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JP2008203568A - 液体現像剤および画像形成装置 - Google Patents

液体現像剤および画像形成装置 Download PDF

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JP2008203568A JP2007040034A JP2007040034A JP2008203568A JP 2008203568 A JP2008203568 A JP 2008203568A JP 2007040034 A JP2007040034 A JP 2007040034A JP 2007040034 A JP2007040034 A JP 2007040034A JP 2008203568 A JP2008203568 A JP 2008203568A
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宏治 秋岡
Takashi Tejima
孝 手嶋
Satoru Miura
覚 三浦
Shunichiro Yamanaka
俊一郎 山中
Takeshi Ikuma
健 井熊
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Abstract

【課題】保存性に優れるとともに、記録媒体へのトナー粒子の定着特性に優れた液体現像剤を提供すること、また、このような液体現像剤を用いた画像形成装置を提供すること。
【解決手段】本発明の液体現像剤は、絶縁性液体と、絶縁性液体中に分散したトナー粒子とを含み、絶縁性液体は、脂肪酸と1価のアルコールとのエステルである脂肪酸モノエステルを含み、かつ絶縁性液体のアニリン点が5℃〜80℃であることを特徴とする。また、前記絶縁性液体は、脂肪族炭化水素を含むことが好ましい。また、脂肪酸モノエステルは、脂肪酸成分として飽和脂肪酸を含むことが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、液体現像剤および画像形成装置に関するものである。
潜像担持体上に形成した静電潜像を現像するために用いられる現像剤には、顔料等の着色剤および結着樹脂を含む材料で構成されるトナーを乾式状態で用いる乾式トナーと、トナーを電気絶縁性の担体液(絶縁性液体)に分散した液体現像剤(液体トナー)とがある。
乾式トナーを用いる方法は、固体状態のトナーを取り扱うので、取り扱い上の有利さはあるものの、粉体による人体等への悪影響が懸念されるほか、トナーの飛散による汚れ、トナーを分散した際の均一性等に問題がある。また、乾式トナーでは、粒子の凝集が起こり易く、トナー粒子の大きさを十分に小さくするのが困難であり、解像度の高いトナー画像を形成するのが困難であるという問題がある。また、トナー粒子の大きさを比較的小さなものとした場合には、上述したような粉体であることによる問題が更に顕著なものとなる。
一方、液体現像剤を用いる方法では、液体現像剤中におけるトナー粒子の凝集が効果的に防止されるため、微細なトナー粒子を用いることが可能であり、また、結着樹脂として、低軟化点(低軟化温度)のものを用いることができる。その結果、液体現像剤を用いる方法では、細線画像の再現性が良く、階調再現性が良好で、カラーの再現性に優れており、また、高速での画像形成方法としても優れているという特徴を有している。
しかしながら、従来の液体現像剤で用いられてきた絶縁性液体は、石油系の炭化水素を主とするものである。このような液体現像剤では、定着の際にトナー粒子の表面に絶縁性液体が付着している。従来の液体現像剤では、このトナー粒子の表面に付着した絶縁性液体の存在により、定着強度が低下してしまい、十分に満足できる定着特性を得ることができなかった。
このような問題を解決するために、絶縁性液体として植物油等の天然由来の油脂を用い、定着時において油脂の酸化重合反応により定着強度を向上させる試みが行われている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、上記のような油脂を用いた液体現像剤では、定着強度は向上するものの、十分な定着強度を得ることができるものではなかった。また、近年の省エネルギー化に伴う、低温での定着では、オフセット等が頻発する問題があった。
特開2006−251252号公報
本発明の目的は、保存性に優れるとともに、記録媒体へのトナー粒子の定着特性に優れた液体現像剤を提供すること、また、このような液体現像剤を用いた画像形成装置を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の液体現像剤は、絶縁性液体と、前記絶縁性液体中に分散したトナー粒子とを含み、
前記絶縁性液体は、脂肪酸と1価のアルコールとのエステルである脂肪酸モノエステルを含み、かつ前記絶縁性液体のアニリン点が5℃〜80℃であることを特徴とする。
本発明の液体現像剤では、前記絶縁性液体は、脂肪族炭化水素を含むものであることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記脂肪族炭化水素は、飽和炭化水素であることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記絶縁性液体は、シリコーンオイルを含むものであることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記脂肪酸モノエステルは、前記脂肪酸として、飽和脂肪酸を含むものであることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記脂肪酸モノエステルは、前記飽和脂肪酸として、炭素数が8〜16の飽和脂肪酸を含むものであることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記脂肪酸モノエステルは、前記1価のアルコールとして、炭素数が1〜4のアルコールを含むものであることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記絶縁性液体中における前記脂肪酸モノエステルの含有量は、10〜90wt%であることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記トナー粒子は、平均粒径が0.7〜3μmであることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記トナー粒子は、ポリエステル樹脂を含むものであることが好ましい。
本発明の画像形成装置は、色の異なる複数の液体現像剤を用いて、各色に対応した単色像を形成する複数の現像部と、
記録媒体を搬送することにより、複数の前記現像部で形成された複数の前記単色像を前記記録媒体に順次転写し、転写した複数の前記単色像を重ね合わせてなる未定着カラー画像を前記記録媒体上に形成する転写部と、
前記未定着カラー画像を前記記録媒体上に定着する定着部とを有し、
前記液体現像剤は、絶縁性液体と、前記絶縁性液体中に分散したトナー粒子とを含み、
前記絶縁性液体は、脂肪酸と1価のアルコールとのエステルである脂肪酸モノエステルを含み、かつ前記絶縁性液体のアニリン点が5℃〜80℃であることを特徴とする。
本発明の画像形成装置では、前記現像部は、少なくとも、表面に前記液体現像剤の層を形成する現像ローラと、前記現像ローラ上の前記液体現像剤を転写することにより前記単色像を形成する感光体と、前記現像ローラに前記液体現像剤を供給する塗布ローラとを有し、
前記塗布ローラは、その表面に溝が形成されたアニロクスローラであり、前記溝に前記液体現像剤を担持することによって前記現像ローラに前記液体現像剤を供給することが好ましい。
以上の構成を満足することにより、保存性に優れるとともに、記録媒体へのトナー粒子の定着特性に優れた液体現像剤を提供することができる。また、前記液体現像剤を用いた画像形成装置を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について、詳細に説明する。
《液体現像剤》
本発明の液体現像剤は、絶縁性液体中に、トナー粒子が分散したものである。
<絶縁性液体>
まず、絶縁性液体について説明する。
本発明で用いる絶縁性液体は、脂肪酸モノエステルを含み、アニリン点が10〜80℃となるものである。
従来の液体現像剤では、使用時等における画像形成装置外への絶縁性液体の漏出(例えば、定着時における絶縁性液体の揮発等)や、使用済液体現像剤の廃棄等による絶縁性液体の環境に対する影響が懸念されていた。また、従来の液体現像剤ではトナー粒子の表面に付着した絶縁性液体の存在により、トナー粒子の記録媒体への定着性が阻害される(定着強度が低下する)という問題点があった。
これに対して、本発明の絶縁性液体で用いられる脂肪酸モノエステルは、環境に優しい成分である。したがって画像形成装置外への絶縁性液体の漏出や、使用済液体現像剤の廃棄などによる絶縁性液体の環境への負荷を低減することができる。その結果、環境に優しい液体現像剤を提供することができる。
また、脂肪酸モノエステルは、トナー粒子(樹脂材料)内部に浸透しやすい性質を有しており、定着時に、トナー粒子を好適に可塑化させる効果(可塑効果)がある。この可塑効果により、例えば、記録媒体として紙を用いた場合には、トナー粒子が紙繊維の隙間に入り込み易くなるため、紙とトナー粒子との定着特性が優れたものとなる。また、可塑効果により、比較的低温でもトナー粒子が溶融し、記録媒体への定着が可能になるため、低温、高速での画像形成にも好適に適用することができる。また、脂肪酸モノエステルは記録媒体にも好適に浸透する成分であるため、トナー粒子の表面付近に付着した脂肪酸モノエステルは、定着時にトナー粒子と記録媒体とが接触した際に、記録媒体に速やかに浸透する。そして、この脂肪酸モノエステルの浸透と共に、定着時の熱で溶融したトナー粒子(トナー粒子を構成する樹脂材料)の一部が記録媒体の内部に浸透し、アンカー効果が働き、紙とトナー粒子との定着特性が向上する。
このような脂肪酸モノエステルを構成する脂肪酸成分としては、特に限定されないが、例えば、オレイン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)等に代表される不飽和脂肪酸、酪酸、ラウリン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミスチリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等に代表される飽和脂肪酸等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
