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JP2008145059A - 冷蔵庫 - Google Patents

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JP2008145059A JP2006333474A JP2006333474A JP2008145059A JP 2008145059 A JP2008145059 A JP 2008145059A JP 2006333474 A JP2006333474 A JP 2006333474A JP 2006333474 A JP2006333474 A JP 2006333474A JP 2008145059 A JP2008145059 A JP 2008145059A
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弘直 釜谷
Hirokazu Nakamura
浩和 中村
Nobuyuki Nagayasu
信之 長安
Toshihiko Nagamori
敏彦 永盛
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Abstract

【課題】冷蔵庫において、飲食物を0℃以下の過冷却状態に長時間保持できるようにすること。
【解決手段】冷蔵庫は、0℃より低い温度で冷却する過冷却室、飲食物を過冷却状態に貯蔵するための過冷却容器、過冷却容器内を間接冷却する冷気通風路、過冷却室内に吐出する冷気を制御するダンパー装置、過冷却容器内の温度を検出する温度センサ、過冷却容器内の温度を設定する温度調節部、ダンパー装置を制御する制御装置とを備える。制御装置は、温度調節部における設定値と温度センサの検出値とに基づいてダンパー装置を制御して過冷却容器内の温度を温度調節部における設定値に保持する制御と、温度調節部における設定値よりも高温であって0℃よりも低い温度である高温側シフト温度と温度センサの検出値とに基づいてダンパー装置を制御して過冷却容器内の温度を高温側シフト温度に保持する制御と行って、過冷却容器内に収納する飲食物を過冷却状態に保持する。
【選択図】図14

Description

本発明は、冷蔵庫に係り、特に過冷却室を備えた冷蔵庫に好適なものである。
水を静かに冷却すると、液状態を保ったままで0℃を下回る現象が知られている。このような氷点下の温度の水を称して、「過冷却状態にある水」あるいは「過冷却水」などと呼ばれている。この過冷却状態は、準安定状態にあると言われており、外部から衝撃が加わると、過冷却状態が解除され、凝固してしまうことがある。つまり、氷点下においては、より安定な状態である固体状態へと移行してしまう。純水では、−40℃まで液状態を保ったままで冷却が可能であるとの報告もある。
氷点下の温度が利用される身近な装置として冷蔵庫があり、一般家庭にも広く普及している。冷蔵庫内に区画される冷凍室は、室内が−18℃以下に冷却されており、食品の冷凍保存などに用いられている。また、0℃〜−17℃の間の温度帯となる弱冷凍室を備えた構成も知られている(特許文献1参照)。また、特許文献2には、温度帯を設定可能な仕様切替室を備え、食品の収納に適した温度帯となるように冷蔵温度帯から冷凍温度帯まで設定温度の切替えを可能とした構成が示されている。特許文献3には清酒等の飲料を過冷却状態で長時間保存するために、冷凍庫内で断熱容器を用いた例が示されている。
特開平10−197130号公報 特開平10−176880号公報 特開平4−365468号公報
凝固点以下の温度でも液状態を保つ過冷却状態は、純水に限らず、冷蔵庫に収納される飲料水でも実現可能である。例えば、市販水(二次蒸留水、イオン交換水、未蒸留水)、ジュース類、あるいはお茶などのようにペットボトルで販売されている飲料水でも、条件を満たせば過冷却状態となる。
上述した特許文献1や特許文献2に開示されているような既存の冷蔵庫において、飲料水を0℃以下に冷却する場合、冷凍室や弱冷凍室、あるいは仕様切替室などに飲料水を収納することになるが、これらの貯蔵室に収納された飲料水は凝固してしまって過冷却状態を維持することはできない。
また、上述した特許文献3には、家庭用の冷蔵庫において、如何に過冷却状態を長時間維持するかという具体的な構成や制御については何ら示されていない。
本発明の目的は、飲食物を0℃以下の過冷却状態に長時間保持できる冷蔵庫を提供することにある。
前述の目的を達成するために、本発明は、過冷却室内を0℃より低い温度で冷却する過冷却室と、前記過冷却室内に配置され飲食物を過冷却状態に貯蔵するための過冷却容器と、
前記過冷却室内に冷気を吐出し前記過冷却容器の周囲に冷気を通風して前記過冷却容器内を間接冷却する冷気通風路と、前記過冷却室内に吐出する冷気を制御するダンパー装置と、前記過冷却容器内の温度を検出する温度センサと、前記過冷却容器内の温度を0℃より低い過冷却温度に設定する温度調節部と、前記温度調節部における設定値と前記温度センサの検出値とに基づいて前記ダンパー装置を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記温度調節部における設定値と前記温度センサの検出値とに基づいて前記ダンパー装置を制御して前記過冷却容器内の温度を前記温度調節部における設定値に保持する制御と、前記温度調節部における設定値よりも高温であって0℃よりも低い温度である高温側シフト温度と前記温度センサの検出値とに基づいて前記ダンパー装置を制御して前記過冷却容器内の温度を高温側シフト温度に保持する制御と行って、前記過冷却容器内に収納する飲食物を過冷却状態に保持するものである。
係る本発明のより好ましい具体的な構成例は次の通りである。
(1)前記制御装置は、前記過冷却容器内の温度を前記温度調節部における設定値に保持する制御と、前記過冷却容器内の温度を前記高温側シフト温度に保持する制御とをタイマーによりそれぞれ所定時間行って、前記過冷却容器内に収納する飲食物を過冷却状態に保持すること。
(2)前記制御装置は、前記過冷却容器内の温度を前記温度調節部における設定値に保持する制御時間よりも、前記過冷却容器内の温度を前記高温側シフト温度に保持する制御を長くして、前記過冷却容器内に収納する飲食物を過冷却状態に保持すること。
(3)前記制御装置は、前記過冷却容器内の温度を前記温度調節器における設定値に保持する制御と前記高温側シフト温度に保持する制御とを交互に行って、前記過冷却容器内に収納する飲食物を過冷却状態に保持すること。
