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JP2008506461A - 生物医学的なインプラントのための電極の多孔性コーティング - Google Patents

生物医学的なインプラントのための電極の多孔性コーティング Download PDF

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Abstract

【課題】 植え込み可能な電極のためのコーティングを提供すること。
【解決手段】 植え込み可能な電極は、生物医学的に適合性を有し、微視的に粗く、高二重層容量を形成する金属コーティングを備える。このコーティングは、物理蒸着法によってインプラントに施される。コーティングは、概ね斜方の被覆剤、もしくは低エネルギーの被覆剤を介して施される。いくつかの実施例では、コーティングは小孔を有する。この小孔は、ある期間にわたって拡散できる薬剤を入れることができる。コーティングは、インプラントを腐食から保護するため、部分的に無孔であってもよい。
【選択図】図1

Description

開示の内容
〔関連出願のクロスリファレンス〕
本願は、2004年7月13日に出願した米国仮出願第60/587,408号の利益を主張し、あらゆる目的のために、その開示内容全体を参照することによって本願に組み入れる。
〔発明の技術分野〕
本発明は、一般的に医療装置に関し、特に、電極を有する植え込み可能な医療装置とその医療装置を製作する方法に関する。
〔発明の背景〕
人体内の低電圧信号を検出して送達することは極めて重要な技術となった。例えば、患者の心拍を調整するための心臓ペースメーカーや、痛みを司る神経へ刺激を加える装置などがある。
心臓ペースメーカーは、電源と、心臓への/からの低電圧信号を伝える導線とを含むパルス発生器から成る。この発生器は、心臓を適切に鼓動させる電気的な刺激を発生させる回路を備え、心臓により発生する小電圧を検出し反応することができる。心筋を刺激する電極はエフェクターとして知られており、心臓からの信号を検出する電極はセンサーとして知られている。発生器は、患者の鎖骨近傍に配置されることが多く、その場合、導線は左鎖骨下静脈などの血管を通じて心臓へ到達させることができる。エフェクターもしくはセンサー導線の近位端は発生器に接続され、遠位端は患者の心臓に植え込まれる。
このような導線の遠位端と心臓の心筋組織との間の電気的接触の特性は極めて重要であり、ペースメーカーの導線の設計を最適化するために多大な研究がなされてきた。例えば、広く知られることだが、導線端部と周囲組織との間の、高二重層容量(high double layer capacitance)、すなわち約10〜100ミリファラド(mF)/cm2の範囲の容量が極めて重要である。好ましくは、エフェクター電極のための高容量は、刺激パルスに付随する分極の発生を少なくする。また、センサー電極のための高容量は、望ましくは、電源インピーダンスを低下させ、発生器の増幅器における信号の減衰を低減させる。最後に、電極材料は、生物学的に不活性で、長期にわたり安定しなければならない。
高二重層容量を形成する1つの方法は、大きな表面積を有する電極を用いることである。表面積を大きくしながら電極の全体的な大きさを小さく保つために、先行技術の方法のひとつに、極めて多孔性の構造を有する導電体の焼結粉末を用いるものがある。例としては、焼結した粉末のタンタル、チタニウム、ニオビウム、ジルコニウム、プラチナ、ガラス状炭素、およびコバルトクロム合金などがあり、これらは、米国特許第4,440,178号、第5,282,844号、および第4,934,881号の主題である。また、伝導電極に接続された多孔性の不伝導基体も先行技術に記載されており、これは、米国特許第4,784,161号、および第4,844,099号の主題である。これらの先行発明は電極の容量を上げるが、一般的に、容量を十分に上げるものではない。
広い表面積を形成するための、先行技術で知られる別の方法としては、植え込まれた電極の遠位端に多孔性のコーティングを施すことである。多孔性コーティングの好ましい二重層容量は、10〜100mF/cm2の範囲内であり、これは、前段落で説明した焼結粉末の電極の二重層容量よりも極端に大きい。このようなコーティングを施す好ましい方法は物理蒸着法である。先行技術のコーティング材料は、チタニウム、バナジウム、ジルコニウム、ニオビウム、モリブデン、ハフニウム、タンタル、もしくはタングステンを含む群における金属の炭化物、窒化物、もしくは炭窒化物などがある。これらの化合物は、非常に粗い多孔性の微細構造をもたらすコーティング条件下で物理蒸着法によって製造することが可能である。このことは、米国特許第4,603,704号、第4,611,604号、第5,991,667号、および出願公開第2001/0032005A1号の主題である。これらの材料の中の窒化チタンは、これらの出願の中においてほとんど独占的に使用されている。しかしながら、窒化チタンの長期にわたる化学的安定性は問題である。
米国出願公開第2001/0032005A1号は、多孔性の窒化チタン表面を保護するためにイリジウムもしくは酸化イリジウムの層をその多孔性の窒化チタン表面に堆積させることによって窒化チタンの安定性の問題に取り組んでいる。この特許出願において、発明者は、イリジウムと酸化イリジウムが、組織適合性の観点から好ましいと説明しているが、イリジウム金属と酸化イリジウムのどちらも所望の微細構造を備えた状態で製造することはできない。
さらに、心筋組織は、一度決まった位置から動かないよう電極先端に強く結合しなければならない。したがって、植え込まれた電極の遠位端は、必須の電気特性を有する必要があるだけでなく、コーティングは、導体先端にしっかり接着するべきである。
したがって、必要なことは、約10〜100mF/cm2の範囲の容量を有し、化学的に安定している、植え込み可能な電極である。加えて、電極は製造し易いことが望ましい。
〔発明の概要〕
本発明は、本体と、物理蒸着法によって少なくとも本体の一部に施された、生物医学的に適合性のある、微視的に粗い金属コーティングとを備えた、植え込み可能な電極に関するものである。