この中でも、脂肪酸モノエステルが、脂肪酸成分として飽和脂肪酸を含む場合、脂肪酸モノエステルは、劣化(酸化、分解など)が起こりづらい、化学的に特に安定なものとなる。このため、このような脂肪酸モノエステルを含む絶縁性液体は、粘度上昇、変色、電気抵抗値の低下などの劣化現象が長期間に渡って確実に防止され、液体現像剤の保存性、長期安定性は特に優れたものとなる。また、定着時には、トナー粒子とともに脂肪酸モノエステルも紙に転写され、形成されるトナー画像中に飽和脂肪酸モノエステルが含まれる。上述したように飽和脂肪酸モノエステルは、劣化しづらい成分であり、トナー画像が外部環境(光、熱、酸素など)に晒されても、変色するのが確実に防止され、形成されるトナー画像は長期間に渡って鮮明なものとなる。
また、脂肪酸モノエステルは、脂肪酸成分として飽和脂肪酸を含む場合、飽和脂肪酸として、炭素数が8〜16の脂肪酸を含むことが好ましい。これにより、脂肪酸モノエステルは、定着時において特に効果的に可塑効果を発現させることができ、液体現像剤は、特に定着特性に優れたものとなる。また、保存時におけるトナー粒子の凝集を確実に防止することができる。
また、脂肪酸モノエステルが、脂肪酸成分として不飽和脂肪酸を含む場合、このような脂肪酸モノエステルを含む液体現像剤は、定着特性が特に優れたものとなる。すなわち、定着時において、肪酸モノエステルは、トナー粒子中に浸透し、可塑効果を発現させる。加えて、脂肪酸モノエステルに含まれる不飽和脂肪酸成分は、定着時に液体現像剤に加えられる熱等により、酸化重合を起こし、それ自体が硬化することができる。これにより、上述したアンカー効果を特に効果的に発現することができ、トナー粒子を記録媒体に強固に定着させることができる。また、記録媒体へ定着されたトナー画像は、不飽和脂肪酸成分の酸化重合反応によって好適に硬化するため、軟化した樹脂材料等によって複数の記録媒体同士が接着する現象(ブロッキング)を特に好適に防ぐことができる。また、酸化重合によって硬化することで、トナー画像は、長期にわたって特に優れた定着強度を維持することができる。
また、脂肪酸モノエステルは、脂肪酸と一価のアルコールとのエステルであるが、このアルコールは、炭素数が1〜4のアルキルアルコールであるのが好ましい。これにより、液体現像剤の化学的安定性は優れたものとなり、液体現像剤の保存性、長期安定性はさらに優れたものとなる。また、このような脂肪酸モノエステルは、定着時において、トナー粒子に好適に浸透し、より好適に可塑効果を発現させることができる。したがって、トナー粒子を記録媒体により強固に定着させることができる。このようなアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブタノール等が挙げられる。
また、このような脂肪酸モノエステルの粘度は、10mPa・s以下であるのが好ましく、5mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、記録媒体により好適に浸透するとともに、定着時の熱で溶融したトナー粒子や脂肪酸トリグリセリドの記録媒体への浸透をより確実に促すことができる。また、例えば、後述するような方法で液体現像剤を製造する際に、粒径の揃ったトナー粒子を好適に得ることができる。なお、本明細書において、粘度は、特に断りのない限り、25℃において、振動式粘度計を用いてJIS Z8809に準拠して測定される粘度である。
また、絶縁性液体中における脂肪酸モノエステルの含有量は、10〜90wt%であるのが好ましく、15〜80wt%であるのがより好ましく、20〜70wt%であるのがさらに好ましい。これにより、液体現像剤の保存性、長期安定性は特に優れたものとなる。また、定着時には、トナー粒子が特に好適に可塑化するため、記録媒体へのトナー粒子の定着特性は特に優れたものとなる。
ところで、上述のように、脂肪酸モノエステルは、トナー粒子を容易に可塑化させることができ、記録媒体へ強固に定着させることができるものである。一方で、脂肪酸モノエステルをただ単純に絶縁性液体の構成成分として用いた場合、保存時において、トナー粒子が変形したり、トナー粒子同士の凝集が発生して、液体現像剤の保存性が劣る欠点がある。また、画像形成後に記録媒体を複数重ねた際に、トナー画像中の樹脂材料等によって記録媒体同士が接着してしまう現象(ブロッキング)が発生しやすい。
このため、発明者らは、鋭意検討した結果、絶縁性液体の構成成分として脂肪酸モノエステルを用いることに加え、絶縁性液体のアニリン点を5〜80℃とすることで、液体現像剤の定着特性を優れたものとしつつ、保存性を優れたものとすることができ、画像形成された記録媒体同士のブロッキングを好適に防止できることを見出した。以下、詳しく説明する。アニリン点は、一般に、有機溶剤の樹脂等に対する溶解力の指標として用いられる。このため、絶縁性液体がトナー粒子に対して可塑効果を発現する程度の指標としてアニリン点を用いることができる。すなわち、絶縁性液体のアニリン点を前記範囲内とすることで、保存時において、脂肪酸モノエステルがトナー粒子に浸透しすぎ、可塑化させることを確実に防止し、トナー粒子が変形、凝集することを好適に防止することができる。一方で、定着時には、脂肪酸モノエステルがトナー粒子を好適に可塑化し、記録媒体へトナー粒子を強固に定着させることができる。また、画像形成後にトナー画像中に残存した脂肪酸モノエステルがトナーの樹脂材料を可塑化させることを防止できるため、記録媒体同士のブロッキングを好適に防止することができる。これに対し、絶縁性液体のアニリン点が前記下限値未満だと、脂肪酸モノエステルの可塑効果が過度に発現し、保存時において、トナー粒子の変形、凝集が発生しやすく、保存性に劣る。また、トナー画像中に残存した脂肪酸モノエステルが樹脂材料を可塑化させるため、記録媒体同士のブロッキングがおきやすい。一方、絶縁性液体のアニリン点が前記上限値を超えると、定着時において、脂肪酸モノエステルがトナー粒子を可塑化させることが難しくなり、定着特性に劣る。絶縁性液体のアニリン点は、前記範囲内であればよいが、10〜78℃であることが好ましく、20〜72℃であることがより好ましい。これにより、上述の効果をより顕著に得ることができる。
また、絶縁性液体のアニリン点は、等容積のアニリンと絶縁性液体とが均一な溶液として存在する最低温度として求めることができる。具体的には、アニリンと絶縁性液体との混合物を撹拌しつつ温度を上げ、完全に溶け合って透明になっている状態から、温度を下げて濁り始めた温度をアニリン点として求める。なお、本発明におけるアニリン点は、JIS K 2256に準拠して測定を行い、求められる値である。
また、絶縁性液体のアニリン点は、脂肪酸モノエステルや後述するような絶縁性液体の構成成分の種類、量比を変更することで、好適な範囲に調整することができる。
また、絶縁性液体は、脂肪族炭化水素を含むものであってもよい。
脂肪族炭化水素は、一般に、高い電気抵抗を有し、化学的に安定である。このため、脂肪族炭化水素を用いた液体現像剤は、特に優れた現像性、転写性を有し、得られるトナー画像は、欠点等の特に少ない、鮮明なものとなる。また、脂肪族炭化水素は、脂肪酸モノエステルとの親和性が高く、また、紙等の記録媒体に浸透しやすい。このため、定着時において、脂肪族炭化水素系および脂肪酸モノエステルを含む絶縁性液体は、記録媒体へ速やかに浸透することができ、トナー粒子間に存在する絶縁性液体を少ないものとすることができる。このため、このような液体現像剤を用いた場合、高速かつ低温で定着を行う場合であっても、定着時において、トナー粒子同士は、容易に接触、溶融でき強固に結着でき優れた定着特性および色再現性が発現する。このため、液体現像剤は、絶縁性液体として、脂肪酸モノエステルに加えて脂肪族炭化水素を含むことで、高速、低温定着が可能となり、得られたトナー画像の定着強度が特に優れたものとなる。また、トナー画像の色再現性が優れたものとなる。また、脂肪族炭化水素系液体は、吸湿の少ない液体である。このため、脂肪族炭化水素を絶縁性液体に含む場合、保存時において絶縁性液体が吸湿することを好適に防止でき、絶縁性液体が変性(劣化)することを好適に防止することができる。すなわち、吸湿性が低く、脂肪酸モノエステルと親和性の高い脂肪族炭化水素が、脂肪酸モノエステルの周囲を囲むことで、脂肪酸モノエステルと水分が接触して脂肪酸成分が遊離することを好適に防止することができる。また、上述したように、脂肪族炭化水素は、そのものが、化学的に安定であり、保存時における変性(劣化)が少ないものである。このため、液体現像剤は、長期安定性が特に優れたものとなる。
絶縁性液体に用いることのできる脂肪族炭化水素としては、特に限定されないが、例えば、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL(エクソン化学社)、コスモホワイトP−60、コスモホワイトP−70、コスモホワイトP−120(コスモ石油ルブリカンツ社)、ダイナフレシアW−8、ダフニーオイルCP、ダフニーオイルKP、トランスフォーマオイルH、トランスフォーマオイルG、トランスフォーマオイルA、トランスフォーマオイルB、トランスフォーマオイルS(出光興産社)、シエルゾール70、シエルゾール71(シエルオイル社)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(スピリッツ社)、低粘度・高粘度流動パラフィン(和光純薬工業)、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン等が挙げられ、これらのうち、1種類または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、脂肪族炭化水素は、分子内に炭化水素基の分岐鎖を有することが好ましい。これにより、脂肪族炭化水素は、化学的により安定なものとなり、このような脂肪族炭化水素を用いた液体現像剤の保存性が特に優れたものとなる。これは、脂肪族炭化水素の構造が、嵩高になることによって、化学反応を起こしにくい構造となるためであることが考えられる。
また、このような脂肪族炭化水素は、飽和炭化水素を含むことが好ましい。これにより、絶縁性液体は、電気抵抗を特に高いものとすることができ、化学的に特に安定な液体となる。このため、液体現像剤の電気抵抗を長期間に渡って高く維持することができる。
また、絶縁性液体は、シリコーンオイルを含むものであってもよい。
