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JP2008246034A - ボタン付けミシン - Google Patents

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JP2008246034A JP2007092775A JP2007092775A JP2008246034A JP 2008246034 A JP2008246034 A JP 2008246034A JP 2007092775 A JP2007092775 A JP 2007092775A JP 2007092775 A JP2007092775 A JP 2007092775A JP 2008246034 A JP2008246034 A JP 2008246034A
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Abstract

【課題】ボタン穴の間隔に応じたピッチ調整の幅を十分に確保しつつ、容易にコの字縫いとX字縫いとの切替が可能なボタン付けミシンを提供する。
【解決手段】ボタン付けミシンは、ボタン保持機構40と、縫い目形成機構と、左右移動用溝カム51とコの字縫い用溝カム54とX字縫い用溝カム55とを有するカム機構と、針数調節機構と、二つの揺動部材56,57と、送り調節機構58とを備え、揺動部材の円弧状ガイド56a,57aはその先端部が互いに向かい合い、当該円弧状ガイドは針数調節機構による停止前の最終針から停止後の第1針への針落ち位置を切り替えるための揺動方向が同一であり、ボタン付けミシンによるボタンの縫着は、コの字縫いとX字縫いとのいずれのカム部が選択された場合も、同一のボタン穴から針落ちが開始される。
【選択図】図6

Description

本発明は、被縫製物に対してボタンの縫着を行うボタン付けミシンに関する。
四つ穴のボタンの縫着を行うには、二種類の運針方法があり、その一方は図13(a)に示すコの字縫いであり、もう一方は図13(b)に示すX字縫いである。コの字縫いは、左右に隣接する二つの穴に交互に所定回数の針落ちを行った後に前後方向に一回ボタンを移動し、左右に隣接する残る二つの穴に交互に所定回数の針落ちを行って縫いを終了する。また、X字縫いは、対角に位置する二つの穴に交互に所定回数の針落ちを行った後に前後方向に一回ボタンを移動し、対角に位置する残る二つの穴に交互に所定回数の針落ちを行って縫いを終了する。
そして、上記コの字縫いとX字縫いとに対応した移動を切替可能にボタン保持機構に伝達する送り調節機構とを備えたボタン付けミシンが知られている(例えば特許文献1、特許文献2)。
図11は特許文献1に基づく従来技術の送り調節機構の構成の一部を示す上面図である。送り調節機構200は、コの字縫いにおける前後方向のボタンの動きを決定する溝カム203と、X字縫いにおける前後方向のボタンの動きを決定する溝カム204と、各溝カム203,204のそれぞれによって揺動を行うと共に円弧状ガイド208,209を有する揺動部材201,202と、溝カム203,204の回転軸となる軸205と、揺動部材201,202の円弧状ガイド208,209に係合する送り駒206と、送り駒206を揺動部材201,202の円弧状ガイド208,209に沿って移動させる送り調節レバー207とを備える。また、送り調節レバー207は図示しないボタン保持機構に連結されている。また、図示しないが、送り調節機構200は、左右方向のボタンの動きを決定する単一の溝カムと溝カムから左右方向の変位を入力されるカム従節とカム従節の左右方向の変位をボタン保持機構に伝達するリンク機構も備えている。
送り調節機構200において、溝カム203はコの字縫いに対応した揺動を揺動部材201に伝達し、溝カム204はX字縫いに対応した揺動を揺動部材202に伝達する。これに対して、調節レバー207を操作して、送り駒206を円弧状ガイド208又は209のいずれかに係合させ、コの字縫いとX字縫いの所望の縫いを行うように送り調節レバー207に前後移動を伝達させ、ボタン保持機構にボタン付けの縫製に応じた動作を行わせる。なお、ボタンの左右方向の動作はコの字縫いとX字縫いとで共通しており、このため、いずれの縫いを行う場合でも単一の溝カムにより左右方向の移動がボタン保持機構に伝達される。
図12は特許文献2に基づく従来技術の送り調節機能の構成の一部を示す上面図である。送り調節機構200Aは、コの字縫いにおける前後方向のボタンの動きを決定する溝カム203Aと、X字縫いにおける前後方向のボタンの動きを決定する溝カム204Aと、各溝カム203A,204Aのそれぞれによって揺動を行うと共に円弧状ガイド208A,209Aを有する揺動部材201A,202Aと、溝カム203A,204Aの回転軸となる軸205と、揺動部材201A,202Aの円弧状ガイド208A,209Aに係合する送り駒206と、送り駒206を揺動部材201A,202Aの円弧状ガイド208A,209Aに沿って移動させる送り調節レバー207とを備える。また、送り調節レバー207は図示しないボタン保持機構に連結されている。また、図示しないが、送り調節機構200Aは、左右方向のボタンの動きを決定する単一の溝カムと溝カムから左右方向の変位を入力されるカム従節とカム従節の左右方向の変位をボタン保持機構に伝達するリンク機構も備えている。送り調節機構200Aによってボタン保持機構に移動が伝達される仕組みは送り調節機構200における円弧状ガイド208,209を有する揺動部材201,202が送り調節機構200Aの円弧状ガイド208A,209Aを有する201A,202Aに置き換わることと、溝カム203,204が溝カム203A,204Aと置き換わることを除いて送り調節機構200と同様であるため詳細な説明は省略する。
特開平10−099571号公報 特開2007−029630号公報
ところで、上述したいずれのボタン付けミシンであっても、ボタン穴の幅に応じた縫い目ピッチの調整は、円弧状ガイドにおける送り駒の係合位置で決まる。当該係合位置が各揺動部材の揺動支点から離れるとピッチは大きくなり、近づくとピッチは小さくなる。よって、ボタン穴の間隔が大きなボタンに対応するためには当該係合位置の幅を大きく設ける必要があり、このために揺動部材の円弧状ガイドのストロークを十分に設ける必要がある。
