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JP2008250292A - 液晶表示装置、光学フィルム及び偏光板 - Google Patents

液晶表示装置、光学フィルム及び偏光板 Download PDF

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JP2008250292A
JP2008250292A JP2008004206A JP2008004206A JP2008250292A JP 2008250292 A JP2008250292 A JP 2008250292A JP 2008004206 A JP2008004206 A JP 2008004206A JP 2008004206 A JP2008004206 A JP 2008004206A JP 2008250292 A JP2008250292 A JP 2008250292A
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optically anisotropic
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伸隆 深川
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茂生 上平
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Fujifilm Corp
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Abstract

【課題】広範囲の視野角において高いコントラストの画像を表示可能であり、且つカラーシフトが軽減された、簡便に製造可能な液晶表示装置を提供する。
【解決手段】少なくとも、液晶セルと、第1の光学異方性層と、第2の光学異方性層とを有する液晶表示装置であって、前記第1の光学異方性層が、下記式(a1)を満足するとともに、前記第2の光学異方性層が少なくとも1つの光軸を有し、第1及び第2の光学異方性層のうち少なくとも一方が塗布又は転写によって形成された光学異方性層であることを特徴とする液晶表示装置:
(a1) 10<Rth(548)/Re(548)
〔式中、Rth(λ)は、波長λ(nm)における厚み方向のレターデーション(nm)を表す〕。
【選択図】図1

Description

本発明は液晶表示装置に視野角特性の改善に寄与する光学フィルム及び偏光板、ならびに視野角特性に優れた液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、低電圧・低消費電力で小型化・薄膜化が可能など様々な利点からパーソナルコンピューターや携帯機器のモニター、テレビ用途に広く利用されている。このような液晶表示装置は液晶セル内の液晶分子の配列状態により様々なモードが提案されているが、従来は液晶セルの下側基板から上側基板に向かって約90°捩れた配列状態になるTNモードが主流であった。
一般に液晶表示装置は液晶セル、光学補償シート、及び偏光子から構成される。光学補償シートは画像着色を解消したり、視野角を拡大するために用いられており、延伸した複屈折フィルムや透明フィルムに液晶を塗布したフィルムが使用されている。例えば、特許文献1ではディスコティック液晶をトリアセチルセルロースフィルム上に塗布し配向させて固定化した光学補償シートをTNモードの液晶セルに適用し、視野角を広げる技術が開示されている。しかしながら、大画面で様々な角度から見ることが想定されるテレビ用途の液晶表示装置は視野角依存性に対する要求が厳しく、前述のような手法をもってしても要求を満足することはできていない。そのため、IPS(In−Plane Switching)モード、OCB(Optically Compensatory Bend)モード、VA(Vertically Aligned)モードなど、TNモードとは異なる液晶表示装置が研究されている。特にVAモードはコントラストが高く、比較的製造の歩留まりが高いことからTV用の液晶表示装置として着目されている。
しかし、VAモードでは、パネル法線方向においてはほぼ完全な黒色表示ができるものの、斜め方向からパネルを観察すると光漏れが発生し、視野角が狭くなるという問題があった。この問題を解決するためにフィルムの3次元方向の屈折率がいずれも異なる、光学的に二軸の位相差板を用いることによりVAモードの視野角特性を向上することが提案されている(例えば特許文献1)。
しかし、上記の方法はある波長域(例えば548nm付近の緑光)に対して光漏れを低減しているのみであり、それ以外の波長域(例えば446nm付近の青光、650nm付近の赤光)に対する光漏れは考慮していない。このため例えば黒表示をして斜めから観察すると、青色や赤色に着色するいわゆるカラーシフトの問題があった。この問題を解決する手段として特定の波長分散性を示す2枚の位相差フィルムを用いる方法が提案されている(特許文献2)。
特開2003−344856号公報 特許第3648240号
しかし、近年の高い表示品位の要求を満たすべく、前記課題についてさらなる性能向上が求められている。また、実際に製品として市場に提供する場合には、表示品位の観点のみならず、生産性の観点も重要であり、市場の要求を満足する表示品位の液晶表示装置を、いかに簡便に製造するかということが、液晶表示装置の技術分野において重要な課題である。
また、製品として使用される場合は、初期の性能が優れているのみならず、長時間使用した場合にもその性能を維持することが求められる。従来の製品の中には、初期の表示性能が良好であっても、長時間使用した場合に、表示性能が低下する、具体的には、使用時間が長期化すると、表示面の四隅(以下、「コーナー」という場合がある)にわずかな光漏れが生じ、コーナームラとなって認識されるものもある。
本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、広範囲の視野角において高いコントラストの画像を表示可能であり、且つカラーシフト(斜め方向から見た際の色味変化)が軽減された液晶表示装置、特にVAモードの液晶表示装置を提供することを課題とする。
さらに、本発明は、上記課題を解決するとともに、長期的に使用してもコーナームラが生じない又は軽減された良好な耐久性の液晶表示装置、特にVAモードの液晶表示装置を提供することを課題とする。
また、本発明は、液晶表示装置、特にVAモードの液晶表示装置、の視野角の拡大及び視野角に依存したカラーシフトの軽減に寄与する光学フィルム及び偏光板を提供することを課題とする。
さらに本発明は、上記課題を解決するとともに、長期間の使用によっても、それに起因するコーナームラが生じないもしくは軽減された光学フィルム及び偏光板を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため手段は以下の通りである。
[1] 少なくとも、液晶セルと、第1の光学異方性層と、第2の光学異方性層とを有する液晶表示装置であって、前記第1の光学異方性層が、下記式(a1)を満足するとともに、前記第2の光学異方性層が少なくとも1つの光軸を有し、第1及び第2の光学異方性層のうち少なくとも一方が塗布又は転写によって形成された光学異方性層であることを特徴とする液晶表示装置:
(a1) 10<Rth(548)/Re(548)
〔式中、Rth(λ)は、波長λ(nm)における厚み方向のレターデーション(nm)を表す〕。
[2] 前記第1の光学異方性層が、厚み方向のレターデーションRthが可視光域の光に対して長波長になるほど減少することを特徴とする[1]の液晶表示装置。
[3] 前記第2の光学異方性層が、面内レターデーションRe及び厚み方向のレターデーションRthが、可視光域の光に対して波長に依存して変化しないもしくは長波長になるほど増加することを特徴とする[1]又は[2]の液晶表示装置。
[4] 前記第1の光学異方性層の膜厚d(μm)が下記式(a4)を満たし、及びRth(548)が下記式(a5)を満たすことを特徴とする[1]〜[3]のいずれかの液晶表示装置:
(a4) 0.1≦d≦20
(a5) Rth(548)/(d×1000)≧0.03 。
[5] 前記第2の光学異方性層が塗布又は転写によって形成された光学異方性層であり、その膜厚d(μm)が下記式(b7)、及びRth(548)が下記式(b8)を満たすことを特徴とする[1]〜[4]のいずれかの液晶表示装置:
(b7) 0.1≦d≦20
(b8) Re(548)/(d×1000)≧0.03 。
[6] 前記第1の光学異方性層が、下記式(a2)及び(a3)を満たすことを特徴とする[1]〜[5]のいずれかの液晶表示装置:
(a2) 30nm≦Rth(548)≦400nm
(a3) 1<Rth(446)/Rth(548) 。
[7] 前記第2の光学異方性層が、下記式(b1)及び(b2)を満たすことを特徴とする[1]〜[6]のいずれかの液晶表示装置:
(b1) Re(548)>20nm
(b2) 0.5<Nz<10
〔式中、Re(λ)及びRth(λ)は、それぞれ波長λ(nm)における、面内レターデーション(nm)及び厚み方向のレターデーション(nm)を表し、Nz=Rth(548)/Re(548)+0.5とする〕。
[8] 前記第1の光学異方性層が下記式(a1)〜(a3)を満たし、及び前記第2の光学異方性層が下記式(b1)〜(b6)を満たすことを特徴とする[1]〜[7]のいずれかの液晶表示装置:
(a1) 10<Rth(548)/Re(548)
(a2) 30nm≦Rth(548)≦400nm
(a3) 1.0<Rth(446)/Rth(548)<1.5
(b1) Re(548)>20nm
(b2) 0.5<Nz<10
(b3) 0.60≦Re(446)/Re(548)≦1.0
(b4) 1.0≦Re(628)/Re(548)≦1.25
(b5) 0.60≦Rth(446)/Rth(548)≦1.0
(b6) 1.0≦Rth(628)/Rth(548)≦1.25
〔式中、Re(λ)及びRth(λ)は、それぞれ波長λ(nm)における、面内レターデーション(nm)及び厚み方向のレターデーション(nm)を表し、Nz=Rth(548)/Re(548)+0.5とする〕。
[9] 前記第1の光学異方性層が、セルロースアシレートフィルムであることを特徴とする[1]〜[8]のいずれかの液晶表示装置。
[10] 前記セルロースアシレートフィルムが、Rth発現剤を少なくとも1種含有することを特徴とする[9]の液晶表示装置。
[11] 前記Rth発現剤が、下記一般式(I)もしくは式(II)で表される化合物であることを特徴とする[10]の液晶表示装置:
Figure 2008250292
式(I)中、X1は、単結合、−NR4−、−O−又はS−であり;X2は、単結合、−NR5−、−O−又はS−であり;X3は、単結合、−NR6−、−O−又はS−であり;R1、R2、及びR3は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、芳香族環基又は複素環基であり;R4、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基であり;
Figure 2008250292
式(II)中、R12、R14及びR15はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し;R11、R13はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表し、L1及びL2はそれぞれ独立に単結合又は二価の連結基を表し;Ar1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し;Ar2はアリール基又は芳香族へテロ環を表し;nは3以上の整数を表し、n種存在するL2及びAr1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく;ただしR11及びR13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。
[12] 前記第1の光学異方性層が、塗布又は転写により、ディスコティック液晶組成物又はコレステリック液晶組成物から形成された層であることを特徴とする[1]〜[8]のいずれかの液晶表示装置。
[13] 前記第1の光学異方性層が、塗布又は転写により形成された複屈折を持つポリマー層からなり、前記ポリマー層が、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドポリエステルイミド、及びポリアリールエーテルケトンからなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマー材料を含有することを特徴とする[1]〜[8]のいずれかの液晶表示装置。
[14] 前記第2の光学異方性層が、セルロースアシレートフィルムであることを特徴とする[1]〜[13]のいずれかの液晶表示装置。
[15] 前記セルロースアシレートフィルムが、Re発現剤を少なくとも1種含有することを特徴とする[14]の液晶表示装置。
[16] 前記Re発現剤が、下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする[15]の液晶表示装置:
Figure 2008250292
式中、L1及びL2は各々独立に単結合又は二価の連結基を表し;A1及びA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子又は置換基を表す)、−S−及びCO−からなる群から選ばれる基を表し;R1、R2、及びR3は各々独立に置換基を表し;Xは第14〜16族の非金属原子を表すが、Xには水素原子又は置換基が結合してもよく;及びnは0〜2の整数を表す。
[17] 前記第2の光学異方性層が、塗布又は転写により、液晶組成物から形成された層であることを特徴とする[1]〜[13]のいずれかの液晶表示装置。
[18] 前記第2の光学異方性層が、塗布又は転写により形成された複屈折を持つポリマー層からなり、前記ポリマー層が、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドポリエステルイミド、及びポリアリールエーテルケトンからなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマー材料を含有することを特徴とする[1]〜[13]のいずれかの液晶表示装置。
[19] 少なくとも、液晶セルと、塗布又は転写によって形成された第1及び第2の光学異方性層とを有する液晶表示装置であって、前記第1の光学異方性層が、下記式(a6)を満足するとともに、Rthが可視光域の光に対してその波長が長波長になるほど減少する光学異方性層であり、及び前記第2の光学異方性層が、面内レターデーションRe及び厚み方向のレターデーションRthが、可視光域の光に対して変化しない又はその波長が長波長になるほど増加する光学異方性層であることを特徴とする液晶表示装置:
(a6) 0.5<Rth(548)/Re(548)
〔式中、Rth(λ)は、波長λ(nm)における厚み方向のレターデーション(nm)を表す〕。
[20] 前記液晶セルが、垂直配向モードの液晶セルであることを特徴とする[1]〜[19]のいずれかの液晶表示装置。
[21] 第1の光学異方性層と第2の光学異方性層とを有する光学フィルムであって、前記第1の光学異方性層が、下記式(a2)を満足し、前記第2の光学異方性層が少なくとも1つの光軸を有し、及び前記第1及び第2の光学異方性層の一方が塗布又は転写により形成された光学異方性層であることを特徴とする光学フィルム:
(a2) 10<Rth(548)/Re(548)
〔式中、Rth(λ)は、波長λ(nm)における厚み方向のレターデーション(nm)を表す〕。
[22] 前記第1の光学異方性層が、厚み方向のレターデーションRthが可視光域の光に対して長波長になるほど減少するポリマーフィルムであることを特徴とする[21]の光学フィルム。
[23] 前記第2の光学異方性層が、面内レターデーションRe及び厚み方向のレターデーションRthが、可視光域の光に対して波長に依存して変化しないもしくは長波長になるほど増加する光学異方性層であることを特徴とする[21]又は[22]の光学フィルム。
[24] 塗布又は転写によって形成された第1及び第2の光学異方性層を有する光学フィルムであって、前記第1の光学異方性層が、下記式(a6)を満足するとともに、Rthが可視光域の光に対してその波長が長波長になるほど減少する光学異方性層であり、及び前記第2の光学異方性層が、面内レターデーションRe及び厚み方向のレターデーションRthが、可視光域の光に対して変化しない又はその波長が長波長になるほど増加する光学異方性層であることを特徴とする光学フィルム:
(a6) 0.5<Rth(548)/Re(548)
〔式中、Rth(λ)は、波長λ(nm)における厚み方向のレターデーション(nm)を表す〕。
[25] 前記第1の光学異方性層の膜厚d(μm)が下記式(a4)を満たし、及びRth(548)が下記式(a5)を満たすことを特徴とする[21]〜[24]のいずれかの光学フィルム:
(a4) 0.1≦d≦20
(a5) Rth(548)/(d×1000)≧0.03 。
[26] 前記第2の光学異方性層が塗布又は転写によって形成された光学異方性層であり、その膜厚d(μm)が下記式(b7)、及びRth(548)が下記式(b8)を満たすことを特徴とする[21]〜[25]のいずれかの光学フィルム:
(b7) 0.1≦d≦20
(b8) Re(548)/(d×1000)≧0.03 。
[27] 前記第1の光学異方性層が、下記式(a2)及び(a3)を満たすことを特徴とする[21]〜[26]のいずれかの光学フィルム:
(a2) 30nm≦Rth(548)≦400nm
(a3) 1<Rth(446)/Rth(548) 。
[28] 前記第2の光学異方性層が、下記式(b1)及び(b2)を満たすことを特徴とする[21]〜[27]のいずれかの光学フィルム:
(b1) Re(548)>20nm
(b2) 0.5<Nz<10
〔式中、Re(λ)及びRth(λ)は、それぞれ波長λ(nm)における、面内レターデーション(nm)及び厚み方向のレターデーション(nm)を表し、Nz=Rth(548)/Re(548)+0.5とする〕。
[29] 前記第1の光学異方性層が下記式(a1)〜(a3)を満たし、及び前記第2の光学異方性層が下記式(b1)〜(b6)を満たすことを特徴とする[21]〜[28]のいずれかの光学フィルム:
(a1) 10<Rth(548)/Re(548)
(a2) 30nm≦Rth(548)≦400nm
(a3) 1.0<Rth(446)/Rth(548)<1.5
(b1) Re(548)>20nm
(b2) 0.5<Nz<10
(b3) 0.60≦Re(446)/Re(548)≦1.0
(b4) 1.0≦Re(628)/Re(548)≦1.25
(b5) 0.60≦Rth(446)/Rth(548)≦1.0
(b6) 1.0≦Rth(628)/Rth(548)≦1.25
〔式中、Re(λ)及びRth(λ)は、それぞれ波長λ(nm)における、面内レターデーション(nm)及び厚み方向のレターデーション(nm)を表し、Nz=Rth(548)/Re(548)+0.5とする〕。
[30] 前記第1の光学異方性層が、セルロースアシレートフィルムであることを特徴とする[21]〜[29]のいずれかの光学フィルム。
[31] 前記セルロースアシレートフィルムが、Rth発現剤を少なくとも1種含有することを特徴とする[30]の光学フィルム。
[32] 前記Rth発現剤が、下記一般式(I)もしくは式(II)で表される化合物であることを特徴とする[31]の光学フィルム:
Figure 2008250292
式(I)中、X1は、単結合、−NR4−、−O−又はS−であり;X2は、単結合、−NR5−、−O−又はS−であり;X3は、単結合、−NR6−、−O−又はS−であり;R1、R2、及びR3は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、芳香族環基又は複素環基であり;R4、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基であり;
Figure 2008250292
式(II)中、R12、R14及びR15はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し;R11、R13はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表し、L1及びL2はそれぞれ独立に単結合又は二価の連結基を表し;Ar1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し;Ar2はアリール基又は芳香族へテロ環を表し;nは3以上の整数を表し、n種存在するL2及びAr1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく;ただしR11及びR13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。
[33] 前記第1の光学異方性層が、塗布又は転写により、ディスコティック液晶組成物又はコレステリック液晶組成物から形成された層であることを特徴とする[21]〜[29]のいずれかの光学フィルム。
[34] 前記第1の光学異方性層が、塗布又は転写により形成された複屈折を持つポリマー層からなり、前記ポリマー層が、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドポリエステルイミド、及びポリアリールエーテルケトンからなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマー材料を含有することを特徴とする[21]〜[29]のいずれかの光学フィルム。
[35] 前記第2の光学異方性層が、セルロースアシレートフィルムであることを特徴とする[21]〜[34]のいずれかの光学フィルム。
[36] 前記セルロースアシレートフィルムが、Re発現剤を少なくとも1種含有することを特徴とする[35]の光学フィルム。
[37] 前記Re発現剤が、下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする[36]の光学フィルム:
Figure 2008250292
式中、L1及びL2は各々独立に単結合又は二価の連結基を表し;A1及びA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子又は置換基を表す)、−S−及びCO−からなる群から選ばれる基を表し;R1、R2、及びR3は各々独立に置換基を表し;Xは第14〜16族の非金属原子を表すが、Xには水素原子又は置換基が結合してもよく;及びnは0〜2の整数を表す。
