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JP2009054553A - 燃料電池システム及びその制御方法 - Google Patents

燃料電池システム及びその制御方法 Download PDF

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JP2009054553A JP2007222961A JP2007222961A JP2009054553A JP 2009054553 A JP2009054553 A JP 2009054553A JP 2007222961 A JP2007222961 A JP 2007222961A JP 2007222961 A JP2007222961 A JP 2007222961A JP 2009054553 A JP2009054553 A JP 2009054553A
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fuel
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fuel gas
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Makoto Ishibashi
誠 石橋
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】間欠運転から通常運転への復帰後において燃料電池の発電状態を安定させることができる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料電池2と、燃料供給源21から供給される燃料ガスを燃料電池2へと流すための燃料ガス供給流路22を有する燃料ガス系4と、燃料ガス供給流路22を流通するガスの可変調圧を行う可変調圧弁26と、燃料ガス系からガスを排出するためのパージ弁29と、を備え、燃料電池2の発電一時停止状態から発電状態への移行後にパージ弁29を介して燃料ガス系4内の不純物を外部に排出する燃料電池システム1であって、発電一時停止状態における燃料ガス系4内の不純物量が所定量を超えて増加した場合に、発電一時停止状態から発電状態への移行後に燃料電池2へと供給される燃料ガスの圧力が所定の基準値を上回るように可変調圧弁26の開閉動作を制御する制御手段6を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池システム及びその制御方法に関する。
従来より、反応ガス(燃料ガス及び酸化ガス)の供給を受けて発電を行う燃料電池を備えた燃料電池システムが実用化されている。かかる燃料電池システムの燃料電池の内部や燃料オフガスの循環流路には、発電に伴って窒素ガス等の不純物が経時的に蓄積することが知られている。現在においては、このような不純物を外部に排出する(パージを行う)ために、循環流路に接続した排出流路にパージ弁を設け、パージ弁の開閉制御を行う燃料電池システムが提案されている。
また、現在においては、燃料電池に加えて蓄電池等の二次電池を備え、低負荷時等に燃料電池の発電を一時的に停止させる運転(間欠運転)を行い、負荷の増加時等に通常運転に復帰して発電を再開させる燃料電池システムが提案されている。近年においては、燃料電池の間欠運転時間が長い場合に、間欠運転から通常運転への復帰後におけるパージ頻度を高くすることにより、不純物を効果的に排出する技術も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−26843号公報
しかし、前記した特許文献1に記載したような技術を採用しても、パージによる不純物の排出に長時間を要する場合がある。かかる場合には、間欠運転から通常運転への復帰後において、燃料電池の発電状態の安定性が確保できないおそれがあった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、間欠運転から通常運転への復帰後において燃料電池の発電状態を安定させることができる燃料電池システムを提供すること目的とする。
