JP2008120146A - サイドエアバッグ装置を備える車両用シート - Google Patents

Abstract

【課題】座者の頭部方向に向けて膨張するバッグ部分と、座者の腰部方向に向けて膨張するバッグ部分とから双子山状に膨張展開するエアバッグを備え、該エアバックに対して有効な縫い目の破断促進手段となる力布を備える。
【解決手段】エアバッグ１ａをバックパッド５の開口部５ａより膨張展開可能に配置し、エアバッグ装置１の配置側を被包するトリムカバー２の縫い目２ｃからエアバッグ１ａの膨張展開に伴うトリムカバー２の破断部３を形成すると共に、片端末をトリムカバー２の破断部３となる縫い目で共縫いし、他端末をバックフレームに巻込み止着する力布６を縫い目の破断促進手段として備えるもので、エアバッグ１の各バック部分１０，１１が膨張する方向に合わせて二股状に分かれる力布６をバッグケースの蓋上に配設した。
【選択図】図４

Description

本発明は、エアバッグをバックケースに収容したエアバッグ装置をシートバックフレームの片側部に取付け配置し、エアバッグ装置の配置側を被包するトリムカバーの前面側と側面側との端末を縫い合わせた縫い目からエアバッグの膨張展開に伴うトリムカバーの破断部を形成すると共に、縫い目の破断促進手段として力布をバッグケースの蓋上に配設するサイドエアバッグ装置を備える車両用シートに関するものである。

従来、エアバッグ装置の配置側を被包するトリムカバーの前面側と側面側との端末を縫い合わせた縫い目からエアバッグの膨張展開に伴うトリムカバーの破断部を形成すると共に、片端末をトリムカバーの破断部となる縫い目で共縫いし、他端末をバックフレームに巻込み止着する力布を縫い目の破断促進手段としてバッグケースの蓋上に配設するものが知られている（特許文献１）。

通常、エアバッグとしては座者の頭部から腰部に亘る風船状の膨張展開形状を呈するものが備え付けられている。また、力布としては風船状に膨張展開するエアバッグの略中央に合わせて片端末をトリムカバーの破断部となる縫い目で共縫いし、エアバッグの略中央に相当する部分からトリムカバーの破断部となる縫い目を切れ出させるものが備え付けられている。

座者の頭部から腰部に亘る風船状の膨張展開形状を呈するエアバッグに代え、座者の頭部方向に向けて膨張するバッグ部分と、座者の腰部方向に向けて膨張するバッグ部分とから双子山状に膨張展開するエアバッグを備え付けることが図られている。

その双子山状の膨張展開形状を呈するエアバッグに対しては、上述した片端末をエアバッグの略中央に合わせてトリムカバーの破断部となる縫い目で共縫いする力布を備えると、片端末の共縫いされた縫い目部分にはエアバッグの膨張圧が遅く作用するところから適さない。
特開平９−１２３８６０号公報

本発明は、座者の頭部方向に向けて膨張するバッグ部分と、座者の腰部方向に向けて膨張するバッグ部分とから双子山状に膨張展開するエアバッグを備えると共に、該エアバックに対して有効な縫い目の破断促進手段となる力布を備えることを目的とする。

本願の請求項１に係る発明は、エアバッグの各バック部分が膨張する方向に合わせて二股状に分かれる力布をバッグケースの蓋上に配設したことを特徴とする。

本願の請求項２に係る発明は、エアバッグの各バック部分が膨張する方向に合わせて略Ｖ字状の二股に分かれる帯状の力布をバッグケースの蓋上に配設したことを特徴とする。

本願の請求項３に係る発明は、エアバッグの各バック部分が膨張する方向に合わせて破断部となる縫い目側の略中央をエアバッグケースの蓋縁近くまで切り欠いた二股の力布をバッグケースの蓋上に配設したことを特徴とする。

本願の請求項１に係るサイドエアバッグ装置を備える車両用シートによると、エアバッグの各バック部分が膨張する方向に合わせて二股状に分かれる力布をバッグケースの蓋上に配設することから、エアバッグの各バッグ部分が座者の頭部方向に向け、また、座者の腰部方向に向けて膨張するに、バッグケースの蓋が開放動きするに伴って各バック部分の膨張圧が力布の各端末を共縫いした縫い目の局部に集中するため、トリムカバーの破断部となる縫い目が各局部より速やかに切れ出し、エアバッグの各バッグ部分を座者の頭部方向に向け、また、座者の腰部方向に向けて効果的に膨張展開させられる。