電極は、約10〜1000mF/cm2の間の容量を有する。コーティングは、好ましくは、10nm〜1000nmの間のサイズを有する表面特長部を有する。これらの特徴部のサイズは可変である。コーティングは、タンタル、チタン、モリブデン、バナジウム、ハフニウム、ニオビウム、タングステン、プラチナ、およびジルコニウムからなる群のうち1つを備えることができる。コーティングは1〜100μmの厚さを有することが好ましい。適切な実施例では、コーティングは小孔を有する。薬物はこの小孔の内部に入れることができる。
電極は、第2のコーティングを有してもよい。第2のコーティングは電極に直接施してもよく、微視的に粗く、好ましくは多孔性であるコーティングは、第2のコーティングに適用可能である。状況次第で、第2のコーティングは電極を腐食から保護し、また、無孔性であってもよい。
物理蒸着法は、スパッタリング、陰極アーク蒸着もしくは熱蒸発からなる群のうち1つを含む。コーティングは、概ね斜方の被覆剤もしくは低エネルギーの被覆剤の1つを介して、電極に施されることが好ましい。
植え込み可能な電極の高容量部を製作する工程は、
少なくとも1つのスパッタターゲットを含むスパッタコーティングシステム内のガスのバックグラウンド圧力を維持するステップと、
スパッタリングを行うためにターゲットに電圧を供給するステップと、
所与の時間スパッタリングを行い、微視的に粗い金属コーティングを電極の一部に作り出すステップと、
を備える。
植え込み可能な医療装置は、
本体と、
物理蒸着法によって少なくとも本体の一部に施された、生物医学的に適合性のある、微視的に粗い金属コーティングと、
を備える。
本発明における、これらおよび他の特徴、態様および利点は、以下の説明、付属の特許請求の範囲および添付図面によって、一層理解されるであろう。
本発明は、約10〜100mF/cm2の範囲の容量を持つ微視的に粗い外部コーティングを有する植え込み可能な電極に関する。好ましい実施例のコーティングもまた、電極の本体に十分に接着し、天然組織への電極の接着を向上させる。好ましい電極は非常に安定しており、心臓ペースメーカーに使用するには理想的である。
微視的に粗いとは、小孔、隆起部、窪みもしくはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない、数十nm〜数百nmの大きさの表面特徴部を有することを意味する。これらの特徴部は走査電子顕微鏡を用いて見ることができる。しかしながら、多孔性コーティングは、無孔性のコーティングより高い容量を有するので、表面特徴部は、小孔を含むのが好ましい。
コーティングは、好ましくは、スパッタリング、陰極アークもしくは熱蒸発のような物理蒸着法によって施される。いくつかの例では、コーティングはまた、炎症の防止もしくは組織増殖の促進など様々な目的を対象とした材料が注入されてもよい。
タンタルは、生物医学的な適合性および耐食性を備え、本願で述べる微視的に粗いコーティング形成のためには素晴らしい材料であるが、以下に限定されるものではないが、チタン、バナジウム、モリブデン、ニオビウム、ハフニウム、ジルコニウム、タングステン、プラチナ、およびこれらの組み合わせなど、他の材料も使用可能である。また、タンタルの結晶構造を確実に制御できることも見出した。
図1は、本発明にしたがって作られた遠位端12と導線14の一実施例の構造を概略的に示す。導線14はそれ自体、通常、柔軟な導体16で製作され、絶縁シース18でカバーされている。この導体16は、構造の全体的な柔軟性を増大させるために、螺旋状に巻いた細い線でもよい。導線14の近位端(図示せず)は、発生器(図示せず)に接続され、センサー導線の場合には検出信号を提供し、エフェクター導線の場合にはペース信号を送信する。この構造は、例えば米国特許第4,603,704号に開示されている。導線14と電気的に接触する伝導先端部17は、タンタルもしくは他の適切な金属を備えた多孔性のコーティング10によって覆われる。
コーティングにおける低い相同温度(low homologous coating temperatures)(ケルビン目盛でのコーティング材料の融点に対する基体温度の比率)によって微視的に粗い多孔性のコーティングがしばしばもたらされることは、物理蒸着法の分野でよく知られている。しかしながら、これらのコーティング条件からコーティングの乏しい接着もよく結果として発生する。にもかかわらず、正しい条件下で堆積した粗い多孔性のコーティングが、容認できない剥離なしに、生物医学的な電極に利用された種類の材料に接着可能であることを予想外に見出した。
堆積条件およびシステムの幾何学的形状が、結果として得られるコーティングの構造に与える影響を研究するために多くの実験がなされた。すべての場合において、ここで「基体(substrates)」と呼ばれることもある電極材料は、超音波槽において暖かい水性のクリーナーで洗浄された。水3.79L(1ガロン)当たり226.80g(0.5ポンド)に希釈されたクレスト270クリーナー(Crest 270 Cleaner)(登録商標)(クレスト・ウルトラソニック・インク(Crest Ultrasonic Inc.))が、55℃の温度で使用された。この超音波洗剤洗浄は10分間行われた。その後基体は、超音波で撹拌された水道水で2分間、超音波で撹拌された脱イオン水で2分間、すすがれた。それらは、その後窒素で乾燥され、さらに熱風で乾燥された。基体を洗浄する方法は、極めて重要であることが分かった。基体は超音波によってアセトンおよびイソプロピルアルコール中で洗浄されると、不十分な接着を結果としてもたらす残留物が、基体上で見られることがあった。
従来の洗浄に加え、コーティングの工程と一体化した部分としてプラズマ洗浄を用いることができる。この場合、基体をスパッタ洗浄して残留汚れを取り除くために、最初の高電圧が基体に供給される。最初の高電圧は、好ましくは、約100〜600Vの間で、好ましくは約20分間供給される。この洗浄は、堆積源を除いた状態で(deposition source off)行うか、堆積の最初の段階で行うことができる。このような洗浄の時間は、1分より短い時間から数分間まで行うことができる。第2の低電圧は、好ましくは約1〜5時間供給することができる。
