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JP2008111360A - 可変容量型ポンプ - Google Patents

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JP2008111360A JP2006294201A JP2006294201A JP2008111360A JP 2008111360 A JP2008111360 A JP 2008111360A JP 2006294201 A JP2006294201 A JP 2006294201A JP 2006294201 A JP2006294201 A JP 2006294201A JP 2008111360 A JP2008111360 A JP 2008111360A
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Abstract

【課題】 可変容量型ポンプにおいて、サイドプレートの背面とポンプケーシングとの間に介装され、ポンプ室の吸込領域に連通する低圧力室をポンプ軸の周囲の潤滑油路とともに囲む環状シール材のシール性を向上すること。
【解決手段】 サイドプレート18の背面とポンプケーシング11との間でポンプ室23の吐出領域に対向する位置に形成され、ポンプ吐出側圧油を導く高圧力室28Aと、サイドプレート18の背面とポンプケーシング11との間でポンプ室23の吸込領域に対向する位置に形成され、ポンプ室23の吸込領域に連通する低圧力室80と、サイドプレート18の背面とポンプケーシング11との間に介装され、低圧力室80をポンプ軸12の周囲の潤滑油路73とともに囲む環状シール材82とを備えてなる可変容量型ポンプ10において、環状シール材82が、ポンプ軸12の周囲の潤滑油路73に沿う該環状シール材82の概ねU字状部分82AのU字の両端同士をつなぐ橋絡部82Bを備えてなるもの。
【選択図】 図6

Description

本発明は、自動車用油圧パワーステアリング装置等に用いて好適な可変容量型ポンプに関する。
可変容量型ポンプは、ポンプケーシングに挿入されるポンプ軸に固定して回転駆動されるとともに、多数のベーンを溝に収容して半径方向に移動可能としてなるロータと、ポンプケーシング内の嵌装孔に嵌装されて移動変位可能とされ、ロータの外周部との間にポンプ室を形成するとともに、ポンプ室の容積が最大となるような付勢力が与えられているカムリングと、ポンプケーシング内に収容され、ロータとカムリングとの一側に摺接するサイドプレートと、ポンプケーシングの開口を塞ぎ、ロータとカムリングとの他側に摺接するカバーとを有している。このとき、カムリング内のポンプ室は吐出領域と吸込領域からなり、これらがポンプ軸を中心として非対称位置にある。
特許文献1に記載の可変容量型ポンプでは、サイドプレートの背面(カムリングの側を正面とする)とポンプケーシングとの間でポンプ室の吐出領域に対向する位置に、ポンプ室の吐出領域に連通してポンプ吐出側圧油を導く高圧力室を形成するに際し、サイドプレートの背面とポンプケーシングとの間でポンプ室の吸込領域に対向する位置に、ポンプ室の吸込領域に連通する低圧力室を形成することにより、サイドプレートの正面側と背面側の圧力バランスをとり、サイドプレートの変形を防ぎ、カムリングやロータとのかじりや焼付きを防止しようとしている。
特開2001-140772
特許文献1に記載の可変容量型ポンプは、低圧力室をポンプ軸の周囲の潤滑油路とともに高圧力室に対してシールするための環状シール材を、サイドプレートの背面とポンプケーシングとの間に介装している。
環状シール材は、低圧力室をポンプ軸の周囲の潤滑油路とともに囲む異形状をなすものになり、ポンプ軸の周囲に沿う部分から低圧力室に沿う部分につながる湾曲部又は折れ曲がり部が、高圧力室の圧油圧力に押圧されて変形するおそれがある。ポンプ吐出圧力の高圧化により、環状シール材は一層変形し易くなりシール性を損なうおそれがある。
本発明の課題は、可変容量型ポンプにおいて、サイドプレートの背面とポンプケーシングとの間に介装され、ポンプ室の吸込領域に連通する低圧力室をポンプ軸の周囲の潤滑油路とともに囲む環状シール材のシール性を向上することにある。