前記目的を達成するため、本発明に係る燃料電池システムは、燃料電池と、燃料供給源から供給される燃料ガスを燃料電池へと流すための燃料ガス供給流路を有する燃料ガス系と、燃料ガス供給流路を流通するガスの可変調圧を行う可変調圧弁と、燃料ガス系からガスを排出するためのパージ弁と、を備え、燃料電池の発電一時停止状態から発電状態への移行後にパージ弁を介して燃料ガス系内の不純物を外部に排出する燃料電池システムであって、発電一時停止状態における燃料ガス系内の不純物量が所定量を超えて増加した場合に、発電一時停止状態から発電状態への移行後に燃料電池へと供給される燃料ガスの圧力が所定の基準値を上回るように可変調圧弁の開閉動作を制御する制御手段を備えるものである。
また、本発明に係る燃料電池システムの制御方法は、燃料電池と、燃料供給源から供給される燃料ガスを燃料電池へと流すための燃料ガス供給流路を有する燃料ガス系と、燃料ガス供給流路を流通するガスの可変調圧を行う可変調圧弁と、燃料ガス系からガスを排出するためのパージ弁と、を備え、燃料電池の発電一時停止状態から発電状態への移行後にパージ弁を介して燃料ガス系内の不純物を外部に排出する燃料電池システムの制御方法であって、発電一時停止状態における燃料ガス系内の不純物量が所定量を超えて増加した場合に、発電一時停止状態から発電状態への移行後に燃料電池へと供給される燃料ガスの圧力が所定の基準値を上回るように可変調圧弁の開閉動作を制御する工程を備えるものである。
かかる構成及び方法を採用すると、燃料電池の発電一時停止状態において燃料ガス系内の不純物量が所定量を超えて増加した場合に、発電一時停止状態から発電状態への移行後に供給される燃料ガスの圧力を高め(所定の基準値を上回る値)に設定することができる。従って、発電一時停止状態から発電状態への移行後において燃料ガス系内の不純物の排出に比較的長い時間を要した場合においても、燃料電池の発電状態を安定させることが可能となる。なお、「発電一時停止状態」とは、燃料電池による発電を一時的に停止した状態を意味し、「発電状態」とは、燃料電池が継続的に発電を行っている状態を意味する。
前記燃料電池システムにおいて、燃料電池から排出された燃料オフガスを循環させるための循環ポンプを有する燃料ガス系を採用することができる。かかる場合に、発電一時停止状態から発電状態への移行後において、燃料ガス系の全容積におけるガスが循環ポンプにより置換されるまで、燃料電池へと供給される燃料ガスの圧力が所定の基準値を上回る状態を維持するように可変調圧弁の開閉動作を制御する制御手段を採用することができる。
かかる構成を採用すると、燃料電池の発電一時停止状態から発電状態への移行後に燃料ガス系の全容積におけるガスが循環ポンプにより置換されるまで(すなわち不純物が完全に排出されるまで)、燃料電池へと供給される燃料ガスの圧力を高め(所定の基準値を上回る値)のまま維持することができる。従って、発電一時停止状態に燃料ガス系内に蓄積された不純物を迅速かつ確実に排出することができるので、燃料電池の発電状態をより一層安定させることが可能となる。
また、前記燃料電池システムにおいて、可変調圧弁としてインジェクタを採用することができる。
インジェクタとは、弁体を電磁駆動力で直接的に所定の駆動周期で駆動して弁座から離隔させることによりガス状態(ガス流量やガス圧力)を調整することが可能な電磁駆動式の開閉弁である。所定の制御部がインジェクタの弁体を駆動して燃料ガスの噴射時期や噴射時間を制御することにより、燃料ガスの流量や圧力を精度良く制御することが可能となる。
本発明によれば、間欠運転から通常運転への復帰後において燃料電池の発電状態を安定させることができる燃料電池システムを提供することが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る燃料電池システム1について説明する。本実施形態においては、本発明を燃料電池車両(移動体)の車載発電システムに適用した例について説明することとする。
