軸を有し回転可能であり、かつガイドローラ24は、軸方向Aの長さが基板Zの長さ(以下、基板Zの幅という)よりも長い。
なお、基板ロール20、ガイドローラ21、ガイドローラ24により、本発明の第1の搬送手段が構成される。
ガイドローラ28は、ドラム26に巻き掛けられた基板Zを巻取り室16に設けられたガイドローラ31に搬送するものである。このガイドローラ28は、例えば、軸方向Aに回転軸を有し回転可能であり、かつガイドローラ28は、軸方向Aの長さが基板Zの幅よりも長い。
なお、ガイドローラ28、ガイドローラ31、巻取りロール30により、本発明の第2の搬送手段が構成される。
また、ガイドローラ24、ガイドローラ28は、上記構成以外は、供給室12に設けられたガイドローラ21と同様の構成であるため、その詳細な説明は省略する。
ドラム26は、ガイドローラ24と、ガイドローラ28との間の空間Hの下方に設けられている。ドラム26は、その長手方向を、ガイドローラ24およびガイドローラ28の長手方向に対して平行にして配置されている。さらには、ドラム26は接地されている。
このドラム26は、例えば、円筒状を呈し、軸方向Aに回転軸を有し、回転可能なものである。かつ図2に示すように、ドラム26は、軸方向Aにおける長さが基板Zの幅よりも長い。ドラム26においては、基板Zの幅方向における中心と、ドラム26の軸方向Aの中心とを合わせて、基板Zを、その表面(周面)に巻き掛けた場合、その両側の端部26aは、基板Zが掛からない領域となる。
ドラム26は、その表面(周面)に基板Zが巻き掛けられて、回転することにより、基板Zを所定の成膜位置に保持しつつ、搬送方向Dに基板Zを搬送するものである。
図1に示すように、成膜部40は、ドラム26の下方に設けられており、基板Zがドラム26に巻き掛けられた状態で、ドラム26が回転して、基板Zが搬送方向Dに搬送されつつ、基板Zの表面Zfに膜を形成するものである。
成膜部40は、気相成膜法のうち、例えば、プラズマCVDを用いて膜を形成するものであり、成膜電極42、第2の高周波電源44、原料ガス供給部46および仕切部48を有する。制御部36により、成膜部40の第2の高周波電源44、および原料ガス供給部46が制御される。
成膜部40においては、成膜室14の下方に、ドラム26において基板Zが巻き掛けられる領域26bに対向して、所定の隙間Sを設けて成膜電極42が設けられている。成膜電極42は、例えば、平面視長方形の平板状に形成されており、広い面に複数の穴(図示せず)が等間隔で形成されている。成膜電極42は、この広い面をドラム26に向けて配置されている。この成膜電極42は、一般的にシャワー電極と呼ばれるものである。
また、成膜電極42は、第2の高周波電源44が接続されており、この第2の高周波電源44により、成膜電極42に高周波電圧が印加される。
原料ガス供給部46は、例えば、配管47を介して、成膜電極42の複数の穴を通して隙間Sに、膜を形成する原料ガスを供給するものである。ドラム26と成膜電極42との隙間Sがプラズマの発生空間になる。
本実施形態においては、原料ガスは、例えば、SiO膜を形成する場合、TEOSガス、および活性種ガスとして酸素ガスが用いられる。
原料ガス供給部46は、プラズマCVD装置で用いられている各種のガス導入手段が利用可能である。
また、原料ガス供給部46においては、原料ガスのみならず、アルゴンガスまたは窒素ガスなどの不活性ガス、および酸素ガス等の活性種ガス等、プラズマCVDで用いられている各種のガスを、原料ガスと共に、隙間Sに供給してもよい。このように、複数種のガスを導入する場合には、各ガスを同じ配管で混合して、成膜電極42の複数の穴を通して隙間Sに供給しても、各ガスを異なる配管から成膜電極42の複数の穴を通して隙間Sに供給してもよい。
さらに、原料ガスまたはその他、不活性ガスおよび活性種ガスの種類または導入量も、形成する膜の種類、または目的とする成膜レート等に応じて、適宜、選択/設定すればよい。
仕切部48(区画部)は、成膜電極42を成膜室14内において区画するものである。
この仕切部48は、例えば、一対の仕切板48aにより構成されており、一対の仕切板48aで、成膜電極42を挟むようにして配置されている。
各仕切板48aは、それぞれドラム26の長さ方向に伸びた板状部材であり、ドラム26側の端部が、成膜電極42とは反対側に折曲している。この仕切部48により、隙間S、すなわち、プラズマ発生空間が、成膜室14内において区画されている。
成膜電極42は、平板状に限定されるものではなく、例えば、ドラム26の軸方向Aに分割した複数の電極を配列した構成等、プラズマCVDによる成膜が可能なものであれば、各種の電極の構成が利用可能である。なお、基板Zに対する電界およびプラズマなどの均一性等の点で、成膜電極42は、本実施形態のような平面視長方形の平板状のシャワー電極であることが好ましい。
