JP2008155166A - 流体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 領域毎の均熱性が高く、小型化を容易に達成することができる流体装置を提供する。
【解決手段】 流体が流れる流路7,8がそれぞれ設けられ、少なくとも一方は加熱又は冷却することが可能な2つの流路基板2,3と、2つの流路基板2,3を収容する収容容器4と、収容容器4にそれぞれ接合されるとともに、対応する流路基板2,3の流路にそれぞれ接続される2つの第1管5,6と、流路基板2,3の流路同士を接続する第2管9とを備え、各第1管5,6と収容容器4との接合部位から各第1管5,6と対応する流路7,8との接続部位までの長さは、各第1管5,6がそれぞれ接続された流路が設けられている2つの流路基板2,3の温度の大小に応じて異なる。
【選択図】 図1
【解決手段】 流体が流れる流路7,8がそれぞれ設けられ、少なくとも一方は加熱又は冷却することが可能な2つの流路基板2,3と、2つの流路基板2,3を収容する収容容器4と、収容容器4にそれぞれ接合されるとともに、対応する流路基板2,3の流路にそれぞれ接続される2つの第1管5,6と、流路基板2,3の流路同士を接続する第2管9とを備え、各第1管5,6と収容容器4との接合部位から各第1管5,6と対応する流路7,8との接続部位までの長さは、各第1管5,6がそれぞれ接続された流路が設けられている2つの流路基板2,3の温度の大小に応じて異なる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、生体物質や、自然環境における物質等の微量化学分析に用いられる化学チップ等に利用される基板を備えた流体装置に関する。
近年、マイクロマシニング技術の発達により、微小な化学反応モジュールや、化学分析モジュール、微小なセンサやバルブ、ポンプ等のような、サイズの極めて小さい機器類の製作が可能になっており、また、これらのモジュールや機器類を組み合わせて、DNAの分析等に特化した、いわゆる化学チップの提案もなされている(例えば、特許文献1参照)。このような化学チップでは、基板に設けられた流路の近傍にヒーターが配置され、そのヒーターによって、流路を流れる物質の温度を調整することができる。
特許第3538777号
しかしながら、流路基板内で複数の異なる反応が行われる場合には、同一基板に加熱温度の異なる複数のヒーターが配置されることとなり、個々の温度領域内で温度を均一に保持することが困難であるという問題があった。特に、このような流路基板をパッケージ内に保持して収容する場合、その保持部を介して流路基板からパッケージに熱が移動する若しくはパッケージから流路基板に熱が移動することにより、流路基板内で温度が均一化してしまい、複数の領域を異なる温度に保持することが困難になる、すなわち領域毎の均熱性が低くなるという問題があった。
また、流路基板とその流路基板を収容する収容容器とを有する流体装置は、できるだけ小型であることが要求される。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、流体が導入される空洞を有する基板における各温度領域の均熱性が高く、小型化を容易に達成することができる流体装置を提供することである。
上記問題を解決するため、本発明の第1の流体装置は、表面に設けられた、流体が供給又は排出される2つの開口と、内部に設けられるとともに、前記の2つの開口に接続された空洞とをそれぞれ有する2つの基板と、前記の2つの基板を収容する収容容器と、前記の収容容器にそれぞれ接続されるとともに、対応する前記の基板の一方の開口にそれぞれ接続される2つの第1管と、前記の2つの基板の他方の開口同士を接続する第2管と
を備え、前記の2つの基板の少なくとも一方は、加熱又は冷却することが可能であり、前記の各第1管と前記の収容容器との接合部位から該各第1管と対応する前記の基板との接続部位までの長さは、前記の各第1管がそれぞれ接続された前記の2つの基板の温度の大小に応じて異なることを特徴とする。
を備え、前記の2つの基板の少なくとも一方は、加熱又は冷却することが可能であり、前記の各第1管と前記の収容容器との接合部位から該各第1管と対応する前記の基板との接続部位までの長さは、前記の各第1管がそれぞれ接続された前記の2つの基板の温度の大小に応じて異なることを特徴とする。
本発明の第2の流体装置は、第1の流体装置において、好ましくは、前記の2つの基板は前記の収容容器の温度以上であって、該2つの基板間に温度差が存在し、温度が高い前記の基板の前記の開口に接続されている前記の第1管の前記の長さは、温度が低い前記の基板の前記の開口に接続されている前記の第1管の前記の長さよりも長い。