[38] 前記第2の光学異方性層が、塗布又は転写により、液晶組成物から形成された層であることを特徴とする[21]〜[34]のいずれかの光学フィルム。
[39] 前記第2の光学異方性層が、塗布又は転写により形成された複屈折を持つポリマー層からなり、前記ポリマー層が、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドポリエステルイミド、及びポリアリールエーテルケトンからなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマー材料を含有することを特徴とする[21]〜[34]のいずれかの光学フィルム。
[40] 偏光子と、[21]〜[39]のいずれかの光学フィルムとを少なくとも有する偏光板。
[41] 前記偏光子を保護する保護フィルムをさらに有し、該保護フィルムの透湿度が200g/m2・day以下であることを特徴とする[40]の偏光板。
[42] [21]〜[39]のいずれかの光学フィルム及び/又は[40]もしくは[41]の偏光板を含む液晶表示装置。
本発明によれば、広範囲の視野角において高いコントラストの画像を表示可能であり、且つカラーシフト(斜め方向から見た際の色味変化)が軽減され、しかも長期的な使用によってもコーナームラが生じないもしくは軽減された良好な耐久性の液晶表示装置、特にVAモードの液晶表示装置、を提供することができる。
また、本発明によれば、液晶表示装置、特にVAモードの液晶表示装置、の視野角の拡大及び視野角に依存したカラーシフトの軽減に寄与するとともに、長期間の使用によっても、それに起因するコーナームラが生じないもしくは軽減された、光学フィルム及び偏光板を提供することができる。
発明の実施の形態
以下、本発明について説明する。なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。また実質的に直交もしくは平行とは、厳密な角度±10°の範囲を意味する。
また、本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーション(nm)及び厚さ方向のレターデーション(nm)を表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH又はWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH又はWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(21)及び式(22)よりRthを算出することもできる。
Figure 2008250292
式中、上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。
また式中、nxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表し、dは膜厚を表す。
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:
セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)がさらに算出される。
また、本明細書では、Re(446)、Re(548)、Re(628)、Rth(446)、Rth(548)、Rth(628)の値は以下のようにして求めた。測定装置により3以上の異なる波長(例としてλ=479.2546.3、632.8、745.3nm)を用いて測定し、それぞれの波長からRe、Rthを算出するものとする。これらの値をコーシーの式(第3項まで、Re=A+B/λ2+C/λ4)にて近似して値A、B、Cを求める。以上より波長λにおけるRe、Rthをプロットし直し、そこから波長446、548、628nmでのReおよびRth値であるRe(446)、Re(548)、Re(628)、Rth(446)、Rth(548)、Rth(628)を求めることができる。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、式(a1)10<Rth(548)/Re(548)を満足する第1の光学異方性層と、少なくとも1つの光軸を有する第2の光学異方性層とを有すること、ならびに第1及び第2の光学異方性層の少なくとも一方が塗布又は転写によって形成された光学異方性層であることを特徴とする。本発明の好ましい態様は、前記第1の光学異方性層が、厚み方向のレターデーションRthが可視光域の光に対して長波長になるほど減少するポリマーフィルムであり、且つ前記第2の光学異方性層が、塗布又は転写により形成された光学異方性層である態様;及び前記第1の光学異方性層が、塗布又は転写によって形成された光学異方性層であり、且つ前記第2の光学異方性層が、面内レターデーションRe及び厚み方向のレターデーションRthが、可視光域の光に対して波長に依存して変化しないもしくは長波長ほど増加するポリマーフィルムである態様;である。
また、本発明の液晶表示装置のより好ましい一態様は、前記第1の光学異方性層が上記式(a1)及び下記式(a2)〜(a3)を満足し、且つ第2の光学異方性層が下記式(b1)〜(b6)を満足する態様である。
(a1) 10<Rth(548)/Re(548)
(a2) 30≦Rth(548)≦400
(a3) 1<Rth(446)/Rth(548)<1.5
(b1) Re(548)>20nm
(b2) 0.5<Nz<10
(b3) 0.6≦Re(446)/Re(548)≦1
(b4) 1≦Re(628)/Re(548)≦1.25
(b5) 0.6≦Rth(446)/Rth(548)≦1
(b6) 1≦Rth(628)/Rth(548)≦1.25
〔式中、Re(λ)及びRth(λ)は、それぞれ波長λ(nm)における、面内レターデーション(nm)及び厚み方向のレターデーション(nm)を表し、Nz=Rth(548)/Re(548)+0.5とする〕。
前記第1の光学異方性層は、上記式(a1)を満足するとともに、Rthが可視光域の光に対して長波長になるほど減少する、Rthがいわゆる順分散性を示す光学異方性層であるのが好ましい。前記第2の光学異方性層は、少なくとも一つの光軸を有する光学異方性層である。第2の光学異方性層は、面内に少なくとも一つの光軸を有する層であるのが好ましく、一軸性又は二軸性であり、且つRe及びRthの双方が可視光域において波長が長波長になるほど増加する、いわゆる逆分散性を示す、光学異方性層であるのが好ましい。かかる実施形態、即ち、Rthが順分散性を示す第1の光学異方性層と、Re及びRthの双方が逆分散性を示す二軸性の第2の光学異方性層とを組み合せることで、VAモード等の垂直配向モードの液晶表示装置の光学補償において、可視光域の中心波長域であるG光のみならず、長波長域のR光及び短波長域のB光についても、斜め方向における光学補償が可能となる。その結果、本実施形態の液晶表示装置は、斜め方向から観察した場合の色味つき、いわゆるカラーシフトが軽減される。
また、本発明では、第1及び第2の光学異方性層の少なくとも一方を塗布又は転写によって形成しているので、例えば、ポリマーフィルムを接着剤などで貼り合せて製造するのと比較して、接着剤の塗布工程を省略することができる等、製造工程の簡略化という利点がある。また、レターデーションは厚みに比例するので、第1及び第2の光学異方性層に要求される光学特性を満足するためには、その層にはある程度の厚みが必要であるが、液晶組成物やポリマー組成物の中には、薄層であっても高い光学異方性を発現する材料が種々あり、かかる材料を利用することによって、液晶表示装置の薄型化の要請にも応えることができる。
また、特に、第2の光学異方性層が塗布又は転写により形成した光学異方性層である態様では、さらに下記の利点がある。
塗布又は転写によって形成した光学異方性層は、ポリマーフィルムからなる光学異方性層と比較して、膜厚が小さく、光弾性係数が低くなる傾向がある。液晶表示装置を長期使用した際に表示面のコーナーに生じるムラは、使用環境により光学異方性層が変形等して光学特性が変化することが原因の一つと考えられるが、本態様では、第2の光学異方性層が塗布又は転写により形成されているので、光弾性係数が低く、第2の光学異方性層の変形等による光学特性の変化が少ない。その結果、第2の光学異方性層の変形等に起因する、コーナーに生じるムラを軽減することができる。
本発明において、塗布又は転写によって形成される第1及び/又は第2の光学異方性層は、液晶表示装置に組み込まれる他の部材、例えば、偏光板の保護フィルムや光学補償フィルム等の表面上に直接もしくは必要により他の層(配向膜等)を介して、塗布又は転写によって形成することができる。
本発明の液晶表示装置の一態様は、前記第1の光学異方性層が上記式(a1)〜(a3)を満足するポリマーフィルムであり、その表面に直接もしくは必要により他の層(配向膜等)を介して塗布又は転写により形成された上記式(b1)〜(b6)を満足する第2の光学異方性層を有する態様である。
また、本発明の他の態様は、前記第2の光学異方性層が上記式(b1)〜(b6)を満足する二軸性のポリマーフィルムであり、その表面に直接もしくは必要により他の層(配向膜等)を介して塗布又は転写により形成された上記式(a1)〜(a3)を満足する第1の光学異方性層を有する態様である。
ポリマーフィルムである第1又は第2の光学異方性層の表面に塗布又は転写により形成された第2又は第1の光学異方性層を有する積層フィルムは、光学補償フィルムとして、種々のモード、特に垂直配向モード、の液晶表示装置に組み込むことができる。また、かかる積層フィルムを、ポリビニルアルコールフィルム等からなる偏光子と一体化して、偏光板として、種々のモード、特に垂直配向モード、の液晶表示装置に組み込んでもよい。かかる積層フィルムを用いると、液晶表示装置に組み込む際の作業性も改善されるので好ましい。
また、本発明の液晶表示装置の他の態様は、一方の偏光板の保護フィルム(液晶セル側に配置される保護フィルム)として、上記式(a1)〜(a3)を満足するポリマーフィルム(第1の光学異方性層)を有し、且つ他方の偏光板の保護フィルム(液晶セル側に配置される保護フィルム)の表面に直接もしくは必要により他の層(配向膜等)を介して、塗布又は転写により形成された上記式(b1)〜(b6)を満足する第2の光学異方性層を有する態様である。
また、本発明の液晶表示装置の他の態様は、一方の偏光板の保護フィルム(液晶セル側に配置される保護フィルム)として、上記式(b1)〜(b6)を満足する二軸性のポリマーフィルム(第2の光学異方性層)を有し、且つ他方の偏光板の保護フィルム(液晶セル側に配置される保護フィルム)の表面に直接もしくは必要により他の層(配向膜等)を介して、塗布又は転写により形成された上記式(a1)〜(a3)を満足する第1の光学異方性層を有する態様である。
以下、図面を用いて、本発明の液晶表示装置の種々の態様について説明する。
本発明の液晶表示装置の一例の断面概略図を図1に示す。図1は、VAモードの液晶表示装置の構成例であり、VAモードの液晶セル13と、液晶セル13を挟んで配置された一対の第1の偏光子11と第2の偏光子12とを有する。第1の偏光子11と液晶セル13との間には、上記式(a1)〜(a3)を満足する第1の光学異方性層14、及び上記式(b1)〜(b6)を満足する、塗布又は転写により形成された第2の光学異方性層15を有する。ポリマーフィルムからなる第1の光学異方性層14の表面に、直接又は他の層を介して、塗布法又は転写法により、液晶組成物又はポリマー組成物から形成された第2の光学異方性層15を形成し、光学補償フィルムFをあらかじめ作製して、液晶表示装置に組み込んでもよい。
偏光子11及び12は、一般的には、ポリビニルアルコールフィルム等からなり、吸水性が高いので、通常は、双方の表面に保護フィルムが積層された偏光板として液晶表示装置に用いられる。図1では、偏光子12は、両面に保護フィルム17及び18が配置された積層体である偏光板P0として、及び偏光子11は、外側表面に保護フィルム16が、及び他方の表面には保護フィルムとして光学補償フィルムFが配置された積層体である偏光板P1として、液晶表示装置に組み込まれていてもよい。偏光板P1は、光学補償フィルムF側を液晶セル13側にして配置され、且つ塗布又は転写によって形成した第2の光学異方性層15の表面を液晶セル13側にして配置される。
なお、偏光子11及び12は通常、それぞれの透過軸を互いに直交にして配置されている。また、第1の光学異方性層14は、面内遅相軸を有するが、該遅相軸を、第1の偏光子11の吸収軸に対して直交にして配置されるのが好ましい。
本発明の液晶表示装置の他の例の断面概略図を図2に示す。なお、図1中の部材と同一の部材には同一の番号を付し、詳細な説明は省略する。以下の図面においても同様である。図2の液晶表示装置では、VAモードの液晶セル13は、偏光板P2とP3との間に配置される。偏光板P2は、偏光子11と、その外側表面に配置された保護フィルム16と、その液晶セル側表面に、偏光子11の保護フィルムであるとともに、第1の光学異方性層14としての光学特性を満足するポリマーフィルムとを有する。偏光板P3は、偏光子12と、その外側表面及び液晶セル側表面にそれぞれ配置された保護フィルム17及び18を有する。液晶セル側に配置された保護フィルム17は、セルロースアシレートフィルム等のポリマーフィルムの表面に、直接又は他の層(配向膜等)を介して第2の光学異方性層15が塗布又は転写により形成された積層フィルムである。
本発明の液晶表示装置の他の例の断面概略図を図3に示す。図3の液晶表示装置は、VAモード液晶セル13を挟んで配置された一対の第1の偏光子11と第2の偏光子12とを有する。第1の偏光子11と液晶セル13との間には、上記式(a1)〜(a3)を満足する、塗布又は転写により形成された第1の光学異方性層14’、及び上記式(b1)〜(b6)を満足する第2の光学異方性層15’を有する。一軸性又は二軸性のポリマーフィルムからなる第2の光学異方性層15’の表面に、直接又は他の層を介して、塗布法又は転写法により、液晶組成物又はポリマー組成物から形成された第1の光学異方性層14’を形成し、光学補償フィルムF’をあらかじめ作製して、液晶表示装置に組み込んでもよい。また、偏光子11は、外側表面に保護フィルム16が、及び他方の表面には保護フィルムとして光学補償フィルムF’が配置された積層体である偏光板P1’として、液晶表示装置に組み込まれていてもよい。偏光板P1’は、光学補償フィルムF’側を液晶セル13側にして配置され、且つ塗布又は転写によって形成した第1の光学異方性層14’の表面を液晶セル13側にして配置される。
本発明の液晶表示装置の他の例の断面概略図を図4に示す。図4の液晶表示装置では、VAモードの液晶セル13は、偏光板P4とP5との間に配置される。偏光板P4は、偏光子11と、その外側表面に配置された保護フィルム16と、その液晶セル側表面に、偏光子11の保護フィルムであるとともに、第2の光学異方性層15’としての光学特性を満足するポリマーフィルムとを有する。偏光板P5は、偏光子12と、その外側表面及び液晶セル側表面にそれぞれ配置された保護フィルム17及び18を有する。液晶セル側に配置された保護フィルム17は、セルロースアシレートフィルム等のポリマーフィルムの表面に、直接又は他の層(配向膜等)を介して第1の光学異方性層14’が塗布又は転写により形成された積層フィルムである。
図1〜図4に示す態様のVAモード液晶表示装置では、上記式(a1)〜(a3)を満足する、Rthが順分散性の第1の光学異方性層(図中14又は14’)と、上記式(b1)〜(b6)を満足するRe及びRthの双方が逆分散性の第2の光学異方性層(図中15又は15’)とを用いることで、黒表示時において、斜め方向に生じるコントラストの低下及び色味付きを軽減している。
本発明の液晶表示装置の光学補償の一例を、ポアンカレ球を用いて説明する。
図5〜図7は、図2に示す液晶表示装置に入射した光の偏光状態の変化をポアンカレ球上に示した図である。なお、ポアンカレ球は偏光状態を記述する三次元マップで、球の赤道上は直線偏光を表している。ここで、液晶表示装置内における光の伝播方向は方位角=45度、極角=34度である。図5〜図7中、S2軸は、紙面下から上に垂直に貫く軸であり、図5〜図7は、ポアンカレ球を、S2軸の正の方向から見た図である。ここで、S1、S2、S3座標は、ある偏光状態のストークスパラメーターの値を表している。また図5〜図7は、平面的に示されているので、偏光状態の変化前と変化後の点の変位は、図中直線の矢印で示されているが、実際は、液晶層や光学補償フィルムを通過することによる偏光状態の変化は、ポアンカレ球上では、それぞれの光学特性に応じて決定される特定の軸の回りに、特定の角度回転させることで表される。その回転角度は、入射光の波長の逆数に比例し、且つ通過する位相差領域の位相差の大きさに比例する。
図2に示す液晶表示装置の偏光子12を通過した入射光の偏光状態は、図5〜図7では、点(i)に相当し、図2中の偏光子11の吸収軸によって遮光される偏光状態は、図5では点(ii)に相当する。従来、VAモードの液晶表示装置において、斜め方向におけるOFF AXISの光抜けは、出射光の偏光状態が点(ii)からずれていることに起因する。第1の光学異方性層14及び第2の光学異方性層15は、液晶セル13における偏光状態の変化も含めて、入射光の偏光状態を正しく点(i)から点(ii)に変化させるために用いられる。
まず、第2の光学異方性層15を通過した光の偏光状態は、第2の光学異方性層15の位相差によって変換される。その際の変換の大きさ、即ち、ポアンカレ球上の回転角度は、波長に依存して小さくなるが、一方、第2の光学異方性層15の位相差は、逆分散性を示しているので、互いのファクタが相殺して、図5に示す通り、R光、G光及びB光のいずれについても、第2の光学異方性層15を通過した後の偏光状態は、ポアンカレ球上のS1座標として概ね一致した状態となる。
その後、図6に示す通り、VAモードの液晶セル13を通過すると、R光、G光及びB光の偏光状態は、図中矢印13で示す様に変化し、S3座標が相違して分離してしまうが、この分離は、第1の光学異方性層14の波長分散性を利用することで解消することができる。より具体的には、第1の光学異方性層14に、上記式(a1)を満足し、且つそのRthの波長分散性が順分散性を示す材料を用いれば、図7に示す通り、図中矢印14で示す様に、R光、G光及びB光のS1座標を相違させることなく、いずれについてもS1軸上、即ち、消光点(ii)の偏光状態に変換することができる。その結果、斜め方向において、より色味付きを軽減できるとともに、コントラストをより改善することができる。
なお、図5〜図7に示した光学補償機構は一例であり、本発明はこの態様に限定されない。
次に、本発明に使用可能な第1の光学異方性層、及び第2の光学異方性層について、その光学特性、材料、及び製造方法等の好ましい態様について、詳細に説明する。
[第1の光学異方性層]
本発明の液晶表示装置には、下記式(a1)を満足する第1の光学異方性層を有する。該第1の光学異方性層は、Rthが可視光域の光に対して長波長であるほど減少する、いわゆるRthが順分散性であるのが好ましく、下記式(a1)〜(a3)を満たしている光学異方性層であるのがより好ましい。
(a1) 10<Rth(548)/Re(548)
(a2) 30nm≦Rth(548)≦400nm
(a3) 1<Rth(446)/Rth(548)<1.5
なお、本発明には、第1の光学異方性層のReが、Re(548)=0を満足する態様も含まれるものとする。Rth(548)/Re(548)>15を満足しているのがより好ましい。Rth(548)は50〜400nmであるのが好ましく、75〜300nmであるのがより好ましい。
前記第1の光学異方性層は、上記式(a3)を満足する、即ち、Rthの波長依存性が順分散性であるのが好ましい。
前記第1の光学異方性層の作製に用いる材料については特に制限されない。第1の光学異方性層がポリマーフィルムであると、偏光子と貼り合わせることができる。また、単独の部材として、例えば、光学補償フィルムとして液晶表示装置に組み込むことができる。前記ポリマーフィルムの材料としては、光学性能、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるポリマーが好ましいが、上述の条件を満たす範囲であればどのような材料を用いてもよい。例えば、ポリカーボネート系ポリマー、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー等が挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または前記ポリマーを混合したポリマーも例として挙げられる。
また、前記ポリマーフィルムを形成する材料としては、熱可塑性ノルボルネン系樹脂を好ましく用いることができる。熱可塑性ノルボルネン系樹脂としては、日本ゼオン(株)製のゼオネックス、ゼオノア、JSR(株)製のアートン等が挙げられる。
また、前記ポリマーフィルムを形成する材料としては、従来偏光板の透明保護フィルムとして用いられてきたセルロース系ポリマー(以下、セルロースアシレートという)を特に好ましく用いることができる。セルロースアシレートの代表例としては、トリアセチルセルロースが挙げられる。セルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば、丸澤、宇田著、「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」日刊工業新聞社(1970年発行)や発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができ、前記セルロースアシレートフィルムに対しては特に限定されるものではない。
第1の光学異方性層用のセルロースアシレートフィルムのセルロースアシレートのアシル置換基は、例えばアセチル基単独からなるセルロースアシレートであっても、複数のアシル置換基を有するセルロースアシレートを含む組成物を用いても良い。かかるセルロースアシレートの好ましい例は、全アシル化度が2.3〜3.0であり、2.4〜2.95がより好ましく、2.5〜2.93がさらに好ましい。
上記セルロースアシレートのアシル置換基として、混合脂肪酸エステルも好ましく用いることができる。脂肪酸エステル残基において、脂肪族アシル基の炭素原子数が2〜20であることが好ましい。具体的にはアセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、オクタノイル、ラウロイル、ステアロイル等が挙げられ、好ましくはアセチル、プロピオニル及びブチリルである。
前記セルロースアシレートは、脂肪酸アシル基と置換もしくは無置換の芳香族アシル基とを有する混合酸エステルであってもよい。
芳香族アシル基の置換度はセルロース脂肪酸モノエステルの場合、残存する水酸基に対して、好ましくは2.0以下、さらに好ましくは0.1〜2.0である。また、セルロース脂肪酸ジエステル(二酢酸セルロース)の場合、残存する水酸基に対して、好ましくは1.0以下、さらに好ましくは0.1〜1.0である。