また、成膜電極42と第2の高周波電源44とは、必要に応じて、インピーダンス整合をとるためのマッチングボックスを介して接続してもよい。
また、本実施形態においては、ドラム26の基板Zが掛けられない領域であるドラム26の両側の各端部26aに対向して、平板状の電極50がそれぞれ、広い面をドラム26に向けて、所定の隙間gをあけて設けられている。各電極50に、第1の高周波電源52が、それぞれ接続されている(図2参照)。
この電極50は、成膜電極42と同様の構成であり、広い面に複数の穴(図示せず)が等間隔で形成されている。電極50は、一般的にシャワー電極と呼ばれるものである。
各第1の高周波電源52は、それぞれ電極50に高周波電圧を印加するものである。
また、各電極50には、それぞれ、配管60を介して、電極50の複数の穴を通して隙間gに、クリーニングガスがクリーニングガス供給部58により供給される。
このクリーニングガス供給部58には、プラズマCVD装置で用いられている各種のガス導入手段が利用可能である。
クリーニングガス供給部58は、クリーニングガスとして、例えば、C、もしくはNFのフッ素系のガス、アルゴンガスまたは酸素ガスを、電極50の複数の穴を通して隙間gに供給する。
本実施形態においては、クリーニングガス供給部58より電極50の複数の穴を通して隙間gにクリーニングガスが供給され、第1の高周波電源部52により高周波電圧が電極50に印加されると、電極50の周囲に電磁波が放射されて、クリーニングガスのプラズマが生成される。このクリーニングガスのプラズマにより、後述するように、膜形成時に、ドラム26の表面において基板Zが巻き掛けられていない領域(ドラム26の端部26a)の反応生成物(堆積物)が取り除かれる。
このように、各電極50に、個別に各第1の高周波電源部52から高周波電圧を印加することにより、ドラム26の各端部26aでの反応生成物(堆積物)の厚さが異なる場合でも、それぞれ取り除くことができる。
本実施形態においては、電極50は、ドラム26の両側の各端部26aに対向して設けられているが、これに限定されるものではない。例えば、電極50を成膜電極42と同じ形状とし、かつ成膜電極42に対向させて、この成膜電極42とともに、ドラム26を挟むように配置してもよい。
さらには、電極50は、ドラム26の基板Zが掛けられない領域に対向して配置するものであれば、その数、および位置については、特に限定されるものではない。
また、電極50は、カバー(区画部)54で覆われており、成膜室14内において、区画されている。
カバー54は、例えば、一方の端部が開口された四角柱状の筒であり、この開口を電極50に向けて配置されており、このようにして、電極50は、カバー54に覆われる。
本実施形態においては、プラズマが発生する成膜電極42と、電極50とを成膜室14内で、区画することができれば、仕切部48、およびカバー54の形態は、特に限定されるものではない。
例えば、カバー54は、電極50を成膜室14内において、区画することができれば、特に限定されるものではなく、例えば、仕切部48のように、仕切板48aにより、区画してもよい。
また、成膜装置10には、ドラム26において基板Zが掛けられない両端部の各領域26aに堆積した反応生成物(堆積物)の厚さを測定するために測定部56が設けられている。この測定部56は、例えば、レーザ変位センサ、または距離計を備えるものである。
反応生成物(堆積物)の厚さは、例えば、測定部56を所定の位置(基準位置)に固定し、成膜に全く利用されていない新品のドラムを成膜室14に設置し、このときのドラム26の表面までの距離を測定する。この場合の測定距離を基準距離とする。ドラム26の表面に反応生成物(堆積物)が堆積した場合、測定距離は、基準距離よりも短くなり、測定距離と基準距離との差を求めることにより、反応生成物(堆積物)の厚さを測定することができる。
また、第1の高周波電源52および測定部56は、いずれも制御部36に接続され、制御部36により制御される。
制御部36において、例えば、反応生成物(堆積物)の厚さについて、閾値を設定しておき、この閾値を超えた場合に、制御部36は、クリーニングガス供給部58より電極50の複数の穴を通して隙間gにクリーニングガスを供給させ、第1の高周波電源52から電極50に高周波電圧を印加し、クリーニングガスのプラズマを発生させて、反応生成物(堆積物)を取り除くようにしてもよい。
なお、本実施形態においては、成膜時に反応生成物(堆積物)を取り除くため、形成される膜質に影響を与えないものであれば、隙間gに供給するクリーニングガスは、特に限定されるものではない。