まず、図1を用いて、本発明の実施形態に係る燃料電池システム1の構成について説明する。
本実施形態に係る燃料電池システム1は、図1に示すように、反応ガス(酸化ガス及び燃料ガス)の供給を受けて電力を発生する燃料電池2を備え、燃料電池2に、酸化ガスとしての空気を燃料電池2に供給しかつ燃料電池2から酸化オフガスを排出するための酸化ガス系3と、燃料ガスとしての水素ガスを燃料電池2に供給しかつ燃料オフガスとしての水素オフガスを水素ガスとともに燃料電池2に循環させる燃料ガス系4と、が接続されている。燃料ガス系4は、水素オフガスを燃料ガス系4から排出可能な排気排水弁29を有し、排気排水弁29から排出される水素オフガスが希釈部5において酸化ガス系3から排出される酸化オフガス(空気)と混合されて外部に排出可能となっている。そして、システム全体が制御部6により統括制御されている。
燃料電池2は、例えば固体高分子電解質型で構成され、多数の単電池を積層したスタック構造を備えている。燃料電池2の単電池は、固体高分子電解質膜の一方の面に空気極(カソード)を有し、他方の面に燃料極(アノード)を有し、さらに空気極及び燃料極を両側から挟みこむように一対のセパレータを有している。アノード側のセパレータの流路に燃料ガスが供給されるとともに、カソード側のセパレータの流路に酸化ガスが供給されることで、燃料電池2は電力を発生する。
酸化ガス系3は、燃料電池2に供給される酸化ガスが流れる空気供給流路11と、燃料電池2から排出された酸化オフガスが流れる排気流路12と、を有している。空気供給流路11は、酸化ガスを取り込むコンプレッサ14と、コンプレッサ14により圧送される酸化ガスを加湿する加湿器15と、を備えている。排気流路12は、背圧調整弁16を備えるとともに加湿器15に接続されており、排気流路12を流れる酸化オフガスが、背圧調整弁16を通って加湿器15で水分交換に供された後、希釈部5に移送される。
燃料ガス系4は、高圧の水素ガスを貯留した燃料供給源としての水素タンク21と、水素タンク21の水素ガスを燃料電池10に供給するための燃料ガス供給流路としての水素供給流路22と、燃料電池2から排出された水素オフガスを水素供給流路22に戻すための循環流路23と、を備えている。なお、水素タンク21に代えて、炭化水素系の燃料から水素リッチな改質ガスを生成する改質器と、この改質器で生成した改質ガスを高圧状態にして蓄圧する高圧ガスタンクと、を燃料供給源として採用することもできる。また、水素吸蔵合金を有するタンクを燃料供給源として採用してもよい。
水素供給流路22には、水素タンク21からの水素ガスの供給を遮断又は許容する遮断弁24と、水素ガスの圧力を調整するレギュレータ25と、インジェクタ26と、が設けられている。また、インジェクタ26の下流側であって水素供給流路22と循環流路23との合流部の上流側には、水素供給流路22内の水素ガスの圧力を検出する圧力センサ27が設けられている。圧力センサ27で検出された水素ガスの圧力に係る情報は、制御部6に伝送されて、水素循環系の制御に用いられる。
レギュレータ25は、その上流側圧力(一次圧)を、予め設定した二次圧に調圧する装置である。本実施形態においては、一次圧を減圧する機械式の減圧弁をレギュレータ25として採用している。機械式の減圧弁の構成としては、背圧室と調圧室とがダイアフラムを隔てて形成された筺体を有し、背圧室内の背圧により調圧室内で一次圧を所定の圧力に減圧して二次圧とする公知の構成を採用することができる。