前記セルロースアシレートは、350〜800の質量平均重合度を有することが好ましく、370〜600の質量平均重合度を有することがさらに好ましい。また本発明で用いられるセルロースアシレートは、70000〜230000の数平均分子量を有することが好ましく、75000〜230000の数平均分子量を有することがさらに好ましく、78000〜120000の数平均分子量を有することがよりさらに好ましい。
前記セルロースアシレートは、アシル化剤として酸無水物や酸塩化物を用いて合成できる。工業的に最も一般的な合成方法では、綿花リンタや木材パルプなどから得たセルロースをアセチル基及び他のアシル基に対応する有機酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)又はそれらの酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)を含む混合有機酸成分でエステル化してセルロースエステルを合成する。
前記セルロースアシレートフィルムは、ソルベントキャスト法により製造されるのが好ましい。ソルベントキャスト法を利用したセルロースアシレートフィルムの製造例については、 米国特許第2,336,310号、同2,367,603号、同2,492,078号、同2,492,977号、同2,492,978号、同2,607,704号、同2,739,069号及び同2,739,070号の各明細書、英国特許第640731号及び同736892号の各明細書、並びに特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号及び同62−115035号等の記載を参考にすることができる。また、前記セルロースアシレートフィルムは、延伸処理を施されていてもよい。延伸処理の方法及び条件については、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号 等に記載の例を参考にすることができる。
[Rth発現剤]
第1の光学異方性層としての条件を満足するセルロースアシレートフィルムを作製するために、セルロースアシレートフィルム中に、Rth発現剤を添加するのが好ましい。ここで、「Rth発現剤」とはフィルムの厚み方向に複屈折を発現する性質を有する化合物である。
前記Rth発現剤としては、250nm〜380nmの波長範囲に吸収極大を有する分極率異方性の大きい化合物が好ましい。前記Rth発現剤としては、下記一般式(I)で表される化合物を特に好ましく使用できる。
Figure 2008250292
式(I)中、X1は、単結合、−NR4−、−O−又はS−であり;X2は、単結合、−NR5−、−O−又はS−であり;X3は、単結合、−NR6−、−O−又はS−であり;R1、R2、及びR3は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、芳香族環基又は複素環基であり;R4、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基である。
以下に、前記一般式(I)で表される化合物の好ましい例(I−(1)〜IV−(10))を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2008250292
Figure 2008250292
Figure 2008250292
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Figure 2008250292
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Figure 2008250292
Figure 2008250292
Figure 2008250292
Figure 2008250292
前記Rth発現剤としては下記一般式(II)で表される化合物も好ましい。以下に一般式(II)の化合物に関して詳細に説明する
Figure 2008250292
式(II)中、R12、R14及びR15はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し;R11、R13はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表し、L1及びL2はそれぞれ独立に単結合又は二価の連結基を表し;Ar1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し;Ar2はアリール基又は芳香族へテロ環を表し;nは3以上の整数を表し、n種存在するL2及びAr1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく;ただしR11及びR13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。
一般式(II)中、R12、R14、R15はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。前記置換基としては後述の置換基Tが適用できる。
一般式(II)におけるR12として好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4、より好ましくはメチル基である。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)である。特に好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基であり、最も好ましくは水素原子である。
一般式(II)におけるR14として好ましくは、水素原子又は電子供与性基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、更に好ましくは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)であり、特に好ましくは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基であり、最も好ましくは水素原子、メトキシ基である。
一般式(II)におけるR15として好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4より好ましくはメチル基である。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6特に好ましくは炭素数1〜4)である。特に好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基である。最も好ましくは水素原子である。
一般式(II)におけるR11、R13はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表し、R11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。ここでヘテロ原子とは水素原子、炭素原子以外の原子のことを表し、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン、ケイ素、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ホウ素などが挙げられる。
11、R13で表されるアルキル基としては、直鎖、分岐、又は環状であって、置換もしくは無置換のアルキル基を表し、好ましくは置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルキル基、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基(つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基。)、更に環構造が多いトリシクロ構造などが挙げられる。
11、R13で表されるアルキル基の好ましい例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、2−ヘキシルデシル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、2−ヘキセニル基、オレイル基、リノレイル基、リノレニル基等を挙げることができる。また、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル、ビシクロアルキル基としては、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イルなどを挙げることができる。
11として更に好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくはメチル基である。
13として特に好ましくは、炭素原子2個以上を含むアルキル基であり、より好ましくは炭素原子3個以上を含むアルキル基である。分岐又は環状構造をもったものは特に好ましく用いられる。
以下にR13で表されるアルキル基の具体例(O−1〜O−20)を挙げて説明するが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。尚、下記具体例中、「#」は酸素原子側を意味する。
Figure 2008250292
一般式(II)におけるAr1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し、繰り返し単位中のAr1は、すべて同一であっても異なっていてもよい。また、Ar2はアリール基又は芳香族へテロ環を表す。
一般式(II)中、Ar1で表されるアリーレン基として好ましくは炭素数6〜30のアリーレン基であり、単環であってもよいし、さらに他の環と縮合環を形成してもよい。また、可能な場合には置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。Ar1で表されるアリーレン基としてより好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニレン基、p−メチルフェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。
一般式(II)中、Ar2で表されるアリール基として好ましくは炭素数6〜30のアリール基であり、単環であってもよいし、さらに他の環と縮合環を形成してもよい。また、可能な場合には置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。Ar2で表されるアリール基としてより好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
一般式(II)中、Ar1、Ar2で表される芳香族ヘテロ環は、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子のうち少なくとも1つを含む芳香族ヘテロ環であることができ、好ましくは5〜6員環の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子のうち少なくとも1つを含む芳香族ヘテロ環である。また、可能な場合にはさらに置換基を有してもよい。置換基としては後述の置換基Tが適用できる。
一般式(II)中、Ar1、Ar2で表される芳香族ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデン、ピロロトリアゾール、ピラゾロトリアゾールなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましいものは、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾールである。
一般式(II)中、L1、L2はそれぞれ独立に単結合、又は2価の連結基を表す。L1、L2は、同じであってもよく異なっていてもよい。また、繰り返し単位中のL2は、すべて同一であっても異なっていてもよい。
前記二価の連結基として好ましいものは、−O−、−NR―(Rは水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基又はアリール基をあらわす)、−CO−、−SO2−、−S−、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基及びこれらの二価の基を2つ以上組み合わせて得られる基であり、その内より好ましいものは−O−、−NR−、−CO−、−SO2NR−、−NRSO2−、−CONR−、−NRCO−、−COO−、及びOCO−、アルキニレン基である。Rは好ましくは水素原子を表す。
本発明における一般式(II)で表される化合物において、Ar1はL1及びL2と結合するが、Ar1がフェニレン基である場合、L1-Ar1−L2、及びL2-Ar1−L2は互いにパラ位(1,4−位)の関係にあることが特に好ましい。
一般式(II)中、nは3以上の整数を表し、好ましくは3〜7であり、より好ましくは3〜6であり、さらに好ましくは3〜5である。
前記一般式(II)で表される化合物としては、下記一般式(IV)及び(V)で表される化合物を特に好ましく用いることができる。
Figure 2008250292
一般式(IV)中、R12、R15は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R11、R13は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、L1、L2は、それぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表す。Ar1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し、Ar2はアリール基又は芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL2、Ar1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。
一般式(IV)中、R12、R15、R11、R13は一般式(II)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。また、L1、L2、Ar1、Ar2についても一般式(II)におけるそれらと同義であり、好ましい範囲も同様である。
Figure 2008250292
一般式(V)中、R12、R15はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、R11、R13、R24はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表し、L1、L2はそれぞれ独立に単結合又は二価の連結基を表す。Ar1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し、Ar2はアリール基又は芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL2、Ar1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。
一般式(V)中、R12、R15、R11、R13は一般式(II)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。また、L1、L2、Ar1、Ar2は一般式(II)におけるそれらと同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(V)において、R24は水素原子又はアルキル基を表し、アルキル基としてはR11、R13の好ましい例として示したアルキル基が好ましく用いられる。前記R24として好ましくは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。R11とR24とは同一であってもよいし異なっていてもよいが、ともにメチル基であることが特に好ましい。
また、前記一般式(V)で表される化合物としては、一般式(V―A)もしくは一般式(V−B)で表される化合物も好ましい。
Figure 2008250292
一般式(V−A)中、R12、R15は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R11、R13は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、L1、L2は、それぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表す。Ar1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL2、Ar2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。
一般式(V―A)中、R12、R15、R11、R13、L1、L2、Ar1、nは一般式(II)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
Figure 2008250292
一般式(V−B)中、R12、R15は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R11、R13、R24は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、L1、L2は、それぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表す。Ar1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL1、Ar2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。
一般式(V―B)中、R12、R15、R11、R13、R24、L1、L2、Ar1、nは一般式(II)及び(V)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
以下に前述の置換基Tについて説明する。
置換基Tとして好ましくはハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換又は無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換又は無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換又は無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは5又は6員の置換又は無置換の、芳香族又は非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3〜30の5又は6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、
シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換又は無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、
スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換又は無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイルベンゾイル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換又は無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基)を表わす。
上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていてもよい。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられ、具体例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(V−A)で表される化合物として好ましいものは、R11がいずれもメチル基であり、R12、R15がいずれも水素原子であり、R13が炭素原子3個以上をもつアルキル基であり、L1が、単結合、−O−、−CO−、−NR−、−SO2NR−、−NRSO2−、−CONR−、−NRCO−、−COO−、及びOCO−、アルキニレン基(Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基を表す。好ましくは水素原子である。)であり、L2が−O−又はNR−(Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基を表す。好ましくは水素原子である。)であり、Ar1がアリーレン基であり、nが3〜6であるものを挙げることができる。
以下に一般式(V−A)及び(V−B)で表される化合物に関して具体例をあげて詳細に説明するが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。
Figure 2008250292
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一般式(II)で表される化合物はまず置換安息香酸を合成した後に、この置換安息香酸とフェノール誘導体もしくはアニリン誘導体との一般的なエステル反応もしくはアミド化反応によって合成でき、エステル結合、アミド結合形成反応であればどのような反応を用いてもよい。例えば、置換安息香酸を酸ハロゲン化物に官能基変換した後、フェノール誘導体もしくはアニリン誘導体と縮合する方法、縮合剤あるいは触媒を用いて置換安息香酸とフェノール誘導体もしくはアニリン誘導体を脱水縮合する方法などが挙げられる。
一般式(II)で表される化合物の製造方法としては、製造プロセス等を考慮すると置換安息香酸を酸ハロゲン化物に官能基変換した後、フェノール誘導体もしくはアニリン誘導体と縮合する方法が好ましい。
一般式(II)で表される化合物の製造方法においては、反応溶媒として、炭化水素系溶媒(好ましくはトルエン、キシレンが挙げられる。)、エーテル系溶媒(好ましくはジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられる)、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどを用いることができる。これらの溶媒は単独でも数種を混合して用いてもよく、前記溶媒として好ましくはトルエン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドである。
