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JP4858449B2 - フッ素含有排水の処理方法 - Google Patents

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JP4858449B2 JP2008008744A JP2008008744A JP4858449B2 JP 4858449 B2 JP4858449 B2 JP 4858449B2 JP 2008008744 A JP2008008744 A JP 2008008744A JP 2008008744 A JP2008008744 A JP 2008008744A JP 4858449 B2 JP4858449 B2 JP 4858449B2
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Description

本発明はフッ素含有排水に塩化カルシウムや水酸化カルシウムなどのカルシウム化合物を添加してフッ素を不溶性のフッ化カルシウム(CaF)として固液分離する方法に係り、特に、排水中のフッ素に対してカルシウム化合物を有効に作用させて、高水質の処理水を得ると同時に含水率が低い汚泥を生成するフッ素含有排水の処理方法に関する。
半導体部品製造におけるシリコンウェハ製造工程から排出されるフッ素含有廃水、ステンレス鋼板製造工程から排出される酸洗廃水、アルミニウム表面処理廃水、フッ酸製造廃水、肥料製造廃水、ゴミ焼却廃水等のフッ素含有排水は、一般に、次のような二段処理・多段処理で処理されている。
即ち、まず、一段目でフッ素含有排水に水酸化カルシウムを添加してpHを10〜11にする第1反応工程とその反応液に過剰分のカルシウムイオン120〜250mg/Lに相当する水酸化カルシウムを注入すると共に、塩酸で中和する第2反応工程とを有する処理方法が採用されている(例えば、特許文献1参照)。またアルカリ性下での水酸化カルシウムとフッ酸との反応が遅いため、pHを酸性もしくは中性に維持しつつ、フッ化物イオンに対して0.3〜0.5当量の水酸化カルシウムを添加し、生成する不溶物を分離し、上澄水に対して同様の処理を繰り返し行うことも行われている(例えば、特許文献2参照)。
特開2004−283759(特許請求の範囲、第1図) 特許第3378362号(特許請求の範囲、段落13)
水酸化カルシウムを、pH10〜11に調整するpH調整剤を兼ねたフッ素不溶化剤として採用すると、フッ化物イオンの当量以上に添加することがあり、微細なフッ化カルシウムが析出し、それが処理水にリークして処理水水質が安定しない問題があった。また、高水質の処理水を得るために、生成した微細なフッ化カルシウムをポリマー等の凝集剤により凝集沈殿処理すると、生成する汚泥の含水率が高く、廃棄物量が多くなる問題があった。また、フッ化物イオンに対して0.3〜0.5当量の水酸化カルシウムを添加し、生成する不溶物を分離し、生成する不溶化物を分離する方法では、少なくても3回添加工程と分離工程とを繰り返さなければならず、処理水のフッ素濃度を15mg/L以下に低下するためには、4〜5回繰り返すことが必要であった。
また、原水やカルシウム化合物として添加される水酸化カルシウムにはアルミニウムなどの多価金属が含有されており、この多価金属の水酸化物がフッ化カルシウムの表面に析出し、フッ化カルシウムの成長を阻害して含水率の高い汚泥を生成するという問題を有していた。
本願発明は、少ない工程で安定した処理水質を得ると同時に含水率の低い汚泥を生成するためには、最初にフッ化物イオンを粗取りすれば、次に残留するフッ化物イオンに対して当量以上のカルシウム化合物を添加しても微細なフッ化カルシウムの生成は抑制できること、更には、返送汚泥にアルカリを添加して返送汚泥を反応させることでフッ化カルシウムの成長阻害を抑制できることを見出し、上記した従来技術の問題点を解決するに至った。