しかしながら、図11に示す特許文献1に基づくボタン付けミシン200では、送り調節機構200の揺動部材201の円弧状ガイド208,209は隣接しているため、揺動部材201の円弧状ガイド208のストロークTを十分に確保することができなかった。一方、揺動部材201の円弧状ガイド208のストロークTを十分に確保すると、揺動部材201の円弧状ガイド208の延設に伴って揺動部材202の円弧状ガイド209のストロークが制限されることとなり、揺動部材201,202の双方とも十分な円弧状ガイド208,209のストロークを確保することができないといった問題点があった。
上述の問題点について、図12に示す特許文献2に基づくボタン付けミシン200Aでは、各溝カム203A,204Aを軸205の両端部に配接することにより、揺動部材201A,202Aの揺動支点間の距離を特許文献1に基づくボタン付けミシンに比べて大きく取ることができ、円弧状ガイド208A,209Aのストロークを十分に確保できている。
しかしながら、特許文献2に基づくボタン付けミシン200Aは他の問題が生じていた。図13は従来技術によるコの字縫い(図13(a))とX字縫い(図13(b))における針落ち順番を示す説明図である。図13(a)、(b)における符号1〜16はボタン付けにおける縫い針の針落ち順番を示す。図14は図12に示す送り機構200Aの円弧状ガイドの揺動方向を示す説明図である。これらに基づいてボタン付けミシン200Aの問題点を説明する。
送り調節機構200Aによって行われるボタン付けの針落ち順番は、図13(a)、(b)に示すようにその開始位置(第1針)及び終了位置(第16針)がコの字縫いとX字縫いとで異なっている。また、針落ち位置が上述のようになるようボタン保持機構を移動させる送り調節機構200Aの溝カム203A,204Aの溝は、一つのボタン付けが終了した後にすぐに次のボタン付けが行えるよう終了位置(第16針)の後は開始位置(第1針)の位置にボタン保持機構が移動するよう設けられている。このため、溝カム203A,204Aによって揺動する揺動部材201A,202Aが行う終了位置(第16針)から開始位置(第1針)への揺動は図14に示すようにそれぞれの円弧状ガイド208A,209Aが互いにすれ違うようになる。このとき、ボタン付けの縫着についてコの字縫いからX字縫いに切り替えたい場合、またその逆である場合、送り駒206を円弧状ガイド208A,209Aに沿って移動させることが可能なタイミングは揺動部材201A,202Aの円弧状ガイド208A,209Aが同一円周上に沿ったタイミングのみとなる。このため、ボタン付けの終了及び開始の際にわずかでも溝カム203A,204Aの停止位置がずれると揺動部材201A,202Aの円弧状ガイド208A,209Aは互いにすれ違うよう移動することで大幅にずれることとなり、送り駒206を渡すことができなくなる。よって、コの字縫いとX字縫いとを切り替えることができなくなる可能性があるといった問題点があった。
本発明は、上述の問題点に鑑み、ボタン穴の間隔に応じたピッチ調整の幅を十分に確保しつつ、容易にコの字縫いとX字縫いとの切替が可能なボタン付けミシンを提供する。
請求項1記載の発明は、布と共にボタンを保持するボタン保持機構と、縫い針を保持し、当該縫い針を所定の位置で上下動させて前記ボタンのボタン穴を挿通させることで縫い目を形成し前記布にボタンを縫着する縫い目形成機構と、前後送りカム及び左右送りカムのうち少なくとも一方のカムが同一軸上で回転する二つのカム部を有し、前記ボタン保持機構に連結されて前記ボタンを前記縫い針の上下動方向に直交した平面状で水平移動させるカム機構と、ボタン一つ分の縫着針数で前記縫い目形成機構及び前記カム機構の動作を停止させる停止手段と、前記ボタン保持機構に連結されて回動操作可能な送り調節機構と、前記送り調節機構の回動経路に沿うように円弧状に延設されると共に前記回動経路に沿って隣接してそれぞれ配置され前後送り調節機構に係合する円弧状ガイド部材を各々有し、前記二つのカム部にそれぞれ係合して互いに独立して揺動する二つの揺動部材と、を備え、前記二つのカム部は、各カム部が、ボタン付け縫いのコの字縫いとX字縫いとに対応して形成され、前記二つの揺動部材の円弧状ガイド部材はその先端揺動部分が互いに向き合うよう延設されると共に、前記停止手段による前記カム機構の停止時に同一の円弧状に位置するように形成され、前記送り調節機構の操作により、前記送り調節機構と前記二つの揺動部材の円弧状ガイド部材との係合位置の切替によって前記ボタン保持機構を前記二つのカム部のうちいずれかのカム部により駆動させるかを選択し、前記縫い目形成機構の駆動により、選択されたカム部に対応する縫い目を形成するボタン付け縫いを行うボタン付けミシンにおいて、前記前後送りカム及び左右送りカムは、前記送り調節機構の操作により前記コの字縫いとX字縫いとのいずれのカム部が選択された場合も、第一針と最終針のそれぞれについて同一のボタン穴に針落ちが行われるように各カム形状が形成されていることを特徴とする。
請求項1記載の発明は、四つ穴ボタンの各穴が正方形の各頂点に配置されている場合において、その二辺がミシンにおける前後方向に平行となり、他の二辺がミシンにおける左右方向となるように保持されることを前提とする。
そして、請求項1記載の発明によれば、ボタンの縫着における第1針で針落ちが行われる穴と最終針で針落ちが行われる穴とがそれぞれコの字縫いとX字縫いとで一致するので、ボタン縫着完了後のミシンの停止する直前までの二つの揺動部材の円弧状ガイドの各先端部の前後移動方向は一致することとなる。従って、各ガイドがその揺動方向について同一位置に並んだ状態とすることが可能となる。よって、一つのボタン付けの開始前後において各ガイドが同一の円周上に沿って並ぶ状態、即ち送り調節機構が一方のガイドから他方のガイドに渡るのに最も適した状態に対して各ガイドの停止位置がずれたとしても、従来のように互い違いにガイドの先端がずれることなく、同じ方向にずれるので、送り調節機構を渡すことが可能である。よって、縫いの切り替え操作の不良の発生を低減し、より効率的なボタン付けミシンが提供可能となる。