インジェクタ26は、弁体を電磁駆動力で直接的に所定の駆動周期で駆動して弁座から離隔させることによりガス流量やガス圧を調整することが可能な電磁駆動式の開閉弁である。本実施形態においては、図1に示すように、水素供給流路22と循環流路23との合流部より上流側にインジェクタ26を配置している。インジェクタ26は、水素ガス等の気体燃料を噴射する噴射孔を有する弁座を備えるとともに、その気体燃料を噴射孔まで供給案内するノズルボディと、ノズルボディに対して軸線方向(気体流れ方向)に移動可能に収容保持され噴射孔を開閉する弁体と、を備えている。本実施形態においては、インジェクタ26の弁体は電磁駆動装置であるソレノイドにより駆動され、このソレノイドに給電されるパルス状励磁電流のオン・オフにより、噴射孔の開口面積を2段階又は多段階に切り替えることができるようになっている。制御部6から出力される制御信号によってインジェクタ26のガス噴射時間及びガス噴射時期が制御されることにより、水素ガスの流量及び圧力が高精度に制御される。インジェクタ26は、弁(弁座及び弁体)を電磁駆動力で直接開閉駆動するものであり、その駆動周期が高応答の領域まで制御可能であるため、高い応答性を有する。
インジェクタ26は、その下流に要求されるガス流量を供給するために、インジェクタ26のガス流路に設けられた弁の開口面積(開度)及び開放時間の少なくとも一方を変更することにより、下流側(燃料電池2側)に供給されるガス流量(又は水素モル濃度)を調整する。なお、インジェクタ26の弁の開閉によりガス流量が調整されるとともに、インジェクタ26下流に供給されるガス圧力がインジェクタ26上流のガス圧力より減圧されるため、インジェクタ26を調圧弁(減圧弁、レギュレータ)と解釈することもできる。また、本実施形態では、ガス要求に応じて所定の圧力範囲の中で要求圧力に一致するようにインジェクタ26の上流ガス圧の調圧量(減圧量)を変化させることが可能な可変調圧弁としても機能する。
循環流路23には、気液分離器28及び排気排水弁29を介して、排出流路30が接続されている。気液分離器28は、水素オフガスから水分を回収するものである。排気排水弁29は、制御部6からの指令によって作動することにより、気液分離器28で回収した水分と、循環流路23内の不純物を含む水素オフガス(燃料オフガス)と、を外部に排出(パージ)するものであり、本発明におけるパージ弁の一実施形態として機能する。かかるパージを実行することにより、不純物量(不純物分圧及び不純物濃度)が低下し、燃料電池2に供給される水素ガスの濃度が上昇する。不純物分圧とは、例えば、水素タンク21から供給される水素ガス中に含まれる窒素ガス、酸化ガス系3から固体高分子電解質膜を透過して燃料ガス系4に供給される窒素ガス、燃料電池2の発電により生じた水蒸気、等の水素ガス以外の気体の分圧の総和である。また、循環流路23には、循環流路23内の水素オフガスを加圧して水素供給流路22側へ送り出す循環ポンプ31が設けられている。なお、排気排水弁29及び排出流路30を介して排出される水素オフガスは、希釈器5で排気流路12内の酸化オフガスと合流して希釈されるようになっている。
制御部6は、車両に設けられた加速用の操作部材(アクセル等)の操作量を検出し、加速要求値(例えばトラクションモータ等の負荷装置からの要求発電量)等の制御情報を受けて、システム内の各種機器の動作を制御する。なお、負荷装置とは、トラクションモータのほかに、燃料電池2を作動させるために必要な補機装置(例えばコンプレッサ14のモータや循環ポンプ31のモータ等)、車両の走行に関与する各種装置(変速機、車輪制御部、操舵装置、懸架装置等)で使用されるアクチュエータ、乗員空間の空調装置(エアコン)、照明、オーディオ等を含む電力消費装置を総称したものである。
制御部6は、図示していないコンピュータシステムによって構成されている。かかるコンピュータシステムは、CPU、ROM、RAM、HDD、入出力インタフェース及びディスプレイ等を備えるものであり、ROMに記録された各種制御プログラムをCPUが読み込んで所望の演算を実行することにより、後述するパージ制御など種々の処理や制御を行う。