請求項1の発明は、ポンプケーシングに挿入されるポンプ軸に固定して回転駆動されるとともに、多数のベーンを溝に収容して半径方向に移動可能としてなるロータと、ポンプケーシング内の嵌装孔に嵌装されて移動変位可能とされ、ロータの外周部との間にポンプ室を形成するとともに、ポンプ室の容積が最大となるような付勢力が与えられているカムリングと、ポンプケーシング内に収容され、ロータとカムリングとの一側に摺接するサイドプレートと、ポンプケーシングの開口を塞ぎ、ロータとカムリングとの他側に摺接するカバーと、サイドプレートの背面とポンプケーシングとの間でポンプ室の吐出領域に対向する位置に形成され、ポンプ吐出側圧油を導く高圧力室と、サイドプレートの背面とポンプケーシングとの間でポンプ室の吸込領域に対向する位置に形成され、ポンプ室の吸込領域に連通する低圧力室と、サイドプレートの背面とポンプケーシングとの間に介装され、低圧力室をポンプ軸の周囲の潤滑油路とともに囲む環状シール材とを備えてなる可変容量型ポンプにおいて、環状シール材が、ポンプ軸の周囲の潤滑油路に沿う該環状シール材の概ねU字状部分のU字の両端同士をつなぐ橋絡部を備えてなるようにしたものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載の可変容量型ポンプを用いた自動車用油圧パワーステアリング装置である。
(請求項1)
(a)サイドプレートの背面とポンプケーシングとの間に介装され、ポンプ室の吸込領域に連通する低圧力室をポンプ軸の周囲の潤滑油路とともに囲む環状シール材が、ポンプ軸の周囲の潤滑油路に沿う該環状シール材の概ねU字状部分のU字の両端同士をつなぐ橋絡部を備えた。即ち、環状シール材の周回上で相対する2点同士であって、ポンプ軸の周囲の潤滑油路に沿う概ねU字状部分のU字の両端同士をつなぐ橋絡部が、ポンプ軸の周囲の潤滑油路に沿う部分を低圧力室に沿う部分に接続する湾曲部又は折れ曲がり部に作用する高圧力室の圧油圧力を支え、環状シール材のこの湾曲部又は折れ曲がり部の変形を防止する。これにより、ポンプ吐出圧力が高圧になっても、環状シール材のシール性を確保できる。
(請求項2)
(b)自動車用油圧パワーステアリング装置に適用される可変容量型ポンプにおいて、上述(a)を実現できる。
図1は可変容量型ポンプを示す断面図、図2は図1のII−II線に沿う断面図、図3は図2の要部拡大図、図4は可変容量型ポンプの主絞りを示す断面図、図5は図4のV−V線に沿う矢視図、図6は図1のVI−VI線に沿うポンプハウジングの矢視図、図7は図6の要部拡大図である。
可変容量型ポンプ10は、自動車の油圧パワーステアリング装置の油圧発生源となるベーンポンプであり、図1、図2に示す如く、ポンプケーシング11に挿入されるポンプ軸12にセレーションにより固定されて回転駆動されるロータ13を有している。ポンプケーシング11は、ポンプハウジング11Aとカバー11Bをボルト14で一体化して構成されている。ポンプハウジング11Aはロータ13等のポンプ構成要素を収容するカップ状の凹部空間を備え、カバー11Bはこの凹部空間の開口部を閉塞するようにポンプハウジング11Aに組合せされて一体化される。ポンプ軸12は、ポンプハウジング11Aの支持孔15Aに設けられた軸受16A(ブッシュ)と、カバー11Bの支持孔15Bに設けられた軸受16B(ブッシュ)に支持される。支持孔15Aにはオイルシール16Cが嵌装されている。
ロータ13は周方向の多数位置のそれぞれに設けた溝13Aにベーン17を収容し、各ベーン17を溝13Aに沿う半径方向に移動可能としている。
ポンプケーシング11のポンプハウジング11Aの嵌装孔20には、図2に示す如く、サイドプレート18、アウタケース19が積層状態で嵌着され、これらは回り止めピン21によって周方向に位置決めされた回り止め状態でカバー11Bにより側方から固定保持されている。即ち、ロータ13、アウタケース19、後述するカムリング22からなるポンプ構成要素を両側から挟むカバー11Bとサイドプレート18に、回り止めピン21の両端部が嵌合されて挿着固定される。回り止めピン21の両端部はカバー11Bとサイドプレート18に設けた嵌合孔に嵌合される。回り止めピン21の中間部はアウタケース19の内周側に設けた嵌合孔に嵌合される。