参照して本願に組み入れる、米国特許第6,497,803号に開示されている、2つの異なる不安定な円筒型のマグネトロンスパッタリングシステムが、コーティングを堆積させるために使用された。図2および図3は、システム1の構成を示す。システム1は、10cmだけ離間した直径34cm、高さ10cmのターゲット20を有する。システム2はシステム1と同様であるが、図2および図3に示される、直径19cmの上部ターゲットのみを使用する。好ましくは、アルゴン、クリプトン、もしくはキセノンが、スパッタリングガスとして用いられ、いくつかの場合には他のガスと混合されて用いられた。一般的には、ターゲットは円筒型もしくは平面、または当技術分野で知られる他の形状としてもよい。これらのターゲットは直流電力もしくは交流電力のいずれかで駆動された。真空ポンプ、電源装置、気体流量計、圧力測定装置などの当業者に知られる他の装置は、明瞭性のために図2および図3から除外されている。
当業者によく知られる方法により、2つの独立した電源は直流電力の場合に使用され、双方のターゲットに接続された単独の電源は交流電力の場合に使用されることが好ましい。電圧は、継続的に、もしくはパルス状や当技術分野で知られる他の方法によって供給することができる。好ましくは、この電圧によって、1〜5μm/hの堆積速度が生じる。
スパッタリングターゲット20は、堆積を始める前に、工程における電力および圧力で、約10分間予め調整が行われた。このステップの間、シャッターによりターゲット20と基体22を分離させた。重要なことには、この事前調整工程によってシャッターを熱し、基体22の温度を上げた。この予備加熱によって、基体22はさらにガスを排除し、コーティングステップの実際の温度に近づくことが可能となった。基体22は、堆積の間、いかなる方法でも直接の加熱もしくは冷却はされず、コーティング工程によって基体の時間−温度の履歴が完全に決定された。スパッタリングの間、基体の温度はセ氏150〜450度の間を維持することが好ましい。これは、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)およびニオビウム(Nb)などの材料にとって、極めて低い相同温度である。シャッターを開放した後、コーティング時間を調整して、コーティングの厚さを約10μmとした。4kWの電力で、タンタルは2時間15分、2kWの電力で4時間30分の時間をかけた。明瞭性のために、これらはタンタルの10μmのコーティング厚を達成する時間/電力の組み合わせとする。以下のいくつかの例において、コーティング時間は前述のものから変更される。この場合、コーティング厚も変化する。
例1
電解研磨されたニッケルチタン合金の基体22は、図2および図3に示すように、システム1において3箇所に配置された。
位置A−基体22は、軸が陰極の中心線から約7cmの垂直軸の周囲を回転する、直径10cmのプレート24上に保持された。基体22の縦の位置は上部陰極の中心であった。最終的に、各基体は、小さな「キッカー(kicker)」によって当技術分野で知られる方法で自軸の周りを定期的に回転させられた。
位置B−基体22は、チャンバの中心線から約7cmに位置する回転軸から吊るされた。基体22の縦の位置は上部陰極の中心であった。
位置C−基体22は、位置Aのように、陰極の中心線から約7cmの垂直軸の周囲を回転する、直径10cmのプレート24上に配置された。しかしながら、位置Cにおける基体22の縦の位置は、上部の陰極と下部の陰極の中ほどのチャンバの中心であった。最終的には、各基体は、「キッカー」によって自軸の周りを定期的に回転させられた。
ターゲット20はタンタルであり、それぞれが2kWの直流電力で駆動された。コーティングの間、−150Vのバイアスが基体22にかけられた。スパッタリング圧力は0.45Pa(3.4ミリトル)であり、スパッタリングガスはクリプトンである。コーティング時間は2時間15分で、約10μmのコーティング厚となった。
3箇所の位置の基体22の外観において著しい違いがあった。位置Aおよび位置Bの基体は光沢があり、金属的であり、一方、位置Cの基体はくすんだ光沢の無い金属的な外観を有していた。
例2
コーティングの外観についてチャンバ内の基体位置の影響をさらに探求するため、実験を行い、この実験では、上部のタンタルのターゲットのみを、システム1において2kWの電力で動作させた。スパッタリング圧力は0.45Pa(3.4ミリトル)で、スパッタリングガスはクリプトンであり、コーティング時間は3時間20分であった。ニッケルチタン合金の基体22は、図2および図3に示すように、位置BおよびCに配置された。
位置Bの基体は光沢があり、金属のようであった。位置Cの基体は上部がやや光沢を持つが下部は黒色であった。黒色の外観は、可視光線の散乱および吸収のために、数百nmの微視的な特徴を備えた表面に起因することがあることはよく知られている。
コーティングの接着は、3Mスコッチブランドのテープを使用して検証された。このテープを基体22に押し付け、剥がした。位置Bにおいては、基体からかなりのコーティングを取り除いたが、位置Cにおいては、ただ1箇所の小さな点の剥がれが基体の上部にあり、黒色の外観の下部からの剥がれはなかった。
この実験において、位置Cの基体は、位置Bにおける基体よりも概してより斜方であり、低エネルギーの被覆剤を受けた。斜方の被覆剤(oblique coating flux)は、堆積する原子の大多数が、コーティングされている表面に概ね垂直でない方向で到着することを意味する。上部ターゲットから位置Cの基体表面に届いたいくつかの原子は、バックグラウンドのスパッターガスとの衝突により大きなエネルギーもしくは方向性を失うことなく到着する。図3に示されたように、ほとんどが基体の近傍のターゲットの一部から来るこれらの原子は、斜方の被覆剤を形成する。他の原子は数回バックグラウンドガスとの衝突に遭い、基体表面に届く前にエネルギーおよび方向性を失う。通常、遠方のターゲットの一部から来るこれらの原子は、低い平均エネルギーの被覆剤を形成する。