また、ドラム26には、高周波電圧を印加する第3の高周波電源部(図示せず)を設けてもよい。この第3の高周波電源部により、ドラム26にはバイアス電圧が印加されるため、イオンボンバードメント効果により、反応生成物の除去をより効果的にできる。すなわち、高いクリーニング効果が得られる。
なお、本実施形態においては、反応生成物(堆積物)の除去は、成膜時に行うため、成膜条件に応じて、第3の高周波電源部により印加される高周波電圧は適宜調整される。
また、ドラム26には、温度を調節する温度調節部(図示せず)を設けてもよい。なお、本実施形態においては、クリーニングは、成膜時に行うため、成膜条件に応じて、ドラム26の温度調節が適宜なされる。
本実施形態の温度調節部は、例えば、ドラム26の中心に設けられるヒータである。これ以外にも、温度調節部は、例えば、ドラム26の表面において基板Zが巻き掛けられていない領域(ドラム26の端部26a)だけを加熱する誘導加熱を用いたヒータでもよい。
なお、第1の高周波電源52、第2の高周波電源44、および第3の高周波電源は、いずれも、プラズマCVDによる成膜に利用される公知の高周波電源を用いることができる。また、第1の高周波電源52、第2の高周波電源44、および第3の高周波電源は、最大出力等にも、特に限定はなく、形成する膜または成膜レート、除去する反応生成物(堆積物)等に応じて、適宜、選択/設定すればよい。
次に、本実施形態の成膜装置10の動作について説明する。
成膜装置10は、供給室12から成膜室14を経て巻取り室16に至る所定の経路で、供給室12から巻取り室16まで長尺な基板Zを通して搬送しつつ、成膜室14において、基板Zに膜を形成するものである。
成膜装置10においては、長尺な基板Zが、例えば、反時計回り巻回された基板ロール20からガイドローラ21を経て、成膜室14に搬送される。成膜室14においては、ガイドローラ24、ドラム26、ガイドローラ28を経て、巻取り室16に搬送される。巻取り室16においては、ガイドローラ31を経て、巻取りロール30に、長尺な基板Zが巻き取られる。長尺な基板Zを、この搬送経路で通した後、供給室12、成膜室14および巻取り室16の内部を真空排気部32により、所定の真空度に保ち、成膜部40において、成膜電源42に、第2の高周波電源44から高周波電圧を印加するとともに、原料ガス供給部46から配管47を介して隙間Sに、膜を形成するための原料ガスを供給する。
成膜電源42の周囲に電磁波を放射させると、隙間Sで、成膜電極42の近傍に局在化したプラズマが生成され、原料ガスが励起・解離される。これにより、基板Zの表面Zfに、所定の膜が形成される。
順次、長尺な基板Zが反時計回り巻回された基板ロール20をモータにより時計回りに回転させて、長尺な基板Zを連続的に送り出し、ドラム26で基板Zをプラズマが生成される位置に保持しつつ、ドラム26を所定の速度で回転させて、成膜部40により長尺な基板Zの表面Zfに連続的に膜を形成する。そして、ガイドローラ28、およびガイドローラ31を経て、巻取りロール30に、成膜された長尺な基板Zが巻き取られる。
このような長尺な基板Zの表面Zfへの膜の形成と同時に、制御部36がクリーニングガス供給部58より電極50の複数の穴を通して隙間gにクリーニングガスを供給させ、第1の高周波電源52から電極50に高周波電圧を印加させる。これにより、電極50の周囲に、電磁波が放射されて、クリーニングガスのプラズマが生成される。本実施形態では、長尺な基板Zが巻き掛けられていない領域が、クリーニングガスのプラズマに曝されて、反応生成物が堆積されていれば、除去されて、長尺な基板Zが巻き掛けられていない領域がクリーニングされる。
このように、本実施形態の成膜装置10においては、長尺の基板Zの表面Zfの成膜時には、基板Zが巻き掛けられていない領域は、クリーニングガスのプラズマに曝されているため、膜を形成する基板Zの表面Zf以外に、反応生成物が堆積しても、ドラム26が回転して、反応生成物が電極50に達し、クリーニングガスのプラズマに曝されると、この反応生成物が取り除かれる。
このため、基板Zに形成される膜以外の成膜に寄与しない反応生成物の堆積を抑制することができ、ドラム26の表面に対する反応生成物の形成が抑制される。これにより、ドラム26に形成された反応生成物(堆積物)を除去するため、成膜室14を大気開放する必要がなく、メンテナンスに要する時間を減らすことができ、成膜装置10を連続して稼働させることができ、成膜装置10の稼働率を高くすることができる。
また、本実施形態の成膜装置10においては、上述のように、ドラム26の基板Zが巻き掛けられていない領域は、反応生成物(堆積物)が除去され、ドラム26に堆積物が形成されることが抑制されるため、パーティクルの発生が抑制されて、膜質の低下も抑制される。