反応温度としては、好ましくは0〜150℃、より好ましくは0〜100℃、更に好ましくは0〜90℃であり、特に好ましくは20℃〜90℃である。
また、本反応には塩基を用いないのが好ましい。塩基を用いる場合には有機塩基、無機塩基のどちらでもよく、好ましくは有機塩基であり、ピリジン、3級アルキルアミン(好ましくはトリエチルアミン、エチルジイソプルピルアミンなどが挙げられる)である。
一般式(V−A)及び(V−B)で表される化合物は、公知の方法で合成することができ、例えば、n=4である化合物の場合、下記構造Aを有する原料化合物と水酸基、アミノ基等の反応性部位を有する誘導体との反応により得られた下記中間体B 2分子を、下記化合物C 1分子により連結することによって得ることができる。ただし、一般式(V−A)及び(V−B)で表される化合物の合成法はこの例に限定されない。
Figure 2008250292
式中、Aは水酸基、ハロゲン原子等の反応性基を表し、R11、R12、R13、及びR15は先に記載した通りであり、R14は水素原子もしくは前述のOR24で表される置換基である。
Figure 2008250292
式中、A’はカルボキシル基等の反応性基を表し、R11、R12、R13、R14、R15、Ar1、及びL1は先に記載した通りである。
Figure 2008250292
式中、B及びB’は水酸基、アミノ基等の反応性基を表し、Ar2及びL2は先に記載したAr1、L1と同義である。
上記一般式(I)、(II)〜(V)で表される本発明におけるRth発現剤のセルロースアシレート100質量部に対する含有量は0.1〜30質量%が好ましく、1〜25質量%がさらに好ましく、3〜15質量%がよりさらに好ましい。
前記セルロースアシレートフィルムをソルベントキャスト法により製造する場合は、前記Rth発現剤をドープ中に添加してもよい。前記Rth発現剤を添加するタイミングについて特に制限はなく、アルコール、メチレンクロライド、ジオキソラン等の有機溶媒にRth発現剤を溶解してから、セルロースアシレート溶液(ドープ)に添加するか、又は直接ドープ組成中に添加してもよい。
前記Rth発現剤として、前記一般式(I)、(II)〜(V)で表される化合物の一種を単独で用いてもよいし、2種類以上混合して用いることができる。また、本発明においては、一般式(I)、(II)〜(V)で表されるRth発現剤の併用も好ましい。
前記第1の光学異方性層として使用されるセルロースアシレートフィルムは、前記Rth発現剤とともに又は前記Rth発現剤に代えて、紫外線吸収剤を含有していてもよい。紫外線吸収剤は、Rth発現剤としても機能し得る。前記紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号公報、特開平8−337574号公報に記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号公報記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。前記第1の光学異方性層として用いるセルロースアシレートフィルムには、紫外線吸収剤としては、偏光子や液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、且つ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
本発明に有用なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例として、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、市販品として、チヌビン(TINUVIN)109、チヌビン(TINUVIN)171、チヌビン(TINUVIN)326(何れもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を好ましく使用できる。
第1の光学異方性層としての条件を満足するセルロースアシレートフィルムを作製するために、セルロースアシレートフィルム中に、Rth発現剤を添加するのが好ましい。ここで、「Rth発現剤」とはフィルムの厚み方向に複屈折を発現する性質を有する化合物である。前記Rth発現剤としては、250nm〜380nmの波長範囲に吸収極大を有する分極率異方性の大きい化合物が好ましい。Rth発現剤のセルロースアシレート100質量部に対する含有量は0.1〜30質量%が好ましく、1〜25質量%がさらに好ましく、3〜15質量%がよりさらに好ましい。
なお、前記セルロースアシレートフィルムをソルベントキャスト法により製造する場合は、前記Rth発現剤をドープ中に添加してもよい。前記Rth発現剤を添加するタイミングについて特に制限はなく、アルコール、メチレンクロライド、ジオキソラン等の有機溶媒にRth発現剤を溶解してから、セルロースアシレート溶液(ドープ)に添加するか、又は直接ドープ組成中に添加してもよい。
[波長分散調整剤]
また、第1の光学異方性層としての条件を満足するセルロースアシレートフィルムを作製するために、セルロースアシレートフィルム中に、紫外線吸収剤を添加してもよい。紫外線吸収剤は、波長分散調整剤としても機能し得る。前記紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号公報、特開平8−337574号公報に記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号公報記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。前記セルロースアシレートフィルムには、紫外線吸収剤としては、偏光子や液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、且つ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
[可塑剤]
前記第1の光学異方性層として用いられるセルロースアシレートフィルム中には、トリフェニルホスフェート、ビフェニルホスフェート等の可塑剤を添加してもよい。
本発明の一実施態様では、前記第1の光学異方性層は、塗布又は転写によって形成された層である。塗布を利用して形成した第1の光学異方性層を有する態様では、該第1の光学異方性層は、液晶表示装置に組み込まれる他の部材、例えば、第2の光学異方性層として用いられるポリマーフィルムや偏光板の保護フィルム等の表面(所望によって該表面に形成された配向膜等の表面)に、光学異方性層用の組成物を塗布して形成することができる。一方、転写を利用して形成された第1の光学異方性層を有する態様では、該第1の光学異方性層は、仮支持体であるポリマーフィルムの表面(所望によって該表面に形成された配向膜等の表面)に、光学異方性層用の組成物を塗布して形成した層を、液晶表示装置に組み込まれる他の部材、例えば、第2の光学異方性層として用いられるポリマーフィルムや偏光板の保護フィルム等の表面に転写して形成することができる。即ち、いずれの態様においても、第1の光学異方性層は、塗布工程を含む方法によって形成される。
前記第1の光学異方性層の形成に用いられる材料については特に制限されず、塗布可能な液状の組成物として調製でき、且つ塗布工程を経て形成された層が、第1の光学異方性層に要求される光学特性を発現可能である限り、その材料についてはなんら制限されない。同一もしくは異なる材料からなる層を積層体として形成し、第1の光学異方性層に要求される光学特性を満足する態様であってもよい。
[液晶組成物]
前記第1の光学異方性層は、液晶組成物から形成してもよい。液晶には多様な配向形態があるので、液晶の配向を制御し、その配向状態に固定して形成した光学異方性層は、単層でまたは複数層の積層体により、所望の光学的性質を発現する。本発明では、前記第1の光学異方性層の形成に用いる液晶組成物としては、分子の形状が円盤状であるディスコティック液晶化合物を少なくとも含有するディスコティック液晶組成物、又はコレステリック液晶組成物を用いるのが好ましい。該組成物中に含有される液晶は、低分子液晶であっても、高分子液晶であってもよい。
前記第1の光学異方性層の形成に用いる液晶材料として、例えば、低分子液晶性化合物を用いる場合は、重合性の円盤状液晶性化合物が好ましく、該円盤状液晶性化合物をホメトロピック配向させて形成するのが好ましい。ホメオトロピック配向では、円盤状液晶性化合物の分子を、層面に対して実質的に水平にして配向させる。ここで、実質的に水平とは、円盤状液晶性化合物の分子の円盤面と、層面との平均角度(平均傾斜角)が0°〜10°の範囲内であることを意味する。円盤状液晶性化合物は、様々な文献(C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq. Cryst., vol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第一0章第二節(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. Comm., page 1794 (1985);J. Zhang et al., J. Am.Chem. Soc., vol. 116, page 2655 (1994))に記載されているものを広く採用することができる。円盤状液晶性化合物の重合については、例えば、特開平8−27284号公報に記載の方法を採用できる。
前記第1の光学異方性層の形成に用いるコレステリック液晶組成物として、コレステリック液晶を含有する組成物を用いることができるのは勿論のこと、液晶組成物全体としてコレステリック液晶状態となり得るものであれば、含有される液晶自体がコレステリック液晶である必要はない。例えば、ネマチック液晶とともに光学活性化合物を含有する液晶組成物、及び不斉炭素原子を導入したネマチック液晶を含有する液晶組成物等も、コレステリック液晶状態となり得るものであれば、第1の光学異方性層の形成に用いるもとができる。本発明に使用可能なコレステリック液晶組成物の例には、重合性液晶モノマーを含有し、三次元架橋可能なカイラルネマチック(コレステリック)液晶組成物を利用するのが好ましく、特に、反射波長が紫外線領域にあるツイスト配向カイラルネマチック(コレステリック)液晶層を形成可能な液晶組成物を利用するのが好ましい。例えば、特開平7−258638号公報や特表平10−508882号公報で開示されているような液晶性モノマーとキラル化合物の混合物を利用することができる。
前記液晶組成物は、硬化性の組成物であるのが好ましく、重合反応により硬化して層となるために、重合性成分を含有しているのが好ましい。液晶化合物そのものが重合性であっても、別途重合性モノマーを添加してもよいが、液晶化合物そのものが重合性であるのが好ましい。また、前記硬化性液晶組成物は、所望により、重合開始剤、配向制御剤、界面活性剤等の種々の添加剤を含有していてもよい。前記第1の光学異方性層は、硬化性液晶組成物を塗布液として調製し、ポリマーフィルム等からなる支持体の表面又は配向膜の表面に塗布し、液晶性化合物の分子、好ましくは円盤状分子、を所望の配向状態にした後、光照射及び/又は加熱により、重合を開始させて、かかる配向状態に分子を固定して形成することができる。
[ポリマー組成物]
上記した様に、前記第1の光学異方性層は、ポリマー組成物を用いて、塗布法又は転写法によって形成した層であってもよい。前記ポリマー組成物中には、塗布によって、光学異方性を発現し得るポリマーを一種又は二種以上含有する。光学異方性層の発現が不十分の場合は、塗布によってポリマー層を形成した後、延伸処理を施してもよい。例えば、ポリマー組成物を、支持体又は仮支持体となるポリマーフィルム上に塗布して、ポリマー層を形成した後、得られた積層フィルムに延伸処理を施して、第1の光学異方性層に要求される光学特性としてもよい。前記第1の光学異方性層の形成に用いられるポリマーについては特に制限はないが、塗布により光学異方性のポリマー層を形成可能であるという観点から、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル、セルロースエステル(例、セルローストリアセーテート、セルロースジアセテート)、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドポリエステルイミド、およびポリアリールエーテルケトンからなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマー材料が好ましい。中でも、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドポリエステルイミド、およびポリアリールエーテルケトンからなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマー材料がより好ましく、ポリイミドを用いるのがさらに好ましい。
[塗布又は転写による第1の光学異方性層の形成方法]
前記第1の光学異方性層の形成に用いられる、液晶組成物又はポリマー組成物を、塗布液として調製してもよい。塗布液は、液晶材料又はポリマー材料を、溶媒に溶解及び/又は分散させて調製することができる。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライド及びケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
前記第1の光学異方性層の形成に利用される塗布方法について特に制限されず、公知の方法(例、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)を利用できる。中でも、ワイヤーバーコーティング法を利用して塗布するのが好ましい。また、前記第1の光学異方性層の形成にはダイコーティング法も好ましく用いられ、特に、スライドコーター又はスロットダイコーターを利用した塗布方法も好ましく用いることができる。
転写法は、液晶表示装置に用いられる他の基材の表面に、塗布により第1の光学異方性層を直接形成するのが困難な場合に有効である。仮支持体の表面(所望により配向膜等の表面)に液晶組成物又はポリマー組成物を塗布して光学異方性層を形成し、液晶表示装置に用いられる他の基材の表面に、該光学異方性層を転写して、第1の光学異方性層を作製することができる。この方法によれば、第1の光学異方性層の形成に用いる液晶組成物又はポリマー組成物等の材料が、例えば、ガラス基板上にしか塗布するのが困難な材料であっても、一旦、ガラス基板の表面に、塗布により、光学異方性層を形成した後、液晶表示装置に用いられる偏光板保護フィルムや第2の光学異方性層用のポリマーフィルムの表面に、転写して、第1の光学異方性層を作製できる。なお、転写の際には、被転写部材との接着性を改善するために、接着剤を利用してもよい。例えば、ポリマーフィルム等の被転写部材の表面に、接着剤を塗布して、接着層を形成し、その上に、光学異方性層を転写してもよい。
前記第1の光学異方性層が薄層であると、液晶表示装置の薄型化に寄与し得るので好ましい。本発明では、第1の光学異方性層を、液晶組成物又はポリマー組成物を用いて形成しているので、材料を選択することで、薄層であっても、第1の光学異方性層に要求される光学特性を満足する層を形成することができる。本発明では、前記第1の光学異方性層の厚みは、0.1〜20μmであるのが好ましく、0.1〜10μmであるのがより好ましく、0.1〜3μmであるのがさらに好ましい。また、本発明において、前記第1の光学異方性層のRth(548)/(d×1000)は、0.03以上であるのが好ましく、0.05以上であるのがより好ましく、0.07以上であるのがさらに好ましい。
塗布又は転写によって形成される前記第1の光学異方性層は、ポリマーフィルム等の支持体上に形成するのが一般的である。支持体であるポリマーフィルムの複屈折性を積極的に利用して、積層体として第1の光学異方性層に要求される光学特性を満足する態様であっても、また支持体にはレターデーションがほぼ0のフィルム(例えば、特開2005−138375に記載のセルロースアシレートフィルム等)を用いて、液晶組成物又はポリマー組成物からなる層のみで、第1の光学異方性層に要求される光学特性を満足する態様であってもよい。上記した通り、前記第1の光学異方性層の支持体は、第2の光学異方性層用のポリマーフィルムであっても、偏光板保護膜用のポリマーフィルムであってもよく、かかる態様では、それぞれの用途に要求される特性を満足するポリマーフィルムが選択されるであろう。
[第2の光学異方性層]
本発明の液晶表示装置は、少なくとも一つの光軸を有する第2の光学異方性層を有する。前記第2の光学異方性層は、下記式(b1)及び(b2)を満足しているのが好ましい。
(b1) Re(548)>20nm
(b2) 0.5<Nz<10
前記第2の光学異方性層は、下記式(b1)’及び(b2)’を満足するのがより好ましい。
(b1)’ Re(548)>30nm
(b2)’ 1.5≦Nz<10
また、前記第2の光学異方性層は、Re及びRthの双方が、下記式(b3)〜(b6)を満足しているのが好ましい。
式(b3) 0.60≦Re(446)/Re(548)≦1.0
式(b4) 1.0≦Re(628)/Re(548)≦1.25
式(b5) 0.60≦Rth(446)/Rth(548)≦1.0
式(b6) 1.0≦Rth(628)/Rth(548)≦1.25
下記式(b3)’〜(b6)’
式(b3)’ 0.65≦Re(446)/Re(548)≦1.0
式(b4)’ 1.0≦Re(628)/Re(548)≦1.20
式(b5)’ 0.65≦Rth(446)/Rth(548)≦1.0
式(b6)’ 1.0≦Rth(628)/Rth(548)≦1.20
を満たしているのがより好ましく、下記式(b3)”〜(b6)”
式(b3)” 0.70≦Re(446)/Re(548)≦1.0
式(b4)” 1.0≦Re(628)/Re(548)≦1.15
式(b5)” 0.70≦Rth(446)/Rth(548)≦1.0
式(b6)” 1.0≦Rth(628)/Rth(548)≦1.15
を満たしているのがさらに好ましい。
前記第2の光学異方性層の作製に用いる材料については特に制限されない。第2の光学異方性層がポリマーフィルムであると、偏光子と貼り合わせることができる。また、単独の部材として、例えば、光学補償フィルムとして液晶表示装置に組み込むことができる。前記ポリマーフィルムの材料としては、光学性能、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるポリマーが好ましいが、上述の条件を満たす範囲であればどのような材料を用いてもよい。その例は、前記第1の光学異方性層に利用可能なポリマーフィルムの材料の例と同様である。
また、前記ポリマーフィルムを形成する材料としては、従来偏光板の透明保護フィルムとして用いられてきたセルロース系ポリマー(以下、セルロースアシレートという)を特に好ましく用いることができる。第2の光学異方性層として利用可能なセルロースアシレートフィルムの作製に用いるセルロースアシレートについては、第1の光学異方性層の作製に利用可能なセルロースアシレート材料と同様である。
[Re発現剤]
第2の光学異方性層としての条件を満足するセルロースアシレートフィルムを作製するために、セルロースアシレートフィルム中に、Re発現剤を添加するのが好ましい。ここで、「Re発現剤」とはフィルム面内の複屈折を発現する性質を有する化合物である。
第2の光学異方性層として利用するセルロースアシレートフィルムは、Re発現剤としては、下記一般式(I)で表される化合物の少なくとも一種を含有していてもよい。
Figure 2008250292
式中、L1及びL2は各々独立に単結合又は二価の連結基を表し;A1及びA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子又は置換基を表す)、−S−及び−CO−からなる群から選ばれる基を表し;R1、R2及びR3は各々独立に置換基を表し;Xは第14〜16族の非金属原子を表し(ただし、Xには水素原子又は置換基が結合してもよい);nは0〜2までのいずれかの整数を表す。
前記一般式(I)で表される化合物の中でも、Re発現剤としては、下記一般式(II)で表される化合物が好ましい。
Figure 2008250292
一般式(II)中、L1及びL2は各々独立に単結合又は二価の連結基を表す。A1及びA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子又は置換基を表す。)、−S−及びCO−からなる群から選ばれる基を表す。R1、R2、R3、R4及びR5は各々独立に置換基を表す。nは0〜2の整数を表す。
一般式(I)又は(II)において、L1及びL2が表す二価の連結基としては、好ましくは下記の例が挙げられる。
Figure 2008250292
さらに好ましくは−O−、−COO−、−OCO−である。
一般式(I)又は(II)において、R1は置換基であり、複数存在する場合は同じでも異なっていてもよく、環を形成してもよい。置換基の例としては下記のものが適用できる。
ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換又は無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル基)、ビシクロアルケニル基(置換又は無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換又は無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル基)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは5又は6員の置換又は無置換の、芳香族又は非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3〜30の5又は6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換又は無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換又は無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイルベンゾイル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換又は無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基)を表わす。
上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていてもよい。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