ウエストウッド(Westwood)は、「ダイオードスパッタリングシステムにおける堆積速度の計算(Calculation of deposition rates in diode sputtering systems)」(W.D.ウエストウッド(W. D. Westwood)、ジャーナル・オブ・バキュームサイエンス・アンド・テクノロジー(Journal of Vacuum Science and Technology)、第15巻、ページ1、(1978年))の中で、タンタル原子のエネルギーがバックグラウンドガスのエネルギーに減衰する前に、タンタル原子がアルゴン中、0.45Pa(3.4ミリトル)で進む平均距離は、約15〜30cmの間のバックグラウンドガスの、3.4mTorr(0.45Pa)であると、計算している。(この距離は、クリプトン中ではやや短く、正確な値はタンタル原子の初期のエネルギーに依存する。)円筒型のターゲット20の内径が約34cmであるために、ターゲット(位置AおよびB)の平面に配置された基体22は、より多数の、高エネルギーの垂直入射原子を受け、ターゲット20の間(位置C)に配置された基体は、より多数の低エネルギーおよび/もしくは斜角で入射する原子を受け取る。
図2および図3に示す円筒型マグネトロンの構造の幾何学的形状は、位置Cに配置された基体22の表面に到着する原子が、比較的傾いた角度、もしくは比較的低いエネルギーのいずれかにおいても、到着することを確実にする。図3を参照すると、基体22が、到着するタンタル原子がほとんどエネルギーを失っていないターゲット20に近い場合、原子は傾いた角度で到着する。基体22が、到着する角度があまり斜めではないチャンバの中心に近づくと、基体は、ターゲット表面からさらに離れるので、到着するタンタル原子は、ガス衝突を通じてより多くのエネルギーを失っている。
通常は、スパッタリングされた原子は、数電子ボルト(eV)の平均運動エネルギーでターゲット表面を離れる。ウエストウッドが述べるように、バックグラウンドガスと数回衝突した後、スパッタリングされた原子は、運動エネルギーのほとんどを失う。低いエネルギーによって、約1eV以下の平均エネルギーを有する、スパッタリングされた原子に言及している。ウエストウッドの計算は、所定のスパッタリング圧力の、この低い平均エネルギーの達成に必要なターゲットと基体との間隔を概算するために、利用することが可能である。さらに、蒸着によって堆積された原子が蒸着源を離れる場合に、約1eV未満の平均エネルギーを有することは、当業者によく知られている。したがって、チャンバ内のガスからの散乱は、蒸着されたコーティングの場合に低エネルギーの被覆剤を作り出すために必要ではない。
物理蒸着法(PVD)の工程における原子が、低エネルギーもしくは傾いた角度で基体の表面に到着する場合、ほぼ垂直の入射角もしくは高エネルギーで到着する原子で形成されたコーティングよりも、結果的により粗い表面および低密度のコーティングとなることは当技術分野で広く知られている。前述したように、位置Cにおけるコーティングの黒い外観は、数十nm〜数百nmの大きさのコーティングの粗さの結果であろう。当業者は、説明したこの粗い多孔性のコーティングが、スパッタリングおよび蒸着させた材料のための、ゾーン1コーティングと時々呼ばれることを認識するであろう(例えば、「高速厚膜成長(High Rate Thick Film Growth)」、ジョン・ソーントン(John Thornton)、アニュアル・レビュー・オブ・マテリアル・サイエンス、1977年、ページ239〜260を参照のこと)。ゾーン1コーティングは、柱と柱の間の隙間を有する柱状構造によって特徴付けられる。このようなコーティングを作り出す堆積条件は、通常、弱い接着となる。意外なことに、このようなコーティングにおける素晴らしい接着が、本発明の方法によって形成されることを見出した。
例3
コーティングの幾何学的形状とスパッタリング条件の重要性についてのさらなる証拠が、図3および図4に示す以下の実験で見られる。多くのタンタルコーティングは、システム1におけるニッケルチタン合金の基体22上で、クリプトンを用い、圧力0.45Pa(3.4ミリトル)で、1kWの直流電源を各ターゲットに与え、−50Vのバイアスと、図3の位置Cに示すプレート24とによって行われた。前述同様に、基体22は、垂直ロッドの周り、ならびに自軸の周りで回転する。この実験における位置の効果を上げるため、10cmの長さの基体22が用いられた。この方法で行われたコーティングは、下部がつや消しの黒色であるが、上部はわずかに光沢がある外観を有していた。対照的に、第2のプレート24が図4に示すように基体の上部に配置されたことを除き、理想的な条件下で基体22のコーティングを行った場合、基体は下部から上部へ均一な黒色となった。
図3に示す固定具によって生じた不均一の外観は、コーティング構造が、どのように基体22およびスパッタターゲット20を互いに位置させるかの詳細に依存しているさらなる証拠である。前述のごとく、基体22が図4の位置Ciに配置される場合、基体は、極めて傾斜した入射角の材料を、近接したターゲット20の部分から受け取り、一方、ターゲットの他の部分から到着するコーティング材料はさらに長距離を移動しなければならない。したがって、全ての被覆剤は、傾斜した入射角で到着するか、もしくはかなりの距離を移動しなければならず、エネルギーおよび方向性がスパッタリングガスとの衝突を通じて失われる。しかしながら、基体22が図4の位置Ciiに配置される場合、基体は、全ての方向からやや小さく傾いた角度でコーティングを受け取る。一方、図3に示す構造において、基体22の下部は、これらを保持する平面24によって、下部のターゲットからのより直接的な被覆剤から保護されるが、基体22の上部は、上部ターゲットから来る、より直接の被覆剤からは同様に保護されない。図4に示すように、基体22の上方にもプレート24をさらに加えることによって、より直接的な被覆剤が基体上の全ての場所で遮蔽され、コーティング材料は比較的傾いた入射角で到達するか、またはバックグラウンドガスから散乱した後、エネルギーおよび方向性を失って到達する。基体22の上方のプレート24は、対称性を復元し、基体へのコーティングは均一な黒色になる。
例4