(4)前記制御装置は、前記高温側シフト温度を複数段階を設定して、前記過冷却容器内の温度を前記複数段階の高温側シフト温度に保持する制御を行って、前記過冷却容器内に収納する飲食物を過冷却状態に保持すること。
かかる本発明の冷蔵庫によれば、飲食物を0℃以下の過冷却状態に長時間保持できる。
以下、本発明の一実施例の冷蔵庫を図面を用いて説明する。
図1は本実施例の冷蔵庫の扉を省略して示した正面図である(扉については図2に符号を付して示す)。冷蔵庫本体1内の最上段に冷蔵室2が、最下段に野菜室6が、それぞれ区画して配置されている。これらの冷蔵室2及び野菜室6は冷蔵温度帯の貯蔵室である。
冷蔵室2と野菜室6との間には、これらの両室と断熱的に仕切られた複数の貯蔵室3〜5が配設されている。これらの貯蔵室3〜5は、0℃以下の冷凍温度帯の貯蔵室である。その上段の左側に製氷室3が、右側に過冷却室4が配設されている。また、左右に配設された製氷室3と過冷却室4の下側には冷凍室5が配設される。なお、本発明においては、過冷却状態を実現可能な貯蔵室の意で過冷却室と称している。
最上段の冷蔵室2は、回転式の冷蔵室扉7によって閉塞される。この回転扉は、観音開き式の両開きの扉としてもよく、あるいは、一枚の扉体によって閉塞する片開きの扉としてもよい。製氷室3、冷凍室5、野菜室6は、引出し式の扉によって閉塞され、引出し扉とともに、貯蔵室内の容器が引き出される構成となっている。
製氷室3内には貯氷容器13を備え、貯氷容器の13の上方には図示しない製氷皿が配設されている。冷蔵室2内の給水タンク13Aから製氷皿へと供給された水は、製氷室3内で凍結する。製氷皿3内で凍結した氷は、製氷皿が捻られて離氷し、下側に置かれた貯氷容器13内に落下する。製氷室3の扉8を引き出すことで貯氷容器13が引き出され、氷を取り出すことができる。
製氷室3の右側には、過冷却室4が配設されている。過冷却室4は、食品を過冷却状態に冷却可能な貯蔵室であり、過冷却容器24を内部に備えている。この過冷却室4は、引出し式扉によって閉塞される構成としてもよく、回転式扉によって閉塞される構成としてもよい。
過冷却室扉9を引出し式扉とした場合には、扉を引き出すと、過冷却室扉9とともに過冷却容器24が引き出される構成とすることが望ましい。また、回転式扉とした場合には、回転式扉を引き出すと過冷却容器24が引き出される構成としてもよく、回転式扉を開いた後に、過冷却容器24を別途引き出す構成としてもよい。
冷凍室5内には冷凍室容器14〜16を備えている。冷凍室扉10を引き出すと、これらの容器14〜16の全て、あるいは一部が冷凍室扉10とともに引き出され、食品の収納あるいは取り出しが可能である。なお、本実施例の冷凍室容器14〜16は、最下段の容器14が最も深く、次いで中段の容器15、そして最上段の容器16が最も浅い容器となっており、多様な収納形態に合わせ、食品収納の整理がしやすいものとしている。
野菜室6内も複数の容器6A、6Bを備え、野菜室扉11を引き出すと、容器6A、6Bが引き出される構造となっている。また、野菜室6の後方には、冷凍サイクルを構成する圧縮機21が配設されている。
冷蔵室2と野菜室6との間に挟まれた製氷室3、過冷却室4、冷凍室5は、いずれも0℃以下の温度が保持される冷凍温度帯の貯蔵室であるが、過冷却室4は、後述するように、設定される温度によっては、0℃以上の冷蔵温度帯となるように構成しても差し支えない。
次に、図2を用いて過冷却室4、冷凍室5の冷却のための構成について説明する。図2は図1のA−A断面図である。
冷凍温度帯の貯蔵室3〜5の後方には冷却器室17が配設されている。冷却器室17内には、圧縮機21とともに冷凍サイクルを構成する蒸発器18が設置され、蒸発器18の上方には送風ファン20が備えられている。蒸発器18によって冷却された冷気は、送風ファン20によって冷蔵室2、製氷室3、過冷却室4、冷凍室5、野菜室6の各貯蔵室へと送られる。詳述すると、送風ファン20によって送られる冷気の一部は、開閉可能なダンパー装置19を介して冷蔵室2及び野菜室6の冷蔵温度帯の貯蔵室へと送られ、他の一部が製氷室3及び冷凍室5の冷凍温度帯の貯蔵室へと送られる。ダンパー装置19の開閉は図示しない制御装置によって制御され、冷蔵温度帯の貯蔵室2、4への冷気の供給が必要な場合には開状態となる。過冷却室4への冷気供給については後述する。
蒸発器18から送風ファン20によって製氷室3へ送られる冷気は、図示しない製氷皿内に貯められた水を冷却して製氷を行う。その後、下方の冷凍室5へと送られる。冷凍室5の背面に位置する仕切部材22には冷気吐出口が設けられ、送風ファン20からの冷気が冷気吐出口から冷凍室5内へと吐出される。冷凍室5へ送られ、室内を冷却した冷気は、図示しない冷気戻り通路から冷却器室17へと戻される。なお、仕切部材22は冷凍室5と冷却器室17との間を仕切り、冷凍室5の背面を構成している。
蒸発器18から送風ファン20によって冷蔵室2や野菜室6へと送られる冷気は、冷蔵室2及び野菜室6を冷却後、図示しない冷気戻り通路から冷却器室17へと戻される。このように、本実施例の冷蔵庫は冷気の循環構造を有しており、各貯蔵室を適切な温度に維持する。
次に、過冷却室4について説明する。過冷却室4内には、過冷却容器24が配置される。過冷却容器24は、容器本体25とカバー27とを備えており、過冷却容器24内の貯蔵空間26に冷気が直接流入しないように構成される。過冷却室4の背面を構成する部材には冷気吐出口28が設けられており、蒸発器18からの冷気が冷気吐出口28から吹き出される。また、冷気吐出口28よりも上流側には、過冷却室4への冷気の流れを制御するためのダンパー装置41が設けられている。このダンパー装置41の開閉は図示しない制御装置によって制御され、過冷却室4への冷気供給量が制御される。
さらに、貯蔵空間26内の温度を上昇させるためにヒータ43を備えている。このヒータ43は、過冷却容器24の下方投影面に設けられており、本実施例では、過冷却容器24の底面とほぼ同程度の面積のヒータとしている。冷気吐出口28が過冷却室4の背面に設けられている関係上、貯蔵空間26内は手前側より奥側が温度が低くなってしまう傾向がある。そこで、本実施例のヒータ43は、ヒータ線密度を手前側が疎で奥側が密となっている。
また、冷気吐出口28は、カバー27よりも上方に開口しており、過冷却室4へ吐出される冷気がカバー27の上方を通って前方まで導かれながら、側面及び前面から下方へと流れる。そして、過冷却容器24の周囲を冷却しながら図示しない冷気戻り通路を介して冷却器室17へと戻される。