また、送り調節機構が一方のガイドから他方のガイドに渡る際に送り調節機構が他方のガイドに衝突することによって送り調節機構及び各ガイドに破損が生じる可能性を低減でき、より信頼性の高いボタン付けミシンが提供可能となる。
(実施形態の全体構成)
以下、本発明の実施形態たるボタン付けミシン100について、図1から図10に基づいて説明する。図1は本願発明の一実施形態であるボタン付けミシン100の側面図、図2は斜視図である。
ボタン付けミシン100は、ミシンの各構成を格納又は保持するフレーム20と、各構成の駆動源となる図示しないミシンモータと、ミシンモータからの出力トルクを各構成に伝達する図示しない主軸と、ミシンモータから主軸への動力伝達の接続と切断とを切り替えるクラッチ機構25と、縫い針17を上下動させる上下動機構35と縫い針17に協働して環縫いの縫い目を形成する回転式のルーパ19(図4参照)を有する図示しないルーパ機構とからなる縫い目形成機構と、被縫製物である布地に縫着する縫着物を保持するボタン保持機構40と、縫製時に縫い針と縫着物とを相対的に位置決めする移動機構50と、縫着物の縫着に要する針数を設定するための「停止手段」としての針数調節機構30とを備えている。
(フレーム)
フレーム20は、図1及び図2に示すように、全体的には略コ字状に形成されており、その下部を構成するミシンベッド部21と、ミシンベッド部21の一端部から立設された立胴部22と、立胴部22からミシンベッド部21と同じ方向に延出されたアーム部23とを備えている。
なお、以下の説明において、ミシンベッド部21の長手方向をY軸方向とし、Y軸方向に直交し縫い針17が上下動を行う方向をZ軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に直交する方向をX軸方向とする。
(各軸の連結)
ミシンベッド部21内にはX軸方向に沿って主軸が回転可能に配設され、ミシンモータからクラッチ機構25を介して回転駆動が行われるようになっている。
また、ミシンベッド部21内にはY軸方向に沿ってルーパ機構のルーパ軸が回転可能に配設され、主軸からネジ歯車を介して主軸と等速で回転駆動が行われる。
また、ミシンベッド部21内にはX軸方向に沿って針数調節機構30の減速軸31が回転可能に配設され、ルーパ軸の立胴部22側の端部に取り付けられたウォームギアにより所定の減速比で回転駆動力が付与される。
さらに、ミシンベッド部21内にはX軸方向に沿って針数調節機構30をクラッチ機構25に連動させる連動軸34が回転可能に配設されている。
(針数調節機構)
図3はボタン付けミシン100をX軸方向について図2の反対側から見た拡大斜視図であり、ミシンベッド部21に設けられた針数調節機構30のみを図示している。
これらの図に示すように、針数調節機構30は、ルーパ軸に取り付けられた図示しないウォームギアと、ウォームギアに噛合する平歯車を備えて主軸に対して所定の減速比で回転駆動を行う前述した減速軸31と、減速軸31の一端部に設けられた略円板状の板カム32と、クラッチ機構25との連動を図るための連動軸34と、基端部が連動軸34の一端部に固定支持されると共に揺動端部が板カム32の外周に係合する調節腕33と、調節腕33を板カム32の外周に向けて押圧する図示しないバネ33aとを備えている。
上記針数調節機構30のウォームギアと減速軸の平歯車とは、ピッチと歯数が異なる別のものと交換が可能であり、これにより減速軸の減速比を調節することが可能である。減速軸31は、縫着物を縫着するための針数に応じて適宜選択が行われる。例えば、縫着物が四つの糸通し穴を有するボタンであって、二つの穴ごとに8針の針数で縫着が行われる場合には合計16針の針数を要するので減速比は16となるウォームギアと平歯車が使用される。
つまり、減速軸31は主軸に対してギアの選択により設定された減速比で回転駆動を行うこととなる。
板カム32は、減速軸31に固定保持されて共に回転を行うと共に、その形状がほぼ円形であってその外周の一部に凹部32aが形成されている。
調節腕33は、連動軸34に固定支持されると共に当該連動軸34を中心に揺動を行う。さらに、調節腕33は、その揺動端部が板カム32の外周に押圧されており、回転する板カム32の凹部32aがさしかかった場合にのみ板カム32の中心側に向かって揺動を行う。
板カム32の凹部32aは、縫着物の縫着に要する一連の針数をカウントするために設けられており、このカウントに従って、運針の一時的な停止が実行される。減速軸31は主軸に対して16の減速比で回転を行うことから、16針で一回転し、16針ごとに運針を停止させる。よって、板カム32を備える針数調節機構30は「停止手段」として機能する。
なお、上述の実施例において前述した四つ穴のボタンを縫着する場合には板カム32が一周すると一つのボタンの縫着が完了するので、凹部32aは板カム32の外周の一箇所に設けられる。また、板カム32の凹部32aの数は減速軸31の回転量とボタン縫着に要する針数との関係に基づくものであり、上述の実施例に限定されないことは言うまでもない。つまり、減速軸31の減速比を一つのボタン縫着に要する針数の整数倍として、当該整数倍と同じ個数の凹部32aを均一間隔で設けても良い。
(クラッチ機構)
クラッチ機構25は、図1〜図3に示すように、設定された針数をカウントする針数調節機構30に連動されてミシンモータと主軸との駆動力の接続と切断とを切り替えるものであり、ミシンモータにより図示しないタイミングベルトを介して回転駆動される主動プーリ26と、主動プーリ26に対して接触と分離が可能な従動プーリ27と、先端部が上下に揺動することで従動プーリ27の接触と分離とを切り替える切替レバー28と、接触状態から分離状態に切り替えられて惰性回転する従動プーリ27を制止させるブレーキレバー29とを備えている。
上記切替レバー28とブレーキレバー29とは一体的に連動軸34に固定支持されており、連動軸34を中心に揺動を行う。