基体22をチャンバ内部で位置決めおよび移動する他の方法もまた、前述の方法と類似した結果を生み、本発明の範囲内である。別の実験において、3つのニッケルチタン合金の基体22は、図5および図6に示すように、システム1に配置された。図5は基体の位置の上面図であり、図6は同じ構成の断面図である。3つ全ては、チャンバ内のそれぞれの位置で固定して保持され、コーティングが行われている間、個々の軸の周りで回転させられる。最内部の基体は、陰極の中心線から3cm、中間の基体は陰極の中心線から7cm、また最外部の基体は、陰極の中心線から11cmである。タンタルの堆積は、各ターゲットに対し1kWの直流電力、クリプトンの圧力は0.45Pa(3.4ミリトル)、基体22は−50Vでバイアスして行われた。3つ全ての基体22は、つや消しの黒色の外観であり、テープテストによる基体からのコーティングの剥がれはなかった。したがって、陰極内のほぼ半径方向の位置に配置され、各自軸について回転する基体22は、軸方向のターゲット間に配置される場合に十分なコーティングを受ける。
衝突を介して到着する原子のエネルギーを減少させるために、傾斜した入射角のコーティング、もしくはターゲットから基体までの大きな距離に代わるものとして、スパッタリングガスの圧力の増加がある。高いスパッタリング圧力が、微視的に粗い表面を備えた密度の低いコーティングを導くことは当技術分野で広く知られている。しかしながら、このアプローチではあまり望ましくない結果になりうることを見出した。
スパッタリングは、連続的なガスの流れの条件下で行われる。すなわち、スパッタリングガスは、一定の速度でチャンバの内部に入れられ、同じ速度でチャンバから出されることで、結果として固定圧力が生じ、チャンバのガスが連続的に取り除かれる。この流れは、コーティングの最中に、システムから生じる、例えば水蒸気などの不要なガスを排除するために必要である。これらの不要のガスは、成長するコーティングに取り込まれてその特性に影響する可能性がある。
拡散ポンプ、ターボ分子ポンプ、および低温ポンプなどの、スパッタリングに用いられる高真空ポンプは、その開口部が許容できる圧力について制限される。したがって、高いスパッタリング圧力を得るために、このようなポンプを「絞る(throttle)」こと、もしくはチャンバの圧力がポンプの圧力よりも極めて高くなる制限を許容するポンプの開口部に配置することが必要であることはよく知られている。このような「絞り」は、必然的にチャンバを通るガスの流れ、もしくはガスの処理量を減少させる。意外にも、接着コーティングは、比較的低いスパッタリング圧力で唯一実用的である、大きなガス処理量および高いポンプの速度を持つことに依存することを見出した。スパッタリングの最中、ガスの処理量は、約133.32Pa‐L/秒(約1トル‐L/秒)〜約1333.22Pa−L/秒(約10トル‐L/秒)が好ましいことを、結果は示している。
例5
1つの実験において、内径19cm、長さ10cmの、システム2における単独のターゲット20が、電解研磨されたニッケルチタン合金の基体22を、タンタルを用い、アルゴン中でスパッタリング圧力4.00Pa(30ミリトル)でコーティングするために利用された。この圧力を得るためには、真空システムにおけるターボ分子の高真空ポンプを絞ることが必要である。このコーティングの間のアルゴンの流れは、83.99Pa−L/秒(0.63トル‐L/秒)であり、絞られた毎秒21Lのポンプ速度に対応している。基体22は、ターゲット表面から約9cmの、ターゲット20の中心に配置された。ターゲットへの直流のスパッタリング電力は200Wであった。ウエストウッドの計算によれば、熱運動速度に達する前に、4.00Pa(30ミリトル)でのアルゴン中をタンタル原子が移動する平均距離は、1.7〜3.4cmであり、その初期エネルギーに依存する。したがって、これらのコーティング条件は、極めて低密度の微視的に粗いコーティングを生じるはずである。コーティングした基体の黒色の外観によって、極めて低密度の微視的に粗いコーティングであったことが確認された。しかしながら、コーティングは、非常に不十分な接着性を有していた。
例6
他の実験において、タンタルコーティングは、図3に示すごとく、システム1を使用して位置Cのニッケルチタン合金の基体22上に施される。スパッタリングガスは0.45Pa(3.4ミリトル)の圧力でのクリプトンであった。各ターゲット20への1kWの直流電力が、−50Vの基体のバイアスとともに使用された。クリプトンの流れは28cm3/分(標準状態換算)(standard cubic centimeters per minute)、もしくは48.00Pa−L/秒(0.36トル‐L/秒)であった。0.45Pa(3.4ミリトル)の圧力では、これは、この工程の間の104L/秒の絞られたポンプ速度に対応する。形成された黒色コーティングは、粘着テープテストを行うといくつかの場所で接着不全であった。
このときポンプの絞りの位置が変更され、クリプトンの流れは200cm3/分(標準状態換算)、もしくは337.30Pa−L/秒(2.53トル‐L/秒)に増加された。コーティングは、位置Cにて前と同じ電力、圧力およびバイアスレベルで基体22上に行われた。唯一異なることは、この工程における絞られたポンプ速度が744L/秒であったことである。この場合、テープテストでは基体からのコーティングの剥がれはなかった。
前述の結果に基づいて、適切な接着は、高いスパッタリング圧力を得るために必要な通常必要とされる少ないガス処理量では達成できないと結論付ける。スパッタリング圧力およびシステムの幾何学的形状は、被覆剤が基体の表面に、高い入射角で届くように、もしくはスパッタリングされた原子が、そのエネルギーを著しく減少させるためターゲット20から十分長い距離を移動した後で到着するように、共に選択しなければならない。
例7
他の材料へのこれらのコーティングの有効性をテストし、それらの構造を検討するため、電解研磨されたステンレススチールの基体22が、図3に示されるように、システム1における位置Cに配置された。このシステムは、各タンタルのターゲット20に1kWのスパッタリング電力、基体22にかけられた−50Vのバイアス、0.45Pa(3.4ミリトル)の圧力で、333.31Pa−L/秒(2.5トル‐L/秒)の処理量で作動された。堆積時間は2時間15分であった。