本発明の第3の流体装置は、第1の流体装置において、好ましくは、前記の2つの基板は前記の収容容器の温度以下であって、該2つの基板間に温度差が存在し、温度が低い前記の基板の前記の開口に接続されている前記の第1管の前記の長さは、温度が高い前記の基板の前記の開口に接続されている前記の第1管の前記の長さよりも長い。
本発明の第4の流体装置は、第1から第3のいずれかの流体装置において、好ましくは、表面に設けられた2つの開口と、内部に設けられるとともに、前記の2つの開口に接続された空洞とを有する少なくとも1つの基板をさらに備え、前記の基板間の開口同士を接続する前記の第2管は複数存在し、前記の各第2管の長さは、該各第2管にそれぞれ接続される2つの前記の基板間の温度差に応じた長さである。
本発明の第5の流体装置は、第1から第4のいずれかの流体装置において、好ましくは、複数の前記の基板は、該複数の基板の主面がそれぞれ平行になるように配置されている。
本発明の第6の流体装置は、第5の流体装置において、好ましくは、前記の第1管及び第2管は、対応する前記の基板の主面にそれぞれ垂直に接続されている。
本発明の第7の流体装置は、第1から第6のいずれかの流体装置において、好ましくは、前記の空洞は、流体が流れる流路である。
本発明の第8の流体装置は、第1から第7のいずれかの流体装置において、好ましくは、前記の2つの第1管の一方は、前記の収容容器の外部から前記の2つの基板の一方に流体を供給する流体供給管であり、前記の2つの第1管の他方は、前記の2つの基板の他方から前記の収容容器の外部に流体を排出する流体排出管である。
本発明の第9の流体装置は、第1から第8のいずれかの流体装置において、好ましくは、前記の収容容器の内部は真空である。
本発明の流体装置によれば、表面に設けられた、流体が供給又は排出される2つの開口と、内部に設けられるとともに、前記2つの開口に接続された空洞とをそれぞれ有する2つの基板と、前記2つの基板を収容する収容容器と、前記収容容器にそれぞれ接続されるとともに、対応する前記基板の一方の開口にそれぞれ接続される2つの第1管と、前記2つの基板の他方の開口同士を接続する第2管とを備え、前記2つの基板の少なくとも一方は、加熱又は冷却することが可能であり、前記各第1管と前記収容容器との接合部位から該各第1管と対応する前記基板との接続部位までの長さは、前記各第1管がそれぞれ接続された前記2つの基板の温度の大小に応じて異なることを特徴とすることから、第1管と収容容器との接合部位から第1管と対応する開口、すなわち対応する基板との接続部位までの長さを長くした場合、その開口が設けられた基板と収容容器と間の熱の移動が少なくなり、基板と収容容器との間の温度差を大きくすることができる。また、第1管と収容容器との接合部位から第1管と対応する開口との接続部位までの長さを短くした場合、その開口が設けられた基板と収容容器と間の熱の移動が多くなり、基板と収容容器との間の温度差を小さくすることができる。すなわち、第1管と収容容器との接合部位から第1管と対応する開口との接続部位までの長さを変化させることにより、その第1管が接続される基板と収容容器との間の熱の移動量を変化させることができるため、同じ温度の収容容器に対して、異なる温度の基板を接続したとしても、各基板を異なる温度に均一に保持することができる。
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。図1は本実施の形態による流体装置を模式的に示した断面図である。
図1に示されるように、本実施の形態による流体装置1は、2つの流路基板2,3と、2つの流路基板2,3を収容する収容容器4と、収容容器4にそれぞれ接合されるとともに対応する2つの流路基板2,3にそれぞれ接続される2つの第1の管5,6とを備える。流路基板2には流体が流れる流路7が設けられ、流路基板3には流体が流れる流路8が設けられている。第1管5の一端は、流路基板2に設けられた流路7の一端に接続され、第1管6の一端は、流路基板3に設けられた流路8の一端に接続されている。また、流路7の他端と流路8の他端は、第2管9によって接続されている。流路基板2には、ヒーター10が配置され、流路基板2は流路基板3よりも高温に設定される。ここで、第1管5と収容容器4との接合部位から第1管5と流路7との接続部位までの長さ(以下、単に「第1管5の長さ」という。)は、第1管6と収容容器4との接合部位から第1管6と流路8との接続部位までの長さ(以下、単に「第1管6の長さ」という。)よりも長い。なお、本実施の形態による流体装置1において、ヒーター10は、流路基板2を収容容器4よりも高い温度に加熱する。