1は好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、シアノ基、アミノ基であり、さらに好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、アルコキシ基である。
2、R3は各々独立に置換基を表す。例としては上記R1の例があげられる。好ましくは置換もしくは無置換のベンゼン環、置換もしくは無置換のシクロヘキサン環である。より好ましくは置換基を有するベンゼン環、置換基を有するシクロヘキサン環であり、さらに好ましくは4位に置換基を有するベンゼン環、4位に置換基を有するシクロヘキサン環である。
4、R5は各々独立に置換基を表す。例としては上記R1の例があげられる。好ましくは、ハメットの置換基定数σp値が0より大きい電子吸引性の置換基であることが好ましく、σp値が0〜1.5の電子吸引性の置換基を有していることがさらに好ましい。このような置換基としてはトリフルオロメチル基、シアノ基、カルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。また、R4とR5とが結合して環を形成してもよい。
なお、ハメットの置換基定数のσp、σmに関しては、例えば、稲本直樹著「ハメット則−構造と反応性−」(丸善)、日本化学会編「新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応V」2605頁(丸善)、仲谷忠雄著「理論有機化学解説」217頁(東京化学同人)、ケミカル レビュー,91巻,165〜195頁(1991年)等の成書に詳しく解説されている。
1及びA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子又は置換基)、−S−及びCO−からなる群から選ばれる基を表す。好ましくは−O−、−NR−(Rは置換基を表し、例としては上記R1の例が挙げられる)又はS−である。
Xは第14〜16族の非金属原子を表す。ただし、Xには水素原子又は置換基が結合してもよい。Xは=O、=S、=NR、=C(R)Rが好ましい(ここでRは置換基を表し、例としては上記R1の例が挙げられる)。
nは0〜2の整数を表し、好ましくは0、1である。
以下に、一般式(I)又は(II)で表される化合物の具体例を示すが、前記Re発現剤の例は以下の具体例に限定されるものではない。下記化合物に関しては、指定のない限り括弧( )内の数字にて例示化合物(X)と示す。
Figure 2008250292
Figure 2008250292
Figure 2008250292
Figure 2008250292
Figure 2008250292
Figure 2008250292
前記一般式(I)又は(II)で表される化合物の合成は、既知の方法を参照して行うことができる。例えば、例示化合物(1)は、下記スキームに従って合成することができる。
Figure 2008250292
前記スキーム中、化合物(1−A)から化合物(1−D)までの合成は、“Journal of Chemical Crystallography”(1997);27(9);p.515−526.に記載の方法を参照して行うことができる。
さらに、前記スキームに示したように、化合物(1−E)のテトラヒドロフラン溶液に、メタンスルホン酸クロライドを加え、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを滴下し攪拌した後、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを加え、化合物(1−D)のテトラヒドロフラン溶液を滴下し、その後、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)のテトラヒドロフラン溶液を滴下することで、例示化合物(1)を得ることができる。
また、特開2004−50516号公報の11〜14頁に記載の棒状芳香族化合物を、前記Re発現剤として用いてもよい。
また、Re発現剤として、一種の化合物を単独で、又は二種類以上の化合物を混合して用いることができる。Re発現剤として互いに異なる二種類以上の化合物を用いると、レターデーションの調整範囲が広がり、容易に所望の範囲に調整できるので好ましい。
前記Re発現剤の添加量はセルロースアシレート100質量部に対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がさらに好ましい。前記セルロースアシレートフィルムをソルベントキャスト法で作製する場合は、前記Re発現剤を、ドープ中に添加してもよい。添加はいずれのタイミングで行ってもよく、例えば、アルコール、メチレンクロライド、ジオキソラン等の有機溶媒にRe発現剤を溶解してから、セルロースアシレート溶液(ドープ)に添加してもよいし、又は直接ドープ組成中に添加してもよい。
本発明の一態様では、前記第2の光学異方性層は、塗布又は転写によって形成された層である。塗布を利用して形成した第2の光学異方性層を有する態様では、該第2の光学異方性層は、液晶表示装置に組み込まれる他の部材、例えば、第1の光学異方性層として用いられるポリマーフィルムや偏光板の保護フィルム等の表面(所望によって該表面に形成された配向膜等の表面)に、光学異方性層用の組成物を塗布して形成することができる。一方、転写を利用して形成された第2の光学異方性層を有する態様では、該第2の光学異方性層は、仮支持体であるポリマーフィルムの表面(所望によって該表面に形成された配向膜等の表面)に、光学異方性層用の組成物を塗布して形成した層を、液晶表示装置に組み込まれる他の部材、例えば、第1の光学異方性層として用いられるポリマーフィルムや偏光板の保護フィルム等の表面に転写して形成することができる。即ち、いずれの態様においても、第2の光学異方性層は、塗布工程を含む方法によって形成される。
前記第2の光学異方性層の形成に用いられる材料については特に制限されず、塗布可能な液状の組成物として調製でき、且つ塗布工程を経て形成された層が、第2の光学異方性層に要求される光学特性を発現可能である限り、その材料についてはなんら制限されない。同一もしくは異なる材料からなる層を積層体として形成し、第2の光学異方性層に要求される光学特性を満足する態様であってもよい。
[液晶組成物]
前記第2の光学異方性層は、液晶組成物から形成してもよい。液晶には多様な配向形態があるので、液晶の配向を制御し、その配向状態に固定して形成した光学異方性層は、単層でまたは複数層の積層体により、所望の光学的性質を発現する。本発明では、前記第2の光学異方性層の形成に用いる液晶組成物としては、分子の形状が棒状である棒状液晶化合物を少なくとも含有する棒状液晶組成物を用いるのが好ましい。該組成物中に含有される液晶は、低分子液晶であっても、高分子液晶であってもよい。
棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。上記高分子液晶性化合物は、低分子の反応性基を有する棒状液晶性化合物が重合した高分子化合物である。特に好ましく用いられる上記低分子の反応性基を有する棒状液晶性化合物としては、下記一般式(I)で表される棒状液晶性化合物である。
一般式(I):Q1−L1−A1−L3−M−L4−A2−L2−Q2
式中、Q1及びQ2はそれぞれ独立に、反応性基であり、L1、L2、L3及びL4はそれぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表すが、L3及びL4の少なくとも一方は、−O−又はO−CO−O−が好ましい。A1及びA2はそれぞれ独立に、炭素原子数2〜20のスペーサ基を表す。Mはメソゲン基を表す。
以下に、上記一般式(I)で表される反応性基を有する棒状液晶性化合物についてさらに詳細に説明する。式中、Q1及びQ2は、それぞれ独立に、反応性基である。反応性基の重合反応は、付加重合(開環重合を含む)又は縮合重合であることが好ましい。換言すれば、反応性基は付加重合反応又は縮合重合反応が可能な反応性基であることが好ましい。以下に反応性基の例を示す。
Figure 2008250292
1、L2、L3及びL4で表される二価の連結基としては、−O−、−S−、−CO−、−NR2−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NR2−、−NR2−CO−、−O−CO−、−O−CO−NR2−、−NR2−CO−O−、及びNR2−CO−NR2−からなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R2は炭素原子数が1〜7のアルキル基又は水素原子である。この場合、L3及びL4の少なくとも一方は、−O−又はO−CO−O−(カーボネート基)であることが好ましい。前記式(I)中、Q1−L1及びQ2−L2−は、CH2=CH−CO−O−、CH2=C(CH3)−CO−O−及びCH2=C(Cl)−CO−O−CO−O−が好ましく、CH2=CH−CO−O−が最も好ましい。
1及びA2は、炭素原子数2〜20を有するスペーサ基を表す。炭素原子数2〜12の脂肪族基が好ましく、特にアルキレン基が好ましい。スペーサ基は鎖状であることが好ましく、隣接していない酸素原子又は硫黄原子を含んでいてもよい。また、前記スペーサ基は、置換基を有していてもよく、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素)、シアノ基、メチル基、エチル基が置換していてもよい。
Mで表されるメソゲン基としては、すべての公知のメソゲン基が挙げられる。特に下記一般式(II)で表される基が好ましい。
一般式(II):−(−W1−L5)n−W2
式中、W1及びW2は各々独立して、二価の環状脂肪族基、二価の芳香族基又は二価のヘテロ環基を表し、L5は単結合又は連結基を表し、連結基の具体例としては、前記式(I)中、L1〜L4で表される基の具体例、−CH2−O−、及びO−CH2−が挙げられる。nは1、2又は3を表す。
1及びW2としては、1,4−シクロヘキサンジイル、1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5ジイル、1,3,4−チアジアゾール−2,5−ジイル、1,3,4−オキサジアゾール−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイルが挙げられる。1,4−シクロヘキサンジイルの場合、トランス体及びシス体の構造異性体があるが、どちらの異性体であってもよく、任意の割合の混合物でもよい。トランス体であることがより好ましい。W1及びW2は、それぞれ置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、シアノ基、炭素原子数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基など)、炭素原子数1〜10のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基など)、炭素原子数1〜10のアシル基(ホルミル基、アセチル基など)、炭素原子数1〜10のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基など)、炭素原子数1〜10のアシルオキシ基(アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基など)、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基などが挙げられる。
前記一般式(II)で表されるメソゲン基の基本骨格で好ましいものを、以下に例示する。これらに上記置換基が置換していてもよい。
Figure 2008250292
以下に、前記一般式(I)で表される化合物の例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、一般式(I)で表される化合物は、特表平11−513019号公報に記載の方法で合成することができる。
Figure 2008250292
Figure 2008250292
Figure 2008250292
Figure 2008250292
前記第2の光学異方性層を棒状液晶組成物から形成する場合は、棒状液晶の分子をその長軸を層面に対して平行にして水平配向させ、その後、該配向状態に固定して形成するのが好ましい。
また、二軸性の第2の光学異方性層を作製する場合は、特開2005−338744号公報に記載されている、正の複屈折性を有する液晶相を発現する液晶性組成物Rと、負の複屈折性を有する液晶相を発現する液晶性組成物Dを含有し、二軸性を発現する液晶性組成物を用いるのが好ましい。なお、正の複屈折性を有する液晶相とは、1≦(nx−nz)/(nx−ny)<1.1を満たす液晶相であり、また、負の複屈折性を有する液晶相とは20<(nx−nz)/(nx−ny)≦∞を満たす液晶相をいうものとする。正の複屈折性を有する液晶相としては、例えば棒状または板状の形状を有する液晶性化合物が発現する、ネマチック相、スメクチックA相およびスメクチックC相等を挙げることができる。このような液晶相は、nx>ny=nzの関係にあるため、正の複屈折性を有する一軸性の液晶相である。詳しくは液晶便覧(丸善(株)2000年発行)第2章などに記載されており、ネマチック相が特に好ましい。一方、負の複屈折性を有する液晶相としては、例えば円盤状の形状を有する液晶性化合物が発現する、ディスコティックネマチック相、カラムナー相、カラムナーラメラ相等を挙げることができる。中でも、ディスコティックネマチック相が特に好ましい。
上記二軸性を発現する液晶組成物の好ましい例として、下記一般式(D−1)で表される化合物及び下記一般式(R−2)で表される化合物をそれぞれ少なくとも1種ずつ含有する液晶組成物が挙げられる。
Figure 2008250292
一般式(D−2)中、Y11、Y12、Y13は、それぞれ独立にメチンまたは窒素原子を表す。H1、H2、H3はそれぞれ独立に、二価の5員環環状基を表す。L1、L2、L3は、それぞれ独立に単結合または二価の連結基を表す。R1、R2、R3は、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基、またはシリル基を表す。
Figure 2008250292
式中、LAは−≡−または−≡−≡−を表す。X1AおよびX2Aはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、またはアルキルオキシ基、n1およびn2はそれぞれ独立に、0〜3の整数を表す;R1A、R2A、R3A、R4Aは、それぞれ独立に下記式(R−IA)で表される;
式(R−IA)
*−(L1A−二価の環状基)p−L2A−二価の鎖状基−Q1A
式中、*は一般式(R−I)中のベンゼン環に結合する位置を表す;L1Aは単結合または二価の連結基を表す;L2Aは単結合または二価の連結基を表す;二価の環状基は、少なくとも1種類の環状構造を有する二価の連結基を表す;二価の鎖状基は、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、または置換アルキニレン基を表す;Q1Aは重合性基を表す;pは0〜3の整数を表す。
本発明に使用可能な前記一般式(D−2)で表される液晶化合物の例は、特開2005−338744号公報の[0145]〜[0157]に記載の例示化合物D−1〜D−134が挙げられる。また、本発明に使用可能な前記一般式(R−I)で表される化合物の例には、同公報の[0073]〜[0074]に記載の例示化合物TO−1〜TO−12が挙げられる。
また、前記二軸性を発現する液晶組成物に含有される液晶化合物の組み合せは、上記組み合せに限定されず、同公報に記載されている例示化合物のいずれについても、使用することができる。
また、前記第2の光学異方性層は、下記式で表される液晶化合物を含有する組成物を用いて、塗布又は転写によって形成されてもよい。例えば、ReおよびRthがほぼゼロであるポリマーフィルム等の支持体の上に、逆分散性を示す第1の光学異方性層を、必要により他の層(配向膜等)を介して、塗布または転写によって形成することによっても、VAモード液晶表示装置の斜め方向から観察した場合のカラーシフトを低減する効果がある。
下記式で表される液晶化合物を含有する組成物を用いて形成された第2の光学異方性層は、逆分散性を示す。
Figure 2008250292
前記液晶組成物は、硬化性の組成物であるのが好ましく、重合反応により硬化して層となるために、重合性成分を含有しているのが好ましい。液晶化合物そのものが重合性であっても、別途重合性モノマーを添加してもよいが、液晶化合物そのものが重合性であるのが好ましい。また、前記硬化性液晶組成物は、所望により、重合開始剤、配向制御剤、界面活性剤等の種々の添加剤を含有していてもよい。前記第2の光学異方性層は、硬化性液晶組成物を塗布液として調製し、ポリマーフィルム等からなる支持体の表面又は配向膜の表面に塗布し、液晶性化合物の分子、好ましくは円盤状分子、を所望の配向状態にした後、光照射及び/又は加熱により、重合を開始させて、かかる配向状態に分子を固定して形成することができる。硬化反応、硬化性組成物を調製するのに使用可能な重合開始剤等ついては、特開2005−338744号公報に記載の重合開始剤等の例と同様である。その他、液晶組成物中に添加可能な、空気界面配向制御剤、ハジキ防止剤等の添加剤についても、同公報に記載の添加剤の例と同様である。
[ポリマー組成物]
上記した様に、前記第2の光学異方性層は、ポリマー組成物を用いて、塗布法又は転写法によって形成した層であってもよい。前記ポリマー組成物中には、塗布によって、光学異方性を発現し得るポリマーを一種又は二種以上含有する。光学異方性層の発現が不十分の場合は、塗布によってポリマー層を形成した後、延伸処理を施してもよい。例えば、ポリマー組成物を、支持体又は仮支持体となるポリマーフィルム上に塗布して、ポリマー層を形成した後、得られた積層フィルムに延伸処理を施して、第2の光学異方性層に要求される光学特性としてもよい。前記第2の光学異方性層の形成に用いられるポリマーについては特に制限はない。その例としては、前記第1の光学異方性層をポリマー組成物から形成する際に利用可能な材料として例示したポリマー材料と同様である。
特に、二軸性の第2の光学異方性層を作製する場合は、ポリイミドを用いるのが好ましい。ポリイミドを用いた二軸性フィルムを塗布により形成する方法としては、特開2005−338425号公報に記載がある。使用可能なポリイミドの例については、同公報の[0029]〜[0053]に記載の例と同様である。
[塗布又は転写による第2の光学異方性層の形成方法]
塗布又は転写による前記第2の光学異方性層の形成方法については、上記した第1の光学異方性層の塗布又は転写による形成方法と同様である。
また、前記ポリイミドを用いて二軸性の第2の光学異方性層を形成する場合は、特開2005−338425号公報の[0014]に記載の有機溶媒を用いるのも好ましい。
前記第2の光学異方性層が薄層であると、液晶表示装置の薄型化に寄与し得るので好ましい。本発明では、第2の光学異方性層を、液晶組成物又はポリマー組成物を用いて形成しているので、材料を選択することで、薄層であっても、第2の光学異方性層に要求される光学特性を満足する層を形成することができる。本発明では、前記第2の光学異方性層の厚みは、0.1〜20μmであるのが好ましく、0.1〜10μmであるのがより好ましく、0.1〜3μmであるのがさらに好ましい。また、本発明において、前記第2の光学異方性層のRth(548)/(d×1000)は、0.03以上であるのが好ましく、0.05以上であるのがより好ましく、0.07以上であるのがさらに好ましい。Rth(548)/(d×1000)が前記範囲であると、長期使用時における表示面に生じるコーナームラがより軽減されるので好ましい。
塗布又は転写によって形成される前記第2の光学異方性層は、ポリマーフィルム等の支持体上に形成するのが一般的である。支持体であるポリマーフィルムの複屈折性を積極的に利用して、積層体として第2の光学異方性層に要求される光学特性を満足する態様であっても、また支持体にはレターデーションがほぼ0のフィルム(例えば、特開2005−138375に記載のセルロースアシレートフィルム等)を用いて、液晶組成物又はポリマー組成物からなる層のみで、第2の光学異方性層に要求される光学特性を満足する態様であってもよい。上記した通り、前記第2の光学異方性層の支持体は、第1の光学異方性層用のポリマーフィルムであっても、偏光板保護膜用のポリマーフィルムであってもよく、かかる態様では、それぞれの用途に要求される特性を満足するポリマーフィルムが選択されるであろう。
また、前記第2の光学異方性層を液晶組成物から形成する場合は、液晶を所望の配向状態とするために、配向膜を利用してもよい。一般的な配向膜を利用することができ、例えば、ポリビニルアルコールフィルムやポリイミドフィルム等のポリマーフィルムの表面にラビング処理を施して作製された配向膜を利用することができる。使用可能な配向膜の例については、特開2005−338744号公報に記載の配向膜の例と同様である。
[光学フィルム]
また、本発明は、前記第1の光学異方性層(好ましくは前記式(a1)〜(a3)を満足する第1の光学異方性層)と、前記第2の光学異方性層(好ましくは前記式(b1)〜(b6)を満足する光学異方性層)とを少なくとも有し、第1及び第2の光学異方性層の一方が塗布又は転写により形成された光学異方性層である光学フィルムに関する。
図8に本発明の光学フィルムの一例の断面概略図を示す。図8に示す光学フィルムは、第1の光学異方性層の特性を満足するセルロースアシレートフィルム14と、その上に、直接又は転写材を利用して塗布により形成された、第2の光学異方性層の特性を満足する液晶組成物からなる又はポリマー組成物からなる層15を有する。
図9に本発明の光学フィルムの他の例の断面概略図を示す。図9に示す光学フィルムは、第2の光学異方性層の特性を満足するセルロースアシレートフィルム15’と、その上に、直接又は転写材を利用して塗布により形成された、第1の光学異方性層の特性を満足する液晶層又はポリマー層14’を有する。各光学異方性層の好ましい態様及び作製に用いられる材料の例については、上記した通りである。本発明の光学フィルムは、液晶表示装置の光学補償フィルムに好ましく用いられ、特にVAモードの液晶表示装置の光学補償フィルムに好ましく用いられる。
本発明は下記式(a6)を満足する第1の光学異方性層と、第2の光学異方性層(好ましくは(b1)−(b6)の全てを満足する層)を少なくとも含む光学フィルムにも関する。前記第1の光学異方性層は、塗布又は転写により形成され、そのRthが可視光域において長波長ほど減少する光学異方性層であり、及び前記第2の光学異方性層は、塗布又は転写により形成され、そのRe及びRthが可視光域において波長に依存して変化しない又は長波長ほど増加する光学異方性層である。
(a6) 0.5<Rth(548)/Re(548).