ポンプケーシング11のポンプハウジング11Aに固定されている上述のアウタケース19にはカムリング22が嵌装されている。カムリング22はカバー11Bによりその側部を閉じられる。カムリング22は、ロータ13とある偏心量をもってロータ13を囲み、サイドプレート18とカバー11Bの間で、ロータ13の外周部との間にポンプ室23を形成する。そして、ポンプ室23のロータ回転方向上流側の吸込領域には、カバー11Bの端面に設けた吸込ポート24が開口し、この吸込ポート24にはハウジング11A、カバー11Bに設けた吸込通路(ドレン通路)25Aを介してポンプ10の吸込口26が連通せしめられている。他方、ポンプ室23のロータ回転方向下流側の吐出領域には、サイドプレート18の端面に設けた吐出ポート27が開口し、この吐出ポート27にはハウジング11Aに設けた高圧力室28A、吐出通路(不図示)を介してポンプ10の吐出口29が連通せしめられている。ポンプ室23が吐出した吐出流体圧力が、吐出ポート27からパワーステアリング装置(油圧機器)に送給される。
これにより、可変容量型ポンプ10にあっては、ポンプ軸12によってロータ13を回転駆動し、ロータ13のベーン17が遠心力でカムリング22に押し付けられて回転するとき、ポンプ室23のロータ回転方向上流側では隣り合うベーン17間とカムリング22とが囲む容積を回転とともに拡大して作動流体を吸込ポート24から吸込み、ポンプ室23のロータ回転方向下流側では隣り合うベーン17間とカムリング22とが囲む容積を回転とともに減縮して作動流体を吐出ポート27から吐出する。
しかるに、可変容量型ポンプ10は、吐出流量制御装置40を有している。
吐出流量制御装置40は、ポンプケーシング11に固定されている上述のアウタケース19の鉛直最下部の内周面に揺動支点ピン31(揺動支点)を載置し、カムリング22の鉛直最下部をこの揺動支点ピン31に支持し、カムリング22をアウタケース19内で揺動変位可能としている。揺動支点ピン31はアウタケース19とカムリング22の幅内、本実施例ではそれらの全幅と同一幅とされる。アウタケース19の全幅にわたり、アウタケース19の内周面に設けた凹部に揺動支点ピン31の円弧状をなす下側半断面を隙間なく嵌め込み載置し、カムリング22は、カムリング22の全幅にわたり、カムリング22の外周面に設けた凹部を揺動支点ピン31の円弧状をなす上側半断面に隙間なく嵌め込み支持する。
尚、アウタケース19は第1流体圧室41を形成する内周面の一部にカムリング22の外周面に衝接するカムリング揺動規制ストッパ19Aを突状形成され、後述するようにポンプ室23の容積を最大とするカムリング22の揺動限を規制される。また、アウタケース19は後述する第2流体圧室42を形成する内周面の一部にカムリング22の外周面に衝接するカムリング揺動規制ストッパ19Bを突状形成され、後述するようにポンプ室23の容積を最小とするカムリング22の揺動限を規制される。
吐出流量制御装置40は、カムリング22とアウタケース19との間に第1と第2の流体圧室41、42を形成している。即ち、第1流体圧室41と第2流体圧室42は、カムリング22とアウタケース19の間で、揺動支点ピン31と、概ねその軸対称位置に設けたシール材43とで分割される。このとき、第1と第2の流体圧室41、42は、カムリング22とアウタケース19の間の両側方をカバー11Bとサイドプレート18により閉塞されて区画され、アウタケース19の前述したカムリング揺動規制ストッパ19A、19Bにカムリング22が衝合したときに、ストッパ19Aの両側に分離される第1流体圧室41同士を連絡する連絡溝、ストッパ19Bの両側に分離される第2流体圧室42同士を連絡する連絡溝をサイドプレート18に備える。
このとき、可変容量型ポンプ10にあっては、図2、図3に示す如く、カムリング22の揺動支点ピン31に支持される部分とポンプ軸12を挟んで概ね反対側となる外周面を、アウタケース19の内周面に摺接するシール材43を保持する凸面部44とする。凸面部44の頂面に、カムリング22の全幅にわたるシール溝45を設け、このシール溝45にバックアップ材43Aを装填し、更にシール材43を装填して保持する。
また、カムリング22の凸面部44に保持したシール材43が摺接するアウタケース19の内周面を、前述の揺動支点ピン31を中心とする円弧面46とする。更に、アウタケース19の円弧状内周面46は、この円弧状内周面46を周方向の両側から挟む両側内周面に対してへこみ状をなす凹面部47とする。