このように、本実施形態の成膜装置10においては、高い稼働率で、長尺な基板Zへの成膜を連続して安定して行うことができ、しかも、パーティクルの発生が抑制されるため、品質が良好な膜を、高い生産性で形成することができる。
なお、本実施形態の成膜装置10においては、反応生成物(堆積物)の厚さについて、取り除く必要がある厚さの基準値を設定しておき、測定部56により得られた反応生成物(堆積物)の厚さに基づいて、制御部36から第1の高周波電源52により電極50に高周波電圧を印加し、反応生成物(堆積物)を除去するようにしてもよい。
また、予め稼働時間とドラム26の表面に形成される反応生成物(堆積物)の厚さとの関係を求め、取り除く必要がある厚さの基準値を設定しておき、所定の時間経過後に、制御部36から第1の高周波電源52により電極50に高周波電圧を印加し、反応生成物(堆積物)を除去するようにしてもよい。
本実施形態の成膜装置10においては、プラズマCVDを例にして、説明したが、プラズマCVDに限定されるものではない。本発明の成膜部は、気相成膜法を用いるものであれば、各種の物理的気相成長法(PVD:Physical Vapor Deposition)、化学的気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)、スパッタリング法またはイオンプレーティング法などを用いることもできる。
以上、本発明の成膜装置について詳細に説明したが、本発明は、上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのは、もちろんである。
本発明の実施形態に係る成膜装置を示す模式図である。 図1に示す成膜装置の成膜室の模式的側面図である。
符号の説明
10 成膜装置
12 供給室
14 成膜室
16 巻取り室
20 基板ロール
21,24,28,31 ガイドローラ
30 巻取りロール
32 真空排気部
36 制御部
40 成膜部
42 成膜電極
44 第2の高周波電源
46 原料ガス供給部
50 電極
52 第1の高周波電源
56 測定部
D 搬送方向
Z 基板

Claims (8)

  1. 所定の搬送経路で、長尺の基板を搬送する第1の搬送手段と、
    チャンバと、
    前記チャンバ内に設けられ、前記基板の搬送方向と直交する方向に回転軸を有し、かつ前記基板の搬送方向と直交する方向における前記基板の長さよりも長く、前記第1の搬送手段により搬送された基板が、表面の所定の領域に巻き掛けられる回転可能なドラムと、
    所定の搬送経路で、前記ドラムに巻き掛けられた基板を搬送する第2の搬送手段と、
    前記チャンバ内に設けられ、前記ドラムに巻き掛けられた前記基板の表面に、気相成膜法により膜を形成する成膜部と、
    前記チャンバ内を所定の真空度にする真空排気部と、
    前記チャンバ内に設けられ、前記ドラムの表面において前記基板が巻き掛けられていない領域に対向して所定の隙間を設けて配置された電極と、
    前記電極に高周波電圧を印加する第1の高周波電源部と、
    前記電極と前記ドラムの表面との隙間に、クリーニングガスを供給するクリーニングガス供給部と、
    前記成膜部による膜形成時に、前記クリーニングガス供給部により前記電極と前記ドラムの表面との隙間に前記クリーニングガスを供給させるとともに、前記第1の高周波電源部により前記電極に高周波電圧を印加させる制御部とを有することを特徴とする成膜装置。
  2. 前記成膜部は、前記ドラムにおいて前記基板が巻き掛けられる所定の領域に対向して、所定の隙間を設けて配置された成膜電極と、前記成膜電極に高周波電圧を印加する第2の高周波電源部と、膜を形成するための原料ガスを前記隙間に供給する原料ガス供給部とを有する請求項1に記載の成膜装置。
  3. 前記ドラムの表面において前記基板が巻き掛けられていない領域は、前記基板の搬送方向と直交する方向における前記ドラムの端部であり、前記電極は、少なくとも前記ドラムの端部に設けられている請求項1または2に記載の成膜装置。
  4. 前記チャンバ内で、前記電極と前記成膜部とを区画する区画部を有する請求項1〜3のいずれかに記載の成膜装置。
  5. 前記ドラムの表面と基準位置との距離を測定する測定部を有し、
    前記制御部は、前記測定部で得られた前記距離に基づいて、前記第1の高周波電源部により前記電極に高周波電圧を印加させる請求項1〜4のいずれか1項に記載の成膜装置。
  6. 前記ドラムは、接地されている請求項2〜5のいずれかに記載の成膜装置。
  7. 前記ドラムに高周波電圧を印加する第3の高周波電源部を有する請求項2〜5のいずれかに記載の成膜装置。
  8. 前記ドラムの温度を調節する温度調節部を有する請求項1〜7のいずれかに記載の成膜装置。
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