具体的には、制御部6は、通常運転モードと間欠運転モードとの切り換えを行う。通常運転モードとは、トラクションモータ等の負荷装置への電力供給のために燃料電池2が発電を継続的に行う運転モードを意味する。間欠運転モードとは、例えばアイドリング時、低速走行時、回生制動時等のような低負荷運転時に燃料電池10の発電を一時的に休止し、バッテリやキャパシタ等の蓄電装置から負荷装置への電力供給を行い、燃料電池2には開放端電圧を維持し得る程度の水素ガス及び空気の供給を間欠的に行う運転モードを意味する。通常運転モードは本発明における発電状態に相当し、間欠運転モードは本発明における発電一時停止状態に相当する。
また、制御部6は、燃料電池2の間欠運転中における燃料ガス系4内の不純物量の増加分を推定する。そして、制御部6は、推定した不純物量の増加分が所定量を超えた場合に、間欠運転モードから通常運転モードへの移行後に燃料電池2へと供給される水素ガスの圧力を上昇させるようにインジェクタ26の開閉動作を制御する。この際、制御部6は、間欠運転モードから通常運転モードへの移行後に燃料ガス系4の全容積におけるガスが循環ポンプ31により置換されるまで、上昇させた水素ガスの圧力を維持する。すなわち、制御部6は、本発明における制御手段として機能するものである。
次に、図2のフローチャート及び図3のタイムチャートを用いて、本実施形態に係る燃料電池システム1の制御方法について説明する。
まず、制御部6は、起動時等に燃料電池2の構造に基づくシステム条件を設定する。システム条件としては、例えば、燃料電池2の各単電池の固体高分子電解質膜の有効面積に単電池数を乗じて得られる固体高分子電解質膜の有効面積や、固体高分子電解質膜の単位面積当たりの窒素ガスの透過率等が挙げられる。そして、制御部6は、起動後に通常運転モードを実現させるための制御を行う(通常運転制御工程:S1)。
通常運転制御工程S1において、制御部6は、要求される電力量を燃料電池2で発電するために各種機器を制御することにより、酸化ガスの調整や水素ガスの調整を行う。酸化ガスの調整は、酸化ガス系3におけるコンプレッサ14の回転数の制御や燃料電池2から排出される酸化オフガスの背圧の調整等により実現される。水素ガスの調整は、燃料ガス系4における遮断弁24やインジェクタ26の制御、循環ポンプ31の回転数の制御、排気排水弁29の制御等により実現される。
次いで、制御部6は、燃料電池2の運転モードを通常運転モードから間欠運転モードに切り換えるための条件(運転切替条件)が充足されるか否かを判定する(間欠運転開始判定工程:S2)。運転切替条件としては、例えば、要求電力量や発電量の経時変化が所定の閾値未満となること等を採用することができる。そして、制御部6は、間欠運転開始判定工程S6において運転切替条件が充足されるものと判定した場合に、図3(A)に示すように燃料電池2の運転モードを通常運転モードから間欠運転モードへと切り替える(間欠運転制御工程:S3)。間欠運転制御工程S3において、制御部6は、燃料電池2の発電を一時的に停止させ、蓄電装置から負荷装置への電力供給を行い、燃料電池2には開放端電圧を維持し得る程度の水素ガス及び空気の供給を間欠的に行う。
ところで、間欠運転モードを実現させて燃料電池2の発電を一時的に停止すると、燃料ガス系4内の不純物量が経時的に増加する。例えば、燃料電池2内の固体高分子電解質膜の窒素ガスの透過性に応じて、酸化ガス系3に残留した空気から燃料ガス系4に窒素ガスが透過して窒素ガス分圧が増加する。このため、制御部6は、間欠運転中における燃料ガス系4内の不純物量の増加分を推定し、推定した不純物量の増加分が所定量を超えた場合に、間欠運転モード終了時における水素調圧値(燃料電池2へと供給される水素ガスの圧力の目標値)を上昇させる。
本実施形態においては、制御部6は、図3(B)に示すように、間欠運転中における燃料ガス系4の不純物分圧の上昇分ΔPを推定する(不純物増加分推定工程:S4)。不純物分圧とは、燃料ガス系4内の水素ガス以外の気体全ての分圧であり、主として窒素ガス分圧と水蒸気分圧とに基づいて推定することができる。窒素ガス分圧は、主に燃料ガス供給源21から供給される水素ガス中に含まれる窒素分と、カソード側からアノード側へ透過する窒素分と、から算出することができる。また、水蒸気分圧は、燃料電池2の温度における飽和水蒸気圧により推定する。