また、吐出流量制御装置40は、ポンプケーシング11を構成するポンプハウジング11Aの吐出口29内であって、カムリング22を挟んで第1流体圧室41の反対側にばね押え50を螺着し、ばね押え50が支持する付勢手段としてのばね51をアウタケース19に設けた連絡孔52に通してカムリング22の外面に衝接している。ばね51はカムリング22をロータ13の外周部との間でポンプ室23の容積(ポンプ容量)を最大とする方向へ付勢する。ばね押え50は、連絡孔52を収容する空洞を備えるとともに、吐出口29の一部を構成する1個以上の吐出孔53を備えた円筒中空体からなる。
吐出流量制御装置40は、吐出通路(不図示)の中間部に主絞り54(可変絞り)を設ける。主絞り54は、図4、図5に示す如く、ポンプケーシング11のポンプハウジング11Aに設けられてカムリング22の側面部を塞ぐサイドプレート18(側壁)の軸方向に穿設され、ポンプ吐出側の高圧力室28Aと連通する孔部55と、カムリング22の軸方向に穿設されてカムリング22の側面部に開口し、上記孔部55との流路面積Aを開閉制御し、第2流体圧室42と連通する円形状開口部56とによって形成される。即ち、主絞り54はサイドプレート18の孔部55とカムリング22の開口部56の合致部分を流路面積Aとし、カムリング22の揺動による開口部56の変位により、流路面積Aを可変絞りするものである。カムリング22の一方の揺動端で流路面積Aは全開側の最大になり、カムリング22の他方の揺動端で流路面積Aは全閉側の最小になる。このとき、開口部56は、カムリング22に設けられて開口部56に続く連絡孔57、カムリング22に設けられて第2流体圧室42に開口するU字溝58を介して、第2流体圧室42と連通する。
尚、カムリング22に穿設される主絞り54の開口部56は、カムリング22のポンプ軸12を中心とする周方向で、カムリング22の揺動支点たる揺動支点ピン31から第2流体圧室42に沿う方向に120度をこえる位置から、シール材43が保持される位置に至るまでの範囲内のいずれかに設けられる。また、サイドプレート18に穿設される孔部55は、サイドプレート18のポンプ軸12を中心とする周方向に沿う長孔状、本実施例ではアウタケース19に設けた円弧状内周面46から遠ざかる方向に沿って先細りをなす涙滴状をなす。
吐出流量制御装置40は、(1)ポンプ室23の容積を最小とする方向への揺動変位をカムリング22に与える第1流体圧室41に、主絞り54の上流側の圧力とポンプ吸込側の圧力を選択的に後述する切換弁装置60を介して導入し、(2)ポンプ室23の容積を最大とする方向への揺動変位をカムリング22に与える第2流体圧室42に、主絞り54の下流側の圧力を導入する。第1流体圧室41と第2流体圧室42に作用する圧力のバランスによって、カムリング22をばね51の付勢力に抗して移動させ、ポンプ室23の容積を変化させてポンプ10の吐出流量を制御する。
ここで、吐出流量制御装置40は、主絞り54の上、下流側の圧力差によって作動し、ポンプ室23からの圧力流体の吐出流量に応じて第1流体圧室41への供給流体圧を制御する切換弁装置60を有する。具体的には、切換弁装置60は、第1流体圧室41に接続された連絡路61と吐出通路(不図示)の主絞り54より上流側の連絡路67との間に介装され、連絡路61に設けた絞り61Aとの連携により、ポンプ10の低回転域では第1流体圧室41を連絡路67に対して閉じ、高回転域では第1流体圧室41を連絡路67に接続する。
尚、切換弁装置60は、ポンプハウジング11Aに穿設した弁格納孔62にスプリング63、切換弁64を収容し、スプリング63で付勢される切換弁64をポンプハウジング11Aに螺着したキャップ65で担持している。切換弁64は、弁格納孔62に密に摺接する弁体64A、及び切換弁体64Bを備え、弁体64Aの一端側に設けた加圧室66Aに吐出通路(不図示)の主絞り54より上流側の連絡路67を連通し、切換弁体64Bの他端側に設けたスプリング63が格納されている背圧室66Bに吐出通路(不図示)の主絞り54より下流側の連絡路68を第2流体圧室42を介して連通している。また、弁体64Aと切換弁体64Bの間のドレン室66Cには前述した吸込通路(ドレン通路)25Aが貫通して形成され、タンクに連絡される。弁体64Aは、前述の連絡路61を開閉可能としている。即ち、ポンプ10の吐出圧力が低い低回転域では、スプリング63の付勢力により切換弁64を図2に示す原位置に設定し、弁体64Aにより加圧室66Aを第1流体圧室41への連絡路61に対して閉じ、ドレン室66Cを第1流体圧室41への連絡路61に導通させ、結果として第1流体圧室41にポンプ吸込側の圧力を導入する。ポンプ10の中高回転域では、加圧室66Aに加えられる連絡路67の高圧流体により切換弁64を移動させ、弁体64Aにより加圧室66Aを第1流体圧室41への連絡路61に対して開き、連絡路67から加圧室66Aに加えられている主絞り54の上流側の高圧流体を第1流体圧室41に導入する。尚、連絡路67には絞り67Aが設けられ、主絞り54の上流側からの脈動を吸収可能とする。