シリコーンオイルは、シロキサン結合を骨格とした有機化合物である。シリコーンオイルは、一般に、高い電気抵抗を有する。このため、シリコーンオイルを絶縁性液体として用いた場合、液体現像剤は、特に電気抵抗が高いものとなり、トナー画像の転写性、現像性が優れたものとなる。また、液体現像剤は、絶縁性液体として、脂肪酸モノエステルに加えてシリコーンオイルを含むことで、高速、低温定着が可能となり、得られたトナー画像の定着強度が優れたものとなる。これは、以下のように考えられる。シリコーンオイルは、脂肪酸モノエステルとは相溶するものの、トナー粒子を構成する樹脂とは親和性が低いものである。このため、シリコーンオイルと脂肪酸モノエステルを含んだ液体現像剤は、樹脂材料と親和性の高い脂肪酸モノエステルが選択的にトナー粒子の表面付近に浸透し、定着時において可塑効果を特に好適に発現する。このため、比較的低温、高速で定着を行った場合においても、トナー画像は強固に記録媒体へ定着できるものと考えられる。また、シリコーンオイルは、種類によって多様な粘度を有することから、シリコーンオイルを選択することにより、液体現像剤の粘度を特に好適なものとすることができる。また、シリコーンオイルは、一般に、化学的に安定であり、人体への影響が少ない物質である。このため、液体現像剤は、保存時における絶縁性液体の劣化を好適に防止でき、保存性が優れたものとなる。また、画像形成装置外へ絶縁性液体が漏出した場合においても、安全な液体現像剤とすることができる。
絶縁性液体に用いることのできるシリコーンオイルとしては、例えば、KF96、KF4701、KF965、KS602A、KS603、KS604、KF41、KF54、FA630(信越シリコーン社製)、TSF410、TFS433、TFS434、TFS451、TSF437、(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)、SH200(東レ社製)等が挙げられ、これらのうち、1種類または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、絶縁性液体は、上述した以外の成分を含むものであってもよい。例えば、脂肪酸トリグリセリド、グリセリン、脂肪酸等の脂肪酸グリセリドの分解物、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、液体現像剤(絶縁性液体)中には、トナー粒子の分散性を向上させる分散剤が含まれていてもよい。
このような分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ソルスパース(日本ルーブリゾール社の商品名)、ポリカルボン酸およびその塩、ポリアクリル酸金属塩(例えば、ナトリウム塩等)、ポリメタクリル酸金属塩(例えば、ナトリウム塩等)、ポリマレイン酸金属塩(例えば、ナトリウム塩等)、アクリル酸−マレイン酸共重合体金属塩(例えば、ナトリウム塩等)、ポリスチレンスルホン酸金属塩(例えば、ナトリウム塩等)、ポリアミン脂肪酸縮重合体等の高分子分散剤、粘度鉱物、シリカ、燐酸三カルシウム、トリステアリン酸金属塩(例えば、アルミニウム塩等)、ジステアリン酸金属塩(例えば、アルミニウム塩、バリウム塩等)、ステアリン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、鉛塩、亜鉛塩等)、リノレン酸金属塩(例えば、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩、亜鉛塩等)、オクタン酸金属塩(例えば、アルミニウム塩、カルシウム塩、コバルト塩等)、オレイン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩等)、パルミチン酸金属塩(例えば、亜鉛塩等)、ドデシルベンゼンスルホン酸金属塩(例えば、ナトリウム塩等)、ナフテン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩、亜鉛塩等)、レジン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩、マンガン鉛塩、亜鉛塩等)等が挙げられる。
上述した分散剤の中でも、ポリアミン脂肪酸縮重合体を用いた場合、トナー粒子の表面にポリアミン脂肪酸縮重合体を付着させることができ、これにより、トナー粒子同士の不本意な凝集を防止することができる。また、脂肪酸モノエステルのトナー粒子への浸透性を高めることができ、脂肪酸モノエステルによる可塑剤効果をより顕著なものとすることができる。その結果、記録媒体に対してトナー粒子をより強固に定着させることができる。また、トナー粒子の帯電特性をより高いものとすることができる。
ポリアミン脂肪酸縮重合体を用いた場合、液体現像剤中におけるポリアミン脂肪酸縮重合体の含有量は、トナー粒子100重量部に対して、0.5〜7.5重量部であるのが好ましく、1〜5重量部であるのがより好ましい。これにより、ポリアミン脂肪酸縮重合体を用いることによる効果をより顕著なものとすることができる。
また、絶縁性液体は、酸化防止剤を含むものであってもよい。
また、液体現像剤(絶縁性液体)中には、帯電制御剤が含まれていてもよい。
帯電制御剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物、安息香酸の金属塩、サリチル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、カテコールの金属塩、含金属ビスアゾ染料、ニグロシン染料、テトラフェニルボレート誘導体、第四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、塩素化ポリエステル、ニトロフニン酸等が挙げられる。
室温(20℃)における、絶縁性液体の電気抵抗は、1.0×1011Ωcm以上であるのが好ましく、1.0×1012Ωcm以上であるのがより好ましく、2.0×1012Ωcm以上であるのがさらに好ましい。
また、絶縁性液体の誘電率は、3.5以下であるのが好ましい。
<トナー粒子>
次に、トナー粒子について説明する。
[トナー粒子の構成材料(トナー材料)]
本発明の液体現像剤は、前述したようなような絶縁性液体中にトナー粒子が分散している。
本発明の液体現像剤を構成するトナー粒子(トナー)は、少なくとも、樹脂材料を含むものである。
1.樹脂材料
液体現像剤を構成するトナーは、主成分としての樹脂材料を含む材料で構成されている。
本発明においては、樹脂(バインダー樹脂)は、特に限定されず、例えば、公知の樹脂を用いることができるが、このような樹脂としては、化学構造中にエステル結合を有するものが好ましい。このような条件を満足する樹脂で構成されたトナーは、前述した脂肪酸モノエステルとの化学構造の類似性により、絶縁性液体と高い親和性を有するものとなる。したがって、液体現像剤中でのトナー粒子の分散性を特に優れたものとすることができ、保存時におけるトナー粒子同士の凝集を、より効率的に防止し、液体現像剤の保存性、長期安定性を特に優れたものとすることができる。また、定着時には、脂肪酸モノエステルが浸透し易く、トナー粒子に対する脂肪酸モノエステルの可塑化効果を確実に発現させることができる。これにより、トナー粒子の記録媒体への定着特性はさらに優れたものとすることができる。
また、化学構造中にエステル結合を有する樹脂としては、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。この中でも、ポリエステル樹脂は、透明性が高く、結着樹脂として用いた場合、得られる画像の発色性を高いものとすることができる。
また、このような樹脂の酸価は、0.1〜15mgKOH/mgであるのが好ましく、1〜10mgKOH/mgであるのがより好ましく、3〜8mgKOH/mgであるのがさらに好ましい。上記条件を満足する樹脂材料で構成されたトナー粒子は、前述したような絶縁性液体との親和性が特に優れたものとなる。これにより、保存時においては、液体現像剤中でのトナー粒子の分散性はより優れたものとなり、トナー粒子同士が凝集するのを、長期間に渡って、より効率よく防止することができる。また、定着時においては、トナー粒子への絶縁性液体の浸透はより好適なものとなり、可塑化効果がより強く発現され、トナー粒子を記録媒体により強固に定着させることができる。
また、このような樹脂(樹脂材料)の軟化温度は、特に限定されないが、50〜130℃であるのが好ましく、50〜120℃であるのがより好ましく、60〜115℃であるのがさらに好ましい。なお、本明細書で、軟化温度とは、高化式フローテスター(島津製作所製)における測定条件:昇温速度:5℃/min、ダイ穴径1.0mmで規定される軟化開始温度のことを指す。
2.着色剤
また、トナーは、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、特に限定されず、例えば、公知の顔料、染料等を使用することができる。
3.その他の成分
また、トナーは、上記以外の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、公知のワックス、磁性粉末等が挙げられる。
また、トナーの構成材料(成分)としては、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、脂肪酸、脂肪酸金属塩等を用いてもよい。
[トナー粒子の形状等]
本発明の液体現像剤に適用されるトナー粒子としては、その表面に微小の凹凸を有するものを用いるのが好ましい。このように微小の凹凸を有することにより、前述した脂肪酸モノエステルをトナー粒子の表面付近により効果的に偏在(吸着)させることができる。
液体現像剤を構成するトナー粒子についての下記式(I)で表される円形度Rの平均値(平均円形度)は、0.94〜0.99であるのが好ましく、0.96〜0.99であるのがより好ましい。
R=L/L・・・(I)
(ただし、式中、L[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
トナー粒子の平均円形度がこのような範囲のものであると、記録媒体上に転写した未定着のトナー画像中に絶縁性液体を適度に含ませることができ、トナー粒子の定着強度をより高いものとすることができる。
また、上記のような材料で構成されたトナー粒子の平均粒径は、0.7〜3μmであるのが好ましく、0.8〜2.5μmであるのがより好ましく、0.8〜2μmであるのがさらに好ましい。トナー粒子の平均粒径が前記範囲内の値であると、各トナー粒子間での特性のばらつきを小さいものとし、液体現像剤全体としての信頼性を高いものとしつつ、液体現像剤により形成されるトナー画像の解像度を十分に高いものとすることができる。また、保存時において、脂肪酸モノエステルによってトナー粒子が可塑化して凝集、変形することを確実に防止しつつ、定着時において、トナー粒子は、特に容易に可塑化し、比較的低温であっても、記録媒体へ強固に定着することができる。また、トナー粒子の絶縁性液体への分散を良好にし、液体現像剤の保存性を高いものとできる。なお、本明細書では、「平均粒径」とは、特に断りのない限り、体積基準の平均粒径のことを指すものとする。