流路基板2,3は、触媒等が担持された微細な流路7,8あるいは空隙を有しており、触媒等を用いて流体として流れる物質を変性、分解し、別の物質に変換するための化学反応部として作用する。
流路基板2,3としては、例えばセラミック基板が挙げられる。セラミック基板は、酸化アルミニウム質焼結体(アルミナセラミックス)、窒化アルミニウム質焼結体、窒化珪素質焼結体、炭化珪素質焼結体等のセラミックから成り、例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る場合、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化珪素(SiO2)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)等に有機溶剤、溶媒を添加混合して泥漿物(スラリー)を得、次にスラリーを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等を採用してテープ状に成形してセラミックグリーンシート(セラミック生シート)を得、しかる後、セラミックグリーンシートを複数枚積層し、レーザー加工法等により、断面が長方形の流路形状に加工する。その後、これを高温(約1600℃)で焼成することによって製作される。
流路基板を加熱する場合、流路基板にはヒーター10が搭載される。ヒーター10は、タングステン(W)等の導体、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化珪素(SiO2)等に有機溶剤、溶媒を添加混合して導体ペーストを得、次に導体ペーストを従来周知のスクリーン印刷法等により所望の幅、厚みの配線パターンが形成された製版を使用して、製版パターンから導体ペーストを押し出すようにセラミックグリーンシート上に印刷し、セラミックグリーンシートを積層後、焼成することにより製作される。
なお、流路基板2,3の材質としては、シリコン等の半導体,石英,ガラス,金属、樹脂等も用いられる。
収容容器4は、流路基板2,3を収納する容器としての役割を有する。それらは、例えば、SUS,Fe−Ni−Co合金,Fe−Ni合金等のFe系合金や、無酸素銅等の金属材料、酸化アルミニウム(Al2O3)質焼結体,ムライト(3Al2O3・2SiO2)質焼結体,炭化珪素(SiC)質焼結体,窒化アルミニウム(AlN)質焼結体,窒化珪素(Si3N4)質焼結体,ガラスセラミックス等のセラミック材料、ポリイミド等の高耐熱の樹脂材料等で形成されている。
なお、収容容器4に適用可能なガラスセラミックスは、ガラス成分とフィラー成分とから成る。そのガラス成分としては、例えばSiO2−B2O3系,SiO2−B2O3−Al2O3系,SiO2−B2O3−Al2O3−MO系(但し、MはCa,Sr,Mg,BaまたはZnを示す),SiO2−Al2O3−M1O−M2O系(但し、M1およびM2は同一または異なってCa,Sr,Mg,BaまたはZnを示す),SiO2−B2O3−Al2O3−M1O−M2O系(但し、M1およびM2は前記と同じである),SiO2−B2O3−M3 2O系(但し、M3はLi,NaまたはKを示す),SiO2−B2O3−Al2O3−M3 2O系(但し、M3は前記と同じである),Pb系ガラス,Bi系ガラス等が挙げられる。
また、フィラー成分としては、例えばAl2O3,SiO2,ZrO2とアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物、TiO2とアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物、Al2O3およびSiO2から選ばれる少なくとも1種を含む複合酸化物(例えばスピネル,ムライト,コージェライト)等が挙げられる。
一方、収容容器4が、例えば相対密度が95%以上の緻密質の酸化アルミニウム質焼結体で形成されている場合は、例えば、まず酸化アルミニウム粉末に希土類酸化物粉末や酸化アルミニウム粉末等の焼結助剤を添加,混合して、酸化アルミニウム質焼結体の原料粉末を調製する。次いで、この原料粉末に有機バインダおよび分散媒を添加,混合してペースト化し、このペーストをドクターブレード法によって、あるいは原料粉末に有機バインダを加え、プレス成形,圧延成形等によって、所定の厚みのグリーンシートを作製する。その後、所定枚数のシート状成形体を位置合わせして積層圧着した後、この積層体を、例えば非酸化性雰囲気中、焼成最高温度が1200〜1500℃の温度で焼成して、目的とするセラミック製の収容容器4を得る。なお、収容容器4の成形は粉末成形プレス法であっても良い。