コーティングは黒色であった。基体22へのコーティングの接着は、テープテストを用いて評価され、いくつかの試みによってコーティングを取り除くことはできなかった。さらに、コーティングしていない類似の基体に対してよりもコーティングされた基体22にテープは一層しっかりと貼りついた。これは、表面において、粗い多孔性構造が存在することを示す。
図7は、ステンレススチール基体22上におけるタンタルコーティングの走査電子顕微鏡写真を示す。基体22は極めて滑らかで、コーティングによって生じる表面の粗さと開放的な構造を明瞭に見ることが可能である。多くの表面特徴部が1μmより小さなサイズを有する。このコーティングのX線回折走査は、コーティングのほとんど全体が、体心立法相のタンタルから成ることを示す。円筒型のマグネトロンの幾何学的形状が、前述のごとく、有効な方法で、傾いた入射角のコーティングを可能にする一方、平面のターゲットを用いて同じ結果が得られる。平面のターゲットの場合、要求されることは、ターゲットと基体との大きな距離を得られるように、ターゲット表面から十分遠くに基体22を配置することである。これとは別に、基体22は、材料が大きな入射角で到着するように、平面のターゲット50の側面に配置することが可能である。この構造は図8に示される。当然ながら、平面のターゲットの場合に示される基体の位置は、コーティング材料を非効率的に利用し、堆積速度を大きく低減させ、製造の観点から望ましくない。にもかかわらず、図8はどのように発明の方法が円筒型のマグネトロン以外の幾何学的形状に使用されるかを示す。
例8
また、初期のコーティング条件によって、優れた接着を保護すると同時にコーティングの微視的構造および結晶相に影響することも見出した。1つの実験において、基体22は、直径34cmのターゲット20と共に、図3に示される構成を用いたシステム1における位置Cに設置された。シャッターが閉じられ、2つのタンタルのターゲット20が、2kW(各1kW)、0.48Pa(3.6ミリトル)のクリプトン圧力、337.30Pa−L/秒(2.53トル‐L/秒)のクリプトン流量で動作させられた。5分後、シャッターは閉じられたままであるが、プラズマ洗浄のために、−200Vの電圧が基体22にかけられた。さらに5分経過後にシャッターが開放され、−200Vのバイアスが依然として基体22にかけられた状態でコーティングが開始された。これらの条件は2分間維持され、2分経過した時点で基体22の電圧は−50Vに落とされ、コーティングはこれらの条件下で3時間堆積した。これらの基体22上での明らかな剥がれはなかった。
初期の5分間のプラズマ洗浄および2分間の−200Vのバイアスによるスパッタリングを除き、前述した例における条件は、図7に示した構造および体心立方格子の結晶相を形成する、例7に用いた条件と同じであった。図9は、微視的構造は初期条件によって変化することを、結果として得られたコーティングが示す、原子間力顕微鏡画像である。図7および図9の特徴部は同様で、双方とも微視的に粗い多孔性のコーティングであるが、綿密な分析結果は、図7における構造が約100〜200nmの大きさであり、図9の構造は約2倍の大きさであることを示している。さらに、X線回折パターンは、図9に示されたこのコーティングの結晶相が、いくつかの体心立方格子を有する、本質的に正方晶系であることを示す。
例7および例8は、様々なコーティング条件が、前述した微視的に粗い多孔性の構造を形成するために使用可能であることを示す。さらに、それらはまた、コーティング条件の適切な選択を通じて、微視的構造および結晶相の制御が可能であることを示す。
非常に多孔性のコーティングと優れた接着の組み合わせは大変な驚きである。斜方の被覆剤、加熱されたコーティング原子、および低い相同温度は、隙間のある柱状のコーティング構造および微視的に粗い表面を作り出すことでよく知られている。しかしながら、このようなコーティングは通常、非常に弱い接着力を有する。優れた接着力を有する、このような構造を作り出す条件が見出された。
隙間を有する多孔性の構造は、植え込み可能な医療装置のための他の利点も有することができる。例えば、コーティングにおける微小空洞(microvoids)は、時間をかけて拡散させることが可能な薬剤もしくは他の物質の組み込みを可能にする。例えば、炎症を防ぐスーパーオキシドディスムターゼ(superoxide dismutuse)、組織成長を促進させるタンパク質、もしくは治療や成長のプロセスを支援する他の物質などがある。当技術分野では、基体上の薬剤溶出コーティングは、現在、高分子材料を用いて作られる。多孔性の無機コーティングにより、高分子保護膜なしで、薬剤溶出基体を作ることができる。
本発明で説明した工程は、高二重層容量を形成する、植え込み可能な電極上の表面を作り出すための単純で安価な方法を提供する。タンタルに加えて、チタン、モリブデン、ジルコニウム、他の生体適合性のある要素など、他の材料も使用可能である。さらに、陽極処理、もしくは窒化することによって、もしくは金属の酸化物もしくは窒化物を直接堆積させるために、このようなコーティングの表面の層を変更することが可能である。
コーティングの特性が厚さの全体にわたり変化するコーティングを作り出す条件を変えることもできる。例えば、コーティングの第1の部分は、十分密度の高いコーティングを作り出す条件下で施すことができる。その後、この条件は、多孔性の、隙間を有する構造を作り出す条件に変更してもよい。このようなコーティングは、最初の密度の層による電極のための腐食の防止、および前述の微視的に粗い層を介した骨への優れた接着力を提供することができる。加えて、時間とともに拡散する薬剤は小孔に入れることができる。同様に無孔のコーティングは、基体を腐食から保護するために施すことができる。このとき、動物組織と容易に結合する外部の多孔性の層を用いてもよい。
本発明は、特定の好ましい例を参照してかなり詳細に説明したが、別の例も可能である。例えば、基体は、第1の物質の層および第2の多孔性物質の層でコーティングできる。他の例では、微視的に粗い特徴部は、小孔の代わりに隆起部とすることができ、この特徴部は隆起部と小孔との組み合わせとしてもよい。従って、添付の特許請求の範囲の精神および範囲は、ここで説明した好ましい例示の説明に限定されるべきではない。