液体現像剤中におけるトナー粒子の含有率は、10〜60wt%であるのが好ましく、20〜50wt%であるのがより好ましい。
なお、上述したような各成分で構成された液体現像剤(本発明の液体現像剤)の粘度(25℃において、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定される粘度)は、50〜1000mPa・sであるのが好ましく、100〜1000mPa・sであるのがより好ましく、100〜900mPa・sであるのがさらに好ましい。これにより、記録媒体中への液体現像剤の浸透はより好適なものとなるため、記録媒体へのトナー粒子の定着特性はより優れたものとなる。また、記録媒体に得られる画像が、ムラのない鮮明なものとなり、かつ、高速での画像形成に適応した液体現像剤として、特に適したものとなる。
また、上述したような各成分で構成された液体現像剤(本発明の液体現像剤)の室温(20℃)での電気抵抗は、1.0×1011Ωcm以上であるのが好ましく、1.0×1012Ωcm以上であるのがより好ましい。
《液体現像剤の製造方法》
次に上述したような液体現像剤の製造方法の一例について説明する。
上述したような絶縁性液体は、例えば、絶縁性液体が脂肪酸モノエステルと、上述したような成分(脂肪族炭化水素、シリコーン等)とを含む場合には、これらの成分を混合することにより製造することができる。液体現像剤は、このような絶縁性液体とトナー粒子とを混合することにより製造することができるが、以下のような方法を用いて製造することもできる。
本実施形態の液体現像剤の製造方法は、主として、樹脂材料で構成された樹脂微粒子を会合させ、会合粒子を得る会合粒子形成工程と、絶縁性液体中において会合粒子を解砕してトナー粒子を得る工程とを有する。
[会合粒子の調製]
まず、主として樹脂材料で構成された樹脂微粒子が会合した会合粒子の調製方法の一例について説明する。
会合粒子は、いかなる方法で調製されるものであってもよいが、本実施形態では、水系液体で構成された水系分散媒中に、主として樹脂材料(トナー材料)で構成された分散質(微粒子)が分散した水系分散液を得、当該水系乳化液中の分散質を会合させることにより、会合粒子を得る。
(水系分散液の調製)
以下、水系分散液の調製について説明する。
水系分散液は、いかなる方法で調製されるものであってもよいが、本実施形態では、まず、前述したようなトナー材料を溶媒に溶解させてトナー材料溶液を得、該トナー材料溶液と、水系液体で構成された水系分散媒とを混合することにより、トナー材料を含む分散質(液状の分散質)が分散した水系乳化液を得、その後、該水系乳化液に含まれる溶媒の少なくとも一部を除去することにより、水系分散液を得る。
水系乳化液は、例えば、以下のようにして調製することができる(水系乳化液調製工程)。
まず、水系分散媒を用意する。
水系分散媒は、水系液体で構成されたものである。
本発明において、「水系液体」とは、水および/または水との相溶性に優れる液体(例えば、25℃における水100gに対する溶解度が30g以上の液体)で構成されたもののことを指す。このように、水系液体は、水および/または水との相溶性に優れる液体で構成されたものであるが、主として水で構成されたものであるのが好ましく、特に、水の含有率が70wt%以上のものであるのが好ましく、90wt%以上のものであるのがより好ましい。このようなものを用いることにより、例えば、水系分散媒中における分散質の分散性を高めることができ、水系乳化液中における分散質を、粒径が比較的小さく、かつ、大きさのばらつきの少ないものとすることができる。その結果、最終的に得られる液体現像剤中のトナー粒子は、粒子間での大きさ、形状のばらつきが小さく、円形度の大きいものとなる。
水系液体としては、例えば、水、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、芳香族複素環化合物系溶媒、アミド系溶媒、ニトリル系溶媒、アルデヒド系溶媒等が挙げられる。
また、水系分散媒には、必要に応じて乳化分散剤を添加してもよい。乳化分散剤を添加することにより、より容易に水系乳化液を調製することができる。
乳化分散剤としては、特に限定されず、例えば、公知の乳化分散剤を用いることができる。
一方、前述したようなトナー材料を溶媒に溶解させ、トナー材料溶液を調製する。
溶媒としては、トナー材料の少なくとも一部を溶解するものであればいかなるものであってもよいが、前述した水系液体よりも沸点が低いものを用いるのが好ましい。これにより、溶媒を容易に除去することができる。
また、溶媒は、前述した水系分散媒(水系液体)との相溶性が低いもの(例えば、25℃における水系分散媒100gに対する溶解度が30g以下のもの)であるのが好ましい。これにより、水系乳化液中において、トナー材料を安定した状態で微分散させることができる。
また、溶媒の組成は、例えば、前述したような樹脂、着色剤の組成や、水系分散媒の組成等に応じて適宜選択することができる。
このような溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒等が挙げられる。
また、トナー材料溶液の調製には、例えば、樹脂材料、着色剤等のトナー用材料を混練して得られた混練物を用いてもよい。このような混練物を用いることにより、トナーの構成材料中に、互いに分散または相溶し難い成分を含む場合であっても、混練を施すことにより、得られる混練物中においては、各成分が十分に相溶、微分散した状態とすることができる。特に、前述したような溶媒に対する分散性が比較的低い顔料(着色剤)を用いた場合、溶媒に分散する前に予め混練が施されることにより、顔料粒子の周囲を樹脂成分等が効果的にコーティングすることとなり、これにより、溶媒への顔料の分散性が向上し(特に溶媒への微分散が可能となり)、最終的に得られるトナーの発色性も良好となる。このようなことから、トナーの構成材料中に、前述した水系乳化液の水系分散媒に対する分散性に劣る成分や水系乳化液の分散媒に含まれる溶媒に対する溶解性に劣る成分が含まれる場合であっても、水系乳化液における分散質の分散性を特に優れたものとすることができる。
次に、上記トナー材料溶液を、撹拌した状態の水系分散媒中に、徐々に滴下しながら加えていくことにより、水系分散媒中に、トナー材料を含む分散質が分散した水系乳化液が得られる。なお、トナー材料溶液の滴下を行う際、水系分散媒および/またはトナー材料溶液を加熱しておいてもよい。
また、上記の操作の代わりに、撹拌した状態のトナー材料溶液中に、水溶分散媒を徐々に滴下しながら加えていってもよい。このように、トナー材料溶液中に水系分散媒を加えることで、トナー材料溶液が転相乳化し、上記の操作で得られる水系乳化液と同じように、水系分散媒中に、トナー材料を含む分散質が分散した水系乳化液を得ることができる。
その後、得られた水系乳化液を加熱したり、減圧雰囲気下に置くことにより、分散質中に含まれる溶媒の少なくとも一部を除去し、トナー材料で構成された分散質(微粒子)が分散した水系分散液を得る。
水系分散液中における分散質の含有率は、特に限定されないが、5〜55wt%であるのが好ましく、10〜50wt%であるのがより好ましい。これにより、水系分散液中における分散質同士の不本意な凝集をより確実に防止しつつ、トナー粒子(液体現像剤)の生産性を特に優れたものとすることができる。
水系分散液中の分散質の平均粒径は、特に限定されないが、0.01〜3μmであるのが好ましく、0.1〜2μmであるのがより好ましい。これにより、最終的に得られるトナー粒子の大きさを最適なものとすることができる。
(会合粒子形成工程)
次に、上記のようにして得られた水系分散液に、電解質を添加し、分散質を会合させ、会合粒子を形成する(会合粒子形成工程)。
添加する電解質としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸等の酸性物質、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニュウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシュウム、酢酸ナトリウム等の有機、無機の水溶性の塩等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、硫酸ナトリウムや硫酸アンモニウム等の1価のカチオンの硫酸塩は、均一な会合を進める上で好適に用いることができる。
なお、電解質等を添加する前に、ヒドロキシアパタイト等の無機分散安定剤や、イオン性、非イオン性界面活性剤を分散安定剤として添加してもよい。分散安定剤(乳化剤)の存在下で電解質を添加することにより、不均一な会合を防止することができる。
このような分散安定剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、各種プルロニック系等の非イオン性界面活性剤、アルキル硫酸エステル塩型のアニオン性界面活性剤、第四級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤等が挙げられる。中でも、アニオン性、非イオン性の界面活性剤は、少量の添加量であっても分散安定性に効果があり、好適に用いることができる。非イオン性界面活性剤の曇点は40℃以上であることが好ましい。
添加する電解質の量は、水系分散液中の固形分100重量部に対し、0.5〜15重量部であることが好ましく、1〜12重量部であることがより好ましく、1〜10重量部であることがさらに好ましい。電解質の添加量が前記下限値未満であると、分散質の会合が十分に進行しない場合がある。また、電解質の添加量が前記上限値を超えると、分散質の会合が不均一となり、粗大粒子が発生する可能性があり、最終的に得られるトナー粒子の大きさにばらつきが生じる可能性がある。
そして、会合させた後、濾過・洗浄・乾燥等を行うことにより、会合粒子を得る。
得られる会合粒子の平均粒径は、0.1〜7μmであるのが好ましく、0.5〜3μmであるのがより好ましい。これにより、最終的に得られるトナー粒子の粒径を適度なものとすることができる。
[解砕工程]
次に、上記のようにして得られた会合粒子を、脂肪酸モノエステルを含む絶縁性液体中で解砕する(解砕工程)。これにより、絶縁性液体中にトナー粒子が分散した液体現像剤が得られる。上述したように、脂肪酸モノエステルは、トナー粒子を構成する樹脂材料との親和性が高い成分である。このため、脂肪酸モノエステル中で会合粒子を解砕する際、会合粒子を構成する微粒子(分散質)の間に脂肪酸モノエステルが侵入しやすく、より小さいエネルギーで会合粒子を効率良く解砕することができる。