換言すれば、過冷却容器24内は冷凍温度帯の間接冷却ルームであり、該構成によって過冷却容器24内に収納される飲食物を過冷却状態で保存することができる。なぜなら、飲食物に冷気が直接吹き付けられると、冷気の当たる部分が最も冷却されやすく、その部分から凍結が開始するからである。本実施例では、部分的な冷却がなるべく生じないように、過冷却容器24内を冷凍温度帯の間接冷却ルームとした。これによって、過冷却状態を維持しながら食品を保存可能としている。また、過冷却室4は、過冷却状態を維持するための温度帯が他の冷凍室と異なるため、製氷室3及び冷凍室5との間、及び冷蔵室2との間を断熱壁で仕切り、独立した貯蔵室としている。
過冷却状態が解除される原因としては、(1)温度低下によって水分子クラスターが臨界半径を超える程度に成長すること、(2)氷核を生成するための核となる不純物が存在すること、(3)外的衝撃によって水分子クラスターが連鎖的に衝突すること、が挙げられる。したがって、飲食物を過冷却状態で保存するには、これらの3点を考慮しなければならない。
本実施例の過冷却容器24内は、上述のように、冷凍温度の間接冷却としている。貯蔵空間26内の飲食物に冷気が直接的に吹き付けられると、冷気が当たる部分の温度が低下してしまい、当該部分に氷核が形成されてしまう。このとき、凍結が始まってしまい、過冷却状態を維持することができない。したがって、上記(1)の条件を満たすために冷凍温度の間接冷却構造を採用した。
上記(2)については、純水は得られにくいこと及び実際に保存される飲食物は使用者が購入するものであること等を考慮し、想定される飲食物について過冷却状態を保持可能な温度を設定することとした。過冷却状態を保持するための制御については後述する。
また、上記(3)については、過冷却容器24は容器本体25の上方の開口部を覆うカバー27を備える等、外的衝撃を受けにくい構造とした。
過冷却室4は飲食物を過冷却状態に保存可能な構造を採用しているが、冷蔵庫本体1に外的な衝撃が与えられた場合や、扉7〜11を勢いよく開閉した場合などに、その衝撃が過冷却容器24内に保存される飲食物に伝わって、過冷却状態が解除されることが想定される。このとき、過冷却容器24内は−5℃程度の雰囲気温度となっているため、過冷却容器24に収納された飲食物が凍結してしまう。そこで、次のような制御を行う。
過冷却状態にある飲食物は、過冷却状態が解除されると、凍結点まで温度が上昇する。本実施例の過冷却室4は間接冷却を採用しているため、過冷却運転モードの設定時において、過冷却室扉9を開閉することなく保存飲食物の温度が急激に上昇することは、通常は考えられない。すなわち、温度の上昇があれば過冷却状態が解除されたと判断することができる。そこで、本実施例では、収納される飲食物の温度を検出するために温度センサ30を備えている。
次に、図3及び図4を用いて、過冷却室4における温度センサ30の取り付けについて説明する。図3は過冷却室4における温度センサ30の取り付け位置を示す図であり、図4は冷気吐出口28とカバー27との位置関係や温度センサ30の取り付け位置を示す斜視説明図である。
上述のように、過冷却容器24は冷凍温度帯の間接冷却ルームであり、温度センサ30は過冷却容器24に取り付けられている。断熱壁面に取り付けると、ほぼ閉塞状態にある過冷却容器24の内部の温度を検出することができないからである。温度センサ30としては、サーミスタや赤外線センサなどのように、収納した飲食物に接触することなく温度を感知することができるものが好適である。
温度センサ30の取り付け位置としては、カバー27の下面、すなわち、貯蔵空間26側の面が好適である。この位置であれば、飲食物との接触がなく、全体のセンシングがしやすい。温度センサ30は過冷却室4内に複数個設けてもよく、温度センサ30の数が多いほどセンシングの精度は高くなる。特に、貯蔵空間26の上下面、前後面、左右面の6面に温度センサ30a〜30fを取り付ければ、非常に効率よく飲食物の温度を検出することができる。また、各取り付け面内においては、面の中心に設置することで精度の向上が図れる。
ただし、必ずしも6面の全てに温度センサ30a〜30fを取り付ける必要はない。飲食物に接触することを回避できる位置において、温度を検出することが肝要である。温度センサ30を容器本体25の底面、左右側壁面、前後壁面の各面に取り付けた場合には、飲食物と接触しやすい。また、底面に温度センサ30dを取り付けた場合には、こぼれた水で水没することも想定される。したがって、凹所に設置する、温度センサ30の周囲にリブ等を形成する、あるいは、温度センサを底面内に埋め込む等が必要となる。
検討の結果、単数の温度センサ30でセンシングする際には、貯蔵空間26の上面(カバー27の下面)に取り付ける場合が飲食物の温度を検出しやすいことがわかったため、上面に温度センサ30を設置することが望ましい。また、温度センサ30を複数個取り付ける場合であっても、少なくとも貯蔵空間26の上面には温度センサ30を取り付けることが効果的である。そして、上面の温度センサ30は、カバー27のほぼ中央部に設置することが望ましい。
温度センサ30としては、上述のように、サーミスタあるいは赤外線センサが挙げられるが、飲食物の温度を直接検出できなくとも、貯蔵空間26内の温度から間接的に検出できれば良い。
貯蔵空間26の上面を構成するカバー27の下面に温度センサ30を単に取り付けると、次のような問題が生ずる。過冷却室4へと冷気を吐出する冷気吐出口28は、カバー27より上方に位置している。吐出した冷気が過冷却容器24の上方後側から前側へと流れ、一部が左右両壁へと回り、残りが過冷却容器24の前方へと至る。そして、前壁及び左右両壁の周囲を通る(図3の矢印参照)。
したがって、カバー27に取り付けられた温度センサ30aは、冷気吐出口28と位置が近いため、冷気流通空間を流れる吐出冷気による低温の影響を受けやすい。そこで、本実施例では、吐出冷気の低温による影響から温度センサ30を保護する保護部材31を備えている。
保護部材31は、カバー27の下面に取り付けられた温度センサ30aの上方投影面に備えられ、カバー27の上面に形成された凸状の突起部としている。保護部材31を突起部としたことによって、以下の作用効果が期待できる。第一には、温度センサ30aの上方投影面を流れる冷気を凸状により分岐させる作用であり、第二に、温度センサ30aの上方投影面を流れる冷気と温度センサ30aとの距離を離す作用である。第一の作用は、貯蔵空間26の均温化にも寄与し、過冷却状態の実現性が向上する。これらの作用によって、温度センサ30aを低温の影響から保護する効果を得ることができる。