従って、吐出流量制御装置40を用いたポンプ10の吐出流量特性は以下の如くになる。
(1)ポンプ10の回転数が低い自動車の低速走行域では、ポンプ室23から吐出されて切換弁装置60の加圧室66Aに及ぶ流体の圧力が未だ低く、切換弁64は原位置に位置し、切換弁64は加圧室66Aを第1流体圧室41への連絡路61に対して閉じ、ドレン室66Cを第1流体圧室41への連絡路61に対して閉じる。このため、主絞り54の上流側の圧力は第1流体圧室41に供給されず、第2流体圧室42には主絞り54の下流側の圧力が印加される。このため、カムリング22は第1流体圧室41と第2流体圧室42の圧力差とばね51の付勢力によりポンプ室23の容積を最大とする側に維持され、ポンプ10の吐出流量は、回転数に比例して増加する。
(2)ポンプ10の回転数の増加により、ポンプ室23から吐出されて切換弁装置60の加圧室66Aに及ぶ流体の圧力が高くなると、切換弁装置60はスプリング63の付勢力に抗して切換弁64を移動させて加圧室66Aを第1流体圧室41への連絡路61に対して開く。これにより、第1流体圧室41の圧力が上がり、カムリング22はポンプ室23の容積を小さくする側に移動していく。従って、ポンプ10の吐出流量は、回転数の増加に対し、回転数の増加による流量増加分と、ポンプ室23の容積減縮による流量減少分とを相殺し、一定の流量を維持する。
特に、吐出流量制御装置40にあっては、ポンプ10の回転数に応じて増減するポンプ吐出流量により、主絞り54で生ずる差圧で切換弁装置60を切換制御し、カムリング22をばね51の付勢力に抗して、又はこの付勢力に応じて揺動変位させることができ、結果として、ポンプ室23の容積を可変制御し、ポンプ回転数に応じて増減した所望のポンプ吐出特性を得ることができる。即ち、主絞り54を構成する孔部55が、カムリング22の開口部56により開閉制御されて変化する流路面積Aを、回転数が低いときには全開側にし、回転数が高いときには閉じ側にし、この主絞り54の開閉制御量を調整することにより、所望のポンプ吐出流量を得ることができる。
尚、ポンプ10にあっては、高圧力室28Aと吸込通路(ドレン通路)25Aと、ドレン室66Cの間に、ポンプ吐出側での過大流体圧をリリーフする切換弁としてのリリーフ弁70を有している。また、ポンプ10は、吸込通路25Aからポンプ軸12の軸受16Bに向かう潤滑油供給路71をカバー11Bに穿設し、ポンプ軸12の軸受16Aまわりから吸込通路25Bに戻る潤滑油戻り路72をポンプハウジング11Aに穿設してある。吸込通路25Aに作用する吸込油の一部が潤滑油供給路71からポンプ軸12の周囲の潤滑油路73に入り、軸受16B、16Aを経て、潤滑油戻り路72から後述する如くにポンプ吸込側に返送される。
しかるに、ポンプ10は、前述した如く、サイドプレート18の背面(カムリング22の側を正面とする)をポンプケーシング11のポンプハウジング11Aとの間でポンプ室23の吐出領域に対向する位置に、ポンプ室23の吐出領域に吐出ポート27を介して連通してポンプ吐出側圧油を導く高圧力室28Aを形成するに際し、サイドプレート18の背面とポンプハウジング11Aとの間でポンプ室23の吸込領域に対向する位置に、ポンプ室23の吸込領域に連通する低圧力室80を形成することにより、サイドプレート18の表面側と背面側に作用する圧力のバランスをとり、サイドプレート18の変形を防ぎ、サイドプレート18とカムリング22やロータ13とのかじりや焼付きを防止する。高圧力室28Aと低圧力室80は、ポンプハウジング11Aに凹設される。低圧力室80はサイドプレート18に穿設した連絡孔81を介してポンプ室23の吸込領域に連通するとともに、前述の潤滑油戻り路72が連通されている。