この態様の本発明の光学フィルムも液晶表示装置、特にVAモード液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いられ、斜め方向において生じるカラーシフトの軽減に寄与する。なお、第1及び第2の光学異方性層のいずれも塗布又は転写により形成された層であるので、本態様の光学フィルムは、さらにこれらの層を支持するポリマーフィルムを有していてもよい。該ポリマーフィルムはRe及びRthの双方がほぼ0である、等方性のポリマーフィルムであるのが好ましい。
一般的に、大画面表示装置において、斜め方向のコントラストの低下及び色味付きが顕著となるので、本発明の光学フィルムは、特に大画面液晶表示装置に用いるのに適している。大画面用液晶表示装置用の光学フィルムとして用いる場合は、例えば、フィルム幅を1470mm以上として成形するのが好ましい。また、本発明の光学フィルムには、液晶表示装置にそのまま組み込むことが可能な大きさに切断されたフィルム片の態様のフィルムのみならず、連続生産により、長尺状に作製され、ロール状に巻き上げられた態様のフィルムも含まれる。後者の態様の光学フィルムは、その状態で保管・搬送等され、実際に液晶表示装置に組み込む際や偏光子等と貼り合わされる際に、所望の大きさに切断されて用いられる。また、同様に長尺状に作製されたポリビニルアルコールフィルム等からなる偏光子等と、長尺状のまま貼り合わされた後に、実際に液晶表示装置に組み込む際に、所望の大きさに切断されて用いられる。ロール状に巻き上げられた光学フィルムの一態様としては、ロール長が2500m以上のロール状に巻き上げられた態様が挙げられる。
[偏光板]
また、本発明は、偏光子と、該偏光子の片面に本発明の光学フィルムを有する偏光板にも関する。本発明の光学フィルムと同様、本発明の偏光板の態様は、液晶表示装置にそのまま組み込むことが可能な大きさに切断されたフィルム片の態様の偏光板のみならず、連続生産により、長尺状に作製され、ロール状に巻き上げられた態様(例えば、ロール長2500m又は3900m以上)の偏光板も含まれる。大画面液晶表示装置用とするためには、上記した通り、偏光板の幅は1470mm以上であることが好ましい。
図10(a)及び(b)に、本発明の偏光板の一態様の断面概略図をそれぞれ示す。図10(a)に示す偏光板は、ヨウ素や二色性色素によって染色されたポリビニルアルコールフィルム等からなる偏光子11と、その一方の面に、保護フィルムとして配置された本発明の光学フィルムである、第1の光学異方性層14と第2の光学異方性層15との積層体、及びその他方の面に、保護フィルム16とを有する。この偏光板を液晶表示装置に組み込む際は、本発明の光学フィルムを、液晶セル側の保護フィルムとして、第2の光学異方性層15を液晶セル側にして配置するのが好ましい。
図11(a)及び(b)に、本発明の偏光板の他の態様の断面概略図をそれぞれ示す。図11(a)に示す偏光板は、ヨウ素や二色性色素によって染色されたポリビニルアルコールフィルム等からなる偏光子11と、その一方の面に、保護フィルムとして配置された本発明の光学フィルムである、第2の光学異方性層15’と第1の光学異方性層14’との積層体、及びその他方の面に、保護フィルム16とを有する。この偏光板を液晶表示装置に組み込む際は、本発明の光学フィルムを、液晶セル側の保護フィルムとして、第1の光学異方性層14’を液晶セル側にして配置するのが好ましい。
保護フィルム16は、より外側に配置されるので、低透湿性の材料を用いるのが耐久性の点で好ましい。具体的には、透湿度が200g/(m2・day)以下のフィルムを用いるのが好ましく、50g/(m2・day)以下のフィルムを用いるのがより好ましく、20g/(m2・day)以下のフィルムを用いるのがさらに好ましい。透湿度の下限値については特に制限されないが、一般的には、フィルムの透湿度は、10g/(m2・day)程度が下限である。ここで、フィルム透湿度は40℃90%RHで測定された値のことを示す。詳細はJIS0208に記載されている。かかる特性を示す保護フィルムとしては、ノルボルネン系ポリマーフィルムが好ましく、市販品であるゼオノアフィルム等を用いることができる。また、フィルム基材の上に低透湿性の被覆層を設けた低透湿性材料も好ましく用いることができる。被覆層の例としては、塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む重合体(以下塩素含有重合体とも称する)があげられる。塩素含有ビニル単量体としては、一般的には、塩化ビニル、塩化ビニリデンが挙げられる。塩素含有重合体は、これら塩化ビニル又は塩化ビニリデン単量体に、これらと共重合可能な単量体を共重合することにより得ることができる。またこの塩素含有ビニル単量体と他の単量体を共重合させることもできる。塩素含有ビニル単量体と共重合可能な単量体としては、オレフィン類、スチレン類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタアクリルアミド類、イタコン酸ジエステル類、マレイン酸エステル類、フマル酸ジエステル類、N−アルキルマレイミド類、無水マレイン酸、アクリロニトリル、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、ビニルケトン類、ビニル異節環化合物、グリシジルエステル類、不飽和ニトリル類、不飽和カルボン酸類等から選ばれる単量体が挙げられる。
なお、透湿度が低いフィルムを液晶表示装置の、より外側に用いて湿度の進入を防ぐ理由や、透湿度が低いフィルムが偏光子との接着性が低い等の理由により、図10(b)及び図11(b)に示す通り、偏光子11と低透湿性のフィルム16との間に、偏光子11の保護フィルム16’を別途配置してもよい。保護フィルム16’としては、セルロースアシレートフィルムが好ましい。この場合、本発明の例として、セルロースアシレートフィルムを16’とし、上述の塩素含有重合体を16として設置した低透湿性のフィルムを好ましく用いることができる。
なお、偏光子11と第1の光学異方性層14又は第2の光学異方性層15’との間にも、別途偏光子を保護する機能を有する保護フィルムを配置してもよいが、かかる保護フィルムが光学補償能を低下させないように、レターデーションがほぼ0であるフィルム、例えば、特開2005−138375に記載のセルロースアシレートフィルム等、を用いるのが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
[実施例1−1]
図1に示す液晶表示装置と同一の構成のVAモード液晶表示装置を作製した。
以下、種々の部材の作製方法について説明する。
(第1の光学異方性層用セルロースアシレートフィルム001の作製)
・セルロースアシレート溶液の調製
下記表に記載の各成分を混合して、セルロースアシレート溶液を調製した。このセルロースアシレート溶液を、金属支持体上に流延し、得られたウェブを支持体から剥離し、乾燥して、下記表中に記載の厚みの、長尺状のセルロースアシレートフィルム001を作製した。
Figure 2008250292
Figure 2008250292
Figure 2008250292
作製したセルロースアシレートフィルム001について、上記方法により自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測器(株)製)を用いて波長446nm、548nm、628nmにおいて3次元複屈折測定を行い、面内のレターデーションReおよび傾斜角を変えてReを測定することで得られる膜厚方向のレターデーションRthを求めた。下記表中にRth(548)/Re(548)及びRth(446)/Rth(548)を併せて示す。下記表に示す通り、セルロースアシレートフィルム001は上記式(a1)〜(a3)を満足し、第1の光学異方性層として利用可能なセルロースアシレートフィルムであることが理解できる。
以下の実施例1−2、1−3及び1−6においても、第1の光学異方性層として、この作製した長尺状のセルロースアシレートフィルム001を、適当な長さに切断して用いた。
Figure 2008250292
(第2の光学異方性層002を形成した光学フィルム101の作製)
上記で作製したセルロースアシレートフィルム001の表面をアルカリ溶液でケン化後、このフィルム上に下記の組成の配向膜塗布液をワイヤーバーコーターで20ml/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに100℃の温風で120秒乾燥し、膜を形成した。次に、形成した膜にセルロースアシレートフィルム001の搬送方向と直交方向にラビング処理を施して配向膜を形成した。
配向膜塗布液の組成
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下記の変性ポリビニルアルコール 2質量部
水 74質量部
メタノール 24質量部
グルタルアルデヒド 0.1質量部
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Figure 2008250292
・光学異方性層002形成用塗布液の調製
下記の組成の光学異方性層0002形成用塗布液を調製した。
光学異方性層002塗布液の組成
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下記の棒状液晶性化合物 100質量部
光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製) 3質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1質量部
メチルエチルケトン 197質量部
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Figure 2008250292
形成した配向膜の上に、上記組成の塗布液をバーコーターを用いて連続的に塗布、乾燥、および120℃で2分間加熱(配向熟成)し、さらに120W/cm高圧水銀灯を用いて、30秒間UV照射して厚さ1.5μmの光学異方性層002を形成し、セルロースアシレートフィルム001と一体化した光学フィルム101を得た。548nmにおけるレターデーション値Reは110nm、Rthは56nmであった。形成した光学異方性層002の状態を調べ、塗布ムラ(塗布液が配向膜にはじかれて生じたムラ)や配向の乱れがないことを確認した。第2の光学異方性層002の光学特性を下記表に示す。ここで、第2の光学異方性層002単独の光学性能を測定するため、セルロースアシレートフィルム001の上ではなく、別途、ReおよびRthがゼロとみなせる、ガラス基板の上に上記と同様の操作によって光学異方性層002を作製し、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測器(株)製)を用いて測定した値を用いた。
Figure 2008250292
(偏光板用保護フィルム201の作製)
・低透湿被覆層の形成
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(タック−TD80U、富士フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、スロットルダイを有するコーターを用いて、以下に示す組成の低透湿被覆層用塗布液を直接押し出して塗布した。搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で5分乾燥して、巻き取った。
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低透湿被覆層用塗布液の組成
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塩素含有重合体:R204 12g
{旭化成ライフ&リビング(株)製「サランレジンR204」}
テトラヒドロフラン 63g
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(ハードコート層の形成)
上記の低透湿被覆層を形成した80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(タック−TD80U、富士フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、スロットルダイを有するコーターを用いて、下記のハードコート層用塗布液を直接押し出して塗布した。搬送速度30m/分の条件で塗布し、30℃で15秒間、90℃で20秒間乾燥の後、更に窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量90mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ6.0μmの防眩性を有するハードコート層を形成し、巻き取った。以上により、低透湿のバリア層付きの偏光板用保護フィルム201を作製した。作製した偏光板保護フィルム201の透湿度は、33g/(m2・day)であった。
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ハードコート層用塗布液の組成
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PET−30 40.0g
DPHA 10.0g
イルガキュア184 2.0g
SX−350(30%) 2.0g
架橋アクリルースチレン粒子(30%) 13.0g
FP−13 0.06g
ゾル液a 11.0g
トルエン 38.5g
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(偏光板1−Rの作製)
上記で作製した光学フィルム101の裏面(セルロースアシレートフィルム001の裏面であって、第2の光学異方性層002が形成されていない側の面)、及び偏光板用保護フィルム201の一方の面(低透湿層が塗布されていない側)をアルカリ鹸化処理した。1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液に55℃で2分間浸漬し、室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。続いて、厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して厚さ20μmの偏光膜を得た。ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、前記のアルカリ鹸化処理した光学フィルム101と、同様のアルカリ鹸化処理した偏光板用保護フィルム201とを、鹸化処理面が偏光膜側となるようにして偏光膜を間に挟んで貼り合わせ、セルロースアシレートフィルム001(第1の光学異方性層)及び偏光板用保護フィルム201が、偏光膜の保護フィルムとなっている偏光板1−Rを得た。この際、ポリマーフィルムのMD方向が、偏光膜の吸収軸と平行になるように貼り付けた。
作製した偏光板1−Rは後述するようにLCD用偏光板として図1中の偏光板P1として用いた。
(偏光板1−Fの作製)
偏光板1−Rの作製において、光学フィルム101の代わりに、市販のセルロースアシレートフィルム(富士フイルム(株)製の“Z−タック“、Re=0nm、Rth=0nm)を用い、もう一方の偏光板保護フィルムとして201を用い、それ以外の作製方法は、偏光板1−Rと同一の方法で偏光板1−Fを作製した。
作製した偏光板1−Fは後述するようにLCD用図1中の偏光板P0として用いた。なお、上記Z−タックを保護フィルム17として、液晶セル側に配置した。
(液晶表示装置LCD−1の作製)
市販の37インチVAモード液晶テレビ(シャープ製)の表裏の偏光板および位相差板を剥して、液晶セルとして用いた。ここでは図1の構成で、作製した偏光板1−Fを偏光板P0として、作製した偏光板1−Rを偏光板P1として、液晶セルに粘着剤を用いて貼り合わせ、液晶表示装置LCD−1を作製した。なお、このLCD−1においては図1中の14がセルロースアシレートフィルム001、15が光学異方性層002、17がZ−タックとなるような配置となっている。また観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるようなクロスニコル配置とした。
[実施例1−2]
実施例1−1で作製したセルロースアシレートフィルム001を用い、光学異方性層002を設ける代わりに、下記の方法で光学異方性層003を設け、光学フィルム102および偏光板2−Rを作製した。
(光学異方性層003の形成)
実施例1−1と同様にして、フィルム001に配向膜を設けた。次に、下記の組成の光学異方性層003形成用塗布液を調製した。
___________________________________
光学異方性層003形成用塗布液
___________________________________
・液晶性化合物 D−8 68.8質量部
・液晶性化合物 TO−3 31.2質量部
・空気界面配向制御剤 V−(1) 0.2質量部
・イルガキュア907(長瀬産業(株)) 1.0質量部
・クロロホルム 700質量部
___________________________________
Figure 2008250292
Figure 2008250292
Figure 2008250292
バーコーターを用いて連続的に塗布、乾燥、および130℃まで加熱した後、95℃まで冷却し、2分間加熱保持(配向熟成)し、さらに120W/cm高圧水銀灯を用いて、30秒間UV照射して厚さ1.5μmの光学異方性層003を形成し、セルロースアシレートフィルム001と一体化した光学フィルム102を得た。この光学異方性層003の、548nmにおけるレターデーション値Reは100nm、Rthは130nmであった。形成した光学異方性層003の状態を調べ、塗布ムラ(塗布液が配向膜にはじかれて生じたムラ)や配向の乱れがないことを確認した。第2の光学異方性層003の光学特性を下記表に示す。ここで、第2の光学異方性層003単独の光学性能を測定するため、セルロースアシレートフィルム001の上ではなく、別途、ReおよびRthがゼロとみなせる、ガラス基板の上に上記と同様の操作によって光学異方性層003を作製し、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測器(株)製)を用いて測定した値を用いた。
Figure 2008250292
(偏光板2−Rの作製)
実施例1−1の偏光板1−Rの作製において、光学フィルム101を、上記で作製した光学フィルム102に代えた以外は、偏光板1−Rの作製と同様にして、偏光板2−Rを作製した。後述するように作製した偏光板2−Rは、LCD用偏光板として図1中の偏光板P1として用いた。
(液晶表示装置LCD−2の作製)
市販の37インチVAモード液晶テレビ(シャープ製)の表裏の偏光板および位相差板を剥して、液晶セルとして用いた。図1の構成で、作製した偏光板2−Rを偏光板P1として、実施例1−1で作製した偏光板1−Fを偏光板P0として、液晶セルに粘着剤を用いて貼り合わせ、液晶表示装置LCD−2を作製した。なお、このLCD−2においては図1中の14がセルロースアシレートフィルム001、15が光学異方性層003、17がZ−タックとなるような配置となっている。また観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。
[実施例1−3]
(偏光板3−Rの作製)
第2の光学異方性層として、光学異方性層002を形成するのに代えて、以下の方法で光学異方性層004を形成した以外は、実施例1−1と同様にして光学フィルム103および偏光板3−Rを作製した。なお、光学異方性層004の形成時には、光学フィルム101作製の際に用いた配向膜を用いていない。
(光学異方性層004の形成)
・ポリイミド塗布液の調製
2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物および2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニルを用いて、下記の一般式で表される繰り返し単位から構成されるポリイミド(Mw=70,000)を合成した。このポリイミドをMIBKに溶解し、ポリイミド濃度24重量%、粘度3Pa・sのポリイミド溶液を調製した。なお、上記ポリイミドの合成方法は、特許第3735361号に詳細がある。
Figure 2008250292
(光学フィルム103の作製)
上記のポリイミド溶液を、実施例1−1で作製したセルロースアシレートフィルム001に、バーコーターを用いて厚み調整をして直接塗布した後、これを130℃で3分間乾燥し、厚さ5μmのポリイミド層004を形成し、セルロースアシレートフィルム001と一体化した光学フィルム103を得た。ポリイミドによる光学異方性層004(下記表)は、別途、ReおよびRthがゼロとみなせる、ガラス基板の上に上記と同様の操作によって上記の光学異方性層004を作製し、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測器(株)製)を用いて測定した。
Figure 2008250292
(偏光板3−Rの作製)
実施例1−1の偏光板1−Rの作製において、光学フィルム101を作製した光学フィルム103に代えた以外は、偏光板1−Rの作製と同様にして、偏光板3−Rを作製した。
後述するように作製した偏光板3−RはLCD用偏光板として図1中の偏光板P1として用いた。
(液晶表示装置LCD−3の作製)
市販の37インチVAモード液晶テレビ(シャープ製)の表裏の偏光板および位相差板を剥して、液晶セルとして用いた。図1の構成で、作製した偏光板3−Rを偏光板P1として、実施例1−1で作製した偏光板1−Fを偏光板P0として、液晶セルに粘着剤を用いて貼り合わせ、液晶表示装置LCD−4を作製した。なお、このLCD−3においては図1中の14がセルロースアシレートフィルム001、15が光学異方性層004、17がZ−タックとなるような配置となっている。また観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。
[実施例1−4]
(セルロースアシレートフィルム005の作製)
実施例1−1のセルロースアシレートフィルム001の作製において、Rth発現剤I−(2)を下記の化合物Bに置き換えた以外は全て同様の操作により、セルロースアシレートフィルム005を作製した。
Figure 2008250292
作製したセルロースアシレートフィルム005について、上記方法により自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測器(株)製)を用いて波長446nm、548nm、628nmにおいて3次元複屈折測定を行い、面内のレターデーションReおよび傾斜角を変えてReを測定することで得られる膜厚方向のレターデーションRthを求めた。下記表中にRth(548)/Re(548)及びRth(446)/Rth(548)を併せて示す。下記表6に示す通り、セルロースアシレートフィルム005は上記式を満足し、第1の光学異方性層として利用可能なセルロースアシレートフィルムであることが理解できる。
Figure 2008250292
(液晶表示装置LCD−4の作製)
実施例1−1の液晶表示装置LCD−1の作製にあたって、セルロースアシレートフィルム001をセルロースアシレートフィルム005に代えて作製した光学フィルム104を用いた以外は、全て実施例1−1と同様にして、液晶表示装置LCD−4を作製した。なお、このLCD−4においては図1中の14がセルロースアシレートフィルム005、15が光学異方性層002、17がZ−タックとなるような配置となっている。
[実施例1−5]
(セルロースアシレートフィルム006の作製)
実施例1−1のセルロースアシレートフィルム001の作製において、Rth発現剤I−(2)を7質量部用いる代わりに、I−(2)を4質量部、化合物Bを3質量部用いた。それ以外は全て同様の操作により、セルロースアシレートフィルム006を作製した。