(1) フッ素含有排水にカルシウム化合物を添加してフッ化カルシウムを含む不溶化物を生成させる反応工程と、生成したフッ化カルシウムの不溶化物を含む汚泥と分離水とに固液分離する分離工程と、分離した汚泥の一部を返送汚泥として前記反応工程に返送する汚泥返送行程とを有するフッ素含有排水の処理方法において、前記反応工程は直列2段の反応槽を含み、前記汚泥返送工程は返送汚泥にアルカリを添加するアルカリ汚泥調整槽を含み、第1段目の反応槽に前記返送汚泥が返送されるとともに、フッ素含有水に含有されるフッ化物イオンの当量未満であって、第1段目の反応槽で残留するカルシウムイオン濃度が1mg/L以上50mg/L以下、第1段目の反応槽で残留するフッ化物イオン濃度が80mg/L以下となるように第1段目の反応槽にカルシウム化合物が添加され、更に、第2段目の反応槽にカルシウム化合物を、第1段目の反応槽で残留するフッ化物イオンの当量以上であって、フッ化物イオン濃度が15mg/L未満となるように添加することを特徴とするフッ素含有排水の処理方法。
(2) 上記(1)の処理方法において、前記アルカリ汚泥調整槽で添加するアルカリが水酸化カルシウムであって、第1段目に添加されるカルシウム化合物を兼用することを特徴とするフッ素含有水排水の処理方法。
(3) 上記(2)の処理方法において、前記アルカリ汚泥調整槽を経由して添加されるカルシウム化合物とは別に第1段目の反応槽にカルシウム化合物を添加する第2のカルシウム化合物添加手段を有し、フッ素含有水のフッ化物イオン濃度に基づいて前記アルカリ汚泥調整槽にカルシウム化合物が添加され、第1段目の反応槽のフッ化物イオン濃度および/またはカルシウムイオン濃度に基づいて第2のカルシウム化合物添加手段より第1段目の反応槽にカルシウム化合物が添加されることを特徴とするフッ素含有水の処理方法。
(4) 上記(1)から(3)のいずれかの処理方法において、第1段目の反応槽のpHを3〜6に調節することを特徴とするフッ素含有排水の処理方法。
本願第1の発明によれば、第1段目の反応槽にカルシウム化合物を、フッ化物イオンの当量未満であって、カルシウムイオンが1mg/L以上50mg/L以下残留するように添加するので、微細なフッ化カルシウムの生成を抑制して、フッ素の粗取りができ、第2段目の反応槽には、残留するフッ化物イオンの当量以上に過剰にカルシウム化合物を添加してフッ化物イオンを不溶化させるので、微細なフッ化カルシウムの生成が抑制でき、処理水水質が安定することができる。更に、返送汚泥にアルカリを添加することでフッ化カルシウム表面に吸着した水酸化アルミニウムなどの多価金属の水酸化物を溶解することで、反応工程におけるフッ化カルシウム結晶の成長阻害を抑制し、フッ化カルシウム粒子を大きく成長させることができ、含水率の低い汚泥が生成することができる。
本願第2の発明によれば、返送汚泥に添加するアルカリを水酸化カルシウムとすることで、アルカリ汚泥調整槽のpH調整のためのアルカリと、第1段目の反応槽で添加するカルシウム源とを兼用でき経済的である。
本願第3の発明によれば、第1段目の反応槽におけるフッ化物イオン濃度および/またはカルシウムイオン濃度を容易に適切な範囲に維持することが可能となる。
本願第4の発明によれば、第1段目の反応槽のpHを3〜6に調整すると、カルシウム化合物の添加量が少なくて済む。
以下、第1図を参照して実施の形態について説明する。
図1は、本発明の処理フローの概略図である。1は原水流入路、2は第1反応槽、3は第2反応槽、4は凝集槽、5は沈殿槽、6はアルカリ汚泥調整槽、7は沈殿槽5で分離した汚泥をアルカリ汚泥調整槽6に導入するための汚泥返送路、8はアルカリ汚泥調整槽6から第1反応槽2に汚泥を供給するためのアルカリ汚泥供給路、9はアルカリ注入配管、10および11はカルシウム化合物添加配管、12および13はpH調整剤注入配管、14は凝集剤注入配管、15は処理水排出路、16は汚泥排出路である。
フッ素含有排水である原水は、原水流入路1から第1反応槽2に流入し、そこでフッ化物イオンの当量未満のカルシウム化合物が添加されるとともに、pH調整剤注入配管12よりpH調整剤が注入されてpHを3〜11、より好ましくは3〜6に調整され、カルシウムイオンとフッ化物イオンとが反応してフッ化カルシウムが析出する。pHが3より小さいとフッ化カルシウムの溶解度が大きく、フッ化物イオン濃度を低減できず、またpHが11より大きいと炭酸カルシウムの析出が著しくなり、スケールの問題が生じる。pH3〜6の場合は、フッ化物イオンを少ないカルシウム添加量でフッ化カルシウムを析出させることができ、その際、後述する返送汚泥が核となり、その表面にフッ化カルシウムが析出するので、微細なフッ化カルシウムの生成が抑制されると同時にフッ化カルシウム粒子が大きく成長する。