なお、過冷却室4の背面壁に設けられる冷気吐出口28の左右の位置と温度センサ30aの左右の位置をラップしないようにずらすことで、吐出冷気の直接的な影響を低減することも可能である。ただし、この場合は過冷却容器24の右側と左側を通る冷気量を均一にしづらい問題がある。
本実施例では、これらの事情を考慮し、冷気吐出口28は過冷却室4の左右方向中央部に配置し、カバー27の中央部の下面に取り付けられた温度センサ30aを低温の影響から保護するために保護部材31を備えることにした。保護部材31は、カバー27と一体に設けてもよく、また、温度センサ30aの上方投影面の周囲を囲む囲い状のリブとしてもよい。
次に、図5及び図6を用いて、温度センサ30の配線について説明する。
本実施例では、過冷却容器24に温度センサ30を設置したため、過冷却容器24が過冷却室扉9とともに引き出されると、温度センサ30が扉9とともに引き出されてしまう。温度センサ30は、制御装置と接続するための配線32を伴っており、扉9とともに引き出されてしまうと引出し動作の邪魔になってしまう。
これを解決する第1の構成例を図5に示す。図5は過冷却室扉9の引出しと配線との関係を示す図である。この例は、容器本体25を、扉9を引き出しても庫内側に残る外側容器25aと、扉9とともに引き出される内側容器25bとで構成したものである。図中の破線は過冷却室扉9を引き出した状態を示している。これら内外の容器のうち、温度センサ30は外側容器25aに取り付けられる。したがって、過冷却室扉9を引き出すと、外側容器25aは過冷却室4内に残り、図5に破線で示すように内側容器25bが引き出される。この構成によって、過冷却室扉9を開閉しても配線32が引き出されない。
配線32は温度センサ30から後方へと引き出され、図示しない制御基板から過冷却室4に延出するコネクタ部33と接続される。本実施例では、断熱仕切壁の奥側に設けられた凹部をコネクタ収納部34としている。したがって、過冷却室扉9の開閉によって配線32が移動することもなく、コネクタ部33の接続が外れるようなこともない。なお、コネクタ収納部34は過冷却室4の背面壁に設けてもよい。また、容器本体25から延出する配線32は配線カバー35によって覆われ、保護されている。
外側容器25aは前面が切り欠かれ、扉9とともに内側容器25bを前方へ引き出すことを可能にしている。したがって、過冷却容器26の前面側の温度センサ30cは取り付けられていない。図5では左右面の温度センサ30e、30fの図示を省略しているが、上下面あるいは後面の温度センサ30a、30b、30dと同様に配線32と接続されている。また、カバー27は外側容器25aと同様、庫内に止まっている。
温度センサ30の配線の問題を解決する第2の構成例を、図6を用いて説明する。図6は過冷却室扉9を引き出してもカバー27が庫内に止まる構成を示す図であり、温度センサ30をカバー27に取り付け、温度センサ30を容器本体25には取り付けない場合を示している。
図6(a)の破線は、過冷却室扉9を引き出した状態を示している。過冷却室扉9を引き出すと容器本体25がともに引き出されるが、カバー27は過冷却室4内に止まる構成としている。該構成によれば、過冷却室扉9を引き出したとしても、カバー27に取り付けられた温度センサ30は過冷却室4内にとどまるため、配線が引き出されることを回避できる。
図6(b)は、図6(a)のA部の拡大図であり、過冷却室4の後方側におけるカバー27の端部と容器本体25の端部との構造上の関係を示している。カバー27の後端部は、容器本体25のフランジ部の後端を覆うように下側に垂下している。この構成によって、冷気が貯蔵空間26内に直接的に入り込まないようにしている。そして、容器本体25が引き出される場合であってもカバー27が容器本体25と干渉することを防いでいる。
なお、図6に示す構成とした場合であっても、図5の例と同様に二重の容器を用いることが可能である。すなわち、カバー27が庫内側に残り、容器本体25が引き出される構成としながらも、容器本体25を二重の容器としてもよい。容器の二重化は、貯蔵空間26内の飲食物を間接冷却する際には非常に効果的である。特に、外側容器と内側容器との間に空隙を介在させる構造が有効である。
このとき、過冷却容器24を囲む冷気流通空間と貯蔵空間26との間に空気による断熱層が形成されるので、冷気による低温が貯蔵空間26内に伝わりにくくなる。したがって、貯蔵空間26内の雰囲気温度が局所的に低温となることを抑制することができ、過冷却状態を維持しやすくなる。この場合は、過冷却室扉9を引き出すと、内外容器をともに引き出すことができるので、前方側にも断熱層を介在させることができる。
カバー27についても同様であり、カバー27の内部に断熱層を有する構造が好適である。なお、必ずしも空気断熱層である必要はなく、発泡断熱材を過冷却容器24に埋設しても良い。
図7は図6に示した構成において、過冷却室扉9を引き出した状態を示す図であり、図7(a)は斜視図、図7(b)は断面図である。過冷却室扉9を引き出すと、容器本体25は引き出されるが、カバー27は庫内側にある。図7(b)に示すように、容器本体25は二重の容器として、内側容器と外側容器との間に空気断熱層が形成される。また、カバー27にも空気断熱層を設け、貯蔵空間26内の間接冷却を行う。
保護部材31は、冷気吐出口28の開口高さよりも上方まで延伸する構成となっているが、該構成によれば、温度センサ30が冷気流通空間側の低温の影響を受けにくくするとともに、吐出冷気の案内作用が大きく得られる。
次に、図8を用いて、本実施例の冷蔵庫の制御について説明する。図8は本実施例の冷蔵庫の制御ブロック図である。
温度センサ30は制御装置40と接続され、制御装置40は温度センサ30によって検出される温度を監視する。温度調節部44は、冷蔵庫の使用者が過冷却容器24内の温度を設定可能とするために設けられている。したがって、過冷却容器24内の温度を、例えば、「−3℃」、「−4℃」、「−5℃」、あるいは「−18℃以下」、さらには「0℃以上の冷蔵温度帯」など、様々な設定が可能である。
制御装置40は、温度センサ30で検出される温度と、温度調節部44によって設定された温度とを比較し、ダンパー装置41及びヒータ43を制御する。ダンパー装置41は、バッフルとモータからなっており、モータの駆動を制御することでバッフルの動きを制御することができる。