他方、収容容器4が金属材料から成る場合は、切削法,プレス法,MIM(Metal Injection Mold)法等により所定の形状に形成される。
また、収容容器4が金属材料から成る場合には、腐食を防止するためにその表面は、例えばAu,Niのめっき処理や、ポリイミド等の樹脂コーティング等の被覆コーティング処理が行なわれることが望ましい。例えばAuめっき処理の場合であれば、その厚さは0.1〜5μm程度であることが望ましい。
また、収容容器4の少なくとも内側表面をAuやAlのめっき処理膜で覆うことにより、収容された流路基板2で発生する輻射熱を効率良く防ぐことができ、流体装置1の昇温を抑制することが可能となる。
以上のような収容容器4は、流体装置1の小型化,低背化を可能とするためには厚さを薄くすべきであるが、機械的強度である曲げ強度は200MPa以上であることが好ましい。
さらには、収容容器4は、上記に述べた異種の材料の組合せでもよく、部分的に異なる材料を組合せて用いてもよい。
収容容器4を例えばベース板と凹形状の蓋体とした場合、流路基板2下面と収容容器4のベース板上面を第1管5,6を介して接続し、さらに凹形状の蓋体を用いて流路基板2を封止することによって、流路基板2を収容容器4内に気密に封止した流体装置1が形成される。封止方法としては、ベース板に、Au合金,Ag合金,Al合金等の金属ロウ材やガラス材による接合やシームウェルド法等、または抵抗溶接、レーザー溶接、電子ビーム溶接等により蓋体を取着する方法が考えられる。
次に、第1管5,6は、反応前の流体を供給する供給路および反応後の流体を排出する排出路であり、第2管9は、2つの流路基板2,3間において反応後の流体を排出する排出路および反応後の流体を供給する供給路である。第1管5,6及び第2管9は、例えば、Fe−Ni合金,Fe−Ni−Co合金,SUS等の金属材料、Al2O3質焼結体,3Al2O3・2SiO2質焼結体,SiC質焼結体,AlN質焼結体,Si3N4質焼結体,ガラスセラミック焼結体等のセラミック材料、ポリイミド等の高耐熱の樹脂材料、または、ガラスで形成されている。
第1管5,6及び第2管9は、収容容器4の熱膨張係数と同一または近似した金属が用いられるのがよく、例えば、収容容器4でセラミック材料を用いている箇所に接続する場合、Fe−Ni合金,Fe−Ni−Co合金よりなるものが、実用時の温度変化に対して熱歪の発生を防止できるので好ましい。その場合、第1管4と収容容器4および流路基板2をAu−Sn合金,Au−Si合金,Au−Ge合金,Ag−Cu合金等の各種ロウ材で接合すると、良好な封着性が得られるとともに、良好な接続強度が得られる。
本実施の形態による流体装置1では、第1管5の長さは、第1管6の長さよりも長い。しかし、2つの第1管5,6の長さは、第1管5,6が接続された流路7,8が設けられている2つの流路基板2,3の温度の大小に応じて異なる。流路基板2と収容容器4との間の温度差ΔT1は、第1管5の長さL1、断面積S1、及び熱伝導率λ1、並びに流路基板2の発熱量Q1に関係し、ΔT1=Q1×L1/(λ1×S1)の関係式で表される。ここで、流路基板2と収容容器4との間の温度差が大きいということは、熱が移動しにくい、つまり、熱の移動が少ないことを表している。第1管5の長さL1を長くした場合、流路基板2と収容容器4と間の熱の移動が少なくなり、流路基板2と収容容器4の温度差ΔT1を大きくすることができる。また、第1管5の長さL1を短くした場合、流路基板2と収容容器4との間の熱の移動が多くなり、流路基板2と収容容器4の温度差ΔT1を小さくすることができる。なお、これらの説明は、流路基板3と収容容器との間の温度差についても当てはまる。すなわち、流路基板3と収容容器4との間の温度差ΔT2は、第1管6の長さL2、断面積S2、及び熱伝導率λ2、並びに流路基板3の発熱量Q2に関係し、ΔT2=Q2×L2/(λ2×S2)の関係式で表される。その結果、同じ温度の収容容器4に対して、異なる温度の流路基板2,3を接続したとしても、各流路基板2,3と収容容器4との間の温度差ΔT1,ΔT2は、対応する各第1管5,6の長さによって調整できるため、各流路基板2,3を異なる温度に均一に保持することができる。
具体的に、本実施の形態による流体装置1においては、温度が高い流路基板2の流路に接続されている第1管5の長さL1は、温度が低い流路基板3の流路に接続されている第1管6の長さL2よりも長い。よって、温度が高い流路基板2と収容容器4との温度差ΔT1は、温度が低い流路基板3と収容容器4との温度差ΔT2よりも大きい。すなわち、温度が高い流路基板2から収容容器4への熱の移動は、温度が低い流路基板3から収容容器4への熱の移動よりも少なくなり、収容容器4に対して、各流路基板2,3の温度を異なる温度に均一に保持することができる。