本願の請求項２に係るサイドエアバッグ装置を備える車両用シートによると、いずれも帯状の力布を略Ｖ字状の二股に分けてバッグケースの蓋上に配設することから、エアバッグを膨張させるインフレータの出力を低く設定しても、バッグケースの蓋上に被る力布の面積が狭幅であるため、バッグケースの蓋が開放動きするに応じた抵抗を小さく抑えられ、各力布を蓋の開放動きで確実に引っ張れることから、各バック部分の膨張圧をトリムカバーの破断部となる縫い目の局部に確実に集中させられる。

本願の請求項３に係るサイドエアバッグ装置を備える車両用シートによると、破断部となる縫い目側の略中央をバッグケースの蓋縁近くまで切り欠いて二股状に分かれる力布をバッグケースの蓋上に配設することから、バッグケースの蓋上に被る力布部分が面積的に一枚ものであるため、バッグケースの蓋が開放する動きを該面積の同一面で受け、力布の二股状に分かれる端末側を同時に引っ張れることから、力布の各端末を共縫いした縫い目の局部を略同時に切れ出させられる。

添付図面を参照して説明すると、図１はエアバッグ装置１を車の前方側から見てシートバックＢの右側部縦方向に装備するアシスタントシートを示す。このシートバックＢにおいては、エアバッグの膨張展開に伴うトリムカバー２の破断部３がエアバッグ装置１の装備側を被包する前面カバー部（土手用のカバー部分）２ａと側面カバー部２ｂとの端末間を縫い合わせた縫い目２ｃで形成されている。

エアバッグ装置１は、膨張ガス発生用のインフレータ（図示せず），エアバッグを含むエアバッグモジュール，車体側に装備される衝撃センサーを備えて構成されている。そのエアバッグ装置１としては、図２で示すようにエアバッグ１ａ，インフレータをケース本体１ｂの内部に収納し、エアバッグ１ａの膨張圧で押圧開放可能なケース蓋１ｃをケース本体１ｂにヒンジ連結したケース収納型のものが装備されている。

エアバッグ装置１は、バッグ本体１ｂをバックフレーム４のサイドプレート４ａに取り付けると共に、バッグ本体１ｂのケース蓋１ｃをバックパッド５の片側部に設けた開口部５ａから外部に臨ませてケース本体１ｂを開口部５ａの内部に収容配置し、ケース蓋１ｃの開放に伴ってエアバッグ１ａを外方に膨張展開可能に組み付けられている。

エアバック１ａとしては、後述するように座者の頭部方向に向けて膨張するバッグ部分と、座者の腰部方向に向けて膨張するバッグ部分とから双子山状に膨張展開するものが備え付けられている。

そのエアバッグ１ａに対しては、略Ｖ字状の二股に分かれる帯状の力布６がトリムカバー２の内側に備え付けられている。この力布６は、ポリエステル不織布や綿布等のエアバッグ１ａの膨張圧を受けても伸びの少ない材質のもので形成されている。その力布６としては、Ｖ字の付け根を一枚ものに形成し或いは帯状布を二枚組み合わせたものを用いるようにできる。

その力布６は、各帯状の片端末をトリムカバー２の破断部３となる縫い目２ｃで共縫いし、付け根側の他端末をバックパッド５の背面側から側面カバー部２ｂの端末と共に吊込みワイヤ４ｂでバックフレーム４のリテーナ４ｃに掛け止めて巻込み止着することから、図３で示すように各帯状部分６ａ，６ｂがケース蓋１ｃの蓋上で上下斜めに亘るよう配設されている。

このように構成するサイドエアバッグ装置を備える車両用シートでは、車体側に装備された衝撃センサーが衝突に伴って作動し、衝撃センサーから出力信号がインフレータに送信されると、インフレータより膨張ガスが発生することから、エアバッグ１ａがインフレータの出力圧を受けて膨張展開する。

エアバッグ１ａが膨張するに際し、最終的には、図４で示すように双子山状を呈する各バッグ部分１０，１１の先端側から膨張を開始し、ケース蓋１ｃが開放動きするに伴って各バック部分１０，１１の膨張圧が力布６の各帯状端末を共縫いした縫い目の局部に集中するため、トリムカバー２の破断部３となる縫い目２ｃの各局部より速やかに切れ出す。

その力布６は、いずれも帯状部分６ａ，６ｂを略Ｖ字状の二股に分けてケース蓋１ｃの蓋上に配設することから、エアバッグ１ａを膨張させるインフレータの出力を低く設定しても、ケース蓋１ｃの蓋上に被る力布６の面積が狭幅であるため、ケース蓋１ｃが開放動きするに応じた抵抗を小さく抑えられ、各帯状部分６ａ，６ｂをケース蓋１ｃの開放動きで確実に引っ張れる。

これにより、各バック部分１０，１１の膨張圧をトリムカバー２の破断部３となる縫い目２ｃの局部に確実に集中させて局所の縫い目２ｃを速やかに切れ出させ、引き続いて破断部３を形成する縫い目２ｃの全長を切開できることから、エアバッグ１ａの各バッグ部分１０，１１を座者の頭部方向に向け、また、座者の腰部方向に向けて効果的に膨張展開させられる。