センサ検出温度が低い場合には、ダンパー装置41の開度を小さくし、あるいは完全に閉じることで、冷気量を制御する。また、温度が低くなりすぎた場合には、ヒータ43を通電させる。センサ検出温度が高すぎる場合には、ダンパー装置41の開度を大きくして過冷却室4内の冷気流通空間へと冷気を供給して、貯蔵空間26内の温度を下げる。
なお、この制御装置40は、送風ファン20や圧縮機21、あるいは図示しない除霜ヒータなどとも接続されている。したがって、ダンパー装置41の開度やヒータ43の通電率の判断は、他の機器の稼動状態を監視しながら行われる。
過冷却を実現するために適した温度は−5℃前後であるが、使用者の所望の温度に設定することが可能である。以下では、−5℃を代表温度として、温度センサ30の検出温度を監視することとして説明する。
また、凍結状態となってしまった場合には、過冷却状態が維持されている場合と比べて温度の推移が明らかに相違しているため、本実施例はこの傾向の相違に着目して過冷却状態の解除を検知する。
すなわち、過冷却解除を検知するために、過冷却解除時における飲食物の温度上昇を温度センサ30で検出する。しかし、過冷却解除検知のための他の方法としては、相変化の際の氷点温度を検出しても差し支えない。なぜなら、過冷却状態が維持されている間は氷点で相変化が起らず、氷点温度が所定時間以上継続しないからである。いずれにしても、温度センサ30で過冷却容器24内の貯蔵空間26の温度を検出することによって、飲食物が過冷却状態を維持しているか否かを判断することができる。
図9は、過冷却解除の検知を説明する図である。図9は水が入った500mlのペットボトルを過冷却容器24内に収納した場合における水温の推移とともに温度センサ30によって検出された温度を示している。
図9(a)は過冷却が維持された場合における水温の変化と温度センサ30によって検出された温度の変化であり、図9(b)は何らかの要因によって過冷却状態が解除されてしまった場合の水温の変化と温度センサ30によって検出された温度の変化を示している。図において、横軸は経過時間を示し、縦軸は温度を示している。
図9(a)と図9(b)から明らかなように、過冷却状態が維持された場合と過冷却状態が解除されてしまった場合とでは、温度の推移が異なり、温度センサ30によって検出される値も傾向が異なっている。図9は、過冷却容器24内の温度を−5℃となるようにして、ペットボトル内の水を−5℃に冷却するように制御したものであるが、過冷却状態が解除されると温度センサ30の検出値は−5℃よりも高い温度となってしまっている(図9(b))。したがって、この傾向の変化を把握することによって、過冷却状態が維持されているのか、あるいは解除されてしまったのかを判別することができる。
次に、図10〜図12を用いて、飲食物を過冷却する制御及びその後の過冷却状態を保持する制御について説明する。図10〜図12は本実施例の制御を示すフロー図である。
図10(a)は、過冷却の制御を行うにあたって、予め設定される温度の設定値を示したものである。具体的には、高温側から、リセット温度、過冷却開始温度、制御開始温度、温度調節部設定温度(最終目標温度)が設定される。このうち、最終目標温度は、温度調節部44によって設定される温度であるが、温度調節部44によって設定される温度は、−5℃近傍の過冷却温度に限られない。すなわち、過冷却室4を−18℃以下の冷凍室として使用したり、あるいは0℃以上の冷蔵室として使用したりすることも可能である。
ここで、リセット温度とは、過冷却状態が解除されてしまった場合に、再び過冷却を実現するために、必要な温度まで上昇させる際の設定値である。例えば、7℃である。過冷却開始温度とは、過冷却運転を始めるための基準となる温度であり、例えば、5℃である。制御開始温度とは、既に過冷却運転が実施されている状態において、所望の温度まで徐々に冷却していく制御を行う基準となる温度であり、例えば、0℃である。温度調節部設定温度(最終目標温度)とは、過冷却運転がなされ、最終的に過冷却状態で保存する温度であり、例えば−5℃である。
図10(b)は、過冷却運転を行う場合の第一段階の制御を示している。過冷却運転をスタートするに当たって、まず、温度調節部44の設定が確認される(ステップS101)。過冷却室4を通常の冷凍室として使用する場合などは、過冷却運転を行う必要がないため、この段階で過冷却運転を行うモードになっているかどうかを判別する。
過冷却運転モードとなっている場合には、温度センサ30によって検出された温度と過冷却開始温度(5℃)との比較がなされる(ステップS102)。過冷却開始温度より低温である場合には、一部が凍結している場合などが考えられるため、ダンパー装置41を閉じて、リセット温度(7℃)以上となるまで冷却を停止する。この際、ヒータ43を高い通電率で通電させると、短い時間でリセット温度まで上昇させることができる(ステップS112〜S113)。
温度センサ30によって検出された温度が過冷却開始温度よりも高い場合、あるいは、冷却が停止されてリセット温度より高くなった場合には、この状態で安定させるために、タイマーをスタートさせる(ステップS103)。
タイマーが計時されている間は、過冷却開始温度よりも低くならないようにダンパー装置41やヒータ43が制御される(ステップS104〜S109)。具体的には、過冷却開始温度よりも低温のときはヒータをオンにし(ステップS107)、過冷却開始温度よりも高温のときはリセット温度と比較し(ステップS108)、リセット温度より高温であれば、ヒータをオフにする(ステップS109)。
この状態で所定時間が経過すると、次に制御開始温度との比較を行い(ステップS110)、制御開始温度よりも低温となると、第二段階としての過冷却制御を行う。制御開始温度よりも高温であった場合には、センサ検出温度が低くなるまでダンパー装置41を開状態として冷気を供給する(ステップS111)。このとき、ヒータ43はオフとしておくと冷却が促進されるが、貯蔵空間26内の温度にバラツキが生じやすい。そこで、ヒータ43は低い通電率で通電しておくとよい(つまり「ダンパー開・ヒータオン」とするとよい)。この状態で貯蔵空間26内の温度が制御開始温度よりも低くなったときに、図11に示すような過冷却制御を行う。
図11は、過冷却制御の第二段階の制御を示すフロー図である。この例では、最終目標温度まで段階的に貯蔵空間26内の温度を下げていく場合のフロー図である。