切替レバー28は、連動軸34を中心とする揺動によりその揺動端部が上位置と下位置とに切り替えられ、上位置(図示の状態)において主動プーリ26を従動プーリ27側に押圧すると共に、下位置において押圧状態を解除する。前述したように、連動軸34には調節腕33に連結され、調節腕33が板カム32の凹部32aと係合しているときには切替レバー28を下位置に切り替え、凹部32aから脱しているときには切替レバー28を上位置に切り替える。
つまり、調節腕33が凹部32aに係合しているときには主動プーリ26から従動プーリ27への動力伝達が切断され、調節腕33が凹部32aから脱しているときには動力伝達が行われるようになっている。
ブレーキレバー29は、連動軸34を中心とする揺動によりその揺動端部が上下動を行い、下降することにより従動プーリ27の外周面に摺接するように軸支されている。
従動プーリ27は主軸に固定支持されており、主動プーリ26から伝達される動力は従動プーリ27を介して主軸に伝達される。
また、従動プーリ27の外周の所定位置には嵌合部が形成されており、回転を行う従動プーリ27の嵌合部がブレーキレバー29の先端部と係合すると従動プーリ27に制動が作用する。
また、前述した切替レバー28及びブレーキレバー29は、人為的に操作が行われる起動ペダルにより各々の揺動端部が上方に向かって揺動操作される。つまり、ミシンモータの起動時において、針数調節機構30の調節腕33の先端部が板カム32の凹部32aに嵌ったままの状態では主軸に動力が伝達されないので、起動ペダルにより人為的に伝達を行う。
一旦、主軸への動力の伝達が行われると、主軸からルーパ軸を介して減速軸も回転を開始するので起動ペダルから足を離しても調節腕33は板カム32の凹部32aから脱した状態が維持される。
そして、主軸が設定された針数分の回転を行うと、再び板カム32の凹部32aに調節腕33が嵌合するので主動プーリ26から従動プーリ27への動力伝達が切断される。そして、従動プーリ27は惰性回転を行うが、その外周にある嵌合部がブレーキレバー29の先端部にさしかかると当該先端部と係合し、制動力が働き従動プーリ27及び主軸の惰性回転が停止される。
(縫い目形成機構)
縫い目形成機構の上下動機構35は、立胴部22内を上下に沿って配設されると共に偏心カムを介して主軸に下端部が連結された図示しないロッドと、縫い針17を保持すると共にアーム部23の先端部において上下動可能に支持された針棒36と、アーム部23の内部において揺動可能に支持された揺動腕37とを備えている。
ロッドの上端部は揺動腕37の一端部に連結され、揺動腕37の他端部はその揺動による上下動変位のみを伝達可能な状態で針棒36に連結されている。従って、偏心カムを介して主軸と同じ周期で上下動を行うロッドの上下動駆動力が揺動腕37を介して針棒36に伝達され、縫い針17は主軸の回転に同期して上下動を行う。
図4は縫い針17と針板18の下に設けられたルーパ19との関係を示す側面図である。なお図4において針板18は省略されている。
縫い目形成機構のルーパ機構は、前述したルーパ軸と、ミシンベッド部21の先端上面に設けられた針板18の下側でルーパ軸に支持されたルーパ19とを備えている。
ルーパ19は、針板18の下方まで下降した縫い針17から縫い糸を捕捉するための尖鋭なる剣先を有し、ルーパ軸により全回転の周回運動を行う剣先が上方に位置するときに縫い糸を捕捉し、下方に移動することで縫い糸のループを下方に引き延ばす。そして、再び剣先が上方に向かい、次に下降した縫い針17から縫い糸を捕捉したときに、前回の縫い糸のループを剣先から解放することで当該ループに次のループをくぐらせて、これを繰り返すことで単糸環縫いを行う。
(ボタン保持機構)
縫着物を保持するボタン保持機構40は、図1及び図2に示すように、ミシンベッド部21の上面においてY軸方向に沿って延在し、その先端部がX−Y平面に沿って自在に移動可能となるようにミシンベッド21の上で支持されている。
図5はボタン保持機構40の先端側を示す斜視図である。図5に示すように、ボタン保持機構40は、先端側に向かって延設された一対の挟持爪41,41と当該挟持爪41,41を互いに接近する方向に押圧する図示しないバネとを備える。ボタンBを縫着する場合には、ボタンBは各挟持爪41,41の間に挟まれた状態で保持が行われる。
なお、挟持爪41,41は、縫着物の種類(ボタンの大きさ等)に応じてその先端部の構造が異なるものが使用される。
なお、ボタン付けミシン100は、正方形の四つの頂点位置にそれぞれ穴が形成された四つ穴ボタンを縫着対象とし、ボタン保持機構40は、ボタン保持位置である各挟持爪41,41の間において、四つ穴ボタンの各穴の形成位置となる正方形の二辺がX軸方向に平行となり、他の二辺がY軸方向に平行となる向きでボタン保持を行うようになっている。
図6はボタン保持機構40とフレーム20内に設けられた移動機構50の構成を示す斜視図である。
図6に示すように、ボタン保持機構40の底板42には長穴42aが設けられ、長穴42aには駒43が摺動可能に係合している。駒43はフレーム20の所定位置に固定されている。
底板42は後述する移動機構50の前後移動機構によって伝達される前後移動によって長穴42aと駒43とが摺動し、Y軸方向にほぼ沿った方向に往復移動する。また、移動機構50の左右移動機構によって伝達される左右移動によって駒43の軸43aを回転軸として底板42の先端部42bはX軸方向にほぼ沿った方向に往復移動する。
つまり、所定位置を上下動する縫い針17の針落ち位置に対して縫着物を保持するボタン保持機構40がX−Y平面に沿って相対移動することで、ボタンBの縫着が行われる。
(移動機構)
移動機構50は、ボタン保持機構40のボタン保持位置をX軸方向にほぼ沿った方向に移動させる左右移動機構と、ボタン保持機構40のボタン保持位置をY軸方向にほぼ沿った方向に移動させる前後移動機構とを備える。
(左右移動機構)
左右移動機構は、図6に示すように、X軸方向にほぼ沿った方向のボタン保持機構40の移動についてボタン付けの縫い目形成に応じたカム溝を有する「カム機構」としての左右移動用溝カム51と、左右移動用溝カム51のカム溝の形状に従い揺動する揺動腕52と、揺動腕52とボタン保持機構40の底板42とを連結することでボタン保持機構40にX軸方向にほぼ沿った方向の移動を伝達する左右移動伝達部材53とを備える。