なお、第1反応槽2および第2反応槽3の最適pHは処理目的によっても異なり、水酸化アルミニウムの阻害を防止し、より低い含水率の汚泥を得ることを目的とする場合には最適なpHは7から10程度であり、汚泥の凝集性を高め、より高い処理水質を得ることを目的とする場合には最適なpHは4〜6.5程度となる。
本発明者らの検討によると、反応槽に流入するフッ化物イオン濃度および反応槽に残留するカルシウムイオン濃度が、図2に示す溶解度曲線(フッ化カルシウムの理論溶解度積[Ca2+][F= 4.9×10-11mol/l)と過溶解度曲線にはさまれる領域であれば、微細なフッ化カルシウムの生成が抑制されると同時に核表面にフッ化カルシウムが析出し、フッ化カルシウム粒子が大きく成長するが、過溶解度曲線よりも高濃度であると微細なフッ化カルシウムが生成することがわかった。フッ化物イオンを15mg/L未満にまで処理する場合、カルシウムイオンはフッ化物イオンの当量以上、望ましくは当量より200〜300mg/L過剰に存在することが必要であるため、図2からわかるようにフッ化物イオンを、第1反応槽1において、80mg/L以下にまで低減することが必要である。
カルシウム化合物の添加量は、第1反応槽のフッ化物イオン濃度が80mg/L以下となり、かつ、残留カルシウムイオン濃度が低濃度となるように添加する。つまり、フッ化物イオンの当量未満であっても、第1反応槽にカルシウムイオンが残留する程度、すなわち、カルシウムイオンが1mg/L以上50mg/L以下残留するように添加する。カルシウムイオンが1mg/L未満であると、フッ素の粗取りができないおそれがあり、50mg/Lを超えると、微細なフッ化カルシウムの生成が抑制できないおそれがある。
第1反応槽でのカルシウム化合物の添加は、アルカリ注入配管9からアルカリ汚泥調整槽6に供給するアルカリを水酸化カルシウムとすることで、アルカリ汚泥供給路8を介してアルカリ汚泥とともに添加することが好ましい。このようにアルカリ汚泥調整槽6に注入するアルカリを水酸化カルシウムとすることで、アルカリ汚泥調整槽のpH調整のためのアルカリと、第1段目の反応槽で添加するカルシウム源とを兼用するこができ経済的である。
このときカルシウム化合物添加配管10からのカルシウム化合物の添加は省略することも可能であるが併用してもよい。併用する場合には、原水のフッ化物イオン濃度を測定して、当該測定値に基づいてフッ化物イオンの当量未満となるように、アルカリ注入配管9からアルカリ汚泥供給路8を介して水酸化カルシウムを添加する。そして、第1反応槽2内のカルシウムイオン濃度および/またはフッ化物イオン濃度を測定し、これらの測定値が上述した範囲となるよう不足分のカルシウムをカルシウム化合物添加配管10より供給することが好ましい。このようにカルシウム化合物を添加することで、原水のフッ化物イオン濃度や水酸化カルシウムスラリーの濃度が変動する場合にも容易に上述の範囲となるようカルシウム化合物の添加量を設定することが可能となる。
なお、アルカリ注入配管9からアルカリ汚泥調整槽6に供給されるアルカリが、水酸化ナトリウムなどのカルシウム化合物以外のアルカリである場合には、第1反応槽2へのカルシウム化合物の供給はカルシウム化合物添加配管10のみによって行われる。
次にフッ素が粗取りされた第1反応槽2の反応液は、固液分離することなく、第2反応槽3に流入し、そこでフッ化物イオンの当量以上に過剰にカルシウム化合物が添加され、残留するフッ化物イオンを不溶化する。その際、pH調整は、処理水の放流を考慮してpH5.8〜8.6の間にpH調整することが好ましい。ただし、上述したように、水酸化アルミニウムの阻害を防止し、より低い含水率の汚泥を得ることを目的とする場合にはpHは7から10程度に、汚泥の凝集性を高め、より高い処理水質を得ることを目的とする場合にはpHは4〜6.5程度とすることが好ましい。
第2反応槽3の反応液は、凝集槽4に導入することが好ましい。第1反応槽2や第2反応槽3におけるカルシウム化合物の添加量設定間違い等で、微細なフッ化カルシウムの生成を抑制できなかった場合や、処理水水質の更なる向上のために、凝集槽4では高分子凝集剤を凝集剤注入配管14より添加することが好ましい。高分子凝集剤としては、懸濁排水の凝集処理に持ちいれられるものであれば特に制限されるものではないが、ポリアクリル酸系のアニオン性高分子凝集剤を好適に用いることができる。