このような方法で得られるトナー粒子は、その表面に、微粒子(分散質)に由来する凹凸を有するものとなるので、脂肪酸モノエステルをこの凹凸に確実に保持することができる。このため、トナー粒子は、定着時において、より効果的に可塑剤効果を発現する。その結果、トナー粒子が紙繊維(記録媒体)の隙間により入り込み易くなるため、トナー粒子の定着強度を特に優れたものとすることができる。
また、絶縁性液体中で解砕しているので、凝集等によって粗大化したトナー粒子が発生するのを防止することができる。
また、本実施形態では、会合粒子を解砕することによりトナー粒子を得るので、従来の粉砕法や湿式粉砕法と比較して、微粉(目的の大きさの粒子よりも極端に小さい粒子)の発生を効果的に防止することができる。その結果、微粉による液体現像剤の帯電特性の低下を効果的に防止することができる。
また、絶縁性液体は、比較的粘度が低いため、会合粒子を構成する微粒子(分散質)の間に侵入しやすく、好適に会合粒子を解砕することができる。
また、絶縁性液体の一部を用いて解砕してもよい。この場合、解砕した後に、解砕に用いた液体と同じ液体を絶縁性液体として添加するものであってもよいし、また、解砕した後に、解砕に用いた液体とは異なる液体を絶縁性液体として添加するものであってもよい。後者の場合、最終的に得られる液体現像剤の粘度等の特性を容易に調整することができる。
≪画像形成装置≫
次に、本発明の画像形成装置の好適な実施形態について説明する。
本発明の画像形成装置は、上述したような本発明の液体現像剤を用いて記録媒体上にカラー画像を形成するものである。
図1は、本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置の一例を示す模式図、図2は、図1に示す画像形成装置の一部を拡大した拡大図、図3は、図1に示す画像形成装置が備える塗布ローラを示す斜視概念図、図4は、図3に示す塗布ローラの拡大模式図、図5は、現像ローラ上の液体現像剤層内におけるトナー粒子の状態を示す模式図、図6は、図1に示す画像形成装置に適用される定着装置の一例を示す断面図である。
画像形成装置1000は、図1に示すように、4つの現像部30Y、30M、30C、30Kと、転写部40と、定着部(定着装置)F40とを有している。
現像部30Y、30M、30Cは、それぞれ、イエロー系液体現像剤(Y)、マゼンダ系液体現像剤(M)、シアン系の液体現像剤(C)で、潜像を現像し、各色に対応したカラーの単色像を形成する機能を有している。また、現像部30Kは、ブラック系液体現像剤(K)で、潜像を現像し、ブラック(黒)の単色像を形成する機能を有している。
現像部30Y、30M、30C、30Kの構成は同様であるので、以下、現像部30Yについて説明する。
現像部30Yは、図2に示すように、像担持体の一例としての感光体10Yと、感光体10Yの回転方向に沿って、帯電ローラ11Yと、露光ユニット12Yと、現像ユニット100Yと、感光体スクイーズ装置101Yと、転写バックアップローラ44Yと、除電ユニット16Yと、感光体クリーニングブレード17Yと、現像剤回収部18Yとを有している。
感光体10Yは、円筒状の基材とその外周面に形成された感光層を有し、中心軸を中心に回転可能であり、本実施の形態においては、図1中の矢印で示すように時計回りに回転する。
感光体10Yは、後述する現像ユニット100Yにより液体現像剤が供給され、表面に液体現像剤の層が形成されるものである。
帯電ローラ11Yは、感光体10Yを帯電するための装置であり、露光ユニット12Yは、レーザを照射することによって帯電された感光体10Y上に潜像を形成する装置である。この露光ユニット12Yは、半導体レーザ、ポリゴンミラー、F−θレンズ等を有しており、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等の不図示のホストコンピュータから入力された画像信号に基づいて、変調されたレーザを帯電された感光体10Y上に照射する。
現像ユニット100Yは、感光体10Y上に形成された潜像を、本発明の液体現像剤を用いて現像するための装置である。なお、現像ユニット100Yの詳細については後述する。
感光体スクイーズ装置101Yは、現像ユニット100Yより回転方向下流側に、感光体10Yに対向して配置されており、感光体スクイーズローラ13Yと、該感光体スクイーズローラ13Yに押圧摺接して表面に付着した液体現像剤を除去するクリーニングブレード14Yと、除去された液体現像剤を回収する現像剤回収部15Yとで構成される。この感光体スクイーズ装置101Yは、感光体10Yに現像された現像剤から余剰なキャリア及び本来不要なカブリトナーを回収し、顕像内のトナー粒子比率を上げる機能を有する。
除電ユニット16Yは、後述する転写部40において記録媒体F5上に転写像が転写された後に、感光体10Y上の残留電荷を除去する装置である。
感光体クリーニングブレード17Yは、感光体10Yの表面に当接されたゴム製の部材で、後述する転写部40において記録媒体F5上に像が転写された後に、感光体10Y上に残存する液体現像剤を掻き落として除去する機能を有している。
現像剤回収部18Yは、感光体クリーニングブレード17Yにより除去された液体現像剤を回収する機能を有している。
次に、転写部40について説明する。
転写部40は、搬送ベルト41と、ベルト駆動ローラ42と、テンションローラ43と、転写バックアップローラ44Y、44M、44C、44Kとを有している。
搬送ベルト41は、エンドレスの弾性ベルト部材であり、記録媒体F5を搬送する機能を有している。
また、搬送ベルト41は、ベルト駆動ローラ42とテンションローラ43との間に巻き掛けて張架され、感光体10Y、10M、10C、10Kと当接しながらベルト駆動ローラ42により回転駆動される。
また、転写バックアップローラ44Yは、感光体10Yと搬送ベルト41とが当接する位置において、転写バックアップローラ44Yと搬送ベルト41とが当接するように設けられている。また、同様に、転写バックアップローラ44M、転写バックアップローラ44C、転写バックアップローラ44Kは、それぞれ対応する感光体10M、感光体10C、感光体10Kが搬送ベルト41と当接する位置において、搬送ベルト41と当接するように設けられている。
このような構成において、搬送ベルト41により搬送される記録媒体F5が、搬送ベルト41により、各感光体と、各転写バックアップローラとの間を通過する際に、各現像部で形成される単色像が、記録媒体F5に逐次転写される。
このように、本実施形態の画像形成装置1000は、転写部40において、各現像部で形成された単色像が、記録媒体F5に順次転写され、複数の単色像を重ねあわせてなる未定着のカラー画像を記録媒体F5上に形成する構成となっている。
転写部40では、このように複数の感光体10Y、10M、10C、10Kに形成した単色像を紙、フィルム、布等の記録媒体F5に順次転写する。そのため、記録媒体F5表面が繊維質などによって平滑でないシート材であっても、この非平滑なシート材表面に倣って転写特性を向上させる手段として、弾性ベルト部材を採用している。
転写部40で記録媒体F5上に転写されたトナー像(転写像)F5aは、後述する定着部F40に送られ、定着が行われる。
次に、現像ユニット100Y、100M、100C、100Kについて、詳細に説明する。なお、以下の説明では、代表的に、現像ユニット100Yについて説明する。
現像ユニット100Yは、図2に示すように、液体現像剤貯留部31Yと、塗布ローラ32Yと、規制ブレード33Yと、現像剤攪拌ローラ34Yと、現像ローラ20Yと、現像ローラクリーニングブレード21Yと、現像剤圧縮ローラ(圧縮手段)22Yとを有している。
液体現像剤貯留部31Yは、感光体10Yに形成された潜像を現像するための液体現像剤を貯留する機能を備えたものである。
塗布ローラ32Yは、液体現像剤を現像ローラ20Yへ供給する機能を備えたものである。
この塗布ローラ32Yは、図3に示すように、鉄等金属性のローラの表面に溝32Yaが均一かつ螺旋状に形成されニッケルメッキが施された、いわゆるアニロクスローラを呼称されるものであり、その直径は約25mmである。本実施形態では、図3に示すように、塗布ローラ32Yの回転方向D2に対して斜めに複数の溝32Yaが、いわゆる切削加工や転造加工等によって形成されている。
この塗布ローラ32Yは、時計回りに回転しながら液体現像剤に接触することによって、溝32Yaに、液体現像剤貯留部31Y内の液体現像剤を担持して、該担持した液体現像剤を現像ローラ20Yへ搬送する。したがって、塗布ローラ32Yは溝32Yaが形成されているX方向の幅で現像ローラ20Yに液体現像剤を塗布することができる。
なお、溝ピッチ(図4中のX方向において、溝32Yaを形成する山と山の周期)は、必要な液体現像剤の膜厚に応じておよそ55〜250μmとするのが好ましい。本実施形態では、溝ピッチPが約80μm、山の幅が約40μm、溝32Yaの上部の幅PI1が約50μm、底面部の幅PI2が約30μm、溝32Yaの深さHeが約20μm、山32Ybの高さHcが約30μmとなるように構成され、山32Ybの中央部から溝32Yaの底部へと単調に向う傾斜部SLが形成されている。また、本実施形態では、山32Yb部の表面粗さRzをR1a≒1.0μm、溝32Ya部の表面粗さRzをR2a≒1.0μmとなるように構成している。
塗布ローラ32Yが上記のような溝を有することによって、液体現像剤の粘度によらず、液体現像剤貯留部31Y内の液体現像剤を安定的に現像ローラ20Yに供給することができる。例えば、画像形成装置を長期間起動させた際など、装置内部の温度が上がり、液体現像剤の粘度が下がってしまう場合においても、現像に必要となる十分な量の液体現像剤を現像ローラに安定供給することができる。したがって、画像形成装置の使用条件に左右されず、形成される画像に画像ムラが発生するのを確実に防止、または抑制することができる。したがって、このような塗布ローラ32Yを備えた画像形成装置1000に、本発明の液体現像剤を適用することにより、形成されるトナー画像は、定着性に優れるとともに、画像ムラのない鮮明なものとすることができる。
規制ブレード33Yは、塗布ローラ32Yの表面に当接して、塗布ローラ32Y上の液体現像剤Dの量を規制する。すなわち、当該規制ブレード33Yは、塗布ローラ32Y上の余剰液体現像剤を掻き取って、現像ローラ20Yに供給する塗布ローラ32Y上の液体現像剤D、を計量する役割を果たす。この規制ブレード33Yは、弾性体としてのウレタンゴムからなり、鉄等金属製の規制ブレード支持部材より支持されている。また、規制ブレード33Yは、前述した鉛直面Aから見て、塗布ローラ32Yが回転して液体現像剤Dから進出する側(すなわち、鉛直面Aから見て図2中左側)に設けられている。なお、規制ブレード33Yのゴム硬度は、JIS−Aで約77度であり、規制ブレード33Yの、塗布ローラ32Y表面への当接部の硬度(約77度)は、後述する現像ローラ20Yの弾性体の層の塗布ローラ32Y表面への圧接部の硬度(約85度)よりも低くなっている。