まず、制御開始温度(例えば、0℃)を目標温度として設定し、この目標温度に対して、ダンパー装置41を開にする温度、及び閉にする温度をそれぞれ設定する(ステップS121)。ダンパー装置41を開にする温度とは、温度センサ30によって検出される温度が目標温度よりも高い場合に、ダンパー装置41を開にして冷気を供給する温度である(例えば、1℃)。ダンパー装置41を閉にする温度とは、温度センサ30によって検出される温度が、目標温度よりも低い場合に、ダンパー装置41を閉にして冷気供給を停止する温度である(例えば、−1℃)。ヒータ43は、低い通電率で通電しておくことで、貯蔵空間26内の冷却を緩やかに行うことができ、貯蔵空間26内の温度のバラツキを低減できる。
目標温度(0℃)及びダンパーの開閉値が設定されるとタイマーをスタートし(ステップS122)、温度センサ30によって検出される温度がダンパー開の温度(1℃)、ダンパー閉の温度(−1℃)の間に所定時間保持されるように、ダンパー装置41が制御される(ステップS123〜S127)。
所定時間が経過してタイマーが終了すると、ダンパー閉の温度(−1℃)に一回以上は到達したか否かが判断される(ステップS128)。ダンパー閉の温度に到達していない場合には、過冷却が解除されてしまったことが懸念される。なぜなら、0℃で凍結を開始して相変化が起っていることが想定されるからである。ただし、他の原因によって到達しなかったことも考えられるため、リトライ回数を更新し(ステップS131)、タイマーをスタートして同様の制御を行う。同様の制御を複数回行っても、ダンパー閉の温度に到達しない場合には(リトライ回数が所定回数を超えた場合;ステップS132)、いよいよ凍結が開始されたものと判断し、過冷却リセットの制御を行う。
一方、ダンパー閉の温度に一回以上は到達した場合には、ステップS129に示すように目標温度を低温側へと変更する(例えば−3℃)。この目標温度に対し、再びダンパーの開閉値を設定し(例えば、それぞれ−2℃、−4℃)、ステップS122へと戻り、同様の制御を行う。これらを繰り返し、目標温度が最終目標温度(−5℃)まで変更されると、過冷却状態に冷却する制御は終了し(ステップS130)、当該温度で保持する制御へと至る。
図12は、過冷却状態に冷却された飲食物を過冷却温度に保持する制御の第1の例を示すものであり、後述する第2の例(図13〜図14参照)とともに飲食物の過冷却状態を維持するための制御である。最終目標温度に対しても、ダンパー装置41が開状態とする温度、及び閉状態とする温度が設定されているため、温度調節部設定温度から大きく変化しないようにダンパー装置41の開閉を制御する(ステップS140、S147、S148)。
さらに、ここでは、「エラー(Err)上昇温度」が制御に用いられる。図9に示したように、過冷却状態を維持している場合には貯蔵空間26内の温度が最終目標温度よりも高い温度が検出される。したがって、貯蔵空間26内における温度のバラツキを考慮した上限温度として、Err上昇温度を定め、温度センサ30によって検出された温度が、温度のバラツキとして想定される範囲を超えて高くなった場合には、過冷却状態が解除されたと判断する。
具体的な制御は次の通りである。ダンパー開温度よりも高温が検出された場合に、この検出温度が最終目標温度にErr上昇温度を加えたものよりも高いか否かを判断する(ステップS142)。低い場合にはステップS140へと戻り、上記と同様の制御が繰り返される。
最終目標温度にErr上昇温度(上限温度)を加えたものよりも高い温度が検出された場合には、過冷却の解除が懸念されるため、タイマーを設定する(ステップS143)。このとき、具体的に想定される現象としては次の2つが考えられる。第一は、過冷却が解除されていないにもかかわらず、温度センサ30によって高温が検出されてしまった場合であり、第二は、過冷却が実際に解除されたために、高温となった場合である。
第一の場合は、単なる温度のバラツキが原因であったことが考えられるため、最終目標温度に保持するための制御が行われれば、最終目標温度にErr上昇温度を加えたものよりも低温になる。したがって、タイマー設定時間中に、最終目標温度にErr上昇温度を加えたものよりも低温になればタイマーをクリアし(ステップS146)、最終目標温度に保持するための制御が継続される。
第二の場合は、過冷却が解除され、凍結が開始していることが考えられる。このとき、凍結が完了するまでは潜熱として凍結に低温が使われるため、ダンパー装置41の開閉等によっても温度が最終目標温度にErr上昇温度を加えたものよりも低温となることはない。したがって、所定時間、最終目標温度にErr上昇温度を加えたものよりも高温状態が継続すると、過冷却が解除されたものと判断し、過冷却のリセットが行われる(ステップS144〜S145)。
過冷却が解除されない場合には、過冷却室4内には過冷却状態に保持された飲食物を、冷蔵庫の使用者が適宜取り出すことができる。
上記の制御において、圧縮機が停止中である場合には異なる制御を行うことが必要である場合がある。圧縮機の運転の制御は、過冷却室4の制御以外にも、冷凍室5の冷却程度によって制御されることが想定されるからである。特に、ステップS123〜S127の制御、あるいはステップS140〜S142、S147〜S148の制御において圧縮機が停止している場合には、ダンパー装置41は閉状態を保持し、ヒータ43を低い通電率のままでオンしておくとよい。
図13〜図14は、過冷却状態に冷却された飲食物を過冷却温度に保持する制御の第2の例を示すものであり、前述した図12の第1の例とは異なる例を示している。
この第2の例は、先ず最終目標温度で所定時間KTm1だけ温度保持制御を行い、以降、以下の(1)から(4)の制御を順次繰り返して、温度保持制御の保持温度を所定時間毎に自動的に切替えて制御を行う方法を基本としている。
(1)所定時間KTm1経過後に高温側へ所定温度シフトして、その温度を所定時間KTm2だけ温度保持制御を行う。
(2)所定時間KTm2経過後に高温側へ所定温度シフトして、その温度を所定時間KTm3だけ温度保持制御を行う。
(3)所定時間KTm3経過後に低温側へ所定温度シフトして、その温度を所定時間KTm2だけ温度保持制御を行う。
(4)所定時間KTm2経過後に最終目標温度に戻して、所定時間KTm1だけ温度保持制御を行い制御(1)に戻る。
最終目標温度が中領域の場合を図14(a)に示し、弱中領域の場合を図14(b)に示し、所定時間KTm2が0の場合を図14(c)に示す。このとき、保持温度を高温側へシフトする限界は、過冷却温度調節の弱とし、過冷却室の状態を氷点以下で制御する。