特許請求の範囲、要約、図面、および説明されたあらゆる方法もしくはプロセスにおける全てのステップを含む、明細書に開示した全ての特徴は、少なくともいくつかのこのような特徴および/もしくはステップが互いに排反する場合の組み合わせを除いて、いかなる組み合わせであってもよい。特許請求の範囲、要約、および図面を含む、明細書に開示された個々の特徴は、明示的に別段の定義がなければ、同一、同等もしくは類似の目的を果たす、代わりとなる特徴によって置き換えることが可能である。このように、明示的に別段の定義がなければ、開示された各特徴は、一般的な一連の同等もしくは類似の特徴の一例に過ぎない。
特定の機能を実行するための「手段(means)」もしくは特定の機能を実行するための「ステップ」と明示的に述べていない特許請求の範囲のあらゆる要素は、米国特許法第112条の「手段」もしくは「ステップ」の条項として解釈すべきではない。
〔実施の態様〕
(1)植え込み可能な電極において、
本体と、
物理蒸着法によって少なくとも前記本体の一部に施された、生物医学的に適合性を有し、微視的に粗い、金属コーティングと、
を備える、電極。
(2)実施態様1に記載の電極において、
前記電極は、約10〜1000mF/cm2の容量を有する、電極。
(3)実施態様1に記載の電極において、
前記コーティングは、表面特徴部を有し、
前記表面特徴部は、大きさが可変である、
電極。
(4)実施態様1に記載の電極において、
前記コーティングは、タンタル、バナジウム、チタン、モリブデン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオビウム、タングステン、およびプラチナからなる群のうち1つを含む、電極。
(5)実施態様1に記載の電極において、
前記物理蒸着法は、スパッタリング、陰極アーク蒸着、および熱蒸発からなる群のうち1つを含む、電極。
(6)実施態様1に記載の電極において、
前記コーティングは、概ね斜方の被覆剤、または低エネルギーの被覆剤、の1つを介して前記本体に施される、電極。
(7)実施態様1に記載の電極において、
前記コーティングは、小孔を有する、電極。
(8)実施態様7に記載の電極において、
前記小孔の中に設けられた薬剤、
をさらに備える、電極。
(9)実施態様1に記載の電極において、
前記本体に施された第2のコーティング、
をさらに備える、電極。
(10)実施態様9に記載の電極において、
前記第2のコーティングは、前記本体に直接施され、
多孔性のコーティングは、前記第2のコーティングに施される、
電極。
(11)実施態様10に記載の電極において、
前記第2のコーティングは、前記本体を腐食から保護する、電極。
(12)実施態様11に記載の電極において、
前記第2のコーティングは、無孔である、電極。
(13)実施態様1に記載の電極において、
前記コーティングは、1〜100μmの厚さを有する、電極。
(14)実施態様1に記載の電極において、
前記コーティングは、約10〜1000nmのサイズを有する表面特徴部を有する、電極。
(15)植え込み可能な電極の高容量部分を作るためのプロセスにおいて、
少なくとも1つのスパッタターゲットを含むスパッタコーティングシステムにおいてガスのバックグラウンド圧力を維持するステップと、
スパッタリングを行うために前記ターゲットに電圧を印加するステップと、
所与の時間、スパッタリングを行い、前記電極の一部に微視的に粗い金属コーティングを施すステップと、
を備える、プロセス。
(16)実施態様15に記載のプロセスにおいて、
前記コーティングは、10nm〜1000nmの間のサイズを有する表面特徴部を有する、プロセス。
(17)実施態様15に記載のプロセスにおいて、
前記コーティングは、表面特徴部を有し、
前記表面特徴部は、大きさが可変である、
プロセス。
(18)実施態様15に記載のプロセスにおいて、
前記コーティングは、タンタル、バナジウム、チタン、モリブデン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオビウム、プラチナ、およびタングステンからなる群のうち1つを備える、プロセス。
(19)実施態様15に記載のプロセスにおいて、
前記容量は、約10〜1000mF/cm2の間である、プロセス。
(20)実施態様15に記載のプロセスにおいて、
前記コーティングは、概ね斜方の被覆剤、または低エネルギーの被覆剤の1つを介して、前記電極に施される、プロセス。
(21)実施態様15に記載のプロセスにおいて、
前記電極に施された第2のコーティング、
をさらに備える、プロセス。
(22)実施態様21に記載のプロセスにおいて、
前記第2のコーティングは、前記電極に直接施される、プロセス。
(23)実施態様22に記載のプロセスにおいて、
前記第2のコーティングは、前記電極を腐食から保護する、プロセス。
(24)実施態様22に記載のプロセスにおいて、
前記第2のコーティングは、無孔である、プロセス。
(25)実施態様15に記載のプロセスにおいて、
前記コーティングは、1〜100μmの厚さを有する、プロセス。
(26)実施態様15に記載のプロセスにおいて、
前記コーティングは、少なくとも1つの多孔性の部分、および少なくとも1つの無孔性の部分、を備える、プロセス。
(27)実施態様26に記載のプロセスにおいて、
前記多孔性の部分は、前記無孔性の部分を覆う、プロセス。
(28)実施態様15に記載のプロセスにおいて、
前記コーティングは、小孔を有する、プロセス。
(29)実施態様28に記載のプロセスにおいて、
前記小孔の中に設けられた薬剤、
をさらに備えた、プロセス。
(30)植え込み可能な医療装置において、
電極を有するペースメーカーであって、
前記電極は、
本体、および、
物理蒸着法によって少なくとも前記本体の一部に施された、生物学的に適合性を有し、微視的に粗い、金属コーティング、
を具備する、
ペースメーカー、
を備えた、装置。