その力布６の他に、各帯状の片端末を重ね合わせて破断部３を形成する縫い目２ｃで共縫いすることから、略Ｖ字状を呈する別の力布７（図１参照）を前面カバー部２ａに亘る内側に配設するようにできる。この力布７の他端末は、バックパッド５の前面側から吊込み穴５ｂで内部に引き込み、吊込みワイヤ８をバックスプリング９に掛け止めてトリムカバー２の座面吊込み部２ｄと共に吊込み止着するようにできる。

その力布６，７は、いずれもエアバッグ１ａの膨張による応力を受けても伸びにくくて互いに突っ張り拮抗し合うことから、エアバッグ１ａの膨張による応力を縫い目２ｃの局所に集中させて縫い糸を強く離間方向に引っ張り合うため、当該部分の縫い糸が瞬時に切れる。この縫い糸の切れ出しがエアバッグ１ａの膨張圧で縫い目２ｃの長さ方向に連続的に延びることから、インフレータの出力を低く設定しても、エアバッグ１ａの膨張展開に必要な縫い目２ｃを迅速且つ確実に切開させられる。

上述した実施の形態においては、略Ｖ字状の二股に分かれる帯状の力布６を備え付ける場合で説明したが、図５で示すようにエアバッグ１ａの各バック部分１０，１１が膨張する方向に合わせて破断部３となる縫い目側の略中央をケース蓋１ｃの縁近くまで切り欠いた二股の力布７’をバッグケース１ｃの蓋上に配設するようにできる。この力布７’では、切欠７’ａを隔てた両側が上述したと同様の帯状部分７’ｂ，７’ｃとして形成されている。

その力布７’は、ケース蓋１ｃの蓋上に被る力布部分７’ｄが面積的に一枚ものであるため、ケース蓋１ｃが開放する動きを該面積の同一面で受け、帯状部分７’ｂ，７’ｃの端末側を同時に引っ張れることから、帯状部分の７’ｂ，７’ｃの各端末を共縫いした縫い目の局部を略同時に切れ出させられる。これにより、エアバッグ１ａの各バッグ部分１０，１１を座者の頭部方向に向け、また、座者の腰部方向に向けて略同時に膨張展開させられる。

本発明に係るサイドエアバッグ装置を備える車両用シートを全体的に示す斜視図である。 同車両用シートの一形態に係るシートバックを示す部分拡大断面図である。 同車両用シートのトリムカバーに形成する破断部の促進手段として備えられる力布を示す説明図である。 同車両用シートにおけるエアバッグの膨張展開状態を示す説明図である。 同車両用シートのトリムカバーに形成する破断部の促進手段として備えられる別の力布を示す説明図である。

符号の説明

１ エアバッグ装置
１ａ エアバッグ
１ｂ，１ｃ バッグケース
２ トリムカバー
２ａ トリムカバーの前面カバー部
２ｂ トリムカバーの側面カバー部
２ｃ 縫い目
３ 破断部
４ バックフレーム
５ バックパッド
５ａ バックパッドの開口部
６（６’）７ 力布

Claims (3)

1. 座者の頭部方向に向けて膨張するバッグ部分と、座者の腰部方向に向けて膨張するバッグ部分とから双子山状に膨張展開するエアバッグをバッグケースに収容させてエアバッグ装置とし、そのエアバッグ装置をバックフレームの片側部に取り付けてエアバッグをバックパッドの開口部より膨張展開可能に配置し、エアバッグ装置の配置側を被包するトリムカバーの前面側と側面側との端末を縫い合わせた縫い目からエアバッグの膨張展開に伴うトリムカバーの破断部を形成すると共に、片端末をトリムカバーの破断部となる縫い目で共縫いし、他端末をバックフレームに巻込み止着する力布を該縫い目の破断促進手段としてエアバッグケースの蓋上に配設するサイドエアバッグ装置を備える車両用シートにおいて、
   エアバッグの各バック部分が膨張する方向に合わせて二股状に分かれる力布をバッグケースの蓋上に配設したことを特徴とするサイドエアバッグ装置を備える車両用シート。
2. エアバッグの各バック部分が膨張する方向に合わせて略Ｖ字状の二股に分かれる帯状の力布をバッグケースの蓋上に配設したことを特徴とする請求項１に記載のサイドエアバッグ装置を備える車両用シート。
3. エアバッグの各バック部分が膨張する方向に合わせて破断部となる縫い目側の略中央をエアバッグケースの蓋縁近くまで切り欠いた二股の力布をバッグケースの蓋上に配設したことを特徴とする請求項１に記載のサイドエアバッグ装置を備える車両用シート。

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