この第2の制御例を、図13を用いて具体的に説明する。前の温度保持制御の所定時間、例えばKTm1が経過すると(ステップS201)、目標温度を高温側へ所定温度だけシフトすることにより更新し(ステップS202)、温度保持タイマーをセットしてスタートし(ステップS203)、その温度保持制御を所定時間経過するまで実施する(ステップS201)。
この温度保持制御は、温度センサによる検出温度とダンパー動作温度とを比較し(ステップS210)、この判定で、検出温度がダンパー動作温度より低温の場合には、検出温度とダンパー閉温度とを比較する(ステップS212)。この判定で、検出温度がダンパー閉温度より低温の場合には、ステップS201に戻ってそのまま温度保持制御を継続する。ステップS212で、検出温度がダンパー閉温度より高温の場合には、ダンパーを閉じた後(ステップS213)、ステップS201に戻って温度保持制御を継続する。前記ステップS210の判定で、検出温度がダンパー動作温度より高温の場合には、ダンパー装置を開き(ステップS211)、検出温度がErr上昇温度に対して異常が無いか判定し、ステップS201に戻って温度保持制御を継続する。
これにより、過冷却状態に冷却された飲食物が凍結しないように温度保持制御の保持温度が所定時間毎に自動的に切替えられ、飲食物の凍結を未然に防止する。
ただし、その場合でも過冷却温度調整器の設定によっては過冷却状態の飲食物が凍結する場合も考えられるため、それぞれの温度保持制御の最終目標温度やシフトした保持温度より、所定温度以上(Err判定温度)高温になった時点から異常監視用タイマーを初期化してスタートさせる(ステップS230、S232)。
このタイマー計時の間で所定温度以上(Err判定温度)の高温が継続してタイマーが終了した場合(ステップS231)、飲食物が凍結開始したと判断し、凍結を解除するための過冷却制御のリセットを行う。つまり、再度過冷却開始時に戻り、過冷却リセット温度になるまで過冷却用ダンパーを閉じ、過冷却用ヒータのデューティを通常より上げるか、100%デューティでオンさせ、過冷却容器内温度を上昇させて過冷却状態をリセットさせ、過冷却制御を初めからやり直す。
また、異常監視タイマーが終了する前に、保持温度の所定温度以内に検出温度が戻った場合は(ステップS220)、異常監視タイマーの計時を停止する(ステップS221)。この最終目標温度制御時の過冷却用ダンパーの開閉や、過冷却用ヒータのデューティは、それぞれの温度保持制御の最終目標温度やシフトした保持温度により決定するため、上記制御(1)から制御(4)で、過冷却用ダンパーの開閉や、過冷却用ヒータのデューティはその都度切替わる。
また、外気温度を検出してその結果に応じ過冷却用ヒータのデューティを変化させるようになっている。これによって、過冷却容器内が外気温度に影響されにくい安定した温度制御が得られるようになる。
さらに、冷凍室温度設定の強から弱に対応させて過冷却容器内の温度設定値をシフトさせる値を設定しておき、冷凍室温度設定の変更により、過冷却容器内の温度設定値を自動的にシフトするように制御している。これによって、冷凍室から熱影響を事前に過冷却容器内の温度制御に反映させるようにし、冷凍室の冷却状態に影響されにくい安定下温度制御が得られる。
過冷却制御のその他として、飲食物が同じか、あるいは制御温度帯が近い飲食物の場合は、過冷却容器内の温度調節器を微小に変化させるぐらいであり、現在の過冷却制御を継続させながら温度目標値を微調整することが考えられるが、今まで過冷却していた飲食物Aと制御温度帯が異なる飲食物Bとを過冷却する場合は、過冷却容器内用の温度調整器を大きく変化させて、新しい過冷却容器内温度目標値を設定する。
そこで、過冷却温度調節器による設定温度の変化が大きい場合(例えば±1.2℃以上の場合)は、過冷却状態を一旦、強制的にリセットさせて、新しい過冷却容器内温度目標値で最初から過冷却制御をやり直す様に、過冷却リセット温度まで過冷却用ダンパーを閉じ、過冷却用ヒータのデューティを通常より上げるか、100%デューティでオンさせ、過冷却容器内温度を上昇させ過冷却状態をリセットさせるように制御する。
また、過冷却温度調節器による設定温度の変化が小さい場合(例えば±1.2℃未満の場合)は、現在の過冷却制御を継続させながら最終目標値を過冷却温度調節器による設定温度に微調整して最終目標温度制御を行うように制御する。
また、過冷却制御中に除霜運転を開始した場合は、過冷却容器内に除霜の影響が無いように過冷却用ダンパーを閉じ、過冷却用ヒータを強制オフとして除霜用ヒータをオンさせる。蒸発器に設けた温度センサの値が除霜終了温度になるまで待ち、その後所定時間経過したのちに、過冷却制御に戻る。更に、除霜中も過冷却リセット保持タイマーや温度保持タイマーは継続カウントされ、除霜によってカウントが一時停止しないので、過冷却リセット中に除霜が入った場合でも、過冷却容器内を必要以上に暖めることはない。それから、過冷却リセット制御中に過冷却容器内温度を監視しておき、除霜などの影響で温度が限度以上に上昇する場合は、監視温度を判定し過冷却リセット保持タイマーをクリアしてもよい。
特殊制御で冷凍室を強制的に低温保持する低温冷凍運転では、冷凍室からの熱影響が大きいため、低温冷凍運転を開始した時に、過冷却温度設定値を自動的にある温度だけシフトし、同様に過冷却用ヒータのオン判定値もある温度だけシフトさせる。そして、過冷却用ヒータのデューティも外気温度によってシフトさせる手段を持ち、冷凍室からの影響に対応できる制御を設けている。なお、特殊制御操作をトリガにしないで、冷凍室温度センサを検出して、そのセンサ状態によって過冷却用ヒータのデューティをシフトさせてもよい。
さて、過冷却が解除されてしまった後の運転としては、次の2つに大別できる。第一は過冷却状態を実現するために冷却をやり直す場合であり、第二は他の運転モードに移行する場合である。
まず、第一の場合について説明する。過冷却状態が解除されると氷が生成されてしまうため、融点以上に温度を上げて生成された氷を融解させなければならない。温度を上昇させるためには、過冷却室内4内への冷気の供給を止めること、ヒータによって貯蔵空間26内又は飲食物を暖めること、あるいはこれらを併せて実施することが必要である。飲食物の温度を上げて凍結状態から脱した後は、再び間接冷却によって飲食物が過冷却状態になるまで冷却する。