揺動腕52は、その下部にコロが設けられており、当該コロは送りカムコロ軸52aによって軸支されている。また、揺動腕52のコロは左右移動用溝カム51のカム溝と係合しており、当該コロがカム溝の形状に従いX軸方向にほぼ沿った方向に往復移動することで、揺動腕52の先端部はX軸方向にほぼ沿った方向に揺動する。また、左右移動伝達部材53はその一端が揺動腕52の先端部と連結され、他端がボタン保持機構40の底板42と連結されている。これによってボタン保持機構40の駒43の軸43aを回転軸としてボタン保持機構40は左右に揺動する。
また、左右移動伝達部材53の他端とボタン保持機構40の底板42との連結位置は変更調節可能であり、これにより左右の揺動ストロークが調節可能となっている。つまり、駒43の軸43aから離れた位置で底板42と左右移動伝達部材53の他端とが連結すると左右移動ストロークは小さくなり、駒43の軸43aに近い位置で底板42と左右移動伝達部材53の他端とが連結すると左右移動ストロークは大きくなる。
なお、左右移動用溝カム51に設けられた溝の形状とボタン保持機構40の移動との関係については後述する。
(前後移動機構)
前後移動機構は、図6に示すように、ボタン付けにおけるコの字縫いとX字縫いに対応した「カム機構」としての二つの前後移動用溝カム54,55と、二つの前後移動用溝カム54,55に設けられたカム溝の形状に従いミシンベッド部21に軸支された揺動支点軸56d、57dを中心に揺動する二つの揺動部材56、57と、コの字縫いとX字縫いとを切替可能に選択する送り調節機構58と、ボタン保持機構40をY軸方向にほぼ沿った方向に移動可能に支持する二つの前後移動支持部材59a,59bとを備える。また、二つの揺動部材56,57はそれぞれ円弧状ガイド56a,57aを有し、円弧状ガイド56a,57aの先端部は互いに向き合っている。
二つの前後移動用溝カムは、コの字縫いの縫い目形成に応じたカム溝を有するコの字縫い用溝カム54と、X字縫いの縫い目形成に応じたカム溝を有するX字縫い用溝カム55とからなる。二つの前後移動用溝カム54,55及び前述した左右移動用溝カム51はいずれも同心で減速軸31に固定支持されている円板状のカムであり、これらはいずれもその周面に従節であるコロをX軸方向について誘導するための溝が形成されている。そして、これらの溝カム51,54,55は同軸上に固定支持されていることで同期が図られている。つまり、縫製開始の第一針目から最終針までの各針落ち位置(ボタンの各穴)への移動が各針ごとに同時に行われるように溝が形成されている。
二つの揺動部材56,57はそれぞれの下部にコロ56c,57cが設けられており(図9参照)、コロ56c,57cは送りカムコロ軸56b,57bによって軸支されている。揺動部材56のコロ56cはコの字縫い用溝カム54のカム溝と係合しており、減速軸31が回転することでコの字縫い用溝カム54が回転し、揺動部材56のコロ56cがコの字縫い用溝カム54のカム溝に従って揺動すると、揺動部材56の円弧状ガイド56aの揺動端部はY軸方向にほぼ沿った方向に揺動する。また、揺動部材57のコロ57cはコの字縫い用溝カム55のカム溝と係合しており、減速軸31が回転することでX字縫い用溝カム55が回転し、揺動部材57のコロ57cがX字縫い用溝カム55のカム溝に従って揺動すると、揺動部材57の円弧状ガイド57aの揺動端部はY軸方向にほぼ沿った方向に揺動する。
送り調節機構58は円弧状ガイド56a,57aにそって移動可能に係合する送り駒58aと、駒を回動可能に支持する送り調節レバー58bとを備える。また、送り調節レバー58bの回動支点は二つの前後移動支持部材59a,59bの一端と連結している。また、送り調節レバー58bは前後移動支持部材59bを介してボタン保持機構40と連結されている。これによって、送り調節機構58はベッド部21の所定位置に固定された前後移動支持部材59aの他端を揺動支点とし、円弧状ガイド56a,57aの一方から伝達されたY軸方向にほぼ沿った方向の揺動運動をボタン保持機構40に伝達する。
また、送り調節レバー58bを回動させることによって、送り駒58aを円弧状ガイド56a,57aに沿って回動させることが可能である。このとき、送り駒58aと各揺動部材56,57のそれぞれの揺動支点軸56d,57dとの距離が変化する。これによって、各揺動部材56,57の円弧状ガイド56a,57aから送り調節機構58を介してボタン保持機構40にもたらされる前後移動のストロークが変化する。送り駒58aが円弧状ガイド56a,57aのいずれか一方と、その揺動支点軸56d,57dに近い位置で係合している場合は当該円弧状ガイドを有する揺動部材からもたらされる前後移動ストロークは小さい。また、送り駒58aが円弧状ガイド56a,57aのいずれか一方と、その揺動支点から離れた位置で係合している場合は当該円弧状ガイドを有する揺動部材からもたらされる前後移動ストロークは大きい。つまり、送り調節レバー58bを回動させることで送り駒58aと円弧状ガイド56a,57aのいずれか一方とが係合する位置を調節することで前後移動ストロークを調節することが可能となる。
さらに、送り調節レバー58bを回動させることで、送り駒58aが係合する円弧状ガイド56a,57aを切替可能である。例えば、コの字縫いを行うために送り駒58aと円弧状ガイド56aとを係合させていた状態から、X字縫いに切り替えるために送り調節レバー58bを操作して送り駒58aを円弧状ガイド56aから円弧状ガイド57aに渡すことが可能である。また、その逆も当然可能である。これによって送り駒58aは円弧状ガイド56a,57aのどちらと係合するかを切替可能となる。即ち、送り調節レバー58bを操作することで、コの字縫いとX字縫いとのいずれか一方に対応したボタン保持機構40の移動パターンを選択可能となる。
(コの字縫いとX字縫いの針落ち位置)
次に、コの字縫いとX字縫いのボタンBに対する針落ち位置と左右移動用溝カム51、コの字縫い用溝カム54及びX字縫い用溝カム55の溝形状との関係について詳細に説明する。
