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JP2008111158A - 電解用ブラインの精製方法 - Google Patents

電解用ブラインの精製方法 Download PDF

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JP2008111158A
JP2008111158A JP2006294695A JP2006294695A JP2008111158A JP 2008111158 A JP2008111158 A JP 2008111158A JP 2006294695 A JP2006294695 A JP 2006294695A JP 2006294695 A JP2006294695 A JP 2006294695A JP 2008111158 A JP2008111158 A JP 2008111158A
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Yoshihisa Sato
嘉久 佐藤
Saburo Furusho
三郎 古荘
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Nippon Rensui Co
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Nippon Rensui Co
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Abstract

【課題】電解用ブラインの合理化された精製方法を提供する。
【解決手段】原塩を水に溶解した後、得られた粗ブラインに凝集剤を添加し、次いで、粗ブラインを濾過した後、キレート樹脂で処理して粗ブライン中の二価金属イオンを除去する電解用ブラインの精製方法であって、凝集剤を添加した後であって濾過前の粗ブラインにアルカリ剤を添加してpHを7.5〜9.5の範囲に調節し、その後、粗ブラインのpHを変更することなく、上記の二価金属イオンの除去を行う。
【選択図】なし

Description

本発明は、電解用ブラインの精製方法に関し、特に、イオン交換膜方式の電解工程に供給する塩化ナトリウムを主成分とする粗ブラインの精製方法に関する。
従来より、塩化ナトリウムの電解方法は、基本的には、塩化ナトリウムの飽和水溶液から成るブラインの精製工程および得られたブラインを電解するイオン交換膜方式の電解工程とを包含して成る。
従来、電解用ブラインの精製方法の一つとして、原塩溶解工程、1段目pH調節工程、精密濾過工程、1段目キレート樹脂処理工程、2段目pH調節工程、2段目キレート樹脂処理工程から成り、1段目pH調節工程では炭酸水素ナトリウムにより粗ブラインを微アルカリ(pH7〜8)にし、2段目pH調節工程ではナトリウム系アルカリ剤(苛性ソーダ又は炭酸ソーダ)により粗ブラインのpHを8〜11(好ましくは9〜10)にする方法が提案されている(特許文献1)。
特開平5−186215号公報
上記の方法は2段階のキレート樹脂処理工程に特徴がある。そして、1段目キレート樹脂処理工程(pH7〜8で行う工程)は、高いアルカリ条件下でのキレート樹脂処理では2価金属の沈殿物が生成してキレート樹脂処理が良好に行え得ないとの発想に基づいて設けられているようである。
しかしながら、上記のように複数のpH調節工程とキレート樹脂処理工程を有する方法は工程および設備が複雑であり、電解用ブラインの合理化された精製方法が望まれる。
本発明は上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は電解用ブラインの合理化された精製方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、次のような知見を得た。すなわち、粗ブラインのpH調節を水酸化ナトリウムのみを使用してキレート樹脂処理の至適pH条件とすれば、意外にも先行技術において予想されるような2価金属イオンの沈殿物生成がなく、更に、電解工程に支障のない処理液質が得られる。濾過工程において固形物の除去を効率的に行うためには凝集剤を使用することが有利である。また、pHの変動により、新たに固形物(懸濁物)が発生することもあり、前記のキレート樹脂処理の至適pH条件をそのまま濾過工程前においても維持することが望ましく、斯かる観点から凝集剤の添加位置を選択するのが望ましい。