次に、凝集された、または凝集処理されなかった反応液は沈殿槽5で固液分離され、フッ化カルシウムを含む不溶化物スラリーは返送汚泥として汚泥返送路7からアルカリ汚泥調整槽6およびアルカリ汚泥供給路8を介して第1反応槽2に返送され、カルシウムとフッ化物イオンとが反応してフッ化カルシウムが析出する核となる。汚泥返送量は、原水流量の0.01〜10倍程度で、通常は0.05〜0.5倍、原水のフッ化物濃度が高い場合は、希釈を兼ねて0.1〜10倍とするのが好ましい。
原水や系内に添加するカルシウム化合物中には不純物としてアルミニウムなどの多価金属が含有されている。この多価金属はフッ化カルシウム表面に吸着し、第1反応槽2などでのフッ化カルシウム結晶の成長を阻害する原因となる。本発明では、返送汚泥はアルカリ汚泥調整槽6でアルカリと混合し、フッ化カルシウム表面の水酸化アルミニウム等を溶解することで、第1反応槽2などでのフッ化カルシウム結晶の成長阻害を抑制する。アルカリ汚泥調整槽6のpHは水酸化アルミニウムを溶解するためにpH7以上、より好ましくは9以上に調整する。アルカリ汚泥調整槽6のpHの上限は特に制限されるものではないが通常13程度であれば十分である。pH調整のためのアルカリ性化合物は、上述した通り、カルシウム源としても併用でき経済的であることから、水酸化カルシウムを用いることが好ましい。なお、アルカリ汚泥供給路8を介して添加される水酸化カルシウムの添加量を、上述のように原水のフッ化物イオン濃度に基づいて制御すると、アルカリ汚泥調整槽6のpHはおよそ9〜13の範囲に保持される。ただし、この範囲より外れる場合は、別途pH調整剤を添加して調整する必要がある。
分離水は処理水排出路15から処理水として排出される。分離水は処理水排出路15から処理水として排出され、系内の汚泥の蓄積を防止するために汚泥排出路16より余剰汚泥が系外へ排出される。この余剰汚泥の排出は、定期的に排出するようにしてもよいが、汚泥返送路7などに汚泥濃度計を設け、所定濃度以上になると汚泥を排出するようにしてもよいし、また、沈殿槽5の沈殿汚泥の界面を検出し、沈殿汚泥の界面が所定のレベル以上となった場合に汚泥を排出するようにしてもよい。なお、排出汚泥は遠心サイクロンなどで微小粒子を取り除いたのちに、汚泥脱水機によって脱水処理することが好ましい。汚泥脱水機としては特に限定されるものではなくフィルタプレス脱水機や遠心脱水機などが用いられるが、汚泥粒子間の間隙水を効率的に分離できる点で遠心脱水機が好ましい。なお、遠心サイクロンなどで分離した微小粒子はアルカリ汚泥調整槽6に返送し、フッ化カルシウムが析出する核として利用するようにすることが好ましい。
本カルシウム化合物としては、カルシウムイオンを遊離するものでよく、塩化カルシウムや水酸化カルシウムが挙げられる。pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリや、塩酸、硫酸などの酸を用いることができる。また、アルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどを用いることができる。
実施例1
図1に示す処理フローでのフッ素含有排水を処理した。
原水水質は以下のとおり。
pH:3.5〜4.0、F:150〜500mg/L、PO 3−−P:0.1〜1mg/L、SO 2−:1.9〜52.3mg/L、NO ―N:23.7〜69.5mg/L、Cl:4.5〜447mg/L、SiO:0.9〜4mg/L、TOC:0.4〜2.3mg/L。
第1反応槽2および第2反応槽3の容量は各20L,凝集槽4およびアルカリ汚泥調整槽6の容量は各5L,沈殿槽5の容量は40Lで、上記原水の流量は60L/Hr,返送汚泥量は、12L/Hrとした。カルシウム化合物としては、水酸化カルシウムを用い、アルカリ汚泥調整槽6、第1反応槽2および第2反応槽3にそれぞれ添加した。なお、水酸化カルシウムの各槽への添加量は、アルカリ汚泥調整槽6のpHがpH11.5〜12.5、第1反応槽2のフッ化物イオン濃度が30〜50mg/L、第2反応槽のカルシウムイオン濃度が200〜300mg/Lとなるように設定した。pH調整剤としては20%の塩酸、5%の水酸化ナトリウムを用い、第1反応槽2のpHを5±0.5、第2反応槽3のpHを7±0.5に調整した。凝集槽4には、高分子凝集剤クリフロック(栗田工業株式会社登録商標)PA331(ポリアクリルアミドの部分加水分解物)を3mg/L添加した。第1、2反応槽内の反応液および処理水をメンブレンフィルター(孔径0.45μm)で濾過し、濾液の分析を行い、また、沈澱汚泥を遠心分離機により2000Gで脱水し得られた脱水汚泥の含水率を測定した。これらの結果を表1に示した。なお、表1中の実施例1における第1反応槽カルシウム化合物添加量は、アルカリ調注入配管9から供給されるカルシウム化合物の添加量とカルシウム化合物添加配管10から供給されるとの和で示した。