図7(a)はボタンBに対するコの字縫い、図7(b)はX字縫いの針落ち順番を示す説明図である。なお、図7における符号1〜16はボタン付けにおける縫い針の針落ち順番を示す。図8は図7の針落ち順番に対応した左右移動用溝カム51、コの字縫い用溝カム54及びX字縫い用溝カム55の溝形状を模式的に示す説明図である。図8(a)は左右移動用溝カム51の溝形状を、図8(b)はコの字縫い用溝カム54の溝形状を、図8(c)はX字縫い用溝カム55の溝形状を示す。なお、図8(b)及び図8(c)に示すように、コの字縫い用溝カム54及びX字縫い用溝カム55のそれぞれの形状は、各溝カム54,55によって揺動する各円弧状ガイド56a,57aの延出方向が逆であるため、ボタン保持機構40の前後いずれかの移動方向に対してそれぞれ逆方向に形成されている。
なお、ボタンBの針落ち位置は、ボタン保持機構40の移動方向によって決定する。つまり、ボタンBを保持したボタン保持機構40が移動機構50によって揺動することでボタンBが縫い針の針落ち位置に対して相対移動することによってボタンBの縫着が行われる。
まず、図7に示すボタンBの左右の針落ち位置と図8(a)に示す左右移動用溝カム51の溝形状との対応について説明する。
図7(a),(b)を比較すると分かるように、ボタン付けにおける針落ち位置の左右移動は常に一定である。すなわち、第1,3,5,7,8,9,11,13,15,16針は常に図7(a)、(b)の右側に針落ちが行われ、第2,4,6,10,12,14針は常に左側に針落ちが行われる。このとき、針落ち位置の左右移動は図8(a)に示す左右移動機構の左右移動用溝カム51の溝形状に従う。
次に、図7に示すボタンBの奥及び手前の針落ち位置と図8(b)、(c)に示す前後移動用溝カムの溝形状との対応について説明する。
針落ち位置の前後移動はコの字縫いとX字縫いとで異なる。コの字縫いにおいては、第1〜8針が図7(a),(b)の後側で行われ、第9〜16針が前側で行われる。一方、X字縫いにおいては第1,3,5,7,8,10,12,14針が図7(a),(b)の後側で行われ、第2,4,6,9,11,13,15,16針が前側で行われる。このとき、ボタン付けにおける縫着パターンがコの字縫いとなるかX字縫いとなるかは送り調節機構58の送り調節レバー58bによって送り駒58aが円弧状ガイド56a,57aのいずれと係合するかによって決定される。即ち、送り駒58aが円弧状ガイド56aと係合している場合は図8(b)に示すコの字縫い用溝カム54の溝形状に従った移動となり、送り駒58aが円弧状ガイド57aと係合している場合は図8(c)に示すX字縫い用溝カム55の溝形状に従った移動となる。なお、図8(b)及び図8(c)に示すように、コの字縫い用溝カム54及びX字縫い用溝カム55のそれぞれの形状は、各溝カム54,55によって揺動する各円弧状ガイド56a,57aの延出方向が逆であるため、ボタン保持機構40の前後いずれかの移動方向に対してそれぞれ逆方向に形成されている。
このとき、コの字縫いとX字縫いのいずれの場合であっても、第1針、すなわち開始時の針落ち位置は右後側である。また、第16針、すなわち終了時の針落ち位置は右前側である。つまり、ボタン付けにおける針落ち位置の開始位置及び終了位置はコの字縫いとX字縫いとで同一である。
ここで、ボタン保持機構40の左右移動は常に一定であるのでコの字縫いとX字縫いのいずれの場合であっても変化しない。即ち、ボタン付けにおける針落ち位置の開始位置及び終了位置がコの字縫いとX字縫いとで同一であることは、前後移動についてコの字縫い用溝カム54の溝形状とX字縫い用溝カム55の溝形状によって行われるボタン保持機構40の縫製終了時から縫製開始時までの移動方向が同一であることを示す。
さらに、前述したように、減速軸31はボタンBの縫着に要する針数(16針)分の運針が行われる間に一周するように動力伝達が行われるため、二つの前後移動用溝カム及び左右移動用溝カム51は、縫着に要する全針数分の移動を行わせるための溝が形成されている。即ち、一つのボタンを縫着した後に次のボタンを縫着する際には各溝カムについて第16針のための移動を行う溝形状から第1針のための移動を行う溝形状へと遷移する。
そして、針数調節機構30は、第16針の針落ち後、次の縫製の第1針の針落ち以前にミシンモータからの動力伝達を切断する。
よって、ボタン付けにおける針落ち位置の開始位置及び終了位置がコの字縫いとX字縫いとで同一であることは、コの字縫い用溝カム54及びX字縫い用溝カム55がそれぞれ有する溝形状によって第16針から第1針へと遷移する際に各揺動部材に伝達される揺動方向が同一であることを示す。
(ボタン付け開始前後の円弧状ガイドの揺動方向)
次に、上述のボタンBの縫着開始前後における円弧状ガイド56a,57aの揺動方向と送り調節機構58との関係について詳細に説明する。
図9はボタンBの縫着開始前後におけるコの字移動用溝カム54及びX字移動用溝カム55の溝形状と各揺動部材のコロ56c,57cとの位置関係を示す説明図である。図10はボタンBの縫着開始前後における各揺動部材及び送り駒58aの位置関係を示す説明図である。図10(a)は最終針(第16針)の針落ち時の当該位置関係、図10(b)はボタン付け開始前(終了時)の当該位置関係、図10(c)はボタン付け開始時(第1針)の針落ち時の当該位置関係を示す。
上述のボタン付けが終了し、かつ減速軸31が理想的な停止位置で停止した場合、コの字縫い用溝カム54及びX字縫い用溝カム55のカム溝とそれぞれのカム溝に係合する揺動部材56,57のコロ56c,57cとの位置関係は図9に示す位置関係にある。このときコロ56c,57cの中心はボタン保持機構40を最終針の針落ちから最初の針落ちへ前後移動させる切替途中のちょうど中間位置である図9の(b)の線上にある。このとき、揺動部材56,57の位置関係は図10(b)に示すようになっており、揺動部材56,57の円弧状ガイド56a,57aは同一円周上に位置するとともに、送り調節レバー58bに支持される駒58aの回動軸跡はこの時の円弧状ガイド56a,57aに沿って設定されている。よって、送り調節機構58の送り駒58aが送り調節レバー58bによって回動することで円弧状ガイド56a,57aの一方から他方へ渡ることが容易となる。つまり、一つのボタン付けにおける縫着針数が終了すると停止手段30によって自動的に減速軸31に伝達される回転力が途切れることによってコの字縫い用溝カム54及びX字縫い用溝カム55の回転が止まり、揺動部材56,57の位置関係が図10(b)のようになることによって送り調節機構58の操作が容易となる。