現像剤攪拌ローラ34Yは、液体現像剤を一様分散状態に攪拌する機能を備えたものである。
液体現像剤貯留部31Y内において、液体現像剤の中のトナー粒子はプラスの電荷を有し、液体現像剤は、現像剤撹拌ローラ34Yにより撹拌されて一様分散状態になり、塗布ローラ32Yが回転することによって、液体現像剤貯留部31Yから汲み上げられ、規制ブレード33Yによって液体現像剤量が規制されて現像ローラ20Yに供給される。
現像ローラ20Yは、感光体10Yに担持された潜像を液体現像剤により現像するために、液体現像剤を担持して感光体10Yと対向する現像位置に搬送する。
現像ローラ20Yは、その表面に、前述した塗布ローラ32Yから液体現像剤を供給することにより、液体現像剤層201Yを形成するものである。
この現像ローラ20Yは、鉄等金属製の内芯の外周部に、導電性を有する弾性体の層を備えたものであり、その直径は約20mmである。また、弾性体の層は、二層構造になっており、その内層として、ゴム硬度がJIS−A約30度で、厚み約5mmのウレタンゴムが、その表層(外層)として、ゴム硬度がJIS−A約85度で、厚み約30μmのウレタンゴムが備えられている。そして、現像ローラ20Yは、前記表層が圧接部となって、弾性変形された状態で塗布ローラ32Yおよび感光体10Yのそれぞれに圧接している。
また、現像ローラ20Yは、その中心軸を中心として回転可能であり、当該中心軸は、感光体10Yの回転中心軸よりも下方にある。また、現像ローラ20Yは、感光体10Yの回転方向(図2において時計方向)と逆の方向(図2において反時計方向)に回転する。なお、感光体10Y上に形成された潜像を現像する際には、現像ローラ20Yと感光体10Yとの間に電界が形成される。
現像剤圧縮ローラ22Yは、現像ローラ20Yに担持された液体現像剤のトナーを圧縮状態にする機能を備えた装置である。言い換えると、現像剤圧縮ローラ22Yは、前述した液体現像剤層201Yに対してトナー粒子1と同極性の電界を印加することにより、図5に示すように、液体現像剤層201Y中において、現像ローラ20Yの表面近傍にトナー粒子1を偏在させる機能を備えた装置である。このようにトナー粒子を偏在させることにより、現像濃度(現像効率)を向上させることができ、その結果、品質の高い鮮明な画像を得ることができる。
この現像剤圧縮ローラ22Yには、クリーニングブレード23Yが設けられている。
このクリーニングブレード23Yは、現像剤圧縮ローラ22Yに付着した液体現像剤を除去する機能を有している。
また、現像ユニット100Yは、現像ローラ20Yの表面に当接されたゴム製の現像ローラクリーニングブレード21Yを有している。この現像ローラクリーニングブレード21Yは、前記現像位置で現像が行われた後に、現像ローラ20Y上に残存する液体現像剤を掻き落として除去するための装置である。現像ローラクリーニングブレード21Yにより除去された液体現像剤は、液体現像剤貯留部31Y内に回収され、再利用される。
また、画像形成装置1000は、各現像剤回収部(15Y、18Y)に回収された液体現像剤中の絶縁性液体を再利用する再利用装置を有している。
この再利用装置は、各現像剤回収部から、回収された液体現像剤を搬送する搬送路70と、搬送された液体現像剤の固形分(トナー粒子等)を除去するフィルタ手段77と、当該フィルタ手段77により固形分が除去された絶縁性液体を貯留する絶縁性液体貯留部74とを備えている。
搬送路70には、ポンプ76が設けられており、このポンプ76により、各現像剤回収部に回収された液体現像剤を絶縁性液体貯留部74に搬送する。
絶縁性液体貯留部74に貯留された絶縁性液体は、図示せぬ搬送手段により、各現像部に適宜搬送され、再利用される。
また、フィルタ手段77に除去された固形分は、図示せぬフィルタ状態の検知手段により検知される。そして、その検知結果に基づいてフィルタ手段77を交換する。これにより、フィルタ手段77のフィルタリング機能を安定して維持することができる。
次に、定着部について説明する。
定着部F40は、前述した現像部、転写部等において形成された未定着のトナー画像F5aを、記録媒体F5上に定着させるものである。
定着部F40は、図6に示すように、熱定着ローラF1と、加圧ローラF2と、耐熱ベルトF3と、ベルト張架部材F4と、クリーニング部材F6と、フレームF7と、スプリングF9とを有している。
熱定着ローラ(定着ローラ)F1は、パイプ材で構成されたローラ基材F1bと、その外周を被覆する弾性体F1cと、ローラ基材F1bの内部に、加熱源としての柱状ハロゲンランプF1aとを有しており、図に矢印で示す反時計方向に回転可能になっている。
また、熱定着ローラF1の弾性体F1cの表層にはPFA層が設けられている。これにより、各弾性体F1c、2cの厚みは異なるが、両弾性体F1c、2cは略均一な弾性変形をして、いわゆる水平ニップが形成され、また、熱定着ローラF1の周速に対して、後述する耐熱ベルトF3または記録媒体F5の搬送速度に差異が生じることもないので、極めて安定した画像定着が可能となる。
熱定着ローラF1の内部には、加熱源を構成する2本の柱状ハロゲンランプF1a、F1aが内蔵されており、これらの柱状ハロゲンランプF1a、F1aの発熱エレメントは、それぞれ異なった位置に配置されている。そして、各柱状ハロゲンランプF1a、F1aが選択的に点灯されることにより、後述する耐熱ベルトF3が熱定着ローラF1に巻き付いた定着ニップ部位と、後述するベルト張架部材F4が熱定着ローラF1に摺接する部位との異なる条件下や、幅の広い記録媒体と幅の狭い記録媒体との異なる条件下等での温度コントローラが容易に行われるようになっている。
加圧ローラF2は、熱定着ローラF1と対向するように配されており、後述する耐熱ベルトF3を介して、未定着のトナー画像F5aが形成された記録媒体F5に対して圧力を加えるよう構成されている。
また、加圧ローラF2は、パイプ材で構成されたローラ基材F2bと、その外周を被覆する弾性体F2cとを有し、図に矢印で示す時計方向に回転可能になっている。
前述した熱定着ローラF1の弾性体F1cと加圧ローラF2の弾性体F2cとは、略均一な弾性変形をして、いわゆる水平ニップを形成する。また、熱定着ローラF1の周速に対して、後述する耐熱ベルトF3または記録媒体F5の搬送速度に差異が生じることもないので、極めて安定した画像定着が可能となる。
耐熱ベルトF3は、加圧ローラF2とベルト張架部材F4の外周に張架されて移動可能とされ、熱定着ローラF1と加圧ローラF2との間に挟圧されるエンドレスの環状のベルトである。
この耐熱ベルトF3は、0.03mm以上の厚みを有し、その表面(記録媒体F5が接触する側の面)をPFAで形成し、裏面(加圧ローラF2およびベルト張架部材F4と接触する側の面)をポリイミドで形成した2層構成のシームレスチューブで形成されている。なお、耐熱ベルトF3は、これに限定されず、ステンレス管やニッケル電鋳管等の金属管、シリコーン等の耐熱樹脂管等の他の材料で形成することもできる。
ベルト張架部材F4は、熱定着ローラF1と加圧ローラF2との定着ニップ部よりも記録媒体F5搬送方向上流側に配設されるとともに、加圧ローラF2の回転軸F2aを中心として矢印P方向に揺動可能に配設されている。
ベルト張架部材F4は、記録媒体F5が定着ニップ部を通過しない状態において、耐熱ベルトF3を熱定着ローラF1の接線方向に張架するように構成されている。記録媒体F5が定着ニップ部に進入する初期位置で定着圧力が大きいと進入がスムーズに行われなくて、記録媒体F5の先端が折れた状態で定着される場合があるが、このように耐熱ベルトF3を熱定着ローラF1の接線方向に張架する構成にすることで、記録媒体F5の進入がスムーズに行われる記録媒体F5の導入口部が形成でき、安定した記録媒体F5の定着ニップ部への進入が可能となる。
ベルト張架部材F4は、耐熱ベルトF3の内周に嵌挿されて加圧ローラF2と協働して耐熱ベルトF3に張力fを付与する略半月状のベルト摺動部材(耐熱ベルトF3はベルト張架部材F4上を摺動する)である。このベルト張架部材F4は、耐熱ベルトF3が熱定着ローラF1と加圧ローラF2との押圧部接線Lより熱定着ローラF1側に巻き付けてニップを形成する位置に配置される。突壁F4aはベルト張架部材F4の軸方向一端または両端に突設されており、この突壁F4aは、耐熱ベルトF3が軸方向端の一方に寄った場合に、この耐熱ベルトF3がこの突壁F4aに当接することで耐熱ベルトF3の端への寄りを規制するものである。突壁F4aの熱定着ローラF1と反対側の端部とフレームとの間にスプリングF9が縮設されていて、ベルト張架部材F4の突壁F4aが熱定着ローラF1に軽く押圧され、ベルト張架部材F4が熱定着ローラF1に摺接して位置決めされる。
ベルト張架部材F4が熱定着ローラF1に軽く押圧される位置がニップ初期位置とされ、また、熱定着ローラF1に加圧ローラF2が押圧する位置がニップ終了位置とされる。
定着部F40において、未定着のトナー画像F5aが形成された記録媒体F5は、上記ニップ初期位置から定着ニップ部に進入して耐熱ベルトF3と熱定着ローラF1との間を通過し、ニップ終了位置から抜け出ることで、記録媒体F5上に形成された未定着のトナー画像F5aが定着され、その後、熱定着ローラF1への加圧ローラF2の押圧部の接線方向Lに排出される。
クリーニング部材F6は、加圧ローラF2とベルト張架部材F4との間に配置されている。
このクリーニング部材F6は耐熱ベルトF3の内周面に摺接して耐熱ベルトF3の内周面の異物や摩耗粉等をクリーニングするものである。このように異物や摩耗粉等をクリーニングすることで、耐熱ベルトF3をリフレッシュし、前述の摩擦係数の不安定要因を除去している。また、ベルト張架部材F4に凹部F4fが設けられており、耐熱ベルトF3から除去した異物や摩耗粉等を収納するよう構成されている。
また、定着部F40は、記録媒体F5にトナー画像F5aを定着させた後に、熱定着ローラF1の表面に付着(残存)した絶縁性液体を除去する除去ブレード(除去手段)F12を有している。なお、この酸化重合促進剤除去ブレードF12は、絶縁性液体を除去するとともに、定着の際に熱定着ローラF1上に移行したトナー等も同時に除去することができる。
なお、耐熱ベルトF3を加圧ローラF2とベルト張架部材F4とにより張架して加圧ローラF2で安定して駆動するには、加圧ローラF2と耐熱ベルトF3との摩擦係数をベルト張架部材F4と耐熱ベルトF3との摩擦係数より大きく設定するとよい。しかし、摩擦係数は、耐熱ベルトF3と加圧ローラF2との間あるいは耐熱ベルトF3とベルト張架部材F4との間への異物の侵入や、耐熱ベルトF3と加圧ローラF2およびベルト張架部材F4との接触部の摩耗などによって不安定になる場合がある。