また、本実施の形態による流体装置1において、2つの第1管5,6の一方は、収容容器4の外部から2つの流路基板2,3の一方に流体を供給する流体供給管であり、2つの第1管5,6の他方は、2つの流路基板2の他方から収容容器4の外部に流体を排出する流体排出管である。例えば、第1管5が流体供給管であり、第1管6が流体排出管である場合、収容容器4の外部より第1管5を通じて流入した流体は、流路7、第2管9、流路8、第1管6を順に連続的に流れて、収容容器4の外部へ流出し、また、流路基板2は加熱されているため、流路および管を流れる流体を連続して加熱することができる。
また、流体装置1は、流体が流れる流路が設けられた少なくとも1つの流路基板2をさらに備えてもよい。その場合、第2管は複数存在し、各第2管の長さは、各第2管にそれぞれ接続される2つの流路基板の温度差に応じた長さである。ここで、2つの流路基板間の温度差ΔT3については、ΔT3=Q×L3/(λ3×S3)の関係式が成り立つ。このように、2つの流路基板間の第2管の長さを変化させると、2つの流路基板間の熱の移動量を変化させることができ、各流路基板2の温度を異なる温度に均一に保持することができる。
また、本実施の形態による流体装置1においては、流路基板2,3は、流路基板2,3の主面がそれぞれ平行になるように配置されている。また、第1管5,6及び第2管9は、対応する流路基板2,3の主面にそれぞれ垂直に接続されている。よって、各流路基板2,3と収容容器4との温度差は、対応する各第1管5,6の長さ、すなわち各第1管5,6がそれぞれ接合されている収容容器4の底面に対する各流路基板2,3の高さにそれぞれ比例する。これにより、収容容器4に複数の流路基板を収容する場合でも、各流路基板の高さをそれぞれ調整することにより、各流路基板と収容容器4との温度差、及び各流路基板間の温度差を容易に調整することができる。また、第1管を対応する流路基板にそれぞれ接続し、第2管を流路基板に接続する際に第1管及び第2管の外周部に熱や外的な力により生じる応力を均等に分散することができ、接続強度を高くすることが可能となる。
また、収容容器4の内部は真空であってもよい。収容容器4の内部が真空であると、流路基板2,3の表面からの放熱が無く、流路基板2,3内をそれぞれ均熱にすることが可能である。
以上のように、各流路基板2,3の温度に応じて、第1管5,6及び第2管9の長さを設定することにより、各流路基板2,3の均熱性をそれぞれ高くすることができる。また、各流路基板2,3と各流路基板2,3を収容する収容容器4とを有する流体装置1を、用意に小型化できる。なお、本実施の形態による流体装置1において、流路基板2,3は、1つの流路基板における2つの異なる温度領域とみなすことができる。
なお、流体装置1は、化学チップに限定されるものではなく、メタノール型燃料電池等の電子部品等に利用してもよい。
また、本実施の形態による流体装置1によれば、2つの流路基板2,3のうち流路基板2のみを加熱したが、2つの流路基板2,3を両方とも加熱してもよい。2つの流路基板2,3を両方加熱した場合でも、2つの流路基板2,3の温度の大小に応じて、2つの第1管5,6の長さを変化させることにより、収容容器4に対して、各流路基板2,3の温度を異なる温度に均一に保持することができる。
また、これまでは、2つの流路基板2,3の少なくとも一方を加熱する場合を説明したが、2つの流路基板2,3の少なくとも一方を冷却する場合であっても同様のことがいえる。例えば、流路基板2の冷却温度が流路基板3の冷却温度よりも低い場合、収容容器4から流路基板2への熱の移動が収容容器4から流路基板3への熱の移動よりも小さくなるように、第1管5の長さを第1管6の長さよりも長くすればよい。なお、流路基板2,3の少なくとも一方を冷却する場合であっても、流路基板2と収容容器4との間の温度差ΔT1は、ΔT1=Q1×L1/(λ1×S1)の関係式で表され、流路基板3と収容容器4との間の温度差ΔT2は、ΔT2=Q2×L2/(λ2×S2)の関係式で表される。
このように、第1管5の長さ及び第1管6の長さをそれぞれ変化させることにより、収容容器4から各流路基板2,3への熱の移動量をそれぞれ調整することができるため、収容容器4に対して、各流路基板2,3の温度を異なる温度に均一に保持することができる。