作製したセルロースアシレートフィルム006について、上記方法により自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測器(株)製)を用いて波長446nm、548nm、628nmにおいて3次元複屈折測定を行い、面内のレターデーションReおよび傾斜角を変えてReを測定することで得られる膜厚方向のレターデーションRthを求めた。下記表中にRth(548)/Re(548)及びRth(446)/Rth(548)を併せて示す。下記表に示す通り、セルロースアシレートフィルム006は上記式を満足し、第1の光学異方性層として利用可能なセルロースアシレートフィルムであることが理解できる。
Figure 2008250292
(液晶表示装置LCD−5の作製)
実施例1−1の液晶表示装置LCD−1の作製にあたって、セルロースアシレートフィルム001をセルロースアシレートフィルム006に代えて作製した光学フィルム105を用いた以外は、全て実施例1−1と同様にして、液晶表示装置LCD−5を作製した。なお、このLCD−5においては図1中の14がセルロースアシレートフィルム006、15が光学異方性層002、17がZ−タックとなるような配置となっている。
[実施例1−6]
図2に示す液晶表示装置と同一の構成のVAモード液晶表示装置を作製した。
以下、種々の部材の作製方法について説明する。
(光学フィルム106の作製)
実施例1−1の光学フィルム101の作製において、支持体として用いたセルロースアシレートフィルム001を富士フイルム(株)製の“Z−タック”(厚み80μm)に代えて、実施例1−1の光学異方性層002の形成方法と同一の方法で、光学異方性層002’を形成し、セルロースアシレートフィルムZ−タックと一体化した光学フィルム106を得た。光学異方性層002’の光学性能は実施例1−1の光学異方性層002と同様であることを確認した。
(偏光板6−Rの作製)
実施例1−1の偏光板1−Rの作製において、光学フィルム101の代わりに本実施例1−の光学フィルム106に代えた以外は、偏光板1−Rの作製と同様にして、偏光板6−Rを作製した。
この作製した偏光板6−Rを、光学異方性層002’が液晶セル側になるようにして、図2中の偏光板P3として用いた。
(偏光板6−Fの作製)
第2の光学異方性層002を形成しなかった以外は、実施例1−1の偏光板1−Rの作製と同様にして、偏光板6−Fを作製した。
作製した偏光板6−Fを、図2中の偏光板P2として用いた。
(液晶表示装置LCD−6の作製)
市販の37インチVAモード液晶テレビ(シャープ製)の表裏の偏光板および位相差板を剥して、液晶セルとして用いた。図2の構成で、作製した偏光板6−Fを偏光板P2として、作製した偏光板6−Rを偏光板P3として、液晶セルに粘着剤を用いて貼り合わせ、液晶表示装置LCD−6を作製した。なお、このLCD−6においては図2中の14がセルロースアシレートフィルム001、15が光学異方性層002'、17がZ−タックとなるような配置となっている。また、観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。
[比較例]
下記表に示す光学性能を持つ、一軸延伸したポリカーボネートフィルム(ピュアエース、帝人化成(株)製)を光学フィルム007とし、本発明の実施例1−1での光学フィルム101の代わりに用い、図1の下側偏光板P1の保護フィルムとして用いた。ビスフェノールAタイプのポリカーボネート(C1400、帝人化成(株)製)を塩化メチレンに溶解し、固形分濃度15重量%の溶液とし、溶液製膜により膜厚60μmのフィルムを作製した。このフィルムを165℃にて縦方向、横方向ともに1.1倍延伸することにより下記表9に示す性能を持つ光学フィルム008を得た。このフィルムを本発明の実施例1−1のZ‐タック(17)の代わりに用い、図1の上側偏光板P0として用いた。上記の構成にて実施例1−1と同様にして液晶表示装置LCD−7を作製した。
Figure 2008250292
Figure 2008250292
[液晶表示装置LCD−1〜LCD−7の評価]
・視野角コントラストの測定
上記で作製した液晶表示装置LCD−1〜−7、および偏光板を剥がしていない市販の37インチVAモード液晶テレビ(シャープ製)そのものについて、正面方向および方位角45°極角60°においてELDIM社製Ezcontrastにより白輝度、黒輝度を測定し、それらの比から白黒のコントラスト比を求めた。本発明の液晶表示装置は、正面、斜め方向のコントラスト比が加工前のテレビと同等か良化されていること、及び斜め方向のカラーシフトが小さいまたは全く認識できないことを確認した。
・コーナームラ(光漏れ)評価
上記で作製した液晶表示装置LCD−1〜−7について同時に電源を入れ、黒表示した状態で24時間連続点灯した。これら液晶表示装置の四隅のコーナーから1cmの場所を観察箇所とし、明らかにムラ状の光漏れが見られない(○)、わずかながらムラ状の光漏れが観測される(△)、明らかに光漏れがある(×)として評価した。
Figure 2008250292
表10に示す結果から、本発明の実施例の液晶表示装置LCD−1〜LCD−6は、比較例の液晶表示装置LCD−7と比較して、長時間使用時のコーナームラが小さく、初期のみならず、長時間使用した後でも表示特性に優れることが理解できる。これは、液晶表示装置LCD−1〜LCD−6は、第2の光学異方性層を塗布方法により形成しているので、該層の光弾性係数が小さいが、一方、液晶表示装置LCD−7では、延伸ポリマーフィルムを第2の光学異方性層として用いているので、光弾性係数が大きく、この光弾性係数の違いに起因しているものと考えられる。液晶表示装置LCD−1〜−6の中でも、LCD−1、2、4〜6は、いずれも上記式(A)及び(B)を満足しているので、特にコーナームラが軽減されていることが理解できる。
[実施例2−1]
図3に示す液晶表示装置と同一の構成のVAモード液晶表示装置を作製した。
以下、種々の部材の作製方法について説明する。
《第2の光学異方性層用セルロースアシレートフィルム501の作製》
・ セルロースアシレート溶液の調製
下記表に記載の各成分を混合して、セルロースアシレート溶液を調製した。このセルロースアシレート溶液を、金属支持体上に流延し、得られたウェブを支持体から剥離し、その後、下記表に記載の条件で延伸した。なお、下記表中、TD方向とは、搬送方向を意味する。延伸後、乾燥して、下記表中に記載の厚みの、長尺状のセルロースアシレートフィルム501を作製した。
Figure 2008250292
Figure 2008250292
作製したセルロースアシレートフィルム501について、上記方法により自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測器(株)製)を用いて波長446nm、548nm、628nmにおいて3次元複屈折測定を行い、面内のレターデーションReおよび傾斜角を変えてReを測定することで得られる膜厚方向のレターデーションRthを求めた。下記表中に、各波長におけるRe、波長548nmにおけるNz値、Re(446)/Re(548)、Re(628)/Re(548)、Rth(446)/Rth(548)及びRth(628)/Rth(548)を併せて示す。下記表に示す通り、セルロースアシレートフィルム501は、上記式(b1)〜(b6)を満足し、第2の光学異方性層として利用可能なセルロースアシレートフィルムであることが理解できる。
以下の実施例2−2〜4においても、第2の光学異方性層として、この作製した長尺状のセルロースアシレートフィルム501を、適当な長さに切断して用いた。
Figure 2008250292
<第1の光学異方性層502を塗布した光学フィルム501の作製>
上記で作製したセルロースアシレートフィルム501の表面をアルカリ溶液でケン化後、このフィルム上に下記の組成の配向膜塗布液をワイヤーバーコーターで20ml/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに100℃の温風で120秒乾燥し、膜を形成した。次に、形成した膜にセルロースアシレートフィルム501の遅相軸方向と直交方向にラビング処理を施して配向膜を形成した。
配向膜塗布液の組成
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下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
化合物B 0.2質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 2008250292
Figure 2008250292
次に、下記の組成の光学異方性層塗布液を、ワイヤーバーで硬化後の548nmにおける厚さ方向のレターデーションRthが110nmとなるように塗布した。
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下記の円盤状液晶性化合物 1.8g
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 0.2g
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製) 0.06g
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 0.02g
含フッ素ポリマー(下記の化合物A) 0.01g
メチルエチルケトン 3.9g
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
これを125℃の恒温槽中で3分間加熱し、円盤状液晶性化合物を配向させた。次に、120W/cm高圧水銀灯を用いて、30秒間UV照射し円盤状液晶性化合物を架橋した。UV硬化時の温度を80℃として、光学異方性層を得た。光学異方性層の厚さは、1.4μmであった。その後、室温まで放冷した。このようにして、第2の光学異方性層であるセルロースアシレートフィルム501に第1の光学異方性層502を塗布した光学フィルム501を製作した。形成した光学異方性層502の状態を調べ、塗布ムラ(塗布液が配向膜にはじかれて生じたムラ)や配向の乱れがないことを確認した。第1の光学異方性層502の光学特性を下記表に示す。ここで、第1の光学異方性層502単独の光学性能を測定するため、セルロースアシレートフィルム501の上ではなく、別途、ReおよびRthがゼロとみなせる、ガラス基板の上に上記と同様の操作によって光学異方性層502を作製し、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測器(株)製)を用いて測定した値を用いた。
Figure 2008250292
Figure 2008250292
Figure 2008250292
《偏光板用保護フィルム51−Rの作製》
<低透湿被覆層の塗設>
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(タック−TD80U、富士フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、スロットルダイを有するコーターを用いて、下表の低透湿被覆層用塗布液を直接押し出して塗布した。搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で5分乾燥して、巻き取った。
[低透湿被覆層用塗布液]
塩素含有重合体:R204 12g
{旭化成ライフ&リビング(株)製「サランレジンR204」}
テトラヒドロフラン 63g
<ハードコート層の塗設>
上記の低透湿被覆層を塗設した80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(タック−TD80U、富士フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、スロットルダイを有するコーターを用いて、下記のハードコート層用塗布液を直接押し出して塗布した。搬送速度30m/分の条件で塗布し、30℃で15秒間、90℃で20秒間乾燥の後、更に窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量90mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ6.0μmの防眩性を有するハードコート層を形成し、巻き取った。以上により、低透湿のバリア層付きの偏光板用保護フィルム503を作製した。作製した偏光板保護フィルム201の透湿度は、33g/(m2・day)であった。
[ハードコート層用塗布液の組成]
PET−30 40.0g
DPHA 10.0g
イルガキュア184 2.0g
SX−350(30%) 2.0g
架橋アクリルースチレン粒子(30%) 13.0g
FP−13 0.06g
ゾル液a 11.0g
トルエン 38.5g
《偏光板51−Rの作製》
上記で作製した光学フィルム501の裏面(セルロースアシレートフィルム501の裏面であって、第1の光学異方性層502が形成されていない側の面)、及び偏光板用保護フィルム201の一方の面(低透湿層が塗布されていない側)をアルカリ鹸化処理した。1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液に55℃で2分間浸漬し、室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。続いて、厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して厚さ20μmの偏光膜を得た。ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、前記のアルカリ鹸化処理した光学フィルム501と、同様のアルカリ鹸化処理した偏光板用保護フィルム201とを、鹸化処理面が偏光膜側となるようにして偏光膜を間に挟んで貼り合わせ、セルロースアシレートフィルム501(第2の光学異方性層)及び偏光板用保護フィルム201が、偏光膜の保護フィルムとなっている偏光板51−Rを得た。この際、ポリマーフィルムのMD方向が、偏光膜の吸収軸と平行になるように貼り付けた。
作製した偏光板51−Rを、図3中の偏光板P1’として用いた。
(偏光板51−Fの作製)
偏光板51−Rの作製において、光学フィルム501の代わりに、市販のセルロースアシレートフィルム(富士フイルム社製の“Z−タック“、Re=0nm、Rth=0nm)を用い、もう一方の偏光板保護フィルムとして201を用い、それ以外の作製方法は、偏光板51−Rと同一の方法で偏光板51−Fを作製した。
作製した偏光板51−Fを、図3中の偏光板P0として用いた。なお、上記Z−タックを保護フィルム17として、液晶セル側に配置した。
(液晶表示装置LCD−51の作製)
市販の37インチVAモード液晶テレビ(シャープ製)の表裏の偏光板および位相差板を剥して、液晶セルとして用いた。図3の構成で、作製した偏光板51−Rを偏光板P1’として、作製した偏光板51−Fを偏光板P0として、液晶セルに粘着剤を用いて貼り合わせ、液晶表示装置LCD−1を作製した。なお、観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。
[実施例2−2]
図4に示す液晶表示装置と同一の構成のVAモード液晶表示装置を作製した。
以下、種々の部材の作製方法について説明する。
(偏光板52−Rの作製)
第1の光学異方性層502を形成しなかった以外は、実施例2−1の偏光板51−Rの作製と同様にして、偏光板52−Rを作製した。
作製した偏光板52−Rを、図4中の偏光板P4として用いた。
(光学フィルム502の作製)
実施例2−1の光学フィルム501の作製において、支持体として用いたセルロースアシレートフィルム501を富士フイルム社製の“Z−タック”(厚み80μm)に代えて、実施例2−1の光学異方性層502の形成方法と同一の方法で、光学異方性層502'を形成し、光学フィルム502を得た。光学異方性層502'の光学性能は実施例2−1の光学異方性層502と同様であることを確認した。また、光学フィルム502について、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測器(株)製)を用いて波長446nm、548nm、628nmにおいて3次元複屈折測定を行い、面内のレターデーションReおよび傾斜角を変えてReを測定することで得られる膜厚方向のレターデーションRthを求めた。結果を下記表に示す。下記表から、形成した光学フィルム502は、上記式(a1)〜(a3)を満足していることが理解できる。
Figure 2008250292
(偏光板52−Fの作製)
実施例2−1の偏光板51−Rの作製において、光学フィルム501の代わりに本実施例の光学フィルム502を用いた以外は、偏光板51−Rの作製と同様にして、偏光板52−Fを作製した。
この作製した偏光板52−Fを、光学異方性層502'が液晶セル側になるようにして、図4中の偏光板P5として用いた。
(液晶表示装置LCD−52の作製)
市販の37インチVAモード液晶テレビ(シャープ製)の表裏の偏光板および位相差板を剥して、液晶セルとして用いた。図4の構成で、作製した偏光板52−Rを偏光板P4として、作製した偏光板52−Fを偏光板P5として、液晶セルに粘着剤を用いて貼り合わせ、液晶表示装置LCD−52を作製した。なお、観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。
[実施例2−3]
図3に示す液晶表示装置と同一の構成のVAモード液晶表示装置を作製した。
以下、種々の部材の作製方法について説明する。
(光学異方性層503を設けた光学フィルム503および偏光板53−Rの作製)
第1の光学異方性層として、光学異方性層502を形成するのに代えて、以下の方法で光学異方性層503を形成した以外は、実施例2−1の偏光板51−Rの作製と同様にして、光学フィルム503および偏光板53−Rを作製した。
《光学異方性層503の形成》
両端に重合可能なアクリレート基を有すると共に、中央部のメソゲンと上記アクリレートの間にスペーサを有する棒状液晶性化合物を75重両部、光重合開始剤(Chiba Speciality Chemicals製、イルガキュアIrg184)を1重量部、溶剤としてのメチルエチルケトン25重量部を混合し、さらにカイラル剤として両末端に重合可能なアクリレート基を有するカイラル剤を10重量部加えて光学異方性層塗布液を調製した。
Figure 2008250292
Figure 2008250292
ここで、xは4である。
調製した上記光学異方性層503塗布液を、上記と同様に、セルロースアシレートフィルム501に鹸化処理、配向膜の塗設、さらにラビング処理した配向膜面に塗布、乾燥、UV硬化させ、カイラルネマチック(コレステリック)液晶層(光学異方性層503)を得た。得られた光学異方性層の厚さは、1.8μmであった。
上記のようにして厚み1.8μmの光学異方性層503を形成し、光学フィルム503を作製した。形成した光学異方性層の状態を調べ、塗布ムラ(塗布液が配向膜にはじかれて生じたムラ)や配向の乱れがないか確認した。
形成した光学異方性層503の状態を調べ、塗布ムラ(塗布液が配向膜にはじかれて生じたムラ)や配向の乱れがないことを確認した。光学異方性層503の光学特性を下記表に示す。ここで、光学異方性層503単独の光学性能を測定するため、セルロースアシレートフィルム501の上ではなく、別途、ReおよびRthがゼロとみなせる、ガラス基板の上に上記と同様の操作によって光学異方性層503を作製し、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測器(株)製)を用いて測定した値を用いた。
Figure 2008250292
《偏光板53−Rの作製》
実施例2−1の偏光板51−Rの作製において、光学フィルム501を作製した光学フィルム503に代えた以外は、偏光板51−Rの作製と同様にして、偏光板53−Rを作製した。
作製した偏光板53−Rを図3中の偏光板P1’として用いた。
(液晶表示装置LCD−53の作製)
市販の37インチVAモード液晶テレビ(シャープ製)の表裏の偏光板および位相差板を剥して、液晶セルとして用いた。図3の構成で、作製した偏光板53−Rを偏光板P1’として、実施例2−1で作製した偏光板51−Fを偏光板P0として、液晶セルに粘着剤を用いて貼り合わせ、液晶表示装置LCD−53を作製した。なお、観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。
[実施例2−4]
図3に示す液晶表示装置と同一の構成のVAモード液晶表示装置を作製した。
以下、種々の部材の作製方法について説明する。
(偏光板54−Rの作製)
第1の光学異方性層として、光学異方性層502を形成するのに代えて、以下の方法で光学異方性層504を形成した以外は、実施例2−1の偏光板51−Rの作製と同様にして、偏光板54−Rを作製した。なお、光学異方性層504の形成時には、光学フィルム501作製の際に用いた配向膜を用いていない。
《光学異方性層504の形成》
(ポリイミド塗布液の調製)
2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物(6FDA)および2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(PFMB)を用いて、下記式で表される繰り返し単位から構成されるポリイミド(Mw=150,000)を合成した。このポリイミドを、15重量%のMIBK溶液とし、ポリイミド溶液を調製した。なお、6FDAおよびPFMBの合成方法は、特許第3735361号に詳細がある。
Figure 2008250292
(光学フィルム504の作製)
上記のポリイミド溶液を、実施例2−1で作製したセルロースアシレートフィルム501に、バーコーターを用いて厚み調整をして直接塗布した後、これを100℃で10分間乾燥し、さらに150℃で20分間乾燥厚さ2.7μmのポリイミド層504を形成し、セルロースアシレートフィルム501と一体化した光学フィルム504を得た。ポリイミドによる光学異方性層504(下記表)は、別途、ReおよびRthがゼロとみなせる、ガラス基板の上に上記と同様の操作によって上記の光学異方性層504を作製し、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測器(株)製)を用いて測定した。
Figure 2008250292
《偏光板54−Rの作製》
実施例2−1の偏光板51−Rの作製において、光学フィルム501を作製した光学フィルム504に代えた以外は、偏光板51−Rの作製と同様にして、偏光板54−Rを作製した。
作製した偏光板54−Rを図3中の偏光板P1’として用いた。
(液晶表示装置LCD−54の作製)
市販の37インチVAモード液晶テレビ(シャープ製)の表裏の偏光板および位相差板を剥して、液晶セルとして用いた。図3の構成で、作製した偏光板54−Rを偏光板P1として、実施例2−1で作製した偏光板51−Fを偏光板P0として、液晶セルに粘着剤を用いて貼り合わせ、液晶表示装置LCD−54を作製した。なお、観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。
〔実施例2−5〕
図12に示す液晶表示装置と同じ構成のVAモード液晶表示装置を作製した。
以下、種々の部材の作製方法について説明する。
≪第2の光学異方性層005の作製≫
支持体として富士フイルム社製の“Z−タック”(厚み80μm)の表面をアルカリ溶液でケン化後、このフィルム上に下記の組成の配向膜塗布液をワイヤーバーコーターで20ml/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに100℃の温風で120秒乾燥し、膜を形成した。次に、形成した膜にZ−タックのMD方向と直交方向にラビング処理を施して配向膜を形成した。
配向膜塗布液の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
化合物B 0.2質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 2008250292