そこで、加圧ローラF2と耐熱ベルトF3の巻き付け角よりベルト張架部材F4と耐熱ベルトF3の巻き付け角が小さくなるように、また、加圧ローラF2の径よりベルト張架部材F4の径が小さくなるように設定する。これにより、耐熱ベルトF3がベルト張架部材F4を摺動する長さが短くなり、経時変化や外乱などに対する不安定要因から回避でき、耐熱ベルトF3を加圧ローラF2で安定して駆動することができるようになる。
熱定着ローラF1により加える熱(定着温度)は、具体的には、80〜200℃であるのが好ましく、100〜180℃であるのがより好ましい。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明の液体現像剤は、前述したような液体現像装置、定着装置に適用されるものに限定されない。
また、本発明の液体現像剤は、前述したような製造方法により製造されたものに限定されない。
また、前述した実施形態では、水系分散液を得、該水系乳化液に電解質を添加することにより会合粒子を得るものとして説明したが、本発明は、これに限定されない。例えば、会合粒子は、水系液体に、着色剤とモノマーと界面活性剤と重合開始剤とを分散させ、乳化重合により、水系分散液を調製し、該水系分散液に電解質を添加して会合させる乳化重合会合法を用いて調製されたものであってもよいし、また、得られた水系分散液を噴霧乾燥することにより会合粒子を得るものであってもよい。
[1]液体現像剤の製造
(実施例1)
<着色剤マスター溶液の調製>
まず、ポリエステル樹脂(軟化温度:113℃、ガラス転移点:53℃)と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3)との混合物(質量比50:50)を用意した。これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
次に、この原料(混合物)を2軸混練押出機を用いて混練した。2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を冷却した。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の粉末とした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
得られた混練物の粉末に固形分含有量が30質量%となるようにメチルエチルケトンを加え、アイガーモーターミル(米国アイガー社製:M−1000)で湿式分散して着色剤マスター溶液を調製した。
<樹脂液の調製>
上記着色剤マスター溶液:33重量部にメチルエチルケトン:200重量部および前記ポリエステル樹脂:73重量部を加えて、アイガーモーターミル(米国アイガー社製:M−1000)で混合し、樹脂液を作製した。なお、この溶液中において、顔料は均一に微分散していた。
<水系乳化液の調製>
マックスブレンド攪拌翼を有する円筒型の2Lセパラブルフラスコに上述の樹脂液を500重量部、メチルエチルケトンを45.5重量部入れ、樹脂液の固形分含有量を55%とした。
次いでフラスコ内の樹脂液に1規定アンモニア水:41.7重量部(前記ポリエステル樹脂が有するカルボキシル基の総量に対するモル当量比は1.1)を加えて、スリーワンモーター(新東科学社製)により、攪拌羽の回転数を210rpm(攪拌翼の周速:0.71m/s)として十分に攪拌し、その後攪拌を維持しながら、脱イオン水:133重量部を加えた。フラスコ内の溶液の温度を25℃に調整し、攪拌を継続しながら、上記樹脂液に対して133重量部の脱イオン水を滴下して転相乳化を起こし、樹脂材料を含む分散質が分散した水系乳化液を得た。
<会合による会合粒子の製造>
次に、フラスコ内の攪拌を継続しつつ、水系乳化液に1規定アンモニア水と水との総量が593重量部となるように脱イオン水:285重量部を加えた。次いで、水系乳化液に対して、アニオン型乳化剤であるエマールO(花王社製):2.6重量部を脱イオン水:30重量部に希釈して添加した。
その後、水系乳化液の温度を25℃に保ちつつ、攪拌の回転数を150rpm(攪拌翼の周速:0.54m/s)として、3.5%の硫酸アンモニウム水溶液:300重量部を滴下し、分散質の会合体の粒径を3.5μmとした。滴下後、分散質の会合体の粒径が5.0μmに成長するまで攪拌を続け会合操作を終了した。
得られた会合体分散液に対して、減圧下で有機溶剤を留去することにより乾燥し、会合粒子を得た。
<液体現像剤の調製>
上記の方法で得られた会合粒子:40重量部、大豆油脂肪酸メチル(アニリン点:8℃、粘度:5.1mPa・s、日清オイリオ製):60重量部、脂肪族炭化水素としてのコスモホワイトP−60(アニリン点:103℃、粘度:15mPa.s、コスモ石油ルブリカンツ社製):100重量部、ポリアミン脂肪族縮重合体(日本ルーブリゾール社製、商品名「ソルスパース11200」):2重量部及びステアリン酸アルミニウム(日本油脂製):0.5重量部をセラミック製ポット(内容積600ml)に入れ、さらにジルコニアボール(ボール直径:1mm)を体積充填率30%になるようにセラミック製ポットに入れた。卓上ポットミルにて回転速度220rpm(1/min)で200時間解砕を行い、ポット内の分散液をジルコニアボールと分離して取り出し液体現像剤を得た。
得られた液体現像剤中における、トナー粒子の平均粒径は1.5μm、各トナー粒子間での粒径の標準偏差は0.64μmであった。また、25℃において振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定される液体現像剤の粘度は、270mPa・sであった。また、液体現像剤の電気抵抗は、2.6×1012Ωcmであった。また、大豆油脂肪酸メチルと、コスモホワイトP−60を上記の分量ずつ混合し、アニリン点を測定したところ、66.3℃であった。
なお、各実施例、比較例でのそれぞれの粒子の平均粒径は体積基準平均粒径であり、これらの粒子の平均粒径および粒度分布はMastersizer 2000粒子解析装置(Malvern Instruments Ltd.製)にて測定を行った。また、絶縁性液体のアニリン点は、自動アニリン点試験機(RAP−01UF型、離合社製)を用いて測定を行った。
(実施例2)
大豆油脂肪酸メチルの代わりにラウリン酸メチル(アニリン点:3℃、粘度:2.5mPa.s、ライオン社製)を使用し、絶縁性液体の構成を表1に示すような構成にした以外は、前記実施例1と同様に液体現像剤を製造した。
(実施例3〜14)
トナー粒子の構成、絶縁性液体の構成を表1に示すような構成にした以外は、前記実施例1と同様に液体現像剤を製造した。
(実施例15)
大豆油脂肪酸メチルの代わりに、油脂であるヤシ油とメタノールとのエステル交換反応により生成されたヤシ油エステル交換液(粘度3.7mPa・s、花王社製「エキセパールMC」)を使用し、コスモホワイトP−60の代わりに脂肪族炭化水素であるアイソパーH(アニリン点:84℃、エクソン社製)を用いた以外は、前記実施例1と同様に液体現像剤を製造した。なお、このようなヤシ油エステル交換液(ヤシ油脂肪酸メチル)は、脂肪酸成分として、ラウリン酸を52wt%、ミリスチン酸を13wt%、オレイン酸を10wt%、パルミチン酸を8wt%含むものであった。
(実施例16)
大豆油脂肪酸メチルの代わりに、油脂であるヤシ油とイソブタノールのエステル交換反応により生成されたヤシ油エステル交換液を使用した以外は、前記実施例1と同様に液体現像剤を製造した。なお、このようなヤシ油エステル交換液(ヤシ油脂肪酸イソブタノール)は、脂肪酸成分として、ラウリン酸を52wt%、ミリスチン酸を13wt%、オレイン酸を10wt%、パルミチン酸を8wt%含むものであった。
(比較例1〜4)
トナー粒子の構成、絶縁性液体の構成を表1に示すような構成にした以外は、前記実施例1と同様に液体現像剤を製造した。
以上の各実施例および各比較例について、トナー粒子の構成、絶縁性液体の構成、液体現像剤の粘度、液体現像剤の電気抵抗等を表1に示した。
また、表1中、樹脂成分としてのポリエステル樹脂をPEs、スチレン−アクリル共重合体をSt−Ac、エポキシ樹脂をEP、脂肪酸モノエステルのアルコール成分としてのメタノールをMeOH、エタノールをEtOH、イソブタノールをi−BuOH、脂肪酸モノエステルの脂肪酸成分としてのラウリン酸をLA、ミリスチン酸をMR、オレイン酸をOL、パルミチン酸をPL、リノール酸をLN、リノレン酸をLLとして示した。また、各実施例、各比較例では、上述したような絶縁性液体の構成成分の他に、脂肪族炭化水素として、ダイナフレシアW−8(アニリン点:98、粘度14mPa・s、出光興産社製)、アイソパーE(アニリン点:75℃、エクソン社製)、アイソパーG(アニリン点:83℃、エクソン社製)、シリコーンオイルとしてのKF96(アニリン点:123℃、粘度100mPa・s、信越シリコーン社製)、油脂としての大豆油(アニリン点:12℃、日清オイリオ社製)等を表1に示すように適宜選択して用いた。
なお、表1中の粘度、及び電気抵抗は以下の4段階の基準に従い表記した。
<粘度>
非常に良い(A) :100mPa・s以上900mPa・s以下。
良い(B) :100mPa・s以上1000mPa・s以下。(100mPa
・s以上900mPa・s以下は除く)
許容範囲(C) :50mPa・s以上100mPa・s未満。
悪い(D) :50mPa・s未満、もしくは、1000mPa・sより大きい
<電気抵抗>
非常に良い(A) :2.0×1012Ωcm以上。
良い(B) :1.5×1012Ωcm以上2.0×1012Ωcm未満。
許容範囲(C) :1.0×1012Ωcm以上1.5×1012Ωcm未満。
悪い(D) :1.0×1012Ωcm未満。
Figure 2008203568
[2]評価
上記のようにして得られた各液体現像剤について、以下の評価を行った。
[2.1]定着強度
図1〜図6に示すような画像形成装置を用いて、前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤による所定パターンの単色の画像を記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)上に形成し、熱定着ローラの設定温度を120℃として、熱定着を行った。
その後、非オフセット領域を確認した後、記録紙上の定着像を消しゴム(ライオン事務機社製、砂字消し「LION 261−11」)を押圧荷重1.0kgfで2回擦り、画像濃度の残存率をX−Rite Inc社製「X−Rite model 404」により測定し、以下の5段階の基準に従い評価した。