なお、上述の説明において、流路基板を加熱するとは、流路基板を収容容器よりも高い温度に加熱することをいい、流路基板を冷却するとは、流路基板を収容容器よりも低い温度に冷却することをいう。
なお、上述の説明では、第1管5の長さ及び第1管6の長さをそれぞれ変化させて、収容容器4から各流路基板2,3への熱の移動量をそれぞれ調整したが、第1管5,6の長さだけでなく、第1管5,6の太さや材質を変えることにより、収容容器4から各流路基板2,3への熱の移動量をそれぞれ調整してもよい。
なお、これまでは、基板に流路が設けられた流路基板について説明したが、空洞が設けられた基板であれば、同様の説明が当てはまる。この場合、空洞が設けられた基板は、表面に設けられた、流体が供給される供給口及び流体が排出される排出口を有し、空洞は供給口及び排出口にそれぞれ接続される。そして、上記基板を収容する収容容器にそれぞれ接合されるとともに、一方の基板の供給口及び他方の基板の排出口に接続される2つの第1管について、各第1管と収容容器との接合部位から該各第1管と対応する基板の供給口又は排出口までの長さは、各第1管がそれぞれ接続された2つの基板の温度の大小に応じて異なる。
1 流体装置
2,3 流路基板
4 収容容器
5,6 第1管
7,8 流路
9 第2管
10 ヒーター
2,3 流路基板
4 収容容器
5,6 第1管
7,8 流路
9 第2管
10 ヒーター
Claims (9)
- 表面に設けられた、流体が供給又は排出される2つの開口と、内部に設けられるとともに、前記2つの開口に接続された空洞とをそれぞれ有する2つの基板と、
前記2つの基板を収容する収容容器と、
前記収容容器にそれぞれ接続されるとともに、対応する前記基板の一方の開口にそれぞれ接続される2つの第1管と、
前記2つの基板の他方の開口同士を接続する第2管と
を備えた流体装置であって、
前記2つの基板の少なくとも一方は、加熱又は冷却することが可能であり、
前記各第1管と前記収容容器との接合部位から該各第1管と対応する前記基板との接続部位までの長さは、前記各第1管がそれぞれ接続された前記2つの基板の温度の大小に応じて異なることを特徴とする流体装置。 - 前記2つの基板は前記収容容器の温度以上であって、該2つの基板間に温度差が存在し、温度が高い前記基板の前記開口に接続されている前記第1管の前記長さは、温度が低い前記基板の前記開口に接続されている前記第1管の前記長さよりも長いことを特徴とする請求項1に記載の流体装置。
- 前記2つの基板は前記収容容器の温度以下であって、該2つの基板間に温度差が存在し、温度が低い前記基板の前記開口に接続されている前記第1管の前記長さは、温度が高い前記基板の前記開口に接続されている前記第1管の前記長さよりも長いことを特徴とする請求項1に記載の流体装置。
- 表面に設けられた2つの開口と、内部に設けられるとともに、前記2つの開口に接続された空洞とを有する少なくとも1つの基板をさらに備え、
前記基板間の開口同士を接続する前記第2管は複数存在し、
前記各第2管の長さは、該各第2管にそれぞれ接続される2つの前記基板間の温度差に応じた長さであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の流体装置。 - 複数の前記基板は、該複数の基板の主面がそれぞれ平行になるように配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の流体装置。
- 前記第1管及び第2管は、対応する前記基板の主面にそれぞれ垂直に接続されていることを特徴とする請求項5に記載の流体装置。
- 前記空洞は、流体が流れる流路であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の流体装置。
- 前記2つの第1管の一方は、前記収容容器の外部から前記2つの基板の一方に流体を供給する流体供給管であり、前記2つの第1管の他方は、前記2つの基板の他方から前記収容容器の外部に流体を排出する流体排出管であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の流体装置。
- 前記収容容器の内部は真空であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の流体装置。
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2006
- 2006-12-26 JP JP2006349199A patent/JP2008155166A/ja active Pending
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