この再冷却は一度目の冷却と全く同様に行ってもよいが、一度目の冷却と異なる環境を提供して行ってもよい。一度目と異なる環境で過冷却運転を行う場合の第一例としては、周囲温度を上げた状態で行う制御が挙げられる。すなわち、一度目の周囲温度が−5℃とすると、二度目の過冷却運転では周囲温度を−4℃とするように制御する。
既に述べたように、温度が低くなればなるほど、水分子クラスターが大きくなって過冷却状態が解除されやすくなるため、一度失敗した温度よりも高い温度で二度目の過冷却運転を行うものである。三度目以降も同様に制御が可能である。
一度目と異なる環境で過冷却運転を行う場合の第二例としては、冷却速度の緩和が挙げられる。一度目の冷却速度を0.1℃/minとすれば、二度目の過冷却運転では0.05℃/minとなるように制御する。具体的にはステップS129において目標温度を低温側に設定する際に、移動幅を小さくすればよい。
冷却速度が遅い場合には、飲食物の均一な冷却が行いやすく、部分的な温度低下が生じにくいため、過冷却状態を実現しやすくなる。したがって、二度目の過冷却運転では冷却速度を低速側にシフトするものである。三度目以降も同様に制御が可能である。
これらの第一例と第二例は組み合わせて実施することも可能であり、両制御を併せて実施するか、あるいは択一的に交互に実施するなど、様々なバリエーションがある。
次に第二の場合、すなわち、他の運転モードに移行する場合について説明する。以下に示す各例も、上述の第一の場合と組み合わせた制御が可能であることはいうまでもない。すなわち、二度目の過冷却運転においても過冷却が解除されてしまった場合等は、三度目の過冷却運転は行わず、他の運転モードに移行する、などの制御が可能である。
その第一例としては、過冷却が解除されると二度目の過冷却運転を自動的には行わず冷蔵運転に移行する制御が挙げられる。飲食物を通常の冷蔵室と同様に保存することができる。第二例としては、チルド運転に移行する制御が挙げられる。この場合は、一般の冷蔵室よりは低温で飲食物を保存することができる。
第三例としては、氷温運転に移行する制御が挙げられる。この場合は、部分的な凍結があったとしても、長期にわたって収納された場合を除けば完全な凍結状態には至らず、飲食物を保存することができる。
第四例としては、過冷却が解除されたことを冷蔵庫の使用者に対して報知する制御である。この第四例は上記の第一の場合の各制御や第二の場合の第一例から第三例までの各制御と併せて実施することができる。過冷却が解除されたことを冷蔵庫の使用者に報知することによって、次に飲食物をどのように保存するかを使用者の選択に委ねることができる。報知手段としては、冷蔵室扉7に設けたLEDあるいは液晶ディスプレイ等の表示によるものの他、音声による報知でもよく、使用者に対して過冷却の解除を伝達できるものであれば、特に手段は問わない。
本発明の一実施例の冷蔵庫の扉を省略して示した正面図。 図1のA−A断面図。 図1の過冷却室における温度センサの取り付け位置を示す図。 図1の過冷却室内の部材の位置関係や温度センサの取り付け位置を示す斜視説明図。 図1の過冷却室扉の引出しと配線との関係を示す図。 図1の過冷却室扉を引き出してもカバーが庫内に止まる構成を示す図。 図1の過冷却室扉を引き出した状態を示す斜視図。 図1の冷蔵庫の制御ブロック図。 水を過冷却室4内に収納した場合における温度の推移を示すタイムチャート図。 本実施例の制御(その1)を示すタイムチャート及びフロー図。 本実施例の制御(その2)を示すフロー図。 本実施例の制御(その3)を示すフロー図。 図12とは異なる制御を示すフロー図。 図12とは異なる制御における制御温度を示す図。
符号の説明
4…過冷却室、9…過冷却室扉、24…過冷却容器、25…容器本体、25a…外側容器、25b…内側容器、26…貯蔵空間、27…カバー、28…冷気吐出口、30…温度センサ、31…保護部材、32…配線、33…コネクタ部、34…コネクタ収納部、35…配線カバー、40…制御装置、41…ダンパー装置、43…ヒータ、44…温度調節部。

Claims (5)

  1. 過冷却室内を0℃より低い温度で冷却する過冷却室と、
    前記過冷却室内に配置され飲食物を過冷却状態に貯蔵するための過冷却容器と、
    前記過冷却室内に冷気を吐出し前記過冷却容器の周囲に冷気を通風して前記過冷却容器内を間接冷却する冷気通風路と、
    前記過冷却室内に吐出する冷気を制御するダンパー装置と、
    前記過冷却容器内の温度を検出する温度センサと、
    前記過冷却容器内の温度を0℃より低い過冷却温度に設定する温度調節部と、
    前記温度調節部における設定値と前記温度センサの検出値とに基づいて前記ダンパー装置を制御する制御装置とを備え、
    前記制御装置は、前記温度調節部における設定値と前記温度センサの検出値とに基づいて前記ダンパー装置を制御して前記過冷却容器内の温度を前記温度調節部における設定値に保持する制御と、前記温度調節部における設定値よりも高温であって0℃よりも低い温度である高温側シフト温度と前記温度センサの検出値とに基づいて前記ダンパー装置を制御して前記過冷却容器内の温度を高温側シフト温度に保持する制御と行って、前記過冷却容器内に収納する飲食物を過冷却状態に保持するものである冷蔵庫。
  2. 請求項1において、前記制御装置は、前記過冷却容器内の温度を前記温度調節部における設定値に保持する制御と、前記過冷却容器内の温度を前記高温側シフト温度に保持する制御とをタイマーによりそれぞれ所定時間行って、前記過冷却容器内に収納する飲食物を過冷却状態に保持することを特徴とする冷蔵庫。
  3. 請求項2において、前記制御装置は、前記過冷却容器内の温度を前記温度調節部における設定値に保持する制御時間よりも、前記過冷却容器内の温度を前記高温側シフト温度に保持する制御を長くして、前記過冷却容器内に収納する飲食物を過冷却状態に保持することを特徴とする冷蔵庫。
  4. 請求項1において、前記制御装置は、前記過冷却容器内の温度を前記温度調節器における設定値に保持する制御と前記高温側シフト温度に保持する制御とを交互に行って、前記過冷却容器内に収納する飲食物を過冷却状態に保持することを特徴とする冷蔵庫。
  5. 請求項1において、前記制御装置は、前記高温側シフト温度を複数段階を設定して、前記過冷却容器内の温度を前記複数段階の高温側シフト温度に保持する制御を行って、前記過冷却容器内に収納する飲食物を過冷却状態に保持することを特徴とする冷蔵庫。
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