本発明は、上記の知見に基づき完成されたものであり、その要旨は、原塩を水に溶解した後、得られた粗ブラインに凝集剤を添加し、次いで、粗ブラインを濾過した後、キレート樹脂で処理して粗ブライン中の二価金属イオンを除去する電解用ブラインの精製方法であって、凝集剤を添加した後であって濾過前の粗ブラインにアルカリ剤を添加してpHを7.5〜9.5の範囲に調節し、その後、粗ブラインのpHを変更することなく、上記の二価金属イオンの除去を行うことを特徴とする電解用ブラインの精製方法に存する。
本発明によれば、工程および設備が簡素化された精製方法により、電解工程に支障のない処理液質の電解用ブラインを得ることが出来る。
以下、本発明を添付図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の電解用ブラインの精製方法が採用された塩化ナトリウムの電解方法の一例を示す工程説明図である。
電解用ブラインの精製工程は、原塩溶解工程(10)、凝集剤添加工程(20)、pH調節工程(30)、濾過工程(40)及びキレート樹脂処理工程(50)にて構成されている。符号(60)は電解工程、符号(70)は好ましい態様として設けられる塩素脱気工程、符号(80)は好ましい態様として設けられる硫酸塩を除去する脱芒硝工程を示す。
原塩溶解工程(10)においては、溶解槽を使用して原塩を水に溶解する。具体的には、導管(12)から送られる原塩と、導管(13)から供給される溶解水と、電解工程(60)から導管(61)及び(71)を経て循環される淡ブラインとを使用し、粗ブラインを調製する。原塩を溶解するために使用する水(溶解水)としては、工業用水、濾過水、上水、軟水、純水などを使用することが出来る。粗ブライン中の原塩(塩化ナトリウム)濃度は出来るだけ高濃度であることが好ましく、通常、飽和濃度の粗ブライン(飽和粗ブライン)が調製される原塩溶解工程(10)において溶解槽への原塩の投入方式は、連続式、バッチ式の何れでもよい。また、原塩は天日塩、岩塩の何れでもよい。
凝集剤添加工程(20)においては、得られた粗ブラインに凝集剤を添加する。具体的には、撹拌混合槽を使用し、導管(11)から供給される粗ブラインに導管(22)から供給される凝集剤の水溶液を添加して撹拌混合する。凝集剤としては、鉄系凝集剤、アルミニウム系凝集剤などが挙げられるが、特に鉄系凝集剤が好ましい。鉄系凝集剤としては、塩化第二鉄、ポリ硫酸鉄、ポリシリカ鉄などが挙げられるが、特に塩化第二鉄が好ましい。鉄系凝集剤の添加量は、粗ブラインに対し、通常Fe濃度として1〜30mg/Lである。因に、鉄系凝集剤を添加した後の粗ブラインのpHは3〜4に低下する。
pH調節工程(30)においては、粗ブラインにアルカリ剤を添加する。具体的には、撹拌混合槽を使用し、導管(21)から供給される粗ブラインに導管(32)から供給されるアルカリ剤を添加して撹拌混合する。そして、本発明においては、粗ブラインのpHを7.5〜9.5(好ましくは8.0〜9.5)の範囲に調節する。アルカリ剤としては、通常、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等のナトリウム系アルカリ剤が使用されるが、水酸化ナトリウムが好ましい。電解工程で得られる高濃度の水酸化ナトリウムを希釈して使用することも出来る。また、希釈剤としては精製ブライン又は塩素ガス分離後のブラインを使用することも出来る。なお、pHの検出は一般的にはpH電極により連続的に行う。
上記のpH値(7.5〜9.5)は、後述のキレート樹脂処理工程(50)において採用されるpH値でもあるが、仮に、使用する凝集剤の種類によりpH値が変動したとしても、本発明においては、凝集剤添加工程(20)の後にpH調節工程(30)を配置したため(pH値の変動の後にpH調節を行うため)、一回のpH調節により、キレート樹脂処理の至適pH条件を達成し、そのまま濾過工程前においても維持することが出来る。なお、アルカリ剤の添加は導管(31)中の粗ブラインに対して行なってもよい。
濾過工程(40)においては、pHを7.5〜9.5の範囲に調節した粗ブラインを濾過し、粗ブライン中の凝集物を除去する。具体的には、濾過器に導管(31)から粗ブラインを供給して処理する。凝集物は、凝集剤によって補足された固形分であり、鉄系凝集剤を使用した場合は、固形分を取り込んだ水酸化第二鉄の凝集物である。濾過器としては、例えば、サンドフィルター、セラミックフィルター、濾布フィルター、カートリッジフィルター等の公知の濾過器を使用することが出来る。鉄系凝集剤を使用した場合、濾過後の粗ブライン中のFe濃度は0.05mg/L以下とするのが好ましい。濾過後の粗ブライン中の固形分(SS)の濃度は、通常1.0ppm以下、好ましくは0.5ppm以下、硬度成分濃度は、通常、Ca:100ppm以下、Mg:10ppm以下である。