また、ボタン付けにおける針落ちの最終位置(第16針)においてコロ56c,57cの中心は図9の(a)の線上にあり、このときの揺動部材56,57の位置関係は図10(a)に示すようになる。また、上述のボタン付けが終了した後の次のボタン付けにおける針落ちの開始位置(第1針)においてコロ56c,57cの中心は図9の(c)の線上にあり、このときの揺動部材56,57の位置関係は図10(c)に示すようになる。つまり、一つのボタン付けが完了した後に次のボタン付けを開始するまでに行われる揺動部材56,57の揺動方向は、Y軸方向にほぼ沿った方向について同一である。このとき、揺動部材56,57の円弧状ガイド56a,57aの先端部は常にX軸方向にほぼ沿う方向の同一線上にある。よって、図10(a)、(c)の位置に揺動部材56,57が位置する場合であっても容易に送り駒58aは円弧状ガイド56a,57aの一方から他方へと渡ることが可能となる。
つまり、本来図9の(b)の線上に中心が来るはずのコロ56c,57cが何らかの理由により減速時の停止位置がずれてしまいその手前位置である図9の(a)あるいは図9の(c)の線上の位置、またその間のいずれかの箇所に位置してしまったとしても、揺動部材56,57の円弧状ガイド56a,57aの先端部は常にX軸方向にほぼ沿う方向の同一線上にある。これによって、ボタン付け終了後のコの字縫い用溝カム54及びX字縫い用溝カム55の停止位置がずれてしまった場合であっても、送り調節機構58によるボタン保持機構40の前後移動の切替が容易に行える。
(ボタン付けミシンの動作説明)
上記構成からなるボタン付けミシン100の動作説明を行う。まず、縫着物としてボタンBの縫着を行う場合には、ボタン保持機構40をミシンベッド部21の上面に装着し、その一対の挟持爪41の間にボタンを挟持させ、ボタン保持機構40と針板12の間には縫着される布地Cをセットする。このとき、送り調節機構58の送り調節レバー58bを操作し、コの字縫いを行うかX字縫いを行うかを決定する。例えばコの字縫いを行う場合は送り駒58aが円弧状ガイド56aと係合するよう送り調節レバー58bを操作する。また、ボタンBのボタン穴のストロークに応じて、左右移動伝達部材53と底板42との連結位置及び送り調節機構58の位置調節を行い、ボタンBのボタン穴に最適なボタン保持機構40の左右移動及び前後移動ストロークを設定する。
次いで、ミシンモータの駆動を開始し、起動ペダルを踏むと、調節腕33が板カム32の凹部32aから脱し、これに伴う連動軸34の回動により、切り替えレバー28とブレーキレバー29とが上方に回動して主軸、ルーパ軸、減速軸31に回転動力が伝達される。従って、ボタンBが所定の移動を行って運針が行われ、ルーパ13により縫い目が順番に形成される。
その後、調節腕33が板カム32の凹部32aに嵌合し、これに伴う連動軸34の回動により、切り替えレバー28とブレーキレバー29とが下方に回動して主軸、ルーパ軸、減速軸31に回転動力が切断される。そして、惰性回転する従動プーリ27が嵌合部まで回転すると、ブレーキレバー29により回転が制止される。
一方、連動軸34の回動により、図示しない周知の糸切り機構の動メスに往復回動動作の駆動力が主軸から伝達され、惰性回転する従動プーリ27が制止されるまでの間に、最終針のループの一端が切断され、一つのボタンの縫着作業が終了する。次のボタンの縫着作業を行う場合には、ボタンBが縫着された布地Cをミシン100から外し、次に縫着を行うボタンと布地とをセットする。
このとき、ボタンの種類が変わる等の理由によりボタン穴のストロークが変わる場合には、上述のように左右移動伝達部材53と底板42との連結位置を調節してボタン保持機構40の左右移動ストロークを調節すると共に、送り調節機構58を操作してボタン保持機構40の前後移動ストロークを調節する。これによって、ボタン穴のストロークに最適なボタン保持機構40の移動量を設定可能となる。
さらに、コの字縫いとX字縫いとを切り替える場合には、送り調節機構58を操作し、送り駒58aを円弧状ガイド56a又は57aのいずれか一方から他方へと渡すよう回動させる。例えばコの字縫いからX字縫いへと切り替える場合は、送り駒58aを円弧状ガイド56aから円弧状ガイド57aへと渡すように送り調節レバー58bを操作する。
その後、再び起動ペダルを踏むことでボタンの縫着が上述と同様の手順で行われる。
(上述の実施の形態によるボタン付けミシンの作用効果)
上述の実施の形態によれば、ボタンの縫着における針落ちの第1針及び最終針がコの字縫いあるいはX字縫いのいずれであっても同じボタン穴となるので、一つのボタンを縫着完了後にミシン100が停止する直前までの二つの揺動部材56,57の円弧状ガイド56a、57aの揺動端部は同じ方向に移動することとなり、各円弧状ガイド56a、57aが揺動方向について同一位置に並んだ状態とすることが可能となる。よって、一つのボタン付けの開始前後において各円弧状ガイド56a、57aが同一の円周上に沿って並ぶ状態、即ち送り調節機構58が一方の円弧状ガイド56a又は57aから他方の円弧状ガイド57a又は56aに渡るのに最も適した状態に対して各円弧状ガイド56a、57aの停止位置がずれたとしても、従来のように互い違いに円弧状ガイド56a、57aの先端がずれることなく、同じ方向にずれるので、円弧状ガイド56a,57aの間のずれを少なくすることができ、より容易に送り調節機構58を渡すことが可能である。よって、切り替え作業を常に円滑に行い得るより効率的なボタン付けミシンが提供可能となる。
また、送り調節機構58が一方の円弧状ガイド56a又は57aから他方の円弧状ガイド56a又は57aに渡る際に送り駒58aが他方の円弧状ガイド56a又は57aに衝突することによって送り調節機構58及び各円弧状ガイド56a,57aに破損が生じる可能性を低減でき、より信頼性の高いボタン付けミシンが提供可能となる。