Figure 2008250292
次に、下記の組成の光学異方性層塗布液を、前記配向膜上にワイヤーバーで塗布後、140℃で加熱し均一に配向させ、400mJ/cm2の紫外線を照射して液晶化合物を重合させることで光学異方性層005を作製した。液晶化合物層の厚みは3.03μmであった。これを光学フィルム505として用いた。
Figure 2008250292
Figure 2008250292
ここで、前記光学異方性層005の光学性能を測定するため、ReおよびRthがゼロとみなせる、ガラス基板の上に上記と同様の操作によって光学異方性層005を作製し、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測器(株)製)を用いて測定した値を用いた。
Figure 2008250292
≪偏光板55−Rの作製≫
実施例2−1の偏光板1−Rにおいて、光学フィルム501を作製した光学フィルム505に代えた以外は、偏光板1−Rの作製と同様にして、偏光板55−Rを作製した。
≪光学フィルム506の作製≫
実施例2−5の光学フィルム502の作製において、光学異方性層の厚みを2.1μmにして以外は同一の方法で光学異方性層502”を形成し、光学フィルム506を作製した。ここで、前記光学異方性層502”の光学性能を測定するため、ReおよびRthがゼロとみなせる、ガラス基板の上に上記と同様の操作によって光学異方性層502”を作製し、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測器(株)製)を用いて測定した値を用いた。
Figure 2008250292
≪偏光板55−Fの作製≫
実施例2−1の偏光板51−Rの作製において、光学フィルム501の代わりに本実施例の光学フィルム506に代えた以外は、偏光板51−Rの作製と同様にして、偏光板55−Fを作製した。
この作製した偏光板55−Fを、光学異方性層502”が液晶セル側になるようにして用いた。
≪液晶表示装置LCD−55の作製≫
市販の37インチVAモード液晶テレビ(シャープ製)の裏表の偏光板および位相差板を剥して、液晶セルとして用いた。図12の構成で、作製した偏光板5−Rを偏光板P7(即ち、図12中、第2の光学異方性層15”が光学異方性層No.005)として、偏光板55−FをP6(即ち、第1の光学異方性層14”が光学異方性層502”)として、液晶セルに粘着剤を用いて貼り合わせ、液晶表示装置LCD−55を作製した。なお、観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。
[液晶表示装置LCD−51〜LCD−55の評価]
・色味視野角の変化
上記で作製した液晶表示装置LCD−51〜LCD−55、および偏光板を剥がしていない市販の37インチVAモード液晶テレビ(シャープ製)そのものについて、極角60°において、方位角0°と方位角80°との色味変化をELDIM社製Ezcontrastにより測定し、xy色度図上での色味変化の絶対値Δx,Δyを求めた。結果を下記表に示す。なお、市販VAモード液晶テレビは、図3の構成中、第1の光学異方性層14’および第2の光学異方性層15’に相当する位置に2軸性フィルム(Re及びRthの波長分散性が順分散性)を有し、偏光板保護フィルム17としてセルロースアセテートフィルム(Re=5nm、Rth=45nm、Re及びRthの波長分散性が逆分散性)を有していた。
Figure 2008250292
上記表に示す結果から、本発明の液晶表示装置LCD−51〜LCD−55は比較例の市販品VAモード液晶表示装置に対して、視角による色味変化が少なく、表示特性に優れることが理解できる。
本発明の液晶表示装置の一例の概略断面図である。 本発明の液晶表示装置の他の例の概略断面図である。 本発明の液晶表示装置の他の例の概略断面図である。 本発明の液晶表示装置の他の例の概略断面図である。 本発明の液晶表示装置の光学補償機構の一例をポアンカレ球上で説明するために用いた図である。 本発明の液晶表示装置の光学補償機構の一例をポアンカレ球上で説明するために用いた図である。 本発明の液晶表示装置の光学補償機構の一例をポアンカレ球上で説明するために用いた図である。 本発明の光学フィルムの一例の概略断面図である。 本発明の光学フィルムの一例の概略断面図である。 本発明の偏光板の例の概略断面図である。 本発明の偏光板の例の概略断面図である。 本発明の液晶表示装置の他の例の概略断面図である。
符号の説明
11、12 偏光子
13 液晶セル
14、14’、14” 第1の光学異方性層
15、15’、15” 第2の光学異方性層
16、16’、18 外側保護フィルム
17 セル側保護フィルム
F 光学フィルム
P0、P1、P1’、P2、P3、P4、P5、P6、P7 偏光板

Claims (42)

  1. 少なくとも、液晶セルと、第1の光学異方性層と、第2の光学異方性層とを有する液晶表示装置であって、前記第1の光学異方性層が、下記式(a1)を満足するとともに、前記第2の光学異方性層が少なくとも1つの光軸を有し、第1及び第2の光学異方性層のうち少なくとも一方が塗布又は転写によって形成された光学異方性層であることを特徴とする液晶表示装置:
    (a1) 10<Rth(548)/Re(548)
    〔式中、Rth(λ)は、波長λ(nm)における厚み方向のレターデーション(nm)を表す〕。
  2. 前記第1の光学異方性層が、厚み方向のレターデーションRthが可視光域の光に対して長波長になるほど減少することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 前記第2の光学異方性層が、面内レターデーションRe及び厚み方向のレターデーションRthが、可視光域の光に対して波長に依存して変化しないもしくは長波長になるほど増加することを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
  4. 前記第1の光学異方性層の膜厚d(μm)が下記式(a4)を満たし、及びRth(548)が下記式(a5)を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置:
    (a4) 0.1≦d≦20
    (a5) Rth(548)/(d×1000)≧0.03 。
  5. 前記第2の光学異方性層が塗布又は転写によって形成された光学異方性層であり、その膜厚d(μm)が下記式(b7)、及びRth(548)が下記式(b8)を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置:
    (b7) 0.1≦d≦20
    (b8) Re(548)/(d×1000)≧0.03 。
  6. 前記第1の光学異方性層が、下記式(a2)及び(a3)を満たすことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置:
    (a2) 30nm≦Rth(548)≦400nm
    (a3) 1<Rth(446)/Rth(548) 。
  7. 前記第2の光学異方性層が、下記式(b1)及び(b2)を満たすことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶表示装置:
    (b1) Re(548)>20nm
    (b2) 0.5<Nz<10
    〔式中、Re(λ)及びRth(λ)は、それぞれ波長λ(nm)における、面内レターデーション(nm)及び厚み方向のレターデーション(nm)を表し、Nz=Rth(548)/Re(548)+0.5とする〕。
  8. 前記第1の光学異方性層が下記式(a1)〜(a3)を満たし、及び前記第2の光学異方性層が下記式(b1)〜(b6)を満たすことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の液晶表示装置:
    (a1) 10<Rth(548)/Re(548)
    (a2) 30nm≦Rth(548)≦400nm
    (a3) 1.0<Rth(446)/Rth(548)<1.5
    (b1) Re(548)>20nm
    (b2) 0.5<Nz<10
    (b3) 0.60≦Re(446)/Re(548)≦1.0
    (b4) 1.0≦Re(628)/Re(548)≦1.25
    (b5) 0.60≦Rth(446)/Rth(548)≦1.0
    (b6) 1.0≦Rth(628)/Rth(548)≦1.25
    〔式中、Re(λ)及びRth(λ)は、それぞれ波長λ(nm)における、面内レターデーション(nm)及び厚み方向のレターデーション(nm)を表し、Nz=Rth(548)/Re(548)+0.5とする〕。
  9. 前記第1の光学異方性層が、セルロースアシレートフィルムであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  10. 前記セルロースアシレートフィルムが、Rth発現剤を少なくとも1種含有することを特徴とする請求項9に記載の液晶表示装置。
  11. 前記Rth発現剤が、下記一般式(I)もしくは式(II)で表される化合物であることを特徴とする請求項10に記載の液晶表示装置:
    Figure 2008250292
    式(I)中、X1は、単結合、−NR4−、−O−又はS−であり;X2は、単結合、−NR5−、−O−又はS−であり;X3は、単結合、−NR6−、−O−又はS−であり;R1、R2、及びR3は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、芳香族環基又は複素環基であり;R4、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基であり;
    Figure 2008250292
    式(II)中、R12、R14及びR15はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し;R11、R13はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表し、L1及びL2はそれぞれ独立に単結合又は二価の連結基を表し;Ar1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し;Ar2はアリール基又は芳香族へテロ環を表し;nは3以上の整数を表し、n種存在するL2及びAr1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく;ただしR11及びR13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。
  12. 前記第1の光学異方性層が、塗布又は転写により、ディスコティック液晶組成物又はコレステリック液晶組成物から形成された層であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  13. 前記第1の光学異方性層が、塗布又は転写により形成された複屈折を持つポリマー層からなり、前記ポリマー層が、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドポリエステルイミド、及びポリアリールエーテルケトンからなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマー材料を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  14. 前記第2の光学異方性層が、セルロースアシレートフィルムであることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  15. 前記セルロースアシレートフィルムが、Re発現剤を少なくとも1種含有することを特徴とする請求項14に記載の液晶表示装置。
  16. 前記Re発現剤が、下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする請求項15に記載の液晶表示装置:
    Figure 2008250292
    式中、L1及びL2は各々独立に単結合又は二価の連結基を表し;A1及びA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子又は置換基を表す)、−S−及びCO−からなる群から選ばれる基を表し;R1、R2、及びR3は各々独立に置換基を表し;Xは第14〜16族の非金属原子を表すが、Xには水素原子又は置換基が結合してもよく;及びnは0〜2の整数を表す。
  17. 前記第2の光学異方性層が、塗布又は転写により、液晶組成物から形成された層であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  18. 前記第2の光学異方性層が、塗布又は転写により形成された複屈折を持つポリマー層からなり、前記ポリマー層が、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドポリエステルイミド、及びポリアリールエーテルケトンからなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマー材料を含有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  19. 少なくとも、液晶セルと、塗布又は転写によって形成された第1及び第2の光学異方性層とを有する液晶表示装置であって、前記第1の光学異方性層が、下記式(a6)を満足するとともに、Rthが可視光域の光に対してその波長が長波長になるほど減少する光学異方性層であり、及び前記第2の光学異方性層が、面内レターデーションRe及び厚み方向のレターデーションRthが、可視光域の光に対して変化しない又はその波長が長波長になるほど増加する光学異方性層であることを特徴とする液晶表示装置:
    (a6) 0.5<Rth(548)/Re(548)
    〔式中、Rth(λ)は、波長λ(nm)における厚み方向のレターデーション(nm)を表す〕。
  20. 前記液晶セルが、垂直配向モードの液晶セルであることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  21. 第1の光学異方性層と第2の光学異方性層とを有する光学フィルムであって、前記第1の光学異方性層が、下記式(a2)を満足し、前記第2の光学異方性層が少なくとも1つの光軸を有し、及び前記第1及び第2の光学異方性層の一方が塗布又は転写により形成された光学異方性層であることを特徴とする光学フィルム:
    (a2) 10<Rth(548)/Re(548)
    〔式中、Rth(λ)は、波長λ(nm)における厚み方向のレターデーション(nm)を表す〕。
  22. 前記第1の光学異方性層が、厚み方向のレターデーションRthが可視光域の光に対して長波長になるほど減少するポリマーフィルムであることを特徴とする請求項21に記載の光学フィルム。
  23. 前記第2の光学異方性層が、面内レターデーションRe及び厚み方向のレターデーションRthが、可視光域の光に対して波長に依存して変化しないもしくは長波長になるほど増加する光学異方性層であることを特徴とする請求項21又は22に記載の光学フィルム。
  24. 塗布又は転写によって形成された第1及び第2の光学異方性層を有する光学フィルムであって、前記第1の光学異方性層が、下記式(a6)を満足するとともに、Rthが可視光域の光に対してその波長が長波長になるほど減少する光学異方性層であり、及び前記第2の光学異方性層が、面内レターデーションRe及び厚み方向のレターデーションRthが、可視光域の光に対して変化しない又はその波長が長波長になるほど増加する光学異方性層であることを特徴とする光学フィルム:
    (a6) 0.5<Rth(548)/Re(548)
    〔式中、Rth(λ)は、波長λ(nm)における厚み方向のレターデーション(nm)を表す〕。
  25. 前記第1の光学異方性層の膜厚d(μm)が下記式(a4)を満たし、及びRth(548)が下記式(a5)を満たすことを特徴とする請求項21〜24のいずれか1項に記載の光学フィルム:
    (a4) 0.1≦d≦20
    (a5) Rth(548)/(d×1000)≧0.03 。
  26. 前記第2の光学異方性層が塗布又は転写によって形成された光学異方性層であり、その膜厚d(μm)が下記式(b7)、及びRth(548)が下記式(b8)を満たすことを特徴とする請求項21〜25のいずれか1項に記載の光学フィルム:
    (b7) 0.1≦d≦20
    (b8) Re(548)/(d×1000)≧0.03 。
  27. 前記第1の光学異方性層が、下記式(a2)及び(a3)を満たすことを特徴とする請求項21〜26のいずれか1項に記載の光学フィルム:
    (a2) 30nm≦Rth(548)≦400nm
    (a3) 1<Rth(446)/Rth(548) 。
  28. 前記第2の光学異方性層が、下記式(b1)及び(b2)を満たすことを特徴とする請求項21〜27のいずれか1項に記載の光学フィルム:
    (b1) Re(548)>20nm
    (b2) 0.5<Nz<10
    〔式中、Re(λ)及びRth(λ)は、それぞれ波長λ(nm)における、面内レターデーション(nm)及び厚み方向のレターデーション(nm)を表し、Nz=Rth(548)/Re(548)+0.5とする〕。
  29. 前記第1の光学異方性層が下記式(a1)〜(a3)を満たし、及び前記第2の光学異方性層が下記式(b1)〜(b6)を満たすことを特徴とする請求項21〜28のいずれか1項に記載の光学フィルム:
    (a1) 10<Rth(548)/Re(548)
    (a2) 30nm≦Rth(548)≦400nm
    (a3) 1.0<Rth(446)/Rth(548)<1.5
    (b1) Re(548)>20nm
    (b2) 0.5<Nz<10
    (b3) 0.60≦Re(446)/Re(548)≦1.0
    (b4) 1.0≦Re(628)/Re(548)≦1.25
    (b5) 0.60≦Rth(446)/Rth(548)≦1.0
    (b6) 1.0≦Rth(628)/Rth(548)≦1.25
    〔式中、Re(λ)及びRth(λ)は、それぞれ波長λ(nm)における、面内レターデーション(nm)及び厚み方向のレターデーション(nm)を表し、Nz=Rth(548)/Re(548)+0.5とする〕。
  30. 前記第1の光学異方性層が、セルロースアシレートフィルムであることを特徴とする請求項21〜29のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  31. 前記セルロースアシレートフィルムが、Rth発現剤を少なくとも1種含有することを特徴とする請求項30に記載の光学フィルム。
  32. 前記Rth発現剤が、下記一般式(I)もしくは式(II)で表される化合物であることを特徴とする請求項31に記載の光学フィルム:
    Figure 2008250292
    式(I)中、X1は、単結合、−NR4−、−O−又はS−であり;X2は、単結合、−NR5−、−O−又はS−であり;X3は、単結合、−NR6−、−O−又はS−であり;R1、R2、及びR3は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、芳香族環基又は複素環基であり;R4、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基であり;
    Figure 2008250292
    式(II)中、R12、R14及びR15はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し;R11、R13はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表し、L1及びL2はそれぞれ独立に単結合又は二価の連結基を表し;Ar1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し;Ar2はアリール基又は芳香族へテロ環を表し;nは3以上の整数を表し、n種存在するL2及びAr1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく;ただしR11及びR13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。
  33. 前記第1の光学異方性層が、塗布又は転写により、ディスコティック液晶組成物又はコレステリック液晶組成物から形成された層であることを特徴とする請求項21〜29のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  34. 前記第1の光学異方性層が、塗布又は転写により形成された複屈折を持つポリマー層からなり、前記ポリマー層が、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドポリエステルイミド、及びポリアリールエーテルケトンからなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマー材料を含有することを特徴とする請求項21〜29のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  35. 前記第2の光学異方性層が、セルロースアシレートフィルムであることを特徴とする請求項21〜34のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  36. 前記セルロースアシレートフィルムが、Re発現剤を少なくとも1種含有することを特徴とする請求項35に記載の光学フィルム。
  37. 前記Re発現剤が、下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする請求項36に記載の光学フィルム:
    Figure 2008250292
    式中、L1及びL2は各々独立に単結合又は二価の連結基を表し;A1及びA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子又は置換基を表す)、−S−及びCO−からなる群から選ばれる基を表し;R1、R2、及びR3は各々独立に置換基を表し;Xは第14〜16族の非金属原子を表すが、Xには水素原子又は置換基が結合してもよく;及びnは0〜2の整数を表す。
  38. 前記第2の光学異方性層が、塗布又は転写により、液晶組成物から形成された層であることを特徴とする請求項21〜34のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  39. 前記第2の光学異方性層が、塗布又は転写により形成された複屈折を持つポリマー層からなり、前記ポリマー層が、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドポリエステルイミド、及びポリアリールエーテルケトンからなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマー材料を含有することを特徴とする請求項21〜34のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  40. 偏光子と、請求項21〜39のいずれか1項に記載の光学フィルムとを少なくとも有する偏光板。
  41. 前記偏光子を保護する保護フィルムをさらに有し、該保護フィルムの透湿度が200g/m2・day以下であることを特徴とする請求項40に記載の偏光板。
  42. 請求項21〜39のいずれか1項に記載の光学フィルム及び/又は請求項40もしくは41に記載の偏光板を含む液晶表示装置。
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