比較例1
実施例1において、アルカリ汚泥調整槽6を経由せずに第1反応槽2に直接汚泥を返送し、第1反応槽2へのカルシウム化合物の添加をカルシウム化合物添加配管10からのみとした以外は実施例1と同様に処理を行った。結果を表1に示した。
比較例2
比較例1において、第2反応槽3に水酸化カルシウムを添加することなく、第1反応槽2のみに水酸化カルシウムをフッ化物イオン当量より過剰に添加した以外は比較例1と同様に処理を行った。結果を表1に示した。
Figure 0004858449
表1から、比較例1ではフッ素の除去効果は高いものの、生成汚泥の含水率が高いことがわかる。また、比較例2では高濃度のフッ素と高濃度のカルシウムが反応するために微細なフッ化カルシウム粒子が生成し、処理水側にリークするために、処理水の全フッ素濃度が高く、良好な処理水が得られないことが分る。
なお、比較例1において、生成した汚泥を乾燥させた後に汚泥の組成分析を行った。汚泥全体の組成分析は汚泥を酸で溶解した後に溶解性イオン濃度を測定することにより、汚泥表面の組成分析はXPSにより測定した。分析結果を表2に示す。
Figure 0004858449
表2より、返送汚泥をアルカリ汚泥調整槽でアルカリに調整しなかった比較例1の場合の汚泥では、汚泥全体に比べて汚泥表面のアルミニウム含有率が高く、フッ化カルシウム表面に水酸化アルミニウムが析出していることがわかる。
本発明のフッ素含有排水の処理方法の実施の形態を示す系統図である。 フッ化カルシウムの溶解度を表わすグラフである。縦軸はカルシウムイオン濃度、横軸はフッ化物イオン濃度を示す。破線は溶解度曲線、実線は過溶解度曲線である。点線はカルシウムイオンとフッ化物イオンの当量線である。
符号の説明
1 原水流入路
2 第1反応槽
3 第2反応槽
4 凝集槽
5 沈殿槽
6 アルカリ汚泥調整槽
7 汚泥返送路
8 アルカリ汚泥供給路
9 アルカリ注入配管
10、11 カルシウム化合物添加配管
12、13 pH調整剤注入配管
14 凝集剤注入配管
15 処理水排出路
16 汚泥排出路

Claims (4)

  1. フッ素含有排水にカルシウム化合物を添加してフッ化カルシウムを含む不溶化物を生成させる反応工程と、生成したフッ化カルシウムの不溶化物を含む汚泥と分離水とに固液分離する分離工程と、分離した汚泥の一部を返送汚泥として前記反応工程に返送する汚泥返送行程とを有するフッ素含有排水の処理方法において、
    前記反応工程は直列2段の反応槽を含み、前記汚泥返送工程は返送汚泥にアルカリを添加するアルカリ汚泥調整槽を含み、第1段目の反応槽に前記返送汚泥が返送されるとともに、フッ素含有水に含有されるフッ化物イオンの当量未満であって、第1段目の反応槽で残留するカルシウムイオン濃度が1mg/L以上50mg/L以下、第1段目の反応槽で残留するフッ化物イオン濃度が80mg/L以下となるように第1段目の反応槽にカルシウム化合物が添加され、更に、第2段目の反応槽にカルシウム化合物を、第1段目の反応槽で残留するフッ化物イオンの当量以上であって、フッ化物イオン濃度が15mg/L未満となるように添加することを特徴とするフッ素含有排水の処理方法。
  2. 請求項1において、前記アルカリ汚泥調整槽で添加するアルカリが水酸化カルシウムであって、第1段目に添加されるカルシウム化合物を兼用することを特徴とするフッ素含有水排水の処理方法。
  3. 請求項2において、前記アルカリ汚泥調整槽を経由して添加されるカルシウム化合物とは別に第1段目の反応槽にカルシウム化合物を添加する第2のカルシウム化合物添加手段を有し、フッ素含有水のフッ化物イオン濃度に基づいて前記アルカリ汚泥調整槽にカルシウム化合物が添加され、第1段目の反応槽のフッ化物イオン濃度および/またはカルシウムイオン濃度に基づいて第2のカルシウム化合物添加手段より第1段目の反応槽にカルシウム化合物が添加されることを特徴とするフッ素含有水の処理方法。
  4. 請求項1から3のいずれかにおいて、第1段目の反応槽のpHを3〜6に調節することを特徴とするフッ素含有排水の処理方法。
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