(その他)
なお、コの字縫い用溝カム54とX字縫い用溝カム55の設けられる位置は互いに入れ替わっても良い。この場合、各溝カム54,55に設けられる溝形状は、各溝カム54,55の配接位置と各溝カム54,55によって揺動する揺動部材56,57によってボタン保持機構40にもたらされる前後移動との関係に基づいてそれぞれの溝カムによってコの字縫いとX字縫いとが正しく行えるよう形成される。
また、上述の実施の形態では左右移動用溝カムを一つ設け、前後移動用溝カムがコの字縫い用とX字縫い用とに対応して二つ設けられているが、左右移動用溝カムをコの字縫い用とX字縫い用とに対応して二つ設け、前後移動用溝カムを一つにしても構わない。そして、その場合、前後移動用溝カムと左右移動用溝カムの配置が入れ替わり、揺動部材56,57は各左右移動用溝カムと係合し、各揺動部材56,57の円弧状ガイド56a,57aと係合する送り調節機構58は、Y軸方向の変位をX軸方向の変位に変換するように例えばベルクランクなどを介してボタン保持機構40の底板42と連結される。また、前後移動用溝カムは、揺動腕52と係合し、当該揺動腕52のと連結された移動伝達部材53は、X軸方向の変位をY軸方向の変位に変換するように例えばベルクランクなどを介してボタン保持機構40の底板42と連結される。
なお、その場合、各縫いの針落ちは、図7(a),(b)に示す状態に対していずれも時計回り又はいずれも反時計回りに90°回転させた状態での順番で行われることとなり、各カムの溝はその縫いの順番に対応するように形成される。
また、実施の形態は本願発明の特徴を逸脱しない範囲で他の実施の形態をとっても構わない。例えば、溝カムを板カムに置き換えても良い。
本願発明の一実施形態であるボタン付けミシン100の側面図である。 本願発明の一実施形態であるボタン付けミシン100の斜視図である。 ボタン付けミシン100をX軸方向について図2の反対側から見た拡大斜視図である。 縫い針17と針板18の下に設けられたルーパ19との関係を示す側面図である。 ボタン保持機構40の先端側を示す斜視図である。 ボタン保持機構40とフレーム20内に設けられた移動機構50の構成を示す斜視図である。 ボタンBに対するコの字縫いとX字縫いの針落ち順番を示す説明図である。図7(a)はボタンBに対するコの字縫い、図7(b)はX字縫いの針落ち順番を示す。 図7の針落ち順番に対応した左右移動用溝カム51、コの字縫い用溝カム54及びX字縫い用溝カム55の溝形状を模式的に示す説明図である。図8(a)は左右移動用溝カム51の溝形状を、図8(b)はコの字縫い用溝カム54の溝形状を、図8(c)はX字縫い用溝カム55の溝形状を示す。 ボタンBの縫着開始前後におけるコの字移動用溝カム54及びX字移動用溝カム55の溝形状と各揺動部材のコロ56c,57cとの位置関係を示す説明図である。 ボタンBの縫着開始前後における各揺動部材及び送り駒58aの位置関係を示す説明図である。図10(a)は最終針(第16針)の針落ち時の当該位置関係、図10(b)はボタン付け開始前(終了時)の当該位置関係、図10(c)はボタン付け開始時(第1針)の針落ち時の当該位置関係を示す。 特許文献1に基づく従来技術の送り調節機構の構成の一部を示す上面図である。 特許文献2に基づく従来技術の送り調節機能の構成の一部を示す上面図である。 従来技術によるコの字縫いとX字縫いの針落ち順番を示す説明図である。図13(a)はボタンBに対するコの字縫い、図13(b)はX字縫いの針落ち順番を示す。 図12に示す送り機構200Aの円弧状ガイド208A,209Aの揺動方向を示す説明図である。
符号の説明
17 縫い針
19 ルーパ
25 クラッチ機構
30 針数調節機構
31 減速軸
32 板カム
33 調節腕
34 連動軸
35 縫い目形成機構
40 ボタン保持機構
41 挟持爪
42 底板
43 駒
50 移動手段
51 左右移動用溝カム
52 揺動腕
54 コの字縫い用溝カム
55 X字縫い用溝カム
56,57 揺動部材
56a,57a 円弧状ガイド

Claims (1)

  1. 布と共にボタンを保持するボタン保持機構と、
    縫い針を保持し、当該縫い針を所定の位置で上下動させて前記ボタンのボタン穴を挿通させることで縫い目を形成し前記布にボタンを縫着する縫い目形成機構と、
    前後送りカム及び左右送りカムのうち少なくとも一方のカムが同一軸上で回転する二つのカム部を有し、前記ボタン保持機構に連結されて前記ボタンを前記縫い針の上下動方向に直交した平面上で水平移動させるカム機構と、
    ボタン一つ分の縫着針数で前記縫い目形成機構及び前記カム機構の動作を停止させる停止手段と、
    前記ボタン保持機構に連結されて回動操作可能な送り調節機構と、
    前記送り調節機構の回動経路に沿うように円弧状に延設されると共に前記回動経路に沿って隣接してそれぞれ配置され前記送り調節機構に係合する円弧状ガイド部材を各々有し、前記二つのカム部にそれぞれ係合して互いに独立して揺動する二つの揺動部材と、を備え、
    前記二つのカム部は、各カム部が、ボタン付け縫いのコの字縫いとX字縫いとに対応して形成され、
    前記二つの揺動部材の円弧状ガイド部材はその先端揺動部分が互いに向き合うよう延設されると共に、前記停止手段による前記カム機構の停止時に同一の円弧状に位置するように形成され、
    前記送り調節機構の操作により、前記送り調節機構と前記二つの揺動部材の円弧状ガイド部材との係合位置の切替によって前記ボタン保持機構を前記二つのカム部のうちいずれかのカム部により駆動させるかを選択し、前記縫い目形成機構の駆動により、選択されたカム部に対応する縫い目を形成するボタン付け縫いを行うボタン付けミシンにおいて、
    前記前後送りカム及び左右送りカムは、前記送り調節機構の操作により前記コの字縫いとX字縫いとのいずれのカム部が選択された場合も、第一針と最終針のそれぞれについて同一のボタン穴に針落ちが行われるように各カム形状が形成されていることを特徴とするボタン付けミシン。
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