次いで、制御部6は、不純物増加分推定工程S4で推定した不純物分圧の上昇分ΔPが所定値を超えるか否かを判定する(不純物増加分判定工程:S5)。そして、制御部6は、不純物増加分判定工程S5で不純物分圧の上昇分ΔPが所定値を超えるものと判定した場合に、間欠運転モード終了時における水素調圧値を、図3(C)に示すように、通常時の値(所定の基準値)P0を上回る値(上昇値P1)に設定する(水素調圧値設定工程:S6)。本実施形態においては、所定のマップを用いて、推定した不純物分圧の上昇分ΔPの値に対応する上昇値P1を設定する。
水素調圧値設定工程S6に次いで、制御部6は、間欠運転時間が経過したか否かを判定し(間欠運転終了判定工程:S7)、間欠運転時間が経過したものと判定した場合には、図3(A)に示すように、間欠運転モードを終了して通常運転モードへ移行する(通常運転再開工程:S8)。その後、制御部6は、図3(D)に示すように、排気排水弁28を開放して、燃料ガス系4に残留している不純物を含むガスを排出(パージ)するとともに、圧力センサ27で検出した水素ガスの圧力値が水素調圧値設定工程S6で設定した水素調圧値(上昇値P1)に一致するようにインジェクタ26の制御を行う(パージ・上昇調圧工程:S9)。
パージ・上昇調圧工程S9において、制御部6は、図3(C)に示すように、間欠運転モード終了直後から特定時間Tが経過するまで(間欠運転モード終了直後から燃料ガス系4の全容積におけるガスが循環ポンプ31により置換されるまで)、水素ガスの圧力を上昇値P1のまま維持する。そして、制御部6は、特定時間T経過後にインジェクタ26の制御を行って、水素ガスの圧力を通常の値P0に戻す。なお、パージにより排出された水素ガスは、希釈部5において酸化オフガスにより希釈される。その後、制御部6は、設定したパージ条件(特にパージ時間)を具備するまでパージを継続し、パージ条件を満たした場合にパージを終了し、一連の制御動作を終了する。
一方、制御部6は、不純物増加分判定工程S5で不純物分圧の上昇分ΔPが所定値以下であると判定した場合に、間欠運転モード終了時における水素調圧値を通常時の値(所定の基準値)P0としたまま、間欠運転時間が経過したか否かを判定し(間欠運転終了判定工程:S10)、間欠運転時間が経過したものと判定した場合には、間欠運転モードを終了して通常運転モードへ移行する(通常運転再開工程:S11)。その後、制御部6は、パージを行うとともに通常の調圧を行う(パージ・通常調圧工程:S12)。
以上説明した実施形態に係る燃料電池システム1においては、間欠運転モードにおける燃料ガス系4内の不純物量が所定量を超えて増加した場合に、間欠運転モードから通常運転モードへの移行後において供給される水素ガスの圧力を高め(所定の基準値P0を上回る値P1)に設定することができる。従って、間欠運転モードから通常運転モードへの移行後において燃料ガス系4内の不純物の排出に比較的長い時間を要した場合においても、燃料電池2の発電状態を安定させることが可能となる。
また、以上説明した実施形態に係る燃料電池システム1においては、間欠運転モード終了直後から燃料ガス系4の全容積におけるガスが循環ポンプ31により置換されるまで(すなわち不純物が完全に排出されるまで)、燃料電池2へと供給される水素ガスの圧力を高め(所定の基準値P0を上回る値P1)に維持することができる。従って、間欠運転中に燃料ガス系4内に蓄積された不純物を迅速かつ確実に排出することができるので、燃料電池2の発電状態をより一層安定させることが可能となる。
なお、以上の実施形態においては、排気と排水との双方を実現させる排気排水弁29をパージ弁として循環流路23に設けた例を示したが、気液分離器28で回収した水分を外部に排出する排水弁と、循環流路23内のガスを外部に排出するための排気弁(パージ弁)と、を別々に設け、制御部6で排気弁を制御することもできる。