本発明の電極の部分正面図である。 基体を囲むターゲットの上面図である。 図2の基体を囲むターゲットの断面側面図である。 基体の上方にプレートを有する図3の位置Cにおける基体を囲むターゲットの断面側面図である。 基体を囲むターゲットの、別の構造の上面図である。 図5の基体を囲むターゲットの断面側面図である。 磨いたステンレススチールの表面に施したタンタルコーティングの表面の走査電子顕微鏡写真を示す。 高入射角度で平面のターゲット近傍に配置された基体の側面図である。 本発明の他の好ましい実施例によって作り、磨いたニッケルチタン合金基体に施されたタンタルコーティングの原子間力顕微鏡画像を示す。

Claims (30)

  1. 植え込み可能な電極において、
    本体と、
    物理蒸着法によって少なくとも前記本体の一部に施された、生物医学的に適合性を有し、微視的に粗い、金属コーティングと、
    を備える、電極。
  2. 請求項1に記載の電極において、
    前記電極は、約10〜1000mF/cm2の容量を有する、電極。
  3. 請求項1に記載の電極において、
    前記コーティングは、表面特徴部を有し、
    前記表面特徴部は、大きさが可変である、
    電極。
  4. 請求項1に記載の電極において、
    前記コーティングは、タンタル、バナジウム、チタン、モリブデン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオビウム、タングステン、およびプラチナからなる群のうち1つを含む、電極。
  5. 請求項1に記載の電極において、
    前記物理蒸着法は、スパッタリング、陰極アーク蒸着、および熱蒸発からなる群のうち1つを含む、電極。
  6. 請求項1に記載の電極において、
    前記コーティングは、概ね斜方の被覆剤、または低エネルギーの被覆剤、の1つを介して前記本体に施される、電極。
  7. 請求項1に記載の電極において、
    前記コーティングは、小孔を有する、電極。
  8. 請求項7に記載の電極において、
    前記小孔の中に設けられた薬剤、
    をさらに備える、電極。
  9. 請求項1に記載の電極において、
    前記本体に施された第2のコーティング、
    をさらに備える、電極。
  10. 請求項9に記載の電極において、
    前記第2のコーティングは、前記本体に直接施され、
    多孔性のコーティングは、前記第2のコーティングに施される、
    電極。
  11. 請求項10に記載の電極において、
    前記第2のコーティングは、前記本体を腐食から保護する、電極。
  12. 請求項11に記載の電極において、
    前記第2のコーティングは、無孔である、電極。
  13. 請求項1に記載の電極において、
    前記コーティングは、1〜100μmの厚さを有する、電極。
  14. 請求項1に記載の電極において、
    前記コーティングは、約10〜1000nmのサイズを有する表面特徴部を有する、電極。
  15. 植え込み可能な電極の高容量部分を作るためのプロセスにおいて、
    少なくとも1つのスパッタターゲットを含むスパッタコーティングシステムにおいてガスのバックグラウンド圧力を維持するステップと、
    スパッタリングを行うために前記ターゲットに電圧を印加するステップと、
    所与の時間、スパッタリングを行い、前記電極の一部に微視的に粗い金属コーティングを施すステップと、
    を備える、プロセス。
  16. 請求項15に記載のプロセスにおいて、
    前記コーティングは、10nm〜1000nmの間のサイズを有する表面特徴部を有する、プロセス。
  17. 請求項15に記載のプロセスにおいて、
    前記コーティングは、表面特徴部を有し、
    前記表面特徴部は、大きさが可変である、
    プロセス。
  18. 請求項15に記載のプロセスにおいて、
    前記コーティングは、タンタル、バナジウム、チタン、モリブデン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオビウム、プラチナ、およびタングステンからなる群のうち1つを含む、プロセス。
  19. 請求項15に記載のプロセスにおいて、
    前記容量は、約10〜1000mF/cm2の間である、プロセス。
  20. 請求項15に記載のプロセスにおいて、
    前記コーティングは、概ね斜方の被覆剤、または低エネルギーの被覆剤の1つを介して、前記電極に施される、プロセス。
  21. 請求項15に記載のプロセスにおいて、
    前記電極に施された第2のコーティング、
    をさらに備える、プロセス。
  22. 請求項21に記載のプロセスにおいて、
    前記第2のコーティングは、前記電極に直接施される、プロセス。
  23. 請求項22に記載のプロセスにおいて、
    前記第2のコーティングは、前記電極を腐食から保護する、プロセス。
  24. 請求項22に記載のプロセスにおいて、
    前記第2のコーティングは、無孔である、プロセス。
  25. 請求項15に記載のプロセスにおいて、
    前記コーティングは、1〜100μmの厚さを有する、プロセス。
  26. 請求項15に記載のプロセスにおいて、
    前記コーティングは、少なくとも1つの多孔性の部分、および少なくとも1つの無孔性の部分、を備える、プロセス。
  27. 請求項26に記載のプロセスにおいて、
    前記多孔性の部分は、前記無孔性の部分を覆う、プロセス。
  28. 請求項15に記載のプロセスにおいて、
    前記コーティングは、小孔を有する、プロセス。
  29. 請求項28に記載のプロセスにおいて、
    前記小孔の中に設けられた薬剤、
    をさらに備えた、プロセス。
  30. 植え込み可能な医療装置において、
    電極を有するペースメーカーであって、
    前記電極は、
    本体、および、
    物理蒸着法によって少なくとも前記本体の一部に施された、生物学的に適合性を有し、微視的に粗い、金属コーティング、
    を具備する、
    ペースメーカー、
    を備えた、装置。
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