キレート樹脂処理工程(50)においては、濾過した粗ブラインをキレート樹脂で処理して粗ブライン中の二価金属イオン(硬度成分)を除去する。具体的には、キレート樹脂塔に導管(41)から粗ブラインを供給して処理する。キレート樹脂処理に供される粗ブラインのpHは、前記の濾過工程(40)におけるpHと同じである。従って、pHの変動による固形物(懸濁物)の新たな発生はなく、キレート樹脂処理に供される粗ブラインは清澄液である。キレート樹脂としては、特に限定されず、粗ブラインより硬度不純物を除去できる公知のアミノリン酸やイミノジ酢酸などの官能基を有するキレート樹脂が使用できる。特に、均一係数1.2以下のいわゆる均一粒径のキレート樹脂を使用するならば、均一係数1.6以下のいわゆる普通粒径のキレート樹脂を使用した場合に比し、ブライン処理量が20%程度増加する。
キレート樹脂処理工程(50)において、粗ブラインのpHが7.5未満の場合にはキレート樹脂処理工程での硬度成分の吸着量が少なくなり、また、pHが9.5を超える場合にはキレート樹脂処理工程で沈殿が析出する危険性が高くなり、析出した場合にはキレート樹脂処理が不能となる。キレート樹脂処理工程(50)における粗ブラインの好ましいpHは、前述した通り、8.0〜9.5である。
キレート樹脂処理工程(50)において、粗ブライン中の硬度成分が電解槽のイオン交換膜を劣化させない濃度まで除去される。キレート樹脂塔は、2塔以上を直列に並べ1系列とし、1系列以上に並べて切り替え使用することが好ましい。キレート樹脂で処理された精製ブライン中の硬度成分濃度は、Ca:10ppb以下、Mg:10ppb以下である。硬度成分が上述の濃度を超える場合は、電解槽のイオン交換膜が劣化することがある
上記のキレート樹脂処理においては、意外にも先行技術において予想されるような溶解性硬度成分のキレート樹脂中での沈殿物の生成はなく、また、従来通り電解槽へ直接供給できるまでに硬度成分を効率よく除去できる。すなわち、本発明においては、最初から2価金属の除去効率に優れる高いアルカリ条件下でキレート樹脂処理工程を行なうことにより、先行技術に示されているように、異なるpH条件下で2段階に分けてキレート樹脂処理工程を行なう煩雑な操作を回避することが出来る。
電解工程(60)は主としてイオン交換膜方式の電解槽にて構成されている。電解槽は、イオン交換膜からなる隔膜により陰極室と陽極室とに分けられている。導管(51)から供給された精製ブラインは常法に従って電解処理される。陰極室で生成した苛性アルカリ及び水素ガスは夫々導管(図示せず)を経て排出され回収される。一方、陽極室で生成した塩素ガスは導管(図示せず)を経て排出され回収される。電解によりブライン中の塩化ナトリウムの約50%及び水の約20%が消費され、残った塩水(淡ブライン)は、導管(61)を経て原塩溶解槽(10)へ循環される。淡ブライン中には塩化ナトリウムが約180〜200g/L、硫酸塩(芒硝)が約6〜12g/L溶解している。また、塩素も溶解している。
塩素脱気工程(70)においては、淡ブライン中に溶解している塩素を除去する。具体的には、塩素脱気塔に導管(61)から淡ブラインを供給してエアーレーションにより脱気処理する。分離された塩素ガスは導管(図示せず)を経て排出され回収される。
脱芒硝工程(80)においては、淡ブライン中に溶解している芒硝を除去する。具体的には、脱芒分離塔に導管(82)から淡ブラインの一部を供給して処理する。脱芒分離塔としては、例えば、特開平7−3485号公報に示されているように、陰イオン交換基と陽イオン交換基とを有し、これら両イオンが内部塩を形成している両性イオン交換体が充填されている分離塔が使用できる。脱芒硝処理において、淡ブライン中の硫酸塩は、完全に除去する必要はなく、電解の障害にならない濃度以下に維持されればよい。少なくとも、新たに添加される原塩に伴う硫酸塩量を除くことにより、飽和塩水への硫酸塩の更なる蓄積を阻止すればよい。脱芒硝処理された淡ブラインは、導管(71)を介して原塩溶解工程(10)へ循環される。