ポンプ10は、サイドプレート18の背面とポンプハウジング11Aとの間に、Oリング等の環状シール材30、82を介装している。環状シール材30は、高圧力室28Aの外周側において、サイドプレート18の外周角部に設けた環状段差部31に装填されてポンプハウジング11Aにより挟圧され、高圧力室28Aを囲んでシールする。環状シール材82は、高圧力室28Aの内周側において、ポンプハウジング11Aに設けた環状溝部83に装填されてサイドプレート18により挟圧され、低圧力室80をポンプ軸12の周囲の潤滑油路73とともに囲んでシールする。このとき、環状シール材82は、ポンプ軸12の周囲の環状油路73に沿う該環状シール材82の概ねU字状部分82AのU字の両端同士をつなぐ橋絡部82Bを備える。橋絡部82Bはポンプハウジング11Aに設けた環状溝部83に交差する直線状溝部84に装填されてサイドプレート18により挟圧される。尚、橋絡部82Bは低圧力室80とポンプ軸12の周囲の潤滑油路73とを完全に遮断する必要がなく、低圧力室80と潤滑油路73を連通する溝、孔等を備えるものでも良い。
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)サイドプレート18の背面とポンプハウジング11Aとの間に介装され、ポンプ室23の吸込領域に連通する低圧力室80をポンプ軸12の周囲の潤滑油路73とともに囲む環状シール材82が、ポンプ軸12の周囲の潤滑油路73に沿う該環状シール材82の概ねU字状部分82AのU字の両端同士をつなぐ橋絡部82Bを備えた。即ち、環状シール材82の周回上で相対する2点同士であって、ポンプ軸12の周囲の潤滑油路73に沿う概ねU字状部分82AのU字の両端同士をつなぐ橋絡部82Bが、ポンプ軸12の周囲の潤滑油路73に沿う部分を低圧力室80に沿う部分に接続する湾曲部又は折れ曲がり部に作用する高圧力室の圧油圧力を支え、環状シール材82のこの湾曲部又は折れ曲がり部の変形を防止する。これにより、ポンプ吐出圧力が高圧になっても、環状シール材82のシール性を確保できる。
(b)自動車用油圧パワーステアリング装置に適用される可変容量型ポンプ10において、上述(a)を実現できる。
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
図1は可変容量型ポンプを示す断面図である。 図2は図1のII−II線に沿う断面図である。 図3は図2の要部拡大図である。 図4は可変容量型ポンプの主絞りを示す断面図である。 図5は図4のV−V線に沿う矢視図である。 図6は図1のVI−VI線に沿うポンプハウジングの矢視図である。 図7は図6の要部拡大図である。
符号の説明
10 可変容量型ポンプ
11 ポンプケーシング
11A ポンプハウジング
11B カバー
12 ポンプ軸
13 ロータ
13A 溝
17 ベーン
18 サイドプレート
20 嵌装孔
22 カムリング
23 ポンプ室
28A 高圧力室
73 潤滑油路
80 低圧力室
82 環状シール材
82A U字状部分
82B 橋絡部

Claims (2)

  1. ポンプケーシングに挿入されるポンプ軸に固定して回転駆動されるとともに、多数のベーンを溝に収容して半径方向に移動可能としてなるロータと、
    ポンプケーシング内の嵌装孔に嵌装されて移動変位可能とされ、ロータの外周部との間にポンプ室を形成するとともに、ポンプ室の容積が最大となるような付勢力が与えられているカムリングと、
    ポンプケーシング内に収容され、ロータとカムリングとの一側に摺接するサイドプレートと、
    ポンプケーシングの開口を塞ぎ、ロータとカムリングとの他側に摺接するカバーと、
    サイドプレートの背面とポンプケーシングとの間でポンプ室の吐出領域に対向する位置に形成され、ポンプ吐出側圧油を導く高圧力室と、
    サイドプレートの背面とポンプケーシングとの間でポンプ室の吸込領域に対向する位置に形成され、ポンプ室の吸込領域に連通する低圧力室と、
    サイドプレートの背面とポンプケーシングとの間に介装され、低圧力室をポンプ軸の周囲の潤滑油路とともに囲む環状シール材とを備えてなる可変容量型ポンプにおいて、
    環状シール材が、ポンプ軸の周囲の潤滑油路に沿う該環状シール材の概ねU字状部分のU字の両端同士をつなぐ橋絡部を備えてなることを特徴する可変容量型ポンプ。
  2. 請求項1に記載の可変容量型ポンプを用いた自動車用油圧パワーステアリング装置。
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