また、以上の実施形態においては、燃料ガス系4内の不純物量として「不純物分圧」を採用した例を示したが、他の物理量(例えば「不純物濃度」)を採用することもできる。不純物量として「不純物濃度」を採用した場合には、制御部は、間欠運転中における燃料ガス系4内の不純物濃度の増加分を推定し、推定した不純物濃度の増加分が所定量を超えた場合に、間欠運転モード終了時における水素調圧値を上昇させる。
また、以上の実施形態においては、本発明に係る燃料電池システムを燃料電池車両に搭載した例を示したが、燃料電池車両以外の各種移動体(ロボット、船舶、航空機等)に本発明に係る燃料電池システムを搭載することもできる。また、本発明に係る燃料電池システムを、建物(住宅、ビル等)用の発電設備として用いられる定置用発電システムに適用してもよい。
本発明の実施形態に係る燃料電池システムの構成図である。 図1に示す燃料電池システムの制御方法を説明するためのフローチャートである。 図1に示す燃料電池システムの制御方法を説明するためのタイムチャートであり、(A)は間欠運転の時間履歴を示すもの、(B)は水素ガス系内における不純物分圧の時間履歴を示すもの、(C)は水素調圧値の時間履歴を示すもの、(D)はパージ動作の時間履歴を示すもの、である。
符号の説明
1…燃料電池システム、2…燃料電池、4…燃料ガス系、6…制御部(制御手段)、21…水素タンク(燃料供給源)、22…水素供給流路(燃料ガス供給流路)、26…インジェクタ(可変調圧弁)、29…排気排水弁(パージ弁)、31…循環ポンプ。

Claims (4)

  1. 燃料電池と、燃料供給源から供給される燃料ガスを前記燃料電池へと流すための燃料ガス供給流路を有する燃料ガス系と、前記燃料ガス供給流路を流通するガスの可変調圧を行う可変調圧弁と、前記燃料ガス系からガスを排出するためのパージ弁と、を備え、前記燃料電池の発電一時停止状態から発電状態への移行後に前記パージ弁を介して前記燃料ガス系内の不純物を外部に排出する燃料電池システムであって、
    前記発電一時停止状態における前記燃料ガス系内の不純物量が所定量を超えて増加した場合に、前記発電一時停止状態から前記発電状態への移行後に前記燃料電池へと供給される燃料ガスの圧力が所定の基準値を上回るように前記可変調圧弁の開閉動作を制御する制御手段を備える、
    燃料電池システム。
  2. 前記燃料ガス系は、前記燃料電池から排出された燃料オフガスを循環させるための循環ポンプを有し、
    前記制御手段は、前記発電一時停止状態から前記発電状態への移行後において、前記燃料ガス系の全容積におけるガスが前記循環ポンプにより置換されるまで、前記燃料電池へと供給される燃料ガスの圧力が所定の基準値を上回る状態を維持するように前記可変調圧弁の開閉動作を制御するものである、
    請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記可変調圧弁は、インジェクタである、
    請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
  4. 燃料電池と、燃料供給源から供給される燃料ガスを前記燃料電池へと流すための燃料ガス供給流路を有する燃料ガス系と、前記燃料ガス供給流路を流通するガスの可変調圧を行う可変調圧弁と、前記燃料ガス系からガスを排出するためのパージ弁と、を備え、前記燃料電池の発電一時停止状態から発電状態への移行後に前記パージ弁を介して前記燃料ガス系内の不純物を外部に排出する燃料電池システムの制御方法であって、
    前記発電一時停止状態における前記燃料ガス系内の不純物量が所定量を超えて増加した場合に、前記発電一時停止状態から前記発電状態への移行後に前記燃料電池へと供給される燃料ガスの圧力が所定の基準値を上回るように前記可変調圧弁の開閉動作を制御する工程を備える、
    燃料電池システムの制御方法。
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