上記のように、本発明の方法は、合理化された方法によりブライン中の固形分および硬度成分の量を目的の濃度以下にすることが出来る。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<粗ブラインの調製>
塩化ナトリウム濃度が300g/lとなるように、横浜市水に原塩を溶解し、pH6.0の粗ブライン500リットルを調製した。得られた粗ブラインの濁度は1.0度であり、粗ブライン中の硬度成分濃度は、Ca:48.5ppm、Mg:8.5ppm、Sr:3.3ppmであった。
実施例1:
上記の粗ブライン100Lに対し、塩化第二鉄の0.1重量%水溶液をFe10mg/Lの割合で添加した後、25重量%の水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH9.0に調節した。得られた粗ブラインの濁度は6.0度となった。次いで、この粗ブラインをセラミック濾過膜装置で処理し、濁度0.1度以下の粗ブラインを得た。セラミック濾過膜装置の差圧測定の結果を図2に示すが、差圧上昇は認められず、安定に通水することが出来た。上記において、濁度は、積分球式濁度計(三菱化成株式会社製「SEP−PT−706D」)を使用して測定した。また、セラミック濾過膜装置としては、株式会社クボタ製「フィルセラ」(膜種類:精密濾過膜(MF)、公称孔径:0.1μm)を使用し、処理方式としては槽浸漬方式セラミック膜ろ過法を採用した。
次いで、イミノジ酢酸型の均一粒径キレート樹脂(三菱化学製「ダイヤイオンUCR12」)250mlを充填したジャケット式ガラスカラム(内径15mmφ、高さ2000mmH)に、温度60℃、空塔速度(SV)15hr−1の条件下、上記の粗ブラインを供給して処理した。貫流交換点(BTP)をCaとMgの合計濃度10ppmに設定したときの通液量(l/l−R)と貫流交換容量(eq/l−R)、Ca、Mg及びSrが何れも定常濃度5ppb以下の時の通液量(l/l−R)、セラミック濾過膜装置における圧力上昇およびキレート樹脂処理の際の沈殿生成に関する観察事項を表1に示した。
実施例2:
実施例1において、塩化第二鉄の水溶液を添加した後のpH値を8.0に変更した以外は、実施例1と同様に操作した。セラミック濾過膜装置においては安定に通水することが出来た。キレート樹脂処理の結果を表1に示す。
比較例1:
実施例1において、塩化第二鉄の水溶液を添加しなかった以外は、実施例1と同様に操作した。セラミック濾過膜処理においては、粗ブラインの濁度は0.1度であったが、図2に示すように急激な差圧上昇があり、安定に通水することが出来なかった。そのため、キレート樹脂処理は行わなかった。
比較例2:
実施例1において、塩化第二鉄の水溶液を添加した後のpH値を7.0に変更した以外は、実施例1と同様に操作した。セラミック濾過膜装置においては安定に通水することが出来たが、キレート樹脂処理においては表1に示すように硬度成分の吸着量が少なかった。
比較例3:
実施例1において、塩化第二鉄の水溶液を添加した後のpH値を10.0に変更した以外は、実施例1と同様に操作した。セラミック濾過膜装置においては安定に通水することが出来たが、キレート樹脂処理においては沈殿生成があり、ブラインの供給を続行することが出来なかった。
本発明の電解用ブラインの精製方法が採用された塩化ナトリウムの電解方法の一例を示す工程説明図 実施例1及び比較例1におけるセラミック濾過膜装置の差圧測定の結果を示すグラフ
符号の説明
10:原塩溶解工程
20:凝集剤添加工程
30:pH調節工程
40:濾過工程
50:キレート樹脂処理工程
60:電解工程
70:塩素脱気工程
80:脱芒硝工程

Claims (4)

  1. 原塩を水に溶解した後、得られた粗ブラインに凝集剤を添加し、次いで、粗ブラインを濾過した後、キレート樹脂で処理して粗ブライン中の二価金属イオンを除去する電解用ブラインの精製方法であって、凝集剤を添加した後であって濾過前の粗ブラインにアルカリ剤を添加してpHを7.5〜9.5の範囲に調節し、その後、粗ブラインのpHを変更することなく、上記の二価金属イオンの除去を行うことを特徴とする電解用ブラインの精製方法。
  2. 凝集剤として鉄系凝集剤を使用する請求項1に記載の方法。
  3. 鉄系凝集剤が塩化第二鉄である請求項2に記載の方法。
  4. アルカリ剤として水酸化ナトリウムを使用する請求項1〜3の何れかに記載の方法。
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