非常に良い(A) :画像濃度残存率が95%以上。
良い(B) :画像濃度残存率が90%以上95%未満。
許容範囲(C) :画像濃度残存率が80%以上90%未満。
やや悪い(D) :画像濃度残存率が70%以上80%未満。
悪い(E) :画像濃度残存率が70%未満。
[2.2]低温定着性
前記各実施例および前記各比較例で得られたトナーについて、以下のようにして定着良好域、低温定着性の評価を行った。
まず、定着装置を有さない以外は、図1〜図5に示すような構成を有する画像形成装置を用意した。この画像形成装置を用いて、記録媒体(セイコーエプソン社製、上質普通紙)上に単色のトナー像が転写された未定着の画像サンプルを採取した。なお、採取するサンプルのベタは付着量を0.5mg/cmに調整した。
次に、画像形成装置を構成する定着装置の定着ローラの表面温度を所定温度に設定した状態で、上記の未定着のトナー像が転写された記録媒体を、図6に示すような定着装置の内部に導入することにより、トナー像を記録媒体に定着させ、定着後におけるオフセットの発生の有無を目視で確認した。この定着装置では、トナーがニップ部を通過する速度を150mm/sに設定した。
同様に、定着ローラの表面の設定温度を70〜160℃の範囲で順次変更していき、各温度でのオフセットの発生の有無を確認し、低温オフセットが発生した最高温度を低温オフセット発生温度とし、以下の4段階の基準に従い評価した。
A :低温オフセット発生温度が、90℃未満。
B :低温オフセット発生温度が、90℃以上、100℃未満。
C :低温オフセット発生温度が、100℃以上、110℃未満。
D :低温オフセット発生温度が、110℃以上。
[2.3]保存性
前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤を、温度:15〜25℃の環境下に、6ヵ月間静置した。その後、液体現像剤中のトナーの様子を目視にて確認し、以下の5段階の基準に従い評価した。
A :トナー粒子の浮遊および凝集沈降がまったく認められない。
B :トナー粒子の浮遊および凝集沈降がほとんど認められない。
C :トナー粒子の浮遊または凝集沈降がわずかに認められるが、液体現像剤として
問題の無い範囲である。
D :トナー粒子の浮遊または凝集沈降がはっきりと認められる。
E :トナー粒子の浮遊および凝集沈降が顕著に認められる。
[2.4]環境安定性(長期安定性)
前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤を、35℃、相対湿度65%の環境下に、6ヶ月間放置した。その後、液体現像剤の様子を観察し、放置前後の粘度、色、酸価、および電気抵抗値の変化を以下の5段階の基準に従い評価した。なお、酸価の測定は、JIS K2501に準拠して行った。また、液体現像剤の色の変化は、目視により評価した。また、粘度は、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して行った。また、電気抵抗値は、ユニバーサルエレクトロメーター MMAII−17B、液体用電極LP−05、シールドボックスP−618(川口電機製作所製)を用いて測定した。
A :液体現像剤の粘度/色/酸価/電気抵抗値の変化がまったく認められない。
B :液体現像剤の粘度/色/酸価/電気抵抗値の変化がほとんど認められない。
C :液体現像剤の粘度/色/酸価/電気抵抗値の変化がわずかに認められるが、液 体現像剤として問題の無い範囲である。
D :液体現像剤の粘度/色/酸価/電気抵抗値の変化がはっきりと認められる。
E :液体現像剤の粘度/色/酸価/電気抵抗値の変化が顕著に認められる。
[2.5]定着印字面の耐ブロッキング性の評価
前記各実施例および前記各比較例で得られたトナーについて、以下のようにしてブロッキングに対する耐性(耐ブロッキング性)の評価を行った。
まず、図1〜図6に示すような構成を有する画像形成装置を用意した。この画像形成装置を用いて、記録媒体(セイコーエプソン社製、上質普通紙)上に、記録媒体に形成されたトナー画像のトナー重量が0.75mg/cmとなるように、所定のパターンの単色のトナー像を転写、定着し、定着トナー画像を得た。
画像形成を行った2枚の記録媒体を、定着トナー画像同士が密着するように合わせ、55℃の温度下にて、記録媒体上に重りを置いて1.0kgf/cmの荷重を加えながら、記録媒体上の定着トナー画像同士を24時間密着させた。その後、記録媒体上から重りを取り除き、記録媒体が室温(25℃)になるまで放冷した。
放冷後、2枚の記録媒体を剥がすことで、密着させていた定着トナー画像同士を引き剥がした。剥がされた後の定着トナー画像を目視にて確認し、付着粉、光沢むら、濃度むら等の有無を以下の4段階の基準に従い評価した。
A :定着トナー画像上に、付着粉、光沢むら、濃度むらがまったく認められない。
B :定着トナー画像上に、付着粉、光沢むら、濃度むらがほとんど認められない。
C :定着トナー画像上に、付着粉、光沢むら、濃度むらがわずかに認められる。
D :定着トナー画像上に、付着粉、光沢むら、濃度むらがはっきりと認められる。
これらの結果を、表2に示す。
Figure 2008203568
表2から明らかなように、本発明の液体現像剤は、環境安定性(長期安定性)、保存性、定着特性、耐ブロッキング性に優れていた。これに対し、各比較例の液体現像剤では、満足な結果が得られなかった。
また、塗布ローラとしてアニロクスローラの代わりに溝のない塗布ローラを用いて画像形成を行った。この結果、塗布ローラとしてアニロクスローラを場合のほうが、より画像ムラのない鮮明なトナー画像を得ることができた。
また、着色剤として、シアン系顔料の代わりに、ピグメントレッド122、ピグメントイエロー180、カーボンブラック(デグサ社製、Printex L)を用いた以外は、上記と同様に液体現像剤の製造、評価を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置の一例を示す模式図である。 図1に示す画像形成装置の一部を拡大した拡大図である。 図1に示す画像形成装置が備える塗布ローラを示す斜視概念図である。 図3に示す塗布ローラの拡大模式図である。 現像ローラ上の液体現像剤層内におけるトナー粒子の状態を示す模式図である。 図1に示す画像形成装置に適用される定着装置の一例を示す断面図である。
符号の説明
1…トナー粒子 1000…画像形成装置 10Y、10M、10C、10K…感光体 11Y…帯電ローラ 12Y…露光ユニット 13Y、13M…感光体スクイーズローラ 14Y、14M…クリーニングブレード 15Y、15M…現像剤回収部 16Y…除電ユニット 17Y…感光体クリーニングブレード 18Y…現像剤回収部 20Y、20M、20C、20K…現像ローラ 201Y…液体現像剤層 21Y…現像ローラクリーニングブレード 22Y…現像剤圧縮ローラ 23Y…現像剤圧縮ローラクリーニングブレード 30Y、30M、30C、30K…現像部 31Y…液体現像剤貯留部 32Y…塗布ローラ 33Y…規制ブレード 32Ya…溝 32Yb…山 34Y…現像剤撹拌ローラ 40…転写部 41…搬送ベルト 42…ベルト駆動ローラ 43…テンションローラ 44Y、44M、44C、44K…転写バックアップローラ 70…搬送路 74…絶縁性液体貯留部 76…ポンプ 77…フィルタ手段 100Y…現像ユニット 101Y…感光体スクイーズ装置 F40…定着部(定着装置) F1…熱定着ローラ(加熱ローラ) F1a…柱状ハロゲンランプ F1b…ローラ基材 F1c…弾性体 F11c…離型層 F12…除去ブレード F2…加圧ローラ F2a…回転軸 F2b…ローラ基材 F2c…弾性体 F3…耐熱ベルト F4…ベルト張架部材 F4a…突壁 F4f…凹部 F5…記録媒体 F5a…トナー画像 F6…クリーニング部材 F7…フレーム F9…スプリング

Claims (12)

  1. 絶縁性液体と、前記絶縁性液体中に分散したトナー粒子とを含み、
    前記絶縁性液体は、脂肪酸と1価のアルコールとのエステルである脂肪酸モノエステルを含み、かつ前記絶縁性液体のアニリン点が5℃〜80℃であることを特徴とする液体現像剤。
  2. 前記絶縁性液体は、脂肪族炭化水素を含むものである請求項1に記載の液体現像剤。
  3. 前記脂肪族炭化水素は、飽和炭化水素である請求項2に記載の液体現像剤。
  4. 前記絶縁性液体は、シリコーンオイルを含むものである請求項1ないし3のいずれかに記載の液体現像剤。
  5. 前記脂肪酸モノエステルは、前記脂肪酸として、飽和脂肪酸を含むものである請求項1ないし4のいずれかに記載の液体現像剤。
  6. 前記脂肪酸モノエステルは、前記飽和脂肪酸として、炭素数が8〜16の飽和脂肪酸を含むものである請求項5に記載の液体現像剤。
  7. 前記脂肪酸モノエステルは、前記1価のアルコールとして、炭素数が1〜4のアルコールを含むものである請求項1ないし6のいずれかに記載の液体現像剤。
  8. 前記絶縁性液体中における前記脂肪酸モノエステルの含有量は、10〜90wt%である請求項1ないし7のいずれかに記載の液体現像剤。
  9. 前記トナー粒子は、平均粒径が0.7〜3μmである請求項1ないし8のいずれかに記載の液体現像剤。
  10. 前記トナー粒子は、ポリエステル樹脂を含むものである請求項1ないし9のいずれかに記載の液体現像剤。
  11. 色の異なる複数の液体現像剤を用いて、各色に対応した単色像を形成する複数の現像部と、
    記録媒体を搬送することにより、複数の前記現像部で形成された複数の前記単色像を前記記録媒体に順次転写し、転写した複数の前記単色像を重ね合わせてなる未定着カラー画像を前記記録媒体上に形成する転写部と、
    前記未定着カラー画像を前記記録媒体上に定着する定着部とを有し、
    前記液体現像剤は、絶縁性液体と、前記絶縁性液体中に分散したトナー粒子とを含み、
    前記絶縁性液体は、脂肪酸と1価のアルコールとのエステルである脂肪酸モノエステルを含み、かつ前記絶縁性液体のアニリン点が5℃〜80℃であることを特徴とする画像形成装置。
  12. 前記現像部は、少なくとも、表面に前記液体現像剤の層を形成する現像ローラと、前記現像ローラ上の前記液体現像剤を転写することにより前記単色像を形成する感光体と、前記現像ローラに前記液体現像剤を供給する塗布ローラとを有し、
    前記塗布ローラは、その表面に溝が形成されたアニロクスローラであり、前記溝に前記液体現像剤を担持することによって前記現像ローラに前記液体現像剤を供給する請求項11に記載の画像形成装置。
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